萩風「司令、耳かきしますよ!」 (22)
―鎮守府・食堂 お昼時―
ガツガツモグモグパクパク……
陸奥「長門、醤油取ってくれる?」
長門「ん? ほら」っ醤油瓶
金剛「お昼を過ぎたら出撃デース! しっかり補給しておくんデスヨ!」
比叡「はい! 補給も気合い入れて行きます!」
扶桑「……あら、山城。ほっぺたにソースが付いているわよ」フキフキ
山城「やだっ……あ、あぁ姉様、そんなの自分で……ありがとうございます……!」
伊勢「あっ、日向ー! そのピザ私にも一切れ頂戴!」
日向「嫌だ。自分で注文すれば良いだろう」
大和「あら? 珍しいわね、武蔵がお昼に洋食なんて」
武蔵「私にだってその日の気分というものがあるのさ」
机の上「海鮮丼×3、天丼×2、麻婆豆腐丼、ざる蕎麦、焼肉丼×3
炒飯×3、比叡カレー、スープカレー、ボロネーゼ×2、シカゴピザ
鮪漬け丼×2、マルゲリータ、バケット×3、ペパロニピザ、牛丼×2
竜田丼×2、カツ丼、寿司、ビビンバ×2、担々麺、バターチキンカレー
焼き鮭定食、焼肉定食、とんかつ、串焼きベーコン、ピロシキ、
串揚げ×2、肉団子、豚角煮、ビーフステーキ×3、ヴルスト×2
鰹たたき×2、餃子、焼き鳥、ミートローフ×2、フライドチキン、
天ぷら×4、ハンバーグ×3、唐揚げ×3、レバニラ×2、竜田揚げ×3
ザワークラウト、キャベツ炒め、かぼちゃの煮物
(いずれも特盛or特大サイズ)」
吹雪「何回見ても凄いねー……」
叢雲「まあ戦艦だしね」
暁「長門さんや武蔵さんとかは改二になってから前に増して増えたわよね……」
陽炎「見てるだけで胃がムカついて来るわ……」
机の上「焼き鮭定食、カレー×2、オムライス
野菜サラダ×2、筑前煮
(どれも小サイズ)」
萩風「……」スタスタスタ……
吹雪「あれ、萩風ちゃん……?」
暁「戦艦の席に向かって行ったけど……」
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戦艦ズ「「「ガツガツモグモグ」」」
萩風「……」スタスタスタ
扶桑「……あら、萩風? どうしたの?」
萩風「皆さんにお伝えする事があります」
長門「何だ改まって、伝えたい事とは?」
萩風「司令から権限の一部を委譲された秘書艦として、皆さんに命じます」
萩風「今晩から戦艦・正規空母の方々には、専用の献立に切り替えて頂きます」
金剛「メニューの切り替えデスカ?」
比叡「どうしてまた、そんな事……」
萩風「どうして……?」ユラリ……
比叡「ヒエッ!?」
萩風「こんな不健康極まりない食生活をしているからです! 今の様な食生活をずっと続けていればいつか必ず良くない事が起こります!」
萩風「……と、先月も先々月にも言いましたよ!!」
扶桑「そ、そうだったかしら……?」
山城「そう言われてみればそんな気も……」
日向「だが如何に秘書艦といえどそんな権限は無いだろう」
萩風「ご心配なく。既に司令から許可は得ています」
日向「なっ……!」
陸奥「因みに、その専用の献立って……?」
萩風「……一例を挙げますと……」サラサラサラ……
メモ「朝:麦飯、卵焼き、鯵の開き、ヴルスト、小松菜のお浸し、煮卵、冷奴、味噌汁
昼:夏野菜カレー、夏みかん、鮪と根菜の煮物、竜田揚げ、ささみフライ、茹で卵、
夜:麦飯、ハンバーグ、アジフライ、ちゃんちゃん焼き、味噌汁、肉じゃが、果物」
扶桑「こ、これは……萩風の健康定食……!!」ゴクリ
長門「無理だ! たとえ大盛りサイズでも品目がたったこれだけでは足りる訳がない!」
大和「そうです! これじゃすぐにお腹が空いてしまいます!」
萩風「燃料・弾薬の補給をしっかり行っていれば戦闘に支障は無いはずです」
萩風「確かに大型艦艦娘の摂取カロリーは成人男性を上回りますが、それでもこの机の1/3でも過剰過ぎる位なんですよ」
萩風「むしろこの様な暴飲暴食を続けている方が健康に悪影響です!」
伊勢「で、でも……士気というものもあるじゃん……?」
萩風「100万歩譲って特別作戦中なら大目に見ますけど、平時でここまでする必要がありますか?」
武蔵「そ、それは……」
萩風「とはいえ勿論それも分かります。大丈夫ですよ、味に問題はありません」
萩風「……それに……現在のような滅茶苦茶な食生活をいつまでも続けていたら……どうなると思いますか……?」
陸奥「うっ……」ゾクッ
萩風「ある日突然醜く肥え太ったりは流石にしないでしょうけど……」
萩風「生活習慣病……糖尿病、肥満……如何に艦娘は丈夫とはいえ病気にならない訳ではないんですよ?」
萩風「それに……司令の昨日の献立はこの様になっていますが、何か思う事はありませんか?」
メモ「朝:パンケーキ、野菜スムージー、チーズ、春雨スープ、ポテトサラダ
昼:サンドイッチ(玉子、BLT、ハムチーズ、ツナマヨ、アボカド&サーモン)、野菜サラダ
夜:五穀米、シュニッツェル、ザワークラウト、クリームスープ」
長門「女子か!!」
比叡「司令ってこんなお洒落な感じの食事してるんですか!?」
陸奥「てことは何? 私たち、提督に女として負けてるって事?」
伊勢「嘘でしょ、そんな!」
――
―――
提督「……へきしっ! ……失礼な事を言われた気がする」(麦飯、ミネストローネ、ヴルスト、トマトサラダを前にして)
―――
――
日向「わ、我々は艦娘だ! 女である前に深海棲艦と戦う兵器だ! その為なら女を捨てるくらいどうという事は……」
萩風「……戦艦が、国民の憧れが、生活習慣病……」ボソッ
扶桑「……ッ!!」
萩風「私なら肥満体や糖尿病の戦艦に憧れたりはしませんけど……?」
武蔵「う、うむぅ……」
萩風「……どうしますか? まだ続けますか?」
大和「……メニュー変更を受け入れます……」
戦艦ズ「「「……」」」コクリ……
萩風「賢明な判断だと思います。では」スタスタスタ……
戦艦ズ「「「……モグモグ……」」」ズーン……
萩風「……」スタスタスタ
吹雪「凄いね……戦艦相手に一歩も引いてなかった……」
陽炎「不健康やってたらUSAの大統領にだって啖呵切るわよ、あの子」
叢雲「……あれ、今度は空母の方に行った……?」
陽炎「え、まさか……」
萩風「皆さんの食事は明日からこれです!」
瑞鶴「えーっ!?」
翔鶴「そんな……!」
加賀「」ドサッ……
赤城「加賀さん!? しっかり!」
暁「く、空母にも……」
叢雲「ホント容赦無いわね……」
―――
――
――
―――
―1ヶ月後 執務室―
萩風「――という訳で、戦艦・空母の方々には専用の献立に切り替えて頂きました」
萩風「最初の1週間は目に見えて士気・戦果共に低下していましたが、これは当初の想定範囲です」
萩風「2週間目からは徐々に持ち直し、今週に入ってからは先月以前とほぼ同水準まで回復しました」
提督「うむ。指揮する側としても、今では前と変わらない感覚で動いてくれているのが分かる」
提督「士気を落とさずに食事メニューだけ軽量化する作戦、大成功だな」
萩風「ひとまずは、そうですね」ニコッ
提督「いや本当に驚いたよ。あの食欲お化け共を黙らせるなんて……」
提督「実際、明日から健康メニューに切り替えと言われたら身構えたくもなるが、あれは本当に美味いからな。彼女らも満足するだろう」
提督「俺とて萩風のメニューに切り替えてから体調も良くなってる。口内炎になりにくくなったのは地味に嬉しいぞ」
萩風「野菜が足りていればそうそう口内炎にもなりませんからね。以前の司令もそれはそれは酷いものでした……」
提督「よしてくれ。今ではちょっと恥ずかしいんだ……」
提督「ともあれ、これで食費は大幅に浮いたし、間宮さんらの負担もずっと小さくなるだろう」
提督「浮いた分はまずはそっちに分配するとして……まぁその辺は追々考える事にしよう」
萩風「はい。では詳細な報告書はこちらに」スッ
提督「あぁ。そこに置いておいてくれ」
萩風「はい……あら」
提督「どうかしたか?」
萩風「……司令、最後に耳掃除をしたのはいつですか?」
提督「ん? ……うーん、少なくとも先月と先々月中はした覚えはないなぁ」
萩風「それでしたら私が耳かきします! さぁ! ソファに横になってください!」スッ! ポンポン!
提督「待て待て! 何だいきなり!?」
萩風「艦娘の健康を管理するのが司令なら、司令の健康を看るのは秘書艦の役目です!」
提督「いやいや、耳掃除くらい自分でできるし……萩風だって嫌だろう? オッサンの耳掃除なんて」
萩風「そんな事はありません。それに、自分でするより人にしてもらう方がずっと綺麗になりますし、気持ち良いですよ?」
提督「いやしかし……」
萩風「……」ジーッ
提督「…………そこまで言うなら、やってもらおうかな……」
萩風「はいっ! お任せください!」パァァ
―――
――
――
―――
提督(萩風は本当に、健康の事となると目つきが変わる。少し怖いくらいだ)
提督(普段はあんなに穏やかで優しい子なのに……)
提督(しかし……見た目中学生くらいの子に膝枕してもらうというのは何となく気恥ずかしいな……)
スッ……
萩風「では始めます。危ないので、くれぐれも動かないでくださいね……」
提督「あ、あぁ……」
スーッ……
……カリッ
提督「んっ……」ビクッ
カリッ……パリパリ
……ペリッ
萩風「力加減はどうですか? 痛くありませんか?」
提督「……んー……もう少しくらい、強めでも良いかも……」ビクッビクッ
萩風「……このくらいでしょうか?」
カリカリカリ……パリッパリッ、ペリッ
グーッ、グググーッ……パリッ
ススーッ
提督「あぁ……それ、丁度いい……」……ビクッ
萩風「ではこのまま……」
カリカリ……パリッ
ペリペリペリ……スーッ……
提督「う……おっ……」ビクビクッ
萩風「……司令、もしかして本当は耳かき苦手でしたか……?」
提督「いや、そういう訳じゃない……続けてくれ」
萩風「は、はい。では……」
カリカリカリ……カリカリ、パリッ……
ペリペリ……パリッ
スーッ……
提督「……昔から耳かきすると……ぅひっ……どうしても無意識にビクッてしてしまってな……」
カツッ、コツッ……カサカサカサ……
ガサッ……ペリペリペリ……
……ピリッ
提督「だから自分ではあまり……ぅわぁっ……あまりしないし、両親もやっててこわっ、怖いっ……てっ……」ビクビク
提督「……だから耳かきされるのは良いんだが、危なっかしいってんで親もあまりしてくれなかったんだ……」
カリッ……パリッ……ゴゾッ
コツッ……コツッコツッ……ペリッ
萩風「大丈夫です、私に任せてください」
カリッ……カツッ、コツッ……ペリッ
パリパリパリ……ペリッ
スーッ……
萩風「でも、できれば抑えてくださいね」
提督「あぁ……努力する……」……ビクッ……
カリカリカリ……
ググッ……ゴソッ……ゴゾッ……
ズズズズ……パリパリ
スーッ……
提督「お……おぉ……?」
コリコリ、カリカリカリ……
パリッ、ミリ、パリパリパリッ
シュッ、シュッ……
スーッ……
提督(あぁ……萩風、耳かき上手いなぁ……申し出るだけのことはある……)
ツツーッ……カカッ、カリカリ
コリコリ、ピリピリ、ペリッ
サリサリ、ザリザリザリ
ググ……ペリッ、パリッ
提督(痒い所を、正確に掻いてくれてる感じがする……)
スーッ……
ペリッ、パリッ……ミリミリミリ
……バリッ、ガサガサガサ……
シュッ、シュッ、シュッ……
スーッ……ガズッ……グッグッ、ザリザリ
萩風「それにしても……かなり溜まっていますね……自分ではあまりしないとの事でしたが、これほどとは……」
ゴソッ、ゴソッ……
ググ……バリッ……
バリバリバリ……ゴゾゾッ
提督「たまにやっても、穴の周りをほんの少しだけで終わりだからな……」
萩風「耳掃除のし過ぎは耳に良くないですけど、全然しないのも駄目なのでこれからは気を付けてくださいね」
カツッ、コツッコツッ……
グ……メリッ……パリッ
スーッ……
萩風「私なら、いつでも耳掃除して差し上げますからね」
提督「そうだな……またしばらくしたらお願いしようか……」
スーッ……
萩風「……そろそろ奥の方を掻いて行きますので、一層動かない様にお願いしますね。勿論私も気を付けますが……」
提督「あぁ……」
ゴゾッ……ガザッ……
ズズズズ……
ゴゾッ、ゴゾッ……ググググ……
提督「うわぁ、凄い音だな……初めて聞いたぞこんなの……」
萩風「かなり深い所まで入って来ていますからね……」
ガゾッ、ゴゾッ、ゴッ……ググッ、ググググ……
グココ、ゴコッ、ゴコッ……
グググググ……バリッ
スーッ……
萩風「本当はこの辺りまで耳垢を溜めるのも耳かきを入れるのも良くないんですが……」
ガザッ、ガサガサガサ……ゴソゴソゴソ……
グググググ……ゴツッ
ゴゴッ、ググッ、ゴゴゴゴゴ……
萩風「このままだと本当に耳鼻科にかかる必要が出て来そうなので、今日は特別です」
ザリザリザリ、ググッ、ググッ……ガツッ
ゴツッ、ゴツッ、ゴツッ……
グッグッ、ガッガッ、ガガッガガッ……
提督「なんだか……岩でも削ってるかの様な音がする……」
萩風「……少し、大き目なのが固まっていますね……」
ガズッ、ゴズッ、ゴゴゴゴ……
ガツッ、ゴツッ、グッ、グッ、グッ……
グイグイ、グリグリグリ
ゴグッ……グゴゴゴゴ……
提督「取れそうか……?」
萩風「ちょっと時間はかかるかもしれませんけれど、この程度なら簡単です」
ガリッ、バリッ、ググッググッ
ガガッ、ガガッ、グググググ……
ガサガサガサ……ガザザザザ……
萩風「痛くないですか……?」
提督「あぁ、平気だ……」
ガリガリ……ガリガリガリ……
ググッ、ググーッ……
ゴゾッ、ゴゾッ、ガサガサガサ……
ガリッ、バリッ、グググーッ
提督(本当だ……繰り返し掻いている間に、もう剥がれそうになって……)
ゴグッ、ガリッ、バリッ、ガリッ……
……ベリリッ
提督(う、浮いた……剥がれて、捲れ上がった……)
スーッ……
ツツッ、ツツッ……パサパサ……
スーッ……
提督(あぁ…………この、解放感……大物が、耳の外に出て行く……)
萩風「後は残った細かいのを掻き出して……」
ペリ……パリパリパリ……
ズズズ、ザリザリザリ……
スーッ……
萩風「ふぅ、これでこちら側の耳垢は取り終わりました」
萩風「仕上げに梵天と……」
モフモフモフ、フワフワ、フワフワフワ
ゴソッ、モフモフモフ、フワフワフワ
クルクルクル、フワッフワッフワッ……
ふーっ……
提督「ぅわっ……」ビクッ
萩風「綿棒で消毒です。ローションに浸した小さい綿棒で中を拭いたらお終いです」
キュポンッ……
スーッ……
……ヒタッ
提督「おぉ……ひんやりする……」
ヒタヒタ……キュッキュッ……
シュッ、シュッ、シュッ……
萩風「最初から綿棒で耳掃除をする人も多いですけど、提督の様な耳垢が乾いた方の場合、耳垢を奥に押し込んでしまいますから注意ですよ」
提督「そうなのか……あれはあれでまぁまぁ気持ち良いんだが……」
萩風「さて、こちら側はこれで完了です。こちら側を向いてください」
提督「あぁ……え、良いのか? 萩風のお腹に顔を埋める格好になるが……」
萩風「お嫌でしたか……?」
提督「い、いや……そんな事は無い……」グルッ……
萩風「……では改めてこちらも……」
提督(案外動じてないな……俺が気にし過ぎなだけなのか……?)
萩風「……」
提督「……ど、どうした……?」
萩風「え!? い、いえ、何でもありません……」
提督「?」
萩風「…………」ドキドキドキドキ……
萩風「で、では改めて……やはりいっぱい溜まっていますね……」
提督「そっちは利き手側と逆だからな。ほとんどやってないと思う」
萩風「通りで……こちらも綺麗にしてみせますからね」
スーッ……
ザリッ……ザザザッ、メリメリ……
……パリッ!
提督(心なしか、反対側よりも耳垢がぶ厚い感じがする……余程溜まっていたんだな)
ザリザリ、パリッ、パリッ、メリッ……!
バリッ、バリッ、ペリペリペリ……
提督(それにしても……この、耳垢が剥がされて、掻き出される音……良いなぁ……)
メリッ、ミリッ、パリパリパリ……
ググーッ……メリリッ、パリパリ……
パリパリ……サリサリ……
シュッシュッ、シュッ……
カリカリカリ……コリッ
提督(この音だけでも、ずっと聞いていたいくらいだ……)
ベリ……バリバリバリ、ビリッ……
ミリミリミリ、メリメリ、パリッ……
提督(耳垢が剥がれた跡が……ジンジンする……心地良い……)
カリ……カリカリカリ……パリッ
ペリッ、ゴゴッ、ググッ、パリッ
スーッ……
カリカリカリ……パリッ
ペリペリペリ、サリサリ、ツツーッ
提督(あ……そこ……気持ち良い……)ブルッ
萩風「……」クスッ
カリカリカリ……ツツーッ
パリパリパリッ……ツツーッ
ペリペリ、カリカリ……ツツーッ
カリカリ、コリコリコリ……ツツーッ
提督(あぁ、これ……バレてる……どこが気持ち良いか、萩風に……)
萩風(……可愛い……)
カリカリ……パリパリパリッ
ピリッ、ペリッ、カリッカリッカリッ
ツツーッ
萩風「ところで司令。気付いていますか?」
スーッ……
パリパリパリッ、ペリッ、メリッ
ゴソゴソゴソ……コリコリコリ……
萩風「耳かきしている時、ビクビクしなくなっていますよ」
提督「……ほ、本当だ……!」
コリコリコリ……カリカリ……カリカリカリ……
ゴソゴソ……コシュッ、シュッシュッ、シュッ……
ググ……パリッパリッ、パリッ……
萩風「ふふふ、司令もようやく私の耳かきに気を許してくれたようですね」
提督「みたい……だな……」
ゴシュゴシュ、シュッ……
ガサガサガサ……バリッ
ペリペリ……パリパリパリッ
提督(それにしても……あぁ、本当に気持ち良い……)
メリメリッ……パリパリパリッ
シュッシュッ……コシュッコシュッ……
パリッパリッ、コリコリコリ
提督(そういえば、初めてかもな……)
カツカツッ、カツッ……
コソコソ……コリッコリッ、コリコリコリ……
コシュッコシュッ、グシグシグシ
提督(耳かきを、気持ち良いと思ったことなんて……)
カリカリカリ……カリカリ……
コリコリ……ググッ、グーッ……パリッ……
ツツーーッ……
ペリペリ、バリッ、パリッ、ペリッ……
コリコリコリ……
提督(……お袋の膝で耳かきされるのって、こういう感じなのかな……)
スーッ……
提督(こっちにも……深いところまで、入って来た……)
萩風「こちらも奥に溜まっていますね……」
ゴゾッ、ズズズ……
ゴソゴソッ、ガサッ……
スーッ……
ズズズ……ズズズズ……
バリッ、ベリッ……
提督(耳道を削るかのような激しい音……)
ガガッ、ガッ……ガツッ……
ゴッゴッ、ゴツッ、ゴツッ、ガツッ……
ググッ、ゴゴッ、ゴゴゴゴ……
スゥーッ……
提督(でも萩風の手つきは、あくまで優しい……まるで労わってくれている様な……)
スーッ……
ザリザリザリ……グシグシ……ゴツッ
ガツッ……ガツッ……ガッ、ガッ、ガリッ……
ゴツゴツゴツ……
提督(奥の奥……殊更硬い、鈍い音がする……この感覚、もしかして……)
ゴッゴッ、ガッガッ……
ググッ、ググッ、グーッ……ガリッ……
萩風「こちらにもかなり硬くて大きいのが……壁に貼り付いていますね……」
提督「音からして相当硬そうだな……取れそうか?」
萩風「少しだけ時間を頂きます。けど確実に取ってみせます」
提督「頼もしい返事だ……」
萩風「はい、お任せください!」
ガリッ……ガリガリ……ガリガリガリ……
グリッグリッ、ゴゴゴゴゴ……
ゴグッ、ググッ、グゴゴゴゴ……
提督(周りから掻いているのか? ぴったりと貼り付いているヤツの、周囲を掻かれている……)
ガリガリ、ゴリゴリゴリ、ガリガリ……
ゴゴッ、ゴゴッ、ゴゴゴゴゴ……
提督(周りだけ掻かれるから、モノの大きさが浮かび上がって来る様だ……)
提督(10年に一度の大物の予感……)
ガリガリ、ガリガリ、グリグリグリ
ガツッ、ガツッ、ガツッ、ガ……ズルッ
ググッ、グ……ズルッ
萩風「むぅ……取れない……」
ガツッ、ゴツッ、グ……ズルッ
ガリッガリッ、ゴリッゴリッ
グーッ……ズルルッ
提督(あちこちから引っ掻いて……でも滑ってばかりで全然剥がれないな。萩風ですら苦戦するほどとは……)
ガリガリ、ガリガリガリ……
ゴリゴリゴリ、ゴゴゴゴ……
ガヅッ、ガヅヅッ……
萩風「……ここ、かな……?」
ガリガリ、ガリッガリッ、ググググ
ゴコッゴコッ、ゴゴゴゴ……グッグッ、グーッ……
……バリィッ……
提督(うぉ……!? め、捲れた……!? 今までのは、弱い所を探ってたのか……?)
バリッ、バリバリビリ……
ゴリッ……ゴリリリリリ……
萩風「後は、ここに耳かきの先を滑り込ませて……」
メリ……メリメリメリ……
バリバリバリバリ……
提督(先端が、剥がれてできた隙間に入って行く……壁から、剥がされて行く……)
バリリリリリッ、ベリリリッ……
バリッ、バリリリリリッ……
ズ……ルンッ……!
提督「う……おぉっ……!」
萩風「ふぅーっ……」
提督(剥がれた……! 耳の中で、大きなのが、確かに剥がれ落ちた……!)
萩風「やっと取れました……後はこれを……」
ゴソッ、ゴソゴソゴソ……
ガサガサガサ……
ズルッ、ズルルル……
提督(少しずつ、少しずつ登って来ている……大きいのが、奥から外へ……)
ズルルル……
……スーッ……
……ポタッ
萩風「ほっ……何とか無事掻き出せました」
提督(物凄い解放感……ティッシュに落ちた音だけでも凄いな……そんなのが耳の中にあったのか……)
萩風「一番の大物を掻き出しただけでまだ残っていますので、もう少しだけ続けますよ」
カリカリ……ゴツッゴツッ、ゴゾッ……
ガツッ、ガツッ、ゴツゴツゴツ、ゴズッ……
スーッ……
提督(途轍もない大物を掻き出したのも勿論凄いが……一番凄いのは――)
ゴゾッ、ゴゾッ、ガリガリガリ……
ググッ、グゴゴゴゴ……バリッ
スーッ……
提督(やはり、これだけやっても全く痛みを感じさせない動きだな……上手すぎる……)
ガサガサガサ、パリパリパリッ……スーッ……
モフッ……モフモフモフ……モフモフモフモフモフ……
フワッフワッ、モフモフ……グシグシグシ
フワッフワッフワッ……
モフモフモフモフモフ……
ふーっ……
……キュポンッ……
スーッ……
ヒタ……ヒタヒタヒタ……
キュッキュッ……キュッキュッ……
萩風「ふぅ……これでお終いです。お疲れ様でした」
提督「あぁ、ありがとう……お陰で凄くスッキリした……」ムクリ
萩風「因みに、先程大いに苦戦させられたのがこちらです」
提督「うわぁ、他は薄黄色で薄っぺらいのにこれだけ茶色っぽくて分厚い、何よりデカい……カサブタみたいだ」
萩風「これからはこんなの貯めちゃ駄目ですよ?」
提督「あぁ分かってる。来月くらいにまた頼むよ」
萩風「はい!」
―――
――
――
―――
雪風「比叡さん、最近ちょっとスリムになりました?」
比叡「そ、そう、かな……?」
*
清霜「うんっ! 前よりちょっと引き締まって、もっとカッコよくなった感じがする!」
武蔵「は、ははは……」
*
時雨「心なしか肌つやも良くなって見えるよ」
扶桑「本当に……?」
山城(……結果的には、萩風の言う通りにして正解だったわね……)
*
吹雪「最近の戦艦や空母、調子良くなってるはずなのに時々ちょっと浮かない顔になるよね」
暁「確かに……何でだろ?」
萩風「……」スタスタスタ
陽炎「あれ、萩風?」
叢雲「そっちは……」
ドンチャンドンチャン!
ポーラ「あははははは!」
隼鷹「飲め飲めー! 今日はこの隼鷹さんの奢りだー!」
那智「達磨だ! 達磨のおかわりだ!」
伊14「うっひょー!」
ドンチャンドンチャン!
吹雪「あ……」
叢雲「……行きましょ」
スタスタスタ……ザッ!
萩風「宴会中に恐縮ですが、皆さんにお伝えすることがあります!」
この後滅茶苦茶した
おしまい
萩風と耳かきSSのステマでした。皆々様ありがとうございました
要望の多かった駆逐艦の耳かき、随分と遅くなってしまいました
5月に投稿予定がまさか年の瀬になってしまうとは……
過去に友人に耳かきの音が好きと言ったら変人扱いされましたが、
今やASMRという形で人口に膾炙されてきた感があります
耳かきのステマを行ってきた者の端くれとして嬉しい限りです
来年も、今年よりもう少しだけペースを上げてステマし続ける所存です
以下、過去作のステマ。
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ポーラ「耳かきしましょうか~?」
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では
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