<夕方 執務室>
提督「……比叡」カリカリ
比叡「……なんですか?」ペタンペタン
提督「今日の夕飯は何だったかな?」カリカリ
比叡「今夜は特製比叡カレー実証実験型17号です!」ペタンペタン
提督「名前からして不穏だな……」カリカリ
比叡「ひ、ひどいっ!」
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提督「今までの16の実験型の内、美味かったのが3つしかなかったから言ってるんだよ……」
比叡「さ、三回に一回は美味しいって事じゃないですか!」
提督「普通は三回とも美味しいんだよ。余程変な事したりしない限りは!」
提督「2号なんか、謎の強烈な酸味がルーや他の具の味を殺してたから何食べてるのか分からなかったんだぞ!」
比叡「うっ……」
提督「マズメシと噂の比叡飯も、普通に作れば凄く美味しいんだからさぁ……こないだの量産型8号は今まで食べた中でトップクラスだったぞ」
比叡「挑戦を忘れたら進歩はそれまで、です!」
提督「それはまぁそうだが……」
比叡「でも……司令がそこまで言うなら……今日は予定を変更して8号にしましょう」
提督「……俺が言うのも何だが、そんな簡単にチェンジできるのか?」
比叡「8号に色々添加してみる実験が17号ですから」
提督「因みに、何を加えるつもりだった?」
比叡「ホンオフェとサルミアッキと馴れずしを……」
提督「比叡、17号計画の凍結、即時破棄を命じる」
比叡「ひぇーー!? そ、そんなぁー!」
<夜 執務室>
比叡「お待たせしましたー! 比叡カレー量産型8号司令好み仕様です!」
提督「おぉ、ありがとう。いただきます……」パン
提督「……」モグモグ
提督(ルゥの程よい辛味、粘り気……ご飯に対して丁度良い具合に調和している)
提督(そして柔らかい牛肉……甘みの出た野菜……シンプルだが、王道の組み合わせ……)
提督「うん、やっぱりこれが最高だ……」
比叡「……」ニコッ…
<食後しばらくして>
提督「やっぱり8号が一番美味いよ」カリカリ
比叡「それは……嬉しいことなんですが……」ペタンペタン
比叡「……やっぱり司令好みのカレーは8号で完成している……? いや、きっとまだ何かある筈……」ブツブツ
提督「向上心があるのは結構だが、まぁ程々にな……よし、これで完了だ」カリッ
比叡「お疲れ様でした!」
提督「比叡もな。んんんっ……」ノビー
比叡「司令……最近ちょっと、お疲れの様ですね……」
提督「そうか? 自分ではよくわからんが……」
比叡「……そうだ! 私の膝をお貸しします! 多くの男性は膝枕に癒されると聞きました!」
提督「良いな……折角だから世話になってみるか……」
<布団の上へ>
提督「あぁ、予想以上の心地良さ……」ヒザマクラサレ
比叡「……これ、結構恥ずかしいですね……///」セイザ
提督「嫌なら退くぞ?」
比叡「い、いえっ、そんな事!」
提督「良いならもうしばらくこうさせて貰う……」
比叡「……おや?」
提督「どうした?」
比叡「司令は、最近耳掃除しましたか?」
提督「んー……ちょっと前にしたと思ったが……」
比叡「その割には、なんだかいっぱい詰まってますよ?」
比叡「膝枕ついでという訳でもないですけど、私が耳かきしましょうか?」
提督「比叡が耳かき? 試作カレー以上の不安が漂うが……」
比叡「し、心外です! 金剛お姉様も榛名も満足そうにしれくれたんですから!」
提督「マジでか」
比叡「疑ってますね? ちょっと待っててください! 道具を取って来ますから!」ダッ
提督「おわっ!?」バッ
<しばらくして>
比叡「では改めて膝に……」ポン
提督「まぁ、鼓膜は破れても治るしな……」スッ…
比叡「ふふふ……いつまでそんな事を言っていられるでしょうかね……?」
比叡「……いざ!」
比叡「気合い!」
比叡「入れて!!」
比叡「耳かきします!!!」
提督(不安だ……)
比叡「まずは耳たぶを……」
比叡「と言っても、最近されたというだけあって綺麗に見えますが……」
ゴソッ
ゴソゴソグイグイ……
比叡「皺の深い所は、結構汚れが残っていますよ」ホラ
提督「わあ、本当だな」キタネェ
ググッ、グググ
グリグリ
比叡「仕上げにウエットティッシュで……」
キュッ、キュッキュッ
スススーッ
提督「おぉ、ひんやりするな」
比叡「あと、ここも……」
キュッキュッ
スーッ、スーッ
サッサッ
比叡「ふーっ、まぁ耳たぶはこんなものでしょう」
比叡「やっぱり。耳たぶの裏はまだいっぱい残ってましたよ」
提督「耳たぶの裏か……確かにそこは意識して掃除した事は無かったな」
比叡「じゃあ、そろそろ耳の中へ行きますよ」
比叡「さて、では改めて中を拝見……」グイッ
比叡「……何だか、薄い耳垢が耳の中いっぱいに広がってるって感じですね」
提督「いっぱいって、どのくらいだ?」
比叡「目に見える範囲全部ですね。穴の入口のすぐ近くまで来てますよ」
チョイッチョイッ
パリッパリッ
提督「突くな突くな……うぉっ、急に痒くなってきた……急いで頼む」ムズッ
比叡「了解しました!」
比叡(しかし、何処から攻めたものか……)
スーッ
カリッ
パリパリ
提督(耳かきが……もう触れた。本当にすぐの所まで来てるんだな……)
パリッパリッ
コリッ
比叡(そうだ……折角なので……)
カリリッ……ペリッ
ツツツーッ……パリッ、パリリッ
提督「う……おぉぉ……?」
提督(耳垢が、手前から剥がれていく感覚……)
カッカッ、パリパリパリッ
ツーッ……ペリペリペリ
提督(でも、剥がれるだけで取れない……?)
比叡「よっ……はっと……」
ススーッ……
クイックイッ……
パリッ、ペリッ
提督「ひ、比叡……?」
スーッ……
パリッパリッ
ペリペリ
比叡「大丈夫です。今、引き抜きますから」
提督「引き抜く?」
ススーッ……
パリッ……
提督「お?」
スススーッ
パリパリパリパリパリッ!
ペリペリペリペリッ!
スススーッ!
ペリンッ!
提督「うおおおおっ!?」
比叡「ふぅ!」
ポトッ
提督「うおっ!? 小指の爪くらいの大きさだぞ……これが耳の中にあったのか……」
比叡「サイズの割に薄くて剥がれやすかったので、一度に掻き出してみました」
提督「今のだけで大分スッキリしたな……」
比叡「奥にはまだあるみたいなので、このまま続行しますね」
提督「あぁ」
スーッ…
カリッ、コリッ
カリカリカリッ
提督(小さいのが、掻き出されて行く……)
パリパリッ
スーッ
ポトッ……
ペリペリッ
ススーッ
提督(いや、これでも結構なサイズだな……普段なら十分大物だ……)
カリカリカリ
比叡(……しかしこの大きさは……まさか……)
比叡「司令。もしかして、前回の耳かきの後、耳の中が濡れていませんでしたか?」
提督「んー……そういえばそうだったな」
ココッ、コリッ
コリッコリッ
比叡「やっぱりですか……その時、かなり強く掻いていたのでは?」
提督「あ、あぁ」
カツッ、カツッ
コココッ、カリッ
比叡「ダメですよそれは。耳はデリケートなんです。本来耳掃除は必要ないとされているくらいですから」
提督「えっ、そうなのか?」
比叡「えぇ。まぁ気持ち良いのでしちゃいますけど。この大物は、おそらく前回の耳の中に染み出したものが固まったんだと思います」
カリカリカリッ
パリッパリッ
カサカサ
比叡「今のところは大丈夫そうですけど、気を付けないといつか大変な事になるかもしれませんよ?」
提督「あぁ……そうしよう……」
コリッコリッ
パリッパリッ
ペリペリペリ……
スーッ
提督「……」ウトウト
カリカリカリッ
パリッパリッ……
スーッ
ピリピリピリッ
ペリッ……
提督「……スー……スー……」
比叡「…………///」
……グイッ
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----
提督「ん……あ、あれ? いつの間に逆向きに……」
比叡「あ、起きました? 今から反対側の耳かきをしますので、動かないでくださいね」
提督「寝てたのか……いつの間に……」
提督(しかし……至近距離にお腹が迫っている……露出の少ない衣装の筈だが、妙に緊張する気がするな……)ドキドキ
スッ
パリッ
ペリリリリ……パリッ
ピリリリリ……ペリリッ
提督(また……さっきのか……こっち側も酷い事になってそうだな……)
カリカリパリパリ
パリリリッ……ススーッ……
コリリリッ……パサッパサッ……
提督(さっきより……大分奥まで入ってる……)
コリュッ……カリュッ……
パササッ……ススーッ……
比叡「良かった……鼓膜と繋がってたら大変でしたけど、これならそのまま取れそうです」
提督「鼓膜と……? そんな事にもなるのか……用心せねば……」
ペリペリッ……ペリリリリッ……
コッ、コココッ……コリリリッ……
提督(しかしこの……耳の奥深くで耳かきがクルクル動き回る感覚……)
コツッ……コツッ……カリリリッ……ペリッ
スーッ……
ココッ……カカッ……パリリッ
提督(奥の耳垢が剥がれる感覚……何と心地よい……)
比叡「そろそろ……抜き出しますよ……」
提督「あ……あぁ……」
提督(もう終わりか……ちょっと名残惜しいな……)
ススッ……クイックイッ
パリッ……パリパリ
ゴソソッ
ゴソッゴソッ
クリリリッ……クイッ
スススーッ
比叡「よっ……と……」
ズッ
ズゾゾッ
提督(奥深くに入っていた耳かきが……もう中程まで……)
ズッズッ……
パリパリ……
比叡「形を保ったまま出そうとすると……今回はさっきみたいに勢いよくとは行きませんが……」
スーッ……ススーッ……
パリッ……パリッパリッ
提督(もう……出口に……)
ズーッ……
スッ!
提督(出たっ……!)
ズズズーッ……パリッ!
ズリッズリッ!
パリパリパリッ!
ズズズーッ!!
提督「うぉぉぉぁっ……!!」
比叡「うわぁっ、これは……凄いのが……ふ……ふぅぅっ……」
提督(耳垢を飛ばさない様にか……横を向いて深呼吸してる……)
提督(そう言えば、さっきから区切りの度に深呼吸してたな……呼吸を忘れる程集中していたという事か……)
提督「どれどれ………………な、何じゃこりゃあ!?」
比叡「今度は小指どころじゃないですよ……親指ぐらいですよこれは!」
提督「っていうか、これを形のまま掻き出したのか……凄いな……」
比叡「やっぱり大物は大物のまま出したいじゃないですか」
提督「その通り。大変よくやってくれた」
比叡「じゃあ、続きを……といっても、あとは残りカスみたいなものですが」
カリッ……パリッ……
ツツッ……
チョリッ……
ススーッ……
提督(本当に小さいのしか残ってないな……さっきので全部纏めて掻き出したのか……)
比叡「後はこれで……」
フワッ……
フワフワフワッ
モフッ
モフッモフッ……モフッ……
フワッ……フワッ……
ふーーっ……
比叡「はい、お終いです」
提督「あぁ……気持ち良かった……」
比叡「でしょう?」
提督「あぁ……不安とか言ってすまなかったな」
比叡「良いですよ。またいつか、耳が痒かったから……」
提督「あぁ。また頼むよ」
比叡「お任せください!」
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比叡「お待たせしました! 特製比叡カレー実証実験型18号です!」
提督「今度は前みたいなキツい物は入ってないだろうな……?」イタダキマス
比叡「大丈夫です、今回は前ほど好みの分かれる物は入れてませんから!」
提督「……」モグモグ
提督「……う、美味い! 8号より好みかもしれん!」
比叡「やった! やっぱり挑戦は間違ってなかった!!」ガッツポ
提督「耳かきといい、今回のカレーの進化といい……俺はちょっと比叡を侮り過ぎていたのかもな……」モグモグ
比叡「いやぁ~そんなぁ~」テレテレ
提督「モグモグ……しかし何だこの……トマトか? モグモグ……結構合うな……」
比叡「はい! トマトの酸味と旨みがカレーに合うと聞いたので入れてみました!」
提督「成る程……ん? トマト入りカレーって結構有名だろ? 今まで試してなかったのか」
比叡「実は実証実験型2号の時にも入れてはいたんです」
提督「あの強酸性カレーにか? 全く気付かなかった……他に何入れたんだ?」
比叡「とにかく酸っぱくしてみようという事で、レモン他柑橘類数種類の果汁に梅ペーストに、希硫酸を少々……」
提督「硫酸!?」
比叡「ほ、本当に少しですから!」
提督「そういう問題じゃないだろう!! 前言撤回! やっぱりお前はド阿保ゥだぁぁっ!」ガーッ!
比叡「ひぇぇぇぇぇっ!!?」
この後滅茶苦茶した。
おわり
耳かきSSと真面目に作れば料理上手な比叡のステマでした。
皆々様ありがとうございました。
因みに、硫酸は実際に小指の先にちょっと付けたぐらいのを舐めた事がありますが、
レモンの比じゃないぐらい酸っぱかったです。
以下、過去作のステマ
扶桑「耳かきを致しましょう」
扶桑「耳かきを致しましょう」 - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1424854470/)
足柄「耳かきしてあげる!」
足柄「耳かきしてあげる!」 - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1426496669/)
名取「み、耳かきを、します!」
名取「み、耳かきを、します!」 - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1428488576/)
天龍「フフフ……耳かきしてやろう」【ウエット型向け】
天龍「フフフ……耳かきしてやろう」【ウエット型向け】 - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1436952046/)
いけない、一作抜けてる
こちらも宜しくお願い致します
古鷹「耳かきしましょうか?」
古鷹「耳かきしましょうか?」 - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1431421173/)
このSSまとめへのコメント
なんか文章が似てたから、鳳翔さんの耳かきssの人と思ったら違ったっぽい?
微硫酸!!?