【ガルパン】ノンナ「時には昔の話を」 (48)


『大洗、T-34-85、IS-2、KV-2、戦闘不能!』

ノンナ「ニーナ、アリーナ、怪我はありませんか」

ニーナ『大丈夫だぁ』

アリーナ『カチューシャ隊長、逃げてくれたなぁ』

クラーラ「Я извиняюсь . Если это возможно, здесь является немного более развалиной(すみません。こちらがもう少し大破させることができれば)」

ノンナ「Это было чертовски хорошо. Мы были в состоянии заработать время .(上出来でしたよ。時間を稼ぐことが出来ました)」

ニーナ『そういえば、ノンナ副隊長が言ってた、ウラル山脈よりってどんな意味なんだ?』

ノンナ「それはですね――――」


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※ガルパン劇場版のネタが少し出ます。ネタバレ注意
 こうだったかもしれないプラウダ高校の妄想ストーリーです
 公式にない部分が大部分ですがそれも含めてよろしくお願いします

ノンナ『プラウダ高校に入学した私は、中学時代から続けていた戦車道を、続けて履修することにしました』

ノンナ『入学して1ヶ月。ようやく少しクラスに慣れた頃、その出会いがありました』


ノンナ(1年生)「……」

ドンッ

??「きゃっ!」

ノンナ「す、すいません……?どこに……」

??「こ、ここで……」

ノンナ「す、すみません。見えなかったもので……」

カチューシャ(1年生)「い、いえ、こちらこそ……あ、確か、戦車道の」

ノンナ「はい、あなたも、戦車道の」


ノンナ『プラウダの戦車道隊は、かなりの人員が居ますので、その時点では私もカチューシャも、そういえば見たことがある、程度の認識でしかありませんでした』


カチューシャ「あっ、もう次の時間が……!」

ノンナ「あ、待って。このノート……行ってしまいましたね」


ノンナ『勝手に人の持ち物を除くというのは悪趣味だとは思いましたが、作戦計画と書かれたノートを手に取り、私は中身を見て、軽いショックを覚えていました』

ノンナ『そこに記されていたのは、これまでの黒森峰の戦闘と、プラウダ校の戦闘データを詳細に分析し、かつ勝利するための作戦案』

ノンナ『今思い返せば、多少荒削りな部分もありましたが、それでもその当時、この戦法を立案して、実践していたプラウダの戦車道指揮官は居ませんでしたから、カチューシャの先見性に、私は感動を覚えました』

カチューシャ「あのっ!今度の練習試合の作戦を考えてみたんです!これなら必ず勝てます!」

オリガ(3年生・副隊長)「何おちびちゃん。お絵かきでも持ってきたの?」

アナスタシア(2年生)「隊長にこれを渡せって言うの?」

カチューシャ「はい!」

オリガ「ふーん…ま、隊長には渡しといてあげるわ」

カチューシャ「ありがとうございます!」


ノンナ『あの頃のプラウダの戦車道は、隊長アレクサンドラを中心として、その取り巻きだけですべてが決められていました』


タチアナ(2年生)「まあ、通るとは思えないけどね」

マリア(2年生)「体は小さいのに、頭だけは大きいのねえ。あら?どこに行ったのかしら?みえないわ?」

オリガ「はいはい。おちびちゃん相手に遊ばないの」

カチューシャ「これなら必ず、黒森峰だって倒せます!」

マリア「はいはい、じゃぁねぇ~」


ノンナ『北海道でも有名な、戦車道の期待の星と言われていたカチューシャでしたが、むしろそれが彼女たちの気に食わなかったようです』

カチューシャ「……」ジワッ

ノンナ(1年生)「……」


ノンナ『あの頃のカチューシャは、まだまだ学園生活にも不慣れで、小さな体が災いして、戦車道以外でもいろいろ不遇な目に遭っていました』

ノンナ『私は、そんな彼女に期待をしていました』

ノンナ『この子は、きっと凄いことをやってのける。それだけの思慮深さと、理想がある』

ノンナ『だから私は、この子を……カチューシャを守ろうと決めたのです』


カチューシャ「ちょっ、ノンナ!何してるの?!」

ノンナ「こうすれば、もうおチビちゃんなんて言わせませんよ」

カチューシャ「ノンナ……」


ノンナ『肩車をしようと思ったのは、単純に彼女が人を見上げて話すという、物理的に不利な状況だったのを解決して上げたかったから』

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ニーナ「そっだらごどがあっだんですねぇ」

アリーナ「でも、カチューシャ隊長、あたしらが戦車道やりだした時にはだいぶ今のカンジだったべな?」

「おーい!車両はここにおいて戻るべ!」

ニーナ・アリーナ「「は、はい~」」

ノンナ「……小さな暴君。地吹雪のカチューシャ」

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ノンナ『それは、戦車の整備と掃除を終えて寮に戻った夜のことでした』

ノンナ『廊下の奥で、誰かのすすり泣く声が聞こえてきたのです』

ノンナ『誰の声だろう。私はその声の元へと歩を進めました』


ノンナ「カチューシャ……!」

カチューシャ「ひっく……えっぐ……」


ノンナ『カチューシャの部屋に吹き込む、冷たい風』

ノンナ『あろうことか、彼女の寮の部屋は、何者かによって荒らされていました』

ノンナ『貴重品は常に持ち歩くのがプラウダのルールでしたから、幸いそういったものへの被害はなかったのですが……』


カチューシャ「ノート……やぶかれちゃった……」


ノンナ『犯人は明らかに、戦車道隊員。しかし、カチューシャのことなど、誰も最初から気に留めていなかった』


ノンナ『彼女の部屋の惨状を、隣や向かいの部屋の生徒は知っているだろうに、我関せず、と』

ノンナ「……カチューシャ、来てください」

カチューシャ「え、ノンナ……」

ノンナ「今日から、ここがアナタの部屋です」

カチューシャ「え、でも……」

ノンナ「良いんです。私1人でこの部屋は広いですから……」


ノンナ『可哀想、と思っただけではありませんでした』


ノンナ『カチューシャという逸材を、守らなければいけない』


ノンナ『それがプラウダの戦車道を生まれ変わらせる唯一の手段だと思ったのです』

ノンナ「……カチューシャ、あなたは、皆が言うような、小さいだけの、頭でっかちなどではありません」

カチューシャ「……」

ノンナ「ウラル山脈より高い理想と、バイカル湖のように深い思慮を秘めている……私は、あなたがこのプラウダの戦車道のトップに上り詰めることを信じています」

カチューシャ「ノンナ……」

ノンナ「だから、あなたはもっと堂々としていればいい。あなたは、良い指導者になりますよ」

カチューシャ「……わかった。じゃあ、ノンナ、あなたも手伝って」

ノンナ「はい」


ノンナ『カチューシャとの同じ部屋での生活は、カチューシャ自身の自主独立の心が強いことも会って、割合短期間で終わりを告げました』

ノンナ『しかし、私がふとした拍子に歌った子守唄が気に入った様子でしたので、部屋が別れた後も、毎夜歌ってあげています』

ノンナ「Спи, младенец мой прекрасный,Баюшки-баю.(おやすみ、私のかわいい赤ちゃん。ねんねん、おころりよ)」


ノンナ『彼女は、この小さい体にどれだけの強さを秘めているのでしょうか』


カチューシャ「Zzzz……」

ノンナ「Тихо смотрит месяц ясный.В колыбель твою.(輝くお月様が、静かにあなたの揺りかごを覗いているわ)」


ノンナ『彼女は、この小さい体にどれだけの強さを秘めているのでしょうか』


カチューシャ「Zzzzz……」

ノンナ「Стану сказывать я сказки,Песенку спою;(お話をしましょう、お歌を歌いましょう)」

カチューシャ「Zzzzz……」

ノンナТы ж дремли, закрывши глазки,Баюшки-баю.(目を閉じてお眠り。ねんねん、おころりよ)」


ノンナ『私は時折思うのです。ひょっとすると、体の大きさこそ私は大きいですが、この子のほうが、何倍も大きな人間なのではないか、と』

カチューシャ「Zzzz……」

ノンナ「……寝ましたか」

カチューシャ「ノンナ……」

ノンナ「はい?」

カチューシャ「Zzzzz……」

ノンナ「寝言でしたか……」

ノンナ『私達の1年生の時代は、そうして過ぎ去りました。臥薪嘗胆、という言葉がぴったりだったかもしれません』

アナスタシア(3年生・戦車道隊長)「バカを言うんじゃあないわ。なんでアナタの作戦なんか採用しなくちゃいけないの?」

カチューシャ(2年生)「黒森峰を叩き潰すためにはこの作戦を使うよりほか無いわ!」


ノンナ『私達が2年生に進級すると、プラウダの戦車道チームは隊長アレクサンドラの後任として、アナスタシアを迎えていました。しかし、単調な突撃を繰り返す戦術が災いし、プラウダ高校戦車道始まって以来の、冬の時代が訪れていました』


カチューシャ「本隊を囮として敵主力を惹きつけ、包囲。その間にフラッグ車を叩く!これで勝利も同然よ!」


ノンナ『カチューシャはといえば、エカテリーナの後任であるアナスタシアの信頼のなさに援護を受けて攻勢を開始していたものの、まだ実権掌握には程遠い段階でした』

ノンナ『カチューシャの立案した戦法は、敵部隊を二重包囲して戦力を削り取りつつ、敵の戦意を下げるというものでした』


ノンナ『プラウダの戦車道チーム、特に戦車道全国大会におけるレギュレーションは、この戦法を展開するに十分でした』


ノンナ『しかし、圧倒的な戦力を誇るというのは、それだけで慢心を与えていました。そんな手のかかることをしなくても、敵正面から力押しのほうが、短期決戦が行えるのですから』


ノンナ(2年生)「私もカチューシャの意見に賛同します」

カチューシャ「本隊は敵を引きつけておくだけ、万が一別働隊が作戦を失敗した所で、本隊の戦力を投入すればフラッグ車まで撃破出来るわ!」

タチアナ(3年生・戦車道副隊長)「……どうするの、アナスタシア」

アナスタシア「じゃあやってご覧なさい。ただし、割ける戦力はあなたとノンナの2両、それにKV‐2だけよ」

タチアナ「いいの?KV-2」

アナスタシア「あんなウスノロ、いるだけ邪魔よ。機動力で黒森峰を潰すなら居てもいなくても構わないわ」

カチューシャ「あ、そう。それにしてもえらく余裕ね。もし私がフラッグ車を叩き潰したらどうしてくれるの?」

アナスタシア「はぁ?そうね……あなたの前で土下座して、泣いて詫びでも入れましょうか?隊長の座も、その場であなたに譲ってあげる」

カチューシャ「ふぅん。言ったわね、後で泣いたって知らないわよ」

アナスタシア「それじゃあこちらも条件と行きましょうか。アナタ、もし自分の作戦でフラッグ車を打ち取れなかった時は、当然責任とってくれるわよね?」

カチューシャ「ラーゲリ送りの上で資格剥奪?上等じゃない」


ノンナ『船務科の荷役係への転科、及び戦車道隊員としての資格剥奪。期限は無期限。かつて幾人の隊員が隊長の気まぐれでこの処分をされたか、カチューシャ自身も良く知っているはずでした』


カチューシャ「ノンナ共々行ってやるわよ、その時は」


ノンナ『私はこの時点で一言も同意したつもりではなかったのですが、カチューシャが言うのならどこまででも着いていこうと思ったのです』


アナスタシア「その言葉、忘れるんじゃないわよ。決勝戦の後、どちらが土下座してるか楽しみだわ」

クラーラ「Это неразумно!? Нонна,должны не слишком поздно. Давайте извиниться перед Анастасии!(それは無茶です。ノンナ、今からでも遅くはないはずです。アナスタシアに謝りましょう)」

ノンナ「Я считаю, что Катюша. Если в Rageri только стратегия не это идти, даже в Сибири(私はカチューシャを信じています。もし、作戦が失敗したらラーゲリでもシベリアでも行きましょう)」

カチューシャ「ちょっと二人共!日本語で話しなさいよ!」

クラーラ「Что ?(はい?)」

ノンナ「しかしカチューシャ。勝算はあるのですか?」

カチューシャ「ノンナ、私のことを疑ってるの?」

ノンナ「いえ、そんなことは無いのですが。黒森峰はあの西住流です」

カチューシャ「島田流だろうが西住流だろうが関係ないわ」

ノンナ「はい」

カチューシャ「不振続きの私達プラウダ高校が、ここでやらなきゃ末代まで笑われるわ。そんなの黙って見ていられない」

ノンナ「はい」

ノンナ『この頃のカチューシャは、特に気を張っていたように思います』

ノンナ『周囲に舐められまいとする気持ちが、行動と言動において彼女を一変させました』


アナスタシア「まるで将軍様ってとこかしらね」


ノンナ『当然、この状況がアナスタシアにとって面白いものであろうはずもなかったのでしょうが、この頃の彼女は、差し迫っていた戦車道全国大会のことで頭が一杯で、とてもカチューシャをからかっているような暇はなかったようです』

ノンナ『カチューシャは、言動はともかく、行動は率先垂範。意外にも下級生からは慕われている部分もありました』

ノンナ『何せ私と常に一緒にいるせいで、上級生は煙たがるのですから、それでも慕われるのなら相当なものです』


『準決勝Aブロック、勝者は熊本県代表、黒森峰女学院』

ノンナ「やはり、順当に繰り上がってきましたか」

カチューシャ「当たり前じゃない。でないと張り合いが無いってもんよ」

クラーラ「Финал . Я хочу , чтобы всегда побеждать!(決勝戦は必ず勝利したいですね)」

ノンナ「Да(ええ)」

カチューシャ「だからあんた達日本語で話しなさいよ」

ノンナ「それにしても、アナスタシアは完全にこちらを計数外で作戦を立案しているようですが」

カチューシャ「構わないわ。どうせ突撃しか脳がないんだもの。知波単当たりと同レベルじゃない」


ノンナ『知波単学園とは第一回戦で対戦。双方ともにフラッグ車と護衛の数両しか残らないという酷い試合でしたが、最終的には別働隊として動かされていた私とカチューシャが、敵フラッグ車の突撃の隙を見て撃破しました』

ノンナ『第二回戦は継続高校戦。数に物を言わせた突撃で、これもまた撃破しましたが予想以上の苦戦に、戦車道チームの士気は下がりきっていました』

ノンナ『準決勝はあの聖グロリアーナ女学院との戦い。流石に突撃戦法に限界を感じたらしい隊長アナスタシアでしたが、結局は火力で押し切る形になってしまいました』


カチューシャ「黒森峰は、ああは行かないわよ」

ノンナ「そうですね」

アナスタシア「あなた達!練習もサボってこんな所で御茶会だなんていい度胸ね」

カチューシャ「燃料が勿体無いわ。あんな練習、私たちには必要ないもの」

アナスタシア「っ……!このチビ」

ノンナ「Не прикасайтесь к Катюше !(カチューシャに手を触れるな!)」

アナスタシア「くっ……!」

ノンナ『学内は不利な状況だったカチューシャにも、実はある友好関係が芽生えていました』

ノンナ『聖グロリアーナ高校、当時は戦車道チーム副隊長のダージリンです』

ノンナ『私達と同じ歳で、紅茶と格言をこよなく愛する英国淑女、とでもいいましょうか』


ダージリン「今度の相手は黒森峰だそうね。プラウダに勝算は?」

カチューシャ「私とノンナにかかれば一発で決めてあげるわ」

ダージリン「あら随分と自信満々ね。相手はあの西住流よ」

カチューシャ「西住流だろうがなんだろうが、うちは勝たなきゃいけないの」

ダージリン「黒森峰は10連覇を目指しているわ。そう簡単に突き崩せないと思うけれど」

カチューシャ「このカチューシャの戦術の前に、必ず黒森峰は膝を屈するの。そう決まってるのよ」

ダージリン「決勝戦は見に行くわ。アナタの戦い、見させてもらいましょうか、『地吹雪のカチューシャ』」

カチューシャ「地吹雪のカチューシャ……良いわね、それ!私にぴったりだわ、ねえノンナ、そう思わない?」

ノンナ「お似合いですよ、カチューシャ」

ダージリン「ノンナはそうね、ブリザード、ブリザードのノンナとかどうかしら」


ノンナ『地吹雪のカチューシャ、ブリザードのノンナ。あの第62回大会の後、私達はそう呼ばれるようになりました』

カチューシャ「ねえ、ノンナ」

ノンナ「はい」

カチューシャ「……明日勝てれば、あの偉そうな連中、全部まとめて追い出せるわね」

ノンナ「そうですね」

カチューシャ「……必ず勝つわよ。私達がプラウダの戦車道に革命を起こすんだから……おやすみ」

ノンナ「おやすみなさい」



ノンナ「…Сам узнаешь, будет время,Бранное житьё;(自分でも気付くわ、時が来れば戦いばかりの暮らしになると…)」

ノンナ「Смело вденешь ногу в стремя.И возьмёшь ружьё.(勇敢に足をあぶみに掛けて銃を手に取るのよ)」

ノンナ「Я седельце боевое.Шелком разошью…(私は戦いのための鞍に絹糸で刺繍をするわ…)」

ノンナ「Спи, ди.я моё родное,Баюшки-баю.(おやすみ、私の血を分けた子よ。ねんねん、おころりよ)」

『これより黒森峰女学園対プラウダ高校の試合を開始する、一同、礼』

アナスタシア『全部隊、森を迂回しつつ前進。黒森峰の側面を抑える』

ノンナ「カチューシャ、こちらは」


ノンナ『私たちは主力部隊から遠く離れた場所で待機を命じられていました』

ノンナ『勝手にしろと言わんばかりのこの扱いでしたが、カチューシャは気にすることもなく、私が作ってきたボルシチを食べていました』


カチューシャ「全軍が戦闘状態に入るまで待機。クラーラが斥候に出てるから、その報告を待って動くわよ」

ノンナ「しかし、フラッグ車が主力部隊とともに動いていたら、そもそもこの作戦は」

カチューシャ「今までの戦いで、黒森峰はフラッグ車を前線投入していなかったわ。今回にしても、おそらく伏兵として配置しているはずよ」

タチアナ『敵主力集団発見。数12。フラッグ車が居ません』

カチューシャ「ほらね」

ノンナ「なるほど」

カチューシャ「敵もこちらの数が少ないのを確認している筈。見つかる前に敵フラッグを叩かないと」


ノンナ『つまり、主力部隊がこちらの別動部隊に気が付き、フラッグ車に増援を回されては困るのです』

ノンナ『そのためには、いかに素早くこちらがフラッグ車を追いつめられるかが勝負でした』

クラーラ『Я нашел врага флаг автомобиль ! Это городской округ』

ノンナ「敵フラッグ車を発見!市街地方面です」

カチューシャ「動きは?」

クラーラ『Закрытая школа и , кажется, ждет после』

ノンナ「廃校跡に待機しているようです。市街地戦に持ち込むときに伏兵にするつもりなのでしょうか?」

カチューシャ「私達も町へ向かうわよ」

ノンナ「本隊には教えないんですか?」

タチアナ『前進!敵部隊を押し潰せ!』

カチューシャ「教えて意味があると思う?」

ノンナ「確かに」

ノンナ『この時点で、プラウダ主力は敵主力集団と、完全に正面衝突をしていました。プラウダはKV-1を主力として突撃を敢行』


ノンナ『対する黒森峰は、当時もう一方の優勝候補と言われていたサンダース大附属高校に対しての準備をしていたせいか、電撃戦の構えだったらしく、一時的に不利な状況でした』


ノンナ『それに気を良くしたプラウダ主力は、徐々に市街地地区へ引きずり込まれていくのでした』


クラーラ『Оплот , это была нажата . Это дизайн в настоящее время Fightin забаррикадировались в городе』


ノンナ『クラーラはこの当時、偵察用のT-70の車長でした。本来であれば主力部隊に随伴して目となるべきでしたが、この状況では独立して動くのも無理があるため、カチューシャ配下のような状態でした』


ノンナ「Опять ли вам это.」

カチューシャ「だからねぇ」

ノンナ「主力集団、町に押し込まれ包囲されている模様です。フラッグ車は町から出たようですが」

アナスタシア『全部隊フラッグ車を守れ!町の入口から敵を一切通すな!くそっ、ここまで相手が押してくるなん』

カチューシャ「聞き苦しいわね。行くわよノンナ」


ノンナ『カチューシャはそれ以降、試合が終わるまで隊長車の通信を切っていました』

ノンナ『主力部隊が敵集団と消耗戦を繰り広げているうちに、私たちは敵のフラッグ車を見つけ出すことに成功しました』


カチューシャ『みぃーつけた!KV-2前へ!当たんなくてもいいから敵フラッグ車と取り巻きに砲撃!』

ノンナ「崖側に逃げられましたが」

カチューシャ『忘れたの?崖側は一本道。あいつらが気づいたところでもう遅いわ』

ノンナ「……後方、敵増援。Ⅲ号、パンター2両ずつです」

カチューシャ「応戦してる暇はないわね。こちらも崖側の道路に入るわ。KV-2は道路入口に布陣して、敵を食い止めなさい!』

『分かりました!』

ノンナ『カチューシャは、特にこのKV-2という車両を気に入っていたように思います。自身も一時期KV-2の装填手として乗車していたからでしょうか』

ノンナ『結果として、KV-2が道路入口を封止したことにより、敵の追撃を私たちは気にする必要がなくなりました』


ノンナ『そして、あの瞬間が訪れました』

ノンナ『決戦は雨の崖沿い1本道。試合開始から少し経った頃から降り続いていた雨により、谷底の川は濁流となっていました』



ノンナ「カチューシャ、前方にⅢ号2両、ティーガ―Ⅰ、フラッグ車です」

カチューシャ『こっち見ても逃げないなんて大した度胸ね、攻撃開始!』


ノンナ『私とカチューシャの車両の砲撃は、わずかにそれて敵車両の前方に着弾』

ノンナ『敵車両はこちらの砲撃にうろたえたのか、誤って川へ滑落していきました』


ノンナ「この川の流れでは……カチューシャ、どうしますか」


ノンナ『ターゲットスコープからは、敵のフラッグ車から飛び出していった少女の姿が見えました。あの濁流を、泳いで救助に向かったのです』

ノンナ『目の前には、身動きの取れなくなった敵フラッグ車。後方に居たもう一両が、無理やり前方に出て盾になろうとしていました』


『こちらKV-2!撃破されましたが、敵がこちらをどけるまでは時間があります、早く!』


ノンナ『ここで砲撃をしても、何ら問題はない』

ノンナ『ただ、こちらの砲撃による事故であることは確かでした』

ノンナ『ここで砲撃をして、優勝して、それで良いのか』

ノンナ『カチューシャは、迷いませんでした。一発の砲声が轟き、フラッグ車のティーガーから白旗が上がったのです』



『黒森峰女学園、フラッグ車撃破。よって、優勝は、プラウダ高校!』

ノンナ『カチューシャは、結果的に自分の作戦で、敵のフラッグ車を打ち取ることが出来たといえるのかもしれません』


ノンナ『あの試合の後の、黒森峰の隊長の表情は今でも忘れることは出来ません』


ノンナ『あくまで可能性の話ですが、ここでもし、逆の立場に敵が陥ったらどうだったでしょうか。あのティーガーの車長……西住みほさんは、私達を救助してくれたのでしょうか』


ノンナ『自分がプラウダの本隊に釘付けになり、フラッグ車を落とされたこと。私達がその隙を突いて勝利したこと、その感情のないまぜになった、怒りと憤りの表情は、カチューシャが後で思い返す程の、苛烈なものだったようでした』

ノンナ『ひょっとすると、黒森峰の隊長は、フラッグ車の車長であるみほさんのことを信頼しきっていたのかもしれませんね。それは、身内だからというわけではないというのは、後に実際に戦って、身に染みて理解できましたが』

カチューシャ「さあ……アナスタシア、あなた、言ったわよねぇ。私が作戦成功させたら、土下座して隊長の座をくれてやるって」

アナスタシア「……!」

ノンナ「あなたの戦術は、まんまと敵に看破されて、街で包囲殲滅戦の憂き目にあった。こちらがフラッグ車を撃破していなければ、負けたのはプラウダでした」

アナスタシア「違う、私は悪く無いわ!ねえ、皆もそう思うでしょう?!」


ノンナ『その言葉に応える声はありませんでした』


カチューシャ「さあ、見せてもらおうかしら……土下座」

アナスタシア「……!」


ノンナ『この時のアナスタシアの表情は、ありとあらゆる感情が渦巻いて居ました』


ノンナ『誰も援護しなかったのは、きっと、みんなカチューシャに対しての行いを知っているからでしょう。そして、自らの行いもまた、思い返しているはずです』


ノンナ『誰だって、自分が巻き添えを食うかもしれないと分かれば、手を引くものです』


カチューシャ「……どう?低いところから相手を見上げるのは。その相手が、勝ち誇ったかのような笑みを浮かべているのは、とても屈辱的とは思わない?」

アナスタシア「くそ……ぉぉぉっ!」

カチューシャ「プラウダの戦車道。私がきっちり立てなおしてあげる。じゃあねぇ、ピロシキ~」


ノンナ『それまで完全に見下していたカチューシャに、頭を下げている自分の惨めさに気がついたのか、アナスタシアは悔しそうに呻くだけでした』


ノンナ『カチューシャはそれに満足気な笑みを浮かべて、すぐに踵を返して表彰台へ向かう装甲車に乗り込みました』

ノンナ『生徒たちの眼差しは、すでにカチューシャを見つめていました』

ノンナ『優勝後の記念写真に、すでにアナスタシアとタチアナの姿はなく、名実ともに、プラウダの戦車道はカチューシャが実権を握ったのです』

ノンナ『優勝した翌日から、プラウダの戦車道チームには粛清の嵐が吹き荒れました。まさしく地吹雪のように』


カチューシャ「まずは配置転換と戦術方針よ。あんな突撃戦術なんか捨てて、今まで通り、包囲殲滅と持久戦の二本柱にするわ」

ノンナ「そうですね」

カチューシャ「あと、副隊長はノンナね」

ノンナ「わかりました」

カチューシャ「粛正リストを作ったわ。今まで偉そうに言ってた連中、まとめてラーゲリ送りよ」

ノンナ「船務科での荷役労働ですか」

カチューシャ「船から放り出さないだけありがたいと思ってもらいたいものね」

ノンナ「ただ、曲がりなりにも車長クラスの大部分が含まれているように見えますが」

カチューシャ「カチューシャがいるなら問題なし」

ノンナ「分かりました。早速進めます」

ノンナ『これにより、3年生はほぼ追放に近い扱いを受け、残った2年生、1年生の中で優秀なものを車長クラスに引き上げることとなりました』

ノンナ『混乱は一時的なものと考えられましたが、これまで突撃一辺倒で育てられていた世代は、カチューシャの指示になれるのに少し時間がかかりました』

ノンナ『元々前線に立って戦うタイプの指揮官の素質がありましたが、隊長になってからもそれは変わらず。新入生からも高い人気がありました』

ノンナ『無茶もさせますし、厳しいことも言いますが、きちんとできればそれに見合うだけの褒め方も知っていました』

ノンナ『そんな冬が過ぎ去り、カチューシャと私は3年へ進級。戦車道チームにも新入生が多数入ってきて、雰囲気が一変しました』


ニーナ「カチューシャ隊長、おはようごぜぇます」

カチューシャ「あらニーナ、今日は早いのね」

ニーナ「KV-2の主砲の点検です」

カチューシャ「関心ね!頼れる同志なんだから、頼むわよ!」

ニーナ「はいー!」

カチューシャ「アリーナは?」

アリーナ「ここですー」

カチューシャ「アナタもね!期待してるわよ!」

アリーナ「ありがとうごぜぇます!」

ノンナ『カチューシャへの新入生を含むチームの感情は、概ね好意的なものばかりでした』


カチューシャ「何やってんのレギーナ!この距離で外すんだったらシベリア送り5ルーブル追加よ!」

レギーナ「す、すみませーん!」

カチューシャ「次は当てなさいよ!……そこ!アンジェラ!ぼさっと突っ立ってたら良い的でしょ!射撃したらすぐ動く!!シベリアの大平原でそんなことしてたらあっという間に蜂の巣よ!」

アンジェラ「は、はいー!」

カチューシャ「アリーサ!今のは良い動きよ!今度はもっと早く!」

アリーサ「はい!」

カチューシャ「ニーナ!かーべーたんそんなに砲塔回したら倒れるわよ!車体回しなさい!」

ニーナ「すみませぇん!」


ノンナ『もちろん、そうでない場合もありましたが、練習試合を重ねていくうちに、それも溶けて流れ去りました』

ノンナ『もちろん、そうでない場合もありましたが、練習試合を重ねていくうちに、それも溶けて流れ去りました』

ノンナ『そして迎えた、カチューシャ体制になって初めての全国大会』

ノンナ『初戦のボンプル高校、2回戦のヴァイキング水産高校との戦いを苦もなく片付けた我々は、大洗女子学園との戦いに臨むことになりました』

ノンナ『ダージリンが面白半分に訪ねてきたのは、その戦いの数日前のことでした』


ノンナ「準決勝は残念でしたね」

カチューシャ「去年カチューシャ達が勝った所に負けるなんて」

ダージリン「勝負は時の運、というでしょう?」


ノンナ『ダージリンは事ある事に私たちのことを訪ねては、紅茶を飲んで帰って行きます』


ダージリン「次は準決勝なのに、余裕ですわねぇ。練習しなくて良いんですの?」

カチューシャ「燃料がもったいないわ。相手は聞いたこともない弱小校ですもの」

ダージリン「でも、隊長は家元の娘よ。西住流の」

カチューシャ「そんな大切なことを何故先に言わないの!?」

ノンナ「何度も言ってます」

ノンナ『流石に去年の戦いぶりを知っているからこその狼狽えようでした。何度も言っていたのに、上の空だったのは油断もあったからでしょう』

ノンナ『そこを正すのが副隊長である私の役目でしたが、それができていなかったことが、この後の敗北に繋がることを考えると、私にも非があった、と言わざるを得ません』


ダージリン「ふふっ。でも、あの高校はとてもおもしろい戦いをしますのよ」

カチューシャ「それは、この私も満足させてくれるかしら?」

ダージリン「さあ、どうかしら。でももう準決勝よ?プラウダ高校もそれに見合う、プラウダらしい戦いを見させてほしいものね。地吹雪さん」

カチューシャ「任せなさい。このまま決勝に進んで、二連覇よ」

ダージリン「一つ忠告として、ロシアの名言を贈るわ。勇気は都市を攻め落とす。勇敢に戦ったものこそが、勝利を得るのよ」

カチューシャ「それは、私達が都市という意味かしら?」

ダージリン「さあ、どうかしら」

ノンナ「では、こんな言葉をご存知でしょうか?Defeat? I do not recognize the meaning of the word.」

ダージリン「敗北など知らない……サッチャーね。ノンナも良い趣味しているわ」

ノンナ「ありがとうございます」

ノンナ『結果としては、大洗女子との戦いは我々が追い詰めたものの、フラッグ車を囮にしてこちらの主戦力を引きつけていた西住みほさんの作戦に、私達が翻弄されている間に負けてしまいました』

ノンナ『あの89式の乗員は良い腕をしていました。私を含むプラウダの主力からの砲撃を、最後の一撃を除いて尽く避けきったのですから』



カチューシャ「……負けたわね」

ノンナ「はい」

カチューシャ「……私の、責任ね」

ノンナ「……」

カチューシャ「私は、私の迂闊さに負けたの。でも、プラウダの戦車道が、大洗の戦車道負けたわけじゃないもの」

ノンナ「カチューシャ……」

カチューシャ「そうと決まれば、来年に向けて反撃の準備よ!来年こそは、あのあんこうマークを吊し切りしてあげるんだから!」


カチューシャ「全員良いわね!今日はよく戦ったわ!3年生は残った期間を、下級生への指導、協力に充てること。1年生、2年生は、私達の雪辱を必ず晴らしてちょうだい!このプラウダに、栄光の優勝旗を取り戻すのよ!」


『『『Ураааааааа!!!!』』』

ノンナ『一度燃え上がった炎は、たとえ消えかかったとしても、また燻り、燃え上がろうとする』

ノンナ『この分だとプラウダの戦車道は、当分の間王者たる資格を持って続けられることでしょう』



ノンナ「だけど時には、昔のことを思い出すのも良いかもしれませんね」

ニーナ『ノンナ副隊長ー!車出すべー!』

ノンナ「今行きますよ……カチューシャなら、きっとやってくれますよね」



オリキャラ妄想展開でしたが、こんな過去があったとしたらどうかなと思いました。
ガルパンは良いぞ、良いお年を!

(ロシア語グーグル先生に頼んだので、間違ってたらごめんなさい)

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