シンゲキロンパ CHAPTER 03 (901)
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シンゲキロンパ
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シンゲキロンパ CHAPTER 02
シンゲキロンパ CHAPTER 02 - SSまとめ速報
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シンゲキロンパ CHAPTER 02 - SSまとめ速報
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シンゲキロンパ CHAPTER 03
シンゲキロンパ CHAPTER 03 - SSまとめ速報
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???『おやおや! 何してんのッ!?』
???『うッ…!』
???『鍵の掛かってるドアを壊すのは禁止だよ?』
???『いや………はただ…』
???『まだドアを破った訳じゃない、そう言いたいんだね?
でもね…』
???『そんなん見ればわかるよ!
見てわかる事をいちいち説明しないでよ!』
???『ボクは注意しに来ただけ。
だって、今にもドアを破らん勢いだったからさ』
???『まさか…寝ぼけてたとか…?』
???『そ、そういう訳じゃ…』
???『…ていうか、……だよ! ……の!
……だって………だからさぁ…』
???『……事してないで………れ!!』
???『…どうかしたの?』
???『何を騒いでいるのかしら…?』
???『…………………ッ!?』
???『ぬぬぬ…オマエもか…!』
???『いいから2人とも……!
……だって……………で……てんのッ!!』
???『…そうね、わかったわ』
???『…………帰りましょうか…』
???『え…?』
???『…聞こえたでしょ? 帰るのよ』
???『なんだか…どういう事なのか…
さっぱりだけど…』
???『いいから帰るわよ』
???『わ、わかったよ…』
???『そうだ、そうだ! 帰れ、帰れ!!』
???「………マ?」
???「………………」
???「……クマ?」
???「………………」
???「おい…」
???「………………」
アルミン「モノクマ!!」
モノクマ「………………」
モノクマ「…あれ? 呼んだ?」
ジャン「『呼んだ?』じゃねえよ!
散々だんまり決め込みやがって!」
モノクマ「…え? だんまり?」
アニ「さっきから呼びかけてるのに
全然反応なかったんだよ」
アニ「…憶えてないの?」
モノクマ「あー… そうだったの?」
モノクマ「ごめんごめん。
ついウトウトしちゃってさぁ」
今日はここまで
モノクマ「…で? 何がどこまで行ったんだっけ?」
コニー「本当に憶えてないのかよ…」
ミカサ「むしろどこまで憶えてるの?」
モノクマ「えーっとねぇ…」
モノクマ「アルレルトくんがレイスさんの発言に
異を唱えたところだったかな?」
モノクマ「確かそう… レイスさんの
【どうして部屋にいなかったの?】っていう部分」
コニー「結構憶えてんじゃねーか…」
アニ「…ていうか、あんたその時点で
すでに応答なかったんだけど」
モノクマ「ちゃんと聞いてはいたよ?
応答しなかっただけで」
ジャン「無視してたのかよ! てめえ…!」
モノクマ「はいはい、で?
そこから何がどうなったわけ?」
今日はここまで
アルミン「…僕がヒストリアの発言に異を唱えたのは、
その言い方が引っかかったからなんだ」
アルミン「さっきモノクマが言った…
【どうして部屋にいなかったの?】っていう言い方がね」
モノクマ「なんで? その発言のどこがおかしかったの?」
アルミン「だって、その言い方ってまるで…
“その時間帯は部屋にいて当然”っていう感じじゃないか」
アルミン「部屋にいなきゃいけないルールなんてないのに…
ちょっと違和感を覚えたんだ」
モノクマ「あー、確かにそうかもね。それで?」
ヒストリア「それに対して私は反論したんだよ」
ヒストリア「『確かにそういうルールはないけど、
そういう指示はされたよね?』って」
モノクマ「指示? 誰から?」
ジャン「お前だよ!」
モノクマ「は?」
ジャン「お前がこれを俺たちに寄越したんだろうが!」
重 大 発 表 が あ り ま す !
今 日 の 午 後 は 各 自 、 個 室 で 待 機 す る よ う に !
モ ノ ク マ よ り
モノクマ「………………」
モノクマ「…えーっと、何これ?」
ジャン「とぼけんじゃねえ! お前がこの紙を
部屋のドアの下に挟んどいたんだろうが!」
モノクマ「いや、知りませんけど…」
コニー「ウソつけ! アルミンとアニ以外は
みんなこれを受け取ってんだぞ!」
モノクマ「だから知らないっての!
そんな怪盗みたいな予告状書いてないっての!」
今日はここまで
アルミン「…本当に知らないんだね?」
モノクマ「だからそう言ってるじゃん!」
モノクマ「大体さぁ… もしそんな重大発表をする気なら、
いつも通りモノクマアナウンスで集合かけてるって!」
ヒストリア「モノクマ…アナウンス…?」
モノクマ「あれ、言ってなかったっけ? ボクが施設内で
オマエラに呼びかけるときに使う“声”だよ」
モノクマ「ほら、毎朝起きるときに聞いてるでしょ?
あれだよ」
「キーン、コーン… カーン、コーン」
モノクマ『オマエラ、おはようございます!
朝です、7時になりました! 起床時間ですよ~!』
モノクマ『さぁて、今日も張り切っていきましょう~!』
ミカサ「…あの“声”の存在は知っていたけど、
そんな名称があるなんて初めて聞いた」
ヒストリア「私も…」
モノクマ「あれ、そうだっけ? …まあいいや」
モノクマ「とにかく、ボクがオマエラに用があるときは
そうやって集合をかけるし…」
モノクマ「そもそも、ボクはオマエラの個室に
自由に出入りできるんだから…」
モノクマ「ドアの下から紙を挟むとか、
そんなセコいやり方しないっての!」
今日はここまで
アルミン「…なるほどね、わかったよ」
ジャン「お、おい… まさか、こいつの言う事
信じるんじゃねえだろうな?」
アルミン「僕は信じるよ。そもそも、
今モノクマが言った事は僕も感じてたんだ」
アルミン「モノクマのやり方にしてはどうも不自然だってね」
モノクマ「それ見たことか!!」
コニー「け、けどよ…
モノクマじゃないのなら一体誰が…?」
アニ「そんなの考えるまでもないでしょ」
コニー「えっ…?」
アニ「今までの話の流れを振り返れば…
それをやったのが誰かなんて、一目瞭然だと思うけど」
アルミン(モノクマの名を騙ってメッセージを書いた人物…)
アルミン(それは…)
▶【睡眠ガスを発生させた人物】
【ユミル】
【モノクマ本人】
これだ!
今日はここまで
アルミン「睡眠ガスを発生させた人物…だよね」
ジャン「なっ…!?」
ミカサ「………………」
アルミン「あのガスはそもそも、個室にいる人間を
ターゲットにしているんだ」
アルミン「ガスを吸わせたい人間を
確実に寄宿舎の部屋に留まらせるために…」
アルミン「あんなメッセージを書いたんじゃないかな」
アニ「…そういう事だろうね」
アニ「メッセージを複数配ったのなら尚更…
そいつは配った相手全員に眠ってほしいと思ってたんだ」
アニ「だけど、相手が増えれば増えるほど、
全員が部屋に留まってくれる可能性は低くなる…」
アニ「ましてや、昼過ぎから夕方なんて、
みんなが各々自由に過ごす時間帯だからね…」
アニ「だから、そんな手段に打って出たんだと思うよ」
ジャン「な、なんてこった…!」
ジャン「それじゃあオレたちは、まんまと
そいつの思惑通りになっちまってたって事かよ!」
ミカサ「…一体誰が?」
コニー「誰ってそりゃあ… やっぱり犯人じゃねえのか?
ベルトルトとライナーを殺した…」
アルミン「犯人かどうかはまだわからないけど…」
アルミン「少なくとも、その人がこの事件の鍵を握っている事は
間違いないんじゃないかな」
ヒストリア「でも、わからないよね…」
ヒストリア「どうしてその人は、アルミンとアニに
メッセージを渡さなかったんだろう…」
アニ「さあね。それともう1つ…」
アニ「そいつは何のためにそんな事をしたのか…
その疑問を解く必要があるね」
アルミン「…そうだね。もう一度みんなで話し合ってみようか」
― 議 論 開 始 ―
【2本の黒槍】
【多数の剣】
【拘束トラップ】
▶【時限爆弾】
【溶鉱炉の安全対策】
アニ「そいつは何のためにあんたらを眠らせようとしたのか…」
アニ「改めて考えてみる必要があるね」
コニー「そいつがベルトルトとライナーを殺した犯人なら…」
コニー「【2人を殺すのを見られたくなかったから】じゃねえのか?」
ヒストリア「あるいは…」
ヒストリア「【殺すための下準備を見られたくなかったから】なのかな?」
ジャン「まだそいつが犯人だと決まった訳じゃないんだろ?」
ジャン「だったら、【今回の殺人とは関係ない】のかもしれないぜ?」
アルミン(そうか…! そう考えれば辻褄が合うかもしれない)
アルミン(捜査のときに見つけた手がかりを示せば…)
アニ「そいつは何のためにあんたらを眠らせようとしたのか…」
アニ「改めて考えてみる必要があるね」
コニー「そいつがベルトルトとライナーを殺した犯人なら…」
コニー「【2人を殺すのを見られたくなかったから】じゃねえのか?」
ヒストリア「あるいは…」
ヒストリア「【殺すための下準備を見られたくなかったから】
それに賛成だ!
アルミン「そうか…! そう考えれば…」
ヒストリア「えっ…?」
アルミン「殺すための下準備を見られたくなかったから…
そう考えれば辻褄が合うかもしれない」
ミカサ「殺すための下準備…?
何を準備していたというの?」
アルミン「時限爆弾だよ」
ジャン「はあ…?」
今日はここまで
開発品リスト
①立体起動装置 12台
②時限爆弾 3台
③特殊ガス発生装置 1台
④蓄音機 1台
⑤金属探知機 1台
⑥拘束トラップ 1台
アニ『リストにある開発品…
その何個かが見当たらないんだよ』
アルミン『…え?』
アニ『見当たらないのは、時限爆弾2つと…』
アニ『…特殊ガス発生装置』
アルミン「開発品リストにあった物品の1つだよ」
アルミン「実は、捜査で研究開発所を調べたとき、
特殊ガス発生装置の他にも無くなってるものがあったんだ」
アルミン「それが時限爆弾だよ。
3つあるうちの2つが無くなってた」
ヒストリア「2つって…」
ド ゴ ー ー ー ー ー ー ー ー ン ! !
ド ゴ ー ー ー ー ー ー ー ー ン ! !
ヒストリア「…!! 今朝あった爆発も2回…!?」
アルミン「そう… 無くなった爆弾の数と
今朝起きた爆発の回数が一致するんだ」
アルミン「おそらく、その人は【時限爆弾を仕掛けるためにみんなを眠らせて】
その推理、削ぎ落とす!
ミカサ「アルミン、それはおかしい…」
アルミン「えっ…」
ミカサ「今のアルミンの推理は納得できない」
ミカサ「もう一度よく考えてみてほしい」
― 反 論 シ ョ ー ダ ウ ン 開 始 ―
【モノクマファイル 3】
【2本の黒槍】
【多数の剣】
【拘束トラップ】
▶【特殊ガス発生装置】
【溶鉱炉の安全対策】
今日はここまで
ミカサ「時限爆弾を仕掛けるために/
/眠らせたというのなら…」
ミカサ「どうしてアルミンとアニには/
/予告状を送らなかったの?」
ミカサ「爆弾を仕掛けるのを/
/見られたくなかったのなら…」
ミカサ「その人は全ての人間を/
/眠らせておく必要があったはず」
ミカサ「そうしなかったのは/
/一体どうしてだと言うの?」
― 発 展 ―
アルミン「僕とアニを眠らせようとしなかった理由はわからないけど…」
アルミン「少なくとも、時限爆弾を仕掛けることが目的だったのは確かだと思うんだ」
ミカサ「なぜそこまで/
/言い切れるの?」
ミカサ「そもそも、時限爆弾を仕掛けるのを/
/見られたくなかったというのなら…」
ミカサ「【こっそり夜中にでもやればいい】」
ミカサ「【わざわざ昼過ぎから夕方の時間帯に眠らせる意味がない】」
ミカサ「そんな事をすれば、かえって不自然で/
/怪しまれるだけ…」
アルミン(…いや、あの時間帯にもちゃんとした意味があったんだ)
アルミン(例の手掛かりを示せばわかってくれるはず…)
ミカサ「なぜそこまで/
/言い切れるの?」
ミカサ「そもそも、時限爆弾を仕掛けるのを/
/見られたくなかったというのなら…」
ミカサ「【こっそり夜中にでもやればいい】」
ミカサ「【わざわざ昼過ぎから夕方の時間帯に/
/眠らせる意味がない】
その言葉、斬らせてもらう!
アルミン「いや、あの時間帯にみんなを眠らせたのにも
ちゃんとした意味があったんだよ」
ミカサ「…何の意味があったと言うの?」
ミカサ「仕掛けるのを見られたくなかったというのなら、
こっそり夜中にでもやれば…」
アルミン「そう、その人はこっそり夜中に仕掛けたかったんだ。
だからこそ、あの時間帯に眠らせる必要があったんだよ」
コニー「…?? ど、どういう事だ?」
今日はここまで
アルミン「特殊ガス発生装置の説明文を思い出して」
アルミン「あそこの睡眠カプセルの項目には、
こんな事が書かれていたんだ」
・ 睡眠カプセル(水色)
深い眠りへと誘う睡眠ガスを発生させます。
効果時間は最低18時間です。
アニ「…効果時間は最低18時間」
アルミン「そう、発生した睡眠ガスには
最低18時間眠らせるっていう効果があったんだよ」
コニー「18時間ってどれくらいだ?
そもそも1日が… えーっと…」
アニ「1日は24時間。つまり、1日の4分の3の時間を
眠ってしまうことになる…」
コニー「4分の3… 4分の3?」
ミカサ「…それがどうしたというの。さっきの話とどう繋がって…」
ヒストリア「…あっ、そっか。もしかして…」
ヒストリア「私たちが朝起きるようにしたかったって事…?」
今日はここまで
アルミン「その通りだよ、ヒストリア」
アルミン「その人は、みんながいつも起きる時間から逆算して
あの時間帯にガスを発生させたんだ」
アルミン「そうすれば、みんなを夜中に確実に眠らせた上で
いつも通りの時間に起こすこともできる…」
アルミン「それこそが… その人の狙いだったんじゃないかな」
ジャン「なるほどな… 気に入らねえ話だが、
確かに筋は通ってやがる」
ミカサ「………………」
コニー「…で、そいつはなんでそこまでして
俺たちを夜中に眠らせたかったんだ?」
アニ「…あんた話聞いてたの?
殺すための下準備をするためって言ってたでしょ」
ヒストリア「殺すための下準備… 時限爆弾の事だよね?」
今日はここまで
アルミン『殺すための下準備を見られたくなかったから…
そう考えれば辻褄が合うかもしれない』
ミカサ『殺すための下準備…?
何を準備していたというの?』
アルミン『時限爆弾だよ』
ジャン『はあ…?』
ヒストリア「研究開発所から無くなっていた時限爆弾が2つ、
そして、今朝起きた爆発も2回…」
ヒストリア「つまり、その人は私たちを眠らせている間に、
殺すための下準備として2つの時限爆弾を仕掛けた」
ヒストリア「…話をまとめると、そういう事だよね?」
アルミン「うん、そうなるね」
コニー「…?? なんで爆弾が殺すための下準備になるんだ?」
コニー「今回ベルトルトは槍に貫かれて殺されたんだろ?
爆弾はまるっきり関係ないじゃねーか」
アルミン「…確かに、直接の死因とは関係ないかもしれない」
アルミン「だけど、思い出して。1回目の爆発は寄宿舎前で起きて、
僕たちの何人かはその音で現場に駆け付けた」
アルミン「そして、研究開発所前で起きた2回目の爆発…
その後を追うようにして見つけたベルトルトの死体…」
アルミン「…とても偶然とは思えないよ。今回の爆発には、
何かしらの意図があったようにしか思えないんだ」
ミカサ「…確かに、それは同意する。
あの爆発が今回の事件と全くの無関係とは思えない」
コニー「何かしらの意図って何だ?
ただ俺たちに死体を見つけさせたかったんじゃねーのか?」
ヒストリア「うーん、死体を見つけさせるだけなら
他にいくらでも方法があると思うけど…」
ジャン「あの爆発にはそれ相応の深い事情があったって事か…?
全く見当がつかねえが…」
アニ「…それなら、次はその爆発について話し合ってみようか」
― 議 論 開 始 ―
【モノクマファイル 3】
【足跡】
▶【巨大な爆発痕】
【炉の周りの小さな痕】
【剣の切れ味】
今日はここまで
アニ「あの2つの爆発は何だったのか…」
アニ「ここで意見を出し合おうか」
コニー「んー、やっぱり…」
コニー「【俺たちに死体を見つけさせたかっただけ】だと思うんだが…」
ジャン「いや、心当たりがある…」
ジャン「今回はベルトルトだけじゃなくて【ライナーも死んじまってる】んだろ?」
ジャン「だったら、【ライナーを殺すためだった】とは考えられないか?」
ミカサ「確かに、ライナーの死体はまだ見つかっていない…」
ミカサ「ジャンの推理はあり得るかもしれない」
アルミン(あの人の発言… 本当にそうだろうか)
アルミン(僕が捜査した内容と明らかに矛盾してるけど…)
アニ「あの2つの爆発は何だったのか…」
アニ「ここで意見を出し合おうか」
コニー「んー、やっぱり…」
コニー「【俺たちに死体を見つけさせたかっただけ】だと思うんだが…」
ジャン「いや、心当たりがある…」
ジャン「今回はベルトルトだけじゃなくて【ライナーも死んじまってる】んだろ?」
ジャン「だったら、【ライナーを殺すためだった】
それは違うよ!
今日はここまで
アルミン「ちょっと待って。あの爆発で
ライナーが死んだとは考えられないよ」
ジャン「なんでそう言い切れるんだ?」
ジャン「あいつの死体が見つかってないのは、
爆発で身体が四散したからだと考えれば…」
アルミン「もしそうなら、あの爆発痕の周囲には
肉片や血痕が残されているはずだよね?」
アルミン「僕はあの爆発痕を2つとも調べたけど…
そんなものは全然見当たらなかったよ」
ジャン「は、犯人が片付けたんじゃねえのか?
証拠隠滅のために…」
アニ「あの爆発があった後、私たちはすぐにベルトルトの死体を見つけて
捜査を始めたんだ。そんな時間はないよ」
ジャン「………………」
アニ「そもそも、時限爆弾で誰かを殺そうとしてたのなら
1つあれば済む話さ」
アニ「わざわざ2つも爆発させる意味がわからない…
そういう観点から見ても、あれが殺人のために使われたとは考えにくいね」
今日はここまで
アルミン「それだけじゃない… あの爆弾が殺人目的で
使われなかった根拠は他にもあるんだ」
コニー「ま、まだあんのか…?」
ジャン「…聞かせてもらおうじゃねえか」
アルミン(時限爆弾が殺人目的で使われなかった根拠…)
アルミン(それは…)
【足跡】
▶【開発品リスト】
【九つの巨人】
これだ!
アルミン「開発品リストだよ」
ミカサ「………………」
アルミン「あそこには、研究開発所にあった開発品1つ1つの
詳しい説明が記載されているんだけど…」
アルミン「時限爆弾の項目には、こんな内容が書かれていたんだ」
②時限爆弾
<概要>
指定した時間に爆発させることができる爆弾です。
AとBの2つのモードがありますので、状況に応じて使い分けて下さい。
<使い方>
(1)モードを選択します。
(2)時間を設定します。
(3)爆発させたい場所に仕掛けます。
<モード選択>
・ Aモード
爆発時に破片を飛ばします。
殺傷能力は高いですが、爆発範囲は狭くなります。
・ Bモード
爆発時に破片をミクロの状態まで細分化します。
殺傷能力は低いですが、爆発範囲は広くなります。
今日はここまで
コニー「…モード?」
アルミン「そう、この時限爆弾…
実は2つの性能のうちどちらか好きな方を選べるんだ」
ヒストリア「AモードとBモード…
確かに2つとも特徴が違うようだけど…」
ミカサ「…それで、今回使われたのはどちらのモードだと言うの?」
アルミン(今回使われたのは…)
【Aモード】
▶【Bモード】
【どちらも使われていない】
これだ!
アルミン「Bモードだよ」
ヒストリア「Bモードっていうと…」
・ Bモード
爆発時に破片をミクロの状態まで細分化します。
殺傷能力は低いですが、爆発範囲は広くなります。
ヒストリア「あっ… 殺傷能力が低い…?」
アルミン「そうなんだ。Aモードよりも殺傷能力は劣るのに、
仕掛けた人はわざわざBモードを選んでる」
アルミン「つまり… 時限爆弾で誰かを殺す意思はなかったって事だよ」
ミカサ「…ちょっと待って。どうして使われたのが
Bモードだとわかるの?」
ミカサ「それに、どうしてわざわざ殺傷能力の低い性能を選んだの?
何のために爆発させたの?」
ジャン「…確かにな。使われたのが本当にBモードだとしても、
理由をはっきりさせないと訳のわからない事になるぞ」
アルミン「………………」
アルミン(なぜ時限爆弾を爆発させたのか)
アルミン(誰かを殺す気がなかったのなら、その目的は何か)
アルミン(一度整理してみよう。ここまで得た情報で、
ある程度は見えてくるはずだ…)
― ロ ジ カ ル ダ イ ブ 開 始 ―
QUESTION 01
――――――――――――――――――――――――――――――――――――
時限爆弾で使用されたモードは?
――――――――――――――――――――――――――――――――――――
【Aモード】
▶【Bモード】
QUESTION 02
――――――――――――――――――――――――――――――――――――
その根拠は?
――――――――――――――――――――――――――――――――――――
【爆発痕に破片が残っていた】
▶【爆発痕に破片が残っていなかった】
QUESTION 03
――――――――――――――――――――――――――――――――――――
時限爆弾を爆発させた目的は?
――――――――――――――――――――――――――――――――――――
【誰かを殺すこと】
▶【爆発痕を残すこと】
QUESTION 04
――――――――――――――――――――――――――――――――――――
その目的のために利用したのは?
――――――――――――――――――――――――――――――――――――
▶【昨夜の大雨】
【溶鉱炉の熱】
DIVE RESULT
<1> 時限爆弾で使用されたモードは? 【Bモード】
<2> その根拠は? 【爆発痕に破片が残っていなかった】
<3> 時限爆弾を爆発させた目的は? 【爆発痕を残すこと】
<4> その目的のために利用したのは? 【昨夜の大雨】
推理は繋がった!
今日はここまで
アルミン「まず、Bモードが使われた根拠だけど…
それは爆発現場にあったんだ」
コニー「何か見つかったのか?」
アルミン「逆だよ。何も見つからなかったんだ。
肉片や血痕はおろか… 爆弾の破片すらね」
ヒストリア「破片も…?」
アルミン「通常、爆弾っていうのは自身の破片を周囲に飛ばすことで
標的を殺傷するものなんだ」
アルミン「だから、ああいう爆発現場には少なからず
飛び散った破片が残るはずなんだけど…」
アルミン「…それが1つも見当たらなかった」
ミカサ「破片が1つもなかった…?」
ヒストリア「あっ、ちょっと待って…!」
・ Aモード
爆発時に破片を飛ばします。
殺傷能力は高いですが、爆発範囲は狭くなります。
・ Bモード
爆発時に破片をミクロの状態まで細分化します。
殺傷能力は低いですが、爆発範囲は広くなります。
ヒストリア「そっか…! もしAモードを選んでいたのなら、
説明文の通り破片が周囲に飛び散るはずだよね?」
アルミン「そう… それに対してBモードは
破片を細分化して殺傷能力を落としてるんだ」
アルミン「要するに、破片が細かくなりすぎて
現場には残らなかった… そういう事なんじゃないかな」
アニ「そうだね。さっきも言った通り、爆発現場を片付ける
時間はなかっただろうから…」
アニ「破片が全くなかったのなら、Bモードが使われたのは明白だろうね」
ジャン「なるほどな… それならAモードではなくBモードが
使われた根拠としては納得できる」
ミカサ「………………」
ヒストリア「…でも、それならBモードを選んだ理由はどう説明するの?」
ヒストリア「殺人目的で使われなかったのなら、一体何のために…?」
アルミン「実は、その点に関しては完全にはわかってないんだけど…
ある程度予想はできると思うよ」
ジャン「なに…?」
アルミン「理詰めで考えればいいんだ。例えばそう、
Aモードには無くてBモードにあるものは何か…」
・ Aモード
爆発時に破片を飛ばします。
殺傷能力は高いですが、爆発範囲は狭くなります。
・ Bモード
爆発時に破片をミクロの状態まで細分化します。
殺傷能力は低いですが、爆発範囲は広くなります。
ミカサ「…爆発範囲?」
アルミン「その通りだよ。Bモードは殺傷能力が落ちる代わりに、
爆発範囲が広くなるんだ」
アルミン「つまり、Bモードが選ばれた理由は…
爆発範囲を広くしたかったからじゃないかな?」
コニー「はあ…? 何のためにだよ?」
アルミン「まだはっきりとは言えないけど…
こういうのはどう?」
アルミン「出来るだけ大きな爆発痕を残したかった…とか」
今日はここまで
ヒストリア「爆発痕を… 残したかった…?」
コニー「…??」
ジャン「い、いやいや… それこそ何のためにだよ?」
アルミン「それは… まだわからない」
ジャン「はあ? お前何言って…」
アルミン「でも、そうとしか考えられないんだ。
それを裏付ける根拠だってある」
ミカサ「…根拠?」
アルミン「雨だよ」
コニー「雨って… 昨日の大雨か?」
アルミン「うん。あの雨のせいで、爆発が起きたときの地面は
かなりぬかるんだ状態だったよね?」
アルミン⦅僕は自分の足元を見た⦆
アルミン⦅雨は一晩のうちに上がっていたようだが、
水を吸った地面は足跡をくっきり残すほどぬかるんでいる⦆
アルミン「地面があの状態だったおかげで、爆発痕はより大きく残った…」
アルミン「晴れた状態ならあんなに大きく残らないし、
大雨が降っている最中なら爆発痕が乱されてしまう」
アルミン「爆発痕を大きく残すなら、雨が降り終わった後が
一番最適なんだよ」
アルミン「そんな最適のタイミングで爆発させたってことは…」
アルミン「狙いはやっぱり…
大きな爆発痕を残すことだったんじゃないかと思うんだ」
今日はここまで
ミカサ「ちょっと待って。雨が降り終わったタイミングを狙って
爆発させたというけれど…」
ミカサ「雨がいつ降り止むかなんて予測できないはず。
それならその推理は…」
アニ「いや、それができるのさ。雨が降る時間帯を正確に知ることがね」
ミカサ「…どうやって?」
アニ「アルミン、教えてあげえるといい」
アルミン(雨が降る時間帯を正確に知る方法…)
アルミン(それは…)
【研究開発所】
【溶鉱炉】
▶【観測所】
これだ!
今日はここまで
アルミン「観測所だよ」
ミカサ「…観測所?」
アルミン「ほら、ユミルの事件の後に開放された建物の1つだよ」
アルミン「その中にある黒板には、1週間分の天気が
書き出されているんだ」
アルミン『天気の予想って…どういう事?』
アニ『そのままの意味さ。大きな黒板に色々書かれていてね。
この日は晴れ、この日は雨って感じで…』
アニ『ちなみに、明日は【晴れ のち 曇り】だったよ』
ミカサ「…へえ、知らなかった。そんな建物があったなんて」
アルミン「えっ…?」
ヒストリア「あっ、そっか… あの時、ミカサはいなかったんだっけ?」
ライナー『…仕方がない、始めるか』
ヒストリア『え? ミカサはいいの?』
ライナー『このまま待っていても埒が明かないだろう。
こっちも暇じゃないんだからな』
アニ『………………』
ライナー『あいつには後で俺から言っておく。
じゃあ、それぞれ報告していってくれ』
今日はここまで
コニー「ライナーのやつ… 後で言っておくとか言っといて
伝えてなかったのかよ」
ヒストリア「仕方ないよ。ライナーがミカサに再会したのは
あの話があったときだから…」
モノクマ『ライナーとベルトルト…!?』
モノクマ『【裏切り者】は1人ではなかったという事ですか!?』
モノクマ『はい。誠に遺憾ながら、我々訓練兵団は
複数名の【裏切り者】の侵入を許してしまっておりました』
モノクマ『そして、何を隠そう、あの2人こそ…』
モノクマ『超大型巨人と鎧の巨人の正体なのです』
今日はここまで
ジャン「…その話はいい。あいつはもういないんだからな」
アニ「………………」
ジャン「それで? 観測所には1週間分の天気が
書き出されてるって言ったな」
ジャン「…ってことは、見たんだろ?
1週間分の天気がどうなっていたのかを」
アルミン「うん。これだよ」
DAY 01 晴れ
DAY 02 晴れ のち 曇り
DAY 03 曇り
DAY 04 晴れ
DAY 05 晴れ
DAY 06 曇り
DAY 07 曇り のち 晴れ
DAY 08 曇り
DAY 09 晴れ
DAY 10 晴れ
DAY 11 晴れ のち 曇り
DAY 12 曇り のち 大雨 時々 雷
アルミン「正確に言えば、黒板に書かれていたのは“予報”だから、
過去の天気は全部消されてしまっていたんだけど…」
アルミン「それとは別に、過去の天気を記録した紙束があったんだ。
今見せてるのがそれだよ」
ヒストリア「…確かに、12日目に『大雨』って書いてあるね」
ヒストリア「つまり、爆弾を仕掛けた人は12日目以前に
大雨が降ることを観測所で確認していた…で合ってるのかな?」
アルミン「うん、まあ… そうなんだけど…」
コニー「…ん? どうした?」
アルミン「あ、いや… 何でもないよ」
アニ「………………」
アルミン「話をまとめてみよう」
アルミン「爆弾を仕掛けた人… ここではもう犯人と呼んでしまうね」
アルミン「犯人はまず、観測所で大雨が降る日付を確認した」
アルミン「そして、大雨が降った翌朝… 雨が止んで地面が
一番ぬかるんでいるときに爆発するように時限爆弾を仕掛けた」
アルミン「その目的はおそらく、地面に巨大な爆発痕を残すことだった…」
コニー「うーん… 聞けば聞くほど訳がわかんねえぞ」
コニー「犯人はなんでそんな手間をかけてまで
爆発痕を残そうとしたんだ?」
アルミン「さっきも言ったけど… それはまだわからない」
コニー「それがわからないなら話が進まないんじゃねーか…?」
アルミン「………………」
ジャン「クソッ、どうなってやがる…」
ジャン「こんだけ議論してるのに、全く前に進んでる感じがしねえ…」
ヒストリア「何だか、どんどん謎が増えていくだけのような
感じがするね…」
モノクマ「うぷぷ… だから言ったでしょ?
今回は『ユミルさんの事件よりも難解』だって…」
ミカサ「…確かに、あれだけ複雑だったユミルの事件でも
ここまで議論すれば怪しい人間は出ていた」
ミカサ「でも今回は… 誰が怪しいのかすらもわからない」
アニ「…確かに、このままじゃ何も進まないね」
アルミン「………………」
アニ「だったらここで… 怪しい人間を提示しようか」
ヒストリア「えっ…」
コニー「あ、怪しい人間…? そんなのいるのか?」
アニ「いるよ。1人、気になってる奴がね」
アルミン(アニが疑ってる人物って…)
アニ「…思い当たる節があるって顔だね、アルミン」
アルミン「えっ…」
アニ「せっかくだから当ててみてよ」
アニ「私が誰を疑っているのか…」
― 人 物 を 指 名 し ろ ―
今日はここまで
【ミカサ・アッカーマン】
【ライナー・ブラウン】
【ベルトルト・フーバー】
【アニ・レオンハート】
【エレン・イェーガー】
▶【ジャン・キルシュタイン】
【コニー・スプリンガー】
【サシャ・ブラウス】
【クリスタ・レンズ】
【アルミン・アルレルト】
【ミーナ・カロライナ】
【ユミル】
これが僕の答えだ!
アルミン「アニが疑ってるのって… ジャンだよね?」
ジャン「なっ…!?」
アニ「…さすがアルミン、よくわかったね」
コニー「…!?」
ミカサ「…ジャンが?」
ジャン「きゅ… 急に何を言い出しやがる!!
当てつけもいい加減にしろ!」
アニ「当てつけ、ねえ…」
アニ「ジャン… そろそろ白状したらどうなの?」
― 議 論 開 始 ―
【モノクマファイル 3】
【2本の黒槍】
【足跡】
【剣の切れ味】
【九つの巨人】 ⇒ ▶【九つの巨人の他に見たもの】
アニ「率直に聞くけど…」
アニ「ジャン… あんた【何か隠してる】でしょ?」
ジャン「…ッ!!」
アニ「ずっと気になってたんだよ」
アニ「捜査でも、この裁判でも…」
アニ「【周りの人間に探りを入れてる】のような態度や視線が…」
ヒストリア「さ、探りを入れてる…?」
コニー「…? こいつの様子がおかしかったのは【例の本を見つけたから】だろ?」
コニー「それとも、まだ何かあるっていうのか?」
ジャン「し、知らねえよ!」
ジャン「【俺は何も隠してねえ!】」
アルミン(確かに、ジャンの様子はどこか変だった)
アルミン(コニーが言うように、その原因が
あの本だけじゃなかったとしたら…)
アルミン(…ここは少しカマをかけてみよう)
アニ「率直に聞くけど…」
アニ「ジャン… あんた【何か隠してる】でしょ?」
ジャン「…ッ!!」
アニ「ずっと気になってたんだよ」
アニ「捜査でも、この裁判でも…」
アニ「【周りの人間に探りを入れてる】のような態度や視線が…」
ヒストリア「さ、探りを入れてる…?」
コニー「…? こいつの様子がおかしかったのは【例の本を見つけたから】だろ?」
コニー「それとも、まだ何かあるっていうのか?」
ジャン「し、知らねえよ!」
ジャン「【俺は何も隠してねえ!】
この嘘を真実に!
今日はここまで
アルミン「ジャン… もうやめようよ」
ジャン「ああ!?」
アルミン「アニの言う通り… ジャンには隠してる事があるよね?」
ジャン「て、てめえまで何言ってやがる!
俺が何を隠してるっていうんだよ!」
アルミン「………………」
ジャン「な、何だよ…!?」
アルミン「ジャン、僕見たんだ」
アルミン『ジャンはここで何をやってたの?』
ジャン『な、何って… 本だよ、本!
ここにはそれ以外ないだろ!』
アルミン『本…』
アルミン「書庫で君に声をかけたとき…
慌てて何かを隠してたよね?」
ジャン「…!!」
アルミン(…嘘だ)
アルミン(僕が見たのは本を読んでいたジャンの姿だけ…
ジャンが何かを隠していたところは見ていない)
アルミン「………………」
アルミン(だけど、ジャンの様子がおかしくなったのは
施設内を探索している時からだった…)
アルミン(僕の記憶の限りでは… あの時、
ジャンは書庫以外には行っていなかったはずだ)
ジャン『えっと、オレが調べてきた場所についてだったな…』
ジャン『オレは…書庫に行ってきた』
アルミン(だから、ジャンがおかしくなった理由が
あの本以外にもあるとしたら…)
アルミン(それはやっぱり、あの書庫にあるはず…!)
ジャン「…っ!!」
アルミン(さあ、どう出る!?)
ジャン「…………くそっ」
ジャン「そこまで見られてたのなら… もう隠し通せねえな」
アルミン「…!」
コニー「なっ…!? じゃ、じゃあ、まさかお前が…!?」
ジャン「勘違いすんな。オレは犯人じゃねえし、隠してたのも
今回の事件とは関係のない事だ」
アニ「…関係のない事?」
ジャン「そうさ。関係はないが… 極めて重要な事だ」
今日はここまで
コニー「な、何だよ、その重要な事って…」
ジャン「…いいぜ。そこまで気になるなら教えてやる」
ミカサ「………………」
ジャン「オレが捜査のときに見つけたのは例の本だけじゃねえ…」
ジャン「そこに挟んであったんだよ。この紙が…」
訓 練 兵 の 中 に 6 体 の 巨 人 が い る
コニー「…!?」
ヒストリア「な、何… これ…?」
ジャン「見ての通りだ」
ジャン「この紙にはこう書かれてある。
『訓練兵の中に6体の巨人がいる』ってな」
ジャン「挟んであったのはそう… ちょうどこのページだ」
① 始祖の巨人
全ての巨人の頂点に立つ存在。
魂を分けた後も、その大元は代々王家に継承されていた。
エルディア帝国壊滅後は、フリッツ王と共にパラディ島へと逃れている。
② 女型の巨人
汎用性に優れた巨人。
高い機動力と持続力に加え、硬質化能力も併せ持つ。
範囲は狭いが『無垢の巨人』を呼び寄せることができる。
③ 鎧の巨人
硬質化に特化した巨人。
全身を覆う皮膚は常に硬質化しており、盾としての機能を果たす。
その硬さを利用した突進攻撃も破壊力に優れる。
④ 顎の巨人
強襲型の巨人。
小ぶりな分、『九つの巨人』の中でも素早さはトップクラスである。
強力な爪と顎で大抵の物は砕くことができる。
⑤ 獣の巨人
濃い体毛に覆われた大型の巨人。
これといった特性のない巨人だったが、ジーク・イェーガーの継承によって
驚異的な能力を開花させる。詳細は次章にて述べる。
⑥ 車力の巨人
四足歩行型の巨人。
並外れた持続力をもち、長期間の巨人化を可能とする。
用途に合わせた兵装が可能で、軍事作戦の幅を大きく広げることができる。
⑦ 超大型巨人
60m級の超大型巨人。
その巨体ゆえに動きは遅いが、桁違いの破壊力を有する。
全身から発する高温の蒸気は攻撃、牽制、目眩ましなど汎用性が高い。
⑧ 戦槌の巨人
マーレの英雄へーロスと共にエルディア帝国を滅ぼしたとされる
タイバー家の有する巨人。その詳細は謎に包まれている。
今日はここまで
ジャン「つまり… これを書いたヤツはこう言いたいんだろうよ」
ジャン「『ライナーやベルトルトのような【裏切り者】が
まだオレ達の中に紛れ込んでる』ってなぁ!!」
ヒストリア「…!!」
ジャン「鎧と超大型があの2人だったとして…
同じような人間があと4人もいる事になるんだよ!」
ジャン「もちろん、今までの事件で死んだ
エレン、ミーナ、ユミル、サシャ全員がそうだった可能性もあるが…」
ジャン「まだこの中にいる可能性の方が圧倒的に高い…!」
ミカサ「………………」
ジャン「オレはこの紙の存在を隠して
本の内容だけをお前らに明かした」
ジャン「お前らの反応を見て…
誰が残りの【裏切り者】かを見極めるために…!!」
コニー「お、おい! いくら何でも飛躍しすぎだろ!」
ヒストリア「そ、そうだよ! ライナーやベルトルトの事だって
まだ決まったわけじゃ…」
ジャン「本当にそう思ってんのか!?」
ヒストリア「…っ!?」
ジャン「あそこに書かれているのは全部デタラメだって…
本心からそう思ってんのかよ!?」
ジャン「突拍子もねえ話だってことはわかってんだ! でもよ…」
ジャン『何故かはわからねえ… でもよ…』
ジャン『オレの中の“何か”がずっと訴えかけてくるんだよ!
あいつらはオレたちの…人類の敵だってな!』
ジャン「前に言った通り… オレの中の“何か”が
それを真実だと言って疑わねえんだよ!」
ジャン「お前らだってそうなんじゃねえのか!?
こんな風に感じてるのはオレだけじゃねえだろ!?」
ヒストリア「そ、それは…」
コニー「…っ!!」
アニ「…ジャン、あんたやっぱりどうかしてるよ」
ジャン「ああ!?」
アルミン「ちょ、ちょっと待ってよ! みんな落ち着い…」
アルミン「うぐっ…!?」
ライナー『おい… 何をする気だ!?』
ベルトルト『やめろ!!』
???『ごめん… でも…』
???『もう耐えられない…』
アルミン(…っ!?)
ジャン「いい加減に認めたらどうだ!?
自分の心に素直になれよ!」
ジャン「それともとぼけてるだけか!?
【裏切り者】の残党がよォ!!」
コニー「ち、違う! 俺は【裏切り者】なんかじゃねえ!」
ヒストリア「私だって違うよ! もういい加減にして!」
アルミン(まずい… これじゃ議論どころじゃない)
アルミン(先にこの場を何とかしないと…)
― パ ニ ッ ク 議 論 開 始 ―
【モノクマファイル 3】
【足跡】
【溶鉱炉の安全対策】
【剣の切れ味】
▶【九つの巨人】
今日はここまで
アニ「…ジャン、あんたは一体何がしたいの?」
コニー「俺は何も知らねえんだ! 信じてくれ!」
アニ「今はベルトルトを殺した奴を探してるんだよ」
ミカサ「…誰もコニーの事は疑ってない」
アニ「【裏切り者】の正体はここでは重要じゃない」
ヒストリア「いや、でも言われてみれば…」
ジャン「そんなのわかんねえだろうが!!」
ヒストリア「心当たりがないわけじゃ…ないかも」
ジャン「ベルトルトの死体には槍が刺さってただろ!?」
コニー「はあ!? お前まで俺を疑ってんのか!?」
ジャン「アルミンが持ち上げてたが… 相当な重さだったらしいじゃねえか!」
ヒストリア「あっ… い、いや、そうじゃなくて…」
ジャン「あれは人間が扱える凶器じゃねえ…」
ミカサ「そうじゃなくて… 何?」
ジャン「どう考えても【巨人の力を持った人間の犯行】だろうが!」
ヒストリア「えっと… ううん、何でもない」
アニ「…話にならない。滅茶苦茶だよ」
アルミン(…まずはこの場を正常に戻そう)
アルミン(集中して聞けば、突破口が見つかるはず…)
アニ「…ジャン、あんたは一体何がしたいの?」
コニー「俺は何も知らねえんだ! 信じてくれ!」
アニ「今はベルトルトを殺した奴を探してるんだよ」
ミカサ「…誰もコニーの事は疑ってない」
アニ「【裏切り者】の正体はここでは重要じゃない」
ヒストリア「いや、でも言われてみれば…」
ジャン「そんなのわかんねえだろうが!!」
ヒストリア「心当たりがないわけじゃ…ないかも」
ジャン「ベルトルトの死体には槍が刺さってただろ!?」
コニー「はあ!? お前まで俺を疑ってんのか!?」
ジャン「アルミンが持ち上げてたが… 相当な重さだったらしいじゃねえか!」
ヒストリア「あっ… い、いや、そうじゃなくて…」
ジャン「あれは人間が扱える凶器じゃねえ…」
ミカサ「そうじゃなくて… 何?」
ジャン「どう考えても【巨人の力を持った人間の犯行】
聞こえた!
アルミン「ちょっと待って! それは考えられないよ!」
ジャン「ああ…!?」
アルミン「確かに、ベルトルトに刺さっていた槍は
尋常な重さじゃなかった…」
アルミン『な、何だこれ… 重っ…!』
アルミン⦅精一杯力を入れても、その槍はびくともしなかった⦆
アルミン⦅床に突き刺さってはいるようだけど、それにしても…⦆
アルミン「だけど、それが巨人の力を持った人間の犯行だなんて…
推理として成り立ってない!」
ジャン「何だと…!?」
アルミン「例の本によると、巨人の力を持つ人間が可能なのは
巨人化と欠損部位の再生だけだ!」
アルミン「あの槍を扱えるような怪力が出せるなんて
どこにも書いてない!」
アルミン「本をじっくり読んだ君なら知ってるはずだろっ!」
ジャン「…っ」
アルミン「ジャン… 頼むから冷静になってよ」
アルミン「アニの言う通り、今僕たちが見つけなきゃいけないのは
【裏切り者】じゃなくてクロなんだ」
アルミン「僕たちの仲間を殺した… 殺人犯なんだよ」
ミカサ「………………」
アルミン「今ここで正解を外せば、何もかも終わりなんだ」
アルミン「だから…」
アルミン「………………」
アルミン(…待てよ?)
コニー「…?」
ヒストリア「…アルミン?」
アルミン⦅槍は宙に浮いた頭部と胴体を貫いている…⦆
アルミン⦅特に頭部は、その形を綺麗に保ったまま貫かれている⦆
アルミン⦅かなりの強い勢いじゃないと、こうはならないはずだ⦆
アルミン(あの槍は重いだけじゃない…
相当な勢いで遺体を貫いていた)
アルミン(大重量で高スピード…
とても現実的とは思えない)
アルミン(とても現実的とは…)
アルミン「………………」
アニ「アルミン?」
アルミン(まさか…)
アルミン(まさか、あの槍って…)
― 閃 き ア ナ グ ラ ム 開 始 ―
の り ル グ ニ や グ ン
グ り グ ン の り や ニ
グ ン グ ル ニ り や の
グ ン グ ニ ル の や り
そうか わかったぞ!
アルミン「そうか! グングニルの槍だ!!」
コニー「…は?」
アルミン「ベルトルト殺しの凶器だよ!
あれはグングニルの槍だったんだ!」
ジャン「い、いきなり何だよ… グングニルの槍…?」
ヒストリア「ベルトルト殺しの凶器って…
ベルトルトの死体に刺さってた2本の槍のこと?」
アルミン⦅最初に目がいったのは、頭部と胴体を貫く黒い槍だった⦆
アルミン⦅宙に浮いた体の急所を貫く2本の凶器…⦆
アルミン「そう… ベルトルトはあの2本の槍で殺されたんだ」
アルミン「モノクマファイルには書いてなかったけど、それは明白だった。
あの槍こそが… グングニルの槍だったんだよ」
ミカサ「さっきから言ってるその… グングニルの槍というのは何?
何か心当たりがあるの?」
コニー「あれ? ていうかその名前、どっかで聞いたような気が…」
アルミン「心当たりはあるよ。僕たち全員にね」
ミカサ「…え?」
アルミン「それについて説明する前に…
ここで犯人を名指ししようと思う」
アニ「…!!」
ジャン「なっ… は、犯人って…!?」
アルミン「ベルトルトを殺した犯人だよ。
やっとわかったんだ。その正体が」
アルミン(そう… あの凶器の正体が判明したことで、
自動的に犯人も明らかになる)
アルミン(思いもよらない犯人が…)
アルミン「………………」
アルミン(この事件の大きな謎の1つ… ベルトルト殺しの犯人)
アルミン(その正体は…)
― 人 物 を 指 名 し ろ ―
今日はここまで
【ミカサ・アッカーマン】
【ライナー・ブラウン】
【ベルトルト・フーバー】
【アニ・レオンハート】
【エレン・イェーガー】
【ジャン・キルシュタイン】
【コニー・スプリンガー】
【サシャ・ブラウス】
【クリスタ・レンズ】
【アルミン・アルレルト】
【ミーナ・カロライナ】
【ユミル】
▶【モノクマ】
これが僕の答えだ!
アルミン「モノクマ… お前だろ」
モノクマ「………………」
モノクマ「…は?」
アルミン「ベルトルトを串刺しにして殺したのは…
お前なんだろ?」
ジャン「なっ…!?」
ミカサ「…!!」
モノクマ「…えーっと、それ、本気で言ってるの?」
アルミン「本気だよ。ベルトルトをあんな風に殺せるのは
お前以外に考えられない」
コニー「…!?」
ヒストリア「い、いや… ちょっと待って!」
ヒストリア「そんな事ってあり得るの!?
モノクマがコロシアイに参加するなんて…」
アルミン「…その件に関しては、後で説明するよ」
アルミン「まずは、モノクマが犯人だという最大の根拠…
凶器の正体について話をしようか」
アニ「…さっき話に出てきた、グングニルの槍だね?」
アルミン「うん。みんな、あの槍に見覚えはないかな?」
ヒストリア「えっ…?」
アルミン「もしくは、グングニルの槍という言葉に
聞き覚えはないかな?」
アルミン「僕らは前に一度、それを目にしているんだけど…」
モノクマ『召喚魔法を発動する!
出でよ!グングニルの槍ッ!!』
ミカサ「…まさか」
ミカサ「この訓練生活が始まって、一番最初の…」
モノクマ『…よし、決めた』
サシャ『…?』
モノクマ『今回の見せしめは…“オマエ”だーっ!!』
コニー「あーっ!! 思い出したぞ!」
コニー「あれだよな!? 最初に俺たちが会ったとき、
モノクマがサシャの芋を串刺しにしたやつ!」
アルミン⦅まるで時が止まったようだった⦆
アルミン⦅モノクマの合図とともに、どこからともなく槍が飛来し…⦆
アルミン⦅寸分の狂いもなく、“それ”のど真ん中を貫いたのだ⦆
今日はここまで
アルミン「そうだよ。ベルトルトに刺さっていたのは
あの時と同じ槍だ」
アルミン「実際に僕たちは、モノクマがあの槍を操るのを見てる」
アルミン「あの槍… グングニルの槍を扱えるのは、
モノクマしかいない」
モノクマ「………………」
ジャン「マ、マジかよ…!?」
ジャン「それじゃあ、本当にモノクマが…!?」
モノクマ「…色々と言いたいことはあるんだけどさ」
モノクマ「まず、どうしてあの死体に刺さってた槍が
グングニルの槍と同一だって言えるの?」
モノクマ「見間違いなんじゃない?
それとも、何か証拠でもあるの?」
アルミン「…証拠はない。サシャの芋を貫いた槍は
すでに無くなってるから」
モノクマ「そうだよねぇ? 比べるものが無い以上、
それらが同じだなんて言い切れないよねぇ?」
今日はここまで
モノクマ「それにさ、ここが一番重要な部分だと思うんだけど…」
モノクマ「ボクがコロシアイに参加するなんて、まず無いからね?」
アルミン「………………」
モノクマ「オマエラとは一回、そういう話もしたよね?」
ジャン『んなもん全部…テメーの仕業だろ、モノクマ』
モノクマ『ボクはそんな事しないよっ! それだけは信じてっ!!』
モノクマ『規則違反をされない限りは、
ボクは自ら手を下したりしません』
モノクマ『この訓練兵生活の趣旨に反するような事は
決してしませんッ!』
モノクマ『ボクって、クマ1倍ルールにはうるさいって
サファリパークでも有名だったんだから!!』
モノクマ「だからさ、その主張には無理があるんだよ。
ボクは…」
アルミン「いや、無理なんかないよ」
モノクマ「…は?」
アルミン「確かに、お前はこの訓練生活の趣旨に
反する事は絶対にしない」
アルミン「…その事は、僕も何となくわかる」
アニ『信じるしかないでしょ』
アニ『確かにそいつは信用に値しないクズだけど、
【自分が作り出したルールには異様なこだわりがある】ようだし…』
アルミン「でも…」
アルミン「だからこそ、お前は…
ベルトルトを殺さざるを得なかったんだ」
ヒストリア「えっ…? ど、どういう事?」
アルミン(モノクマがベルトルトを殺した理由…)
アルミン(それは…)
― 閃 き ア ナ グ ラ ム 開 始 ―
し き お お
お き し お
お き お し
お し お き
そうか わかったぞ!
今日はここまで
アルミン「おしおきだよ」
コニー「お… おしおき…?」
アルミン「さっきモノクマが自分で言っていたじゃないか」
モノクマ『規則違反をされない限りは、
ボクは自ら手を下したりしません』
アルミン「あの言葉を言い換えれば、規則違反をされれば
モノクマが自ら手を下すということ…」
アルミン「要するに、ベルトルトは…
規則違反を犯して殺されたんだ」
ヒストリア「規則違反…!? ベルトルトが!?」
モノクマ「………………」
ミカサ「…ちょっと待って」
ミカサ「もし、本当にそうなら…
一体どのルールに違反したというの?」
アルミン(…そう、問題はそこだ)
アルミン(ベルトルトが違反した規則、それは…)
【1番目の項目】
【2番目の項目】
▶【3番目の項目】
【4番目の項目】
【5番目の項目】
【6番目の項目】
【7番目の項目】
【8番目の項目】
【9番目の項目】
【10番目の項目】
【11番目の項目】
【12番目の項目】
【13番目の項目】
【14番目の項目】
【15番目の項目】
これだ!
今日はここまで
― 閃 き ア ナ グ ラ ム 開 始 ―
>>197
すみません、ミスです
アルミン「兵団規則の3番目の項目だよ」
コニー「3番目っていうと…」
3 就寝は寄宿舎に設けられた個室でのみ可能です。
他の部屋での故意の就寝は居眠りと見なし罰します。
コニー「これか…って、居眠り!?」
アルミン「そう、ベルトルトはあの場所で眠ってしまった。
だから規則違反とみなされたんだよ」
ミカサ「…どうしてその規則を破ったとわかるの?」
アルミン「消去法だよ」
アルミン「まず、ルール違反に関係のない1番と4番を消す」
1 訓練兵達はこの施設内だけで共同生活を行いましょう。
共同生活の期限はありません。
4 この施設について調べるのは自由です。
特に行動に制限は課せられません。
アルミン「兵団裁判と“ファイナルデッドルーム”関連の項目も、
ルール違反とはほとんど関係がないから消せる」
アルミン「最初に議論したように、兵団規則に参加しない事で
規則違反を犯すことも一応できるけど…」
アルミン「ベルトルトは兵団裁判が起きる前に殺されてるんだから、
その可能性も否定できるよね」
7 仲間の誰かを殺したクロは“卒業”となりますが、
自分がクロだと他の訓練兵に知られてはいけません。
8 訓練兵内で殺人が起きた場合は、その一定時間後に、
訓練兵全員参加が義務付けられる兵団裁判が行われます。
9 兵団裁判で正しいクロを指摘した場合は、
クロだけが処刑されます。
10 兵団裁判で正しいクロを指摘できなかった場合は、
クロだけが卒業となり、残りの訓練兵は全員処刑です。
11 訓練兵達は50日間の訓練を行います。
訓練への参加は強制ではありません。
12 訓練の総合成績が一番優秀だった者には、
“ファイナルデッドルーム”への挑戦権が与えられます。
15 別の犯人による別の殺人が同時に起きた場合、
先に死体が発見された方のクロのみが投票対象となります。
アルミン「そして、仮にベルトルトが誰かを殺していた場合…」
アルミン「その可能性があるのはライナー1人だけだから、
14番目の項目も当てはまらない」
14 コロシアイ兵団生活で同一のクロが殺せるのは2人までとします。
アルミン「それで、残ったのはこの5つ…」
アルミン「どれも違反する可能性があるもので、
これまでの簡単な消去法では排除できない」
2 夜10時から朝7時までを“夜時間”とします。
夜時間は立ち入り禁止区域があるので、注意しましょう。
3 就寝は寄宿舎に設けられた個室でのみ可能です。
他の部屋での故意の就寝は居眠りと見なし罰します。
5 監督教官ことモノクマへの暴力を禁じます。
6 “物体X”の破壊を禁じます。
13 倉庫から物品を持ち出す際は、
管理表に必要事項を記入しましょう。返却時も同様です。
今日はここまで
ジャン「そこまではわかったが…
その5つからどうやって絞ったんだ?」
アルミン「うん、ここからは僕の推測が入るんだけど…」
アルミン「問題は“規則違反を犯してから
どのくらいで殺されるのか”だと思うんだ」
コニー「…??」
アルミン「つまり、規則違反を犯すとすぐに殺されるのか、
ある程度時間が経ってから殺されるのか…って事だよ」
アルミン「そして、その2択なら…
僕は前者だと考えたんだ」
アニ「前者… すぐ殺される方だね?」
ミカサ「…なぜ?」
アルミン「最初にグングニルの槍が
使われたときの事を思い出して」
モノクマ『…気に入らないなぁ』
サシャ『えっ』
モノクマ『気に入らないよ“オマエ”』
アルミン「あの時、モノクマはサシャの言動に腹を立てて…」
アルミン「その後すぐに、見せしめと言って
グングニルの槍を発現させた」
モノクマ『…よし、決めた』
サシャ『…?』
モノクマ『今回の見せしめは…“オマエ”だーっ!!』
今日はここまで
アルミン「あれは言わば、規則違反に対する
処刑のデモンストレーションだった…」
アルミン「そう考えれば、“生意気な言動”という
サシャの“規則違反”に対して…」
アルミン「モノクマはすぐに処刑を
実行している事になるよね?」
モノクマ「………………」
アルミン「だから、ベルトルトが規則違反を
犯していたのなら…」
アルミン「その処刑もすぐに行われたんじゃないか…
そう思ったんだ」
アルミン「そして、処刑がすぐに行われた事を前提にすると、
候補を一気に絞れるんだ」
ヒストリア「えっ… どうして?」
アルミン「あの死体を思い出してみてよ。
ベルトルトは、どういう状態で死んでた?」
ヒストリア「どういう状態って…」
アルミン⦅この現場の異様な点は3つある⦆
アルミン⦅1つ目は、被害者が宙に浮いた状態で拘束されていること⦆
アルミン⦅2つ目は、2本の槍で被害者の頭部と胴体が貫かれていること⦆
アルミン⦅そして3つ目は、被害者の体や床に
多数の剣が突き刺さっていること…⦆
アニ「…なるほど。ベルトルトは拘束されていたんだったね」
ヒストリア「あっ…!」
アルミン「そう、ベルトルトは拘束された状態で殺されていたんだ」
アルミン「だから、例の5つの候補を考えたとき、
3番目の項目以外は実質あり得ないんだよ」
今日はここまで
コニー「えーっと、すまん…
あんまりついて行けてねーんだけどよ…」
コニー「なんでベルトルトが拘束された状態だと
3番目の項目以外はあり得ないんだ?」
アルミン「さっき言ったように“規則違反を犯したらすぐに処刑される”
ということを前提にして考えてみて」
アルミン「死体の状態から見て、ベルトルトは
拘束されてから殺されたと考えるのが自然だよね?」
アルミン「つまり、ベルトルトは殺される直前は
拘束された状態だったんだから…」
アルミン「“拘束された状態で規則違反を犯した”という事になるんだ」
ジャン「そうか…! 拘束されて体の自由が奪われた状態で
違反できる規則は…」
3 就寝は寄宿舎に設けられた個室でのみ可能です。
他の部屋での故意の就寝は居眠りと見なし罰します。
ジャン「3番目の居眠りだけってわけか…!」
アルミン「うん。当たり前だけど、動けない状態なら
立ち入り禁止区域に入ることはできないし…」
アルミン「モノクマへ暴力を振るうことも、
“物体X”を破壊することも…」
アルミン「倉庫から物品を持ち出したり
返したりすることもできないからね」
今日はここまで
アニ「…なるほどね、段々と見えてきたよ」
アニ「確か、ベルトルトを拘束していた器具は
フットスイッチを踏むことで作動するものだったね」
アニ「そして、そのフットスイッチは
研究開発所の入口に設置されていた…」
アルミン『あれを踏んで拘束されたって事なのかな…
だとしたら、この建物に入ろうとして…?』
アニ『…そう考えられるね』
アルミン「そう、アニの言う通り…」
アルミン「ベルトルトは建物の入口に仕掛けられた
フットスイッチを踏んで拘束されたんだ」
アルミン「そしてその状態で… 放置された」
コニー「…放置?」
アルミン「おそらく、全貌はこうだ」
アルミン「昨日の夜… ベルトルトは
何者かに研究開発所に呼び出された」
アルミン「そして、拘束トラップに嵌り…
身動きができずにそのまま眠ってしまった」
アルミン「それをモノクマに規則違反と見なされ、
その場で串刺しにされた…」
モノクマ「………………」
アルミン「…そうなんだろ? モノクマ」
今日はここまで
モノクマ「………………」
ヒストリア「…モ、モノクマ? 本当なの?」
モノクマ「うぷぷ…」
モノクマ「いやはや、大した想像力だねえ… アルレルトくん」
モノクマ「まるで本当に見ていたかのような言い方だよ」
ジャン「…!! そ、それじゃあ…!」
モノクマ「そう…」
モノクマ「フーバーくんを殺したのは… このボクでーす!!」
ミカサ「…!!」
モノクマ「いやあ、このまましらばっくれようかとも思ったけど…
ここまで言い当てられたら言うしかないよね」
モノクマ「そうなのです! 全てはアルレルトくんの言う通り…」
モノクマ「フーバーくんは規則違反…
すなわち“自分の個室以外での故意の就寝”を行ったため…」
モノクマ「ボクが串刺しの刑に処しましたー!!」
ミカサ「…!!」
モノクマ「いやあ、このまましらばっくれようかとも思ったけど…
ここまで言い当てられたら言うしかないよね」
モノクマ「そうなのです! 全てはアルレルトくんの言う通り…」
モノクマ「フーバーくんは規則違反…
すなわち“個室以外での故意の就寝”を行ったため…」
モノクマ「ボクが串刺しの刑に処しましたー!!」
今日はここまで
>>227はミスです
モノクマ「いやあ、我ながら大した腕だよね。
対象の脳と心臓を寸分の狂いもなく…」
ミカサ「ちょっと待って」
ミカサ「よくよく考えてみると… それはおかしい」
モノクマ「…は? 何が?」
ミカサ「ベルトルトは“自分の個室以外での故意の就寝”を
行ったというけれど…」
ミカサ「あの状況は本当に“故意”だと言えるの?」
ヒストリア「…ど、どういう事?」
ミカサ「ベルトルトは研究開発所の入り口にあった
フットスイッチを踏んで拘束され、身動きが出来なくなった」
ミカサ「それはもちろん、ベルトルト以外の誰かが仕掛けたもので、
本人の意思ではないはず…」
ミカサ「その状況で眠りこけてしまったというなら…
“故意の就寝”には当てはまらないのではないの?」
モノクマ「…ははあ、つまりこう言いたいんだね?」
モノクマ「フーバーくんはそこで寝たくて寝た訳じゃない…」
モノクマ「わざとそうした訳じゃないんだから、
規則違反とは言えないんじゃないかって」
ミカサ「………………」
モノクマ「まあ確かに、グレーと言えばグレーだけど…
今回は総合的に判断して処罰を下したよ!」
アニ「…総合的に判断?」
モノクマ「そう、そもそもさ… フーバーくんは
似たような案件を一度起こしてるんだよね」
ヒストリア「…え?」
モノクマ「うぷぷ、憶えてない?
オマエラもその場にいたはずなんだけど」
アルミン(ベルトルトが似たような案件を起こしていた…?)
アルミン(それって…)
― 閃 き ア ナ グ ラ ム 開 始 ―
ス ラ イ ウ ブ ハ
ラ ス ブ ウ イ ハ
ラ イ ブ ウ ス ハ
ラ イ ブ ハ ウ ス
そうか わかったぞ!
アルミン「まさか… ライブハウスでの事を言ってるのか?」
コニー「え? ライブハウス…? あそこでそんな事あったか?」
アルミン「ほら、思い出して。2回目の事件の前…」
アルミン「みんながライブハウスに集まって、
お酒を飲んで大騒ぎした事があったよね?」
クリスタ『ごぶっ…!? ごぼぼ…ごはっ…!』
ユミル『あんだよクリスタぁ~、遠慮すんなってぇ~』
クリスタ『うっ…げほっ、げほっ、げほっ!!』
ユミル『ん~? それとも何かぁ~』
ユミル『私の酒はぁ… 呑めねえってのかぁ~!?』
クリスタ『んんっ! んんん~っ!!』
ジャン「ああ、あれか…」
ミカサ「何の話?」
ヒストリア「…ああ、そういえばミカサはいなかったね」
ヒストリア「2番目の事件が起きる前、ユミルがライブハウスで
お酒を見つけた事がきっかけの話で…」
ヒストリア「最初は私とユミルとサシャの3人だけだったんだけど、
そのうちぞろぞろと人数が集まって…」
ヒストリア「みんなでお酒を開けて大変な事になったんだよ。
話は知ってるでしょ?」
ミカサ「…ああ、そういえば聞いた」
アニ「………………」
アルミン「そう… よく思い出して」
アルミン「あの時のベルトルトは… どんなだった?」
コニー「どんなって…」
ジャン『んあ…? おー、アッルミーン!』
ジャン『おいこらベルトルトぉ! アルミン様がお見えだぁ!』
ベルトルト『………………』ダラー
ジャン『もしもーし? ベルトルトさぁん?
アルミンだぜアルミン、サシャとアニもいるぞぉ』
ベルトルト『………………』ダラー
ジャン『んー? あれー? エレンとミーナもいるぞぉ!?』
ジャン『お前ら死んだんじゃなかったのかよー、ぎゃははははは!!』
コニー「あっ… そ、そういえばあいつ…」
モノクマ「寝てたよね?」
コニー「…!!」
モノクマ「寝てたよね? バーカウンターに突っ伏して、
だらしなくヨダレ垂らして…」
モノクマ「気持ちよさそうに寝てたよねぇ!?」
今日はここまで
ミカサ「…だったら、どうしてその場で手を下さなかったの?」
モノクマ「そこが難しいところでさあ… ぶっちゃけた話、
あれも“故意の就寝”と呼べるかは微妙だったんだよね」
モノクマ「その場で寝る気はなかったのに、酔いが回ったせいで
ついウトウトしてしまった…」
モノクマ「つまり、わざとではなかった…っていう見方も
出来なくはないから」
モノクマ「だから、その時は“限りなく黒に近いグレー”として
見逃してあげたの」
モノクマ「2度目はない… そう言い含めてね」
ヒストリア「い、言い含めてって…
じゃあ、ベルトルトはその事を知っていたの!?」
モノクマ「知ってたよ。フーバーくんと“もう1人”にしか
言ってないから、オマエラが知らないのも無理はないけど」
今日はここまで
ミカサ「“もう1人”って…」
アニ「…ベルトルトをハメた奴だね?」
コニー「…!!」
モノクマ「さあね。ともかく、ボクはフーバーくんに
2度目はないと忠告したにも関わらず…」
モノクマ「彼が同じ過ちを犯してしまったから、
仕方なく罰してあげたの」
アニ「今回は明らかにベルトルトの意思じゃない!
あいつはハメられただけなのに…!」
モノクマ「くどいなあ。そこまで言うなら
もう一度あのセリフを聞かせてあげようか?」
モノクマ「全てはボクのさじ加減だから!!!!」
アニ「…ッ!!」
モノクマ「あれあれ? どうしたのレオンハートさん?
急に感情的になっちゃって…」
モノクマ「キミってそんなにフーバーくんと仲良かったっけ?
それとも元々深ーい間柄だったり…?」
ヒストリア「ア、アニ…」
アニ「…もういい。これではっきりした」
アニ「今回ベルトルトを殺したのはモノクマだった…
それなら、モノクマに投票すれば全てが終わる」
アルミン「…!? ちょ、ちょっと待ってよアニ!」
アニ「何かまずいの? こいつはたった今自分の口で言ったんだよ?
ベルトルトを殺したのは自分だって…」
コニー「…え? そもそも、モノクマに投票ってできるのか?」
モノクマ「んー、まあできますよ。お望みとあらば…」
ジャン「…だったらもう決まりじゃねえか。さっさと投票しようぜ」
ミカサ「待って、流石におかしい。今回のモノクマファイルでは…」
■ モノクマファイル 3 ■
被害者はライナー・ブラウン。
死亡時刻は午前4時頃。
ミカサ「『被害者はライナー・ブラウン』…
確かにそう書いてあった」
ミカサ「だけど、今回殺されたのが
ベルトルトだと言うのなら… 筋が通らない」
アニ「…確かにその謎は残る。
だけど、それはもはやどうでもいい」
ヒストリア「ど、どうでもいいって… なんで?」
アニ「モノクマが言ってたでしょ?」
モノクマ『別の犯人による別の殺人が同時に起きた場合、
先に死体が発見された方のクロのみが投票対象となります』
モノクマ『つまり、ブラウンくんを殺した犯人と、
フーバーくんを殺した犯人が別々だった場合は…』
モノクマ『【先に発見された方】の犯人のみが、
クロ扱いになるんだよ』
アニ「【先に発見された方】の犯人のみがクロ扱いになる…
確かにそう言っていたよね?」
アニ「今回死んだのはライナーとベルトルトの2人だけど…」
アニ「ライナーの死体は誰も発見していない。
つまり、今回はベルトルトを殺した犯人がクロ扱いになる」
アニ「そして、ベルトルトを殺したのはモノクマだと判明した…
だったらやる事は1つしかない」
今日はここまで
コニー「そういう事か! なら決まりだな!
さっさと投票しちまおうぜ!」
アルミン「い、いや、ちょっと待ってよ!
それは早計すぎるって!」
ジャン「何が早計なんだ? モノクマをここで処刑できるんなら
願ったり叶ったりじゃねーか」
ミカサ「…どうも話が旨すぎる。ここで結論を急ぐべきじゃない」
ヒストリア「私もミカサに賛成かな… 残っている謎がある以上は
とことん議論すべきだと思うけど…」
コニー「な、何だよ… ここに来て意見が分かれるのかよ」
ヒストリア「うん、ほとんど真っ二つだね。
これって、どうやって決めればいいのかな?」
ちょーっと待ったあ!!
モノクマ「…真っ二つ?
今、真っ二つと仰いましたか?」
モノクマ「確かに聞きましたよ!
おへそのセンサーで聞きました!」
モノクマ「そういう事なら、お任せあれ!
我が訓練兵団が誇る“変形裁判場”の出番ですね!」
ミカサ「…変形裁判場?」
コニー「えっ? 裁判場が変形するのか!?
そんな事できるのか!?」
モノクマ「できますとも! まあ、試験的に作って
没にしたやつだけど…」
アルミン(…とにかく、何とかしないと)
アルミン(アニは冷静じゃない… ここで投票したら大変な事になる)
アルミン(それを防ぐ為にも… まずはみんなの意見を
ちゃんと揃えないと!)
― 意 見 対 立 ―
――――――――――――――――――――――――――――――――――――
ここでモノクマに投票すべきか?
――――――――――――――――――――――――――――――――――――
【投票すべきだ!】 【投票すべきじゃない!】
― 議 論 ス ク ラ ム 開 始 ―
アルミン【発見】
アルミン【死体】
ミカサ【ベルトルト】
ミカサ【クロ】
ヒストリア【謎】
ジャン「モノクマはベルトルトを殺した事を認めてる」
アニ「先に発見された方の犯人のみがクロって言ってたよね?」
ジャン「ライナーの死体は誰も発見してねえし…」
コニー「解く必要のない謎は解かなくてもいいだろ」
ジャン「モノクマがクロならモノクマを処刑できるんだぞ!?」
アルミン(…やみくもに反論しても印象が悪くなるだけだ)
アルミン(相手の言葉をとらえて、的確に返していこう)
ジャン「モノクマはベルトルトを殺した事を認めてる」
ミカサ!
ミカサ「モノクマファイルにあったのは【ベルトルト】の名前じゃない」
アニ「先に発見された方の犯人のみがクロって言ってたよね?」
僕が!
アルミン「先に【発見】されたのがベルトルトだとは限らないよ」
ジャン「ライナーの死体は誰も発見してねえし…」
僕が!
アルミン「見逃してるだけで、【死体】はすでに発見されているのかも…」
コニー「解く必要のない謎は解かなくてもいいだろ」
ヒストリア!
ヒストリア「【謎】はすべて解いた上で結論を出すべきだよ」
ジャン「モノクマがクロならモノクマを処刑できるんだぞ!?」
ミカサ!
ミカサ「【クロ】が他にいるのなら、私たちが処刑されることになる」
ジャン「モノクマはベルトルトを殺した事を認めてる」
ミカサ「モノクマファイルにあったのは【ベルトルト】の名前じゃない」
アニ「先に発見された方の犯人のみがクロって言ってたよね?」
アルミン「先に【発見】されたのがベルトルトだとは限らないよ」
ジャン「ライナーの死体は誰も発見してねえし…」
アルミン「見逃してるだけで、【死体】はすでに発見されているのかも…」
コニー「解く必要のない謎は解かなくてもいいだろ」
ヒストリア「【謎】はすべて解いた上で結論を出すべきだよ」
ジャン「モノクマがクロならモノクマを処刑できるんだぞ!?」
ミカサ「【クロ】が他にいるのなら、私たちが処刑されることになる」
CROUCH BIND
SET!
【投票すべきだ!】>>>>>><<<<<<【投票すべきじゃない!】
【投票すべきだ!】>>>><<<<<<<<【投票すべきじゃない!】
【投票すべきだ!】>><<<<<<<<<<【投票すべきじゃない!】
【投票すべきだ!】<<<<<<<<<<<<【投票すべきじゃない!】
これが僕たち(私たち)の答えだ!
今日はここまで
今日はここまで
アルミン「まだ投票を急ぐべきじゃない!
みんな落ち着いてよ!」
ミカサ「アルミンの言う通り。
私たちにはまだ議論すべき事が残っている」
ヒストリア「そうだよ。投票はその後だって遅くはないでしょ?」
コニー「えっ? う、うーん…」
ジャン「………………」
アニ「…だったら教えてよ、アルミン」
アニ「どうしてモノクマファイルには
ベルトルトの名前が載ってなかったの?」
アニ「どうして死体の発見されていない
ライナーの名前が載っていたの?」
アルミン「………………」
アニ「さっき気になる反論をしてたけど…
もしかして、ある程度推理できているんじゃないの?」
ジャン「…そういやお前、言ってたよな」
アルミン『先に【発見】されたのがベルトルトだとは限らないよ』
アルミン『見逃してるだけで、【死体】はすでに発見されているのかも…』
ジャン「あれはどういう事なんだ?
アニの言うように、何か考えがあるのか?」
アルミン「…わかった。話すよ」
アルミン「だけど、ちょっと考えをまとめたいから…
少し時間をもらえるかな」
アルミン(…考えを整理してみよう)
アルミン(頭の中で疑問をぶつけて、内容を精査するんだ)
― ロ ジ カ ル ダ イ ブ 開 始 ―
今日はここまで
アルミン「…僕の考えを話す前に、モノクマに
確認しておきたい事がある」
モノクマ「はいはい、何でしょう?」
アルミン「僕らが研究開発所でベルトルトの死体を発見した時の
モノクマの“声”についてだよ」
モノクマ「ボクの声…?」
「ピンポンパンポーン…!」
モノクマ『死体が発見されました!』
モノクマ『一定の自由時間の後、『兵団裁判』を開きまーす!』
モノクマ「…ああ、モノクマアナウンスね。
いい加減覚えてくんない?」
コニー「…え?」
モノクマ『あれ、言ってなかったっけ? ボクが施設内で
オマエラに呼びかけるときに使う“声”だよ』
モノクマ『ほら、毎朝起きるときに聞いてるでしょ?
あれだよ』
コニー「死体を見つけたときの“声”もモノクマアナウンスって言うのか?
朝起きるときだけじゃ…」
モノクマ「ああいうのは全部モノクマアナウンスって言うの!
別に起床の合図限定じゃないの!」
モノクマ「まったくもう… まあ確かに、
今まで誰にも説明してなかったボクもボクだけどさ…」
モノクマ「…で? あのモノクマアナウンスがどうしたって?」
アルミン「そのモノクマアナウンスっていうのは…
僕らが死体を発見するときに出るものなんだよな?」
モノクマ「そうだけど? 聞いた通りじゃん」
アルミン「それはつまり、その死体を殺した犯人を見つけるための
捜査を開始するための合図… って事でいいのか?」
モノクマ「…? まあ、そうだね。
誰かが仕切らないと捜査も兵団裁判も始まらないから」
アルミン「…なるほど。それなら、もう1つ確認させてほしい」
アルミン「規則違反によって処刑された死体は、
兵団裁判の対象になるのか?」
モノクマ「…へ?」
アルミン「例えば、僕が規則違反を犯して処刑されて、
その死体をみんなが発見したとしたら…」
アルミン「それで兵団裁判は開かれるのか?」
モノクマ「………………」
モノクマ「…いや、開かれないけど」
今日はここまで
アルミン「…ありがとう、よくわかったよ」
コニー「…? 俺はよくわかってねーんだけど…」
アルミン「まずは細かい部分から確認していくよ」
アルミン「今回死んだのはベルトルトとライナーの2人…
これは間違いないよね?」
ヒストリア「うん。ライナーの死体は見つかってないけど、
もう死んでるってモノクマが明言してるから…」
モノクマ『アルレルトくんの言う通りです!』
モノクマ『ブラウンくんとフーバーくんは2人とも…』
モノクマ『もうお亡くなりになってまーす!!』
アルミン「ベルトルトはモノクマによって殺された…
これもさっき結論が出た通りだ」
アルミン「そして、ライナーだけど…
彼は僕らの中の誰かに殺されたんだと思う」
アニ「…!!」
モノクマ「えー? ちょっと待ってよアルレルトくん」
モノクマ「ボクは確かにブラウンくんが“死んでる”とは言ったけど、
“殺された”なんて一言も言ってないよ?」
モノクマ「それなのに、どうしてブラウンくんが
殺されたって言えるのさ?」
アルミン「どうしてって… お前自身が言ってたじゃないか」
モノクマ「えっ?」
アルミン「捜査が始まる前に僕らに言ったヒントだよ」
モノクマ『ヒントその1! 今回の事件は殺意を持ったクロによる犯行です!』
モノクマ『つまり、前回のブラウスさんみたいに、
知らないうちに自分が殺人者になっている可能性はないってこと!』
アルミン「今回の事件は殺意を持ったクロによる犯行…
確かに言ってたよね?」
アルミン「誰かが無意識のうちに殺したパターンもないって」
モノクマ「………………」
ジャン「いや、だから… その殺意を持ったクロってのが
モノクマなんじゃないのか?」
アルミン「違う。モノクマは兵団裁判のクロにはならない。
それはさっき確認した通りだ」
アルミン『…なるほど。それなら、もう1つ確認させてほしい』
アルミン『規則違反によって処刑された死体は、
兵団裁判の対象になるのか?』
モノクマ『…へ?』
アルミン『例えば、僕が規則違反を犯して処刑されて、
その死体をみんなが発見したとしたら…』
アルミン『それで兵団裁判は開かれるのか?』
モノクマ『………………』
モノクマ『…いや、開かれないけど』
ミカサ「確かに言っていた… 規則違反で処刑された死体を見つけても
兵団裁判は開かれないと」
アルミン「うん。それはつまり、規則違反でモノクマが手を下しても
兵団裁判の対象にはならないって事なんだ」
コニー「なるほど… ん?」
コニー「なんか変じゃねえか…?
じゃあなんで、今回は裁判が開かれてるんだ?」
アルミン「そう、問題はそこなんだ」
アルミン「ベルトルトは規則違反でモノクマに殺された…
それは裁判の対象外なのに、何故か裁判が開かれている」
アルミン「これは一体何の裁判なのか…」
今日はここまで
ミカサ「…ライナー」
アルミン「そう、これはライナーの裁判…
ライナーを殺したクロを見つける裁判なんだ」
アルミン「言ってしまえば… ベルトルトは全く関係ないんだよ」
ヒストリア「か、関係ないって…」
アルミン「…ずっと引っかかってたんだ」
ジャン『お前… ふざけてんのか?』
ジャン『あそこで死んでるのはベルトルトだろ?』
モノクマ『ボクはいたって真面目ですけど?』
ジャン『い、いや… いやいやいや…』
ジャン『どう考えたっておかしいだろ!
あの死体はどう見たってベルトルトだろうが!』
モノクマ『だーかーらー! 今回殺されたのはライナー・ブラウンくん!
それ以上でもそれ以下でもないの!』
アルミン「モノクマファイルが渡された時…」
アルミン「ジャンが“あの死体は”ベルトルトだと言ったのに対して、
モノクマは“今回殺されたのは”ライナーだと言った」
アルミン「どことなく会話が噛み合わない感じ…
少し違和感を感じていたんだ」
ジャン「………………」
アルミン「そして、モノクマはこうも言っていた」
アニ『…違う』
アニ『あの死体はベルトルトだ…
私が見間違えるはずがない…』
モノクマ『…あのさ、オマエラがどう思おうが勝手だけど』
モノクマ『今回クロに殺されたのはブラウンくんで間違いないよ』
モノクマ『いくらフーバーくんの事を気にしても仕方ないんだよ。
だって彼は捜査の対象外だもの』
今日はここまで
アルミン「“彼は捜査の対象外”…」
アルミン「あの時のモノクマは… 確かにそう言っていた」
ミカサ「………………」
アルミン「僕らはベルトルトの凄惨な死体にだけ目が行ってしまって、
誰もモノクマの言葉に取り合おうとしなかった」
アルミン「モノクマは最初から答えを言っていたのに…
僕らは自ら謎の深みにはまってしまったんだ」
コニー「な、なんてこった…」
コニー「それじゃあ、俺らは…
議論しても仕方のない事をずっと議論してたのか!?」
アルミン「…そういう事になるね」
アルミン「今回の裁判の対象になっているのは
ベルトルトではなくライナーだった…」
アルミン「僕らはライナーの死について議論しなければならなかったのに、
ずっとベルトルトの死について議論していたんだ」
アルミン「正確に言えば… そうなるように
仕向けられたって事なんだろうけど」
アニ「…ねえ、肝心な部分が触れられてないんだけど」
アニ「ライナーの死体は? 死体が発見されなければ
兵団裁判は開かれないんじゃないの?」
アルミン「…そうだね」
アルミン「死体が見つからなければ捜査も裁判も始まらない…
これもさっき確認した通りだろうね」
アルミン『そのモノクマアナウンスっていうのは…
僕らが死体を発見するときに出るものなんだよな?』
モノクマ『そうだけど? 聞いた通りじゃん』
アルミン『それはつまり、その死体を殺した犯人を見つけるための
捜査を開始するための合図… って事でいいのか?』
モノクマ『…? まあ、そうだね。
誰かが仕切らないと捜査も兵団裁判も始まらないから』
今日はここまで
アルミン「でもさ… 不思議じゃない?」
アルミン「どうしてライナーの死体が発見されていないのに
モノクマアナウンスが発せられたのかな?」
アニ「…!」
アルミン「僕らはみんな聞いてたよね?
ベルトルトの死体を発見した時に…」
「ピンポンパンポーン…!」
モノクマ『死体が発見されました!』
モノクマ『一定の自由時間の後、『兵団裁判』を開きまーす!』
ジャン「そうか… 確かに妙だな」
ジャン「オレ達はあの“声”がベルトルトの死体に
対するものだと思い込んでたが…」
ジャン「ベルトルトが兵団裁判の対象じゃないのなら、
あそこでは何も起きないはず…だよな?」
アルミン「そうなんだよ」
アルミン「死体発見のモノクマアナウンスは、あくまで
“兵団裁判の対象になる死体”を発見した時に発せられるもの…」
アルミン「それもさっき確認した通りだろうからね」
アルミン『そのモノクマアナウンスっていうのは…
僕らが死体を発見するときに出るものなんだよな?』
モノクマ『そうだけど? 聞いた通りじゃん』
アルミン『それはつまり、その死体を殺した犯人を見つけるための
捜査を開始するための合図… って事でいいのか?』
モノクマ『…? まあ、そうだね。
誰かが仕切らないと捜査も兵団裁判も始まらないから』
今日はここまで
コニー「…?? ど、どういう事だ?」
コニー「ベルトルトの死体が関係なかったのなら、
あれは一体… 何のモノクマアナウンスだったんだ?」
アルミン「ライナーだよ」
ジャン「…は?」
アルミン「あれは… ライナーの死体を発見した時の
モノクマアナウンスだったんだ」
ヒストリア「えっ…!?」
アルミン「そうとしか考えられない」
アルミン「ベルトルトの死体が兵団裁判…
つまり、死体発見のモノクマアナウンスの対象外なら…」
アルミン「他に考えられる可能性は… ライナーの死体だけだ」
ジャン「い、いや、お前…」
アルミン「だってそうだよね? 2番目の事件が終わった時点での
生存者はここにいる6人とライナー、ベルトルトの2人…」
アルミン「ベルトルトの死体じゃないのなら…
残る可能性はライナーだけだよね?」
ミカサ「…ちょっと待って」
ミカサ「それなら、ライナーの死体があった場所は…」
アルミン(…そうだ、間違いない)
アルミン(僕の推理通りなら、ライナーの死体があった場所は…)
― 閃 き ア ナ グ ラ ム 開 始 ―
つ じ う か い け ん ゅ ょ は き
け じ き か い ん う ゅ ょ は つ
け ん き か い う じ ゅ つ は ょ
け ん き ゅ う か い は つ じ ょ
そうか わかったぞ!
アルミン「間違いない… ライナーの死体は
研究開発所にあったんだ」
アニ「…!!」
ジャン「な、なんだって…!?」
アルミン「僕らは【研究開発所でライナーの死体を見つけた】
そいつはおかしいぜ!
コニー「おいおい、アルミン…
いくら何でもそれはあり得ないぜ」
アルミン「えっ…」
コニー「今のお前の推理は間違ってる」
コニー「いくらバカでも、それくらいはわかるぞ…」
― 反 論 シ ョ ー ダ ウ ン 開 始 ―
【モノクマファイル 3】
【2本の黒槍】
▶【多数の剣】
【拘束トラップ】
【特殊ガス発生装置】
【溶鉱炉の安全対策】
今日はここまで
コニー「研究開発所にライナーの/
/死体があったって?」
コニー「そんなもん一体/
/どこで見たんだよ?」
コニー「俺は見張り役で/
/ずっとあそこにいたけどよ…」
コニー「ライナーなんて/
/どこにもいなかったぞ」
コニー「お前だってあの場所/
/調べたからわかるだろ?」
― 発 展 ―
アルミン「モノクマアナウンスはみんなが研究開発所にいる時に発せられた…」
アルミン「ライナーの死体があったとしたら、あそこしか考えられないんだ」
コニー「だーっ! だから何度/
/言えばわかるんだ!?」
コニー「いくらお前が/
/そう主張したところで…」
コニー「あそこには【ライナーの死体】も…」
コニー「【それらしきもの】も…」
コニー「何にもなかった/
/じゃねーか!」
アルミン(コニーの主張もよくわかる…)
アルミン(だけど、常識的な捉え方では
この事件のクロには太刀打ちできないんだ…)
コニー「だーっ! だから何度/
/言えばわかるんだ!?」
コニー「いくらお前が/
/そう主張したところで…」
コニー「あそこには【ライナーの死体】も…」
コニー「【それらしき/
/もの】
その言葉、斬らせてもらう!
今日はここまで
アルミン「コニーの言う通り、確かに研究開発所に
ライナーの死体と思われるものは無かった」
アルミン「少なくとも、“死体と思われるもの”は…」
コニー「…は?」
アルミン「死体が死体の形をしているとは限らない」
アルミン「ライナーの死体は姿を変えて…
僕らのすぐ目の前にあったんだ」
アニ「アルミン… どういう事?」
アルミン「剣だよ」
ヒストリア「剣…?」
アルミン「ベルトルトの死体やその周辺に
たくさんの剣が刺さってたよね?」
アルミン⦅続いて目に入ったのは剣だった⦆
アルミン⦅死体や周りの床に突き刺さった多数の剣…⦆
ジャン「…!! お、おい、まさか…」
アルミン「そう… そのまさかだよ」
アルミン「あの剣こそが…“ライナーの死体”だったんだ」
コニー「ぶははははははははははっ!!」
コニー「じょ… 冗談きついぜアルミン!
ライナーが剣だったとか… あはははは!!」
ミカサ「コニー、笑い事じゃない」
コニー「だ、だってよ… そんな真面目な顔して
何を言うかと思えば…」
コニー「ライナーは実は剣でした、とか…
ぎゃはははははははははは!!」
今日はここまで
アニ「…それは少し表現が違うんじゃない?」
コニー「ぎゃはははは… へ?」
アニ「アルミン… あんたの言いたい事が何となくわかったよ」
アニ「“ライナーは剣だった”んじゃなくて…」
アニ「“ライナーは剣になった”…そういう事だね?」
アルミン「その通りだよ、アニ」
コニー「…?? な、何を言ってんだ…?
一体何の違いが…」
アルミン「答えはライナーが死んだ場所にあるよ」
アルミン「この推理通りなら… ライナーが殺された場所が
必然的に判明するんだ」
アルミン(ライナーが殺された場所…)
アルミン(そう、そこは…)
― 閃 き ア ナ グ ラ ム 開 始 ―
ろ よ う こ う
よ ろ う こ う
よ う ろ う こ
よ う こ う ろ
そうか わかったぞ!
今日はここまで
アルミン「ライナーは… 溶鉱炉で殺されたんだ」
コニー「よ、溶鉱炉…?」
コニー『よし、俺から言うぜ』
コニー『俺が行ったのはあそこだ。
ほら、でっけえ煙突から煙が出てたやつ』
ライナー『ああ、そこは俺も気になっていた。
今朝になって煙を上げ始めたんだよな』
アルミン『中に入れたの?』
コニー『ああ… 中は巨大な溶鉱炉だった』
ベルトルト『溶鉱炉…?』
コニー『いやあ、あそこ汗が止まらないくらい暑くてよ…
マジで溶けちまうかと思ったぜ』
コニー「溶鉱炉って… 最初に俺が調べたあそこか?」
アルミン「そうだよ。現場にあった剣は
溶鉱炉で作られたものだっていうのは、もう確認したよね?」
コニー『…え? っていうか、現場にあった剣って
溶鉱炉で作られてたのか?』
アルミン『そうだよ。もっと言うと、溶鉱炉自体が
あの剣を作るための場所だったみたいだね』
コニー「…え?」
コニー「ま、まさか… あの剣がライナーだっていうのは…」
アルミン「そう… あの剣は“ライナーを溶かした金属”から
作られていたんだ」
アルミン「つまり、【ライナーはあの溶鉱炉に落とされて】
矛盾だらけだぜ!
ジャン「いや、待てよアルミン…
やっぱりその考えはおかしいぜ」
アルミン「えっ…」
ジャン「今のお前の話はオレの知ってる情報と合わない」
ジャン「その推理を貫き通すのなら…
オレが感じる矛盾点についても説明してみろよ」
― 反 論 シ ョ ー ダ ウ ン 開 始 ―
【モノクマファイル 3】
【2本の黒槍】
【多数の剣】
▶【拘束トラップ】
【特殊ガス発生装置】
▶【炉の周りの小さな痕】
ジャン「ライナーを溶鉱炉に/
/落とすのは無理だ」
ジャン「あの溶鉱炉は確かに/
/口が空きっ放しになってるが…」
ジャン「炉に近付こうとすると/
/安全装置が働いてすぐに口が閉じちまう」
ジャン「あの早さだと他人を/
/突き落とすことはおろか…」
ジャン「自分から飛び込むことだって/
/不可能だと思うぜ?」
ジャン「お前もあそこを調べたなら/
/わかってるはずだろ?」
― 発 展 ―
アルミン「ジャンの言う通り、誰かを溶鉱炉に突き落とすには…」
アルミン「安全装置を作動させない必要があるね」
ジャン「そんな方法/
/あると思うのか?」
ジャン「少なくとも/
/オレの調べた限りじゃ…」
ジャン「あの安全装置を【無効にすることはできなかった】ぜ?」
ジャン「しかも、相手は/
/あのライナーだぞ?」
ジャン「仮に眠らせて/
/無抵抗の状態にしたとしても…」
ジャン「大柄なあいつを/
/溶鉱炉の中に投げ入れるのは…」
ジャン「どう考えたって【不可能】だ」
アルミン(普通に考えれば、安全装置が働いている状況で
ライナーを突き落とすことは不可能だ…)
アルミン(だけど、あの安全装置には穴がある…
おそらく犯人もそれに気が付いたんだ)
ジャン「そんな方法/
/あると思うのか?」
ジャン「少なくとも/
/オレの調べた限りじゃ…」
ジャン「あの安全装置を【無効にすることはできなかった】ぜ?」
ジャン「しかも、相手は/
/あのライナーだぞ?」
ジャン「仮に眠らせて/
/無抵抗の状態にしたとしても…」
ジャン「大柄なあいつを/
/溶鉱炉の中に投げ入れるのは…」
ジャン「どう考えたって【不/
/可能】
その言葉、斬らせてもらう!
アルミン「そう… ここでネックになっているのは
溶鉱炉の安全対策だ」
アルミン「ジャンの言う通り、あれが無効にならない限りは
自分から飛び込むことすら不可能だと思う」
ジャン「だから言ってるじゃねえか。
そんな状況でライナーを炉の中に投げ入れるのは…」
アルミン「不可能じゃないよ」
ジャン「…は?」
アルミン「床に触れなければいいんだ」
ミカサ「床…?」
アルミン「あの安全装置はそもそも、床が人を検知して
作動するものなんだ」
アルミン「…そうだよね、アニ?」
アニ『その炉に近付きすぎると、床が検知して
自動的に炉が閉じる仕組みらしいよ』
アニ『そこの壁に説明が書いてあった』
アルミン『へ、へぇ…』
アニ「そうだけど…」
コニー「て、ていうか… 何の話をしてるんだ?
溶鉱炉にそんな仕掛けがあったのか?」
ミカサ「…ああ、確かにそこまでは情報共有していなかった」
ミカサ「そう、今アルミンが話した通り…」
ミカサ「あそこには溶鉱炉への転落を防止するための
安全対策が施されている」
アルミン⦅それは一瞬の出来事だった⦆
アルミン⦅僕が足を踏み出すと同時に、
けたたましい音が鳴り響き…⦆
アルミン⦅開いていた炉が、金属の蓋で覆われたのだ⦆
ジャン「お、おいおい! 床に触れなければいいって…」
ジャン「まさか、離れたところから投げ込んだとか
言うんじゃねーだろうな!?」
ジャン「どんだけ距離が離れてると思ってんだ!?
それこそ不可能だろ!」
アルミン「違うよ、投げ込んだんじゃない。
もっと圧倒的に楽な方法がある」
アルミン「拘束トラップを使うんだ」
今日はここまで
ヒストリア「拘束トラップって…
ベルトルトを拘束してた…?」
アルミン「うん。開発品リストにあった物品の1つだよ」
ジャン「は…? あれを使ったってのか?」
アルミン「そう… 犯人は、ベルトルトを貶めた
あのトラップを使って…」
アルミン「ライナーを溶鉱炉の中に落としたんだと思う」
開発品リスト
①立体起動装置 12台
②時限爆弾 3台
③特殊ガス発生装置 1台
④蓄音機 1台
⑤金属探知機 1台
⑥拘束トラップ 1台
⑥拘束トラップ
<概要>
フットスイッチを踏んだ相手を瞬時に拘束できるトラップです。
<使い方>
(1)装置を組み立てます(四脚を立てて下さい)。
(2)フットスイッチを任意の場所にセットします。
(3)四脚の交点から伸びるワイヤーをフットスイッチに繋げます。
(4)相手がフットスイッチを踏むのを待ちます。
<その他機能>
・ 折り畳んで持ち運ぶことができます。
・ フットスイッチが反応する重量を設定できます。
・ 四脚にあるスイッチで拘束の解除が可能です。
今日はここまで
ミカサ「あのトラップの事は知ってる…
でも、あれをどう使ったというの?」
アルミン「まず、支えとなる4つの脚を広げて
炉の中心が真ん中になるように設置するんだ」
アルミン「炉の周りで作業する事になるから、
一見すると危なそうに思えるけど…」
アルミン「通常なら安全装置が働いているから、
特に問題なく設置はできると思う」
アルミン「続いて、フットスイッチを溶鉱炉の入り口に置く。
これで準備は完了だ」
アルミン「あとは、ベルトルトのケースと同じ要領で
ライナーを溶鉱炉に呼び出し…」
アルミン「ライナーにフットスイッチを踏ませて
拘束してしまえばいい」
ジャン「お、おいおい… 言ってる事はわかるが…」
ジャン「それだとライナーの動きを封じるだけじゃねえか。
そこからどうやって炉の中に落とすんだよ?」
アルミン「フットスイッチを踏んだ人間は
宙に浮いた状態で拘束される」
アルミン「拘束先はベルトルトの時と同じ…
4つの脚の交点の真下だ」
アルミン「そして、4つの脚の交点は炉の中心にある…」
ヒストリア「あっ…!! そ、それじゃあ、
その状態で拘束を外せば…!」
アルミン「そう、ライナーは溶鉱炉の中に真っ逆さま…って訳さ」
ジャン「いや、拘束を外すって… それには
ライナーに近付かなきゃいけないんだろ?」
ジャン「つまり、炉の周辺に足を踏み入れるんだから…
どのみち蓋が閉まって落とせないじゃねえか」
アルミン「拘束を外すのにライナーに近付く必要はないよ」
ジャン「な、なに…?」
アルミン(そう、炉に近付かずに…
安全装置を作動させずに拘束を外す方法がある)
アルミン(それは…)
【安全装置を解除する】
▶【四脚にあるスイッチを押す】
【超硬質ブレードを投げる】
これだ!
今日はここまで
アルミン「拘束トラップの四脚に付いてる
スイッチを押せばいいんだ」
<その他機能>
・ 折り畳んで持ち運ぶことができます。
・ フットスイッチが反応する重量を設定できます。
・ 四脚にあるスイッチで拘束の解除が可能です。
アルミン「スイッチを押すことで、宙に吊り上げられた
人間の拘束を解くことができる…」
アルミン「それはベルトルトの死体を発見した現場でも
確認済みだよ」
アルミン⦅リストに夢中になっているコニーとヒストリアを尻目に、
僕は4つの脚のうちの1つに向かった⦆
アルミン⦅調べると、何やらスイッチのようなものがある。
押してみると…⦆
ガチャ…
アルミン⦅死体を拘束していたワイヤーが外れ、プラプラと宙で踊った⦆
アルミン「あのトラップは折り畳んで持ち運びが可能だし、
セッティングも1人でできる」
コニー『へえ~… でっかいテントの骨組みって感じだな。
この部屋全体を覆ってたのか』
ヒストリア『大きいけど、折り畳めば持ち運びもできるみたいだね…
一応、1人でもセッティングはできるみたいだよ』
アルミン「だから、準備さえしてしまえば…」
アルミン「相手が体格のいいライナーだろうと、
素早く簡単に溶鉱炉の中に落とすことができるんだ」
今日はここまで
ジャン「た、確かに、その方法なら可能かもしれねえが…」
アニ「………………」
ジャン「それにしても、よく考え付くな…
何か推理のきっかけでもあったのか?」
アルミン「痕だよ」
ミカサ「…痕?」
アルミン「炉から少し離れたところに、小さな痕があったんだ」
アルミン⦅それは巨大な炉から少し離れたところにあった⦆
アルミン⦅目を凝らさないとわからない、床についた小さな痕…⦆
アルミン「その痕は全部で4つあって、炉を囲むように
等間隔に並んでいたんだ」
アルミン「炉の安全装置が作動しない、離れた位置にね」
ミカサ「………………」
アルミン「最初は何の痕だろうって思ってたんだけど…」
アルミン「ふと、その位置が拘束トラップの脚の位置関係と
大体同じだって気が付いたんだ」
アルミン⦅僕はそのまま溶鉱炉の周りを回ってみた⦆
アルミン⦅すると、同じような痕が1つ、2つ…⦆
アルミン⦅全部で4つの痕が炉の周りに残されていた⦆
グツグツグツ…
アルミン⦅4つの痕は円形の炉を囲んで等間隔に並んでいる⦆
アルミン⦅これは一体…⦆
ジャン「そんな痕があったのか? 全然気付かなかったが…」
アルミン「かなり小さな痕だったからね…
見逃すのも無理はないよ」
ヒストリア「でも、そんな痕まで残っているのなら、
本当にそのトリックを使ったのかもしれないね…」
アルミン「うん。まあ、実際に拘束トラップを
合わせてみた訳じゃないから、断定はできないけどね」
ヒストリア「ちょっと待って。もし、今のアルミンの推理が
合っているなら…」
ヒストリア「ライナーが殺されたのはベルトルトよりも前…
って事だよね?」
アルミン「そうなるね」
コニー「え、なんでだ?」
アニ「…考えればわかるでしょ。拘束トラップは今
ベルトルトの死体を吊るしてるんだよ?」
アニ「リストを見るに、拘束トラップは1つしかないんだから…」
アニ「それを使うなら、ベルトルトを拘束する前としか
考えられないじゃない」
開発品リスト
①立体起動装置 12台
②時限爆弾 3台
③特殊ガス発生装置 1台
④蓄音機 1台
⑤金属探知機 1台
⑥拘束トラップ 1台
アルミン「アニの言う通りだよ」
アルミン「この推理通りなら、ベルトルトが殺された時、
ライナーは既に殺されていた事になる」
アルミン「そして僕は… ライナーがいつ殺されたのかについても、
おおよそ目星が付いてるんだ」
コニー「えっ!? マ、マジかよ…!!」
アルミン(そう…)
アルミン(ライナーが殺されたのは、おそらく…)
【11日目】
▶【12日目】
【13日目】
これだ!
アルミン(その根拠は…)
【2本の黒槍】
【拘束トラップ】
▶【剣の切れ味】
これだ!
今日はここまで
アルミン「ライナーが殺されたのは12日目…
つまり、昨日の早朝だよ」
ミカサ「昨日の早朝…」
ミカサ「ライナーとベルトルトの正体が巨人だと聞かされて、
あの2人が別行動を取るようになったのが一昨日…」
ミカサ「つまり、その日の夜が明けないうちに
ライナーは殺された… そういう事?」
アルミン「…そうだね」
コニー「な、なんでそこまでわかるんだ…?」
アルミン「剣の切れ味だよ」
ヒストリア「…切れ味?」
アルミン「ミカサが言ってたよね?
12日目の剣だけ他と比べて切れ味が悪かったって」
ミカサ『12日目の剣は数だけじゃなく、
切れ味が他の剣と比べて明らかに違っていた』
コニー『切れ味…?』
ミカサ『あのブレードは本来、巨人のうなじを切り落とすために
かなり鋭利で丈夫に作られている』
ミカサ『それなのに、12日目の剣は…
木の人形も満足に切れない“なまくら”だった』
アルミン「昔、何かの本で読んだことがあるんだ」
アルミン「超硬質ブレードのような剣の素材となる金属は、
不純物が混ざり込むと急激に脆くなるって」
アニ「………………」
アルミン「つまり、12日目に作られた剣は…」
アルミン「“不純物”が混ざったことで金属としての質が落ち、
切れ味が低下してしまったんだ」
ヒストリア「そ、その不純物っていうのは… まさか…」
アルミン「そう… ライナーだよ」
今日はここまで
アルミン「ついでに言うと、12日目の剣は
現場にあった剣と同数分だけ無くなっていた」
アルミン「その事から考えても、現場にあった剣は
12日目のもので間違いない」
アルミン「…そうだったよね、ジャン?」
ジャン「あ、ああ…」
ジャン『ああ、本数ならちゃんと数えたぞ。
無くなってたのは全部で16本だ』
ジャン『現場にあった剣は、死体に刺さってるのが9本、
床に刺さってるのが7本で、全部で16本だった…』
ジャン『数もぴったり合ってるから、犯人は全て
12日目の剣から持ち出したとみて間違いないだろうな』
ヒストリア「そっか、ライナーが剣に姿を変えて発見されたっていう
アルミンの推理を踏まえるなら…」
ヒストリア「現場にあった剣が全て12日目のものだった時点で、
ライナーが殺されたのは12日目だと言えるって事だね」
アルミン「うん、その通りだよ」
アルミン「加えて、モノクマファイルには
“死亡時刻は午前4時頃”と記されていたから…」
アルミン「ライナーが殺されたのは昨日の早朝4時頃…
これで間違いないと思う」
■ モノクマファイル 3 ■
被害者はライナー・ブラウン。
死亡時刻は午前4時頃。
今日はここまで
アルミン「きっと、今回のライナー殺しは…
モノクマも凄く悩んだんじゃないかな」
コニー「…? ど、どういう事だ?」
アルミン「兵団裁判やそれに伴う捜査は、
死体が発見されることが前提になっているよね」
アルミン「だけど、今回の殺人では溶鉱炉に落とすという
“死体が残らない殺人”が行われた」
アルミン「これでは、せっかく殺人が起きても裁判が開けない…
これにはモノクマも困ったはずだよ」
アルミン「だから、モノクマは苦肉の策として
剣をライナーの死体に見立てる事にした」
アルミン「おそらく犯人は、それをモノクマに聞いて…
あるいはそれを見越して、今回の計画を立てたんだ」
モノクマ「………………」
ジャン「な、なんだそりゃあ…?
全部分かった上でやってたってのか?」
ミカサ「それは… そうだと思う。
とても行き当たりばったりでやった事だとは思えない」
ヒストリア「だとすると、今回の犯人は相当頭が回るんだろうね」
ヒストリア「とてもじゃないけど、そんな計画…
普通じゃ考え付かないよ」
ジャン「確かにな。ならいっそ、頭の回りそうな奴で絞っちまうか?」
アニ「…ジャン」
ジャン「けっ、分かってるよ。それにしたってな…」
ジャン「誰なんだよ… 本当に」
ミカサ「………………」
コニー「………………」
ジャン「………………」
ヒストリア「………………」
アニ「………………」
アルミン「………………」
アニ「…少し情報を整理しようか」
アニ「今のアルミンの推理が正しいとすると…
ライナーが殺されたのは昨日の午前4時頃」
アニ「その後、犯人はその日の昼過ぎから夕方にかけて
睡眠ガスでミカサ、ジャン、ヒストリアを眠らせている」
アニ「それと大体同じ時間帯に、私はアルミンと研究開発所を
覗いているけど、その時にはベルトルトの死体は無かった」
アニ「研究開発所を確認した後、突然大雨が降りだして
私とアルミンは急いで寄宿舎に戻り、それをコニーが出迎えた」
アニ「私たちは入浴した後しばらくコニーの部屋で過ごし、
その後自室に戻って眠りについた」
アニ「翌朝、けたたましい爆音と共に目を覚ました私たちは、
ミカサ、私、アルミンの順で寄宿舎前の爆発痕を発見した」
アニ「その爆発痕からは、研究開発所に伸びる
1人分の足跡があった」
アニ「そこに起きてきたジャンが加わったとき、2度目の爆発が
研究開発所前で起きて…」
アニ「私、ミカサ、アルミンは研究開発所に向かい、
ジャンは他のメンバーの安否を確かめに行った」
アニ「研究開発所についた私たちは、そこでベルトルトの
死体を発見した… こんなところだよね?」
今日はここまで
アルミン「うん、合ってる… と思う」
ジャン「…ちょっと待て。昨日、研究開発所を覗いているのか?」
アニ「覗いたよ。アルミンと2人でね」
ジャン「中には入ったのか?」
アニ「入ったけど」
ジャン「そいつは… おかしくねえか?」
アニ「…何が?」
ジャン「中に入ったって事は… その時点では
拘束トラップは仕掛けられてなかったんだろ?」
アルミン「それは… 何とも言えないよ」
アルミン「中は薄暗い上に装置類で溢れかえっていたし…」
アルミン「拘束トラップは部屋全体を覆うような形をしていたから、
見逃したかも…」
ジャン「そうじゃねえよ」
アルミン「えっ…?」
ジャン「ベルトルトは研究開発所の中に入ろうとして
拘束トラップのフットスイッチを踏んじまったんだろ?」
ジャン「もしその時点で仕掛けられていたなら、
お前らが拘束されちまうだろうが」
今日はここまで
ヒストリア「あっ、そっか…!」
ヒストリア「アルミンとアニが普通に入れたって事は、
その時点で拘束トラップは仕掛けられてなかったんだね!」
ジャン「ああ… だが、そうなると疑問点が出てくる」
ジャン「アニの話だと、研究開発所を確認した後に
突然大雨が降りだしたという事だが…」
ジャン「研究開発所を出てから雨が降り出すまでの時間は
どれくらいだったんだ?」
アニ「詳しくは憶えてないけど… 割とすぐだったと思うよ」
ジャン「それなら… ますます妙だな」
コニー「な、何が妙なんだ…?」
ジャン「今の話から考えると、拘束トラップが仕掛けられたのは
2人が研究開発所を去ってからだ」
ジャン「だが、研究開発所を去ってから時間を置かずに
大雨が降り出している…」
ジャン「すると、犯人は大雨の中で研究開発所にやって来た事になるが…
ここで例の謎にぶち当たるだろ?」
今日はここまで
ミカサ「…足跡」
ジャン「そうだ。雨の中で研究開発所まで来たのなら、
地面に足跡が残るはずだ」
ジャン「だが、今朝見たときにはベルトルト1人分の
足跡しかなかった… そうなんだろ?」
アルミン「…うん」
ジャン「犯人は足跡を残さずにどうやって
研究開発所へ向かったのか…」
ジャン「…今度はその謎を解かねえとな」
― 議 論 開 始 ―
【モノクマファイル 3】
【2本の黒槍】
【多数の剣】
▶【拘束トラップ】
【特殊ガス発生装置】
【炉の周りの小さな痕】
今日はここまで
ジャン「昨日、アルミンとアニは研究開発所に入っている」
ジャン「その時には【まだベルトルトの死体はなかった】」
ジャン「さらに、2人が拘束されることはなかったから…」
ジャン「少なくとも、【その時点でトラップは仕掛けられていなかった】」
ヒストリア「そして、2人が研究開発所を去った後…」
ヒストリア「【時間を置かずに大雨が降り出した】んだったよね?」
ミカサ「つまり、犯人は…」
ミカサ「雨が降り出した後に研究開発所に出入りしていることになる」
ミカサ「【足跡を一切残さず】に…」
アルミン(あの人の発言… そう断定はできないはずだ)
アルミン(まずはそこを指摘してみよう)
ジャン「昨日、アルミンとアニは研究開発所に入っている」
ジャン「その時には【まだベルトルトの死体はなかった】」
ジャン「さらに、2人が拘束されることはなかったから…」
ジャン「少なくとも、【その時点でトラップは仕掛けられていなかった】
それは違うよ!
アルミン「いや… あの時に僕たちが拘束されなかったからと言って、
トラップが仕掛けられてなかったとは言えないんじゃないかな?」
ジャン「は…? 何言ってんだ?
仕掛けられていたなら拘束されてたはずだろうが」
アルミン「そもそも、その理論が違うと思うんだ。
仕掛けられていても、僕たちが拘束されるとは限らない」
ミカサ「…どういう事? アルミン」
アルミン(そう… 仮にあの時にトラップが仕掛けられていたとしても、
僕たちが拘束されるとは限らない)
アルミン(拘束トラップの“ある機能”を利用すれば
僕たちを拘束させず、ベルトルトだけを拘束させることができる)
アルミン(その機能は…)
【折り畳み機能】
▶【フットスイッチの重量設定】
【四脚のスイッチによる拘束解除】
これだ!
今日はここまで
アルミン「フットスイッチの重量設定を使えばいいんだ」
コニー「重量設定…? なんだそりゃ?」
アルミン「拘束トラップの機能の1つだよ」
アルミン「ほら、ここを見て。
拘束トラップの <その他機能> のところ…」
⑥拘束トラップ
<概要>
フットスイッチを踏んだ相手を瞬時に拘束できるトラップです。
<使い方>
(1)装置を組み立てます(四脚を立てて下さい)。
(2)フットスイッチを任意の場所にセットします。
(3)四脚の交点から伸びるワイヤーをフットスイッチに繋げます。
(4)相手がフットスイッチを踏むのを待ちます。
<その他機能>
・ 折り畳んで持ち運ぶことができます。
・ フットスイッチが反応する重量を設定できます。
・ 四脚にあるスイッチで拘束の解除が可能です。
ミカサ「確かに… リストに記述がある」
コニー「へー、そんなのあったのか…
で、重量設定って何なんだ?」
アルミン「フットスイッチが反応する重量…
つまり、罠が発動する人の体重を決められるんだと思う」
ヒストリア「体重… あっ」
ヒストリア「そっか、アルミン達が拘束されるとは
限らないっていうのは… そういう事なんだね」
今日はここまで
コニー「…?? ど、どういう事だ?」
ヒストリア「例えば、フットスイッチが作動する体重を
“ベルトルト以上の重さ”にしておけば…」
ヒストリア「アルミンとアニがフットスイッチに乗っても、
罠が発動する事はないよね?」
コニー「…おお、なるほど!」
アルミン「ヒストリアの言う通りだよ」
アルミン「その重量設定なら、僕とアニだけじゃなく、
ここにいる全員がフットスイッチに乗っても作動しなくなる」
アルミン「つまり、あの時点で拘束トラップが仕掛けられていたとしても、
僕たちが拘束される事はなかったんだ」
ジャン「…それなら、犯人はベルトルトの体重を把握してたって事か?」
アニ「正確に把握する必要はないんじゃない?
あいつは他のメンバーに比べて一回り体格が大きかったし…」
アニ「あいつと体格が似たライナーも、すでに殺されてたんだしね。
それならおおよその設定でも、罠に引っかかるのはベルトルトだけさ」
アルミン「うん、それに、正確な体重が知りたければ
モノクマに聞くなりすればいいだろうし…」
モノクマ「コ、コラーッ! 何でもかんでもボクに頼ろうとするなー!!」
ミカサ「なるほど。それなら、アルミンとアニが確認した段階で
罠が仕掛けられていた可能性は残る」
ジャン「…そうだな。そうなってくると、また色々変わってくるか…?」
アルミン「………………」
アニ「じゃあ、あの時点で罠がすでに仕掛けられていたとして…
もう一度考えを整理してみようか」
― 議 論 開 始 ―
【モノクマファイル 3】
【2本の黒槍】
▶【多数の剣】
【拘束トラップ】
【特殊ガス発生装置】
【炉の周りの小さな痕】
アニ「私とアルミンが覗いたときに罠が仕掛けられていた場合…」
アニ「犯人の動きはどう変わるんだろうね」
ジャン「雨が降る前に仕掛けられていたのなら…」
ジャン「犯人はもう【研究開発所に行く必要がなくなる】な」
ジャン「あとはベルトルトが拘束されて…」
ジャン「【眠りこけたところに槍がぶっ刺さる】のを待てばいいんだから」
コニー「おお、それなら足跡の問題も解決するな!」
コニー「もうこれしかねーだろ!」
アルミン(いや… 問題はそう単純じゃない)
アルミン(罠がすでに仕掛けてあったとしても、大きな謎は残るんだ)
アニ「私とアルミンが覗いたときに罠が仕掛けられていた場合…」
アニ「犯人の動きはどう変わるんだろうね」
ジャン「雨が降る前に仕掛けられていたのなら…」
ジャン「犯人はもう【研究開発所に行く必要がなくなる】
それは違うよ!
今日はここまで
アルミン「いや… 罠がすでに仕掛けられていたとしても、
犯人はもう一度、研究開発所に向かう必要があったはずだよ」
ジャン「は…? なんでだよ?
罠を仕掛けたらあとは待つだけじゃねえのか?」
アルミン「剣だよ」
ミカサ「…剣?」
ヒストリア「剣って… ライナーの?」
アルミン「そう… ライナーが落とされた溶鉱炉で作られた剣だよ。
あの現場には、例の剣がたくさん刺さってたよね?」
アルミン⦅この現場の異様な点は3つある⦆
アルミン⦅1つ目は、被害者が宙に浮いた状態で拘束されていること⦆
アルミン⦅2つ目は、2本の槍で被害者の頭部と胴体が貫かれていること⦆
アルミン⦅そして3つ目は、被害者の体や床に
多数の剣が突き刺さっていること…⦆
アニ「…そうか」
アニ「私たちが覗いた時には、あの剣はなかった…」
アルミン「そうなんだよ」
アルミン「僕とアニが訓練開発所を覗いた時には、
あんなにたくさんの剣が刺さってるなんて事はなかったんだ」
アルミン「つまり、あの剣は…
犯人が僕らの後にやって来て刺したとしか考えられない」
ジャン「…それも見逃した、なんて事はないのか?」
アルミン「部屋全体を覆うような拘束トラップならともかく、
床にあれだけの剣が刺さっていたらさすがに気付くよ」
アルミン「それに何より… 被害者であるベルトルトの体にも
剣は刺さっていたんだから」
ミカサ「…なるほど、それなら確実に
犯人はベルトルトが拘束された後に来た事になる」
今日はここまで
コニー「ん…? それじゃあ、足跡の件はどうなるんだ?」
コニー「罠を仕掛けて放置すればいいだけなら、
犯人の足跡が無いのはわかるけどよ…」
コニー「ベルトルトが拘束された後に犯人が来たなら、
犯人の足跡が残ってなきゃおかしいんじゃねーのか?」
アルミン「うん、おかしいね」
コニー「おかしいねって…」
アルミン「でも、犯人がベルトルトの後に来たのは確かなんだ」
アルミン「それはつまり… 犯人が一切の足跡を残さずに
研究開発所へ行き来したという事になる」
ジャン「…何だよ。結局その問題に戻っちまうのか」
ヒストリア「足跡の問題… それがこの事件の肝って訳だね」
アルミン「そうだね。そして、その謎が解ければ
この事件の真相に一気に近づける…」
アルミン「…そんな気がするんだ」
アニ「………………」
ミカサ「…だったら、考えれてみればいい」
ミカサ「雨で地面がぬかるんでいる中、
犯人が足跡を残さずに現場へ行き来した方法…」
ミカサ「またみんなで意見を出し合ってみればいい」
アルミン「うん… そうだね」
アルミン「そのために今、こうして集まっているんだからね」
― 議 論 開 始 ―
【モノクマファイル 3】
▶【足跡】
【溶鉱炉の安全対策】
【剣の切れ味】
【九つの巨人】
今日はここまで
コニー「犯人が足跡を残さなかった方法か…」
コニー「研究開発所にあった【立体起動装置】とかどうだ?」
アニ「…私たちはまだ誰も使えないでしょ」
アニ「仮に使えたとしても…」
アニ「寄宿舎から研究開発所まで【利用できそうな立体物はなかった】よ」
コニー「うーん、それなら…」
コニー「【寄宿舎から研究開発所に続く地下通路】があったりして…」
ヒストリア「研究開発所は一通り調べたけど、そんなのなかったよね?」
ミカサ「…これは難しい」
ミカサ「せめて、【犯人が研究開発所に向かった時間】が絞れれば…」
アルミン(…そうか、あの人が言った内容なら立証できるかもしれない)
アルミン(方法がわからないなら、まずは外堀から埋めていこう)
コニー「犯人が足跡を残さなかった方法か…」
コニー「研究開発所にあった【立体機動装置】とかどうだ?」
アニ「…私たちはまだ誰も使えないでしょ」
アニ「仮に使えたとしても…」
アニ「寄宿舎から研究開発所まで【利用できそうな立体物はなかった】よ」
コニー「うーん、それなら…」
コニー「【寄宿舎から研究開発所に続く地下通路】があったりして…」
ヒストリア「研究開発所は一通り調べたけど、そんなのなかったよね?」
ミカサ「…これは難しい」
ミカサ「せめて、【犯人が研究開発所に向かった時間】
それに賛成だ!
アルミン「足跡のトリックはまだわからないけど…」
アルミン「犯人が研究開発所に向かった時間は
ある程度絞れるかもしれない」
コニー「犯人が研究開発所に向かった時間って…
雨が降り出してから夜にかけてじゃねーのか?」
アルミン「もっと具体的な時間だよ」
アルミン「結論から言うと、そう…
犯人が現場を行き来したのは、雨が降り止んでからだと思う」
今日はここまで
ヒストリア「雨が降り止んでから…? どうしてそう言えるの?」
アルミン「根拠はベルトルトの足跡だよ」
アルミン「寄宿舎から研究開発所まで続いていたベルトルトの足跡は
かなり綺麗な状態で残されていたよね?」
アルミン「それがベルトルトの足跡だと判別できるくらい…」
ジャン『あの足跡はベルトルトのもんだ。
現場にあった死体の靴と照合したから間違いねえ』
コニー「え…? なんで足跡が綺麗に残っていた事が根拠になるんだ?」
アルミン「よく考えてみて」
アルミン「もし土砂降りの中で研究開発所に向かったとすると…
足跡はあんなに綺麗に残るものかな?」
アルミン「雨の勢いで消えてしまうか、もっと形が崩れそうじゃない?」
ミカサ「確かに…」
ミカサ「そういえば、ベルトルトの死体も
濡れたような痕跡は特になかった」
アルミン「昨日雨が降り出したのは、僕とアニが
研究開発所を出てから間もなくの事だった」
アルミン「それで、僕たちは訓練所を通って
急いで寄宿舎に駆け込んだ訳だけど…」
アルミン「今日になってみると、僕とアニが
寄宿舎に向かったときの足跡はすっかり無くなっていたんだ」
アニ「…そういえば、そうだったね」
アニ「つまり、少なくとも雨が降り出した直後についた足跡は
消えてしまったって事だね」
アルミン「それにもかかわらず、ベルトルトの足跡は
あんなにはっきりとした形で残されていた」
アルミン「加えて、ミカサが言ったように
死体が濡れているような様子もなかった」
アルミン「つまり、ベルトルトが研究開発所に向かったのは
雨が降り止んでから…と時間を絞れると思うんだ」
ジャン「ふん、なるほど… で、雨はいつ降り止んだんだ?」
ヒストリア「それはわからないんじゃないかな…
私たちは睡眠ガスで眠っていたんだし」
ジャン「お前らはどうなんだ? アルミン、アニ、コニーの3人は
ガスを吸わなかったんだろ?」
アニ「さあね… 私が眠りについた時にはまだ降ってたと思うよ。
眠った時間は憶えてないけど」
アルミン「僕もアニと同じかな… コニーは?」
コニー「んー、憶えてねえなあ…
途中で何回か雷が鳴ったのは聞こえたけど…」
今日はここまで
>>1が今の進撃の展開についてどう思ってるかきになる
ジャン「ったく、何だよ… はっきりしてねえじゃねえか」
ヒストリア「まあまあ…」
ミカサ「…やはり、足跡のトリックを解くしか道はない」
コニー「つってもなあ… 立体機動装置も地下通路も違うんだろ?」
アルミン「………………」
アルミン(足跡のトリック…)
アルミン(足跡を残さずにぬかるんだ地面を行き来する方法…)
アルミン(何か… 見逃してないか?)
アルミン(何か根本的な事を…)
― ロ ジ カ ル ダ イ ブ 開 始 ―
今日はここまで
>>458
全く先が読めなくてワクワクしてます
アルミン「やっぱり変だ…」
コニー「…は?」
アルミン「違和感の正体がやっとわかった…」
アルミン「今回の犯人像が定まらなかったのは、
きっとこれが大きな要因だったんだ」
ヒストリア「な、何の話…?」
アルミン「順を追って説明するよ」
アルミン「まず、今回の事件はかなり計画的な犯行だった…
これはいいよね?」
ジャン「…? あ、ああ…」
ジャン「犯人は死体が残らないようにライナーを殺した後、
ベルトルトをモノクマに殺させて…」
ジャン「ベルトルトの死体でライナー殺しを
カモフラージュしてたんだから、完全に計画的だろ?」
ミカサ「それに、今話していた足跡のトリックも使っている。
とても突発的な犯行だとは思えない」
アルミン「…うん。だけど、それにしては妙なんだよ」
ミカサ「?」
アルミン「今ミカサが言った足跡のトリックだけど…
あれを犯人が考え付いたのは、11日目以降のはずなんだ」
ジャン「11日目って… 一昨日か?」
アニ「…なぜそう言えるの?」
アルミン「観測所の黒板だよ」
アルミン「僕は11日目の朝食後、しばらく経ってから
観測所に行ってるんだけど…」
アルミン「その時、観測所の黒板に書かれていたのは
こういう内容だったんだ」
DAY 11 晴れ のち 曇り
DAY 12 曇り
DAY 13 曇り
DAY 14 晴れ のち 曇り
DAY 15 晴れ
DAY 16 曇り
DAY 17 曇り
今日はここまで
コニー「…ん?」
コニー「昨日って12日目だよな…?
大雨降った日なのに『曇り』になってるぞ」
ヒストリア「あれ? 本当だ… どうして?」
アルミン「これが書かれてあった黒板はそもそも、
その日から7日分の天気を予報するものなんだ」
アルミン「つまり、この時… 11日目の午前の段階では、
12日目が『曇り』という予報だった事になる」
アルミン「だけど、今日の捜査でもう一度確認した時には…」
DAY 13 曇り
DAY 14 晴れ のち 曇り
DAY 15 晴れ
DAY 16 曇り
DAY 17 曇り
DAY 18 曇り
DAY 19 晴れ
DAY 01 晴れ
DAY 02 晴れ のち 曇り
DAY 03 曇り
DAY 04 晴れ
DAY 05 晴れ
DAY 06 曇り
DAY 07 曇り のち 晴れ
DAY 08 曇り
DAY 09 晴れ
DAY 10 晴れ
DAY 11 晴れ のち 曇り
DAY 12 曇り のち 大雨 時々 雷
今日はここまで
アルミン「1つ目は黒板に書いてあった予報…」
アルミン「2つ目はこの裁判中にも見せた紙束…
過去の天気を記録したものだよ」
ミカサ「…確かに、ここでは12日目の天気は
『曇り のち 大雨 時々 雷 』とある」
ミカサ「つまり、アルミンが最初に確認した
11日午前から…」
ミカサ「13日目… 今日の捜査で確認するまでに
予報が変わっていたということ?」
コニー「予報が変わっていたのはもっと前なんじゃねえのか?
実際に雨が降ったのは12日目だったろ?」
ヒストリア「天気の“予報”だもんね。つまり、
実際に変わったのは11日午前から12日目の…」
アルミン「いや、もっと前だ」
ヒストリア「えっ…」
アルミン「この予報が変わったのは…」
アルミン「11日目の午前から遅くても11日目の夜…
この間だと思う」
今日はここまで
ジャン「は…? なんでそうなるんだ?」
アルミン「ライナーが12日目の早朝に殺されているからだよ」
アルミン「よく考えてみて。
ライナーをあの方法で殺してるっていう事は…」
アルミン「その時点で、犯人は
足跡のトリックを使う気だったはずなんだ」
ヒストリア「あっ、そっか…」
ヒストリア「ライナーをあの方法で殺してるっていう事は、
ベルトルトを利用した死体誤認のトリックも使う気だったはずだから…」
ヒストリア「ベルトルト殺害に関係する足跡のトリックも
考えてたはずだよね…?」
アルミン「うん。そう考えた方が自然だと思う」
アルミン「さっきも言った通り、ライナーは12日目の早朝に
殺されている事がわかっているから…」
アルミン「殺人の準備やライナーの呼び出しも考慮して、
11日目の夜には全ての計画を練っていたと考えるべきだよ」
ミカサ「…なるほど。11日目の夜に全ての計画を練っていたのなら、
その時点で雨が降る事がわかっていなければおかしい」
ミカサ「つまり、遅くても11日目の夜までには
天気の予報が変わっていた… そういう事?」
アルミン「うん、だけど… ちょっと腑に落ちないんだ」
ミカサ「?」
アルミン「今の話を踏まえると、犯人は11日目の午前から夜の間に
観測所に来ている事になるけど…」
アルミン「犯人は一体どのタイミングで観測所に来たんだろうって…」
今日はここまで
ジャン「どのタイミングでって…
今言ってた11日目の午前から夜の間だろ?」
アルミン「そうなんだけど… 実際その中で
観測所に来れる時間帯は限られてると思うんだ」
アニ「…どういう事?」
アルミン「思い出してみて。11日目は何があった日だった?」
モノクマ『ライナー・ブラウンとベルトルト・フーバーです』
コニー「あの日は… モノクマから呼び出された日だったよな?」
コニー「ライナーとベルトルトが【裏切り者】で、
超大型巨人と鎧の巨人の正体だって言われて…」
アルミン「そう、その発表を受けてライナーとベルトルトは
僕たちの元から去っていった…」
アニ「………………」
アルミン「…問題はここだと思うんだ」
今日はここまで
ヒストリア「ここって… どういう事?」
アルミン「今回、ライナーとベルトルトが殺されたのは、
あの発表のせいなんじゃないかな」
アルミン「ライナーとベルトルトは【裏切り者】だった。
その事実が犯人の殺意に火をつけて2人は殺された…」
ジャン「…まあ、その可能性は高いだろうな。
わざわざあの2人を同時に殺す理由は他にないし…」
ジャン「今の話を踏まえれば、あの発表から一晩と経たずに
犯人は動き出してるんだしな」
ミカサ「あの発表が犯行の動機となったのなら、
犯人が計画を思い付いたのはその後…」
ミカサ「つまり、犯人が観測所で天気が変わっている事を知って
足跡のトリックを考えたのも、あの発表の後…」
ヒストリア「そっか、犯人が観測所に来れる時間が
限られるっていうのはそういう…」
アルミン「いや、それだけじゃないんだ」
ヒストリア「…?」
アルミン「あの発表の後、ライナーとベルトルト以外のメンバーは
しばらく一緒に行動してたよね?」
アルミン⦅こうして、ライナーとベルトルトは
僕たちのもとから去っていった⦆
アルミン⦅残された僕たちは、しばらくその場に留まっていたが…⦆
アルミン⦅あたりが暗くなり始めると、夕食を摂るために
食堂へ向かった⦆
アルミン⦅重苦しい食事を済ませた後…⦆
アルミン⦅僕たちは大浴場で汗を流し、それぞれの個室へと戻っていった⦆
アルミン「あの後、僕たちはみんなで食堂に行って
夕食を済ませてから…」
アルミン「男女に分かれて大浴場で入浴してから
それぞれの個室に戻ったよね?」
コニー「そうだな。風呂浴びてさっぱりしたら
そのまま個室のベッドで眠っちまって…」
ヒストリア「…あれ? ちょっと待って」
ヒストリア「それじゃあ… 犯人はいつ観測所に行ったの?」
コニー「…え?」
ヒストリア「私たちの中に犯人がいるのなら、
観測所に行く時間は無いんじゃ…」
アニ「………………」
ヒストリア「だって、入浴が終わったのって
夜も結構遅い時間だったよ?」
ヒストリア「そこから観測所に行って、天気が変わっている事を知って、
2人の殺害計画を思い付いて…」
ヒストリア「その後、溶鉱炉でトラップを仕掛けて
夜が明けないうちにライナーを呼び出して…」
ヒストリア「…っていうのはかなり無理があるんじゃないかな」
アルミン「ヒストリアの言う通りだよ」
アルミン「モノクマの発表が犯行の引き金になっているなら、
当然計画を思いついたのはそれ以降のはずだよね?」
アルミン「だけど、あの発表以降の時間、
僕たちはほとんど行動を共にしていたんだ」
アルミン「入浴の時は男女別に分かれたけど…
途中でいなくなった人なんていた?」
コニー「男の方はいなかったな。ほぼ全員同時に
風呂から上がってたぞ」
アニ「…女の方も同じだね。
部屋に戻ったのもみんなで連れ立って、って感じだったからね」
アルミン「…だとすると、犯人が観測所に向かったのは
それから後の話になる」
アルミン「だけど、さっきヒストリアも言った通り…
かなり無理があると思うんだよ」
アルミン「僕が感じていた違和感の正体は
まさにこれだったんだ」
ミカサ「………………」
アルミン「ライナーの呼び出し1つにしたってそうだ」
アルミン「ライナーはモノクマの発表を受けて
僕たちと行動を別にしたばかりだったよね?」
アルミン「そんな状態のライナーをどうやって呼び出したんだろう?」
アルミン「ベルトルトと行動を共にして、
警戒心が剥き出しだったであろうライナーを…」
今日はここまで
ジャン「そりゃあ…」
コニー「………………」
ヒストリア「………………」
アニ「…例えば、こういうのはどう?」
アニ「犯人はモノクマの呼び出し前に観測所に来ていて、
天気が変わっている事を知っていた」
アニ「その時点では2人を殺すつもりはなかったけど…」
アニ「モノクマの発表の後、観測所で見た大雨の予報を思い出して、
足跡のトリックを使った2人の殺害を思い付いた…」
コニー「おー… それなら確かに、わざわざ風呂入った後に
観測所に行く必要がなくなるな」
ミカサ「それなら、ライナーの呼び出しは?
どうやって警戒しているライナーを溶鉱炉まで呼んだの?」
アニ「…さあね。そこまではわからないよ」
ジャン「ああクソッ、どうなってやがんだ…
全然前に進んでる感じがしねえぞ」
アルミン「………………」
アルミン「…モノクマ」
モノクマ「………………」
アルミン「…おい、モノクマ!」
モノクマ「…んあ?」
ジャン「『…んあ?』じゃねーよ!
お前まさか寝てたんじゃねーだろうな!?」
モノクマ「そ、そんな訳ないじゃん!
ちゃんと聞いていましたとも! ええ!」
モノクマ「で? 何の話でしたっけ?」
ジャン「聞いてねえじゃねえか!」
モノクマ「ごめんごめん… で、本当に何の話?」
アルミン「…聞きたい事があるんだ」
アルミン「観測所にある黒板の天気予報だけど…
あれはどれくらいの頻度で変わるものなんだ?」
モノクマ「…は? 天気予報?」
モノクマ「何それ?」
アルミン「…え?」
ヒストリア「何それって… 観測所の黒板だよ。
あそこに7日分の天気の予報が書き出されるんでしょ?」
モノクマ「え? いやいや、そんな事一言も言ってないけど?」
アルミン(…え?)
コニー「おいおい… 何言ってんだ?
今は天気の予報の話をしてたんだぞ?」
コニー「12日目の天気が『曇り』から
『曇り のち 大雨 時々 雷 』に変わってて…」
モノクマ「んん…? 雷…?」
モノクマ「そんなオプションないはずだけど?」
アルミン(…オプション?)
ドクン
コニー「な、なんだ…? 話が噛み合わねえぞ…?」
ドクン
アルミン(オプション…)
アルミン(雷…)
今日はここまで
アルミン『まだはっきりとは言えないけど…
こういうのはどう?』
アルミン『出来るだけ大きな爆発痕を残したかった…とか』
コニー『んー、憶えてねえなあ…
途中で何回か雷が鳴ったのは聞こえたけど…』
アルミン「…っ!!」
アニ「…アルミン?」
ドクン
アルミン(そんな…)
アルミン(まさか、そういう事なのか…?)
コニー「…ん? どうした?」
ドクン
アルミン(だけど、この推理は…)
アルミン(この推理を伝えるという事は…)
アルミン「………………」
コニー「お、おい… 本当にどうした?
急に黙り込んで…」
アルミン「…………犯人」
コニー「…は?」
アルミン「犯人が… わかったかもしれない」
ヒストリア「ええっ…!?」
ミカサ「…!!」
ジャン「な… なんだって!?」
アルミン「今のモノクマの発言でやっとわかったよ…」
アルミン「ライナーを溶鉱炉で殺し、ベルトルトを
モノクマに処刑させた犯人…」
アルミン「当てはまる人物は… たった1人しかいない」
アルミン(…この推理を伝えれば、もう後戻りはできない)
アルミン(だけど、やっぱり僕には…)
アルミン(これが正解だとしか思えない)
― 人 物 を 指 名 し ろ ―
今日はここまで
【ミカサ・アッカーマン】
【ライナー・ブラウン】
【ベルトルト・フーバー】
▶【アニ・レオンハート】
【エレン・イェーガー】
【ジャン・キルシュタイン】
【コニー・スプリンガー】
【サシャ・ブラウス】
【クリスタ・レンズ】
【アルミン・アルレルト】
【ミーナ・カロライナ】
【ユミル】
これが僕の答えだ!
アルミン「アニ… 君じゃないの?」
アニ「………………」
アルミン「ライナーを溶鉱炉に誘い出して殺し…」
アルミン「研究開発所でベルトルトを拘束して、
モノクマに串刺しにさせた…」
アルミン「それは全部… 君の仕業じゃないの?」
ジャン「なっ…!?」
コニー「…えっ?」
ヒストリア「…!?」
ミカサ「………………」
アニ「………………」
アニ「…はあ」
アニ「なんでそうなるのさ」
アルミン「観測所の黒板だよ」
アルミン「僕たちは今まで、あれは7日分の天気を
予報するものだと思っていた」
アニ「は…? そうなんでしょ?」
アルミン「違うよ。それがそもそも間違っていたんだ」
アルミン(そう… それがそもそもの間違いだった)
アルミン(あれは7日分の天気を予報するものじゃない…)
アルミン(あれは…)
【7日分の天気を記録するもの】
▶【7日分の天気を操作するもの】
【単なる落書き】
これだ!
アルミン「あれは… 7日分の天気を
操作するものだったんじゃないの?」
ヒストリア「えっ… そ、操作?」
アニ「………………」
ジャン「お、おい、どういう事だ!?」
アルミン「さっきのモノクマの発言が引っかかってたんだ」
ヒストリア『何それって… 観測所の黒板だよ。
あそこに7日分の天気の予報が書き出されるんでしょ?』
モノクマ『え? いやいや、そんな事一言も言ってないけど?』
モノクマ『んん…? 雷…?』
モノクマ『そんなオプションないはずだけど?』
アルミン「『7日分の天気の予報が書き出される』という言葉に対して、
モノクマは『そんな事一言も言ってない』と言った」
アルミン「それはつまり、あれは
天気の予報じゃなかったって事じゃないの?」
アルミン「12日目の天気にあった『雷』に対して、
モノクマは『オプション』と言った」
アルミン「オプションって…
まるで自分の好きなように選べるって言い方じゃないか」
アニ「………………」
アルミン「だから、僕は思ったんだ」
アルミン「僕たちは、あの黒板に対して
大きな勘違いをしていたんじゃないかって」
アニ「…だからさ、どうしてそれで私が犯人っていう話になるの?」
ヒストリア「そう…だよね…?」
ヒストリア「アニの言う通り… 仮に今の話が合っていたとしても、
それでアニを犯人扱いできるとは思えないけど…」
アルミン「逆だよ、ヒストリア…
今の話が合っていたら、アニが一気に怪しくなるんだ」
アルミン「そもそもの話、どうして僕たちは
そんな勘違いをしていたのか…」
アルミン「思い返してみると…
それはある人の発言のせいだったんだよ」
アニ『私は別の建物を見てきたよ』
ベルトルト『もしかして、小高い丘の上にあった丸い屋根の?』
アニ『そうだけど… どうしてわかったの?』
ベルトルト『いや… その建物の方で
ちらっと君の姿が見えたから…』
ライナー『鍵は開いてたのか?』
アニ『うん、中は… 観測所っていったところかな』
コニー『なんだそれ?』
アニ『気温や湿度、気圧なんかを事細かに測っているようだった。
おまけに… 天気の予想なんかもしてたよ』
アルミン『天気の予想って…どういう事?』
アニ『そのままの意味さ。大きな黒板に色々書かれていてね。
この日は晴れ、この日は雨って感じで…』
アニ『ちなみに、明日は【晴れ のち 曇り】だったよ』
ライナー『外の天気の事か?』
アニ『いや、この施設の中らしいけど』
コニー『…? この施設に天気なんてあんのかよ?
一応、天井の明かりで昼と夜はあるようだけど…』
ヒストリア『うーん、その天井の明かりで
晴れや曇りっぽくするって事なんじゃない?』
ヒストリア『雨は…よくわからないけど』
ジャン「確かに… 言ってたな」
ジャン「あれは天気の予想だって…」
アニ「…ああ、そういう事?」
アニ「違うよ。あれは黒板に書き出された天気を
私が勝手にそう思っただけで…」
アルミン「本当にそうかな?」
アルミン「観測所に関する君の発言… よく思い出してみてよ」
アニ『いや、この施設の中らしいけど』
アニ『望遠鏡らしいよ。星を見るための』
アニ『…そう、天気の予報さ。
7日間分を書き出してるらしいよ』
アルミン「観測所に関して君が質問されたとき…
君はやたらと『らしい』という言い方をしたよね?」
アルミン「あれはつまり… 誰かから聞いたっていう事じゃないの?」
コニー「誰かって…」
アルミン「モノクマだよ」
アルミン「施設内の探索の時から
アニは『らしい』という言い方をしていたよね?」
アルミン「あの時、観測所を調べていたのはアニだけだったんだから…」
アルミン「僕たちの誰かがアニに
観測所の詳細な情報を教えるっていうのは考えられない」
アルミン「だとしたら、考えれるのは… モノクマだけだよ」
アルミン「つまり、君は探索時に…
モノクマから観測所の詳しい説明を受けていたんだ」
アルミン「その時に聞いていたんじゃないの?
あの黒板は… 施設内の天気を操作できるものだって」
アニ「………………」
アルミン「それなのに、君は僕たちに対して嘘をついた」
アルミン「あれは天気を予想するものだという、意図的な嘘を…」
アルミン「…もっと言おうか?」
アルミン「君はこうも言っていたよね?」
アニ『そのままの意味さ。大きな黒板に色々書かれていてね。
この日は晴れ、この日は雨って感じで…』
アルミン「『この日は雨』… 君は確かにそう言っていた」
アルミン「あの時点で黒板に雨という記述はなかったはずなのに」
アニ「………………」
アルミン「普通、この施設の中で雨が降るなんて
発想は出てこないよね?」
アルミン「そういう説明を受けない限り…」
今日はここまで
ミカサ「つまり… アニは探索の時点で
施設内の天気を操作できることを知っていた…」
ミカサ「だとしたら、今話し合っていた疑問点の1つは
簡単に解決することになる」
コニー「ぎ、疑問点…? 何だっけか…?」
ジャン「…ヒストリアの話だろ? 殺害計画を思い付いてから
実行に移すまでかなり無理があるっていう…」
ヒストリア『だって、入浴が終わったのって
夜も結構遅い時間だったよ?』
ヒストリア『そこから観測所に行って、天気が変わっている事を知って、
2人の殺害計画を思い付いて…』
ヒストリア『その後、溶鉱炉でトラップを仕掛けて
夜が明けないうちにライナーを呼び出して…』
ヒストリア『…っていうのはかなり無理があるんじゃないかな』
アルミン「2度目の事件を終えて、僕たちが施設内を探索したのは
10日目の日中だった」
アルミン「その時点で、天気を操作し、なおかつ雨をも降らせる事が
できると知っていたのなら…」
アルミン「雨を利用した足跡のトリックを考える時間は
十分あったはずだ」
アニ「………………」
アルミン「だからこれは… ほとんどアニだけが
有利な計画だったんだよ」
今日はここまで
コニー「お、おい、アニ… 本当なのか?」
コニー「本当にお前が… ライナーとベルトルトを殺したのか?」
アニ「………………」
ヒストリア「ア、アニ…」
アニ「…………はあ」
アニ「まったく… 傷つくよ」
ヒストリア「…!!」
ミカサ「………………」
アニ「一体… いつから」
アニ「アルミン… あんたは私を
そんな目で見るようになったの?」
アルミン「僕だって… 信じられないよ」
アニ『…私が心配してるのは、記憶を取り戻したことによる
新たなコロシアイさ』
アニ『ユミルは記憶が戻ったせいであんな凶行に走ったんだ。
私たちの中で、また同じような事が起こらないとも限らない』
アニ『もうあんな悲劇を繰り返すわけにはいかないんだよ。
何か先手を打たないと…』
アルミン「あんなにコロシアイを危惧していた君が…」
アルミン「あんなに仲間を思っていた君が…」
アルミン「こんな事をするなんて…」
今日はここまで
アニ「“こんな事”、ね…」
アルミン「………………」
アニ「本当にたくましい想像力だね、アルミン」
アニ「今までの事件では、その想像力に
幾度となく助けられてきたけど…」
アニ「今回ばかりは… 正直ガッカリだよ」
ミカサ「…今のアルミンの推理が間違っているというの?」
アニ「大間違いさ」
アニ「そもそも私は… モノクマから
観測所の説明を受けてないんだから」
アルミン「…え?」
アニ「さっきあんたはこう言ったよね」
アルミン『つまり、君は探索時に…
モノクマから観測所の詳しい説明を受けていたんだ』
アルミン『その時に聞いていたんじゃないの?
あの黒板は… 施設内の天気を操作できるものだって』
アニ「あんたの推理は、私が探索の時点で
観測所の秘密を知っていたという事が前提になっているけど…」
アニ「そもそも私は… モノクマから説明なんて受けていない」
今日はここまで
ジャン「…そうなのか? モノクマ」
モノクマ「えっ…」
コニー「どうなんだよ! モノクマ!
アニに観測所の説明をしたのか!?」
モノクマ「え、えーっと…」
アニ「………………」
モノクマ「…しましたけど」
コニー「…!!」
ヒストリア「そ、それじゃあ… やっぱり…」
アニ「嘘はやめてよ」
モノクマ「…は?」
アニ「私はあんたから説明を受けていない。
変な嘘は吐かないで」
モノクマ「…? いやいや… 説明してあげたじゃん」
モノクマ「キミが観測所を調べに来たときに…」
アニ「そんな覚えはない」
モノクマ「はあ…? 何言っちゃってんの?」
アニ「探索のとき、確かに私は観測所を調べてた。
だけどモノクマには会っていない」
モノクマ「会ったでしょ?」
アニ「会ってない」
モノクマ「………………」
アニ「本当にさ… 困るんだよそういう嘘は」
アニ「あんたはこの裁判では公平な立場なんでしょ?
誰かが不利になるような言動はやめてほしいんだけど」
コニー「な、なんだ… モノクマの嘘かよ」
ジャン「おい、待てよ。まだ嘘かどうかはわかんねーだろ」
コニー「いや、でもよ…
アニかモノクマならアニを信じるだろ?」
コニー「アニが会ってないって言うなら、本当に会ってないんじゃ…」
ミカサ「…コニー、あなたは単純すぎる」
モノクマ「………………」
モノクマ「ムッキーーーーーーーーーーーーーーーーッッ!!」
コニー「…!?」
モノクマ「もう怒ったぞ! これじゃあまるで
ボクが悪者みたいじゃないか!!」
ジャン「いや、実際悪者だろ…」
モノクマ「そこまで言うなら見せてやるよ!」
モノクマ「決定的な証拠ってやつを!!」
今日はここまで
ヒストリア「決定的な… 証拠…?」
モノクマ「うぷぷ… そうだよ! ボクは持ってるんだ!」
モノクマ「レオンハートさんがボクから
観測所の説明を受けていたという証拠をね!」
アニ「………………」
モノクマ「それでは、ご覧くださーい!!」
アニ『…この黒板は、何?』
モノクマ『ああ、これ? これはね…』
モノクマ『この施設の中の天気を指定できる黒板だよ』
アニ『天気を指定…?』
モノクマ『例えばほら、今は15日目の天気が
『晴れ』ってなってるけど…』
モノクマ『これを消して好きな天気を書けば、
その日はその通りの天気になるってわけ』
モノクマ『もしお望みなら、雨なんかも降らせられるよ』
アニ『へえ…』
ヒストリア「え……」
ジャン「…!!」
モノクマ「はいっ! 皆様、いかがでしょう?」
モノクマ「これを決定的な証拠と呼ばずして
何と呼びますか!?」
アニ「………………」
モノクマ「レオンハートさんはボクと会っていたんだよ!」
モノクマ「ボクと会って… 観測所の説明を受けていたんだよ!」
ジャン「お、おい… 何だよ今のは…」
モノクマ「決定的な証拠だって言ってんでしょうが!!」
ジャン「そうじゃねえ…」
ミカサ「…っ」
ジャン「そうじゃなくて… なんで…」
モノクマ「…? オマエラが何を驚いてるのかわからないけど…」
モノクマ「とにかく、これでハッキリしたでしょ?
さっきのレオンハートさんの証言は嘘だって」
アニ「………………」
アルミン「ア、アニ… あれは…」
アニ「…ああ、忘れてたよ」
アルミン「えっ…?」
アニ「確かにそうだったね。私はモノクマと会ってたよ」
アニ「モノクマに会って… 【まさに今のような】やりとりをしてた」
アルミン「それじゃあ…!」
アニ「でも、まだ甘いよね」
ヒストリア「あ、甘いって… 何が…」
アニ「私がモノクマに会ってたことは認めるよ。
観測所の説明を聞いていたことも…」
アニ「でも、だからと言って…
私が今回の犯人だとは言い切れないでしょ?」
今日はここまで
ミカサ「…どうして?」
アニ「さっきの話を忘れたの?」
アニ『…例えば、こういうのはどう?』
アニ『犯人はモノクマの呼び出し前に観測所に来ていて、
天気が変わっている事を知っていた』
アニ『その時点では2人を殺すつもりはなかったけど…』
アニ『モノクマの発表の後、観測所で見た大雨の予報を思い出して、
足跡のトリックを使った2人の殺害を思い付いた…』
アニ「確かにアルミンの言う通り、
私には他の人よりも先に観測所の秘密を知っていた」
アニ「でも、あんたが言ってるのって… 要はそれだけでしょ?」
アルミン「………………」
アニ「私が言ったように、犯人はモノクマの呼び出し前に
観測所に来て天気を確認することもできたはず…」
アニ「それなら、足跡のトリックを考える時間も
十分にあった… 違う?」
今日はここまで
アルミン「それは… おかしいよ」
アルミン「あの黒板は施設内の天気を操作できるものなんだよね?」
アルミン「つまり、裏を返せば… あの黒板の内容を
書き換えない限り、天気は変わらないはずなんだ」
アニ「………………」
アルミン「施設内に雨を降らせるのは、観測所の秘密を
知っている人間にしかできない」
アルミン「君はその秘密を知っていた。
それを知りながら… 僕らには嘘を吐いていた」
アルミン「だから、僕にはどうしても…
アニが天気を書き換えたとしか考えられないんだ」
アニ「だからさ、嘘を吐いていたんじゃなくて…
忘れてたって言ってるでしょ?」
アニ「それに、観測所の説明を受けたのは
私だけとは限らないじゃない」
アルミン「………………」
アニ「モノクマが私以外の誰かに
同じ説明をした可能性だってある」
アニ「それなら疑われるべきは私だけじゃない… そうでしょ?」
ジャン「…どうなんだ、モノクマ?
アニ以外の人間にも説明したのか?」
モノクマ「ノーコメントで!」
コニー「おい、それは卑怯だろ! 重要なところだぞ!」
モノクマ「うるさいやい! 言おうが言うまいが
ボクの勝手でしょうが!」
コニー「な、なんつー野郎だ…!」
ヒストリア「うーん… だけど、アニの言う事にも
一理あるんじゃないかな…」
ヒストリア「もしアニ以外の誰かが同じ説明を受けていたとしたら、
その人にも犯行計画を練る時間は十分にあったはずだよ」
アニ「そうだよね? だから私が犯人扱いされるのは…」
アルミン「それは違うよ」
アニ「…は?」
アルミン「僕は何も、それだけで君が犯人だと言ってる訳じゃない」
アルミン「むしろ重要なのは… ここからなんだ」
今日はここまで
ミカサ「…どういう事、アルミン?」
アルミン「足跡のトリックだよ」
ヒストリア「…えっ?」
アルミン「犯人がどうやって、足跡を付けずに
寄宿舎から研究開発所までを行き来したのか…」
アルミン「その答えがわかったんだ」
ジャン「な、なんだって…!?」
コニー「マジかよ!?」
アルミン「うん、そしてそれは…
アニだけが可能な方法だったんだ」
アニ「………………」
ミカサ「…アルミン、詳しく教えて」
アルミン「順を追って説明するよ」
アルミン「まず、大きなヒントになったのは…
例の巨大な爆発痕だった」
ヒストリア「爆発痕って… 寄宿舎と研究開発所の前に
あったものだよね?」
アルミン「そうだよ。今朝、僕たちはあの2つの爆発によって
研究開発所にたどり着き、ベルトルトの死体を発見した…」
ミカサ「………………」
アルミン「結論から言うと…」
アルミン「あれは【足跡のトリックの証拠を隠滅するため】
そうはさせないよ!
アニ「何を言うかと思えば…」
アニ「アルミン… 自分が矛盾している事を
言っているのに気が付かないの?」
アルミン「………………」
アニ「今からあんたに教えてあげるよ」
アニ「あんたの推理がいかに馬鹿げているか…」
― 反 論 シ ョ ー ダ ウ ン 開 始 ―
【2本の黒槍】
【多数の剣】
【拘束トラップ】
▶【時限爆弾】
【溶鉱炉の安全対策】
今日はここまで
アニ「あの爆発痕はトリックの証拠を/
/隠滅するためのものだった…」
アニ「あんたは今/
/そう言ったね」
アニ「それはつまり、寄宿舎と/
/研究開発所の前の2か所に…」
アニ「何らかの証拠が/
/存在してたって事だよね」
アニ「ここまで言えば/
/わかるんじゃないの?」
アニ「あんたの推理の何が/
/矛盾しているのか…」
― 発 展 ―
アルミン「もしかして、アニは…」
アルミン「爆発痕で何も見つからなかった事を言っているの?」
アニ「ようやく/
/気付いたようだね」
アニ「そうさ、あそこにあったのは/
/地面が抉れた跡だけで…」
アニ「【爆弾の破片すらも残されていなかった】んでしょ?」
アニ「もしあそこに証拠が/
/あったっていうなら…」
アニ「【証拠となったものの破片が残ってなきゃおかしい】じゃない」
アルミン(…確かに、証拠となったものの破片がないのはおかしい)
アルミン(でも、もしそれが破片の残らない証拠だったとしたら…?)
アニ「ようやく/
/気付いたようだね」
アニ「そうさ、あそこにあったのは/
/地面が抉れた跡だけで…」
アニ「【爆弾の破片すらも残されていなかった】んでしょ?」
アニ「もしあそこに証拠が/
/あったっていうなら…」
アニ「【証拠となったものの破片が/
/残ってなきゃおかしい】
その言葉、斬らせてもらう!
今日はここまで
アルミン「確かに、例の爆発痕には何も…
何の物体も無かったよね」
アニ「…だから言ってるじゃない。
あんたが血眼になってあの痕を調べてるのを私は横で…」
アルミン「でも、だからと言ってあそこに
証拠が無かったとは言えないよ」
アニ「…は?」
コニー「…?? な、何を言ってんだ…?
何も無かったなら証拠なんて…」
アルミン「コニー、証拠が“物体”であるとは限らないんだ」
コニー「はあ…?」
アルミン「よく思い出してみて」
アルミン「あの爆発痕を作った時限爆弾…
あれには2つのモードがあったよね?」
アルミン「今回はどっちのモードが使われていたんだっけ?」
②時限爆弾
<概要>
指定した時間に爆発させることができる爆弾です。
AとBの2つのモードがありますので、状況に応じて使い分けて下さい。
<使い方>
(1)モードを選択します。
(2)時間を設定します。
(3)爆発させたい場所に仕掛けます。
<モード選択>
・ Aモード
爆発時に破片を飛ばします。
殺傷能力は高いですが、爆発範囲は狭くなります。
・ Bモード
爆発時に破片をミクロの状態まで細分化します。
殺傷能力は低いですが、爆発範囲は広くなります。
ヒストリア「Bモード… だよね?
さっきも話し合ったけど…」
・ Bモード
爆発時に破片をミクロの状態まで細分化します。
殺傷能力は低いですが、爆発範囲は広くなります。
アルミン「そう、今回使われたのはBモードだ」
アルミン「あのモードの特徴は、殺傷能力が低いっていう事と…」
アルミン「【爆発範囲が広い】っていう事だ」
アニ「………………」
アルミン「…アニ、ここまで言えばわかるよね?」
アルミン「僕が何を言おうとしているのか…」
ヒストリア「…?」
コニー「え、えーっと…」
コニー「さっぱりわかんねーんだけど…」
アルミン(そう、アニは…)
アルミン(例の時限爆弾を使って“ある証拠”を消した…)
アルミン(その証拠とは…)
― 閃 き ア ナ グ ラ ム 開 始 ―
と あ し あ
あ と し あ
あ と あ し
あ し あ と
そうか わかったぞ!
アルミン「アニはあの時限爆弾を使って…
足跡を消したんだよ」
コニー「は…?」
ジャン「あ、足跡…?」
アニ「………………」
ヒストリア「足跡を消したって…
でも、寄宿舎から研究開発所に続く足跡は残って…」
アルミン「違うよ。その足跡じゃない」
アルミン「アニが消したのは…“アニ自身の足跡”なんだ」
ミカサ「アニ自身の足跡…?」
ミカサ「それが寄宿舎と研究開発所の前に残っていたから
消したというの…?」
アルミン「その通りだよ、ミカサ」
ジャン「おいおい、一体それに何の意味があるっていうんだ?
足跡のトリックとどう繋がるんだよ?」
アルミン「どう繋がるも何も… それがトリックの答えなんだよ」
ジャン「は…?」
アルミン「だって…」
アルミン「アニは巨人になれるんだから」
今日はここまで
コニー「………………」
ジャン「………………」
ミカサ「…今、何て?」
アルミン「アニは巨人になれる… そう言ったんだ」
アルミン「正確には、『九つの巨人』の1つ…」
アルミン「アニは女型の巨人なんだ」
① 始祖の巨人
全ての巨人の頂点に立つ存在。
魂を分けた後も、その大元は代々王家に継承されていた。
エルディア帝国壊滅後は、フリッツ王と共にパラディ島へと逃れている。
② 女型の巨人
汎用性に優れた巨人。
高い機動力と持続力に加え、硬質化能力も併せ持つ。
範囲は狭いが『無垢の巨人』を呼び寄せることができる。
③ 鎧の巨人
硬質化に特化した巨人。
全身を覆う皮膚は常に硬質化しており、盾としての機能を果たす。
その硬さを利用した突進攻撃も破壊力に優れる。
④ 顎の巨人
強襲型の巨人。
小ぶりな分、『九つの巨人』の中でも素早さはトップクラスである。
強力な爪と顎で大抵の物は砕くことができる。
⑤ 獣の巨人
濃い体毛に覆われた大型の巨人。
これといった特性のない巨人だったが、ジーク・イェーガーの継承によって
驚異的な能力を開花させる。詳細は次章にて述べる。
⑥ 車力の巨人
四足歩行型の巨人。
並外れた持続力をもち、長期間の巨人化を可能とする。
用途に合わせた兵装が可能で、軍事作戦の幅を大きく広げることができる。
⑦ 超大型巨人
60m級の超大型巨人。
その巨体ゆえに動きは遅いが、桁違いの破壊力を有する。
全身から発する高温の蒸気は攻撃、牽制、目眩ましなど汎用性が高い。
⑧ 戦槌の巨人
マーレの英雄へーロスと共にエルディア帝国を滅ぼしたとされる
タイバー家の有する巨人。その詳細は謎に包まれている。
ヒストリア「…え?」
アルミン「要するに… アニは巨人化してから、
寄宿舎前から研究開発所前までを1歩で移動したんだ」
アルミン「寄宿舎と研究開発所の間はそこまで距離がある訳じゃない…
大股で飛び越えてしまえば、不可能な話じゃないよ」
ジャン「ちょ、ちょっと待て…」
アルミン「さっき僕たちは『寄宿舎から研究開発所の間は立体物がないから
立体機動装置は使えない』っていう話をしたよね?」
アルミン「だけど… 今言った方法なら、その状況はむしろ好都合なんだ」
アルミン「だって、邪魔なものが無い方が
巨人としては動きやすいだろうから…」
ジャン「ちょっと待てよ!!」
アニ「………………」
ジャン「い、いきなり何を言ってんだ…!? アニが巨人…!?」
アルミン「そう、アニは女型の巨人…」
アルミン「ウォール・マリアを破壊した鎧の巨人と超大型巨人…
ライナーとベルトルトの仲間だよ」
今日はここまで
ヒストリア「え… えっ…!?」
コニー「なっ…!?」
ミカサ「………………」
ジャン「ど… どういう事だよ、そりゃ!?」
ジャン「ていうか、今の話が本当だったとして…
なんでお前はその事を知ってるんだよ!?」
アルミン「それは…」
アニ「………………」
アルミン「アニから直接聞いたからだよ」
ジャン「…!?」
ミカサ「アニから…?」
アルミン「2人でいたとき、アニが僕に打ち明けたんだ」
アルミン「自分の正体は女型の巨人だって…」
アルミン『それじゃあ…!』
アニ『…そう』
アニ『私の正体は女型の巨人…』
アニ『ライナーとベルトルトと一緒に壁を襲撃して…』
アニ『大勢の人たちの命を奪った』
アルミン『…!!』
アニ『………………』
アルミン『『ライナーとベルトルトと一緒に』って事は…』
アニ『…そう、ライナーは鎧の巨人で、ベルトルトは超大型巨人』
アニ『だから、モノクマの言っている事は事実なんだ』
ミカサ「だけど、あの時の襲撃に女型の巨人なんて…」
アルミン「…それもアニから聞いたよ」
② 女型の巨人
汎用性に優れた巨人。
高い機動力と持続力に加え、硬質化能力も併せ持つ。
範囲は狭いが『無垢の巨人』を呼び寄せることができる。
アルミン「女型の巨人は『無垢の巨人』…
つまり九つの巨人以外の巨人たちを呼び寄せることができる」
アルミン「アニはその能力を使って、パラディ島…
壁の外にいた巨人を引き付けながら壁に近づいてきた」
アルミン「だから、あの襲撃時には目撃されていないけど…
ライナー、ベルトルトの2人と協力していたんだよ」
アルミン「あの大量殺戮に…」
エレン『駆逐してやる!!』
エレン『この世から…一匹残らず!!』
アニ「…アルミン」
アニ「ひどいよ」
アルミン「………………」
アニ「あんまりだよ… アルミン」
アニ「こんなのってないよ…」
アニ「私はあんたを信用してたのに…」
アニ「信用してたから… あんたに話したのに」
アルミン「…アニ」
アニ「私はあんたを信用してた…」
アニ「【私があんたにウソを言ったのはたった一度しかない】のに…」
アニ「それなのに…」
今日はここまで
ミカサ「…否定しないの?」
アニ「………………」
ミカサ「否定しないという事は…」
ミカサ「今の話は… 本当という事でいいの?」
アニ「………………」
ヒストリア「そ、そんな…」
ヒストリア「それじゃあ… 真の【裏切り者】っていうのは
アニだったの!?」
ジャン「…真の【裏切り者】?」
ヒストリア「昨日の朝、アルミンが話してたんだよ!」
アルミン『まず、ライナーとベルトルトが
本当に【裏切り者】だったとして…』
アルミン『それをあの場で明かす意味って、
あんまりないと思うんだよね』
アルミン『だって、正体を明かしちゃったら…
もう【裏切り者】としては機能しなくなっちゃうから』
ヒストリア『だから、それはコロシアイを…』
アルミン『僕たちにコロシアイをさせるためだったら、
正直に【裏切り者】を明かす必要はないんだよ』
アルミン『僕がモノクマだったら、全く別の人物の名前を言うと思う』
アルミン『真の【裏切り者】の正体は言わずに…』
アルミン『…そう考えればしっくりくるんだ』
アルミン『そもそも、【裏切り者】っていうのは
モノクマ側の人間を指すんだろうけど…』
アルミン『あの2人は… モノクマと
敵対しているようにしか見えなかった』
アニ『………………』
アルミン『つまり、ライナーとベルトルトは
【裏切り者】なんかじゃなくて…』
アルミン『【裏切り者】の濡れ衣を
着せられただけなんじゃないかな』
アルミン『真の【裏切り者】の存在を隠すために…』
今日はここまで
ミカサ「つまり、モノクマが言った【裏切り者】は
ライナーとベルトルトではなく、アニだった…」
ミカサ「アニがモノクマと通じていた… そういう事?」
アニ「………………」
ジャン「な、何だよそりゃ…」
ジャン「どういう事だ!? まるで意味がわかんねーぞ!?」
ジャン「アニが巨人だとか、【裏切り者】だとか、
もう何が何だか…」
アニ「…ククッ」
コニー「…!?」
アニ「意味がわかんない…ねえ」
アニ「…今更何を言ってんのさ」
ジャン「な… 何がおかしいんだよ!?」
アニ「ジャン… 忘れたの?
あんたが最初に言い出したんじゃない」
訓 練 兵 の 中 に 6 体 の 巨 人 が い る
アニ「あの意味不明の内容が書かれた紙きれを
急に持ち出して…」
アニ「ライナーとベルトルトの他に【裏切り者】がいるって
騒ぎ立てたのは… 他でもないあんたでしょ?」
ジャン『いい加減に認めたらどうだ!?
自分の心に素直になれよ!』
ジャン『それともとぼけてるだけか!?
【裏切り者】の残党がよォ!!』
コニー『ち、違う! 俺は【裏切り者】なんかじゃねえ!』
ヒストリア『私だって違うよ! もういい加減にして!』
ジャン「…っ」
アニ「ねえ、ヒストリア」
ヒストリア「…な、何?」
アニ「あんたもあんたで、アルミンの話を
随分と真に受けてるみたいだね?」
アニ「モノクマが名指しした【裏切り者】の他に
真の【裏切り者】がいるっていう話を…」
ヒストリア「だって… そうなんでしょ?」
アニ「固いんだよ。考え方が」
ヒストリア「えっ…?」
アニ「モノクマもあんたらも、随分と【裏切り者】って単語に
固執してるみたいだけどさ…」
アニ「重要な部分ってそこじゃないでしょ?」
アニ「本当に重要なのは【誰が誰を】【何のために】裏切っているのか…」
アニ「…そういう事なんじゃないの?」
今日はここまで
ミカサ「…どういう意味? 話を逸らさないで」
アニ「話を逸らしてるのはあんたらの方でしょ?」
アニ「今は【裏切り者】が誰かを議論する場じゃない…
今回の事件のクロを探す裁判だよね?」
アルミン「…アニ?」
アニ「話を元に戻そうよ。何をどこまで話したんだっけ?」
コニー「え、えーっと、確か…」
コニー「寄宿舎から研究開発所まで
犯人の足跡が残されていなかったのは…」
コニー「犯人がきょ、巨人化…? して1歩で行き来していたからで…」
コニー「今朝起きた2回の爆発は、移動の際の
1歩分… つまり、2足分の足跡を消すためのものだった…」
コニー「で、えーっと… アルミンが言うには、
アニも巨人化できる人間らしい…? から…」
コニー「このトリックを可能だった人間はアニだった…」
コニー「で、合ってる… よな…?」
アニ「…へえ、凄いね、コニー。やればできるじゃない」
コニー「お、おう、そうか? あはははははは!」
ミカサ「………………」
アニ「でもさ、今の話は少しおかしいよね?」
コニー「あはははは…… へ?」
アニ「アルミンの言う通り、仮に私が巨人化できる人間だったとして…」
アニ「それだけで、私がその足跡のトリックを使ったとは
言えないんじゃないの?」
今日はここまで
ジャン「な、なんでだよ…?」
アニ「なんでって… あんたが一番よくわかってるんじゃないの?」
ジャン「は…?」
アニ「さっきの紙きれだよ。もう忘れたの?」
訓 練 兵 の 中 に 6 体 の 巨 人 が い る
今日はここまで
アニ「『訓練兵の中に6体の巨人がいる』…」
アニ「例の本によれば、巨人に姿を変えることができるのは
『九つの巨人』を継承している人間だけ…」
アニ「つまり、仮に私が女型の巨人で、ライナーとベルトルトが
鎧の巨人と超大型巨人だとしても…」
アニ「残り3体の巨人が私たちの中に紛れ込んでいることになる」
ジャン「…!!」
アニ「あんたも言ってたよね?」
ジャン『鎧と超大型があの2人だったとして…
同じような人間があと4人もいる事になるんだよ!』
ジャン『もちろん、今までの事件で死んだ
エレン、ミーナ、ユミル、サシャ全員がそうだった可能性もあるが…』
ジャン『まだこの中にいる可能性の方が圧倒的に高い…!』
アニ「要するに、今生きている私たちの中にも
巨人化できる人間が複数いる可能性がある…」
アニ「それなら、足跡のトリックを使用できるのは
私だけじゃなくなる… 違う?」
ヒストリア「…! そ、そんな…!」
アニ「ないとは言えないでしょ?」
アニ「トリックを使えるのが私だけじゃないなら、
私だけが犯人扱いされる道理はないよ」
今日はここまで
ミカサ「…ちょっと待って。そもそも、
あなたは私の質問にちゃんと答えていない」
ミカサ『…否定しないの?』
アニ『………………』
ミカサ『否定しないという事は…』
ミカサ『今の話は… 本当という事でいいの?』
アニ『………………』
ミカサ「あなたが巨人で、ライナーとベルトルトも巨人だった…
あの話は本当の事なの?」
アニ「さあね」
ミカサ「…はぐらかすつもり? 否定しないなら、
私はそれを真実だと受け取る」
アニ「勝手にすればいい。今の議論には関係のない話なんだから」
ジャン「いや… 関係大有りだろ」
ジャン「お前が巨人になれるなら、少なくともお前は
足跡のトリックを使えたことになる…」
ジャン「つまり、お前は重要な容疑者になるんだ… 違うか?」
アニ「…だから、何度言わせるのさ」
アニ『『訓練兵の中に6体の巨人がいる』…』
アニ『例の本によれば、巨人に姿を変えることができるのは
『九つの巨人』を継承している人間だけ…』
アニ『つまり、仮に私が女型の巨人で、ライナーとベルトルトが
鎧の巨人と超大型巨人だとしても…』
アニ『残り3体の巨人が私たちの中に紛れ込んでいることになる』
アニ「私たちの中に巨人化できる人間が紛れ込んでいるなら、
そいつにも例のトリックが使えたことになる」
アニ「だから、ここで私が巨人かどうかを議論するのが
そもそもナンセンスなんだよ」
アニ「むしろ、怪しむべきは… 私たちの中で、未だに
巨人化できることを隠している人間じゃないの?」
今日はここまで
コニー「巨人化できることを… 隠している…?」
コニー「それが… 俺たちの中にいるっていうのか?」
アニ「その可能性もあるって事だよ」
アニ「大体さ、アルミン… あんたは私が、
己の正体が巨人である事を明かしたって言うけど…」
アニ「おかしな話だと思わない?」
アニ「どうして巨人化のトリックを使おうとしている人間が、
自分が巨人である事を明かす必要があるの?」
アルミン「…随分簡単に意見を曲げるんだね」
アニ「…え?」
アルミン「君はずっとあの紙切れの内容に否定的だった」
アニ『…ジャン、あんたやっぱりどうかしてるよ』
ジャン『ああ!?』
アルミン「それなのに、僕が君を名指しして、
足跡のトリックを説明した途端に…」
アルミン「急に君は… あの紙切れの内容に肯定的な態度を示し始めた」
訓 練 兵 の 中 に 6 体 の 巨 人 が い る
アルミン「もしかして、君は…」
アルミン「こうなる事を想定して、予めあの紙を…」
アニ「違う」
アルミン「…!」
アニ「あれは私じゃない」
アルミン「………………」
今日はここまで
アニ「でも、そうだね…」
アニ「あの紙切れを誰が用意したのかは…
ある程度推測できるんじゃないの?」
アルミン「…えっ?」
アニ「あの紙切れが発見された経緯を振り返ればいいんだよ」
アニ「あれは… 施設の探索でジャンが発見したものなんだよね?」
ジャン「…ああ、そうだ」
ジャン『オレが捜査のときに見つけたのは例の本だけじゃねえ…』
ジャン『そこに挟んであったんだよ。この紙が…』
アニ「あんたは探索で書庫を調べて、以前は鍵がかかっていた
部屋で例の本を見つけた」
アニ「そして、その本にあの紙切れが挟まれてあった… そうだね?」
ジャン「…その通りだ」
今日はここまで
アニ「だったらさ… もう紙切れの犯人はほとんど絞れるじゃない」
コニー「は…? どういう事だよ」
アニ「いい? 例の本と紙切れがあった部屋は
探索の時まで施錠されていたんだよ?」
アニ「そして探索では、ジャンがその部屋の担当だった…」
ジャン「おい、まさか…!」
アニ「考えてみれば簡単な事だよね?」
アニ「あの紙切れを用意することができたのは、
この施設の管理者であるモノクマか…」
アニ「そうでなければ… ジャン以外には考えられない」
ヒストリア「そう…なのかな?」
ヒストリア「第2の事件が終わった後に鍵が開いていたなら、
探索前日の夜に誰でも仕込むことができたんじゃ…」
アニ「あり得ない話じゃないけど、現実的じゃないね」
ジャン「お、おい… いきなり何を言い出すんだよ!?
あの紙切れはオレの自作自演だって言うのか!?」
アニ「そう考えれば辻褄は合うじゃない」
ジャン「そんな事をしてオレに何の得があるんだよ!」
アニ「それはこっちの台詞だよ。何のためにそんな事したの?」
ジャン「お、お前…! オレをスケープゴートにする気か!?」
モノクマ「ムッキー!! ていうか今、さらりとボクを
容疑者に混ぜたよね!?」
モノクマ「ボクは清廉潔白だぞ! 半分は黒いけど、
もう半分は真っ白なんだぞ!」
コニー「あーもう、うるせえな! なんでお前が出てくるんだよ!」
アルミン(…まずい、議論が変な方向に傾いている)
アルミン(一旦この場を落ち着かせないと…)
― パ ニ ッ ク 議 論 開 始 ―
【モノクマファイル 3】
【足跡】
【溶鉱炉の安全対策】
【剣の切れ味】
【九つの巨人】
今日はここまで
ジャン「あの紙を挟んだのはオレじゃねえ!」
ヒストリア「本当にジャンがあの紙を用意したのかな…?」
アニ「あのさ… 反論するならもっと論理的な反論をしなよ」
ヒストリア「ジャンも言ったけど、そんな事をするメリットがないし…」
アニ「例の本と紙があった部屋が開放されたのは【2つ目の事件の後】…」
モノクマ「じゃあボク!?ボクが用意したって言いたいの!?」
アニ「そして、その場所を探索したのはあんただけ…」
コニー「だーっ!! だからお前は黙ってろって!」
アニ「状況から考えて、容疑者はあんたかモノクマしかいないんだよ」
モノクマ「ボクは怒ってるんだよ! ボクはこんなにもオマエラに尽くしてるのに…」
ジャン「だから、さっきヒストリアも言ってたけどよ…!」
モノクマ「毎朝の【モノクマアナウンス】だって欠かさずにやって…」
ジャン「探索前日の夜にもう鍵が開いてたなら…」
モノクマ「寝坊助のオマエラの生活習慣を正してあげてるのに!」
ジャン「【誰でもあの紙を仕込むことができた】だろうが!」
コニー「今はその話関係ねえだろ!」
アルミン(そうか…! もしかすると…)
アルミン(その方法で犯人が絞れるかもしれない…!)
▶【モノクマアナウンス】
ジャン「あの紙を挟んだのはオレじゃねえ!」
ヒストリア「本当にジャンがあの紙を用意したのかな…?」
アニ「あのさ… 反論するならもっと論理的な反論をしなよ」
ヒストリア「ジャンも言ったけど、そんな事をするメリットがないし…」
アニ「例の本と紙があった部屋が開放されたのは【2つ目の事件の後】…」
モノクマ「じゃあボク!?ボクが用意したって言いたいの!?」
アニ「そして、その場所を探索したのはあんただけ…」
コニー「だーっ!! だからお前は黙ってろって!」
アニ「状況から考えて、容疑者はあんたかモノクマしかいないんだよ」
モノクマ「ボクは怒ってるんだよ! ボクはこんなにもオマエラに尽くしてるのに…」
ジャン「だから、さっきヒストリアも言ってたけどよ…!」
モノクマ「毎朝の【モノクマアナウンス】だって欠かさずにやって…」
ジャン「探索前日の夜にもう鍵が開いてたなら…」
モノクマ「寝坊助のオマエラの生活習慣を正してあげてるのに!」
ジャン「【誰でもあの紙を仕込むことができた】
聞こえた!
アルミン「ジャン… 落ち着いて」
ジャン「落ち着いてられるか! こっちは犯人扱いされてるんだぞ!」
ジャン「あの紙を本に挟むのは誰にだって…」
アルミン「論点はそこじゃないんだ!!」
ジャン「…!!」
アルミン「もっと有効な方法があるかもしれないんだよ」
アルミン「今回のクロを絞り込む有効な方法が…」
コニー「な、何だよ… その方法っていうのは…?」
アルミン「モノクマアナウンスだよ」
アルミン「僕たちがベルトルト…
いや、ライナーの死体を発見した時のね」
ミカサ「モノクマアナウンス…?」
「ピンポンパンポーン…!」
モノクマ『死体が発見されました!』
モノクマ『一定の自由時間の後、『兵団裁判』を開きまーす!』
今日はここまで
ヒストリア「あれが… どうしたっていうの?」
アルミン「よく思い出してみて」
アルミン「死体発見のモノクマアナウンスが聞こえたのは
どのタイミングたった?」
コニー「どのタイミングって…」
ジャン『おい、無事か!?』
コニー『何の悲鳴だ!?』
アルミン『…! みんな…』
ヒストリア『…!!』
ヒストリア『きゃああああああああああああああっ!!』
コニー「俺たちが研究開発所に駆け付けた時だよな…?」
アルミン「そう… そこが問題なんだ」
コニー「…??」
アルミン「今コニーが言ったように、死体発見のモノクマアナウンスが
聞こえたのはここにいる全員が揃った時だった」
アルミン「だけど、僕、アニ、ミカサが最初に死体を発見した時には
何も聞こえなかったんだ」
アルミン『うわああああああああああああああっ!!』
ミカサ『…ッ!!』
アニ『……な……』
アニ『ベル…トルト…?』
アルミン「僕たち3人が死体を発見した時には聞こえなかったのに、
残りのみんなが駆け付けた時には聞こえた…」
アルミン「そこには確かに【時間差】が存在したんだ」
アニ「………………」
アルミン「この時間差が意味するものは何なのか…」
アルミン「その意味を考えた時に…
僕はある可能性にたどり着いたんだ」
アルミン(モノクマアナウンスの時間差が存在した理由…)
アルミン(それは…)
― 閃 き ア ナ グ ラ ム 開 始 ―
う に ん ず
に う ず ん
に ん う ず
に ん ず う
そうか わかったぞ!
今日はここまで
アルミン「死体発見者の人数だよ」
ヒストリア「死体発見者の… 人数…?」
アルミン「死体発見のモノクマアナウンスが発せられるには
何かしらの条件があると思ったんだ」
アルミン「その条件を満たさなかったから… 僕、アニ、ミカサが
死体を見つけたときには何も聞こえなかったんじゃないかな?」
ミカサ「…その条件というのが、発見者の人数だと?」
アルミン「うん… 違いがあるとしたら、それしか考えられない」
ジャン「…どうなんだ、モノクマ?」
ジャン「死体発見時のモノクマアナウンスが発せられるには、
発見者の人数が条件になってるのか?」
モノクマ「えーっと…」
アニ「………………」
モノクマ「…その通りですけど」
ミカサ「なるほど… それなら、発見者が4人以上いないと
モノクマアナウンスは発せられないという事?」
ヒストリア「そうなるよね… アルミン、アニ、ミカサの3人が
死体を発見しても何も聞こえなかったのなら…」
モノクマ「いや、3人以上ですけど?」
ヒストリア「…え?」
モノクマ「死体発見のモノクマアナウンスが流れるのは…」
モノクマ「【兵団裁判の対象となる死体を発見した者が
3名以上となった瞬間】だよ」
ジャン「…は? それっておかしくねえか?」
モノクマ「え? 何が?」
ジャン「発見者人数の条件が3人以上っていうなら…」
ジャン「アルミン達が最初に死体を発見した時に
モノクマアナウンスが聞こえないとおかしいだろ?」
モノクマ「……あっ」
アニ「………………」
アルミン「…モノクマ、ここではっきりさせてくれ」
アルミン「その条件の死体発見者っていうのは…
犯人は人数に含まれるのか?」
モノクマ「………………」
コニー「…!? ど、どういう事だ?」
アルミン「…少し疑問に思っていたんだ」
アルミン「変な言い方だけど、“死体を作った張本人”が
発見者と言えるのかどうか…」
ミカサ「…どうなの? モノクマ」
ミカサ「モノクマアナウンスの条件となる死体発見者には…
犯人は含まれるの?」
モノクマ「え、えーっと…」
アニ「………………」
モノクマ「…含まれませんけど」
ヒストリア「…!! そ、それじゃあ…!」
ジャン「ああ… それなら犯人はかなり限定される事になる」
コニー「お、おい! どういう事だよ!?」
ジャン「よく考えてみろ。死体発見者の数が
3人以上っていう条件なら…」
ジャン「アルミン、アニ、ミカサが死体を発見した時に
モノクマアナウンスが聞こえてくるはずだ」
ジャン「だが、実際にはモノクマアナウンスが発せられなかった…」
ジャン「それはつまり… あの時点での死体発見者は
【2人しかいなかった】って事だ」
コニー「…??」
ジャン「…まだわかんねえのか?」
ジャン「たった今、モノクマが言ってただろ。
死体発見者の人数に犯人は含まれないって…」
コニー「あっ…!」
ミカサ「………………」
コニー「つ、つまり… こういう事か?」
コニー「あの3人の中の誰かが犯人だったから、
モノクマアナウンスが聞こえなかったって…!?」
アルミン「…その通りだよ、コニー」
アルミン「今の考えを踏まえれば… 犯人は
僕、アニ、ミカサのうちの誰かだという事が確定するんだ」
今日はここまで
アニ「だから… 何だっていうの?」
アニ「それで私が犯人だとは言えないよね?
あんたやミカサが犯人の可能性だってあるんじゃないの?」
アルミン「確かにそうだね。ここで言えるのは
【僕、アニ、ミカサの中に犯人がいる】っていう事だけだ」
アニ「…話にならないね。たったそれだけで…」
アルミン「でも、そこから更に絞り込む事はできる」
アニ「…え?」
アルミン「足跡のトリックを前提にすると、犯人は
巨人化できる人間なんだ」
アルミン「つまり… 僕、アニ、ミカサのうち、
巨人化できる人間が更なる犯人候補という事になる」
アルミン「そして、視点を変えれば…」
アルミン「巨人化できる人間ではない事を証明できれば、
必然的に犯人候補から外れるよね?」
ジャン「…なるほど。巨人化できないのなら、
さっき言った足跡のトリックも使えなくなるからか」
ヒストリア「そっか…! 仮にそれで、3人のうち2人が
巨人化できる人間じゃないと証明できれば…」
ヒストリア「残りの1人が犯人で決まるって事だね!」
ミカサ「でも… そんな証明が可能なの?
自分が巨人化できる人間かどうかなんて…」
アニ「ミカサの言う通りだよ。そんな証明どうやって…」
アルミン「できるんだよ」
アニ「…!」
アルミン「僕たち3人の中の誰が巨人で、誰が巨人じゃないのか…」
アルミン「それを確かめる方法が… たった1つだけある」
ミカサ「………………」
アニ「…へえ、面白いじゃない」
アニ「そこまで言うなら聞かせてよ… アルミン」
― マ シ ン ガ ン ト ー ク バ ト ル 開 始 ―
今日はここまで
アニ「巨人化できるかどうかを証明できる…」
アニ「あんたは今そう言ったね」
アニ「でもさ… そんなのただのデタラメじゃないの?」
アニ「そもそもの話、あんたはあの本に書かれている事が
真実だという前提で話を進めているけど…」
アニ「あの内容が真実だっていう根拠がどこにあるのさ」
アニ「私が女型の巨人だと自白したから?」
アニ「でも、それって… あんたがそう言ってるだけでしょ?」
アニ「こう言っちゃなんだけど… その自白自体も
あんたがでっち上げた作り話じゃないの?」
アニ【私は犯人じゃない。巨人化できるかどうかを確かめる方法なんかない】
【自傷行為】
これで証明するよ!
アルミン「方法なら簡単だよ…
やろうと思えば、今この場でだってできる」
アルミン「腕を切り落とせばいいんだ」
コニー「…は?」
アルミン「あの本に書いてあった…」
アルミン「巨人化できる人間は、身体の一部が欠損した場合
その部位を再生する能力があるって…」
アルミン「僕、アニ、ミカサの中で順番に腕を切り落としていく」
アルミン「巨人化できる人間の場合、切り落とした腕は
再生されるだろうけど…」
アルミン「巨人化できない人間だった場合、出血多量でそのまま死ぬ」
アルミン「この方法なら… 巨人化できるかどうかの判別ができる」
アニ「…!?」
ミカサ「な… 何を…」
ミカサ「何を言っているの、アルミン…?」
モノクマ「うぷぷ… それならいい物があるよ」
ポイッ
カラン…
アルミン「これは…」
モノクマ「溶鉱炉で作られた超硬質ブレードだよ」
モノクマ「ああ、安心して。ブラウンくんが入り混じった
ナマクラじゃないから」
アルミン「………………」
ヒストリア「ア、アルミン…?」
アルミン「…言い出しっぺは僕だ」
アルミン「僕から腕を切り落とす」
コニー「なっ…!?」
ジャン「お、おい…! 馬鹿な真似はよせ!」
アルミン「今から証明するよ」
アルミン「僕がこの推理にどれだけ賭けているのかを…」
ブンッ
ヒストリア「きゃああああああああああああ!!」
コニー「やめろおおおお!! アルミーーン!!」
今日はここまで
ガシッ
アニ「…もういい」
アニ「もういいよ… アルミン」
アルミン「………………」
ヒストリア「ア、アニ…?」
アニ「本当に酷いね…」
アニ「あんた… 私に止めさせるためにこんな事したんでしょ?」
アニ「私が、あんたが傷つくのを見過ごせないと分かっていたから…
こんな大博打やったんでしょ?」
アルミン「………………」
アルミン「………ごめん」
アニ「いいよ、謝らなくて」
アニ「こんな殺人鬼に… 謝る必要なんてない」
コニー「…!? そ、それじゃあ…!」
アニ「…ああ、そうだよ」
アニ「私がライナーとベルトルトを殺したんだ」
ヒストリア「そ、そんな…!」
ミカサ「………………」
アニ「…やれやれ。しかしまさか、こんな方法で来るとはね」
アニ「証拠は一切残してなかったつもりだけど…
流石にここまでは予想していなかったよ」
アルミン「…アニの言う通りだよ」
アルミン「僕の推理は筋道は立っているけど、
君を追い詰める決定的な証拠がなかった…」
アルミン「だから僕は… 君から自白を促そうとしたんだ」
ジャン「じゃ、じゃあ… さっきの話も本当なのか?」
ジャン「お前が女型の巨人で、ライナーとベルトルトの
仲間だっていうのも… 本当の事なのか?」
アニ「本当だよ。全てはアルミンが話した通りさ」
アルミン「………………」
アニ「でも、そうだね…」
アニ「せっかくだから… 答え合わせをやってみようか」
コニー「こ、答え合わせ…?」
アニ「私が行った犯行を一から振り返ってみるんだよ。
ここでは議論されなかった補足部分も踏まえてね」
アニ「そういうの得意でしょ? あんた」
アルミン「……わかった」
アルミン「やってみるよ…」
― ク ラ イ マ ッ ク ス 推 理 開 始 ―
― 推 理 を 完 成 さ せ ろ ―
今日はここまで
アルミン「それじゃあ、最初から事件を振り返ってみるよ…」
Act.1
【モノクマから名指しされたライナーとベルトルト】
アルミン「2日前… 僕たちはモノクマに呼び出されて
訓練所に集められた」
アルミン「そこで聞かされたのは、ライナーとベルトルトが
【裏切り者】で…」
アルミン「鎧の巨人と超大型巨人の正体だという衝撃的な内容だった」
アルミン「その後、僕たちは仲間割れを起こし…
ライナーとベルトルトは僕たちから孤立することになった」
↓
【ライナーへの呼び出し】
アルミン「その夜、僕たちと別れたアニはライナーと接触した」
アルミン「ライナーとベルトルトは
かなりの警戒状態だっただろうけど…」
アルミン「元々2人の仲間であるアニであれば、
呼び出すことは容易だったはずだ」
アルミン「そして、翌日の早朝に溶鉱炉で2人で合う約束を
ライナーと取り付けた…」
↓
【溶鉱炉に拘束トラップを仕掛けるアニ】
アルミン「ライナーとの約束を取り付けたアニは、
その夜のうちに準備に取り掛かった」
アルミン「溶鉱炉でライナーを殺すための準備だ」
アルミン「アニは研究開発所から拘束トラップを持ち出し、
溶鉱炉の周りに四脚を立てるような形にセットした」
アルミン「そして、ライナーが現れるのをひたすら待った…」
↓
【四脚のスイッチ】
アルミン「そして、早朝…」
アルミン「溶鉱炉に足を踏み入れたライナーは、
フットスイッチを踏んでトラップに拘束された」
アルミン「拘束位置はちょうど溶鉱炉の真上だ」
アルミン「それを見届けたアニは、すかさず四脚にある
スイッチを押してライナーを吊り下げているワイヤーを外した」
アルミン「ライナーはほとんど考える暇もなく、
溶鉱炉に落ちていっただろうね…」
今日はここまで
Act.2
【特殊ガス発生装置】
アルミン「ライナーを殺したアニは、拘束トラップと
その場で精製された超硬質ブレードを回収した」
アルミン「そして向かった先は研究開発所だ」
アルミン「アニは超硬質ブレードを研究開発所の隅に隠して、
拘束トラップを研究開発所内に仕掛けた」
アルミン「その後、今度は特殊ガス発生装置を持ち出し、
寄宿舎に併設された空調室に持って行った」
アルミン「空調室には鍵がかかっているけど、おそらく
モノクマに言って開けてもらっていたんだろうね」
アルミン「そこで水色… 睡眠ガスを発生させるカプセルをセットし、
ガス発生の時刻と時間を設定したんだ」
↓
【モノクマからの手紙】
アルミン「睡眠ガスを発生させたのは、僕たちに
第2の殺人の下準備などを見せないため…」
アルミン「あるいは、それを邪魔されることを恐れたからだ」
アルミン「だけど、睡眠ガスを吸わせるためには
対象となる人間を個室に居させる必要がある」
アルミン「だからアニは、モノクマを装って例の手紙を書いたんだ」
アルミン「『今日の午後は各自、個室で待機するように!』と…」
今日はここまで
↓
【アルミンを連れ出すアニ】
アルミン「みんなが睡眠ガスで眠った頃…」
アルミン「アニは僕を大浴場に呼び出し、
自分が女型の巨人である事を明かした」
アルミン「そして、ライナーとベルトルトを探すという名目で
僕を研究開発所に連れて行った」
アルミン「その理由は… その時点で研究開発所に
何の異常もないという事を僕に見せるためだったんだ」
アルミン「その時点で拘束トラップは仕掛けられていたんだけど、
あの時は部屋全体が薄暗くて…」
アルミン「さらに、トラップ自体が部屋全体を
覆うような形をしていたから気付けなかった」
↓
【突然降り出した大雨】
アルミン「研究開発所を出た後…」
アルミン「しばらく歩いていると、突然
バケツをひっくり返したような大雨が降り出した」
アルミン「アニが予め、観測所の黒板の天気を書き換えていたせいだ」
アルミン「僕たちは慌てて寄宿舎に駆け込み、
ずぶ濡れになった僕たちをコニーが出迎えた」
アルミン「コニーの部屋の通気口には
何故かモノクマが詰め込まれていたから…」
アルミン「コニーは睡眠ガスを吸わずにいられたんだろうね」
アルミン「僕らはその後しばらくコニーの部屋で過ごし、
それぞれの個室に戻っていった…」
今日はここまで
Act.3
【雨が降り止み、寄宿舎を出るベルトルト】
アルミン「その夜、雨が降り止んだタイミングで
ベルトルトは寄宿舎から研究開発所に向かった」
アルミン「おそらく、アニに呼び出されていたんだろうね」
アルミン「ベルトルトは寄宿舎を出るまで、睡眠ガスが発生しない
個室以外の場所で身を潜めていたんだ」
アルミン「あるいは、コニーの場合と同じように、ベルトルトの
部屋の通気口に詰め物でもしていたのかもしれない」
アルミン「どちらにしろ、ベルトルトはアニに指定された場所で待機し、
指定された時間に寄宿舎を出た」
アルミン「地面に一筋の足跡を残して…」
↓
【研究開発所で拘束トラップに捕らえられるベルトルト】
アルミン「研究開発所に足を踏み入れたベルトルトは、
フットスイッチによってトラップに拘束された」
アルミン「僕とアニも研究開発所には足を踏み入れていたけど…」
アルミン「あの時にトラップが反応しなかったのは、
拘束トラップに重量設定が施されていたからだ」
アルミン「拘束されたベルトルトは、ライナーの時と同様、
四脚の中央の位置で宙吊り状態になった」
今日はここまで
↓
【女型の巨人】
アルミン「一方その頃…」
アルミン「寄宿舎から研究開発所に続く足跡を確認したアニは、
寄宿舎の前で女型の巨人に変身した」
アルミン「例の本によると、人間が巨人化する際には
雷鳴のような光と大きな音が発せられるらしいんだ」
アルミン「おそらく、コニーが聞いた雷っていうのは
アニが変身した際のものだったんだろうね」
アルミン「アニも誰かに音を聞かれた場合を想定して、観測所の
黒板の天気にわざわざ『雷』っていう記述を加えていたんだ」
アルミン「アニは女型の巨人になると、寄宿舎前から研究開発所前を
大股で1歩で踏み越えた…」
↓
【猿ぐつわと手袋】
アルミン「研究開発所でベルトルトが拘束されているのを見るや、
アニはベルトルトに猿ぐつわと手袋をはめた」
アルミン「これは、ベルトルトが自傷行為によって
巨人化するのを防ぐ為だ」
アルミン「こうしてベルトルトは、舌を噛んだり爪で引っかいたりして
自分を傷つけることが出来なくなってしまった」
アルミン「ヒストリアがベルトルトの死体の顔面付近で見つけた
血まみれの布切れは、猿ぐつわの名残だったんだよ」
アルミン「きっと、犯行後にアニが回収し損ねたものなんだろうね」
↓
【規則違反により槍に貫かれるベルトルト】
アルミン「そして、そのまま睡魔に勝てなかったベルトルトは、
規則違反により顔面と胴体を槍で貫かれてしまった」
アルミン「兵団規則の3番目の項目… 個室以外での故意の就寝だ」
アルミン「一見すると、あれが“故意”だったとは
言えないかもしれないけど…」
アルミン「モノクマが言っていた通り、ライブハウスでの
前科を踏まえて総合的にアウトだと判断されたんだ」
アルミン「そして、これもモノクマに聞いた通り…
ベルトルトと“もう1人”もそれがアウトになることを知っていた」
アルミン「その“もう1人”っていうのが… アニだったんだろうね」
Act.4
【超硬質ブレードを突き刺すアニ】
アルミン「ベルトルトが処刑されたことを見届けたアニは、
次の作業に取り掛かった」
アルミン「予め研究開発所に持ち込んでいた超硬質ブレードを
ベルトルトの死体とその周りに突き刺したんだ」
アルミン「その超硬質ブレードは、ライナーの死体が
溶け込んで精製されたものだ」
アルミン「ライナーの死体が存在しない以上、モノクマはそれを
兵団裁判の対象となる死体と認めざるを得なかった」
アルミン「その事についても、モノクマに確認していたんだろうね」
アルミン「こうすることで、ベルトルトの死体が発見されて
ライナーの兵団裁判が開かれるという倒錯した状況を作り出した」
アルミン「これこそが… アニが僕たちに仕掛けた最大の罠だったんだ」
↓
【研究開発所と寄宿舎の前に時限爆弾を仕掛けるアニ】
アルミン「現場での作業を終えたアニは、
時限爆弾を2つ持って外に出た」
アルミン「そして、研究開発所前についた巨人の足跡の中央部に
2つの爆弾うちの1つを仕掛け…」
アルミン「再び巨人化して寄宿舎前に移動した後、
今度は寄宿舎前の足跡にもう1つの爆弾を仕掛けた」
アルミン「その目的は2つだ」
アルミン「1つは、巨人化による足跡トリックの痕跡を消し去ること」
アルミン「そしてもう1つは、寄宿舎前、研究開発所前の順に
爆弾を爆発させることによって…」
アルミン「僕たちを寄宿舎から研究開発所に誘導することだった」
今日はここまで
↓
【翌朝、爆発音と共に目覚める者達】
アルミン「そして、翌朝…」
アルミン「時限爆弾による爆発音で目を覚ました僕たちは、
ミカサ、アニ、僕、ジャンの順で寄宿舎前の爆発痕を見つけた」
アルミン「その後、今度は研究開発所前に仕掛けられた
時限爆弾が爆発する」
アルミン「爆発音を聞いた僕たちは、現場に向かう者と
眠っている人たちを起こす者に分かれて行動を始めた」
アルミン「現場に向かったのは僕、アニ、ミカサの3人…
眠っている人たちを起こしに行ったのはジャンだ」
↓
【モノクマアナウンス】
アルミン「そして、研究開発所の扉を開けた僕たち3人は、
そこでベルトルトの死体を発見した」
アルミン「ジャンを始めとした残りのメンバーも現場に駆け付け、
そこで同じ光景を目撃する」
アルミン「アニの誤算はまさにここにあった」
アルミン「僕、アニ、ミカサの3人が死体を見つけたときには
聞こえなかったモノクマアナウンスが…」
アルミン「他のメンバーが駆け付けた瞬間に聞こえたからだ」
アルミン「本来なら、もう1人以上の人間と駆け付けるべきだった…
だけど、アニにはそこまでコントロールできなかったんだ」
アルミン「この誤算によって、犯人は僕、アニ、ミカサの中に
いることが確定してしまった」
アルミン「そして、さっきの自白の通り、今回の事件のクロは…」
アニ「………………」
アルミン「アニ・レオンハート… 君だよ」
アニ「…………ふっ」
アニ「さすがだね、アルミン… 本当に恐れ入ったよ」
ヒストリア「そ、そんな… それじゃあ…!」
アニ「ああ、今のアルミンの推理で正解さ」
アニ「“ほぼ”ね…」
アルミン「…ほぼ?」
アニ「ライナー殺害の件…
あんたは私がライナーを呼び出したって言ったけど…」
アニ「あれは逆なんだよ」
アルミン「…えっ?」
アニ「あいつの方から私に呼び出しがあったんだ」
アニ「『話があるから夜中に会えないか』ってね…」
アニ「それを受けて私は会う時間と場所を指定したんだ」
アニ「溶鉱炉っていう場所を指定したときも、
『他の人間が来なさそうな場所だから』って言ったら納得してくれた」
アルミン「………………」
アニ「おかげで色々と手間が省けたよ…」
アニ「色々とね…」
コニー「な、なあ… 1つ分からない事があるんだが…」
コニー「なんで俺の部屋の通気口にモノクマが詰まってたんだ?
アニがやった訳じゃ…ねえよな?」
モノクマ「あー、あれ?」
モノクマ「あれはね… ボクがスパイごっこをした時の名残だよ」
コニー「…は?」
モノクマ「ちょっと暇だった時に、寄宿舎内の通気口内を這って
スパイごっこをしてたんだ」
モノクマ「そしたら、ちょうどスプリンガーくんの部屋のところで
動けなくなっちゃって… そのまま乗り捨てたってわけ」
アニ「…なるほどね。意味不明な行動だけど、ようやく謎が解けたよ」
アニ「雨が降って寄宿舎に駆け込んで、コニーが起きているのを
見たときは… 正直ヒヤッとしたからね」
アルミン「…僕にも1つ、分からない事があるんだ」
アルミン「アニ… どうして君はライナーとベルトルトを殺したの?」
アニ「………………」
アルミン「君が僕に話してくれた通り、あの2人は君の仲間なんだよね?」
アルミン「それなのに、どうして…」
アニ「………私はね」
アニ「賭けたんだよ」
アルミン「…えっ?」
アニ「私にはもう分からなかった」
アニ「何が正しくて、何が正しくないのか…」
アニ「私は戦士になり損ねたんだ…」
アルミン「…?」
アニ「だから、私は…」
モノクマ「アニ」
アニ「…!!」ゾワッ
モノクマ「それ以上は…」
モノクマ「わかってるよね?」
アニ「………………」
アルミン「え……」
モノクマ「それじゃあ、もう議論も済んだようだし、
お待ちかねの投票タイムといきましょうか!」
アルミン「ちょ、ちょっと待ってよ…」
アルミン「今のは…」
モノクマ「はいっ、オマエラ、お手元のスイッチで投票してくださーい!」
モノクマ「投票の結果、クロとなるのは誰か!?
その答えは…正解なのか不正解なのかーーッ!?」
モノクマ「それでは… どうぞーっ!!」
WHO IS FOUND GUILTY?
MONOKUMA
V O T E
【アニ・レオンハート】
【アニ・レオンハート】
【アニ・レオンハート】
GUILTY
モノクマ「なんと! またまた大正解!」
モノクマ「今回、ブラウンくんを殺し…」
モノクマ「ボクの存在を利用して、フーバーくんの命をも
奪ったクロは…」
モノクマ「…アニ・レオンハートさんでしたー!!」
アニ「………………」
モノクマ「それじゃあ、時間も押しちゃってるんで…」
モノクマ「このままおしおきタイムもやっちゃいましょうか!」
アルミン「ちょ… ちょっと待てよ!」
アルミン「まだ僕は…」
アニ「アルミン」
アルミン「…!!」
アニ「いいんだ、アルミン」
アニ「これでいいんだよ」
モノクマ「今回は自らの仲間を殺した
冷酷非道なアニ・レオンハートさんの為に…」
モノクマ「今まで以上にスペシャルなおしおきを
用意させて頂きましたぞっ!!」
アニ「アルミン… みんな…」
アニ「後は任せたからね」
アルミン「…ッ!!」
アニ「席次【4番目】からの… お願いだから」
モノクマ「では張り切っていきましょう! おしおきターイム!」
GAME OVER
レオンハートさんがクロにきまりました。
おしおきをかいしします。
今日はここまで
――――――――――――――――――――――――――――――――――――
―――――――――――――――――――――――――
――――――――――――――――
―――――――――
――――
ベルトルト「あれで穴を塞ぐなんて…」
ベルトルト「無茶な作戦だ…
エレンが食われるかもしれない」
ベルトルト「もしそうなれば何もわからないままだ」
ライナー「あぁ…いざとなったら
俺の巨人で何とかするしか無さそうだ」
ベルトルト「でも…作戦が成功したらせっかく空けた穴が
塞がれてしまう」
ライナー「構わねぇさ…俺達がこの5年間ずっと探してた
手がかりをようやく見つけることができた」
???「オイ… 二人共…」
???「一体…何の話をしているんだ?」
???「「俺の巨人」って何だよライナー?」
???「「せっかく空けた穴」って言ったのか? ベルトルト」
ライナー「…マルコ」
ライナー「今の話は…」
ライナー「冗談だ…」
マルコ「…ッ」
マルコ「気は確かか!?」
マルコ「君らしくないな!!」
マルコ「でも!!」
マルコ「今は…ほら!?」
マルコ「作戦に集中しろよ!?」
マルコ「1体でも巨人を引きつけて精鋭班の負担を減らすんだ!!」
マルコ「見ろ!! 巨人が迫ってる!!」
マルコ「行くぞ!!」
ドクン
マルコ(エレンは巨人に変身した…)
マルコ(人間は巨人になれる…)
マルコ(突然現れて突然消える超大型巨人の正体もおそらく)
マルコ(人間…ってことになる)
ドクン
マルコ(つまりどこかに人の姿をした敵の巨人がいるってことで…)
マルコ(それは――)
ドコ
ググッ
マルコ「…!?」
ベルトルト「ライナー!」
マルコ「ラ、ライナー… 何を…!?」
ライナー「………………」
マルコ「ライナー…」
マルコ「冗談なんだろ?」
ライナー「………………」
ライナー「いいや」
ライナー「マルコ…」
ライナー「お前は察しが良いから…ダメなんだよ」
マルコ「ひっ…」
マルコ「誰かぁああ」ムグッ
スタッ
マルコ「アニ!!」
マルコ「助けてくれ!!」
アニ「どう…いうこと?」
マルコ「ライナーがおかしいんだ」
マルコ「助けてくれ!!」
ライナー「俺達の会話を聞かれた」
ライナー「もう生かしておけない」
ズシン ズシン
ベルトルト「巨人だ!!」
ベルトルト「こっちに来る!!」
ライナー「アニ!!」
ガン
マルコ「うッ!?」
ライナー「マルコの立体機動装置を外せ!!」
アニ「………………」
ライナー「早くやれ!!」
アニ「………………」
ライナー「…お前、さっきコニーを命張って助けてたよな?」
ライナー「なぜあそこでそんな危険を冒した?」
ライナー「この悪の民族に情が移っちまったからか!?」
ライナー「違うってんなら今ここで証明してみせろよ!!」
ライナー「お前と!!」
ライナー「お前の帰りを待つ親父が!!」
ライナー「穢れた民族と違うって言うんなら!!」
ライナー「今すぐ証明しろ!!」
マルコ「…!?」
ベルトルト「ライナー もうすぐそこまで来てるぞ!!」
ライナー「アニ!!」
アニ「ああ…」
アニ「よりにもよって… この場面とはね…」
アニ「あんたの悪趣味さには吐き気がするよ…」
ライナー「…ベルトルト!!」
ライナー「マルコの立体機動装置を外せ!!」
ベルトルト「…ッ 了解!!」
カチャカチャ
マルコ「うわああああああああああ!!」
マルコ「やめろ!! やめてくれよ!!」
マルコ「なんで… なんでなんで…」
マルコ「なんでだよ!!」
ライナー「それから… アニの分もだ」
ベルトルト「…!? ラ、ライナー!?」
ライナー「こいつは証明できなかった」
ライナー「この穢れた民族と同じだ」
ライナー「生かしておく意味はない… こいつの分も外せ!!」
罪 と 罰
席次4位
アニ・レオンハート 処刑執行
アニ「…………私は」
ズシン ズシン
ライナー「ベルトルト!!」
ベルトルト「…ッ!!」
カチャカチャ
ガシャン
マルコ「う…」
アニ「私は… 私たちは…」
アニ「穢れてなんかいない…」
ドサッ
ダダダ
ヒュ ヒュ
マルコ「う…」
マルコ「待ってくれ…」
マルコ「待ってくれよ…」
マルコ「なんでそんなに急ぐんだよ…」
ズシン ズシン
マルコ「まだ…」
マルコ「ちゃんと…」
マルコ「話し合ってないじゃないかぁあああ」
アニ「…マルコ」
アニ「あの時は…」
アニ「ごめ…」
グシャ
アルミン(3度目の兵団裁判…)
アルミン(3度目のおしおき…)
アルミン(目の前で繰り広げられる凄惨な光景…)
アルミン(だけど、僕たちの目を奪ったのは…)
アルミン(それだけではなかった…)
アルミン「…マルコ?」
ミカサ「マルコ…」
コニー「マ、マルコ…」
ジャン「マルコ…!!」
ヒストリア「マルコ…?」
コニー「うぐっ…!?」
???『貴様は何だ!!』
マルコ『ウォール・ローゼ南区ジナエ町出身!
マルコ・ボットです!』
???『何しにここに来た!』
マルコ『憲兵団に入り!』
マルコ『王にこの身を捧げるためです!!』
ジャン「あぁあああぁ…!!」
マルコ『僕はジャンの方が指揮役に向いてると思うな』
ジャン『オレが? 冗談だろ?』
ジャン『勇ましくなんかねぇぞ』
ジャン『何でそう思うんだ?』
マルコ『うーん』
マルコ『怒らずに聞いてほしいんだけど…』
マルコ『ジャンは…』
マルコ『強い人ではないから』
マルコ『弱い人の気持ちがよく理解できる』
ジャン『…何だそりゃ』
マルコ『それでいて現状を正しく認識することに長けているから』
マルコ『今何をすべきかが明確にわかるだろ?』
マルコ『まぁ…僕もそうだし大半の人間は弱いと言えるけどさ…』
マルコ『それと同じ目線から放たれた指示なら』
マルコ『どんなに困難であっても切実に届くと思うんだ』
ジャン「モノクマァァァァァァァァァァ!!!!」
ジャン「テメェ…!! マルコに何しやがった!?」
モノクマ「え、何? 知り合い?」
ジャン「とぼけんじゃねぇ!!」
ジャン「今、マルコが… マルコが…!!」
モノクマ「ボクは何もやってないよ?」
モノクマ「今見たでしょ? ボットくんを殺したのは
ブラウンくんとフーバーくんだよ」
ジャン「な… なっ…!!」
モノクマ「まあ、実際は… レオンハートさんも手を貸して
ボットくんの立体機動装置を外したらしいけどね」
モノクマ「うぷぷ… いやあ、しかし笑っちゃうよねぇ」
モノクマ「巨人に喰われるボットくんを遠目に見ながら…
ブラウンくんは何て言ったと思う?」
ライナー『オイ…』
ライナー『何で…』
ライナー『マルコが…』
ライナー『喰われてる…』
モノクマ「自分でボットくんを巨人の前に放り出しておきながら…」
モノクマ「ブラウンくんは『何でマルコが巨人に食われているんだ』
って思ったんだって!」
モノクマ「挙句の果てには、『よくもマルコを!』とか言いながら
その巨人を斬り殺したんだって!」
ヒストリア「…ッ!?」
モノクマ「おっかしいよねぇ… ぶっひゃっひゃっひゃっ!!」
ミカサ「モノクマ…」
ミカサ「あなたは… 私たちの何を知っているの?」
モノクマ「………………」
ミカサ「あなたは…」
ミカサ「あなたは一体… 誰なの?」
今日はここまで
モノクマ「………………」
モノクマ「………………」
モノクマ「………うぷぷ」
モノクマ「うぷぷぷぷ…」
ミカサ「…な、何?」
モノクマ「ねえ、オマエラさあ…」
モノクマ「ちょっと提案があるんだけど」
モノクマ「50日間の訓練、もう終わりにしない?」
コニー「……は?」
モノクマ「兵団規則にあったでしょ?」
11 訓練兵達は50日間の訓練を行います。
訓練への参加は強制ではありません。
12 訓練の総合成績が一番優秀だった者には、
“ファイナルデッドルーム”への挑戦権が与えられます。
モノクマ「要するに、50日間の訓練をもう止めて…」
モノクマ「“ファイナルデッドルーム”でのゲームを始めてみない?」
ヒストリア「“ファイナルデッドルーム”でのゲーム…」
ヒストリア「それって、成績上位1名だけが参加できるっていう
命がけのゲームのこと…?」
ヒストリア「勝ったら【願いを一つだけ叶えられる】っていう…」
モノクマ『【願いを一つだけ叶えられる】っていうのは、
命がけのゲームを勝ち残った場合の話ね』
ミカサ『命がけの…ゲーム?』
モノクマ『成績1位の人に与えられるのはそのゲームへの挑戦権だよ。
それに勝つことができたら、【願いを一つだけ叶えられる】の』
モノクマ「そうそう、ちゃんと憶えてて偉いね!」
コニー「つ、つまり… 現時点での成績1位をそのゲームに
参加させるってことか…?」
モノクマ「はいっ、その通りです!」
ジャン「……ちょっと待てよ」
ジャン「その成績1位っていうのは…」
名前 PT
ミカサ・アッカーマン 1690
ミーナ・カロライナ 10
アニ・レオンハート 00
ライナー・ブラウン 00
ベルトルト・フーバー 00
ユミル 00
ジャン・キルシュタイン 00
コニー・スプリンガー 00
サシャ・ブラウス 00
ヒストリア・レイス 00
アルミン・アルレルト 00
エレン・イェーガー 00
モノクマ「もちろん、アッカーマンさんだよ」
モノクマ「オマエラがサボってる間、彼女だけは
コツコツと訓練に参加してくれてたんだから…」
ジャン「ちょっと待てよ…!」
ジャン「もし、ミカサが【裏切り者】だったら…」
モノクマ「あれ? 【裏切り者】はブラウンくんとフーバーくん
ってことになってるんじゃないの?」
ジャン「…っ!」
モノクマ「それに、あの2人と繋がっていたレオンハートさんも
たった今死んだ訳だし…」
モノクマ「もう心配する必要はないんじゃないの?」
アルミン「…違う」
アルミン「あの2人とアニは… 【裏切り者】なんかじゃない」
ヒストリア「…えっ?」
アルミン「真の【裏切り者】は他にいる…」
アルミン「モノクマの協力者である真の【裏切り者】は…」
コニー「モ、モノクマの… 協力者!?」
アルミン「さっきのアニとモノクマのやり取りを見ていて確信した…」
アルミン「あれは… 協力体制にある者同士の会話じゃない」
モノクマ「………………」
アルミン「ここでモノクマがそういう提案をしてくるってことは…」
アルミン「真の【裏切り者】の正体は…」
今日はここまで
ヒストリア「ま、まさか…」
ヒストリア「ミカサ…!?」
ミカサ「………………」
アルミン「…モノクマは元々、こういう脅しをかけていたよね」
モノクマ『ネタばらしするとさぁ、
実はオマエラの中には【裏切り者】がいるんだよ』
コニー『は…?』
モノクマ『そして仮にその【裏切り者】が1位を勝ち取った場合…』
モノクマ『【自分だけここから出たい】とか【自分以外を処刑してほしい】とか、
そんな事言うかもしれないよねー!』
アルミン「そして今…」
アルミン「【裏切り者】の汚名を着せられたライナーとベルトルト…」
アルミン「そして、彼らと繋がりのあったアニが死んだ」
モノクマ「………………」
アルミン「彼らを隠れ蓑にして、真の【裏切り者】を
台頭させるには絶好のタイミングだ」
ジャン「お、おい… その言い方って…」
ジャン「まるで、全部仕組まれて――」
ミカサ「違う」
ジャン「…!!」
ミカサ「私は… 【裏切り者】なんかじゃない」
アルミン「………………」
ミカサ「…確かに、状況は私が有利な方に傾いている」
ミカサ「訓練を受けていたこともみんなに黙っていた」
ミカサ「だけど、それは… モノクマに与するためじゃない」
ミカサ「モノクマは私の敵… それは絶対に変わらない」
アルミン「…どうなんだ? モノクマ」
アルミン「ミカサはお前の協力者… 真の【裏切り者】なのか?」
モノクマ「だ、だからさあ…」
モノクマ「その正体を言ったら元も子もないでしょーが!」
アルミン「………………」
アルミン「…今、何て言った?」
モノクマ「…へ?」
アルミン「『その正体を言ったら元も子もない』…
確かにそう言ったね」
アルミン「前にお前が言った通り、本当にライナーとベルトルトが
【裏切り者】だったのならそんな言い方はしないはずだ」
アルミン「アニの場合も同じ… 『真の【裏切り者】はアニだ』
という主張を通せばそれで済む話じゃないか」
アルミン「つまり、“真の【裏切り者】が存在する”こと自体は
本当なんだな?」
モノクマ「あっ……」
アルミン「………………」
モノクマ「お、おのれ… このボクにカマをかけたな…!?」
アルミン「今までのお返しだよ」
アルミン「真の【裏切り者】は本当にいる。
そして、それはライナー、ベルトルト、アニではない…」
アルミン「…それだけわかれば十分だ」
今日はここまで
ジャン「いや、でもよ…」
ジャン「仮にあいつらが【裏切り者】じゃないとしても…
ミカサが【裏切り者】だっていう可能性は消えないだろ」
ジャン「だったら… 今の提案を受け入れるのは
かなり危険じゃねえのか?」
アルミン「…確かにね」
アルミン「状況的にはミカサが怪しい…
その事実に変わりはないと思う」
ミカサ「………………」
ヒストリア「…ちなみにだけど、モノクマ」
ヒストリア「その命がけのゲームっていうのは… 一体何をするの?」
モノクマ「ふん! 教えてあげないもーんだ!」
アルミン「………………」
モノクマ「…って言いたいところだけど」
モノクマ「説明しないと話が進まないから、教えてあげるよ」
ミカサ「………………」
モノクマ「いいかい? そのゲームっていうのはね…」
モノクマ「全ての謎を解き明かすことだよ」
ヒストリア「……え?」
モノクマ「全ての謎、そなわち…」
モノクマ「3つの事件に隠された真実は何か」
モノクマ「オマエラの言う真の【裏切り者】とは誰か」
モノクマ「オマエラの“失われた数年間”に何があったのか?」
モノクマ「この施設は何なのか」
モノクマ「ボクが何のためにこんな事をしているのか」
モノクマ「そして…」
モノクマ「ボクは一体誰であるのか…」
アルミン「…!!」
モノクマ「それらの謎を全て解き明かしたら、挑戦者の勝ち」
モノクマ「解き明かせなかったら、挑戦者の負け」
モノクマ「挑戦者が勝った場合は、叶えたい願いを一つだけ提示する」
モノクマ「それに対し、ボクがその願いの代案を提示して、
最終的に挑戦者がどちらかの願いを選ぶ」
モノクマ「…これが命がけのゲームの概要だよ」
コニー「全ての謎を… 解き明かす…?」
モノクマ「うぷぷ… そうだよ、全ての謎」
モノクマ「オマエラが知りたくて知りたくて仕方なかったものを
探る機会を与えてあげようってことだよ」
ヒストリア「な、なんで急に… そんなことを…?」
モノクマ「なんでって… それがこのゲームの内容なんだもん。
それ以上は答えようがないよ」
アルミン「…ちょっと待てよ、モノクマ」
アルミン「それは… 兵団規則に反するんじゃないのか?」
11 訓練兵達は50日間の訓練を行います。
訓練への参加は強制ではありません。
12 訓練の総合成績が一番優秀だった者には、
“ファイナルデッドルーム”への挑戦権が与えられます。
アルミン「“ファイナルデッドルーム”への挑戦は
【50日間の訓練】が前提だったはずだ」
アルミン「今はまだその半分も経っていない… 命がけのゲームを
始めること自体がルール違反じゃないのか?」
モノクマ「…うぷぷ」
モノクマ「さすが、痛いところを突いてくるねえ… アルレルトくんは」
アルミン「………………」
モノクマ「確かに、キミが言った通り…」
モノクマ「今“ファイナルデッドルーム”でのゲームを始めたら
ボク自身がルールを犯してしまうことになるね」
モノクマ「だからさ… オマエラにも
ルールを犯す権利をあげようと思って」
コニー「…は?」
モノクマ「ボクは1つルールを犯す」
モノクマ「だからオマエラにも、【1回だけルールを犯す権利】をあげる」
モノクマ「ただし、オマエラ全員の中で1回だけ。
それ以降のルール違反はこれまで通り罰する」
モノクマ「…これならどう?」
ミカサ「…なぜ?」
ミカサ「なぜそこまでして…“ファイナルデッドルーム”での
ゲーム開始を早めたいの?」
モノクマ「それはちょっと言えないなあ」
モノクマ「ボクが今聞いているのは、オマエラが
この提案に乗るか乗らないか… ただそれだけだよ」
アルミン「…いくつか聞きたいことがある」
アルミン「まず、全ての謎を解き明かすっていうのは…
どうやってやるんだ?」
モノクマ「イメージとしては、今までの兵団裁判での捜査だね」
モノクマ「ボクが色んな手がかりを施設内に散りばめておくから、
それを回収して推理する…」
モノクマ「そして、謎の答えを“ファイナルデッドルーム”で
解き明かす…っていうのが主な流れになるよ」
アルミン「その謎解きは… ミカサ1人でやるのか?」
モノクマ「そこはアッカーマンさんにお任せするよ」
モノクマ「みんなの手を借りたいって言うなら、みんなで手分けして
手がかりを探して謎を解き明かすもよし」
モノクマ「1人だけでやりたいって言うなら、アッカーマンさんだけで
やるもよし… 全ては挑戦権のある彼女次第だね」
モノクマ「ただし、願いを提示していいのはあくまでも
アッカーマンさんだけ… これだけは憶えておいてね」
アルミン「………………」
アルミン「…最後に1つ」
アルミン「お前は… 全ての謎を解かれても構わないと思っているのか?」
モノクマ「…? 妙な質問だね」
モノクマ「その質問に答えるなら、まあ… そういうことになるね。
そうでなきゃ、こんなこと言わないもんね」
モノクマ「…さて、質問は以上かな?」
アルミン「………………」
モノクマ「ハイ、質問はないようだね。それで、どうする?」
ヒストリア「どうする……って…」
モノクマ「この提案に乗るか乗らないか、早く決めちゃってよ」
モノクマ「もちろん、この提案を却下することもできるよ」
モノクマ「その場合は… 今まで通りの
コロシアイ生活を続けていくだけだけどね」
アルミン「…ミカサ、君にも聞いておきたいことがある」
アルミン「もし、この提案を受け入れた場合…」
アルミン「君は1人で謎解きをする? それとも…」
ミカサ「私はみんなの力を借りたい」
アルミン「…!」
ミカサ「私が信用されていないことはわかっている…」
ミカサ「だから私は… あえてこの提案に口は挟まない。
受けるか受けないか、みんなで決めてもらっていい」
コニー「ど、どうする…?」
ジャン「…オレはいいぜ、別に」
コニー「えっ…?」
ジャン「よくよく考えれば、どうせこの点差じゃミカサには追い付けない…
それなら、今やろうが50日経ってからやろうが同じだ」
ジャン「それに、今やったら【1回だけルールを犯す権利】の
オマケまで付いてくるんだろ?」
ジャン「…だったら反対する理由はねえよ」
ヒストリア「私も賛成かな…」
ヒストリア「ミカサは私たちの力を借りたいって言ってくれてるし…」
ヒストリア「それなら、少なくともそのゲームをしている間は
またコロシアイが起こる可能性は低くなるんじゃないかな」
アルミン「………………」
ヒストリア「コニーはどう思う?」
コニー「えっ…? お、俺は…」
ミカサ「………………」
コニー「お前らがいいって言うんなら… いいんじゃ…ねえか?」
ジャン「お前はどうなんだ、アルミン」
アルミン「…僕も賛成だよ」
アルミン「ジャンが言った通り… 多分、今やっても
50日経ってからやっても結果は変わらない…」
アルミン「そして、ヒストリアが言った通り、
全員で謎解きに取り掛かれば…」
アルミン「その間にコロシアイが起きる可能性は低くなる…」
アルミン「それに、何より…」
アルミン「僕は…」
アニ『アルミン… みんな…』
アニ『後は任せたからね』
アルミン「全ての謎を… 解き明かしたい」
モノクマ「うぷぷ… どうやら満場一致で決まりのようだね」
モノクマ「それじゃあ、さっそく明日の朝からゲームを開始しようか」
アルミン「………………」
モノクマ「でもまあ、いきなり全ての謎を解き明かすって言っても
かなり大変だろうから…」
モノクマ「特別に、ここで重大ヒントをあげるよ!」
ヒストリア「…重大ヒント?」
モノクマ「そう、全ての謎に関わる重大ヒント」
モノクマ「ちなみに、これからボクが言う重大ヒントと
明日以降ボクが散りばめる手がかりには…」
モノクマ「【嘘偽りは一切ない】から、安心してね!」
コニー「…?」
モノクマ「えー… コホン、それでは発表するよ」
モノクマ「この施設には現在、生きた人間が12人います」
ヒストリア「…………………」
ヒストリア「…………………」
ヒストリア「…………えっ?」
モノクマ「そして、ボクの正体は…」
モノクマ「その12人の中の1人でーす!!」
ジャン「なっ…!?」
コニー「…!!」
ヒストリア「12人の…」
ヒストリア「生きた…人間…!?」
ユミル『わからないのか?今来た2人を含めてもたったの12人なんだぞ?
他の連中はどこに行ったんだよ』
モノクマ「うぷぷ… そうだよ、ボクはれっきとした人間なんだ」
モノクマ「今更『中の人なんていません!』とか言うつもりはないからね」
モノクマ「ボクはあくまでこの“モノクマ”という器を借りて
オマエラに接しているだけであって…」
モノクマ「本体はちゃんと他にいるんだよ」
今日はここまで
ミカサ「………嘘」
ミカサ「嘘だ……」
ミカサ「そんな…」
ミカサ「生きてるの…? みんなが…」
ミーナ『イヤだぁぁぁぁぁぁああああぁぁぁぁあああ!!』
ユミル『うぐっ…!?』
サシャ『どうか、私の分まで…』
サシャ『お、美味しいもの… いっぱい…』ガタガタ
ライナー『行くぞ、ベルトルト』
ベルトルト『ラ、ライナー!待ってくれ!』
アニ『アルミン… みんな…』
アニ『後は任せたからね』
エレン『別にいいんじゃねえか?結構似合ってるしよ』
エレン『なぁ…諦めて良いことあるのか?』
エレン『あえて希望を捨ててまで現実逃避する方が良いのか?』
エレン『それじゃあ駄目なんだッ…!』
ミカサ「エレンが…」
ミカサ「エレンが… 生きてるっていうの…!?」
アルミン「嘘だッ!!」
ミカサ「…!!」
アルミン「デタラメを言うな!! そんな訳ないだろ!!」
アルミン「たった今だって…」
アルミン「アニが… お前に殺されたばかりじゃないか!!」
モノクマ「…あのさあ、だから言ってるじゃない」
モノクマ「ボクが今言ったヒントに【嘘偽りは一切ない】って」
アルミン「…っ!!」
モノクマ「まあ、このヒントをどう捉えるかはオマエラ次第だよ」
モノクマ「ただ、これだけは言っておくけどね…」
モノクマ「真実を受け止める覚悟がない限り…」
モノクマ「オマエラは絶対に謎の答えには辿り着けないよ」
モノクマ「たとえその真実が、どんなに残酷で…」
モノクマ「どんなに絶望的なものだったとしても」
アルミン「……ッ」
モノクマ「ハイッ! という訳で、ボクからは以上!」
モノクマ「あとはオマエラの力だけで全ての謎を解いてくださいな!」
モノクマ「それじゃあ、健闘を祈ってるよ… うぷぷぷ…」
モノクマ「アーッハッハッハッハッハッハッハッハッ!!」
ポヨヨーン
アルミン(モノクマはそう言って姿を消した)
アルミン(衝撃に打ちのめされる僕たちを残して…)
ジャン「………………」
コニー「………………」
ミカサ「………………」
ヒストリア「………………」
アルミン(誰も何も話さない)
アルミン(重苦しい静寂に包まれながら、
頭の中でいつまでもアニの言葉が鳴り響く)
アニ『アルミン… みんな…』
アニ『後は任せたからね』
アルミン(アニ、君は…)
アルミン(君は一体… 何を知っていたんだ…?)
コニー「……な、なあ」
コニー「どうするよ…?」
ジャン「どうするって… やるしかねえだろ」
コニー「………………」
ジャン「提案を受け入れた以上はやるしかねえ…
オレたちの手で全ての謎を解き明かすしかないんだ」
アルミン「…そうだね」
アルミン「ここまで来たからにはやるしかない…」
アルミン(僕は自分に言い聞かせるように呟いた)
アルミン(震える拳を強く握りながら…)
アルミン「全ての謎を解き明かそう」
アルミン「ここにいる… 僕たちの手で」
第三章
僕と私の兵団裁判
END
生き残りメンバー 5人
【ミカサ・アッカーマン】
×【ライナー・ブラウン】
×【ベルトルト・フーバー】
×【アニ・レオンハート】
×【エレン・イェーガー】
【ジャン・キルシュタイン】
【コニー・スプリンガー】
×【サシャ・ブラウス】
【ヒストリア・レイス】
【アルミン・アルレルト】
×【ミーナ・カロライナ】
×【ユミル】
To Be Continued
今日はここまで
次章で完結します
次スレは4月中に立てる予定です
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