【モバマス】加蓮「7月、いつもの事務所」 (12)

先日誕生日を迎えた加蓮pの友人のために書いた作品になります。

表現等、稚拙な部分はありますが楽しんで頂けると幸いです。

【モバマス】楓「緑髪は人気が出ない?」
【モバマス】楓「緑髪は人気が出ない?」 - SSまとめ速報
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↑前作になります。



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7月、都内某所ーーー

p「暑すぎる…朝の気温じゃないぞこれ…あ、涼しい」

ちひろ「あ、プロデューサーさん、おはようございます」

どうやらちひろさんは先に着いていたようだ。相変わらず早い。

加蓮「あ、プロデューサー、おはよー」
 
加蓮も先に着いていたみたいだ。どう考えても普段より早い。

p「え…加蓮、どうしたの?明日は雪なの?」

加蓮「この暑いのに雪が振ってくれるなら最高なんだけどねー」

p「…もしかして、何か悪いことでも考えてる?」

加蓮「なんで私がいつもと違うことをしていると怪しむの?おかしくない?」

だってそうじゃん。いつも奈緒が気まぐれの被害に遭ってるの知ってるんだぞ。

加蓮「たまたま早起きしちゃったから来ただけだって…ホントだよ?」

p「それならいいんだけど…今日の仕事までは時間にゆとりもあるし、まぁのんびり待機しててくれ」

出来るなら毎日早起きしてくれ、なんて思ったり。

加蓮「え、pさん構ってくれないの?」

p「なんで寧ろ早く来たら構ってもらえると思っているんだ?」

というかその情報はどこから出てきているんだ?そんな事を言った記憶は無いんだが…

加蓮「じゃあ、どうしたらpさんが私に構ってくれるか一緒に考えよ?」

p「当事者ここにいるんだがその議論は無駄だと思わないのか?」
 
加蓮「神谷さんは無駄じゃないって言ってるよ」

p「とりあえず後で奈緒に一回謝ろうな」

神様こと神谷さんネタは彼女の中のマイブームなんだろうか。

加蓮「で?結局構ってくれるの??ハイなの?イエスなの??」
 
おかしいな。俺が決めるはずなのに俺に拒否権が存在しないんだが。

…まぁ最近よくやってるし少しくらいはいいか。

p「わかった、わかった。今ある仕事を終わらせたら後で構ってやるから一生懸命仕事してこい」

 
加蓮「え、それ何時終わるの?今日中??」 

冗談でもそれはシャレにならないな?

p「今日中に終わるに決まってんだろ!!?全くもう…」

加蓮「はいはい。今日もpさんの為に頑張ってきますよっと」

p「普通立場逆じゃないか?…まぁ、出来るだけ早く終わらせるから頑張ってこいよ?」


仕事途中に加蓮につっつかれたりからかわれたりしたものの、順調に今日の作業も終わった。
というか何ならいつもより早く終わったぐらいだ。

加蓮は仕事先にいるだろうから、電話で仕事が終わったことを伝える。

p「おーい、加蓮ー?仕事終わったぞー」

加蓮「pさんおっそい。何時間待ったと思ってるの?」 

…収録の終了予定時間は15分前だったはずなんだけどなぁ。

p「んで、どうするんだ?時間はあるから事務所に戻るか?」

加蓮「あ、それなんだけどね、ちょっと行きたい所があるんだけど、来てもらえる?私はここから近いから直で向かうよ」

p「ん。結局どこに向かえばいい?」

加蓮「○○駅。事務所からだと大体20分くらいかな?」

○○駅か…結構オシャレな店とかが並んでる所じゃないか。半端な格好では行けそうにないな。

p「了解。大体40分後くらいに集合でいいか?」

加蓮「もっと早く来てもいいんだからね?じゃあ、待ってるから」

取り敢えずちひろさんに挨拶してから軽く身嗜みを整えて行くことにしようか。

ちひろ「あら、もう上がりですか?」

p「ええ、加蓮に呼び出されたもので。緊急の用件はありませんよね?」

ちひろ「大丈夫ですよ。寧ろ余裕があって休んで欲しいくらいですし。それよりもあまりレディを待たせない方がいいと思いますよ?」

p「ありがとうございます!!ではお先に!!」

―――
うん。目覚めの良い朝。
いつもよりかなり早いかな?

今日はpさんの誕生日。多分あの人はそこまで意識してないんだろうなぁ。
私の事は鬱陶しいくらいに考えるくせに自分の事はホント疎い人だから。

そんな日だから気合いが入っても仕方のないこと…だよね?

朝の身支度を済ませ、事務所へ。
あの人は…いないみたい。うん。思惑通り。

ちひろ「あら…?加蓮ちゃん、随分早いんですね。お早うございます」

加蓮「おはよー。ちょっと話したいことがあるんだけど…」

ちひろ「どうしましたか?仕事の相談ならpさんを待った方が早いと思いますが…」

加蓮「あ、いや、今日pさん借りれない?」

ちひろ「何故今日…?ああ。なるほど。お祝いしたいんですね?」

加蓮「そゆこと。多分あの人自分でも気づいてないからちひろさんも言わないでおいてくれない?…サプライズしたいから」

ちひろ「大丈夫ですよ。任せて下さい!!でも、加蓮ちゃんも今日の仕事、キッチリお願いしますね?」

そりゃそーだ。うわっついてたらダメだよね。いかんいかん。
さて、ちひろさんの協力も得られたことだしpさんを待つとしますか。

―――
「お疲れ様でしたー」

収録もバッチリ終了。こっちは予定通りかな?
さて、あの人はいつ終わるかな? 
あんまり遅かったらこっちから電話するけど。

なんてことを考えていながら楽屋で身支度を整えているとpさんから電話が。…予想よりだいぶ早いね。

p「おーい、加蓮ー?仕事終わったぞー」

加蓮「pさんおっそい。何時間待ったと思ってるの?」 

実際はほとんど待ってないけど。というかもっと待つと思ってたんだけど。

p「んで、どうするんだ?時間はあるから事務所に戻るか?」

加蓮「あ、それなんだけどね、ちょっと行きたい所があるんだけど、来てもらえる?私はここから近いから直で向かうよ」

p「ん。結局どこに向かえばいい?」

加蓮「○○駅。事務所からだと大体20分くらいかな?」

p「了解。大体40分後くらいに集合でいいか?」

加蓮「もっと早く来てもいいんだからね?じゃあ、待ってるから」

…少し早かったかな?というか私が遅れそうな気がしてきた…


――― 

うん。時間通り。
…加蓮はまだいないか。 
というか有名人だから変装していてもバレてそうで怖いなぁ。

…しかし流石は、と言ったところか。
本当にオシャレな店が多くて参ってしまう。
仕事で行くこともあるがプライベートで来ることは滅多に無いのであまりの眩しさに目がくらんでしまう。



加蓮「あ、いたいた。pさーん!」

待つこと数分。加蓮が見つけたみたいでこっちに手を振りながらやってきた。
格好は変装しているもののいつもより気合いが入っているみたいでスーツのこっちが少し申し訳なくなってくるみたいだ。

p「おう。お疲れ様」

加蓮「pさん待った?」

少しだけな、と言うと加蓮は少しふくれながら

加蓮「そこは分かっていても『今来たところだよ』って言わなきゃでしょ!?気遣えないとモテーーー」

加蓮「やっぱ、言わなくていいや。時間も無いし」

結局何を言おうとしたのか。

p「んで?どうするんだ?行きたい所でもあるのか?」

1日待たせてしまったし。出来る限り希望は叶えさせてやりたいところだが…おいくらするのだろうか。

加蓮「うん。とりあえずついてきて」

と言って手を掴まれて引っ張られる。
今日の加蓮はいつにも増して積極的な気が…する。



加蓮「pさん、着いたよ。ここ、ここ」

加蓮に引っ張られてやって来た先には新しく出来たばかりという大型の複合商業施設があった。

そういえばここには結構有名な化粧品店が出店していたみたいだしそれを見たかったのだろうか?
…という自分の予想に反して加蓮はエレベーターに乗り込み、上の方の階のボタンを押す。
 
フロアマップを見るとその階にはレストランがあるみたいだ。
…でもこういう所のレストランって高かったような? 

p「レストランに行きたかったのか?…あんまり高いのは勘弁してくれよ?」

加蓮「いいからいいから。」

…何が良いのかはよく分からないが取りあえず今日は加蓮の思うままにすることにしよう。


エレベーターを降りた先にあったのはいかにも、と言わんばかりの「高そう」なレストランがあった。
…一晩いくらするんだろうか。
財布の中身が少し心配になってきた。

店員「いらっしゃいませ。お二人様ですか?」

加蓮「はい。予約していた北条です」

p「は?予約??どういう…?」

加蓮「とりあえず、席についたら話さない?」



そういうわけで店員に従って通された席はよく夜景が見える窓際の席だった。

p「…で?どういうことなんだ…?」

加蓮「今日が何の日かpさんは覚えてないの?私のことはしっかり覚えていても自分のことには本当に疎いんだね…」

p「今日が何の日か…?あ。」

そういや、今日俺、誕生日じゃん。
…て、ことはこれ、加蓮からのプレゼント?

加蓮「そういうこと。pさん!おめでとう!!今日は私からのお祝いだからね!
…こんなこと普段は言わないけど、いつも本当にありがとう!
私、pさんのお陰でここまで来れたような気がするんだ。だから、今日は思い切り楽しんでね。
…あ、でもお酒はつき合えないや。もう少し待って?」

思わぬ加蓮からの直球の感謝の言葉に俺は言葉を失った。

加蓮「…あれ?pさんどうしたの?もしかして泣いてる?」

p「泣いてなんかないやい!」

加蓮「じゃあ何で上ばっか向いてこっちを向かないの?ハンカチ使う?」

と言ってハンカチが差し出される。

p「あ、それ…」

加蓮「ん?どうしたの?変なものでもついてる?」

…それ、俺が加蓮にあげたハンカチじゃないか。
何を渡せば良いのか分からなかった自分が初めて加蓮にあげたものだったような。

加蓮からは『手を切れってこと!?はぁ!?』って言われ、他の女性陣からも『それはないわー』と言われたという顛末がついたが。

それにしても、ずっと大切にしてくれていたのか…

p「あ、いや、なんでもないんだ。
ハンカチは泣いてないから、大丈夫だ」

加蓮「泣いてたでしょ…
ま、いいや。それじゃあ、改めてpさんおめでとう!乾杯!!」

p「ああ。ありがとう!!」

―――

料理も一息つき、加蓮から箱の入った袋を渡される。

加蓮「はい、これ。私からのプレゼント」

p「これ、開けてもいいか?」

加蓮「うん。気に入るといいんだけど…」

そう言って渡された箱の中には、万年筆が入っていた。

加蓮「pさん、書くことも多いし、持っておいてもいいんじゃないかなーって…」

p「え、めっちゃ欲しかった。よく分かったな。エスパー?」

加蓮「pさんとどれだけ過ごしてると思ってるの?好きなものや好みの物くらい分かるって」

p「…そうだよな。もう会ってから随分時間も経ったよなぁ…」

加蓮「でしょ?あなたが育てたアイドルだよ?」

あの頃の加蓮は今よりずっとトゲトゲしてたっけ。『努力とか得意じゃないから』なんて言って。
でも本当は凄いストイックで、負けず嫌いで。
アイドルとしても一流というくらいになって…性格も随分

p「丸くなったよなぁ…」

加蓮「はぁああああああああああああ!?どういうこと!?太ったって!!?!?」

p「違う違う違う!!性格の話だよ!!!」

加蓮「あ、うん…」

p「だって昔は 加蓮「pさんストップ」

どうやら触れてほしくないらしい。
よく凛にいじられるのを知っているが。

p「…でも、本当に凄くなったよ。加蓮は」

加蓮「なにそれ。今更?…pさんのお陰だってば」

p「一目見たときから才能はあると思ったんだ。開花させたのは誰でもなく加蓮自身だって」

加蓮「そう?でも、これからもよろしくね?pさん」

p「ああ、勿論」 



―――

p「いいのか?俺が払うが…」

加蓮「pさんは今日受け取る側。女の子に恥かかせちゃダメよ?」

そう言われたら仕方ない。
…加蓮の誕生日は前より豪華にしないとな。
三ヶ月分の給料くらいの貯金はあったかな? 


会計も終え、店を出る。
時間もすっかり遅くなってしまったようだ。
昼間は暑かったが今は夜風が気持ちいい

p「今日は本当にありがとうな。誕生日をきちんと祝われたのって、久しぶりだな…」

加蓮「そう?じゃあこれから毎年祝ってあげる」

p「それは有り難いな。にしてもすっかり遅くなったな。明日はオフだっけか?」

加蓮「うん。だから大丈夫だよ。あとね、最後に一つお願いしていい?」

そう言って加蓮は俺の袖を掴む。

加蓮「今日、泊めて?」



―――
翌日

p「かれんー、朝メシいるかー?」

加蓮「あ゛ー…大丈夫。そういう気分じゃない…」

p「そうか…俺はこれから仕事だけどどうする?…って今日はオフだったか」

加蓮「そうだね…うーん…明日もお休みしていい…?」

p「…まぁ大丈夫だと思うぞ。そこまで急ぎの用事もないはずだし。
というか親御さんとかに連絡とかしなくて大丈夫なのか?」

加蓮「それは凛に口を合わせて貰ってるから大丈夫…」

p「後で凛にお礼を言わないとな…
じゃあ、車で送っていくから出来るだけ身支度整えてくれよ?」

加蓮「あ゛ーい…体が重い…」
  
―――

事務所

ちひろ「あら、今日は遅いんですね。プロデューサーさん、おはようございます」

p「はい…ごめんなさい…」

ちひろ「まぁ急ぎの要件も無いですし別にいいんですけどね。ところで、昨日は楽しめましたか?」

p「っ!?…いやー、自分でも誕生日覚えてないって俺も年を取った証拠ですね~」

ちひろ「…pさんまだ若いでしょう?若年性の痴呆ならいい医者を紹介しますよ?」

p「いやいや、そこまでボケてないですって。
あ、そうだ。加蓮、明日も休みたいみたいです。スケジュール調整効きますか?」

ちひろ「…この時期はそこまで忙しくないので別に問題ありませんが。…夏風邪ですか?」

p「それはよく分からないですね…まぁすぐに治ると思いますよ」

ちひろ「昨日はしゃぎすぎたんですか?別にハメを外すのはいいですけれど、アイドルなんですから目立ちすぎるのは避けて下さいね?」

p「はい…反省しています…」

ちひろ「まぁ特に騒がれてもないですし、問題は無いみたいですが。
あ、そうだ。これ、私からのプレゼントです」

p「わざわざすいませんね。有り難く受け取っておきます」

ちひろ「私の時は100倍くらいでお返ししてくださいね?」

p「畜生!やっぱりそうですよね!」

俺の叫びは夏の暑すぎる青空に吸い込まれていった。

以上になります。ありがとうござました。

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