【シンフォギア】少女「転生したから安価とコンマで月を破壊する」 女神「戦」 (1000)

このスレは「戦姫絶唱シンフォギアAXZ」第一話まで見ていた少女『蒼井翠』ちゃんが「戦姫絶唱シンフォギア」の世界に転生して、月を破壊する為に頑張ったスレです
ちなみにスレ内の時間軸はまだAXZまで行ってませんので悪しからず
タイトルの『戦』は五期が来る前にタイトルの後ろに付くやつ使い切った上『しない』だと何か変な感じがしたからで、特に意味はありません
アニメの無印、G、GX、AXZ、スマホゲームのXDのネタバレを含みます

1スレ目
【シンフォギア】少女「転生したから安価とコンマで月を破壊する」 - SSまとめ速報
(https://ex14.vip2ch.com/i/read/news4ssnip/1499084737/)

2スレ目
【シンフォギア】少女「転生したから安価とコンマで月を破壊する」 女神「G」 - SSまとめ速報
(https://ex14.vip2ch.com/i/read/news4ssnip/1500550444/)

3スレ目
【シンフォギア】少女「転生したから安価とコンマで月を破壊する」 女神「GX」 - SSまとめ速報
(https://ex14.vip2ch.com/i/read/news4ssnip/1502896751/)

4スレ目
【シンフォギア】少女「転生したから安価とコンマで月を破壊する」 女神「3.5」 - SSまとめ速報
(https://ex14.vip2ch.com/i/read/news4ssnip/1505577039/)

5スレ目
【シンフォギア】少女「転生したから安価とコンマで月を破壊する」 女神「AXZ」 - SSまとめ速報
(https://ex14.vip2ch.com/i/read/news4ssnip/1508511802/)

6スレ目
【シンフォギア】少女「転生したから安価とコンマで月を破壊する」 女神「XD」 - SSまとめ速報
(https://ex14.vip2ch.com/i/read/news4ssnip/1513177414/)

SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1518704588

・・・

結局昨日の夜はあの後響さんと別れ、ちゃちゃっと夕飯と入浴を済ませて寝てしまいました
そして現在

『凜音』「明日から夏休みですね」

夢姫「つまり今日沢山宿題が出される、ということですわ」

夏菜「問題集とか先に渡しておいてもらえたものしか終わってないです」

翠「夏休みの宿題なのに夏休み前に手をつけるという」

他人事のように言いましたが実は私もちょっと進めてたり...いや!任務とかあって忙しくなりますから!やる時間が取れないかもしれないからですよ!ほらキャロルちゃん陣営も出て来ましたし!


何か話す?安価下

『凜音』「まぁ宿題のことは置いておいて...折角ですし、今度は浅井さんも一緒にカラオケ行きませんか?」

夏菜「私も...?」

翠「おぉ、それはいいですね」

夏菜さんと知り合ってそれなりに経ちますし、折角長い休みも始まることですし

夢姫「そういえば夏菜さんとカラオケって行ったことありませんでしたわね」

冬休みとか春休みとかあったのによく考えたらそもそもカラオケ自体しばらく行ってません
最後に行ったのは...あぁ、マリアさん達と鉢合わせたときですね

夏菜「カラオケですか...行ったことないかもしれません。が、誘ってもらったからには...!」

AI『気合十分ですねマスター』

日にちは後で決めるとして、今度は誰とも鉢合わせないことを祈りましょう


何か話す?安価下
(特になければ昼休みに飛びます)

・・・

今日は1時間目からずっとどっさりと宿題を出されてしまいました...
しかも自由研究って...いえ、三年生は強制ではないんですけど、文化祭で展示すると言われるとそれはもう半強制みたいなものです

夏菜「自由研究...自由研究...」

翠「夏菜さん、学会で発表するようなガチな内容はやめておいた方がいいと思いますよ」

夏菜「翠さんこそ、マイクユニットの作り方とか書いちゃダメですよ」

夢姫「LiNKERの作り方とか」

『夏菜』「錬金術とか」

翠「書きませんよ」

お弁当箱を開け、ご飯を一口
何で女神様が炊くご飯は冷めても美味しく出来てるんでしょう...お米が違うんでしょうか...それともお水?


何か話す?安価下
(特になければ下校タイム)

(翠「今日は調さんの誕生日!お誕生日おめでとうございます、調さん!最初の時よりはちょっと仲良くなれました...よね?」)

シレっと『夏菜』ちゃん出て来て草
夏菜「私が言うのもどうかと思うんですが、翠さんが摸擬戦や実戦で当たり前のように地面を割ったりするようになっていくのを見てると
生身の人間の基準がおかしくなりそうですね・・・」

夢姫「お二人はいいですわ!わたくし達なんてお二人のように謎の技術力とか持ってませんもの!」

『凜音』「でも歌代さんこういう課題出た時以外とお金にモノを言わせたりしますよね」

翠「カダイだけに?」

『夏菜』「0点」

あ、そういえば昨日も夢姫ちゃんにイミテーターのこと聞かれましたし、先にそのことと銀色のギアについて釘刺しておきましょう

・・・

夢姫「99.9秒しか使えない...!ロマンがありますわっ!」

翠「使わないでくださいね!?」

夏菜「いいですね時間制限...私もどれかにそういうの付けましょうか」

『凜音』「危険な香りがプンプンします...!」

詳細が不明だと伝えても余計に興奮しています
なぜか『凜音』ちゃんも夏菜さんも
気持ちはわかりますけどね...

翠「と、とにかく銀色のギアについてはどんな能力なのかわかるまで使用厳禁!わかりましたか!」

夢姫「そうですわね、えぇ何かしらの事故でも起きない限り」

使う気満々じゃないですか
まぁ冗談だとは思いますけど...冗談ですよね?

『凜音』「あ~...『私』も何かギア欲しいです...」

夏菜「面白半分とか遊び感覚はやめた方がいいですよ」

初変身がノイズから響さんと女の子助けるためとはいえ、まぁまぁ面白半分とか遊び感覚で走者始めた私は何も言えず

『凜音』「でも『私』も力になりたいっていうのも本音ですよ」

翠「ならじゃあ一緒に鍛えm」

『凜音』「あ、それは遠慮します。生身で発勁とかしたいわけではないので」

即答...

夏菜「私が言うのもどうかと思うんですが、翠さんが模擬戦や実戦で当たり前のように地面を割ったりするようになっていくのを見てると、生身の人間の基準がおかしくなりそうですよね...」

翠「えっ私まだ生身の人間レベルですよね?」

夏菜「生身の人間が地面割ったりしないから基準おかしくなるっていう話なんですが」

...あれ?いつの間にか私の基準がおかしくなってます?

夢姫「司令さんに稽古してもらってる翠さんと響さんは多分そのうち海とか割れるようになると思ってますわ」

『凜音』「空とか飛べそうですよね」

夏菜「水の上走ったり」

翠「あ、最後のは緒川さんが生身で出来ますよ」

夏菜「え...」


何か話す?安価下
(特になければ下校タイム)

下校タイム

お弁当を食べ終え麦茶を口に含みました
あとはデザート...今日はみかんゼリー
キンキンに冷えてるのも美味しいですが、こんな風に常温のゼリーも乙なものです

夢姫「特訓といえば、夏菜さんは他の奏者の方と特訓したりしませんの?模擬戦とか」

翠「そういえばそういう特訓夏菜さんとしたことないですね」

夢姫ちゃんは別として、模擬戦の時はいつも夏菜さん審判や計測の方に回ってしまいますし

夏菜「えっと...私の場合フライユニットとこのAI無しだと大敗不可避ですし、有りでも勝てるかどうかすら怪しいくらいなので」

『凜音』「えっでも強いですよね?」

夏菜「対人戦とか対奏者戦は苦手というか...試運転の時なんて奏者+司令さん相手で本気で死ぬかと思いましたし」

AI『つまり私が居てこそという』

夏菜「そこまでは言ってません」

夏菜さんその感じだと錬金術師やオートスコアラーの相手も危ないんじゃ...

翠「それならなおさら特訓した方が」

夏菜「私は技術力で勝負します」

特訓する気0ですかこの人は

・・・

「明日から夏休みです。進学を考えている人も、そうでない人も、それぞれ目標を持って有意義な夏休みを過ごしてくださいね~」

という先生の有難い?お言葉を貰い、夏休み前最後の学校が終わりました
取り留めのない話をしつつ本部に帰ると

『凜音』「...あの大荷物持ってるの、立花さんですよね?」

夢姫「未来さんもいますわ」

...何でしょうあれ
引っ越し...というほどの量ではありませんが
旅行?遂にずっと保留にしてしまっていた未来さん渡米に返事を?

弦十郎「行くのか」

響「はい...私だけの歌を、見つけてきます」

未来「響のことは私がちゃんと見てますので」

弦十郎「そうか、くれぐれも体調には気をつけるんだぞ、響くんも未来くんも」

あ、本当にどこかへ行く感じですね

翠「あの...響さん?未来さん?」

響「あ、おかえり翠ちゃん...行ってくるね」

その前に説明をしてください
目的地とかそういうのを!

未来「響がね?翠ちゃんとエルフナインちゃんが作ってくれた探知機を使ってガングニールの欠片を探す旅に出るっていうから」

夏菜「た、旅!?」

そ、そう来ましたか...

響「でも私じゃギアに加工は出来ないから、見つけたらすぐに戻ってくるよ」

未来「学校に説明するの大変だったよ...せめてあと一週間待てないのかって」

そりゃそうでしょう、高校はあと一週間で夏休みというタイミングですし

響「でもそれじゃ遅いから」


どうする?安価下
1 見送り
2 何か渡しておく(テレポートジェム等)
3 その他(記述)

翠「...でも、アルカノイズの対策はおろかキャロル一派の壊滅もしていないのに旅なんて危険過ぎます」

せめて未来さんの神獣鏡にバリアコーティングとイグナイトモジュールを搭載させてからの方が...やはりエルフナインちゃんを引っ張ってでもイグナイトの話をしてもらって作業を先にやってもらった方がよかったでしょうか

響「わかってる...それでも私は行くよ。何もしないなんて出来ないから」

この主人公折れません
未来さんまで止める側ではなく付いて行く側に行かれたらもう...

夢姫「翠さん...」

翠「...なら、コレをお二人に渡しておきます」

私は響さんと未来さんにそれぞれ1つずつテレポートジェムを渡しました

響「コレってキャロルちゃんも使ってた...」

翠「コレを使えば安全な位置まで移動出来ます。いいですか?今の響さんは敵に対抗出来る手段がありません。未来さんの神獣鏡も分解されたら終わりです。危険だと思ったらすぐに未来さんと逃げてください!絶対ですよ!?」

未来「うん、その時は引っ叩いてでも響を連れ帰ってくるよ」

響「ありがとう、翠ちゃん」

翠「あくまで非常用として渡しますが...エルフナインちゃんによると、コレも低確率とはいえ転送時の座標のズレのせいで位相差へ迷い込む危険性もあるので、出来るなら座標固定された場所...動かず障害物が絶対に入り込まないような場所を思い浮かべて使うようにしてください」

これでもかなり心配です...GPSでも付けてしまいましょうか
でもそんなことしたら未来さんに一瞬で見つけられて壊されそうな気もします

夏菜「それの作り方後で教えてもらえませんか」

翠「後にしてください」

・・・

響「それじゃあ早速!ガングニール探知機起動っ!!」

響さんが探知機のスイッチを入れると、早速レーダーに反応が

響「っ!!!行ってきますっ!」

未来「あっ響待って!もう...行ってきます!」

弦十郎「達者でな!」

『凜音』「行ってらっしゃ~い」

夏菜「青春ですね」

夢姫「アオハルかよ、ですわね」

翠「あれがそう見えますか」

ガングニール探してる最中にミカさんの襲撃とかに合わないといいんですけど


どうする?安価下

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・・・

不安残る中、響さん達が旅立つのを見送った後自室へ向かって鞄を置き着替えました
まさかの主人公旅立ちとか...どこまでも届く腕を探しに行くなんてどこのイケメンで強い助け合いの人ですか
あ、響さん割りとまんまですね

翠「未来さんがいるから大丈夫だとは思いますけど...」

ただ未来さんも先頭に長けた奏者というわけでもないですからね...神獣鏡の特性上『最弱の聖遺物』故に留守番が多かったですし
悪い知らせが来ないことを祈ります...

翠「アスクレピオスはともかく、フォークを使うことにはならぬよう」

っと、エルフナインちゃんから通信ですか

・・・

エルフナインちゃんに呼ばれ、ガリィさんの修復作業をしている部屋に来ました

エルフナイン「ガリィの調整の目処が立ちました。明日の朝には形に出来そうです」

翠「早っ」

まさか本当に1日2日のペースで修理してしまうとは...

エルフナイン「ただ完全には回復出来そうにありませんが...それと、なるべく危険なシステムは取り除く形にしています」

翠「なるほど」

一応ガリィさんは敵ですしね
目が覚めた瞬間凍らされてパリンとかされたら洒落になりません

エルフナイン「そうしたら改めて、キャロル達の対策を本格化しないと」

翠「あっ、そのことについて一つ」

学校の昼休み、エルフナインちゃんが対策の為にダインスレイフの欠片を何かしらに使うのでは、と半ばカンニング的な意見を出した時、夏菜さんに伝えてほしいと言われたことがありました

・・・

エルフナイン「そうですか...やっぱり夏菜さんも造られた存在...それに、半分が機械化されているとなるとどの程度影響するのか...櫻井理論とは別のアプローチで再現した擬似シンフォギアもどのような仕組みなのかわからないことには...」

夏菜さんの半分がサイボーグ化...というか機械化していることを伝えると、エルフナインちゃんがどんどんとギア強化を考える研究者としての顔になりぶつぶつと呟きながら脳を働かせ始めてしまいました
私としても「機械化している部分は通常ギアでも耐えられないのでイグナイトに耐えられない可能性がある」ということに考えが繋がるようそれとなく話したつもりですが、伝わったでしょうか
あとこの辺の会話もキャロルちゃんに伝わってる可能性があるんですよね...


どうする?安価下
(なおキャロルちゃんには伝わってません)

・・・

ししょーの招集により響さん未来さんを除く奏者全員が司令室に集められました
あ、エルフナインちゃんもいます

弦十郎「実は、緒川から気になるものを発見したと連絡を受けてな」

藤尭「画像、出します」

モニターに映し出されたのは仰向けで倒れこむ少女...いや、あれは

エルフナイン「ミカ!?」

夏菜「オートスコアラー...ですか」

緒川『どうやら関節や急所を的確に破壊されているようです。動き出す様子はありません』

ガリィさんの不調はネロさんの祟りとして、こっちはまるでわかりません

翠「さっき出発した未来さんが...?」

弦十郎「いや、アウフヴァッヘン波形は出ていない。その可能性は低いだろう」

友里「カルマノイズや武者ノイズの可能性もありますが、今のところは」

しかしいくらノイズでもオートスコアラーを圧倒出来るとは...あり得なくはないでしょうが

弦十郎「あるいは俺達が知らない奏者か...」

そのとき、私のスマホのバイブ機能が
未来さんから電話?

翠「すみませんちょっと未来さんから...」

ちょうどいいですね、聞いてみましょうか

翠「もしもし」

未来『...響を見失ってしまいました。どうしよう?』

翠「さっきの今で!?」

えっ旅始めてまだ数十分ですよ!?
っと、さらに着信...今度は響さんですか

翠「噂をすれば...響さんから着信来たので一旦切りますね」

で、響さんに応答を

翠「もしもし」

響『未来とはぐれて迷子になりました。ここは何処?』

翠「でしょうね!さっき未来さんからも連絡来ましたよ!何か場所がわかるものが近くに...」

待ってください
耳を澄ませると、響さんの声の他に何か...
弦楽器の音...三味線?それに...


『なんくるないさー』


翠「はぁ!?今沖縄?沖縄なんですか!?」

この短時間で沖縄なんてそれこそ瞬間移動でもしない限り

翠「さてはテレポートジェム間違って使いましたね!?」

響『あっえっと』

翠「今から迎えに行きますから絶対にそこを動かないでください!絶対にですよ!?」

通話を切りテレポートジェムを使おうとして

翠「いや沖縄で安全なところ...人があんまりいなくて動かない...空っ!ししょー神獣鏡をっ!」

弦十郎「わ、わかった!」

ししょーが胸ポッケから取り出した神獣鏡を受け取った私は


「Duplicate shen shou jing duplicate tron」


ギアを纏い

翠「透明化!いざ行かん沖縄っ!」

ネロ「あ、翠さん」

パリンッ

突然空に人が、なんてことにならないよう透明化してから沖縄に向けて転移しました
上手く行きますよね...?


☆☆☆

で~れれ~で~でん!

☆☆☆


ネロ「行ってしまいました...バビロニアの宝物庫の中を通った方が手間は少ないと思ったのですが」

まぁ私以外はノイズ達の標的になり得るのでどちらの方が安全かはわかりませんが


☆☆☆

で~れれ~で~でん!

☆☆☆


思わず未来さんに連絡するのも忘れて沖縄に来てしまいました...

翠「どの辺が...あの辺でいいでしょうか」

割と広めの場所に降りましょう


コンマ下
奇数 ???
偶数 特になし
ゾロ目 カルマノイズ

・・・

人目がつかないところでギアを解除し、一応未来さんに連絡を入れてから響さん捜索を開始しました
三味線と沖縄の方言が聞こえたとはいえ、沖縄のどこでもそれが聞けるとも思えません
よく知りませんが
いくら沖縄でも県民がみんなして三味線をいたるところで弾き鳴らし事あるごとに『なんくるないさー』と言っているというわけではないでしょう
よく知りませんが
いくら名産で美味しくてもサトウキビとかサーターアンダギーをそんな毎日毎日食べてたりするとも思えません
よく知りませんが
そういえば『なんくるないさー』って別に『まぁ何とかなるさー』的な意味ではないらしいですね、うん、今関係ないですね

翠「いわゆるザ・沖縄って感じの音が聞こえていたということは、それなりの観光地かあるいは...」

でも沖縄観光地多そうです...

翠「よし、片っ端から探してみますか」


コンマ下1~3の合計値の一桁判定
0~5 見つけた
6~9 見つからない
(つまり下1~3のコンマの合計が10なら0、123なら3といった感じです)

・・・

響「あっ!翠ちゃ~ん!こっちこっち~!」

翠「ぜぇ...ぜぇ...はぁ...はぁ...っぷ」

や、やっと見つけました...観光客に混ざって響さん一人を探すとか...こんなに探すのに疲れたのミッケ以来かもしれません
いや、広いし動く分ミッケの何倍も大変でしたが

響「大丈夫?アイスクリーム食べる?シークワーサー味だって」

翠「何観光してるんですか...」

えぇ、こんなに探させられたんです、一口もらいますよ

・・・

未来さんや本部に響さん無事発見の趣旨を伝えました
後は帰るだけなんですが...

翠「またギアで飛んで帰るにしても、響さんは透明になれませんし」

大人しく本部兼潜水艦が来てくれるのを待ちましょう
こういう時家が国家公認の潜水艦だと便利ですね

響「お土産買い過ぎたかな」

翠「ねぇ本当何しにここに来たんですか?」


コンマ下
奇数 ガングニールの欠片はすでに見つけたっ!!
偶数 欠片まだ見つけてないっ!!(ライブ会場にまだ行ってない)
ゾロ目 そんなことより敵ですよ!

・・・

大荷物のこともあり観光客だと思われた私達は、迎えに来る予定の緒川さんとの待ち合わせ場所に行くまでにいくつものお店で試食を貰いました
その大半は響さんが目で「食べたい」と訴えていたからでしょうけど
でもまぁ、ここまで元気になったのは良いことですよね

翠「ところで、ガングニールの欠片は見つけたんですか?」

響「まだだよ」

翠「...まだ見つけてないのに沖縄に来て、その上観光」

響「...ごめんなさい」

翠「...正座ァッ!!!!」

・・・

未来「響っ!!」

響「わっとっと...ごめん未来、心配かけちゃったね」

未来「本当よ!馬鹿馬鹿馬鹿!」

本部に着き、待ち構えていた未来さんと抱き合う響さん
ここだけ見ると感動的なシーンっぽいんですけど

切歌「旅に出て速攻帰ってきてるデス」

調「お土産いっぱいある」

翼「立花は何をしに旅に出たんだか...」

いやもう、本当ですよ


どうする?安価下
(ここに来るまでの間にミカさん回収済み)

・・・

その日、そのまま響さんと未来さんの旅は一旦打ち止めにし、今後の響さんについてのプチ会議をすることに
議題は『このまま再び旅に行かせていいのか』です

切歌「でもでも、『可愛い子には旅をさせよ』っていう言葉もあるデスよ?」

マリア「切歌、それはそういう意味ではないわ」

ナスターシャ「教育がなっていなくて申し訳ありません」

切歌「ガガーン!?」

調「どんまい切ちゃん」

切歌さんはとりあえず置いておきましょう

翼「だが、大人数でここを離れるわけにも行かないだろう。いつまた錬金術師ないしカルマノイズが現れるかわからん」

クリス「てかこの潜水艦ごと移動するんじゃダメなのかよ」

弦十郎「特別な理由がない限り、そう簡単には動かせんさ。何せこれでも国家直轄だからな」

つまりさっきのお迎えは無理を言ってしまっていたんですね...

響「ごめんなさい...」

未来「響...」

夏菜「そもそも、レーダーの反応はどこを示してるんですか?」

響「えっと...一番近いのは、ここ」

響さんが会議室のテーブルに置いた探知機をみんなで覗き込みます
それほど大きくない探知機なので見えにくいですが...

エルフナイン「つまり、ここですね」

エルフナインちゃんがより大きな地図をモニターに映し出し、探知機のレーダーが反応している場所を示してくれました

翼「ここは...!」

弦十郎「ライブ会場...だとぉ!?」

ガングニールの欠片があると反応している場所、それは

『三年前、ツヴァイウイングのライブが行われたライブ会場』

シンフォギア始まりの地とも言える、例の大災害の跡地でした


どうする?安価下
(特になければ次の日に飛び、ガリィさん再起動実験です)

三年前のツヴァイウィングのライブ

死者、行方不明者の総数が12874人にのぼる大惨事が起こった一件であり、シンフォギアを嗜む視聴者...適合者なら誰もが知っている悲劇
そこで奏者天羽奏さんが殉職し、事前情報にあった奏さん翼さんのW主人公っぽいキービジュアルを一話で塗り替えるというここ最近では時々取られる手法の結果主人公となった立花響さんが力を手に入れてしまうという...まぁ、つまり一話のあれです
私とて適合者(=視聴者)の端くれ、それこそここまで登場人物の皆さんと知り合うようなところまで来ていなければ聖地巡礼の一環になっていたかもしれませんが...

響「...」

未来「...」

翼「...」

弦十郎「...」

緒川「...」

友里「...」

藤尭「...」

『翠』《...》

流石にこんな雰囲気の中そんな能天気なこと考えられるほど薄情な人間になったつもりはありません
クリスさんやF.I.S.組や夏菜さんやネロさん、エルフナインちゃん的にはそれほど関係ないかもしれませんが、元S.O.N.G.組と言いますか、俯いてる皆さん的には奏さんのことについて思うことはあるでしょうし
響さんはその一件でいじめられたり父親が出て行ったり、未来さんは響さんをライブに誘ったことを悔やんでいたり
『翠』は...えぇ、まぁ、家族友人を失った一件ですからね

弦十郎「あー...とにかく、だ。今日はもうじき暗くなる。やるにしても決行は明日だ。いいな?」

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・・・

解散の後、私は部屋に戻ってきていました
というのも、あのライブ会場跡地にガングニールの欠片があることについて奏さんやフィーネさんなら何か知っているかもしれないと思ったからです
しかし奏さんとフィーネさんも被害者と加害者の関係ですから、いくらもう気にしていないと言っていたとはいえ...それに、私の中で話をするにしてもあそこには『翠』もいますし...

『翠』《...いいよ、『私』のことは気にしないで話してて》

翠《でも...》

『翠』《何も思わないわけじゃないけど...復讐までやった上でまだうだうだ言うつもりはないよ。ただ、ちょっとだけ交代させて...一人にさせておいてもらえると嬉しい》

翠《...えぇ、わかりました》

私はベッドに横になり、『翠』と交代するように深層世界へ向かいました

・・・

フィーネ「それで私まで呼ばれたわけね」

奏「何かわかんねぇか?了子さん」

ちゃぶ台を囲むように座る私達3人
関係のない翔子さんとセレナさんは離れたところにいます...翔子さん本当に関係ないんでしょうね?

フィーネ「ふむ、まぁ普通に考えれば...あの日立花響が砕けたガングニールのギアの破片を胸に受けた時、後ろにあった瓦礫にも他の破片が飛んでいた、といったところだろう」

奏「やっぱりそうか...」

フィーネ「普通ならギアが解除された時に破損時に飛び散った破片も全てエネルギーと変換されギアのマイクユニット内に収束されるはずだが...立花響の胸に変わらず存在していたことからも、非解除状態での奏者の消滅の場合は変換されずに形を留めていることがわかる。とはいえ絶唱の負荷も相まってそのギア『だった物』のほとんどは聖遺物とも呼べぬほどに砕け散りただの『物』となっていると思うが...それなりの大きさのままの破片が残っていた、ということだろう」

つまりは、奏さんのギアの欠片が一話の時の響さんの後ろにあった瓦礫の中にある可能性が高い、ということですね

奏「つかあの後そういうのの捜索とかしなかったのか」

フィーネ「瓦礫も大きい、下手に動かせば連鎖的に崩れて二次被害、それこそ発掘チームか奏者に協力を仰ぐか、爆破解体でもしない限り...欠片が残されている可能性はもちろん私も考えていたわ。でも爆破だと破片がさらに砕けるし、翼ちゃn...風鳴翼の心の傷のこともあって「ギアを纏って遺品を探せ」なんて当時言える筈もなかったわ」

奏「...そうかい」


何か話す?安価下
(特になければ寝て次の日に行きます)
(明日から土日...そこでガングニールの欠片を無事に見つけるとわざわざ学校の先生を説得して行くことにした旅が土日で終わることに...恥ずかしっ)

・・・

話を終えてフィーネさんは帰り、私も『翠』と交代して就寝
そして朝が来ました

弦十郎「朝食を取りながらでも構わない。昨日の件について色々と決めようと思ってな」

食堂に集められた私達奏者その他いつものメンバーは思い思いの朝食に手をつけながらししょーの話を聞きます

弦十郎「まず響くんの旅...もとい、ガングニールの欠片捜索についてだが」

そう切り出すと、翼さんが挙手しました

翼「私も同行させてください...私にとってもあの場所は忘れられない場所だから」

響「翼さん...」

弦十郎「...そうか」

未来「...私は、いいと思います。響は?」

響「も、もちろん私も反対意見なんてないよっ!」

翼「小日向、立花、ありがとう」

捜索チームはあの三人になりそうですね

エルフナイン「ガリィの修復も終わった今、その起動を誰かに手伝ってもらいたいのですが」

弦十郎「もう一体のオートスコアラーのこともある。護衛の為にも...そうだな、翠くん、立ち会いを頼めるか」

翠「私ですか?わかりました」

・・・

響さん達は今頃ライブ会場跡地で欠片探しでしょうか
私は私でイミテーター・イチイバルフォームになって二体のオートスコアラーのこめかみに銃を突きつけてます
何故こうなったのか
何でもいきなり襲いかかったりしてきてもヘッドショットなりなんなりの対処出来るように、らしいです
ちなみに昨日はエージェントの人達がやってくれていたとか
いやこれ護衛の仕事じゃないですって

エルフナイン「ミカの修復はしていませんので、起きるとしてもガリィだけだと思いますが、よろしくお願いします」

翠「は~い」

まぁどちらにせよイミテーターはバリアコーティングがすでにしてあることもわかりましたし、下手に他のギアを纏って待機するよりは安全でしょう

エルフナイン「では、起動!」


目覚めたガリィの様子安価下
(すでに安価で書かれた『それまでの過負荷が祟り記憶を失い、思い出も採取できなくなっている』という内容に極力矛盾しないものをお願いします)
(あまりにも矛盾していると作者の技量が今以上に足りなさが目立ってしまいます)

まるで眠っているかのようにピクリとも動かなかったガリィさんの身体
エルフナインちゃんが起動ボタンを押すと、やがて目をゆっくりと開き

ガリィ「...ここは、何処、で...私は、誰?」

翠「...!?」

エルフナイン「あれ?」

ポケーっとした感じでそう言いながら銃を突きつけられているのもわからないのか僅かに首を傾げ、その目が私を捉えると

ガリィ「...貴女、私の、マスター、か?」

エルフナインちゃん、修理のところからやり直しません?

いや、デジャビュあると思ったらその後全然違う流れになりましたけど!?

エルフナイン「おかしいです...少しそのままで待っていてください」

タブレットとコンピューターのキーボードを両方使って忙しなく何かを調べ始めるエルフナインちゃん
そして

エルフナイン「どうやらこれまでの過負荷が祟り記録回路に致命的なダメージが...つまり、人間でいうところの記憶喪失になってしまったようで...」

翠「えぇ...」

エルフナイン「それから、記憶、人格共にリセットされた副作用か、再起動後最初に目に入った翠さんを自身のマスターと認識し登録したようです」

翠「カルガモですか...」

エルフナイン「インプリティング機能ですね。それからこの現象が発見された時の生き物はカルガモではなくハイイロガンです」


どうする?安価下

・・・

ガリィ「私の、マスター、は、貴女です。これからは、マスター、の、命令に、従います」

と言ってお辞儀するガリィさん
目覚めた瞬間はどこぞのサーバントのような喋り方でしたが、今はどちらかというと従順系というか...どこぞのhIEみたいです
いや、私はあくまでオーナーではなくマスターらしいですが

エルフナイン「隅の隅まで調べましたが、基本的にマスター登録した対象に危害を加えることはないという状態になっています。思い出採取機能というみなさんにとって危険な機能も取り除いてありますから、もう警戒する必要はないかと」

本当ですか...?
私の知っているガリィさんは性根が腐ってるガリィさんだけなのでそう言われても...

ガリィ「どうか、しましたか?」

本当誰ですかこれ

・・・

翠「では、マスター権限で...待機しててください」

ガリィ「了解、しました」

翠「...はぁ」

なんでまたこんな面倒なことに...
とにかくガリィさんのことは置いておき、今度は未だ目覚める様子のないミカさんの的確に破壊された傷をスキャン機能で調べてみることに


傷について何かわかった?安価下
(次々と増える敬語キャラ...)

・・・

エルフナイン「傷痕から判明したことは...」


『鋭い刃(剣と推測される)によって斬り裂かれている』

『錬金術特有のエネルギーによるダメージ痕』


大きく分けてこの2種類、あるいはこれらどちらも見られる箇所がありました
刃物による斬り傷はともかく、錬金術まで出てくるとなると...

翠「...キャロルちゃんのお仕置き、とかは」

エルフナイン「無くはないかもしれませんが...」

ですよね、そういう感じですよね
となると、いつかの火災現場にいた人工奏者...彼女に錬金術が関わっていた、という話
やはりあれに関係しているのでしょうか
それとも、四期の方の敵か...


どうする?安価下

・・・

起動する様子もないので、ミカさんは引き続き拘束、監視付きで保護することに
エルフナインちゃん、もしかしてまたガリィさんみたいに修復して再起動するつもりなんでしょうか
それでもいいんですが...

ガリィ「どうか、しましたか、マスター」

こちらを見て首を傾げながら感情のこもっていない機械のような喋り方をするガリィさん
敵キャラを従えるとかバリバリ俺TUEEEE系転生者みたいです
正直すごく面倒なことになってるんですが
いやまぁ、敵キャラがものすごく強くなってて倒せないとかよりはマシですけどね?

...ミカさんはこんな風にならなければ私の負担が増えずに済むんですけど

・・・

ガリィさんのまさかの記憶喪失のこともあり、エルフナインちゃんはもう一度ガリィさんの状態を見直すと言ってガリィさんを連れて行きました
一応ガリィさんには誰も傷付けないようにと命令をしておきました、効果あるかはわかりませんが

で、私は私で

翠「今日もよろしくお願いします!」

弦十郎「攻撃面の解析ということなら俺の出番だな」

普通は攻撃面こそ奏者に相手してもらうべきなんですけどね

銀色のギアの解析

今回は攻撃面を重点的にやります


どんな攻撃出来た?安価下

翠「時間制限99.9秒、目標はその時間を使い切る前に計測...行きます!」

イミテーターのギアペンダントを握り締め聖詠を口にします

翠「Stealer Imitator tron...モードチェンジ!」

黒と赤で形成されたギアの色が抜け、濁り気味のある銀色に変わっていきました
まずは何かしら攻撃を...

翠「はっ!」

弦十郎「むっ」

コンマ単位で無駄に出来ない今、考えるより先に動いた方が効率良くなるはずです
とりあえず片っ端からシンフォギアっぽい技をと思い響さん特有のガングニールを思い描いて蹴り出してみると

翠「おぉっ!?」

両脚にオレンジ色のアンカージャッキが出現し、それこそ響さんのように跳ね上がりました
これってまさか...

翠「せやっ!!」

弦十郎「ふんっ!」

やっぱりそうです
拳を握り突き出すとその腕の周りにオレンジ色のエネルギーが収束し響さんのガングニールの腕に近い形へと変化
腕をクロスしてその拳を受けたししょーの足元は僅かに抉れ、ししょーが踏ん張ったのがわかります

弦十郎「この力...この攻撃力...はあぁっ!」

翠「まだっ!」

響さんのガングニールが出来るなら!
ししょーの回し蹴りから身を守るためマリアさんのガングニールを思い浮かべると、出現したのは暗い赤色のエネルギーで形作られたマント
それで身を包んでもなお意識が持っていかれそうになる蹴りをどうにか受け止め、下から斬り上げるように

翠「奏さんガングニールっ!!」

弦十郎「下かっ!」

手刀を包み込む濃いオレンジ色のエネルギーで出来た槍
奏さんのアームドギア
しかしそれは避けられてしまいます

翠「なら次はっ...!?」

接近戦に向いているものをと思い切歌さんのイガリマ、調さんのシュルシャガナを思い浮かべますが、エネルギーの変動が感じられません

弦十郎「どうしたぁっ!」

翠「がはっ...」

一瞬の困惑が油断となり、ししょーの拳をもろに受け宙を舞ってしまいます
ですが、逆に言えば距離が取れました

翠「イチイ...バルはっ!」

腰に出現した小型ミサイルの数々
空中で素早く体勢を整えて発射します

弦十郎「はぁあっ!!」

翠「何で!?」

そしてその小型ミサイルを全て受け止めてご丁寧に勢いそのまま返してくししょー
いや何でそんなこと出来るんでまずっ!

翠「アガートラーム!!」

手のひらを突き出すと出現した正三角形の白いバリア
セレナさんのアガートラーム、ギリギリ成功です

翠「っ!」

ミサイル防御に安堵するのも束の間、バイザーに警告が表示され、読む前に頭の中にその内容がノータイムで送られてきました
『特性連続使用による時間制限の短縮』!?
よく見るとバイザーの端に表示されている銀色のギアの使用時間が大幅に減少され、一気に残り数秒に減っていました

翠「か、解除!解析終了!」

・・・

弦十郎「わかったことはイミテーター同様様々なシンフォギアの能力が使えること、連続使用すると時間制限がさらに縮まること、そして...」

計測結果を示すタブレットに映し出されたタイマー...イミテーターが使えない間のカウントダウンなのではと思っているものですが、そのカウントダウンの始まりが今回は『6:00:00』からではなくなっていました
僅かにインターバルが減り、5時間ほどになっています
それが銀色のギアを使用した回数によるものなのか銀色のギアの時間制限が来る前に解除したからなのかそれ以外の理由があるのかはわかりませんが、おそらくは時間制限前に解除したからではないかと

翠「ただ、使えない能力もありました...」

ガングニール3種類は全て出来て、イチイバルもアガートラームも出来て、イガリマやシュルシャガナは出来なかった...そういえば、ザババコンビのギアは何だかんだ色々と予定が狂ったりしてイミテーターでまだ模倣したことありませんね

翠「...イミテーターで模倣したことがある能力が反映される...?」

となるとソロモンの杖やチョコミントみたいなノイズの能力も...?

弦十郎「だが、あれを使うのは危険かもしれんな」

翠「え?」

弦十郎「今回銀色のシンフォギアを経て使用していた数々の他のシンフォギアの能力...どれも威力がオリジナルを超えたものだった。それこそ絶唱とも引けを取らないほどに」

翠「そんなに...」

えっじゃあそんなにやばい威力の攻撃を受けて無傷なししょーはそんなにやばい威力のミサイルを返してきたんですか
私は多分死にますよ?それ
もしバリア張れてなかったら...

翠「...で、でも、ならむしろここぞという時は」

弦十郎「絶唱と同等の威力を引き出すということは本来それに見合ったフォニックゲインが必要だ。それをほとんど戦闘中歌を口にしていなかった翠くんが出せたということは、どういうことだと思う?」

絶唱並み...つまりはS2CAやエクスドライブのような能力を聖詠以降歌っていなかった私が...

翠「...?」

弦十郎「考えられるのは他からフォニックゲインを吸収し還元している場合と、奏者自身のフォニックゲインかそれ以外の何かを還元している場合、そして聖詠による僅かなフォニックゲインを拡張している場合だ...どれも詳しいメカニズムが判明しない限り、危険性が高い」

翠「そういうものですか...」

他からっていうとS2CAや一期の「不快な、歌...歌、だと?」の時等の例がありますし
自身のフォニックゲインかそれ以外の何かを還元というと思い浮かぶのはプリズマな魔法少女が神経や血管を魔術回路に変えたりした例
フォニックゲインの拡張は...シンフォギアがマイクユニットですしそれこそマイクと同じ感じの構造でしょうか
いずれにしても、危険性が高いと言われてしまうと...

弦十郎「実戦に使うにはまだまだ実験が足りんな」

翠「そうですか...」

・・・

銀色のギアの謎も深まったところで、エルフナインちゃんの方もひと段落したらしいので合流することにしました

エルフナイン「もともと僕の中にオートスコアラーのスペックを始めとする詳細な情報はない為これ以上は...僕の方は進展なしです...すみません...」

ガリィ「私は、元気、ですよ?」

翠「どんなやりとりしたら開口一番それになるんですか」

まぁいいですけど...違和感しか感じませんねこのガリィさん
性根が腐ってるより断然いいんですが

・・・

エルフナインちゃんと銀色のギアの計測結果等を共有しながら、私は少し考え事をしていました
銀色のギアのことは少しはわかりましたが、まだまだ謎が多いまま
ミカさんという戦闘特化のオートスコアラーが謎の襲撃に遭った今、やはりイグナイトを早急に実装した方がいいと思います
それに、キャロルちゃんの第一の目的はイグナイト状態のギアをオートスコアラーを倒させることで計測し利用すること
それがいつまで経っても出来ないままではどう出て来るかわかりません
危険に自ら進もうとしようとしていることは承知していますが、それを回避した場合もっと危険なことがある可能性があるなら...未知は恐怖でしかありませんから

翠「...ミカさんがやられた今、敵はキャロルちゃん達だけではないかもしれません。エルフナインちゃん、例のダインスレイフを使った対策について教えてもらえませんか」

エルフナイン「...僕も早々に話すべきだと思っていました。翠さんの人と成りはある程度わかったつもりです。だから」

エルフナインちゃんは顔を上げ私の方を向き

エルフナイン「ご説明しましょう。錬金術を応用することでシンフォギアを強化する...プロジェクト・イグナイトを」

undefined

・・・

エルフナイン「リスクを背負うことで対価を勝ち取る、その為の魔剣ダインスレイフです...ご存知の通り、シンフォギアシステムにはいくつかの決戦機能が搭載されています」

翠「絶唱...それから、理論上可能とされるのは大量の高レベルのフォニックゲインによって機能を解放する限定解除形態『エクスドライブ』」

とはいえあれはこの世界では一度も使えていません
奇跡の戦略とはよく言ったものです

エルフナイン「とはいえ、絶唱は相打ち専用の肉弾。使用局面が限られてきます...翠さんなら、もう一つの決戦機能があることをわかっていますよね?」

私のどんな人と成りを知ったらそんな聞き方を...
まぁ、わかりますけど

翠「響さんや『私』が以前起こした、暴走...」

エルフナイン「はい、暴走を制御することで純粋な戦闘力へと錬成しキャロルへの対抗手段とする。これがプロジェクト・イグナイトの目指すところです」

聞いた限り私の記憶との食い違いはありません
しかし暴走を制御とかお決まりと言いますか、それを自分もやらなければならないとなるとぶっ飛んだ考え方と言いますか

・・・

それからイグナイトモジュールについての構造、機能についての説明をある程度説明を受けました
人為的に暴走を起こさせそれをねじ伏せる
結局力技というのがなんともらしいやり方です

翠「そして、その為にギアにダインスレイフの欠片を...一つ、いいですか?」

エルフナイン「はい、何でしょう」

正直ここまで説明を受けたのは自分の記憶のおさらいと、これを聞く為です

翠「響さんが夏菜さんから借りたガングニール、翼さんのアメノハバキリ、クリスさんのイチイバル、未来さんの神獣鏡、マリアさんのガングニール、セレナさんの形見のアガートラーム、切歌さんのイガリマ、調さんのシュルシャガナ、私のアメノハバキリ、神獣鏡、アスクレピオス、ミョルニル、イミテーター、アメノオハバリ、フォーク...響さんが見つけてくればもう一つガングニールに、仮に夏菜さんの擬似ミョルニルも入れると全部でギアが17個もあるんですが...ダインスレイフ足ります?」


コンマ下
01~20 足りる
21~40 足りない(劇中で精一杯、つまり6人分)
41~60 足りる
61~80 ギリギリ足りない(コンマ一桁の数だけ翠ちゃんのギアに搭載出来ます。つまり一桁が7以上なら実質足ります)
81~00 足りる

(『足りる』の割合が高い?気のせいですよ)

メタいことを言ってしまえばきっとXDではそのうち奏さん未来さんセレナさんもイグナイトモジュールを使ったりするでしょうし、そういうのを考えれば多少はダインスレイフにも余裕がある、と踏んでいたのですが...

エルフナイン「...いいえ、残念ながらキャロルから奪ってきた魔剣ダインスレイフの欠片はそれほど大きくありません。出来ても6つが限度です」

翠「あー...そう、ですか」

本編の数がギリギリでしたか...
もしかしたらこれも私が転生したことによるバタフライエフェクトの影響なのかもしれませんが、だとしても6つ分ピッタリとなるとそもそも本編でもそうだったのかもしれません

エルフナイン「どうにかしてこの魔剣ダインスレイフの欠片を完全聖遺物に復元するか、代わりとなる聖遺物でもあればあるいは...」

翠「復元ですか...」

デュランダルも刀身が蘇ったり、この世界の聖遺物は状態がフォニックゲインに左右されますしね


どうする?安価下
(翠ちゃんは万能に見せかけてたまに運のない女の子(そもそもテロに巻き込まれて死んでる時点で...))
(おまけに今は本人の知らないところでアイドルに仕立て上げられようとしてます)

・・・

プロジェクト・イグナイトについての説明は響さん達が帰ってきてから改めて皆さんに対して話す、ということになりました
ししょー達には先に話していたらしく、さらには他の奏者の皆さんに話す時には私にも補足をしてほしいと
クリスさんに胸ぐら掴まれる役が私に変わってしまうんでしょうか

マリア「翠、ここにいたのね」

エルフナインちゃんの部屋から出て廊下を歩いていると、正面から来たマリアさんに声をかけられました
というか、探されてたんでしょうか

マリア「少し訓練に付き合ってほしいのだけど...あぁ、別にギアを使うようなものじゃないわ。軽い運動のようなものよ」

翠「?...いいですけど」

つまり生身での特訓でしょうか

☆☆☆

で~れれ~で~でん!

☆☆☆


ドクターに聞いたところ、翠のアイドル化計画はすでにほぼ全ての準備を終え、後は私のライブの会場にスペシャルゲストとして連れて行く手配をするだけだという
となれば、私がするべきことはそれとなく翠の歌唱力やダンス力を高め、なおかつ私と翠で歌う新曲を翠自身にインプットさせること
まだ時間はある、手始めに特訓と言う名のダンスレッスンからよ!
翠はあぁ見えて意外と単純なところがあるしそれっぽいことを言えば大丈夫でしょう

マリア「ならさっそく...っ!」

レッスン室に連れて行こうとしたその時、警報が本部内に響き渡る

マリア「ちっ」

翠「!?」

☆☆☆

で~れれ~で~でん!

☆☆☆


マリアさんがノイズ警報に対して思いの外イラついています
かつてはノイズを利用したこともあるのに...ってノイズ!?

弦十郎「来たか、翠くんマリアくん」

翠「何が起きたんですか!?」

司令室に駆け込むと、すでにクリスさん切歌さん調さんの姿も

クリス「あのバカ達のところにノイズが出やがった...それから」

調「緑色のオートスコアラー」

エルフナイン「ファラ...!」

画面にはライブ会場跡地が映し出されています
ノイズと戦う未来さんや翼さん、そしてそれを眺めるファラさん

マリア「あの時のオートスコアラー...!」

響さんは...


コンマ下
奇数 何かを大事そうに握りしめながら物陰に
偶数 夏菜さんから借りているギアペンダントを握り締め必死に歌おうと試み中
ゾロ目 ???

夏菜さんから借りているままのガングニール
そのギアペンダントを握り締め歌おうと必死になっています
まだ歌えない...あのままでは、例え新たなガングニールの欠片を見つけて加工したとしても...

夏菜「遅れましたっ!...あ、また私のギアが」

それを見た夏菜さんは悔しそうに唇を噛みました

マリア「私が出るわ」


安価下
1 他の奏者も全員出動(本部がお留守に)
2 翠ちゃんも出動(翠ちゃん以外も出動する場合はクリスさん切歌さん調さん夏菜さんの中から出動するメンバーを記述)
3 翠ちゃん以外の出動(翠ちゃんは留守番組、クリスさん切歌さん調さん夏菜さんの中から出動するメンバーを記述)
4 マリアさんに任せて他待機

そう言ってまた出動しようとするマリアさん

翠「マリアさんっ!」

マリア「っ...翠?」

翠「あっ...えっと...」

またガングニールを纏って戦うマリアさんの姿を間近で見てしまったら、響さんはますます傷付いてしまいます
かと言って「マリアさんアガートラーム使えるから使って!」と具体的に言うわけにも...

翠「...今、響さんはガングニールを纏えないことに傷ついています」

マリア「...」

翠「銀の輝きを、恐れないで」

念の為LiNKERを渡しながらアガートラームのことを匂わせてみます

マリア「!...えぇ、そうね」

それを察してくれたのか、LiNKERを受け取りつつマリアさんは軽く頷き、今度こそ出動しました
...伝わりましたよね?

ネロ「...」


安価下
1 翠ちゃん視点(本部内)
2 マリアさん視点(戦場)
3 その他(記述)

☆☆☆

で~れれ~で~でん!

☆☆☆

翠のあの言葉...

『銀の輝きを、恐れないで』

私はすでに準備されていたライブ会場跡地行きのヘリに乗り込み、そっとソレに触れる

マリア「セレナ...貴女を守れなかった私が、貴女の輝きを借りてもいいの...?」

翠なら本人から直接聞けるのだろうけれど、どうにも長年こうして返事が返ってこない問いかけをする癖が付いてしまった私はまた問いかけをしてしまう


セレナ「いいよ」


マリア「っ!?」

思わず辺りを見回しても、ヘリの中に今は亡き妹の姿は見えない
しかし確かに聞こえた気がする

マリア「...なら、やる価値はある」

例えそれが自分勝手な妄想だったとしても

ライブ会場跡地上空へたどり着き、私はヘリのドアを開けた
LiNKERを首元に撃ち込みギアペンダントを握り締める
...確かに浮かぶその旋律
かつてセレナが口にしたそれをなぞるように


「Seilien coffin aiget-lamh tron」


バリアフィールドが私の周りに出現したのを感じ、私は飛び降りた
いつものガングニールとは違い、全身が白銀のギアに包まれる
肩からのマントはなく、代わりに腰から伸びたローブがはためき、私は地面に降り立った

マリア「ここからは...私も混ぜてもらうわよ」


どうする?安価下
(※まだこの段階だと左腕特化していません(Gエクスドライブ時参照))

ファラ「ダンス・マカブル」

彼女がそう言いながらばら撒いた物体が地面に触れると錬成陣が出現し、そこから現れるアルカノイズ
召喚されたアルカノイズの数は以前に比べると少ない
何か裏があるのか単にそれで十分だと思われているのかはわからないけれど、それならそれで好都合
代わりになぜかノイズはいるけれど...

マリア「今更ノイズっ!」

胸元に手をかざすと剣の柄が伸び、私はそれを掴んで引き抜く

翼「マリア、その姿は」

マリア「今はそんなことより...彼女にいつかの借りを返すわよ」

緑色のオートスコアラー...ファラに切っ先を向ける
それを挑発と取ったのか、余裕の表情のファラは近づいて来る様子はない
なら今のうちに邪魔な雑音を消すのみ!
私も翼も大勢のノイズと少数のアルカノイズに向けてそれぞれの武器を振るい数を減らしていく
今まで槍を振るってきた身としてはそれを剣に置き換えたに過ぎない、いつも通りいけば...

マリア「っ!」

飛びかかってくるアルカノイズに対しマントがあるつもりで対処しようとしてしまった私は一瞬反応が遅れてしまう
まずいわ、触れればギアが分解されて...

未来「やぁっ!!」

目前に迫っていたアルカノイズが光線で貫かれ、赤い塵と消えた

マリア「助かったわ」

未来「サポートは任せてください」

マリア「頼りにしてる。行くわよ!」

剣を握り直し、改めて敵を斬る
時に殴り、時に剣を飛ばす

そうして行くうちにノイズ、アルカノイズの数は減り

翼「あとは貴様だけだっ!」

ファラ「ふふっ、捕まえてごらんなさい、剣ちゃん」

自身と同じ緑色の竜巻を発生させ、そこに乗り空へ飛ぶファラ
翼は大型に変化させた剣を振るいそれを落とそうとする


『蒼ノ一閃』


ファラ「ふっ」

彼女も剣...?
彼女が引き抜いたそれは軽く振るっただけで翼の一撃を相殺した
ならばと翼はさらに剣を巨大化させ

翼「はっ!!」


『天ノ逆鱗』


ファラ「ふふっ...何かしら?」

またも彼女は剣を構え翼のそれに突き返す
すると翼の剣に赤い模様が浮かび上がり、みるみるうちに崩壊していった

翼「なっ...」

マリア「それが錬金術の分解...はぁっ!!」

ファラ「残念」

マリア「くっ...あぁっ!!」

私も駆け出し斬りつけようとするが、ファラの剣に押され弾かれてしまう

ファラ「あら?アガートラームも剣と定義されていたかしら...それに剣ちゃんのギアも他のも、強化すらしていない...とはいえ、これは錬金術の分解だけにあらず」

未来「え...?」

ファラ「私のソードブレイカーは剣と定義されるものであれば硬度も強度も問わず噛み砕く哲学兵装」

哲学兵装...?
概念を干渉する呪いやゲッシュに近いのかもしれない
ともあれ厄介ね

ファラ「さぁ、如何致しますか?」


クリス「ならこうすりゃいいのかッ、やるぞッ!翠ッ!」

翠「上から鉛玉のバーゲンセールッ!」


ファラ「ッ!?」

その時、上空二ヶ所からファラ目掛けて十字砲火が行われ、僅かに彼女の体勢が崩れたわ
それに今の声...

ファラ「反応の遅れ、それに今の反応は...ソロモンの宝物庫!」

ネロ「ご明察」

マリア「ネロ!?」

ファラの真後ろに突如開かれた宝物庫の扉から伸びた二本の腕が彼女の腕を掴み、勢いよく下に振り下ろす
人形のジョイント故かファラの腕はどちらも綺麗にすっぽ抜け、今度こそバランスを崩した

ネロ「えい」

ファラ「あら」


ズブッ


振り向く形で倒れるファラに対し扉から身を乗り出したネロはそのまま片方の手をピースの形で突き出し、その人差し指と中指はファラの両目に突き刺さる

ファラ「メインカメラをやられてしまいましたわ」

視覚と両腕を失った彼女は軽くため息をついた
あの状態でも平然としているのは人形だからなのかそれとも


コンマ下
奇数 ???乱入
偶数 ファラまで持ち帰らせるわけにはいかないキャロル陣営
ゾロ目 撃槍

マリア「今のうちにトドメをっ!」

平然としているとはいえ、腕...つまり掴んでいたソードブレイカーを持たない今の彼女であれば勝機はある
今度こそ逃げられる前に倒すか、せめて捕獲を...


???「...ストップ」


その瞬間、私達とファラの間に少女が現れた
これは比喩ではなく、文字通り...それこそアルカノイズが出現するのと同じような

エルフナイン『この反応...錬金術っ!』

ヘッドギアに搭載された通信機から聞こえてくるエルフナインの声から察するに私の予想はそう的外れでもなかったらしい

翼「錬金術だと...だがあの風体、まるで」

未来「新しい、奏者...?」


人工奏者の姿等特徴安価下
(見た目だけでなく、口調や性格等でも構いません。口調性格等がなかった場合は無条件で無口キャラになります)
(使い分けられるのかこのキャラ数...それは安価とコンマと私の実力次第...)

やや明るめな紫の腰まで伸びるほど長い髪
少女の纏う装甲...シンフォギアを思わせるそれの色は対してオレンジ色
それこそ、響のガングニールのような色合いだった

響「奏者...?」

物陰に隠れていた響も、また身を乗り出し彼女を見ている
その目に宿る思いははたして

ナスターシャ『...どうやら、彼女もまた人工的に作られた奏者のようですね』

マリア「マム、知っているの?」

ヘッドギアの通信機越しに聞こえてくるマムの声に、私はそう尋ねた

ナスターシャ『二課...S.O.N.G.の情報網によって掻き集めた人工奏者に関する資料に、確かに彼女に該当する人物があります』

翼「ならばやはりあれもまたシンフォギア...」

あるいは、夏菜が扱うような本物に限りなく近い別の存在

ナスターシャ『資料によると、脱走した人工奏者の一人...それもリーダー格。人工奏者の中では最年長にあたり、錬金術が使えるのは過酷な...えぇ、人体実験による成果、と』

マリア「...そう」

少女はこちらを一瞥した後、すでに器用に立ち上がっているファラの方を向きながら

???「...これは私達錬金術師の問題。出来ればこちらにこの一件は任せてほしい」

翼「なっ...手出し無用と言いたいのか!?」

彼女が翼の問いに答えることはなく...


人工奏者の戦い方安価下
(翠(誰なんでしょうこのほむほむ感ある人...))

???「~♪」

ファラに向かって駆け出す少女
何かを口ずさみながら...いいえ、口は開かず歌詞もない
メロディーのみ、すなわちハミング
それが私達で言うところの歌に当たるものなのかしら

アームドギアのように彼女の手元に現れたのは比較的大振りな片刃の剣
しかし刃が付いていない側には砲口が確認出来る
いわゆる砲剣なのだろう

???「ふっ」

剣を振るう少女
ファラはまるで見えているかのように、フラメンコを思わせる動きでそれを難なく躱す
敵ながら、その動きは優雅という言葉がよく似合う

ファラ「あらあら、珍しいお声。シンフォギアと同じところに来るなんて...でもごめんなさい。剣ちゃんの歌以外興味がないの。貴女にも」

???「ッ!」

視界と両腕を失ってもなおファラの動きには焦りが見えず、発生させた竜巻を少女に向かわせることで反撃すら試みていた
少女もまたそれらの反撃に対しても冷静に斬り裂いて竜巻を消す

マリア「音と風のみで相手の位置を把握しているというの...」

翼「だが、あの奏者も竜巻の対処のみに集中せず、ファラ本体への攻撃も忘れていない」

竜巻によって距離が離されると、少女は瞬時に砲剣を構えた
すると砲口が輝き始め

???「ふっ」

極太の光が迸る
その光は稲妻を纏いながら射線上にある竜巻ごと撃ち抜き、ファラ目掛けて放たれ

ファラ「良い一手、されど所詮は類似品」

???「前とは違う」

ファラ「...ッ」

プラズマカノンらしきそれは確かにファラの腹を貫き、ファラを乗せた竜巻を掻き消すほどの衝撃と共に爆ぜた
煙が晴れ、そこに立つファラは腹から腰にかけて丸く抉れている
ダラリと折れずにいるのを見る限り芯となる部分はまだ無事なのか、それとも錬金術と呼ばれる力によって支えられているのか

ファラ「質の向上。とはいえ、これで錬金術、錬金術師、貴女方が錬金術師側と?」

???「...~♪」

再び少女はハミングし始め


コンマ下
奇数 ファラ退場
偶数 ファラ逃走
ゾロ目 黒い武者

彼女のハミングに合わせ、砲口に輝きが溜まり始める

ファラ「貴女の歌もそれほど悪くはなかったわ。剣ちゃんには及びませんが」

ファラはそう言って口の中から覗かせた赤い結晶...テレポートジェムを噛み砕いた

翼「っ!待て!」

???「次なんてない」

少女の砲剣の切っ先に錬成陣が現れ、先程溜まっていた輝きがその錬成陣を通過しファラを捉える
その瞬間、テレポートし始めていたはずのファラの身体がそこに留まった

エルフナイン『空間に縫い止めた...!?』

ファラ「あり得ない...!」

???「これでトドメ」

砲剣の刃を大型化させ、少女は地を蹴りファラにし


ズバッ

ズバッ


行きに横一文字、すれ違って振り向きざまに上から下へ振り下ろし、ファラの身体を十時に斬り裂いた

ファラ「アハハハッ!アハハハハハハハハハッ!!」

上半身と下半身は別れ、顔も縦に割れながらも、ファラは何故か散り際に高らかに笑い

赤い粒子となって消え去った

翼「倒した...のか」

エルフナイン『あれは錬金術の分解...本当に錬金術を...』

???「...」


パリンッ


そして、やることは終えたと言わんばかりに人工奏者の少女はテレポートジェムによって姿を消した


どうする?安価下
(やっとオートスコアラーがちゃんとした形で一人消えました)

☆☆☆

で~れれ~で~でん!

☆☆☆

マリアさんが出動したり私とクリスさんが途中バビロニアの宝物庫越しにファラさんを攻撃したり謎の人工奏者の人が戦場に来たり
そんな戦いの後、マリアさんは本部へ、響さん達は引き続きガングニールの欠片の捜索をすることになりました

マリア「帰ったわ」

切歌「お帰りなさいデス!マリア!」

調「お帰りなさい」

マリア「ただいま...ねぇ、ネロのバビロニアの宝物庫を使えば行きも帰りももっと楽だったんじゃないかしら」

まぁそう思いますよね
私もネロさんにそんな反則技を...まぁ考えなかったわけではありませんが、聞かされた時に早く提案してほしかったと思ったものです

クリス「つってもな...あそこ入ると出るまで中のノイズの相手もしながらじゃねぇとダメなんだよ」

翠「なので、ギリギリのタイミングだけ参加させてもらいました」

夏菜「翠さんもクリスさんもあの後ずっと心配だってうるさくて、ネロさんの苦肉の策的な」

クリス「ばかっ、そんなんじゃねぇよっ!!」

もう全方位からノイズが飛んでくるんですよ
どこぞの勇者の話で言うところの外の世界に出たら星屑が寄ってきたみたいな感じです
もう少し余裕があると思ったんですけどね...ちなみに、ネロさん的に中のノイズの制御は出来なくもないけど大変らしく

ネロ「あまりお勧めはしません。私のように完全な所有権を持っていれば近づいてきたノイズのみに命令を下し通るのも容易ですが」

マリア「それは...面倒ね」

・・・

あの人工奏者についてはOTONAの皆さんに任せることになりました
ちなみにそこにエルフナインちゃんも入ってます
で、私はマリアさんといつもはあまり使われていないトレーニングルームへ
その理由は

マリア「さて、改めてレッs...特訓するわよ」

とのことです

翠「でもマリアさんさっき戦いから帰ってきたばかりですし、何もそんなに急がなくても」

マリア「急いでなどいないわ。でもこういうのは早い方がいいでしょう?」

翠「はぁ」

まぁマリアさんが大丈夫ならいいんですけどね...
その時、この部屋を含めた館内に聞き慣れない曲が流れ始めました
時折ラジオ等の有線放送なんかを館内BGMで流している本部
私は世間にそれほど敏感ではないので確かではありませんが、どうにも全くと言ってもいいほど聞き覚えのない曲です
私の趣味ではないジャンルなのか、それとも出たばかりの新曲なのか...
っと、今はそれどころではありませんね

マリア「今日の特訓はいつもと趣向を変えたいと思っているのよ」

翠「趣向を、ですか?」

マリア「単なる手合わせではお互いの長所ばかり鍛えることになって攻撃や動きの幅が広がらないわ。そこで、お互いの動きをトレースすることで新しい何かを発見出来ないか、ってね」

翠「う~ん...?」

マリア「まぁまずは私の動きを真似てみてくれないかしら」

よくわかりませんが、マリアさんはおそらく私よりずっと奏者歴は長いですし、戦いに関して詳しいのもマリアさん
言う通りにやってみましょう

・・・

マリア「足をもっとこうっ!蹴り上げるようにっ!」

翠「こ、こうっ!」

マリア「そこでターン!」

翠「ターン!?」

・・・

マリア「思ったより身体柔らかいわね」

翠「少し前の自分に見せてあげたいくらいです」

マリア「運動苦手だったの?」

翠「はっはっは、聞かないでください」

・・・

途中戦い方と関係あるのかわからない動きの練習やストレッチがあったりしましたが、なんとか付いて行きました
てか今死にかけてます

翠「ぜぇ...ぜぇ...はぁ...はぁ...」

いつかの全身筋肉痛の悪夢が...

マリア「思った通り、体力は問題なさそうね」

まさかししょーとの特訓と同等かそれ以上に疲れることになるとは
全身汗でびしょ濡れですし、息が整いません

マリア「スポーツドリンク、飲む?」

翠「い、いただき...ます...けほっ」

・・・

マリア「そうね...一度シャワー浴びたら戻って来てくれる?丁度貴女の制服の採寸をしにスタッフが来る予定らしいの」

翠「は~い...」

シャワー...早くシャワー浴びてさっぱりしたいです...でも脚も腕もパンパンで動くのがしんどい...

着替えを持ってシャワー室へ行き、汗を洗い流しながらふと思いました
制服の採寸って...やっぱりリディアンなんでしょうか...いや、AXZになった途端なぜかS.O.N.G.メンバーに新しい制服が支給されていたっぽいですしそっち?
仮に高校だったとしたら、私はやっぱりリディアンに行くことになるんでしょうか...

・・・

「それじゃあ腕上げてくださいね~」

翠「は、はい」

採寸をしに来たという女性スタッフの方に隅から隅まで測られています
紙の柔らかいメジャーを色々なところに巻きつけられると地味にくすぐったいですね...

翠「んっ...」

「あ、ご、ごめんね!」

翠「い、いえ///」

変な声出ちゃいました...

「ふむふむ...ちなみにサイズっていくつ?」

翠「はい?」

・・・

ノイズに囲まれながらファラさん目掛けて攻撃したり特訓や採寸の疲れもあり、もうクタクタです
あとなんで採寸のスタッフさんとマリアさんさっきから何か話してるんでしょう...まさかマリアさんまで私の保護者枠に?


☆☆☆

で~れれ~で~でん!

☆☆☆


マリア「そう、ありがとうございました」

「いえいえ...でもイヴさんに秘蔵っ子がいたなんて驚きましたよ」

マリア「色々あってね」

無事翠の身体の採寸も終わったし、ライブの衣装作りはこれでどうにかなりそうね
ライブで共に歌わせる予定の新曲もそれとなく流しておいたし、特訓と称したレッスンもあの調子なら...


☆☆☆

で~れれ~で~でん!

☆☆☆


マリア「ふっ...ふふっ...ふふふふふっ...」

マリアさん笑ってます...何だか少し怖い...


どうする?安価下
(特になければOTONAの謎の情報網により人工奏者陣営の情報が)

・・・

やることも大体終えたので、一旦部屋に戻って身体を休めさせてもらうことにしました
マリアさん戦ってる最中もステップとか気にしてたんですね...流石アイドル大統領
あんなのそれこそファラさんとそういう対決とかした方が面白そうですけど

翠「う~...私には無理です~...」

戦いの時はやっぱり武術の方の動きの方が

翠「戦い...あーそういえばイグナイト...」

ダインスレイフ足りない問題...
ま、本編の倍以上ありますしね、仕方ないです
しかし6つ分ですか
今回のことでマリアさんがアガートラームも使える、というのが共通認識になりましたけど、マリアさんは自身のガングニールだけはLiNKERなしで一応使えたりしますし...どっちにした方がいいのか
響さんはきっとまた歌えるようになるはず...あと翼さんにクリスさん、切歌さんに調さん
夏菜さんは擬似ですから危険性が増しそうですけど、未来さんの場合神獣鏡...
そもそも神獣鏡ってダインスレイフ消しちゃったりしないんでしょうか
同時展開の時みたいに中和出来るならある意味神獣鏡が一番プロジェクト・イグナイトに向いていたり?

私の分が一つもない件について
いえ、率先して暴走はしたくないですけど、今後イグナイトモジュール持ってないと死にそうですし...
キャロルちゃん陣営もそうですが、AXZの錬金術師、それに情報皆無の3.5期と5期、あと下手したらギャラルホルン案件
うん、ごくごく普通の奏者の身としてはイグナイトモジュールくらいないと一瞬で死にそうです

翠「ダインスレイフの代わりになりそうなもの...」

アメノムラクモ...はもともと『翠』の両親が持っていたっぽいですけど、私にとっては女神様から最初に貰ったものですし、というかダインスレイフの代わりになるほどの物とも思えません
てかギアとして使えなくなったら大蛇がどこに行ってしまうのかもわかりませんし
アスクレピオス、ミョルニルもどちらかというと強化する方
アメノオハバリとかはワンチャンあるかもしれませんが

翠「あと...フォークは」

『翠』《待て待て待て待て!えっ何?フォークをダインスレイフの代わりにしようとか考えてる?》

翠《一番代わりになりそうじゃないですか?》

『翠』《『私』ら二人で魂削り合ってるようなものをさ...また使うかね普通...とにかく!あれはあれでリスクあり過ぎだから除外!》

翠《うえ~?》

まぁそこまで言うならとっておきたいとっておき枠にしておきますか...

翠「となると後は...デュランダルとかトリアイナとかでしょうか」

一応完全聖遺物ですから、削っちゃったり砕いちゃったりするのはもったいない気もしますけど

『翠』《あれは?武者だか武士だかのノイズから出てきた欠片みたいなやつ》

翠《武者ノイズですね、武士は翼さんもとい水樹奈々さんが考えた方ですから》

あれも拾ったは良いものの結局そのまま引き出しの中に入れっぱなしですね

翠《使い道はなさそうですが》

『翠』《案外そういう忘れかけてたものが意外な活躍を...!という王道の展開》

翠《ないですね》

そんな展開アニメじゃないんですから...あ、ここそういう世界でした


どうする?安価下

・・・

しばらくベッドで横になり疲れを癒していると、響さん達が帰ってきたと連絡が来ました
なので、いつもの司令室に集まってます

緒川「ただ今戻りました」

弦十郎「うむ、それで成果は」

未来「ほら、響」

響「はい、あの...欠片は、見つけられました」

響さんの手に握られていたのは確かに、何かの欠片...探知機も反応していますし、ガングニールで間違いないでしょう

響「翠ちゃん、後でコレの加工、お願い出来るかな」

翠「わかりました」

響「うん、ありがとう...」

ガングニールの欠片を私に渡し、そのまま司令室を後にしてしまう響さん
心なしか前にも増して

切歌「またまたしょんぼり響さんデス?」

未来「まだ落ち込んでる...というか、戦いに悩んでるみたい...」

ミカさんの襲撃がなかったとはいえここまでずっととは...はっ!
そういえば本編では未来さんにとっての『助けてもらった』という内容は『神獣鏡のギアから解放してもらった』の部分
この世界だとそれもなく、未来さんも待機が多いとはいえ正式な奏者
つまりそれほど響さんとは立場というかそういうものに違いがありません
う~ん...これはある意味私の責任でもあるのでしょうか

翠「...よし」

ダメ元で、励ましに行きましょう
私のせいでスムーズに行かないというのもありますし、そもそもいつまでも空元気や見るからに元気のない響さんを見ていられません

・・・

で、辿り着いたのは響さんの部屋
ノックをし、返事が来たので中に入ります
響さんはベッドを背もたれにして床に膝を抱えて座っていました

翠「...大丈夫ですか?」

響「...翠ちゃんは、シンフォギアって...力って、どんなものだと思う?」

翠「力?」


『シンフォギアはみんなを助ける人助けの力なんだ...その力で誰かを傷つけるなんて、したくない』


もしも今の響さんと私が知るこの頃の響さんが同じように悩んでいるのなら、きっと心の中にはこんな想いがあるはずです
だからこそ響さんは、私に問いかけるように言いつつ本当は自分自身に問いかけている

翠「...響さんがもし、自分が誰かを傷付けることしか出来ないと思っているのなら大間違いです」

響「...っ」

私は響さんの両手を握り、その手が響さんに見えるよう持ち上げ

翠「貴女には誰にも真似することなんて出来ないアームドギアがあるんですよ?」

響「...!」

響さんのアームドギア、誰かと誰かを繋ぐ力、もし傷付けたくないのなら、握ったその手を開けばいいだけ
そうすれば、繋がれるはずです

翠「ね?」

私の言葉では無理かもしれません
未来さんという正妻でなければ、響さんの心は完全には開けないのかもしれません
でもせめて、ほんの少しだけでも心の扉をズラせたなら...

響「...そっか」

翠「そうです」

拳は偉大ですからね
その気になれば天の神様でも一発で消し飛ばせます

響「...そっか、そうだよね、うん!」

笑えるくらいには、元気になってもらえたようで何より

響「...でも翠ちゃんは真似出来るよね?イミテーターで」

翠「ん゛っ!...い、イミテーターは一旦置いておきましょう?ね?」

・・・

響さん達が帰って来たので、早速エルフナインちゃんによるプロジェクト・イグナイトの説明がされました
途中途中私も説明する側に回ることになったのですが...

翼「立花と翠の暴走は搭載機能ではない!」

クリス「またトンチキなこと考えてないだろうな!?」

翠「待ってクリスさんキツいです...」

胸ぐら担当が結局私に...しかも『また』って言ってます
もしかしてこれ私に向けて言ってます?

エルフナイン「暴走を制御することで純粋の戦闘力へと変換錬成し、キャロルへの対抗手段とする。これが...」

...え?何ですかその視線
私が言うんですか?

翠「こ、これが、プロジェクト・イグナイトの目指すところです」

何でこのラスト私に言わせるんですかこれもう私も共犯みたいになったじゃないですか!

エルフナイン「ただ、ダインスレイフには限りがあります。せいぜい搭載出来てもギア6つが限界...そこで、S.O.N.G.が保有する聖遺物の中で代用出来るものがないか調べた所、これが」

それは初耳です
エルフナインちゃんが示した資料に書かれていたのは

『ニーベルングの指環』

錬金術師だから金の指輪?

弦十郎「だが、コレは海底にある管理特区にあってな、取りに行くのが少々厄介で...ッ!?」

翼「ま、マリアどうしたっ!」

マリア「え?」

マリアさんがどうかし...マリアさんっ!?
マリアさんから鼻血が...鼻血が静かに流れています

ナスターシャ「どうしたのですマリアッ!」

マリア「え?え?」

翠「と、とにかく検査!」

・・・

検査結果はオーバードーズ
適合係数に問題がないギアをLiNKERを使った状態で使ったことによるもの...らしいのですが

翠「いつの間にアガートラームに適合したんですかっ!早く言ってくれないからLiNKER渡しちゃったじゃないですか!!」

マリア「知らないわよ私も今日初めて使ったんだものアガートラーム!」

マリアさんもしかしてどんどん適合係数が上昇してる...?
マリアさんのガングニールもLiNKER無しで使えるようになってますし...

夏菜「あれじゃないですか?翠さんのようにどのギアも使えるようになるとか」

翼「何だと」

それはない、と思います


どうする?安価下
(特になければS.O.N.G.謎の情報網が火を吹きます)
(翠「騙~され~た~これただの小麦k」

夏菜「そこまでにしましょう」)

友里「マリアさんのオーバードーズもそれほど深刻ではないから、少しの間身体を休めれば大丈夫のはずよ」

マリア「助かるわ、仕事に穴を開けるわけにもいかないし...仮に深刻なようならアスクレピオスでも頼もうかと思ったけれど」

『凜音』ちゃんは虫歯でアスクレピオスやりましたけどね
というかシンフォギアヒロインが鼻血出したところってもしかして初めて見たんじゃないでしょうか私...
いや、日常的に見るものでもないのはわかりますが、本編とかでも絶唱の後って吐血と血涙ばかりで鼻血ってなかった気がします

緒川「幸いすぐの仕事は入っていなかったはずですから、休んでください」

翼「うむ、防人とアーティスト活動の両立の他に、健康管理も我々には必須だからな」

藤尭「マリアさんの場合健康云々でこうなったわけじゃないですけど」

むしろF.I.S.組の中では調さんと1位2位を争うくらいには健康に気をつけてそうなイメージがあります

夏菜「でも翼さん最近アーティストというより芸人に近い活動をよく見かけるような」

友里「バラエティ?」

夏菜「それです」

翼「そ、それは緒川さんがバラエティの仕事ばかり取ってくるからで」

緒川「それだけ期待されているということですよ」

翼「緒川さんッ!」

クイズ番組だけじゃなくバラエティ全般でよく見かけるようになりましたからね、翼さん
年末とかそのうち紅組白組に分かれる方じゃなく笑ってはいけない方に出るようになるんじゃないかとヒヤヒヤ...もとい、少しワクワクしています

友里「あ、そういえば夏菜ちゃん、夏菜ちゃん宛てに何通か手紙が届いていたわよ」

夏菜「私宛て...?」

原作本編の方では翼さん以外の奏者はそれぞれ学生寮や元二課が借りているマンションの一室に住んでいたりしますが、この世界ではなぜか全員が本部の中に住んでいます、所謂住み込みですね
その為私達宛てに届く荷物や手紙は全てあるフェイクの宛先に届けてもらうようにしてあり、結果本部に届くようになってたりします
これも私が起こしたバタフライエフェクトだとしたら何故こうなったのか...
そういえば原作の方だとマリアさんってどこに住んでいるんでしょう
翼さん同様本部なのかクリスさんのように別に住む場所があるのか
あーでも切歌さん調さんと三人でどこかの家に住んでるっていう可能性も高い気がします
まぁ今となっては確認する術はありませんが

『翠』《ギャラルホルン》

翠《お黙りなさい》

わざわざこんなこと知るために使えるわけがないでしょう

夢姫「夏菜さんに手紙ってどんな内容でしたの?」

『凜音』「少し興味が」

夏菜「わっ、結構いっぱい...ってこれ差出人どれも女の子?」

手紙の封筒を見てみると、確かに宛先の字や封筒の柄なんかは女子っぽいです
だからといって絶対男の人はあり得ない、とは言い切れませんが

翠「ウチの学校の子からとかでしょうか...何でわざわざ手紙...メールかLINEじゃダメなんでしょうか」

夢姫「そもそも学校に夏菜さんのメアドやらLINEのIDやらはほとんど知ってる人いない気がしますわ」

『凜音』「となると連絡網から住所を調べてわざわざ...はっ!」

翠夏菜「「何それ怖っ」」

夢姫『凜音』「「もしや全部ラブレター!!」」

4人「...え?」

・・・

これ以上騒ぐのはマリアさんに迷惑なので一度部屋から出てから改めて

翠「えっ連絡網から住所調べて手紙出してくるってちょっと怖くないですか?」

夢姫「それが乙女心というものですわ!翠さんは乙女心がないんですの!?」

翠「ぐふっ」

夏菜「いやでもウチ女子しかいませんし...そういうのの標的って翠さんでしょう?」

『凜音』「で、でも浅井さんもファンクラブありますし」

夏菜「は!?」

翠「待ってください『も』ってどういうことですか」

夢姫「と、とりあえず中身を確認してから!話はそれからですわ!」

夏菜「えぇ...と、とりあえず一度一人で中身見ますから」

そう言って私達に背を向けて手紙を開けていく夏菜さん
大丈夫でしょうか...虫とか入ってたりしませんよね...

夏菜「...ん?」

おや?夏菜さんの様子が

夏菜「こっちも...こっちもこっちも...まさか全部...う~ん?」

翠「ど、どうでした?」

夏菜「えっと...とりあえず見てみてください」

私達は夏菜さんの手に持つ手紙を見せてもらうことに
その内容は...


『もう隻腕隻眼の夏菜ちゃんは見られないのかな?こう、なんかすごい技術でまた出来たりしない?』

『片腕片目の夏菜ちゃん不謹慎だけどカッコ良かったからまた見たいな~なんて...ダメかな?』

『単刀直入に言うと、またあの隻腕隻眼の姿が見たい』


...???

夢姫「こ、これは...斬新なラブレターですわね」

夏菜「まだそれ引っ張りますか」

『凜音』「まぁ確かにあの時の浅井さんの格好はすごく良かったですけどね」

まぁ、それはいいんですよ
この際ラブレターじゃなかったとかそういうのはどうでもよくって

翠「夏菜さん...夏菜さんが隻腕隻眼の状態だったのって本部にいた時だけですよね...学校再開した日は休みましたし、その次の日来た時にはもうどっちも直してましたよね?」

夏菜「え?えぇ、流石に半分機械とか学校の人に話す勇気はまだない...です...し...」

ですよね
文化祭の時は応急処置してから来てましたし

翠「だったら夏菜さんが隻腕隻眼だったって知っているのは...普通S.O.N.G.の人だけじゃないですか?」

夏菜「...」


コンマ下
奇数 実は文化祭の途中不具合で一度片腕片目外しているのを見られた
偶数 手紙を出してきた人は...S.O.N.G.の中にいる!
ゾロ目 おや?この字どこかで

夢姫「なら...これの差出人はここの職員さんか奏者の誰かってことですの?」

『凜音』「...え!?わ、『私』じゃないですよ!?」

翠「えぇ、普通ならそのはずなんです。このS.O.N.G.の誰か...夏菜さん、どうなんですか?」

夏菜「な、何がですか?」

そう言って目を逸らす夏菜さん

翠「もしかして...私達以外にも夏菜さんが隻腕隻眼だった頃の姿を知っている人がいるんじゃないですか?」

夏菜「...」

翠「夏菜さん...」

夏菜「...はぁ」

やがて観念したようにため息をつき

夏菜「えぇ、そうです。あの日の文化祭の日に見られました」

翠「やっぱり...」

でなきゃ手紙なんておかしな話です
S.O.N.G.の人なら直接本人に言えばいい内容ですし

夏菜「応急処置だったせいで少し調子が悪くて...不具合を直そうと影で外していじっているところを偶然」

夢姫「それってまずいんじゃ...どうするんですの?」

夏菜「えぇ、だから相手は絞れました。夏休み明けに直接会って話そうと思います」

『凜音』「それが妥当でしょうか...」

翠「それしかないでしょう、まさかあの状態に戻して登校するわけにもいきませんし」

夏休み明けに...だとしたらAXZの途中くらいの時期でしょうか、まさかAXZ中に夏休み終わらない、なんてことはないでしょうし

・・・

夏菜さんの手紙云々で少しありましたが、本当にまずいことになりそうならS.O.N.G.のOTONAがどうにかしようとするはずです
私や夢姫ちゃん『凜音』ちゃんに出来るのはせめて夏菜さんが変なことに巻き込まれたりしないか校内どうにかで見守ることくらい
夏休み入ったばかりなのにもう夏休み明けのことで頭が痛くなってきました

藤尭「あ、翠ちゃん」

翠「藤尭さん、どうも」

部屋に戻る途中、廊下で藤尭さんに遭遇
オペレーター業の合間の休憩時間か何かなんでしょうか
そんなことを思いながら通りすがろうとすると

藤尭「あ、あのさ翠ちゃん、少し相談に乗ってくれないかな...」

翠「相談?」

まさか呼び止められるとは
というか私に相談って?

翠「何の相談ですか?」

藤尭「えっと...あまり他人に聞かれたくない話だから場所移さない?」

・・・

で、小さい会議室に来ました
藤尭さんが私に相談ってどんな内容なんでしょう
ドアを閉めた藤尭さんは私の正面の椅子に座り、表情を引き締めています
私も引き締めておきましょう

藤尭「相談っていうのは...その、恋の相談と言いますか...」

翠「なるほど恋の...はぁ?」

恋の相談?今この人恋の相談って言ったんですか?

翠「えっ私に恋愛相談してるんですか?」

藤尭「うん、まぁ...」

翠「疲れているならたまには休息取った方が」

藤尭「待って!そういうのやめて!」

いや、でも私にそういう類の相談してくるとか疲れてるとしか

藤尭「何というか...」

翠「友里さんと進展がない、と?」

藤尭「仰る通りです...」

それを私に言われてもどうしろと
ロクに恋愛経験ない私に何故相談しようと思うんでしょう
ロクに恋愛経験ないのに響さんや未来さんとは...うん、一旦置いておきます

翠「えーっと...あ、今のところどれくらい進展してるんですか?」


藤尭さんと友里さんどのくらい進展してる?安価下
(アイドルにさせられそうになっていたり恋愛相談されたりする謎ポジション、それが翠ちゃん)

藤尭「全然...」

翠「全然て...手とかは?」

藤尭「繋げてない...あ、でも仕事の関係で触れることとかは」

翠「それは触れたとか言いませんから」

えー...いや、そうは言ってもS.O.N.G.内で有名なオペレーターコンビ
もしかしたら鈍感主人公よろしく藤尭さんも気付いてないだけかも...

・・・

ありとあらゆる状況を聞いてみて思ったことは

翠「本当に全然進展してませんね」

藤尭「ぐっ...」

翠「しかも所々響さん達にお膳立てまでしてもらってるのもありましたよね?」

藤尭「いざやろうと思うとどうしても緊張して...」

本部内では一部から夫婦と影で言われている藤尭さんと友里さん
まさかここまでとは...


どうする?安価下
(何かアドバイスしてみるか他にも聞き出してみるか...)

藤尭「お願いだ翠ちゃん!何でもいい!どうしたら相手の好感度を上げられるのか教えてくれ!この通りっ!」

翠「頭下げられても...」

大体そんな便利な方法があったら苦労しませんよ...とはいえ、一応頼ってもらった手前何か...

翠「そうですね...まぁやっぱりイベントを増やすしかないんじゃないですか?」

藤尭「イベント...」

ゲームじゃないのでそう簡単に行くわけではないでしょうけど、実際の好感度の上げ方なんてわかりませんし

翠「会った回数が少なくても好感度が高いのは大抵最初の印象がすごく良かったとか後は見た目でしょうし、これだけ頻繁に仕事でも会っていてダメならもう少し二人きりの時間を増やしたりして、そこで何かアクションを起こさないと」

藤尭「その印象とか見た目の方はもう望みはないんですか」

翠「あると思ってるんですか?」

劇的なビフォーアフターがあれば別かもしれませんが、どう考えても無理でしょう
せめて友里さんが藤尭さんのことを少なからず意識してくれてさえいれば

藤尭「じゃあアレは?ほら、壁ドンとか」

翠「その波はもうとっくに過ぎてますし、多分実際にやられたら怖いか邪魔だなとしか思いませんよ?」

藤尭「そ、そういうもの?キュンとかならない?」

翠「ないですね。せめて意識してる相手からならまだしも...それに十中八九藤尭さんがやっても...」

藤尭「やっても何!?続きは!?」

壁ドン顎クイとか友里さんやられた瞬間殴ってそうですよね
もしくは冷たい目で「何」とか言いそう...

翠「ベタではありますけど、カフェに誘ってみるのはどうですか?案外そういうベタには弱い人多いですよ?多分」

藤尭「カフェか...断られたりしないかな」

翠「その調子じゃ断られそうですね」

藤尭「ふぐっ」

翠「後は飲みに誘うのもありでしょうか。そこは大人だからこそ...あ、でも雰囲気でそういう流れにならない限りは酔わせてどうのこうのとか絶対NGだと思います」

藤尭「ししっ、しないよ!?」

翠「でも友里さんがそういう勢いや漢気のある人が好みの可能性も...」

藤尭「...そうかな?」

翠「そんなわけないじゃないですか。例えそうでもそういうことしようとしたらドン引きですよ普通」

藤尭「なぁっ!?」

翠「絶対NGですからね?場の雰囲気を正確に読み取って取り返しのつかないことにならないように」

藤尭「は、はい...」

一歩間違えたら藤尭さんが御用になってしまいますからね
ただでさえ以前響さん達の歓迎会の時に翼さんに間違えてお酒を飲ませてしまったことで周りから目をつけられていますし


他にもアドバイスしたりする?安価下
(特になければry)

と、ここまで偉そうに色々言ってしまったかもしれませんが...
実際私個人の意見ばかりなのでどこまで参考になるかはわかりません
せめて異性に対して恋する乙女でもS.O.N.G.にいたらよかったんですが...
フィーネさんは...いや、フィーネさんの場合特殊なケース過ぎてむしろ参考にしづらそうです

翠「まぁ、頑張ってください」

私も応援してますよという激励を込めて藤尭さんにそう声をかけ、私は部屋を後にすることに
藤尭さん、ファイト!


☆☆☆

で~れれ~で~でん!

☆☆☆


マリアが鼻から血を流していた時は少々構えてしまったが、軽症でよかった
アーティスト業ももちろんだがマリア個人としても大事に至らないに越したことはないからな
そんなことを考えながら廊下を歩いていると


緒川「本当に本人には聞かないつもりですか?」


翼「...ん?今の声は...緒川さん?」

マリアの病室から出てから行動は共にしていなかった緒川さん
彼の声がこの部屋...ウェル博士の部屋だったか
しかしなぜここから

翼「...」

緒川さん直伝の気配を消す術を使い、ドアに耳を近づける

行儀が悪いとはわかっているが、少しくらい聞き耳を立てても...まぁおそらくは例の錬金術師や人工奏者についての何かを話しているのだろうが


ウェル「当然!あのお子様はどうせ拒むでしょう...でもそれじゃあ意味がない!それにここまで順調に進んでいるのだからっ!!」

緒川「そうですか...」

ウェル「僕の目に留まったのが運の尽き...そう!敏腕プロデューサーのこの僕の目に...!」

緒川「それは無事翠さんをアイドルとして華々しいデビューをさせてあげられてから名乗った方がいいと思いますよ」

ウェル「彼女の輝かしい初舞台はすでに決まった未来、決定事項なのですよ...!」


翼「っ!?」

軽い気持ちで聞き耳を立ててみればとんでもないことを聞いてしまった

翠がアイドル...だと...


緒川「それでは、僕はあの事を司令に伝えに行きますのでこれで」

ウェル「えぇ、そちらの調査も引き続き進めておきますよ」


っ!まずい、緒川さんが出てきてしまう
私とて気配を完全に消すことは出来ない
このままでは簡単に緒川さんに勘付かれてしまう、急いで場所を変えなければ

ガラッ

緒川「...おや、翼さん」

翼「おおお、緒川さん!偶然ですね!」

どうにかドアが開く前にある程度距離を取り、あたかも今偶然通りかかったように装うことが出来た、はずだ
しかしどうにもいつも通りに接することが出来ない...まさか緒川さんとウェル博士が翠をアイドルにしようとしていたとは

緒川「...」

翼「お、緒川さん?」

緒川「いえ、丁度よかったです。この後みなさんを集めてもらおうと思っていたところなので」

翼「そ、そうですか」

☆☆☆

で~れれ~で~でん!

☆☆☆


緒川さんが司令に何かを伝えたらしく、また司令室集合と私達に召集がかかりました

翠「あ、翼さん、早いですね」

翼「あ、あぁ」

翼さんが奏者の中で一番乗りだったようなので話しかけてみましたが、なんだか様子が...?

響「立花響、到着しました!」

未来「お待たせしました...あれ?まだあんまり集まってない」

翠「すぐ来ると思いますよ」

それはいいとして

翼「...」

ちらちらこっちを見てくる翼さんは本当にどうしたんでしょう

・・・

弦十郎「全員集まったな...緒川」

緒川「はい、まずはこれを見てください」

緒川さんの声に合わせてエルフナインちゃんが画面に映し出されたのは見覚えのない家の中の様子...
それも、何人もの人が倒れています

切歌「ヒェッ...あ、あれはどうなってるんデスか...?」

調「家の中自体も...酷い有様」

緒川「例の脱走したという人工奏者の足取りを追っていたところ、彼女達が住処にしていると思しき場所を少し前に特定していました」

夏菜「!」

友里「プライベートのこともあるので、室内のドローン映像は私達女性職員で交代で見ていたのですが」

それは立派な犯罪では

エルフナイン「...これは今表示した画像の少し前の映像です」

そう言ってエルフナインちゃんは映像を巻き戻しました
すると映像は何人かの...先ほどの画像で倒れていた少女達が何者かと交戦している場面に

クリス「コイツはあの時の...!」

少女達と交戦している人物...それは、コインを使い戦う黄色のオートスコアラー

エルフナイン「レイア...」


映像を見ていくと、人工奏者と思しき少女達が押され次々と倒されていきました
やがて倒し終えたからか映像の中のレイアさんはこちら...S.O.N.G.の飛ばしていたドローンのカメラの方を向いてコインを弾き、そこで映像が途切れています

エルフナイン「この映像は丁度翼さん達とガリィの交戦中にオレンジ色のギアを纏う紫髪の人工奏者が現れていた時間のものです。つまり」

夏菜「彼女が戦場に来ていた隙をついて、他の人工奏者を全滅させた...」


どうする?安価下
(翼さんの盗み聞き、果たして緒川さんにバレていないのか)

またも重苦しい雰囲気が広がります
見ず知らずの人工奏者とはいえ、だから他人事だと言って切り捨てられるような人はここにはいません
しかし、こればかりはどうすることも...

緒川「破壊されたドローンの回収も出来ていませんし、あの場所には何かしら彼女達のより詳しい素性やあの後訪れたであろう紫髪の少女の足取りが掴めるものがないか」

エルフナイン「あるいは、レイアが来たことによる何らかのキャロル達の痕跡が残されていないか、調べてきてほしいんです」

エルフナインちゃんは一応キャロルちゃん達に命を狙われている、ということになっていますし、レイアさんがあの場所にまた来ないとも限らないから奏者にも来てほしい、ということですね
キャロルちゃん達の痕跡...映像だけを見てみればせいぜいあってもレイアさんのコインくらいだとは思いますが、だからといって何もないと決めつけて後から何か落として行っていた、とならないとも限りません
調べに行く価値は十分でしょう

切歌「ならアタシ達が」

調「今日まだ何も出来ていない。大丈夫、ヘマをするつもりはない」

夏菜「なら、私も」

クリス「なら引率はアタシだ。後輩ばっかに任せておくわけにもいかないからな」

調「...」

・・・

クリスさん切歌さん調さん夏菜さんの四人が護衛となり、調査隊が出発しました
もう夜も大分遅いので、もしかしたら帰ってくるのは明日になるかも

響「行っちゃったね...ねぇ未来、クリスちゃん達が帰ってきた時すぐご飯出してあげられるように何か買いに行こうよ!エルフナインちゃんにも差し入れとか!」

未来「響?...あぁ、そういうこと」

響さん、さっきの映像を見て苦しそうな顔をしていた未来さんに外の空気を吸いに行かせてあげようってことでしょうか
響さんもそう大して変わらない表情でしたが
今未来さんが納得したような声を出す前に一瞬こちらを見た気がしましたが、多分気のせいですね

未来「うん、行こっか。優しいね、響」

響「な、何のことかな~...ほら、翠ちゃんも行こ?」

翠「...え?私ですか?」

完全に傍観者というか視聴者というか、第三者目線になっていたところを突然声をかけられてちょっとびっくりしました

未来「うん、ほら一緒に」

翠「未来さんまで...じゃ、じゃあお供させてもらいます...」

普通に響さんと未来さんで夜のデートしに行くのかと思ってました
何で私まで呼ばれたんでしょう...

・・・

スーパーの帰り道、何袋かに別れた買い物袋をそれぞれ手に持って三人で並んで帰っています

未来「買い過ぎじゃない?」

響「余ったら私が食べるから問題なし!」

それは問題あると思いますけど

響「たまにはいつもと違う道通って帰ってみようよ!」

未来「そんなこと言って...また迷子にならないでよ?」

響「その時はほら、翠ちゃんいるから」

翠「私はカーナビか何かですか...テレポートジェムは使いませんよ?」

まさかその為に読んだわけではないでしょうね?
というか私に頼られてもせいぜい地図アプリを使うくらいのことしかする気はありません

しばらく雑談をしながら歩いていると、とても古びて廃墟と化したマンションが目に映りました

翠「ここって...」

未来「このマンションがどうかしたの?」

翠「あぁいえ」

ここは確か一期でクリスさんがフィーネさんから逃げ、未来さんに助けられた後隠れ家にしていたマンションです
ししょーがあんぱんと牛乳の差し入れをした...へぇ、こんなところにあったんですね

響「住人もいないし古いしで取り壊す~なんて噂もあったけど、まだ残ってたんだね」

未来「そういう噂が立つ所に限って残ってることが多いような」

翠「閉店セールしてるのに一向に閉店する気配がないお店と似た感じですね」

と、その時マンションの入り口の辺りで物音がしました
反射的に近くの物陰に隠れた私達はそっと覗いてみると

響「人...女の子が4、5人いる?」

未来「でもこのマンション、もう誰も住んでないって...」

翠「...待ってください、あの人って」

マンションの中に入っていく数人の中にいた一人に見覚えがあります
あの髪、あの顔は間違いなく

響「今日いた人工奏者の...!」


どうする?安価下

なんでしょう、ここは行き場のない人が集まる運命なのでしょうか
そのうちなんらかの理由で行き場をなくしたら私もここに来ましょうかね

未来「...どうする?」

翠「う~ん...もう少しだけ様子を見て、気取られる前に帰りましょう。そんな感じでどうですか?」

響「う、うん...ちなみに話しかけに行くのは」

未来「響」

響「ダメ、だよね、はい」

なるべく音を立てないよう耳をすませていると、かすかに紫髪の人の話し声が聞こえてきました


???「後は私だけでやる、みんなはここに隠れてて」


聞き取れたのはその台詞くらい
それに対して他の仲間らしき人達は反論しようとしたりなんだりとしていたようですが、結局納得させられたのか紫髪の人に対して頷いて、マンションの中に入っていきます

翠「...帰ってししょーに報告しておきますか」

未来「だね、行くよ響」

響「あっうん」

・・・

そんなこともありつつ、本部に向かおうとした矢先

響「あれ~?」

翠「まさか...」

未来「響...」

プチ迷子になりました
私も未来さんも「そうは言っても」という感じで響さんを頼って付いていったらこの始末...

響「えっと...あっち!あっちが私を呼んでる気がする!」

未来「翠ちゃん」

翠「今地図アプリ出しますね」

スマホを取り出そうとポッケを探ろうとしたその時


「こんばんわ...あら、剣ちゃんは一緒じゃないのね」


三人「ッ!!!」

暗がりの向こう、街灯が少ない道の先に人影が見えました
今の声、まさか...

ファラ「地味に残念」

☆☆☆

で~れれ~で~でん!

☆☆☆

《数刻前》


長い、だがオレの生涯からすればそれは刹那であったが、長い眠りからオレは目覚める
最後の予備躯体にようやく記憶が馴染み、身体を動かせるようになった
棺の形をした容れ物は開かれ、オレはその外に出る
広間を見渡せば、レイア、それにやや不恰好になったファラ、そして敗北を示すガリィとミカの垂れ幕

キャロル「そうか...ミカまでも...いや、少し違うか」

よく見ればそれは完全な敗北ではない、印が途中で途切れている
オートスコアラーとしての本来の機能が失われた状態なのかもしくは...ともかく、未だどのような形かはわからないが健在なのだろう

レイア「お目覚めになられましたか、マスター」

キャロル「あぁ...そのファラはどうした」

レイア「一度派手に散りました。しかし務めは未だ...私が3600秒ほど使い、地味に修復を試みているところです」

キャロル「そうか...」

ファラはすでに両眼と両腕を失い、身体も継ぎ接ぎ
よく見ればオレが以前オートスコアラー作りの際に余らせたものまで組み込んであるようだ
レイアにはそういった技術面の機能は備わらせていないはずだが、レイアの中にあるオレの思考パターンのいずれかにオートスコアラーを修復出来るほどのものがあったのだろう

ファラ「その声、マスター、お戻りになられましたか」

破損はかなりのものだったのだろう
声だけ聞けば正常だが、あらぬ方向に話しかけている

キャロル「あぁ」

ファラ「これからいかがなさいますか?」

キャロル「言うまでもない。万象黙示録を完成させる...この手で奇跡を皆殺すことこそ、数百年来の大巌」

目に意識を集中させ、とあるところに視覚をリンクさせる
その先にあるのはエルフナインの視覚だ
あれでももと予備躯体、視覚共有など容易い

エルフナインの視覚越しに見えたのはいくつかの資料...錬金術とシンフォギアを兼ね備えさせたホムンクルスの人工奏者か
だがオレから言わせてみれば資料に書かれたそれは錬金術と呼ぶにはいささか未熟
所詮は見様見真似というところだな

キャロル「ミカとファラを散らせたのは」

レイア「贋作のシンフォギア...ミカはエネルギー不足故に隙を突かれ、ファラは力のみの押し付けに敗れました」

キャロル「そうか...力だけの贋作も、目的の障害...躓かせる小石程度にはなり得るか」

ならば消すまで

レイア「ですが、リーダー格以外は私が」

キャロル「いや、そうでもないかもしれないな」

エルフナインが見ているこの資料、この情報が確かなら、生き残りがいる可能性もある

ファラ「なら次こそ私が派手に散らせましょう。やられたままなのは地味に嫌ですわ」

明後日の方向を見ながらそう言うファラ
...何だ、この違和感

レイア「完全な思考回路の修復は地味に困難。故に私のものを所々転写させました」

キャロル「それか...!」

ま、まぁガリィの性根が腐った思考が増えるよりはマシか...

キャロル「まぁいい、なら行け」

ファラ「では」

口に咥えたテレポートジェムを噛み砕き姿を消すファラ

これでうまく行かずとも、まだ手はある
その時はその時だろう


ドクンッ


キャロル「ぐっ!?」

その時、身体に電流が走ったような錯覚に襲われ体制を崩しかけた

レイア「マスター、最後の予備躯体は不調ですか?」

キャロル「負荷を度外視した想い出の高速インストール...さらに自分を殺した記憶が拒絶反応を起こしているようだ」

レイア「いかがなさいますか」

キャロル「無論、まかり通る」

まだ計画はほとんど進んでいない
否、ここからだと言ってもいいだろう

キャロル「歌女共が揃っている...この瞬間を逃すわけにはいかぬのだッ!」

だからその為に、早いところダインスレイフをシンフォギアに組み込み挑みに来い、エルフナイン

☆☆☆

で~れれ~で~でん!

☆☆☆


響「どうして...」

翠「まだ生きていた、ということですか」

理由はもはやどうでもいいです
死にきれていなかったのなら、もう一度地獄に送り返すのみ!


コンマ下1
奇数 ビッキー復活
偶数 ビッキーまだちょっと復活には足りない、先に帰らせる

どのギアで行く?安価下2
1 アメノムラクモ
2 アスクレピオス(戦闘不向き?)
3 イミテーター(何か模倣する際は何を模倣するか記述)
4 イミテーター(銀色のギア)
5 アメノオハバリ

(ちょっとファラさん復活させるのに手間取りました...この程度の辻褄合わせ、ししょー相手に逃げなきゃいけない戦いに比べたら!)
(嘘です。とりあえずこれまでも出来るだけ安価は採用してきたので、余程の矛盾でも起きない限りは頑張ろうと思います。ですが、だからといって矛盾した安価を沢山出されると...)

翠「くっ...まだ響さんのガングニールは完成していないのに...!」

響「こうなったら夏菜ちゃんので...っ...~!...~!...何で...」

夏菜さんのガングニールのギアペンダントを握りしめる響さんですが、やはり私の励ましでは...
丁度未来さんもここにいることですし未来さんに響さんの背中を押せる一言を言ってもらいたいところですが、今は緊急事態です

未来「響、ここは任せて一度本部に戻ってこのこと伝えて」

翠「響さんには買い出ししたこの食材やお弁当の数々を無事に本部まで送り届けるという大役をお願いします」

響「未来...翠ちゃん...」

買い物袋、そしてテレポートジェムを一つ渡し、そう伝えました
響さんも歌が浮かばないことに対し落ち着いてきたのか、力強く頷いてテレポートジェムを地面に落とします

パリンッ

響さんがテレポートしたのを見届け、私と未来さんはそれぞれ聖詠を


「Rei shen shou jing rei zizzl」

「Stealer Imitator tron」


銀色のギアは未だ解明しきれていませんし、普通に模倣戦法で行きましょう
ファラさんはまだ不調なのか動きは多少鈍そうです
が、剣で行くのは危険...何せあの状態でも絶対にソードブレイカーが使えないとも限りません
ソードブレイカーは回収しましたが、一本しかないと決めつけるのも軽率ですし

翠「コピー!イチイバル!」

クリスさんのイチイバルのギアを頭に浮かべ、イミテーターにそれを反映させていきます
そしてバイザー越しにファラさんをスキャンし、どこかに弱点がないか検索を


弱点安価下

スキャンした結果、全体的にファラさんの身体は継ぎ接ぎだらけなのがわかりました
さらに

『複数の関節部からエネルギーの漏洩を確認。引火による誘爆を用いた場合、内部からの破壊が可能』

ご丁寧に解説まで
要はその身体を動かしている頭部、あるいはそれらを繋ぐ胴体に一撃でも当てられさえすれば動きは止められますし、火をつければ勝手に爆散してくれると

翠「随分と脆い作りになりましたね」


どう戦う?安価下

翠「未来さん!頭か胴体に一撃入れるか引火させられれば倒せます!」

私はそう言いながら腰のアーマーを展開し、両手にガトリングガンを握りしめました

未来「わかった!はぁっ!」

未来さんにファラさんを私の射線上に誘導してほしい、と言うまでもなく未来さんはそれをやろうとしてくれています

ファラ「派手な動き。風がよく流れます」

しかし未来さんの光線や扇子の打撃を視覚無しの状態で次々と避けていくファラさん
風を肌で感じ場所を特定しているというのでしょうか

未来「すばしっこい...!」

ファラ「ふっ!」

未来「きゃあっ!」

未来さんはファラさんの回し蹴りを扇子で受け止めましたが、抑えきれず僅かに体制を崩してしまいます

ファラ「私、やられたらやり返す方ですの。両眼に両腕...数は丁度揃ってましたわね?」

翠「何を...っ!」

こちらにもかまそうとしてきた蹴りをガトリングガンで受け、一度後ろに跳んで後退

翠「撃ち抜けっ!!!」


『BILLION MAIDEN』『MEGA DETH PARTY』


二つのカットイン技を同時に放つ...つまり、腰部の小型ミサイルとガトリングガンを一度に稼働させました


コンマ下
奇数 破壊成功
偶数 防がれた...!
ゾロ目 だからこの一件は任せろと

ファラ「防げないとでも御思いで?」


パリンッ
パリンッ
パリンッ


私の小型ミサイルと銃弾は出現したアルカノイズの大軍によって阻まれてしまいます
いえ、それと同時にかなりの数が減りましたが、まだまだいるようで

ファラ「さぁ、いかがなさいます?」

そう言って舌をペロリと出すファラさん
舌の上にはアルカノイズ召喚用のテレポートジェムがいくつか乗っていて、正直ばっちいです


どうする?安価下

次々と数を増すアルカノイズ
ちまちまと消していても埒が開きそうにありません

未来「どうしよう」

翠「どうしましょう...こういう時にクリスさんだったら...」

イチイバルを纏って戦うクリスさんを模倣するのなら、戦闘スタイルもそうするのが一番イチイバルを引き出せるはずです
マリアさんとの特訓で学んだ動きのトレース方法を今...
まずは思考、そして細かな動き
一つ一つに目を配りつつ、全体を通して...
クリスさんならこんな時

翠「無理矢理にでも埒をこじ開けるッ!」

両肩に装甲を伸ばし、そこから大型のミサイルをそれぞれ組み立てていきます
過度な威力は今はいりません
ファラさんまでの道を開けるだけ!


『MEGA DETH FUGA』


翠「発射っ!!」

アルカノイズの大群に突っ込んでいく二つのミサイル
それは分解されながらも文字通り道を開かせていき

未来「見えた!はあぁっ!!」

未来さんはその道の先に立つファラさんに向けて円形に広げた扇子を飛ばしました

ファラ「消されたのなら足せば...ッ!」

翠未来「「!!!」」

その扇子がファラさんに届く直前、ファラさんの後ろから眩い光が
あまりの眩しさに目を閉じてしまいます

ファラ「ッ!!!...あはは...はは...」

目を開けてみるとそこにいたファラさんの胴体には大きな穴が開き、未来さんの飛ばした扇子は姿を消していました

ファラ「派手に散るのは...私の方...アハハハッ!アハハハハハハハハハッ!!アハハァァァアアアアアアッ!!!」

笑い声が夜の街に響きながら、爆散
今度はその爆発の衝撃が襲いかかろうとしています

翠「ッ!コピーアメノオハバリッ!!」

聖詠では間に合わない、その判断を脳が下し咄嗟にアメノオハバリへイミテーターをイチイバルからチェンジさせ、突き出した手のひらから耐火の防護結界を私と未来さんの前に張りました
耐火性のはずですが、それでも熱は僅かに伝わり、手のひらが暑い日の乾いたプールサイドに押し付けられたように熱く感じます

未来「翠ちゃn」

翠「保たないかもです!退いて!」

未来「わ、わかった!」

未来さんが後退し、少ししてようやく爆風が収まりました

未来「翠ちゃん、手は!?」

翠「熱かったですけど火傷とかはしてないと思います...」

もう少し長い間だったらどうだったかわかりませんけど

翠「それよりファラさんは...」

ファラさんがいた場所は大分地面も割れたり溶けたりしています
そしてもはや全壊となったファラさんの残骸

翠「三度目の正直...これでやっとファラさんは」

まずいですねぇ
キャロルちゃんがイグナイトのデータ集めるために作ったオートスコアラーの4分の3が使い物にならなくなってしまいました
まぁレイアさんの妹さんもいますけど...これキャロルちゃん新しいオートスコアラー作るフラグとかじゃないですよね?

未来「さっきの光って、もしかして」

翠「かも、ですね」

あの時の光、今日の紫髪の人工奏者が放ったプラズマカノン砲によく似ていた気がします
それが錬金術の分解の力も兼ね備えた技だったとすれば、さっき未来さんの扇子が消えていたのにも説明が付きますし...

翠「あ、マンション!」

確かめるわけではありませんが、人工奏者の人達が入っていったマンションに戻れば何かわかるかもしれません
響さんには戦闘が終わったことを伝えて一度マンションに戻りましょう

・・・

紫髪の人工奏者の人と四人の仲間の人らしき姿を見たマンション
そこに戻った私達が見たものは

未来「っ...」

翠「嘘...」

炭の山が四つ
それこそ、人がノイズに襲われた後のような


ファラ『私、やられたらやり返す方ですの。両眼に両腕...数は丁度揃ってましたわね?』


まさか、そういうことですか...


どうする?安価下
(特になければ本部に戻ります)

翠「くっ...」

今のキャロルちゃん達には本来使えてなかったはずのノイズが使えます
しかしそれは原作でバビロニアの宝物庫内のノイズがネフィリムノヴァの爆発により消滅したとされているから
そうでないこの世界、さらには平行世界ともギャラルホルンによって繋がっている今、そもそもノイズを解析出来たキャロルちゃん達がそれを利用しないはずがありません
現に何度もキャロルちゃん達陣営の使うものの中にノイズは確認出来ていました

つまりは、これもそういうことでしょう

未来「翠ちゃん、アレ...」

未来さんの指差す方、炭の山の近くに何かが落ちていました

翠「紙...?」


拾い上げ中を見てみると、それは


『残された時間がもうすぐ終わる』

『長くはない』

『アンタならやれる。アンタがリーダーで良かったと思う』

『誕生日、祝いたかったけど、無理そうだから』

『もしもの時は、後は任せる』


そんな言葉が並ぶ、まるで自身の死が近いことをわかっていたかのような遺書
あの紫髪の人へ向けた言葉が目立つ、想いを託すような内容です

翠「...」

そっと手紙を元あった場所に置き、せめてもの弔いとして膝をつき合掌

私はまだ人工奏者がどのような存在なのか、それほど理解しているわけではありません
夏菜さんのことを色々聞き、身体の作りや成長速度、他にも色々と私達とは異なる部分があるということはわかります
それでも、やっぱり私は彼女は...彼女達は人間だと思います
私達のように感情があり、考えることが出来、怪我もするし寿命もおそらく
そして、人間のみを対象とするノイズも脅威となりうる

翠「...行きましょう、未来さん。ここは...私達がズカズカと入ってはいけないところです」

未来「それって...ううん、そっか。わかった」

いつ紫髪の人がここに来るかわかりません
もしかしたらもう来ているのかもしれませんし、もう来ないのかもしれませんが
だとしても、ここは...この空間は彼女達のものです

☆☆☆

で~れれ~で~でん!

☆☆☆


クリス「そっちは何か見つかったか?」

切歌「全然デ~ス」

調「そもそも家具も崩れすぎて探し難い」

夏菜「他の部屋もエージェントの人達と探してみてますけど...」

後輩達と来てみたはいいが、こりゃ思った以上に部屋が荒れてやがる
ここ以外の部屋も荒れてっから、それだけ戦いが激しかったってことなんだろう
まさか先輩みたいな理由でもないだろうし

クリス「隠れ蓑にしただけでそういうのは特に持ってきてねぇのか...?」

脱走となると、むしろ生きるだけで精一杯だったのかもしれない
生きるだけで精一杯...か

クリス「...ん?」

瓦礫の下にファイルがいくつか落ちて...

クリス「ッ!おい!誰か手伝ってくれ!」

夏菜「何かあったんですか?」

クリス「いいから!そっち持て、行くぞ、せー...」

クリス夏菜「「のっ!」」

瓦礫を退かしファイルを拾い上げてみると、そこには確かに重要そうなことが書かれていた
ビンゴか

夏菜「この図...やっぱり私の父のと同じ...」

クリス「ここにいたやつらのことも書いてあんのか」

自分達の観察記録を盗み出してきてたってことか...
ん?

クリス「『RN式回天機装束』?...っ!櫻井理論だと!?」

☆☆☆

で~れれ~で~でん!

☆☆☆


レイア「では、派手にこなしてきます」

キャロル「あぁ、後はお前一人だからな。必ず成し遂げて来い」

レイアがテレポートしたのを確認し、オレは座に座り直した
エルフナインが何を思ってガリィやミカを回収しS.O.N.G.に持ち込んでいたのかはわからないが...いや、大方の予想はついているが、ある意味好都合だったと言えよう

キャロル「ガリィとミカを遠隔操作と自爆装置によってS.O.N.G.本部の動力炉を破壊。あの潜水艦はこれでしばらく動きを止めた...レイアもやり易かろう」

念のためファラと同じように風のエネルギーを操る簡易的な外付けな玩具も与えた
あれを使えばやつらの目に映ることはない

キャロル「...来たか」

後はレイアがこれから持ち帰るものとオレが手ずから手に入れるつもりであったチフォージュシャトー完成の最後のパーツさえ集まれば、という時に...やはり小石程度には癪に触る
広間内に響き渡る警報音とシャトー各部破損の知らせ
少し錬金術による空間同士の接続を応用し防犯カメラのように各所を覗いてみれば、紛い物のシンフォギアを纏うホムンクルス共がうじゃうじゃと

キャロル「力くらいしか取り柄のない土塊が...オレの前に立ちはだかるか」

シャトーの被害は広がり、遂に無視出来ないほどになっていく


『突撃!』

『今こそ我らの力を見せる時!』


さらには、シャトー各部を爆破していた工作部隊らしきやつらとは別の少数部隊がこちらへと向かっているのが見えた

キャロル「システム稼動」

オレの元へ向かうか
ならば見せてみろ、お前達が『想い出』に打ち勝つ様を

☆☆☆

で~れれ~で~でん!

☆☆☆


港に止まっている本部へ向かうと、何故か消防車がいくつも来ていて放水活動をしていました
そして、響さんやししょー達は本部の外に

弦十郎「戻ったか、翠くん、未来くん」

翠「これって?」

エルフナイン「僕のせいです...僕がもっとシステムをよく見直しておけば...」

エルフナインちゃんが自虐モードに入っていて聞き出せません
響さ~ん

響「連れ帰ってたオートスコアラー二体が急に勝手に動き出して、命令とかも聞かなくて...本部の動力炉まで行って自爆...」

翠「自爆!?」

ガリィさんも、ミカさんも!?

翼「幸いにも避難は早く、シャッター等の対応策も早かった為被害は各自の部屋も含めてそれほど広がっていないが...しばらくは動かせないだろう」

未来「そう、なんですか」

だから今翼さんはマリアさんをお姫様抱っこしてるんですね
マリアさん顔真っ赤ですよ

弦十郎「翠くん、そっちはどうだった」

・・・

弦十郎「そうか...」

消化活動が終わり、難を逃れていた会議室にとりあえず集まった私達
私と未来さんはファラさんの爆発、その時見た人工奏者のプラズマカノン砲と思しき光、そしてマンションに残されていた炭の山等、さっきあったことを話しました

弦十郎「それで、例の彼女はそこに現れたのか?」

翠「いえ...もしかしたらあの後戻って来たかもしれませんが、おそらくもう」

弦十郎「うむ...」

紫髪で、オレンジ色のギアを纏い砲剣を扱う、今脱走した人工奏者の中で唯一生存の可能性が大きい人工奏者

弦十郎「彼女の足取りを掴む方法を、考えたいと思う」

翼「司令...いえ、叔父様、それは」

弦十郎「あぁ、無論、彼女の保護も視野に入れた上でだ」


足取り追う方法安価下
(女神「『奏者』じゃなくて『装者』らしいですよ」

翠「ぐほぉ...」)

(すぐに忘れてきっとまた間違える適合者失格な無能作者の私は奏者装者問題によってまた一つエタらせようか迷うのでありました...とりあえずこれの次のレスからはなるべく気をつけます!)

ししょーがそう言い出すのはなんとなく予想していました
ここにいる装者メンバーの中でそうじゃないのはもともと身内の翼さんくらいですし、他は相手が相手なら私も含めて無理矢理装者として利用されるか聖遺物を取り上げられてもおかしくない立場でしたし

翠「でも足取りと言っても...」

それが出来れば苦労はしない、という気もします
捕捉しても彼女はすぐにテレポート出来てしまいますから


バンッ


ウェル「この僕の神の頭脳が、必要になりましたか」


その時、会議室のドアが開け放たれ格好付ける杉田さんが立っていました
何をどこぞの神の才能みたいに言ってるんでしょう

ウェル「神の頭脳を持つこの僕がっ!その人工装者の探索を手伝ってあげましょう」

弦十郎「策はあるのか、ウェル博士」

ウェル「簡単な話です...彼女が纏うシンフォギア...紛い物かどうかはさておき、聖遺物を纏うならその反応を追えばいいだけのこと」

友里「しかし彼女は戦闘時歌を口にしていません。フォニックゲインを捕捉出来るかどうか」

ウェル「そんなもの僕からしてみれば精度の問題でしかありませんねぇ...そもそも聖遺物そのものを探す時フォニックゲインはほとんど役に立ちもしない」

一理ある気もします
例外ではありますが、響さんに渡したガングニールの探査機も別にフォニックゲイン由来の反応を検知するものではありません
人工装者であることに気を取られ、大きな見落としをしていたのかも


クリス「だったらさっさと作業したらどうなんだ?神の頭脳さんよぉ」


翠「クリスさん!皆さん帰ってたんですか!」

変態を押しのけながら会議室に入ってくるクリスさんや切歌さん、調さんに夏菜さん
それに緒川さんも帰ってきてますね
どうやら調査は終わったようです

ウェル「ふんっ、そうは言っても僕はこう見えて忙しいんですよ...もはやこのS.O.N.G.を動かしているのは僕と言っても過言ではないっ!」

ナスターシャ「それは過言です」

弦十郎「まぁ、彼の頭脳が支えになっているのも嘘ではない。それで、何が言いたいんだ?ウェル博士」

いちいちポーズと変顔していないで言いたいことがあるならとっとと言えばいいのにと思ってしまいます
何でしょう、交換条件とかでしょうか

ウェル「手伝うとは言いましたが、代わりに条件...僕のとあるプロジェクトに協力をしてもらいたいのですよ」

ほらやっぱり
とあるプロジェクト...ネフィリム云々フロンティア云々はネロさんがいる限り手は出せませんし、余程のことでなければししょーが黙ってないはず
それはこの変態も百も承知でしょうし、妥当なのは彼好みのお菓子でもお菓子の会社に製造してもらうとかそんなところですかね


ウェル「蒼井翠...貴女に、ね」


翠「...へ?」

話半分に聞いていた私は思わず、ポカンとしてしまいます
まさか私に話を振られるとは思ってもみませんでした...え?私が協力?

ウェル「詳細は後日...貴女が僕達に協力すること、それが条件です」

クリス「おい待て、何で翠個人を指名してんだ!ちゃんと理由はあるんだろうな!?」

クリスさんがつっかかろうとしますが

マリア「まぁ待ちなさいクリス。大丈夫、問題ないわ」

切歌「マリア?」

マリアさん?何で問題ないなんてわかるんです?

マリア「彼の言うプロジェクト、実は私もマムも関わっているもの」

翼「何っ!?」

翠「マリアさん達が!?」

ナスターシャ「このような形で言うつもりではありませんでしたが...」

う~ん...まぁチョロインそうなマリアさんはともかくナスターシャ教授も関わっているなら危ないことではないのかもしれませんが

ウェル「さぁ!」

翠「...わかりました。マリアさんとナスターシャ教授を信じて、出来る限りのことはしましょう」

翼「翠!」

未来「だ、大丈夫なの?」

今はそれより人工装者の人の方が先決ですからね
うだうだ言うよりとっととこの変態に仕事をさせるべきです

弦十郎「ウェル博士、事を始める前に一度俺にも詳しく説明してもらうぞ」

女神「翠さんの保護者として、私にも聞かせてもらいましょう」

女神様こういう時だけ存在感出そうとするんですよね...ほとんど表向きは目立った事していないから

ウェル「いいでしょう...それで?貴女達はまさか手ぶらで帰ってきたわけではないのでしょう?」

調「癪に触る言い方」

夏菜「私達が見つけてきたのは、これです」

夏菜さんが会議机の上に置いたのは、分厚いファイルでした

緒川「他にもいくつか見つかっています。どれも瓦礫に一度埋もれ汚れていますが」

さらに増えるファイル
研究所から脱走した時に持ってきたのでしょうか...それとも、脱走した後何か研究したものなのか

弦十郎「これは...『RN式回天機装束』...どこかで聞いたような気がするな...?」

ウェル「ほう、そういうことですか...!」

どういうことですか

☆☆☆

で~れれ~で~でん!

☆☆☆


『よせ...よせ...!』

『ごめんなさい...見捨てたくて見捨てたんじゃ...ごめんなさい...』


キャロル「システムはきちんと作動しているようだな」

対象者の『想い出』から構築したトラウマ、後悔といった感情を具現化し追い詰める...作られて日が浅いやつらにも効果は十分


『惑わされるな!そいつらは本物じゃない!』

『ここで止まればそれこそ処分されたあいつらに示しがつかない!』

『進みましょう、彼女達の分までやると決めたのは私達自身です!』

『おぉ...おぉ!そうね!そうだった!』

『やるぞ!』


キャロル「ほぅ...意外だな』

この手の罠があることを見越していたのか、対策がなっている
よもやそんな詭弁や感情のみで押し通るとは思わなんだ

キャロル「ここに着くのも時間の問題か...なら、この身であるのを貫くのは望み薄」

すでに幾度となく身体を変えてきた俺にとってもはや自身は人の身ではない
が、それでもやはり人の形が好ましかったのだが...止む終えん

キャロル「万象黙示録の完成...命題の方が優先順位ははるかに上だ」

確かやつらの武装は錬金術対策がしてあったな
それも防ごうと思えば防げるが、あえて...

バンッ


ドアが乱暴に開けられ、銃らしき武器を構えた人工装者が次々と広間に入ってくる

「見つけたぞ!錬金術師!」

「貴女の悪行もそこまでです!」

「世界の分解なんてさせないっ!」

威勢のいいことだ
おそらくは大した知識も与えられず道具のように育てられたのだろう
中には意思を持つ者もいるようだが...所詮は兵器か

キャロル「お前達ごときの模造品がその程度の数でオレを仕留められると?」

たかだか錬金術を齧った程度で...

「普通なら無理でしょう。貴女達の力量は痛いほど知っています」

「だからこそ、まともに戦っても勝てない事を見越して、これをくすねて来たのさ!一斉に発射っ!!」

「「「発射!!!」」」

全方位から放たれたそれは弾丸ではなかった
液体の入った注射...中身は

キャロル「...ゴフッ」

「どうだ!特性ブレンドのLiNKER...それも規定量の3倍!!」

「研究所に内緒で持って来た甲斐があったわ!」

口からは血と胃液が溢れ出し、LiNKER過剰摂取のマックシングと急性中毒による肉体の拒絶反応からか全身がむず痒くなる
筋肉や神経は弱り、腕や脚、至る所がやせ細っていくのがわかる

中々考えたじゃないか...

「よし!効いてるぞ!」

「今だ!確実に仕留めるんだ!」

「あの子達の分まで私達がっ!」

「選ばれるのはアタシだぁっ!!」

あぁ、苦しい
苦しくて苦しくて


思わず笑みが溢れてしまいそうだ


ドッ!!!


オレの身体の内側から溢れ出たエネルギーの余波が辺り一面に広がり、オレを囲んでいた人工装者達を声すら上げさせることなく一瞬で吹き飛ばしていく
どいつもこいつも四肢はもげ、頭は弾け飛び、内臓は引き裂かれている
その中心に立つオレの姿はもはやこれまでのものではない

キャロル「ふ...ふふっ...ふっはっはっはっ!!!成功だ...薬物と滅び行く肉体のせめぎ合いの果てッ!薬物を凌駕する例外の存在ッ!!!」

そう、この新たな身体は言うなればダイヤモンド
完成された肉体だ

キャロル「自らを殺すという矛盾のみを条件に存在する肉体400年間その拷問に耐えオレは今錬金術を超えたッ!!!」


キャロルちゃんのパーフェクトボディ見た目安価下
(安価内容云々は...えぇ、矛盾しない限りと言ったのは作者の私ですので、言っただけの責任はLiNKER使ってでも...!なので1日の更新速度が遅いのと量が少ないのだけは見逃してください...)
(ウェル博士もキャロルちゃんもどこぞの神みたいに...あ、今日はその神と監察医の映画と遂にシンフォギアのライブの日ですね!行く人は気を付けて行ってきてください!てかもう寝た方がいいと思います!私は用事があってどちらも行けません!こんな世界滅びればいい)

(翠「ひな祭り...昔ながらの雛人形が少しだけ怖かったり...あ、でも甘酒は甘くて好きですよ!ってマリアさん何するんですか!返してくださ...あぁ...もういいです。今日は耳の日です。それ以外の何物でもありません」)

キャロル「良い...良いぞ!力がみなぎる...!」

青黒く変色した皮膚の向こうで、エネルギーとフォニックゲインが渦巻くのが感じられる
近しいのは以前試しにダウルダブラのファウストローブを纏ったときの感覚か
これまではあの日のことを忘れぬようあの日のままの姿でいたが、今は違う
より成長した姿...やはりこの方が戦いに向いているのは明らかだろう

キャロル「素晴らしい...」

悦に浸っていると、錬成陣と共にレイアが戻ってきた

レイア「戻りましたマスター...この散らかりよう、それにその姿は」

キャロル「戻ったか。ふふっ、どうだ!この完璧な完成された肉体は!」

レイア「マスター...いえ、マスターが満足なら」

ふむ、やはりオレの思考パターンとはいえ一部ではこの素晴らしさが完全には理解出来ないか...いや、この際構わない

キャロル「レイア、戻ったからには手に入れてきたんだろうな?」

レイア「地味な役回りですが、当然」

キャロル「よし、後はヤントラ・サルヴァスパと呪われた旋律を手に入れれば...」

そうすれば目的は果たされる
目的?目的...あぁそうだ、万象黙示録を完成させること
父の残した命題

キャロル「あぁ、待ち遠しい...早くするのだエルフナイン!お前が歌を呪わせ、それをオレが奪う...そうして万象黙示録は完成するッ!」


☆☆☆

で~れれ~で~でん!

☆☆☆


弦十郎「ウェル博士、ナスターシャ教授、それからエルフナインくんは人工装者の足取りを頼む。装者は引き続き待機班と念の為再び彼女達の旧アジト内の詮索に当たってくれ」

翠「なら今度は私が詮索に」

何かを見つけられるかは運次第ですが、もしかしたら原作知識が役立つかもしれませんしやるだけやってみましょう


他に詮索班誰が行く?安価下
(誰も行かない場合は翠ちゃん一人とエージェントの人達で詮索に当たります)

クリス「アタシも行く。いいな?」

翠「え?でも」

クリス「い・い・な?」

翠「はい」

クリスさんはさっきまで調査していましたし、時間も時間なのでこれから始めたら夜通し、最悪朝になるまでやることになります
なので休んでもらった方がいいと思ったんですが

翼「それなら私も行こう。今日は昼の戦いの後何もしていない。一番体力が回復しているのも私だろうからな」

弦十郎「なら、翼、翠くん、クリスくんの三人は再び人工装者達の元隠れ家の調査を頼む」

・・・

調査に向かう準備をしていると、響さんが私達のところに来ました

響「はい、行きにでも食べて」

クリス「あ?おにぎり?」

翠「さっきスーパーで買ったやつですか」

響「本当はもう少しゆっくり食べてもらいたかったけど、またこうなっちゃったから」

そういえば夕飯どころかお昼も今日まだ食べてなかったかもしれません
買い出しに付き合っておいてすっかり忘れていました

翼「だ、だが私は夜9時以降の食事は控えて」

未来「緒川さんには許可をもらってます。翼さんも後でちゃんと食べてください」

翼「緒川さん!?」

緒川「アーティスト風鳴翼の健康管理のサポートもマネージャーの仕事です。カロリー等問題ありません」

音もなく現れる緒川さんは錬金術に対抗出来る気がします
多分テレポートとかそんなチャチなもんじゃないんですよ、NINJUTSUは

クリス「マネージャーって便利だな」

翠「クリスさんはマネージャーいたとしても言うことあんまり聞かなそうですよね」

クリス「そうか?これでもフィーネの言うことずっと聞いてきたし...むしろお前の方が聞かなそうっていうか聞いてるフリして隠れて反抗してそうな気がするな」

翠「いやいやまさか」

なんて話をしているうちに準備も終わり、あとは向かうだけです

翠「よっと...ん?どうしました?」

立ち上がり移動しようとしたその時、最近はいつも部屋でお留守番してくれていた蛇達が珍しく擦り寄ってきました

翠「分解される可能性大のあなた達は連れていけませんよ?何で急に...切歌さん、調さん」

切歌「用デスか?」

調「何?」

少し離れたところにいた二人に声をかけ、蛇達を持ち上げて差し出します

翠「この子達が急に...私が行っている間、相手してあげてほしいんです」

切歌「おー!任せるデス!」

調「ん、仲は良好。安心して行ってきて」

翠「ありがとうございます」

もしかしたら最近あまり構う時間が取れずに蛇達暇を持て余していたんでしょうか
まぁ切歌さんと調さんに遊んでもらえば大丈夫でしょう、もし何かあれば喋ってくるはずですし

・・・

ヘリを使いたどり着いた人工装者の人達の元隠れ家
聞いていた通りの崩れようです

翠「さて、何かしら出てくるといいんですが」


コンマ下
奇数 日記やデータログ発見
偶数 特に見つからない
ゾロ目 ???
(あとまるまる1年...長いようなすぐなような...)

・・・

翼「やはり、そう簡単には見つからないか」

クリス「1回目のときだって一応隅々までやったからな...」

2回目となる今回は余計に何も収穫が...

翠「...あれ?」

ガラガラと瓦礫を動かしたりしていて気付きましたが、この瓦礫、壁にしては厚すぎませんか?
まさか家全体が防音の壁...いえ、それにしては壁の作りや層が防音のそれと異なります

翠「...えいっ!」

試しにその辺に落ちていた小さめの瓦礫を大きな瓦礫に投げつけてみました

クリス「お、おい何やって...!」

翠「ビンゴ...ですかね?」

小さめの瓦礫はぶつかった後少し欠ける程度でしたが、大きい方は簡単にヒビが入りガラガラと崩れ始めます
そして中が空洞になっていることが判明しました

翼「この瓦礫はハリボテ...崩れた際中身の箱を中心にこの形になるよう仕込まれていたのか」

翠「箱の中身は何じゃろな...ノートと...SDカード?」

瓦礫の中にあったのは、数冊のノートとケースに入れられたSDカード
どうしてこんな所からこんな物が...


どうする?安価下
(瓦礫云々の細工が実際に可能かどうかは知りません!)

クリス「そんなとこに入ってたのか...そりゃ見つかんねぇわけだ」

翠「壁の中に埋め込むとかアニメみたいですね」

もしくは火星から持ち帰った箱の外側パーツ
あれはちょっと出てましたけど

翼「わざわざ出し入れの度に埋め直していたのか...?」

クリス「そりゃ...錬金術だろ」

翼「錬金術か」

翠「錬金術ですね」

錬金術です錬金術
大体のことは多分錬金術でどうにかなる人種のはずです
...いや、そうなら割と本気で私も錬金術もう少し出来るようになりたいですね、便利そうですし
まぁ簡単なはずないですが
ノートとSDカードを全て回収し、他にもどこかに隠されていたりしないか探そうとしたところで、エルフナインちゃんから通信が入りました

翠「もしもし」

エルフナイン『響さんのガングニールの最終調整が終わりました。今響さんがそちらに向かっているので合流してください』

翠「あ、じゃあ合流したら一度そっちに戻りま...向かってる?」

向かってるってまさかギア纏ってこっちに走ってきてるとかじゃ


コンマ下
奇数 ギアで来た
偶数 普通に車で送ってもらった
ゾロ目 バビロニアの宝物庫で来た

(『XV(エクシヴ)』...15なのに14とはこれいかに...1増えるのか減るのか...)

しばらく待っていると、見慣れた車がこっちに向かってきました


ガチャ


響「お待たせ!」

よかったです
まさかギアで走ってくるなんてししょーのように非常識な行動を起こしていなくて

翼「丁度私達も戻るところだったのだが」

友里「あら、じゃあ待っていた方がよかったでしょうか」

運転手はやっぱり友里さんだったんですね
この車、去年本部に住み込む前までは登下校のときよくお世話になりました

クリス「いや、収穫もあった。どうせなら襲撃対策も兼ねて二手に分かれて帰んのもありだろ」

翼「ヘリと車、空と陸地で分ける訳か」


翠ちゃんどっち組?安価下
1 陸(響さんと一緒)
2 空(翼さんと一緒)
(クリスさんは翠ちゃんが選ばなかった方に乗ります)

(最近日付が変わってからの投下になってしまっているのは申し訳なく思っております!忙しい(のと寝落ち)のせい、いえ私の責任です!ごめ...ごめんなさい...ご...おえっ(嗚咽))

・・・

クリス「んじゃ、また後でな」

翼「本部で落ち合おう」

翠「お二人も気をつけて」

響「一旦バイバイクリスちゃん!翼さんも!」

話し合いの結果、響さんと私が車、翼さんとクリスさんがヘリで戻ることに
私の場合帰りの道中響さんのガングニールのギアもおかしなところがないか簡単にですが確認したかったのでよかったかもです

・・・

友里「私達も行くわよ」

翼さんとクリスさんが乗ったヘリが飛ぶのを見届け、私達も友里さんの車に乗り込みました

響「...どう、かな」

受け取った響さんのギアの全体を目で見てみたり手触りを確かめてみます
まぁ後でこれにダインスレイフを組み込むならまた分解するんですけどね

翠「...~♪」

響「...み、翠ちゃん?」

翠「あっ、ごめんなさい」

異常はなさそうだなと思いながら点検しているうちに、知らず知らずハミングしてました
別に何かあるわけではないんですが、側から見たらテンションおかしい子みたいになってます...

翠「...こほん。はい、大丈夫だと思います。少なくともマイクユニットには異常はなさそうです」

響「あ、ありがと!...後は、私の問題か」

響さんの胸に歌が浮かぶかどうか、それが問題です
未来さんが戦えるので...もしかしたら別に響さんが戦えなくてもむしろその方が危なくなくて良いなんて発想に繋がりかねません
いえ、響さんのことを誰よりも理解している未来さんに限って思考が暴走でもしない限りそうはならないと思いますが

響「ところで、さっき鼻歌?ハミング?してたの何て曲?」

話を逸らしたつもりが逸らせてなかった!?

翠「ハミングのことは忘れてください...///」

響「え~気になる~!聞いたことない感じだったけど、最近の曲?」

翠「え?響さんも聞いたことないんですか?私も知らなくて...マリアさんの特訓のお手伝いしてるときに本部で流れてたんですけど、なんか耳に残っちゃって」

流行に私よりは敏感そうな響さんも知らないとは
...あーいや、むしろ敏感なのは未来さんの方でしょうか

友里「館内BGMなんて今日流れてたかしら」

翠「えっ」


何か話す?安価下
(特になければ本部に着きます)

・・・

私達も翼さん達も無事本部に戻り、回収したSDカードとノートの解析をOTONAのみなさんやエルフナインちゃんに任せることに

友里「こっちのノート、どうやら彼女達の日記みたいね」

翠「日記ですか...」

そういえば『翠』って日記つけてましたよね、たまに
私も見習ってつけた方がいいでしょうか...
いや、今更ですし多分私の方が続かなそうです

エルフナイン「SDカード内のロックは僕と」

ウェル「僕にかかればチョチョイのチョイ...フゥッフ~ッ!」


日記の内容やSDカードの中身安価下
(出来れば日記の場合は日記、SDカードの場合はSDカードと記述してください)

(キャロル「ほぅ...人工装者の置き土産。少し覗いてみるか」)

少し待っていると、SDカード内のデータログがロック解除されました
どれも彼女達人工装者についてのようです

エルフナイン「いくつかファイルを...」

デスクトップに表示されたファイルの中から適当に開くと、創造に成功した人工装者のその後の扱いが...


『一定の段階まで成長が進んだのを確認した後、各聖遺物との適合係数の計測』

『適合係数の低い個体は全身を改造の後、実験台及び消耗品として扱う』

『適合係数の高い個体はシミュレーションによる戦闘訓練』

『シミュレーションレベルX(推奨レベル変更の可能性有。要確認)にA成績以上を出せる段階に達成した個体は対ノイズ戦闘時の妨げになる『心』及び『感情』のデータを消去』


...こんなことだろうとは思いましたが、やはり人工的に人を、兵器を生み出そうとする人の考え方は

翼「っ...」

夏菜「私の時と少し差異がありますね...結局感情も心も制御しきれないもの、やっぱり無い方が楽...と、そういう結論ですか」

クリス「思い通りにならないからって実験台、消耗品だと...」

マリア「科学者としてはそれで間違いではないのでしょう。そもそもこの研究をしている彼らにとっては自分達の作り出した道具に過ぎない...かつてレセプターチルドレンとして集められた私達も、マムや一部の人を除いてほとんどの人間は似たような考え方で私達の世話をしていたわ」

・・・

データログの解析は進めるとして、次に例のノート...日記の内容についての話になりました

友里「中身はいたってシンプル。脱走してからの日々の苦労...それから、随分慕われていたのかリーダー格の存在...おそらく例のオレンジ色のギアを纏う紫髪の少女についての情報が多々書かれていました」

パラパラとめくっていくと、書かれている中の最後の日付のページには


『リーダーは仲間想いだからきっとこれを知ったら止めにくる、だからこれは私達だけでやり遂げるんだ』

『あの人への返しても返しきれない恩のために』


そう書かれています
確かに、慕われ愛されていたのは間違いないでしょう

翠「くっ...」

だからこそ、マンションで見た人達も、隠れ家にいた人達も
守れなかったことをあの紫髪の人は悔やむはずです
せめて、私達があの時マンションを離れていなければ
せめて、隠れ家の監視を常に続けていれば

未来「この日記...最後は昨日の日付...」


どうする?安価下
(特になければウェル博士がこっそりマリアさんに翠ちゃんアイドル化計画の決行日の連絡を(このタイミングで平然とその話を持ち出すウェル博士ェ))

(むしろ今日という一日はこれからでしょう(暴論))

他のページを見ていると、リーダー...紫髪の人工装者の人について少しずつわかっていきました

翠「あの人だけ他の人達が受けていない実験や検査が多かったみたいですね...」

錬金術もその一つだったようです
正確には、錬金術そのものは他の人工装者もやらされていたようですが、彼女はより高度な技術を習得させられていたようで

翠「億単位を超えるコストをかけて造られた対アルカノイズ用の『生物兵器』...」

エルフナイン「SDカードに残されたデータログの内容とも一致します。彼女達を創り出した組織はやはりキャロルに対抗して錬金術を...」

しかし、アルカノイズはキャロルちゃんが完成させたとはいえおそらくAXZの錬金術師達もそれに資金援助をしていたくらいですから、そのレシピは共有されている可能性が高いはずです
この世界に来て長いせいでやや薄れてきた転生前の記憶を辿ってみても、AXZ1話には確かに軍事利用されていたアルカノイズが映っていました
つまり、キャロルちゃん陣営を始めとした錬金術師全般を敵対する相手として視野に入れているかと
そして、どちらにせよ仮に私達の敵になったらバリアコーティングやイグナイトモジュールを装備していない私達に勝ち目はおそらく

エルフナイン「他のSDカードにはその彼女を生み出し育てた研究者について纏められています。どうやら事実上生みの親に当たるため父親役も兼ねていたようですね」

夏菜「一人特別扱いのリーダー格...それでもこれだけ慕われていたってことは、そうとう仲間思いってことでしょうか」

翠「リーダー格のあの人は確か脱走した人工装者の中でも一番歳上...今回の人工装者を創り出す研究の成功例第一号が彼女だとしたら、それ以降の人工装者の実験や訓練の目安を示す為により多くの実験や訓練を受けさせざるを得なかった、のかもしれません」

とはいえ、だからといって性格が悪ければ慕われることはほぼないでしょうから、人柄も良かったのでしょう

切歌「でもでも、戦場に突然乱入した時はすっごい無愛想だったデス!」

調「うん、自分勝手そうだった」

クリス「素直じゃねえってだけなんだろ」

響「わっ、クリスちゃんがそれ言っちゃうんだ」

クリス「あ?」

クリスさんも愛されキャラですからね、彼女ももしかしたらそういう感じなのかもしれませんね

エルフナイン「組織の命令に背き彼の娘個体を含む一部の人工装者複数個体を研究所から逃亡させた張本人。彼自身も失踪し、このデータが書かれた段階ではまだ捜索中らしいです」

翼「追われる身というわけか...しかしその情報が書かれているということは、そのSDカードは脱走した後に再び研究所を訪れて盗んだか」

未来「後からそれを持って脱走した子が合流したか」

マリア「脱走した後にこっそり研究所のコンピューターをハッキングしデータを外から盗んだか...いずれにしても、彼女達は脱走後の研究所での対応にまで気を配っていた、ということね」

脱走した後自分達にどのような対応が成されるのか、仮に連れ戻されたり消されたりしてしまうのならそれを避けなければいけませんし、必要不可欠な行為でしょう
つまり、かなりの知識を得た上で思考能力も発達しているということ
これを後になってから消そうとは...

エルフナイン「このSDカードのデータログには各人工装者の記録が...っ!」

翼「これは...」

データログに書かれた最後の一文


『シンフォギアを纏う人間にはいずれ寿命が来る。だからこそ代わりとなる存在が必要なのだ』


弦十郎「これが彼らの理念か...」

彼らも彼らなりの正義があった、ということですか
なら、それは簡単に否定してもいいものなのでしょうか
決して許されることではない、けれどそれが必要だと思って彼らはこんなことを...

夏菜「...」

・・・

クリス「こっちは特に変わったこと書いてないな」

未来「普通の日記...たまにページを破った跡みたいなものもあるけど」

ノートの日記の中に他にも人工装者についてや紫髪の彼女について書かれているページがないか手分けして読んでいると、こんな文章が書かれているのを見つけました


『リーダーにはオリジナルとなる人物がいた、という話を聞いてしまった。これ以上は研究所のデータベースにアクセスしないとわからない。機会があれば調べてみよう』


翠「オリジナル...?」

エルフナインちゃんでいうところのキャロルちゃんのようなものでしょうか
いわばコピー元のような...
次のページ、次のページとめくっていきます


『あの話が本当だということはわかった。けれどこの先を調べるにはパスワードが』

『みんなで手分けして情報を集めた。リーダーに聞けばもしかしたら早いかもしれないけど、聞かれたくないことかもしれないから』

『ついにデータを見つけた。ここにまとめておこう』


翠「っ!次のページにそれが書いて...」

勢いよくページをめくり素早く目を通そうとして
最後の一文を読んだ瞬間、私の思考はピタリと止まってしまいました


『リーダーはただの人工装者ではなくある人間のDNAから造られたクローンであり、適合係数が高かったことからリーダーの更なるクローンとしてその他の個体、つまり私達が創造された』


『オリジナルとなった人間の名前は『蒼井よもぎ』』


どうする?安価下

(よもぎちゃんの存在を覚えていた読者がいたことが驚きとか言えません)

よもぎが...『翠』の妹が、人工装者のオリジナル...?

予想だにしないその事実に、思わず手に持っていたノートを落としかけてしまいます


『翠』《もっとよく見せて!早く!!》


翠「うおぉぅっ!?」

止まっていた思考が『翠』の声によって再起動し、落とす前に顔の前に戻しました
それから他のページも読んでみましたがよもぎ自身に関することはほとんど書かれておらず、ここに載っている情報ではただあの紫髪の彼女の元になったのがよもぎだとしか

よもぎがオリジナルの検体...

よもぎは2年前...あれからもう1年経ってますから、3年前のツヴァイウィングのライブでりっちゃん、りっちゃんのお姉さんと一緒に行き、そこで亡くなったはずです
それがノイズによる炭素分解なのかドミノ倒し式で誰かの下敷きになってしまったのかはわかりませんが...

しかし、人工装者を...ホムンクルスを創り出すというのはそう簡単に出来ることではなく、少なくともこの1年やそこらで出来るはずはありません
それこそ数年、あるいは10年以上はかかるでしょう
現にSDカードに書かれていた記録によれば人工装者の完成こそ最近のようですが、計画や創造そのものはもっと早い段階から始まっていたようですし
だとしたらよもぎのDNAが研究所にあったのはおそらくライブよりも前...

翠「...ただの事故じゃなかった...?」

よもぎが死んだのはただの事故でも何でもなく、意図的に起こされた抹殺...?

よもぎが人工装者のオリジナルだったからこそ、何らかの理由でオリジナルを消す必要があった...
あの日のライブでフィーネさんがノイズ災害を起こすことを知っていた誰かがそれに便乗したか、偶然計画が被ったか
いずれにしても、人工装者のオリジナルだったよもぎが人工装者造りを始めて数年後に偶然事故で死ぬなんて...

いいえ、あのノイズ災害自体大勢の人が亡くなっています
だからこの考えも所詮はこじ付けでしかありません
ですが、何なんでしょう...もやもやすると言うか何というか

それに仮によもぎの死が抹殺ではなかったとしても、だから彼らを許すなんてことはありません
『翠』の両親もよもぎをホムンクルスの身体で黄泉還らせようとしていました
が、この研究所の人間達はよもぎを兵器として扱おうとした
ましてや、失敗したものは実験台や消耗品として扱った

『翠』「『私』の、妹を」

そうだ、 私』の考えはもっとシンプルじゃない
『私 の妹を、よもぎを使って兵器を作って、改造して、戦わせて
装者の代わり?関係ない

私 の妹を利用した

だから、私は許さないと今決めた

翠「...」

クリス「ん?どうした?何か見つけたか?」

翠「ううん、何でもないよ...ですよ?」

クリス「?...そうか、何か見つけたら知らせてくれ」

また他のノートを読み漁るクリスさん
私は見つからないようこっそりとよもぎの名前が書かれたページを破りポッケに入れた

☆☆☆

で~れれ~で~でん!

☆☆☆


マリア「話とは?」

ウェル「君が提示した仕事を元にそしてこちらで調整した結果、蒼井翠をデビューさせる日にちが遂に決定したのですよ」

マリア「翠の...!」

一時休憩を取ったドクターに呼ばれて来てみれば、内容は翠のアイドル化計画の日にちが最終決定したというものだった
正直こんなことをしている場合ではなくなってきているのはわかっているわ、それでもこの計画にはすでに多くの人間が関わっている
本人に当日まで気付かれないように事を進めるというのはある種のドッキリ企画と同じくらい大変なこと...
もちろんNINJAの力も存分に発揮してもらい、ここまでは順調
さらにだめ押しでドクターが翠に貸しを作った...作らせた?結果、もしものときはその話を持ち出せば半ば強引に従わせられるという寸法

ウェル「その日にちは...」


何日後?コンマ判定下1~3
(コンマ下1~3のそれぞれの一桁の合計で判定。0は10日後とします)
(例えばコンマ下1が01、コンマ下2が23、コンマ下3が45なら1+3+5=9で9日後です)

ウェル「今日から丁度11日後...君のサマーライブというわけですよ」

マリア「特に大きな変更はない、といったところね」

もともと一番近いライブの仕事はその日だったし、そのライブのラストに翠を上がらせられれば

マリア「わかったわ。くれぐれもミスはないように」

ウェル「それはこちらの台詞ですよ、マリア...何せこれは僕のP道の第一歩でもあるのだからっ!!」

相変わらず彼は元気ね...
となれば、11日後に向けてまた特訓と称して少しずつ翠のレッスンを進めるとしましょう

☆☆☆

で~れれ~で~でん!

☆☆☆


エルフナインちゃんの呼びかけにより、また私達は会議室に集まった
本部の火事もおさまっているし、幸い部屋の方まで火は来ていなかったようだからこれが終わったらいい加減寝よう

弦十郎「今回の一件もあり、早急にプロジェクト・イグナイトを進める必要があると思い、集まってもらった」

エルフナイン「人工装者のこともある程度わかりましたし、もし人工装者である彼女が敵対した際キャロルにも彼女にもこのままでは勝ち目がありません」

クリス「ちっ...わかった。やるしかねぇんだろ」

翼「だがニーベルングの指環は未だ...」

エルフナイン「なので先に6つ、搭載するギアを選別しようと」

翠「なら、響さん翼さんクリスさん、マリアさん切歌さん調さんが優先的かn...ですかね」

やや早口になっちゃったかな...
ううん、大丈夫、この6人にした理由はちゃんとそれっぽいものがある

響「翠ちゃんのは?」

翠「私のイミテーターの聖遺物そのものにはすでにギア加工した際錬金術に対抗しうるバリアコーティングが成される仕掛けがされていました。両親が何を思ってそうしたのかは今となってはわかりませんが...なので、最悪勝てずともイミテーターを纏っておけば分解されることはありません」

翼「プロジェクト・イグナイトの方ではなく、それと同時に進めるバリアコーティングの方を見ればそれすらない私達が危険というわけか」

翠「夏菜さんの擬似ミョルニルも同じ...それに、通常ギアの負荷に耐えられない夏菜さんがイグナイトモジュールを使うのは私達装者以上に危険です。そして未来さんや私の神獣鏡は聖遺物殺しの聖遺物。ダインスレイフが神獣鏡に消されてしまう可能性も考えると、プロジェクト・イグナイトを試すのはそもそも上手くいくかわからないニーベルングの指環を使った方がダメだった時にダメージを最小限に抑えられます」

そう、そして仮にニーベルングの指環がダメでイグナイトモジュールをイミテーターで模倣出来なくても、私の場合響さん達のギアを奪えばイグナイトモジュールは使える
私の説明に不備はなかった
これで誰も疑問を抱くことなくプロジェクト・イグナイトを進められるはず

翠「イグナイトモジュール...人為的に暴走を引き起こすのが危険なことだとはわかっています。決してそれを皆さんに押し付けるつもりありません。むしろ...」

調「むしろ?」

翠「いえ...なんなら、皆さんの分のギアを私が使ってイグナイトモジュールの試運転をしても構いません。それで安全性がわかれば皆さんも安心して使えますよね?」

暴走を抑えられるかはわからない
けれどまぁ、多分大丈夫でしょ、私達なら

クリス「お前またそうやって」

マリア「何もそこまでやる必要はないわ。誰も貴女がそんなことを思っているなんて思わない...ところで、そうね...私はガングニールとアガートラーム、どちらにイグナイトモジュールを搭載するべきなのかしら」


どっちにする?多数決安価下1~3
1 ガングニール
2 アガートラーム
(選ばれなかった方も後にニーベルングの指環を使ってイグナイトモジュール搭載する可能性有)

マリアさんはなぜか転生した方の私の記憶にある原作よりも適合係数の上昇率が高い
ガングニールに関してはマリアさんの以外のだとまだLiNKER頼りな辺り、特殊なケースなのかもしれないけれど

翠「ならアガートラームの方がいいかもしれません。ガングニールは響さんのがあるとして、もし何かあればお二人でシェア出来るはず」

響「シェア...」

エルフナイン「それに、もしかしたら今後アガートラーム特有の力が必要になるかもしれません。そういった面からも、種類はなるべくバラバラにするべきだと思います」

響さんが留め、マリアさんが再配置する
この流れはガングニールとアガートラームが揃ってないと出来ない
なら、せっかくマリアさんがアガートラームが使えると周知の事実になった今、バリアコーティング云々はアガートラームにするべき

マリア「そうね。なら今はアガートラームをお願いするわ」

エルフナイン「わかりました。皆さんもギアを一度預けてもらえますか?それと翠さんには少し手伝ってもらいたいのですが」

翠「あー...はい、いいですよ」

ちょっとだけキツい...途中で寝落ちするかもしれない
精神がっていうより身体の方が疲労が溜まってる
でもまぁ、頑張るしかない

響「わかった」

翼「頼んだぞ、翠、エルフナイン」

クリス「預けたかんな」

調「二人に」

調「託すデスよ」

・・・

6つのギアペンダントを受け取り、私とエルフナインちゃんは別室に移ってさっそく作業に取り掛かった

エルフナイン「では、僕がこれから言う通りの手順でお願いします」

翠「わかりました。二人でちゃちゃっと終わらせましょう」

とはいえこれって結構時間かかってた感じするよね、本編で
エルフナインちゃんも寝落ちしてた気がするし...本当にヤバそうになったら友里さんにコーヒーでも頼もうかな


コンマ下
奇数 昼!
偶数 夕方!
ゾロ目 夜!

・・・

ガングニール、アメノハバキリ、イチイバル、アガートラーム、イガリマ、シュルシャガナ...
何度も襲いかかる睡魔に対し友里さんのあったかいものやモンスタ◯エナジーで眠気を覚まし、エルフナインちゃんと手分けしてバリアコーティングとイグナイトモジュールの調整を全て終えた頃にはすっかりお日様は天高く

翠「お昼...12時過ぎてる...」

エルフナイン「お、お疲れ様でした翠さん...」

翠「エルフナインちゃんも...」

正直何度か寝落ちはした
でもその度にお互い起こし合うことでどうにか...
うん、ぶっちゃけすごく眠い


コンマ下
奇数 寝る!寝るったら寝る!
偶数 災害発生!
ゾロ目 ???

(道は踏み外してナンボ。それが翠ちゃん)

よし寝ようそうしよう
もしかしたら丸々一日寝ちゃうかもしれないけど仕方がない

翠「私は寝る...エルフナインちゃんも寝られる時に寝ておいた方が...」

エルフナイン「は、はい...」

部屋に直行して寝よう
早くベッドに入って身体を休めよう
そう思い部屋から出ようとしたその時、ドアが開ける前に開かれた

友里「あ、翠ちゃんまだいた、良かった...大規模な追突事故と火災が発生したの。出動してくれる?」

翠「やったろうじゃないですかぁっ!!」

友里「っ!?」

あーもうこうなったらとことんやってやるぅっ!!


どのギアで行く?安価下
1 アメノムラクモ
2 アスクレピオス(戦闘不向き?)
3 イミテーター(何か模倣する際は何を模倣するか記述)
4 イミテーター(銀色のギア)
5 アメノオハバリ

・・・

司令室に向かうと、響さん達もすでに集まっていた
まぁ今日休日だし、皆さんはあの後少しだけでも寝られたんでしょうし?

響「翠ちゃん!...翠ちゃん大丈夫?」

翠「これを。イグナイトモジュールはともかく、普通にギアとして使う分には問題ないはずです」

6つのギアペンダントをそれぞれ持ち主に渡し、私もアメノオハバリのギアを掴む

翼「よし、現場へ急ぐぞ。私はバイクで向かう」

クリス「アタシらはヘリだ」

未来「私は...」

弦十郎「今回の事故は人手がいる。未来くんも出動してくれ」

未来「っ!わかりました!!」

生き生きしてらっしゃる
響さんと一緒に仕事が出来るのが嬉しいんでしょうね
そういうことだろうね

夏菜「でもそうしたらここが手薄になるんじゃ」

ネロ「私がいます。私はあぁいった作業には向いていないとわかりましたので、こちらで」

ネロさんはギアを使わないと半分しか変わらないし、生身の方は耐火性0だから仕方ないね

・・・

ヘリに乗りしばらくして、現場近くの上空に着きました
またここから紐なしバンジー...いや、逆に眠気飛ばせるかな

クリス「一人ずつ来いよ!はっ!」

クリスさんが飛び降り、また一人また一人と飛び降りて行く
別のヘリからもマリアさん達が飛び降りているし...行くしかない

未来「...本当に大丈夫?なんだか眠そうだけど」

翠「問題なんか何もないよケッコー結構いけるもんネ。トゥッ!!」


コンマ下
ゾロ目以外 無事ギアを纏い着地
ゾロ目 ぼーっとしているうちに地面とキス

「Acriter amenoohabari tron」

空中で自由落下の旅をしている中、視界から色が抜け落ちる
うん、いつも通り何の問題もない
そして色を取り戻した頃にはギアも装着され、潰れたトマトになることもなく無事に地面に着地

翠「さて...ちゃっちゃと助けて早く寝かせろぉぉぉっ!!!」

エルフナイン「あれが深夜テンション...!」

クリス「いや、徹夜ハイだろ」


どうする?安価下
(現場は多分首都高辺り...?)

「Acriter amenoohabari tron」

空中で自由落下の旅をしている中、視界から色が抜け落ちる
うん、いつも通り何の問題もない
そして色を取り戻した頃にはギアも装着され、潰れたトマトになることもなく無事に地面に着地

翠「さて...ちゃっちゃと助けて早く寝かせろぉぉぉっ!!!」

エルフナイン『あれが深夜テンション...!』

クリス「いや、徹夜ハイだろ」


どうする?安価下
(現場は多分首都高辺り...?)

ぐしゃぐしゃになった沢山の車と燃え盛る炎
うんうん、派手に燃えてるねぇ

クリス「救助は任せろ!翠は火の手を抑えてくれ!」

声をかけてきたクリスさん以外はすでに思い思いの行動を起こしてる
じゃあ私達もクリスさんと協力していきますか

翠「炎の勢いを殺す一太刀でっ!」

手に握った剣で炎を斬り裂くと、周りに燃え移ろうとしていたその炎は確かに勢いが弱まった
後はこれを続けて人が避難させられれば

クリス「大丈夫か!今車退かしてやるからな!」

車を持ち上げて下敷きにされていた人達を救出するクリスさん
こっちも少しは救出活動した方がいいかも

翠「よっと...うぎぎ...重っ...動けるなら早く逃げて!早く!」

「あ、脚が痛くて...」

怪我...挟まれてる間に何か刺さったりでもしたのかな?
火傷の可能性もありますね
あーもう...

翠「...手!掴んで!早く!」

「は、はいっ!」

持ち上げていた車を片手で支え直し、もう片方の手を差し出す
掴んだ?掴んだね?よし

翠「飛んでけっ!!」

「うああぁぁぁっ!?」

翠「せいっ!はぁっ!!」

車を人がいない方向に倒してからすぐに後ろへ飛び、さっき放り投げた怪我人の元へ走る

翠「よいしょっと」

キャッチ完了です
とりあえず避難民のところに連れてってこっちにまた戻らなきゃ

翠「って逃げ道まで火が来てる!?」

火を弱めるにしても消し切るには時間がかかる、その間この怪我人とかクリスさんの方が助けてた人が保つとも...

クリス「どうした!」

翠「クリスさん消化器!消化器探して!こっちにまで火が来てるから!」

クリス「っ!?...わ、わかった!」


コンマ下
ゾロ目以外 消化器発見
ゾロ目 そんなもの無い

・・・

クリス「あったぞ消化器!」

翠「逃げ道にザバーッと!」

クリス「ざ、ザバーッと!?」

無事逃げ口を確保し、私達はそれぞれ怪我人を避難させることに成功した
救出活動自体はまだ終わってませんけどね

「あ、あぁあの、ありがとう...」

翠「ん、また後で怪我治しに来るから」

本当ならこんな作業しないで研究所の人間とか失踪中の男とか探したいけど、手がかりがないまんまじゃどうしようもない
それに、早く終わらせて寝たい
えぇ、とっとと帰って寝ましょう

翠「はぁ...」


クリス「...」


どうする?安価下
(特になければ救出活動を終えて寝ます)
(救出活動時はそれほど黒くならない翠ちゃん)

・・・

大分助けた
中にはもうとっくにダメそうな人もいたけど、こんなものだと思う

翠「...ん?」

ここら辺を見回るのは何周目か
ふともはやスクラップと化した車の下に何かあることに気付いた

翠「...まさかっ!」

急いで車を退かしてみれば、皮膚の大部分は溶け服の燃えていない部分は煤で黒くなっている人...それもおそらく親子

翠「何で気が付かなかった!」

脈や心音、瞳孔を確認してみるが、やはりすでに親子共に息を引き取っている
もう少し早く見つけていれば助けられた?
でもこの溶け方...いくら火が熱くても短時間でここまではいかないはずです
それでも、生きてさえいてくれればアスクレピオスで...

翠「...」

救助に来ておいて、この有様...か

クリス「おい、どうし...!」

翠「...手遅れです」

クリス「...それでも運ぶぞ。遺族がいるかもしんねぇからな」

・・・

救出活動は終わった
集められていた怪我人もアスクレピオスの力で治癒し、念の為病院に送られていった

ありがとう

そう何度も言われたけれど、今の私はそれを素直に受け取れなかった

クリス「...」

翠「...」

集中力が欠けていた
だから見つけられなかった
最善は尽くしたはずです
見捨てたかったわけじゃありません
あの親子の身元は判明するのかな
家族はいたのかな
私達はその家族に恨まれるのでしょうか
恨まれるならそれでもいいや
私達も、家族を殺した、見捨てた相手を同じように恨んだし、恨むし

翠「ごめん...」

クリス「...おい、翠」

クリスさんに声をかけられた気がする
でも、あんなことがあった後なのに
空気を読まずに訪れた眠気に勝てず

翠「ごめん...なさい...」

立っていることすらままならないほどに、意識が朦朧として

クリス「っ!?お、おい!」

何か柔らかいクッションに顔を埋めたようなそんな感覚とともに、私達は深い眠りにつくのでした

☆☆☆

で~れれ~で~でん!

☆☆☆


クリス「ちょっ、おい!///」

いきなり倒れこみそうになる翠を正面から抱きかかえたはいいが、人様の谷間に顔突っ込んでそのまま動く気配がねぇ
...待てよ?もしかしてこいつ寝てんのか?


カサッ


クリス「そういやずっと眠そうだったしな...ん?」

翠のポッケから折り畳んだ紙が落ちた
出動前に何か適当に突っ込んだのか?
アタシは翠を起こさないように屈んでそれを拾う

クリス「何だ?この紙」

テストだか宿題だかでも入れといたのか、そんな軽い気持ちで、翠には悪いと思いつつ中を開いてみると

クリス「...っ!」

違え...これはあの人工装者のアジトから持ち帰ったノートを破り取ったやつだ
ノートの模様と字が同じだから間違いない
そして、この内容...だからずっと様子が変だったのか

クリス「まじかよ...」

アタシは紙を元通りに畳み、翠のポッケに戻す
思えばノートの中身をアタシらで調べている時から様子がおかしかった気もする
なんつーか...うまく言えねぇけどいつもと違った
どっちかってーとルナブレイクの時に途中出てきてた方...あの馬鹿達の言ういわゆる『本来の翠』って方に似てたか?
確か、妹と友達いっぺんに亡くした後両親も死んじまって、そのショックか何かで今の翠の人格が出来たんじゃないか、なんておっさんも言ってたな

クリス「...」


どうする?安価下
(未来(響と一緒に仕事響と一緒に仕事響と一緒に仕事響と一緒に響と一緒に響と一緒に響と一緒に響と一緒に響と一緒に響と一緒に響と一緒に...)

響「未来!こっち手伝って!」

未来「今行くね!!!」)

クリス「...とりあえずおぶるか」

他のやつらももうそろそろ終わってる頃だろうし、翠をちゃんとベッドで寝かせるためにも帰還した方がいいな
よっと...デカくはなったけど軽いな

響「クリスちゃ~ん!」

と、丁度いいな
眠っている翠をおぶったところで他の所に行ってたやつらが戻ってきた

響「あれ?翠ちゃん寝ちゃってる?」

クリス「徹夜だったろうからな、変なことすんなよ」

響「しないよ~」

とか言いつつこの馬鹿は何しでかすかわかんねぇからな


ちなみに響さんコンマ下
ゾロ目以外 人助け効果発動!復活のガングニール!
ゾロ目 ギア無しの救助活動

クリス「つうかお前...さらっと纏ってんのな」

響「あはは...うん、前に翠ちゃんにも、今日未来にも教えてもらったから。私のこの拳が傷付けるだけじゃないって」

そう言ってコイツはいつものヘラヘラした顔から真面目な顔になって自分の拳を見詰める
何だ、そんなことで悩んでたのか

クリス「そんなの、わかりきってたことだろ」

響「クリスちゃん?」

クリス「っ...何でもねぇ///」

つい柄にもないこと言っちまったか
まぁコイツは馬鹿だけど、アタシも前に助けられたってのも事実だ
それを言うと調子に乗るだろうから言わねぇけどな


未来「...クリス?響と何話してたのかな?」


クリス「ッ!!な、何でもねぇ!ほら翠さっさと寝かせに行くぞ!」

たまにこっちからは殺気みたいなものを感じるのも言わない理由の1つだな
普段は別に普通なのにどうしたもんか...いや、普段も普通かどうか聞かれたら普通じゃない気もする

・・・

翠を念の為本部の医務室に運び、そこのベッドに横に寝かせる
そしてアタシはベッドの横にある椅子に腰を下ろした
よく寝てんな...よっぽど疲れてたのか、さっきのが堪えたのか

クリス「...」

さっき見た紙の中身
今コイツが様子が変なのは十中八九アレが原因だろう

アタシが言えた義理じゃないが、翠も翠で普通ならやらねぇようなこともやれるだけの何かがある
事実、フィーネの計画に乗っかって世界を壊そうとしたやつだしな
知らないだけで他のやつらもそうなのかもしれないが、少なくともコイツはただのお人好しじゃあない
多分自身の大切な存在...それこそ家族やなんかに関することに対しては他のものより優先順位が上がる、そんなある意味ごくごく自然な感覚を持ってる

クリス「蒼井よもぎ...」

あの人工装者の大元が自分の妹だと知って、コイツは何を起こす気だ
何も起こさないならそれでもいい、この紙だって、ただ単に他の人間にこのことを知られたくなかったから千切ったならアタシも知らないフリするだけだ
でももしそうじゃないのなら...またいつかのように復讐やそれに近い感情を抱いて何かしようとしているのなら

クリス「...」

コイツはソーニャやフィーネとかを除けば、初めて出来た友達だ
だから次こそ止める
アタシが首を突っ込むようなことじゃないかもしれないけど、もし道を外しそうになったらその時は

クリス「現状は何とも言えないけどな」

どんな行動を起こすか今のところはわからない
だからせめて、ある程度目を離さないように見ておこう
それがアタシに今出来ることだ

コンコン


と、誰か来たな

弦十郎「今、入れるか?」

クリス「あぁ、問題ねぇよ」

そう言うとドアを開け、おっさんが部屋に入ってきた
翠の様子を見に来たってところか

弦十郎「む、まだ寝ていたか」

クリス「何か用だったのか?」

弦十郎「いや、一応何かあったかどうか聞こうと思ってな。こちらでも把握しているつもりだが」

把握している、つーことはあの親子の焼死体のことも知ってるってわけだ

クリス「...おっさん、ちょっといいか」

翠が隠そうとしていることについては話さない
が、その代わり...

☆☆☆

で~れれ~で~でん!

☆☆☆


目を覚ますと、知らなくない天井でした
より正確には多分医務室のベッドかな...てか途中から記憶ないんだけど
今回は眠気が凄すぎていつものところで話すとかもなかったですし

クリス「ん、起きたか」

翠「...クリス、さん?」

弦十郎「すまん、起こしてしまったか」

翠「ししょーも...あれから私どうなって...」

クリス「いきなりぶっ倒れてグースカ一直線だ。まだ眠いなら寝とけ」

腕時計の針を見る限り、12時間以上寝てたわけじゃないのならそこまで長い時間寝てたわけじゃなさそう
感覚的には十分そこら寝落ちした後はなぜか何時間も寝た後より目が冴えてるとかそういう感じですね、実際には2、3時間経ってますが

翠「いえ...後でちゃんと寝ます」

でもまぁ夜通しギアの調整をして、その後出動もしたし、本当に後でちゃんと寝直そう

クリス「そうか」

出動...その単語が頭の中に出た瞬間、ふと思い出したのはあの親子の焼死体
あれからあの親子の身元はわかったのか、遺族の人は見つかったのか
気にはなったけど、それを知って私が何を出来るのかがわからなかった

弦十郎「クリスくんから聞いた。君が先程の救助活動において、少しばかり責任を感じているとな」

クリスさん、気付いてたんだ...
ししょーはそっと私の頭に手を乗せ、ポンポンと軽く叩くように撫でてくれました

弦十郎「万全の状態で出撃させなかった俺にも責任がある、自分を責めるな」

そう一言添えて


どうする?安価下
(弦十郎(これはエルフナインくんにも無理矢理にでも休ませた方がいいか...?))

自分を責めるな...ですか
相変わらずこの人は良い人というかお人好しというか...

翠「...」

ししょーが私を万全の状態で出撃させなかったと言うのなら、私も自身が万全の状態じゃないことを知っていてそれでも出撃した
本当なら人の命が関わっている時にそんな無理してまで出撃するのはむしろ危険
私も、私が助けようとしている人達も

翠「今回の件、後悔ではなく反省に活かしますッ...二度と同じ悲劇を繰り返さない為にも...」

『悲劇』

それは助けられなかった親子にとって?
それともあの親子の遺族の人達にとって?
それとも...

私にとって?


ガラッ


ウェル「だったら明日からマリアのダンス練習に付き合って貰いましょうかッ!」

弦十郎「突然何だウェル博士」

本当突然何なんでしょうこの人
コイツの行動に意味があったことなんてなかったし今更でしょ
いや、そこまでは思ってませんけど

翠「てか何でマリアさんのダンスの練習?特訓ならまだわかりますけど...ダンス練習を私が付き合っても意味無いでしょう」

そう反論してみてもそれ自体に何か言ってくることはなく、代わりに

ウェル「昔の僕よりも愚かですねぇッ!君はァ...全てを救う英雄にでもなったつもりですかぁッ!?」

翠「なっ」

クリス「おいテメェちょっと黙れ」

弦十郎「ウェル博士」

ししょーが立ち上がると途端変態は身を縮こまらせたけど、部屋を出て行く気はなさそう

ウェル「まぁいい...それより、例の人工装者の足取りが掴めた、と伝えに来たのですよ」

クリス「ならとっととそっちを言...っ!?特定出来たのか!?」

ウェル「この僕をッ!誰だと思っているんですッ!」

変態だと思ってます

弦十郎「そうか。ならその件について聞こう...ウェル博士は俺が連れて行く、翠くんはもう少し休め。人工装者の足取りについては後ほど改めてな」

翠「あ、はい」

クリス「アタシももう行くな。しっかり寝とけよ」

ということは私は足取りについて聞けずに悶々としたまま寝ろと
あぁはい寝ます
寝れるの?これ

ウェル「僕の白衣の襟が曲がるでしょう!」

弦十郎「大人しくしろ!」

変態の首根っこを掴みながら部屋から出ようとするししょーとその後に続くクリスさん
完全にこの部屋に置いていかれるパターン...諦めて寝よう

ウェル「まったく...あぁそれと、退散ついでにもう一つ」

離してもらった襟を直しながら気だるそうに振り返った変態は私の目を見ながら


ウェル「何を考えているのかなんて微塵も興味もありませんが、今の貴女の目はいつかの僕の目によく似ている。貴女はまだ未熟なお子ちゃまですが、その意味がわからないほど愚かではないでしょう?」


翠「...ッ!」

思わず私は目を逸らしてしまう

クリス「...チッ、とっとと進め!」

ウェル「いった!?そうやってすぐに足が出るなんて野蛮にもほどがあr」


ピシャッ


ドアが閉められ、部屋に静寂が訪れました

頭の中に反芻されるのは変態...ウェル博士が残していった言葉

翠「よく似てる...か」

心外だと言うべきだったか
貴方みたいな外道と一緒にするなと吐き捨てるべきだったか

ううん、いずれにしてもそれをさっき言えずに、目を逸らした
逸らしてしまった

翠「否定出来なかった...なら私も外道って?」

外道か...ねぇ、もし外道になるとしても、一緒に堕ちてくれる?

それは、わざわざ聞かないとわかりませんか?

翠「...わかんない、かもね」


どうする?安価下
(特になければ二度寝です)

キャロルちゃん陣営は、あと残ってるのはキャロルちゃんとレイアさん姉妹
人工装者の人は他にもいなければあの紫髪の人と、脱走していない人工装者
イグナイトモジュールは搭載させたけど今のところ未使用、エクスドライブモードもまだ
私が知っている原作と、大分かけ離れてますね
翼さんが死んじゃってる平行世界もあるんだし、そういうこともあるでしょ

翠「ふあ~ぁ...寝ましょうか」

2、3時間じゃまだ身体は休まりきってなかったかな
寝ている間にまた何か進展があるかもしれないけど、もし緊急事態の時は叩き起こされるでしょうし

翠「ん、寝よう」

ベッドに潜り、枕に頭を乗せて目を閉じる
さっきまでは目は冴えていたと思っていたのに、案外寝られるものだ


☆☆☆

で~れれ~で~でん!

☆☆☆


翔子「...」

奏「いいのか?あのままで」

セレナ「あれじゃ、下手したらどっちか」

翔子「私は、何もしません。彼女がどんな道を進むかは、どんな決断をするかは、黙して見定める」

そうあの日、決めましたから

☆☆☆

で~れれ~で~でん!

☆☆☆


クリスちゃんと師匠が司令室に戻ってきて少し経ってから、ノイズ警報が本部中に響いた
友里さんと藤尭さんが座標特定を始めて、ネロちゃんもバビロニアの宝物庫が開いちゃってないか調べてる

弦十郎「このタイミングでか...翠くんの寝ている医務室に警報が流れないようにしておいて正解だったな」

翠ちゃんは出撃しない
師匠達のこの判断に、私達は誰一人として反論しない
翠ちゃんがものっすごく眠そうだったのは、私達も見てたからね

藤尭「映像、繋げます!」

と、集中集中!
モニターに映ってたのはすごく前に戦った両手が剣みたいになってるノイズ...それも真っ黒

マリア「カルマ化した、武者ノイズ!?」

翼「恐れていたことが...」

わわわ...ただでさえ強いノイズが
だとしても、弱気になんてなってる暇はない!

響「行きましょう!翠ちゃんが安心して休めるように、私達で!」


出撃メンバー安価下
1 翼さん
2 クリスさん
3 未来さん(バリアコーティング、イグナイトモジュール無し)
4 マリアさん(アガートラームのみバリアコーティング、イグナイトモジュール有り)
5 切歌さん
6 調さん
7 夏菜さん(イグナイトモジュール無し)

(響さんは決定で、翠ちゃんと夢姫ちゃんとネロさんは除きます)

翼「そうだな...いずれにせよ、放っておくことなど出来ない」

翼さんはやっぱり頼りになる!

弦十郎「敵は強大だ。それに、錬金術師や人工装者のこともある。一度に全員で出撃するのではなく、分けて出撃した方がいいだろう」

クリス「そこの二人が行くってんならアタシも連れてけ」

友里「クリスちゃんは出っぱなしじゃない、少し休んだ方が」

クリス「アタシより出張ってダウンしてる奴がいるんだ。ならせめてその間アイツの分までアタシがやらなきゃいけねぇんだよ」

クリスちゃんはそう言ってギアを強く握りしめてる
どうして急にそんなことを言い出しているのか全然わからないけど、とりあえずクリスちゃんと翼さんと私が出撃するってことはわかった!

未来「私は...」

響「未来はここで待ってて、大丈夫、絶対帰ってくるから」

正直不安はある
さっきは纏えたとはいえ、つい最近までペンダントを手にしても歌が浮かんでこなかった
今度もちゃんと纏えるのか、戦えるのか
でも、この力は傷付けるだけじゃない
私の拳は、きっとどこまでだって届く

それに、ただでさえ強いノイズに対してシンフォギアそのものの力はそれほど強くない神獣鏡の未来を向かわせる方がよっぽど不安だし怖い

未来「...絶対だからね」

響「うん、約束!」

未来の手をぎゅっと握ってそう力強く応えた

弦十郎「マリアくんたちは念の為待機していてくれるか」

マリア「わかったわ」

夏菜「わかりました」

エルフナイン「イグナイトモジュールはあくまで対錬金術用の力です。カルマノイズそのものの特性がはっきりしていない今は、人為的な暴走は逆に危険になるかもしれません」

クリス「危険なのはいつでも変わんねぇだろ」

クリスちゃん、それはいくらなんでも...

・・・

真っ黒くろすけになった武者ノイズのいる現場についた私達はそれぞれのペンダントを握り、胸の歌を口ずさむ
周辺の避難は緒川さん達のおかげで済んでるし、周りに気を使わずにいける!


「Balwisyall Nescell gungnir tron」

「Imyteus amenohabakiri tron」

「killter Ichaival tron」


どうする?安価下
(後にビッキーがダインスレイフの効果無しでイグナイトになったりする展開もやります)

うん、大丈夫
胸に歌が浮かんでくる
ガングニールが応えてくれてる

だから、まだ歌える

頑張れる

戦えるッ!!

響「うおおおぉぉぉぉっ!!!」

ダンッと地面を蹴ってカルマ武者ノイズに肉薄し、ギュッと握った拳を振りかぶって突き出す!
一発目はやっぱり避けられたけど、すぐに振り向きざまに回し蹴り!

翼「攻撃手段を封じる、関節だ!立花!」

響「はいっ!」

剣を構えてカルマ武者ノイズの肘に斬りかかろうとする翼さんに合わせて、私はカルマ武者ノイズの膝を裏から蹴り一度後ろに跳ぶ
もう一度近付いて首元に拳を一撃!

クリス「ぶっ飛べ!」

そして私と翼さんがカルマ武者ノイズから離れた瞬間にクリスちゃんがガトリング砲を放つ
随分前...月がなくなって、翠ちゃんが目を覚まさなかった間、私達は距離を近づけるのも兼ねていつも3人で連携を特訓していた
もちろんそれ以降、マリアさん達や夏菜ちゃんが来てからも時々特訓してる

翼さんがどこをいつ狙うのか、クリスちゃんがいつ何を放つのか
全部、全部わかる!

響「これが私達の、コンビネーションだっ!!!」

剣のような形をした腕を振り上げたカルマ武者ノイズ
しゃがんで懐に潜り、引き伸ばしておいた両脚のアンカージャッキを一気に解放して相手のお腹を両膝蹴り
宙に浮いたところを追い討ちパンチ!
もちろんパンチもアンカージャッキを解放した本気の本気

クリス「行くぞッ!!」

クリスちゃんの右肩にいつの間にか出現されてた大きな砲身
そこからバチバチと電気が走り、丸い光った球が
ずっと前にクリスちゃんが使ってたネフ...ネフシュタン?の鎧の時の鞭で投げつけてたやつに似てるかも

クリス「なんちゃって製法だッ!」


『NIRVANA GEDON』


すでに空高く飛ばされてたカルマ武者ノイズに向かって、クリスちゃんが放った電気の球が真っ直ぐ一直線に放たれ爆発
これなら...!

翼「...待て!まだだ!」

クリス「嘘だろ...」

と思ったらまだピンピンしてる状態で煙を斬り払って出てきた!?

響「くっ...最速で最短で真っ直ぐに!」

クリス「あっおいバカ!早まるな!」

クリスちゃんの制止を振り切って跳んだ私はカルマ武者ノイズに掴みかかり拳を0距離で相手の胸元に当て、パワージャッキを引き延ばす

響「せいっ!!」

そして解放!
私の拳は確かに硬いカルマ武者ノイズの肉体にめり込んで...

響「っ!?」

そこから、黒い何かが溢れ出した


翼「っ立花!」

クリス「何が起こってやがる!何なんだよあの黒いモヤは!」

エルフナイン『現在解析中です!ですが、おそらく良くないものです』

クリス「んなこたぁ見りゃわかんだよ!!」

黒い煙が私の身体を包んだ途端心臓がドクンと脈打ち、手を離してしまったカルマ武者ノイズと共に地面に受け身も取れずに落ちた
私はこの感覚を知っている


響「ウゥ...」


心が黒く染まっていって、真っ黒になって
何もかもを壊したい、そんな気持ちでいっぱいになって


響「グウウゥ...グルルゥッ!!」


違う...何かが違う
意識が何処かへ行きそうなのを必死で食い止め歯を食いしばりながら、その違和感を考えた
黒く染まっているのは私の心のはずなのに、まるで誰か違う人の破壊衝動が流れ込んできているような


響「ガァァッ!!」


っ...だめ...もう、限界...




未来『響ぃぃぃぃぃぃっ!!!!!』




響「ッ!!!!!」

未来...未来の声だ
そう理解した瞬間スッと頭の中が静かになった
そうだ...この衝動に

響「塗り替えられて...なるものかッ!!!!!」

破壊衝動が押し寄せるのを抑えて立ち上がり、黒いモヤを振り払う
まだ、完全には戻れていない
それを示しているのか、ギアも黒く染まっている
それでも、今の私は暴走を抑えられていた

エルフナイン『イグナイトモジュール...違う、まさか、ダインスレイフの力もイグナイトモジュールのシステムも使わずに!?』

夏菜『何あの変身の仕方...響さんっていうか名前に鬼が付く方のヒビキさんじゃないですか...』


どうする?安価下

頭がスッと冷えているのがわかる
いつもならそれこそ未来に呆れられたり、クリスちゃんに引っ叩かれたりするくらい気持ちが高ぶってしまうのに、今はずっと冷静に、それでいて心は熱い

響「...ッ!」

カルマ武者ノイズに向かって拳を突き出し、相手がそれを避けようと後ろに跳んだところで私も勢いを保ったまま強く地面をやや上向きの前に跳ぶように蹴る
腰を折り、前回りの要領でカルマ武者ノイズの目の前まで再び近付き

響「ハッ!!」

そのままかかと落とし
両脚のパワージャッキをいつもと逆に引き伸ばしてから解放することで威力を上げ、相手を踏み台のようにして飛び越え振り返る
すぐに立ち上がって剣の形をした右腕をこちらに突き出すカルマ武者ノイズ
それを私は避けながら両腕で掴み返し

響「ハァァッ!!」


ブチブチッ


一気に引き抜いた
カルマ武者ノイズは片腕を千切られ体制を崩す
すでに炭化が始まっている千切った相手の腕を放り捨て、私は相手の周りを右往左往しながら拳を打つ
打って打って打ちまくる

響「これでトドメッ!!」

背中に回り込み相手の首を左手で掴みながらパワージャッキを最大にした右腕の拳を相手の背中に当て0距離解放


『我流・無明連殺』


ドッ!!


コンマ下
奇数 倒した!
偶数 まだ!
ゾロ目 何かデカくなり始めるカルマ武者ノイズ
(まさか響さんの初カットインがグレ状態になろうとは...いえ、これまでもカットインしてなかっただけで技は使ってたんですけどね)

手応えはあった
間違いなく入った
そう、思ったのに

響「ぐっ...!」

翼「立花ッ!」

未来『響!!』

ボロボのになりながら振り返ったカルマ武者ノイズに、超至近距離で斬り付けられてしまう
なんとかそれを腕の装甲で受けたからダメージは少ないけれど、また離されてしまった

響「チッ...」

クリス「舌打ち...?」

このノイズ、硬い上にしぶとい


どうする?安価下
(翠「zzz...」)

こういう時はどうするのが正解か
そもそもこのノイズ、黒じゃなく赤だった頃から翼さんに動きが似ている気がしていた
今はそれなりにダメージが入っているせいか翼さんとは比べ物にならないほど大雑把だけど...

響「...翼さん」

翼「!...どうした、立花」

離されついでに翼さんの近くまで前を見たまま後退し、横に並んで声を交わす

響「あのノイズの頭上に跳んで頭を斬りつけた後背後から攻撃を仕掛けるって出来ますか」

翼「あ、あぁ」

響「ならそれでお願いします、私もそれに続くので。クリスちゃんは援護お願い」

クリス「おう...なんか今のお前ちょっと気持ち悪いな」

そう言いながらもハンドガンを構えるクリスちゃん
翼さんが攻撃と見せかけて跳ぶのと同時にその後ろからカルマ武者ノイズに接近
翼さんのみを警戒していた相手は突然跳躍した翼さんとその後ろに隠れていた私の姿に僅かに反応が遅れた

翼「はぁっ!!」


『蒼ノ一閃』


翼さんの一太刀がカルマ武者ノイズの頭部に命中、そしてそのまま背後に着地した翼さんがカルマ武者ノイズの背を斬りつけるのに合わせて私も相手を正面から何度もぶん殴る

クリス「しゃらくせぇんだよっ!!」

そして私と翼さんがカルマ武者ノイズから離れた一瞬を突いてクリスちゃんが撃つ
それが止まればまた殴ると斬るの挟み討ち

響翼「「はぁぁぁっ!!!」」


コンマ下
奇数 撃破
偶数 消えた...
ゾロ目 おや?翼さんの様子が

正面からは最大限の力でぶん殴り、背後からは大きく振りかぶった後の重い一太刀


ドッ!!!
ズバッ!!!


同時に起きたそれにカルマ武者ノイズはある意味プレスされたようになり


サァァ...


奇声を上げながら炭素となって消滅した

クリス「...勝った...か」


コンマ下
ゾロ目以外 終了!本部へ帰還!
ゾロ目 そうは問屋が...いや、オートスコアラーが許さない

カルマ武者ノイズが完全に消滅したのを確認して、ギアを解除した

響「...ほっ」

するとその途端さっきまで渦巻いていた黒い感情や破壊衝動が消え、その代わり冷え切って冷静に物事を捉えられていた頭もいつものように

響「勝った~!勝ちましたよ翼さん!!やったよクリスちゃん!!」

翼「た、立花もいつものように戻ったようだな」

クリス「いつものバカに戻ったか...」

響「えー酷いよクリスちゃん!」

未来『私はどっちの響も...』

・・・

帰ってきました本部!
壊しちゃった道路とかはまたS.O.N.G.の人達がどうにかするらしい
いつもお世話になってます!

エルフナイン「ギアの想定外の変化のことも含めて、一度響さんのメディカルチェックをした方がいいと思います。それから、響さんのガングニールのギアを調べさせてもらってもいいですか?」

響「わかった!」

エルフナインちゃんにペンダントを渡し、いざメディカルチェックへ

・・・

検査結果は後日...頭がスッキリしたり暴走を抑えられていたこと以外は特に不調とかはなかったと思うけど...


どうする?安価下
(翠「zzz...むにゃ...ローラビットって何...zzz...」)

☆☆☆

で~れれ~で~でん!

☆☆☆

寝た、ものすごく熟睡していたのが自分でもわかる

翠「ん~っ!ふぅ...」

腕を首の後ろに回して背中を伸ばす
ついでに首も回して...おぉ、結構パキパキ鳴りますね
むしろコキコキじゃない?

翠「そうでしたっけ...」

何はともあれ、あれから何時間寝ていたのか...すっかり疲れは取れているようです

翠「よく寝た...うん、すごくよく寝た」

どんな夢を見ていたかは覚えていない
楽しかった気もするし、悲しかった気もする
ついさっきまで見ていたのにもうどんな内容だったのか忘れてしまう
忘れるのはそれ自体が忘れていいくらい自分にとってそれほど重要じゃないからっていう話もあるけど、夢なんかは特にそれとは正反対な気がする
覚えていたい、忘れたくないと強く思える夢に限って記憶から消えるのが早い...なんて思ってたり

翠「まぁ覚えてないものはもうどうしようもないですけどね...夢日記とかも書こうと思った瞬間に内容忘れそうです」

夢日記...あの有名なフリーゲームもやってみたいですけどフリーゲームだからか派生版多過ぎて手が出ないんですよね...そもそも私日記すら書きませんし
あ、でも翠は日記書いてましたよね
うん、今はそれは別にいいよ

翠「はぁ...」

そう、夢の話がしたかったわけじゃない
ただ現実を思い出してしまうから、少しそれから逃避したかっただけ

翠「...ねぇ、翠」

何ですか?

翠「翠はさ...どうする?止める?」

本当に今更ですね

翠「今更じゃないよ...前のは私が望んだことでもあるけど、翠の最初の目的でもあったんだから」

月の破壊
確かにそれをすれば世界に復讐出来ると思って私は話の流れにに乗った
でもそれは、私が転生するときに与えられた...とも言えるし、自分で決めたとも言える目的
私達はたまたまお互いの目的が合致したからこそ、成し遂げられた
支えて支えられて、迷っても最後までやり通すことが出来ました

翠「...でも、それはそれです。私だって貴女なんですよ?」

貴女が何かを新しく目標を立てるのなら、それは私にとっても目標です

翠「違うよ...だってここからは完全に私の問題...」

貴女にはよもぎは...妹はいなかった
よもぎは貴女にとって紛れもなく他人

翠「だから、なぁなぁで一緒にやるなんて」

それは違いますよ

翠「確かに私は会ったことはありません...でも、会ったことはなくても、生まれた世界が違っていてもよもぎは...貴女の妹は私の妹です」

確かに側から見れば私とよもぎは会ったことのない赤の他人かもしれません
でも、それを決めるのは私です
貴女に感情移入しているだけなのかもしれません
貴女が日記に書いていたよもぎを無意識のうちに私が気に入っていただけなのかもしれません
それでも、私は貴女を私だと思いたいし、貴女にも私を貴女だと思ってほしい
貴女の妹を、私にも妹だと思わせてほしい

翠「...なら、信じるよ」

翠「はい、信じてください」

翠「信じさせて」

翠「信じさせます」

私は貴女で貴女は私
裏切ることは許されない自分同士の約束

翠「私達はこれで、本当に一緒」

・・・

私はあの人工装者が調べた真実...よもぎの遺伝子こそが人工装者達のオリジナルと知ったとき、ふと思った
原作には人工装者なんて出てこなかった...舞台に立たなかっただけかもしれないけれど、少なくともこんな大ごとになるほどにはなってなかったはず

となれば、考えられる可能性は絞られてきます
第一本編との違いを作ってしまったのは私達...私達が完遂させてしまったルナアタック改めルナブレイク

翠「きっとあれが分岐点...人工装者のプロジェクトはそこから回り回って継続が決まってしまった」

あれが直接の要因でないとしても、元を辿ればそこに行き着く、と思います
つまり、彼女達人工装者を作り出してしまったのは突き詰めれば私達

翠「あのプロジェクトを凍結させる。今からでも」

あれじゃあ実験台を作って増やしてるようなもの...それも、よもぎを使った人間を
これから生まれるはずだった命、そもそも生まれないはずだった命に対して私が...私達が出来ることはそう多くはありません
ですがせめて...

翠「こんなことは終わらせる...よもぎをちゃんと眠らせてあげないと」


ウェル『今の貴女の目はいつかの僕の目によく似ている』


翠「...人間はみんな愚かなんだよ」

私も、その一人
何せ、理解していてなお...


どうする?安価下
(翠「深刻な収容違反じゃないですkねこですよろしくおねがいします」)

コンコンッ


クリス「起きてるか?」

ドアをノックする音、そしてまだ寝ていた時のことも考えてかいつもよりトーンを下げた声でそうドア越しに尋ねてくるクリスさん

翠「今起きたところです。入ってきていいですよ」

そう言うと、ドアは開かれクリスさんが頭を軽く掻きながら入ってきた

クリス「起こしに来たつもりだったんだが...ちょっと遅かったな」

クリスさんが起こしに来るなんて珍しい
これが初めてではないけれど、最近はそれほど多くもなかった

クリス「あー...なんだ、疲れてたり困ったことがあればアタシでよければ相談乗るからさ、一人で背負いこむなよ?」

翠「...」

寝る前、あの変態が言っていたことに少なからず反応してしまったからか、もしくは日頃の行いか
いつも以上に妙に優しい言葉をかけてくれます

翠「そう、ですね...そういえば、何か用だったんですか?というか私が寝てる間に何かありました?」

クリス「あぁ、さっき...」

クリスさんが何か話そうとしたその時、通信機から召集命令が
せっかく起きたことですし、今度こそ行きますか

・・・

弦十郎「揃ったな」

司令室に装者メンバーが揃った時にししょーが言うこの台詞
それほどバリエーションもないのでいわばお約束ですね

弦十郎「ちょうど今、例の人工装者の目撃情報が入ってな」

モニターに出された地図に一ヶ所印が
あそこは...えっと確か

翼「東京スカイタワー...」

ご存知みんなの電波塔
あれ元ネタ多分東京スカ◯ツリーですよね、高さ634メートルですし
そんなのあるの?見た目は?
大体同じです
スカイタワーって一期で囮にされたり二期でマリアさんナスターシャ教授が米国と取引したりしてなんやかんや未来さんが死にそうになった観光スポットですよね

弦十郎「ここの屋上で確認された。となれば、単なる観光かあるいは」

マリア「そこに錬金術師、あるいはオートスコアラーが現れる可能性が高い」

緒川「この電波塔は一般には周知されていませんが、僕達S.O.N.G....元二課が活動時に使用している映像や交信といった電波情報を統括制御している役割も備わっています」

その機能S.O.N.G.になっても使ってるんですか
そりゃ使えるなら使い回すでしょ


どうする?安価下
1 出撃
2 様子見

翠「それで...そこに出撃して接触すればいいんですか?」

そうと決まれば話は早い
彼女にとっての父親にあたる研究者のこと、研究所のこと...聞きたいことは沢山ある
ならどのギアで...錬金術も使える相手ならイミテーター?

弦十郎「いや、幸い映像は繋がっている。足取りは順次追っているとはいえ相手は瞬間移動が出来るからな。いきなりこちらが動けば感づかれる可能性も十分にある。その際逃げられては意味がない」

未来「じゃあ、ここから様子見ってことですか?」

弦十郎「そうなる」

様子見...


人工装者の様子安価下
(電波塔の屋上で一体何が起こるのか...)

歯痒い...けど、逃げられたら面倒なのには同感
テレポートジェムは持っていますけど、相手がどこに飛んだかわからなければ意味がありませんしね

藤尭「映像、繋げます」

画面が地図から切り替わり、どこかの監視カメラの映像に変わりました
しかしこの高所...もしかしたら監視カメラといってもまたドローンだったりするかもしれません

響「屋上に設置してるのじゃないんですね」

友里「あるにはあるけど、彼女の姿を捉えているカメラがなかったのよ」

あえて監視カメラに映らない場所を選んだ、ということでしょうか
時間も時間だし、通報されたり補導される可能性あるしね

モニターに映し出された彼女は何をするわけでもなく、静かに空を見上げていた
満点の星空...とまではいかないけれど、それなりに晴れた夜空
そこに並ぶ天の光を見つめている

翠「星...」

切歌「天体観測デスかね」

調「切ちゃん、それなら望遠鏡が必要」

エルフナイン「...待ってください、彼女、何か呟いているように見えます」

エルフナインちゃんの言う通り、僅かに彼女の口が動いているように見える

翠「音声は拾えないんですか?」

藤尭「これ以上近づくのは...それに、屋外だからどうしても雑音が」

S.O.N.G.の科学力を持ってしても...

緒川「...『私一人になったけど、私達の命題』...『ノイズの殲滅まで皆見守っててね』...でしょうか」

未来「緒川さん!?突然何を」

緒川「読唇術です。少しコツを掴めば誰でも簡単に出来ますよ」

このNINJA何でもありですね...一瞬壊れたのかと思いました


どうする?安価下
(特になければ引き続き様子見)
(タカキも頑張ってるので私も更新頑張ります!止まるんじゃねぇぞ...)

(翠「ふぇ?くれるんですか?...あ、そっか今日ホワイトデー!なるほどそれで......あ、ありがとうございます!...こういうのちょっと照れますね///」)

緒川「あ、また...えっと...」

緒川さんの読唇術によって行われるリアルタイム通訳
やり易いようにか映像が少しズームになりました
星々を見詰めながら紫髪の人工装者は


???『ノイズがいなくなったら、私の存在意義ってなくなるのかな?...天の光に聞いても分かるわけ無いか』


夏菜「!...やっぱり、彼女も...」

緒川さんの通訳越しに判明した人工装者の人の呟き
それを聞いた夏菜が悲しそうな声を出した

翠「夏菜さん...」

エルフナイン「っ!あれは!!」

夏菜さんに何か声をかけるべきか迷っていると、エルフナインちゃんが映像を見て声を上げました
その声につられ映像に目線を戻すとそこには

クリス「アイツ...!」

最後のオートスコアラー、レイアさんの姿が

藤尭「人工装者とオートスコアラー、交戦が始まりました!」

友里「司令、どうしますか!」


どうする?安価下
1 まだ様子見
2 出撃(後に出撃メンバー選出)
(『夏菜』(存在意義...生まれた頃から意味を、目的を持たされてしまった『私』達だけが縛られざるを得ない命題...))

弦十郎「...これより彼女の援護、及び保護を行うッ!」

マリア「そう来ると思ったわ」

レイアさんは強い...ししょーもそれをわかった上での判断でしょう
あの人工装者の人が負けると思ってるわけじゃ無いけど、これで死なれるのも夢見が悪いし


出撃メンバー安価下
1 翠ちゃん(イミテーターのみバリアコーティング有り)
2 響さん
3 翼さん
4 クリスさん
5 未来さん(バリアコーティング、イグナイトモジュール無し)
6 マリアさん(アガートラームのみバリアコーティング、イグナイトモジュール有り)
7 切歌さん
8 調さん
9 夏菜さん(イグナイトモジュール無し)

翠「なら、私が行きます」

聞きたいことを聞く、その為に
それに、寝ていた分を取り戻さないと

クリス「な、ならアタシが」

切歌「クリス先輩はさっきも出たばっかりデス!」

調「ここは、私達に任せてください」

クリスさんが名乗り出用としたところをザババコンビに留められてる...って

翠「さっきって、私が寝てる間に出撃してたんですか!?」

未来「う、うん、起こさないようにって」

マリア「特に被害も出ていない。気にする必要はないわ」

いや、単純に出られなかったことが申し訳ないのと、視聴者的立場に立ってその戦闘見たかったっていうのとありましてですね...
後で友里さんとかに頼めば戦闘中の様子は見せてもらえるでしょうか

夏菜「...私も、行かせてください」

弦十郎「...いいだろう、なら翠くん、夏菜くん、切歌くん、調くんの4人は出撃準備をしてくれ。翼と響くんとクリスくんは引き続き休息を兼ねて待機、念の為未来くんとマリアくんは本部内で警戒を頼む」

夏菜さんが志願したのに対し察したのかししょーは特に何も言わず、出撃メンバーに夏菜さんを加えました

・・・

東京スカイタワー近くまで今日はヘリではなく車
そもそもレイアさんと人工装者の人は高いところで戦っているから、下手したらヘリが撃ち落とされる可能性があったが故の選択だね


「Stealer Imitator tron」

「Zeios igalima raizen tron」

「Various shul shagana tron」


調「切ちゃん、しっかり掴まっててね」

切歌「ガッテンデス!」


『緊急φ式 双月カルマ』


調さんの腰に捕まって調さんと一緒に下のプロペラみたいに回る電鋸の真ん中に足を乗せる切歌さん
うん、それはわかります

翠「何で私の方はこんな状態に...」

何故か技術ミョルニルを纏った夏菜さんにお姫様抱っこされてます...

『夏菜』「フライユニットから出る火で丸焦げになってもいいなら腰に捕まっててもいいんですよ?...ったく、面倒な」

あっ、今この人夏菜じゃなくて『夏菜』だ絶対

調「それじゃ、屋上で」

『夏菜』「飛びますよ、エンジン全開ッ!」

『夏菜』さんに抱きかかえられたまま、いざ屋上へ


どうする?安価下
(夢姫「今何か翠さんが誰かとイチャついてる気がしますわ」

『凜音』「さっき出撃しに行ったみたいですよね...司令室に行ってみます?」

夢姫「ですわね」)

地面から遠ざかりぐんぐん高度を上げてついに屋上の高さを超える
調さんの方も同じくらいまで来てるね

『夏菜』「楽勝、後は着地を...ッ!」

レイア「その奇襲、まだまだ地味だっ!」

私達に気付いたレイアさん、人工装者の相手をしながらこっちにまでコインを投げてきました
しかもあのちょっとかっこいい投げ方の

『夏菜』「くっ!はぁっ!」

翠「ちょっ、目が回っ」

弾丸のように打ち出されるコインを着地目指しながら空中を飛び回って避け続けるのはいいんですが、抱えられたこっちは目がぐるぐるに...


ビシッ


『夏菜』「いッ!?」

そしてもう少しで着地というところで一発『夏菜』さんに擦り私は

翠「ふぎゃっ!」

放り出されて屋上の床にダイブ
着地寸前だったので高さはなかったけど、まぁまぁ痛い...

『夏菜』「無事到着」

翠「無事...?ねぇ私無事?」

『夏菜』「文句言うなら次からフライユニットの真下にしか掴まらせませんよ」

翠「うん無事、超無事」

多少の痛みは仕方ないよね、うん
ギアに付いた埃を払っていると隣に『夏菜』さんが降り立ち

『夏菜』「援護は請け負います...あの子を守るって『私』に大口叩くくらいなら、これぐらいの敵は退けてくださいよッ!」

それだけ言い残してまた上空に飛んでいきました

翠「そこまで言われちゃやるしかない、ですよね」


どうする?安価下
(レイア(マスター...どうかご無事で))

切歌「調、翠さん、行くデスよ!」

調「もう分解も怖くない」

調さんそれフラグじゃ...
まぁそれは置いておいて、人工装者の援護をっと

コインで作ったトンファーを持つレイアさんに人工装者が斬りかかり、金属音を鳴らして互いに飛びのいたところを

翠「さっきのお返しっ!」

レイアさんに向かってジャンプ&キック!
今は特に何も模倣していない状態だけど、あえてこのままでしか使えないやつを使いましょう

???「っ...邪魔を」

『夏菜』「其処退け其処退け鎚雨の土砂降りですよっ!」

すぐにその場を離れるとレイアさんに向かっていくつものトンカチが上空から投げつけられました
怖っ

翠「ネロさん、ちょっとこっそり私の近くにノイズ何体か送ってください」

ネロ『構いませんよ』

説明も何もしていないのにバビロニアの宝物庫の扉が開かれ、私のすぐそばに何体もノイズが湧き出てきた
準備は順調、後は...


レイア「チッ、地味に危険」

流石にそれをトンファーで弾くのは難しいのか、単純にその場で避けています

切歌「デェェェスッ!」

調「はぁぁぁっ!!」


『双斬・死nデRぇラ』

『β式巨円断』


レイア「ッ!」

三日月状の刃で動きを封じられた上で上からの電鋸
確かにそれが炸裂したのを確認した私は

翠「ぶっぱなせぇぇっ!!!」

予め出現させ照準をレイアさんに合わせておいたバスター砲
バイザーに映り込むノイズ達をその砲口がエネルギーに変換しながら吸い込み、トリガーを引くとそれが太いビームとなって放たれました

レイア「次から次とッ!」


パリンッパリンッパリンッ


レイアさんはそのビームの前にアルカノイズを出現させた
しかしそれらを消し去りながら突き進む光はレイアさんに遂に到達し爆発する

切歌「やったデスか!?」

翠「あっ」

それもフラグ...

レイア「はぁ...はぁ...」

煙が晴れると、やっぱりそこにはまだレイアさんの姿が
これで仕留めきれないとなるとやっぱり抜剣するしか...

???「ふっ」

その瞬間感じた謎の悪寒に本能的にその場を横に飛ぶと、背後からさっき立っていた場所を通過点とするプラズマの光が走っていった
その先にはレイアさんがいる

レイア「くっ...!」

その光がレイアさんに当たることはありませんでした
彼女も私どうようギリギリで避けて...というかさっき私それに巻き込まれそうになってたんですが何もないんですか紫髪ィ!

???「避けられた」

レイア「このまま派手にやられるわけにはいかない」


パリンッ


翠「テレポートジェム!」

逃げられた...

☆☆☆

で~れれ~で~でん!

☆☆☆


レイア「はぁ...はぁ...一人でさばくのは地味に大変」

テレポートジェムで広間に帰って来た私は周りを見渡してマスターを探した
あの時アレを取りに行っている間襲撃に遭ったマスターは自身の最期の予備躯体を媒体にして更なる錬金術に手を出して...否、あれはもはや錬金術ではない

レイア「記憶の焼却...というより、記憶の劣化」

多少崩れても直せる
が、その度に脆くなる

レイア「マスター...」

あれは到達して良い所だったのか
マスターの全てをもらったわけではない私では、判断が...


コンマ下
奇数 マスターいた
偶数 マスターいない
(寝落ちしたッ!と思って気が付いたら奏さんが幻獣ギアを纏っていました。私の木曜日と金曜日は何処...しばらく更新出来ずに申し訳ありませんでした!!)

キャロル「戻ったか、レ...レ、レ、レ...あー」

レイア「レイア。レイア・ダラーヒムです、マスター」

キャロル「あぁ、そうだったな、レイア」

良かった
私が出る前は一人で最後のピースを取りに行くと言っていたところを必死で止めてはいたが、ちゃんと待ってくれていたようだ

キャロル「見ていたぞ。あの残ったやつは倒せなかったか」

レイア「申し訳ありません」

キャロル「いや、いい。エルフナインがしっかり働いているのもわかったしな」

そう言ってマスターは玉座から降りどこかへ行く
自室か、それとも用を足しに行くのか

レイア「...」

エルフナインがしっかり働いているのもわかったし...か


☆☆☆

で~れれ~で~でん!

☆☆☆


翠「はぁ...」

レイアさんには逃げられましたか...やっぱりあのテレポートをどうにかしないとダメですね

???「...」

こっちの紫髪の人もテレポートして逃げちゃいそうですけど


どうする?安価下

どうしよう
ちょっとでも近付いたら逃げられそうな気がする
しかもテレポートだから四方八方塞ぐとか意味がないし...

???「...忠告」

翠「!」

喋った!

???「キャロル・マールス・ディーンハイムの精神と心、記憶は今消えつつある」

翠「...え?」

エルフナイン『ッ!?』

何を言い出すのかと思えば、キャロルちゃんが...色々消える?
いや待て、待ちましょう
それは思い出の焼却?とすれば必要以上に魔力を消費しているという...いえでもそれだと精神とか心とか...
原作でそんなことありましたっけ...あーでも最終回の時は...精神とか心は別に消えてなかったからこれも違う?

???「それと最後にもう一つ...試作品」

私が色々本編を思い出して考え込んでいると人工装者の人は『夏菜』さん...すでに戻ったようなので夏菜さんですね
夏菜さんの方を向き

???「お前には愛する者がいる。お前はその者のために戦えばいい」

夏菜「...っ」


パリンッ

そう言い残してテレポートジェムを割りました


コンマ下
奇数 あれ?一人足りない?
偶数 特になし

翠「あー...こっちも逃げられました」

キャロルちゃんのことで頭が真っ白になって目を離している隙に...いえ、まぁそれは私が悪いですね
てかどうするの?なんかキャロルちゃん原作より酷くなってそうだけど
会ってみないとどんな状態なのかこればかりは...

夏菜「私のこと、やっぱり知ってたんですね、彼女は」

夏菜さんは夏菜さんでそう言いつつ、どちらかというとさっき言われたことを気にしているようです
紫髪の人工装者の人にとっての大切な人はもう...

弦十郎『仕方ない。一度戻ってくれ』

翠「わかりました」

調「了解。行こう切ちゃん...切ちゃん?」

翠「どうかしました?」

調さんが何かキョロキョロしてます
すっごく嫌な予感しかしない

調「切ちゃん...切ちゃんがいない!?」

翠夏菜「「!?」」

私と夏菜さんもそれを聞いて辺りを見回しましたが、どこにも見当たりません

翠「通信も繋がりません...どこに消えたんでしょう」


どうする?安価下

通信機、切歌さんは応答なし
もう一回司令室に直接通信を行ってどうすればいいか聞いてみましょう

翠「これならギア纏ったままの方がよかったですかね...もしもし、聞こえますか?」

聞こえますかとは言っても今回はテレビ電話的な通信なので見えてますかって感じですが

弦十郎『どうかしたか、翠くん。迎えなら今向かわせているが』

翠「切歌さんが消えました」

弦十郎『ッ!?』

エルフナイン『消えた!?』

マリア『それはどういうことなの!?切歌が消えた!?』

クリス『はぁ!?』

翼『まさかあの人工装者と共にどこかへ』

調「わからない...ちょっと目を離したすきにいなくなってて...切ちゃんが、切ちゃんが!」

夏菜「月読さん気をしっかり!」

まずい、調さんが情緒不安定になりつつある
一刻も早く見つけるか手がかりを探さないと...

響『...ねぇ、何か聞こえない?』

翠「響さん?」

未来『響...?』

響『...うん、あっちの方から声が聞こえる。切歌ちゃんの声だ!』

翠「あっちょっ」

司令室から出て行ってしまう響さん
おかげで画面越しのこちらからは完全に見えなくなってしまいました

弦十郎『...とりあえず、一度戻ってきてくれ』

・・・

調さんを宥めながら本部まで車で戻ってくると、困ったような笑みを浮かべた友里さんが

友里「大丈夫、切歌ちゃんは見つかったわ」

調「っ!!!」

翠「無事だったんですね!」

そう聞くと一瞬表情が固まり

友里「無事...なのかしら、あれは」

・・・

調「切ちゃん...」

調さんはホッとしたように...ではなく、やや呆れと怒りを混ぜたような声色で切歌さんの名前を呼びました

切歌「あ、あはは...ご心配おかけしました、デス...」

私たちの前には切歌さんがいます
普通なら見つかってよかったと喜び合う流れなのですが

弦十郎「切歌くんの助けを呼ぶ声に響くんが気付き、こうして見つかったわけだが...発見した時からこの状態だ」

切歌「デス...」

何でこの人壁から上半身だけ生えてるんですか...


コンマ下
奇数 厚い壁!下半身は完全に壁の中!
偶数 薄い壁!下半身は向こうの部屋!
ゾロ目 厚い壁な上にエグいことに
(夏菜「これはアンノウンの仕業...!」

切歌「違うデス」)

・・・

とりあえず状況は把握しました
幸いここの壁は薄く隣の部屋に行けば切歌さんの下半身は確認出来ましたし、急にもお花を摘みたくなっても最悪どうにかなります
この際切歌さんの羞恥心とか無視するけどね、そんなことになったら

翠「そこに腰は壁とはちゃんと別に存在してるんですね?壁と完全に一体になってたりしませんね?」

切歌「そんな怖いことにはなってないデスよ!?ちょびっとくらいなら腰を回せるくらいデス!」

青ざめた顔でほらほらと僅かに腰を回転させようとする切歌さん
つまり切歌さんがいる部分の壁が完全に消えて穴が開いている状態と
それ何てエロゲ?

藤尭「壁しr」

友里「それ以上言ったら通報するわよ」

藤尭「何で!?」

デリカシーのかけらもない藤尭さんは置いておいて

調「切ちゃん...どうして無断でこの人のテレポートジェム使ったりしたの」

切歌「い、いや~、ちょっと前にたまたま見つけて、試したくなってデスね...」

翠「テレポートジェムっていつもポッケか部屋の引き出しの中なんですが」

切歌「そ、そうだったデスかね~...」

...引き出し今度から鍵付けてかけておきましょうか
しかし、この事件のおかげでわかったこともあります
このテレポートジェムによるテレポート、いわゆる上書きなんですね
前にとある二次創作でこういう能力を持つ主人公が「包丁を豆腐で切る」なんて表現の仕方をしていたのを読んだことがありますが、まさにそれです
壁があった場所に切歌さんの情報が上書きされたことでそこにもとまとあった壁が消え、切歌さんは座標がズレてしまっても欠損なくこうして無事でいられた、と
でもこれもし仮に他の人がいるのと全く同じ座標になった場合さ、そこにいた人は...うっ...考えたくない
考えたくないですね...

調「切ちゃん、反省してる?」

切歌「してるデス!してるデスよ調!」

調「そっか。じゃあお説教続けるね」

切歌「何の時間だったんデスか今の質問!?」

調さんが地味にSっ気出てる...

響「あれ?未来は?」

翼「あぁ、化粧室に用があると言って先ほど出て行ったぞ」

☆☆☆

で~れれ~で~でん!

☆☆☆


未来「...」

みんながいた部屋の隣の部屋
そこへこっそり来た私は中から鍵を閉め壁の方を向いた
そこにあるのは健康的な脚と可愛いぷりぷりとしたお尻
そう、ここは切歌ちゃんの下半身側がある部屋
さっきみんなとこの部屋に現状確認に来た時から、私は抑えきれない何かが溢れ出ていた

未来「ネロちゃんが...みんなが私を抑圧しようとするから...」

二度三度と響や翠ちゃんに手を出したからか、ネロちゃんの不思議な力のせいで私の...いわゆるそういった欲はずっと押さえつけられていた
でもそういう欲を、煩悩を消されていたわけじゃない
それが積もっても決して外に出せないようにされていた
だからこそ、積もりに積もったこの感情は抑圧が無くなった今、解き放たれる

未来「ごめんね切歌ちゃん...」

心から申し訳なく思いながら、私は彼女のそのもはや誘ってるんじゃないかと思うほどふりふりと揺れる大きな桃に

未来「ぱふっ!」

切歌「んひっ!?///」

顔を思いっきり埋めた


☆☆☆

で~れれ~で~でん!

☆☆☆


切歌「デ...デデ...ひんっ!?///」

調「だからいつも切ちゃんは...切ちゃん聞いてる?」

切歌「き、聞いてるデスゥンッ!///」

調「...じー」

切歌さん...様子が変?


どうする?安価下
(未来「すーはーすーはーすーはーすー...ふぅ、次はどうしよっかな...///」)

翠「...と、とにかくお説教は一旦救出してからにしません?」

切歌さん、もしかしたら限界が近いのかもしれません
そしたら早いところ救出してお花を積んできてもらわないと隣の部屋が大惨事になってしまいます

調「...それもそう」

翠「ししょー、ここの壁壊しちゃってもいいですか?」

弦十郎「あぁ、構わん」

とはいえただでさえ先日の火事のせいで脆くなってきているこの本部、修繕するのも大変なはずですし

響「壁にヒビを入れて引っ張ってみるのはどうかな?」

翠「ですね...切歌さん、ちなみにその状態でギアとか纏えませんか?」

バリアフィールドが張れればもしかしたらその衝撃で壁が壊れるかもしれませんし、壊れなくてもギアによって向上した身体能力で抜け出せるかも

切歌「や、やってみるデ...ひゃあぁんっ!?///」

クリス「...おい、お前本当にどうした」

切歌「な、何でもない、デス...Zeios igalim...」


コンマ下
奇数 raizen tron
偶数 未来「これが本当の戦姫絶頂シンフォギア!」

切歌「らっ...らいっ...raizぇへえぇんっ!!!///」

全員「!?」

切歌「デ...デへぇ...///」

聖詠が終わりそうになった瞬間顔を真っ赤にしながら変な声を上げた切歌さんは、そのまま乱れた息をしながらぐったりとしてしまいました

調「き、切ちゃん!?何が起きてるの!?切ちゃん!?」

翼「まさか...!」

部屋を走って出ていった翼さん
すぐに戻ってきて

翼「隣の部屋に鍵が!」

響「Balwisyall Nescell gungnir トロォォォンッ!!!」

響さん殴りながらの変身!?


ドッ!!!


響さんの拳が切歌さんのすぐ横の壁に炸裂し、その衝撃で壁がどんどん崩れていきます

マリア「...はっ!みんな壁!壁を退かすのを手伝って!」

夏菜「あぁはい!」

友里「ここは私がやるから貴方達は部屋を出て!早く!」

藤尭「せ、急かさないでくれよ!」

緒川「後はよろしくお願いします」

弦十郎「くれぐれも怪我には気をつけるんだぞ」

エルフナイン「ぼ、僕もですか!?」

友里「エルフナインちゃんはこっち手伝って」

さすがに切歌さんの様子を見ていて察したのでしょう
OTONAの皆さんの対応が早い早い

調「切ちゃん!」

切歌「しら...べぇ...///」

壁は完全に崩壊し、切歌さんも無事に救出出来ました
で、壁が無くなった結果繋がった隣の部屋にいたのは


未来「あー...ど、どうも...」


さっきまで切歌さんの下半身があったであろう床には見覚えのない水溜り
そしてぐったりとしている切歌さんもそれはもうびしょ濡れに
そして未来さんの手と顔も同様に...


デンデンデン デンデデ~ン デンデデ~ン デンデンデン デンデデン デンデデ~ン...


ネロ「やってしまいましたね、小日向未来さん」

その時、ラジカセを片手に現れたネロさん

翠「...え、何でラジカセ」

夏菜「帝国のテーマ...」


カチッ


あ、曲止まった

クリス「わざわざ曲流しながら出てきて曲止める意味あんのか...?」

ネロ「小日向未来さん...貴女は懲りない...物事には限度というものがあるのですよ」

そう言ってネロさんは未来さんに手をかざして...


ネロさんの神罰内容安価下
(未来さんファンの皆様、未来さんにこんなことをやらせて本当に申し訳ありません。私は決して未来さんを嫌っているわけではありません。むしろ一番好きなキャラです)

未来「っ!?!?!?」

未来さんの身体が一瞬びくんとし、ぺたりと床に座り込んでしまいます

響「ね、ネロちゃん、今度は何を?」

ネロ「一時的な性的欲求の排除と月の物が来なくなる祟り...」

クリス「うわ...後半ガチじゃねぇか」

夏菜「えっと...つまり今未来さん賢者モード?」

翠「夏菜さん!オブラート3枚くらい包んで!」

というか未来さんこの歳で一時的とはいえ月の物が来なくなるとか事情知らない人からしたら病気か事案じゃ

ネロ「永遠ではありません。何週間、何ヶ月かはわかりませんがどちらも反省の色が見え次第解除します...ただ、以前のように抑圧するだけでは意味がないと悟りました。よって一つ目、性的欲求は...」

ネロさんはスッとある人物の方を向き

ネロ「立花響さんにのみその類の欲を感じるように緩めておきました」

響「あれ!?私にだけ救いがない!?」

あ、それはどんまい響さん

ネロ「もともと貴女以外に被害が出ないようにということでしたので、これなら問題ないかと」

響「」


どうする?安価下
(調「未来さん...許さない...!」

切歌(す、すごい舌遣いだったデス...)

翠(セーフ!私は対象外!))

・・・

とりあえず切歌さんは疲れと諸々でお説教どころではなくなっているため調さんとマリアさんによる保護
現在切歌さんの部屋に3人で帰っています
そして元凶の未来さんは響さんに縄で縛られてます

あの響さんが

未来さんを

縛ってた

響「ごめん未来...正直今回のはちょっと...」

未来「響...///」

響「...」

ちょっとしたショッキング映像だよこれ...アンソロジー空間にでもいるのかと思った
あ、普通にぐるぐる巻きの縛り方ね

そしてOTONAの皆さんももう一度集まり

弦十郎「壁はこの際仕方がない。すぐにでも直すと言いたいところだが、時間も時間だ。今は俺達大人でダンボールとブルーシートで応急処置をしておく。君達は解散、各自身体を休めてくれ」

解散ですか...寝て起きてすぐだけどまぁ寝ておこっか


ナスターシャ教授コンマ下
奇数 この場でみんなに報告
偶数 次の日に報告(高校生組(ザババコンビ除く)は普通に学校です)
ゾロ目 何故か翠ちゃんだけこっそり伝えられる

ナスターシャ「その前に一つ、よろしいですか?」

弦十郎「ナスターシャ教授」

さっきの人工装者保護作戦辺りから姿が見えてなかったナスターシャ教授
対錬金術師の諸々もやらなければならないエルフナインちゃんに代わって変態と一緒にずっと人工装者に関するデータログの解析を進めてたって話だけど

弦十郎「あれから進展は」

ナスターシャ「はい、彼女達の大まかなレシピの解析も進み、新たな情報がわかりました...ですが、良い報告ではありません」

そう言うナスターシャ教授の顔には悔しさや怒りのようなものが滲み出ている
わかったのはもしかして相当悪いことなのか...

ナスターシャ「リーダー格の人工装者、彼女はテロメアを意図的に短くされています。計算上、寿命はよく保ってあと半年以内...」

夏菜「...!」

翼「半年だと...!?」

響「そんな...テロメアって何?」

翠「クリスさんに聞いてください」

ナスターシャ教授のあの表情は人工装者達を最初から消耗品としか考えていない科学者に対するものなのでしょうか
しかし、半年以内...

翠「それは、どうにか出来ないんですか?」

ナスターシャ「テロメラーゼを増やしテロメアを伸ばす研究はアメリカのカリフォルニア大学を始めとしたいくつかの研究所で実験が行われています。ですがあくまでそれは一般的な生活を送る人間が長期的にするもの...参考にはならないでしょう」

いわゆる健康法とかでどうこう出来るレベルの話ではない、と
ならそれこそ細胞全部を書き換えるくらいのことをしないとなのかな...


どうする?安価下
(特になければ就寝して次の日です)

ナスターシャ「これは推測ですが、短命な人間は優秀な素質を持つ者が多い、だからこそ寿命を短くし戦闘能力を高めたのでしょう...」

弦十郎「所詮彼らは彼女達のことをその程度にしか...ということか」

科学者らしいといえばらしいやり方
だからといって許すかどうかは別だけど

ナスターシャ「仮に延命を行えたとしても、脳だけはどうにも...」

・・・

結局ナスターシャ教授の話はそこで終わり、これといった解決策も浮かばないまま解散
私も部屋に戻ってきていた

翠「はぁ...」

ベッドで横になりながら思わずため息を吐いてしまう


???『...』


あの人工装者...わかっていたことだけど、やっぱりあれはよもぎじゃない
面影とか性格とか、何か通ずるものがあるかもと期待してたわけでもなくもないけど

翠「半年以内...か」

夏菜とはまた違ったタイムリミット
細胞レベルで最初から与えられた寿命

翠「どうにか、出来ないんですかね」

エクスドライブ状態のアスクレピオスならこう...全部治すどころかリプログラミング!とか
絶対じゃない、というかそれは確証も何もないただの妄想でしかないから
不老になれる系の聖遺物を探すとか
現実的ではあるけど見つかる保証...それに、その聖遺物と適合するかどうかもわからない
じゃあ...フォークで
黄泉還りは...ダメだよ

翠「...ごめんなさい」

...ごめん

もう寝よう
えぇ、もう寝ましょう

目を閉じ、身体の力を抜いてベッドに身を任せます
長かった今日にまたピリオドを打ち、次に目が覚めた時はそれが昨日になって新しい今日を迎える
朝になれば、何かが変わるかな


コンマ下
奇数 気付く
偶数 気付かない

・・・

翠「ふあ~ぁ...ふぅ」

今日は月曜日
夏休みに突入したから学校じゃないしゆっくり寝ようと目覚ましも付けずに寝た
はずなのに

翠「習慣...いや、昨日寝過ぎたかな」

いつもとあまり変わらない時間に起きてしまいました
健康的なのか、それとも短時間しか寝付けなかった時点で不健康的なのか...

翠「響さん達高校生組は普通に学校ありますよね...今日一日どうしましょう」

紫髪の人工装者等色々気になることはありますけど、やることの明確な手順もわからないですし


どうする?安価下
(女神「五つの聖遺物に死を殺す薬の在り方を残した輝夜姫...されど彼女の故郷は今はもうそこにあらず」)

翠「...暇ですし朝御飯食べたら少し外でも歩いてみますか」

THE夏休み!みたいなことは多分高校生組が夏休みに入ってからでしょうし、それ以前にそんなことしてる場合でもありません
かといって何が出来るかと聞かれると...

・・・

着替えて朝御飯を食べ終え、歯を磨いたり顔を洗ったりしてからスマホと通信機とギアペンダントと財布を持って本部を出た
何をするでもなくただなんとなくの散歩
ほとんどのお店もまだ開いてなさそうですしね...本屋さんとかが開いていれば何時間でも暇は潰せるんですけど

翠「公園あたりにでも行きますか」

・・・

公園を最終目的地として色んな道をぶらぶら

翠「あ、猫...あー行っちゃった」

曲がり角から歩いて出てきた毛並みの良さげな黒い猫
そのまま私の前の道を右から左へ足早に去っていってしまいました

翠「どうせなら少しくらい触りたかった...あれ?」

猫が去っていった道の方に顔を向けると、ちょうどその猫とすれ違うようにこちらに向かってくる人が一人
あの紫の髪の人、どこかで見たような...ん?紫の髪?

???「はぁ...」

私のことに気付いていなさそう、というか周りに注意すら払ってなさそうな彼女
間違いない...とまでは断言出来ないけど、きっとそうだ
あの人、人工装者の...

???「...」

前をちゃんと見ているのかわからないようななんとも言えない心なしか怠そうな表情の彼女
目の下には大きなクマが出来てしまっています


どうする?安価下
(特になければ素通り出来ます)

今は人工ギア...じゃなくて、本当はRN式回天特機装束?とかなんとかいう名前だっけ?それを纏ってないからぱっと見わからなかったけど、多分そうだよね
結構足取りが危なげだけど...
会って聞かなきゃいけないことが、聞き出さなきゃいけないことがあるとは言っていたものの、いざこうして偶然鉢合わせするとどうしていいものか
気付かれてなさそうだしいっそ素通りしてしまおうか...

???「...私にはもう何も残されていない...この命、燃やしてでも今回の件を終わらせてみせ...ゴホッ」

翠「っ!?」

どっかのタケル殿やカシラみたいなこと呟いたかと思ったら吐血した!?
ど、どどどどうしましょう!?

翠「ちょっ、だ、大丈夫ですか!?」

いや見るからに大丈夫ではないんですけどね
手で口元を押さえている彼女に駆け寄り支えながら背中をさすっていると

???「誰...ぁ...」

まぁ、気付かれますよね
この際逃げられても仕方がない...出来るなら逃したくはないけど

・・・

何度かその後咳き込み、ようやくおさまった
彼女の背から手を離し、様子を見る

???「...悪かった」

翠「ん、気にしないでください」

勝手に駆け寄ったのはこっちだしね
さて、これで後は逃げられてさよならかな
もしくは攻撃される可能性も

???「...少し、付き合って、話に」

翠「...はい?」

そう思っていると、斜め上の反応が返ってきました


どうする?安価下

・・・

あのまま道の真ん中で立ち話もなんなので結局公園へ向かいベンチに座りました
もちろん人工装者の彼女も一緒に

翠「話って?」

???「...返答はしなくてもいい。ただ、誰かに話したかった...それだけだから」

話して、楽になりたい
そういうことかな

???「...私は、もう時間がない。設定された寿命がもうすぐ尽きる」

翠「...!」

???「だから急いだ。私が、私達が結果さえ残せれば...でも、その結果の不注意で、みんなを死なせた...何もかもを失ってしまった...」

やはりというべきか、彼女は独り言のように...独白しているようだった
自身の過ちを、後悔を声に出して言うことで再認識し、以前私は日記に記すことで読み返す度自分を責めたそれを、彼女は私に...第三者に聞かせることで自身を逃げられないようにしてるんだ

???「失敗した...多くの仲間を残してきて、それでもいつかは助け出そうと私達は...なのに、研究所に残っていたみんなも、私と一緒に来てくれたみんなも...全部上手く行くはずだった...私が油断したから...」

彼女ほ膝の上で拳を握り締める
泣き叫ぶようなことはなく、ただ静かに悔しさを滲み出させるような

翠「...」

この世界に転生して、私が来させられた理由やここにいた私の過去を知って月を破壊して
そうやって、後先も考えずに知っていた未来を壊して
だからせめて、もうこれ以上犠牲は出ないようにって、そう思って...
私が動かなければ、もしかしたら彼女達は生まれなかったかもしれません
その方が、こうなってしまうよりよっぽどよかったのかもしれません...

私があの日熱さえ出さなければ...よもぎを守れていれば...妹の代わりに死ねていれば、こんなことにはならなかった
家族も友人も失って、世界を呪って...
私がしっかりしていなかったから、よもぎは死んだ
そして今、そのよもぎから生み出された多くの存在が消え、残った目の前の彼女の命も消えようとしている
私はまた、守れないの...?

・・・

彼女の独白は終わりました
声をかけることも出来ず、どうしようかと思っていると

???「...少しすっきりした。聞いてもらって」

翠「そう、ですか」

彼女はそう言って立ち上がる
このままだと彼女は帰ってしまう...声をかけるのなら今しかない
でも、どんな言葉を...

???「...付き合わせておいてなんだけれど」

翠「っ」

???「もし仮に、保護しようと考えているならやめた方がいい...私は人間じゃない、ノイズと戦う為だけに作られたバケモノだ」


どうする?安価下
(翠ちゃん←月を破壊するために転生させられた並行世界人

人工装者←ノイズと戦うだけに作られた人造人間

S.O.N.G.職員←OTONA

響さん←神殺し)

翠「待っ...」

今ここで逃せば次いつ会えるかわからない
そうなったら研究所の人間のこと、彼女にとっての『父親』にあたる研究者のことがわからない
それだと、彼らを--せない

翠「バケモノだって言うなら...今更バケモノ程度が一人増えたところでッ!」

引き止めて聞き出して、そしてよもぎを利用したことを後悔させて

翠「だから、保護させ」

???「...ッ!!!」

私がそう言った瞬間、彼女はほとんど無表情だった顔を歪ませ怒りをあらわにした

???「結局ッ!それがアンタの本心かッ!」

彼女は私の胸倉を掴み

???「私はっ!自分のせいで仲間を死なせるようなバケモノ!アンタの妹に似ているだけの『バケモノ』なんだよッ!」

それだけ怒り任せに私に向かって叫び、私をベンチに押し返して手を離した
今の言葉である程度頭が冷えたのかまた表情を戻して踵を返す

???「...今の貴女は...アンタは他人に手を差し伸べるようなことを言える目をしていない...私はアンタの妹じゃない、けど今の憎しみに歪んだアンタを妹が望んじゃいない事くらいはわかる。そんなアンタに保護されるつもりはない」


翠「...っ!」


憎しみ


そうだ
確かに今私は、彼女を保護したいという気持ちより研究者達を苦しめたいという気持ちが先走っていた
彼女はそれに気付いていたんだろう

翠「...」

憎しみの炎は消えない
よもぎを利用した彼らを許すことなんて決して出来ない
それでも...その為に、その為だけに彼女を捕まえるのは、確かに違うのかもしれない

翠「...貴女はよもぎには似ても似つかない」

???「...」

翠「でもっ!」

???「...!」

翠「根本によもぎがいるのならば、私は助ける...首根っこ引きずってでも。それがお姉ちゃんの...家族の役目だからっ!!」

彼女は振り向くことなく歩いていく
私の言葉は彼女に届いただろうか
今私が放った言葉は、私の本心であれただろうか

翠「...よもぎ」

彼女の背中はどんどん見えなくなっていっていた
その背中に、よもぎの背中がかぶる


どうする?安価下
(特になければ放課後のクリスさんにエンブレムターン)

彼女はよもぎの遺伝子をオリジナルとして生み出された存在
だけど、彼女はよもぎじゃない

翠「...ねぇ!」

ベンチから立ち上がり、私はもう一度その背中に声をかけた
立ち止まってくれるとは思っていない
それでも...

翠「貴女の名前...教えてくれないかな」


コンマ下
奇数 だが断る
偶数 教える
ゾロ目 名前があると一体いつから錯覚していた

(女神「お前は誰だ!俺の中のおr」

薫「ハンバーグ食べられへんようになるからその歌やめて~な」)

私は彼女のことを何も知らない
よもぎをいくら重ねても彼女はよもぎになるわけじゃない
彼女は彼女だから

???「...」

振り向くことはなく、それでも立ち止まってくれた彼女はスッと息を吸い


???「...だが、断る」


そう強く言い残し、また遠ざかってしまった

翠「...そっか」

私に教えるのは嫌か
なら仕方ない
仲も良くない相手に手を差し伸べたり、名前を聞き出すなんてこと、どっかの主人公しか出来ないもんね

???「...けほっ...ノイズとあの研究所が存在する限り私達は...人間じゃ...ないんだ...ゲホッ」

翠「っ」


パリンッ


咳き込みながら、とうとうテレポートジェムでテレポートしてしまう紫髪の人工装者

翠「...あ~あ、振られちゃった」


どうする?安価下
(特になければ放課後のクリスさんにエンブレムターン)

一旦本部に帰りますか?

翠「うん、そうする...てかさっきまで静かだったね」

そうですかね?
気でも遣ってくれてた?

翠「まさか...そこまで出来た人じゃないですよ、私は」

はいはい、そういうことにしておくよ

・・・

本部に戻り、私は紫髪の人工装者と会ったこと、話した内容...つまり彼女の心境といったものをししょーに話しました
もちろん、よもぎに関係している部分は伏せて

翠「保護出来ずに、すみませんでした」

弦十郎「いや、気にするな。出来ることなら次からは見かけた段階でこちらにも知らせてほしいがな」

翠「はい」

ししょーは特には追及して来ません
私が全てを話していないということにはおそらく気が付いているでしょうが、それこそ気を遣ってくれているのでしょう


☆☆☆

で~れれ~で~でん!

☆☆☆


クリス「はぁ...とっとと帰るか」

今日も一日やりきった
学校ってのは存外苦しいだけじゃない
何より、アタシがいていい場所がこんなに色々あるってのが...少し前までは考えられなかったからな
まぁだからといって体育は別だ
二学期にマラソン大会だ?んなもん夏休み明けてから練習しろってんだ

クリス「去年も散々だったからな...先が思いやられるってもんだ」

これならノイズ相手にドンパチした方がどれだけマシか...


「少し、いいかな?」


疲れ切った身体を引きづりながら下校に勤しんでいると、その最中に妙なやつに話しかけられた


スカウトの人の見た目安価下
(例えマリアさんと同じ事務所のPだとしても、見た目によってはOTONAの警戒レベルが...)

クリス「あ?」

見た感じは何つーか...どっかの緑色の全身タイツの自称妖精みたいな感じの細長い顔の怪しい中年のおっさん
いや、別に服装はタイツとかじゃなくてきちんとした正装だし、顔立ち自体も真面目そうではあるんだが...

クリス「...不審者か」

「ま、ままま待ってくれ!私はこういう者だ!」

サクッと通報して終わりにしようと思った矢先、そいつは名刺を差し出してきた
何々...

クリス「...アイドル事務所だぁ?」

「そう、例えば今世界中で人気を博している『マリア・カデンツァヴナ・イヴ』というアイドルを知らないかい?我が社には彼女も所属している」

クリス「あー...」

どっかで聞いたことあると思ったらアイツのとこか...
てかその言い方、別にアイツに関することでアタシに話しかけてきたわけじゃなさそうだな

クリス「んで?歌姫さん抱えてる事務所のPが何の用だ」

「単刀直入に言おう...雪音クリスさん、アイドルになってみないかい?」

クリス「...は?」

待て待て待て
話が見えてこない
今コイツは何て言った?

クリス「それは...アタシをスカウトしてんのか?」

「あぁ、君は間違いないと一目見た瞬間そう思った!君は逸材だっ!」

クリス「話してる最中に一人で興奮すんな!アタシを置いて行くんじゃねぇ!」

やばいやつだ
やばいやつに話しかけられてしまった

「ウチの事務所なら君をどこにも負けないぐらい輝かせられる!君の両親だって納得出来るぐらい私が立派に磨き上げてみせる!私と一緒に、大きな夢を追いかけてみないかッ!?」

凄い熱の入りようだ
熱意は嫌ってほど伝わってきやがる

クリス「...待て、今『両親』つったか。それにアタシの名前」

「あ、あぁ」

クリス「...」


どうする?安価下
(このPは今後OTONAの他に女性陣の厳しい観察下に置かれることに...?)

二課...今はS.O.N.G.か
あそこの人らもそうだったが、コイツの場合はやけに怪しく感じる
個人情報を調べてきて話しかけるとかそれこそ犯罪だろ

「ぜひ、私に君をプロデュースさせてくれ!きっとトップアイドルに」

クリス「お巡りさ~ん!変な男にストーカーされてんだけどどうにかしてくんないっスか~っ!!」

丁度通りかかったお巡りさんに助けを求める
ストーカーされてるからっていうより早くこの場から去りたいからなんだけどな
どうやら上手くいきそうだ

お巡り「そこの君!大人しくしなさい!」

「えっ違っ私はストーカーじゃ」

クリス「助かりました。それじゃ」

早いところ逃げようそうしよう
そして何も見なかったことにしよう

「あ~!待って!待ってくれ~!」

お巡り「ストーカー一名確保。応答願います」

「い、一度でいい!腹を割って話をする機会をくれないかッ!」

お巡り「大人しくしろッ!」

連行されて行くおっさんを背に、アタシは改めて帰路についた

・・・

クリス「はぁ...つか何だったんだあれ」

本部に着いてから一息つき、アタシは返しそびれた名刺を眺める

クリス「くっだらねぇ...何の冗談だっての」

さっきの出来事は記憶から消そう
あれは夢だ、現実じゃない


どうする?安価下
(特になければ翠ちゃんにエンブレムターン)

マリア「あら、クリス。帰っていたの?」

噂をすれば何とやら...とはちょいと違うか
さっきの夢として片付けた出来事の中で話題が出てきた世界的な歌姫
あとついでに忍者が来た
まぁここ休憩所だからな、誰が通りかかっても不思議じゃねぇ

緒川「どうかしましたか?疲れが出ているようですが」

マリア「無理は禁物よ。現に出動先で倒れるような子もいる現場だもの」

クリス「いや、別に...たださっき妙なやつに変な話をふっかけられただけだ」

話すのも面倒だと思ったが、名刺だって一応個人情報だからな
勝手に適当に捨てていいものか迷うってもんだ

クリス「丁度いい、捨てといてくれ」

ここはそういうのに長けてるここの職員に任せるのが手っ取り早い

緒川「え?えぇ...って、これマリアさんの事務所の人の名刺じゃないですか」

マリア「あら、もしかして遂にスカウトされたの?」

遂にって何だ遂にって

クリス「人様のことをこそこそと調べてるようなやつだったからな、お巡りさんに後任せてきた」

緒川「それは...」

マリア「はぁ...一応、後でどうなったかそれとなく事務所内の人間に聞いておこうかしら」

場合によってはちゃんと謝るのよと言ってくるマリアにアタシはへーへーと適当に返す
何がアイドルだ...歌で世界を平和にとは言ったが、そいつはアタシ向けじゃないだろ

マリア「事務所といえば...貴女に渡しておこうと思っていたものがあったのよ」

クリス「ん?」

その場から離れて自室にでも行こうとしていたところ、そんな風に言われてつい振り返ってしまった
マリアが後ろのポッケから取り出したのは薄いプラスチック...CDケース?それも中身入りの

マリア「ウチの事務所...芸能プロダクションの倉庫に一つだけ残っていたの」

それは製品ではなく、無地のCDだった
ケースにも表紙やなんかは入っていない
ただ...

クリス「これ...」

マリア「えぇ、そう...良かったら聞いてみて、雪音夫妻がセッションしたイメージCD」

表に『雪音雅律 ソネット・M・ユキネ』とだけ書かれたメモ紙が挟まっていた

マリア「それじゃ、私もそろそろ行くわ...アイドル、私はいいと思うわよ」

緒川「僕も仕事がありますのでこの辺で」

そう言ってさっきまでとは対照的にアタシ一人を残して去っていく二人
アタシはただ呆然とCDを手に立っていた


☆☆☆

で~れれ~で~でん!

☆☆☆


人工装者のことはししょーに伝えた
後もうやることがない

翠「多分よく考えればやらなきゃいけないことなんていくらでもあるんですけどね」

私はちょっと今そういう気分じゃない
でしょうね、わかってますよ

翠「でもいつまでも本部の中散歩してるのも...あ、クリスさん」

帰ってたんですねクリスさん...クリスさん?
廊下の向こう、自販機やベンチにテーブルが置いてあるいわゆる休憩スペースで何をするでもなくただぼーっと突っ立っているクリスさん
...えっ何でしょうあれ

翠「...何か話しかけるっていう感じじゃないですね」

放っておきましょうか...?


どうする?安価下
(マリア「計画通り(悪い笑み)」

緒川(はぁ...胃が痛い))

・・・

とりあえずクリスさんには声をかけずスルーして部屋に戻ってきた
マリアさん達の仲間入りみたいな感じになってからキャロルちゃん達が動き出すまでの間、つまり二期と三期の間っぽい時期は特に何も起きないだろうという漠然とした根拠のない自信のようなものがあったので暇な休日もそれなりに充実した過ごし方を出来ていたはずなんですが...三期の真っ最中、でも勝手な動きはあまり出来ないとなると、どうも身構えてしまうと言いますか

翠「命令はされてない...のに、何をしていていいのかもよくわかりません...」

いっそししょーに言ってとっとと深淵の竜宮にニーベルングの指環取りに行かせてもらいましょうか?

...あ、そういえば

翠《女神様女神様、今暇ですか?》

女神《大体暇ですよ~》

何て悲しい返事...

翠《エルフナインちゃんが前に言ってたニーベルングの指環って、アレ本当にダインスレイフの代わりになるんですか?》

ニーベルングの指環がイグナイトモジュールを使えるように出来るほどの物なのか...というかどういう基準なんでしょう、イグナイトモジュールって
それに私は最悪イミテーターがありますが、未来さんは聖遺物殺しの聖遺物、夏菜さんは普通のミョルニルの時点でバックファイアがものすごいですし...

女神《つまり、念のためニーベルングの指環の他にも手は無いのか、ということですか?》

翠《まぁ...》

女神《う~ん...前にも言いましたけど、私も別にこの世界のことを全て知っているとかではないので...》

翠《そういうの調べられないの?ほら、夏菜の運命的なのをズルして調べた時みたいに》

女神《さらっと交代するの心臓に悪いからやめませんか!?というか気にはなってましたけどその状態割と危険なんですからね!?》

女神様にも心臓はあったんですね...いやあるでしょうけど、ほら、神様ですし何かそういう


どうする?安価下
(特になければエルフナインちゃんが謎の聖遺物の存在に到達したり翼さんと出かけたり)

(同じ展開の繰り返し...ほうほう、つまりは夏菜さんのようなトゥルーエンディングは飽きたからバッドエンドがお望みということですね)

女神《まったく...あ、でもモジュール一つ余りますよ、もしかすれば》

翠《モジュール...ダインスレイフ一個別のに取り替えられるってことですか?》

女神《えぇ、響さんがイグナイトモジュール使わずに暴走制御したので》

翠《ルナブレイクの時のですか?》

女神《いえ、翠さんが疲れて二度寝していた時に》

翠《へぇ...えっちょっ何ですかそれ!?聞いてませんよ!?何で起こしてくれなかったんですか!!!》

えっえっ私が寝てる時に出動あったっぽいのは何となく察してましたけどえっえっ

女神《起こしませんよ...えぇまぁ、何かカルマ化した武者ノイズが現れて、そのノイズから出た触れたらカルマ化する...のかはわかりませんけどそれっぽい黒い霧に包まれて暴走しかけた響さんがこう...音撃道の人みたいにはぁっ!って払って制御してました》

翠《何それめっちゃ見たかったんですけど...》

てかそれ普通の暴走より危険なやつだったんでしょうか...もしそうなら確かに自力でイグナイトになったようなものですよね...

女神《その時ギアも黒く染まってましたけど...でも多分次にギアを纏った時には戻ってるんじゃないでしょうか》

翠《なるほど...でも、それって結局暴走した後の話ですよね?人為的に暴走させて制御させるまでの一連の流れをダインスレイフを利用するわけですし、ダインスレイフを除いたらどうやって人為的な暴走を起こさせるのかっていう問題がまた出てくるような》

女神《あー...腕をパクっとか》

翠《それは融合症例の時だから上手くいっただけだしアスクレピオスで治せる保証もないような大怪我させられるわけないでしょ》

女神《あっまた交代してますね!?声色でわかりますよ!?なんか雰囲気違いますから!》

中々上手くいきませんね...やっぱり一番確実なのはダインスレイフの欠片を増やすことなんですけど

っと、女神様と念話していると急に通信機に誰かから連絡が

翠《通信来たのでこの辺で》

女神《はいは~い》

それにしても女神様大体暇なんですね...今の私の状況的にちょっとだけ同情してしまいます

翠「っと、通信通信...」

・・・

いつものように司令室に集められた装者面々
どうやら今回は出撃ではなくエルフナインちゃんからの報告らしいです

エルフナイン「皆さん、集まっていただきありがとうございます。早速ですがこれを見てください」

そう言ってモニターに映し出されたのは

翼「石の...プレート?」

エルフナイン「深淵の竜宮に保管されている見解析品の一覧を調べていたところ見つけた物です。櫻井女子のレポートによると『インディアンが崇めていた遺物』...と書かれています。ですが、それ以上のことは...」

響「えっと...つまりは謎のプレートっていう結論?」


どうする?安価下
(果たして純種か模造品か...)

翠「謎のプレート...」

若干生前の方の記憶にアレに近いものがチラつきますが、まさか...ねぇ?
アプリがコラボとかそういう
いやないでしょう...あーでもありそう...
あの作品はありそうな気もしますね...

翠「ニーベルングの指環のこともありますし、いつまでも先延ばしにするのもどうかと」

弦十郎「あぁ、仮にこのプレートを解析するにしても一度持ち帰らなければいけない。ついでに出来ることなら本部に移動させたいと思っている」

マリア「なら話は簡単ね。深淵の竜宮...そこへニーベルングの指環とそのプレートを取りに行く、それだけよ」

深淵の竜宮はそう簡単にちゃちゃっと帰っては来れない場所なので、すぐに行くのだとしたら今学校がないメンバーの中から選ぶ方が得策でしょう

翠「ちなみに...他には気になる聖遺物はないんですか?」

にゃんとらさらだすぱ...もとい、ヤントラ・サルヴァスパもあそこにはあります
ここでこう...他にもいくつかお持ち帰り出来そうであれば素知らぬ顔でそれも回収してしまいたいという気持ちが


コンマ下
奇数 まぁまぁあるから適当に摘んできてほしい
偶数 危険物もあるしそう簡単にはお持ち帰り出来ない

エルフナイン「そこは皆さんにもお話しさせていただきました」

友里「危険だと判明しているのもあるから流石にそれは無理だけど、それら以外は今後の為にも回収の許可が下りたわ」

エルフナイン「なので、このプレートの他に気になる聖遺物やその他の遺物のリスト、それから危険な為除外したリストがこちらです。このリストのどちらにも書かれていないものは可能なら回収、という形です」

にゃんとらは別に危険だとかいう話はなかったと思いますし、これなら回収班に回してもらえれば...

弦十郎「先程も話に出ていたが、動くなら早い方がいい。今から回収班を決め明日の朝出発してもらいたい」

クリス「...ってことはアタシらは」

翼「雪音、立花、小日向、月読、暁はそこから除外だ。出撃ならともかくこればかりは学業の方を優先するべきだからな」


回収班安価下
1 翼さん
2 マリアさん
3 翠ちゃん
4 夏菜さん
(ここで決まっても回収に行くのは次の日です)

夏菜「なら、やることも特になかったですし私が行きます」

翠「同じく。暇を持て余していたので」

本当はここで行くと言わないと猫虎が取ってこれないから、だけどね
夏菜さんが先に立候補してくれたので言い出しやすかったです

翼「私は...」

緒川「時間がかかってしまった場合仕事に支障が...それはマリアさんにも言えることですが」

弦十郎「なら、翠くん夏菜くん、頼めるか」

翠夏菜「「はいっ!」」

さて...話はそれで以上っぽいので解散でしょうか

・・・

部屋に戻り、エルフナインちゃんから渡された二つのリストに目を通します
割と多いですね...
というか、このリストも明日の朝回収しに行くのも最悪キャロルちゃんには筒抜けなんですよね

翠「何かあっても動けるのは私と夏菜だけ...迅速な翼さん達の応援は望めない」

ネロさんなら迅速に来てくれそうな気もしますけど、戦闘力的なものは如何程なのか...

翠「...うん、今考えても仕方がないですね」

とりあえず今は暇つぶしに今後やるべき事の振り返りでもしておきますか

翠「まず、明日ニーベルングの指環やら謎のプレートやらを回収」

ついでにサラダスパも出来れば回収

翠「そして私のギアと未来さんのギア、出来れば夏菜さんの人工ギアにもイグナイトモジュールを搭載...」

キャロルちゃん、レイアさん、レイアさんの妹さんを倒すのと、世界の分解を阻止...
そして月の欠片の落花予想地点でそれを破壊

翠「こんなもん?」

いいえ、まだ後一つ

翠「翠...貴女のご両親やよもぎの墓参りに行く約束、まだ果たしてませんからね」

あ...うん、そう...だね
落ち着いたらさ、行くことにしようよ

翠「ですね」

...てかそれ言ったら翠はカラオケみんなと行くんじゃないの?

翠「それも落ち着いてからですかね...」


他に今後やるべきこと安価下
(特になければ翼さんとお出かけ)

コンコン


翠「?...どちら様ですか~」

部屋のドアがノックされ、私は立ち上がってドアを開けました


ガラッ


翼「私だ」

翠「翼さんでしたか、何か用ですか?」

翼さんが私に何か要件なんて珍しい気がしますよね
二課もといS.O.N.G.のメンバーの中ではそこそこ長い付き合いのはずですが

翼「いや、何だ...見回りを兼ねて、少し外の空気でも吸いに行かないか?」

翠「?」

・・・

キャロルちゃん陣営や人工装者、そして未だ正体不明(ということにされている)の消えたもう一人の響さん等、この世界のノイズを制御出来ても気を付けなければいけないこと、注意を払わなければいけないことは多々あります
で、あわよくばそれらを発見し解決という意味合いでこうして翼さんと見回りに

翠「朝もこの辺歩いたんですよ」

翼「あぁ、聞いている。そこであったこともな」

そう、今のように出かけて、偶然あの人工装者に会った
彼女は大丈夫なのかな...吐血してたけど
それとも、あれこそが人為的に操作された寿命が近づいて来ているが故の副作用...

翼「...翠、最近何か困ったことはないか?」

翠「え...困ったこと、ですか?」

翼「うむ、えっと...何でもいい。ただ、何か相談したいことがあれば頼ってくれていいと、そう言いたかったのだ」

翼さん...もしかして、心配してくれているんでしょうか

翠「そうですね...」

と言っても、困ったことといえばよもぎと人工装者の人の関係や原作知識ありきの悩み...
とても相談出来る内容ではありません

翠「...そういえば」

人工装者の人といえば...


???『キャロル・マールス・ディーンハイムの精神と心、記憶は今消えつつある』


前にそう言っていました
あの言葉の意味はまだ少しよくわからないけど、気がかりではあるよね

翠「昨夜人工装者の人が言っていたキャロルちゃんの心と記憶が消えつつあるって...それがどうにも気になっているんです」

翼「ん!?あ、あぁ、キャロルか。そうかそっちか」

あれ?翼さん的には相談してほしかった内容が別にあったんでしょうか

翼「こほん、そうだな...私も気にはなっていた。何よりその言葉に衝撃を受けていたのはエルフナインも同じ...エルフナインの想定を大きく超えた何かがキャロルの身に起こっているのか、それとも...」


キャロルちゃんに関する相談に対する案安価下
(特になければ捨て猫をあやす誰かの姿が)

翠「記憶、それに心...そういった大切なものがただ無意味に消えてしまっているわけじゃないなら、消える事で彼女はより強くなっている可能性もありますよね...」

キャロルちゃんの記憶が消える、と言われてすぐに思いつくのはやっぱり錬金術
それも、ファウストローブ
人工装者の人の言い方やエルフナインちゃんの反応から察するに今キャロルちゃんの身に起こっているのはそれではないとは思いますが、きっと近い何かでしょう
いつの時代も何かを得るためには何かを失わなければならない
言い換えれば、何かを失う事で何かを得ることが出来る

翼「その可能性を加味して十分警戒するよう心がける必要があるだろうな」

翠「はい」

私が動いたせいなのか平行世界と繋がったせいなのかはわかりませんが、ネフィリムのソウル化やカルマノイズの出現というイレギュラーが度々起こっているこの世界
キャロルちゃんの状態もまた、イレギュラーの一つとするなら、今回も原作知識はほとんど役に立たないものとして考えた方が良さそうです

翼「だが、記憶か...失われる記憶がランダムでないと仮定すると、その優先順位はどのような...もしかすると、残っている記憶にこそ何かあるのかもしれない」

翠「何か...」

翼「そして他を失うことで残った記憶に対しての執着心はさらに増すだろう...それこそ、他の何かを犠牲にしてでも、という心意気ならなおさら記憶や心を失くしてしまうのにも理由が」

残された記憶の内容
私の知るキャロルちゃんの何物にも変えがたいたった一つの望み、目標は万象黙示録の完成
その為に世界の分解と解析をする、確かそうだったはずです
でも、私達はキャロルちゃんの全てを知っているわけじゃない...


奏《なぁ翠、ちょいと交代しちゃくれないかい?》

翠《えっあっ奏さん?》



多数決安価下1~3
1...休憩中の翠ちゃんの方を見る
2...交代した奏さんの方を見る

***
2/3票が入ったので2で行きます
***

・・・

翼「だが、記憶や心を犠牲にしてまで成したいこととは...翠?聞いているか?」

奏「...」

さて、ちょっとだけ強引に交代してもらったわけだけど...


どうする?安価下

んー...普通にただ交代したって伝えんのもつまらないかな

奏「...「聞こえますか...?」激情~か~な~で~る~ムジーク」

翼「...!天に!」

奏翼「「と!き!は!な!て!」」

翼「「聴こえますか...?」イノチ~は~じ~ま~る~脈動」

奏「愛を」

奏翼「「突!き!上!げ!て!」」

おぉ...意外と乗ってくれるもんだな翼も

翠《えっ何で急に歌うよ~してるんですか二人して》

歌いたかったから、としか言えないな
しかしまさかこんなにすんなり来るとは

奏翼「「音楽~と~なった~彼の~日~」」

奏「か~ぜが~」

翼「か~みを~」

奏「さ~らう~」

翼「瞬間」

奏翼「「君とぼ~く~は~コ~ドウ~をう~た~に~した~」」

翼「そ~して~」

奏「ゆ~めは~」

翼「ひ~ら~くよ~」

奏翼「「見~た~こと~ないせか~いの~果~てへ~」」

いつぶりかな...翼とこうして歌うの
案外あの世とかそういうところに縛られないものだと知ってからよくその辺の家の屋根の上とかに腰を下ろして一人で口ずさんだりはしてたけど
欲を言えばやっぱり自分の声で歌いたかったかな~

奏翼「「二人で~なら~...翼に~なれ~るSinging heart」」

・・・

持ち歌の中でアタシから歌のパートが始まる歌を選択してみたけれど、翼は一瞬で釣れた
まるで示し合わせたかのようにデュエットに入ってきたからちょっとだけびっくり

翼「その癖のある歌い方...やっぱり奏になってたんだね」

奏「え゛っアタシの歌い方って癖ある!?」

うっそ...全然誰からも言われたことないよそれ...

翼「ふふっ...それで、どうしたの?奏」

奏「ん?...あー...何だろう」

どうしたのかと聞かれるとなぁ

奏「翼の方こそ、何か悩んでんじゃないかなって思ってね」

翼「私...?」

翼はマリアを除けば装者の中で歳は上の方
それに、この性格だからね...

奏「何か悩みの種があっても打ち明けられる相手がいない、なんてことになってそう...というか側から見るとなってるしな」

翼「そ、そんなことは」

奏「なら悩んだときに誰に相談するつもりだった?あ、緒川さんとか答えるのはナシ」

ダメとは言わないけれど、そういうのじゃない
もっとこう...デリケートな話をする相手って意味だ
まぁ翼ひそういう話もあの人相手に平然としそうなところがあるけど

翼「うぅ...相変わらず意地悪だ」

奏「はいはい」

翼「...なら、せっかくだから、奏に相談してもいいかな」

奏「おう、前みたいに頼っていいんだぞ。アタシはいつだって翼の味方だから」

そう、アタシは...アタシだけは翼の味方だ
だから、アタシを頼っていいんだ、翼

いつの間にか足を止め、道の端に二人並んで立っていた
翼からの相談を一字一句逃さないために

翼「私は...正直、イグナイトモジュールを使いこなせるのか不安なんだ...それに、大切な物を無くして強くなったキャロル相手に私は勝てるのか...」

奏「使いこなせるのか...」

翼「この身は剣、そうして私は生きてきた...それなのに、私は時折そのことに酷く不安になるようになってしまった」

翼は自分の手のひらを見つめ、そう続ける

翼「ねぇ、奏...私は強くあれるのかな...立花のように心の闇に勝つ力、失う怖さに勝ったキャロルに勝てるだけの力が、私にはあるのかな...?」

こちらを見た翼の目はいつもの翼の目ではなかった
とても不安そうな、それこそライブ本番の前にステージ裏で膝を抱えていた時のような
あぁ、変わらない
どうしてか、その事がこんな時に嬉しく思えてしまう

奏「...大丈夫、翼ならやれるさ」

アタシはそっと翼の頭を胸に抱き寄せる
翠の身長のせいもあってやや翼に屈ませることになったけど、それは今はいい
翼を抱きしめている
またこうして触れ合えるなんて、あの日命を燃やして歌った時には夢にも思っていなかった

本当はこんなことをするべきじゎない
アタシはすでに死んでいる身...生きている翼は、同じように今を生きる人達と触れ合って、信じ合って、支え合うべきなんだ
今だってアタシが出しゃばらずに、せめて翼が誰か仲間にその悩みを打ち明けられるように背中を押すべきだったかもしれない

でも、どうしてだろう
そうしたくないという自分がいる
翼を取られたくない...なんて、そんなガキみたいなことを思ってしまう自分が

奏「...失ったものだけじゃなく、守ったものもちゃんと見ろよ?」

翼「奏...?」

だから翼、どうかこんなアタシじゃなく、他を頼れるようになってくれ
アタシが翼を諦められるように

奏「でなきゃ後輩に笑われるぞ?先輩風を吹かせる立場なんだからな」

アタシは伝えたかったことを、伝えられなかったことをその言葉に詰め込んで翼に送る
守れなかったものも当然あるし、それを忘れるなんて出来ない
でも、それだけじゃない
守れたものだってちゃんとあったんだってことを、翼には気づいて欲しかった

そんなことを死んだ後から伝えるなんて、卑怯かもしれない
ズルいのかもしれない
でも...それくらいは、許してほしい
アタシだってアタシなりに頑張ったんだからな


コンマ下1
奇数 人工装者発見
偶数 特になし

どうする?安価下2
(コンマ下1の結果を踏まえての安価でお願いしたいですが、そうじゃない安価でもどこかのタイミングで多分やります)

(仕事が終わらず昨日は更新が申し訳ありません!一息入れられたので少しだけ...)

翼「先輩風...」

奏「ま、だからって無理することはないさ。しっかりしてることだけが先輩じゃないよ」

翼は特に無理しやすい
そういう風に育ってきたからっていうのもあるんだろうけどな

そんな風に翼と話していると、道の向こうに弦十郎のダンナが歩いているのが見えた
時間も時間だし珍しいな...

奏「...」


☆☆☆

で~れれ~で~でん!

☆☆☆


プツンッ


翠「あれ!?映像途切れましたよ!?」

奏さんに交代させられて仕方なくちゃぶ台のところに来て奏さんの視界越しに外の様子を眺めていると、一瞬ししょーらしき人が映ってすぐに映像がブラックアウト状態に

翔子「故障でしょうか」

セレナ「電池切れとか」

『翠』「お二人さん『私』達の身体をなんだと思ってんですか」

翔子「まぁ真面目な話十中八九奏さんが意図的にこちらとの視界のリンクを切っただけでしょうから心配いりませんよ」

翠「それフィーネさん以外も使えるんですね...」

どうやればそれが出来るのかいまいちわかんないんですが...

undefined

☆☆☆

で~れれ~で~でん!

☆☆☆


よし、これで翠達には見えてないし聞こえてないよな...

奏「お~い、ダンナ何してんだ?」

翼と共にダンナの元へ行くと一瞬首を傾げ

弦十郎「あぁ、奏か。すまん、違和感がな」

奏「まぁ身体は翠だからね」

これでアタシがただの幽体離脱的な状態なら自分の身体も同じように動かせられそうだけど生憎アタシの肉体は散ったしなぁ

翼「それで、叔父様はこんな時間に一体何を」

弦十郎「コイツの期限が今日まででな」

そう言ってダンナはレンタルDVDの店の袋を掲げた
まぁそんなことだろうとは思ったさ

弦十郎「それが終わったら戻るつもりだ。お前達も遅くならないうちにな」

奏「わかってるって、んでももうちょい翼とのデート楽しんでから帰るわ」

翼「ちょっ奏!?で、デートって///」

たったこれだけの単語で赤くなってくれる翼は可愛いなぁ
アタシが死んでから段々と口調が変な風になってたけど根本的には変わってない

弦十郎「はっはっ!そうか、はしゃぎ過ぎないようにな」

ダンナはまるで遊んでいる姉妹を微笑ましく見送る父親のように笑ってそう言う

奏「...なぁ、ダンナ」

弦十郎「ん?」

奏「翠のこと、よく見守ってやってくれ、ダンナはあいつにとって家族みたいなもんだからさ」

アタシにとってそうだったように、翠もダンナのことは第二の父親みたいに思ってる
だからこそ、最近危うい翠を...翠達を、気にかけてやってほしいと
そう込めてアタシは真剣な目でダンナにそう告げた

同じ『姉』として、自分の妹が例え遺伝子だけだったとしてもそんな実験に利用されていたりしたと知れば黒い感情が湧くのはわかる
同じ立場であれば気が狂いそうになるだろうし、それをやったやつらに対して復讐心は間違いなく抱く...妹と両親を奪ったノイズに復讐するためだけに力を手に入れたアタシが、今度はそいつらにその力を振るうだろう
だからどうしても、アタシは翠を止めようと、頭を冷やさせようと思っても出来ない
自分がその立場だった場合のことが過ぎって手が止まってしまう
情けない話だけどな

弦十郎「...もちろんだ、任せておけ!」

サムズアップするダンナを見て少しだけ笑ってしまったアタシはサムズアップで返した
ダンナならきっと止めてくれる
そう思ってしまうほどに頼もしい態度だった

奏「任せるよ、ダンナ」

・・・

で、未だに顔を赤くしている翼を連れてダンナと別れたアタシは話したいことも話したしそろそろ翠と交代しようと思っていると

奏「...ん?あれって」

段ボール箱の前に座り込む少女の姿
その段ボール箱の中から子猫の鳴き声が聞こえてくる
捨て猫か...?


???「今の私が生きる意味ってあるのかな?...長生き出来ない上に守るべき者もいないのに...運命はおろか生きる意味さえも変えられなくなっちゃった...」


その少女...朝、翠が遭遇してた例の人工装者はその子猫をあやしながらいささか捨て猫に対して相談するには重くないか?っていう話をしていた


どうする?安価下
(スルーして帰ることは可能です)

(翠「全然映んないんですが...今外どうなってんですか...」

『翠』「そういうときは斜め45度で叩くんだよ」

翠「『翠』までボケに回ってしまったらもうどうしようもないんですけど」)

奏「ふむ...どうすっかな」

翼「奏...?」

急に立ち止まるもんだから流石に翼も気になったのか、赤くなっていた顔色も戻してアタシの視線の先を目で辿っていた

翼「彼女は...奏、話しかけるの?」

奏「んー...」

でも翠の身体だしなぁ
逃げられそうな気もするし

奏「ま、その時はその時だな」

ダメ元で別人だと言ってもいいし、翠のフリをしてみてもいい
ただ念のためまだ翠達に視界は繋がないでおこう

奏「よし、行くぞ翼!」

翼「う、うん!」

・・・

てな訳で近付き

奏「なぁ、少しいいか?」

???「...ッ!」

軽く声をかけると、人工装者の子は振り返って目を見開いてから露骨に不機嫌になり、子猫を抱えて走り出し

???「うぁっ...あだっ!」

あ、転んだ
うわぁ顔痛そう...子猫は咄嗟に両腕を上げたから地面にぶつかってないな

奏「まさかのドジっ娘...」

???「くっ...///」

おうおうそんなに睨むな
子猫を抱きしめてこちらを向く彼女の目には僅かに涙が
そんなに恥ずかしかったか

奏「大丈夫か?」

???「っ...どうせ保護するのは情報を聞き出したいだけなんでしょう?」

起き上がらせようと差し伸ばした手は掴むでもらえることもなく、一人で立ち上がった彼女はまた少し後ずさって距離をとる
恥ずかしいところを見られたせいか朝の時以上に感情豊かだな
しかしどう答えたものか

奏「...保護とかどうとかはアタシが決めることじゃないさ、それよりも世間話でもしないか?」

翼「奏...」

???「...誰?まるで別人...貴女さっきのやつの双子?」

別人だけど別人ではないんだよなぁ
てか『さっき』って言うほど近い時間じゃないよな朝って
もう夕方というか夜だし
...もしかしてコイツ朝翠に会ってから時間感覚がなくなるような時間過ごしてたとか?ずっとその辺歩いてたとか
少なくとも時計を確認したりそういうことはしてないのかも

???「...でもそんな情報は...いや、どうでもいい。貴女の姉妹だけど、このままじゃ『世界に一人ぼっち』になるよ」


どうする?安価下

(翠「実は私、転生者なんですよ!...とまぁこんなこと言っても平気かもしれない日がやって来ました。むしろ常に嘘をつき続けて生きている私にとってエイプリルフールは逆に真実を話せる日になるかもしれません...一応原作知識とか披露せずに後でちゃんと冗談ですよと嘘をつける程度に留めますけどね」)

一人ぼっち...ねぇ
それは多分家族云々というより翠自身が孤立するっていう精神的なもののことを言っているんだろう

翠が誰にも寄り付かず、誰にも寄り付かれなくなる

わかってはいる、このままだと二の舞だ
だからこそダンナにもあぁ言ったし、もしそれでダメならアタシは...

奏「なに、心配してくれてんの?アイツのこと」

???「...そうじゃない」

道の端に座り込む彼女の隣に座ってそうからかうと、心底不快そうな顔...表情自体はそこまで変化してないけどそれが感じられるような怒りのオーラが見える気がする...でそう答えた
アタシの隣に座ってきた翼は何も言わずアタシ達の様子を見守ってる

奏「...アタシも、そうならないように寄り添ってやりたいとは思ってるよ」

???「...そう」

そういう意味じゃ今のこの状態は好都合だな
例え翠が引きこもったりしても翠の意思に関係なく障害物もスルーして中に入れる
ま、話を聞いてもらえるかどうかは別だけど

奏「ところでさぁ...アンタは、その様子じゃやっぱり保護とかはして欲しくないって感じだよな?」

???「最初からそう言っている」

だよなぁ

奏「よし、ならダンナ...ウチのとこの組織の一番偉い人な、ダンナにはアタシから話つけとくわ」

翼「か、奏!?」

奏「もうちょい黙ってろ翼」

???「どういう...」

奏「そのまんま。アタシから説得しとくってこと」

こういうのは無理にやっちゃいけないことだからね
本人がそこまで嫌だというのなら、それが最善でなくても最良であればいい
思わず立ち上がっていた翼は仕方なくまた黙り座る

奏「んじゃこの話はそういうことで...改めて、世間話をしようか」

???「...」

奏「ぶっちゃけ、ノイズの脅威が無くなれば本当に人類に安息の時が訪れると本当に思ってる?」


人工装者の反応安価下
(『翠』「だからね、似ても似つかないけど生意気なところだけは似てると思うわけよ」

翠「とか何とか言ってそういう所も?」

翠『翠』「「かわいい!」」

『翠』「わかってきたね~!」

セレナ(暇過ぎて遂に二人がよくわからないテンションになってる...)

翔子(こっち来てる時はお二人の魂もまだ分離出来る段階なんですね...))

アタシはノイズをぶっ潰すために装者になった...いつしか街の人達を守る為に変わっていったけれど
そしてこの人工装者ってのは夏菜もそうだったように、ノイズを倒す為に生まれた
翼はアメノハバキリを起動させてからは装者として育てられてきたし、他の装者も多かれ少なかれノイズを倒すことを使命だと思ってはいるだろう

じゃあノイズが完全にいなくなったとしたら?
人類は災害が一つ減り、装者は普通の人間として戦いとは無縁の生活を送る
そんなハッピーエンドが訪れるのか

???「...人間は便利なものを私利私欲の為に使う癖がある...ノイズの次はシンフォギア装者が人類の脅威になると私は思っている」

翼「なっ...!」

奏「ふむ...」

???「私達の存在がその証明...より多くの敵を、私達を作った彼らにとっての障害を倒す為だけにこうして『対ノイズ以外のこと』まで使えるように作ろうとした」

子猫の頭を軽く撫でながら、彼女はその手のひらから小さな錬成陣を出現させる
子猫をそれに潜らせると、子猫の身体は風呂で洗った後のように綺麗になっていた

???「ノイズ、錬金術師、それが障害となりうるなら、その次は同じ人間が障害になるのは必然...私達兵器が戦争の道具になったとして何の不自然もない」

奏「アンタは自分のことを兵器だと思ってんのか」

???「兵器であり怪物、生物兵器...それが私達人工装者というもの。試作品は途中段階で方針を変えられたようだけど、私達は最初から変わらない」

奏「でも、それが嫌で脱走したんじゃないのか?」

彼女は少し考え込むようにして、やがてまた子猫を優しく撫でながら

???「人間同士でいざこざがあっても、人工装者が必要とされないくらい平和になるならそれでいい...この子のように呪縛から解放されるのなら...」

そう言って悲しそうに笑った、気がした
逃げられない、変われないと思ってもそこから逃げ出して、でもまだ変われるんじゃないかと希望を抱いている
そんなところか

???「...ここから先は私の独り言。聞くなら勝手に聞けばいい」

奏「...」

???「施設を出る前から、私は『蒼井蓬』というオリジナルから生まれたことも、オリジナルは既に死んでいることも...そして、オリジナルには『蒼井翠』という姉がいることも知っていた」

翼「...ッ!?」

奏「翼」

翼「わ、わかってる...」

そういや翼は...てかほとんどの人はそのこと知らないんだよな
どういうことなんだと今にも取っ掛かりそうになっていた翼を制し、人工装者の言葉の続きを待つ

???「...だから外に解き放たれた時、オリジナルの姉とやらの顔を一度見てみたいと思っていた...でもアイツの顔を、アイツの目を見た時、訳もわからず酷く苛立ってしまった」

あぁ、見ていたさ
それについさっきアタシが声をかけた時だってそうだった


どうする?安価下
(特になければ一旦人工装者とはさようならです)
(モロとある特撮に影響されているとか言ってはいけない)

???「少し、話し過ぎた」

子猫を抱えて立ち上がった彼女
アタシ達に背を向けるのはこれ以上今は関わらないという意味か

奏「そのほとんどは独り言だったろ?」

???「...もし貴女達が残りのシンフォギアにイグナイトモジュールを搭載するなら、なるべく急いだ方がいい。何か悪い予感がする」

奏「忠告?...ん?いや待て、なんでイグナイトのことっ」


パリンッ


イグナイトモジュールのことをなぜ知っているのか
それを聞く前に彼女は姿を消してしまった
お得意のテレポート...行き先がわからないと追えない、か

奏「参ったな...」

ま、いっか


どうする?安価下
(特になければ本部に帰ってししょーもといダンナに話し付けに行きます)

イグナイトモジュールのことを彼女がどこで知ったのか、あるいは見ていたのか...ってまだ使ったことある装者いないからそれはないか
ともかくせっかくの忠告だ
ダンナにあの人工装者の保護を急がないでほしいと頼むついでに、明日の朝翠と夏菜がやる予定の深淵の竜宮の聖遺物回収を早められないか相談だな

奏「よし、帰るか翼...翼?」

翼の方を向くと、当の本人は悩ましげな顔をしていた

翼「奏...さっきの話は」

さっきの話...さっきの話ってどれだ
あぁ、翠の妹がオリジナルって話か?

奏「多分、本当だろうね」

多分というかほぼ確定
翠が見つけたノートの書き込みもそうだし、人工装者の彼女も知っているとなると

翼「...私は、翠が何かしでかさないか心配」

真剣な表情で翼は言った
おいおい、今はたまたま翠達に聞こえないようにしてるとはいえ聞こえてたらどうすんだ?


コンマ下
奇数 翼「私がよく見ていないと」
偶数 翼「どうすればいいと思う?奏」
ゾロ目 翼「翠が何か起こす前に...」

翼「どうすればいいと思う?奏」

奏「えっ...いやー...」

何かしでかしそうなのは確定で、なおかつアタシは中々止めにくいからダンナにも任せたわけだけど...

奏「...」


奏さんの回答安価下
(翼(奏の意見を聞きたい。きっと良い案を思いついてくれる、奏なら))

翼にはアタシに頼ることなく、むしろ頼られる立場になるべきだ
それでいて頼るならまだ生きている人達
でもやっぱり正直、頼られて嬉しいと感じるアタシもいる

これは下手な返事を返すわけにはいかないな

奏「...翼はただ暖かく見守ってやれ。んでもし何かヤバイことをしようとしたらぶん殴ってでも止めろ」

アタシの代わりに、な

翼「...うん、わかった!」

あーもう翼は可愛いなぁ!アタシが死んでから最近なんかずっと変だった口調じゃなくてこっちの方がやっぱり可愛い!
まぁあっちの変な口調も悪くはないけど!

・・・

奏「つー訳だダンナ」

弦十郎「むぅ...わかった、元より無理を強いるつもりはなかったからな」

案の定アタシ達より先に本部に戻ってきていたダンナに、人工装者との約束通り説得を試みた
ダンナの人となりを知ってたからこうなるだろうとは思ってたさ

奏「それと、だ。深淵の竜宮に行くの早められないか?」

弦十郎「だが、いずれにしても後数時間だぞ?それに翠くんの身体を休めておくのも大切だ。いくら奏、お前が疲れていなくても身体に疲労は溜まっているだろう」

奏「けどよ」


コンマ下
奇数 弦十郎「...仕方ない、行ってこい!」
偶数 弦十郎「ダメだ!」
(本人の知らないところで殴られるフラグが立つ翠ちゃん)

弦十郎「ダメなものはダメだ!緊急ならともかく、疲労を無視して連続出動は認められんっ!」

意外や意外
何だかんだ折れてくれるかと思ってたけどダメだわこれ

奏「へーへー、なら大人しく休みますよ~...疲れてるったって、そんなに慎重になることか?」

去り際にわざと聞こえるようにそう吐き捨てた
別に腹は立っちゃいないけど、そんなに怒鳴るこたないだろよと

弦十郎「...慎重にもなるさ、彼女達の体調管理には特にな...もう二度と、散らせたくはない」

奏「...」

・・・

翠の部屋へ向かい、ドアを閉めてベッドに横になる

奏「すっかり身体借りっ放しになってら」


多数決安価下1~3
1 このまま借りっ放し(次の日の深淵の竜宮に行くときもずっと奏さん)
2 いい加減返す

***
2/3票が入ったので2で行きます
***

奏「まぁ翼にもダンナにも言いたいことは言ったし、そろそろ返すか」

思えば借りてからずっと視界のリンクも切ってたしね
翠達も身体の方を心配してるかも

・・・

奏「と、いうわけで帰ってきたぞー」

翠「随分と遅かったですね?えぇ?」

『翠』「まさか他人の身体借りて翼とニャンニャンしてた訳じゃないでしょうね?ああん!?」

待ってー何かいつもの所に戻った途端同じ顔二人に詰め寄られてんですけどー
すっごい睨まれてるしセレナはニコニコして助ける気0だし

奏「わ、悪かったよ!別に何もしてないから!」

翠「本当に~?わざわざ視界のリンクまで切って~?」

『翠』「こちとらフィーネさんが勝手にクリスさんとやらかしそうになった過去があるから疑い深いですよ~?」

翠「あ、それは『翠』も未来さんに堕とされかけた過去があるから同罪ですけどね?」

『翠』「やばっノリ合わせてたのにこっちにまで矛先が」

ギャーギャー言いながら走り回る二人
やっと解放されたと思いながらちゃぶ台の近くに腰をおろした

セレナ「お疲れ様。奏、本当に何も?」

奏「お前もか...はぁ、昔は「天羽さん天羽さん!マリア姉さんが歌ってますよ!」とか言って純真で可愛かったのに」

それが今やこんなにもフレンドリーに
ま、この方が距離は近い気もするけどな

セレナ「こんな人が近くにいれば誰だって毒されるよ」

奏「セレナは年齢的には同い年、死者としては先輩に当たるわけだしある意味この態度でも合ってんのか?」

翔子「皆さん仲が良ければそれが一番ですよ」

奏「アンタは謎が多過ぎてこの中だと一番多分距離あるけどね」

皮肉が通じたのかそうでないのか、笑って返してきたよこの人...この神?

翠「ふぅ...まぁ奏さんのことは信用してるので良いですけど...次からはなるべく外の様子も確認させてほしいです」

『翠』「じゃ、『私』達はもう行くんで」

奏「おう、今身体ベッドの上で寝かせてあるからそのまま寝ちまいな」

翠「...まさか翼さんと話はベッドで聞かせてもらう状態じゃ」

奏「無いから」

☆☆☆

で~れれ~で~でん!

☆☆☆


戻ってみると、確かに私の部屋のベッドでした

翠「んじゃ寝る?」

ですね

・・・

そして朝になり、スマホのアラームを止めて欠伸を一つ

翠「ふぁ~あ...今日は朝から聖遺物回収...」


どうする?安価下
(特になければ聖遺物回収に出発)

undefined

翠「えっと...」

そもそも深淵の竜宮ってどんな所でしたっけ...クリスさん達がドンパチしてる印象しかないから聖遺物の保管場所とかわかんないですね...
あの変態が回収されていたところは独房みたいな所でしたし、案外暗い所なのかも

翠「念のため懐中電灯懐中電灯...」

後諸々用意しておきますか

・・・

翠「うん、わかってました、わかってましたよ」

そりゃそういう道具やらはししょーと緒川さんがある程度揃えて用意してますよね

翠「その方がこっちは楽だけどね」

あの二人に感謝
懐中電灯やら非常食やらが入った災害セットみたいなリュックを緒川さんから受け取った後、今日の計画の最終確認の為にエルフナインちゃんの部屋に来た
エルフナインちゃんいるかな~

コンコン

ガラッ

エルフナイン「お待ちしていました」

翠「お待たせしました」

普通計画の最終確認ならもっと他のメンバーも一緒にやった方がいいんじゃないか
そういうわけでもない
何故なら今回こうしてエルフナインちゃんと二人で確認するのは『深淵の竜宮及びその付近で安全にテレポート出来る場所』だから

undefined

エルフナイン「少しでも座標がズレれば切歌さんの二の舞に...いえ、下手をするととんでもなく遠い場所に飛ばされてしまう可能性すらあります」

翠「響さんが沖縄に行っちゃったみたいな?」

エルフナイン「Z軸の誤差は最も危険です。地下深くに転移して動けなくなることもあれば、大気圏より外に出てしまうことも」

それはキツいですね...つまり簡単に死ねるってことですからね
うん、死にたくはないです

そんなこんなテレポートジェムが使える場所、安全なテレポート先の最終確認を終えるというところで

エルフナイン「あの、ところで...その蛇さん達は連れて行きませんよね?」

翠「え?」

エルフナインちゃんの視線の先、さっき緒川さんから受け取りこの部屋に来て背中から下ろしていたリュックを見てみると

翠「いつの間に!?」

蛇達がみんな中から顔を出していました
まさかこっそり付いてきていた...?
その上で気付かれないようにリュックの中に...?

エルフナイン「何が起こるかわからないので、ペットの持ち込みは...」

今回は潜入させるわけでもないので蛇達の意思疎通能力は使う場面ないでしょうし置いていくつもりなんですが

翠「...あ、そういえば」

エルフナイン「?」

この子達のこと話してませんでしたね

・・・

蛇達のことを一通り話すと、エルフナインちゃんは目をキラキラ輝かせて蛇達を見つめています
これは話さない方がよかったのでは

エルフナイン「ま、まさかこの蛇さん達が完全聖遺物...いえ、どちらかというと哲学兵装や具現化された概念に近い...あの大きな蛇さんはギアの能力によってエネルギーを固定させていたのかと思っていましたが、子孫を残せるとなると実際に空間を繋げて呼び出して...でも倒されてもなお次の戦闘時には無傷で出現するということはその度に再構築...そもそも八岐大蛇が現代まで生きているのかどうか...八岐大蛇という伝説になった元の蛇さんの子孫がこの蛇さん達で、その親の蛇さんが概念、哲学兵装となって聖遺物であるアメノムラクモに付与された...?あぁこの蛇さん達をもっとよく解析すればさらに色々なことが判明するはず...」

エルフナインちゃんこんなキャラでしたっけ?徹夜ハイ?

翠「か、解剖とか絶対にダメですからね!あくまで私達が深淵の竜宮に行っている間預かってもらうためにこのことを話したのであって、たとえ安全でも解析とかダメですからね!!」

分解、解析、再構築の錬金術師のエルフナインちゃんに預けようと思ったのも間違いだったかも...蛇達みんなプルプル震えてるよ...

・・・

夏菜「何変な顔してるんですか?」

翠「蛇達本当に預けて良かったのかと」

そんなに変な顔で悩んでないでしょう...悩んでないですよね?

弦十郎『もうすぐ目的地に着く。あとは頼んだぞ!』

本部とは別のより小さな潜水艦に乗り深淵の竜宮に向かっていた私と夏菜さん
その動きをレーダーで見守っていたししょーから通信機でそう声がかかり、私達は降りる準備を始めます

・・・

そして遂にたどり着いた深淵の竜宮!

夏菜「ここが...だだっ広いですね...」

翠「ですね...さてと、アッチですかね」

しばらく歩くと、それらしき場所に辿り着いた
聖遺物がゴロゴロと...両親が見たら泣くほど喜んでたかも

翠「リストリスト...あれ?」

すぐににゃんとらに直進するのは流石に菅が良すぎると思われると思って例の石板を探してみたんだけど...

翠「一枚...足りない?」

夏菜「何で急に皿数えてるんですか!?」

翠「いやそうじゃなくて」

並んでいる石板達の中で一枚分歯抜けの部分が...リストの数とも一致しません

翠「...これ、唯一説明文が付いてますね」

説明文、と言うには短過ぎますが、他は0なのでマシな方?

翠「えっと...」


『解析と調査の結果、この石板はインディアンの部族から『??????』...日本語で『欲望』と呼ばれていることが判明した』


夏菜「欲望...グリード?」

翠「どっちかっていうと多分...」

認めませんよ!ルから始まる青い狼なんて!
まさかのコラボ回時空なんて絶対に認めません!!あのシンフォギアがコラボなんて!
あーいや、ファンとしては別にコラボというのは嬉しいんですが...その世界にいるとなると複雑...
というかコラボがGXの時間軸って...あっでもAXZかそれ以降の時間軸でコラボがあって、その伏線的なものにいち早く触れてしまったとか...


どうする?安価下

翠「えっと...とりあえずこの石板は無いことにはどうしようもありませんし、他の石板と必要な聖遺物を回収してしまいましょう。ニーベルングの指環なんて忘れたら無駄足になりますし」

夏菜「ですね」

翠「夏菜さんはこのリストを。私はこっちのリストのを集めてきます」

一枚抜けた『欲望』のプレートのことは後回しにし、私達は手分けして回収対象の聖遺物をカバンに詰め始めました

そう、手分けして

翠「ふっ...」

計画通り...!

自然な流れで別れた今なら夏菜の注意がこちらに向くことはない
私は『絶対に回収するもの』と『可能なら回収するもの』のリストに書かれたものを鞄に詰めつつ『回収しなくて良いもの』と『回収してはいけないもの』の中で比較的無造作に置かれているものをそれとなくジャケットのポッケや鞄の別のポッケにいくつか拝借
見つかれば怒られるのは確実だろうけど...最悪間違えたと言っても通じる程度の量で留めておくのを忘れない
あ、でも奏さんやセレナさんに告げ口されたら終わるかな

翠「後は...」


にゃんとらサラダスパコンマ一桁下
1~4 無い!?
5~9 あった!
0 ソレを渡してもらおうか

翠「にゃんにゃん猫ですよろしくお願いしま...せん!?」

あれ!?嘘!!
にゃんとら...じゃなくて、ヤントラ・サルヴァスパが無い!?
い、いやいや!だって本編だと取られた時に本部で警報鳴ってたじゃないですか!もっと良く探しましょう!

夏菜「?...どうかしました?」

翠「へ!?あ、いえ、こっちにも保管されているはずなのに置かれていない聖遺物があるな~...と」

夏菜「あーなるほど、さっきの石板もそうでしたけど解析の為か何かで持ち出されてるんですかね」

翠「そ、そうですね...」

まずい...先手が打てなかった!
これだと後はレイラインのデータとイグナイトの呪われた旋律、オートスコアラー四機の破壊される時の悦びが揃えばキャロルちゃんの計画は完了してしまいます
あれ?でもオートスコアラーはもうレイアさんしかいないし...
いえ、それをわかっていて自爆なんてさせるはずがありません
おそらくはそれに変わる何か...

って、今はそんなこと考えていても仕方がありません

夏菜「まぁ無い物は仕方がないとして、リストの物は大体これで集め終わりましたね」

翠「そ、そうですね」


どうする?安価下
(特になければ撤収...?)

サラダスパは間に合いませんでしたがこの際仕方がありません
ニーベルングの指環を予定通り回収出来ただけでも良しとしましょう

翠「早く潜水艦に戻って本部に帰りま...」


ウェル「この好機ッ!このタイミングを置いて他にはないッ!帰る前に1試合してもらいましょうかッ!!!」


潜水艦に戻ろうと振り返ると、その潜水艦があった方向から誰か歩いてきました
何か叫びながら

夏菜「あれって...ウェル博士?」

翠「きっと違いますねこの施設のトラップか何かでしょうスルーして帰りましょう相手するだけ無駄ですさぁ早く」

ウェル「あまりにも釣れない!」

変態をなるべく視界に入れないようにしながら素通りしようとした途端、変態が右腕をネフィリム化させて私達に向かってそれを振るってきます

翠「っ!?」

夏菜「危なっ!?」

ギリギリのところで後ろに跳んで避けたけど、どうやらただのおふざけではなさそう

翠「仮におふざけでも過ぎてます」

『夏菜』「めんどうな...」


☆☆☆

で~れれ~で~でん!

☆☆☆


???「タイミング最悪...」

仲間の残したハッキングツールを四苦八苦しながら突き止めたこの場所『深淵の竜宮』
丁度良く今日ここに保管されている物の回収をする予定らしいとS.O.N.G.の本部のネットワークから判明したから、コンタクトを取るために来てみたものの

???「咄嗟に隠れたら出るタイミング逃した...おまけに変な人間も来てる」

それに、よりによってアイツまでいる...こんなことになるなら昨日ムキになって離れるべきじゃなかったか...

???「...どちらにしても保護される気はない...けほっ」

それにしても怠い

☆☆☆

で~れれ~で~でん!

☆☆☆


ウェル「本部との通信はすでに切られています...一度実際に戦ってみたかったんですよ、シンフォギアシステムと本気でね」

にやり、と笑う変態
そんなどうでもいい自分勝手でこんなことを

ウェル「自分勝手...と、思ったかい?君が」

翠「っ...」

『夏菜』「あの男を適当にあしらってこの子を帰す、まさか異論はないですね?」

知らない間に『夏菜』に交代していた隣の彼女にそう聞かれ、私は頷く

翠「一回戦ってそれで済むならその方が早い」

変態は後でししょーにこってり絞られてしまえ


どのギアで行く?安価下1
1 アメノムラクモ
2 アスクレピオス(戦闘不向き?)
3 イミテーター(何か模倣する際は何を模倣するか記述)
4 イミテーター(銀色のギア)
5 アメノオハバリ

人工装者さんどうする?安価下2以降
(このまま影から見物ならバトルが終わってから頼み事タイム)

翠「錬金術師やノイズが相手ならともかくこういうタイミングで変態とか...」

私は仕方なくギアペンダントを取り出し聖詠を口にします

「Stealer Imitator tron」

赤と黒の光が混ざり合う中私は...私達は奏さんに念話を繋げました

翠《奏さん、あの面倒な変態の相手をしてくれるなら昨日のことは水に流します》

奏《まだ根に持ってたの!?》

翠《というか代わってください》

未だバリアフィールドは張られ、変身シークエンスの途中だけど奏さんと交代

☆☆☆

で~れれ~で~でん!

☆☆☆

翠達に引っ張られて交代すると、身体を包んでいたオーラが空気を読んだのか赤黒から濃いオレンジに変化
勝手に模倣がされて、いつかの翼と並んで立った時のアタシのギア...ガングニールをコピーした状態になっていた

奏「勝手にこれに選択されるのか...うん、やっぱこれがやりやすい!」

両腕の装甲を合体させ槍のアームドギアに変形させる
素体がイミテーターとはいえ模倣後なら装備はほとんどオリジナルと変わらないのが有難い

奏「任されたからには久々に暴れてやるっ!」


多数決安価下1~3
1...休憩中の翠ちゃんの方を見る
2...続行して交代した奏さんの方を見る

どうする?安価下4以降

『夏菜』「手始めに...はぁっ!!」

『夏菜』は空中に小さな金槌をいくつも出現させ、それを手に持った巨大なハンマーをバットのようにしてウェル博士目掛けて打ち込む

ウェル「擬似とはいえそれ自体は本物の聖遺物...さっそくご馳走大盤振る舞いィ!」

それに対してどう対処するのかと思ったら...右腕をそのまま突き出した!?
いくらネフィリム化してるからって防ぎきれるとはとても

奏「っ!?」

『夏菜』「吸収...」

ウェル「この身に染みる聖遺物...甘くとろけて癖になるぅ!!!」

その腕は金槌を弾くことはなく、触れた瞬間ズブズブと腕自身に吸収させていた

翠《ネフィリムの特性...聖遺物はあの腕で喰らうことが出来るのでしょう。飛び道具は防がれると思っておいた方が》

奏「なるほど、ただ強い硬いってわけじゃないってことか」

面白い、瞬殺じゃつまらないからね

奏「飛び道具が効かないならアタシらで挟み込む!行くよッ!」

『夏菜』「もとより接近戦型ッ!」

『夏菜』がフライユニットの低空飛行でウェル博士の背後に回ろうとしている中、アタシは正面から槍を振るう
投げつけると吸収されるから手から離すことなく斬りつけて!

ウェル「中々に重い...ですがまだ軽いっ!」

右腕一つで勢いを殺され槍の先端を掴まれた
けれどこれなら

『夏菜』「左がガラ空きッ!!」


ドンッ!!!


ハンマーがウェル博士を左側から思いっきり叩きつけられる

多少の骨折云々はしたかもしれないが、自業自得...っ!?


ウェル「ガラ空きに、するわけがないでしょうこの僕がッ!!!」


確かに左側から迫っていた...否、当たっていたハンマー
だが当たってみればそれは胴体ではなくまたしても腕...ネフィリム化した左腕によって留められていた

翠《左腕!?》

『夏菜』「まさか全身...!」

ウェル「かつてフィーネが行った完全聖遺物との細胞レベルの融合...僕の身体はもはや人間を凌駕したっ!!」

見る見るうちに首元の見えている肌も黒く染まり、顔の大部分にまでそれは広がっていっている

奏「思い上がってんじゃないよっ!」

ウェル「ぐふっ」

掴まれた槍を引き抜こうと彼の脇腹を蹴って手を離させると、取り戻した槍の先端に違和感を覚えた

奏「溶けて...いや、喰い千切られてる...?」

円錐状の槍の先端にはウェル博士の握っていた手形が付けられ、まるで先端が粘土で出来ていたかのよう
だが触ってみてもやはりその感触は金属のような硬さ

奏「触った腕から直喰いってわけ...」

『夏菜』「こっちも...ちっ」


どうする?安価下
(翠「手で触れられれば聖遺物はどれも食べられてしまう...」

『翠』「アンクじゃん」)

ウェル「まだまだ...腹八分目には程遠いぃっ!」

ネフィリム化している故かダンナたちとも遜色ない程の脚力で地面を蹴って近づいて来るウェル博士
伸ばされた手を槍で押し留めるもいつまで保つかわからない


ィィィンッ


ウェル「ッ...!?」

その時、どこからともなく飛んできた光線がウェル博士に擦り反応が鈍った

『夏菜』「だったら真上からっ!」

そして生まれた隙を逃すまいと『夏菜』が先程の倍くらいに大きくしたハンマーを振りかぶる
アタシが振り返ってハンマーが叩きつけられる範囲から離脱すると共に、後ろからとても重いものが床に落ちたような衝撃と音がした
流石のウェル博士もこれなら...

ウェル「まだまだ楽しみきれてませんよ?僕は」

奏『夏菜』「「ッ!!!」

衝撃と音は奇しくもハンマーが床に当たった音ではなかった
それは、ウェル博士の腕とハンマーが当たった衝撃と音だったのだ
超巨大なハンマーはまたしても見る見るうちに喰らい尽くされてしまう

奏「直接攻撃するのがダメなら...『夏菜』!爆風で巻き込むんだッ!」

『夏菜』「わかりました」

ハンマーを諦めて手を離しアタシの隣に降り立った『夏菜』は新しく通常サイズのハンマーを手に持つ
アタシはすでにボロボロな槍にもう一仕事してもらうためエネルギーを注いだ

奏「噴き飛ばせッ!」

回転する穂先は周りの空気を巻き込みやがて竜巻を起こす


『LAST∞METEOR』


『夏菜』「更なる回転をっ!」

竜巻がウェル博士を包み込んだのを見計らい『夏菜』がフライユニットを駆使してその周りをさらに飛び回り始めた

翠《目とか回しそうですね》

どういうわけか竜巻の威力がそれによって上がってる
こんな威力の上げ方は現役の頃思いつかなかったね...


ウェル「もっと...もっと僕を笑顔にしてくださいよぉっ!」


『夏菜』「ぐっ!?」

竜巻の中から無理矢理手を伸ばしたウェル博士が飛び回る『夏菜』の脚を掴み飛んでる方向と反対方向に振り回し始めた!?
バランスを崩した『夏菜』が竜巻に巻き込まれ、竜巻そのものの風のバランスも同時に崩れて流れが弱まっていく

『夏菜』「下手な雑魚よりよっぽど...」

ウェル「一体誰が僕を鍛えたと...?」

翠《ししょーに任せたのは本気で痛恨のミスでした...》

ダンナェ...

ウェル「試したかったこの力ッ!もはや目指すところは英雄ではない僕であっても、試したいのは研究者のサガっ!!!」

思いの外強いぞこの男...てかダンナに鍛えられるとみんな人間やめんのか!?

ウェル「それに...今君に道を踏み外されたら折角の僕の計画がパァになってしまう!力尽くでもここで止めさせてもらいますよッ!」

奏「計画...?」

何を言って


???「はぁっ!!」


ィィィンッ


ウェル博士の意外な強さにアタシ達が動揺していると、またしても光線がどこからか放たれた
それに今の声...

ウェル「ッ!」

ウェル博士の顔面めがけて放たれたその光線を防ぐため右腕で顔を覆うようにすると

???「この距離なら...吸収出来ないなッ!」

気付かないうちに近付いていたのかあるいはお得意のテレポートか
突如現れた紫髪の人工装者はその手に持つ砲剣をウェル博士の腹に突き立て


ドッ!!!


極太のプラズマカノンを0距離発射した


コンマ下
奇数 ウェル博士撃退成功
偶数 まだまだ負けないウェル博士

0距離プラズマカノンを受けたウェル博士は爆風によって弧を描いて跳んでいった
その先にある壁に激突し、ガラガラと瓦礫が崩れている

奏「お前、どうして...」

???「見ていられなかった。というより、早く終わらせてほしかった...私の用事が終わらせられない」

『夏菜』「こっちもこっちで身勝手な話ですね...けど、ある意味助かりましたか」

そもそもアタシらと戦いたかったのはウェル博士のみ
アタシらからすれば誰が倒してくれようと別に問題ないしな


ウェル「不意の一撃もアクセント...丁度いい、貴女のそのRN式回天特機装束にも興味がありましてねぇ...」


三人「!?」

瓦礫の中から這い出てきたウェル博士
あれだけの威力を直に受けてまだ動けるってのか!?


どうする?安価下
(内輪でなくなれば内輪揉めではなくなる...?)

奏「このしぶとさ、シャレにならねえよ...」

ダンナのことだ、どうせ弱音を吐こうが身体を壊さないギリギリを保たせて特訓に次ぐ特訓をさせたはず
つまり、今のウェル博士には耐久性だけじゃなく持久力まで

『夏菜』「せめて視覚か聴覚を一時的にでも奪えれば動きはより鈍るはず...」

???「なら、そうすればいい」

砲剣を砲ではなく剣として持ち変え前に出る人工装者

ウェル「試させてもらいますよッ!」

その人工装者にウェル博士は飛びかかる

???「真正面では通らない」

人工装者は掴みかかろうとしたウェル博士の手のひらを砲剣の刀身で受け止めた
けどそれじゃ

ウェル「武器で受け止めたところで今の僕にはッ!」

???「はぁっ!!」

ウェル「何っ!?」

ウェル博士がガッチリ掴む前に砲剣を横向きにしてその場で思いっきり回転
いわゆる回転斬りだ
エネルギーの刃が発生するほどの技に吹き飛ばされたウェル博士
人工装者は床を蹴ってすぐにそれを追い彼の顔面に砲口を向ける

???「ブラスト」


ドッ!!!


ウェル「ひぃぃぃっ!」

あっアイツ空中でマト◯ックスして避けやがった

???「ちっ」

ウェル「今のは!今のは危なかっ」

???「ふっ!」


ィィィンッ

ィィィンッ

ィィィンッ


ウェル「ぐっ...!」

連続して放たれる光線を時に避け時に腕を盾にしている

ウェル「このプラズマは吸収率が悪い...が、遠距離ならば避けさえすれば!」

???「知ってる、それも見ていた」


パリンッ


ッ!?
消えた!?

???「えいやっ!」

テレポートジェムによって姿を消した人工装者はウェル博士の目の前に出現し、人差し指と中指を突き出した
チョキの形の手を指を前にして突き出すと何になるのか
そう、それはまさしく

ウェル「目がァァァァァッ」

翠《うわ...痛そ》

容赦のない目潰しだった


コンマ下
奇数 トドメだ!
偶数 トドメを入れるまでもない

奏「...はっ!そ、そうだトドメ!」

念には念を入れて気絶くらいはさせておきたいところだからね
まぁ必殺技とか受けても死にはしないでしょ

『夏菜』「準備は」

奏「万端!」

『夏菜』はハンマーを、アタシは槍をそれぞれ構え駆け出す

『夏菜』「こいつで黙らせてやる、です!」

両目を押さえて悶えるウェル博士を『夏菜』はハンマーで上から下から殴りつけ、もうひと回り巨大化させたハンマーを振りかぶって

『夏菜』「ハァァァッ!!!」


『ウルトラグレー◯ビッグハンマー』


ウェル「~!」


グチャッ


思いっきり叩きつけた
よし、アタシも

奏「行くぞッ!」

上に向けた槍の先に小型の(といっても相当デカい)太陽のようなエネルギーの塊が生まれ、アタシは槍を投げ上げつつその上まで跳んだ
槍が相手、そしてエネルギーの塊の延長線上を向いた瞬間を狙って柄を蹴り出し、貫かれたエネルギーの塊が一直線に漏れ出てウェル博士を飲み込む


『SUPERGIANT∞FLARE』


ウェル「ギィィィヤァァァァッ...」

・・・

見た感じ皮膚もネフィリムのものから元に戻ったっぽい気絶したボロボロのウェル博士を鞄の中に入っていたロープで縛り上げておき、アタシと『夏菜』、それに人工装者はそれぞれギアを解除して向かい合った

???「貴女...昨日の夜の方?」

奏「それ朝の方か夜の方かって意味か...?」

まぁ双子だと思ってるようなこと言ってたし仕方ないか?

???「アイツとは、やっぱり違う」

翠《奏さんどういうことですか!?昨日のあの時間まさか合ってたとかj》

念話切っとこ

『夏菜』「それより、結局どうしてここに?」

『夏菜』がそう尋ねると、彼女は僅かに迷った素振りを見せてから

???「...私の寿命は恐らく1週間以内に尽きる...みっともないことこの上ないけど、貴女達に頼みたいことがある」

そう切り出した


頼み事の内容安価下
(翠「奏さん!?かなっ...切られました!?」)

奏「一週間ねぇ...そりゃまた随分ギリギリな時間しか残ってない時に」

???「今だって引き延ばしている。でも、それも限界...だからこそ、こうして接触しに来た」

引き延ばしてる...?
いや、その前にこの子の話を聞くのが先か
質問は後々

???「貴女達が本当に信頼出来る組織と言うのなら...信頼させてくれるのなら、私のようにこれから創り出されてしまうであろう人工装者達が戦うことも実験動物扱いされることもなく普通に生きていける世界を頼みたい。この通り」

奏「っておい!?何急に」

ややぶっきらぼうにも聞こえる話し方をする彼女は、この時ばかりは真剣な表情と声でそう言って頭を下げてきた
NOと答えれば土下座でもしそうな勢い...それだけ彼女にとって重要で真剣な話なんだ

『夏菜』「それくらい、ここのお人好し揃いの愚かな人間達なら言われなくとも目指しいつか成し遂げてしまうでしょうけどね」

奏「『お前』は『お前』で随分素直になったな」

『夏菜』「誰が」

???「『貴女』にも一つある」

『夏菜』「...?」

ようやく頭を上げた人工装者は今度は『夏菜』の方を向き

???「『貴女』、アイツの友達でしょう?だったら...出来損ないの妹の代わりにアイツをよろしく」

『夏菜』「なっ...はぁ!?何ですかそれは!大体『私』は友達じゃ、蒼井翠をそう認めてしまったのはあの子の方だけで!」

???「『貴女』が本当は本来の貴女と優しい子なのは知っているから」

『夏菜』「~!?///」

すげえ『夏菜』が押されてる
ここまで短時間で押されるの初めて見た

???「話を戻す。私のような存在はどう規制したところで必ずまた創られてしまう。そしてもし道を踏み外した奴が現れたら...最悪、骨の5、6本折ってもいい」

奏「いや、まぁ...」

そんなリアルな数字出さんでも...

奏「てか、その役目はその子達の『姉』にあたるアンタの役目じゃないのか?」

???「だからこうして頼んでいる」

奏「どうやってももう長くはないって?」

???「さっきも言ったけれど、ただでさえ今だって引き延ばしている。これでもよく保っている方...最後にもう一つだけ頼み事」

人工装者はどこからともなく取り出した一枚のプレートを手にした

奏「それは...!」

???「今の私の命はコイツに生かされているけれど、全てが『終わったら』ここに返して置いてくれないか」

『夏菜』「歯抜けになっていた石板...貴女が盗んでいたということですか」

さっき翠と夏菜が回収していた中で一枚だけ足りていなかったプレート、まさかまさかの人物が持っていたな

???「違う、少し借りているだけ。そもそも元々はここにあったということも知らなかった」

奏「ま、まぁ命に関わる借り物ってんならダンナもすぐに返せとは絶対言わないさ」

どう考えてもそれは借りたとは言わないと思うけどね


どうする?安価下
(AI(私の...私の存在感が空気...))

???「...ふむ」

奏「?」

突然アタシ達の顔をマジマジと見詰めてきた人工装者は少し考える素振りをし

???「こほん...随分前に、ここを知っている狂った科学者が正規の方法で訪れた際にこの聖遺物を持ち出したみたいね。この子が教えてくれたわ...ルシエドッ!」

そう言って軽く右手を上げた
それに合わせていつの間にか彼女の右隣りに何かが...

奏「青い...狼?」

どこから...これも錬金術か?
あれ?そういやさっきまで人工装者が手に持っていたプレートがない...閉まったのかな

『夏菜』「霊獣...?」

???「いいえ、正確には守護獣よ」

奏『夏菜』「「...」」

???「な、何、かしら?」

奏「いや、せめて口調統一してよ。この狼に集中出来ないから」

まさか口調をどうしようかさっき考えてたわけじゃないよね?

???「...貴女達の反応がイマイチだったから。まだそう長く生きていない私はそういうことがどれに統一していいのかわからない」

『夏菜』「残り一週間でそれは決められるんですか?ま、ある意味そのままでも個性的かもしれませんけど」

???「本当?ならこれで正解なのかもしれない」

『夏菜』「えぇ...?」

この子もしかして天然なのか?
感情自体は実はかなり豊っぽくは思ってるけど

???「とにかく、この子はそう言っていた」

奏「うん、まぁそうは言ってもアタシらは狼語とか話せないからよくわかんないけど...」

撫でてもいいのかな...
そんな風に思いながら手を伸ばそうとしたその時、通信機に誰かから通信が入った

奏「おう、こちら奏」

弦十郎『む、奏と交代していたか...いや、今はそんなことはいい!お前達無事か!?』

ダンナ声デカイよ...耳超痛いもん

弦十郎『突如お前達との通信も途絶え、深淵の竜宮の様子も見られなくなってな』

奏「あぁ、それやった犯人ならそこに伸びてる。アタシも夏菜も無事だよ」

テレビ電話状態じゃなく声だけの電話状態で通信しているおかげでまだダンナ達には人工装者がここにいる事はバレていない
どうする?と目で訊ねると、彼女は

???「...」


パリンッ


少し頭を下げ、狼と共にどこかへテレポートしていった

『夏菜』「...」

奏「...あぁ、ダンナ、とりあえず一度そっち戻るわ。回収は済んでるからな」

・・・

本部に戻って事の顛末...人工装者のことは伏せ、あくまでアタシと『夏菜』がウェル博士と戦ったことを話すと、ダンナも友里さんもめちゃくちゃ怒ってた

弦十郎「ウェル博士ッ!」

友里「一体何を考えているんですかっ!」

ウェル「ひぃぃぃっ!」

緒川さんはニコニコしててよくわかんないし藤尭さんはむしろその怒ってる二人に怯えていた

弦十郎「どうやら性根から鍛え直す必要がありそうだな」

ウェル「ひっ」

そのままダンナに首根っこ掴まれてどこかへ連れていかれるウェル博士
ありゃ死んだな

エルフナイン「だ、大丈夫なんでしょうか...」

マリア「ダメね。でも残当よ」

奏「そんな言葉知ってんのな」


どうする?安価下
(翠「全然外の様子がわからないパート2...」

セレナ「しりとりでもする?」

『翠』「しりとり飽きました...」)

ウェル博士のことは放っておくとして...そろそろいい加減翠もうるさいだろうし交代するかな

『夏菜』「...まだ天羽奏、さん?」

奏「ん?」

そう思って意識を飛ばそうとしていると、後ろから『夏菜』に声をかけられた
こう言っちゃなんだけどコイツに名前呼ばれたのもしかして初めてか
呼び慣れないなら別に呼び捨てでもいいんだけどね
服の裾を引っ張られ部屋の端に移動させられると『夏菜』は軽く息を吐いてこちらに顔を向ける

『夏菜』「...これから話すこと、蒼井翠には言わないでほしいと先に言っておきます」

奏「お、おう、わかった」

なんだなんだ、そんな前置きが必要なことをアタシに言うのか
責任とか重大だな...

『夏菜』「正直なところ、あの子を救った彼女には少なからず感謝はしています」

へぇ...それはちょっと意外だね
むしろ余計なことを的なことばかり言っていた気がするし
いや、そもそもそれも本心じゃなかったっぽい部分もあったっけ

『夏菜』「けれど...今まで人間兵器としての人格を『演じる』ことしか出来なかった『私』は、他人とどう接すればいいのか本当はわからないのです」

奏「...もしかして、さっきのやつに触発された?」

『夏菜』「えぇ、少し事情は異なりますが、彼女もまた他人との話し方を模索していましたから」

これを機にと思ったわけだ
何でその相談相手をアタシにしたのかよくわからないけど、『夏菜』には『夏菜』なりの考えがあって相談相手に選んでくれたんだろう

奏「そうだな...」


どう答える?安価下
(奏(接し方がわからなくて初対面の時のあの感じとかっていうのは確かに問題だよね)

夏菜(これからはなるべく周りと仲良くするように心がけてって言った時はまさかここまで『私』が手間取るとは))

奏「...なら、信じる者の為に生きろ!」

『夏菜』「信じる者の...?」

奏「誰だっていい、育ての親でもここの人達でも、それこそもう一人の夏菜でも...そうやって誰かの為に生きていれば、自ずと自分っていうものがわかってくるさ」

安易なキャラ作りをしたところでいつかはボロが出るだろうし、人付き合いっていうのはそういうんじゃないしね

『夏菜』「でも、『私』の今の態度を続けていても距離は開くばかり...元々兵器として、あの子と守り守られる存在としてそうなるようにしてきたので当然ですが...」

奏「別にそのままでも十分だと思うよ。言うほどもう威圧感もないし」

『夏菜』「えっ」

奏「何も気にせずアタシ達みたいな普通の人間みたいに接してりゃいいんじゃないか?」

もうほとんどの人はちょっと面倒な性格してるな~くらいにしか思ってないだろうし、ついでに言うとこの『夏菜』は実は夏菜にはほとんど逆らえなさそうってのもバレてるし
ただ、性格が若干キツいことや他人を寄せ付けない感じになっていることの根底には『自分が兵器である』っていう固定概念みたいなものがあるからだろう
実際当初はそういう所謂兵器として働く為の人格として作られたんだろうし
でも、今はもうすっかり普通のややツン味のある女の子だ

奏「アタシから見てみれば、人工装者も面倒くせぇ理屈抜きで人間だと思うぞ?」

『夏菜』「それは...」

言葉に詰まるってことは、そういうことだよね

『夏菜』「...どう接していけばいいのかは、まだわかりません。けれど、しばらくはこのままで行こうと思います」

奏「それがいい。深く考えなくったっていいんじゃないか?それが素ならそれでいい。無理して相手に合わせたっていいことないよ」

その言葉は確かに『夏菜』に届いたと思う
少しだけ晴れやかなその顔がそれを物語っていた

☆☆☆

で~れれ~で~でん!

☆☆☆


『夏菜』との話しも終わって交代しようと意識を飛ばしてみると

翠「おかえりなさい奏さん」

『翠』「さっそく聞かせてもらいましょうか」

奏「セレナ、アタシはちょっくら出かけて来るわ」

セレナ「は~い」

『翠』「あっちょっ」

翠「待ちなさいっ!!」

この身体からはしばらく出ていよう
ほとぼりが冷めるまでまた幽霊状態でフラフラしていよう
うん、それがいい


☆☆☆

で~れれ~で~でん!

☆☆☆


翠「奏さんめ...」

まさか出ていくとは...いえ、そもそも取り憑いているようなものでしたしこういうのもアリなんでしょうけど...
仕方なくまた『翠』と共に戻ると、ちょうどそのタイミングで響さんクリスさんから本部に通信が入っていました

エルフナイン「どうしました!?」

響『大変!キャロルちゃんが...瀕死のキャロルちゃんが倒れてるのを発見しちゃったっ!』

ファ!?

エルフナイン「キャロルが!?」

クリス『全身皮膚が青黒くなっちまってる上に右腕がどっか行っちまってる...っておい!その身体で何やって』

響『あっ...』

えっ...どうなったの
声だけだと全然わかりませんけど、良くないことっぽいです

クリス『...消えやがった。テレポートだ』

響『キャロルちゃん...』

☆☆☆

で~れれ~で~でん!

☆☆☆


...どうなっているんでしょう、キャロルちゃんの方は
エルフナインちゃんもキャロルちゃんがテレポートしたって聞いて落ち込んでるっぽいね...蛇達抱き締めて項垂れちゃって

エルフナイン「...ふおぉっ!?!?」

翠「!?」

響さん達の通信が終わり、夏菜さん...『夏菜』さんになってたような?とにかく夏菜さんやマリアさんもそれぞれ司令室を後にしていました
で、ここには何となく残っていた私と仕事中だった友里さん藤尭さん、通信が終わってからずっと元気がなさそうだったエルフナインちゃんしかいないわけですが

友里「ど、どうしたのエルフナインちゃん!?」

藤尭「い、一体何が!?」

エルフナインちゃんが突然大声をあげるから私も含めてみんな驚いた

エルフナイン「へ、蛇さん達が!」

翠「蛇達?」

何だろう、また合体でもしたのかな
あれは初見だとびっくりしますよね


エルフナイン「揃って脱皮しましたッ!!!」


翠「...うん?」

脱皮?はまぁするんじゃないですか?蛇ですし

友里「そ、そう」

藤尭「よ、良かったね」

翠「成長期...ですかね」

まぁそこまでエルフナインちゃんが沈んでいたわけではなさそうなのでそこは一安心です
しかしまさかキャロルちゃんがとても危険っぽさそうになっていることよりも蛇達の脱皮の方が勝るとは

エルフナイン「この子達は完全聖遺物ですよ!?その蛇さん達が脱皮をしたということはこの皮にも何かしらの何かがあると考えても」

何かしらの何かとは一体
そしてそんな期待した目で私を見られても...

翠「...じゃ、じゃあその皮一つエルフナインちゃんにあげましょうか?」

エルフナイン「いいんですか!?ありがとうございますっ!!」

おぉう、すごく嬉しそうです
あ、蛇達が猛スピードで私の方に向かってきました
抱き締められていたから仲良くなったかと思いましたがさっきの食いつきでまた怖がってしまったのでしょうか

翠「でも脱皮した皮って...」

エルフナインちゃんに一つ渡したから残りは7つ...お財布に入れたらお金貯まったりするのかな
どうなんでしょう

翠「...蛇達も時々お世話になってますし、後で切歌さんや調さんに御守りとして残りの皮はプレゼントでもしましょう」

決してゴミを押し付けるとかそういうことではありませんよ、決して
記念に取っとく人とかもいそうですけど、私はそれをやり出したら何もかも取っておいてしまいそうなので取っておかないことにしています


どうする?安価下
(特になければザババコンビが学校から帰ってくるのを待ちます)

(なるべく今ぐらいの隙間時間だけでも更新して行けたらなと思っております)

脱皮の事は置いておいて、エルフナインちゃんが見た感じは平気そう...あくまでそういう演技なのかもしれませんが、とにかく大丈夫そうなのであの話を切り出してみましょう

翠「エルフナインちゃん」

エルフナイン「はい!何ですか!」

まだそんなに目をキラキラさせて...おかしいです、私の知るエルフナインちゃんここまで聖遺物オタクみたいな反応していなかったような
まぁ、この際スルーで

翠「ニーベルングの指環を回収してきたことですし、さっそくイグナイトモジュールの搭載を開始したいんですけど今大丈夫ですか?」

エルフナイン「えっと...」

友里「今エルフナインちゃんに仕事は溜まっていないから問題ないわよ。もっとも疲れが溜まっているなら別だけど」

エルフナイン「い、いえ!睡眠もしっかり取っているので!」

それならさっそく作業室にゴー

調「ただいま帰りました...」

切歌「た、ただいまデス」

司令室の自動ドアを通ろうと振り向くと、ちょうど切歌さんと調さんが帰ってきました

翠「おかえりなさい」

エルフナイン「お疲れ様です!」

調「うん、ただいま...エルフナイン妙に元気。何かあった?」

エルフナイン「実はですね!!!」

・・・

エルフナインちゃんの熱い語りをここにいるほとんどの人間は右から左に受け流しましたが、切歌さん調さんもとりあえず蛇達が脱皮した、ということだけは理解したようです

調「脱皮するんだ...」

翠「えぇ、記念と日頃この子達のお世話をしてもらっているお礼にお二人にも差し上げますよ、脱皮した皮」

調「あ、うん」

微妙な何とも言えない顔をしていても気にしない気にしない
あくまでこちらは満面の笑みで渡せば問題ない

調「くれるって、良かったね切ちゃん」

切歌「...え、あ、そうデスね。脱皮したんデスよね」

ボーッとしていたのか切歌さんの反応が調さんとはまた違った意味で鈍い...?

エルフナイン「そうなんですよ!!!」

切歌「お、およよ、エルフナイン顔近いデスよ」

いけない、エルフナインちゃんの語りモードがまた
友里さん藤尭さんはもう完全に仕事に戻ってるし

調「...」

翠「あー...切歌さん何かあったんですか?」

切歌さんがエルフナインに捕まったことで必然的に調さんと蚊帳の外状態になってしまった私は何となく話題を探そうとして、さっき気になったことを聞いてみました
切歌さんのことは多分調さんが一番よく知っていると思いますし

調「...学校で何かあったわけじゃない、と思う。ただ昨日...ううん、一昨日の夜寝る前から、ずっとあんな感じ」

翠「一昨日の夜...あぁ、なるほど」

調「うん...」

・・・

切歌さんがエルフナインちゃんから解放されたのを見計らって私と調さんで間に入り解散、司令室から出ました
途中マリアさんからガングニールを預かったりししょーの部屋を訪ねて(そこには居らずシミュレーションルームにヘロヘロの変態といましたが)私の残りのギアも返してもらい、エルフナインちゃんと共に作業室に
未来さんの神獣鏡は未来さんが帰って来てからですね

エルフナイン「後は...」

翠「夏菜さんのガングニールと人工ギア...」

てか夏菜が使わないガングニールはともかく人工ギアは...どうなの?

翠「通常のシンフォギアに耐えられない夏菜さんの身体、擬似ミョルニルとはいえイグナイトモジュールに対し拒絶反応を起こす可能性は十分...」

イグナイトモジュールは本来精神面に大きく影響が出るものですが、夏菜さんの場合はそれに留まりません
機械化している部分が負荷に耐えられる保証がない今、簡単に決めていいことではないような気がします

AI『そのことについて私から一つお願いが』

翠「っ!?」

どこから!?あ、私の胸ポケットから声が
アンティーク調な懐中時計...もとい、AIさんが何故私のところに

AI『何故私がここにいるのかァ!その答えはただ一つ...ハァ...蒼井翠ィ!君がァ...天羽奏さんと交代している時に、マスターにも頼んで奏さんに私を持っていてもらったからだァ!』

翠「嘘だ...私を騙そうとしてる...」

AI『とまぁ、そんなわけで、こんなこともあろうかと一時的に所有権、というほどのものでもありませんが翠さんがマスターから私を借りている、という形になっているわけです』

翠「こんなこともってどんなことですか...一応理解しました」

このAI本当に中の人いないんですよね?人工知能ってここまで進化してるんですか?

エルフナイン「そのサイズで尚且つ意思疎通も可能、そしてユーモアのセンスまで兼ね備えている懐中時計型サポートアイテム...あの、少しだけでいいので分解とか」

AI『断固お断りですけど!?』

翠「断固とお断りって『断る』がかぶってますよね」

関係ないですね

翠「で、お願いって何なんですか?」

AI『あ、そうでした。実は、マスターがイグナイトモジュールの負荷にも耐えられる方法が見つかるまではマスターのギアに搭載するのを待ってほしいんです』

なるほど、やっぱりそういう話ね
元々そのつもりではあったけど、そう言うってことは十中八九今のままだと耐えられないってことかな

翠「念のため夏菜さんのガングニールも?」

AI『フライユニットやその他の装備は肉体とは接続されませんが、何があるかわからないので』

翠「ですよね。わかりました」

となると...

私のアメノムラクモ、神獣鏡、アスクレピオス、ミョルニル、イミテーター、アメノオハバリ、フォーク
マリアさんのガングニール
そして未来さんの神獣鏡

今のところはこの9個でしょうか

翠「ニーベルングの指環ならダインスレイフの代わりになるんですよね?」

エルフナイン「は、はい、僕の計算が正しければですが...」

そこは信用しているので大丈夫でしょう

翠「なら調整の時間のことも考えてすぐに始めましょう」

エルフナイン「はい、指揮は任せてください!」


アメノムラクモコンマ下1
神獣鏡(翠ちゃん)コンマ下2
アスクレピオスコンマ下3
ミョルニルコンマ下4
イミテーターコンマ下5
アメノオハバリコンマ下6
フォークコンマ下7
ガングニール(マリアさん)コンマ下8

ゾロ目以外 成功
ゾロ目 何故か上手く行かない...
(未来さんの神獣鏡は未来さんが帰宅してから判定します)

(今回の連続ゾロ目判定は連投有りです!)

(翠「今日は切歌さんの誕生日!何の日か聞かれて浄水器の日って答えた時泣きそうな顔された時は私も心が痛くなりましたけど...やっと言えますね!切歌さん、お誕生日おめでとうございます!」)

・・・

あれから何時間経ったのか
イグナイトモジュールの搭載は経験済みとはいえ、ダインスレイフとニーベルングの指環...剣と指環では当然勝手が違います
それに、元々の素材も異なるので大元の理論以外はほとんど利用出来ず、一度計算式を立てたエルフナインちゃんですら頭を抱えて試行錯誤を繰り返すこともしばしば

エルフナインちゃんからしてみればダインスレイフを利用したイグナイトモジュールはまだキャロルちゃんの所にいた頃から構想にあったものだし、それだけ時間をかけて計算やら実験やらが出来たんだろうね
でも今回は違う...実物に触れたのすら多分今回が初

幾多の壁を乗り越え、やっとのことで8個のシンフォギアにニーベルングの指環由来のイグナイトモジュールを搭載し終えました...いえ、正確に言うと

翠「ミョルニルとイミテーターだけ上手く行かない...何故...」

エルフナイン「聖遺物そのものに関連した何かとニーベルングの指環とが拒絶反応を起こしているのでしょうか...ダインスレイフほど主張が激しくない為、ミョルニル側、イミテーター側にニーベルングの指環の力が呑まれて機能が働いていない可能性も...」

翠「ミョルニルの方だけなら逸話とか調べて対策出来ますけどイミテーターは...まさかこれを見越してのバリアコーティング...」

二人で机の上に突っ伏しながら覇気のない声でそんな考察のようなものを話してみますが、正直疲れ過ぎて頭が回ってません
まぁ疲れている一番の原因はより細心の注意を払わなければいけなかったフォークのせいですけど...


どうする?安価下
(特になければさらに帰宅した未来さんの神獣鏡追加という)
(ちなみに今後ミョルニルとイミテーターは気まぐれで新たな選択肢安価やコンマ判定が行われない限りイグナイトモジュールは発動しません。仮にこの件に矛盾すると判断出来るような安価が来た場合には採用されない可能性があります。申し訳ありませんが、ご了承ください)

コンコン


ノック?
疲れた身体を何とか起こし、そのノックに返事をすると


ガラッ


響「あ、終わってる...ってどうしたの二人とも!?」

響さんテンション高いですね...声も大きい
でも耳を押さえる気力すら湧きそうにありません

エルフナイン「あぁ、響さん、お帰りなさい」

翠「ということは、未来さんやクリスさんも」

響「う、うん、帰ってきたのは大分前だよ。未来はそこにいるしクリスちゃんは部屋に戻ってるけど...それより二人ともすごい疲れ切った顔してるよ?」

はて、いつの間に帰ってきていたんでしょう
もしかして作業が一通り終わりそうなタイミングを見計らってくれていたんでしょうか
だとしてもこのタイミングは眠過ぎて自分でも上手く対応出来ているかよくわかりません

翠「何用でしょうか響さん...」

響「えっと、未来の神獣鏡のことと...あと新しい私のガングニールについてもう一度しっかり検査したいってエルフナインちゃんが言ってたからついでにって思って...あー未来ごめんね、今ちょっと取り込み中だから」

ドアを開けた状態で部屋の入り口に立っている響さんの腰にニュッと二本の腕が伸びて巻き付く、というより抱きつきました
ネロさんが未来さんにかけた呪いは結果的に未来さんの響さんに対する独占欲が増幅する形で落ち着いています
それが病んでる方に行かなかったのは響さんの態度の匙加減の賜物か

響「でもやっぱり後に...」

エルフナイン「何を言いますか今やりますよねぇ翠さん」

翠「そうですよ後回しになんてしたら一生やりませんよ今やります」

響「一回休んだ方がいいよ二人とも、目の焦点合ってないよ」

翠「いいから神獣鏡を」

エルフナイン「ガングニールを」

翠エルフナイン「「渡しなさーい!!」」

響「わわっ!?」

・・・

半ば奪い取るように、何故か響さんが預かっていた未来さんの神獣鏡を私が預かってイグナイトモジュールの搭載作業に取り掛かり、ガングニールをエルフナインちゃんが預かって解析し始めます
疲れたし目もしょぼしょぼするし眠気も半端ないけどもう一踏ん張り
むしろ限界を超えて少し眠気がなくなってきた
エルフナインちゃんもエルフナインちゃんで様々なコードを繋いだガングニールと手元のタブレットの画面を交互に見て眉間に皺を寄せています
響さんがイグナイトモジュール無しで暴走を押さえたという例の戦いがエルフナインちゃんの研究者本能に火をつけてしまったのでしょう

翠「ここで重さを測ってすり潰して振りかけてから蓋を戻してよく振って...」

エルフナイン「ダインスレイフがあの黒い霧と反応したのは間違いないはずなのにイグナイトモジュール発動までのプロセスを踏まずに結果だけを体現して見せたのには響さん自身にも何らかの...でもメディカルチェックの結果を見る限りでは...」


神獣鏡(未来さん)コンマ下

ゾロ目以外 成功
ゾロ目 何故か上手く行かない...
(ししょーの強制仮眠取り宣告までのカウントダウンが)

・・・

ガラッ


作業室のドアを開け、部屋の外で待っているはずの響さん達を探そうとすると、ドアのすぐ横にいたのでその手間も省けました

響「翠ちゃんエルフナインちゃん」

翠「コレ、神獣鏡...イグナイト搭載完了です...」

エルフナイン「僕もガングニール...イグナイトは響さんの媒体を用いない暴走制御にはかえって危険、邪魔になるので取り外しておきました...」

弦十郎「そうか、なら二人とも一度休め。司令官である俺からの命令だ」

翠「ししょー...?」

ししょーいつからそこに...
響さんと響さんに引っ付いている未来さんだけだと思っていたら、ししょーまで部屋の外に立っていました

エルフナイン「でも僕まだ元気ですよ~」

翠「ですよ~ほらほら~っとっと」

響「おっと...いやそのふらふらっぷりを見せられたら流石に」

嫌ですね~ちょっとフラついただけじゃないですか~

翠「あれ?何か響さん二人います?ブレているような...平行世界?」

弦十郎「...響くんに聞いてはいたが、想像以上の疲れようだな。とにかく寝てこいッ!」

響「立花響、二人をベッドに放り込んで来ますッ!ほら未来一回腕解いて歩きにくいから」

翠「わわっ!?」

エルフナイン「ふあっ!?」

弦十郎「頼んだぞ、響くん」

響さんの両肩にそれぞれ担がれた私とエルフナインちゃんは抵抗虚しく荷物のようにすぐ近くの医務室まで運ばれ

響「う~ん...一緒でいいよね!ほいっ」

翠「ぼふっ」

エルフナイン「ふにゃっ」

そこにあった比較的広めのベッドに放り出されます
あっ、何か急に眠気が復活して...

響「これでよし...おやすみなさい、二人とも」

身体に毛布がかけられたような感触を感じながら、私は意識が落ちていきました


どうする?安価下
(特になければ睡眠後目が覚めたところから)

・・・

翠「...ん~っ...ふあ~ぁ...ふぅ」

目が覚めると、すっかり朝になっていました
多分昨日作業が終わったのが夜でしたしまぁ...となると今日はもう水曜日?

翠「気が付けば週の半分ほどが過ぎている...夏休み怖い」

休んだ気はしないけど

エルフナイン「ん...んん...ふあ~ぁ...」

と、そんなことを考えているとすぐ隣で誰かが身じろぎました
いや、誰かというよりエルフナインちゃんなんですけどね、他の人ならそれこそ怖いです

エルフナイン「ふあ、おはよ~ごにゃいましゅ...はへぇ?何れ翠しゃん?」

翠「もう少し寝てましょうか、エルフナインちゃんは」

私も寝起きは強くない方ですがエルフナインちゃんはそれ以上っぽいです

エルフナイン「?はい~」

目がまだしょぼしょぼしているエルフナインちゃんに布団を掛け直すと、また寝息を立て始めました
さて、私は起きねば

翠「誰かと一緒に寝ても何も起こらない健全な朝、これこそ普通」

何を再確認してるんでしょう私は
寝起きテンションかな?

・・・

翠「おはようございま...す?」

もしかしたらもうお昼かもしれないと思いながら司令室に顔を出すと、何やら慌ただしい様子

緒川「あぁ、おはようございます、よく眠れましたか?」

翠「何の夢見たか覚えてないほど熟睡でした。それでこれは?」

他の部屋から司令室にやってきた緒川さんに聞いてみると

緒川「実は、以前翠さんや夏菜さんが遭遇した例の巨人が移動と破壊行動を繰り返していまして」

翠「へ!?」

レイアさんの妹が!?

弦十郎「その足取りを追ってはいるが、破壊行動も一箇所に留まっている時間がそう長くなくてな。響くん達にも早退及び出動してもらっているが、出現する度に着いた頃には見失っている、というイタチごっこ状態だ」

翠「あ、ししょー」

となると単なる破壊行動じゃない...
それと、確かレイアさんの妹ってテレポートジェム使ってる描写なかったですよね?

翠「...あの巨人は前に現れた時海からでした。彼女は海から現れる...と見て、海水に通電出来るくらいの電気を用意するとかはどうでしょう」

弦十郎「海に通電か...」


コンマ下
奇数 打てる手は打つ
偶数 それはちょっと厳しい

弦十郎「可能性はある、か...この際打てる手は全て打とうじゃないか!」

翠「ししょー...!」

どれほどの電力が必要になるかとかまったく考えずに提案してみましたが、ししょーはそれを採用してくれました
といってもここから色々なところに掛け合いに行くんでしょうけど

藤尭「ですが、仮にその作戦に必要な電気が確保出来たとして、水産省やその他の外局が良い顔をするか」

弦十郎「国会に睨まれるよりかはマシだろう。それに相手の錬金術師の狙いは日本だけには留まらん、しのごの言う暇は無いぞッ!」

藤尭「ひぃぃ...」

...なんかごめんなさい藤尭さん
しかしまぁレイアさんの妹さんが派手に暴れ回るとは予想外...でもない?
オートスコアラー4体中3体再起不能ならオートスコアラー以外の戦力も惜しみなく使うしかないってことだろうし
むしろ全く知らない属性の新しいオートスコアラーとか出されないでよかった、対策立てられないし
無属性とか?
あぁ、うん、ある意味ここだと翠の方が調整屋さんでしょ

弦十郎「そういえばエルフナインくんは」

翠「あ、まだ眠そうなので寝かせて来ましたけど...」


どうする?安価下
(『翠』「ヤマタノオロチ的要素で『私』達もマグマ...火星?の力とか使えないかな」

翠「熱そうなのでそれは勘弁」)

・・・

ししょーが色々な部署に掛け合ったりしている中、最後にレイアさんの妹さんが姿を消してから大分時間が経ったということで出動していた皆さんが帰ってきました
学校に戻らなくていいんですかね...夏休み前だから早帰り?

響「あ、起きてたんだね翠ちゃん、よく眠れた?」

翠「おかげさまで。響さんは...もしかしてずっとその調子なんですか?」

相変わらず響さんの腰にはがっつり抱きついている未来さんの姿が

響「いやー学校の中だといつも通り変わらないんだけどね...さっき出動してる時も普通だったし」

翠「あー...そういうことは家でやれっていうのの体現ってことですか」

クリス「何だ?アタシのせいか?」

ネロさんの新しい呪い多分これ失敗してますよね?これで成功してるんだとしたら首傾げますよ?
てか祟りだの呪いだのの内容がいくら神様とはいえこう...統一感というかそういうのはどこに

夏菜「あ、おそようですね翠さん」

翠「やっぱり夏菜さんも出動メンバーでしたか...あ、そうでした」

私はポッケに入れっぱなしになっていたAIさんを取り出し夏菜に渡した

翠「奏さんが借りたままだったらしくて...ありがとうございました?」

夏菜「どういたしまして?」

借りたのは私の身体の奏さんとはいえ借りた当人がいないとお互い疑問符が...

AI『マスター、出動の際身体に異常は?』

夏菜「ん、ないと思いますけど念の為チェックしておいてもらえますか?」

AI『了解。リンクします』

リンク...だと...

翠「もしかしてAIさん健康診断も出来るんですか!?」

夏菜「と言っても身体の作りが特殊な私のだけですけどね」

ますますリリカルでプラズマなアイテムっぽさが...そのうちステッキに変形したりして

AI『...』

☆☆☆

で~れれ~で~でん!

☆☆☆


切歌「はぁ...」

今日何度目かのため息
このままじゃまた調に心配をかけてしまう
ううん、調だけじゃない、マリアにもマムにも、他の人達にも...

AI『悩めている少女の姿というものはかくも美しい...なお美少女に限る』

切歌「デス!?」

突然の声に振り向くと、そこに立っていたのは夏菜デした
はて、でもさっき聞こえた声は別人だったような気がするデス...

AI『コッチですよコッチ~!』

切歌「...およ?」

夏菜の手のひらに乗っている時計...懐中時計?から声が聞こえて?

AI『そういえば切歌さんとはほとんど話したことがありませんでしたね』

切歌「ど、どこかからコレを通して話しかけてるんデスか?」

AI『違いますこの懐中時計が私自身なんです!AI!人工知能!Are you leady?』

切歌「確証はないデスけど何となくその英語は間違えてると思うデス」

準備出来た?みたいに聞かれても文の前と後がちんぷんかんぷんデス
こういう時は『アーユーオーケー?』の方だと
というかそのAI?を持ってる夏菜がボーッとしてるんデスけどいいんデスか

AI『あぁ、少し貴女と話したいと思いまして、一時的にマスターにハッキンg...魔法をかけてこうして連れてきてもらったんですよ』

切歌「衝撃過ぎてどうしていいのかわかんないデスよ!?」

意識の乗っ取りとかフィーネだけで十分デスよ!あとそういうのは主に翠さんの担当だと思うデス

AI『まぁまぁ少しお話ししましょうよ』

切歌「じんこうちのーとやらは全然普通の人と変わんないデスね...」

まぁそう言っているだけで本当はやっぱり中の人がいるのかもデスけど

切歌「それで、何の話をするんデスか」

AI『じゃあ率直に...切歌さん、もしかしてこの前のこと、軽くトラウマになってるんじゃないですか?』

切歌「ッ」

トラウマ
確かに、アタシはこの前のこと...失敗したテレポートのことが頭から離れず、そしてそれが頭を過る度に身体がブルリと震える
急に視界が変わったこと、腰が壁を通る形でテレポートしてしまったせいで動けなくなってしまったこと
このまま誰にも見つけてもらえないんじゃないか...その恐怖はすぐに響さんが駆けつけてくれたことで払拭されたデスけど

AI『それに、見えない逃げられない抵抗出来ない下半身を弄ばれたり』

切歌「///...で、でも正直男の人とかに触られるよりはまだマシだったデスよ...ある意味未来さんの方が強烈だったかもデスけど...」

アタシもこれでも立派なオトシゴロ
そんなことをする人はここにはいないと知ってはいても、どうしても想像はしてしまうし恐怖もしてしまう
最初に誰かに脚を触れられた時はそれこそ色々な感情や想いがグルグルと巡ったり怖くて仕方がなくなったり...すぐにそれが未来さんだと上半身がある方の部屋を見回して察したデスけど、それでもそうじゃなかったらという恐怖と未来さんだったとしてだからこその恐怖もあって

切歌「うぅ...」

AI『まぁそこでなくとも、それこそ運が悪ければ首から上が何かに埋まる形でテレポートしてしまい呼吸が出来なくなる、テレポートした先で事故に遭う、等々色んな危険があるらしいですよ』

切歌「ぞぞぞ...」

深く考えずただ好奇心だけで使ってしまったアタシはとんだお気楽者デス
調にも散々怒られて...

AI『...なので、そんな切歌さんに私から極秘のルートで入手した安全な座標をお教えしようというわけですよ!』

切歌「安全な座標...?」

AI『テレポートした先、ワープ地点は強くイメージすれば選択可能らしいです。ならもし次にテレポートジェムを使わざるを得ない状況が訪れた時、失敗することなくテレポート出来るように知っておいて損はないと思いませんか?』

そもそももうテレポートジェム持ってないデスけど...知らないよりは知っていた方がいつか役に立つかもデス
そんなまるで何も捨てられない人みたいな考えをしながら、アタシは自身のスマホにその安全な座標とやらの印と説明がついた地図を登録してもらったデス
このAI、無線で通信も出来たんデスね...


どうする?安価下
(特になければレイアさんの妹さんを倒すために出動)

☆☆☆

で~れれ~で~でん!

☆☆☆


弦十郎「というわけで、早速作戦決行だッ!」

まさかものの数時間でレイアさんの妹さん電気ショック漁作戦が実行に移されることになろうとは
よく国の許可が降りたなぁとも思うし、そもそも二課の頃から割とギリギリなところを攻めていた気もする
それだけノイズや錬金術師に対抗する手段を選んでいられないのか、ここのOTONAの皆さんが相当なやり手なのか

緒川「まず日本周辺の海に等間隔に電極を垂らし、電気を流します。対象が感電し気絶あるいは抵抗するように水面から姿を現した時が」

クリス「あのデカブツの年貢の納め時ってわけか」

大規模ですね~...生態系とか大丈夫でしょうか
月破壊した時点で生態系なんて変わっちゃってるって!
それもそうですね!

・・・

で、作戦決行
海に浮かぶ本部にその電気の影響はないのか少し心配でしたが、全くいらない心配でした

藤尭「...っ!目標補足、映像出します!」

翼「かかった!」

モニターに映し出されたのは痺れが気になるのか海面から上半身を出して身じろぎをするレイアさんの妹さん...なんか前よりボロボロというか急造みたいな
前に夏菜がナパーム弾だかなんだか使ったから応急処置しか出来てないんでしょ

弦十郎「すぐに現場に向かってくれッ!」


どのギアで行く?安価下1
1 アメノムラクモ
2 アスクレピオス(戦闘不向き?)
3 イミテーター(イグナイトなし)(何か模倣する際は何を模倣するか記述)
4 イミテーター(銀色のギア)
5 ミョルニル(イグナイトなし)
6 神獣鏡(他のギアと同時展開する場合はどれと同時展開するか記述)
7 フォーク
8 アメノオハバリ

どうする?安価下2以降
(なお『夏菜』さんはナパーム弾を使う模様)

・・・

本部の真上の甲板に並んだ私達奏者一同(夢姫ちゃん除く)
海面から姿を現しているレイアさんの妹さんが見える位置に本部ごと移動してから、戦闘態勢に入りました

「Balwisyall Nescell gungnir tron」

「Imyteus amenohabakiri tron」

「killter Ichaival tron」

「Rei shen shou jing rei zizzl」

「Seilien coffin aiget-lamh tron」

「Zeios igalima raizen tron」

「Various shul shagana tron」

「Imyuteus amenomurakumo tron」

ここまで来ると最終決戦みたいだね
敵が巨人とか見た目的にもぴったり
まぁGXのラスボスは未だ健在...健在?ですけど

夏菜「...私もやっぱり何かここで口ずさんだ方が見栄えがいいんじゃ」

クリス「こちとら遊びでいちいち歌ってるわけじゃねぇんだぞ?」

夏菜「は~い」

夏菜さんは目を閉じフッと息を吐くと、次に目を開けた時には『夏菜』さんに交代していました

『夏菜』「次はない、今度こそ仕留めます」

・・・

さて、久々の全員出撃(夢姫ちゃん除く!)
出し惜しみなしで行こうか

翠「ですね、1000パーの力を解放全開!」

刀を一本握り締め、腰を落として構えます

『夏菜』「一番槍と」

翠「二番槍ッ!」

レイア妹「...!」

かたやフライユニット、かたや羽衣によって身体を浮かせた私達は駆け出すタイミングと同時にレイアさんの妹さん目掛けて飛び立ち、それぞれの武器を巨大化させて叩きつけました
それを察知していたのかどちらの攻撃も腕で防がれてしまいましたが、まだまだ行きますっ!


響「私達も!」

翼「あぁ、行くぞッ!」

マリア「だけど高さが足りないわ」

クリス「だったら乗ってけッ!」


ドッ
ドッ
ドッ

切歌「フッ!」

調「はっ!」

翼「いざ、推して参るッ!」


レイアさんの妹さんの周りをあっちこっち飛び回り翻弄しながら斬りつけていると、何かこっちに飛んで来ました
鳥だ!飛行機だ!

響「321ゼロッ!!!」

切歌調「「キスをしまっしょーッ!!!」」

ミサイルに乗った奏者達だぁ!

いや待ってそれ乗り物じゃないから
確かにGX1話でじゃじゃ馬だったりAXZ1話でも足場にしてましたけど...
ってぶつかる!

切歌「おっと失礼」

調「華麗にカーブ」

レイア妹「!?」

と思ったら目の前で曲がってまたレイアさんの妹さんの方に

翠「乗りこなしてる...だと...」

一人一つミサイル状態のみなさん
調さんがヨーヨーでレイアさんの妹さんを捕まえてそのままミサイルで迂回し縛り上げ
それをレイアさんの妹さんが引き千切った瞬間ミサイルで近付いた切歌さんが緑色のエネルギーの刃を飛ばして斬りつけ
響さんはミサイルを足場にジャンプ&パンチ

レイア妹「~!!!!」

殴るだけ殴ってその場を離れるように跳んでもう一度ミサイルの上に戻ってまたぐるぐると周りを飛んで...

『夏菜』「何あれ...あのミサイル遠隔操作とかそんなレベルじゃないんですけど」

翠「どう見ても立ち辛そうなんですけどあのミサイル...」

そして甲板の方に目を向ければ

未来「はぁっ!!」

クリス「持ってけ鉛のバーゲンセールだっ!!」

弾丸とか小型ミサイルとか光線とか円盤とかが次々と跳んで来てる

翠「...よし、負けてられない!」

『夏菜』「えぇ...」

私は両腕を巨大な刀に変え、身体を横回転させてレイアさんの妹さんに突っ込んだ
翼さんや調さんの技とかを観察してて作った即席の人間コマ

翠「目が回る前にッ!」


ザンッザンッザンッ


レイア妹「!?!?!?」

数度深く斬りつけたあたりで一度離れ、そのタイミングを見計らって今度はミサイルに乗った翼さんとマリアさんが

翼マリア「「はぁっ!!!」」


『蒼刃罰光斬』
『HORIZON†CANNON』

またも腕をクロスしてそれらの攻撃を防ごうとしたレイアさんの妹さん
ですが、その二つの技の威力を見誤ったのか押されてよろけてしまいます

『夏菜』「全員退避ッ!!!」

その隙を逃すまいとフライユニットから何かをレイアさんの妹さんに向けて放つ『夏菜』さん
私達は一斉に散って距離を取りました


ドッッッ


レイア妹「~ッ!~~!!!!!」

爆発、そして身体が燃え盛るレイアさんの妹さん
それはもう、ジュウジュウと溶けるような音まで聞こえてくるほどに
ものっすごい熱そう...超足掻いてる...

クリス「翠!パスっ!」

翠「へ!?」

その光景を内心手を合わせながら眺めていると、今度はクリスさんから何かを投げ渡されました
ポリタンク?

翠「...あぁ、そういう」

よく見るとクリスさんと『夏菜』さん以外の他の人達もポリタンクを用意しています
これはなんとも

翠「えげつない」

声にならない叫びを上げ全身を掻き毟り少しでも火を消そうと周りの海水に身体を潜らせようとしているレイアさんの妹さん
その上空に羽衣やギアの浮遊能力やミサイルで飛んできた私達はポリタンクの蓋を開けて中身をたら~...


ゴウッ


レイア妹「~~ッ!!!!!」

火の勢いが一気に増し、文字通りの全身火だるまに

翠「っ...」

クリス「ついでにもういっぺん痺れな!おっさん!」

弦十郎「おうともさッ!」


バチッ...バチバチバチッ!


全身火だるまに加えて再通電
容赦がない
相手が人の形とはいえ巨人だしあまり人間っぽく思えないからなのかな
すごく容赦がない


コンマ下
奇数 最後の悪足掻き
偶数 機能停止
ゾロ目 妹のピンチに駆けつけない姉などいない(なお手遅れ)

(翠ちゃんの人間コマは切歌さんの『災輪・TぃN渦ぁBェル』を想像してください、それの黒いバージョンです、多分)

シュー...シュー...


レイア妹「」

熱さを紛らわす為身体中を掻き毟ることも、全身が痺れて痙攣することもなくなったレイアさんの妹さん
首や腕はだらんと垂れ、未だ燃え盛ってはいますが動く気配はありません

マリア「...そろそろ、消火活動を始めるべきかしら」

見た限り、レイアさんの妹さんは完全に機能停止
つまり、私達の勝ち...かな?

『夏菜』「ふぅ...」

翠「勝った...勝った~っ!!」

・・・

海で規格外の電力と通電範囲を持ってして電気ショック漁紛いのことをしたり、ただでさえ危険なナパーム弾を『日本が他国に無断で』使用したこと、挙げ句の果てに海に向かって油を撒いたこと、そして何より動かなくなったレイアさんの妹さん...巨人の残骸が海に残されてしまっていること等々
私達が出撃して帰ってきてからもOTONAのみなさんはそういったことの後処理に追われているわけで

エルフナイン「騒音で目を覚ましたらいつの間にかレイアの妹が...」

友里「申し訳ないんだけど、こっちの資料纏めておいてくれる?すぐじゃなくてもいいから」

エルフナイン「は、はい!」

とてつもなく大忙しです
そしてそれらの仕事に首を突っ込めない私達は身体を休めるという名目でそれぞれの自室に

翠「はぁ...疲れた」

自室のベッドに腰掛けた私は大きく溜め息をついた
何あれ...いや、わかってたけど
あぁいう大きさの敵に対してはさ、ロボとかこっちも巨大化とかそういう何かをさ
いやシンフォギアは特撮枠じゃないから無理か...むしろワルプルに立ち向かうほむほむ的な...それならせめて時間停止能力を...

緑色「ゴライアスとかネフィリムとか...巨大な敵相手キツい...」


ボフッ


腰掛けた状態から背中を倒しベッドに転がって天井を見上げてみる
ただ照明が眩しくて、少し目を細めた


どうする?安価下
(レイアさんの妹さんは機能完全停止したので改造でもしない限り動きません!)

翠「…この作戦、やめといた方がよかったかな」

クリス「気に病んでる暇があったらこの戦いを終わらせる事を考えろ。後悔はそれからだ」

・・・

いつの間にか寝てた...目が覚めると、すでに日は落ちて夜に
ま、まぁ今回の出撃は飛びっぱなしで全身の筋肉も使ったし...

翠「なんて、自分のギアにイグナイト付けた後もいっぱい寝たのにまだ寝足りなかったっていうのはちょっと...っつ~...」

ちゃんとベッドに横にならず腰掛け状態から寝転んだだけだったせいで、枕無しで長時間そのままだった首が悲鳴を上げています
軽く捻ってみればパキッコキッと鳴りつつも僅かな痛みが抜けきりません

翠「それと喉も乾きましたね...水でも飲みに行きましょうか?」

いやむしろこういう時にも牛乳やプロテインを...

・・・

コップ一杯の牛乳を飲み干し、これからどうしようかと考えていると

翠「招集?」

ししょーからいつもの装者メンバーに声がかかりました
また出撃...はないとしても、その計画や作戦説明でしょうか

翠「仮に出撃なら残るオートスコアラーは多分一人」

あとはまぁキャロルちゃん
キャロルちゃんは響さん達の報告を聞く限り前に会って夏菜さんが酸をかけたとき以上によくわからない状況になってそうですけど
というかそれより、何か忘れている気がします
もはや原作と大きく異なる展開になってしまっている今現在、すなわちGX編の時期
いい加減アニメである原作と現実であるこの世界を並べて考えるのも良くないとは思いますけど、癖みたいなものでして
で、GX編の第一目標だった対キャロルちゃん陣営はトントン拍子?で進んでいるのでそれ以外がほとんど出来てません
出来てないからどうということもないのかもしれませんけど...

翠「っと、今はそれより司令室に行かないと」

・・・

司令室の自動ドアを通ると、他の人達ももう揃っていた

弦十郎「揃ったか」

クリス「んで、今度は何だってんだ?」

クリスさんがそう聞くとししょーは少し顔を曇らせた、ように見えた
あまり良い話が聞けそうなわけでなさそう

弦十郎「先程の戦いの影響...主に海水の通電によって、鯨やイルカ等を始めとした周辺の海に生息していた海洋生物が多数浜辺に打ち上げられているという報告があってな...漁として獲ったわけでもないそれらをどうするべきか中々簡単に答えを出せることではないらしい」

海に返す、という結論に至らないということははっきりとは言わないけどそれらはすでに...そうでなくとも、何らかの特異が起こっているのかもしれない
何せ凄まじい電力による通電からの錬金術にナパーム弾
浜辺に打ち上げられるほどの影響があってそっち方面の影響が出ていないとも限らない

調「それで、どういう結論になったんですか」

弦十郎「あぁ...捕獲規制も厳しいご時世なのもあってな、我々の存在を一般人から隠蔽するのも兼ねて、それらの処分を装者達にさせる、というのが上からの命令だ」

切歌「それって...こ、殺しちゃうって、ことデスか...?」

翠「切歌さん」

切歌さんはわかっていてかあえてそう聞いていました
はっきりと、誤魔化さずに言ってほしいと

弦十郎「ッ...あぁ、まだ生きている場合は...殺処分、と」

響「そんな...」

わかっていた
けれど改めてそれを聞かされ、重苦しい雰囲気が漂う
街を、人々を守るためにレイアさんの妹さんを倒したのであって、決して海洋生物を殺したかったわけではない、殺していいと思ったわけではない
それでも、現にこうして被害は出てしまっている

緒川「政府としても、他国から睨まれないようなるべくこういった面は揉み消したいらしく...出来れば骨も残さず、無くしてほしいと」

翼「装者を...シンフォギアを焼却炉か何かと勘違いしているのかッ!」

弦十郎「落ち着け翼...それに、お前が今言ったことは悔しいことにそれほど的外れではない」

マリア「どういうこと?」

弦十郎「シンフォギアによる火力は現在の焼却技術を凌駕している。塵と化すことに留まらず、その火力をもってすれば蒸発...つまり、余程出るゴミの量を減らすことが出来る。それを利用すれば廃棄物の埋め立て問題にも新たな進展が...と、そんな話も一部では出ているらしい」

クリス「そんなことに聖遺物使う気かよ」

弦十郎「そんなこと、と言えるほど小さな問題ではなくなってきているということだ...とにかく、その件についても多くの参考資料が欲しい、だから今回こういった結論になったというのもあるだろうな」

怒りを抑えるようにししょーの拳は固く握られていました
そして私もまた、他の皆さんとは少し違った想いが渦巻いています

翠「私が、あの作戦を提案したから...」

提案というほど立派なものじゃない
思い付きを言ってみた、そんな程度のもの
でも、言い出したのは私

翠「...この作戦、やめといた方がよかったかな」

もっと他に良い方法があったかもしれない
しらみつぶしに探せば見つけられたかもしれない
何も海上で戦わなくても、それこそバビロニアの宝物庫とか、場所を移せばよかったかもしれない

夏菜「翠さん...」

いつもそう...詰めが甘いのかな
必ず何かしら失敗する
私なんかが作戦なんて軽い気持ちで提案するべきじゃなかった...

クリス「...はぁ、おい」


ビシッ


翠「いっ」

溜息をついたクリスさんの軽いチョップが脳天を直撃し、少し涙が出ました
つむじに、つむじにクリーンヒット
頭を抑えながらクリスさんの方を向くと

クリス「気に病んでる暇があったらこの戦いを終わらせることを考えろ、後悔はそれからだ」

翠「クリスさん...」

クリスさんはそっぽを向いてしまいましたけど、その言葉は私の心に刺さりました
そう、ですよね
今後悔しても仕方ない

翠「...ありがとうございます、クリスさん」

クリス「ん」

・・・

決行は明日
今日レイアさんの妹さんが出現したことからそこのビーチは緊急避難及び一時封鎖されたらしいです
で、明日はそれを続行して貸し切りにするので他人の目を気にせず(近くの道路からは流石に少しは見えてしまいますが)作業が出来る、ということらしいです

響「ビーチかぁ...どうせなら遊びに行きたかったなぁ」

あった気がします...水着回...
こっちの世界に転生してもう結構経つからか、最近原作知識を思い出しづらくなってきていますが、確かあった気がします
そう、ビーチバレーとかカッコいいチョキとか...


どうする?安価下
(特になければ次の日の海洋生物処分作業に)
(翠「私は好きですよ、あのカッコいいチョキ」)

・・・

あれから数時間経って次の日、すなわち今日は木曜日
刻一刻と高校生組の夏休みが近づいてきています
が、響さん達はそんなギリギリな日にちにも関わらず欠席して例の作業に参加しなければいけません
というわけで今、浜辺に来ています

クリス「昨日今日の宿題、後で誰かに聞かなきゃな...」

調「宿題...嫌な響き...」

切歌「...」

夏菜「進めました?宿題」

翠「イグナイト関連の作業が忙しくてあんまり...寝る前とか少しずつ進めてますけど」

とりあえず最終日に残ってる的な展開はNGです

響「未来に手伝ってもらおうと思ってたけど...未来はそれどころじゃないし...」

未来「そんなことないよ?」

響「そう思ってるなら一回腰に回した腕を外そうね、未来」

響さんと未来さんの力関係のようなものが日に日に逆転しているような
というか未来さんは呪いがどういう方向で発動してるんですかね本当に

翼「今は彼らと向き合い、そして謝罪の意を込めて楽にさせることを考えるんだ」

浜辺に打ち上げられた海洋生物達を眺め、悲しそうに、悔しそうにそう言う翼さん

マリア「えぇ、あのイルカさんも鯨さんも被害者に過ぎない、だからこそ」

やめてマリアさん、イルカさんとか鯨さんとか可愛い呼び方されると余計やり難い上に場違いで不謹慎だけど頬が緩んじゃうから
ほらクリスさんが咳き込んじゃった

・・・


「Balwisyall Nescell gungnir tron」

「Imyteus amenohabakiri tron」

「killter Ichaival tron」

「Rei shen shou jing rei zizzl」

「Seilien coffin aiget-lamh tron」

「Zeios igalima raizen tron」

「Various shul shagana tron」

「Imyuteus amenomurakumo tron」

夏菜「えっと...ミョルニル、セーットアーップ!」


ギアを身に纏った私達は横一列に整列し、浜辺に打ち上げられた海洋生物達に手を合わせた
これから始めるのは被害者である彼ら(あの中に雄がいるのかわからないけど)を楽にすること
偉いだけの大人達の都合の為に殺すんじゃない、巻き込んでしまったせめてものお詫びに、私達の手で...

翠「っ...ごめん、なさい」

私達はそれぞれの武器を振るい、彼らが長く苦しまないような、すぐに楽になれるような箇所を選んでそこを突こうと...


「止まりなさい!ここから先は立ち入り禁止だ!」

「何をするつもりだ!あそこにいる子達に何をさせるつもりなんだ!いいから退け!」

「くっ...誰か!誰か手伝ってくれ!」


その時、近くの道路の方が少し騒がしいのに気が付き私達は動きを止めてそっちを向きました


弦十郎「どうしたァ!」

「司令、この男がここを通せと」

「アンタが責任者か!一体あれは何をするつもりだ!」

弦十郎「人払いは済ませたはずだが...とにかく、一度話を」


あの人って...あっ

響「嘘...」


「どういうつもりで...それも!」


響「お父...さん...」


洸「ウチの子まで...響まで巻き込んでッ!」


どうする?安価下
(響さんに取らせる行動でも可(その場合は響さんの行動と記述してください))
(翠(この時点で既にここの近くのコンビニでバイトを...?))

響さんのお父さん
3年前のツヴァイウィングのライブの悲劇の後、確かその被害者の中に仕事の取引先の社長令嬢がいたとかで、社内でも良い扱いをされなくなり、最終的に行方を眩ませた...

弦十郎「父親...?そうか、貴方は響くんの」

洸「黙れッ!」


ドカッ


響さんのお父さんはししょーのネクタイを掴み、反対の手を拳を握って殴りかかりました

洸「アンタッ!ウチの娘に何でこんなことをさせるんだッ!」

弦十郎「参ったな...」

殴られているししょーは微動だにしないというか明らかにダメージが入っていないというか

翠「って、ダメージ入ってなくても止めないと」

このままだと先に響さんのお父さんの拳の方が怪我してしまいます
かといって相手は成人男性
私もそれなりにししょーに鍛えられているつもりですが、果たして止められるか

翠《ネロさん、お願い出来ますか》

ネロ《本部のモニター越しに状況は把握しています。止めればいいんですか?》

翠《なるべく穏便に、取り押さえる感じで...でも最悪少し痛い目に遭わせても構わないと思います》

響さんごめんなさい、でもこればかりは


ネロ「わかりました」


ゲシッ


洸「いっ...!?」

undefined

響さんのお父さんの後ろに開いたバビロニアの宝物庫の扉から現れたネロさんは躊躇なく彼の両方の膝裏を一気に蹴り抜き、かなり強めの膝カックンを受けた形になった響さんのお父さんは膝立ちになって姿勢が低くなった
それで丁度いい高さになったと判断したのか、ネロさんが背後から両腕を掴んで捻り上げ後ろに組ませる

洸「痛たたたたっ!?な、何だぁ!?」

ネロ「動かないで、無理に動くと肩が外れるどころでは済まなくなります」

そしてトドメと言わんばかりに片足で響さんのお父さんの背中を踏みつけた
うん、そこまでしてとは言ってない気がします

弦十郎「ふぅ...済まないな、ネロくん」

一応響さんのお父さんを止めることは出来ましたけど、どうしたものか...

響「...」

ふと隣を見ると、ギアを解除した響さんがツカツカと響さんのお父さんの方に歩いていっていました
それを見た未来さんも同様にギアを解除して後を追います

響「お父さん...」

洸「響...!」

響「どうして戻ってきたの」

その時、空気が凍り付いた
そして私は頭を抱えました、そういえばGX編はこういうのがあったと

響「何で...何で私やお母さん達が一番一緒に居て欲しい時に居なくなっておいて、今更そんなお父さん面するのッ!」

洸「お、落ち着け響、この頃色々あっただろう、突然月が爆発したり、街に怪獣みたいなやつが出たり...そう、その怪獣、それと戦ってる女の子達を見かけてな、その中にお前によく似た子がいて、以来お前のことが気になって...心配になって」

響「心配...?お父さんに心配されることなんてない。ふざけないでよ、突然居なくなって、今度は突然出てきて心配した?よくそんなことをッ!」

未来「響」

響「消えて...今すぐここから消えてよ!せっかく普通になってきて、楽しく過ごせていたのに、いい加減にしてよッ!どれだけ引っ掻き回せば」

未来「響っ!!!」

ヒートアップしていた響さんを後ろから抱き締めた未来さん
そこにはここ最近の響さんにのみ発情というかそういう感情をガンガン向けていた未来さんではなく、以前の、いつも通り響さんを心配し見守る未来さんの姿がありました
邪な感情を持たず、ただ純粋に響さんを止めたいというそんな未来さんの姿が

響「!...ごめん、ありがと未来...」

弦十郎「響くんも一度落ち着け、しかし...作業どころではなくなってしまったな...」


作業安価下1
1 響さん以外続行
2 後日改めて

どうする?安価下2以降

いきなりの出来事に、翼さん達も息を飲んでいます
こういうのは...本編だと多分コンビニで再開した時に後日改めて会う約束をして、次はファミレスのシーンに繋がるんですよね
私が知る記憶の中の言い合いより大分響さんも響さんのお父さんも激しい気がしますが

洸「...消えないぞ、俺は」

響「っ...」

洸「お前がそう言おうと...いいやッ!消えないッ!怪獣と戦ってる響を見て俺は決めたんだ!腐り続けていた自分を今限りで終わりにすると!俺は今からでももう一度家族を!」

響「もっとッ!」

洸「っ!?」

響「もっと...早くそう言ってほしかった...」

響さん、泣いてる...
抱き締める未来さんも、悔しそうな顔をしていた

洸「響...」

弦十郎「...響くんの事で、話さなければいけないこともあります。来ていただけますね?」

洸「...あぁ」

ネロさんは響さんのお父さんの背中から足を退けて立たせました
もう響さんのお父さんにししょーに殴りかかった時の威勢はありません

弦十郎「響くん、それから未来くんも、来てもらえるか?」

響「...はい」

未来「わかりました...」

二人の返事を聞いて頷いたししょーは私達の方を向き

弦十郎「お前達は...そうだな、作業は一度中止、少しそこいらで息抜きでもしてから戻ってくれ」

翼「...わかりました」

それだけ残して本部に帰っていきます
その後ろをネロさんに歩かされている響さんのお父さんが続き、響さんと未来さんも

足取りは重く、そこにはとても気まずい雰囲気が

翠「...響さん!」

少し距離はありましたが、聞こえたようで響さんは振り向きました
お世辞にも元気そうには見えない、明らかに落ち込んだような、辛そうな

翠「...お父さんに、どうしてもらいたいんですか?」

そんな表情の響さんを見て一瞬躊躇いましたが、私はそう尋ねます

響「...」

響さんは少し困ったように眉を寄せ、そのまままた向き直して行ってしまいました

残された私達のすぐそばの海から、さざ波の音が聞こえてくる

クリス「息抜きって...無理だろ、色んな意味で」

ついさっき起こった響さんのことがあってとても息抜きする気にもなりませんし、それがなくても周りの状況的に...

調「...学校、わざわざ欠席したのに」

切歌「デース...」


どうする?安価下
(翠(酒と暴力に明け暮れるようになった響さんのお父さんも、ただの被害者でしかないんですよね...)

『翠』(そう、『私』のような人達に責められ歪まされてしまっただけの、被害者...))

海で息抜き、と言っても水着を着てきたわけでもない私達はギアを解除してから泳ぐこともなく、浜辺で大人しくそれぞれ砂をいじっていた
私と夏菜と切歌さんと調さんは集まってその場でしゃがんで適当に1つの砂の城を作り始めたし、クリスさんは砂が背中に付くことも気にせず寝転がる
翼さんとマリアさんは...グラサンをかけてステップの練習をしてた
何だろうこのカオス

切歌「...しゃがみっぱなしは地味にキツいデス...座りたい、せめて膝立ち」

調「ダメ、砂が付くとお洗濯が大変。クリス先輩みたいになりたいの?」

クリス「お前らアタシのことバカにしてるだろ」

翠「服も髪の毛も砂だらけになってますよ...っと、こんな感じですかね?」

夏菜「城というか山ですねこれ」

全部手作業ですし仕方ありません

マリア「翠、貴女も少し練習していきなさい、それにクリスも」

翠「え、何で」

クリス「アタシはともかく...いやアタシもやる気はさらさらねぇけど」

城兼山が完成した時にマリアさんから声がかかりました
けど何故にダンスの練習に参加?
私はダンスするような予定はないんですけど

翼「...そう、だな、少しやってみるのもいいだろう、それに身体を動かせば少しは気が紛れる」

夏菜「私はパスで」

切歌「見てる方が楽しいデス」

調「ファイト」

何これやる流れ?やる流れなんですか?
私はやらないから後は任せたよ
あっちょっと...えぇ...?私もやる気ないですよ?

・・・

翼「ワンツー!」

頼み込んで巻き添えを食らってもらったクリスさんと一緒に翼さんマリアさんに続いてステップ
浜辺でダンスとかどんな羞恥プレイですか、沼津の9人グループとかしかやらないでしょうこんなの

マリア「そう、いえ、ば!」

翠「はい!?」

ダンスが一区切り付いたところで動きを止めたマリアさんが私達に休憩しましょうと言いながら振り返りました
私とクリスさんはそれどころではなく、クタクタなせいでその場に座り込んでしまいます

マリア「ふと思ったことがあるのよ、例の人形達について」

翠「それは...ダンスとかを...しないで話ししてほしかった...です...けほっ」

クリス「そんなこと...考えながら...練習してたのかよ...」

翼「実は私も少しばかりあの人形達について不可解だと思う点がいくつかあってな」

やだもうこの人達、ダンスするのか考え事するのかどっちかにしてほしいです

夏菜「お尻のところに砂付いちゃってますよ」

翠「この震える足で腰を浮かせと...」

・・・

私達の息が整ってから、全員本部への道を歩いていました
そろそろ息抜き?も十分だろうということで

切歌「それで、マリアは何が気になったんデスか?」

マリア「えぇ...ほら、あの赤い...ミカ?が回収されたとき、破壊ではなく機能停止させられた状態だったじゃない?」

確かに、破壊されていたのではなく機能停止、直そうと思えば簡単に直せる程度の状態で発見されました
S.O.N.G.の装者が誰も身に覚えがないということはそれをやったのは紫髪の人工装者かその仲間の人達、もしくはまだ見ぬ何者かか平行世界から来た誰かか
平行世界なんて言い出したらキリがありませんが、実際に平行世界の響さんが来たことがありますし...

調「それが、どうしたの?」

マリア「何故破壊ではなく機能停止だったのか、よ。誰の仕業かはわからないけれど、ミカのあの状態ならいつでもトドメはさせたはず、そうしなかったのには何らかの理由があるのでは、とね」

翼「それに、エルフナインがガリィと呼んでいた青い人形もまた」

マリア「えぇ、最期はどちらも自爆という終わりだったけれど、何故それまでに近くで見ていたマムやエルフナインに危害を加えたり攫ったりしなかったのか」

攫うって...

翠「ミカさんは知りませんけど、ガリィさんは記憶が、記録が消えていたという話です。自爆がキャロルちゃんの遠隔操作だったとしてそれまでは特にそうする理由がなかったんじゃ」

マリア「そうかもしれない。けれど何かしら...何か引っかかるのよ...」

そう呟くマリアさんの目には何が映っているのか
マリアさんの女の勘は果たして当たるのか
エルフナインちゃんに危害が加えられなかったのはおそらくイグナイトモジュール搭載のこと、それからエルフナインちゃん越しにキャロルちゃんがS.O.N.G.内の様子を盗み見るためでしょう
ではナスターシャ教授は?
そもそも本来ナスターシャ教授はすでに故人となっているはずの存在です
だからこそ、そんなナスターシャ教授とキャロルちゃん達が出会うときどんな化学反応が起こるのか正確に予想することが出来ません

クリス「気にし過ぎ、って一蹴してもいいやつか?」

調「マリアは時々抜けてるから...まだわかりません」

言われてますよマリアさん

翼「ミカ、ガリィといえば...」

・・・

本部に着き、響さん達はまだ話しているらしいということで私達だけで会議室にやってきました

翼「立花...はまだだな、雪音、聞くところによると倒れていたキャロルは尋常ではない様子だったのだろう?」

クリス「ん、あぁ、全身の皮膚が青黒く変色しちまってる上、右腕が見当たらなかった...呼吸すら苦しそうだったぜ」

翠「腕は誰かにやられたとしても全身の皮膚が変色するのはわかりませんね...」

普通よほどのこと...全身塗料か何かで染めるとか、色素を書き換えるとか...
とにかく、そうでもしないと難しいでしょう


???『キャロル・マールス・ディーンハイムの精神と心、記憶は今消えつつある』


夏菜「何か、私達の知らないところで彼女の身に何かとんでもないことが起きているんじゃ」

翠「とんでもないこと...」

キャロルちゃんの身に、一体何が...


どうする?安価下
(特になければ響さんと未来さん合流)

・・・

キャロルちゃんのこと、オートスコアラーのことは情報が少な過ぎて何とも言えないという結論に至りました
ただ次にキャロルちゃんに会った時は慎重に、要観察ということで

翼「さて、私はこれから仕事があるのだが」

マリア「ならマネージャーの彼も把握しているでしょう、あの調子じゃ作業も後日でしょうし、今は解散でいいんじゃないかしら」

クリス「学校は...今からじゃ意味ねぇな」

何かあればまたししょー辺りが召集かけるだろうと言って、私達は解散して会議室を出た

翠「また暇...暇な時とそうじゃない時の差が激しいな...」

やる事ある時はすごい時間かかるのに
どうしよっかな...蛇達でも愛でに行こうかな?

翠「ダンスの時はさらっとあっちに引きこもっていたのに終わったら何事もなかったかのように戻ってきましたね...」

それはほら、ね?

翠「何が「ね?」ですか...」

まぁいいですけどもう...
夏菜さん達や切歌さん達とも会議室を出てからすぐに別れ、気が付けば一人
いつものように自室に戻っていようと廊下を歩いていると

翠「...あれは」

ベンチとテーブル、さらには自販機と雑誌新聞が少々置かれているいわゆる休憩スペース
そこに一人の男性が腰掛けているのが見えます

翠「響さんのお父さん...ですよね、あの人」

さっきの威勢は何処へやら
見るたびシュンとしてもう今は完全に項垂れています
実の娘にあそこまでキツい態度を取られたらやっぱり来るものがあるのでしょうか


安価下
1 話しかける
2 話しかけない
(ウェル「蒼井翠初デビューライブまで」

マリア「あと4日!」

緒川(マリアさんノリノリですね...)


翠「ッ...何でしょう、悪寒が」)

翠「...」

ここを回れ右して遠回りすれば響さんのお父さんの所を通らずに部屋まで行けます
けど、それもなんか感じ悪い気もしますね...

翠「後ろめたい事...は」

...ある、いっぱいある気がする
私は響さんを責めた人達と似たようなものだし
私はそれ以外にも原作通りの流れにしようと響さんをわざわざ覚醒させようと、戦場に立たせようとしました

何より、一回敵対して殺し合ったことがある(ります)し

翠「...響さんも未来さんも許してはくれましたけど...いやいや、怖がってはいけません!」

あくまで今は友人になれてる...はず、ですからね!
えぇ、響さんの友人、あるいは仲間、同僚?
それくらいには自惚れしてもバチは当たらないでしょう

翠「何よりやっぱりスルーは感じ悪いです、挨拶くらいは人として」


どう話しかける?安価下

そうと決まればさっそく行動
項垂れる響さんのお父さんに近づいてみると

洸「響...俺はどうすればよかったんだ...」

あぁ、重症かもですこの人

翠「ししょーを殴ったのが良くなかったですね」

あっ

洸「!...君は...響の友達、かい?」

響さんのお父さんの独り言を聞いて思わず思ったことを口にしてしまいました
ま、まぁファーストコンタクトとして良いかどうかは別として話しかけることには成功したので良しとしようよ

翠「えっと、はい、蒼井翠と言います。響さんとは多分友達...と思ってもらえてると思います」

洸「...酷く曖昧な言い方だね?」

翠「色々とありまして...」

響さんのお父さんと少し距離を置いた所に腰を下ろした私は、さてここから何を話すべきかと考えていると

洸「そうか...響は元気でやってるかい?」

翠「えぇ、ここでも学校でも」

学校での様子は知りませんけど板場さん達もいますし、きっと楽しく暮らしているはずです
何より常に未来さんと一緒ですからね、響さん

翠「...仲直り、したいんですか?響さんと」

響さんの普段の様子を気にするということは...わかってはいましたが、やっぱりそういうことなんでしょう
響さんのお父さんもそう聞かれ、僅かに躊躇しましたが確かに頷きました
あまり人様の事情に口を出すことは良い事だとは思えませんけど...

翠「...なら、口だけじゃなく行動で本当にやり直したいと示してみては?」

私はその時、翠を押しのけ私の言葉としてそう言った
確かに私も他人の事情にどうこう口を出すのは良くないとは思う
けど、それ以上に背中を押したいと強く思ってしまった

洸「行動で...?」

翠「私は響さんと貴方の間に何があったのか詳しく知ってるわけじゃないです。でも...逢えなくなってから後悔したんじゃ遅いと思うから」

私はそうだった
よもぎのこと、りっちゃんのことがあって引きこもったからお父さんとお母さんともほとんど顔を合わせなくなって
そして知らない間に二人は...

洸「...だけど、今更俺が出来ることなんて」

翠「いくらでもあるはずですよ、無いと思い込んでしまうのはそれをする勇気が足りないからです」

いきなり本題に入ったから、これ以上長居するのもおかしいかな
そうですね...えぇ、あとどうするかは響さんのお父さん次第の方がいいでしょう

翠「...ごめんなさい、少し生意気でした」

私は立ち上がり、その場を後にしようとして

翠「そういえば...」

響さんのお父さんの方を振り返り、もう少しだけお節介を焼くことにしました

翠「響さん、口癖でよく『へいき、へっちゃら』って言うんですよね」

洸「...!」

翠「今の貴方にぴったりじゃないですか?」

響さんに与えていたその魔法の言葉
貴方もきっとまだ、使えるはずですよね?

・・・

話し過ぎたかもしれないと少し反省しながら部屋を目指していると

未来「...あ、翠ちゃん」

響「...」

偶然にも今度は娘さんとその嫁に遭遇しました

未来「私達少し外を散歩しようと思うんだけど、翠ちゃんもどう?」

翠「私も?」

未来「うん」

響さんの方を一瞥してそう話しかけてくる未来さん
響さんは見るからに元気がないようです
これがさらに時間が経つと空元気をし始めるんですよね、きっと
しかし未来さん、なぜそのタイミングで私まで散歩に誘って...?

翠「...わかりました、いいですよ」

未来「それじゃ決まりだね」

でも未来さんから誘ってくるのなら断る理由もないので、誘いに乗っておきましょう


何話す?安価下
(特になければ沈黙散歩のままキャロルちゃん発見)

・・・

翠「...」

気まずい...
散歩に出たのはいいんです
響さんを真ん中にして3人で昼間の外を歩くというのは別段何か問題があるわけでもありません
ただ、終始無言でというのは来るものがあります

未来「...」

響「...」

何か話してくださいよ!
えっ未来さん私まで連れ出して置いてこれはどういう!?
はっ、まさか気まずいからこそ私にどうにかしてほしいということですか!?

翠「...」

いやいやいや!そんなムードメーカーみたいなこと出来るわけないじゃないですか!
と、そんななんとも言えない雰囲気の散歩が行われていると


???「はぁ...ただでさえそれほど残ってないのに...」


道の向こうにある公園のベンチに何やら見覚えのある紫髪が見えました

???「海洋生物を浜辺に打ち上げたの誰だ...おかげで市販されているのを買う羽目になった...あぁほらがっつかない」

よく見ると例の拾った子猫に猫缶らしき物をあげています
えっていうかあれからその子猫の食事ってまさか釣った魚とかだったんですか!?


安価下
1 するするスルーで見なかったことに
2 話しかける
3 影から様子を見る

翠「ちょっ未来さん響さんストップ!」

未来「!?」

響「へ?」

二人の後ろに回って二人の腕を掴み、公園のすぐ側の建物の陰に隠れました

未来「ど、どうしたの?」

翠「あれですあれ」

目線で促すと、二人もようやく人工装者の存在に気が付いたようです

響「あの子って...」

未来「子猫の世話とかするんだ...飼い猫?」

翠「一応飼ってはいると思いますけど...」

声をかけるのは憚られるよね、それほど好意的な態度とってもらえてないし
でもスルーするのも...一応ししょーには無理には保護しない方向に変えたって言われましたけど、気にはなりますし


人工装者どんな様子?安価下
(翠ちゃん達に気付くことは恐らくない!はず!)

???「...よっと...少し重くなった?あぁいや、私の筋力が落ちてきたのか」

食事を終えた子猫を抱き上げ膝に乗せた人工装者はそう独り言を言い

???「...あと5日...まだ大丈夫、まだ戦える」

手のひらを見つめ拳を握りました
あと5日...?

???「その前に、この子の里親も探さないと...最悪ルシエドに親代わりに...は無理か」

今とても聞き逃しておきたくなる単語が聞こえたような
やっぱりあのプレートってそういう...でも仮にそうだとして何で彼女がその名前を
...いやいや、偶然でしょ、他の何かがたまたま同じ名前だったとかそういうオチだよきっと

???「ふぅ...それにしても、いざ研究所から逃げてみても全然上手くいかない...もっと自由になれると思ったのにな」

人工装者はやや眠そうにしている子猫の頭を優しく撫でながらまた独り言を始めました

???「私達のオリジナルの蒼井蓬...試作品は途中から確か正規装者2名の遺伝子を持たされていた...どちらにしても、オリジナルである彼女達を意識しないわけにはいかない。試作品もきっとそうだろう」

試作品って夏菜さんのことでしたっけ
確かに顔をお面で隠したり伊達眼鏡らしきものをかけたりするのは奏さんセレナさんの遺伝子が加わったことで変わってしまった顔を受け入れられなかったからだとか
最近は奏さんセレナさんがこう...接触出来るというか成仏してなくてその気になれば話が出来るような距離だと知り、二人にも悪いからとそれほど自身の顔に嫌悪感を示すこともなくなってきましたが

???「彼女達からしてみれば自分達の意思で好きで遺伝子を提供したわけじゃない...だからといって無関係というわけじゃない。彼女達が誇れるような存在になるのが、せめてもの...最初はそう意気込んでいた...」

子猫はにゃーと鳴いて頭を撫でる手に自ら頭を擦り寄せ、それを見た人工装者も嬉しそうにしています

未来「かわいい...」


コンマ下1
奇数 キャロルちゃん公園に出現
偶数 キャロルちゃんの出番はまだ

どうする?安価下2以降
(子猫「僕と契約して、魔法少女になってよ」

???「!?」

翠「!?」)

これは...邪魔しちゃダメな雰囲気だね
ですね、彼女にとっての子猫との楽しい時間に割り込むなんて無粋なことは出来ません

翠「...声はかけず、別の方向に行きましょう」

それかいっそもう帰宅してしまっても...
と、そんなことを思っていたその時


キャロル「ゥウウ...誰でモいいかラ出てコいッ!!!俺とたタかえっ!!!」


公園の方から爆発音がしました
急いでもう一度公園の方に振り向くと、そこにはいつ現れたのかキャロルちゃん...キャロルちゃん?

翠「何ですかあの姿ほ」

響「...うん、前と同じ」

変色した身体、足りていない右腕
そして時折痛み苦しみを堪えるように顔を顰める彼女は左の手のひらに出現させた錬成陣から竜巻や光線を放っています
さっきまでと打って変わり一瞬のうちに公園は地獄絵図に

未来「はっ!避難誘導!」

翠「あっそうでした!」

惚けてる場合では
人工装者には私達がいることがバレてしまうでしょうがこの際仕方ありません
...そういえばその人工装者は今何を?

???「キャロル...!?くっ、油断していた...でもこの子をどうしたら...!」

緒川「皆さん慌てず避難してください。貴女も...おや?」

ってアイエエエエ!NINJA!?NINJAナンデ!?
どこにでもいますね緒川さん!?

???「っ...その制服、S.O.N.G.の」

緒川「はい」

???「今はこれが最善か...この子を預かっておいてほしい。でももしこの子に何かしたら」

緒川「必ず守り通しましょう」

子猫を預かった緒川さんは人間とは思えない跳躍を見せて安全圏まで跳んでいきました

未来「なんだろう今の出来事...」

翠「と、とにかくキャロルちゃんを止めないと」


どのギアで行く?安価下1
1 アメノムラクモ
2 アスクレピオス(戦闘不向き?)
3 イミテーター(イグナイトなし)(何か模倣する際は何を模倣するか記述)
4 イミテーター(銀色のギア)
5 ミョルニル(イグナイトなし)
6 神獣鏡(他のギアと同時展開する場合はどれと同時展開するか記述)
7 フォーク
8 アメノオハバリ

どうする?安価下2以降

響「公園にキャロルちゃんが...はい、お願いします...未来、翠ちゃん、今師匠に連絡したら増援が来るまで粘ってくれって」

翠「ならその信頼に応えないとですね」

暴れ回っていたキャロルちゃんは唸りながらこちらを睨んできています
変身が完了するまで待っていてくれる、と思っていいんですかね?

???「前にも言った。貴女達は手を」

翠「出すなと言われても出しちゃうことくらいもう察してますよね?」

未来「力があるのに何もしないなんて私には出来ないから」

響「私は...私も」

???「...はぁ」

深い深い溜め息
それでも私達と並んでくれるってことは共闘してもいいってことだよね?
なら行きましょうか、今はとりあえずこの4人...5人で
だね、暴れるよ!


「Balwisyall Nescell gungnir tron」

「Rei shen shou jing rei zizzl」

「Stealer Imitator tron」

「~♪」


3つの聖詠と1つのハミングが流れ、4人それぞれの身体をバリアフィールドが包み込む
紫の装者、赤と黒の二色の装者、そして二人の橙の装者が並びそれぞれキャロルちゃんに向かっていきました

響「一点~突破の~け~つ~い~のみ~ぎ手~っ!」

未来「閃光...始マル世界...」

???「~♪」

翠「はぁぁぁっ!!」

響さんはいつもよりやや大振りな拳を、未来さんは周りに浮かぶ鏡から放たれた光線を、人工装者さんはプラズマを溜めた砲剣を、私は発勁による地面を伝った衝撃を
それらを一斉に向けられたキャロルちゃんは跳び退きながらも空中で体制を整えて一枚の防護壁を発動させます

響「お父さんの癖にぃぃぃぃぃっ!!!!」

そしてそれを瞬時に破壊されるという...
いや、響さんちょっと待って頭に血が上ってる!

キャロル「ッ!?」

防護壁を失ったキャロルちゃんは響さんの拳を受けて大きく吹き飛び、さらに追撃のように未来さんの光線と人工装者さんのプラズマカノン砲を身に受けて地面に叩きつけられ、私の発勁の衝撃波が届いてもう一度吹き飛びました

キャロル「がはっ...ウゥ...父、親...だト...?」

父親に反応した...?
あ、そうか、キャロルちゃんの命題は確か...

響「はぁ...はぁ...うぅぅ...っ」

未来「響...!」

???「惚けない。トドメを刺す」

翠「え、えぇ」

熱くなって苦しそうに頭を抱えている響さんもどうにかしないとですけど、それは後にして今はキャロルちゃんを


レイア「これ以上はやらせない」


その時、私達とキャロルちゃんの間に立ちはだかるようにレイアさんが姿を現した

???「好都合、貴女もここで」

レイア「派手な戦いは嫌いじゃない。でもそれは今じゃない」


パリンッパリンッパリンッ
パリンッパリンッパリンッ
パリンッパリンッパリンッ


レイアさんはそう言うといくつもの結晶を地にばら撒きます
それが割れて現れたのはアルカノイズと...

未来「新しい人形...?」

ぱっと見はキャロルちゃん陣営のオートスコアラー達
しかしそれらにオリジナルのような凝った装飾はほとんどなく、どちらかというと劣化版、マネキンのよう

レイア「お前達の相手は木偶人形にしてもらう、もっとも『地味な威力しか出せないシンフォギア』なら傷すら付けられない程度には頑丈だがな」


パリンッ


厄介なものを残したレイアさんはキャロルちゃんを抱き上げてテレポートジェムを砕き、その場から離脱しました

翠「なるほど、つまりは量産機」

量産機には量産機の良さがある、とはいえ今は倒すのみ
レイアさんのあの言葉、暗に『イグナイトを使え』と言っていますね
じゃあ使わない!

翠「せっかくだし...アルカノイズでもいけるのか試してみますか」

アルカノイズを一度バイザーでスキャンし、出現させたバスター砲にその情報を送信
吸収対象情報をノイズからアルカノイズに書き換え、それに伴いバスター砲の変換装置も対アルカノイズ用に変更

翠「試しに三体!」

変換開始と脳内に浮かべることでバスター砲に信号を送るとバイザーに映り込む三体のアルカノイズをその砲口がエネルギーに変換しながら吸い込み、光が集まってきます

翠「発射ッ!!!」


ドッ


トリガーを引くとそれは光線となり、吸収したアルカノイズ達の先にいたアルカノイズ、そしてその先にいる木偶人形達に向かって最速で最短で真っ直ぐに一直線に!
光線が当たったアルカノイズと木偶人形達は揃って赤い粒子となり分解されていきました

???「それは反則...でも便利なことに変わりはない」

翠「とも限らないですよ」

今の一発だけでバスター砲に僅かながらヒビが入っています
再度ギアを纏った時には直っているでしょうが、元々ノイズ用なのでこの使い方は長持ちしなさそうですね

翠「ここにいるアルカノイズを吸収するくらいなら保つでしょうが、それで倒すには木偶人形の数が多過ぎます」

???「なら残ったやつは力でゴリ押しで」


響「ガアァ...アアァァァァァァァァッ!!!!」


翠「!?」

???「何!?」

さっきまで頭を抱えていた響さんの身体が突如黒く染まり始めました
まさか、暴走...?

完全聖遺物の力や肉体の欠損による感情の揺さぶり、カルマノイズによる呪いの助長に匹敵するほど今の父親との再会という状況にストレスが溜まってるってことですか!?

未来「響!!」

???「そっちのお仲間、何やってんの」

翠「暴走は響さんの持ちネタみたいなもの...何て言ってる場合じゃないですね」

まさかそんなに暴走しやすくなっているとは
イグナイトモジュールを外しておいたのは良かったのか悪かったのか...って後ろ!

翠「危ない!」

???「ッ!」

響さんの豹変に気を取られ人工装者さんの背後に迫っていたアルカノイズに反応が遅れます
何とかそれを防ごうとその間に割り込もうとして...


響「ふっ!」


翠「...え?」

そのアルカノイズを響さんが飛び蹴りをしながら引き離すのが見えました
え?いや今響さんあっちで暴走しかけて...え?
目を凝らしてよく見ると、響さんの身体は確かに真っ黒に染まっています
そしてその黒が段々とギアに吸い込まれ、ガングニールがマリアさんのやイグナイトとはまた違った真っ黒なギアに

響「...二人とも、無事?」

翠「あっはい」

無事かとかそれはこっちの台詞ですとはとても言えないほどに今の響さんはクールな感じがします
ほら、あっちで未来さんもうっとりしてますし

響「アルカノイズは私達で翠ちゃんの方に誘導するから翠ちゃんはこの場のアルカノイズを変換して木偶人形達に当てることにだけ集中して。その後残った木偶人形は私が空に放るからそれをイチイバルのクロスボウで対処」

翠「は、はい」

響「貴女もそれでいい?」

???「わ、わかった...」

誰この人

・・・

響さん達の...主に響さん一人の誘導により私の視界に入る範囲に集められたアルカノイズ達は次々とバスター砲に吸収されて木偶人形達を貫くエネルギーに変換されていきます
スムーズに行われるが故に私はどこかそれを作業のように感じながら進めていると、いつの間にかアルカノイズが品切れに

響「せいっ!」

と思ったら今度は響さんが木偶人形の一体を掴んで空高くぶん投げました

翠「コピー、イチイバル!」

私はイミテーターにイチイバルを模倣させ両手にクロスボウを握り照準をその木偶人形の肩関節に合わせトリガーを引きます
スペックはオートスコアラー達に及ばないとしてもイグナイトじゃないと対処出来ないほどの強さということはそれなりに強敵です
ならせめて腕を潰して攻撃のバリエーションを減らさせないと

響「次っ!」

翠「はいっ!」

響さんがぶん投げて私が撃って
あっこれも単純作業になってしまう
そんな明らかにレイアさんが私達にさせたかった戦いとは別物であろう作業を進めていると

マリア「待たせたわねっ!!!」

アイドル大統領が走ってきました


「Seilien coffin aiget-lamh tron」

未来「あ、マリアさん」

マリア「ここからは私もやらせてもらうわ、早速新しい力を...抜剣ッ!」

えっいきなり?


ダインスレイフ


マイクユニットのスイッチを押して胸元から外すと、それは瞬く間に三枚羽を持つ剣に変形
そして胸元に突き刺さり

マリア「ぐうぅっ...ああぁァァァァァッ!!!!!」

ダインスレイフの呼び起こさせた心の闇が黒い霧となって身体中を包み込み始めます

未来「み、翠ちゃん、なんかすごく痛そうなものが突き刺さってるけど」

翠「いえそれはそういう演出なので実際に刺さってるわけでは...ここまでは想定通りです」

そう、ここまでは
響さんも一度作業の手を止めマリアさんの様子を静観してる
人工装者は若干引いてる
でもマリアさんって原作だと獣と堕ちたような...

マリア「どいツも...コろす...ッ!...ゥアアアアァァァァァッ!!!!!」

翠「いや何しに来たんですかマリアさんっ!?」

来て早々何もせずに暴走した!?


マリアさんコンマ下1
奇数 暴走しながら木偶人形達を次々と破壊していく
偶数 敵味方なく襲いかかってくる
ゾロ目 押さえ込んだ...!

どうする?安価下2以降

(翠(思いの外マリアさんがポンコツ化し始めているような気が...あと原作の時も言っていたこの「どいつも殺す」って対象誰なんでしょう...身内含めて殺しまくるような平行世界あったりしませんよね?))

あ、ありのまま今起こったことを話すよ
突然クールになった響さんの指示のもと量産型の木偶人形を倒していたと思ったらいつの間にか暴走したマリアさんが戦場に追加されていた
な、何を言ってるのかわからないと思うけど私も何を見ているのかわからない
頭がどうにかなりそうです...アイドル大統領とかたやマとかそんなチャチなものじゃあ断じてありません
もっと恐ろしいものの片鱗を


マリア「アアアァァァァァッ!!!」


響「まずい、散って!」

などと現実逃避気味に脳内ナレーションしていると暴走状態のマリアさんが四つん這いで駆け出しました
その標的にならないよう私達はそれぞれマリアさんの進行方向から外れて距離を取ります

マリア「ガルルゥゥッ!」


バキッ
ガシャンッ
グシャッ


しかしマリアさんは私達には目もくれず木偶人形達に襲い掛かり、次々と噛み付いたり引き千切ったりワイルドな方法で破壊していきました

???「あれも、シンフォギアの力...」

翠「失敗ですか...ギアさえ解除出来れば元に戻るはずなんですが」

暴走するマリアさん相手にどう立ち向かえと...

セレナ《...ここは私に任せてくれないかな》

翠《セレナさん?》


多数決安価下1~3
1...休憩中の翠ちゃんの方を見る
2...続行して交代したセレナさんの方を見る

***
2/3票が入ったので2とします
***

・・・

セレナ「ふぅ...ありがとう、翠ちゃん達」

私が表に出ると同時にイミテーターはイチイバルから私のアガートラームを模倣したものへと姿を変えた
やっぱり私や奏だと一番使ってたギア、適合係数が高いギアになるのかな
交代してくれた翠ちゃん達...前に一度思わず呼び捨てにしちゃったけどまだ慣れないから...にそっと感謝の言葉を述べつつ、私はマリア姉さんの方を見る
全身肌も髪も真っ黒に染まり目だけが赤く光っている
言われなければアレが本物のマリア姉さんだと気付かない...ううん、信じられないだろう

セレナ「マリア姉さん...正気に戻って!」

私は再起不能になり倒れた木偶人形達を踏み付けるマリア姉さんに近付き説得を試みようと...


翼「マリア一人に任せておけるものかッ!」


ブゥゥゥン...


その時どこからかバイクの音が
音のする方を向くと、奏のお気に入りの...確か風鳴さん?がすでにアメノハバキリを纏った状態でマイクユニットに手をかけながらバイクで走って来ていた
ってマイクユニット!?

セレナ「イグナイトは使わないで!」

翼「あぁ!抜剣ッ!」

何でぇ!?

奏《翼ァァァ!?》

あ、奏いたんだ
翠ちゃんの中に中々戻ってこないから心配してたよ
じゃなくて!

翼「ウッ!?...グッ...腹わたを掻き回すような...この力がっ...!」

やめて!そんな生々しい感想言わないで!
あとその状態でバイク運転するのやめて!絶対事故起きちゃうから!

翼「アァァ...ガァ...グアアァァァァァッ!!!!」

奏《翼ァァァァァァァァァァッ!!!!》

???「ほんとうに貴女達の助っ人は何をしに来たのっ!!!」

いやもう本当...何で風鳴さんまで暴走してるの...あとバイクまで黒く染まってるのは何なのあれもアームドギアに数えてるの


どうする?安価下
(翠「これは他の装者の皆さんも来て暴走する流れ」

『翠』「それはもう無視して帰っていいと思う」)

クリス「追い付いた...町ん中ポンポンミサイル出せねえの不便だよな...って何だこの状況」

あ、えっと雪音、さん?だっけ

クリス「おい、何がどうなってんだ?人形共の残骸?に暴走してるあそこの二人」

セレナ「まず今私は翠ちゃんじゃないんだけど...あそこに沢山転がってるのはレイアさんが残していった量産型で通称『木偶人形』、助っ人に来たマリア姉さんと風鳴さんは来て早々イグナイトモジュールを起動させて今に至る...かな」

クリス「何やってんだあの二人...」

響「とにかく放っておくわけにはいかないよ、クリスちゃんも手伝って」

クリス「んでお前は何でまたそっちのモードになってんだ!?」

あーツッコミ役が他にいるとすごく楽だよ...

・・・

唸りながらバイクを乗り回している風鳴さんと四つん這いで咆哮を上げているマリア姉さん
いつ暴れ出してもおかしくない二人に対し、私達はなるべく刺激しないように捕獲することにした

セレナ「マリア姉さんは私に任せて」

他の皆さんに風鳴さんは任せることにして、私はマリア姉さんにゆっくりと近づく

マリア「ウゥゥ...グウゥァァ...!」

セレナ「ドードー...落ち着いて...」

大丈夫、猛獣相手に手懐けるのはネフィリムで慣れてる、まぁその時は失敗して絶唱することになったけど

セレナ「...林檎~は、浮~かんで、お~そ~ら~に~...」

昔マリア姉さんとよく一緒に歌った林檎の歌
辛い実験や検査の後で悲しい時も、喧嘩のようになってしまって気まずくなった時も、大好きなプリンをこっそり二人で食べた時も
いつだって二人でこの歌を歌って微笑み合った



緒川「翼さんをバイクから降ろさせてください!その隙に僕が動きを止めます!」

響「未来、バイクを狙って!」

クリス「誘導ならやってやる、上手く狙えよ!」

未来「う、うん!」

???「援護する、1、2の3で」

未来「1」

???「2の」

二人「3!!」


ドーンッ


緒川「翼さん!」


パンッ


『影縫い』


ちらりと風鳴さんの方を見ると、あちらも動きを封じることに成功したよう
私もマリア姉さんを止めてみせる!

セレナ「星が~キ~スして~歌が~ね~むって~...」

マリア「グルルゥ...」


コンマ下
奇数 落ち着く
偶数 変化無し
ゾロ目 逆効果...?

マリア「ウゥ...ッ!...ぐっ...っは...」

黒く染まっていた身体から黒い靄が少しずつ抜け、マリア姉さん本来の姿が見え始めた

セレナ「マリア姉さん...」

苦しそうなしかめた顔をしているマリア姉さんの両肩に正面からそっと手を置き抱き寄せる
三枚羽が飛び出たままのマイクユニットが当たってちょっと痛いけど...あと少し、あと少しで戻って来てくれるはず

セレナ「大丈夫、マリア姉さんはそんな闇になんて負けないよ」

マリア「ぐぅ...はぁ...はぁ...セレ...ナ...?」

セレナ「大丈夫だよ、マリア姉さん」

靄が抜けきると同時にマリア姉さんのギアもマリア姉さん自身も元に戻る
疲労感があるのかそのまま私に寄りかかってきた

マリア「セレナ...」

セレナ「おかえり、マリア姉さん」

一時はどうなることかと思ったけどね
よし、後は...


翼「グッ...ガァァッ!!」


緒川「っ、影縫いが!」

もう一人の猛獣をどうにかしないと


どうする?安価下
(未来(いっそギアを神獣鏡の力で消しちゃダメなのかな...ダメだよね...)

???(今の彼女、蒼井翠...じゃない?)

クリス(あのバイクまさか自動走行とかして来ないよな?))

マリア「あれは...翼!?」

セレナ「そう、マリア姉さんと同じくここに来て早々暴走した人」

マリア「うっ」

影縫いを力尽くで破った風鳴さんは両手に日本刀の様なアームドギアを持ち、人工装者さん目掛けて跳んだ

???「ちっ...ただでさえ弱まってきてるのに...!」

風鳴さんの斬撃を砲剣で受け止めた人工装者さんは舌打ちをしながら風鳴さんを睨みつけている

奏《今度はアタシの番だな》


多数決安価下1~3
1...休憩中の翠ちゃんの方を見る
2...交代した奏さんの方を見る

☆☆☆

で~れれ~で~でん!

☆☆☆

奏「よっ、ただいま!あと行ってきます!」

翠「え...あ、えぇ、お帰りなさい」

『翠』「う、うん、行ってらっしゃい...」

ひとまず翠の中に戻ったアタシは翠達に一声かけ、セレナと交代することに

セレナ「任せるけど大丈夫?」

奏「へーきへーき、とりあえず歌っとけばいいんだろ?」

セレナ「え」

はいはい交代交代
セレナの背中を押し、アタシは表に顔を出す
さぁ翼、アタシとデュエットだ!

・・・

奏「...ん、よし行くか」

マリア「あれ?セレナ?」

奏「アンタはすっこんでな。翼はアタシが連れ戻す」

アタシの決意に同調したのかはたまたただ単にアタシに交代したからか、イミテーターのギアがアタシのガングニールの状態に変化した
翼とやり合うつもりは無いけれど、いざとなったら力尽く
ならこの方がやりやすい

奏「翼ァ!とっとと戻ってこい!!」

そう呼びかけると、翼はゆっくりとこちらを向いた
けどまだ黒い...この程度で戻って来るわけないか

翼「...ガアァァァッ!」

雄叫びを上げつつちゃっかり剣で突こうとしてくる翼の伸ばされた腕を掴んで脇の下へ行かせそのまま挟む
大分密着して良い距離になったかな
頭の中にいつの日か翼と曲の練習をした思い出が蘇ってくる
互いを知り、息を合わせることでアタシ達は両翼揃うんだ


翼『幾千億~の~い~のりも』


奏「や~わらかなひ~かりで~さえも」


翼『全て~飲み込~む~牢獄(ジェイル)のような、闇~の魔性...』


奏「カルマ~のように」


翼『転が~るように』


奏「投げ出してし~まえなくて」


記憶の中の翼の歌声と共にアタシはアタシのパートを歌い紡いでいく
片翼の準備は万端だ
だからもう片方は翼、今のお前が...


コンマ下
奇数 落ち着く
偶数 変化無し
ゾロ目 逆効果...?

翼「グッ...ガアッ...」

お?行けた?


翼「...グルルゥゥゥァァァァッ!!!」


奏「ま、待て翼!いや本当待って」

より一層大きな雄叫びを上げた翼はアタシの腕を振りほどき剣を振り下ろしてきた
暴走していても身体に染み込んだ剣の動きはそのままなのか、太刀筋がしっかりしている
避けるのがほんの少し遅れていたら...

奏「セレナ!?話が違うぞ!歌えば戻るんじゃないの!?」

セレナ《そんなこと誰も言ってません!》

じゃ何でマリアの時即歌ったんだよ...


どうする?安価下
1 もう一回歌ってみる
2 戦うのみ!(この場にいる他の装者も加勢してくれます)

奏「や、待て、選曲がお気に召さなかったのかもしれない」

セレナ《えぇ...?》

響「奏さん...」

???「...え?あれ?夜の方の...あれ?でもあれ蒼井翠だったはず...え?」

とにかく歌おう、アタシと翼はいつだってそうやって心を通じてきたんだ!

奏「聞け!そして歌え!次ァ!」

念の為腕の装甲を合わせてアームドギアの槍を完成させ手に握る
歌うのはツヴァイウィングのもう一つの代表曲...

奏「「聞こえますか...?」激情奏で~る...」


コンマ下
01~25 落ち着く
26~98 変化無し
ゾロ目 逆効果...?
(一度失敗しているので判定が少し変わります)

翼「ガウゥ...カナ...ゥ...ガアアァァァァ!!!」

奏「ダメか!」

クリス「いやもう何やってんすか!」

何でだろうな...セレナがこうビシッと決めた手前悔しい...

緒川「奏さん、そろそろ」

未来「奏さん...」

奏「むぅ...」


どうする?安価下
1 もう一回だけ歌ってみる
2 アタシ達は戦うことでしか分かり合えない!(この場にいる他の装者も加勢してくれます)

アタシじゃ何か足りないのか...?
いや、翼がアタシ無しで生きていけるようになったのならそれが正解だ

奏「しゃーない、作戦変更!バカ翼を力尽くでねじ伏せる!」

響「ミサイル使うと爆発した後見えなくなっちゃうからクリスちゃんはなるべくクロスボウ、ハンドガン、ガトリングね」

クリス「お、おう」

緒川「マリアさんは一旦こちらへ」

マリアを緒川さんが避難させたのを確認し、アタシ、響、未来、クリス、人工装者の五人で翼を囲んだ
両手に剣を掴み二刀流になった翼は姿勢を低くし獣のように唸る

???「錬金術師相手でもないのに...迷惑」

未来「ギアを消してしまわないように...」

クリス「帰ったら二人纏めて説教コースだな」

響「みんな、行くよ」


奏さんコンマ下1
響さんコンマ下2
未来さんコンマ下3
クリスさんコンマ下4
人工装者さんコンマ下5
翼さんコンマ下6
(コンマ下1~5のコンマの平均とコンマ下6のコンマを比べて、大きい方が勝ちです)
(奏さん達が負けると最悪翼さんが逃亡して野生に帰ります)
(コンマ判定で尚且つ数が多いので連取りになります)

訂正、連取りOKとします
なおこのレスは含みません

***

装者五人
(82+37+66+25+47)÷5=51.4

翼さん
27

奏さん達の勝利!!!

***

・・・

奏「これで終わりだァ!!!」


『LOST∞METEOR』


5人がかりでどうにかダメージを与え続け、最後にアタシが槍の先端を回転させて起こした竜巻で吹き飛ばした
地面に落ちてきた翼はすぐにギアが解除され、暴走していた時の真っ黒だった姿も元に戻っている

クリス「っは~...二度とごめんだこんなん」

未来「終わった...疲れた...」

響「ふぅ...」

翼が途中バイクに飛び乗ってこっち向かってきたときは危なかったな
てかバイクがひとりでに翼の元に走ってきてたように見えたのは気のせいか?

緒川「翼さん、どうやら気絶しているようです」

響「ならそのまま本部へ運んだ方が」

クリス「お前もさっさと戻れ!」

響「あいたっ!?」

あ、響もギアが解除された

???「...」


人工装者さんコンマ下
奇数 この場をテレポートして去る
偶数 子猫を返してもらう
ゾロ目 子猫ついでに本部へお持ち帰りされる...?

???「これ以上は付き合っていられない。私はあの子を連れて帰らせてもらう」

奏「...強情だねぇ。まぁ無理強いしないって約束だかんね」

???「...貴女のソレも気にはなるけど、今は疲れたからいい」

そういや翠からアタシ(途中セレナ挟んだけど)に交代するの見るのは初めてだったな
いつまでも隠しとけるとは思ってなかったし丁度いいか?

緒川「ではあの子猫を避難させている所へ案内しますね」

???「わかった」

未来「私達も帰ろっか、マリアさんも待ってるだろうし」

響「うん」

奏「ほら翼~、起きろ~...無理か。仕方ない、よいしょっと...重っ」

おぶってみたけどやっぱ翠の身体だとキツイか...?
いや、いける!例え腰が死のうとも!

翠《今もしかして私の身体だし多少無理してもいいやとか思ってません!?やめてくださいよ!?筋肉痛になったときは本当に大変だっt》

念話を切っておくことにした
で、アタシらは本部に、緒川さんと人工装者は子猫を避難させたっつう場所に向かうことに

・・・

...気のせいか?さっきからずっとアタシらと緒川さん達の向かう方向が同じなんだが

緒川「もうすぐですよ」

???「あの子の身に何かあったら覚悟しておいて」

緒川「避難先には信頼出来る人達もいるので心配ありません」

いや、そろそろ本部なんだけど...あぁそうか、本部通り過ぎてもうちょい遠い所なんだよな?

・・・

緒川「この部屋です」

???「迎えに来た...よ...」


切歌「よ~しよし、いい子デスね~」

調「切ちゃん、あんまり撫で過ぎると嫌がるよ」

マリア「他人様の猫ちゃんなんだから丁寧にね。自分のペットだったとしても大切に扱わなきゃだけど」

調「マリアは寝てて、マムとエルフナインに安静にって言われたでしょ」


人工装者固まっちゃってるよ...
いや、ここに来るまでにアタシらは察していた
だって途中本部の出入り口通ったし
そしてこの部屋本部の会議室だし

???「...まさかここは!いつの間に!?」

響「今更過ぎて突っ込めないよ」

クリス「これはアタシも突っ込めねぇ」

未来「あ、あはは...」

むしろこの子大丈夫か?こんなノコノコと着いて来て
天然入ってる疑惑あったけどどっちかっていうとポンコツ混ざってないか?

???「くっ...おいで!」

切歌「あ~...」

人工装者が声をかけると子猫は素早い身のこなしで擦り寄っていった、とても懐いている
翼も前はアタシに対してあんな感じの時期あったな、今は背中で気絶してるけど

???「油断した。けどそうはいかない」


パリンッ


そして彼女はテレポートジェムを使い華麗な脱出を...

???「...あれ?」

することは出来ず、その場に留まった


エルフナイン「すみません、ここで一度テレポートの事故がありまして。この施設内では現在無許可のテレポートによる侵入、外出は出来ないようにしているんですよ」


すげえ人工装者膝から崩れ落ちて項垂れたぞ


どうする?安価下
(???「なん...だと...orz」←逃げられなくなった

作者「なん...だと...orz」←ゾロ目出された)

***
もう人工装者さんは名前なくてもいいんじゃないかと思い始めていた今日この頃

安価は絶対!しかし必要かどうかはわかりませんが他の人にも配慮して...


多数決安価下1~5
1 『メヌエット』とは本名
2 『メヌエット』とはコードネーム(実質あだ名)

人工装者さんはメヌエット(仮)さんに決まりました
彼女の本名が何なのか、そもそも本名なんてあるのか
それがどうなるのかは、皆さんとコンマ神次第...かも...

***


???「騙した...」

緒川「いえ、安全な場所というとここでしたので」

いや絶対わかっててここに連れて来たよな緒川さん

???「...無理強いしない約束。私は帰らせてもら...けほっ...ゲホッゲホッ」

奏「ッ!お、おい!」

立ち上がろうとした人工装者は咳き込みながら再び倒れてしまう
しかも咳き込んだ時に口を押さえていた手のひらには吐血した跡が

緒川「!!...司令に連絡を、それから彼女は医務室に連れて行きます」

エルフナイン「僕もお手伝いを!」

???「いい...このくらい何の問題もない...けほっ」

突然の体調不良に場の空気が一変して焦りモードになった
半ば騙して連れて来た相手が突然血ぃ吐いたらそりゃ驚くわな
かく言うアタシもかなり焦ってる

???「そもそも私は歌は歌わない...喉が多少故障した程度で」

マリア「確かにいつも貴女はハミングのようだけれど...」

切歌「だからってそれは関係ないデスよ...鼻歌歌いながら踊ってるみたいに戦うのに途中血なんて吐かれたら見てて居た堪れないデス!」

調「切ちゃん、鼻歌はちょっと違う」

響達がダンナに人工装者のこと伝えに行ってるせいでツッコミが足りない!
いやあの中だと基本ツッコミはクリスしかいねぇけど
翼はそこでまだ気絶してるし

切歌「踊りといえば何かそんな感じの...舞曲?って言うんデスかね?その鼻歌」

調「だから鼻歌じゃ」

切歌「えっと...メヌエット?」


???「ッ!?」


お?反応した?

切歌「とか何かそんな名前が付いてるのがあるって教科書のおまけコーナーに書いてあったデス」

マリア「ちゃんと授業受けなさい...って、貴女どうかしたの?」

???「何で...私の、コードネームを...」

奏「...は?」

それだけ言い残して人工装者は気絶した

緒川「いけません、すぐに運んでメディカルチェックを」

気絶してこれなら抵抗されないと判断した緒川さんが人工装者を抱え上げようとすると

緒川「ッ...オオカミ?」

どこからともなく青いオオカミがその場に姿を現した

奏「あー...確かソイツの守護獣の...ルシエド?だっけ?」

そう呼びかけるとルシエドは肯定するように軽く鼻を鳴らしながら頷いた
賢いワンコだ
そして人工装者の服を噛んでそのまま乱暴に上に放り投げ自身の背中に乗せ子猫を優しく咥え、緒川さんの背中を鼻で押した

緒川「えっと...道案内、ですか?」

それはまるで先を歩けと言わんばかり
察した緒川さんはルシエドを案内するように歩き出す

エルフナイン「...は!ぼ、僕も行きます!」

そしてその後ろをエルフナインが付いていった

...嵐の後の静けさって感じだな

マリア「...で、セレナ...じゃなくて今は天羽奏?これからどうするのかしら?」

奏「ん?まぁ...翼も後でアンタと同じでメディカルチェックだろうし、隣で寝かせといてくれ。アタシはそうだな...」


安価下
1 誰かと話す(誰と話すか記述)
2 とりあえず(翠ちゃんの)部屋に戻る
3 その他(何をするか記述)

(切歌さんにメヌエットと言わせるのが一番苦労したかもしれない更新でした)

奏「...どっかの誰かさん達の事もあってこの身体も疲れてるし、翠の部屋に戻るかな」

マリア「うっ」

反省しろよ~?アタシより歳上なんだからな?マリアさんよぉ

調「今回ばかりは言われても仕方がないよマリア、ほら寝てて」

切歌「そうデスよ、マリア」

マリア「えぇ...わかったわ」

・・・

切歌と調に手伝ってもらいながら翼をマリアの隣のベッドに寝かせ、アタシはその場で別れて翠の部屋まで来た

奏「あ、そういや念話切ってたな」

そう思って繋げてみると

翠《何がどうなってるのかわかりませんけど何でよりによって青いオオカミ...だからコラボは避けたいとあれほど!》

『翠』《落ち着いて翠!まだわからない、まだわからないから!》

コラボ...って何のことだ?まぁいっか
今回視界とかのリンクはそのままだったから外の光景は見えてて聞こえてたんだよな

奏「さて」


安価下1
1 翠ちゃん達と交代
2 もう少しこのまま

どうする?安価下2
(特になければ安価下1の選択がどちらであっても一度昼寝休憩となります)

☆☆☆

で~れれ~で~でん!

☆☆☆


=====

翠「今日は何の日~?せ~のっ!」

観客「「翠の日~!!!」」

翠「は~いありがとうござい~ます!本日は蒼井翠GW特別ライブに来ていただきありがとうございます、皆さんゴールデンウイーク楽しんでますか~!」

観客「「わ~!」」

翠「暇を持て余して今日ここに来た人~!」

観客「「わ~!!」」

翠「ちょっと!?」

観客「「www」」

翠「もう...とにかく!今日は後で素敵なゲストさん達もいますし、私も精一杯頑張るので楽しんでいってください!盛り上がって行きましょ~!」

観客「「わ~!!!」」

=====


マリア「というのをね」

ウェル「ふん、悪くはないんじゃないですか?」

緒川「あの、僕はもう行ってもいいでしょうか?それとマリアさんは調さん達が心配されてますし本当に寝た方が」

☆☆☆

で~れれ~で~でん!

☆☆☆

青いオオカミで名前がルシエドとか...もう、もうこれはもう...

翠「というかそれは置いておくとしてもさらっと吐血してたのは...」

シンフォギアで吐血なんて絶唱かナスターシャ教授くらいなものですよ
ちゃぶ台に突っ伏して頭を抱えていると、奏さんが戻ってきました

奏「よっ」

翠「「よっ」じゃないですよ!」

途中声は届かなくなるし何故か最終的に力尽くですし
人工装者さん...メヌエットさん?でいいんでしょうか?コードネームって言ってましたけど
とにかく彼女吐血して倒れたり情報量多過ぎですよ!ただでさえ響さんのお父さんもこの早い段階で響さんと接触しちゃってるのに

『翠』「まぁメヌエット...さん?のことは置いておくとして」

セレナ「呼び捨てじゃないの?」

『翠』「歳下といってもそもそも夏菜が言うには人工装者は最初からある程度成長した状態の身体に造られるらしいから一概に生まれた日から数えられないし、よもぎだけどよもぎじゃないし...」

翠「というか歳下っぽさが無い」

『翠』「それ」

そこですよねぇ
夏菜さんもまぁ初対面の時に同級生だとわからなくてさん付けして何となくそのままですし、私はそういうのもあります

翔子「それより、このままではまずいのでは?」

翠「ん、そうでしたね」

イグナイトモジュールがロクに機能してません
いやしてますけど、翼さんマリアさんが両方暴走してしまいました
響さんのはまた別ですし...

奏「つってもあれ個人の問題なんだよね?ならそれこそ洗脳紛いのことでもしないと他人の闇をどうこうは無理だろ」

翠「えぇ、わかってます。そこは皆さん自身に頑張ってもらうとして」

『翠』「せめて『私』達だけでも暴走しないように、練習しておかないと」

この世界だと、響さんの他に『翠』だけは...私も手伝ったとはいえ、暴走から戻った実績があります
何より私達までお荷物になるわけには

翠「ということで、奏さんも戻ったので私達はこれからイグナイトモジュールの試運転に行ってきます」

『翠』「最悪どうにもならなそうなら中から止めてください」

奏「えぇ...?」

セレナ「わかった、いってらっしゃい」

翔子「気をしっかり保つんですよ~」

・・・

翠「...ん、行こう」

表に出た私達は覚悟を決める意も込めて軽く準備運動をし、蛇達を撫で、ギアペンダントを少し見つめてから部屋を出ました
目指すはシミュレーションルーム!


安価下1
1 暴走した時のために装者の誰かに付いてきてもらう(誰についてきてもらうか記述(翼さんとマリアさんは選択不可)(複数人も可))
2 暴走なんてするわけない!一人で十分

どのギアを試す?安価下2
1 アメノムラクモ
2 神獣鏡
3 アスクレピオス
4 アメノオハバリ

・・・

イグナイトモジュールの試運転をすると話すと立会人...というかいざという時のストッパー役として響さんと未来さんが見ていてくれることになりました

未来「よくマリアさん達のを見た後にやろうと思うね...」

翠「むしろ実戦でやらかす前に確実に出来るようにしておかないと...響さんのは規格外過ぎて真似出来そうにありませんし」

響「そ、そうかな」

自力で暴走して自力でそれを内包するとか主人公補正としか思えないよね
適合者じゃないはずなのにガングニールを纏えたり槍のはずなのに拳にしたり
手を取り合いたいからギアの力同士を紡ぎ合わせられるとかそこまで来るとトンチの域だよ

翠「まぁとにかく、このままだと私とエルフナインちゃんの技術力の信用にも関わってきてしまいます!それだけは何としても避けたいというわけです!」

ただでさえもともとクリスさんのようなプロジェクト・イグナイト反対派がいるわけですし、『やっぱり危険だからプロジェクト・イグナイトは白紙に戻す』なんて事になればキャロルちゃん達、延いてはXDなのか3.5期なのかわかりませんが今後起こるであろう展開についていけなくなるかもしれません

・・・

翠「それじゃあ、行きます」

モニタールームで待機している二人に聞こえるようにそう宣言し、シミュレーションルームにいる私はギアペンダントを掲げて聖詠を口にした


「Imyuteus amenomurakumo tron」


ここまではいつも通り
艶のない真っ黒なギアに羽衣
私がここに来てからずっと愛用しているアメノムラクモです

翠「剣だから抜剣...その場合指環だと...」

掛け声は起動とは関係無いので抜剣でも本当はいいんですけど、そこはまぁ拘りたいですよね
剣は鞘から抜く動作を始めにするから抜剣、指環の場合指にはめるのが始めの動作...

翠「イグナイトモジュール、着装ッ!!」

とりあえず仮の掛け声としてこれにしておきましょう
叫びながら私は胸元のマイクユニットのスイッチを押します


ニ-ベルング


マイクユニットを外して掲げるとそれは環へと変形し私の胴を囲むようになりました
それはさながら大きなフラフープ
そして環は三つへと分離して身体全体の周りを縦回転横回転と様々な向きに包み、その瞬間全身が金縛りにあったように

翠「ぐっ...ぎぃっ...!」

頭の中に沸々とあらゆるものに対する怒りと憎しみが湧き上がり、意識が黒く染まっていきます

翠「アァ...ガアァァァッ!!!」


コンマ下
奇数 翠ちゃん
偶数 『翠』ちゃん
ゾロ目 この衝動に塗り潰されてなるものか展開

(イグナイトモジュール発動時の環の動きは地球儀...というかどっかの火星滅ぼしたコブラの人のドライバー使った変身シーン後半のイメージです)

<・><・><・><・><・>


...ピピピピッピピピピッ

翠「ん...ぅ...朝?」

けたたましく鳴る枕元の目覚まし時計に手を伸ばし、私は首の後ろで腕を組んで伸びをしました
まだ少し眠い...


トントンッ

ガチャッ


蓬「お姉ちゃん起きた~?今日結構早く家出るんだから早く支度しちゃってよ~!」

翠「あぁおはようございます、よもぎ...早くって言ってもまだそんな時間じゃないじゃないですか」

朝ご飯を食べてから支度しても間に合うと思いますけど
起こしに来たのか起きたのを確認しに来たのか、部屋を訪れたよもぎはもうすでにパジャマから着替えています
いつも以上に気合い入ってますね...ファンなら当然、とか言いそうです

蓬「待ち合わせの時間もあるんだから!5分...ううん、10分前行動だよお姉ちゃん!」

翠「いや、だとしても早いですって」



...り...どり...まし...



翠「...?」

今...何か聞こえたような

・・・

両親とよもぎと朝ご飯を食べ、私はよもぎに急かされながら着替えて待ち合わせの公園に来ました
流石にまだ来て...ますね、早いんですってみんなして

瑠璃「あ、みーちゃん!もぎちゃん!こっちこっち」

蓬「りーお姉ちゃんお待たせ!」

翠「りっちゃん早いですね...それと、縹さんもこんにちは」

ベンチにりっちゃんと一緒に座っていた女性
この人はりっちゃんが言っていたお姉さん、櫛田縹(くしだ はな)さんです

縹「こんにちは、今日はよろしくね」

柔らかく微笑む縹さん
よもぎも元気に「はなお姉ちゃんこんにちはー!」なんて応えてます

瑠璃「じゃあ早速会場に行こう、チケットがあるとはいえ並ぶからね!」



...しっか...めを...みど...


・・・

あと少しでライブの会場に入れます
サイリウムを早くも用意し出したよもぎとりっちゃんに私と縹さんは苦笑しながらチケットを取り出して...

翠「...あれ?」

チケットが...無い

蓬「どうしたの?お姉ちゃん」

瑠璃「何かあった?」

翠「いえ、あの、チケットが...」

鞄もポッケも隅々まで探しますが、一向に見つかる気配がありません

蓬「チケット?そっか無いんだぁ、お姉ちゃんは来てくれないんだね」

列が進み、入口が刻一刻と近づいて来ます

瑠璃「みーちゃんは一緒に来てくれないんだ、それは残念だなぁ」

蓬「私達は行くね?早く熱下がるといいね」

翠「熱...?一体何を」

その瞬間眩暈と共に気だるさを感じふらついてしまいました
危ない、こんな混雑している場所でふらついては誰かに当たってしまう、そう思って辺りを見回すと

翠「...え?」

誰もいない...?

翠「よもぎ?...りっちゃん!縹さん!何処に」


ザリッ


三人のことを探そうと歩き出すと、何か砂のようなものを踏んだ感覚がありました

蓬「痛いよ...お姉ちゃん...」

翠「ひっ...よ、よもぎ...?」

そこに倒れていたのは身体が少しずつ炭素に変わっているうつ伏せのよもぎ
私が踏んだせいで右手だったところの炭素は完全に崩れてしまっています

翠「嫌...嫌...」

蓬「お姉ちゃん?それは私じゃないよ?」

後ろから声がして振り向くと、そこにはどこも炭素に変わったりしていないいつものよもぎが

翠「よもぎ!」

蓬「お姉ちゃん...」


「どけ!道を開けろ!」
「死にたくない!死にたくないよ!」
「止まるんじゃねえぞ...」
「とっとと進めよ!!」


ドッドッドッドッ

グチャッ

ブチブチ...


次の瞬間どこから現れたのか、何かを恐れ怯えた人々がよもぎを背中から押し倒し踏み付け、踏み躙って

翠「ぁ...あぁ...ああぁ」

瑠璃「みー...ちゃん...何で...助け...」

肉塊になったよもぎはいつの間にかりっちゃんになっていて、それでももうほとんどりっちゃんだということもわからないくらいに潰れてしまった顔で私の方を見つめていて

翠「嫌...いやっ!」

私は思わず目を背け走り出してしまう
こんなの夢だ...夢に決まってる...


翠「ッ...!」


そうだ...私はあの日よもぎ達と一緒にいられなかった
だからよもぎ達は帰ってこなくて...


ドンッ


翠「!」


何か重いものが硬い床に落ちたような、叩きつけられたような音が聞こえた


「おい!誰か落ちたぞ!」
「えぇ、何あれ自殺?」
「救急車呼んだ方がいいのかな」
「どうせ誰か呼ぶだろ、行こうぜ」


嫌...嫌...見たくない...
そう思っているのに、見なければいけないと思っている私もいる


ぴちゃっ


ゆっくりと足を動かすと、足元が濡れていることに気付いた
まるで水溜りの中に立っているよう
でもそれは真っ赤な色をしていて

翠「...」

振り向けばそこには大きな血溜まりと、手を繋いで倒れ込むお父さんとお母さんの姿が


翠「嫌あああぁぁぁぁぁぁ!!!!!」


みんな私を置いていく
私が熱なんて出すから
私が部屋に引きこもったりしたから
私が...

私が...

わたしが...


コンマ下
奇数 私を呼ぶ声が聞こえる
偶数 握られた手の感覚と温もり
ゾロ目 絶望

もう疲れた
私はその場で蹲り、嫌だ嫌だと言いながら頭を横に振った
よもぎの、りっちゃんの声が...潰されていく音が耳から離れない
何も聞こえないどこかへ逃げたい、逃げなくちゃ壊れてしまう
どこか、ここじゃないどこかへ...


がしっ


走り出そうとした私の手を、誰かが掴んだ

翠「っ」

それに釣られて振り向くと


<・><・><・><・><・>

・・・


響「翠ちゃんッ!!」

...!

はっと気がつくと、私は知らず知らずのうちに手を伸ばしていた
そして、その手を環の向こうから握ってくれていた響さんのことを認識した途端環はマイクユニットに戻り、金縛りも解けて私はその場に崩れ落ちる

響「しっかりして!翠ちゃん!」

響さんに抱きしめられた私のギアはイグナイトモジュール発動前の元の状態に戻っていた

不発...

翠《『翠』、聞こえますか!『翠』!》

『翠』「ぁ...」

奏《こっちの翠は弾き出されてくるわお前には干渉出来なくなってるわ、もうこっちもてんやわんやだったぞ》

セレナ《戻ってこれてよかったよ...》

それじゃあ『私』達、あの瞬間にまたバラバラに...


どうする?安価下
(特になければ部屋に戻って寝かせられます)
(現段階ではイグナイトの最中に翠ちゃんと『翠』ちゃんがお互い干渉出来るようになれば制御出来るようになります)

『翠』「...もう一度だけ、やらせてください」

響「っ!?」

未来『翠ちゃん!?』

響さんも目を見開いていたし、モニタールームにいるであろう未来さんも驚きの声を上げていた
当然だよね、一度失敗してこんなに疲労して...でも、このまま後には退けない

翠《もう一度...出来るんですか?》

『翠』《出来るかじゃない、やるんだ...やらせてほしい》

翠《...わかりました》

確かに始める前、『私』達はシンクロしていた
それ以前にここ最近はいつも...けれどそれを続け過ぎたのかもしれない...続け過ぎて分けられないほどにシンクロしていたのならイグナイトモジュールを扱うのにはむしろ適していたかもしれないけど、今回はお互いにシンクロの仕方がおざなりになっていたと思う
だからこそ、イグナイトモジュールを発動させた瞬間にそのシンクロは解けてしまった
それに...

『翠』「この闇に、打ち勝たなきゃいけないんです...いつまでも目を背けられることじゃないから」

響「...!」

よもぎのことも、お父さんのことも、お母さんのことも、りっちゃんのことも、縹さんのことも
決して時間は巻き戻せないけど、目を背け続けるのは絶対にダメだ

響「...わかった」

未来『響!?』

響「でも、次ダメならもう今日はやらないこと。約束出来る?」

『翠』「わか...りました」

ストッパー役としてギアまで纏って引き戻してくれた響さんに言われては従うしかない

翠《原作だってマリアさんは一度暴走し、翼さんとクリスさんは一度失敗してからその後すぐに成功させたんです。大丈夫、可能性はありますよ》

『翠』《ありがとう、それじゃあもう一度》

・・・

私と『私』は意識と感覚を同調させ、完全に重ね合わせる
これ自体は慣れてきました、大元は同一人物だからでしょうか

翠「イグナイトモジュール...着装ッ!!!」


ニ-ベルング


コンマ下1
奇数 翠ちゃん
偶数 『翠』ちゃん

コンマ下2
奇数 干渉成功
偶数 干渉失敗
(仮にここで失敗してもまだ希望はあります)

<・><・><・><・><・>


翠「...はっ!」

あれ?私は...

蓬「どうかした?お姉ちゃん」

瑠璃「もしかして具合悪い?」

見渡すとそこはツヴァイウィングのライブの会場前
そうでした、よもぎ達と列に並んでる最中でしたね

翠「いえ、大丈夫です。少しぼーっとしてしまったようで」

あと少しで入口です
私は鞄の中に入れてあったチケットを取り出しました
後はこれを係員の人に見せて通してもらえば

蓬「楽しみだね!お姉ちゃん、りーお姉ちゃん、はなお姉ちゃん!」

瑠璃「そうだね、ずっと楽しみだったよ!」

縹「でもまだサイリウムはしまっておこうね」

翠「気が早いですよ、よもぎもりっちゃんも」

今にもサイリウムを折って光らせてしまいそうな二人をたしなめる私と縹さん
今から光らせていたら周りの人達に迷惑ですし

瑠璃「あ、私達の番来たよ」

前の人が進み、係員のお姉さんが私達の方を向きます

係員「チケット拝見しますね~」

よもぎ、りっちゃんは元気に返事をしてチケットを差し出しました
私も二人に続いて...


多数決安価下1~5
1 差し出す
2 差し出さない

***
4/5票入ったので1とします
***

係員「では、拝見しますね」

翠「はい、コレで...」


縹「本当にいいんですか?」


翠「?」

振り返ると、そこにはいつも優しく微笑んでいる姿からは想像もつかないほど真剣な表情の縹さんが

縹「それで良いんですね?翠さん」

翠「さん...?」

いつもは『翠ちゃん』って...それに敬語...

翠「良いも何も、コレを出さないとライブが見られませんから」

縹「...そうですか」

変な縹さん...気を取り直して、チケットを差し出しましょう

係員「...はい、拝見しました。楽しんでいってくださいね!」

翠「ありがとうございます!」

蓬「早く行こ!」

瑠璃「ほらみーちゃん!」

翠「はいはい」

チケットに判子を押した係員のお姉さんにそのチケットを返してもらい、私は二人に手を引かれて入口を通り抜け...


翠「...あれ?」


そこに広がっていた光景は、紛れもなく私の家のリビング
周りを見渡してもそこにはよもぎもりっちゃんも縹さんも居らず、それどころか会場なんてどこにも

『...ジジッ...次のニュースです』

翠「!」

ひとりでに点いたテレビ
目を向けると、ニュースがやっています

『先日ツヴァイウィングライブの公演中に発生した認定特異災害ノイズの大量発生についてですが、当日その場に居合わせた観客、関係者は合わせて10万を超え、死者、行方不明者の総数は12874人にのぼるとのことです。現在画面に表示されている名前はその死者、行方不明者の一覧となります。行方不明者のうち本人の所在に心当たりがある方は表示されている電話番号までご連絡を』

特異災害...?
だって今まさにそのライブに行こうとして

翠「...ッ!」

テレビ画面に映る名前の羅列
その中には


『蒼井蓬』
『櫛田瑠璃』
『櫛田縹』


翠「違う...違う違う...」

だって私は、私達はそのライブに、今入口を通って

違う、私は行ってない私だけ熱を出して、朝から寝込んで

翠「よもぎ...りっちゃん...縹さん...」

会場どころか待ち合わせの場所にすら行けてなくて、ずっとベッドで横になってて


『君の妹さんもお友達も、運がなかったんだよ』


翠「っ」

テレビから声が聞こえた
顔を上げると、テレビ画面に『観客唯一の生存者』と呼ばれている少女の姿の顔写真が
私より少し年上のように見える彼女は写真であるはずなのに、私を見ている

目が、合う

少女『私は助かった。でも貴女の妹さんもお友達も助からなかった。そういう運命だったんだよ』

翠「違う...私がっ...私があの場に居なかったから!」

少女『居たところでどうにかなるの?妹さん達を救えたとでも思ってるの?』

翠「それ...は...」

私一人の力で、予期しない災害から三人を守れるなんてとても...
それは、わかっているけど...

少女『貴女は救えなかったことが辛いんじゃない。生き残ってしまったこと、置いていかれてしまったことが辛いんだよ』

翠「ッ!!!」

少女『ごらん、貴女を置いていくのは妹さん達だけじゃないよ』

少女に言われて振り向くと、いつの間にかそこには両親の写真が置いてある仏壇が

翠「お父さん...お母さん...」

少女『ひとりぼっちになっちゃったね』

翠「嫌...置いていかないで...私だけ残して行かないで...」

みんな私の前から姿を消す
私が何をしたっていうの
どうしていつも私だけ残していくの

少女『なら、追いかければいいんだよ』

翠「追いかける...」

少女『置いていかれたのなら追いかければいい。ほら、簡単なことでしょう?』

簡単なことだった
みんなが置いていくのなら、その後を追えばいいんだ

少女『その為の刃が今、貴女の手にあるでしょう?』

翠「本当だ...これさえあれば」

私の手には一太刀の刀が握られていた
これを使えば、私はみんなの後を追える

少女『さぁ』

翠「今行くよ...みんな...」

私はその刀の刃を首筋に当て、思いっきり...


コンマ下
01~40、61~98 強制解除
41~60 『 』
ゾロ目 そうじゃない

(翠「今日は端午の節句、すなわちこどもの日!ひな祭りが女の子の日でこっちは男の子の日ですね!...そういえば男の娘ってどの日なんでしょう...4月4日がおかまの日とは聞いたことありますけど」)

<・><・><・><・><・>


翠「...ッ!」

全身...特に腹部の鈍痛と共に『私』は意識を引き戻された

『翠』「ゲホッゴホッ...エホッ...」

あ、危なかった...もう少しで死ぬところだった
今も死ぬほど痛いし、そもそももう死んだようなものの『私』が魂だけ自殺してもどうなるのかわからないけど...
どうやら『私』はシミュレーションルームの壁に叩きつけられてギアが解除されたらしく、ギアはペンダントに戻ってるし背後と周りには瓦礫が転がっている


メヌエット「ったく...世話がやける...ケホッ」


痛むお腹を抑えながら顔を上げるとオレンジ色の装者が二人
一人は心配そうな表情でこちらを見つめる響さん、そしてもう一人は片脚が軽く上がっている状態で咳き込む人工装者...メヌエットさん
あの脚の上がり方...『私』はもしかして回し蹴りでもされたのかな

メヌエット「騒がしいと思ったら...ミイラ取りがミイラになってどうする」

未来『それちょっと違う...』


どうする?安価下
(この日のうちはもうイグナイトモジュールの試運転は出来ません!あと全身死ぬほど痛いです!)

メヌエット「違った?...ゲホッゲホッ...ゴホッ」

『翠』「...!」

メヌエットさんがより一層咳き込み、喉を押さえてその場に蹲った
相当無茶をしてくれたのかもしれない

『翠』「だ、大丈夫...?」

身体が悲鳴をあげるのを堪えながら彼女に近付き手を伸ばそうとすると

メヌエット「機械から造られた『モノ』に...同情なんか不要だ」

その手を払われてしまう
フラフラとしながら彼女は『私』を見て

メヌエット「それより...自分の心配をしろ」

翠「...うん」

その通りだと思った
こんな調子の『私』に心配されても困るだけだろうし

メヌエット「戻るよ...って何してるの」

『翠』「?...あれ、来てたの?」

メヌエットさんの視線の先にいたのは例の子猫...と、蛇達だった
子猫はメヌエットさんに付いて来たんだろうけど、蛇達いつから居たんだろ
というか、何で睨み合ってるの君達...

メヌエット「ほら、行くよ」

子猫を抱き上げ、メヌエットさんはシミュレーションルームを後にした



メヌエット『私の病室の場所...』

未来『えっあっそうだよね、まだよくわからないよね、えっとこの廊下の突き当たりを右に曲がって...』



...どうやら脱走はもう諦めてるらしい

undefined

・・・

翠「ひうっ...ぬるぬる...」

あの後病室に戻るメヌエットさんとは当然話せず、響さんと未来さんに翠の部屋まで連れて来られた
何ヶ所かある医務室や病室は翼さんにマリアさん、メヌエットさんが使っていて、他の部屋も何だかんだ今は空きがない様子
で、今『私』はベッドでうつ伏せにされ、背中や手足に軟膏を塗られたり湿布を貼られたり
さっきお腹の方も塗ってもらった

未来「もし今後無断で試運転しようとしたら私の神獣鏡でギアを消し炭にするからね?」

『翠』「そ、それだけは...」

響「どうしてもっていう時以外は戦闘中もなるべく禁止。今日みたいに私達や誰かに声をかけてテストするのはいいけど、それも無理はしないこと」


ベチンッ


翠「いっ!?...湿布...強く貼りすぎ...」

今ベチンッていったよベチンッて
背中に手形とか付いてそうなんだけど

未来「それじゃあ私と響はもう行くけど、絶対に大人しく寝てね?」

響「マリアさんの二の舞は嫌だよね?」

翠「えっちょっと待ってマリアさんどうなっちゃったんです!?」

マリアさんあの後何が!?それだけ知りたいです!あっ待って行かないで教え...あー行っちゃった...

翠「...大人しくしておこう」

・・・

そのまま身体を休めることにして、『私』は翠達がいる深層世界に足を運んだ
ちゃぶ台を囲んでいたみんなは一斉にこちらを向き、翠なんて抱きついてくる始末

翠「二度目!二度目ですよ!?ほんっとうに心配して...」

『翠』「ね...二度目なのにまたダメだった...」

奏「相変わらず干渉出来ないしな...あれは絶対干渉出来ないやつなのか?」

セレナ「『翠』ちゃんが見ているもの、聞いてるものは私達にも見えるし聞こえるのに近付けなくて、『翠』ちゃんも私達にも気付かないし...」

そうだったんだ...てことは一人で狼狽えてるのもみんなに見られてたんだ
それはちょっと...うん、恥ずかしいところを見られてしまったかな

翔子「...」


イグナイトモジュール失敗の原因と思われるもの安価下
(ちなみに、イグナイトモジュールを成功させるための条件は既に決まっていたり...現状ではとあるイベントをクリアするか、判定でゾロ目を出すことで成功します)
(一度成功させればそれ以降は無条件でイグナイトモジュールは成功します)

翼に対する『何で助けてくれなかったのか』と言う怒り
響に対する『何でお前だけ助かったのか』と言う憎しみ
これ等を解消するためにガチの殴り合い(ギア無し)

・・・

奏「翼もそうだったけど、これはもう失敗した原因突き止めないことにはどうにもならないと思うよ」

セレナ「心当たりは...って、私達も大体は察してるけどね」

思いっきり過去のトラウマというか、それも記憶とは多少違ってたけど幻覚みたいなものに振り回されてるのを見られてるわけだからね

『翠』「...『私』はずっと後悔してる。割り切ったつもりも乗り切れたつもりもないから、それがあぁいった形で出てきたのは当然といえば当然かもしれない」

よもぎ達と行くはずだったライブには行けず、お父さんとお母さんのことだってもっとちゃんと見ていれば何かしら異変に気付けたかもしれない

翠「響さんのことも、ですか」

『翠』「響さんが悪くないってこと、むしろ被害者なんだってこと、理解しているし納得もしてる...と、思ってたんだけどね」

『私』はまだ、響さんのことを狡いと思ってしまっているのかな
よもぎ達が助からなかったのにって...『何故お前だけ助かったんだ』って
そんな憎しみを抱いてしまっているのかな

奏「...それはアタシも何も言えないね。お前の妹も友達も、助けられなかったのはアタシの力不足だ」

セレナ「...それなら、奏のことや風鳴さんのことも、恨んでる?妹さん達を助けてくれなかったって」

『翠』「わからない...けど、きっと『私』は『助けてくれなかった』ってことよりも『生き残った』ってことの方が...あの頃は奏さんと翼さんが戦えるなんて知らなかったから」

翼さんもまた、あの惨劇で生き残った人だと世間で騒がれていた
災害でパートナーを失った歌姫
でも少なからず、よもぎ達と違って生き残った人なんだという認識はあったと思う

『翠』「そうして翠が来...出てきてから、シンフォギアのことを知った」

もし翼さんに『自分は助かっておいて何故よもぎ達を助けてくれなかったのか』なんていう怒りを少しでも抱いていたとしたら、きっとこのタイミング
ううん、これはもしもの話なんかじゃない
確かにそういった気持ちは確かにあった

『翠』「奏さんも確かによもぎ達を助けてくれなかった...でも、奏さんも同じように命を落としている」

翠「だからこそ、恨むに恨めない?」

その言葉に『私』は首を縦に振った

翠「となると、響さんや翼さんに思うところがある...それに、後悔に囚われているからこそ、闇に勝つことが出来ない...おいそれと解決出来るようなことではありませんね」

翔子「それに、今貴女方二人は余計に闇を増幅させやすい状態ですから」

うんうん、今は余計に...え?

『翠』「えっそれどういう」

翔子「以前試運転と称して起動させたフォーク...その際一瞬だけ発動した『死の面』の影響で負の感情が増幅されやすい精神汚染を受けている状態...とでも言いましょうか」

翠「それ私もですか!?」

翔子「それはそうでしょう...何を今更」

いやいや待ってよそれ聞いてないよ...

翔子「とはいえそんなものちょっと人より情緒不安定になりやすいだけです。まだ特別何かあるわけではありませんよ」

奏「十分実害出てるけどな」

セレナ「割と前から情緒不安定なところはあった気がするけどね、翠ちゃん達」


どうする?安価下
(特になければ会議終了したり響さん翼さんと殴り合いしたり...?)

翠「ここはひとつ、別の面からアプローチしてみるのはどうでしょう」

いい案が浮かばない中、翠が挙手をした
別の面からアプローチ?

翠「『翠』の闇は深い...そして簡単には解決出来ない」

『翠』「その言い方はちょっと気になる」

翠「なら一度それは置いておいて、他の人のイグナイトモジュールの場合について考察するんです」

セレナ「他の...って、マリア姉さんや風鳴さんの?」

翠「そうです。あの二人が失敗してしまった理由...それを考えてみて、もしかしたらこっちの問題の解決の糸口も意外なところから出てくるかもしれません」

とかなんとか言ってるけど多分『私』のことを思って息抜きになるよう話題転換してくれてるのかな

『翠』「じゃあ、翼さんとマリアさんの闇を考えてみるってこと?」

その通り、と翠は言う
あの二人も『私』と同じように過去のトラウマや後悔が想起されて暴走を抑えられなかったとしたら

奏「つってもあの二人が気に病みそうなことなんて本人にしかわからなくないか?」

セレナ「風鳴さんは奏を死なせてしまったこととか...かな?」

奏「ならマリアもセレナを守れなかったこととかだろ」

セレナ「でもマリア姉さん抱え込みやすいところあるから色々ありそう...」

奏「それは翼も...」


翼さんマリアさんの暴走についての意見安価下
(過去のトラウマや後悔に該当しそうなこと等々)

翼さんもマリアさんも揃いも揃って抱え込み気質って

セレナ「でもやっぱり風鳴さんは奏関連のことが大きいと思うよ、身近な人のことは心にも強く影響が出るし」

ちらりと『私』のことを見るセレナさん
『私』はまさにそれだった
というか、それ以外は別に良いも悪いもないごくごく普通の生活を送っていたから
成績が特別悪いわけでもなく、いじめられていたわけでもなく
家族仲も良好で、ノイズとかの災害にだって遭遇することなんて全然なかった

翠「...翼さんは奏さんに依存してる節がありますし、そこかもしれませんね」

奏「うっ...やっぱり、そう見える?」

翠「まぁ会わせてる私が言うのも何ですけど、普通一度死んでしまった相手とは二度と会えません。その摂理に逆らうような再会...それも元々懐い...慕っていた相手なら依存するのも無理はないとは思いますけど」

奏「今懐いてたって言わなかったか?」

翠「言ってません」

っと、何か話が進展してる
依存か...それはあるかもしれない
『私』ももし今よもぎやお父さんお母さん、りっちゃん達に何らかの形で再会してしまったらきっと強く依存してしまう
メヌエットさんがあと少しでもよもぎの面影があったりしたら危なかった

奏「てかそれを言ったら...マリアだってあれだろ?深刻なセレナ成分不足だろ」

セレナ「私の成分って何!?」

奏「妹と仲が良い姉ってのはそういうものなんだよ。定期的に妹の成分を摂取しないと死ぬ生き物」

セレナ「死ぬの!?」

『翠』「あ、それはわかります」

セレナ「わかるの!?」

・・・

翔子「結論としては恐らく翼さんマリアさん両名とも親しかった存在との再会に決意や覚悟が緩み、それが隙となってしまっている...かもしれない、ということですね」

『翠』「そして『私』はそもそもその決意とか覚悟がなってなかった...と」

よもぎ達を失った2年前...翠が来て1年経ったから3年前かな
あの時から『私』は受け入れることも変わることも恐れた
そして最後は逃げようとした、逃げられなかったけど
だからこそ、『私』は過去の後悔に勝てない

翠「決意も覚悟もそうそう出来ることじゃないですし...」

奏「そうだな...ここはガツンと一発気の済むまで怒りとか憎しみとかぶつけてスッキリした方が少しは楽になるんじゃないか?」

ぶつける...?
よくわからないという顔で奏さんの方を向くと、奏さんは拳と拳を合わせ

奏「翼と響をぶん殴る!」

『翠』「何でそうなったんですか!?」

思いのほか物騒な意見が飛び出して来た

奏「いや、困った時は肉弾戦っていつかダンナが言っててな」

翠「ししょー...というか奏さんはそれでいいんですか?翼さん殴られて」

奏「顔はやめてあげて、あと身体も、アーティストだから」

セレナ「それもう殴るところ残ってないよ」

翔子「内側から...」

いやいやいや、待って待って

『翠』「恨んでいても殴ればスッキリするとは限らないような」

奏「やってみなきゃわかんないだろ?アタシみたいに復讐したい相手はこの手でぶちのめしたい、そんな感情がお前の中にもあるかもしれない」

あるのかな...

翠「響さんの脚」

『翠』「あれは魔が差した。テンションがハイになってた。あと『私』は命令しただけ」

セレナ「その言い方は外道だよ『翠』ちゃん」

・・・

一応響さんや翼さんと戦うっていう案を保留ということにして、脳内会議的なものは解散となった
私達はもし次イグナイトモジュールを使わざるをえなくなった時に少しでも成功の可能性を上げるため引き続きシンクロしながら表に戻ることに

翠「でも、二度も引き剥がされるなんて」

そうですね...二度目こそはと思っていたのにモジュールを発動させた途端隔離されました
そういえば翠はすぐ奏さん達の所に飛ばされたの?

翠「いえ、私も幻覚のようなものは見させられましたよ?」

へぇ、そうなんだ
だから私も今日はもう結構疲れました

翠「お疲れ様...って二度目は付き合わせただけだよね」

いいですよ、今更じゃないですか
ありがとね

翠「えぇ、どういたしまして...てか身体痛い...うん、もう少し身体を休めますか」

外もすでに暗く、時間も時間
私はベッドの上で身をよじって仰向けになり、布団を掛け直しました

翠「おやすみなさい」


次の日の行動多数決安価下1~5
1 海洋生物の処理
2 イグナイトモジュール挑戦
3 響さん翼さんと肉弾戦
4 少しお出かけ(行き先指定不可)

(洸「そういえばバイト先に何も言わずにここに来ちゃったな...店長カンカンだろうな...」)

***
3/5票入ったので3とします
***
・・・

朝...といってもお昼まであと2、3時間という微妙な時間帯
目覚ましをかけ忘れた私は仮に学校があったなら寝坊助のレッテルが貼られそうな時間帯になってようやく夢から覚めました

翠「ふあ~ぁ...まだ地味にお腹と背中が痛いような...」

でも昨日ほどではないね、流石に
昨日は...あれはもう手加減してくれてなかったでしょうしね、ギアが強制解除させられるほどですし

翠「暴走してる身で手加減してってのも厚かましいか」

とりあえず遅めの朝ご飯でもいただきましょう、お昼まで待てないこともないですが

翠「その前に、奏さんの提案少しは興味があるんでしょう?」

...響さんと翼さんには申し訳ないけど、やっぱり少しでも可能性があるなら打てる手は打っておきたくはあるよ

・・・

翠「とはいったものの」

軽く食事を済ませ、いざ響さん翼さんに手合わせ願おうと思うと...何て言って頼めばいいんだろう
やっぱりまだ恨んでるから殴らせてほしい、とか言ったらそれはなんか...


殴り合いの建前安価下
(正直に言うのもアリですが、響さん翼さんが凹んだり未来さんにロックオンされたりする可能性があります)

・・・

響翼「「特訓に付き合ってほしい?」」

翠「はい」

流石に自分勝手な恨みで一発殴らせてほしいとは頼むわけにいかず、一番それっぽい理由を用意することにしました
とはいえこれも全部が全部嘘というわけではありません

翠「昨日、私は二度もイグナイトモジュールのコントロールに失敗し暴走しました。それは私が弱かったから...私は私に喝を入れたいんです」

翼「そうか...私も、似たようなことを考えていたところではあった、が...」

渋い顔をする翼さん
そりゃ生半可な通常通りの特訓じゃいつまで経っても進歩出来ないのは明白
となるといつも以上に危険が伴う特訓になるのは必須
あとひと押し...と、そう思っていた時

弦十郎「翼にとってもいい機会だろう、無論やり過ぎる前に止めるつもりではあるが、俺は賛成だ」

思わぬところから援軍が

翼「ですが叔父様」

弦十郎「大方奏との思わぬ再開に、自分を責め続け鍛えていたそれが緩んでしまっている、とそう思っているのだろう?追い詰めろとは言わん、だが...いつまでも奏に甘えるんじゃないッ!」

ししょーの一言に翼さんはハッとした表情になった

翼「...私はもう会えないと思っていた奏と会い、いつかの私のように...いや、それ以上に奏に寄りかかり過ぎていた」

多分奏さんからすればそれは嬉しいことだとは思いますけどね
ただそのせいで心身共に弱くなってしまったとなれば話は別です

翼「私は奏に...私に誇れる私でありたい...!」

グッと拳を握る翼さん
これなら受けてくれそう

翠「今回はギアの便利性に頼らず、己の肉体のみを使って戦いたいんです」

弦十郎「俺と手合わせしている時のようなものか」

翠「いやししょーはギア有りでも無しでも手合わせしてるじゃないですか...まぁでもそういうことです」

そして精神を鍛えるにあたってより制限をかける為、戦う際の範囲をいつものシミュレーションルームではなくいわゆるボクシングのようなリング上にすることを提案した
聞けば本部の中にはボクシングの練習場もあるらしい...何でも揃ってるねここ

響「えっと、翼さんと翠ちゃんは暴走したからってのはわかるんだけど...私も?」

翠「響さんはここから脱走した時を除いて勝てたことがないですから、いわば私にとって超えられない壁役をお願いしたいんです」

響「何そのプレッシャー...」

まぁ今回は私ではなくて
私がやるってことに決めたから
リベンジマッチにはならないんですけどね...それはまたの機会にお願いしましょう

響「あれ?じゃあマリアさんは?」

翠「マリアさんは切歌さん調さんという監視兼ガード役がいるので声をかけられませんでした」

ここまで聞かれるのは想定済み
あらかじめ考えておいた理由を並べておく

翠「ちなみに、今回のこれはギアとの適合係数をより高めることにも繋がると思うんです」

響「そうなの?」

翠「適合係数の上昇の条件はフィーネさんに色々教えてもらった私でもそこまでよく理解しているわけではありませんが...少なくとも、聖遺物の力を受け入れられる強い精神の方がより適合係数は高まると思われます」

ぶっちゃけその辺は知らないですけど...原作だと奏さんは復讐心、未来さんは愛で高めてたとかそんな感じの説明文がHPに書いてあった気がしたので恐らく精神の強さが適合係数に左右するのはそれほど的外れでもないと思います
響さんが前に歌えなくなったのだって精神が不安定になったからですし

・・・

私達三人に動きやすい服装、それからなんとマウスピースが配られました
ししょーが言うには思いっきりやれとのことです

翼「...こんな事を言うのもなんだが、仕事に支障が出ない程度に手合わせ願いたい」

翠「後でアスクレピオスやりますよ」

翼「あぁ、それなら安心だ」

響「これ、殴っちゃいけない部位とかは?」

翠「常識の範囲内でお願いします...」

その聞き方は怖いですよ
下手したら新しいトラウマが増えそうです

翼「では、私から行こう」

じゃ、後は頑張ってくださいね
うん、頑張ってくる!

『翠』「よろしくお願いします!」


多数決安価下1~3
1...休憩中の翠ちゃんの方を見る
2...『翠』ちゃんの方を見る

(翠「ちなみにボクシンググローブとかは」

弦十郎「はっはっは!」

翠(いや「はっはっは!」じゃなくて))

『翠』「ふぅ...」

正直、多分『私』はそれほどこういった暴力...言い方が悪いね、格闘技...のようなものはそれほど得意ではない
何か習っていたわけでもなければ、すぐ手が出るタイプでもなかった
多少よもぎと軽く喧嘩のようなものをしてじゃれ合ったことはあったけど、殴ったりなんてことは絶対にしなかったし

翠《その身体はししょーに稽古を付けてもらったこともあって、3年前から大分鍛えられたと私は自負しています》

『翠』《つまり、扱いきれるかどうかってこと?》

翠《そこまでとは言いません...が、ただでさえギアなしの状態...じゃじゃ馬を乗りこなすような心持ちでいてもいいと思います》

言ってくれるね、元々は『私』の身体だっていうのに
使いこなしてみせるよ、強くなった身体を

翼「以前にも話したな、私は剣術だけではない、武器を...手に握る剣を失ってなお戦えるよう素手の動きも鍛えていると」

翼さんのことだから一人だけ竹刀ありとかになるかと少し思ってたけど、そうでもないらしい
ド素人の私から見ても今の翼さんは手ぶらでありながら隙がない

『翠』「えぇ...わかってますよ」

でも『私』だって、何もせず幽霊じみたことをしてたわけじゃない
翠が来てからもずっと、そして一度去り戻ってからも、この身体と一緒にいた
大丈夫、『私』はやれる

弦十郎「では両者、構え」

マウスピースをはめた『私』達
これは逆に言えば頬を含め顔面有りだと言っているようなもの
怖い、けど、『私』は『私』でここで一つ決着をつけなくちゃいけない
ボクシングの練習というわけでもないのでルールは適当
『私』達は拳を握り構え睨み合う

弦十郎「勝利条件は相手を戦闘不能にするか試合続行不可にすること、判断は俺がする、いいな?」

『翠』翼「「はいッ!」」

響「二人とも頑張ってください!」

響さんの激励?をもらい、より一層気合いを入れる

弦十郎「では...始めッ!」


どうする?安価下
(翠「マウスピースとか慣れなくてむしろ邪魔じゃないですか?」

奏「いや~間違っても舌思いっきり噛んじまったりするよりはいいんじゃない?」

セレナ「マウスピースってそういう目的で付けるの?」)

『私』に戦いの心得なんてない
故に効率のいい戦い方も、複雑な技もわからない
そんな『私』が取った戦い方は

『翠』「はぁっ!」

先手必勝

翼「っ!」

脚に込めていた力を開始と同時に開放し床を蹴って一気に距離を詰め殴りかかる
この時のスピードで思いの外脚に力がこもっていたことに気付き一瞬困惑したけど、構わず拳を振り上げた

翼「甘いッ!」

あえて距離を詰めさせたのか翼さんは紙一重のタイミングで身体を傾けて仰け反らせ、『私』の拳とすれ違いざまに翼さんもまた拳を突き出した

『翠』「うぐッ...!!!」


パキッ


『私』の顔面に吸い込まれるように繰り出されたカウンターの一撃
何かが壊れたような音が聞こえたような気がながら急いで後ろ跳びに後退しつつ、『私』は自身の鼻に走る痛みに顔を歪め、鼻に手を当てた
激痛、そして違和感
手のひらを見てみればそこには鼻から流れ出てきたのであろう血が滴っている

翼「...はっ、すま」

『翠』「いえ!...平気、です」

早い話、多分鼻骨が折れた
鼻骨を折るなんて人生でそうそうない経験だと思う
小学生の頃はたまに鉄棒やジャングルジムで遊ぶ男子が鼻の骨折ったとか聞いたことがある気もするけど、『私』は当時そういう遊び場に興味が湧かなかったし

というか、痛い
ちょっとした現実逃避したくなるほどには痛い

でも、辛いかと聞かれれば

『翠』「あの時よりは断然、マシっ!!」

大切な人を失う辛さに比べれば、この程度

『翠』「さぁ、続けましょうよ翼さん...まだまだ始まったばかりですよ」

このもらった一撃は『手加減なしでやり合う』ということをはっきりとさせた
条件は相手を死なせない
それだけで十分

翼「...あぁ、なら戦いましょうか」

この瞬間、さっきまではやはりどこか遠慮、様子見のようなものが見えていた翼さんの目が変わった
あれは戦場にいるときの目

防人の目

翼「リーチすら考えず突っ込んでくるとは、いつもの翠らしくないな」

『翠』「あいにく今日の『私』は、細かい調整も戦術も出来ないんですよ」

そう、出来ない
そもそも翠がいつもそんなことしてるのか知らないけど、『私』は翠のような動きは出来ない
ただこの力の付いた身体を全力で動かすだけ
そしてこの拳をぶつけるだけだ

『翠』「はあぁぁっ!!!」

躱されるのなら何度でも食らいつけばいい
鼻を袖で拭った『私』は再び拳を握り突進
空中に飛び上がり翼さんに殴りかかった

翼「ふっ!」

その攻撃をまた避けカウンターを仕掛けてくる翼さん
でも二度も同じでは喰らわない

『翠』「ぐっ...やぁっ!!」

繰り出される拳を『私』も同じように避けまた新しい一撃を突き出す
避ける際耳に掠ったけど、千切れたわけじゃない

翼「なるほど、本気というわけかっ!」

『翠』「らぁっ!!」

翼さんの胸に向けて突き出した腕は難なく掴まれてしまう
けれど、それならそれでそれを利用すればいい
やや斜め前に勢いを付けるように床を蹴った『私』の身体は掴まれた腕を軸にして強引に距離を詰める
腕が悲鳴を上げそうになるけど、それに翼さんも気付いたのか驚愕とともに手の拘束が緩んだ

『翠』「せいッ!!」

『私』は身を捻って腕を振りほどき、その勢い任せに左脚で翼さんの右脚を思いっきり蹴りつけた

翼「ッ!」

パンチばかりに気を付けていたからかそんな一撃であっさりとバランスを崩す翼さん
その翼さんの股の間と脇の間に腕を差し込み抱え上げる
というか持ち上がるんだ

『翠』「せぇ...のっ!!!」

翼さんを頭から抱え投げ、俗に言うボディスラムをお見舞いしようとして

翼「まだだっ!」

『翠』「うっそ!?」

空中で上半身を思いっきり前に曲げた翼さんに『私』の身体が持っていかれ、『私』ごと一気に回転
翼さんが床に足を付け『私』がそれにしがみつく形となってしまった

翼「行くぞッ!」

そしてそれを振り払われ若干ふらつきながら床に足を付けた『私』に待っていたのは翼さんからの全身連続殴打
身体を小さく揺すりながら打ってくる拳にすぐに対応することは出来ずしばらくされるがままに

『翠』「ぐぅっ!」

翼「!」

翼さんがより強い一撃を下から打とうと身体をより屈めたのを見て、『私』はあえてそれを打ってくるのを待ち身をよじって避けた
前方に体重が乗っていた翼さんはそのまま少し前のめりになり

『翠』「南無三っ!」

翼「お゛っ゛」

流石に若干手加減(出来ているのかはわからない)しながら翼さんの股間を蹴りつけて身体を離す

『翠』「ふんッ!!!」

完全に前傾姿勢になった翼さんに向けてアッパー気味の拳を至近距離で打つと、それは運良く丁度翼さんの鳩尾に入り

翼「っ...がふっ」


べちゃぁ...


『翠』「んぶっ!?」

倒れこみそうな翼さんを避けようとした『私』の顔面に何かがかかった
何だろうこの、誰もが嗅いだ瞬間脳と鼻が拒絶反応を起こすであろう強烈なツーンとした匂い
ドロドロともサラサラとも言い難い液体状のそれは咄嗟に目と口を閉じた『私』の顔面の触覚に僅かな粒々の存在を知らせる
何だろうとかじゃない、正体なんて明らか

『翠』「~っ!!!」

急いで顔面にかかったそれを両腕の袖で拭い取ろうとして鼻にまた激痛が走る
それでもどうにか満遍なく拭い取って恐る恐る目を開くと、口元が濡れ鳩尾を抑える翼さんの姿があった
そう、これは翼さんの吐瀉物、おゲロだ

翼「はぁ...はぁ...ゲホッ...油断、したか」

『翠』「流石に、ツヴァイウィングファンの『私』でも、これは嬉しくない...」

汗と涙と鼻血と吐瀉物が撒き散らされたリング
響さんと戦うのは掃除とかしてもらってからにしよう

『翠』「次で...決めます」

翼「私も...そう、思っていたところだ」

生身での対人戦はギアを纏っている時よりも遥かに早く限界がくる
それに何よりお互いすでに身体はボロボロだ
今『私』は多分鼻以外も折れているだろうし、翼さんも同じようなもの

『翠』翼「「はぁ...」」

同時に息を吐いた『私』達は拳を握って振りかぶる

『翠』「オラアアアァァァァァッ!!!!」

翼「ヤアアアァァァァァッ!!!!」


『翠』ちゃんコンマ下1
翼さんコンマ下2
(コンマが大きい方が勝ちですが、ゾロ目だった場合相手より数値が低くても勝ちになります)
(両方ゾロ目なら大きい方が勝ちとなり、同じ数値なら相打ち引き分けです)

(翠「こういう特に世界の命運とかかけてない少女同士の殴り合いって何かで見たことあるな~って思ったんですよ」

奏「うんうん、で?」

翠「リリカルな魔法少女の娘さん世代が主役の方ってこういうのがメインだったなと」

セレナ「あれ試合のシーン結構痛々しいよね」)

お互いの拳が同時にそれぞれの頬に突き刺さり、腕を振り切った状態で『私』達の動きは止まる
それは一瞬だったかもしれないし、数秒間に渡るものだったかもしれない
そこは定かではなく、ただ一つ『私』が覚えていることは


『翠』「...ぁ」


その翼さんの一撃を受けてすぐ、限界が来たということ

弦十郎『勝者、翼ッ!」

暗転する視界の中、翠の声が聞こえた

翠《お疲れ様、アスクレピオスは私がやっておきますね》


バタン


☆☆☆

で~れれ~で~でん!

☆☆☆


外の身体も中の魂?精神?も倒れて動かなくなった『翠』
そもそも精神が意識を失うってよくわかりませんけど、完全に疲れでフリーズしてるってことなんでしょうかね
『翠』を引きずって奏さん達に預け私は表に出ることに

・・・

翠「...!」

最初に感じたのはびっくりするほどの全身の痛み、特に鼻
そして辺りから臭う強烈な悪臭
身を起こしてみるとどうやら『翠』が最後のクロスカウンターの後倒れ込んだ時の顔のすぐ近くに翼さんの口から出た朝食と思しき物体があったようで
そりゃ臭いわけです

翼「はぁ...はぁ...翠、大丈夫か?」

息を切らし今にも倒れそうな翼さんはそれでも私に手を差し伸べていました
これは、完敗ですね

翠「本当、二人共やり過ぎ...痛っ」

翼「...?」

痛む鼻を抑えて若干涙目になりながら翼さんの手を取り身体を起こしてもらい、そのお返しに今度は私が翼さんに肩を貸しました

翠「ししょー...アスクレピオス、大至急」

弦十郎『あぁ、行けるか?』

翠「また意識飛ばないうちに私も翼さんも身体、直しておきたいので」

全身腫れたり内出血していたり
この身体は少なくとも鼻骨折れてますし翼さんは『翠』に大切な所蹴られたり鳩尾殴られたりしてますし

弦十郎「入るぞ」

そう一声かけてリングのある部屋に入ってきたししょーの手には予め渡しておいたアスクレピオスのギアペンダント
投げ渡されたそれを掴んだ私は素早く聖詠を口にします


「Healing almighty Asclepius tron」


バリアフィールドが広がり、光に包まれた私の身体はギアを纏う過程の中でもうその段階で治癒がされていくのがわかりました
ギアを纏うのと同時に傷が治るというのは便利ですね
鼻も痛くありません!...いやちょっとくらいは余韻が残ってますけど、最初に比べたら断然

翠「翼さん、行きますよ」

手に出現させたアームドギアの杖の先をすぐ隣に立っている翼さんに向け、治癒効果のある光を浴びさせます
するとみるみるうちにやや腫れ始めていた所も元に戻っていきました

翼「ありがとう、翠」

翠「どういたしまして...あと、こちらこそ」

さて...このとてつもない疲労感
傷が治ってもとてもこれじゃ連戦出来る状態じゃないですね
というか『翠』今ダウンしてますし、リングも汚いですし

響「翠ちゃん翼さんお疲れ様です!」

翼「あぁ...すまないが、私は少しばかり休ませてもらおう」

翠「私は...」


どうする?安価下
(『翠』ちゃんがダウンしている間何をして時間を潰すかです、特になければ身体を休めるためにぼーっとします)
(『翠』ちゃんの様子を見に行くのもアリです)

翠《『翠』の様子は?》

奏《全然、まだまだ起きないだろうよ》

となるとお見舞い(?)は後にするとして...

翠「...少しその辺歩いてきます」

響「でも休んだ方がいいんじゃ」

翠「今座ったりしたら多分当分腰を上げられなくなりそうなので...」

実際、それくらいには疲労感もすごいです
もう少し身体を慣らしてからの方が逆にいいでしょう
マラソンの後座り込まずに立ったまま膝に手を置いて息を整えるのと同じです
体育の時間とか一度座ってしまうと集合がかかった時にびっくりするほど立てなくなってるんですよね...個人差でしょうか

翼「そうか」

翠「翼さん、すみませんでした...それと、ありがとうございました」

翼「いや、こちらこそ礼を言わせてくれ。おかげで答えが見えた気がする...スッキリした気分だ」

そりゃあれだけ吐けばスッキリもしますよ

弦十郎「とはいえ、後できちんと身体を休めるんだぞ」

響「次は私とだからね!」

・・・

響さんとの戦いは今夜、コンディションを整えたりリングの清掃や消毒を行なってからということに
それまで結構時間もあるのでさっき宣言した通り廊下をぶらぶらと歩いています

翠「案外バレませんでしたね、私と『翠』が入れ替わっていたの」

まさかバレた上でスルー...?

翠「...ん?あれは」

ふと前を見ると、先の廊下のT字路をメヌエットさんの拾った子猫が横切るのが見えました
あの子も散歩中?

翠「...よし」

子猫は走っているわけではなく、普通に歩いても追いかけられるスピードです
ここはひとつ追いかけてみましょう


子猫の様子安価下
(何処へ向かっているのか、その間の様子等)
(地味に子猫の見た目や動きでも可)

音を立てないように慎重に進みT字路を子猫が行った方に曲がると、前方に子猫の後ろ姿、そしてさらに先に...

翠「...何故」

いつもは大抵私の部屋にいるか『凜音』ちゃんのところに遊びに行っている蛇達のうち一匹が這っているのが見えました
この距離だと蛇達の内どの子なのか判別出来ませんが、まぁあの柄です、うちの子達以外の蛇ということは無いでしょう

翠「そして子猫はそれを尾行している...?」

そういえば昨日蛇達とあの子猫、睨み合っていましたね
その理由は定かではありませんが...今回の尾行もそれと関係あるのでしょうか
あるいは今の私のように暇つぶし?

しばらく蛇の後を追う子猫の後を追っていると

翠「緒川さん...?」

進行方向の先に見えたのはとある一室の前でまるで警備員のようにドアに背を向けて立つ緒川さん
あそこは確か本部にいくつかある医務室の内の一室
マリアさんや翼さんはここではないので、今医務室を使っている人がいるとすれば


メヌエット「いつまでそこにいる気、ですか」

緒川「またこっそり部屋を抜けられては困りますので。それと無理に敬語でなくても構いませんよ」

メヌエット「...はぁ」


部屋の中から聞こえてきたやや不機嫌そうな声はやはりメヌエットさんのもの
軽く軟禁状態なのは本人の健康状態の問題で仕方がない...のと、昨日私と『翠』のイグナイト試運転が失敗したからですよね...申し訳なさを感じます
しかし...あの蛇は何故にここに向かっていたんでしょう
子猫と立場が逆ならまだわかりますが

翠「そしてここからどうするべきか...」


安価下
1 尾行を終え緒川さんに話しかける
2 様子を見る
3 回れ右して引き返し自室に戻る

翠「...」

うちの子の内1匹が何故かメヌエットさんの部屋に向かい、そんな蛇を後ろから尾行する子猫
気にはなります...が、メヌエットさんと顔を合わせるのは気まずいですし、かといって顔を合わせようとして拒否されたりしたらそれはそれで
でもずっとここから様子を見ているというのも...というか緒川さんにバレそうですし

翠「...うん、自室に帰りましょう」

今は深入りしないという選択を選ぶことにします
余程のことがあればその内耳に入るでしょうし、いざとなれば蛇達に事情を聞き出しましょう

・・・

部屋に戻り、身体もある程度慣らし終えただろうとベッドに横になって目を瞑りました
身体を休ませる間、意識を深層世界まで飛ばします

翠「『翠』はそろそろ目を覚ましましたかね」


『翠』ちゃんコンマ下1
奇数 起きた
偶数 まだ目を覚ましていない

深層世界のみんなの様子安価下2以降
(現在のメンバー...『翠』ちゃん、翔子さん、奏さん、セレナさん)
(コンマ下1が奇数の場合は『翠』ちゃんは起きている前提、偶数の場合は起きていない前提でお願いします)

・・・

翠「『翠』はまだ目を?」

奏「ん?あぁ覚ましてないよ」

セレナ「でも寝息は聞こえるし、うなされたりもしてないから平気じゃない?」

ちゃぶ台の側に横たわっている『翠』
確かにこれは普通に寝てるだけっぽいですね

翠「そうですか。で、みなさんは何の話をしてたんですか?」

セレナ「マリア姉さんと風鳴さん、それからそっちの『翠』ちゃん以外の人達はイグナイトモジュールをちゃんと使えるのか」

奏「もちろん、アタシら二人も含めてな」

翔子「そちらの『翠』さんが失敗した理由は過去のトラウマ、よって他の方々にもそういった抱え込んでいそうな悩みがないかどうか考えていたようですよ」

ようですよって、貴女不参加ですか

奏「アタシら自身のことはわかっても、他のみんなのことはそれほどよく知らないからね」

セレナ「切歌と調のことだって今でこそ奏に引っ張られてこうやってこっそり呼び捨てするようになっちゃったけど、生きてる頃は苗字にさん付け、それに言うほど交流も無かったし」

翠「前になんか切歌さん達との思い出?みたいなこと話してませんでした?」

セレナ「交流回数が少ないからこそ、ね。マリア姉さんやマム、それにフィーネとの時間の方が余程多かったよ」

奏「てかアタシら死んだ後のことは別に全部見てたってわけでもないからな~...響とか未来とかクリスとかそれこそ翼と同じくらいしか知らないよ?知り合いじゃなかったし」

そりゃそうでしょうね...


考えうる各装者の悩み安価下
(どの装者に関するものでも構いませんが、内容によっては「翠(ちゃん)それどこで知ったの?」ってなる可能性もあります)
(割と最近始まったはずの他人様のシンフォギアスレがもう完結した...だと...

あれ?ここのスレ長過ぎ?(更新速度と私の力量のせいです))

マリアが似た絶唱特性を持ってるからこそ、響へ嫉妬してること
翔子「セレナさんもそうですよね、誰かと手を繋ぎたいと誰よりも先に思っていたはずですから」

自分に纏めるのとコントロールして再分配するのって全然違うけど似てるのか?

undefined

***

>>896さんの安価の捉え方が三つに分かれて混沌を極めている...?
一応>>897さんの三つ目の捉え方で進めようと思いますが、もしも『それじゃないデス!』という場合はご指摘ください、修正いたします

***

翠「私も他の皆さんのことを何でも知ってるわけではないので個人の主観になりますけど...切歌さんは、比較的落ち着いていられると思います」

セレナ「ほほう」

切歌さんはこの間テレポート失敗したり未来さんに...まぁ色々された直後からちょっとボーッとしてることが多かったような気がしますが、今ではすっかり元通りです
流石に過去にどんなトラウマがあるかまではわかりませんけど、少なくとも本来あるはずだった二期の時間軸での黒歴史はこの世界の切歌さんには存在していません
原作であれが一番の闇落ち要素かと聞かれればそんなギャグアニメじゃないんだからと思いますが

翠「対して、調さんは...前にこの身体を乗っ取り気味に暴れていたフィーネさんに言われたことが堪えていたように見えました」

『偽善者』と響さんに言い放つ調さんはどこの世界にもいたようですが、それを第三者から、それも仮にも元ラスボスさんから『お前が言うな』と返されたわけですから
複雑な気持ちになっていたはずです

奏「それに...いつかの火事の現場、助けに来たアイツらを拒絶した子に言われた「何で戦ってくれなかった!」っていう台詞...他の二人に比べてより顔をしかめてたと思うよ、確か」

翠「えぇ、私もそれを言おうと思っていたところです」

セレナ「重く受け止めやすいというか、引きずりやすいというか...上手く言えないけど、そういう感じに見えるよね...こんなことなら小さい頃もっと話してどんな子なのか知っておけばよかった」

とにかく調さんは中々正直になれないというか言葉に出来ないだけでものすごくいい人なんですよね、多分
キャラソンで『偽善者だと吐いた言葉は合っているの?』と来た時には少しホロリと来てしまったほどです

翠「調さんの心が弱いとか疑うわけではありませんが、注意するに越したことはない、ですよね」

奏「クリスと未来は正直わかんないな...いや、境遇的にはクリスも十分トラウマありそうだけど」

セレナ「小日向さんは...」

翠「きっと愛で乗り越えますよ、未来さんは」

セレナ「何故そこで愛!?」

むしろ未来さんは仮に乗り越えたとしてそれがどっちに転ぶか心配です
いえ、露骨にガチでレズゥな未来さんなんて原作でもしないフォギアくらいしか出てなかったはずなので大丈夫だとは思いますが

・・・

セレナ「...正直に言うと、私は少し不安なんだ」

突然まるでイタズラがバレた子供のようにシュンとしてそう話し出したセレナさん
話の流れからしてそれはイグナイトモジュールの起動のことなんでしょうけど

セレナ「マリア姉さんの絶唱特性と立花さんの絶唱特性...どことなく似てるなって思ってから、こう...胸がチクチクするの」

奏「そんなこと思ってたのか」

マリアさんの絶唱特性と響さんの絶唱特性...?
簡単に言えば響さんの絶唱特性は他所から受け取った力を束ねて一つにすること、マリアさんの絶唱特性はそういったことで生まれる膨大なエネルギーを制御し他所へ分配、配置すること
一見真逆のようにも思えますが、それはつまり似ているということでもあります
プロセスはほぼほぼ同一で、その順序が逆
+に動くか-に動くか、みたいなものです

翔子「セレナさんもそうですよね、誰かと手を繋ぎたいと誰よりも先に思っていたはずですから」

翠「響さんのそれと匹敵するほどの、かつてネフィリムを封印した絶唱特性...」

響さんの絶唱特性とセレナさんの絶唱特性の類似性はしばしば公式でも言われていたことです
ともすれば、もしやセレナさんはマリアさんと響さんの絶唱特性が似ていることだけでなく、自身の絶唱特性と似た絶唱特性を持つ響さんが今マリアさんの隣に立てることに

翠「...嫉妬をしている?」

セレナ「...マリア姉さんは、私の姉さんだから」

いやまぁ誰も響さんがマリアさんの妹的立場になりそうとは思ってませんけどね?
ガングニール三姉妹とかは私の心の中に留めておきましょう

翠「...あれ?というかセレナさん、どうしてマリアさんの絶唱特性を知ってるんですか?」

マリアさんってまだ絶唱していないどころかアガートラームだって数えるほどしか纏っていないような


セレナさんの返答安価下
(※『それじゃないデス!』という意見が来た場合申し訳ありませんがこの安価ごと無かったことになる可能性があります)

セレナ「う~ん...同じ姉妹、だからかな?」

翠「えぇ...?」

シスコンが過ぎませんかこの人
あれですか、これが『愛』とやらですか

奏「姉、妹のことくらい試さなくてもわかるもんさ」

翠「奏さんはちょっと黙っててください」

奏「...翠が会うたび段々当たりがキツくなってる気がするんだけど」

会うたびシスコンさが増す奏さんに言われたくはないです
一応奏さんやセレナさんに対しては私のことはまだ(察されてるかもしれませんが)あくまで『翠』の中に生まれたもう一つの人格ということになってます
それ故に言えませんが、ここにいる人達の中で唯一私だけ姉も妹もいないんですよ
早い話が若干アウェー感を感じます

翠「ま、まぁセレナさんのそれは深くは追求しないことにしましょう」

本当に『愛』やら勘やらで正解をピンポイントで当てたのならある意味凄すぎますけど、これ以上はセレナさんの闇が見えてきそうな...


コンマ下
奇数 そろそろ起きるよ『翠』ちゃん
偶数 まだまだ寝るよ『翠』ちゃん

翠「...それにしても起きませんね」

すっごい熟睡というか爆睡している『翠』
余程疲れたんでしょう

翠「これは響さんとの試合は明日以降にしてもらった方がいいでしょうか」

あれですね、自分と同じ顔の人の寝顔って見てても特に何も思わないものですね
試しに『翠』の頬を突いてみても起きる気配は全くありません

翔子「いっそ今度は翠さんが出てみては?リベンジマッチはまだでしたよね?」

翠「いや、それは本来の目的と逸れているような」

確かに私もいつかリベンジしたいとは思ってましたけど、今回の試合はあくまで『翠』が過去と精算をつけるためのもの
そしてイグナイトモジュールを今度こそ成功させるためのもの

翠「そんなことを勝手にするわけには...」


安価下
1 『翠』ちゃんが起きるまでもう少しダベる
2 『翠』ちゃんを叩き起こす
3 やっぱり響さんとリベンジマッチがしたい

(『翠』「オっオナっ!?///」

翠「しなくていいです。あと魔法少女のサイトは...デメリットを考えると個人的には白い猫みたいなのと契約する方がマシな気が」

奏「いやどっちもどっちだろうよ...」

セレナ(翠ちゃんと『翠』ちゃんでエ◯チする場合ある意味それはオ◯ニーと呼んでもいいのでは)

翠「何考えてるのか知りませんけど多分しょうもないことなんでしょうしやめましょうか」)

確かにリベンジマッチをするにはうってつけなタイミングと言えるでしょう
というか響さんはそのつもりでいてくれているかもしれません
それでも

翠「...えぇ、今回はあくまで『翠』の番。私のリベンジマッチはやるべきことを全て終えてからやりたいです」

それがいつになるのかはわかりませんけど、少なくとも今は違います

翔子「出来る内にやっておいた方が未練は残りませんよ?」

翠「なら、いつでも『出来る内』でいるために頑張って生きますよ」

一度命を落とし転生した私が言っても説得力のカケラもないでしょうか
でもまぁ、だからこそという考え方も出来ますよね

翠「それじゃあまず待ってくれている響さんの為にもこの寝坊助を叩き起こすとしますか」

『翠』は相変わらず幸せそうに寝息を立てています
全く、トラウマに対抗出来ずに二度も苦しみもがく姿を見てる事しか出来なかった私の気も知らないで...


どうやって起こす?安価下
(翠「この状態は魂みたいなものですし、多少何しても死にはしないですよね」

セレナ「いや成仏とかはしちゃうかもしれないけどね?」)

しかしまぁよく寝ていますね
ここで耳元で大声を出すなり揺さぶるなり殴るなりして起こすのは簡単です
ですがそれでは面白くありません
この無防備極まりない爆睡野郎...じゃなくて爆睡女郎にどうイタズラしてやりましょうか

セレナ「翠ちゃん、悪い顔になってるよ」

翠「おっとこれは失礼。でもただ脅かすだけのイタズラは何か違いますね...」

別に嫌がらせがしたいわけでもありません
ただ一泡吹かせたいだけです
この心配かけさせるだけかけさせておいていつまでも寝息を立て続ける自由人に...

翠「...寝続けている相手には、それ相応の起こし方というものがありますね」

ふと閃いてしまいました
そう、昔から眠り姫の起こし方は1つだけ

翠「奏さん、GO!」

奏「んあ?...えっ何」

翠「呪いで眠り続ける女の子がいたら起こし方は1つでしょう」

翔子「呪いではありませんが」

突然の指名に困惑する奏さん
やがて意味を理解したのか

奏「...はあぁ!?///」

翠「大丈夫、『翠』はツヴァイウィングのファンですから」

奏「理由になってないよ!?てかそれなら翼のあれも...は、流石に無理か...いやいやだからってそれは」

セレナ「何で奏?翠ちゃんがするっていうのは?」

翠「『翠』がツヴァイウィングのファンというのもありますが、まぁこの中で王子様役になりそうなのは奏さんですし。あと普通に私はそんなことしませんよ?」

奏「待って本当待って///」

意外と乙女な反応ですね奏さん
ここは漢気?を見せてガッと行くかと思わないこともなかったんですけど

・・・

何とか説得というか適当な言葉を並べて言いくるめるという洗脳じみたことをして奏さんの首を縦に振らせました

奏「...い、行くぞ」

『翠』の側に座り、緊張した面持ちで顔を近づけていく奏さん

翠「...自分と同じ姿の人が誰かとそういうことをするのを見るのはなんかこっちまで照れますね///」

セレナ「はうぅ...///」

翔子「あらあら~」

さぁガバッと!そしてそこで眼を覚ますであろう『翠』の反応は如何に...


コンマ下
奇数 桜trick
偶数 やっぱり出来るかそんなこと!
ゾロ目 一体いつからまだ寝ていると錯覚していた

☆☆☆

で~れれ~で~でん!

☆☆☆


どうもこんにちは、『翠』です
どうしよう完全に起きるタイミング逃した
本当はね?ふと目が覚めたんだけどまぁもう少しいいかなと二度寝しようとしたの
目が覚めたとき目を開かなかったからまだ誰も起きてることに気付いてないだろうと
そしたら翠がとんでもない提案をし出すという


奏「...い、行くぞ」


ってどうしようか迷ってるうちに奏さんがやる気に!?///
こ、これは事が済んでしまう前に起きなければ!
そう今ならまだ間に合う、まだ...

『翠』「...///」


ドッドッドッドッ


この状態の『私』に臓器なんてないはずなのに、心臓の音がうるさい、気がする
奏さんのことは、好き
もちろんそれはあくまでアーティストの奏さんをファンとして応援してるというかそういうあれであって、決して恋愛感情的なものではないはず
でも...

『翠』「...///」

奏さん、綺麗な人だよね
そんな人が自ら『私』に...


翠「...自分と同じ姿の人が誰かとそういうことをするのを見るのはなんかこっちまで照れますね///」

セレナ「はうぅ...///」

翔子「あらあら~」


多数決安価下1~5
1 眠り姫はたとえ起きていても合図があるまで寝ているものである
2 やっぱりダメーッ!
3 いっそのことこちらから

***

3/5票が入ったので1とします

***


目を閉じていてもわかる
奏さんの気配が、どんどん近付いてくる
無いはずの心臓の音がうるさい
どうして『私』は起きようとも避けようともしないんだろう
奏さんが綺麗で、彼女のファンだから?
それとも『私』は、奏さんのことが...


奏「んっ...///」

『翠』「んむ...!///」


柔らかい感触が当たる
やや強く、でも強過ぎない、まるで割れ物を扱うような優しい、どこか緊張したような力加減でそれは『私』の唇の形を潰していく
重ねられたそれは押し付けるだけ、あくまでそれ同士が触れるだけ
でもだからこそ、そのぷりぷりとした肉感は唇を通してはっきりと伝わってきた

何ちゃらはレモンの味だとかそんなことをよく耳にするけど...その味を確かめる舌は顔を出していないが故に味見が出来ない
ただ、味はわからないのに心に甘酸っぱいものが広がっていくような錯覚に陥る
なるほど、これこそがそう言われる所以なのかもしれない

『翠』「///」

というか、長い...///


どうする?安価下
(このまま寝たふりを続けると今回のことをすっとぼけて奏さんと今まで通り接することもまだ可能...?)

・・・

かれこれどれ程の時間こうしていただろう
きっと実際は十数秒間くらいしか経っていないのだろうけど、『私』にとっては数分間にも感じられていた
ただ触れ合うだけの口づけなのに、始めは驚きと僅かな罪悪感、そしてそれは興奮に変わり、やがて昂揚感を感じ始めていた
顔が熱い、心臓がうるさい

だからこそ、それが離れて行った時、『私』は物足りなさと喪失感に支配される

奏「...っ///」

まだ奏さんの気配をすぐそこに感じる
きっと至近距離で『私』が眼を覚ますのを待っているんだろう

『翠』「...///」

でも、足りない、足りないよ


がしっぐいっ


奏「!?」

『私』は目を開くことなく、それでいて寝相か寝ぼけている風を装って手探りで奏さんの服の胸元を掴み引き寄せる
不意打ちだったからかなす術なく倒れ込んだ奏さんの顔は再び『私』の顔と重なり

奏「んむっ!///」

『翠』「ん///」

二度目の口づけ
これでも十分『私』は幸福を感じていられるかもしれない
でも、この火照った身体(あくまで精神の塊でしかないけど)はそんなことじゃ解消されない

奏「んんっ!?///」

『私』は自身の唇の門を開いて舌を覗かせる
次なる関門は奏さん
『私』は彼女のその門を無理矢理舌でこじ開け、口内を暴れまわった
舌同士を絡めたり、歯の裏側を舌でなぞってみたり
抵抗しようとする奏さんを逃すまいと服を掴んだ手に力が入る

奏「ん~ッ!ん~ッ!!///」

『翠』「んんっ!んむっ///」


セレナ「二度目!?奏何を!?///」

翔子「あらあらあら~」

翠「しかも濃厚!?///...というかあれ、もう起きているような...」


外野が何か言っているけど、『私』の耳にはほとんど入ってこない
ただ自身の興奮と火照りをぶつけるように目の前の女性の唇を乱暴に貪って...

『翠』「ンンッ!!!///」

そんな時、奏さんの舌に動きがあった
今まで必死に『私』の舌を追い出そうとしていたそれは途端に抵抗をなくし、それどころか自ら前へ前へと突入してくる

奏「んむ...///」

驚きのあまり目を見開くと、奏さんと目が合った

『翠』「ッ!!」

ゾクっとした
背筋が凍るような
その目は殺意があったわけじゃない
ただそこには、快楽と愉悦
まるでイタズラが成功した子供のような素直で残酷な瞳をしている
奏さんは笑っていた
笑って『私』に真っ向から反撃してきた

『翠』「ン~ッ!!///」

奏「んんっ...んむっ///」

貪られ、蹂躙されていく
『私』とは違い、奏さんのそれは進化していた
時間が経過するごとに『私』の弱点を見つけ、そこを次々と攻めていく
舌で抵抗しようともそれは絡め取られ、下の裏側を撫でられ無力化された

完全な立場逆転

でもどこか、それもまた良いと感じる『私』がいる

『翠』「ん~っ...っは...んむっ!?///」

奏「ん...っはっは...んむっ!///」

一瞬離れほとんど呼吸出来ない状態だった『私』は肺の空気を入れ替えた
けれどそれもつかの間、すぐにまた塞がれ一方的な蹂躙が再開される

『翠』「んっ...んっ...んんん~ッ!!!///」

じわり、と身体のどこか下の方に湿ったような感覚
そしてそれをすぐに忘れてしまうような高まりきった興奮と開放感と共に

『私』はまた意識を失った

☆☆☆

で~れれ~で~でん!

☆☆☆


『翠』は明らかに起きていました
どのタイミングから起きていたのかはわかりませんが、少なくとも奏さんにキスをされていた時には起きていたのでしょう
そして目の前でまさかの第2ラウンド
見てるこっちが恥ずかしくなりますよ///

翠「とはいえ...一泡吹かせるという当初の目的は果たせていません」

よほど奏さんの攻めが凄かったのか完全にノックアウト状態の『翠』
口はよだれを垂らしながらだらしなく開け放たれ、身体もピクピクしています

翔子「泡は吹いてませんけど潮は吹い」

翠「仮にも神様!そこまで!それでもアウトですよ!!」

奏「ふう...突然のこととはいえ、ちょっとやり返し過ぎたか///」

セレナ「もう!もうもうもうっ!!///」

奏「痛っちょっ何!?何でペシペシ叩くんだって待って痛い!」

何でしょう、最終的には奏さんに反撃されて撃沈してますけど、私としてはこの結果には若干イラっときました


どうする?安価下1~3
1 デスソースタイム
2 他に何か起こす方法を考えてみる

セレナ「本当にもう...って翠ちゃん?何だか顔怖いよ?」

翠「気にしないでください。よくわからない苛立ちを覚えて困惑しているだけです」

何故これほどまでにイライラしてしまうのか
まぁ私の思っていた結果と違ったからでしょう、うん
でもだからこそ、このままで終わらせるのはどうにも

翠「...」

以前、フィーネさんはここに来た時にクリスさんのアルバムを具現化させていました
ということは、このならその気になれば何でも作り出せるかもしれないということです

翠「...アフター、サドン、ジャージー...『貴女』のお好みはどれでしょう?」

沸沸と湧いてくる理不尽な怒りが具現化するように、私の手に一本のボトルが出現しました

翔子「...翠さん、それは?」

翠「ソースデス」

セレナ「何で切歌!?だからラベルが黄緑の背景に黒いバッテンマーク1つ描いてあるの!?」

奏「というか中身真っ赤なんだけど...それ普通のソースじゃないだろ」

翠「ソースデスソース」

骸骨のキーホルダーを外してボトルの蓋をキュルキュルと回し、未だに身体をピクピクさせながらよだれを垂らす『翠』の側に座って『翠』の口元へボトルの口を近づけます

翠「返事がないのでウルトラで...『翠』のちょっといいとこ見てみたい!はい一気!一気!」

いっき!いっき!いっき!いっき!
はーいはーいはーいはーい!!

私は躊躇なくボトルを傾け中身を『翠』の口の中に流し込んでいきました


コンマ下1
奇数 『翠』ちゃん意識が戻る
偶数 『翠』ちゃんまだ戻らない

多数決安価下1~3
1 続けてコーヒー
2 様子を見る

『翠』「...ッ!?!?!?」

中身を全て流し込むべくボトルをほぼ垂直に傾けていたその時
『翠』は目を限界まで見開き、まるで飲み込むのを拒むかのように自身の喉を両手で締めながらうつ伏せに

『翠』「げぇっ...えっほげふっ...~ッ!!!」

大粒の汗をかき、口の中にあったソースを全て吐き出してもなお辛いのか唾液を何度も咳き込みながら吐き出したりその咳でまた口内や喉に痛みが走ったのか声にならない叫びを上げています
そしてじっとしていることが出来ないのかその場でうずくまってごろんと倒れ、何度ものたうち回りながら咳き込みその度に目を見開いて汗と同じくらい大粒の涙を
さらには喉に熱さを感じるのか爪で掻き毟ろうとし出します

翠「あーほらそんなことしたら喉から血が出ちゃいますよ~」

私は『翠』の自傷行為にも繋がってしまいそうなその行為を止めるべく『翠』の両腕を掴んで頭の後ろに組ませました
その間許しを請うような目で見つめられた気がしますけど多分気のせいです

翠「まったくもう、せっかくのソースも全部吐いちゃうなんてもったいないですねぇ」

でもまぁ吐き出してしまったことは許しましょう
不思議と今、私の心は比較的晴れやかですから


どうする?安価下

奏「お、おい翠、それまさか本当にヤバいソースじゃないよね?」

セレナ「それは流石にやり過ぎだよ!死んじゃ...成仏しちゃうよ!?」

翔子「あらあらあらあら~」

セレナ「白鳥さんはさっきからそれうるさいですよ!」

ボトルはほとんど空になってしまいましたが、さっきと同じ要領でやればまた新しいものを創り出せるでしょう
ほら、何か手のひらに出てきました

翠「ほ~ら、たんとお飲み...」

『翠』「~っ!えほっ、やっ!やめ」

翠「ボトルバーン」

今度は零してしまわないように蓋を開けたボトルの口を、顎をクイっとして上を向かせた『翠』の口に突っ込みました
すごいどこからこんなに汗とか涙とか出てくるんでしょう

奏「待て待て焦点合わなくなってきてるから!『翠』の身体透けてきてるから!!」

翔子「あらあ...待ってくださいセレナさん無言で殴ろうとしないで!黙りますから!」

あ、また身体がピクピクし始めました
これは奏さんとのキスと同じくらい心地よいということでしょう
決して辛すぎて痙攣しているとかではないと思います

翠「ソースのお味はどうですか?」

2本目のボトルが空になったところでそのボトルを『翠』の口から退けてやると、僅かに咳き込んだせいでまた口の端から溢れてしまいました
まだまだ全然飲み込めてませんね


『翠』ちゃんコンマ下
奇数 反撃
偶数 よくわからないけどとりあえず心からの謝罪
ゾロ目 三度目の気絶

翠「お~い」

飲み込もうとする様子も返事をする様子もなく、どうしたのかと思っていると

『翠』「...ガポッ」

翠「うおっと!?」

呼吸が出来ていなかったのか、ややソースを吐き出しながらより大きな咳き込みをする『翠』
思わず私が手を離すと、『翠』そのまま、白目を向いた状態で口を開けたまま倒れこみました
身体を相変わらずピクピクさせ、どうやらまた気絶してしまったようです

翠「えっと...もう一本おかわり?」

奏「ヤメロォ!」


安価下
1 『翠』ちゃんが起きるまでまた少しダベる
2 『翠』ちゃんをまた叩き起こす

・・・

新しいソースを用意しようとしたら奏さんとセレナさんに全力で止められました
あと翔子さんはセレナさんに何か言われたらしく、『翠』が上やら下やらの口から零してしまったものを濡らしたモップや雑巾を出現させて後処理しています

セレナ「翠ちゃんは責任持ってそっちの『翠』ちゃんの口を吹いたり下着を替えたりしてあげて」

翠「は~い」

というか『翠』の穿いていたものが奏さんに失神させられた時よりもさらにぐっしょりしている気がします
そしてほのかに温かい
うん、まぁ新しいのを造ってコレは捨てるか水とかを出現させて洗って干すかしておきましょう...いや精神体が穿いてたものを洗うとかってどういう

翠「深く考えてはいけない、そういうことですね」

精神体の持ち物とかここで造れる物とかその辺の詳しい定義は女神様やフィーネさんに聞けばいいでしょう

・・・

私と翔子さんによる掃除や処理によって大体元に戻りました
『翠』が起きていないのも元通り...そろそろ響さんが待ちくたびれそうです

奏「まぁ待て、今度こそ普通に起きてくるのを待とう、な?」

翠「そうですか?」

セレナ「翠ちゃんは絶対に起こそうとしちゃダメ、するとしてもどうやって起こすつもりなのか宣言してから」

セレナさんにとても警戒されているようです


何話す?安価下

奏「まぁほら、何か話して目が覚めんの待ってようよ」

翠「いいですけど...そうですねぇ」

話す...何か話さなければいけないことがあったような...はっ!

翠「そうですよ!人工装者さん!えっと...メヌエット?さん?のこと!このまま保護したままでいいんでしょうか」

奏「え?あー」

セレナ「吐血とかしてたあの」

奏「寿命があと少ししかないって言ってたしね」

そうそう少ししか...

奏「あの時一週間って言ってたから...あと4日...というか3日と数時間?」

翠「そうそうあとみっ...えっ待ってください何ですかその具体的な数字!?」


メヌエットさんに聞いておきたい、してもらいたい、させてもらいたいこと等安価下
(なおメヌエットさんに拒否される可能性もあります)
(保護すべき、しないべきという意見の場合は理由も添えてどうぞ)

明日から3日間
奏さんがメヌエットさんから聞いた話が本当なら、それが彼女に残されたタイムリミット...ということなのでしょうか

奏「あのオオカミ?の力で何とか保ってるみたいなことも言ってたような」

翠「ルシエドですか...」

そこは深くは追求しないようにしておきましょう
何にしても、何か彼女がやりたいこと、やらなければいけないことがあったとしたら此処...本部に軟禁して残された時間を使わせることほど酷な事はないかもしれません

翠「ししょーに彼女を自由にさせてあげられないか掛け合ってみますか...」

セレナ「それがいいかもね...」

せめてもう少し時間が残されていれば、何か出来ることがあったかもしれない
でも、残されていたら残されていたで何も出来なかったかもしれない
そう思ってしまいました


他にメヌエットさん関連で話したいこと安価下
(特になければ響さん対策会議)

私は知らず奏さんの知るメヌエットさんの情報
正直他にも色々と聞き出したいのですが...

奏「...ん?」

いや、やめておきましょう、これ以上は白い目で見られそうです
本当に知りたいと思った時は本人に直接聞けばいいだけですしね

翠「それより今はこれからの話です!響さん対策!」

セレナ「立花さん対策?」

翠「『翠』は翼さんに負けました。決して翼さんが弱いとかいうつもりはありません...が!剣の勝負ならいざ知らず、拳の戦いで負けるのは私的には少々物申したいことがあるわけです」

奏「出た、変なところで戦闘狂」

翠「誰が戦闘狂ですか誰が」

ともあれ、別に勝てとは言いません
負けるなと言いたいだけです
確かに今回の殴り合い試合は勝ち負けではなく『『翠』のトラウマ払拭』が重要
けれど、だからといって負けていいのか!否、断じて否です!

翠「私は今回手を出せません、そういう約束ですから」

翔子「だからせめて試合前にアドバイス出来るように対策を私達で考えておこう、と?」

翠「そうです!」

試合が始まったら応援以外の極力声はかけないことにしてますからね

翠「題して、『チキチキ!第1回・立花響戦用三十六計企画会議』!!」


響さん対策の三十六計案安価下
(どんな場面でどういう戦い方をするか等)
(三十六計とは言っていますが36個案が出るまでやるというわけではありません、様子を見て且つ時間が作れた時に更新しようと思います)

翔子さんだけが「わー」と言いながらパチパチと手を叩いてくれる中、私は顔が熱くなるのを紛らわせるように一つ咳払いをしました

翠「で、どう思いますか?」

奏「どうも何も...殴り合いを提案しておいてなんだけど、こういうのは響の独擅場だからな...とりあえずガードは必須だろ」

セレナ「それにカウンター...無策で正面から行くより断然勝ち目はあると思うよ」

翠「ガードにカウンター...となるとそこから先はただ殴るより関節技に持ち込んだ方がいいでしょうか」

響さん相手に果たしてそれが通用するのかはわかりませんが、奇策とまでは行かなくともグーパン以外のやり方も用意するべきでしょう

翔子「何をするにしても、まともなやり方では負けるでしょうからその方が確立は上がると思いますよ、それが小数点以下かどうかは別として」

翠「響さんはししょーに稽古をつけてもらう前から才能の塊的なところありましたからねぇ...」

今になってやっぱり響さんの融合症例装者としての覚醒を促すようなことを考えない方が良かったかなと一瞬思いましたが、それはそれで色々と詰んでいたと思い直しました

翠「肉を切らせて骨を断つ、くらいの覚悟を決めてやるしかないですかね」

翔子「さながら圧制者に立ち向かう剣闘士...!」

セレナ「その実態は自己満足の為に合意の上で八つ当たりさせてもらうだけの女の子...!」

その言い方はちょっと...

・・・

色々と話し合ってみましたが、そこから更にいい案というものは出てきませんでした

翠「あとはやっぱり『翠』次第ですね...」

さっきはやや調子に乗っていたようですけどね、この二度寝...三度寝?をしている寝坊助は


コンマ下
奇数 そろそろ『翠』ちゃんを起こそうリターンズ
偶数 そういえば免許って
ゾロ目 『翠』ちゃんは自分で起きれる良い子
(免許とかいうマギ◯コ時空がマザルアップしてきそうな要素...仮にその話題に触れても白い猫みたいな生き物は多分出てきません)
(やっと時間を作れたので少し更新します)

翠「さて、それじゃそろそろ叩き起こしタイムと行きま」


『翠』「その必要は...ないっ!」


翠「っ!?」

寝ているであろう『翠』を今度はどんな風に起こそうかと考えていると、背後からそんな声が
背後にはいつの間にか目を覚ましていた『翠』の姿が


コンマ下
01~25 どちらもほとんど覚えていない
26~50 奏さんとの一件だけ覚えている(奏さんのことを意識してしまう)
51~75 例のソースの一件だけ覚えている(翠ちゃんがトラウマの対象に)
76~98 どちらも覚えている(上二つ)
ゾロ目 どちらもほとんど覚えていない(あれは夢だった...?)

『翠』「ふぅ~...いっぱい寝てスッキリ!」

軽く伸びをしながらちゃぶ台を囲む私達と同じように腰を下ろす『翠』
確かにスッキリしているようですけど...あれほど色々あったのに?

奏「おっおう、よく寝られた...か?」

『翠』「もうばっちり!なんか変な夢見た気もするけど内容全然覚えてないし」

あっこれは完全に記憶が抜けてますね
若干気まずそうな奏さんを前にして顔色ひとつ変えずにいつも通りです

セレナ「翠ちゃん翠ちゃん」

翠「?」

と、セレナさんが小声で呼んできました
私も小声でどうしたんですかと返答すると

セレナ「多分翠ちゃんのせいで記憶が飛んでるからね、アレ」

翠「えー...私はただソースを飲ませただけですよ?」

セレナ「じゃあ翠ちゃんも今度同じものを自分で飲む?」

翠「まだ命はおしいです」

セレナ「本当この子はもう...」

まぁ一度死んで黄泉還ってますけどね、私
そして英雄召喚ならぬ殉職装者降霊が出来ると...うーん


どうする?安価下
(特になければ響さんと試合...あるいはちょこっとイベント?)
(『翠』ちゃんの記憶は条件次第でふと戻る可能性があります)

翔子「何はともあれ、『翠』さんが目覚めたのなら私達だけで考える必要もなくなりましたね」

翠「ですね」

『翠』「ん?『私』が寝てる間に何か話してたの?」

メヌエットさん...のことは後で伝えればいいでしょう
今はそれより響さん対策のことです

翠「『翠』、私達はどうすれば『貴女』の勝率を少しでも上げられるのか考えていたのです」

・・・

『翠』「ガード、フェイント、カウンターに関節技か...確かに翠と違ってロクに戦い方も知らない上に格闘タイプじゃない翼さんにすら負けちゃう『私』じゃ、普通に立ち向かったんじゃ瞬殺だよね」

一瞬でKOでしょうね
不意打ちが出来るほど『翠』が格闘に慣れているわけでもありませんし、一対一じゃ奇襲も出来ません
となれば正面から、且つ素人が相手の土俵でも爪痕を残せそうなことにかけるしかありません

翠「...そうです、もしやこんなことも出来るのでは」

ふととあることを思い付いた私はある物の存在を念じてみます

翠「むんっ!」

すると手のひらに一冊の本が出現しました

『翠』「えっ何その出した方かっこいい、魔道書?」

翠「いいえ、コレは」

本の表紙が見えるように『翠』に向けて突きつけます
魔道書とは似ても似つかないこの本は

翠「図説関節技!」

関節技に関したことが載っている本を先ほどのソースと同じ要領で創り出せないかなと思いやってみると、見事成功しました
ししょーに教わったり学校で習ったこと以外関節技のやり方なんて私は知りませんが、上手くいくものですね

『翠』「これを読めと」

翠「本懐を」

セレナ「その台詞はまだちょっと早いよ」

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・・・

『翠』が実際に身体を動かしたり動きの確認の為に奏さんに相手役をしてもらったりしながら関節技の本を読んでいるのを横目に、私達はまたちゃぶ台を囲んでいました

セレナ「でもあんな本よく出せたね。興味あったの?」

翠「いえ...ししょーに稽古つけてもらってから一度だけあぁいう本のコーナーに寄ってみて、パラパラと本をめくって読むのを諦めたりはしましたけど」

セレナ「諦めたんだ...」

あぁいうのに関しては読み込もうと思えば読み込めるんでしょうけどね

翔子「おそらくその時の記憶、また見聞きしたもの、視界に映ったり耳に入っても覚えるに値しなかったような情報を結集したものがあの本なのでしょう」

翠「実在する本じゃないんですか?」

翔子「するかもしれませんししないかもしれません。人の記憶はどんな些細な情報も決して消えない...皆さんの時代風に言うと『ゴミ箱』に移動したファイルがあっても完全に消去はされない、ということです」

その例えが果たして本当に私達の時代風なのかはわかりませんが、とりあえず記憶にかすりすらしなさそうな情報もとりあえず残してあるってことでしょうか

翔子「先程のソース、あれも個人的に味を覚えるほど好きなわけではないでしょう?」

翠「というか舐めたことがあるかどうか...」

翔子「それもまた、忘れているだけでどこかで味を知ったか、情報社会に生きている中で見聞きしたソースの情報を元に『翠さんの思うソース』が構築されたものと思われます」

つまりあれは私のオリジナルブレンド...!
まぁ言われてみればラベルも明らかに実在しないものでしたね

セレナ「じゃあ見た目も中身も何もかも何一つ知らない物はここじゃ造れないってことですか?」

翔子「情報が無いのに造れたりはしませんよ、ずっと遠い未来でのみ存在しているもの、聞いたことすらない物...もっとも架空の物や勝手なイメージで歪まされたような物は物理法則やその他の条件を無視してここでのみ具現化出来てしまうかもしれませんけどね」


安価下
1 もう少し深層世界で何かしておく
2 表に戻って響さんを探す
(深層世界で物を造る安価が今後も来そうな予感がしたので少し説明回を...でもシンフォギアですからね!アニメと同じで何でもアリなところはありますよ!)

奏「様になってきたしこんなもんだろ」

『翠』「ありがとうございました!」

セレナさんや翔子さんと話していると、どうやら『翠』の関節技特訓も終わったようです

翠「いけそうですか?」

『翠』「わからない!」

翠「あっそうですか、そうですよね」

そりゃ相手は主人公様ですからね...
歳上で力もあって技術もあって主人公とかいう響さんに生身で挑むのはもうなんというか

『翠』「うん、だからもう少しだけここでゆっくりして覚悟を決めてから響さんに会いに行こうと思う」

翠「引き伸ばしたところで...まぁいいですよ」


何する?安価下
(何かについて話す、でも構いません)
(XDモードはそれっぽい形にギアを変形させられても能力はフォニックゲインがないと伴いません)
(GXの後は...原作アニメルートに入る(まずは3.5期)かXDイベントシナリオルートに入る(片翼の奏者やヴァルキリーズ・サマー等)か多数決をするかもしれません...原作アニメルートに入ると5期までやるかもしれませんし、XDイベントシナリオルートに入ると本当の意味での『アプリ内の原作メンバー』が尋ねた後だったり鉢合わせしたり...?)

(翠「今日は翼さんのお誕生日ですね、おめでとうございます!!!初めて会った時は翼さん18歳、それから高校卒業の年に19になって、さらに月日が流れて今日また誕生日を...あれ!?もしかしてもうお酒飲めちゃう年齢ですか!?」)

『翠』と奏さんが改めてちゃぶ台を囲む私達と同じように腰を下ろしたところで、適当な雑談が始まりました
特に取り留めもないような、最近あーだったのこーだったのと
と言ってもほとんどこの身体の中から出ていないメンバーの会話なので新情報が聞ける~とかは無いんですが...

翔子「あ、そうそう、聞き流してもらっても構わないんですけどね?」

翠「どうかしたんですか?」

奏「珍しいな、翔子さんから話振るなんて」

翔子さんから話題を振るのは割と珍しいことです
いつもは傍観者...たまに参加、くらいですから
さてどんな内容を

翔子「詩織さんっているじゃないですか」

翠「詩織さん...って、寺島さん?響さん達のグループの」

響さん未来さんと仲が良い三人組の一人、金髪ロングのおっとりお姉さん
ここだけの話、生前シンフォギアの作品を見ていて最初にフィーネさんの姿が出た時に了子さんはもちろん、寺島さんもよく似ていると思いました、主に髪が
二期以降は実はレセプターチルドレンか何かなのではと...まぁ了子さんはともかくF.I.S.組の皆さんも別にそれほど見た目もフィーネさんに似ていませんし、そもそも四期(1話しか見られませんでしたが)までそういった話がなかったので私の予想はハズレといっていいでしょう

『翠』「寺島さんがどうかしたんです?」

翔子「えぇ、あの人ってセイレーンの歌が唄えるんですよ」

翠「へぇ~、セイレーンの歌...」


はい!?


翠「えっ...え!?」

奏「ん?何、そういう曲?」

『翠』「いやいやいやちょっと詳しく聞きましょうか翔子さん何を突然そんな爆弾落としてるんですか爆撃機ですか貴女は」

翔子「私はしがない神様ですよ」

セレナ「セイレーン...って美しい歌声で惑わして船を遭難や難破に遭わせるっていう?マムに昔そんな話を聞いたことがあるような」

翠「ちょ~っとこっち来ましょうか」

私は翔子さんの手を取って一度ちゃぶ台を離れました
その際『翠』は何故か付いてきましたが...私の記憶も共有しているのなら問題ないでしょう

翔子「何ですか?」

翠「いや、それは本当に本当なんですか?」

翔子「そうですけど...何故わざわざ?」

『翠』「中の人関連ってことは?ってことでしょ」

翠「その通り」

そんなメタなことは『戦姫絶唱シンフォギア』という原作の存在を知る人同士でしか話せませんし

翠「それは色々な異世界にドアが繋がる感じの食堂に来てカルパッチョを食べるようなやんちゃなセイレーンと声が似てるからとかではないですよね?」

翔子「語尾にデスが付くのは切歌さんの特権です、詩織さんは戦艦でもユニオンジャック柄のパーカーのイギリス人でもありませんよ」

翠「そのユニオンジャック柄のパーカーの人はハーフですけどね」

てかどれも金髪ですね...赤いリボン付けてる偽の恋人の人も金髪だったような
ってそれはいいとして

セレナ「どうかした~?」

翠「あぁいえ、何でもないです」

私達3人はまたちゃぶ台のところに戻り、改めて翔子さんに詳しいことを話してもらいます

『翠』「で、どういうことです?」

翔子「と言われましても...それ以上でもそれ以下でもない、ふとそういえばっていうだけの話ですから」

翠「ふとそういえばでそんな重要そうなことを...」

大体何でそのことを知ってるんでしょうこの人...この神様は


もう少し何か質問する?安価下
(特になければアメノハバキリの立ち回りイメトレ)
(昨日は更新出来ずすみませんでした!それもマリアさんの『裸になって...夏』はいい曲だと思います)

***
何でアメノハバキリとか書いてるんでしょう寺島さんの話してたからでしょうか
アメノムラクモですね
***

翠「まぁ、記憶の片隅に置いておくとしましょう」

寺島さんがこの世界あるあるの普通じゃない人ってことはわかりました
けどまぁ得意の演技力を日頃から発揮したりしているわけでないのなら間違いなく普通に良い人ですし、まさかセイレーンの歌を悪用したりはしないでしょう
というか唄えることに本人は気付いてるんでしょうか

『翠』「先延ばしはどうのってさっき言ってなかった?」

翠「それとこれとは話が別です。セイレーンの歌とか急に言われても...」

キャロルちゃん達やパヴァリア光明結社の人達、その歌声で惑わされて倒れてくれたりしませんかね...

『翠』「まぁそっか...あ、だったらアレやっておきたい!アメノムラクモの立ち回りとかのイメトレ」

奏「イメトレ?」

セレナ「でも今でも十分いっぱい持ってるギアの中だと使いこなせてると思うけど」

イメトレですか...うん、するに越したことはありませんね

『翠』「最近ほら、アメノムラクモかイミテーターばっかり使うから...イミテーターは色々コピーするからイメトレとか果てしないけど、せめてアメノムラクモくらいはね」

翠「まぁアメノムラクモは私に...私達にとってのいわば基本フォームですし、イミテーターは中間フォーム?」

奏「あれ最終じゃないの?」

翠「そこはほら、他のギアも全部合体!とかが」

セレナ「片方神獣鏡の併用でもギリギリなのにそんなことしたら」

半分冗談みたいなものなので真剣に考えてもらわなくてもいいんですけどね

翠「とにかく、確かにアメノムラクモの立ち回りを考えておくのは大切でしょう、例えばあれは飛び道具がありません」

奏「剣を投げればいいんだよ、もしくは射出」

翠「まぁそれはそうなんですけど」

英雄王的な射出って出来るんでしょうか...それに投げるにしてもモーションが大きな隙になりかねません
奏さんマリアさんのガングニールの穂の先端からビームみたいなやつが使えればいいんですが

『翠』「盾もないし」

セレナ「羽衣ガードとか下に剣突き刺して地面から壁を出すやつは?」

翔子「そうですよ!お義姉様の羽衣!」

『翠』「光陰剣盾は広い空間とか、そういう場所の制限が...あと羽衣もいいけど、瞬時に羽衣を思い描いた形に折り込めないし...」

空中浮遊能力もあり、その機能を発動させたまま折り込んでガード出来るのはいいんですが、折り込むスピードや強度によっては上手く防ぎきれません
そういえば前にししょーに折り込んだ羽衣を無理矢理こじ開けられたこともありました

翠「あとは、大蛇との連携プレーも...」


アメノムラクモ立ち回り案安価下

『翠』「とりあえずさ、色々考えてみたけどやっぱりビーム撃ちたい」

セレナ「ビーム?剣なのに?」

あぁ、剣を投げるとか射出するよりその方が速いというか楽ですからね
それこそメヌエットさんの砲刀とまでは言いませんが、銃剣...銃刀のような形にアームドギアを変形させられれば

『翠』「両手で握って天高く掲げて、遠くにいる相手に向かって振り下ろしながらビームを放つ!その時の掛け声は『エクスカリb」

翠「違う聖遺物!というより違う作品!!」

奏「落ち着け翠、何だ作品って」

翠「す、すみません」

ま、まぁ確かにアレはかっこいいですし強そうですけど

翠「約束された勝利の剣じゃないんですよ?アメノムラクモは」

『翠』「同じ威力をとは言わないけど、あぁいう感じに出来ないかな」

弓矢のはずのイチイバルで銃だけでなくミサイルやらロケットやら創り出せるシンフォギアなら...?

セレナ「そもそもアガートラームだって本当は『腕』のはずなのに『剣』が使えるし、それこそガングニールだって『ビーム』とか『拳』とか出来るから...」

奏「だな、ありゃ元の武器が何なのかってのにとらわれない方が戦いやすい」

響さんのガングニールは特殊ですし、アガートラームはそれ以前に『右腕』ではなく『左腕』という謎もあります
あれは個人的に実はアガートラームじゃないんじゃないかとすら...いえ、今はどうでもいいですね

翠「思い付いた者勝ちってことですか?」

翔子「それに、アメノムラクモの性能は一応神器の中でも高い部類に入りますからね、多少無理のある発送の転換も出来るでしょう」

そういえばスマホゲーの方のOPとかに映っていた和装ギア
あれがどういう展開で出てくるのかは私は知りませんが、もしあれすらもただ単に発送の転換でギアを変化させたものだとしたら...

翠「技を作るときも想像を創造することで具現化させた、という感じの節もあります。今度試してみますか」

『翠』「やろうやろう!あとあれ、二刀流とかもいいと思う」

二刀流?そんなのアームドギア二本出せば

奏「ほほう、他の剣の聖遺物と二刀流ってことか?」

『翠』「さっすが奏さん、わかってますね」

あーそういうことですか

翠「アメノオハバリですか?」

セレナ「アガートラームとかアメノハバキリとかもだよね」

『翠』「アメノ繋がりでアガートラームよりアメノハバキリ!翼さんに借りるのもアレだからイミテーターで模倣すれば!アメノオハバリはなんか...フォークとはまた違った意味で何となく危ない感じがするし」

翠「わからなくもないですけど...同時併用はさっきも話題に出ましたけど、神獣鏡と他一つがギリギリですよ?」

神獣鏡以外の普通のギア二つを同時併用したらどうなるのかは響さんが実証済みです
アスクレピオスがあるとはいえ、それが間に合わなかったら...第一アスクレピオスを使う前に同時併用の反動で喉がやられたらアスクレピオスを起動させられなくなります

『翠』「なら、アスクレピオスを予め神獣鏡と同時併用しておいて、リアルタイムで治療しながらイミテーターとアメノムラクモを...って流石にキツい?」

翠「出来なくはないかもしれませんけど、身体保ちますかね...せいぜい出来ても神獣鏡、アスクレピオス、その他に一つの合計三つでもギリギリじゃないですか?」

奏「戦う余裕なさそうな荒技だな...」

セレナ「となると...」

翔子「フィーネさんの理論に則って考えると、許容出来る身体の数値を上げるには」

翠「LiNKER...」

LiNKERを複数使ってちまちまと10以上の許容量にするしかない、でしょうか
LiNKERの副作用もまたアスクレピオスでカバー、或いは後で治す...やはり荒治療の域を出ていませんが、これが現状一番確実そうな気もします

『翠』「やっぱり簡単にはいかないか...って、そういえばスルーしたけどアメノムラクモって性能高い?」

翔子「一応硬さでいえばアメノハバキリを凌ぐほど、八岐大蛇の体内にあったことで八岐大蛇の霊力的な力も宿り、さらに何より今はお義姉様の力も込められていますからね!」

そういえば翼さんとのギアを付けての模擬戦のとき、鍔迫り合いで翼さんのアームドギアを砕いたりしましたもんね

翠「そういえばアメノムラクモって何なんです?生き物の尻尾の中に入ってたって...骨?」

『翠』「いやそれはないでしょ...敵の骨を引きずり出した挙句「新しい刀ゲット!」とか言って振り回すのは流石に鬼畜だよ」

翔子「『翠』さん、一応その鬼畜に当たる人物は私の夫なのであまり...」

『翠』「あっ...ごめんなさい」

いや、惚れた相手を櫛に変えたりしてる時点でまぁまぁ鬼畜な気がしますけどね?詳しい事情は知らないのでわかりませんが


他の立ち回り案安価下
(大蛇の立ち回り等、特になければ響さん探しに行きます)
(ヴァルキリーズ・サマーの時のはXD時空のマリアさんが勝手に名付けたものなので、この世界の翔子さんがそれを知っているのもどうかと思いあやふやにしましたが...もし寺島さんが『セイレーンの歌』を唄う機会があればその時は『普通に歌』か『ノイズを出現させたり操れたりしてしまう唸り声』かコンマ判定するかもしれません)
(そしてすでに言われている方もいますが翠ちゃんは『片翼の奏者』までしかプレイ出来てません)

(フィーネ「許容範囲20.0!遂に覚醒したか、蒼井ィ!」

翠「許容範囲ってそんなハザードなレベルみたいなやつなんですか!?」)

今回もまたギリギリになってしまいましたが新スレ建てました
わ、忘れてたわけじゃない...デス...よ?

【シンフォギア】少女「転生したから安価とコンマで月を破壊する」 女神「姫」
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このSSまとめへのコメント

1 :  SS好きの774さん   2018年03月18日 (日) 23:10:48   ID: 7M4FN9CB

393のキャラは、これでいいと思う!

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