荒木比奈「くつろぎすぎじゃないっスか?」 (22)
二宮飛鳥「…そう。ボクは気付いたんだ」
荒木比奈「…」
飛鳥「ずっと、忘れていた宿題に」
姫川友紀「頼む…、抑えて……!」
飛鳥「それはたった1つの謎…」
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飛鳥「ボクは誰なんだろう、ってね」フッ
比奈「飛鳥ちゃん、宿題やったらどうっスか?」
カキーン
友紀「ああ゛あ゛!打たれたぁ゛!!」
飛鳥「うるさいよ友紀」
飛鳥「全く。人が真剣に課題に取り組んでいるというのに、騒がしいったらない」
比奈「飛鳥ちゃん今さっきまで真面目に宿題なんかやってなかったっスよね」
飛鳥「失礼な。己と向き合い自問自答に取り組むこの姿勢を、人生の宿題と言わずに何と言うんだい」
比奈「流し目でペンくるくるしながらアンニュイ気取ってサボってるって言うんスよ」
友紀「もー!わざわざ得意なコースに投げてやることないでしょ!」
比奈「…友紀ちゃんは平常運転っスね。安心していいのやら」
友紀「キャッチャーが悪いよ、キャッチャーがー!ちゃんと考えてリードしろぉー!」
比奈「聞いて」
比奈「…ねえ友紀ちゃん、漫画は良いんスか?読みたくて来たんじゃ」
友紀「今日デイゲームだったのうっかり忘れてたんだよ。試合始まっちゃったら、目なんか離せない!」
比奈「急にやって来たかと思ったらこれっスか…まぁいいっスけど」
飛鳥「ボクは良くない。此処なら静かに集中できると思っていたのに、いきなり押しかけるなんて…」
比奈「飛鳥ちゃんもどっちかと言うと押しかけて来た部類だと思うっス」
飛鳥「アポはちゃんと取ったじゃないか」
比奈「10分前はね、アポって言わないんスよ」
友紀「んー。漫画ね、読んでみたら意外と長くってさ。面白いは面白いんだけど、ちょっと退屈になってきちゃって」
比奈「…確かに。野球に限らず、スポーツモノは長めになるのがお決まりっスけど」
飛鳥「短い作品もそれなりにあるだろう?」
比奈「ハナから短期で連載終わらせる構想のスポーツ漫画なんてあるんスかね」
友紀「?短いとダメなの?」
比奈「ダメ、ではないっスけど…諸々事情が重なって短くなっちゃうというかなんというか…」
飛鳥「3巻程で終わるものも中にはあるね」
比奈「…やっぱやめません?この話。心に刺さるものがあるっス」
飛鳥「翼が」
比奈「やめようって」
友紀「ふーん。なんかよく分かんないけど、色々あるんだね」
比奈「そうっス。色々っス」
友紀「やっぱり、あたしは実際に野球を観たりプレイする方が…」
カーン
友紀「わ゛ああ゛あ゛ぁー!!!」
飛鳥「うるさいな」
比奈「確かに、ちょっとだけ声抑えてくれると嬉しいっスね」
飛鳥「…フッ、友紀に漫画文化の素晴らしさは理解できないだろうね。閉じられたセカイ、静の内に生きる動。秀逸な表現で形成され、積み重ねられたページがもたらす感動は、著名な絵画に勝るとも劣らない」ペラ
比奈「もしもーし、宿題はどこいったんスかぁ」
飛鳥「なに、友紀が読まないのなら代わりにボクが読んであげようと思ったまでだよ」
比奈「本格的に気が散り始めてきたっスね?」
飛鳥「この巻だけだから」ペラ
比奈「そういう時は大抵ずっと読んじゃうパターンな気がするっス」
飛鳥「気のせいだよ…む。なるほど、そう来るか」ペラリ
比奈「元はと言えば、飛鳥ちゃんが夏休みの宿題したいってウチに来たのが事の発端なんスよ?」
飛鳥「…そうだったかな」
比奈「乃々ちゃんも誘ってたみたいっスけど。断られちゃったんスか?お仕事?」
飛鳥「…」
比奈「聞いてる?」
飛鳥「……」ペラ
比奈「…さては、最初からこのつもりだったっスね?」
比奈「ってか、2人してくつろぎすぎじゃないっスか?ここ、一応私んちなんスけど」
飛鳥「…」ペラ
友紀「打てよー…せめて同点にしとかないとマズいってー…」
比奈「聞いて」
比奈「…まあいいや、私はラクガキでもしてるっスかね…」
バッターアゥッ
友紀「コラー!!なんで!なんでそこで振らないんだー!」ウガーッ
飛鳥「フム。この作品、ボクも揃えようかな」
友紀「ちゃんと練習してんのかー!こんにゃろー!!」
飛鳥「だからうるさいよ友紀。さて次の巻は…比奈さん。本棚、失礼するよ」
比奈「…フリーダムすぎる!」
――――
――
比奈「……んー…」
比奈「…」パチ
比奈「………寝てた」
比奈「(毛布かかってる…かけてくれたんスかね)」
比奈「…いやいや、なんでウチの毛布の位置把握されてるんスか…?」
友紀「……きゃっつぅ…」
比奈「…あら、友紀ちゃんもっスか」
友紀「なぁんでうてないんだよぉ…」zz
比奈「(あのまま負けちゃったんスかね…)」
飛鳥「……」スー
比奈「わ、飛鳥ちゃんもだ」
飛鳥「………」
比奈「…机に突っ伏してる飛鳥ちゃんとか超レアっスね…」
比奈「……」パシャー
比奈「思わず写メっちゃったっス…」
比奈「(……いや、宿題やろうよ…)」
比奈「…………もっかい寝よ」
おわり。季節感なんか知りません
比奈せんせは後でその写メ送ってね
【おまけ】
――――
――
友紀「飛鳥ちゃんも、けっこう漫画読むの?」
飛鳥「それなりに嗜んでいるつもりさ」
友紀「じゃあさじゃあさ!さっき3巻で終わるって言ってたやつも、持ってるの?」
飛鳥「ああ」ペラ
友紀「あたし、そっちから読みたいなー。長いの飽きちゃった!」
飛鳥「…仮にも、漫画目当てで余所様の家に上がりこんだヤツが言い放つ台詞かい?それ」
友紀「だって飽きちゃったのはしょうがないじゃーん」
飛鳥「…どうしても、と言うのなら止めはしないけど。正直、あまりオススメはしない」
友紀「なんで?」
飛鳥「まず第一に」
友紀「うん」
飛鳥「サッカーの作品だから、かな」
友紀「サッカー…」
飛鳥「どうだい?」
友紀「…やっぱいいかな、うん」
飛鳥「だろうね」フフ
飛鳥「まぁ、それ以外にも理由はあるんだ」
友紀「?」
飛鳥「あくまで一般論としてだが。魅力的で親しみ易いからこそ連載が長く続く、という1つの見解がある。比奈さんが友紀に勧めた作品のように」
友紀「飛鳥ちゃんが今読んでるのだね!」
飛鳥「…とにかく。それなりの分量でかつ、しっかり完結している作品を読み進める方が漫画としての魅力が伝わるのではないかということさ」
友紀「なるほどー」
飛鳥「短いからという理由それだけでボクは切り捨てたりしないけれどね」
友紀「ふんふむ」
飛鳥「比奈さんも、そういった意図があってコレを勧めたのではないかな。どうだろう?比奈さん」
比奈「………」ウトウト
飛鳥「おや」
友紀「ありゃ、寝落ちしてる」
飛鳥「…毛布でも持って来ようか」
友紀「確かクローゼットに入ってたよ」
飛鳥「詳しいんだね」
友紀「まあねー。あたしも、テレビの音量落とそっと」
比奈「……ぐぅ」
――
――――
おまけもおわり
そう、我こそはひなユッキと比奈飛鳥流行らせ隊
誕生日おめでとうございました
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