藤原肇「再びいつか、二人の冬に」 (19)
これはモバマスssです
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プロデューサー「あー、この時期は色々とやる事が増えますね」
ちひろ「クリスマス、年末、お正月ですからね…」
プロデューサー「帰りたい、嗚呼帰りたい、眠りたい」
ちひろ「私まで嫌になってくるので止めて下さい。この書類の山を冬の積もったスキー場だと思いましょう」
プロデューサー「それじゃ、残していきましょうか。我々のシュプール」
ちひろ「蒼いですねー。書類は真っ白なのに…」
プロデューサー「あっはっはっ…雪解けはまだまだ先ですね」
ちひろ「現実は非情ですね。旅行に行く時間もありません…」
プロデューサー「あー、サンタさんがこの書類全部上司にプレゼントしてくれないかなー!」
ちひろ「事務所のサンタさんに頼んでみてはどうですか?」
プロデューサー「失望されそうですし自分でちゃんとやります」
ガチャ
肇「おはようございます」
P「お、おはよう肇」
ちひろ「おはようございます、肇ちゃん」
肇「外、雨が酷かったです…降るのは夕方からって聞いてたんですが」
P「山の天気は変わりやすいんだよきっと」
肇「…?此処は都会も都会のオフィス街ですよ?」
P「にしても雨か…外出るのが若干億劫になるな」
肇「天気と言えば、今年のクリスマスは晴れるみたいですよ」
P「らしいな、ホワイトクリスマスもいいけど交通機関の麻痺はきついし有難いわ」
肇「昔は嬉しかったんですけどね…仕事をする様になってから、純粋には喜べなくなりました」
肇「それでもやっぱり、ホワイトクリスマスって素敵ですよね」
P「なー。まぁ俺はクリスマス両日とも事務所にいなきゃいけないんだけど」
肇「…え?」
P「何かあった時直ぐに対処しなきゃいけないからな。クリスマスだから色んな子が色んな仕事入ってるし」
肇「で、ではクリスマスにデートとかは…」
P「恋人はスマホのバッテリーパックとキーボードだな」
ちひろ「寂しい男ですね。私もなんですけれど…」
P「そう言えば、肇はクリスマスイブの方は空いてるからな。25は無理だったけど」
ちひろ「何か予定があるんですか?」
P「肇に頼まれてたんですよ。どっちかを空けて欲しい、って」
P「まぁそう言う訳で、24は健全に楽しんでくれ。学校の友達とクリパな感じか?」
肇「……」プクー
P「…ど、どうした肇。両日はどうしようも無かったんだって」
肇「違います…足、どけて下さい」
P「足?いや流石に正座で椅子に座るのはしんどいから」
肇「数秒でいいですから。どけて下さい」
P「はい…」
P(ちょっと目が怖かったから椅子を引いて足を机の下から横にする)
肇「…失礼します」
P(そう言うと、肇は俺が足をどけた机の下に入っていった)
P(…え?)
肇「…もういいですよ、プロデューサー」
P「…なんで机の下に?」
肇「理由はありません。プロデューサーは気にせず仕事をどうぞ」
P「ちょっと怒ってる?」
肇「…ちょっと、ですか?」
P「…ごめん、何かしてたら謝るよほんと」
肇「どうでしょう?心当たりでもあるんですか?」
P「…すみません」
肇「まぁいいです。今更何を言ったところで変わる訳ではありませんし、プロデューサーはプロデューサーでしたから」
ちひろ「…プロデューサーさん、私は書類を出して来ますので」
バタンッ
P「…なぁ、肇」
肇「集中しないと、仕事終わりませんよ?」
P「はい…」
肇「……」
P「なんかさ、足元に居られると集中出来ないと言うか気になると言うか困ると言うか…」
肇「奇遇ですね、私も24日の予定が無くなって今困っています」
P「どっか運転して連れてって欲しかった感じか?それくらいなら遠くなければ時間取れるけど」
肇「それくらいなら電車で十分です」
P「違ったか…」
肇「それに、プロデューサーは期待していなかったという事が分かりましたから…」
P「…ん?」
肇「プロデューサーって、クリスマスみたいなイベントははしゃがないタイプなんですか?」
P「と言うよりも、一緒にはしゃぐ相手があんまりいないんだよな。一人で騒いでも寂しいだけだし」
肇「…お友達は?」
P「…こっちに引っ越してきてからは…」
肇「すみません、失礼しました」
P「まぁユニークなアイドルに囲まれて暇はしないどころか十分以上に楽しんでるから問題は無いんだけどな」
肇「そのユニークなアイドルの中に私は入ってますか?」
P「ノーコメントで」
肇「クリスマスでもですか?」
P「この時期は仕事が多すぎてな…」
肇「それは分かっていますし、心から感謝もしています。けれど、誰かと一緒に二人きりで過ごしたいとかはないんですか?」
P「…攻めるな…そう言う相手が欲しいかって言われれば欲しいし、過ごしたい相手がいないでもないけど…」
肇「…!お相手がいるんですか?!」
P「いやいないよ?そうなりたい相手がいるってだけで」
肇「…そう、でしたか…それなら仕方がありませんよね」
P「仕方がない…?まぁ仕事だから仕方がないっちゃ仕方がないんだけどさ」
肇「…妙に、話が食い違っていませんか?」
P「奇遇だな、俺もそんな気がしてきた」
肇「話を噛み合わせたいので、プロデューサーがクリスマスを一緒に過ごしたい相手を聞いていいですか?」
P「それ必要?その部分は別にいい気がするんだけど」
肇「私相手に必要が無いと思うなら大丈夫です。一女子高生の興味本位の質問だとでも思って聞き流して下さい」
P「…なんとなく理解してきた。ありがたいやら申し訳ないやら言い辛いやらあるんだけどさ」
肇「何かありましたか?」
P「違ったら言って欲しいんだけどさ、24か25空けてくれって連絡した後、何か言おうとしてたか?」
肇「言おうとしたも何も、出来ればプロデューサーも空けて下さいと言ったじゃないですか」
P「うん、その様な連絡は頂いておりません」
肇「…え?」
肇「そ、そんなはずは…送信出来てない…」
P「…ま、まぁそんな事もあるさ。送ろうか送るまいかって悩んでるうちに時間が経ってると、いつの間にか送った気分になってるんだよな。あと相手間違えてたりとか」
肇「…プクー」
P「可愛いなちくしょう」
肇「ちょっとした自己嫌悪です…送れて無かったんだ…」コンッ、コンッ
P「頭机にぶつけないで机揺れるから」
肇「……」コンッ、コンッ
P「無言で足に頭ぶつけない。俺のズボン綺麗なわけじゃないんだから、あと髪崩れるぞ」
肇「…あれ?ところで、ですよ?そう思ったって事は、です」
P「…さぁ?どうだろうな?」
肇「まだ何も言ってません…プロデューサー、誰か一緒に過ごしたかった相手がいるっちゃいるとは言ってましたよね?」
P「…まぁ、言ったような気がするな」
肇「もしかして、です。予防線は沢山張らせて頂きますが…」
P「…うん、肇だよ。でもまぁ予定入ってるなら…って感じで…」
肇「……ありがとう、ございます」
P「…こちらこそ…」
肇「……」
P「……」
肇「…無言は恥ずかしいので何か喋って下さい…」
P「安心しろ、俺も恥ずかしいから」
肇「えっと…その…わ、私で良ければ是非…」
P「…一日早いけどさ、23は空いてるんだ。確か肇もその日休みだよな?」
肇「はい、23.24と休みです」
P「…どっか、行くか?」
肇「…是非、お願いします!」
P「その時、改めてもう一度色々心の準備なりなんなり終わらせてから伝えるから」
肇「…どうせなら、クリスマスが良かったんですけれどね」
P「じゃ、あとは25の夜からだな」
肇「…両方でお願いします」
肇「その…来年は、一日まるまる一緒がいいです」
P「奇遇だな、俺も同じ事考えてたよ」
肇「きちんと、お互いの予定、お願いしますね?」
P「期待しとけ、多分」
肇「では…一日早いクリスマスイブ、楽しみに待ってます!」
ちひろ(コーヒーを買って部屋の前で立ち竦んでいます。えぇはい空気が甘ったるくて戻れません)ゴンッ!ゴンッ!
ちひろ(…無糖に買い直してきましょうか…)
投稿が遅れてすみません
クリスマスの予定の連絡、送ったと思ったら送れて無かった事なんて普通ありませんよね
普通ありませんよね
お付き合い、ありがとうございました
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