理樹「西園さんと深夜の散歩」 (22)
理樹(僕はこの数週間、なんとなく今の生活に違和感を覚えていた。具体的な原因を挙げろと言われれば困るが、なにかおかしいという事だけが漠然と頭の隅にあった。ただ、この前と後で大きく変化した事といえば西園さんと急速に関係が縮まったことだが、それとはまた違う、なんだか大きな『ズレ』が起き始めているような気がした)
理樹(昼休みが終わる直前、そんなことを机に座ってもんもんと考えていると僕の制服のポケットからメールが届いた音がした)
理樹(送り主を確認すると、珍しいことに西園さんから届いていた。彼女は電子機器に疎く、電話をかけるにも一苦労なはずだけど一体どういう風の吹き回しなんだろうか?いや、仮に携帯の操作をマスターしていたとしてこの時間帯なら直接言えばいいはずなんだけど)
理樹(そう思って西園さんの席に目を走らせると丁度あちらも僕を見ていたようで目線がバッチリあった。まだ授業まで5分ほどの猶予があったから直接話そうと席を立ち上がると西園さんは急に顔を変えて緊迫そうな表情で頭を横に振った。動くなということだろう)
理樹(もしかすると直接話すとマズい内容のメールかもしれない。そう思ってやっとメールを開いた。中身はこの一文のみだった)
『今日の22時頃、誰からも見つからずに海まで来てください』
理樹(海、とはおそらく以前”一悶着”あったあの海で間違いないだろう。確かに誰にも見られずという条件ならこれから西園さんと喋っている姿を見られるのは得策ではないかもしれない。しかし、まさか夜に抜け出すなんて誰も考えやしないだろうに何故西園さんは僕と直接話すことさえ渋るのだろう?恭介達がすぐ近くにいるならともかく生徒全員が僕らの行動を監視しているんじゃないんだから)
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理樹(だけど西園さんが気をつけていることを憶測だけで僕が壊すのも怖いので授業中に誰にも気づかれないよう先程考えていた僕の疑問をぶつけると10分後に返事が送られてきた)
『偉そうになりますが、今は何も考えずに私の約束を守ってください。もし私の事を考えてくださるならこのことは誰にも漏らさないでほしいです』
理樹(西園さんはこれまであまり僕に強制するということはなかった。そんな西園さんがここまで言うというのはやはり何かが起きたんだろう。そしてこれも勘だけど、その『何か』とは僕の考えている違和感と繋がるような気がした)
・・・・・・・・・
理樹(放課後、約束の22時までどうしようか考えていると後ろから真人が話しかけてきた)
真人「よう理樹!今からどうするんだ?」
理樹「ああ、僕もどうしようか迷ってた所なん……」
理樹(そう言った瞬間、何故かグラウンドの光景が僕の頭を走り抜けた。その疑問が顔に出てたのか真人が不審な目で僕を見た)
真人「どうした理樹?」
理樹「あっ、いや。なんでもないよ。ただ、こうやって何をするか迷うのって久々な気がしてさ。普段何やって暇を潰してたっけ…」
真人「………ふっ、そりゃ仕方がない。だっていつも俺たちは筋肉ダンスをしてたからな。楽しすぎて時間も忘れるぜ!」
理樹「そ、そうだったけ?」
理樹(真人の答えもなんだかしっくりこないが別にかといって他に考えられる要素もない。納得は置いておいて今は夕飯までの暇つぶしを考えることにした)
理樹(夕飯にはいつも通り恭介、謙吾、真人、僕、鈴、西園さんの5人で集まって食べた)
恭介「…………」
謙吾「…………」
真人「なあ西園…俺のシャキシャキでヘルシーなキャベツまるごと全部とそのカツ一切れだけを交換しないか?」
鈴「アホな事すな!」
真人「ええ~~」
理樹「あははっ」
西園「ふふっ……」
理樹(今日はいつにも増して静かだが楽しい夕食だった。ちょっと前まではもう少しうるさかったような気もするけど)
恭介「あ、そうだ理樹」
恭介「……今日はまっすぐベッドで寝ろよ。明日は小テストらしいじゃないか」
西園「……」
理樹「えっ、小テスト!?そんなの聞いてないけど……」
謙吾「いや、明日は英語の小テストだ。睡眠時間が少ないと朝の頭の回転が落ちるからな。明日の朝は復習しながら朝ご飯を食べよう」
理樹「えっ…そうだったっけ……」
理樹(すっかり聞き逃していたようだ。……でも西園さんの約束があるし少しばかり夜更かしはすることになりそうだ。当の西園さんにちらっと目を向けたがツーンと味噌汁を飲むだけで僕の方に見向きもしなかった)
鈴「なにィ!?あたしも知らなかった!」
真人「へへっ、俺はちゃんと覚えてたぜ!」
鈴「お前はどうせ勉強しないから一緒だ」
真人「うっ……言い返せねえ……」
恭介「西園は知ってたよな?」
西園「………ええ」
理樹(心なしか少しうしろめたそうな声で返事をしていた。知っているということはそれでも重要なことなんだろう)
理樹(家に帰ると真人は珍しく疲れて眠いと言うとすぐにベッドの中に潜って眠ってしまった。おかげで音を立てる注意をする必要もなく9時には抜け出す支度が出来たのはありがたい)
理樹「……真人~……」
理樹(返事はなかったので出発することにした。西園さんが何をするつもりかは知らないが、期待を裏切ることはなさそうだ)
理樹「じゃあお休み…」
パタンッ
真人「…………」
・・・・・・・・・
理樹(学校の外には不思議なことに警備員どころか人1人いる気配がしなかった。ちゃんと明かりはついているとはいえまるで学校の人間すべてがどこかへ消えてしまったような……)
理樹(校門は既に誰かが南京錠を開けていた。きっと西園さんが前もって僕のために開けてくれていたんだろう。とうとうなんの苦労もなく学校を抜け出すことに成功した)
後半へ続く(∵)
バリカンイェイ
腹筋ENDの次はヒロイン坊主ENDにしようぜ
京太郎「猫駆除だぜ」
浜風「うげザビ子御前の薬東方ルピ」
巴「刀を終了に追い込む」
京太郎「海鮮痛めじゃねぇんだぞ」
リョーマ「」チーン圏外ランキング
跡部様「愉悦愉悦」
不死俊介「主人公の分際でランキング10位とか真田と精子に負けて乞い」
〇濃「ガントークのBBAウォ様のペド婚金剛の老地区化」
松風「もっと言って下さい大和型三女先輩」
三笠「衣笠の露出狂」
京太郎「青葉のパパラッチ」
特に理由の無い暴力が越前を襲う
理樹(校門を抜けると一瞬、意識が遠のいた気がした。すぐに調子は回復したからただの思い込みかもしれないけど、こんなところで寝てしまっては冗談ではすまない。そう考えるとぞっとした。さっきまでいた学校がゆりかごのように思えた。僕は他の誰かが近くにいないと一歩も満足に外へ出ることもできないのか。情けないと思いつつも僕の足は一刻も早く西園さんに合おうと忙しくなった)
・・・・・・・・・
理樹(海岸に着くと当たり前だけど波の音しかしなかった。いや、この静けさは普通じゃない。なんだか不思議な感覚だった。心のどこかでは異常に気付いているのにそれを僕は抵抗なく受け入れている。今僕は『夢』の中にいるようだった。時計を見るとまだ21時30分だった。しかし彼女の性格を考えて渚を歩いていくとやはり彼女は既に着いていたようだ。海の端のほうにぽつんと人の姿があった。うちの制服を着て砂浜から地平線を眺めている。夜に合うのは初めてだからか外で日傘を持っていない彼女は新鮮だった。僕が隣に立つと西園さんは顔を動かさず立ち上がった)
理樹「・・・相変わらず綺麗な海だね」
西園「ええ、本当に綺麗な海です」
理樹(いざ何か話そうとしても上手い言葉が思い浮かばず結局ありきたりな言葉で話しかけてしまった。しかし西園さんは一語一語を大切にするように言葉を返した)
西園「今日はこのようなわがままを言ってすいませんでした。でも、どうしても今のうちにここで直枝さんともう一度話したかったのです」
理樹(そして西園さんは「少し歩きましょう」と提案したので僕らは波を撫でるように砂浜を歩き出した)
理樹(星はなかった。曇りではないはずだけど一つも見当たらない。何故かさっきまでくすぶっていた不安感が頭から背中を流れるように襲ってきた。そんな僕の心を見透かしたのか彼女は手を握ってきた。彼女からこういうことをしてくるのは初めてだった)
理樹「に、西園さん!?」
西園「静かにしてください。せっかくの雰囲気が台無しです」
理樹「いや、その・・・」
理樹(そう言われてもやはりこういう恋人っぽいことは慣れない。まだ僕は西園さんから直接装いう言葉を聞いたわけじゃないし僕自身も臆病で恥ずかしがり屋なので言えた試しがない。キスまでしたというのに不思議な話だけど)
西園「いえ。やっぱりいいです。直枝さんぽくありませんから」
理樹(僕はどう返していいのか分からず、とりあえず絡まっている西園さんの指をいじった)
西園「・・・なんだか手つきがエッチです」
理樹「えぇ・・・」
理樹(砂浜の全体の半分まで行ったかというところでやっと本題を聞くことにした)
理樹「西園さん。なんでここへ呼びだしたの?」
理樹(少しの沈黙のあと西園さんは答えた)
西園「・・・ここならやっと本当の内緒話が出来るからです。私は皆さんのなかで一番の恥ずかしがり屋なので」
理樹「内緒話?」
西園「直枝さん、実はもう今日一日しか残っていないのです」
理樹「えっ、な、何が?」
西園「あなたが私の直枝さんでいられる時間が・・・です」
理樹(聞くだけではまったく意味の分からない言葉。しかしその言葉はとても説得力があり、ふざけて言っているようには聞こえなかった。理由は分からないが本当に二人でいられる時間はないんだ)
理樹「それは・・・もうどうにもならないんだね?」
西園「ええ。他でもないあなたのためですから」
理樹「・・・・・・」
理樹(その台詞を聞いた瞬間、どっと感情があふれ出した。これ以上なく彼女が愛おしくなった。僕はその思いをやはり行動に移してしまった)
西園「!・・・・・・」
理樹「・・・・・・」
理樹(その唇の柔らかさといったら!口から伝わる彼女のぬくもりがこの時間を終わらせるのをためらわせた。僕はその体勢のまま彼女のサラサラした髪を優しく撫でた当たり前だが西園さんは僕より小さくてか弱いんだ)
西園「・・・っ」
理樹(目の前にある西園さんの大きな目から大粒の涙かこぼれた。何故彼女は泣いているんだろう?それを推理するため、素早くこれまでの僕と西園さんの思い出を振り返ろうとして気付いた。ここに来るまでの記憶が一切『無い』んだ)
理樹(そして僕はこの唇を離したらもう次にする機会はしばらく起きないであろうことを悟った。僕は悲しくなってありったけの愛情をそのキスに込めてから彼女を離した)
訂正
理樹(砂浜の全体の半分まで行ったかというところでやっと本題を聞くことにした)
理樹「西園さん。なんでここへ呼びだしたの?」
理樹(少しの沈黙のあと西園さんは答えた)
西園「・・・ここならやっと本当の内緒話が出来るからです。私は皆さんのなかで一番の恥ずかしがり屋なので」
理樹「内緒話?」
西園「直枝さん、実はもう今日一日しか残っていないのです」
理樹「えっ、な、何が?」
西園「あなたが私の直枝さんでいられる時間が・・・です」
理樹(聞くだけではまったく意味の分からない言葉。しかしその言葉はとても説得力があり、ふざけて言っているようには聞こえなかった。理由は分からないが本当に二人でいられる時間はないんだ)
理樹「それは・・・もうどうにもならないんだね?」
西園「ええ。他でもないあなたのためですから」
理樹「・・・・・・」
理樹(その台詞を聞いた瞬間、どっと感情があふれ出した。これ以上なく彼女が愛おしくなった。僕はその思いをやはり行動に移してしまった)
西園「!・・・・・・」
理樹「・・・・・・」
理樹(その唇の柔らかさといったら!口から伝わる彼女のぬくもりがこの時間を終わらせるのをためらわせた。僕はその体勢のまま彼女のサラサラした髪を優しく撫でた当たり前だが西園さんは僕より小さくてか弱いんだ)
西園「・・・っ」
理樹(目の前にある西園さんの大きな目から大粒の涙がこぼれた。何故彼女は泣いているんだろう?それを推理するため、素早くこれまでの僕と西園さんの思い出を振り返ろうとして気付いた。ここに来るまでの記憶が一切『無い』んだ)
理樹(そして僕はこの唇を離したらもう次にする機会はしばらく起きないであろうことを悟った。僕は悲しくなってありったけの愛情をそのキスに込めてから彼女を離した)
理樹「これは・・・・夢かなにかだったの?」
理樹(気付けば僕の顎が水で濡れていた。僕も泣いていたんだ)
西園「ある意味ではそうです。しかし何も残らないわけではありません」
理樹「ぼ、僕はこれからどうすればいいの?どうすればまた君に会える?」
西園「残念ながら私は明日からあなたにとって”普通”の西園美魚で、私もあなたをそう思うでしょう。でも、もし奇跡が起こったとして、そのうえでまだ私を忘れなければきっとまた逢えます」
理樹「・・・・・・」
西園「あなたはこれからもいくつもの素敵な恋をするでしょう。それでもまだこの夜を忘れなければ・・・」
理樹「忘れないよ。約束はできないけど、きっと」
西園「直枝さんですから期待はしてません。でも、待ってます」
理樹(それから僕は西園さんに一人で帰るように言われた。一緒に帰ることはできない理由は色々あるんだろうけど、そのうちの一つは僕も同じ思いだった。海を離れるまでに何度も振り向き、遂に見えなくなるところまで来ると泣きながら学校に走った)
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
葉留佳「うおおおお!放課後だーーーい!お腹減ったーーー!!」
クド「は、葉留佳さんチャイム鳴ってから何秒で来ました!?」
恭介「ようし、じゃあ七輪を買いに出よう!今日は秋刀魚バスターズだぜ!」
謙吾「恭介に至っては階が違うだろ!いつの間に現れたんだ!?」
理樹(夏が終わり秋が迫ってきた。例の事故のせいでみんな(特に恭介)はあまり夏らしいことが出来なかったとぶさくさ言っていたがいざ季節が変わったら待ってましたと別の楽しみ方を探す。こういうことだけは本当に感心する)
理樹「あー恭介」
恭介「ん?」
理樹「今日秋刀魚を焼いたりするってことは夜また僕の部屋に集まったりはしないってことだよね?」
恭介「まあそうだな・・・それがどうした?」
理樹「いや、なんでも・・・」
理樹(やっと約束を果たす時が来た。あそこから帰ってきて初めて西園さんを見てからずっと忘れてこなかった。きっと彼女も少しは僕を見直すだろう。昨日徹夜で考えて来た海へ連れ出す一文を小毬さんたちとのんきに話している彼女の携帯に送った)
終わり
理樹「えっ、もう10年経ったの!?」
理樹「えっ、もう10年経ったの!?」 - SSまとめ速報
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さっきこっちも書いたからよろしくな!
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