春香「天海春香です」 (42)
私の名前は天海春香。
私は高校生として学校に通うと共に、アイドルとしても活動をしている。
小さな頃、ステージで歌を歌ったり、ダンスを踊ったりしていたアイドルの姿を見て、私はアイドルになりたいと思ったのだ。
私は学校で将来に向けて勉学に励むとともに、アイドルを目指してレッスンに励む生活をおくっている。
今日は、私は事務所に通い、レッスンを受けてダンスや歌の練習をしていた。
私の横には、私のアイドル活動の親友である如月千早が共にレッスンを受けていて、私は如月千早と一緒にレッスンを受けているところだった。
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「今日も頑張るよ、千早ちゃん」
私がガッツポーズをすると
「ええ、がんばりましょう」
如月千早は、えぇ、と頷く。
「先生、今日もよろしくお願いします」
「よし、気合いは十分ね。それじゃいくわよ」
レッスンの先生は、よし、と気合いを入れると、
その後は手拍子の声と、返事をする声が部屋中に響き渡った。
「ありがとうございました。」
レッスンが終わり、いつものように私は家に帰る準備をしていた。
事務所には、ぬいぐるみや誰かの手作りお菓子など、様々な私物が置いてあった。
事務所を出ようとすると、ドアの所に如月千早が立っていた。
「一緒に帰りましょう」
如月千早は耳にイヤホンをつけ、音楽を聴いているようだった。
「うん、帰ろう」
私は事務所に向かって挨拶をすると、如月千早と事務所を後にした。
「今日もがんばったね、千早ちゃん」
こう言うのは日課のようなものだ。
社交辞令のようなものではなく、なんとなく、いつもそう言ってしまうのだった。
如月千早も、えぇと頷いてはいつものように音楽を聴いていた。
外は薄暗くなっていて、道路のあちこちに電気がつき始めていた。
私は、いつものように如月千早に聴いてみた。
「何聴いてるの」
「今話題になってる、Meeting togetherという曲よ」
「えぇ、そうなの?」
「あら、知らなかったのかしら。この曲は今大人気よ」
「へぇ、今日も新しい人気の曲を知ったよ。千早ちゃんいつも詳しいよね」
「そうね。春香、この曲なかなか良いと思うわよ。ちょっと聴いてみたらどうかしら」
「うん、そうする」
私は、如月千早から音楽プレーヤーを渡してもらった。
曲はなかなか良い曲だった。
「確かに、テンポも良くて聴いてて楽しくなる曲だね。なんかこの感じ、ダンスに取り入れてみたいな」
「あら、ならちょうど喫茶店があるし、そこで話し合わない?」
「うん、そうしよう」
私は、すぐ近くにあった喫茶店に入った。
「飲み物は何にする?」
「そうだね。私はりんごジュースにする」
「そう。私はオレンジジュースにするわ」
りんごジュースをひとくち飲んでみると、少し甘めのりんごの味がした。
「少し甘くて、このジュースなんだか凝ってるよ、千早ちゃん」
「そうね。私が飲んだオレンジジュースも、少し甘めよ。
如月千早は、静かにオレンジジュースをテーブルに置いた。
「何か食べる、千早ちゃん?」
「そうね。ちょうどレッスンも終わって、小腹が空いてるところだし、何か食べましょう」
「うん、そうしよう」
私は続けてオーダーを頼んだ。
手元に渡されたのは、ピザだった。
如月千早は、ナイフでピザを半分に切ると、それぞれ皿に移して、片方を私に手渡した。
「ありがとう」
ピザをひとくち千切って食べてみると、少しモチモチとしたチーズの味が口の中に広がった。
「うん、ピザも美味しいね」
「そうね、どんどん食べましょう」
私はピザをひとくち、ひとくち、口に運んでは食べた。
「さっき聴いた曲だけど、やっぱりテンポが良いと思うんだよね」
「サビに入る前のリズム感かしら」
「そうそう、そのリズム感がダンスを踊ってるみたいで、なんだか楽しいダンスを踊ってるような気がしてくるんだよね」
「うんうん」
如月千早は、オレンジジュースをひとくち飲むと、カバンからごそごそと何かを取り出した。
「これが、その曲のCDなんだけど」
「うわー。鮮やかで良いデザインだね」
「そうね。私も良いデザインだと思うわ」
如月千早は、テーブルの上にCDを置いた。
「うーん。やっぱり、楽しいダンスを踊っているような気がするよ、千早ちゃん。今度、何かレッスンに取り入れてみるのも良いと思うよ」
「ええ。私もそれは良いと思うわ。春香、今度試してみましょうか」
「うん。今度先生に話してみよう」
「ええ。そうしてみましょう」
私は、残っていたピザを次々と口に運んだ。
「千早ちゃん、今日は何か良いものを得た気がするよ」
「ふふ、そうね。この喫茶店もおいしくて、良い店だったわ。また来るのもいいかもしれないわね」
「それも、そうだね」
私は、如月千早と喫茶店を後にした。
外はだいぶ暗くなっていて、道は電気で照らされていた。
「今度のレッスンいつだっけ」
「明後日の今日と同じ時間よ」
如月千早は、イヤホンを耳につけ、音楽を聴きながら歩いている。
それはいつもの光景だった。
その横で、私は歩きながら如月千早と話をする。
「千早ちゃん、いつもそうして音楽を聴いてるよね」
私はいつもレッスンを受けて歌やダンスに励み、
いつかライブで歌ったり踊ったりして、小さな頃に見たアイドルのように、私もなってみたいなぁと、偶にそういうことを私は考えた。
「ええ、そうね。春香もこうして音楽を聴いてみたらどうかしら」
そう言って、如月千早はイヤホンを調節する。
「ふふ。いつもレッスンを受けて、千早ちゃんと頑張ったりして、いつと千早ちゃんから音楽の話を聞いたり、何か教えてもらったりすることもあるけど、偶に沢山の人の前で歌ったり、踊ったりしたいなと思うことがあるんだ」
「そう。私もそう思うことはあるわ。それは、春香と同じものかはわからないけど、アイドルたるもの、皆そういうことは考えるんじゃないかしら」
「そうじゃなくて、私はあまり大きな仕事をしたことがなくて、アイドルとして沢山の人の前で歌ったり踊ったりすることがなかったから、いつかそうなれるかなと思うことがあるんだ」
「春香。さっきの話でダンスに気合いが入るのはいいけど、まだ私達はそんなことができるほど、歌もダンスも上手ではないと思う。今日のダンスの話は良かったと思うわ。また一緒にがんばりましょう」
「うん。そうだね」
私は帰る道が分かれるところが近づいたところで、ぐっと手を伸ばして背伸びをした。
「ああ、今日は良い一日だったよ千早ちゃん。明日も朝早くから学校で忙しいけど、また、頑張ろうね」
「えぇ、そうね。私も明日は朝早くて忙しいの。だから、今日は早めに寝ないといけないわ」
「えぇ、そうだったの。いろいろ話して良かったのかな、ごめんね千早ちゃん。今日はありがとね」
「えぇ、レッスンに関する話は大事だと思ったからいいわ。今度のレッスンがんばりましょう」
「うん。じゃあまたね、千早ちゃん」
私は家に帰宅すると、明日に備え早めに寝床についた。
次の日
今日は朝早くから学校があった。
「行ってきます」
私は家を出ると、学校に向かう。
自転車に乗ったり、電車に乗ったり、学校まで少し遠いけれど、毎日ちゃんと通っている。
学校では、私がアイドルとして活動していることが周りの人に知れているけれども、
特別アイドル活動をしていることが、注目の的になることはなく、私は至って普通に過ごしていた。
私の他にも、絵を描いたり、スポーツに励んだりする、熱心な人が沢山いて、凄いなと思う人が沢山いたので、特別アイドルであることが、学校で先生することに何か関わることはなかった。
「えぇと、今日の朝自習は数学かぁ」
私が通っている学校は、朝早くから自習といって
自主勉強のようなものを行う時間があった。
今日は数学の先生から与えられた課題を解いて、丸つけをし、復習をするというメニューだった。
私は配られた紙に目を通して問題を見た。
そこには、最近習ったばかりの問題が並んでいた。
でも、なかなか理解ができなかった私には、少し難しく見えた。
「えぇ、これはどう解けばいいんだっけ。うーん。習った通りに解こうとしても、難しくてなかなか解けないなぁ」
「あら、春香さん。ここをこうすればいいんですよ。ほらここの5という数字を6にかけて計算すればいいんですよ」
丸つけの際、私は隣に座っていた同じクラスの人と一緒に、丸つけを行っていた。
私は、ノートに書いた自分の回答を見て、教えてもらった通り、字を書き写す。
すると、先生が皆の前で大きく話をするのたった。
「いいか、大学生になったら、自分で授業を選択して授業を受けるようになる。数字は理系の分野では基本になるからしっかりと学ぶように。また、そうでない人も、学んで無駄になることはないから、しっかりと勉強した方が良いと思います」
「はい」
私は返事をして、授業が始まる前に準備を始める。
学校生活は楽しいものだった。
学校に通って、勉強して、放課後に音楽ショップに入ってみたり、喫茶店に入ってみたり、小さなお店に入ってみたり、そして、家に帰って宿題をする。
次の日、また学校に向かい、同じクラスの人に、前の日にあった出来事を話し、何処の喫茶店の何が美味しかった。新しくお店ができていたと、話したり
私はそういうふうに過ごしていた。
「あ、そうだ。授業まで時間あるし、昨日千早ちゃんと話したダンスについて考えよう」
ても、私はアイドル。
学校生活を送る中で、自分がアイドルであることを忘れることはあまりなかった。
アイドルとして、私は学校で生活していることがあった。
そんな私は、偶に学校生活に憧れのようなものを感じることがあった。
「さっきはありがとう。今日もがんばろうね」
私は隣に座っている人にそう言った。
その言葉は本心であり、私は普通にそう声をかけていた。
さっ、今日もがんばろう。そう思って、黒板に顔を向けた時、教卓から先生の大きな声が響き渡った。
「おい、皆。ちょっと聞いてくれないか」
注目が集まる中で、先生は静かに口を開いた。
「突然だが、今日、転校生が来ることになった。皆、暖かく迎え入れようか。それじゃあ拍手」
「えぇ、転校生が来たんだ」
私はパチパチと手を鳴らした。
そうして、教卓の前へと、姿を現わす人に顔を向ける。
すると、そこに現れたのは
「初めまして、如月千早です」
私の親友である、同じアイドル活動をしている如月千早だった。
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