春香「アイドルのみんなに腹パンしたくなってきた」(201)

こんばんは。765プロ所属のアイドル「天海春香」17歳です。
突然ですが友達に腹パンしたくなる時ってありますよね。少なくとも私はあります。
というわけで、今回は事務所に来てる皆に腹パンして回ろうと思います。わっほい!

やよい「うっうー!タマゴの殻についてる膜を絆創膏代わりにしますー!」

絶好のターゲーットを見つけました。いつも元気いっぱい、ステーキといったら蒟蒻しか知らない
高槻やよいちゃんです。小動物のようなやよいに腹パンするのは気がひけますが、
ついつい持ち前の探究心に負けてしまいます。

やよいが突然腹パンされたらどんなリアクションを取るのだろう、という心に。

春香「やよいーおっはよー」

やよい「あ、春香さん。おはようございまーす!」

やよいは事務所のソファに座って卵の表面についた膜をぺりぺりと剥がしています
うーん……このままじゃ腹パンが出来ない。

春香「やよい、トイレ行きたくない?」

やよい「え?どうしてですかー」

春香「いやぁ、そんなお年頃かなぁと思って」

やよい「? 春香さんなんだか面白いですねー」

そう言ってまた膜を剥がすお仕事に従事し始めました。
なんとか卵から気を逸らさないと……。
そうだ。

春香「やよい、やよい!ハイ、ターッチ!」

私は手のひらを頭の上に突き出しました。

やよい「あ、春香さんも元気が出るおまじないしたいんですね ハイターッチ!」

やよいは立ちあがって背伸びしつつ手のひらを合わせようとしました。
今だ!

春香「ヴァい!」ドゴォ
やよい「うっ!……うぅ……」

やよい「どうしてですか……?春香さん……」
やよいはみぞおちを抑えて膝がガクガクと震えて、崩れ落ちました。

春香「てへっ★ 転んじゃった」

やよい「そ……そうなんですか……」

春香「ごめんね、痛かった?」

やよい「う……うぅ……痛いですぅ……ごふっ……」

春香「このコンビーフの缶詰あげるから許して」

やよい「あ、やりましたぁ……お肉ですー……」

結論、やよいは餌をあげれば腹パンしても許してくれる


春香「よーし!やよいはこんなとこにして次いっくよー!」

やよい「……」

千早「もう何かもダメね」

春香「千早ちゃん、何スパイラルに陥ってるの?」

千早「あ、春香、ボーカルのレッスンがうまくいかなくて……」

春香「へぇー」

千早「このままじゃステージに間に合わないわ」

春香「私が、ちょっと発声を見てあげるよ」

千早「えっ……それじゃお願いしようかしら」

春香「うん、それじゃちゃんと腹式呼吸が出来てるか確認しよう」

春香「はい、吸ってー」

千早「すぅぅぅ」

春香「吐いてー」

千早「はぁぁぁぁ」

……ニヤリ

春香「吸ってー……」

千早「すぅぅぅ……」

今だ!

春香「ヴァい!」ドゴォ



千早「ふふ……甘いわね春香」

春香「嘘だよね……私の拳が通らないなんて……まさか!」

千早「そのまさかよ。本気で固めた私の腹筋は例えナイフでも通さないわ」

春香「私の……私の……ダンスレッスンで鍛えた事務所のチタン製のドアすらつきぬくパンチで防ぐなんて……」

千早「いきなりお腹を殴るなんて、いかがなものかと」

春香「う……」

千早「春香、冗談が過ぎるわよ」

春香「どうしよう……どうしよう……このままじゃ千早ちゃんの……」

千早「インフェルノー!」ビリビリ

春香「う……うああああ耳がああ……」

パリーン

春香「千早ちゃんの肺活量から繰り出されるシャウトは事務所のガラスを割るほど……」

春香「ダメ……千早ちゃんは遠距離から攻撃可能、対して私のアイドルスキルは腹パンのみ……勝てない……」

春香「だけど、だけど私には腹パンしか無いの……!うあああ!」ダッ

千早「何度来ても、無駄よ、春香 インフェルノー!」

春香「う……ううう……」ズザー

春香「ま、負けない……!」ダッ

千早「インフェ(ry」

春香「はぁ……はぁ……」

千早「春香、あなたの狙いはわかっているわ」

春香「えっ」

千早「アイドルスキルにはエネルギーの上限があるわ。ヴォーカルが技の威力 ダンスがエネルギー量 ビジュアルが使用間隔 そしてランクが持てるスキルの数よ」

千早「いきなり設定で総合トップの私に挑むなんて、無謀だわ」

千早「あなたの狙いは私のエネルギー切れ、そうでしょう」

春香「な、なんのことかな~あはは」

千早「希望を持たせておくのも、残酷なものね。教えてあげましょう」


千早「私のエネルギーは72万よ」

春香「えっ」

千早「対してあなたのエネルギーはたった2万……わかったでしょう。圧倒的な戦力差というものが」

春香「うぅ……」

春香「う……うああああ!」ドンドン!

千早「(春香……立ちあがって来なさい。あなたはトップアイドルになる器を持っているのよ)」

春香「私、今はEランクアイドルだけどこの腹パンを極めればいつかドームに立てるんだって思ってた……」

春香「だけど……ダメだったよ……上には上がいるんだね」

やよい「うっうー……」

春香「やよい……えへへ……ごめんね。泣いてるトコなんて見せちゃって」

やよい「春香さん、あなたの腹パンはすーっごいアイドルスキルなんですよ」

春香「えっ」

やよい「それに、春香さんのイメージカラーは赤です。色は属性を表すんです」

やよい「今やアイドルスキルがトップアイドルを決める時代なんです」

春香「……」

やよい「このぐんゆーかっきょのアイドル時代を乗り越えるには、しゅぎょーしかないかなーって」

春香「うん、わかったよ。私負けないよ」

やよい「うっうー!また元気な春香さんに戻ってくれました」

春香「天海春香、17歳!トップアイドル目指します!」


こうして、私とやよいの過酷なレッスンが始まりました。

先生「はい、そこでステップ!」

やよい「はぁ……はぁ……」ダッ

春香「あっ……」

やよい「はわっ。春香さん大丈夫ですか?!」

春香「うぅ……やっぱり私、ダンスって苦手だよ……」

やよい「はい、水道水です」

春香「ありがと……」ゴクゴク……

やよい「春香さんの弱点はエネルギーの少なさです。ヴォーカルは決して低くないけれど、今のままじゃ日に2回しか打てませんよー」

春香「ということは私のアイドルスキルの消費エネルギーは1回に1万かぁ……うーん」

やよい「ちなみに、アイドルはアイドルスキルでしかたおせませーん!」

春香「(そっか……それじゃ私、千早ちゃんにどう頑張っても勝てなかったんだ)」

春香「ところで、やよいのアイドルスキルは何なの?」

やよい「はわっ、私ですかぁー?!↑」

春香「うん、見たいなぁ」

やよい「うう……秘密ですよー……」

春香「ワクワク」

やよい「えい!」ボワン

春香「……え?」

やよい「えーっと……雪国もやしを召喚できます……」

春香「あ……生でも美味しいね……さすが雪国もやし……」

やよい「うっうー!もやし祭りですー ちなみに8万アイドルを消費しますー!」

春香「うわっ燃費悪いよ」

やよい「とにかく、1か月間アイドルスキルを鍛えましょー!」

春香「(うーん本当にこれで練習になってるのかなぁ)」

1か月後……

やよい「もやし祭りー!」ボワンボワンボワン

春香「す……すごい……一気に10個も召喚できるように……」

やよい「はい、オレンジの属性は土です。ちなみに属性がつくと、当たりがでますー!」

春香「そ、そうなんだ」

やよい「属性がつくかつかないかはその人のテンションですー!」

春香「へぇー高いほど属性がつきやすいってことだね」

やよい「はいー!」

春香「私も、この一カ月でアイドルスキルは随分と上達したよ!待っててね千早ちゃん……!」

やよい「うっうー……ダメですよーまだ千早さんには勝てませんー……」

やよい「千早さんのアイドル力は事務所で一番ですー……」

春香「だ、だけど私だって」

やよい「それに……」

春香「えっ」

やよい「千早さんのアイドルランクはCです」

春香「まさか……」

やよい「はいー千早さんは『inferno』の他に2つのアイドルスキルを持っていますー」

春香「そんな……」

やよい「千早さんが本気を出した時にだけ出す『蒼い鳥』を見て、生きて帰ってこられたアイドルはいないそうですー……うっうー」

春香「千早ちゃん……さすが私の友達にして、ライバルだね」

やよい「……」

春香「でもいつの間にか、こーんなに差が開いちゃってたんだ」

やよい「春香さん……」

春香「そっか、そうだよね。私が事務所でクッキー焼いてる間に、千早ちゃんは黙々とボイストレーニングしてたんだもんげ」

やよい「春香さん、落ち込まないでください。春香さんが元気無いと私も……」

春香「ううん、大丈夫だよやよい」

やよい「えっ」

春香「私、言っちゃったもん。トップアイドル目指しますって」

やよい「春香さん……」ジワッ

春香「まずは、身近なアイドルから挑戦するよ それじゃいっくよー!」

ダダッ

亜美「ねぇねぇ真美真美→ 今日は兄ちゃんのパンツ何色だったー?」

真美「んっふっふ→ 聞いて驚くなかれ。なんと豹柄のブーメランパンツだったよー!」

春香「いた……亜美ちゃんと真美ちゃんだ……」

やよい「春香さん、いきなり2対1なんて無謀ですよ!」

春香「うん、だけどアイドル能力が一番低いのはあの二人だから」

やよい「確かにそうですけれど……」

春香「それにあの二人は大器晩成型だよ。今、なんとかしておかないと後で大変になるよ」

やよい「は、春香さんそこまで考えて対戦相手を」

春香「えへへ」

春香「アイドル同士の対決にルールは無い。だまし討ち、不意打ちなんでもアリ……だったよね、やよい」

やよい「はい」

春香「私の腹パンの長所は威力だけ……。最初の一発で、全ては決まる……!」

春香「おはよー亜美真美ー!」

亜美真美「あ、はるるんおっはよー!」

やよい「(ドキドキ)」

春香「クッキー焼いたんだけどどうかなー?」

亜美「うわっメチャおいしそうだよ→」

真美「はるるんのお菓子作りマジ最高!」

春香「(本当は毒を仕込むべきだったけれど、アイドルはアイドルスキルでしか倒せないんだよね……)」

春香「はぁ……はぁ……(どうしよ、緊張してきたよ)」

亜美「おぉ、これは美味!美味ですなぁ~」

春香「(私のスキルは今のところ4回しか打てない……それで二人を倒さなきゃ……)」

真美「はるるんどったのー?なんだか顔色悪いよー?」

春香「えぇ?!そ、そうかな」

亜美「うんうんーなんだか目も泳いでるしー」

春香「のワの (バ、バレちゃう……)」

やよい「(なかなか隙ができませんー……)」






亜美「あ!それ亜美のクッキーだよー!」

真美「違うよー!真美のだよー!」

春香「(二人の視線がそれた……今しかない!)」




春香「ヴァい!!!」ドゴォ

亜美「うぅ……!」

真美「亜美!亜美ィィィ!!!!」

やよい「は、入りました!じゃすとみーとです!すとらいくぞーんばっちりです!」

春香「や、やった!亜美ちゃんを倒したよ!わっほい!」

春香「次の腹パンの発動までに30秒はかかる……」

春香「うぅもっとビジュアルを磨いておけばよかったよ~~!」

真美「……そっか。はるるんもアイドルマスターを目指してるんだね」ボソッ

春香「えっ、アイドルマスター、何それ?」

亜美「……えぃ!」ヒュッ

春香「わっ」サッ

亜美「……」ガクッ

春香「あ……危なかった~……えっ」




春香「事務所の天井に星型の穴が……もし当たっていたら……」

やよい「春香さんのすいそくは当たってたかも知れないですー!
もし亜美ちゃんが成長していたらこのアイドルスキルはとーっても怖いものとなってましたでしょう~」

真美「あ……亜美の『スタ→トスタ→』が…」オドオド

春香「来たよ!30秒!これで終わり!えーい!」



春香「ヴァい!」ドゴォ

春香「確かな手ごたえ……勝った……勝ったよやよい」フッ

やよい「……!!!」

春香「へ、やよい何を叫んでるの?」

やよい「……せーん!!」

春香「よく聞こえないよー」



やよい「まだ終わってませーん!春香さぁぁあん!!」

春香「えっ」

ドスッ

春香「うっ」

真美「アイドルバトルのときに油断しちゃダメだよ、はるるん」

春香「はぁ……はぁ……どう……して……」

真美「んっふっふ→教えてあげよっか」

やよい「ぅっぅ……!」

真美「腹パンした相手をよく見るといいよ」

春香「えっ……!」

春香「なんで……?真美ちゃんを殴ったハズなのに……」

亜美「な……なーやんでも……しーかたない……ごふっ……」




真美「真美のアイドルスキルは『ポジティブ!』いつ、どんな時でも亜美と交代できるんだよ」

やよい「変わり亜美の術ですね~!」

真美「はるるんわかる?真美はね、チョ→無敵なんだよ→!」

春香「『スタ→トスタ→』をお腹に喰らっちゃった……」ポタポタ

やよい「春香さん凄い出血です~これ以上は……!」

春香「……!」バッ

やよい「春香さん、どうして……!ギブアップしましょう~!」

春香「まだ……だよ……」ガシッ

真美「うわわっ」

春香「逃がさないよ……!」

真美「も→離さないとヒドイよ→!」

春香「ゼロ距離では……変わる暇も無いよね……!」ドクドク




春香「ヴァイ!!」ドゴォ!

亜美「ほ"……!ほ……ほんとはカラ元気なんじゃないの………ど……な……の……」ガクッ

春香「そんな……!」

真美「お~~ぅ!はるるん甘いよ~!キミは甘すぎるねぇ~~~!」

真美「『ポジティブ!』は無敵だって言ったっしょ→?
    例え亜美がブラジルにいたって、水深3000メートルの中にいたって代われるよ!」

やよい「そんな……それじゃ本当に勝てないじゃないですかー!」

春香「もう腹パンは1回しか打てない……」

春香「あ、目がかすんできたよ……」

春香「うぅ……悔しい……悔しいなぁ……」

やよい「春香さあああん!ダメですよー!諦めないでくださいー!!!」

春香「やよい……」

やよい「真美ちゃんのヴォーカルは1です!いくらなんでも万能なハズありませんー!」

春香「でも……」

やよい「ハイ、ターッチを思い出してくださいー!」

春香「(ハイタッチ……?ええっとなんだっけ……うぅ頭がぼやっとするよ……)」

春香「(やよいに腹パンした時、ハイタッチで油断させて……)」

春香「ま……まさか……」

春香「(真美ちゃんのアイドルスキルは、相手を見てないと発動できない……?!)」

真美「んっふっふ どったの→?遺言は真美が聞いてあげるよ→」

春香「あ、雪歩のUFOだ」

真美「えぇっ?!どれどれ?!」

春香「ヴァ……い……」ポスッ

真美「あいたー!」

春香「だ……だめ……まだ30秒たってなかった……」

春香「(だけど、やっぱり変わってない……)」


真美「も→真美怒ったよ→!はるるん、さらばなのだー!」ギラッ

春香「やっぱりも、だめ……じゃあね、千早ちゃん……」

やよい「『おはよう朝ごはん』!」

ボワンボワン

真美「う、うわわ何このもやし!」

春香「やよい!ダメだよ!やよいは戦闘向きのアイドルスキルじゃない……うぅ……」

やよい「コンビーフのお礼ですー!」

ボワンボワンボワンボワン

真美「あー!もー!」シュッ

やよい「えっ」

ドスッ

やよい「うぁ……」ビチャビチャビチャ……

やよい「あ……」ベチャッ

春香「や、やよいいい!(やよいのもやしが……消えていく……)」

やよい「春香さん……今のうちですー……テンションを上げるんですー……」

ボワ……ン


春香「う……うわああああああああ!!!!!!」

ボワッ

春香「えっ、なにこれ……!えーいままよっ!」ゴオオオオオ

春香「ヴぁーーーーい!!!!」 ゴシカァン

ガララララ

やよい「す、すごいです……事務所の壁一面が全部吹き飛ぶほどなんて……」

真美「……」パラ……パラ……


春香「私の腕に……炎が……」メラメラ

やよい「やっぱり……春香さんは……トップアイドルの卵でしたー……」

やよい「せめて最期に名前をつけさせてくださいー……」

春香「やよい!やよい!死んじゃダメだよ!」

やよい「えへへ……腹パンじゃ格好つかないですよ……春香さん……」

やよい「『太陽のジェラシー』……それが春香さんのアイドルスキルですー……」

春香「や……」

ガクッ

春香「やよいいいいいいいい!!!」

小鳥「おめでとう、春香ちゃん」

春香「う…ぐす…小鳥さん……?」

小鳥「あなたも、やはりアイドルマスターを目指す運命なのね」

春香「やよいが……やよいが……」

小鳥「泣いてる場合じゃないわ。他の765プロの皆はすでに、闘いを始めているわ」

春香「……えっ」

春香「な、なにこれ?!なんだか力が!傷もすっかり治ってる……!」

小鳥「うふふ。春香ちゃんは双海姉妹のDランクアイドルを倒したわ」

小鳥「あなたも、これでDランクアイドルよ」

春香「わわ……すごい……!」パァァァァ

VoDaVi テ 総 成長タイプテンション管理 属性
天海春香 19 05 13 18 54 標準   易しい    赤(炎)
↓↓ ↓ ↓↓
       3012 20 20 82

アイドルスキル 『太陽のジェラシー』 腹パン 消費E 1万 
          『I want』 new ???   消費E4万
エネルギー12万


小鳥「ま、ざっとまとめるとこんなところね。おめでとう、Dランクになったからアイドルスキルが一つ増えたわ」

春香「そんなことどうだっていいよ!やよいが……やよいが……!」

小鳥「春香ちゃん、これからのアイドルを目指す闘いはとても過酷なものとなるわ」

春香「……!」

小鳥「死人の一人や二人で悲しんでいたら、やってられないわよ」

春香「うぅ…ぐす……トップアイドルって……そんなに厳しいものなんですか……?」

小鳥「そうよ、トップアイドルは日本、いや世界中で一人しかなれない。
    まさにこのアイドル時代では大統領以上の権利を持つものといっても過言ではないわ」

春香「ぐす……」

春香「でも……」

小鳥「えっ」

春香「私はやっぱり、やよいを諦めるなんて出来ません!」

小鳥「甘いわよ、春香ちゃ──」

春香「甘ったれでもいいです!でも、私は笑ってきらめく舞台に立ちたい!」

小鳥「春香ちゃん……」

小鳥「一つ、やよいちゃんを生き返らせる方法があるかも知れないわ」

春香「ほ、本当ですか?!」

小鳥「雪歩ちゃんのアイドルスキル、『First stage』を使えばやよいちゃんを、生き返らせることが出来るかも知れないわ……」

春香「……待っててね。やよい、雪歩」タッタッタ

千早「……」

春香「あ、千早、ちゃん……」

千早「……」

春香「……」スッ

千早「待ちなさい春香」

春香「えっ」ピタッ

千早「おめでとう、Dランクになったのね」

春香「うん、ありがと。また前の日のように、隣で歌えるようになるよ」

千早「えぇ、私は、高みで待っているわ」……コツコツ

春香「千早ちゃん……今はまだダメダメだけどいつか追いつくよ……!」

春香「ダメだ。やよいの件でテンションが下がってる」

春香「属性は期待できそうにないかぁ……」

雪歩「ふんふふ~ん」

春香「雪歩、いた!」

バンッ

雪歩「ひっ!ビ、ビックリしたぁ……」

春香「雪歩、『First stage』でやよいを治して!」

雪歩「えっ、そんな今、私お茶飲んでて……ひぃ~~ん」

春香「お願い!雪歩!」

雪歩「お、大きい声出さないで~春香ちゃん~」

春香「いいからついてきて!」グイッ

雪歩「ひぃ~~ん」

雪歩「うぅ……私、ダメダメな自分を変えたくて……」ボソボソ

春香「?なに独り言言ってるの?雪歩」

雪歩「ひんそーで、ちんちくりんで……」ボソボソ

雪歩「そんな私でも……アイドルマスターになりたいよ……」ボソッ

春香「えっ」

雪歩「ダ、ダメですぅ~~!!!」

雪歩「『First stage』を使ってほしいなら……私と勝負です!」

春香「えっ、雪歩が?」

春香「だって雪歩って、戦闘タイプのアイドルじゃないよね?」

雪歩「う……うぅ……」

春香「やめようよ……私も出来れば雪歩と闘いたくないし……」

雪歩「あ、穴掘りだったら負けないもん!」スチャ

春香「スコップ……本気なんだね……」

雪歩「……」

春香「でも私も、本気でやよいを助けたいんだ」

サッ

雪歩「ひっ」

春香「『太陽のジェラシー』!」



春香「ヴァい!」ドゴォ

春香「(すごい……スピードも威力も上がってる……)」

春香「ごめんね……雪──」



春香「えっ……」

雪歩「あ、危なかった……」

春香「殴ったのは壁……ど、どうしてこんな場所へ……」

雪歩「……」

春香「くっ ヴァい!」ドゴォ

春香「ま、また……」

雪歩「」クスクス

春香「もしかして……これが『First stage』……!」

雪歩「あ、あのね春香ちゃん私、『First stage』が回復スキルだなんて言ってないよ」

春香「えっ、違うの?」

雪歩「私は事前に『太陽のジェラシー』を知っていたから、だから避けられたから、だから春香ちゃんにも教えてあげるね」

雪歩「私のアイドルスキルの系統は時空間操作」

雪歩「私以外の皆を、過去の状態に戻せるの」

雪歩「ちなみに、戻す時間が過去になるほどエネルギーを消費するんだよ。さっきはほんの数秒前のstageに戻しただけ」

春香「そ、それって意外と強力なアイドルスキルなんじゃ……」

雪歩「それじゃ、こっちからいくよ!春香ちゃん!」ザッ

春香「ひっ」カァン

春香「あ、あれ……?」

雪歩「えい!えい!」カァン!

春香「……」ヒュッ

雪歩「あ、当たって~!!」カァン!

春香「……お、遅い」

春香「そっか……雪歩運動音痴だった……」

雪歩「ハァ……ハァ……」

春香「あはは……どうしよっか?」

雪歩「あ、諦めないよ!」

春香「うーん……そんなこといっても……」

雪歩「絶対に諦めないから!」

春香「(雪歩のダンスは低いから、いずれエネルギー切れするハズ……)」

春香「軽くヴァい!」ゴスッ

雪歩「ひっ 『First stage』!」

春香「(うん……やっぱりだ)


春香「(さっきの雪歩からヒントを得たけれど、アイドルスキルは威力を調整してエネルギーを抑えることができる)」

春香「軽くヴァい!」ゴスッ

春香「(この調子でいけば、勝てる!)」

雪歩「うぅ……」ゼェゼェ……

春香「軽くヴァい!」ゴスッ

雪歩「『Firs…t st…age』」

春香「なんだか心苦しいなぁ……」

春香「雪歩、もうギブアップしなよ」

雪歩「ま……負けない……もん……」

雪歩「ここで負けたら……真ちゃんにまた心配かけちゃうよ……」

春香「あ、あれ……なんだか雪歩の体から白いオーラが……」

雪歩「イエーーーーーイ!!!!!」パワァァア

小鳥「あれは……!テンションがハイになったのね!来るわ!雪歩ちゃんの新しいアイドルスキルが!」



雪歩「イエーーーーイ!!!『Kosmos,Cosmos』!!!」

カッ!

カッ!

春香「ひっ……」

春香「な、なにこれ?私765プロ事務所にいたのに……」

春香「ここって、宇……宙……だよね?」

雪歩「春香ちゃん、ごめん、ごめんね……」

春香「な、何で謝るの?」

雪歩「一度発動したらこの『Kosmos,Cosmos』は止めることはできないの……」

春香「(こんなド派手なアイドルスキル、エネルギーをたくさん使うに決まってるよ)」

春香「(別にちょっとビックリしただけで、異常は無いし、もう決めちゃおう)」

春香「雪歩、覚悟!『太陽の──」

春香「あ、あれ……?なんだか……」

雪歩「……」




春香「さ、寒くなってきた……」

雪歩「属性まで付いちゃった。私のイメージカラー「白」は氷」

春香「ま、まさか……」

雪歩「ごめんね……ごめんね……」

雪歩「この空間は、時間が経つにつれてどんどん気温が下がっていくんだ」

春香「どんどんって一体どれくらい?」

雪歩「マイナス100度、だよ」


春香「……!!!」

春香「……さ、さむいよ」ガチガチ……

雪歩「……ごめんなさい」

春香「うぁ……」ガチガチ……

春香「(私の属性だったら氷を解かせるのに……今はテンションが……)」

小鳥「万事休すね……マイナス100度まであと1分間、その間に春香ちゃんは」

春香「ま、瞼が……」ガチガチ

小鳥「確実に凍死するわ」

春香「さむ……い……」

小鳥「う~ん、だから言ったのに、トップアイドルになるには情けは不要だって」

春香「……ぁ!(ダメ、もう喋れない)」

春香「……(何も聴こえない)」

春香「(死ぬんだ、私)」

春香「(やよいごめん)」

雪歩「春香ちゃん、アイドルマスターには私がなるよ」

春香「(だから、アイドルマスターって何なのかなぁ)」

春香「──(ぁ……も……)」

春香「」

小鳥「……マイナス100度ね」

雪歩「」ペコリ

雪歩「私、ちょっとは強くなれたのかなぁ」

雪歩「でも、春香ちゃん。このアイドル時代に人助けだなんて変わってた」

雪歩「……本当にごめんね、帰ってお茶入れよう」

雪歩「あ、あれおかしいな」

雪歩「『Kosmos,Cosmos』が解けない……?」




バリーーン


雪歩「ひっ!な、なにっ」

春香「……」

雪歩「は、春香ちゃん……どうして……?!」

春香「『I want』……発動……」

ギギギ……

小鳥「春香ちゃんにはあまりに残酷なアイドルスキルね……」

春香「ふふっ」ズズズズ……

雪歩「春香ちゃんの服がみるみる黒くなっていく……」

春香「私の方こそごめんね、雪歩……」

雪歩「えっ」

春香「これ発動すると、なんだか私ちょっと凶暴になっちゃうみたいだから」

ヒュッ

雪歩「は、はやっ」

メギメギメギ

雪歩「あ”あ”ぅ”……」

春香「あっはっは、そこに跪いて!!!雪歩!」グリグリグリ

小鳥「『I want』、発動中は莫大なエネルギーを消費する代わりに、戦闘力を飛躍的に上げるスキルね」

雪歩「あ”……ぐう……ゲホゲホ」

春香「今のでアバラ数本いっちゃったよね」

ドガッ

雪歩「い”っ……!」

春香「どうしたの?『First stage』使わないの?」

雪歩「ゲホゲホ……」

春香「あ、そっか。雪歩エネルギー切れなんだぁ」

雪歩「……」

春香「それじゃ、私がダンスレッスン教えてあげるね」

ギリギリ

雪歩「きゃああああや、やめて!私の負けですぅ!」

春香「ほら!踊って!踊ってよ!雪歩!」

ベキッ

雪歩「ああああああ!!!」

春香「うん、いい声出てる。これでヴォーカルも上手くなるね」

春香「もっと!もっと啼いてみせ──」

プシュゥゥゥ

春香「あ、あれ……私一体何を……」

雪歩「……う……うう……」

春香「雪歩?!雪歩?!どうしたの?!」



小鳥「春香ちゃん、あなたは果たしてこれからの道のりを耐えることができるかしら」

春香「……」

やよい「うっうー……」

春香「やよい……」

やよい「雪歩さんは、まだ入院してるんですね」

春香「……」

やよい「『First stage』は、自分には使うことができないんですね~」

やよい「春香さん、元気出してください」

春香「……」

やよい「えいっ!」

ボワンボワンボワンボワン

やよい「もやし祭りして元気だしましょー」

春香「……」

      .VoDaVi テ 総 成長タイプテンション管理 属性  アイドルランク
天海春香 30 12 20 20 82 標準   易しい    赤(炎)    C
       ↓↓ ↓ ↓↓
       35.20 25 25 105

アイドルスキル 『太陽のジェラシー』 腹パン 消費E 1万 
          『I want』 春閣下に変身する  消費E 4万(30秒)
          『乙女よ!大志を抱け!!!』 ???
エネルギー20万

このヴァい!の30秒はスキル硬直?
20万使い切ったら回復しないの?

>>172
30秒で4万消費する

春香「……え、今日は営業ですか?」

小鳥「えぇ、そうよ、どうする?春香ちゃん」

春香「……行きます。仕事ですから」

小鳥「わかったわ」

春香「はぁ、事務所の外の空気はおいしいなぁ~」

兵士「おい、ちょっと待て」

春香「はい?」

兵士「貴様、アイドルだな」

春香「そうですよ」

兵士「ちゃんと証明書を見せてもらおうか」

春香「はい、これですね」

兵士「ほう、Cランクか なかなかやるな」

春香「……」

兵士「通ってよし、くれぐれもアイドル狩りには気をつけるように」

小鳥「アイドル時代になってから、警備が厳しくなったわね~」

春香「そうですね、ここまで徹底しなくてもいいと思うんですけれども」

ガヤガヤ

春香「みなさ~ん、天海春香のCD、買ってください~」

小鳥「春香ちゃん、もっと笑顔のほうがいいわよ」

春香「はい……」

老婆「おやおや、アイドル様がおいでなすった わたしゃこのために貯金を溜めておったんじゃ……」

春香「おばあちゃん、ありがとうございます……」

老婆「ありがとの~。家に帰って仏壇に飾っておきますわ」

小鳥「良かったわね」

春香「……はい」

アイドルA「ヒャッハァー!」

老婆「あぁ!私のCDが!」

アイドルB「あぁんなんだよババァ!文句あんのか」

アイドルC「俺たちゃ泣く子も黙るDランクアイドルだぜ」

小鳥「……見ないフリをしなさい春香ちゃん。今は助け合いなんて考えちゃダメよ。強いアイドルこそが全て。力が全ての時代なのよ」

サッ

小鳥「春香ちゃん!?」

春香「ヴァい!」ドゴォ

アイドルA「うぐぁ……!」

アイドルB「お、おまえこの、俺達を何だと思ってやがる!ランクDアイドルだぞ」

春香「ヴァい!」ドゴォ

アイドルB「な……なんだこの腹パンは……」ガクッ

アイドルC「ま、まさかお前最近急に株をあげてるというノーテンキリボ──」

春香「ヴァい!」ドゴォ!

アイドルC「ぐぁ……内臓が……」

春香「おばあちゃん、大丈夫ですか?」

老婆「おぉ……」

春香「小鳥さん、トップアイドルは大統領よりもえらいんですよね」

小鳥「え、えぇそうよ」

春香「私、トップアイドルになってこの世界を変えます。それが私の夢です」

>>60の30秒の方ね
スキル硬直で30秒?エネルギー回復力333E/s?

春香「インベル!腹パンするよ!」
伊織「ネーブラ!防いで」
真「ヒエムス!インベルに隙が出来たらカウンターを」

>>181
寝たら治るよ!
スキル硬直はビジュアルが高ければ高いほど少なくなるよ!

っていうのを今考えた

小鳥「そう……わかったわ……」

春香「」キッ

小鳥「どうやら迷いは無いようね」

春香「はい!」

小鳥「だったら、試してみましょう」ザワワワ

春香「えっ」

小鳥「次の相手は私よ!春香ちゃん!」

春香「そんな、小鳥さんが……!」

拙者はもう疲れ申した

春香「無理です……!今まで私たちのお姉さんでいてくれた小鳥さんと闘うなんて……!」

小鳥「そう、じゃあ、死ぬしかないわ。春香ちゃん」


観客「おぉ!あそこでアイドルバトルをやってるぞー!」

ワーワー

小鳥「ギャラリーが集まってきたわね…!」

春香「やめましょう!小鳥さん!どうしてですか!」

小鳥「アイドル時代を生き抜くには、力しか無いのよ」

小鳥「いくわよ!『空』!『光』!『花』!」

春香「ウソ?!アイドルスキルを3つ同時に発動するなんて……!」

続きはまたwebで

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