結城友奈「勇者の章第四話裏? 何のことだろうね、東郷さん?」 (15)


*勇者の章第四話・海の前で友奈と夏凜が二人きりのシーン

夏凜「──その気持ちを持たせてくれたのは友奈たちなの」

夏凜「……何があったの、友奈?」

友奈「……あ、あの──」

友奈「本当に何でもないんだ」ニコッ

夏凜「……そう……」

夏凜「……悩んだら相談、じゃなかったの……?」

友奈「夏凜ちゃん……」

夏凜「……私、友達の力になりたか──」ウルウル

マテーイ!

友奈「!」



国防仮面「憂国の戦士、国防仮面見参!」ドドーン!



夏凜「!?」





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友奈「わぁ! 国防仮面さんだ! サインください!」キラキラ

国防仮面「いえ、友奈さん、私は国防中ゆえ」ゴメンナサイ

友奈「あ、そうなんだ……」シュン

国防仮面「……くっ! ここは耐えるのよ、私! 今は国防中でしょう!」

夏凜「……何やってんのよ、あんた?」

国防仮面「……この辺で飴の包み紙を歩道に捨てた不届き者が居ると聞いたわ。夏凜ちゃん、犯人に覚えはないかしら?」

夏凜「いや、見ての通りここに居るのは私と友奈だけでしょ? それいつの話よ?」

国防仮面「今日の正午過ぎね」

夏凜「今夕方よ!? あの夕日が見えないの!?」

国防仮面「そう、悪は立ち去ってしまったのね……。この東郷美森! 一生の不覚!」

夏凜「本名名乗ってる名乗ってる」

国防仮面「はっ!? ……そ、それでは私はこれで!」トォッ!

スタタタッ




夏凜「何だったのよ、あれ……」

友奈「今度は国防仮面さんがお休みの日にサインをもらわなきゃ」

夏凜「……ええと、私たち何の話をしていたんだっけ?」

友奈「確か、夏凜ちゃんが『私、友達の力に成孝』って言ったところだったかな?」

夏凜「ナリタカって誰よ……? でも、そうそう、そんな場面だったわ。こほん……悩んだら相談じゃなかったの……? 私、友達の力になりたか──」



国防仮面弐号「この空気で続けるんかーい」ビシッ!



夏凜「!?」




友奈「あ、国防仮面弐号さんだ! 握手してください!」キラキラ

国防仮面弐号「いいよ~」ニギニギ

夏凜「またなんか増えたし……。で、今度は園子が何よ?」

国防仮面弐号「ふっふっふ、私は乃木さんちの園子ではない! その名は国防仮面弐号! 今再び爆誕なんよ!」

友奈「きゃー、国防仮面弐号さーん! いつも応援しています!」ヒューヒュー

国防仮面弐号「せんきゅーせんきゅー」

国防仮面弐号「……」

国防仮面弐号「それじゃあ、私帰るね。ゆーゆ、にぼっしー、またね~」バイバイ

スキップスキップランランラン

夏凜「いや、ほんと何しに来たの!?」




夏凜「……ええとさ、日でも改める?」

友奈「大丈夫! 私はまだいけるよ!」

夏凜「流石友奈ね! じゃあ続けるわよ!」

風「"流石友奈ね! じゃあ続けるわよ!"じゃないでしょ!? 何ドラマのリテイクみたいな感じで続けてんのよ!?」

夏凜「!?」

風「あと、何で夏凜の反応が毎回同じなのよ……」




友奈「あ、国防仮面参号さんだ! 一緒の写真を撮らせてもらっても良いですか?」キラキラ、カシャカシャ!

風「誰が国防仮面参号よ!? アタシをあのお笑いコンビに巻き込まないで! そのスマホもしまいなさい!」

友奈「はい……」ショボン

夏凜「で、風は何の用なのよ? また突っ込みに来たの? 犬吠埼さん、いつもお疲れ様です」

風「誰が突っ込みかぁ! あと何で後半別人みたいになってんのよ? 犬吠埼さんとかあんたに言われたの初めてなんだけど」

夏凜「相変わらずうるさいわね、風は。それでほんと何の用なの? 特に用がないならさっきの続きをしたいんだけど」

風「え? もしかして本当にドラマの撮影をしているとか、そういうノリなの?」

友奈「え! 私たちテレビに映っているの!? どど、どうしよう夏凜ちゃん! 私の制服の下アレだよ!?」

夏凜「でもアレってタトゥーシールでしょ? 剥がしちゃえば? そもそも冬だし上脱ぐこともなくない?」

友奈「あ、そっか」ポン

風「"あ、そっか"ポンじゃないわよ! 天の神の祟りのアレってシールだったの!? そんなの何もかも台無しでしょ!? 最初のシリアスはどこに消えたのよ!? そもそも友奈の秘密をこの時点で知っているアタシたちは何かって話しで──ああっもう! 一体どこから突っ込めば良いのよ!!」ヤッテラレルカ!

樹「──こうして勇者部の皆は末永く幸せに暮らしましたとさ」メデタシメデタシ

風「アタシが言えることじゃないけど、どこから現れたのよ樹!? と言うか、これで締めなの? 良いのこんなんで!?」

樹「ちゃんちゃん♪」




*勇者の章第四話直前のシーン・東郷宅

園子「うわー……また増えてる、よね?」

青坊主(どうも、状況説明の青坊主です。園子嬢ですらドン引きしている東郷家の一室、この光景を作り出したのは何を隠そう、私の主君である東郷美森嬢であらせられまする。この身は精霊であるが故、敬語の使い方は良く知りませんので何卒お許しを)

美森「うふふ……最近、友奈ちゃんの憂い顔が多くてついつい記録を残し過ぎてしまうのよ。そのっち、これを見て! 友奈ちゃん観察記録その項の二億七千万八十八! この横顔がこの世に存在するあらゆる美術品を遙かに凌駕している、そう言っても過言ではないの! そのっちもそう思うわよね!」

園子「あ、うん……そうだといいね」

青坊主(美森嬢の私室の壁、そのいたるところには主君の盟友であらせられまする結城友奈姫の写真が貼られているのであります。四方八方、当然天井から床に至るまで隙間すら許さず全てが友奈姫の光画。……これは園子嬢でもドン引きするのは当たり前の光景ですわー)




園子「……ねぇ、わっしー。このお部屋、とりあえず片づけよう?」

美森「何を言っているの、そのっち? 今朝掃除したばかりよ? ほら、こんなにも綺麗に整頓されているのだから」ネ?

青坊主(そう言って、美森嬢は床に貼られている光画の貼り合わせ部分、写真と写真が重なることなく隙間なく貼られている部分を指し示されました。……いやー、我が主君ながらドン引きの嵐ですわー)

園子「……」

青坊主(『駄目だこいつ早く何とかしないと!』という感じの表情を園子嬢はされています。気持ちよく分かる、オレ精霊青坊主)




園子「……ミノさん、どうか私に力を貸して」テンヲミアゲル…ユウナノシャシントメガアッタ

園子「……」

─キミヲツレテカケダスヨ~ダレモオイツケナイバショヘ~♪

青坊主(その時、挿入歌と共に奇跡が起こったのです! 園子嬢の目の前、その中空に光が舞い降りました!)

パァー

ミノさん(いや~これは流石に無理ッスわー)

園子(!? み、ミノさんなの!? うわーん! 助けてよ~ミノさーん。わっしーがおかしくなったー)グスン

ミノさん(元から須美はこんなもんだろ?)

園子(それもそっか)ケロッ

青坊主(さらっと故人とお話されている園子嬢は思ったそうです。『それでも友達として、それ以前に人として、このままわっしーを放置したままにできない!』と。……ほんとすみません、我が主君がご迷惑をおかけしております)

ミノさん(そんじゃ頑張れよー、園子)バイバイ

園子(うん、ミノさん。私頑張るよ!)バイバイ




青坊主(故人の方の応援もあり、園子嬢にやる気スイッチが入ります。普段はぼけーっとしていますが、この子やる時はやる凄い人なんです)

園子「……」スゥー

園子「──精霊たちよ! 私に続けー!」

青坊主(ご先祖様の台詞と共に、どこからともなく精霊たちが集まってきます。一部で高奈嬢と噂される牛鬼だけはいませんが、それ以外の全員が来ているようです。正直ふわふわ浮いているだけの木霊が来たところで何を行えるのかと疑問は尽きませんが、とりあえず勇者部の精霊が揃いました)

美森「そ、そのっち……? 一体何を……」

園子「皆! ゆーゆの写真を一枚残らず剥がすんだよ!」

青坊主・木霊・義輝・犬神・鴉天狗『オォー!』

青坊主(勇者の掛け声と共に、精霊たちの心は一つとなりました。これが俗にいう習性というやつです)




バリバリバリ
ベリベリベリ

美森「え? え……? う、嘘でしょ!? やめて! やめなさい! わ、私の友奈ちゃんが──!? あぁっ……!!」

海坊主(珍しく美森嬢が狂乱しています──珍しいことだったっけ? ともかく、我ら精霊一同は友奈姫の写真を一心に剥がしていきました。そして、遂に部屋の中は普通の和室と呼べるくらいの状態となり──)

美森「──海坊主、裏切ったわね?」ギロリ

海坊主(ひぃっ!? 我が主君チョー怖ぇよ!! あの、その……いの一番で園子嬢に従ってすみませんでした! マジすみませんでした!!)ドゲザ

美森「罪人青坊主、刑を言い渡す。──斬首」クイクイ

海坊主(手首のスナップで斬首を表現する美森嬢。……う、嘘やろ……? いや、この海坊主に首があるかはともかく、我が主君はやると言ったらやる女! 割と面倒くさくて厄介な女、それが東郷美森! 友奈姫、マジうちの主君が毎度迷惑をかけています! ……へへっ、短い精霊人生だったぜ……)

木霊「……」フワフワ




美森「……今すぐにでも海坊主を斬首に処したいのに……どうしてなのかしら……? 木霊を見ていると、不思議とそんな心も安らいできて……」

美森「……」フゥ…

美森「……そうね、済んでしまったものは仕方がないわ。そのっちも考えあってのことだったのでしょうし……今回だけ許してあげるわよ、もう……」シカタガナイワネ…

園子「木霊の癒し力は世界一なんよ~」メデタシメデタシ

海坊主(あぁっ、木霊様! 役立たずとか思ってマジすみませんでしたッ!!)ドゲザ

木霊「……」フワフワ

木霊「コレゼッタイバックアップアルヤツヤ」フワフワ

美森「!?」

海坊主(こうして我が城から友奈姫の写真は表面上撤去され、勇者の章第四話の撮影に何とか間に合ったのというのが今回のお話なのです。……まぁ木霊様のおっしゃられた通り、部屋中の壁紙の裏に貼られている分はそのままなんですけどね……)

海坊主(ですが! オンエア中の美森嬢の自室が普通の女子中学生らしきものに見えていた事実に何も変わりはありませぬ! これらは全て、園子嬢と木霊様の尽力あってのこと! おかげで我が主君が視聴者様からドン引きされずに済みましたっ! マジ感謝! ……ええと、ドン引きされていないです、よね?)

美森「あ、そうそう海坊主? 次同じことをしたら斬首の上、塩漬けにするから」ニッコリ

海坊主(ひぃぃっ!? ……そ、そんなわけでアニメ二期の私、海坊主は美森嬢に絶対服従なのであります!)






                                                            おしまい






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