提督「皆、無事で何よりだ」

龍驤「怪我はともかく……お腹減ったぁぁ！」

隼鷹「酒保が！　酒があたしを呼んでいるぅぅっ！」

足柄「ちょっと！　台詞盗らないで！」

提督「ほらほら、もう一踏ん張りだ」

龍驤「なぁ負ぶってぇなぁ～！」

提督「食堂までくらい歩け、ほら！」

ふるたかこ「……」ｷｰﾝ

足柄「…………？」

足柄（何、この違和感……？）

<数日後　夜　娯楽室>


長門「……」

長門「ふっ」ｺﾝｯ

ｶｯ　ｶｯ　ｶﾞｺﾝ

ビスマルク「ひゅー！　なかなか上手くなったわね」

長門「ビリヤード……慣れればなかなか面白いな」

長門「…………ほっ」

ｶｯ　ｶｯ　ｶﾝ　ｺﾛｺﾛ…

長門「むぅ……」

ビス「でもまだまだね」ﾔﾚﾔﾚ

提督「次は俺だな」

提督「…………」ｼﾞｯ

提督「……………………」

長門「……」ｺﾞｸｯ

ビス「……」ｺﾞｸﾘ













ｱｼｶﾞﾗ＜ここが！　私の魂の場所よ！！
ﾃﾚﾋﾞ＜ﾄﾞｺﾞｫﾝ!!　ﾊﾞｷｨｨｨﾝ!!　ﾄﾞｺﾞｫﾝ!　ﾄﾞｺﾞｫｫﾝ!!
ﾕｳﾊﾞﾘ＜スナキャ排除！　ナイス足柄さん！！




長門「っ！」ｶﾞｸｯ

ビス「はっ！？」ｽﾞﾙｯ

<テレビ前>


夕張「盾割れた！　今です！」ｶﾞﾁｬｶﾞﾁｬ!

足柄「威特ストレコなめるなぁっ！　よしっ、落としたわ！」ｶﾞﾁｬｶﾞﾁｬ!

長門「くぉら足柄ァッ！」

ビス「テレビゲームも良いけど、ビリヤードしてる時は騒がないでって言ってるでしょ！」

足柄「ごめんなさい！　ちょっと熱が入っちゃって！」ｶﾞﾁｬｶﾞﾁｬ!

夕張「足柄さん！　四時にタンクが！」ｶﾞﾁｬｶﾞﾁｬ!

足柄「うわっ！？　くたばれこのっ！」ｶﾞﾁｬｶﾞﾁｬ!

ビス「あぁ……もう！」

長門「提督！　提督からも何か－－」




提督「ふっ」

ｶｯ　ｶｯ　ｶｯ　ｶﾞｺﾝ

提督「よし。入った」

提督「ん？　あれ、どうしたの二人共？」

長門「おぉ……この喧噪の中、全く集中を乱していない……」

ビス「凄い、これが提督の実力……」

提督「？」

足柄「…………」

夕張「ふぅーっ！　何とか勝てたーっ！」

夕張「最後の”紀里志摩”ってタンク乗り、手強かったですねー……」

夕張「この私達が二人掛かりでも手こずるなんて……どんな人なんだろう」

足柄「…………」

夕張「足柄さん？」

足柄「えっ！？　えぇ、久々の強敵だったわね」

足柄（また、この違和感……）

足柄（………………まさか）

夕張「……どうしたんですか？」

足柄「うぅん！　何でもない！　さぁ、もう一戦よ！」

夕張「……？」

<翌朝　桟橋>


提督「～～～～」

龍驤「～～～～！」ﾋﾟｮﾝﾋﾟｮﾝ

隼鷹「～～～～！」

神通川内「……」ｷｰﾝ





足柄（……私の勘が正しければ……）

足柄「さぁ出発よ！！　みんな準備できてる！？」

川内「足柄さん、今日は随分と気合いが入ってますね……」ｷｰﾝ

神通「何か……あったんですか……？」ｷｰﾝ

足柄「今日は月曜日よ！　週始めだからこそ！　引き締めてかからなきゃ！」

川内「金曜日も『週終わりだからこそ』って言ってませんでした？」

隼鷹「水曜も『週の真ん中だから』って言ってたよな」

龍驤「何や、毎日言うとるんかいな」

足柄「良いじゃない！　気合い無くして勝利無し、よ！！」

足柄「でしょ！？　提督！！」

提督「うむ、まぁ士気が高いのは良い事だ。とにかく気を付けてな」

足柄「えぇ！！　必ず、全員健在で帰るわ！！」

川・神「……」ｷｰﾝ

ｻﾞｧｧｧｧｯ

ｻﾞｧｧｧｧｯ

足柄（間違いない……提督は……）

龍驤「？　どうかしたんです？」

足柄「いえ、何も？」

龍驤「？」

<また数日後　夜　執務室>


提督「……」ｶﾘｶﾘ

提督「ふぅーっ……終わった……」ﾉﾋﾞｰ

提督「おぉ……鳴る鳴る」ﾎﾟｷﾎﾟｷ　ｺｷｺｷ

ドア「ｺﾝｺﾝ」

提督「こんな時間に誰だろう……どうぞ」

ｶﾞﾁｬ

足柄「ごめんなさい、こんな時間に」

提督「いや……しかし何かな？」

足柄「その、提督が嫌じゃなかったらで良いんですけど」

提督「ふむ？」

足柄「提督に、耳かきしてあげようと思って」

提督「……え？」

足柄「提督に！　耳かきしてあげる！」

提督「耳かき？　あぁ耳かきか」

足柄「最近してないんじゃないかしら？」

提督「んー……確かにしばらくやってなかったな……」

提督「しかしよく分かったな。俺の耳の様子なんて誰にも言ってないが」

足柄「最近の提督には、ずっと違和感があったのよ」

提督「違和感？」

足柄「龍驤や隼鷹ﾄ､ﾜﾀｼｶﾞが大騒ぎしても、全然うるさそうにしてなかった所とか」

足柄「ビリヤードの時、あの中で一人だけ集中を保ち続けていた時とかを見て思ったの」

足柄「『耳が聞こえにくくなってる』んじゃないかって」

足柄「でも提督は耳を怪我したりしてないし、病気にもなっていない」

足柄「だったらもしかして、ってね」

提督「あぁ、なるほど……」

提督（足柄が耳かきを……普段が『クリーク！クリーク！』なだけに、上手なイメージが全くないが……）

提督（でもまぁ、たまには人にやって貰うのも良いかな）

提督「……ふむ、頼むよ」

足柄「了解！」

飯落ちします
九時に再開します

－－
－－－


提督「……で、何で膝枕？」

足柄「耳かきと言えばコレでしょ」

足柄「……も、もしかして、嫌でした？」

提督「そうじゃなくて……その、大の男が女の子に膝枕させるって、ヤバくないかって思って」

提督「後、単純に膝枕というシチュ自体に緊張してる」ﾄﾞｷﾄﾞｷ

足柄「ふーん。提督ってそういうのが好きなのね」

提督「む、むぅ……」ﾄﾞｷﾄﾞｷ

提督（足柄は……全く動揺が見えないな。何だか悔しい……）

足柄「まずは外周ね」

ｽｰｯ
ﾊﾟﾘﾊﾟﾘ
ｽｰｯ

…ﾍﾟﾘﾍﾟﾘ
ﾋﾟﾘﾋﾟﾘ、ﾊﾟﾘﾊﾟﾘ
ｽｽｰｯ

提督（耳たぶ外側……）

提督（き、気持ちいい……）

ｽｲｰｯ
ﾊﾟﾘﾊﾟﾘｯ、ﾊﾟﾘｯ

ﾋﾟﾘﾋﾟﾘﾋﾟﾘ…ﾊﾟﾘｯ
ｽｽｰｯ、ﾊﾟﾘｯ…ｽｽｰｯ

足柄「外はこんなモノね。いよいよ中よ！」

提督（もうか。案外早いな。外にはそんなに溜まっていなかったのかな）

ｽｰｯ
ｶﾘｶﾘｯ、ﾊﾟﾘｯ、ｶﾘｶﾘｯ
ｽｰｯ

提督「おぉっ」

ｽｲｰｯ
ｶｯ、ｶﾘｯ…ﾊﾟﾘﾊﾟﾘ
ｽｽｰｯ

提督「むおぅ」

足柄「ふふっ。変な声出てるわよ？」

提督「ぬぅ……」

ｶﾘｶﾘｯ、ﾊﾟﾘｯ、ｽｰｯ
ﾊﾟﾘｯ、ﾐﾘｯ、ｽｽｰｯ

提督（違う……溜まってなかったんじゃ、ない……）

提督（耳の中が、あっという間に綺麗になって行く確かな感覚……）

ｶｯ、ｶﾘｯ!
ｺｼｭｺｼｭ、ｺﾞｼｭｯ!
ｽｰｯ

提督（手際が、物凄く良いんだ……だからすぐに綺麗になって行く……）

ｽｨｯｽｨｯｽｨｯ
ｶﾘｶﾘｯ、ｺﾘｯ
ｽｨｯ

提督（しかし決して雑ではない……繊細な動きだ……）

ｺﾘｺﾘｯ、ｺﾂｯ
ｶﾘｭｶﾘｭ、ｺﾘｭｯ
ｽｽｯ

提督「足柄……耳かき上手いな……失礼ながら、全くそんな印象なかったよ」

足柄「ふふふ……」

ﾒﾘﾒﾘ、ﾐﾘﾐﾘ
ﾊﾟﾘﾊﾟﾘ、ｽｽｰｯ

足柄「もし、耳の痒みが気になるまま戦場に出て……最高のパフォーマンスができると思う？」

ｺﾘｯ!

足柄「否！　実力の拮抗し合った者同士の戦いに於いて、勝利とは！」

ｶﾘｯ!

足柄「心身共に最高により近い者が手にする！」

ｽｨｰｯ!

足柄「己より強い者を相手にするなら尚更の事ッ！！」

足柄「そして私は勝ちたいッ！！」

ｶﾘｶﾘｶﾘｯ!
ｽｨｨｰｯ!

提督（あぁ、やっぱりそういう……）

ｺﾞｯｺｯ、ｺﾂｯ
ｺﾞｿｯ、ｺﾞｯ、ｶﾘｯ

足柄「そう思って練習してる内に、ね」

ｶﾘｯｺﾘｯ
ｺﾞｺｯ
ｽｨｰ

足柄「いつの間にか駆逐艦の子たちからも時々頼られる様になったわ」

提督「ふふっ……まぁ距離が縮んだ様で大変結構だ」

ｺﾞｿｺﾞｿ
ｽﾞｯ、ｽﾞｽﾞｯ

ｶﾞﾘｯ

提督「んがあっ！！？」

足柄「ご、ごめんなさい！　大きいのがこびりついてて……」

提督「いや……良い……」ｼﾞﾝｼﾞﾝ

ｺｼｺｼ
ｺｼｭｯｺｼｭｯ

足柄「さぁ、改めて……」

ｶﾞｯｶﾞｯ、ｶﾞｶﾞｯ
ｶﾞｸﾞｯ、ｺﾞｺｯ

提督（あぁ……でも、やっぱり気持ちいい……）

ｶﾞｯｶﾞｯ
ｶﾞｶﾞｯ、ｺﾞｿｯ
ｸﾞｯ

足柄「……うりゃっ」

ｽﾞｽﾞｯ
ｽﾞﾎﾞｫｩ

足柄「WIN!!」ｸﾞｯ

提督「おおぅ……えらいサイズだな……」

足柄「こっちは完了ね。さ、反対側よ」ｺﾛﾝ

提督「おうっ！？」

提督（転がされて……め、目の前に、お腹が……）ﾄﾞｷﾄﾞｷ

足柄「～♪」

ﾊﾟﾘﾊﾟﾘ
ﾍﾟﾘﾍﾟﾘ

提督（始まっちゃったよ！　このまま続けるのか……）ﾄﾞｷﾄﾞｷ

提督（間近に感じる生娘の匂い……いかん、これはいかんぞ……）

ﾐﾘｯ、ﾍﾟﾘﾍﾟﾘ
ﾊﾟﾘｯﾍﾟﾘｯ
ｽｨｰｯ

提督（膝枕といいこれといい、足柄ってこういうの気にしないのか……？）

提督（あるいは、本当に勝利とカツ以外興味なしか！）

ｶﾘｯｶﾘｯ
ﾍﾟﾘﾍﾟﾘ、ﾊﾟﾘﾊﾟﾘ

提督（凄く気持ちいいけど……落ち着かない！）ﾓｼﾞﾓｼﾞ

足柄「んっ……提督、くすぐったいからモゾモゾしないでくれる？」

提督「ふおっ！？　あ、あぁ……」

ｺﾘｯｶﾘｯ
ﾊﾟﾘｯﾊﾟﾘｯ

提督「あっ……あぁぁっ……」

足柄「ふふふ……提督って、よく見てみるとかわいい顔立ちなのね」

ﾐﾘｯﾐﾘｯ、ﾒﾘｯﾒﾘｯ
ﾍﾟﾘﾍﾟﾘﾊﾟﾘﾊﾟﾘ
ｺｿｯｺｿｯ

提督「やめて……くれ……気にしてるんだ……」

ｺﾞｿﾞｺﾞｿﾞ
ｽﾞﾌｽﾞﾌ、ｿﾞｿﾞｯ

足柄「あぁっ、ご、ごめんなさい！」

提督「良いよ、慣れてる……」

足柄「お詫びに、徹底的に綺麗にしてあげるから」

提督「気にしないで……いや、せっかくだし、頼むな」

ﾐﾘｯﾐﾘｯ
ﾊﾟﾘﾊﾟﾘﾊﾟﾘｯ
ｽｽｰｯ

ｺﾞｿｺﾞｿｺﾞｿ
ｺｼｭｺｼｭ……

提督（あっ、そこ……）

ｺﾞﾘｯ

足柄「……大物……！」ｷﾞﾗﾘ

提督「ん？　お、おい……」

足柄「分かってる……何としてでも討ち取ってみせるわ！」

提督「そうじゃなく……」

ｽｽｯ
ｶﾞｸﾞｯ、ｸﾞｯｸﾞｯ
ｽｯ
ｶﾞﾘｻﾞﾘ、ｶﾞｻﾞｻﾞｯ

提督「お……ぉぉ……」

提督（激しくはなったが、雑ではない。動きは丁寧なままだ）

提督（『荒々しく見えて、狙いも動きも正確かつ的確』……いつもの戦闘スタイルと同じだな）

ｶﾞﾘｯ、ｶﾞｶﾞｯ
ﾋﾞ
ｽｲｯ

足柄「もう少し……」

ｺﾞｿｯ、ｺﾞｿﾞｺﾞｿﾞ
ﾐﾘｯ

提督「おっ」

足柄「掴んだ！」

ﾐﾘﾐﾘ、ﾒﾘｯ、ﾊﾞﾘｯ
ｺﾞｯ、ｺﾞｺﾞｯ、ﾒﾘﾒﾘ

足柄「せぇ……のっ！」

ｺﾞｿｺﾞｿｺﾞｿ!
ｽﾞｯ、ｽﾞｽﾞｽﾞｽﾞｽﾞｽﾞｯ!
ｿﾞﾌｯ!!

提督「ふぉぉっ……」ﾋﾞｸｯ

足柄「採れたっ！！　やったわぁっ！！」

提督「お……お疲れ……様……」ﾋﾞｸﾋﾞｸ

足柄「後は梵天ね」

ﾌﾜｯ
ﾓﾌﾓﾌｯ、ﾓﾌｯ
ﾌﾜﾌﾜｯ、ﾌﾜｯ

ふぅぅぅっ……

足柄「ふぅっ。完了よ」

提督「ありがとうな。おぉ、聞こえ方が違う」ﾑｸﾘ

足柄「もう聞こえにくくなるくらい溜めちゃ駄目よ？」

足柄「戦場で指示が聞こえないと、勝利どころか命に関わるんだから」

提督「そうするよ。確かにこれは危ないしな……」

提督「あぁ、そうだ」

足柄「なに？」




－－－
－－

<数日後　鎮守府桟橋>


金剛「Here we go!!」

足柄「sally forth! 3rd fleet!!」

隼鷹「C'mooon!! It's pay back time!!」

「「「HAHAHAHAHA!!」」」

龍驤「え、えっと……yaaaahooooo!!」

提督「うるさいぞ！　少しは静かにしないか！　あと龍驤、乗るんじゃない」

大和「あの、えっと……」

提督「ごめん。こんなメンツに放り込んでホントごめん……」

大和「いえ……なんとかします……」

足柄（うん、やっぱりこの感覚。提督の反応が無いと、寂しいものね）






提督『あぁ、そうだ』

足柄『なに？』

提督『また、頼めるか？』

足柄『勿論！』





足柄「さぁ……」

足柄「出撃よ！！！　戦場が！！　勝利が……」

提督「だから少しは大人しくしろって！」






この後滅茶苦茶した

おわり