以下P表記で行きます。
あと美波は俺の妹
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P「いやあ、俺もとうとう28歳かあ。本格的に三十路が見えてきたなあ」カチャカチャ
P「誰か祝ってくれないかなあ~。祝ってほしいなあ~」カチャカチャ
P「今日は卵の黄身が二つあった上に茶柱も立った。絶対にいいことあるよなあ」カチャカチャ
P「……ああ、誰か来ないっかなっと!」カチャカチャッターン
P「いよっし。書類仕事終わりっと」
早苗「おはよー!」
P「あ、早苗さん。おはようございます」
早苗「あら? なんか嬉しそうね。そんなにお姉さんに会いたかったの~?」
P「いえ、そういうわけではないんですけど」
早苗「はっきり言われるとむかつくわね」
P「ああいや、会いたくないわけでもないんですけど、嬉しいのが顔に出てたのは別の理由です」
早苗「へえ、いいことでもあったの?」
P「いいこと? いや、いいことがあったのではなくこれから起こるというか」
早苗「何よ。はっきりしないわね」
P「ヒントは今日です!」
早苗「今日? 5月23日……なんかあったっけ? イベントも何もないし」
P「……あ、いえ。そのぉ」
早苗「なんかのゲームとかでも発売するの?」
P「え、あ、うん……違うけど」
早苗「じゃあ何よ? 隠さないで言っちゃいなさい!」
裕子「おはようございます!」
P「お、おうおはよう!」
早苗「おはようユッコちゃん」
裕子「おや? お二人とも何かありましたか?」
P「ああーいや」
早苗「どうもプロデューサー君が何か隠してるみたいなのよ。良いことらしいんだけど」
裕子「ムムム! それは……いいでしょう。サイキックアイドルであるエスパーユッコがテレパシーで見抜いてあげましょう!」
P(うーん。何となく言い辛くなってきてたからここはユッコを信じよう)
ユッコ「いきますよ~! ムム、ムムムムーン!」
P(今日は俺の誕生日今日は俺の誕生日今日は俺の誕生日今日は俺の誕生日今日は俺の誕生日今日は俺の誕生日今日は俺の誕生日)
ユッコ「ムム! 伝わってきましたよプロデューサーの想い! ズバリ!」
早苗「ズバリ?」
ユッコ「今日は卵の黄身が二つあった上に茶柱も立ったんですね!」
P「……えっと、うん」
早苗「そんなのわかるわけないじゃない! っていうかもったいぶるからなんだと思ったわ」
裕子「ふふふ、私のサイキックが華麗に炸裂しましたね!」
P「ああ、そうだな」
P(俺の思いは通じなかったが、ユッコのサイキックは本物だな)
雫「おはようございま~す」
P「おう、おはよう!」
早苗「おはよう雫ちゃん」
裕子「おはようございます!」
雫「おやあ? 私が最後でしたか~」
P「そうなるな」
雫「何やら盛り上がってたみたいですけど、何かあったんですか~?」
P「外にまで聞こえていたか」
早苗「プロデューサー君が良いことあったっていうから聞いてみたら、卵の黄身が二つあって茶柱が立ったっていう話だったのよ」
裕子「私のサイキックでずばり当てました!」
雫「へえ~そうなんですねえ~。でも茶柱が立ったっていうのはこれからいいことがあるとかじゃないでしたっけ~?」
早苗「あら? それもそうね」
裕子「つまり、良いことは別にあるということですね!」
P(よくぞ! よくぞ気づいてくれた! そうだ、他にあるんだ! 俺の誕生日というものが!)
早苗「うーん、なんだろうか……あら、もう時間が」
P「え、あ、確かに。今日三人には『セクシーギルティ』として一日仕事がつまってるから、スケジュールをざっと確認していきましょう」
P「あれから仕事の話しかできなくて俺の誕生日話どころじゃなかったな」ユラー
P「ああ、誰か気付いてお・く・れっ!」ペガサス流星拳のポーズ
瑞樹「おはようございまーす」
P「お、瑞樹さんおはようございます」
瑞樹「んん~? なんかあった?」
P「え? な、何でですか?」
瑞樹「プロデューサー君はすぐ顔に出るからわかりやすいのよ」
P「そ、そんな顔になってました?」
瑞樹「ええ、すごく」
P「ええー……ちょっと恥ずかしい」
瑞樹「で、何があったの? お姉さんでよければ聞くわよ」
P「いやあ、そのお、今日が何の日かわかりますか?」
瑞樹「今日? ……今日? 何かあったかしら?」
P「ああいやいやいや、いいんです……わからなければ別に……あはは、そんなすごいことでもないですからね」
瑞樹「そんな風には見えないけど……」
P「いやいや、本当に! 俺一人が嬉しいことだってだけですから。他の人がわからなくてもしょうがないです!」
瑞樹「うーん」
P「あんまり気にしないでください」
巴「おはようございます!」
瑞樹「おはよう巴ちゃん」
P「おはよう」
巴「どうしたんじゃP? ちぃと元気がないように見えるが」
P「いやいや、何でもない。大丈夫だ!」
巴「瑞樹の姉御は何か知ってかの?」
瑞樹「それがわからないのよ。何か今日あるらしいんだけど」
巴「今日?」
P(今日は俺の誕生日……だが)
巴「何か特別……あ」
P「……!? 何か、心当たりが?」
巴「ああいや、いやいや、わしの気のせいじゃったんじゃ。気にせんでくれえ」
P(やっぱり、無理か)
巴「今日が何の日か教えてくれえP」
P「いや、うん。普通、普通の日だよ?」
巴「なんもなくてそげな顔はせん……ちぃとPのでぶちん触るぞ」
P「そんな! ひどい! 俺がデブだからってその言い方は!」
巴「ちちち、違う! でこを触るって意味じゃ!」
P「え、ああそうなの?」
巴「全く……うーん熱はなさそうじゃな」
瑞樹「風邪ではないみたいね」
桃華「失礼しますわ、な、何をしてますの!?」
P「お、おう! おはよう桃華」
巴「おう桃華。いや、ちぃとばかしPの熱をはかっとったんじゃ」
瑞樹「おはよう桃華ちゃん。まあ風邪ではないみたいなんだけど」
桃華「そ、そうでしたの。Pちゃま、体調が悪いのですか?」
P「いやいやいや、そんなことはないよ」
桃華「ですが、あまり顔色がよろしくないように見えますが」
瑞樹「桃華ちゃん、今日が何の日かわかる?」
桃華「今日ですの?」
巴「なんかそれに関係するらしいんじゃが」
桃華「今日……今日……」
P(もしかしたら桃華なら……)
桃華「すみません。心当たりがありませんわ」
P「そ、そうか! まあ心当たりがないならしかたがないなあ」
桃華「本当にすみません……そうですわ!」
P「ど、どうしたんだ?」
桃華「今日はとてもいい紅茶の茶葉を持ってきましたの。疲れによく効いてリラックスできますわ。ささ、今から淹れてまいりますから少々お待ちになってくださいね」
P「うう、すまんな心配かけてしまって」
桃華「お気になさらずに、いつもPちゃまにはお世話になっているんですもの。これくらいはさせてくださいな」
P「うう、俺の目が浸水してきた」
瑞樹「桃華ちゃん、私も手伝うわ」
巴「うちも手伝うけえ」
P「あのあと、桃華の淹れてくれた紅茶を飲みながら四人で談笑して三人はユニット『プリティギルティ』の仕事に出かけて行った」
P「誕生日のお祝いはなかったけど、こういう小さなことが幸せなのかもしれないと思うといいな」
P「……でもやっぱり祝われたい!! あと落ち込むの良くないな。元気にいこう元気に!」
P「むしろ俺の誕生日ってアピールした方がいいのではないか!」スペシャルファイティングポーズ
ライラ「おはようございますですよ」
P「お、ライラさんおはよう!」
ライラ「今日はいつも以上に元気なのですね。何かありましたか?」
P「おう実は」
P(ちょっと待て、よくよく考えたら自分から誕生日だって言うの恥ずかしすぎないか?)
ライラ「……? プロデューサー殿どうしましたか?」
P(……よし、誤魔化そう)
P「実はアイスのあたりを引いたんだ!」
ライラ「おお! それはすごいでございますです! ライラさんも見たいです!」
P「あぐっ、ご、ごめんな。もの欲しそうに見ていた子にあげてしまったんだ」
ライラ「……そう、なのですか。それではしかたないでございますですね」
P(うう、ご、ごめんよライラさん。そんな悲しそうな顔しないでくれ)
P「あ! そそ、そうだ! この間のライラさんの誕生日に約束したどこかに食べに行くってやつ、アイス食べ放題のいい店見つけたからスケジュールを合わせて行こう! な!」
ライラ「本当でございますですか? それは楽しみですよ」
イヴ「おはようございまーす!」
P「おう、おはよう!」
ライラ「おはようございますです」
イヴ「あら? 私も早く来たと思ったんですが、ライラさんが一番でしたか」
ライラ「そうでございますですよ」
イヴ「んん~? おやおや、ライラさん何か嬉しいことでもありましたか?」
ライラ「はい、プロデューサー殿がアイスの食べ放題に連れて行ってくれるって約束してくれたのでございますですよ」
イヴ「それは良かったですね! ところで」
P「お前は連れて行かないぞ」
イヴ「ひどい!」
P「これはライラさんへの誕生日プレゼントだからな」
イヴ「いいじゃないですかー。ついでですよついで!」
P「ダーメ」
イヴ「うう、ライラさん、私、仲間外れなんですか!!」
ライラ「プロデューサー殿……」
P「ぐぐぐ、そんな目で……わかった! わかったよ! ライラさんに免じて連れて行くよ」
イヴ「さすがプロデューサー!」
ライラ「ありがとうございますです」
P「こうなったらもう一人も連れて行かないとな」
菲菲「おはようございますー!」
P「お、噂をすればだな。おはようフェイフェイ」
ライラ「おはようございますです」
イヴ「おはようございまーす!」
菲菲「お、みんなもういたのネ。フェイフェイが一番最後カ」
P「おう、仕事の話の前に、さっき決まったんだが、ライラさんの誕生日プレゼントでアイス食べ放題に行くことになったんだがフェイフェイも一緒にどうだ?」
菲菲「おお、それは素敵なお誘いネ! ぜひご一緒させていただくヨ!」
P「よし、決まりだな。スケジュールを調整したら連絡するから」
ライラ「よろしくお願いしますです」
P「さてっと、これからは仕事の話だ。今日は三人のユニット『入国ギルティ』での仕事なんだが――――」
P「ふぅ、三人は元気よく仕事に向かっていった……俺の誕生日に気付いた様子もなく」
P「でもよく考えてみたら俺誰かに誕生日話したことあったっけ? 酒飲んだ場ではある気がする……そう考えるとあの三人には伝えたことなかった気がする。そりゃわからんよな」
P「……もういいか。俺もアラサー。人に祝われる時代は終わったんだ……」
P「19時……もうこんな時間か。みんな直帰だし、これから来る奴もいないし、今日くらいは残業は抑え目で帰るか」
P「はあ~、目を閉じて……この目を開けた時、幸せがやってこないかなあ……」
スマホ <ボクガスキナノハコドモ~ママハダメヨトイウケド
P「ふわあ! やべやべ。マナーモードにしてなかったわ。社会的に死んじゃうところだったぜ……お、美波からだ」ポチッ
P「もしもしPです」
美波「あ、兄さん? 今仕事大丈夫?」
P「ああうん、今日はそろそろ終わりにしようと思ってたから」
美波「そうなの? よかった~。今日は気合入れて夕飯作るから、寄り道しないで帰ってきてね!」
P「え? ああうん。わかったー」
美波「じゃ! 気を付けて帰ってきてね」プープー
P「……これ美波絶対覚えてるやつだわ……お兄ちゃんうれぴー」
P「ああやばい。瞬きしたら仕事終わってたわ。嬉しさのあまり時間が消し飛んだわ。もう最寄駅降りてたわ」
P「気付けば家の前だわ。気合入れて買ったマイホームだわ。美波いなかったら寂しさで死んでしまうほど大きい家だわ」
P「たっだいまー! 帰ってきたよ~! リビングに突撃~!」
P「ただいま!」ガチャ
パーンパーンパパーン
P「うぉ!」
美波「兄さん」
「誕生日おめでとー!」
P「え、え?」
早苗「おめでとうP君!」
裕子「おめでとうございますプロデューサー!」
雫「おめでとうございます~」
瑞樹「おめでとう!」
巴「おめでとうP!」
桃華「おめでとうございますPちゃま!」
ライラ「おめでとうございますです」
イヴ「ハッピバースデーです~!」
菲菲「おめでとダヨ~!」
P「お、お前ら何で?」
早苗「プロデューサー君の誕生日を忘れるわけないじゃない」
裕子「サプライズというやつですよプロデューサー!」
雫「危うくおめでとうと言ってしまうところでした~」
瑞樹「それにしても落ち込みすぎよ」
巴「そうじゃ。心が痛かったわ」
桃華「本当ですわ。罪悪感でいっぱいになってしまいましたわ」
ライラ「プロデューサー殿にはいっぱいお世話になっていますから元気でいてもらいたいですねー」
イヴ「まだまだ元気でいてください!」
菲菲「アイドルは笑顔が大事言ってたけど、それはプロデューサーも同じネ!」
美波「みんな、兄さんに感謝してるし、大好きなんですよ。だから、これからも元気でいて、私たちと一緒に歩いてください」
P「う、うう、おま、お前ら!! ちくしょう……俺はなんて恵まれてるんだ、ちく、ちくしょう、涙腺とプリトヴィツェ湖群国立公園のパスが繋がって水が止まらねえ……」
美波「さあ、兄さん。ケーキや兄さんの好物を用意しましたから、手を洗って来てください」
P「ああ、ああ! 待ってろ! すぐ用意していくから! みんな、みんな大好きだ!!」
P「……大好き、だ……は!」
時計 < 19:30やぞ!
P「ゆ、め? あは、あははは。そうか。夢か……そういえばスマホの着信音おかしかったしな」
スマホ < ブーンブーン
P「あ、普通にマナーモードだわ。もしもし」
美波「あ、兄さんですか?」
P「そうだよ。愛しのお兄様だよ」
美波「何言ってるんですか?」
P「ごめん。なんかあったか?」
美波「いえ、今日の予定はと思って」
P「え? あー、今から帰ろうと思ってます」
美波「そうですか! よかった。ささやかながら兄さんの誕生日パーティーの用意をして待ってますから! 寄り道しないで帰ってきてくださいね!」
P「え? マジで? 覚えてたの?」
美波「当たり前じゃないですか。"愛しのお兄様の誕生日"なんですから!」
P「……」
美波「……ちょっと反応してくれないと恥ずかしいじゃないですか~!」
P「美波」
美波「はい?」
P「愛してるぞ! 光速で帰る!」
美波「え、あはい。気を付けて帰ってくださいね!」プツプープー
P「……持つべきは兄想いの優しい妹だ……あんな夢のあとだったから殊更お兄ちゃんうれぴー」
P「そして帰り道は消し飛んだ」
P「……夢、じゃないよな」ホホツネリー
P「痛い。今度は夢じゃない!」
P「ただいま&リビング突撃!」バーン
パンパンパパーン
「誕生日おめでとう!!」
終わり
盛大に祝われると思ったけど、そんなことはなかった28歳の誕生日。
しかし28歳ということは、実質俺は川島瑞樹さんなんじゃなかろうか。
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