ノンナ「同志カチューシャに座薬を装填するのは、副隊長の務めですから」 (14)

プラウダ学園艦 寮

カチューシャ「ごほっ! ごほっ!! うぅー……」

ノンナ「大丈夫ですか?」

カチューシャ「だいじょうぶじゃない……。ごほっ! えほ!! あうぅ……」

ノンナ「熱は……。少しあるようですね。こういうときは早めの処置が肝心になってきます」

カチューシャ「そ、そうなの……? ずずっ」

ノンナ「安心してください、カチューシャ。ここに即効性のある薬があります」

カチューシャ「そうなのぉ?」

ノンナ「はい。これです」

カチューシャ「なに、その砲弾みたいなの……」

ノンナ「同志カチューシャに座薬を装填するのは、副隊長の務めですから」

カチューシャ「え……え……」

ノンナ「いきますよ、カチューシャ。Ураааааааа!!!!!」


ノンナ「はっ! 夢、ですか」

ノンナ「もう一度、目を閉じれば続きを見ることができるでしょうか」

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プラウダ高校

カチューシャ「いつも通り、雪原での試合を想定した練習から始めるわよ!! 遅れたら粛清よ!!」

ノンナ「……」

ノンナ(考えてみれば、カチューシャが風邪をひくことなどありえない。私が徹底した体調管理を行っていますし、食事の観点からも栄養不足による不調もまず発生はしない)

ノンナ「カチューシャは常に万全でなくてはならない」

カチューシャ「ん? まぁ、そうね。ほら!! そこぉ!! 隊列が乱れてるわよ!! 視界が悪いからなんて言い訳にもならないわよ!!」

ノンナ(そう。私が全てを管理しているのですよ、カチューシャ……)

カチューシャ「いつも感謝してるわ、ノンナっ」

ノンナ「え?」

カチューシャ「私の事、気にかけてくれてありがと」

ノンナ「カ、カチューシャ……」

カチューシャ「べ、別に、まぁ、ノンナは副隊長だし、それが当然なんだけどねっ」

ノンナ「はい。私に感謝することはありませんよ、カチューシャ」

カチューシャ「分かってるわよ! あ!? ちょっと!! なにしてるの!! 全然予定と違うコースじゃない!! 戻ってきなさい!! 遭難したいの!?」

ノンナ(私は何をしようとしていたのか……。申し訳ありません、カチューシャ)

会議室

カチューシャ「次、大洗と練習試合をするんだから、作戦の確認しておきなさいよ」

ニーナ「はい。やります」

アリーナ「がんばります」

ノンナ「試合会場は大洗ですか」

カチューシャ「そのほうが面白そうでしょ」

ニーナ「カチューシャ隊長がまだいきたいだけじゃねえべか」

アリーナ「しっ」

カチューシャ「何か言ったぁ?」

ニーナ「な、なんにもいってねえです」

クラーラ「大洗への偵察は行いますか?」

カチューシャ「偵察?」

ノンナ「前回の親善試合で大洗のエリアは調査済みだけれど」

カチューシャ「いいわね!! 行きましょう!! ノンナも来る!?」

ノンナ「はい」

カチューシャ「敵地の情報は常にチェックしておかないとね。1ヶ月もあれば変化しちゃうし」

ノンナ「そうですね」

カチューシャ「やっばり、いぎだいだけみてぇだなぁ」

アリーナ「いいんじゃねえか?」

クラーラ「カチューシャ様が楽しければ全て良しです」

ニーナ「そうだべなぁ」

カチューシャ「今から行きましょうか。ミホーシャたちもびっくりしちゃうんじゃない?」

ノンナ「偵察行為を行うのであればできる限り、目立たないようにしたほうがいいかと」

カチューシャ「ふっふーん。前に大洗の制服を作っておいて正解だったわね。あれを着ていくわよ」

ニーナ「袖があまりまくってながったか?」

アリーナ「ちゃーんと、直したべな」

クラーラ「余計なことを」

アリーナ「え?」

カチューシャ「最高じゃない!! それで大洗に突入するわよ!!」

「「Ураааааааа!!!!!」」

>>6
カチューシャ「やっばり、いぎだいだけみてぇだなぁ」

ニーナ「やっばり、いぎだいだけみてぇだなぁ」

数日後 大洗学園艦

カチューシャ「侵入成功ね」

ノンナ「カチューシャ。気温差が激しいので、慣れるまではあまり無理はしないほうが」

カチューシャ「ヘーキよ。カチューシャは気温の変化ぐらいで壊れたりしないわ」

ノンナ「そうですか」

ニーナ「はえー。やっぱり大洗は古風なところだべなぁ」

アリーナ「プラウダよりも古い学園艦だからなぁ」

クラーラ「露天風呂があるとか」

ニーナ「いいなぁ。プラウダはそういうの設置してぐれねえもんなぁ」

カチューシャ「そういえばなんで?」

ノンナ「学園艦は北海にいることが多いですからね。外に作ると除雪作業などで人員を取られてしまうことになります」

アリーナ「なにより寒そうだ」

カチューシャ「何よ。シベリアに比べれば全然なのに」

クラーラ「行ったことあるのですか?」

カチューシャ「そろそろ大洗の学校に着くわよ。気を引き締めなさい」

大洗女子学園 戦車倉庫

カチューシャ「うーん!! うーん!!」

カチューシャ「ノンナ!! 開けて!!」

ノンナ「はい」ゴゴゴッ

カチューシャ「無駄に扉が重いんだから」

ニーナ「カチューシャ隊長が非力なだけじゃ……」

アリーナ「言っちゃだめだってぇ」

ノンナ「全車輌、整備済みのようですね」

カチューシャ「戦車に変化はなさそうね」

ノンナ「変わっているとしたら、それはみほさんの戦術かと」

カチューシャ「ふふ。そうね。それはあるかもしれないわね。だったら、ミホーシャのところに行きましょ」

ニーナ「いってどうするべな」

カチューシャ「ミホーシャが持っているはずの戦術ノートを見ちゃうのよ」

クラーラ「今の時間なら教室で授業でしょう」

カチューシャ「よし。ミホーシャのところへいそぐわよ!!」テテテッ

廊下

カチューシャ「ミホーシャはどこかしら?」

ニーナ「もはや隠れる気もなさそうだべな」

アリーナ「テンションがあがりきってるな」

クラーラ「余程、嬉しいのでしょうね」

ノンナ≪心配です≫

クラーラ≪なにが?≫

ノンナ≪気温差によって体調を崩す可能性は高い≫

クラーラ≪あれだけはしゃいでいれば疲れもする、か≫

ノンナ≪きちんと見張っていないと……≫

カチューシャ「日本語でしゃべりなさいってば」

みほ「あれ? カチューシャさん?」

カチューシャ「ミホーシャ!!」テテテッ

みほ「どうしたんですか?」

カチューシャ「偵察に来たのよ! 今度、練習試合をするからトーゼンでしょ!!」

みほ「そうなんですか。わざわざありがとうございます」

カチューシャ「ふっふーん、感謝しなさい!!」

ニーナ「どっちも返事が間違ってねえか?」

ノンナ「突然の訪問で驚かせてしまって申し訳ありません」

みほ「いえ。けど、練習試合の話は知らなかったんですけど……」

カチューシャ「アンズにちゃんと伝えたわよ」

みほ「いつですか?」

カチューシャ「ノンナ、いつ?」

ノンナ「今朝です」

みほ「今朝!?」

カチューシャ「今から教えてくれるんじゃない?」

みほ「は、はぁ」

カチューシャ「それよりミホーシャ、学校の中を案内してくれない?」

みほ「そうですね。みなさんも一緒にどうですか」

ノンナ「ご迷惑でなければ」

みほ「ここが食堂です」

カチューシャ「プラウダのほうが大きいわね」

ノンナ「生徒数も、学園艦の規模も違いますからね」

みほ「あはは」

典子「あれ!? カチューシャ先輩じゃないですか!!」

エルヴィン「こんなところで会うとは。何か御用で?」

カチューシャ「練習試合をするから偵察に来たのよ」

エルヴィン「堂々たるスパイ宣言か。王者の風格だな」

カチューシャ「カチューシャはね、コソコソしたりしないの。偵察だって正々堂々とするんだから!!」

典子「一応、私たちの制服は来てくれているんですね」

カチューシャ「プラウダの制服だと目立ちすぎるもの。必要以上に目立つと面倒なことが多いからね」

エルヴィン「確かにカチューシャ先輩の周りに人だかりができてしまうと一大事だな」

ノンナ「一瞬で見失うことになりますから」

カチューシャ「カチューシャが小さいっていいたいの!?」

クラーラ「人を多く集めてしまうだけの魅力があるということです」

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