藤原肇「不慣れに触れて、踏み込んで」 (40)

これはモバマスssです

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肇「…ええと、プロデューサー」


P「ん?何かあったか?」


肇「その…先日、つい数日前。何があったか覚えていますか?」


P「ちょっとそのアバウトな期間設定だと色々あって答え辛いかな」


肇「ではですね…2月14日に何があったか覚えていますか?」


P「バレンタインだろ?肇からチョコを貰った日だ」


肇「正解です。私が勇気を出した日であり、私達が近付いた日です」


P「ありがとな。凄く嬉しかったよ」


肇「では、バレンタインにチョコを貰った男性がなさなければならない事は何でしょうか?」


P「その1ヶ月後のホワイトデーにきちんとお返しする事だな」


肇「大正解です。ですが、惜しいですね」




P「ん?何か間違ってた?」


肇「では更に問題です。勇気を振り絞ってチョコを渡した女の子が、1ヶ月と言う長い時間を待てると思いますか?」


P「…いや待とうよ、そう言うイベントなんだから。誕生日だって年に一度しかこないだろ?」


肇「分かってはいます。頭では分かってはいるんです。ですが…その、待ちきれなくて…」


P「分からなくはないな。うん、でもな」


肇「お小遣いの前借りではありませんが…出来ればお返し代わりに、今日デートに行きたいな、なんて…」


P「それは喜んで。何なら明日一緒に出掛けようって誘おうと思ってたくらいだ。だけどな」


肇「…よかったです。ふふっ、オシャレしてきて正解でした」


P「朝から…早朝から気合が入ってるな。ところで、だ」


肇「何でしょうか?」


P「…今、午前6時半なんだけど」




肇「プロデューサーなら起きてるかな、と思いまして。そしたら部屋の電気が点いていたので」


P「起きてたけどね。休日でも早寝早起きは心掛けてるし」


肇「取り敢えずですけれど…入っていいですか?流石に動かないと寒いので…」


P「どうぞどうぞ。今暖房つけるから」


肇「ありがとうございます」


P「肇は起きるの早いな。ジョギングでもしてたのか?」


肇「はい、健康には気を使っていますから。そして、気が付いたらプロデューサーの家の前にいました」


P「凄い」


肇「帰巣本能…でしょうか?」


P「せめて一報くれれば部屋片しておいたしあっためておいたんだけどな」


肇「私は気にしませんよ?」


P「俺が気にするんだ」



P(藤原肇、16歳)


P(なんだか毎度こんな感じで誰かに向かって説明している気がするが)


P(強い情熱と真っ直ぐな心をもった、とても綺麗な女の子)


P(落ち着いた立ち振る舞いと凛とした表情がとても綺麗で)


P(それでいて年相応な子供っぽさを持ち合わせた、とても魅力的な女の子、なんだけれども…)


P「ちなみに、俺が寝てたらどうしてたの?」


肇「近くをのんびり散歩して、起きた頃にまた戻ってくる予定でした」


P「俺が今日空いてなかったら?」


肇「明日も来る予定でした」


P(ちょっと、ほんの少しだけ)


P(ご覧の通り、いい感じに)


P(かなり、アクティブな女の子だった)


肇「だって、その…恋人、ですから」


P(かわいい)


肇「朝ご飯はもう食べてしまいましたか?」


P「いや、まだシャワー浴びただけだ。これから適当に済ますつもりだったけど」


肇「でしたら、私が振る舞います。良い1日は朝ご飯からですよ」


P「お、ありがと…って言いたいけど、大して食材ないんだよな…」


肇「大丈夫ですよ。そう思って買ってきましたから」


P「用意がいいなぁ」


肇「キッチン借りて大丈夫ですか?」


P「あぁ、あるもの何でも使っちゃってくれ」


肇「とはいえ、朝ですからそこまでがっつりとした料理を作るつもりはありませんが…それと、よければ一緒に作りませんか?」


P「そうだな、包丁の場所とか分からないだろうし」


とんとんとん


P「やっぱり女の子だな。切るのが上手い」


肇「プロデューサーは私を何だと思ってたんですか…もちろん、沢山練習しましたから」


P「…なんかいいなぁ、こう言うの」


肇「なんですか、そんなアバウトな感想は…でも、分かります」


P「誰かと一緒に並んで料理を作るって、それだけで幸せだよな」


肇「惜しいですね。そこで大好きな女性と言えていれば満点でした」


P「…攻めるな」


肇「このくらい、恋人ならしても許されるんじゃないかな、と…」


P「顔赤いぞ可愛いな全然ありだどんとこい」



P「ところで、何作るんだ?」


肇「朝ですし、軽めのサンドイッチとスクランブルエッグです」


P「肇は和食派じゃないかなって思ったけど、米炊こうとするとけっこうかかるか」


肇「はい、3分トースターで焼いて下さい」


P「あいよ」


肇「それにしても、まさかレタスすら無かったなんて…」


P「そう言えば、デートって言ってたけど何処か行きたい場所があるのか?」


肇「逆に聞きますが、明日私を何処へ連れて行く予定でしたか?」


P「水族館か映画にでも行こうかな、と」


肇「…ふふ、私もです。ショッピングして、水族館に行って、陶芸教室に行く予定です」


P「最後なにか増えたな」


肇「…嫌でしたか?不安なのでしたら大丈夫ですよ、私が1から教えてあげますから!」



P「ふー、ご馳走様でした」


肇「お粗末様でした」


P「さて…んじゃ、そろそろ出ようか」


肇「あ、その前に…何か、忘れ物ありませんか?」


P「え?スマホも充電器も財布も持ったぞ?」


肇「そうではなく、ですね…分かりませんか?」


P「え、ガスの元栓閉めただろ?エアコンも止めたし…」


肇「プロデューサー、これから出掛ける訳ですよね?」


P「まぁそうだな。肇とデートに行くわけだし」


肇「お家デートと言うのも魅力的なお誘いですが…お出かけ前に、何かしなければいけないことがありますよね?」


P「…え?…あー…」


肇「はい、プロデューサーからどうぞ」


P「…なんか恥ずかしいな」


肇「ふ、夫婦なら当たり前の事ですよ」


P「んじゃ…」


チュッ



P「…なぁ、肇」


肇「はい、なんでしょうか?」


P「なんでこっち向いてくれないの?」


肇「…察して下さい」


P「にしても冷えるなー…寒くないか?」


肇「むしろ暑いくらいですが…手を繋ぎたいんですか?」


P「いや、そこまでは言って


肇「手を、繋ぎたいんですか?」


P「だから、そこま


肇「手を、繋ぎたいですよね?」


P「あぁ。手袋忘れたけど結果オーライだ」



P「…なぁ、肇」


肇「はい、なんですか?」


P「なんかさ、力強くない?」


肇「気のせいではないですか?緊張して握りしめているなんて事はありません」


P「…そうか」


肇「あの…少し風が強いですね」


P「寒いか?」


肇「はい、少し…ところで、もう少し近付けばお互いに暖まれると思いませんか?」


P「…腕組むか?」


肇「はいっ!」



~水族館~


肇「わぁ…素敵ですね」


P「綺麗だな」


肇「私ですか?」


P「もちろん、肇もだよ」


肇「…ありがとうございます」


P「なんで攻めるのに照れるのさ」


肇「その…正直、不慣れなので…」


P「まあ慣れていくしかないな」


肇「では、もっと褒めてもいいですよ?」


P「あの熱帯魚すごく綺麗だな」


肇「……」プクー



P「にしても、水族館なんて久し振りだな」


肇「撮影以外で来る機会はあまりありませんからね」


P「だな。それこそあとはデートくらいでしかなさそうだ」


肇「…楽しいですね」


P「いいな、水族館。落ち着いて楽しめる」


肇「もっと、来る機会が増えるといいんですが…」


P「水族館の撮影増やそうか?」


肇「…どうせなら、誰かと一緒に来た方が楽しめると思うんです」


P「文香あたりと二人でやるか?」


肇「…プロデューサー、分かって言ってますよね?」


P「あぁ、俺ももっと肇とデートに行きたいよ」


肇「…ズルいですね、プロデューサーは」


P「大人って言うのはずるいもんなんだよ」




肇「あ、みて下さい!サメがいますよ!」


P「おー、近くで見ると凄い迫力だな」


肇「他の魚は食べられたりしないんでしょうか?」


P「躾けられてるもんなのかな、水族館の魚って」


肇「あ、あっちにペンギンもいるみたいです」


P「おいおい、あんまり離れるとはぐれるぞ」


肇「なら、捕まえておけばいいんじゃないですか?」


P「…それもそうか」ギュ


肇「…私、顔赤くなってたりしませんか?」


P「ここは暗くて分かりづらいから大丈夫だ」


肇「なら安心ですね。もう少し近付いてもいいですよ」



P「さて、お昼過ぎになるけど…何処か入るか?」


肇「そうですね。午後はショッピングもしたいですし、そろそろ出ましょうか」


P「だな。んじゃ新宿にでも行こうか。それまでに良さげなランチ探しておくから」


肇「期待してますよ?」


P「了解、っと」


肇「あ、その前に…写真撮ってもらいませんか?」


P「んじゃ、誰かに頼む…訳にもいかないんだよな。肇はアイドルな訳だし」


肇「でしたら、インカメラにしてもっと近づけばいいんです」


P「ここでいいかな?」


肇「バックにおっきな水槽がありますし、いい写真が撮れそうですね」


P「んじゃ、もう少し近付いてくれるか?」


肇「…どうせなら、抱き寄せてる感じの写真がいいです」


P「あいよ」ギュ


肇「…あ、私顔赤いです待ってまだ撮らないで下さい」


パシャ



肇「……」プクー


P「ごめんって、ほらちゃんと肇にも送ったから」


肇「……」ポチポチ


P「なんで怒りながら壁紙に設定してるんだよ」


肇「…えへへ」


P「かわいいなぁまったく」


肇「プロデューサーも壁紙にしていいですよ?」


P「あ、許された」


肇「怒ってますよ?私はとても怒ってます。それはもうツーショットのプロデューサーをずっと睨みつけたいくらいに」


P「じゃあ喜んで貰える様におしゃれな喫茶店にご案内させてまらうよ」


肇「さて、外は冷えますね?プロデューサー」


P「はいはい、ほら腕組むぞ」


肇「…プロデューサーは恥ずかしくないんですか」


P「安心しろ、正直心臓ばくばくしてるから」





~良さげな喫茶店~


カランカラン


P「お昼時外れてたからか空いててよかったな」


肇「お洒落な喫茶店ですね。一番奥の席ですし、周りの視線も気にせず済みそうです」


P「さて、俺はナポリタンにしようかな」


肇「ここ、よく来るんですか?メニューも見ずに決められるなんて」


P「時たまな。肇はどうする?」


肇「では、私は…オムライスで」


P「…なぁ、肇」


肇「なんでしょう?」


P「…なんで同じ側の席に座ってるの?」


肇「プロデューサーに近付きたいからです」


P「…横向いていい?」


肇「ダメです。もしかしたらですが、顔が赤い可能性もありますから」


P「…攻める割には弱くない?」


肇「これから慣れていくので大丈夫です」


P「俺としては肇の顔が見たいんだけどな」


肇「…クールダウンする時間を下さい」




肇「さて、やっぱり正面が一番ですね」


P「まぁそりゃ向かい合わせの席が用意されてるんだからな」


肇「この距離だとプロデューサーに触れられないと言う欠点もありますが」


P「そういうタイプのいちゃいちゃは、できれば他の人がいないどっちの家でな」


肇「…そう言って連れ込む作戦ですか?なかなか行動力がありますね」


P「夕飯うちで食べない?一緒にキッチンに並んで作りたかったんだ」


肇「…ここは、少し暑いですね。もしも私の顔が赤くなっていたとして、それは暖房が効き過ぎているせいです」


P(…正直すごく恥ずかしいと言うか勇気がいるな、こういうの)


肇「と、いう事は。お互いに食べさせてあげる行為も外では禁止ですか?」


P「あーんでいいじゃん。まぁ、人少ないとは言え誰に見られてるか分かったもんじゃないからな」


肇「…それも確かにそうですね」


P「わかってくれて何よりだからほっぺた膨らませない」




~デパート~


P「で、何か買いたいものとかあるのか?」


肇「そうですね…見て回って気に入ったものを。それと…パジャマを買いたいです」


P「あいよ。俺は特に急を要するもんもないし、肇に付き合うよ」


肇「さて、プロデューサー。スカートとパンツ、どちらがいいですか?」


P「え、俺がはくの?」


肇「…そう言う趣味の男性だったんですか…?」


P「いや冗談だって」


肇「ふふ、もちろん私も冗談です。このデートの続きは、どちらの私と一緒に歩きたいですか?」


P「うーん…まだ冷えるし、あったかい格好をして貰いたいかな」


肇「それでしたら大丈夫です。プロデューサーと一緒にいると、寒さなんて感じませんから」


P「ならスカートで」


肇「自分の心に忠実ですね…」




肇「次にパジャマですが…プロデューサーは、どっちを着た私の方が魅力的に映りますか?」


P「どっちもかわいいけど…それ、さっきの流れから察するに今夜…」


肇「…極秘情報ですから秘密です。深い事は考えず、どちらの方が嬉しいか選んで下さい」


P「全部言ってる様なもんだよなそれ…」


肇「…あの、恥ずかしいので早く…」


P「あぁぁこっちで!」


肇「は、はい!」




P「あ、荷物持つよ」


肇「ありがとうございます」


P「うん、やっぱりそのスカート似合うな。凄くかわいい」


肇「…えへへ…ありがとうございます」


P「曇ってきて少し寒くなって来たな」


肇「ではプロデューサー。はい」


P「あいよ…そうだな。確かに一緒だとあったかい」ギュ


肇「少し、歩きませんか?のんびり、こうやって川沿いを歩くってとても素敵だと思うんです」


P「いいな、こう言うの。子供の頃は夫婦が川沿いをただ歩いてるの見てアレ楽しいのかなって思ってたけど…」


肇「今は、どうですか?」


P「凄く、幸せだ」



肇「あ、カルガモですよ。餌になりそうなものあったかな…」


P「あー…子供の頃を思い出して心がしんどい」


肇「そんなおじさんみたいな事を…」


P「大人になればわかるよ。懐かしい光景や青春時代を思い出すとこう…くるんだよ、心に」


肇「でしたら、今。そんな青春気分を味わえばいいじゃないですか」


P「…それもそうだな」


肇「少し、甘酸っぱさが足りませんか?」


P「酸っぱいのは苦手だし、苦いのも苦手だし。甘いだけが一番かな」


肇「ふふ、協力しますよ。私も、甘いのが一番だと思います」


P「お茶は苦味がある方がいいんだけどな」


肇「私達は、お茶と言うよりも湯飲みですから。どんな味だって味わえますし、あとは淹れる人次第です」


P「甘い甘いお茶で、今は満タンだ」




P「ん、そう言えばこの川上ってくと俺の家と逆方面なんだけど」


肇「大丈夫ですよ、合ってますから」


P「ん?」


肇「プロデューサー。明日私を誘おうとしたって事は、明日は休みですよね?」


P「休みだよ。幸せの2連休だ」


肇「奇遇ですね、私もです」


P「調整したの俺なんだけどな」


肇「…奇遇ですね。まるで運命ですね」


P「あぁ、そうだな」



ぽつ、ぽつ


P「ん…降ってきた!」


肇「…よし…頑張って……」


P「肇、雨降ってきたし急いで駅行くぞ」


肇「ここからですと、20分以上かかってしまいますよ?」


P「タクシー使うか、濡れて体調崩すのは避けたいからな」


肇「それよりも、もっと良い雨宿り方法がありますよ」


P「ん?多分これからもっと強くなっていきそうな雲だけど…」


肇「ここから走れば5分くらいで…私の家です」




~肇宅~


P「…心頭滅却すれば火もまた涼し」


P「落ち着け、此処は冷静で的確な対応が求められる」


P「プロデューサーたるもの、完璧な形で相手の要望に応え最大限の成果をあげなければ」


肇「…風邪、ひいてしまいましたか?」


P「大丈夫だ、大丈夫じゃないけど。少し頭がおかしくなってるだけだよ」


肇「すみません、直ぐにお湯を沸かしますから」


P(女の子の部屋をジロジロ見るもんじゃないけど、こう…小ざっぱりしてるな)


肇「温かいお茶、直ぐに用意出来ますから。はい、タオルどうぞ」


P「ありがと、俺はそこまで濡れてないけど…肇は大丈夫か?」


肇「私も大丈夫ですが…一応、お互いシャワーを浴びておきましょうか。風邪をひいてしまうと大変ですから」


P(女の子の部屋に入った事なんて全然ないから比較対象いないけど)


P(…テーブルには二つの湯飲み、キッチンには一人分とは思えない量の買い物袋…)


P(肇が天気予報を確認しない筈もないし…歩いてた方向といい…)


P(…タオルいい匂いだな。落ち着こう)




肇「シャワー、先浴びますか?」


P「んー、着替えどうしようかな…」


肇「プロデューサー、何故私が今朝家に迎えに行ったと思いますか?」


P「…準備がいいなぁ」


肇「冗談ですから…近くにコンビニがありますし、そこで調達すれば大丈夫です。その間に私はお風呂入ってますから」


P「んじゃ、ちょっと買いに行ってくるわ」


肇「ちなみに、プロデューサー」


P「なんだ?」


肇「私、湯船に浸かるとなかなか上がれないんです。あったかくて、出るのが惜しいと言いますか…」


P「わかるな、それ。10数えて出ようって決めても100まで数えたりするし」


肇「ですから…もしかしたらプロデューサーが買い物を終えて戻って来ても、まだ私は浴室にいるかもしれません」


P「…ま、まぁ別に急いで入りたい訳じゃないから。時間はたっぷりあるし」


肇「…覗かないで下さいね?」


P「俺に勇気があると思う?」


肇「私は勇気を出しましたよ?」


P「…一服してから戻るから、俺も戻ってくるのに時間掛かるかも」


肇「プロデューサータバコ吸いませんよね?」


P「…とりあえず、着替え買ってくるから」


肇「…いくじなし」



アザッシター


P「…さて、戻るか」


P「着替え、歯ブラシ、その他必要になりそうなものと一通り買ったし」


P「…あと一歩が、どうにも踏み込めないんだよな…」


P「でも、肇にばっかりってのも…」


P「…よし、うん」


P「にしても、恋人の家のドアを合鍵を使って開けるって…」


P「なんか、嬉しいな」




ガチャ


P「戻ったぞー」


肇「プロデューサー、そこはただいま、ですよ」


P(ドアを開ければ、パジャマ姿の肇が出迎えてくれた)


P(…俺が絶対覗かないって、分かってたなこれ)


P(それにしても、パジャマ姿の肇…)


P(かわいいなぁ、ほんと)


P「…ただいま」


肇「…ふふっ、おかえりなさい」


P「こう言うやりとり、幸せだな。帰ったら誰かに出迎えてもらえるなんて」


肇「直ぐに、慣れてしまうかもしれませんよ?」


P「それはそれで勿体無いけど…きっと何回やっても嬉しい気持ちになるんだろうな」


肇「では、そうなるように私も努力しないといけませんね…ところで」



肇「一度やってみたかったんです…おかえりなさい。お風呂と食事、どちらにしますか?」


P「肇で」


肇「それともわた…え?」


P「俺は、肇がいいな」


肇「えっ、あ、その…私、ですか?」


P「最後に言おうとしてただろ?」


肇「そ、それは確かにそうですが…」


P「俺がお風呂選ぶと思ってただろ?」


肇「…ほんと、ズルいですね…」



肇「きっとプロデューサーはお風呂を選ぶだろうな、って」


肇「いつもの貴方だったら、きっとそうでしたから」


肇「分かっているからこそ、早くあがりましたし…分かっていたからこそ、少し…」


肇「一人でシャワーを浴びているとき…ちょっとだけ、不安でした」


肇「私、魅力的じゃないのかな、って。色々と新しい事に挑戦してみましたけれど…」


肇「慣れない事はしない方が良かったですね。なんだか私一人空回りしているみたいで」


肇「ですが、あと一歩のところで、私は踏み出せなくて」


肇「貴方から踏み出してくれた時…恥ずかしくて、驚いて」


肇「…すごく、嬉しかったです」


P「いつもは俺が思ってる事だな、それは」


肇「相手から寄ってきて、触れてきてくれるなんて…プロデューサーは、いつもこんなに幸せだったんですね。ズルいです」


P「これからは、公平に…俺からも、踏み出していくから。どうにもまだ慣れなくてな…」


肇「不慣れなのはお互いでしたね。なかなか、難しいものです」



肇「さて…私を選んでくれたのは凄く嬉しいですか、風邪をひかれても大変ですから先にお風呂に入ってもらいます」


P「…うぃっす」


肇「ですが、私も先程はのんびりとは浸かれなかったので…」


P「…一緒に入るか?」


肇「……はい」


P「提案しておいてなんで照れるんだ…って思ったけど、俺も今凄く恥ずかしい」


肇「…ふふ。一緒にお風呂に入って、一緒に夕飯を作って」


P「まるで夫婦だな」


肇「先回りするの、ズルいですよ?」


P「大人だからな。それに、肇が言いたい事は分かるから…俺もだし」


肇「ちなみにプロデューサー。私、まだこの格好を褒めて貰ってないんです」


P「…凄く可愛い。襲いたいくらい」


肇「…ありがとうございます」


P「今日はころころ表情が変わるな」


肇「照れれば赤面するのは当然ですし、慣れない事に踏み出せば恥ずかしくなるのは当然です。ですが…」





肇「それもまた、一つの幸せですから」




めんどくさ成分が薄かった気がします
お付き合い、ありがとうございました

過去作とバレンタインの
よろしければ是非

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