比奈「まあいいっス、今更感ありまスし、それでなんの用事でス？」

ヘレン「前から作成を依頼していたテレビゲームが完成したから一緒にやろうと思って」

比奈「なんでゲーム個人製作してるんスか…」

ヘレン「世界レベルだからね、やるわよ」

比奈「そうじゃなくてっスね……」

ヘレン「ほらほら早く」

比奈「テレビそこっス」

ヘレン「準備は私がやっとくから、比奈、とりま麦茶」

比奈「居酒屋か」

比奈「ほい、どーぞっス」

ヘレン「助かったわ」

比奈「今日暑そーっスからね」

ヘレン「実際ヤバいわ」

比奈「で、どんなゲームなんでスか？」

ヘレン「起動するわね」

テレビ『ドヘレンクエスト』

比奈「なんか知ってる気がするっス」

ヘレン「略してドヘクエよ」

母『朝よー、起きなさーい、〔名前をつけてください〕ー』

比奈「主人公の名前決めさせるの下手くそすぎやしません？」

ヘレン「ほら、名前を決めなさい」

比奈「えっとー、ひなでいっスか」

ヘレン「進めるわよ」

母『ひな、今日は王様に呼ばれてるでしょ、早く行きなさい』

比奈「なんか王道っスねえ」

比奈「お城ってここっスよね」

ヘレン「そうね」

比奈「まんま346プロじゃないっスか」

ヘレン「あのドラマ私も出たかったわ」

比奈「アタシ、ちょい役もいいとこだったんスけど、セリフなかったでスし」

王じょうむ『よく来たな、ひなよ』

比奈「知りませんよ、怒られても」

ヘレン「比奈も道連れでいいかしら」

比奈「とんでもない人っスね」

王じょうむ『ひな、お前には勇者として魔王を倒してもらう』

王じょうむ『旅立つお前にこれをくれてやる』

テレビ『ひなは勇者の剣を貰った』

比奈「大丈夫なんスかこれ」

ヘレン「装備しようとしてみなさい」

テレビ『筋トレが足りない、振ることなんて無理だ』

比奈「初期は装備できないんスね、物理的に」

ヘレン「筋トレに励みなさい」

比奈「筋肉量が足りない勇者とは」

比奈「そういえば」

ヘレン「何かしら？」

比奈「美城だからお城なんスね」

ヘレン「そうね」

比奈「脚本楓さんだったりしまス？」

ヘレン「全部私ね、頑張ったわ」

比奈「そっスか」

母『気をつけて行ってらっしゃいね』

テレビ『ひなは500円を貰った』

比奈「旅立つ娘にこれだけスか」

ヘレン「世界は世知辛いのよ」

テレビ『よし、お菓子を買いに行こう』

比奈「遠足」

テレビ『そして月日は流れ……』

比奈「なんということでしょう」

ヘレン「正直この辺りから飽きてきたし」

比奈「世界レベル過ぎるっス」

テレビ『魔王城は崩壊していく…』

比奈「ラスボス後」

ヘレン「これでお終いね」

比奈「戦闘どころか冒険してないんスけど」

ヘレン「じゃあ、お邪魔したわね」

比奈「今日の用事それだけスか」

ヘレン「今から事務所の子たちに配ってくるわ、ドヘクエ、さらばだ！」

比奈「玄関からでてってください」

ヘレン「ヘーイ」

比奈「…………自由すぎるっス」

比奈「そういえばあのゲーム、ヘレンさん要素なかったなぁ」

比奈「まあ、ある意味ではヘレンさん要素しかなかったっスね、うん」

比奈「事務所の子たち、ファミコン持ってるのかな……」