P「安価でアイドルプロデュースしてIA優勝を目指す」
P「安価でアイドルプロデュースしてIA大賞受賞を目指す」
P「安価でアイドルプロデュースしてIA大賞獲得を目指す」
の続き。45週目から仕切りなおし
【活動45週目 765プロ事務所 朝】
『夢は、私達を見捨てません。私達が、その夢を見捨てないかぎりは』
『だからプロデューサーさんも……あなたの夢を、諦めてはいけません』
P(……あずささんがここまで言ってくれたんだ。俺も、最後まで頑張らないとな)
P(さて……)
??「おはようございます」
P「おはよう! えーっと……」
入ってきたのは誰?
>>7
※765プロの人でお願いします
あずさ
あずさ「おはようございますー、プロデューサーさん」
P「おはようございます。今日は随分早いですね、迷子にはならなかったんですか?」
あずさ「ふふっ。私だって、いつまでも昔のままのあずさじゃありませんよ~」
あずさ「ちゃーんと、早起きして、自分で起きれるようになったんですからね?」
P「そ、それはすみません。そうですよね、もうここに来てから何年も……」
<あ、ちょ、ちょっと伊織! 離れないでよ
<またなの!? もう、しょうがないわね~
P「……」
あずさ「……えーっと」
P「……律子達と一緒に来た、とか?」
あずさ「……はい……」
あずさ「……こんなに早くバレちゃうなんて、恥ずかしいですー……」
P「あはは……律子も元気そうでよかったですよ」
あずさ「プロデューサーさんは、その後お変わりないですか?」
P「先週末に会ったばかりじゃないですか。でもまぁ、俺はこの通り、調子はいいですよ!」
あずさ「それはよかったです~。プロデューサーさんがいないと、私達なんにもできませんからね」
P「そんなことは……俺が出来るのは、あくまでみんなが気持ちよく活動するためのサポートだけですから」
あずさ「それはご謙遜、です。……でも、んー……どっちかと言えば……」
あずさ「プロデューサーさんがいれば、私達なんでもできる、って言ったほうがいいのかしら?」
P「……なんでも?」
あずさ「ええ。雪歩ちゃんや真美ちゃん、それにもちろん私も……プロデューサーさんに、たくさん、力を頂いてますから」
P「……」
P(今なんでもって言ったよね? じゃ、じゃあ例えばこんなことも……?)
1 それじゃあ、このままみんなで頑張ってIA大賞だって取れますよね!
2 それじゃあ、抱きしめてもいいですか!
3 その他
>>15
2
P「……あずささん」
あずさ「はい、どうかしたんですか~?」
P「今、俺がいればなんでもできる、と仰りましたよね?」
あずさ(真剣な目をしている……)
あずさ「……もちろんです。どんなお仕事だって、レッスンだって……、今の私なら、乗り越えられます」
P「……それじゃあ」
あずさ「……」
P「抱きしめても、いいですか……!?」
あずさ「はい、それくらいなら、お安いごよ」
あずさ「えっ」
P「本当ですか! やったー!」
あずさ「ちょ、ちょっと待ってくださいっ! だ、抱きしめ……?」
P「」フンフンフン
あずさ「ぷ、プロデューサーさん……なんだか、鼻息が荒いですよ~?」
P「だってそりゃあ、あずささんとふたりっきりなんですから……、しかないですよ」
あずさ「そ、そうなんですか?」
P「そうなんです……!」
カチ…… カチ……
P(今の時刻は……よし、まだ他のアイドルが来るまでしばらくあるな)
P(いつまでも昔のままじゃない、のは俺も一緒だ。邪魔されないことをちゃんと確認した)
P「そ、それで、ど、どうなんですかっ! だ、抱きしめっ!」
あずさ「えーっと……」
P「」フンフンフン
あずさ「……」
あずさ「……ちょっとくらい、なら……」
P「ひゃっほう! よーし、それじゃあさっそく!」スッ
あずさ「!」ビクッ
P「……」
P(あずささん、怖がっている……?)
P(……そりゃそうか。これじゃあ俺、ただの変態だもんな)
あずさ「……あ、あの……出来るだけ、その……優しく……してくださいね?」
P「……」
1 やっぱり落ち着こう!
2 このまま走り抜けよう!
>>24
1
P(……俺がアイドルを怖がらせてどうする)
P(やっぱり、一旦落ち着こう)
P「……すみません、冗談ですよ」ササッ
あずさ「え……?」
P「なんでもできる、って言ってくれたから……つい、あずささんを試したくなっちゃって」
あずさ「試す……」
P「だって、俺なんかに抱きつかれるなんて、普通はイヤじゃないですか」
P「だからこう言って、あずささんの覚悟がどれほどのものか、ちょっと知りたくなっちゃったんです」
あずさ「……」
P「……でも、結果としてあずささんを怖がらせることになってしまったみたいですね」
あずさ「そ、そんなことは……私、決して、イヤだったわけじゃ……」
P「いいんです、あずささんは優しいからそういう風に言ってくれるんでしょうけど……」
P「やっぱり、少しやり方が間違ってたみたいだ。すみません……」
あずさ「……」
あずさ「……優しいのは、プロデューサーさんのほうです……」
P「え?」
あずさ「……やり方が間違っていた、っていうのは合ってるかもしれません」
あずさ「こんな場所では……私だって、恥ずかしいですもの」
P「あはは……こんな場所じゃなかったらよかったんですか?」
あずさ「……もう。そういうこと、聞かないでください~」プイ
P(な、なんだろう、この反応)
あずさ「時には、あなたの優しさが、余計に心をグラグラにさせてしまうこともあるんですよ~?」
P「……」
あずさ「プロデューサーさんの言葉が、私達にいっぱい影響を与えちゃうっていうことは……以前にも言いましたよね」
P「は、はい」
あずさ「だからこれからは気をつけてくださいー。あんまり、軽々しいことは言わないように、ね?」
P「……わかりました。以後反省します」
あずさ「ふふっ♪ それじゃあ今日も、頑張りましょう! おー!」
P「お、おー……?」
あずささんの親愛度が上がった!
【活動45週目 765プロ事務所 朝】
P(そんなやり取りをしているうちに、今日もアイドルプロデュースの時間がやってきた!)
P「……早朝の空気がうまい! 今日は良い活動ができるといいな」
P「えーっと、アイドル達の様子は、っと……」
雪歩「おはようございますぅ……」
真美「おっはよーだぴょーん!」
あずさ「……~♪」
P「……よし。今日はこの子に、意気込みを語ってもらうとしよう!」
>>32
ピヨ
P「音無さん!」
みんな「!?」
小鳥「は、はいっ! 私、音無小鳥です!」
P「いや、知っていますよ……えーっと」
P「今日は、なんだか調子が良さそうに見えますね!」
小鳥「!」
小鳥(……それはそうよ……何と言っても、もうすぐ誕生日なんですから……!)
小鳥(毎年毎年憂鬱になるこの日だけど……今年だけは違うわ……)
小鳥(きっと……プロデューサーさんから、何かアクションがあるに違いない……)
小鳥(うふふ……もうこっちの準備は万端なのよ……!)
小鳥「じ、実はそうなんですー! ここ最近、エステとか通い始めちゃって……えへへ」
P(……なるほど。よし、ここはこう答えておくことにしよう!)
1 いい感じですね
2 あまり空回りしないでくださいね
>>37
1
P「いい感じですね」
小鳥「!!!!!」
小鳥(プロデューサーさんが……褒めてくれた……!?)
P「でも、音無さんにはエステなんて必要ありませんよ。そのままでも、十分お綺麗ですから」
小鳥「そっ、そそ、そそそ」
P「あ、そういえば、もうすぐ……」
小鳥「っ!」
P「……いえ、なんでもありません。ふふ」
小鳥(も、もうすぐ? もうすぐなんだというの?)
小鳥(やっぱり、私の誕生日に、何かしてくれるの? 教えてハニー!)
P「……楽しみにしていてくださいね?」
小鳥「ひゃ、ひゃいっ!」
P(そういえばもうすぐ、みんながデビューして一周年だなあ。音無さんとサプライズパーティでも企画しよう)
小鳥(うふ、うふふうふ……)
小鳥さんのゴールインまでもう秒読みだ!
【活動45週目 首都エリア/ドーム 昼】
P「……」
真美「兄ちゃん……ここが、ラストダンジョンなんだね……!」
P「……ああ、そのとおりだよ、真美……!」
あずさ「……プロデューサーさん、ドームですよ、ドーム……」
P「あ、あずささん。その台詞はちょっと……」
雪歩「……こ、こんなところで……歌える日が来るなんて……う、うう、感無量でずぅ……」
P「おいおい、まだ泣くなって……だいたいな、ここでやるのはまだ一ヶ月も先のことなんだぞ」
雪歩「は、はい゛、ずみません……ずびびっ」
P(だけど、雪歩が感動してしまうのも無理はない。俺達は……ついにここまできたんだ)
P(すべてのアイドルが憧れる場所……ドームへと)
P(今日はあくまで下見だが……うう、俺まで、なんだか涙が出そうだ……!)
【営業(挨拶まわりのお仕事) 首都エリア 昼】
P「……さて」
P(今日は一応、関係者とスタッフの方達への挨拶まわりの営業、ということになっている)
P(いつもだったら、ここらへんで誰のプロデュースに力を入れるか考えるところだが……)
P「……」
あずさ「……プロデューサーさん」
P「……ええ、わかっています」
真美「ねえねえ兄ちゃん! 今日のお仕事終わったらさっ、みんなでお買い物しよーよっ!」
P「はは、気が早いな……そんな真美には、今日一日俺が付いていることにしよう!」
真美「え? なんだか、いつもより素っ気無いね」
P「素っ気無くしたつもりはなかったんだけど……即決だって言いたかったのか? ま、まあいい」
真美「でもでも、兄ちゃんと一緒なら、真美も頑張るよ~!」クルクル
P「よし、その意気だ。気合入れていこうな、真美!」
P(……真美には、話すことがあるからな……)
【挨拶まわりのお仕事(真美)】
P(スタッフの方への挨拶は、意外なほどにすんなりと終わった)
P(真美のことだから、何か失礼なことを言うんじゃないかと内心ヒヤヒヤしていたが……)
P(特に何も言うことはなかったな。真美もやっぱり、この一年近くで大きく成長してくれたらしい)
P(敬語がなっていないのは、相変わらずだったけど……それも真美らしいということで、皆さん笑っていてくれた)
真美「わー……ひっろーい……」
P「真美は、ここに来たことなかったのか? ……おいおい、芝生に入るなよ」
真美「んとね、結構前に亜美と来たけど……そんときは、あっちだったもん」
P「客席か……まあ、それはそうだよな」
P(そして、俺と真美はいま……)
P(特別に、ドームの中を見学させてもらっているのである)
真美「……」
P「……やっぱり、感動するか?」
真美「うんっ! えへへ……ねえねえ兄ちゃん、ここにはさ、何人くらいお客さん来てくれるの?」
P「え? そうだな……」
真美「10万人? それとも100万人? もしかして、一億万人とかっ!?」
P「いやいや、さすがにそんなには……というか一億万人って言い方、久しぶりに聞いたな」
真美「え~、じゃあ、もっと少ないの?」
P「ええっと、確か資料には……」
ゴソゴソ
P「お、あったあった。収容人数はだいたい、4万5千人ということらしい」
真美「なーんだ、意外と少ないんだね」
P「十分だろ……どれだけでっかい気持ちを持っているんだ」
真美「もっともっとババーンとヒロビロー! ってカンジに改造すればいいのにー」
P「ははは……無茶言うなって」
真美「でもでも、その方がおトクっぽいっしょ? んっふっふ~、日本中の人が入れるくらいにさっ!」
P「……真美。ドームは決して、狭い場所じゃない。むしろかなり大きい部類だ」
P「もっともっとたくさんのお客さんを、っていう真美の気持ちも、わからなくはないよ」
P「それでもな……」
1 そんなにいっぱいのお客さんを、全部見られるのか?
2 大切なのは、人数じゃないんだ
3 その他
>>52
2
P「大切なのは、人数じゃないんだ」
真美「え~。でもでも、いっぱいの人に見てもらった方が、真美も嬉しいし、兄ちゃんも嬉しいっしょ?」
P「もちろんそうだよ。真美達の歌う姿を、多くの人に生で見てもらいたい……その気持ちは俺にだってある」
P「でも、思い出してもみてくれ。俺達が初めて、ライブをしたときのことを」
真美「初めてのライブ……」
P「……」
真美「……えへへ。あんまり、人多くなかったよね」
P「そうだな……あの頃はまだ、こんなに大きな場所、確保できなかったから」
真美「ドームは、あのライブハウスの10個分くらいはあるっぽいよね」
P「もっと、もっともっと大きいぞ。比べ物にならないくらいさ」
真美「そっかぁ……でっかいんだね」
P「……真美。あのときのライブ、楽しくなかったか?」
真美「……」
真美「……ううん、そんなことない」
真美「ファンの兄ちゃんや姉ちゃんの顔、すぐ近くで見れて……」
真美「真美達が歌うと、一緒に歌ってくれて……みんな口の動きまで、ステージの上からばっちり見えちゃったりしてさ」
真美「すっごい、すっごーい、楽しかったよっ!」
P「……たしか真美はあのとき、ファンの女の子のひとりと友達になった、って言ってたよな?」
真美「うん! 今でもメールしたりしてるよ~」
P「もうたぶん、そんなことは出来ないだろう。今の真美達がそんなことしたら、大騒ぎになっちゃうから」
真美「……ちょっと、寂しいね」
P「そうかもしれない。でもそれだけ、お前達が全国のみんなに知られるようになったっていうことさ」
真美「……兄ちゃん。真美、なんか自信なくなってきちゃったよ」
P「自信? なんでまた急に……」
真美「だってさ、真美は……、ライブに来てくれた人のこと、みんなみんな覚えていたいもん」
真美「でも、こんなに大きいと、それも難しいっぽいっしょ?」
P「……」
真美「やっぱりこんなこと、諦めるしかない?」
P「……そんなことはないさ」
真美「でも兄ちゃん、真美、どうしたらいいかわかんないよ……」
P「……」
真美「兄ちゃんなら、わかる?」
真美「4万人も来てくれるファンのみんなのこと、どうやったら覚えていられるかって」
P(……ここは、こう言ってやることにしよう)
1 真美の好きなようにやればいい
2 さすがに、諦めるしかないよ
3 その他
>>57
1
P「……ごめんな、真美。俺にはその方法、わからないよ」
真美「そっかー……さすがの兄ちゃんもお手上げか~」
P「だからな……真美の好きなようにやればいい」
真美「え?」
P「真美が、真美のやりたいやり方で、ファンのみんなと交流すればいいんだ」
真美「真美のやり方って……」
P「ステージ上でのパフォーマンスの途中で、ファンの人達にマイク渡したりしてもいい」
P「変装して、こっそりグッズ販売の売り子になったりしてもいい」
真美「ええ!? 兄ちゃん、いつもだったらそんなことしたら怒るのにっ!」
P「……まぁ、騒ぎにならない程度になら、な? それにもちろん、本番で気を抜かないこと」
真美「……ホントに、なにやってもいいの?」
P「ああ。きっとこれが……、俺達の、最後のライブになるから」
真美「……」
P「だから……真美の、真美らしさを、全力でファンのみんなに届けられたら……俺も嬉しいよ」
真美「兄ちゃん、なんかいつもより優しいっぽいね!」
P「俺はいつだって、基本的に優しいだろ?」
真美「そーかな~? いっつもいっつも、真美にゲンコツしてるじゃんっ」
P「それは真美自身に原因がある! スーツの後ろに蛇を入れられた日には、そりゃ手も出るさ!」
真美「んっふっふ~……やっぱり真美、兄ちゃんが真美のプロデューサーで良かったよ~」
P「……どうしたんだ、いきなり?」
真美「だってだって、毎日楽しいもん!」
真美「ゆきぴょんとあずさお姉ちゃん……、それにね……」
ポロ……
真美「兄ちゃんと……一緒で……」
P「!?」
P(な、なんだ……? なんで急に、泣き出して)
P「ま、真美? どうしたんだよ、急に泣いて……お腹でも痛いのか?」
真美「え? あ、あれ? なんでだろ……なんか……お腹じゃなくて……」
ポロポロ……
真美「お腹の、ちょっと上あたりが、痛くて……。どうしよう……止まんない……!」
P「真美……」
真美「……ね、ねえ、兄ちゃん?」
P「あ、ああ……どうした?」
真美「これが最後のライブ、ってのは……言いすぎっしょ?」
真美「そりゃ、IA大賞はもうすぐ終わりだけど……それが終わったって、真美達はずっと一緒なんだよね?」
P「……っ」
真美「だってここまでちょー有名になったんだもん! だから、これでもう解散! ってことは……ないよね……?」
P「……」
P(……真美が、何を考えているのか、何を知っているのはわからない。だけど……)
P(もういい加減に、話す頃合がきたみたいだ……)
【活動45週目 おわり】
【ある日の風景10】
P「……とにかく、涙を拭いてくれ。ほら、ハンカチ……」スッ
真美「うん……ありがと、兄ちゃん。ズビビー!」
P「oh……」
真美「……兄ちゃん。真美は……兄ちゃんじゃなくちゃ、やだよ?」
P「……真美、お前……知ってたのか?」
真美「し、知らない……なんにも知らない、けど……!」
P「……知らないなら、話しておく必要があるな」
真美「! やっ、やだっ! 聞きたくない!」
P「真美……俺は、IA大賞グランドファイナルが終わったらな……」
真美「やだって言ってるっしょ!? も、もう、何にも喋らないで~……!」
P「真美……!」
1 いいから聞くんだっ!
2 落ち着くのを待とう……
>>66
2
P(……真美が落ち着くのを待とう)
P(ここで無理矢理言ったところで……、いまの真美には、きっと聞こえないから)
真美「う、うぅ……、うぇぇええ……!」ポロポロ
P「……」
ギュッ
真美「!」
P「……落ち着くまで、こうしていていいか?」
真美「……うん」
P(震える真美の肩は、いつもよりずっとずっと小さく感じられた)
P(真美は……いつだって素直すぎる子どもで、わがままばかり言っていたような気がするけど……)
P(……もしかしたら、俺は、何か勘違いをしていたのかもしれないな)
―――
真美「……ごめんね、兄ちゃん。もうだいじょぶ……」
P「そうか……」
真美「えへへ……なんか、かっこ悪いね。真美はもう、子どもじゃないのに」
P「俺にとっては、真美はいつまで経っても……、手のかかる子どもだよ」
真美「あっ、バカにしてるっしょ~?」
P「そんなことないさ。そこが……真美の好きなところでもあるんだから」
真美「……おやおや~? 兄ちゃんもしかしてそれって、愛のコクハクってやつ~?」
真美「でも兄ちゃん、中学生に手を出したら、犯罪なんだよ~? んっふっふー!」
P「……」
ポコッ
真美「あいたっ! うう、殴ることないっしょー!」
P「ったく……、どうしてそういう発想になるんだよ」
P「……まあ、俺が真美に惚れてるってのは、確かに本当のことだけどな」
真美「ええっ!?」
P「真美だけじゃない。雪歩やあずささん……俺がプロデュースするアイドルは、みんな世界で一番かわいいと思ってるよ」
真美「あ、そーいうこと……」
真美「兄ちゃん……、カンチガイされちゃうから、そういうことあんま言わないほうがいいっぽいよ~?」
P「か、カンチガイ?」
真美「うんっ! あ、でもそういえば、兄ちゃんは真美の可愛いとこ、百個言えるんだもんね」
P「よく覚えてるな、そんなこと……」
真美「もしかしたら気付かないうちに、真美にメロメロになってたりして~! んっふっふ~♪」
P「ははは……そうかも、な」
真美「……えへへ……」
P「……」
P「……なあ、真美。聞いてくれるか?」
真美「……」
真美「……うん、聞く。今度はちゃんと……逃げないで聞くよ」
P「俺、IA大賞のグランドファイナルが終わったらな……」
真美「……」
P「……ハリウッドに、行くんだ」
真美「……っ……ハリウッド……?」
P「ああ。あっちで、プロデュース業の勉強をしてくる」
真美「……そうなんだ……ね、ねえ、兄ちゃん?」
P「……なんだ?」
真美「……ハリウッドって……どこ? 電車でどれくらいかかんの?」
P「……」
真美「もしかしたら、新幹線とか使わなくちゃいけないくらい、遠いの? お小遣い、足りるかな……」
P「……真美。ハリウッドは……日本にはないんだよ」
真美「っ! そ、それって……!」
P「海の向こうの、海外だ」
真美「海外……ガイコク?」
P「ああ。……だからもう、俺達は……簡単には、会えないんだよ」
真美「……やっぱ、聞き間違いじゃなかったんだ」
P「……」
真美「前にさ……、ゆきぴょんがお休みしちゃった日の夜……」
真美「真美、泣きつかれて寝ちゃってたっしょ?」
P「……本当は、寝てなかったのか?」
真美「……うん。あのとき……兄ちゃんとあずさお姉ちゃんのお話が聞こえて……」
真美「ハリウッドがどうの、って言ってて……でも真美、よくわかんなかったから、きっと夢なんだろうなって、思って……!」
P「……真美……」
真美「だ、だけどっ……兄ちゃん、ずっとずっと元気なかったから……真美、心配になっちゃって……!」
真美「このまま兄ちゃんの元気がドンドンなくなって、ライフがゼロになったらどうしようって……」
真美「ハリウッドって何? 兄ちゃんはいつも元気でいてくれるの? って……」
真美「……ホントは、お仕事中も、そんなことばっかり考えててぇ……! う、うう……」
P「……俺は死なないよ。少しの間、離れ離れになるだけさ」
真美「少しの間ってどんくらい!?」
P「……一年間だ。一年で、ちゃんと帰ってくるから……」
真美「長いよっ! 真美、そんなに長い間、兄ちゃんとお別れするのやだぁっ!!」
P「……」
真美「行くの、やめようよ~……真美達と、ずっと一緒にいよ……?」
P「それは……できないんだよ」
真美「っ! じゃ、じゃあもう……! 真美もハリウッド行くっ!」
P「おい、何を言って……」
真美「そうだよっ、真美達も、兄ちゃんと一緒にハリウッドデビューしちゃえばいいんだよっ!」
P「……」
真美「んっふっふー! 世界新出すれば、もっともっと、有名になれるもんねっ!」
P「……真美」
1 ああ、そうだな……
2 それはできないよ
>>80
2
P「……それはできないよ」
真美「……っ! な、なんで……!」
P「真美達があっちに行ってしまったら、日本にいるファン達はどうなる?」
P「そっちもこっちも、両方行ったり来たりするのか?」
真美「それは……」
P「……」
真美「……できるもんっ! んっふっふ~、真美達、今ノリにノってるもんねっ! だからきっとそんなの、ラクショーで……」
P「……確かに、いまの真美達なら、やろうと思えばできるかもしれないな」
真美「でしょでしょ!? だから――
P「でもそれは、俺がイヤなんだよ」
真美「っ! い、イヤ……? 真美が兄ちゃんのトコ行くの、イヤなの……?」
P「……そうだ」
真美「……っ……なんで……なんでそんなこと、言うの……?」
真美「兄ちゃん、真美のこと……キライになっちゃったの?」
P「違う! 俺が真美を嫌いになるわけないだろっ! 俺はな……!」
P「無駄にしてほしくないんだよ……!」
P「これまで真美達が一生懸命やってきた成果を、俺なんかの為に……!」
真美「……真美達がこれまでやってきたこと……?」
P「ああ……真美はさっき、ファンの人達の顔をみんなみんな覚えていたいって……そう言ったよな?」
真美「うん……」
P「そんな風に考えられるアイドルになってくれたことを、俺は誇りに思う」
P「俺はな、真美達こそが……日本で一番、最高なアイドルだって思ってるんだよ」
真美「……兄ちゃん……」
P「だからこれからも……、日本にいる、真美達のファンのことを、何よりも大切にして欲しいんだ」
真美「……兄ちゃんが、いなくても……?」
P「ああ。真美達なら出来る……俺はそう信じているから」
真美「……」
真美「……でも真美、兄ちゃんがいないと……やっぱりさみしいよ……」
真美「……一年で帰ってきてくれるって言ってもさ……」
真美「真美は、やっぱり……兄ちゃんと一緒じゃなきゃ、きっとつまんない」
真美「アイドルも、やめたくなっちゃうかも……なんて」
P「……」
真美「……なんで、なんで何も言ってくんないの……?」
真美「兄ちゃんはいつも、真美のこと、安心させてくれたじゃん……」
真美「お仕事でやなことあっても、いつも真美のお話聞いてくれて……た、たまに、ぎゅってしてくれたりしてさ……」
P「……」
真美「兄ちゃんが一緒じゃなかったら、アイドル活動も、今よりゼンゼンつまんなかったもん!」
真美「……それなのに、そんな風に、何も言ってくれないと……不安になっちゃうっしょ……?」
P(俺は、真美に……なんて言ってやればいいんだろう)
1 やめたくなったら、やめてもいいんだよ
2 ……
3 その他
>>92
3
真美はもうちょっと大人だと思ってたんだけどな
P「……真美はもうちょっと大人だと思ってたんだけどな」
真美「っ! そ、そんなこと……」
P「いつも、自分で言ってるじゃないか」
P「真美はもう、中学生なんだからね、子どもじゃないんだからね……、ってさ」
真美「……」
P「やっぱり、真美はまだまだ……お子ちゃまだったのかな?」
真美「なっ、なんで今そーいうこと言うのっ!?」
P「だってそうだろ? こんなわがままを言うなんて」
真美「う、うう……!」
P「……」
真美「……もういいもんっ! に、兄ちゃんなんて……兄ちゃんなんてもう……
真美「……だいっキライだっ!」
P「……っ……」
真美「……そーだよ……」
真美「真美はもう、オトナだもんっ! に、兄ちゃんなんかいなくたって――
P「そうだっ!」
真美「っ!」
P「真美はもう、ただの子どもじゃない……そんなこと、俺が一番よく知ってるんだよ……!」
真美「……」
P「初めて会った頃みたいな……わがままばかり言って、ふざけてイタズラばかりしてた真美は、もういない」
P「……雪歩が泣いているとき、一緒に泣いていてくれた」
P「不安でしかたなくなっても、我慢することだって出来るようになった……それにっ!」
真美「……」
P「それに、何より……ファンの人達を、何より大切に思ってくれる……立派なアイドルになった」
P「この一年で……真美は見違えるほど、成長していたんだよ……」
P「……だから、真美の言う通りだ。きっとお前なら……俺がいなくても、大丈夫」
真美「……っ……」
P「もしも、アイドルをやめたくなったら……そのときはやめてもいい」
P「もちろん俺は……真美にはアイドルを続けて欲しいし、続けてくれると信じているけど……」
P「……なにより、真美自身がつまらなくなったなら……続けることに意味は無い」
真美「……いーの? そ、そんなこと言ったら、ホントに……」
P「ああ。だって俺は最初から……、お前達には、心から楽しんでアイドルをしていて欲しかったんだ」
P「だから俺は……最後まで、そういうプロデューサーで……そういう、真美の兄ちゃんでいたいんだよ……」
真美「……」
P「……」
真美「……兄ちゃん」
P「……なんだ?」
真美「……前にさ、兄ちゃんは……真美のお願い、なんでも一個だけ叶えてくれる、って言ったよね」
P「……ああ」
真美「ホントは、真美が十六歳になるまで取っとくつもりだったんだけど……それ、今、聞いてもらっていい?」
P「……なんでも言ってくれ。俺に出来ることなら、どんなことでもするから」
真美「……それじゃあ……」
真美「真美のこと、もっかい、ぎゅってしてくれる?」
P「……」
真美「それで……真美はホントに、オトナになるから。子どもだった真美はもう、卒業するから……」
P「……」
1 こっちにおいで
2 だめだ
>>105
1
P「真美……こっちにおいで」
真美「……」
P「……」
ぎゅ
真美「……えへへ。兄ちゃんの体って、やっぱ大きいね」
P「……そうか?」
真美「うん……真美もいつか、兄ちゃんみたいにでっかくなれるかな」
P「……きっと真美なら、俺くらい、すぐに追い越せるさ」
真美「そうかな」
P「そうだよ……俺が今まで、真美にウソついたこと、あったか?」
真美「いっぱいあったよ……んっふっふ~。あのときも、その前も……」
P「……そ、そうだな」
―――
P(そのあとしばらく……俺に肩を抱かれながら、真美は静かに泣いていた)
P(大人と子どもの境目を、行ったり来たりして……時には、迷いそうになることもあるけれど)
P(きっと、真美ならもう……大丈夫だ)
真美「……兄ちゃん。ついでに、もう一個お願い!」
P「しかたないな……なんだ?」
真美「あのね、兄ちゃんが帰ってきたら……またいっぱい、遊んで?」
P「……もちろん、約束するよ。それまでに真美が成長しすぎて、俺と遊ばない、なんて言わないかぎりな」
真美「んっふっふ~! オトナになっても、それはベル薔薇だから心配ないよっ!」
P「あはは……別腹、な」
P(雪歩、真美、あずささん……これで、全員だ)
P(全員に、隠していたすべてを話して……みんな、俺のハリウッド行きのことを納得してくれた)
P(……明日から、もう一度リスタートだ。そして、最後まで……!)
【ある日の風景10 おわり】
10分休憩します
【活動50週目 首都エリア/ドーム 朝】
P(真美と話をした、あの日から……一ヶ月の時間が経った)
P(その間、俺達は営業もそこそこに、ひたすらにレッスンを重ね……)
P(今日この日のために、準備を重ねてきたのである)
P(そして、ついに……本当の本当に……! この日がやってきたんだ!)
P「みんな……、気合入れていくぞ!」
みんな「はいっ!」
P(今日は……待ちに待った、ドームでのコンサート……!)
【舞台袖】
雪歩「……」チラーリ
ざわ……
ざわ……
雪歩「うう……ひ、人があんなに……ぷ、プロデューサぁ~……」パタパタ
P「どうした、こわいのか? ……って、こんなやり取り、前にもした気がするな」
雪歩「そ、そうでしたっけ? あの……こわくは、ないですけど……」
P「……チケットは全部、即日完売した。つまり今日のライブは、満席ってことだ」
P「4万人を越えるファンに囲まれても……本当にこわくはないか?」
雪歩「……はい! でも……なんだか、胸がドキドキしちゃって」
P「……」
雪歩「ソワソワするんですぅ。いても立ってもいられなくて、早く舞台に立ちたい、って……」
P「……」ワッシャワシャ
雪歩「え、え? な、なんであたま……」
P「雪歩……でっかくなったなぁ……俺は嬉しいよ……!」
P「さて……」
P(みんな、もう準備は万端のようだ)
P(歌もダンスも、今日この日まで、完璧にこなせるようにレッスンを重ねた)
P(あとは、開演を待つだけ……三人とも、集中してその時を待っている)
P「……」ソワソワ
P「……いかんいかん。俺自身がソワソワしてどうする。し、しかし……」
P(なんだか、落ち着かないな……誰かに、話しかけてみようか?)
1 雪歩
2 真美
3 あずさ
4 誰にも話しかけない
>>122
1
P(雪歩に、話しかけよう)
P「……雪歩」
雪歩「は、はいっ! なんですか?」
P「何か、心配はないか? 忘れ物はないか?」
雪歩「えっ、わ、忘れ物……ですかぁ?」
P「衣装は着たか? ダンスは覚えているか? ハンカチは、ティッシュは?」
雪歩「ティッシュ!? う、うう……わ、忘れちゃいましたぁ……」
P「そ、それはいけない! ほら、このティッシュを持って」スッ
雪歩「あ、ありがとうございます! ……あれ?」
P「ど、どうした?」
雪歩「ティッシュって……いつ使うんですか?」
P「……」
P「……使わないな」
雪歩「そうですよね……」
P「す、すまん。いや、なんだか、落ち着かなくて……動転していたみたいだ」
雪歩「……えへへ」
P「な、なんだよ……」
雪歩「なんだか、いつもと逆で……プロデューサーの方が慌ててるのが、嬉しくて」
P「う、嬉しい? なんでまた」
雪歩「プロデューサーの、そういう一面を見れたから、嬉しいんですぅ」
雪歩「私は……プロデューサーのことなら、なんでも知りたいんですから」
P「……」
P(将来雪歩の旦那になる人は……きっとこの子に頭が上がらなくなるんだろうなあ)
P(……ん? 旦那? なんかそれを想像したら、腹が立ってきたぞ)
雪歩「プロデューサー?」
P「あ、ああ。なんだ?」
雪歩「私達なら心配ありません。だって今日この日まで……ずっとずっと、頑張ってきたんですから」
P「……そうだな」
雪歩「それはプロデューサーが一番よく知ってくれているはずです。だから……」
雪歩「今日は安心して、見ていてくださいっ! ゼッタイ、ゼッタイ成功させてみせますから!」
P(そう言って、雪歩はみんなの元へと走っていった)
P(いつだって怖がりで、泣き虫だった雪歩は……もういないんだな)
P(……いけないいけない。泣くのは、ぜんぶ終わってからだ!)
―――
スタッフ「皆さん、そろそろ本番なので、準備をお願いしますっ!」
みんな「はいっ!」
P「……みんな、これが、俺達全員でやる最後のライブだ」
真美「兄ちゃん兄ちゃん! 最後、じゃないっしょ~!」
あずさ「ええ、そうですよ。これから先も、私たちはずっと……でしょう?」
雪歩「……プロデューサーは、これから先もずっとずっと……たとえ離れていたって」
みんな「「「私達の、プロデューサーです!」」」
P「……っ……み、みんな……!」
ゴシゴシ
P「あ、ああ! そうだなっ!」
―――
雪歩「……みんな、気合を入れていきますぅっ!」
真美・あずさ「「はいっ!」」
雪歩「プロデューサーに、見せてあげましょう! 私達の成長した姿を……!」
真美「兄ちゃんが、真美達のこと、忘れらないくらいにっ!」
あずさ「ふふっ、すぐに帰ってきたくなっちゃうくらいにっ」
雪歩「日本での……、最高の思い出にしてあげるんですっ!」
あずさ「3!」
真美「2っ!」
雪歩「……1!」
「「「765プロぉー……ファイトぉー!!!!」」」
ワー ワー
雪歩「……」
雪歩(輝いたステージ……私たちのためだけに来てくれた、ファンの皆さん……)
トクン トクン…
雪歩「……」スッ
雪歩(体が軽い……でも、こんな気持ちは……、初めてじゃない)
雪歩(これまで、何度も味わってきた……この気持ち。楽しくて、ワクワクして……)
雪歩(……もう本当に、何もこわくない。だって、私には……)
真美「~♪」
あずさ「……」ニコッ
雪歩(……仲間がいるから……。そして……)
雪歩(これまでみんなで歩いてきた、この道があるから!)
スゥ……
……―― ARE YOU READY!! I'M LADY!! 始めよう ――……
ワァァアアアア!!!
―――
P(……ライブが、終わった)
ヴーン……
……タタタタッ
雪歩「……っ……んっ……はぁっ、はぁっ! ぷ、プロデューサーっ!!」
真美「兄ちゃんっ! 兄ちゃん兄ちゃん! 見てた!? 見てくれてた!?」
P「ああ、ああ! 見ていたぞ……最高のステージだった、みんなっ!!」
あずさ「ふ、ふふっ……とっても楽しかった、です~……!」
P「こんなに、こんなに素晴らしいライブが出来るなんて――
ワァァァアア!!
P「っ!」
アンコール! アンコール!
P「すごい……アンコールの声が、まだ鳴り止まない……!」
雪歩「……プロデューサーっ! 私達、まだやれますっ!!」
P(……どうする? 無理は禁物だけど……)
真美「兄ちゃん! 悩んでる場合じゃないっしょ!」
あずさ「ファンの方達は、今も待っていますよ~?」
P「……」
P「……わかった! みんな行ってこいっ!!」
みんな「はいっ!!」
P「それじゃあ、アンコールの曲は……」
雪歩「……それはもうっ、決まってますぅっ!」
P「ええ!? そんな、勝手に……」
雪歩「いいえ、決めましたっ! 私が……、私があのときプロデューサーに言った、あの歌をっ!」
P「……5thシングルのときのことか? でもあれは、まだ完成していないって……」
雪歩「千早ちゃんとか、作曲家の方とか……もう、たっくさん、たっくさんの人に協力してもらって、完成させたんです!」
雪歩「これは……あなたへのプレゼントだからっ! だから……っ」
雪歩「お願いですっ、やらせてくださいっ!」
P「……雪歩……」
1 わかった!
2 いいやダメだ!
>>145
1
P「……まったく、とんだサプライズだよ」
雪歩「……っ」
P「歌は大丈夫なのか? 振り付けは?」
雪歩「ばっちりですぅ! みんなで秘密特訓していましたからっ!」
P「……よし、わかった! それなら……行ってこいっ!」
雪歩「! は、はいっ!」
たったった……
P「……雪歩っ!」
雪歩「な、なんですかっ?」
P「行く前に……歌のタイトルを、教えてくれっ!」
雪歩「……タイトルは……」
雪歩「 『 i 』 ですぅっ!!」
―――
雪歩「……」
スゥ……
―――――――――――――――――――――――
新しい服 着替えて出掛けよう
―――――――――――――――――――――――
ワァァァアア……!!
ファンA「……って、あれ?」
―――――――――――――――――――――――
靴も鞄も 買いたて下したて
―――――――――――――――――――――――
ざわ……
ざわ……
―――――――――――――――――――――――
青い空には 太陽眩しいな
―――――――――――――――――――――――
P(……な、なんだ?)
―――――――――――――――――――――――
人目気にせず 歌でも口ずさもう
―――――――――――――――――――――――
P(伴奏が……流れていない?)
P(雪歩達、アカペラで歌って……まさか音響のトラブルか!?)
P「どうする……!?」
1 止める!
2 とぅどぅけさせてください!
>>152
2
P「とぅどぅけさせてください!!」
スタッフ「!?」ビクッ
P「あ、いえ……失礼」
―――――――――――――――――――――――
いつも忘れてた 他事に気を取られ
すごく大切な人たちの存在を
―――――――――――――――――――――――
P「……」
P(雪歩を信じると決めたんだ。彼女達が歌うなら……俺には、止めることはできないっ!)
―――――――――――――――――――――――
自分一人だけ 苦労した気がしてた
だけどそれは違う 今だから分かるけど
―――――――――――――――――――――――
……――♪ ――♪
P「……!」
――♪ ――♪
P(ピアノが……)
―――――――――――――――――――――――
自然に弾む会話が 何より良いね
同じ希望に 燃える 仲間同士
―――――――――――――――――――――――
――♪ ――♪
―――――――――――――――――――――――
時間忘れて 見慣れた景色を見よう
知らない自分の魅力 見えるかもしれない
―――――――――――――――――――――――
P「……」
P(なんて綺麗な曲なんだ……)
P(……『 i 』……。これは……雪歩が、仲間の為に書いた詩なのかもしれないな……)
……――♪ ――♪
雪歩『……会場に来てくださった、皆さん!』
ワァァァ……!
雪歩『……『私』はこれまで……、決して、ひとりではありませんでした』
あずさ『ひとりでは、きっとくじけてしまうようなことも……仲間とだから、ここまで来れました』
真美『真美とみんなは、いつも一緒だったんだよ! ゆきぴょんと、あずさお姉ちゃんと……』
雪歩『……そして……』
P「……」
P(みんな……)
雪歩『……そして。私達をいつも応援して、見守ってくれる……ファンの皆さん』
雪歩『ここに来てくださった方も……もちろん、今日ここに来れなかった方だって……』
雪歩『みんな、心はひとつです!』
……――♪ ――♪
雪歩『私とあなたは……いつだって一緒……』
雪歩『だから、今日は……。精一杯の、感謝の気持ちを込めて……この歌を……!』
雪歩『……タイトルは……』
『 i 』
雪歩『でも、今日だけは……『私』だけじゃないっ、みんな、みんな一緒ですぅっ!』
雪歩『……『私』の気持ちが……少しでも、『あなた』に届くようにっ!』
『 i ~ and you ~ 』
ワァァァ……!
―――――――――――――――――――――――
みんな楽しく 笑顔で 舞台に立とう
歌やダンスで 自分を伝えよう
―――――――――――――――――――――――
―――――――――――――――――――――――
言葉だけでは言えない 熱い気持ちを
少しだけでも 届けられたならば……幸せ
―――――――――――――――――――――――
―――
P(……今度こそ、本当の本当に……ライブが終わった)
P(みんなは……)
ガチャ
雪歩「……すぅ、すぅ……」
真美「……むにゃむにゃ」
あずさ「……」コックリコックリ
P(……雪歩、真美、あずささん……)
P(三人とも、本当に……お疲れ様)
P(最高のステージを、ありがとう……!)
【活動50週目 おわり】
【ある日の風景11】
P「……さて。みんなが目を覚ましたら、撤収しよう」
P「っと、その前に……最後に少し、ライブ会場を見ておこうかな」
―――
ガラーン
P「……こんなに立派な舞台で、あれだけのパフォーマンスを……」
P「みんな、本当によくやったな……!」
記者「……失礼、少しいいかな?」
P「え? えーっと……」
P(! こ、この人、テレビで見たことあるぞ! 確か、自身も芸術家であり、その上凄腕の記者の……!)
記者「山原だ。苦節五十余年……私は、君たちのような人材を探していた!」
記者「どうか私に、君達の事を記事にさせてもらえないだろうか?」
P「ええ!? ね、願ってもないことです! よ、よろしくお願いしますっ!」
P(な、なんだか凄い人が味方になってくれたぞ!)
【ある日の風景11 おわり】
すみません、ご飯を食べてきます
【活動53週目 765プロ事務所 朝】
P「……」
雪歩「…………」
あずさ「………………」プルプル
真美「……ぷっはぁ!!」
真美「何!? なんで息止め大会してんのっ!?」
P「あ、いや、すまん……ちょっと、信じられなくて」
雪歩「こ、ここ、こんなことが起きるなんて……!」
あずさ「……ちょっと、ビックリですね~……」
P(俺達がなぜ、こんなに驚いているかというと……)
P(今朝、事務所に届いた、この招待状が原因なのであった)
P「……765プロダクション代表、高木順二朗様へ……この度は……」
雪歩「そ、そこはもういいですぅ! その、それって……!」
P「……ああ。信じられないことに、俺達ロッソストラーダに……!」
あずさ「……っ……」
真美「?」
P「歌姫・歌王子フェスの……参加資格が得られた……!」
P(歌姫・歌王子フェス……IAやIUとはまた違う、アイドルのステージ)
P(本物の実力を持った者でしか、その存在を確認することができない……、幻のフェス)
P(そして……、今回、俺達と同じ舞台に立つ、その相手が……!)
P「……千早……!」
【活動53週目 中央エリア/ビワレイク音楽ステージ 昼】
P(歌姫・歌王子フェス……)
P(まさかこの舞台に立てる日がくるとは、夢にも思っていなかったな)
P(ロッソストラーダの人気だけでなく、実力も認められたということか……)
P「……と、とにかく……みんな、いつも通り、な!」
真美「兄ちゃ~ん……兄ちゃんこそ、なんか緊張してるっぽくない~?」
P「そ、そんなことは……いや、そうかもしれないな」
P「……ごほん! よし、それじゃあさっそく、いつものように宣戦布告に――
千早「あ、みんな!」ヒョコ
P「きゃあっ!」
千早「きゃあっ! ……って、なんて声出すんですか、プロデューサー……」
P「……失礼」
千早「はぁ……」
P「とにかくまずは……おめでとう、千早。夢を叶えたんだな」
千早「あ、覚えていてくださったんですね……ふふっ、ありがとうございます」
P「あれから、変わりないか?」
千早「ええ、おかげさまで……みんなの元で学んだことは、私にとって大きな力になりましたから」
P「それはこっちの台詞さ……」
スッ
千早「? これは……」
P「握手でもしようじゃないか。今日これから、同じステージに立つライバルとして、な」
千早「……そうですね。ふふっ」
スッ
グニョン
千早「……」
P「……ふふふ」
千早「あの……プロデューサー……?」
P「どうした?」
千早「これは……なんのつもりですか……?」
グニョグニョン
P「ああ、返そうと思ってさ。前に、千早が着けてたコレを預かっていただろう?」
千早「いりませんっ! そ、そもそも、プロデューサーがこれを使うな、って……!!」
P「まあまあ……細かいことは気にするなって。ふふふ……」
千早「くっ……! な、なんで今更……!」
千早「……パッドなんて……!」
P「なあ、千早……もう、自分を偽るのはやめよう?」
千早「もう使ってませんっ! いつまでその件を引っ張るつもりなんですかっ!!」
P(……よし。千早のペースを乱すことに成功したぞ)
雪歩「……」ジー
P(そうだ。これが俺の戦術のひとつ……! からかって相手の調子を狂わせるのだ!)
P「今日はお互い、全力を尽くそうな!」
千早「はぁ……なんだか、そんなやる気もなくなってきました……」
P「あはは、そんなこと言うなって――
雪歩「……」ジー
P「……」
なんと 雪歩が仲間にして欲しそうに こちらを見ている!
仲間にしてあげますか?
1 はい
2 いいえ
>>195
2
P(いいえ、っと)
P「……ところで、千早」
雪歩「……!」ガーン
千早「はい、なんですか……って、その前に……プロデューサー?」ボソボソ
P「ん?」
千早「萩原さんが、こちらを見ているんですけど……」
P「ああ、大丈夫だよ」
P「私のことも忘れないでくださいね、って言って、もっと構ってもらおうとする雪歩の作戦だから」
千早「はぁ……それで、なんですか?」
P「ああ、作詞の件なんだけど……」
雪歩「……」シクシク
真美「ゆきぴょん、どったの?」
雪歩「やっぱりプロデューサーは……千早ちゃんのほうが好きなのかなあ……」
真美「?」
P(そのあとしばらく、俺達は近況報告をし合い……)
P(ついに、本番のときがやってきた!)
P(……大舞台のはずなのに、なんだか気の抜けた感じがするな)
P(まあそれも、俺達らしい、のかもしれない……)
―――
スタッフ「皆さん、そろそろ時間なので、お願いします!」
雪歩「は~い……」
スタッフ「お隣のステージでは……えっと、シャドー★セイレーン? が本番の準備に入っています」
みんな「えっ」
スタッフ「向こうに負けないくらい、ステージを盛り上げて下さいね!」
みんな「は、はい……」
真美「……ねえねえ兄ちゃん、あのさ、シャドー★セイレーン? って……なんのこと?」
P「ん? 千早の二つ名だよ。さっきちょっと、登録名をいじくっておいた。かっこいいだろ?」
真美「うえ~……ちょっと兄ちゃんのセンスを疑っちゃうよ~……」
< ……プロデューサぁああ!!!!
< も、もう本番ですよっ、シャドー★セイレーンさん!
P「さて、と……」
雪歩「……」ジト
P「う……」
P(さっきちょっと無視したのがいけなかったかな……)
P(雪歩のジト目……ずっと見ていたいけど、もう本番だし、気持ちを向上させてあげないと)
P(しかし……なんて言おう?)
1 今晩、時間あるか? 話があるんだ
2 俺が一番好きなのは、雪歩だよ
3 その他
>>205
3 俺、これが終わったら小鳥さんにプロポーズする! 絶対に結婚するぞ!
P「……雪歩」
雪歩「!」ピク
P「俺な……」
雪歩「は、はい……」
P「俺、これが終わったら小鳥さんにプロポーズする!」
雪歩「……え?」
P「絶対に結婚するぞ! うおおおおお!!!!」
雪歩「」
真美「ちょっと兄ちゃん!? 何言ってんのー!?」
あずさ「ま、まあ……おめでたい、のかしら……?」
P「へ、へへ……言ってやったぞ……!」
P(ど、どうだ……! 雪歩のやる気は上がったか……?)
雪歩「」
P「……おーい、雪歩?」
雪歩「……」ジワ
P「!?」
P(な、なに!? 雪歩のやる気が上がるどころか、涙目になってしまったっ! なぜだ……!)
雪歩「う、う、ううぅうううう……!! ……だ、だだ……!」
P「……だ?」
雪歩「……」
スゥ……
雪歩「ダメですぅううううううぅうううううう!!!!!!!」
雪歩「ダメですっ、ゼッタイにダメですぅっ!」
P「お、おい」
雪歩「そんなの私が認めませんっ!」
雪歩「絶対結婚するって言うなら、今すぐここでプロデューサーを穴掘って埋めて、私も埋まりますっ!!」
P「そ、そんなことできるわけないだろ!?」
雪歩「いいえ埋まりますぅっ!! うわぁああああん!!!」
ポロポロ……
P「お、落ち着いてくれよ……なんでそんなに、興奮してるんだ」
雪歩「これが落ち着いていられますかぁっ!」
雪歩「なんで興奮しているか? そんなの決まってますぅっ!」
雪歩「こ、小鳥さんは、プロデューサーのこと、どう思ってるのか、知らないけど……!」
雪歩「ぜったい、ぜったいぜったい……負けないんだから……!」
雪歩「ぜ、ぜったいに……わ、私のほうが……!」
雪歩「私のほうが、プロデューサーのこと、大好きなんだからぁっ!!!!」
あずさ「まぁ……」
スタッフ「……」ソソクサ
あずさ「ふふっ、ちょっと待ってください~」ガシッ
スタッフ「!」
あずさ「あなたは何も見ていないし、聞いていない……。そうですよね~?」
スタッフ「」コクコク
あずさ「うふふっ、ありがとうございます~♪」
P「……えーっと……」
雪歩「…………」ボッ
P「……あはは」
雪歩「はうっ! い、いい、言っちゃいましたぁ~……!」
雪歩「あ、あの、違うんですっ! これはその……!」
P「あ、う、うん! わかってるわかってる、これはそう……違うんだよなっ!」
雪歩「そ、そうですっ! えへへ……」
雪歩・P「「あのっ!」」
雪歩「あうう……」
P「……雪歩から言ってくれ」
雪歩「は、はい……えっと……」
雪歩「……ぷ、プロデューサーは……小鳥さんのこと、好きなんですか?」
P「えっ」
雪歩「だって、結婚する、とか言ったから……」
P「……」
P(俺は、小鳥さんのことを……)
1 ああ、好きだ
2 いや、別に……
>>231
2
P「いや、別に……」
雪歩「!」
P「もちろん、嫌いじゃないけど……恋愛対象としては、一回も見たことはないなぁ」
P「音無さんには、俺なんかよりずっと良い男の方が似合うだろうし……あはは」
雪歩「じゃ、じゃあっ、なんで、さっきあんなこと……」
P「……雪歩に、発破をかけようとしたんだよ」
雪歩「葉っぱ? わ、私は、タヌキさんじゃないですぅ」
P「その葉っぱじゃない。つまり……やる気を出させてあげようと思ったんだよ」
雪歩「……」
P「前にも言っただろ? 俺が一番好きなのは……雪歩だって」
雪歩「っ! ぁ、あうぁう……」
雪歩「な、なななんで、今そんな話を……」カァァ
真美「……ね、ねえねえ、あずさおね
あずさ「しっ、ダメよ真美ちゃん……いま良いところだから」
P「あのとき、雪歩は……とっても喜んでくれたからさ」
雪歩「よっ、よよ、喜んでなんか……」
P「だから、俺が誰か他の人を好きだ、って言えば……」
P「さっきみたいに、燃え上がってくれるんじゃないかと思ったんだよ」
P「『プロデューサーが好きなのは私だったんじゃないですか!』って感じに……」
雪歩「……」
P「……思っていた以上の言葉が出てきて、ちょっとビックリしたけどな」
雪歩「わ、忘れてくださいぃ……ほ、ホントはもっと……ちゃんとしたときに……」ゴニョゴニョ
P「……とにかく。すまなかった」
P「本当は……音無さんにプロポーズする気も、結婚する気も全くない」
P「音無さんにプロポーズする気も、結婚する気も全くない」
P「雪歩の気持ちも考えずに、冗談が過ぎたよ……本当に、悪かった」
雪歩「……」
雪歩「……」
P「……」
雪歩「……もう、これっきりにしてください」
P「え……?」
雪歩「プロデューサーが、さっきみたいなこと言うと……私は、本当に悲しくなっちゃうんです」
P「……はい」
雪歩「だからもう……冗談でも……言わないで……!」
ポロポロ……
P「! あ、ああ! 約束するよ……もう俺は――」
1 雪歩だけを見ている
2 雪歩を悲しませたりしない
>>250
1
P「もう俺は……雪歩だけを、見ている」
雪歩「っ!」
P「さっきみたいに……音無さんを絡めて冗談を言ったりもしない」
P「千早とばっかり話して、雪歩を仲間はずれにすることもしない」
P「ステージの上では、雪歩だけを応援することに――
雪歩「そ、それはダメですぅ! ちゃんと真美ちゃんやあずささんのことも……」
P「そ、そうだな……ロッソストラーダのメンバーを除いたら、あとは雪歩のことだけ、考える」
雪歩「……本当、ですか?」
P「もちろんだ!」
雪歩「……プロデューサー、言ってくれましたよね?」
雪歩「ハリウッドから帰ってきても、ずっと私達のプロデューサーでいてくれる、って……」
P「あ、ああ」
雪歩「じゃ、じゃあ! 一生、私のことだけ見ていてくれるんですか……?」
P「い、一生? そうだな……これから先も、雪歩と関わりがあるうちは、一生かな」
P(あれ? 俺、へんなこととか間違ったこと、言ってないよね?)
雪歩「えへへ……じゃあ私、頑張りますぅ!」
P「お、おう!」
雪歩「頑張ってトップアイドルになって、ずっと活躍して……」
雪歩「一生、プロデューサーは私のプロデューサーでいてもらうことにしますっ!」
P「う、うん。その意気だ!」
雪歩「まずは……真美ちゃん、あずささんっ!」
真美「あ、お話終わった~?」
あずさ「は~い♪」
雪歩「このフェス……絶対に勝ちましょう!」
雪歩「千早ちゃんなんかに負けないってところ、見せてあげましょうっ!」
真美・あずさ「「おー!」」
P「……」
P(……なんとか、なった……のかな?)
【フェス 歌姫・歌王子フェス (ロッソストラーダ VS シャドー★セイレーン)】
ワー ワー
千早「……」
千早(長かった)
千早(ようやくフェスが始まるのね……待ちくたびれてしまったわ……)
千早(あちらの様子は……)
ウォオオオオオ
千早(……なんだかよくわからないけど……気合十分のようね)
千早(……まあ、なんでも、いいですけれど……)
スゥ……
千早(私だって、負けないわよ……、萩原さん)
千早(ようやくたどり着いた、この舞台……全力で行かせてもらう。この曲で……!)
千早「……」
……―― 泣くことなら たやすいけれど ――……
ワァァァア!!
……―― 蒼い鳥 もし幸せ ――……
ヒューヒュー!
雪歩(千早ちゃん……っ!)
雪歩(私は……負けないっ! こんなことで頑張るなんて……不純かもしれないけど!)
雪歩(でも……!)
雪歩「いぇええええい!!!!」
ファン「!?」
……―― さあ位置について LET'S GO!! ――……
雪歩(でも! プロデューサーのことを好きな気持ちは、負けないんだからっ!)
雪歩(それが何より……、今の私の、力になってくれているんだから!!)
……―― ARE YOU READY!! I'M LADY!! 始めよう ――……
―――
雪歩「……っ……はぁ、はぁ……っ!」
雪歩(歌が……終わった……)
雪歩(しょ、勝敗は……!?)
……パチパチパチ!
雪歩「……え……?」
アンコール!
アンコール!
雪歩「……」
雪歩ちゃーん!
かわいいいぃいいい!!
雪歩「……」
雪歩(ステージが終わって……本当なら、いつもなら……)
雪歩(明かりも消えて、ファンの声援も消えて……それなのに……)
真美「ゆきぴょんっ! 何ぼけっとしてんのっ!」
雪歩「っ!」
あずさ「アンコール……、答えてあげないとね?」
雪歩「あ、ああの、えっと……アンコール……?」
真美「そうだよっ! 真美達は……!」
真美「千早お姉ちゃんに勝ったんだからっ!」
雪歩「!!!」
雪歩(か、勝った……? 私達が、本当に、千早ちゃんに……?)
あずさ「さあ、行きましょう! 次の曲は、もちろん……決まっているわよね?」
雪歩「……っ……はっ、はいっ!」
雪歩「私達の大好きな、あの曲で――!」
~♪
―――
千早「……お疲れ様です、プロデューサー」
P「……ああ」
千早「完敗です……さすがは、萩原さん達ですね」
千早「それとも……プロデューサーの指示が良かったのでしょうか?」
P「……俺は何もしていないよ。基本的にフェスは、アイドルにおまかせだからな」
千早「……信頼、しているんですね」
P「まあな……千早のほうは、気落ちしていないか?」
千早「ふふっ、大丈夫ですよ。気遣いは無用です」
千早「今日はなんだか……負けたのに、すがすがしさすら感じていますから」
千早「……あのアンコール曲……」
P「……あれは……、そっか、千早は知っているんだっけな」
千早「……『 i 』」
P「あの子達が作った、あの子達の為だけの曲だ」
千早「……」
P「……」
千早「ふふ、ふふふっ」
P「な、なんで笑うんだよ?」
千早「す、すみません……なんだか、いつもとプロデューサーの顔つきが違うから、おかしくて……!」
P「ひ、人の顔見て笑うなんて、失礼な奴だな……」
千早「ご、ごめんなさい……ふふっ、もしかして、私のことを心配してくれているんですか?」
P「……まあ、それなりに、な」
千早「私はもう、本当に大丈夫です。この舞台に立つ、ということ自体が目標でしたから」
千早「私の夢は……叶いました」
P「そういえば……、雪歩にあのテープ、渡していたらしいじゃないか」
千早「……ええ。きっと彼女なら、素晴らしい歌詞が書けると思って」
P「……」
千早「聴かせてもらえましたか?」
P「いや、まだだけど……」
千早「……じゃあそれはまだ、未完成みたいですね」
P「知っているのか?」
千早「……萩原さんは、こんなことを言っていましたから」
『……『 i 』は、私達の歌……。そしてもうひとつのこれは……あの人と私の歌なんだ』
『だから……この歌が完成したら、私はあの人に、一番に聴かせてあげるの』
千早「……って」
P「そうか……。それじゃあ、楽しみにしていないとな」
千早「……随分、仲が良いんですね?」
P「そりゃそうだ。俺は雪歩のことが一番好きだからな」
千早「ふふっ、知っていますよ」
千早「あの、プロデューサー……」
P「ん、どうした?」
千早「私、実は……IA大賞、辞退しようと思うんです」
P「ええ!? な、なんでまた……」
千早「もともと、IA大賞は私の第一目標ではなかったですし……」
千早「それにきっと、私を含めた三つ巴になったら……あなた達の邪魔をしてしまうから」
P「……」
P(三つ巴……すなわち、俺達と、千早と、そして……)
千早「今回のフェスで、ロッソストラーダの方が、私より上だと言うことが証明されました」
千早「だから……IA大賞は、あなた達にこそふさわしい」
P「……千早……」
千早「必ず……、ジュピターに勝って。そして……」
千早「日本で一番の、トップアイドルに……、なってくださいね」
―――
P(そう言ってから、千早は長い髪を翻してこの場を去っていった)
P(もう少し一緒にあの子達を見ていかないか、と言おうともしたけど……)
P(なんとなく、雪歩に怒られる気がして……俺はただ、去り行く彼女の背中を、黙って見送ることしかできなかった)
P(……俺達は、あの如月千早に勝ったんだ)
P(もう、最後の戦いのときは、目の前に迫っている)
P(……『FIRE BALL』……)
P(IA大賞のノミネートアイドルが一堂に会する、最高峰のフェス)
P(……間違いなく、そこにアイツらは来る)
P(ジュピター……今度こそ、決着をつけて、そして……!)
【活動53週目 おわり】
10分休憩します
【ある日の風景12】
リーン リーン
P(なんやかんやあったが……無事に、歌姫・歌王子フェスは終わった)
P(あのあと俺は、疲れてくたくたになったアイドル達を車で家まで送っていき……)
P(事務所でごちゃごちゃとした雑務をこなし……)
P(ようやく、帰路に着いているところである)
P(気が付けばもう外は真っ暗だ。実に疲れた……)
ピピピピ
P「……おや、メールだ」ピッ
P「ああなんだ、雪歩じゃないか。どれどれ……」
……………………
From:萩原雪歩
Title:無し
もうダメですぅ
……………………
P「!?」
P「……」
P「……」
P「……よし」
1 とにかく、雪歩に電話をかけよう
2 萩原家に突撃しよう
3 見なかったことにしよう……
>>290
1
P(何があったのかよくわからないが……きっと、俺に助けを求めているに違いない)
P(とにかく、雪歩に電話をしよう!)
ピピピ プルルルル……
~♪
P「あれ? 雪歩の携帯の着信音が……、すぐそこで聞こえるような」
ピ
『も、もしもし……』
P「あ、ゆ、雪歩か? どうしたんだよ、あんなメールをして……何かあったのか?」
『えっと、そのぉ……と、とにかく、私はもう、ダメなんですぅ!』
P「……落ち着いてくれ。とりあえず……会えるなら会って話をしよう」
P「今、どこにいるんだ?」
『今ですかぁ? えっと、今は……』
……ガサガサッ……
雪歩「今、あなたの後ろにいますぅ」
P「!?」
P「フー……フー……」ドキドキ
P(な、なんて心臓に悪い登場の仕方を……!)
P(雪歩のことだから、悪気があったわけじゃないんだろうけど……)
P「……ふぅ。よし、落ち着いたぞ」
雪歩「……」シクシク
P「……雪歩、何があったんだ?」
雪歩「……あっ、あの……、私……う、うう……」
P(雪歩はまだ、少し冷静になれていないみたいだ……)
P「……とにかく、こんな道端で話すのも、よくないな」
P「どこか落ち着ける場所に行こう」
雪歩「落ち着ける場所……?」
P「ああ。それは……」
1 公園
2 事務所
3 その他
>>300
Pの自宅
P「俺の家にいこう」
雪歩「えっ!? ま、また、招待してくれるんですか……?」
P「招待、ってほど大した家でもないけど……そこなら、誰にも見られる心配もないしさ」
雪歩「誰にも……えへへ、そうですね」
P(あれ? どうしてニコっとしたんだろう?)
P「……とにかく、それでいいか?」
雪歩「……はいっ!」
―――
テクテク
P「なあ、雪歩……」
雪歩「なんですかぁ?」
P「不安になることでもあったのかと思ったけど……なんか、もうご機嫌になってないか?」
雪歩「き、きき気のせいですぅ」
P「そっか……」
雪歩「……えへへ……また、添い寝とかしてくれたりして……」ボソボソ
―――
P(そんなこんなで、俺達は家に着いたのである)
P(もちろん、ここに来るまでの間、パパラッチを警戒することも忘れていない)
P(こんなこと、冷静に考えたら、スキャンダルの元だからな……)
雪歩「……プロデューサーのお家……♪」
P「そんな、大したものでもないだろう。雪歩の家の方がよっぽど立派じゃないか」
雪歩「むぅ……そういうことじゃないんですぅ。プロデューサーのお家、だから嬉しいんです」
P「そういうもんか……」
雪歩「そういうもんですっ! えへへ……」
P(とにかく、どうしてあんなメールを送ってきたのか……)
P(そして、どうして泣いていたのかを聞き出さないとな)
P「……改めて聞くけど……雪歩、何があったんだ?」
雪歩「……っ」
P「ここのところ、そう簡単に弱音を吐いたりもしていなかったじゃないか」
P「もしかして、誰かにヒドイ目にあったとか……」
雪歩「そんなんじゃないです……あ、あれは……」
P「……」
雪歩「……ぷ、プロデューサーのせいなんですぅっ!」
P「えっ」
雪歩「あ、あわわ……その、ほんとは違くて……うう……」
P(俺のせい? それってもしかして……)
1 愛する俺のことを考えていたら胸が苦しくなったとか?
2 俺がプレッシャーをかけすぎたから?
3 その他
>>311
ksk
とりあえず謝る
ティン…
P(とりあえず謝る)
P(そうだ……これが、俺のやり方……俺の戦い方)
P(何があったかはともかく、とりあえず土下座する)
P(これしかない!)
P「すみませんでした」ザザッ
雪歩「えっ!?」
P「本当、俺……気が付かないうちに、雪歩を泣かせるようなこと、またしてしまったみたいで……」
雪歩「あ、あの……だから、違くて……」
P「いいや俺のせいだ! 雪歩が涙を流すとき、そこには常に俺がいるんだっ!」
雪歩「あ、頭を上げてくださいぃ~!」
P「いっそのこと、このまま頭を踏みつけてくれても構わないっ!」
雪歩「そっ、そそそ、そんなことできません~!」
P「そ、そうだよな、それだとご褒美になってしまうもんな」
雪歩「ぷ、プロデューサーが何を言ってるのか、ゼンゼン、ゼンゼンわかんないですぅ」カァァ
P「この通りです……どうか、許して欲しい……!」
雪歩「……」
P「……」
雪歩「……プロデューサーは、こういうとき、ガンコさんなんですよね」
P「え?」
雪歩「そうです、私の言うことなんか全く聞かないで……」
雪歩「プロデューサーのやりたいようにやって、いつも私を困らせちゃうんです」
P「……」
雪歩「……だから、今はそれに付き合います。前にも言ったけど、結局、惚れた方が損をするんですから」
P「雪歩……」
雪歩「……プロデューサー。私は、あなたのこと……もう、許してあげます」
雪歩「だから、もう顔を上げて……、私の顔を、私の目を、私のことを……見てください」
雪歩「そうじゃないと……さみしいです……」
P「……わかった。そこまで言ってくれるなら、もう顔を上げるよ」
スッ
P「さみしい思いをさせて、ごめんな、ゆき――
ぎゅっ
P「!?」
P「お、おい……? なんで、急に抱きついたり……」
雪歩「お願い……少しだけ……このままで、いさせてください」
P「……いや、でも……」
P(ここは誰も見ていない、狭い部屋)
P(そこには、フタリの男女が抱き合って……)
P(こ、これって結構、まずいんじゃないか? 今更だけど……)
雪歩「……これは、さみしい思いをさせた……罰、なんですから」
1 このままだとちょっとマズイ。雪歩の体から逃れよう
2 抱きしめ返してあげよう
>>320
2222222222222222222222
P「……罰、か」
雪歩「そうですぅ……け、決して、私が抱きつきたいから、とかじゃなくて……」
P「……わかってるよ」
ぎゅー……
雪歩「っ!」
P「……」
雪歩「……え、えへへ……」
P「……苦しくないか?」
雪歩「……」
雪歩「……もっと、苦しくしてくれてもいいです」
P(抱きしめた雪歩の体は、とても熱かった)
P(それを感じながら俺は……ああ、もうどうにでもな~れ、と……)
P(かつてのように、そう思ったのである)
P(セクハラだどうの、って怯えていた昔の俺は……、もうここにはいないみたいだな)
理性は残しておこうじゃないか
P(それから雪歩は、俺の腕の中で……少しずつ、泣いていた原因を話してくれた)
P(……いわく、そのきっかけとなったのは……)
―――
『あ、来週ジュピターとのフェスだから。今日みたいに頑張ろうな!』
『えっ』
―――
P(……という、帰りの車内での俺の発言だったらしい)
P(それを聞いて雪歩は……物の見事に、混乱した)
P(とにかく、少しでも強くなろう、と、そう思って……さっきまで、外でダンスの練習をしていたんだそうだ)
P(それでも、なかなかうまくいかず……それで、俺にあんなメールを……)
P(なんということだ……完全に俺のせいじゃないか!)
P「なんといいますか……改めて、ごめんな、雪歩……」
雪歩「あっ、い、いいえ……いいんです。それは単なる、きっかけで……」
雪歩「本当に、私が悲しくなった原因は……私自身にあるんですから」
雪歩「私は……やっぱり、ひとりじゃなんにも出来ないんだなあ、って……そう思ったんです」
P「……」
雪歩「ダンスの練習、ひとりだと、何をしたらいいのか……なんにもわからなくて」
雪歩「……私だって、ジュピターさん達に勝ちたいです。だけど……」
雪歩「リーダーの私が、こんなにダメダメじゃあ……難しいのかな、って……思っちゃったんです」
P「……確かに冬馬達は、個人個人のレベルがかなり高い」
P「だけどな、雪歩……」
雪歩「……プロデューサーが言いたいことは、わかります」
雪歩「私達には、仲間がいる。私達にしかない、武器がある。団結……」
P「……そうだ。雪歩ができないなら、周りのみんなに頼ればいい。今までだって、そうしてきたじゃないか」
雪歩「……」
雪歩「でも……これからは、違います、よね……」
P「これから、って……」
雪歩「……プロデューサーが、ハリウッドに行ってしまったあとです」
P「……」
雪歩「もちろん、プロデューサーがいなくなったあとだって、私達は頑張ります」
雪歩「いつも一緒で、三人ともとっても仲が良いから……喧嘩だって、しないです」
雪歩「……たぶん、ですけど」
P「女の子は難しいからな……」
雪歩「そうなんです、難しいんですぅ。……とにかく、ですね」
雪歩「今まで、私達は一致団結して、力を合わせてやってきました」
雪歩「真美ちゃんとあずささんと、私……そして、プロデューサー」
P「……」
雪歩「……わかっているんです、頭ではわかっているんです、でも……!」
雪歩「私達は、今までずっと……プロデューサーに頼ってきたから……」
雪歩「いざ、あなたがいなくなってしまったとき……」
雪歩「これまでの、絆が……ぜんぶぜんぶ、消えてなくなったら、どうしよう、って……」
雪歩「そんなことが、頭から離れなくて……!」
P「……そう簡単に、消えたりしないよ」
雪歩「わかってるんですっ、でもっ、止まらなくなっちゃったんですっ!」
雪歩「だっ、だからこれからは……、プロデューサーの代わりに、私が頑張らなきゃ、って……」
雪歩「そう思って、頑張ろう、頑張ろう、って思っても……そこにプロデューサーはいないんですっ!」
雪歩「もういくら頑張っても、隣にあなたはいませんっ! わ、私は……!」
雪歩「みんなのこと……プロデューサーのこと……大好きなのに……!」
雪歩「前はあれだけ、見栄を張って……、私は大丈夫、待っている、って……言えたのに……」
雪歩「や、やっぱり私は……こんなことで頭がグルグルになっちゃう、ダメダメな子だったんですぅ……!」
終わるかな?無理せずがんがれ
雪歩「……プロデューサー……。教えてください……」
雪歩「私は、どうしたら……いいんですか……?」
P「……」
1 頑張らなければいい
2 泣いてしまえばいい
>>336
1
P「……頑張らなければいいんだ」
雪歩「……っ……で、でも……!」
P「前にも言っただろ? あのとき……北東の空港で」
雪歩「……」
『頑張ること、もうやめよう』
『リーダーとして皆を引っ張っていくのも、つらい思いをしながらアイドル活動をするのも……』
P「……俺の一番の望み、知ってるか?」
雪歩「望み……? 私達がIA大賞を取って、トップアイドルになること……ですか?」
P「違うよ。俺が、最初から最後まで……雪歩達にして欲しい、ただひとつのことがあるんだ」
P「それは……」
雪歩「……」
P「雪歩達が、ずっと笑顔で……心から楽しんで、アイドルを続けてくれることだ」
P「雪歩自身が楽しめないなら……無理してアイドルを続けることはない」
P「頑張る意味が見つからないなら、頑張ることをやめてしまえばいい」
雪歩「……それで、プロデューサーはいいんですか?」
P「もちろん、構わないよ」
雪歩「プロデューサーが日本に帰ってきたとき……わ、私達が、アイドルを辞めていてもいいんですか!?」
P「……確かに、悲しい気持ちにはなるだろう」
P「でも、それは……、『雪歩達がアイドルを続けていないこと』というより……」
P「……『アイドルを続けられなくなるほどの何かが雪歩達に起こったこと』に対する悲しさだと思う」
雪歩「っ! な、なんでそこまで……いつも、いつもプロデューサーは……私達のことを……」
P「……何度も言っただろう。俺は、お前達のプロデューサーだから」
P「雪歩の心がいくら変わっても、俺は変わらない。いつだって、雪歩の味方だからだよ」
雪歩「……う、うぅ……!」
P「……泣きたいなら、泣いてもいい。ここには、誰もいないから」
雪歩「!」
ゴシゴシ
雪歩「……な、泣きません……まだ……」
P「……そうか」
雪歩「……」
P「……」
雪歩「……私、忘れちゃっていました……」
P「何を?」
雪歩「最初の、目標を……」
雪歩「私が初めてアイドルになろう、って思った……あのときの、目標を」
雪歩「これまで、プロデューサーに着いてきて……」
雪歩「真美ちゃんやあずささんと、一緒に頑張ってきて……」
雪歩「ふと気がつけば、私は……きらめくステージに立っていて」
雪歩「毎日があっという間に過ぎていっていくうちに……、忘れちゃってました」
雪歩「……私は……」
雪歩「プロデューサーや、真美ちゃんやあずささん、でもなくて……」
雪歩「大勢のファンの方達、でもなく……ただ、私は」
雪歩「ダメな自分を好きになれるように……、自分で自分を認められるようになりたくて……」
雪歩「それで……アイドルになったんです」
P「……そうだったのか」
雪歩「はい……でも、それはもう……気付かないうちに、叶っていたのかもしれません」
P「自分を、好きになれたということか?」
雪歩「……プロデューサーが、前に、こう言ってくれたから……」
『雪歩って、雪を歩く、って書くだろ? ……そんな風にさ』
『雪の上を、ゆっくりゆっくり……雪が形を変える感覚を、足の裏に感じるくらいに』
『一歩ずつ、一歩ずつ……踏みしめながら……歩いていこう』
雪歩「こんな風に言ってもらえたとき……泣いてもいいよ、って言ってもらえたとき……」
雪歩「ありのままの私を、ダメダメな私を……認めてもらえた気がして……」
雪歩「……変わらなくてもいい。プロデューサーが、見てくれているから」
雪歩「プロデューサーが認めてくれる、私を……私はきっと、好きになれたんです」
P「……」
雪歩「えへへ……なんか、自分でも、何を言ってるかよくわかんなくなってきちゃいました……」
P「……俺なんかでも、少しは雪歩の力になれていたのかな」
雪歩「もちろんですぅ。プロデューサーが隣にいてくれるから、私は頑張ってこれたんですから」
雪歩「って、これももう、何回も言ってますね……えへへ」
P「……」
雪歩「……さっき、プロデューサーに……頑張らなくてもいいよ、って言ってもらえて」
雪歩「私は……、やっとこのことに気付いたんです」
雪歩「最初の目標が……もう叶っていた、ということに……」
雪歩「私、IA大賞を取ります!」
P「……また随分、急な宣言だな」
雪歩「女の子の気持ちはいつだってめまぐるしく変わっていくんですぅ」
P「あはは……」
雪歩「……最初の目標が、もう叶っていたって……それを忘れることは、しちゃいけないんです」
雪歩「むしろ、より一層、その目標を意識して……前を向かないと」
雪歩「そうじゃないと、きっと私は……今日みたいに、くじけちゃうから」
P「……」
雪歩「……プロデューサーのため、でも……みんなのため、でもなくて……」
雪歩「自分を認められるように、自分のために……、IA大賞を取ります」
雪歩「だから……」
P「……ああ」
P「最後まで、頑張ろうな……雪歩」
―――
P(それから雪歩は……緊張の糸が切れたかのように、眠ってしまった)
P(別れの時が近づいてきていることと、何もわからない未来への不安が重なって……)
P(雪歩の小さな体には、大きなプレッシャーがかかっていたのかもしれない)
P(……でも雪歩は、自分の内に秘めた不安をすべて吐き出し……再び立ち上がってくれたようだ)
P(IA大賞……俺達の、夢)
P(もう間も無くだ。もう間も無く……これまで頑張ってきた一年間の、結果が出る)
P(俺はアイドル達のことを、彼女達がこれまで歩いてきた道のことを信じている)
P(だから、きっと……!)
【ある日の風景12 おわり】
10分休憩
【活動54週目 765プロ事務所 朝】
P「さあ、今日も元気にアイドルプロデュースだ!」
P(と、こんなことを言えるのも……もう、最後なんだよな)
P(……いかんいかん。まだ感傷に浸るには早すぎる)
P「さて……みんなの調子は、っと……」
雪歩「プロデューサー、おはようございますぅ!」
真美「おっはよっ、兄ちゃん!」
あずさ「ふふっ、おはようございますー♪」
P(……なるほど。よし、それじゃあ今日はこの子に、意気込みを語ってもらうとしよう!)
P(最後の朝の挨拶。それを締めくくるのに、ふさわしい、この子に……!)
>>360
雪歩
P「……雪歩!」
雪歩「はいっ!」
P「今日はなんだか、いつもと違って見えるな」
雪歩「えへへ……それはきっと、ユニットのみんなのおかげだと思いますぅ」
雪歩「みんなが、私に元気をくれるから、だから……」
P(……なるほど。よし、ここはこう答えておくことにしよう!)
1 いい感じだな
2 空回りするなよ
>>364
1
頭をワシャワシャしながら
P「いい感じだな、こいつめっ!」
ワッシャワシャ
雪歩「あ、あう、あう……な、なんで頭、わしゃわしゃするんですかぁ?」
P「雪歩が可愛いからだよ! あっはっは!」
雪歩「ぇ、えぇ……も、もう、やめてください~! み、みんないるのに……」カァァ
真美「……ね、ねえ、あずさおね
あずさ「ダメよ、真美ちゃん……邪魔しちゃ、かわいそうでしょ?」
あずあ「もう、こんな光景も……何度も見られないんだから」
真美「……うん。そだねっ! やいやい兄ちゃんっ! 真美も混ぜろ~!」タタッ
あずさ「私も~!」トテテ
P「ああ! みんなまとめて来いっ!」
高木「……時は来た!」
P「うわっ、社長!? なんだか久しぶりな気がしますね」
高木「毎日顔を合わせているのに何を言っているんだね君ぃ……」
高木「ところで、今日のフェスだが……アイドル諸君の様子はどうかな?」
P「……俺達ならこの通り……」
雪歩「えへへ……」
真美「んっふっふ~!」
あずさ「……ふふっ♪」ツヤツヤ
P「ばっちりですよ!」
高木「……うむ! 君の言葉は、勢いがあって実に素晴らしい!」
高木「この調子で、最後まで走り抜けてくれたまえよ!」
みんな「はいっ!」
【活動54週目 首都エリア/ヴァニティプラザ特設会場 昼】
P(……ついに、このときがやって来た!)
P(『FIRE BALL』……IA大賞のノミネートアイドルが一堂に会する、アイドル界最高峰のフェス)
P(アイドルアカデミー連合協会の関係者も、数多く視察に来ているとのことだ)
P(ここで結果を出さなければ、審査にも多大な影響が出るため……、IA大賞を取ることは難しくなってしまうだろう)
P(しかし、勝てば……!)
P「……って、あの姿は……!」
黒井「……では行け! 私のジュピターよ!」
黒井「その圧倒的な力で、すべてのアイドルをケチョンケチョンにしてやるのだ!」
冬馬「フンッ、言われなくても当然だ……どんな相手だろうと俺達なら、楽勝! だぜ!」
P「黒井社長と……ジュピター……!」
黒井「ん? おやおや~?」
P「……お久しぶりですね、黒井社長」
黒井「そこにいるのは、高木のところのおとぼけプロデューサーとその仲間達ではないか」
黒井「こんなところで会うとは奇遇だねぇ。君達は、今日のフェスに見学に来たのかい?」
P「参加を! しに来たんですよ!」
黒井「ハーハッハ! あ、いやこいつは失礼……」
黒井「まさか本当にノコノコと、わざわざ私のジュピターに潰されに来るほどのお馬鹿さん達だとは思わなくてね」
P(くそっ、相変わらず人をバカにしきった態度だ……!)
P(なんとか黒井社長に、一糸報いてやりたいな。でも、どうすれば……?)
1 悪口を言い返す
2 全力で無視する
3 その他
>>372
2
P「……」
黒井「ハーッハッハ! もう返す言葉もないか!」
P「……」
黒井「まあ、それも仕方あるまい。このセレブで、エレガントで、ゴージャ――
P「……さあ、みんな! 気合を入れていこうな!」
雪歩「はいっ!」
黒井「……ス、な……ううん? ……ゲホン! よく聞こえなかったようだね」
P「相手は、あのジュピターだ。相手にとって不足はない……しかし!」
黒井「……おい、この私を無視して、勝手に話を進めるんじゃあない!」
P「お前達ならできる! なんてったって、これまで俺達は――
冬馬「……おい、何勝手に盛り上がってんだ」
P「……っ! き、君は……!」
黒井「……」
黒井「……」
冬馬「さっきから黙って見てりゃ……自分達ならできる、だと?」
P「……何がおかしいんだ」
冬馬「笑わせるぜ! 765プロは本当に、妄想しがちなバカの集まりらしいな!」
雪歩「……っ……!」
冬馬「……聞いたぜ、如月千早はこのIA大賞を辞退したらしいな」
P「……ああ」
冬馬「その如月の代わりに出てきたのが、お前達みたいな仲良しクラブの甘ちゃんユニットってわけだ!」
冬馬「ハーッハッハ! これがバカじゃなくて、何だって言うんだ!」
P「……俺達は、千早に勝ったんだ。それは実力を認められたってことじゃないのか?」
冬馬「どうせ、裏でコソコソと汚い真似をして勝ったんだろう! 俺はちゃんと知って」
雪歩「そんな言い方、あんまりですぅうう!!」
冬馬「!?」
雪歩「ち、千早ちゃんにはっ! 私達、正々堂々戦って、そして勝ちました!」
冬馬「……」
雪歩「あなたは見ていたんですか!? 私達のフェスを!」
冬馬「いや……見てねーけど……」
雪歩「じゃあもう、勝手なこと言わないでくださいっ!」
真美「ヒューヒュー!」
P「言ったれ言ったれ!」
冬馬「クソッ……なんだよ、お前……前のときもそうやってつっかかってきてよぉ!」
雪歩「最初につっかっかって来ているのは、いつもあなたの方ですっ! 違いますか!?」
冬馬「……いや、確かにそりゃそーかもしんねーけど……」
雪歩「そうでしょう!? だ、だからもう……!」
冬馬「な、なんだよ……また泣くのか!?」
雪歩「泣きませんっ!!」
雪歩「……はぁ、はぁ……!」
冬馬「……フン。お前……萩原雪歩、だっけ?」
雪歩「……はい」
冬馬「そこまで言うなら、覚悟は出来るんだろうな?」
雪歩「覚悟……?」
冬馬「俺達に、全力で倒される覚悟だよ。もう手加減できねーぞ」
雪歩「……手加減なんて、最初からいりません」
雪歩「それに……そんな覚悟も、必要ありませんっ!」
雪歩「私達は、勝ちにきたんですからっ!」
冬馬「へえ……」カチン
冬馬「面白いこと言うじゃねーか」
雪歩「……」
冬馬「それじゃあ、見せてみろよ。萩原……、お前の力をなっ!」
雪歩「……」
雪歩「……見せるのは、私の力じゃありません……」
雪歩「見せるのは……!」
雪歩「私達の力ですっ!!」
雪歩「……私はあなたと違って、ひとりではなんにもできません」
雪歩「ずっとずっと……そうでした。そして、これからもそれは……同じです」
雪歩「くじけそうになったとき、全部全部やめてしまいたくなったとき……これまで何度だってありました」
雪歩「……でも、その度に……!」
雪歩「真美ちゃんが、私を笑顔にしてくれました」
真美「んっふっふ~♪」
雪歩「あずささんが、私を暖かく抱きしめてくれました」
あずさ「……ふふっ」
雪歩「そして……、プロデューサーが……」
P「……」
雪歩「暗闇に迷った私に、最初の一歩をくれました……!」
雪歩「私の隣には、いつだって……、仲間がいてくれたんですっ!!」
雪歩「そうやって、ひとりでは何もできないダメダメな私は……ようやくここまで来れましたっ!」
雪歩「だから……! だからこそ!」
雪歩「だからこそ私達は負けないっ!!」
冬馬「……っ……」
雪歩「ジュピターさん達に勝って……教えてあげますっ!」
雪歩「仲間と一緒にいることの強さを! そして……!」
雪歩「変えてあげますっ! ひとりでなんでも出来ると思っているような、あなたなんて、もう……!」
スゥ……
雪歩「……穴掘って……埋めてやりますぅうううううううぅううう!!!!」
雪歩「……はぁ、はぁ……っ……プロデューサー……!」
P「……ああ。よく言ったな」
雪歩「はい……っ!」
P(こんなとき、いつも雪歩は……自分の言った言葉にこわくなって、俺の元に駆けてきてたのに……)
P(……強くなったな、雪歩……!)
冬馬「……フン。行くぞ、お前ら」
翔太「あっれ~? 冬馬君、もしかして熱くなっちゃった?」
冬馬「はあ? 何言って――
北斗「ま、冬馬の気持ちもわからなくはないかな。ここまでお熱いアプローチを受けたら、そりゃあ、ね」
冬馬「あ、ああアプローチ!? なっ、なななな何言ってんだ!?」
雪歩「違いますぅ! アプローチなんかじゃないですぅ! 私が好きなのは……もごもご」
真美「ゆきぴょんゆきぴょん、ダメだよ! 今そういうアレじゃないんだから! 今はあっちのターン!」
冬馬「お、俺はただなあ……!」
翔太「あははっ! 冬馬君、慌てちゃっておっかしい~!」
冬馬「くっそ……! お前らいつだって、そうやって俺をからかいやがって……!」
北斗「はははっ、冗談だよ、冬馬。俺達だって、ちゃんとわかってるさ」
北斗「……お嬢さん?」
雪歩「……なっ、なんですか?」
北斗「俺達、今日はいつも通り、普通に勝つつもりでいたんだけど……」
翔太「そうだねっ! ちょっと予定変更かも。勝ちが決まってる勝負、なんて思わないようにするよっ!」
北斗「この通り、冬馬が熱くなっちゃったからさ。もし泣いちゃったら……ごめんね? そのときは慰めてあげるから」
雪歩「そ、そんな必要ありませんっ!」
P「そうだそうだ! 雪歩が泣いたときは、この俺が……もごもご」
あずさ「プロデューサーさん、今はあちらのターン、みたいですよ~?」
北斗「ははは、あなた達も、相変わらず仲が良いみたいで何よりですよ!」
P「……余計なお世話だ」
北斗「ああ、これは失礼。それじゃあ……またステージの上で会いましょう。チャオ☆」
翔太「じゃーねっ!」
冬馬「あっ、ちょ、ちょっと、待てよお前ら! ちくしょう、俺の台詞まで奪いやがって……!」
P「……」
P(ジュピターって……もっとこう、クールな連中かと思ってたけど)
P(あの冬馬の扱いを見ているかぎり、意外とそうでもないのかな?)
P(……まあ、関係ないな。相手が誰であろうと……全力を出すだけだ!)
P「よし……じゃあ、俺達もそろそろステージへ向かおう!」
みんな「はいっ!」
―――
スタッフ「皆さん、そろそろ時間なので、お願いします!」
みんな「はいっ!」
スタッフ「お隣のステージでは、ジュピターが本番の準備に入っています」
スタッフ「向こうに負けないくらい、ステージを盛り上げて下さいね!」
みんな「はいっ!」
P「よし、みんな……準備はいいな?」
雪歩「ばっちりですぅ!」
P「……泣いても笑っても、これがIA大賞における、最後のステージだ。だから……」
真美「せっかくなら、笑わなきゃ、だよねっ!」
あずさ「最後まで、みんなと一緒に、私達らしく……ですよね、プロデューサーさん?」
P「……ああ! みんな……これまでの一年間の努力を全て出し切り、そして……」
P「思いっきり、楽しんでこいっ!」
みんな「はいっ!」
―――
雪歩「……みんな! 気合を入れていきますぅっ!」
真美「うんっ!」
あずさ「はいっ!」
雪歩「誰が相手だって、どんな大舞台だって、そんなの関係ありません!」
真美「真美達は、真美達らしくっ!」
あずさ「これまでも、そして……、これからもっ!」
あずさ「3!」
真美「2っ!」
雪歩「……1!」
「「「……トップアイドルーっ!!!!」」」
【フェス FIRE BALL (ロッソストラーダ VS ジュピター)】
ワー ワー
雪歩「……」
雪歩(……これが最後。でも、ここで止まるわけにはいかない)
スゥ……
……―― ARE YOU READY!! I'M LADY!! 始めよう ――……
ワァァアアアア!!!
雪歩(これはまだ、夢の途中。私達は勝って……それでもまだまだ、歩き続ける)
雪歩(私達と、あなたの……大切な夢に向かって……!)
―――
ワーワー ヒューヒュー
P「……くそっ、なんてパフォーマンスだ……ジュピター……!」
P(ざっと見たところ、集客数は五分と五分……いや、若干ジュピターの方が多いか……)
北斗『街は 歪んだLabyrinth……』
冬馬『キミヲミウシナウ……アリス……』
P「雪歩……みんな……! 頑張れ……!」
ピラ
P「……ん、なんだ? チラシ……?」
……―― ALREADY!! WE'RE ALL LADY!! 始めたい ――……
あずさ(……歌が、終わっちゃうわ……)
……―― 行けばなれる もっと 全体 ――……
真美(うあうあ~! まだまだ足んないよっ! あっちのほうがいっぱいお客さんが~!)
――…… みんなONLY 1 ――……
雪歩(……)
雪歩(……頑張った、よね……)
雪歩(あれだけすごい、ジュピターさん達に……ここまで、追いつけたんだもん)
ポロ……
雪歩(だからもう……!)
雪歩(……春香ちゃん、真ちゃん、美希ちゃん……)
雪歩(ごめんね……仇を、取れなかったよ……)
雪歩(……千早ちゃん……)
雪歩(私達に、託してくれたのに……ごめんね……!)
「雪歩っ!!!」
雪歩「っ!」
P「顔をあげるんだ! まだ、終わってないっ! まわりを見ろっ!」
ざわ……
ざわ……
雪歩(……お客さん……いつの間に、こんなに……?)
ファンA「雪歩ちゃーん! がんばれー!」
ファンB「泣かないでー!」
雪歩「……」
P「山原さんが記事を書いてくれたんだっ! お前達の魅力がいっぱいに詰まった、素晴らしい記事をっ!」
P「だから……最後まで諦めるな!」
P「ファンのみんなに、伝えるんだ! お前の気持ちを、少しでも多く!」
雪歩「……っ!」
雪歩(……私がくじけそうなとき、迷いそうなとき……)
雪歩(いつだって、背中を押してくれた……最初の一歩を、私に与えてくれた……)
雪歩(私の……プロデューサー……!)
雪歩「……」
スゥ……
……―― ENCOREはないLIVE ――……
真美・あずさ「「っ!」」
雪歩(あなたに出会えて……良かった……!)
ワァァアア……!!!
ファンA「……あれ? この曲って……」
ファンB「……『READY!!』じゃない……?」
あずさ「……一度のLIVE 進め!!」
真美「どこまでも……!」
雪歩「SHOW MUST GO ON!!」
あずさ「スリー!」
真美「ツーっ!」
雪歩「……ワン!」
―――――――――――――――――――――――
CHANGIN' MY WORLD!!
変わらない夢 描いて
―――――――――――――――――――――――
―――――――――――――――――――――――
CHANGIN' 今を!!
好きに自由に変える READY!!
―――――――――――――――――――――――
ワァァァア……!!!
―――
ワァァァアア!!
P「……っ」
アンコール!
アンコール!
P(アンコールの声が、鳴り止まない……)
P(喉をカラカラにして……腕を振り上げて……)
P(まだまだみんな……、歌を聴きたいと叫んでいる)
黒井「……っ……!」
P「……ライブ、終わりましたね」
黒井「まだだっ! まだ終わってなど……っ!」
黒井「クソッ、クソックソッ! こ、こんな結果……私は認めんぞォ……!」
冬馬「……いい加減、現実見ろよ。オッサン……」
P「っ! 冬馬……お前、こんなところにいていいのか?」
冬馬「ま……ぜんぶ、終わっちまったみたいだしな。俺達にはもう、やることもねーから」
P「……」
黒井「き、貴様ァ……! よくも抜けぬけと、私の前に顔を出せたものだなっ!」
ガシッ!
冬馬「……離してくれ」
黒井「なんだ!? 何が原因だっ!? 調子でも悪かったのか……!?」
冬馬「……調子は最高だったさ。オッサン、見てなかったのか?」
黒井「ならばなぜ……なぜなんだっ!」
黒井「なぜ、765プロごときに、ジュピターが遅れを取るというのだ!!?」
ゆ
冬馬「……いいから」
冬馬「離せって言ってんだろっ!」
バッ
黒井「……っ……!」
冬馬「いいか、オッサン! 俺達は負けたんだっ!」
冬馬「コンディションは最高だった! 歌もダンスも、ひとつのミスもなかったっ!」
冬馬「むしろ、アイツらに引っ張られて……こっちまで、いつも以上の力が出ちまったくらいだぜっ!」
黒井「ならば……ジュピターが負ける要素などひとつも……!」
冬馬「あるだろっ! たったひとつ……俺達はなぁ……!」
冬馬「実力で、アイツらに負けたんだよっ!!」
黒井「……!!!!」
冬馬「……俺だって悔しいけど、な……!」
ヘナヘナ
黒井「そ、そんな……私の、ジュピターが……」
黒井「あんな、小娘らごときに……じ、実力で負けた、だと……?」ブツブツ
社長「プークスクス」
黒井「ありえん……ありえん……」ブツブツ
冬馬「……」
P「お、おい……黒井社長、大丈夫なのか?」
冬馬「大丈夫だろ。このオッサン、割とタフだから」
P「そうか……」
冬馬「……あのさ、悪かったよ」
P「え?」
冬馬「その……今まで、散々言いたい放題に言って、さ」
P「……」
冬馬「……俺、黒井のオッサンに、765プロは裏で汚い真似してるひどい事務所だって聞いていたんだ」
冬馬「だけど、今日お前達とステージに立ってみて……やっと、わかった」
冬馬「俺は黒井のオッサンに騙されて、いいように使われてたんだ、ってな」
P「冬馬……」
冬馬「お前達の実力は、確かに本物だった。だから……すまねぇ」
冬馬「……俺は、負けたケジメっていうのも含めて……961プロを辞めようと思う」
P「……」
冬馬「オッサンにここまで育てさせてもらったことは、感謝してるけど……」
冬馬「ま、ここまで意見が食い違っちまったら、たぶんもう戻らねーからな」
P「……あとのふたりは?」
冬馬「俺と同じだよ。だからもう、ジュピターも解散」
冬馬「ちなみに今はふたりとも、アンタ達のユニットのアンコールを、特等席で楽しんでるところだぜ」
P「ははは……転んでもくじけないな」
冬馬「本当にな……アイツららしいっちゃ、らしいけど」
P「……冬馬はこれから、どうするんだ? アイドル自体、辞めるのか?」
冬馬「……さあな。まだ、先のことはわかんねえ」
ま
P「……君の実力だって、本物だ。だから事務所を変えて、アイドルを続けるのもいいと思うぞ」
冬馬「……ま、考えとくよ」
P「……」
『んっふっふ~! じゃあもう一曲、いっちゃうよ~!』
ワァァァ!!
冬馬「……勝手にアンコールの二曲目やりはじめたな」
P「ああ。まったく、困った子達だよ……いつもいつもこうやって、俺を困らせるんだ」
冬馬「その割には、嬉しそうじゃねーか」
P「はは、当たり前だろ! あの子達は俺の自慢の、最高のアイドルだからな!」
冬馬「……アンタが、俺達のプロデューサーだったら……」ボソ
P「え? いま、なんて……」
冬馬「な、なんでもねーよ!」
―――
『アンタ達には、俺達に足りないところを教えられた……そこんとこ、感謝してるから』
P(と言い残し、冬馬はこの場を去っていった)
P(……俺達は、ついにジュピターに打ち勝つことが出来たんだ)
P(これでもう、やるべきことは本当に何もない……あとは、結果を待つだけだ)
P(みんな……本当によく、頑張ったな……!)
ワァァァ!!
P「よし、じゃあ俺もそろそろ……あの子達のアンコールを見に行くかな!」
P(残された時間が、あと少しなら……出来るだけ、多く)
P(みんなの歌を、ダンスを、表現を……この目に焼き付けておこう)
P(それが……プロデューサーとして出来る、最後の仕事だから……)
【活動54週目 おわり】
ぽ
【活動最終週 765プロ事務所 朝】
P「……」
P(もうこの言葉も、何度目かわからないが……)
P(ついに……この日がやってきた)
P(今日は……IA大賞グランドファイナル)
P(俺達の一年の成果が、発表される日だ……!)
P「……しかし、ちょっと早く着すぎてしまったな。まだ誰もいない」
ガチャ!
??「おはようございまーす」
P「と思ってたら、さっそく来たな! えーっと……」
入ってきたのは誰?
>>432
※765プロの人でお願いします
雪歩
雪歩把握
お風呂入ってきます
雪歩「おはようございます、プロデューサー」
P「おはよう、雪歩。随分早かったじゃないか」
雪歩「はい……なんだか、ソワソワしちゃって」
P「そっか……俺も、雪歩と同じだよ。ちょっと落ち着かなくてな」
雪歩「そうだったんですか……いっしょ、ですね。ちょっと嬉しいですぅ」
P「そんな小さなことで?」
雪歩「そんな小さなこと、だからです」
P「……そうだな。雪歩はそういう、ちょっとしたことで嬉しくなってくれるんだ」
雪歩「えへへ……だんだん、わかってきましたか?」
P「そりゃあ、もう付き合いも短くないからな。わかるよ」
雪歩「……」
P「……」
雪歩「あの、私……」
P「ん? どうした」
雪歩「……今日、プロデューサーとふたりっきりになったら、言おうと思ってたことがあるんです」
P「……それって……」
雪歩「……あの、えっと……ふたりきりじゃないと、というか……」
雪歩「プロデューサーに、伝えたいこと、というか……」
P「……」
雪歩「……いま、言っても……いいですか?」
P「……」
1 ……ああ、いいよ
2 グランドファイナルが終わってからにしてくれ
>>439
1
P「……ああ、いいよ」
雪歩「……っ」
雪歩「……ありがとうございます、プロデューサー……」
P「そんな、お礼を言われるようなことじゃ……」
雪歩「……」ゴク
雪歩「……じゃ、じゃあ……言います、ね」
P「あ、ああ……」
雪歩「わ、私は……」
P「……」
雪歩「……ぷ、プロデューサーの、ことが……」
雪歩「前から……、いつからか、もう、忘れちゃったけど……」
P「……」ゴク
雪歩「す……」
P「す……!?」
雪歩「す、すすすす……!」
雪歩「すっ、すすすっ、すす……!」
P「す……」
雪歩「……――~~!!」
雪歩「やっぱり言えないですぅうぅううううううう!!」
P「えっ!?」
雪歩「だ、ダメです、私、やっぱり言えないですぅ!」
雪歩「う、うう……な、何回も、ひとりで鏡の前で練習したのに……!」
P「おい、雪歩……?」
雪歩「こ、こんな私なんて……!」
雪歩「……だ、大好きな人と、もう……、お別れなのに……」
P「……!」
雪歩「ここまで来て、絶好のチャンスなのに、気持ちを伝えられないダメダメな私なんて……!」
雪歩「穴掘って、埋まってきますぅ~~!!!」ダダッ
P「……」ガシッ
雪歩「あうっ」
P「行かせないぞ」グググ
雪歩「で、でも……もう私、自分が情けなくてぇ……」
雪歩「どっかに埋まって、そのまま一生、暗くて落ち着く空間でのんびり過ごしたいですぅ……」
P「一生、穴から出ないつもりか? それだったら、俺との約束はどうなる」
雪歩「……約束、ですか?」
P「前に言っただろ? ほら、千早とのフェスのときに」
雪歩「……千早ちゃんとの、フェス……」
雪歩「……!」
P「これから先も、雪歩と関わりがあるうちは……、一生、雪歩だけを見ているって」
P「その約束も果たされなくなってしまうけど……いいのか?」
雪歩「……」
雪歩「……それは……や、です」
P「……いま言えないなら、いつかでいい。これから先、何年だって……俺は雪歩の近くにいるんだから」
雪歩「……でも、早くしないと……プロデューサー、きっと誰かに取られちゃいます」
P「……」
雪歩「そんなの、私、もっともっと……イヤですぅ……」
P(……ここは雪歩に、こう言ってやることにしよう)
1 確かに、音無さんあたりに取られちゃうかもな
2 俺は誰にも取られたりしないよ
3 その他
>>450
1
> P「さっきみたいに……音無さんを絡めて冗談を言ったりもしない」
P「確かに、音無さんあたりに取られちゃうか……も……」
雪歩「……」ジッ
P「……なーんて……」
雪歩「……プロデューサー? 私、前にも言いました……」
P「……」
雪歩「プロデューサーが、そういうこと言うと……私は、本当に悲しくなっちゃうんです、って」
P「はい……」
雪歩「……」
P「あの……冗談だから、その……」
雪歩「冗談でも言わないで、って約束してもらいましたぁ」プクー
P「……すみません」
雪歩「……もう……」
ぽ
雪歩「……」
P「……」
P(どうしよう……また土下座でもするか? いや、あれはそう何度も効果のある技じゃ……)
雪歩「……えへへっ、でも、許してあげます」
P「えっ」
雪歩「プロデューサーは、また私を元気付けてくれようとしたんですよね?」
P「……え、えーっと」
雪歩「プロデューサーがヘンなことをしたり、言ったりするときは……」
雪歩「ぜったい、私の為を思って……、たくさん考えてくれているときなんです」
P「……あ、ああ! そのとおりだとも!」
雪歩「プロデューサーは、いつだって私の味方で……意味もなく、傷つけたりしない人」
雪歩「私だって、プロデューサーのことくらい、もうこんなにわかるんですからね?」
P「へ、へへ……」
雪歩「だから、今回は特別に、見逃してあげますぅ♪」
P(な、なんとか助かった……のかな?)
すみません、もう全然頭回らなくなってきた
二時間以内で起きます…おやすみ
おう
~派とか言ってる内はにわか
おはようございます、保守ありがとうございます
10分くらいあとから再開する
雪歩「あ、でも、プロデューサー?」
P「な、なんだ?」
雪歩「私がいつでも許してあげる、と思ってたら……ダメですよ?」
P「……」
雪歩「私だって、落ち着いた気持ちじゃなかったら……」
雪歩「プロデューサーの考えに、気付かないときもあるかもしれません」
雪歩「そのときに、今みたいな冗談を言われたら……きっと私、泣いちゃいますぅ」
P「……うん。今後、気をつけるよ」
雪歩「はい!」
P(……本当に、気をつけないとな)
P(俺は確かに、雪歩の泣き顔だって好きだ。だけど……)
P(雪歩を悲しませるのは……もう決して、したくないから)
【活動最終週 首都エリア/国立オペラ劇場 夜】
P(それから……、しばらくの間)
P(あとからやってきた真美とあずささんを加えて、俺達は四人で……)
P(このユニット全員で過ごせる最後の時間を……、ゆっくりと、大切に過ごした)
P(そして……いま。ついに俺達は、この場所へとやってきたのである)
P(IA大賞グランドファイナルのセレモニーが行われる、ここ、国立オペラ劇場へと……)
P「……みんな、聞いてくれ」
みんな「……」
・・・・・・
P「ロッソストラーダの一年間の活動を、IAUがどう評価するかはまだわからない」
P「もしかしたら、どんな評価もされず……俺達は何も得られないかもしれない」
雪歩「そ、そんな……」
P「もしも、の話だよ。……でも、どんなことがあっても、俺だけはちゃんと知っている」
P「お前達の、これまでの努力を。そして……それがきっと、実を結んでくれると、信じている」
P「だから……、最後まで胸を張って、最高のアイドルでいてくれ!」
みんな「……はいっ!」
P「……さあ、行こう!」
【セレモニー IA大賞グランドファイナル】
司会『皆さま、お待たせしました……』
司会『ただいまより、IA大賞グランドファイナルを開催いたします!』
パチパチパチ……!
P(とうとう、IA大賞グランドファイナルが始まった!)
P(うう、なんだか緊張してきたぞ……)
司会『……それではさっそく、IA大賞ノミネートアイドルを発表しましょう!』
司会『まず最初は、エントリーナンバー1番……』
司会『765プロダクション所属、ロッソストラーダの皆さんです!』
ワー ワー
P「……雪歩、大丈夫か?」
雪歩「……」コクリ
P「……よし、いって来い!」
―――
司会『……以上、計24組のアイドルが、本年度のIA大賞にノミネートされています』
パチパチパチ……!
P(……雪歩も、真美も、あずささんも……みんな、立派に挨拶をこなしてくれた)
P(もう以前のように……土壇場で緊張してしまっていた雪歩は、もういないんだな……)
P(雪歩の成長が嬉しいのと同時に……少し、さみしくもあるのは……俺のエゴだろうか)
P(……ちなみに、ジュピター……つまり、冬馬も北斗も翔太も、この場には来ていなかった)
P(ジュピターが解散し、IA大賞ノミネートを辞退したというのは……本当だったらしいな)
司会『続いて……部門賞の発表に入ります!』
完全制覇は無理か
―――
P(部門賞とは、各エリアで最も活躍したアイドルに贈られる特別な賞)
P(もちろんこれだって、大変に名誉なものだけど……俺達の目標とは、また別のものだから関係ない)
P(と、思っていたのだが……)
司会『次に……中央エリアで最も活躍したアイドルに贈られる、フォレストグリーン賞を発表します!』
司会『今年の、フォレストグリーン賞の受賞者は……』
ドゥルルルルル……
司会『ロッソストラーダの皆さんですっ!』
雪歩「……ぇ」
雪歩「ええぇええっ!!?」
P「や、やったぞ雪歩! 俺達の活躍が認められたんだっ!」
雪歩「は、はいっ! う、うう……嬉しいですぅ……!」
P(歌姫・歌王子フェスでの勝利が、この賞を受賞する決め手となったのかもしれない)
P(……しかし、俺達の最終目標は、あくまでIA大賞だ)
P(だから……ここで浮かれるわけにはいかない)
P(だけど、やっぱり……こういう形で評価されるというのは、嬉しいものだな……!)
司会『ロッソストラーダの皆さんには、後ほどステージでパフォーマンスをしていただきます』
司会『続きまして、西エリアでの……』
―――
P(その後も、部門賞の発表が続き……)
P(ついに、この瞬間がやってきた……!)
司会『……皆さま、大変長らくお待たせしました……』
司会『これより、本年度アイドルアカデミー大賞の、グランプリ受賞者を発表致します!!』
ワー パチパチパチ……!
P「……」ゴクリ
司会『! い、今ここに、結果を知らせる封筒が届きました!』
司会『私の手も震えております……』プルプル
P(いいから早く言え!)
司会『ゴホン! えー……、では改めまして……発表します!』
司会『……本年度、最も活躍したアイドルに贈られる……』
司会『栄えある……、アイドルアカデミー大賞の受賞者は……!』
ドゥルルルルル……
P「……」
ドクン…… ドクン……
P(思えば、これまで……色んなことがあった)
P(喧嘩したり、すれ違ったり……時には、涙を流すことだってあった)
P(それでも、俺達はずっと……、笑いあって、泣きあって……)
P(お互いにお互いを支えあいながら、みんなと一緒に……ここまで歩いてきたんだ)
P(すべては……この瞬間のために……!)
あずさ「……」
真美「……」
雪歩「……」
P(頼む……神様……!)
P(どうか……どうか、この子達に……!)
司会『……765プロダクション所属……』
「「「……!!!」」」」
司会『ロッソストラーダの皆さんです!!』
* + 巛 ヽ
〒 ! + 。 + 。 * 。
+ 。 | |
* + / / イヤッッホォォォオオォオウ!
∧_∧ / /
(´∀` / / + 。 + 。 * 。
,- f
〈_} ) |
/ ! + 。 + + *
./ ,ヘ |
ガタン ||| j / | | |||
┏┓ ┏┓ 巛 ヽ. ┏┓ ┏┳┓
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┗━┓┏━╋┛┗━┳┳┳╋━┓┏━╋━┛┗┳━| |┳━┛┗┳━┛┗╋━┓ ┏┻┛┗┫┃┃
┃┃ ┗┓┏┓┃┃┃┣┓┃┃┏╋┓ +┻ +/ /┻┓ ┏┻┓ ┏┛ ┃┃┃┏━┓┃┃┃
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┗/´》〉 ┗┛ ┗━━┻┛┗┛┗┻━(´∀`_/ / ┗━┻┛┗━┻┛┗━━┻┛┗巛 ヽ┻┻┛
* | 〒 /⌒ヽ | 〒 ||| ,.へ´_|_ヽ ,-r、,r/」 f ||| ∧ ∧,.へ, 〒 ! /⌒ヽ 〒 !
| | ( ´∀`) | 人l ァ'`・ω・)〉/_ュヘ〈|7 | * (゚∀゚ `ァ ノ + | | ( 个 ) | |
+ | { | .| { .(__)、 ○〈_}ノ : | + O /:-一;:、 / /. | | ./ /*
ヽ ヽ | .|.ヽ ヽ (___) 、 〈 く/ ヽ__,」 + ) ミ;;★:;:;:;ミ/ / | |/ /
ヽ ヽ,, ´∀`) ヽ ヽ ´∀`)__ノ ヽ__) / ,ヘ | __,, '´ ̄`ヽ__ (・ω・´/ / (・∀・ / /
,.へ ■ヽ ヽ ー、 ヽ ー、 / / |. | ★((ハヾヽ,.べ, ミ三彡 f ,- f+
l ァ'^▽^) i ,rュ ', i rュ ', ||| ( 〈 .| .| ハ^ω^*`ァノュヘ | / ュヘ |
ヽ ○.| /{_〉,.へ∧ ∧{_〉 << \ ヽ .| .| O☆゙ _ノ_,} ) | 〈_} ) |
| 、 〈 | 〈 l ァ';・∀・) \ノ |_,,| ノ´ ̄ゞ⌒'ーァ ! ||| / ! |||
||| l__ノ ヽ__)| ,ヘ. ヽ ヽ ○ヽ + |__ノ| ) `7゙(´〈`ー''´ | / ,ヘ | ガタタタン!!!!
バンッ!
雪歩「っ! え、え……?」
雪歩「スポットライト……ま、眩しいですぅ……」
P「……雪歩っ!!」
雪歩「は、はいっ……」
P「……行ってくるんだ……ステージへ……!」
雪歩「……ステージ……え、えっと……?」
真美「ゆきぴょん、は、早くっ!」
あずさ「置いていっちゃうわよ~?」
P「歌とダンスで……、存分に、お前自身を表現してこい!」
P「そして、俺に見せてくれっ!」
P「アイドルアカデミー大賞受賞者としてふさわしい……、最高のステージを……!」
雪歩「……っ……!」
雪歩「……はいっ!!!」
―――
司会『……それでは』
司会『本年度IA大賞グランプリに輝いた、ロッソストラーダの皆さんに……歌って頂きましょう』
司会『曲は……『 i 』』
―――
ワー ワー
雪歩「……」
雪歩(……なんにも、考えられない)
雪歩(まだ、何が起こっているのか、よくわかんなくて……)
雪歩(でも……!)
スゥ……
……―― 新しい服 着替えて出掛けよう ――……
ワァァアア!!
……―― 靴も鞄も 買いたて下したて ――……
雪歩(目の前には、たくさんのファンの人達がいる)
雪歩(たくさんの声援があって、光があって……)
雪歩(そして……!)
……―― 青い空には 太陽眩しいな ――……
雪歩(……仲間がいる……!)
雪歩(真美ちゃん、あずささん、それに……)
……―― 人目気にせず 歌でも口ずさもう ――……
雪歩(あなたがいるから……!)
雪歩(だからこの体は動いてくれる、この口は歌ってくれる)
雪歩(だから私は……アイドルになれる!)
……―― 言葉だけでは言えない 熱い気持ちを ――……
……―― 少しだけでも届けられたならば……幸せ ――……
パチパチパチ……!!!
雪歩『……はぁ、はぁ……』
雪歩『……っ……』
雪歩『……み、皆さん! 聞いてくださいっ!』
雪歩『私は……こんな舞台に立てる日が来るなんて……』
雪歩『本当は……夢にも思っていませんでした』
雪歩『……私なんかじゃ、きっと無理だ、って……』
雪歩『ずっとずっと、そう思いながら……ここまで、歩いてきたんです』
雪歩『前までの私は……何をやってもダメダメで……』
雪歩『すぐにくじけて、涙を流して、穴を掘って埋まりたくなって……』
雪歩『……いいえ、前までの私、というのは……本当は違います』
雪歩『それはきっと……、今だって、変わっていません』
雪歩『私は、今でもとっても泣き虫です』
雪歩『みんなを引っ張っていく立派なリーダーになんて、とてもなれなくて……』
雪歩『ひとりじゃなんにも出来ない、弱虫なままで……、それはずっと、変わっていません』
雪歩『……でも……!』
雪歩『でもそんな私を……、私は好きになれました!』
雪歩『ダメダメな私を、ありのままの私を……認めてくれた人がいたからっ!』
雪歩『私に足りないところを、目一杯に埋めてくれる、大切な仲間がいたからっ!』
雪歩『おそるおそる踏み出した、あの最初の一歩から……』
雪歩『今日この日まで、みんなで歩いてきたこの道を……』
雪歩『私は……何よりも誇りに思います!』
雪歩『そして、私は……いいえ、私達は! これからも……!』
雪歩『これまで応援してくれた皆さんと、私達をいつも見守ってくれる人達に向けて……』
雪歩『精一杯の、感謝の気持ちを込めて……少しでも、私のこの気持ちが届くように……!』
雪歩『最高の歌を……、歌い続けます!』
スゥ……
雪歩『……ありがとうございましたぁっ!!』
パチパチパチ……!!!
―――
P(曲の披露が終わっても……)
P(会場につめかけたファンからの拍手は、いつまでも鳴り止むことはなかった)
P(息つく間も無く、賛辞と祝福を浴びせられながら……)
P(俺達は……、誰からともなく、足を向けていた)
P(四人だけで話せる、この場所へと……)
【国立オペラ劇場 屋上テラス】
雪歩「……まだちょっと、信じられないですぅ……」
真美「真美もだよ~……夢とかドッキリのほうが、まだわかるって感じ……」
あずさ「そうね~……早く目が覚めないかしら~……」
P「ははは……気持ちはわからなくもないけどな。……さて、みんな!」
P「改めて……IA大賞受賞、おめでとう!」
雪歩「っ!」ジワ
P「思えば、これまでみんなとは、色んなことがあったな……」
P「初めてみんなに出会って、初めてレッスンをした、あの日から……」
P「今日まで俺達は、喧嘩もしたし、時には涙を――
真美「兄ちゃんっ! 今はそんな思い出話してる場合じゃないっしょ!」
P「そ、そうか? いや、一応こういうのは必要かなって……」
雪歩「そうですよ、プロデューサー……いま、そんなことを思い出したら……」
雪歩「わだし……ほ、ほんどうに……涙がぁ……!」
真美「それに兄ちゃん、真美達は、ケンカなんてしてないよ?」
真美「ケンカに見えたのは、ただ遊んでただけっしょ~!」
あずさ「そうね~……私達は、これまでずーっと仲良しでしたから」
あずさ「もちろん、それはこれからも、ですけれど……ふふっ♪」
P「みんな……」ジワ
P「……っ……」
ゴシゴシ
P「……本当に今まで、良くやってくれた」
P「俺は、そんなお前達のことを……」
1 誇りに思うよ
2 愛しているよ
3 忘れないよ
>>527
1
P「誇りに思うよ……!」
雪歩「! う、うぅ……!」
P「お前達は、俺の大切な宝だ……家族と言ったって、いいかもしれない」
真美「……兄ちゃん……」
P「本当に……ありがとう……!」
あずさ「……プロデューザーざん……」ウルウル
P「な、なんだよみんな! 今日は何より嬉しい日のはずだろ?」
P「そんな、涙目になんてなるなって……」
雪歩「プロデューサーこぞぉ……!」
P「え? ……あはは、おかしいな」
ポロ……
P「なんで、俺まで……はは、なんか、かっこ悪いな……」
P「……と、とにかく! 俺のことはいいんだ。それよりもな……」
P「みんなには本当に、感謝してもしきれない。何よりそれが言いたくて……」
雪歩「感謝、ですかぁ……?」
P「……ああ。さっきの、あのステージは、確かに……」
P「俺達が、力を合わせて駆け抜けてきたこの一年の結晶だった」
真美「んっふっふ~! 真美も頑張っちゃったもんね!」
P「ああ、そのとおりだよ、真美!」ワシャワシャ
真美「あう」
P「……最後に、あんなに素晴らしい舞台を見せてもらって……本当にありがとう」
P「だからもう……俺には、心残りは何もない」
あずさ「……っ……」
P「……俺のプロデュースは、今日で終わりだけど……」
P「この一年で手に入れた、三人の絆を……、これからも大切に、活動を続けて欲しい」
雪歩「……任せてくださいっ! プロデューサーはなんにも心配すること、ありませんからね?」
真美「真美達、兄ちゃんが帰ってくるまでに、もっともっとすっごいアイドルになってるかんね!」
あずさ「……お別れは、さみしいけれど……でも、私達なら、きっと大丈夫です」
P「……みんな……!」
雪歩「……それじゃあふたりとも……、そろそろいくよ?」
真美「うんっ!」
あずさ「……ええ!」
P「……? いくって、なんのこ――
雪歩「せーのっ!」
雪歩「プロデューサー!」 真美「兄ちゃんっ!」 あずさ「プロデューサーさん!」
「「「一年間……ありがとうございましたっ!!」」」
P「……っ!!」
P「な、なんだよ……そんな、改まっちゃって……」
P「……お、お前達らしく……ないじゃないか……!」
雪歩「えへへ……で、でも……これだけは、絶対言おうって……」
真美「そーだよ……だって兄ちゃんには、たっくさん、たっくさん……!」
あずさ「数え切れないほどの、思い出を……いただきましたから……」
P「……っ……」
ポロ……
P「……ははは、まったく……そういうことばっかり言うんじゃないよ……」
P「いま……そんなこと言われたら、さすがの俺だって……!」
ポロポロ……
P「う、うう゛……」
P(雪歩、真美、あずささん……)
P(三人との、これまでの思い出が……溢れるように、心の中で蘇って……)
P(も、もう……限界だ……!)
雪歩「ぷろでゅーさぁ~……」ポロポロ
真美「に、兄ぢゃん……!」
あずさ「……えぐっ……プロデューサーざん……!」
P「……っ!」
「「「「……うわぁあ゛ああぁああん!!!」」」」
(´・ω・`)
/ , ヽ
 ̄_|,..i'"':, ̄ ̄ ̄ ̄
|\`、: i'、
\ \`_',..-i スッ…
\.!_,..-┘
―――
P(その後、俺達はしばらくの間……)
P(手をとりあい……、肩を抱き合って。大いに泣き……、そして笑った)
P(押し寄せてくる色々な感情を整理するのに、それ以外の方法を見つけることできなかったからだ)
P(でも、そんな風に共に泣き、笑い合える仲間がいることを……)
P(その場にいる誰もが、幸せに感じていた)
P(……本当に……ありがとう、みんな……!)
【街道】
雪歩「……こうして、プロデューサーと一緒に歩けるの……とっても楽しいです」
P「俺もだよ……でも、いいのか? みんなと一緒に帰らなくて……」
雪歩「いいんです。みんなも……許してくれましたから」
P「許す……?」
雪歩「……あの、プロデューサー?」
P「ん、どうした?」
雪歩「お願いが……あるんですけど……」
P「……なんでも言ってみてくれ。俺に出来ることなら、なんでもするよ」
雪歩「えへへ……ありがとうございます」
雪歩「あの……その、お願いっていうのは……」
P「……」
雪歩「ご褒美が……欲しいんです」
雪歩「これまで、私は……たくさん頑張ってこれた、って思うから」
雪歩「こうして、アイドルアカデミー大賞も受賞できて、それで……」
雪歩「あの、そのぉ、だから……」モジモジ
P「……」
雪歩「うう……言ってる意味、わかってもらえましたか?」
P「う、うん……。……それじゃあ、雪歩」
1 こっちにおいで
2 頭を撫でてあげよう
3 自分の口で言ってごらん
>>542
1
P「……こっちにおいで」
雪歩「! は、はい……」
P「……」
ぎゅっ
雪歩「……えへへ……」
雪歩「もっと、強く……」
P「……これくらい?」
ぎゅーっ
雪歩「……っ……も、もっと、もっと……!」
P「これ以上強くしたら、雪歩の体が……」
雪歩「……いいんです……」
雪歩「わ、私の体に……プロデューサーのこと、少しでも、覚えさせておきたいからぁ……」
雪歩「だから……、もっと……強く……抱きしめてください……!」
P「……」
―――
雪歩「……えへへ。ありがとうございます、プロデューサー……」
P「大丈夫か? 痛くないか?」
雪歩「ちょっと痛いですけど……でも、プロデューサーが残してくれた痛みだから、平気です」
P「……」
P(……いやいや、ここで野暮なことを考えるのはよそう)
雪歩「……最後に……実は、私からも……、プロデューサーに、プレゼントがあるんです」
P「……プレゼント?」
雪歩「はい。それは……歌ですぅ。……聴いてくれますか?」
P「……ああ、もちろん。聴かせてくれ」
雪歩「……良かった……」
雪歩「私、この歌が完成したら、一番にプロデューサーに聴いて欲しかったから……」
P「……」
P(以前、千早からもらった、あのテープの歌か……ついに、完成したんだな)
雪歩「……この歌は……、プロデューサーと私の思い出を、綴ったものなんです」
雪歩「私は、プロデューサーのおかげで……きっと、たくさん変われました」
雪歩「だから今度こそ、一人でも強く歩いていけるように……」
雪歩「……それでも、最初の一歩を決して忘れないように」
雪歩「そんな願いを込めて……」
P「……」
雪歩「タイトルは……」
雪歩「……『First Step』」
……――♪ ――♪ ――♪
『そう、何を隠そう俺は……君のプロデューサーだよ』
『……そんなわけないだろう。こんな格好をして喜ぶ変態大人が、この世にいるわけない』
―――――――――――――――――――――――
初めて会った日、覚えてますか?
あなたの優しいまなざし
―――――――――――――――――――――――
『それじゃあ、これから俺は君のことを、雪歩って、呼ばせてもらうよ!』
『これから一緒に、トップアイドル目指してがんばろうな』
―――――――――――――――――――――――
わたしより大きくて広い背中が 少し眩しかった
―――――――――――――――――――――――
――♪ ――♪ ――♪
『まいったな……どうしたら、機嫌を直してくれるんだ?』
『ずるくても結構さ。雪歩の機嫌が直るんなら、安いものだ』
―――――――――――――――――――――――
喧嘩も時々はあったよね
泣いてばかりで ごめんなさい
―――――――――――――――――――――――
『……もう、これですれ違いは終わりだ……!』
『俺自身、雪歩達といっしょにいたいんだよ……』
―――――――――――――――――――――――
ささいなすれ違いも大切 ふたり強くなれた
―――――――――――――――――――――――
――♪ ――♪ ――♪
『雪歩、おはよう。何をしているんだ?』
『ああ、その通りだよ。……しかしみんな、良い顔をしているな!』
―――――――――――――――――――――――
『おはよう』 見つめる 優しいその瞳が
いつでも いつでも わたしを導いてくよ
―――――――――――――――――――――――
『俺は、少しでも雪歩に笑顔でいてもらいたいんだよ』
『……それでもやっぱり、俺は……』
―――――――――――――――――――――――
『笑って』 あなたの 言葉は何度だって
わたしが 踏み出す 一歩を 照らすから
―――――――――――――――――――――――
『雪歩の笑顔が一番好きだ』
―――
雪歩「……ありがとうございました」
P「ああ、とても良い歌じゃないか……でもこれ、一番だけだよな? 二番は……?」
雪歩「えへへ……二番は、プロデューサーが帰ってきたら聴かせてあげます!」
P「……そうか。それじゃあ、楽しみにしているよ」
雪歩「そうしてくれると、嬉しいですぅ……あの、プロデューサー?」
P「なんだ?」
雪歩「……忘れないで……くださいね。わ、私達のこと……」
P「……もちろんだ。一日だって、忘れることはないよ」
雪歩「ホントにホントに、ゼッタイ……ぜっだい……、約束ですよ?」
P「ああ、ああ……!」
P「……だからもう、泣くな……!」
雪歩「泣いてませんっ! わ、私、もう……今度こそ、づよぐ……なるんですからぁ……!」
P「……っ……」
雪歩「……プロデューサーが、えぐっ……帰ってくるまでに……」
雪歩「欲しいものは欲しいって、大声で言えるような……、そんな女の子になりまずぅ……!」
雪歩「強くなって、強くなって……! そして……きっと、笑顔で……」
雪歩「……プロデューサーが、一番好きだって言ってくれた……笑顔で……」
雪歩「……あなたに、会いにいきます……!」
―――
P(――こうして、俺達ロッソストラーダの活動は終わった)
P(目を離すとすぐに迷子になって、色々な意味でいつも俺を冷や冷やさせていた、あずささん)
P(イタズラ好きで、いつだってわがままで素直すぎる子どもだった、真美)
P(そして……、いつまでも自分に自信が持てなくて、泣いてばかりいた、雪歩は……)
P(見事にその才能を開花させ、アイドルとしてだけでなく、ひとりの人間としても大きく成長を果たし……)
P(今、トップアイドルとして、すべての人から認められる存在となった)
P(俺が彼女達にしてやれることは、もう何もない)
P(しかし、舞台の裏で強く繋がれた、彼女達の絆は……、これからも、決して離れることはない)
P(みんなで力を合わせてようやく咲かせた花の芽を、これから先もずっと、大切に育ててくれることだろう)
P(……さようなら、みんな。いつかまた、俺達が再会できる、その日まで……)
【活動最終週 おわり】
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_/| _/| / . | | ― / \/ | ―――
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/. ノ、i.|i 、、 ヽ
i | ミ.\ヾヽ、___ヾヽヾ |
| i 、ヽ_ヽ、_i , / `__,;―'彡-i |
i ,'i/ `,ニ=ミ`-、ヾ三''―-―' / .|
iイ | |' ;'(( ,;/ '~ ゛  ̄`;)" c ミ i.
.i i.| ' ,|| i| ._ _-i ||:i | r-、 ヽ、
丿 `| (( _゛_i__`' (( ; ノ// i |ヽi.
/ i || i` - -、` i ノノ 'i /ヽ | ヽ
'ノ .. i )) '--、_`7 (( , 'i ノノ ヽ
ノ Y `-- " )) ノ ""i ヽ
ノヽ、 ノノ _/ i \
/ヽ ヽヽ、___,;//--'";;" ,/ヽ、 ヾヽ
【それから…】
ゴォォ……――
P「……ふう。やっと着いたな」
P(あれから一年……)
P(俺は本場ハリウッドで、ショービジネスやマネジメントについてたくさんのことを学んだ)
P(言葉がなかなか通じず、苦労することも多かったが……実に充実した一年間であったと思う)
P(そして、長かったそんな海外研修も終わり……、ようやく俺は今日、日本へと帰ってきたのだ!)
P「しかし……忙しすぎて、ろくに連絡のひとつも取れなかったな」
P「みんな、俺のこと忘れてないといいんだけど……」
『……それでは、続きまして……』
……――♪ ――♪ ――♪
P「……うん? この歌は……」
――♪ ――♪ ――♪
『……五週連続ランキングトップを記録! 皆さんご存知、萩原雪歩ちゃんで、『First Step』です。どうぞ……』
……―― 初めて会った日、覚えてますか ――……
P「……」
P(……ラジオから、優しい歌声が聴こえてくる)
P(これは……一年前のあの日、彼女が俺に歌ってくれた歌だ)
P(雪歩……まだ、アイドルを続けてくれているんだな。本当に良かった……)
P「……さて!」
??「……」コソコソ
P「俺も、雪歩との約束を守らないとな。今度こそ……!」
P(しかし、雪歩に会いにいくと言っても……どこにいけばいいんだろう?)
1 765プロ事務所
2 雪歩の自宅
3 その場で待機
>>564
1
P「まあ、アイドルがいると言えば芸能事務所だな!」
??「!?」
P「それじゃあさっそく、765プロ事務所へと――
??「ぶっぶー!! ですぅっ!」
P「!?」
??「プロデューサー、ヒドイですぅ! 私、会いに行くって、言ったじゃないですかぁ!」
P「き、君は……!」
1 雪歩!
2 真美!
3 あずささん!
4 その他
>>569
1
P「……雪歩!」
雪歩「そうですっ、雪歩ですぅっ!」
P「な、なんでそんなに怒ってるんだよ……」
雪歩「……」プイ
P「えーっと……」
雪歩「……プロデューサーなら……気付いてくれるって思ったのになぁ……」
P「……」
P(どうやら俺は、よくわからないけど雪歩の機嫌を損ねてしまったらしい)
P(再会したばっかりだというのに、なんということを……)
P(……よし。ここはひとつ、こう声をかけてやろう!)
1 ただいま、雪歩
2 結婚しよう
3 その他
>>575
抱き締めて1
雪歩「……ふーんだ……どうせ、こんな私なんて……」
雪歩「海外にいるプロデューサーから、全然電話もメールも送って貰えない私なんて……」
雪歩「穴掘って埋まっ――
ぎゅっ
雪歩「!!!?」
P「……」
サラ……
雪歩「み、耳……ぁ、ぁう……」カァァ
P「……ただいま、雪歩」
雪歩「ぷ、プロデューサー……? あの、ここ、人がいるからぁ……」
P「ずっと我慢していたんだ。これくらい……許してくれ」ボソ
雪歩「…………―――~~!!」ボッ
ヘナヘナ……
雪歩「……え、えへ、えへへ……」
P「おいおい、どうしたんだよ……急に座り込んじゃってさ」
雪歩「な、なんか……腰、抜けちゃいましたぁ……」
P「……ふふ。そんなもんじゃ、これから先やってけないぞ?」
雪歩「こ、これから先? これから先って……」カァァ
P「それは追々……な?」
雪歩「! は、はい……」
P「……」
雪歩「えへへ、えへ……これから先って、なんのことでしょう……きっ、きき、きすとか……?」
雪歩「ずっと我慢してたって、ホントかなぁ……そ、それじゃあ、私といっしょ……」
雪歩「……えへへ」
P(かわいい)
P(やっぱり雪歩をからかうのは楽しいなぁ)
P「……ところで、雪歩」
雪歩「はーい」ポケー
P「ちょっと聞きたいことがあるんだけど……」
雪歩「なんですかぁ?」
P「他のみんなはどうしてるんだ? まだアイドル続けてくれてるんだな、良かったよ。ラジオも聴いたぞ」
P「あ、他のみんなっていうのはもちろん、真美とあずささんのことな。あれからみんな、仲良くやっているのか?」
P「社長はどうしてる? お土産買ってきたんだけど先に事務所に持って行ったほうがいいかな。音無さんは……まあいいや」
P「あとあと……」
雪歩「ぷ、プロデューサー!!」
P「!?」
雪歩「そ、そんなにいっぺんに聞かないでくださいぃ! 頭がパンパンになっちゃいますぅ」
P「す、すまん。つい気になっちゃってな……」
雪歩「……と、とにかく」
雪歩「私達は、あれからもずっと一緒に活動しています。今でもみんな仲良しですよ!」
P「そうか……それは良かった。いや、それが一番の気がかりだったからさ」
P「ラジオだと、あの曲のアーティストは雪歩だけ、って感じだったから、少し心配になってしまって」
雪歩「ラジオ? あ、『First Step』のことですね。それなら――
雪歩「!!!!」
P「どうした、そんなにビックリして……」
雪歩「……あの、プロデューサー……」
雪歩「ラジオで、聴いちゃったんですか……?」
P「あ、ああ」
雪歩「ぜんぶ……?」
P「う、うん……だいたいは聴いたと思う」
雪歩「うう、そんなぁ……二番は、私が最初に聴かせてあげようと思ったのにぃ……」
P「……ま、まあ、しかたないだろ? 不可抗力だったし」
雪歩「だったら耳ふさいでくださいぃ! それか記憶を消してくださいぃっ!」
P「無茶言うなって……」
雪歩「……う、うぅ……さっきまであんなにぽわぽわだったのに……なんだか、悲しいですぅ」シクシク
P「……お、おい……悪かったよ、だからそんな」
雪歩「……なーんて。冗談です」
P「え?」
雪歩「えへへ……プロデューサーは、やっぱり変わってないですね」
雪歩「いつでも私のこと、とにかく心配してくれるんですぅ!」
P「……雪歩は、少し変わった気がするな」
雪歩「そうですかぁ?」
P「ああ……なんだか、前より自信に満ち溢れているというか……」
雪歩「……そうかもしれませんね」
雪歩「この一年で、私、きっとまた……強くなれました」
雪歩「プロデューサー……それがなんでだか、わかりますか?」
P「え? うーん……そうだな……」
1 大好きな俺のことを考えていたから?
2 みんなと一緒に頑張っていたから?
3 ひたすら穴掘りに励んでいたから?
>>600
3
P「ひたすら穴掘りに励んでいたから?」
雪歩「そっ、そんなには掘ってないですぅ!」
P「とか言って……今でも落ち込むと、たまに穴掘ってるんだろ?」
雪歩「な、なな、なんで知ってるんですか……?」
P「俺は雪歩のことならなんでもわかるからな!」
雪歩「あう……と、とにかく、ぶっぶーのハズレですぅ!」
P「あ、やっぱり……」
雪歩「正解は……」
P「……」
雪歩「ありません!」
P「えっ」
雪歩「えへへ……だって私、プロデューサーに言われたとおり……」
雪歩「頑張らないときは頑張らないで……泣きたいときは泣いて……」
雪歩「そうやって、あの日までみたいに……無理しないでやってきた、だけなんです」
雪歩「だから、特別なことは……、なんにもしていませんよ?」
雪歩「でも……だからこそ」
雪歩「私はもっともっと……、アイドルをしている自分を好きになれたんです」
P「……」
雪歩「みんなと一緒に、歌を歌って、踊りを踊って……」
雪歩「そうやって過ごしていくうちに、毎日がどんどん楽しくなっていって……」
雪歩「私は、前よりもっと、私のことを好きになれたから……」
雪歩「だから強くなれたんだ、って思います」
P「……そっか」
雪歩「えへへ……でもきっと、今日からはまた違いますよね?」
P「え? なんでまた……」
雪歩「それは……」
雪歩「プロデューサーが、帰ってきたからに、決まってますぅ!」
雪歩「プロデューサーがそばにいれば、私はどんどん変われる気がするんです」
雪歩「だって、あの頃だって……いつだってプロデューサーは、私にいろんな気持ちをくれましたから」
雪歩「だからきっと、今日からはまた……まったく新しい、私になれるんですぅ!」
雪歩「そうですよね、プロデューサー?」
P「……ああ、そのとおりだ!」
P「いつだって、雪歩は変われる。俺がもっともっと、魅力的な女の子にしてみせるよ!」
雪歩「はいっ!」
P「日本中の……いや、世界中のみんなが、雪歩に夢中になるような……」
P「そんな、誰からも愛されるアイドルにしてみせる!」
P「よし、それじゃあさっそく……」
雪歩「えへへ……お仕事、ですね?」
P「ああ! みんなを集めて、営業に出かけるとしようか!」
雪歩「はい! これからも私のプロデュース、よろしくお願いしますねっ!」
雪歩「世界で一番、素敵な……、私の……」
雪歩「大好きな、プロデューサー!」
おわり
これで本当におわりです。えらく長い間お付き合いありがとうございました
雪歩かわいいよ雪歩ちゅっちゅ
ーーーー2周目ーーーーー
の前に>>1乙だあああ
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