芽衣子「朝からめーこっ!」 (40)


・並木芽衣子さんのSSです



SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1481995478


~早朝、事務所にて


芽衣子「おはよーございまーす」

モバP(※以下表記P)「おはよう」

芽衣子「プロデューサー、今日も?」

P「ん、あぁ、帰っていない」

芽衣子「ちゃんと寝てる?」

P「少なくとも居眠りしない程度には休んでいるから」

芽衣子「いつでも膝貸すよ?」

P「あれは俺への負担が大きいからあの一回だけにしてくれ」

芽衣子「ちぇー」


P「そういう並木も随分早いな」

芽衣子「ふたりのときは芽衣子って呼んでもいいんだよ?」

P「別に恥ずかしいから苗字で呼んでいるわけじゃないし、なにがあっても名前で呼ばない」

芽衣子「強情なんだからー」

P「それで、朝早い理由は?」


芽衣子「プロデューサーが無理してないか、見張り?」

P「疑問系かよ」

芽衣子「すぐ無理するでしょ?」

P「俺はひとりしかいないからな」

芽衣子「だからだよ?」

P「手伝ってもらうことはないよ」

芽衣子「なんでもやるよっ」

P「気持ちだけでいい」


芽衣子「むぅ~、せっかく早起きしてきたのにぃ」

P「俺がいなかったらどうしていたんだ」

芽衣子「んー、絶対いるなって予感があったんだよね」

P「ニュータイプかよ」

芽衣子「プロデューサーが地球の裏側にいたって見つけちゃうよ♪」

P「……ふふっ」

芽衣子「あっ、笑われた!」

P「いや……並木なら本当にやりかねないなっておもって」

芽衣子「割と本気だよ?」

P「そうかい」


芽衣子「いたわけだから私の予感てきちゅー、ってねー」

P「そうだな」

芽衣子「反応薄いよー」

P「なんだ、アメリカ人みたいな反応がお望みか」

芽衣子「それはそれで見たいかも」

P「しないけどな」

芽衣子「ワーオ、そりゃないぜ!」

P「そっちがやるんかい」


P「……しかし」

芽衣子「どうしたんだい、ジョニー」

P「誰がジョニーだ。いや、朝っぱらからテンション高すぎやしないか」

芽衣子「そうかな?」

P「もうやめるんかい」

芽衣子「文句ばっか!」

P「徹夜明けの俺もそこまでテンション振り切らない」

芽衣子「今日は6時間寝たかなー」

P「めちゃくちゃ普通だな」


芽衣子「そういうプロデューサーは?」

P「……3時間くらいか?」

芽衣子「仮眠だね」

P「しないよりはマシだろ」

芽衣子「そうだけどねー」

P「脳の休息はできているから問題ない」

芽衣子「そういう問題?」

P「1分間瞼を閉じるだけでも効果があるんだからな。視覚情報をシャットアウトして、脳の負担がその瞬間だけでも減れば……」

芽衣子「そういうのを聞いてるんじゃないってば、もーっ」

P「最後まで言わせろよ」

芽衣子「プロデューサーの薀蓄を聞きに来たわけじゃないの!」


P「仕事の邪魔でもしに来たか」

芽衣子「そんなんじゃないってばー。はい、これ」

P「……弁当?」

芽衣子「朝ごはんまだでしょ?」

P「まぁ、そうだけど……」

芽衣子「栄養くらいはしっかりとらないとね!」

P「並木……料理できたんだな……」

芽衣子「できるよ?」

P「なんか、ごめん……」

芽衣子「え~、できないっておもわれてたんだ~」

P「そういうキャラじゃないだろうって……」

芽衣子「ちょっとショック~」

P「いや、本当ごめん……」


芽衣子「ま、別にいいんだけどねー。ほら、食べよ食べよ♪」

P「……初めて作ったとかじゃないんだよな?」

芽衣子「地元にいたときは自分でお弁当作ってたりしてたんだよ?」

P「意外だ……」

芽衣子「たまーにだけどね」


P「おぉ……ちゃんとした弁当だ……」

芽衣子「これが私の女子力だよっ!」

P「並木の女子力舐めてたな。いや、感心したよ……はー……」

芽衣子「そこまで!?」

P「スクランブルエッグじゃなくて卵焼きだよ……俺、作れないんだよな……」

芽衣子「ふっふー、私の勝ちー♪」

P「本当に食べて大丈夫なの?」

芽衣子「そう確認するー? じゃああげなーい」


ぐぅ~……

芽衣子「……」

P「……」

芽衣子「盛大な鳴き声だね」

P「飲み物以外を摂取したのが日を跨ぐ前だからな……」

芽衣子「しょうがないなぁ、もう」

P「ありがたくいただきます……」

芽衣子「最初から素直になればよかったのにね?」

P「おっしゃる通りです……」

芽衣子「はいはい、どうぞめしあがれ♪」

P「……いただきます」


P「……」モグモグ

芽衣子「どう? どうかなー?」

P「……並木の家の卵焼きはだし巻きなんだな」

芽衣子「ってことは、プロデューサーの家は甘い卵焼き?」

P「あぁ、だからあんまりおかずって感じはしなかったんだけど」

芽衣子「口に合わなかった?」

P「いや……おにぎりもらっていいか?」

芽衣子「もちろん♪」

P「ん、うん。こっちのが米と合ってイケる」モグモグ

芽衣子「ホント? ホントに?」

P「うん」モグモグ


P「おー、きんぴら」

芽衣子「それ、それ冷食じゃないんだよ!」

P「手作り」モグモグ

芽衣子「そうっ、ちゃんと作ったんだ!」

P「うまい」

芽衣子「えへへ~♪」

P「これは?」

芽衣子「それはちくわだよ」

P「揚げたのか?」

芽衣子「半分に切って、マヨネーズをくぼみに入れたあとパン粉ふってトースターでチンッ、したもの!」

P「へぇ……んまい、つまみにもよさそうだな」


P「ピーマン……」

芽衣子「あ、もしかして苦手だったり?」

P「いや?」モグモグ

芽衣子「なんの間だったの!?」

P「ピーマンとツナ、いいな」

芽衣子「それ簡単にできるんだよ。鶏ガラスープで味付けてレンジでチンするだけー」

P「チンするの好きだな」

芽衣子「あっちでこっちでって効率よくできるからねっ」フンス

P「並木の口から効率なんて言葉が……」

芽衣子「意外と手際いいんだよー!」

P「自分から意外とって言うのか」


P「……」

芽衣子「きれいに全部食べちゃったね」

P「ごちそうさま」

芽衣子「よろしゅうおあがり」

P「……京都弁?」

芽衣子「うん。たぶんね?」

P「和歌山だろ?」

芽衣子「まぁ、関西だし?」

P「そういうもんなのか」

芽衣子「そーゆーもの!」


P「久しぶりに朝まともなものを食べた気がする」

芽衣子「食べないの?」

P「いや、食べるんだけど、コンビニでパンとかおにぎりとか買うだけだから」

芽衣子「朝はちゃんと食べないと!」

P「並木は作ってたりするのか?」

芽衣子「うん」

P「しっかりしてるんだな……」

芽衣子「さっきから、信じられない……みたいな顔してー」

P「まず料理できるとおもっていなかったから」

芽衣子「失礼しちゃうなっ!」プンプン


P「いや、でも朝起きて、とか大変だろ」

芽衣子「たまーにサボって食パン焼くだけ、って日もあるけどねー。もう慣れたかな?」

P「はー、ちゃんとしてるもんだ」

芽衣子「そうだよー、芽衣子さんちゃんとしてるんだよー」

P「これから認識を改めないとな」

芽衣子「いつでもお嫁にいけるから! およめーこ!」

P「結婚で電撃引退とかあまり笑えないからやめてくれよ」

芽衣子「……」

P「どうした?」

芽衣子「んー、そういう意味で言ったんじゃないけど、まっ、いっか」

P「?」


芽衣子「それにしても」

P「ん?」

芽衣子「誰もこないね」

P「8時にもなっていないからな」

芽衣子「まだそんな時間なんだね」

P「早く来すぎだ」

芽衣子「プロデューサーに言われたくないよ」

P「俺はずっと事務所にいたから」

芽衣子「すぐ屁理屈言うんだからさー」


芽衣子「事務所にふたりっきりなんだね」

P「そうだな」

芽衣子「静かだねー」

P「騒がしくなった印象だが」

芽衣子「私が来たから?」

P「それ以外にあるか?」

芽衣子「ひどー」

P「まぁ、これくらい音があった方がいいよ」

芽衣子「雑音扱いとか」

P「そこまで言ってないだろ」

芽衣子「せっかくプロデューサーのために早起きしてきたのに~」

P「恩着せがましく言うな」


芽衣子「大変なのはわかるけどさ」

P「あぁ」

芽衣子「無理はしないでね?」

P「いきなり真面目なトーンで、なんだ」

芽衣子「倒れたりしたら、やだよ」

P「社会人何年やってるとおもってるんだ」

芽衣子「だから余計、だよ。事務所で寝てるだけならいいけど」

P「自分のことは自分が一番よくわかっているから」

芽衣子「そういう発言する人ほどわかってないとおもうんですけどぉー」


P「心配かけたのは謝るよ。わざわざありがとう」

芽衣子「……」

P「……なんだよ。鳩が豆鉄砲くらってもそんな顔しないぞ」

芽衣子「今日のプロデューサーなんか素直」

P「なんだよ」

芽衣子「疲れてる?」

P「疲労がないわけじゃないな」

芽衣子「熱は?」ピトッ

P「ない」グイッ


芽衣子「あっ! もーっ、すぐ離したらわかんないよ!」

P「お前、お前な」

芽衣子「ほら、おでこ」

P「軽率に額を合わせようとするな!」

芽衣子「だってこれが一番わかりやすいんだもん」

P「だもん、じゃないよ! だいたい距離が近すぎるんだよ!」

芽衣子「近くないとできないじゃん!」

P「しなくていい!」

芽衣子「体温計は?」

P「ないよ」

芽衣子「じゃあこれで」

P「だからいいって!」


P「第一、熱があるかの確認なら手でやれ、手で!」

芽衣子「うん」

P「いや、やろうとするなよ!」

芽衣子「なんなの!」

P「大人同士でやることかよ」

芽衣子「心配してるのに!」


芽衣子「もう、いいからほら、おでこ出して」

P「いや、しつこいな!」

芽衣子「ほらほら、観念しー?」

P「いいって言ってんだろ、この……」

芽衣子「諦めも肝心だよ?」

P「俺は諦めが悪いんでね」

芽衣子「しーつーこーいー」

P「こっちのセリフだ!」


芽衣子「往生際が悪ーい!」

P「悪役みたいなこと言いやがって……!」

芽衣子「ふははは、おとなしく降参するのだー!」

P「だからテンション高……お、うわ、あんまりこっちに力」

芽衣子「え?」

P「うおあっ!」

芽衣子「ひゃあ!」


P「……」

芽衣子「……」

P「……あのー」

芽衣子「……はい」

P「どいてくれない?」

芽衣子「ヤダって言ったら?」

P「困る」

芽衣子「じゃあ」

P「朝から困らせるな」

芽衣子「えー」

P「えー、じゃありません」


芽衣子「これさ」

P「あぁ?」

芽衣子「普通なら反対だよね?」

P「なにが」

芽衣子「私が下で、プロデューサーが上ってこと」

P「そうだな」

芽衣子「ドキドキする?」

P「いろんな意味でな」

芽衣子「ふぅーん」

P「近いし」

芽衣子「もっと近づいた方がいい?」

P「逆がいい」


芽衣子「遠慮しなくてもいいのにー」

P「この状況を遠慮したい」

芽衣子「我慢は体によくないよ?」

P「今の状態が体と心によくないわ」

芽衣子「じゃあ無理に押しのければいいのに」

P「……できないとわかって言っているだろ」

芽衣子「どうかなー?」


P「とにかく、並木が離れてくれないと俺は動けない。わかるな?」

芽衣子「だねー。だからこのままでいるんだけど!」

P「突然話が通じなくなったな」

芽衣子「私もね」

P「なんだよ」

芽衣子「ドキドキしてるよ?」

P「……」


芽衣子「聞いてみる?」

P「待て、それ以上近づくな」

芽衣子「そろそろ腕がつらいなー」

P「じゃあどけろ」

芽衣子「あ~、倒れちゃう~」

P「しばらく演技の仕事は断るか」

芽衣子「あれ、意外と余裕?」

P「脇汗がひどい」

芽衣子「そりゃ大変」

P「目も冴えた」

芽衣子「それはいいことだね」


芽衣子「あ、でも本当に腕限界かも」

P「なら早くどきなさい」

芽衣子「プルプルしてきた!」

P「並木」

芽衣子「だからこれは事故、ってことかな?」

P「おい!」


ガチャッ

美里「ってことがあったんですよぉ。あっ、おはようございますぅ~」

ちひろ「プロデューサーさん、おはようございまー……」


P「……」

芽衣子「……」

美里「……」

ちひろ「……」


P「……おはようございます」

ドサッ

P「うぐっ」

芽衣子「お、おはようございまーす……」


美里「えっとぉ……」

ちひろ「……プロデューサーさん。芽衣子ちゃん」ゴゴゴゴゴ

芽衣子「……はい」

P「……なんでしょうか」


ちひろ「 朝 っ ぱ ら か ら な に を や っ て い る ん で す か ? 」


おわり


このあと、ふたりは床に正座してこってり絞られましたとさ

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