春香・響「がなはるトーク!」??「がんばります!」 (45)

・キャラ崩壊、口調注意

・今回、本家とシンデレラのキャラが絡みます。

よろしくお願いします。

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天海春香「がなはるトーク!」

我那覇響「この番組は毎回ゲストを招き、ゲストとともにあるテーマに沿ってトークする番組だぞ」

春香「最近さ、私って愛されてるなって思うんだよ」

響「急にどうした?」

春香「街を歩いてるとさ『春香ちゃーん』って声をかけてくれる人が増えてきてね。ああ、愛されてるなーって」

響「話変わるけど、変質者には先に挨拶するのが効果的らしいな」

春香「絶対話変わってないよね?」

春香「それで、何で私がこんなにも愛されてるか理由を考えてみたんだよ」

響「凄いナルシスト臭がする発言だけど大丈夫か?」

春香「それはやっぱり私がドジだからかなって」

響「どんな思考回路してたらその結論にいきつくんだ?」

春香「私の中のリトル春香が囁いたんだよ」

響「蛙の子は蛙だな」

春香「ほら、ちょっとドジな一面もあるって可愛くない?」

響「全然そんなこと思わないぞ。春香にはよく砂糖と塩を間違えたお菓子を食べさせられてるからな」

春香「人に迷惑をかけるドジじゃなくてさ。何もないところでつまずくとか、よくど忘れしちゃうとかだよ」

響「春香、お前、もう老いて……」

春香「違うよ! ドジだよ!」

春香「それじゃあ響ちゃんは私が愛されてる理由ってなんだと思う?」

響「それじゃゲストの方どうぞー」

春香「あっ、待って! 一文字だけ! 一文字だけ教えて!」

響「い」

春香「い……インド! インドにいそうなところ! スラマッパギー! サワディー!」

響「うっそだろ春香お前……」

春香「それじゃあスッキリしたことだしゲストの方どうぞー」

島村卯月「今日はよろしくお願いしますね♪ がんばります!」

響「今日のゲストは本当の愛されキャラ島村卯月さんです」

春香「本当って何? 本当って」

響「そのままの意味だぞ」

春香「それにしても卯月ちゃん良かったの? 今をときめくトップアイドルがこんな場末のスナックみたいな番組に出て」

卯月「場末のスナックなんてそんな! 実はこの番組にずっと出たかったんです。前に出演してた方達もまた出たいってよく言ってますし」

響「へぇー、それは嬉しいな。どんなこと言ってたんだ?」

卯月「酷い目に遭う仲間ができたとか、泥酔しながらでも収録できるのが楽しいとか言ってました!」

響「あ、まったく嬉しくないぞ」

卯月「後、『ロック!!』って言ってました!」

春香「な~んにも伝わらないよね」

卯月「だから、今回お呼ばれして本当嬉しかったです!」

春香「そう? そう言われると何だか照れちゃうな~」

響「だな。それじゃ卯月、トークテーマを引いてくれ」

卯月「分かりました! えーっと、それ! 出ました! 『疑問に思ってること』です!」

『疑問に思ってること』

春香「何故響ちゃんは私のことを好きなのか――」

響「あ、そういうの今いいんで」

春香「いけずだな~。それじゃ、疑問に思ってることとはちょっと違うかもしれないんだけど、ちょっと気になってる建物があってね」

卯月「建物……ですか?」

春香「うん。夜になったらライトアップされてめちゃくちゃキレイなんだけどね。ほら、○○河川敷の向こう岸に見えるお城みたいな建物だよ」

響「…………」

卯月「…………///」

響・卯月(ラブホテルだ……)

春香「あの建物さ、346プロダクションの新しい女子寮だったりしない? お城の形してるし、豪勢だし」

卯月「やめてください!」

春香「えっ、ごめん」

春香「最近その建物がどうしても気になってさ、夜になるとよく見に行ってるんだ」

響「……夜道は危ないからな、あんまり見に行かない方がいいぞ」

春香「でも、本当にキレイでね。私もあのお城に入りたいなーって」

響「でも、夜は危ないから……最近物騒だし……」

春香「そうだ! 今度は響ちゃんも一緒に行こうよ! 一緒にあのお城を見ながら夜通し語り合おうよ!」

響「いやいや、夜は危険がデンジャラスだから……」

春香「あっ、なんなら一緒に入ってみる? 探検だよ! 探検! 天海春香探検隊出動!」

響「いや、自分ビビリだからそんなところ行けないぞ……」

春香「じゃああの建物を背景に撮影会でもしようよ! あの建物は響ちゃんに一番似合うから!」

響「……月夜ばかりと思うなよ」

春香「えっ、何、どうしたの急に? 何で怒ったの?」

春香「まぁ、それでさ二人は何かあの建物について知らないかな~って」

響「……皆目見当もつかないなー」

卯月「……私、知ってます」

春香「ホント!?」

響「卯月!?」

卯月(……響ちゃん、春香ちゃんはこのままあの建物のことを知らないときっといつか恥をかきます。なら、すぐにでも教えてあげるのが優しさってものです)

響(でも卯月が犠牲になる必要なんてどこにもないぞ!)

卯月(いいえ、春香ちゃんは同じ芸能界という戦場を生き抜いている戦友です。見捨てるわけにはいきません)

響(卯月……)

春香「あっ、もしかして卯月ちゃんのお家だったりする? 卯月ちゃんにピッタリだもんね!」

響(……あんな奴だぞ?)

卯月(……あんな人でもです)

卯月「は、春香ちゃん! あ、あの場所はですね!」

春香「うん、あの場所は?」

卯月「あの場所はら、らららら、らららららららららららら」

春香「ら?」

卯月「らららら……コ、コウノトリさんの巣なんです!」

春香「? コウノトリってたしか絶滅危惧種だよね? それがあんな所に巣なんか作るかな?」

卯月「そ、そうじゃなくてですね……! ほら、コウノトリさんは何を運んでくるって言いますか? それをつくる場所なんです!」

春香「コウノトリって名前だし、幸せを運ぶ鳥かな? それじゃ幸せをつくる場所?」

卯月「え、いや、えっと……その……」

響「それは違うぞ春香」

卯月「ひ、響ちゃん! 助けてくれるんですね!」

響「コウノトリの名前の由来は『カン+の+鳥』が変化してコウノトリになったからだぞ」

卯月「そっちですか!?」

春香「で、結局どういう建物なの?」

卯月「えっと、あの……うぅ……すみません。実は私もよく知らなかったみたいです」

春香「あっ、そうなんだ。それならしょうがないね」

卯月「はい……」

春香「口で説明するのって案外難しいよね」

卯月「はい……」

春香「それなら今度一緒に行けばいいだけの話だしね」

卯月「はい……って、うえぇ!?」

春香「だって卯月ちゃんは口では説明できないけどどんな建物かは少しは知ってるんでしょ? なら一緒に行けばいいじゃん。それで私を案内してよ」

卯月「無理無理無理です! そもそも私達は入れませんって!」

春香「? じゃあ何で卯月ちゃんは知ってるの?」

卯月「うっ……ひ、響ちゃ~ん、助けてくださいぃ~」

響「うーん、ま、一度二人で行ってきたら? 面白そうだし」

卯月「まさかここで裏切るんですか!?」

春香「それじゃ、あの建物は今度卯月ちゃんと一緒に探検するよ。これで私の疑問は解決だね」

卯月「ホントに行くんですか!? 冗談ですよね!?」

響「さ、次は自分の疑問だぞ。自分はあれだな。何で女の子は自分のことを下の名前で呼ぶのかが疑問だな」

春香「あー、そういう子いるよね」

卯月「杏ちゃんやきらりちゃんがそうですね」

響「あれは何でかなって気になってさ」

春香「うんうん、分かるよ。でも、亜美真美と美希は理由分かるよね?」

卯月「亜美ちゃんと真美ちゃんは双子だからでしょうか? 今話しているのが亜美ちゃんか真美ちゃんかどちらかっていうのが分かるように」

響「たぶんそうだな。でも美希は分からないぞ」

春香「美希はね。自分の名前を苗字の『三木』だと間違えてるからだよ。バカだよねー」

響「春香、お前バカだろ」

春香「わりと」

春香「まぁ、これは可能性の一つとして考えておくぐらいでいいと思うんだ」

響「万に一つもないから安心していいぞ」

卯月「というか自分のことを苗字で呼ぶ方が珍しいですし……」

春香「あっ、そうか」

卯月「私の意見言ってもいいですか? 子どもの時から自分のことを下の名前で呼んでて、それが成長しても治らなかったのが原因だと思うんですけど」

響「ああ、それっぽいな」

春香「それじゃ、何で自分のことを下の名前で呼び始めたのかが気になるよね」

響「両親から下の名前で呼ばれて、それがそのまま身についたとかじゃない?」

卯月「その可能性は高そうですよね」

春香「まぁ、私も同じ意見なんだけどさ。もし、『第六天魔王』って名前の子どもがいたらそのまま名前呼びになるのかなって。ほら、言いにくいじゃん」

響「例えがぶっ飛びすぎて内容頭に入ってこないんだけど」

春香「『うわ~ん! お母さ~ん! 第六天魔王おねしょしちゃったよ~!』……ね? 言いにくいでしょ?」

卯月「とりあえず字面が酷いです」

春香「最近は色んな名前が増えてきてるからね。そう遠くない未来『第六天魔王』ちゃんが本当に出るかもよ?」

響「もしそうなったら日本は滅亡していいと思う」

春香「でも、子どものとき羨ましい名前とかなかった? 私、ありすって名前に凄い憧れてたよ。可愛くて」

響「橘です」

卯月「橘ですね」

春香「この前『ありすちゃ~ん』ってフレンドリーに名前呼んだら『は?』って言われたからね。ゾクゾクしたよ」

響「もうそのまま風邪引いて寝込んでくれたらいいのに」

春香「二人はそんなのなかった? 羨ましい名前」

卯月「私は別になかったですね」

響「自分は居たぞ。男子だけど」

春香「男子?」

響「うん一 一(にのまえ はじめ)って名前の子なんだけど、画数が少なくてテストのときとか自分が頑張って苗字書いてる間にもう問2まで解き始めててさ。あれは子どもながらにずるいと思ったぞ」

春香「えっ、響ちゃん、自分の名前すら書けないの? 教えてあげようか?」

響「読解力クレイジーすぎるだろ」

響「我那覇響ってめちゃくちゃ画数多いだろ? 自分の名前書くときとかホントに大変でさあ」

春香「確かに多いよね。我響に改名したら?」

響「自己アピール凄いな」

卯月「でも私、『我那覇』って苗字すごくかっこいいと思いますよ!」

響「そ、そうか?」

卯月「『島村卯月』とかだと普通ですけど、『我那覇卯月』にするとすごく強そうですよね!」

春香「『我那覇第六天魔王』……ホントだ! 何だか世界征服できそうな名前になったよ!」

響「待て春香。何で今第六天魔王とつなげたんだ?」

卯月「『我那覇夜叉九郎』も中々ですよ!」

春香「『我那覇坂東太郎』もよくない?」

卯月「それなら『我那覇伊達政宗』もかっこいいです!」

響「人の名前で遊ぶな! ってか何で戦国武将とばかりコラボしてるんだよ!」

響「はぁ……大分話が脱線したな。気持ち切り替えて本題に戻るぞ。えっと、下の名前が言いにくい子は自分のことを下の名前では呼ばないんじゃないかって話だったよね?」

卯月「そうですね。私はその意見に賛成です!」

春香「やっぱり語感とか言いやすさが重要視されると思うよ」

響「そうだな。まとめると、下の名前で呼ぶのは両親に呼ばれたのが身についたからで、名前が言いにくかったら可能性は低くなるってことでいいか?」

春香「いいと思うよ」

響「よし、それじゃこの疑問は解決だな」

卯月「あのー、私一つ質問があるんですけどいいですか?」

響「ん? いいぞ」

卯月「はぁとさんはどう処理すればいいでしょうか?」

春香「特殊分類でいいんじゃない?」

響「それは大分特殊だな」

卯月「……というか響ちゃんも人のこと言えなくないですか?」

響「へ?」

卯月「いや、『自分』って結構特殊だと思うんですけど……」

響「あー、これは気にしなくていいぞ」

春香「そういえば何でなの?」

響「いや、その……な?」

春香「ちょっとかっこつけたかったけど。さすがにオレとかボクは恥ずかしかったから自分に落ち着いたの?」

響「な、なんでそれ――」

春香「へぇー、そうなんだ」

響「いやっ、ちがっ」

春香「可愛いね♪」

卯月「響ちゃん可愛いです♪」

響「もー! 話聞いてよー!!」

卯月「最後は私ですね。うーん……あの、聞いていいのか分からないんですけど……」

春香「いいよいいよ。何でも聞いて」

響「自分達に答えられることだったら何でも答えるぞ」

卯月「そちらの社長さんの素顔とかって――」

響「さて、残念ながらお時間がきてしまいました」

卯月「えっ、さっき何でも聞いてって」

春香「それじゃ卯月ちゃん番宣をお願いします」

卯月「うえっ!? え、えっと、来週土曜日○時に私たち346プロダクションのアイドルを特集した番組、『魔法にかけられた少女達』を放送します! この番組を見るだけでうちのプロダクションを十二分に知ることができるので是非見てくださいね!」

響「それじゃまた来週!」

卯月「あ、あのそれでそちらの社長さんの素顔は――」

春香「卯月ちゃん、世の中にはね、決して人が触れてはいけないバブーがあるんだよ」

卯月「それを言うならタブーだと思うんですが……」

響「春香の頭脳は赤ちゃんだから」

春香「まあ、赤ちゃんプレイの時には困らないよね」

卯月「その行為自体が困るんですけど……」

――収録後――

春香「お疲れ様ー! ねぇねぇ卯月ちゃん。この後予定ある?」

卯月「え、特にないですけど……」

春香「それじゃどっか遊びに行こうよ! 他事務所の子とこうやって親睦を深めるのも大事だと思うんだよね!」

響「本音は?」

春香「仲良くなって仕事のおこぼれほしい」

卯月「そんな理由ですか!?」

春香「うそうそ。冗談だよ。普通に卯月ちゃんと遊びたいだけだから」

卯月「あっ、やっぱり冗談ですよね。よかった……」

響「春香はすぐウソつくからな」

春香「ネタ振ってきたのは響ちゃんだよね?」

響「それでどこ行く?」

春香「露骨に話逸らして」

卯月「私はどこでもいいですよ!」

春香「あっ、だったらあそこ行こうよ! 今日の収録で言ってた建物!」

卯月「建物……? あっ、うえぇ!? 本当に行くんですか!?」

春香「そりゃそうだよ! このままだと私の痴的好奇心が騒いで眠れないからね!」

卯月「知的好奇心では……?」

響「ある意味あってるけどな」

春香「それにトップアイドル島村卯月ちゃんの案内付きでしょ? これはもう行くしかないでしょ!」

卯月「やっ、だからあのですね、私も詳しくは――」

響「いいじゃん。行けば」

卯月「響ちゃん!?」

響(よく考えろ卯月。このままなあなあで済ませて、後で春香があの建物の本当の意味を知ったときのことを)

卯月(……私がラブホテルの常連だと思われてしまう?)

響(そうだ。だから早めにこういうのは片付けたほうがいいんだよ。それに、さすがの春香も建物の入り口まで行けば気づくだろ)

卯月(……それもそうですね)

春香「? 二人ともさっきから何をこそこそ話してるの?」

響「春香には恥的好奇心の方がしっくりくるよなって」

春香「まださっきの話してたの!? それはもういいから早く行こうよ!」

――河川敷――

卯月「ふぅ……風が気持ちいいですね~」

響「そうだなー」

春香「もうすぐ透けブラの季節だねー」

響「夏って言って?」

春香「気が向いたらね」

響「あっ、言う気ないな」

卯月「夏っていったら水着のお仕事ですよね……。ダイエットしなくちゃ……」

春香「あー……」

響「憂鬱になってきたな……」

春香「卯月ちゃん、何か手っ取り早く痩せられる方法知らない? そっちの事務所って色んなスペシャリストがそろってるじゃん」

卯月「茜ちゃんランニングと怪しい薬とダイエットメカと締め切り間近の原稿の手伝いとサイキック、どれがいいですか?」

春香「ろくな方法がないや」

卯月「オススメはサイキックですね。10%の確率で何の苦労もなく痩せられると評判です」

響「90%は?」

卯月「はじけます」

響「何が!?」

卯月「まぁ、楽な方法なんてないってことですよね」

響「だなー。やっぱり地道にコツコツが一番だな」

春香「人生送りバントだよ」

響「そういえばダイエットには水泳が効くって聞いたことあるぞ。……おや? こんなところに川があるな。春香」

春香「ここで泳げと? さすがに暖かくなってきたとはいえこの時期はまだ――あれ?」

卯月「どうしたんですか? 春香ちゃん」

春香「……ごめん! 私、ちょっと行ってくる!」

卯月「うえぇ!? どうしたんですか春香ちゃん! 急に川に向かって走り出して!」

響「うーん、まさか本当に泳ぎに行くとは……」

卯月「えぇ!? いやいやさすがの春香ちゃんでもそれはない……ですよね?」

響「ないと言い切れないところに春香に対する信頼度が感じられるな」

春香「はぁはぁ……やっぱり!」

卯月「急にどうしたんですか春香ちゃん」

響「本当に泳ぎたくなったのか?」

春香「違うよ! ほら、あそこ見て!」

響「……あれは!」

卯月「大変! 子犬……でしょうか? 溺れてます!」

春香「助けないと!」

卯月「助けないとって……子犬まで大分距離がありますよ! 今すぐ大人の人呼んできます!」

春香「それじゃ遅いよ! 響ちゃん、卯月ちゃん、後お願いね!」

卯月「えっ、後お願いって……」

春香「溺れたらごめんねってこと! ワンちゃん、今行くからね!」

ザパァン

卯月「春香ちゃん!? 泳いで助けに行くのは危ないですって! 響ちゃんも何か言ってください!」

響「えぇ……」

卯月「何でそんな面倒くさそうなんですか!?」

卯月「このままだと春香ちゃんも溺れるかもしれないんですよ!?」

響「うーん、まぁ、大丈夫だろ」

卯月「大丈夫って……! 何でそんなに冷静にいられるんですか! 仮にもコンビを組んでる仲じゃないですか!」

響「いや、だって、なぁ……」

卯月「だっても何もありませんよ! 春香ちゃんは今も一生懸命――」

春香「あ、案外浅い」

響「ここ、普通に足つくからな」

卯月「」ズルッ

――――――――

春香「ということで、天海二等兵。無事、子犬を保護いたしました」

響「ご苦労。その功績を認め、二階級特進とする」

春香「私死んだの?」

卯月「春香ちゃん……心配させないでください……」

春香「ごめんごめん。でもさ、居ても立ってもいられなくなってね」

響「まぁ、頭より先に身体が動くのが春香の良いところだからな」

春香「ん? ちょっとバカにしてない?」

響「まっさかー」

春香「まぁ、もし深くて私が溺れても子犬が無事ならオールオッケーだよね」

響「命の価値がよく分かってるな」

春香「命の価値は平等だよ?」

卯月「こっちは本気で心配したんですからね! 無茶はしないでください!」

春香「ごめんね」

卯月「もう次からはあんな無茶しないでくださいね!」

春香「いやー、それは約束できないかなぁ……」

卯月「何でですか!」

春香「いやさ、目の前で何か困ってる人がいれば勝手に身体が動いちゃうんだよね」

卯月「それにしたって状況ってものがあるでしょう!」

響「まぁまぁ、その辺にしておいてあげてよ」

卯月「でも響さん!!」

響「本当に危ないときはちゃんと自分が止めるからさ。それに、そんなときに動かない春香は春香じゃないぞ。春香はいつも一生懸命だからな。それが春香の一番いいところだぞ」

春香「響ちゃん……」

響「なっ、そうだろ? 春香」

春香「……まっ、そうだね」

卯月「…………はぁ、まったくもう!」

ワンワン! ハッハッハッ!

響「そうだ。子犬に名前をつけなきゃな」

卯月「つける必要あります?」

春香「まあ、響ちゃんの趣味みたいなものだから」

響「よし。今日からお前の名前は『春香に助けられたのが人生の汚点郎』だ」

春香「名前酷すぎない?」

卯月「辛うじて名前だって分かる部分『郎』だけですよ?」

響「よーし汚点郎、遊びに行くかー」

春香「あっ、そうだ響ちゃん」

響「ん? 何だ?」

春香「今日の収録の最初の方でさ、私が愛される理由について話してたじゃない」

響「ああ、あの茶番?」

春香「うん。それでさ響ちゃん、私が愛される理由の最初の一文字は『い』って言ってたじゃない。あれってもしかして『一生懸命なところ』が答え?」

響「なっ、なんでそれ――」

春香「やっぱり! さっき響ちゃんが、いつも一生懸命なのが春香の一番いいところって言ってくれたからね。その言葉を聞いてティンときたんだよ」

響「えっ、いや――」

春香「響ちゃんがまさかそんな風に思ってくれてたなんてねー♪」

響「お、汚点郎遊びに行くぞ! ほら、ついてこい!」

春香「あっ、響ちゃん――もう!」

卯月「ふふっ、よかったですね春香ちゃん。響ちゃんがどう思っているのか分かって」

春香「ねー。少しは素直になってくれたらいいのに」

卯月「本当ですね♪」

――――――――

春香「……響ちゃん遅くない?」

卯月「確かに遅いですね……」

春香「ちょっと見に行こうか」

卯月「ですね」

春香「もしかしたら汚点郎に嫉妬したいぬ美に食べられてるかもしれないし」

卯月「そんな我那覇家の闇は見たくないです」

響「zzz……」

春香「あっ、響ちゃんこんなところで寝てる」

卯月「汚点郎と遊び疲れて寝ちゃったんでしょうか?」

春香「んー、というよりどんな顔で私と会っていいか分からなくて考え事してたらそのまま寝ちゃったんじゃない?」

卯月「あー、その可能性もありますね」

春香「汚点郎もいなくなってるね。花咲か爺さん的な展開も少しは期待してたんだけどなー」

卯月「ふふっ、きっといつか今日の行いが報われる日がきますよ」

春香「さて、それじゃ――」

卯月「ええ、帰りましょうか?」

春香「何言ってるの? あの建物に行くんでしょ?」

卯月「……へ?」

春香「ほら、最初の目的は卯月ちゃんにあの建物を案内してもらうことだったじゃない。当初の目的は忘れちゃダメだよ」

卯月「で、でも響ちゃん眠っちゃってますし……」

春香「大丈夫大丈夫。あの建物、目と鼻の先だし。それぐらいなら響ちゃんをおぶっていって、どんな建物か確認した後プロデューサーにでも迎えにきてもらうよ」

卯月「えっ、いやでもあのですね……いくら目と鼻の先だと言っても人間一人おぶっていくのは辛くないですか?」

春香「問題ないよ。ほら、私鍛えてるし、響ちゃんなんてベンガルトラより軽いし」

卯月「何で比較対象がベンガルトラなんですか!?」

春香「この前仕事で持ち上げたからね」

卯月「どんな仕事してるんですか!!」

春香「細かいことは気にしなーい。ほら、行こ行こ」

卯月「えぇ……」

春香「着いたねー!」

卯月「着いちゃいましたね……」

春香「じゃあ、卯月ちゃん案内よろしく!」

卯月「……あの、春香ちゃん。ここは宿泊施設なんです」

春香「あっ、そうなんだ」

卯月「それでこの外見とか値段とか文字とか見て何か気づきません?」

春香「んー、全然分かんない!」

卯月「あっ、そうですか……。それじゃ、私は待ってるんで一人で確かめて来てください」

春香「えっ、案内してくれないの?」

卯月「私は入ったことないので……」

春香「そう? じゃあ行ってくるよ」

タッタッタッ

卯月「…………はぁ」

春香「卯月ちゃん卯月ちゃん!!」

卯月「うわぁ!? 春香ちゃん!? 早くないですか!?」

春香「そんなことどうでもいいよ! ここってそういう建物だったんだね!」

卯月「そうですよ……納得しました? 帰りますよ?」

春香「あっ、そうだね。帰らないとねー。でもなー、響ちゃんが寝ちゃってるんだよねー。これはどこかで休憩しないとねー」

卯月「……………………はい?」

春香「じゃっ、そういうことでよろしく」

卯月「いやいやいや! よろしくじゃないですよ! 響ちゃんをどうするつもりなんですか!」

春香「離して卯月ちゃん! 卯月ちゃんも言ってたよね? 今日の行いが報われる日がくるって!」

卯月「言いましたけど! 言いましたけどそれはダメに決まってるじゃないですか! ちょっ、力っ、強っ、だ、誰か大人の方ー!! 助けてくださいー!!」

END

ここまでお付き合いいただきありがとうございました。

お目汚し失礼しました。

過去作乗せます。
よろしければ是非読んでください。

本編
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番外編
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