ダージリン「ペコの下剋上。つまりペ剋上ね」 (133)

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ガルパンSS

※百合要素あり

※キャラ崩壊あり なので苦手な方は注意です



↓前に書いたSSです。

みほ「会長のだいしゅきホールドの腰の感触が忘れられない」
みほ「会長のだいしゅきホールドの腰の感触が忘れられない」 - SSまとめ速報
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みほ「聖グロリアーナが選ぶベスト百合カップルランキング?」
みほ「聖グロリアーナが選ぶベスト百合カップルランキング?」 - SSまとめ速報
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【聖グロリアーナ女学院】


ダージリン「さて、放課後の練習に参りましょうか」テクテク

??「ダージリン様が……」

ダージリン「あら?どなたかが私の噂でもしているのかしら?」

ダージリン「偶然居合わせてしまったとはいえ、盗み聞きは良くないわね」

ダージリン「……でも何を話しているのか気になるのも事実」

ダージリン「………………そうね」

ダージリン「盗み聞きは良くないけれど、堂々と行うのならばそれは『盗み聞き』ではなく『こっそり傾聴』と呼ぶわ」

ダージリン「では、凛とした姿勢と笑顔で優雅に聞き耳を立てましょう………………」ソーッ..

女生徒A「やっぱり!?私もそう思ってたの!ダージリン様って素敵だなって」

ダージリン(あらあら)

ダージリン(褒められているようね。嬉しい限りだわ)

女生徒B「……それはわかりますけど……」

女生徒A「ダージリン様に何かご不満がおありなの?」

ダージリン(……嫌な予感がするわ。私の悪口かしら?)

女生徒B「私はペコ様の方が素晴らしいと思います」

ダージリン(!)


女生徒A「それは……もちろんペコ様も素晴らしい方だと思います。一年生でありながらダージリン様の隣に座られても違和感がないのですから。しかしダージリン様以上とは……」

女生徒B「あなたも知っているでしょう?ダージリン様がおっしゃった格言が誰の言葉なのか、ペコ様は全てお答えになられるのよ?」

女生徒A「!」

女生徒B「ダージリン様が誰の格言をおっしゃるのか、事前にわかるはずないのに全て答えているということは、ダージリン様以上の知識がおありになるからです!」

ダージリン「!!!」

ダージリン(確かに……ペコが誰の格言かを訊ねてくることは無いわ……)

女生徒B「それに最近、ダージリン様の発言に対し、『はいー?』と、若干呆れたような返答をなさるのをご存じないかしら?それをダージリン様がお叱りにならないということは、ダージリン様もペコ様を同等以上と深層心理で認めているのですわ!!」

女生徒A「う……」

ダージリン(そうなんですの?私の深層心理がいつの間に……)

女生徒B「……反論は?」

女生徒A「だ、ダージリン様はお美しく……」

女生徒B「ペコ様は可愛らしいですわ!」

女生徒A「……………ダージリン様はカリスマ性があります!」

ダージリン(あらあら。気持ちのいいことをおっしゃる子ね。頭を撫でて差し上げたいですわ。しかし、今のこっそり傾聴状態ではあの子の前に姿を見せるわけにはいかない)

ダージリン(ならばせめてこの場所から、遠近法を利用して擬似ナデナデしましょう)ナデナデ

女生徒B「確かに、ペコ様にダージリン様ほどのカリスマ性はありません。しかし、彼女は賢く優秀でありながら、その容姿と愛らしさにより、つい守ってあげたくなる存在です。また努力家の一面もありますから多くの生徒から支持を得るでしょう。それは結果として皆さんの上に立つ人物に相応しいと言えるのではないでしょうか?」

ダージリン「………………」

女生徒A「う……言い返せませんわ」

ダージリン(……であればナデナデはおしまいですわ。アデュー)サッ

女生徒B「……納得していただけたようでなにより」ニッコリ

女生徒A「…………そうね。私も今日からペコ様派に回るわ」

ダージリン(ペコ様派?)

女生徒B「ありがとう。これでまたペコ様派が増えたわ。このまま順調に行けばダージリン様派を上回りそう。そうなれば今のダージリン様のポジションに付くのはペコ様……そしてペコ様の位置にダージリン様がつく、と」

ダージリン(あら?)

ダージリン「……………………」




ダージリン「アッサム。聞いてほしいことがあるのだけれど」

アッサム「はあ、なんでしょう」

ダージリン「ビックリするテーマよ。なんと……ペコが私の地位を脅かそうとしているらしいの」

アッサム「?」

ダージリン「下剋上よ。ペコの下剋上。略してペ剋上ね」

アッサム「…………3点ぐらいですかね」

ダージリン「あら厳しいわね。でも採点よりもリアクションが大事よ。もっと驚くところなのだから」

アッサム「はあ」

ダージリン「アッサム。あなたはもしかして、ペ剋上を私の冗談だと思っているのではなくて?違うのよ、真剣な話なの」

アッサム「だったらふざけずに普通に下剋上とおっしゃってください」

ダージリン「だって響きがいいんだもの」

アッサム「………………」

ダージリン「……とりあえず本題に入るわ。今言ったように、ペコがわたくしの地位を狙っているらしいの」

アッサム「ダージリンの地位?隊長の座ということですか?」

ダージリン「他にも色々よ。解説枠とか……」

アッサム「枠とか言わないでください」

ダージリン「……本当にペコはペ剋上をするつもりなのかしら?」

アッサム「はぁー……」

ダージリン「何かしら?そのため息は」

アッサム「いえ、一年ほどの付き合いでありながら、その程度のこともわからないなんて……と思いまして」

ダージリン「確かに、ペコの性格を考えればありえないとはわかっているけれど……」

アッサム「え?いえ、私が言っているのはそっちの意味ではありません」

ダージリン「?」

アッサム「ペコはやる気満々ですよ。ダージリンの地位につくためにこれまで頑張ってきたのですから」

ダージリン「………………」

ダージリン「………えっ?」


ダージリン「じゃあ……私が決め顔で一言言ったあと、口をほとんど動かさず無表情で『そうですね』と言ったり…」

ダージリン「誰の格言を言ってもめんどくさそうに『みなさんご存じのあの方ですね』としか言わない日があったりしたのも……」

アッサム「兆候は感じ取っていたのですね」

ダージリン「当然よ。ある日なんて私が格言を忘れてしまってしどろもどろになっていたのに『みなさんご存じのあの方ですね』で片付けられたりした思い出もあるんだもの。これはもちろん悪い思い出ね」

アッサム「でしょうね……」

ダージリン「…………本当に本当なの?」

アッサム「はい?」

ダージリン「ペコが私の地位を狙っているというのは」

アッサム「はい」

ダージリン「…………あんなに愛らしくて健気に紅茶を淹れてくれているのに?」

アッサム「ダージリンから信頼を得るためにしたことでしょう。ダージリンが心を許し、目の前で恥ずかしいポエムなどを読みだしたら弱みを握れるでしょうし」

ダージリン「?何故弱みになるのかしら?」

アッサム「……ポエムを聞かれるのが恥ずかしいという感情は無いのですか?」

ダージリン「どうしてかしら?せっかく作ったものなら人に聞いてもらいたいと思うのが普通だと思うけれど」

アッサム「……さすがダージリン」

ダージリン「?」

ガチャ

オレンジペコ「失礼します」バタン

ダージリン「!!」


オレンジペコ「あ……」

ダージリン「ペコ……」

オレンジペコ「………………」

ダージリン「……今、ちょうどあなたの話をしていたところなの。あ、正確に言うと今はポエムの話をしていて、その少し前にペコの話をしていたの」

オレンジペコ「はあ」

ダージリン「…………ペコ。単刀直入に聞くわ」

オレンジペコ「はい」

ダージリン「あなたは…………私の地位を狙っているの?」

オレンジペコ「はい」

ダージリン「!!」

オレンジペコ「頑張ってダージリン政権を打倒します」ニコリ

ダージリン「………………」

アッサム「決戦は2ヶ月後です」

ダージリン「え……」

アッサム「聖グロリアーナ女学院の文化祭にて、聖戦を行います」

ダージリン「!」

オレンジペコ「勝利チームの代表者は聖グロリアーナのトップとして認められると言っても過言ではないほどですからね。ちょうどいい時期です」

ダージリン「……本気で私と戦うつもりなのね?」

オレンジペコ「はい」

ダージリン「………………」

ダージリン「わかったわ。ペコが本気なら私も受けて立つわ」

オレンジペコ「…………はい」

ダージリン「……では早速聞きたいのだけど」

オレンジペコ「?」

ダージリン「アッサムは私とペコ、どちらのチームに味方するの?」

アッサム「オレンジペコです」

ダージリン「………………」

ダージリン「ごめんなさい。ちょっとよく聞こえなかっ…」

アッサム「オレンジペコです」

ダージリン「……………………」

ダージリン「……と見せかけて?」

アッサム「オレンジペコです」

ダージリン「……………………」

アッサム「私はペコのチームに加勢します」

ダージリン「………………そう」

オレンジペコ「ダージリン様もこれからチームメイトを募った方がいいと思います。勝つ気があるのでしたら」

ダージリン「………………うふふふ。言うじゃないペコ」

オレンジペコ「はい。ダージリン様に勝つつもりですから」

ダージリン「ふふふ……うふふふふふ…………」


【黒森峰女学園】


ダージリン「……というわけなの」

まほ「いや、それで何故私のところに来る」

ダージリン「うふふ」

まほ「うふふではない。笑顔で誤魔化すな。顔が若干引きつっているぞ。ショックが大きそうだな」

ダージリン「同じ隊長として気持ちがわかるのではなくて?」

まほ「全くわからんが」

ダージリン「ドヤ顔で言い放った格言をあっさりと流された時の、表情筋の行方に四苦八苦する気持ち。わかるでしょう?」

まほ「そもそも私は格言を言い放たないからな……」

ダージリン「……ではこう考えたらどう?あなたが作戦を説明した時、副隊長が面倒くさそうにしていたり、ふざけていたとしたら……」

まほ「エリカはそのようなことはしない」

ダージリン「例えばの話よ。ほら、想像してごらんなさい」

まほ「………………」



まほ『作戦内容を説明する!まず前線の者は…』

エリカ『んあぁぁあぁぁぁあ~~~……』(首と両手両足をブラブラと振り続けている)

まほ『敵の予想外の動きに翻弄されず、己の力を…』

エリカ『……………………』(舌が鼻につくかを延々と試している)

まほ『この時点で包囲が完成した場合はAパターンで攻める。もし完成しなかった場合は…』

エリカ『~~~~……っ!~~~~~……っ!』(顔のたるみなどの解消のため、フェイシャルヨガで変顔をしている)



まほ「エリカのやつ……!!」ギリッ..!

ダージリン「わたくしの気持ち、わかっていただけたかしら?」

まほ「ああ……痛いほどわかったよ」

ダージリン「さらに、エリカさんは隊長の座を狙っている、という風に想像することも忘れずに」

まほ「……ちぃっ!元々私がいなくなったあとの黒森峰はエリカに任せるつもりだったが…………変顔ばかりしている輩に任せるわけにはいかない!」

ダージリン「では、同盟成立ね。改めてよろしく」スッ

まほ「全力で力になろう」ガシッ


エリカ「隊長!」タタタ

まほ「!」

エリカ「?どうしグロリアーナの隊長と握手をしているんですか?一体何があっ…」

まほ「…………黙れ」

エリカ「え?」

まほ「今は変顔を我慢中か?」

エリカ「は、はい?」

まほ「舌で鼻を舐めたいか?」

エリカ「あの……おっしゃる意味が…」

まほ「それは私のセリフだ!」

エリカ「ひぃい!?」

まほ「私が真面目な話をしていた時も、きっと変顔していたのだろうな……まさか……戦車道の時もか!!」

エリカ「し、してません!私は隊長を尊敬しています!」

まほ「では私が変顔をしろと言ったらするのか?」

エリカ「え?あ、は、はい…………隊長のご命令なら……」

まほ「やってみろ」

エリカ「…………は、はい」

エリカ「~~~~……っ!~~~~~……っ!」モニュー..

まほ「私の想像と同じ顔じゃないか!」

エリカ「ええっ!?そんなこと言われても……」

まほ「やり慣れている感すら漂う……これは一度や二度じゃないな」

ダージリン「一桁ではありませんわね」

まほ「だな。流れるようにスムーズな変顔だった」

エリカ「た、隊長……」

まほ「行くぞダージリン」

ダージリン「ええ」

ダージリン(強力な味方を得たわ。これがわたくしの外交術よ、ペコ)ウフフ

エリカ「うぅぅ……何故こんなことに……」ガックリ


【継続高校】


ミカ「………………」ポロロン

ミカ「………………」ポロロン

ミカ「………………」

ミカ「……一体何の用なんだい?」

ダージリン「あら?演奏はおしまいですの?」

まほ「最後まで聴きたかったが、残念だ」

ミカ「……両隣にくっつかれたら弾きづらいと風が言っているよ」ポロロン

ダージリン「私たちはお話をしにきましたの」

ミカ「風を見るに、今はキミの話を聞く時期ではないね」ポロロ..

ダージリン「そうおっしゃらずに」パシ(カンテレの弦をつまんで音を止める)

ミカ「っ!?」

まほ「そうだな」ガシッ(ミカの手を掴む)

ミカ「……キミたちの目的はなんだい?」

ダージリン「私に協力していただきたいの。来るペコ襲来までに戦力を揃えたいのよ」

ミカ「私が協力しなければならない理由があるのかな?」

ダージリン「……もし協力していただけたら、そこそこ高めのティーセットを差し上げますわ」

ミカ「紅茶趣味のない私にそのティーセットが必要とは思えない」

まほ「同感だな。ティーセットの類はよほど普段紅茶を飲むのでなければ宝の持ち腐れになる。戸棚の場所をとる上に使わないという、まるで実家住まいの無職の如きだ」

ダージリン「ティーセットと無職を一緒にしないでくださらない?」

まほ「いや、する」

ダージリン「そう。西住流がそう言うのなら反論はできないけれど」

まほ「ああ、しないでいい」

ダージリン「では、わかりやすく商品券1000円分をお支払いしますわ。協力をお願いします」

ミカ「悪いけれど、断らせてもらうよ」

ダージリン「…………何故ですの?」グイィイ..

ミカ「待つんだ!弦を引っ張るのはよくない!」

ダージリン「ふむ。では……」グリィィ!

ミカ「ねじるのもダメさ!ようするに破壊につながる動作はしないでくれ!風もそう言ってる!」



アキ「……ねぇミッコ」

ミッコ「なんだ」

アキ「ミカ、いつもと感じが違うね」

ミッコ「なんでだろ?」

アキ「ああいう風にグイグイ行く人がいなかったから、ミカも戸惑ってるのかも」

ミッコ「確かに。大体の人はミカのマイペースさに翻弄されるもんな」

アキ「……でも慌てたり声を荒げたりするミカも結構いいかも……///」


ミカ「……いい加減にしてくれ。弦でサンドイッチを切らないでほしい。パンくずが付く」

ダージリン「中身はきゅうりよ?」

ミカ「きゅうりならば構わない……とはならないのさ。水分が余計よくない」

ダージリン「そう。では改めてお聞きします。協力していただけますね?」

ミカ「……文脈というのを知っているかい?」

まほ「キミがそれを言うのか」

ミカ「…………悪いけれど、誘いに乗ることはできない」

ダージリン「…………」

ダージリン「……どうしてですの?」

ミカ「協力を依頼するというのに、弦を引っ張ったりサンドイッチ作りに利用したりしようとする時点で答えは決まっているけれど……それを抜きにしても先約があるのさ」

ダージリン「先約?」

ミカ「ああ」

まほ「………………」スッ..グィィィ..

ミカ「キミもか!時間差で弦を引っ張らないでくれないかい!」

まほ「先約とは?」

ミカ「……オレンジペコさんだよ」

ダージリン「!!」

ミカ「彼女に力を貸すと約束をしたんだ」

ダージリン「ペコ……」

ミカ「だからキミたちには協力できない」

まほ「……どうするダージリン。悔し紛れに一本だけ切るか?」

ダージリン「優雅に二本もありですわね」

ミカ「弦は勘弁してほしいよ。切に願う」

ダージリン「……わかっていますわ。カンテレに罪はありませんもの」

ミカ「…………よかった」フッ

まほ「罪を犯すのは道具ではない。それを扱う人間だ」スッ

ミカ「え?」

ガシッ!!

ミカ「え……これは……」

ダージリン「英国流の羽交い絞め、ですわ」ガッチリ

ミカ「え、え……一体……何を」

まほ「そこの二人」



アキ・ミッコ「!?」ビクン



まほ「こっちに来るといい」

アキ「は、はい…………行こう、ミッコ」トコトコ

ミッコ「うん……」


ミカ「一体何をするつもりかはわからないけれど、風がやめろと囁いてるよ」

まほ「……隊長は私たちの申し出を断った。キミたちはどうだ?」

アキ「ど、どうだと言われても……」

ミッコ「話が見えないから……なんとも言えない」

まほ「簡単な話だ。ダージリンの味方として聖グロリアーナの文化祭に参加してほしいだけだ」

アキ「あの……私たちは元々不参加でミカの応援をするつもりだったんですけど……」

ミッコ「…………」コクコク

ダージリン「あら。好都合ね。でしたら是非わたくしに協力してくださいな」

まほ「我々に協力するのなら…………」チラ

ミカ「?」

まほ「彼女の体を好きにできる権利を与える」

アキ・ミッコ「えっ」

ミカ「…………何を言っているんだい?冗談にしても笑えないよ」

まほ「……西住流には捕虜を尋問する技がある……説明するより味わった方が早いか」スッ

ミカ「え……」

まほ「とくと味わうがいい。西住流・捕虜自白術……くすぐり問答を」

ミカ「くすぐり……!?」

まほ「………………」コチョチョチョチョチョチョチョ!

ミカ「ぁ……っ!」ビクッ!

まほ「………………」コチョコチョコチョコチョ!!

ミカ「やっ……めっ………んぅっ……ぁ……っ///」

ダージリン「どう?両手の自由が利かない状態で、一方的にくすぐられる気分は?」クス

ミカ「んぅぅ……!く……ぁ……///」ブルブル..

アキ「み、ミカ……///」

ミッコ「…………///」ゴクリ

まほ「………………」コチョチョコチョコチョ!!

まほ「ダージリン。キミは右耳を頼む」スッ

ダージリン「え?あぁ……なるほど。わかったわ」ニコ

ミカ「?」ハァ..ハァ..

まほ「ふぅーーー……」

ダージリン「ふぅぅぅぅーーー……」

ミカ「っ……!?」ビクン!

まほ「両耳に息を吹きかけられる気分はどうだ?」

ミカ「……っ……べ、別に……普段と変わらないさ……///」

まほ「ほう。キミは普段から真っ赤な顔で目を潤ませ、息を荒くしているのか?それでは変質者だ」

ミカ「くっ……///」

まほ「まぁいい。続けるぞ」コチョコチョコチョコチョコチョコチョコチョ!

ミカ「はぁん……っ!」ビクン!


アキ「…………///」ゴクリ

ミッコ「な、なんかさ……くすぐられてるミカって……//」

アキ「う、うん。普段の飄々としてるミカと違って、すごく弱々しい感じで……」

ミッコ「目をぎゅっと閉じてて……顔、すげー真っ赤」

アキ「乱れた髪の毛、両足は内股で震えてる……」

ミカ「っ……ぁんっ…………ゃ……ぁ……///」ガクガクガク..

アキ「それに……」

ダージリン・まほ「ふぅーーー……」

アキ「あんな美人に二人がかりで責められてる絵もすごい……///」

ミッコ「ああ……見てるこっちまで体が熱くなってきた……///」



まほ「……ラストスパートだ」

ミカ「はぁ……はぁ……はぁ……///」

まほ「ふぅぅーーーーー」コチョチョチョチョチョチョチョ!!

ミカ「あっ……///」ビクン

ミカ「だ、だめだ……その……っ、動きは……ぁっ……////」

まほ「ふぅーーーー…………」コチョチョチョチョチョチョチョ!!

ミカ「んうっ……!ゃ……だめ……っ……///」

ミカ「…………アキ……!ミッコ……!」

アキ・ミッコ「!!」ドキン

ミカ「こんな……私を………………みないで……///」

アキ・ミッコ「――――!!」

ミカ「っ……!!!」ビクン!

ミカ「………………ぁ……ぁ」ガクガクガク...

ミカ「……………………」グッタリ

まほ「……どうやらヘブンという終着駅の改札で切符をパチンパチンとしてもらったようだ」

ダージリン「ええ。今の決めゼリフは壊滅的にセンスが無いけれど、技術は素晴らしいわ」

まほ「前半には不満。後半にはありがとう」

ダージリン「一体どうやって身に付けたのか興味があるわ」

まほ「そろばんを体中に貼りつけたお母様を相手に延々とくすぐる訓練をした。珠を一つ一つ正確に順序良く弾くんだ。全ての珠を弾き終えるまで同じ珠に触れてはいけないルールで、二度触れたらもう一度最初からやり直しなんだ」

ダージリン「過酷ね」


まほ「…………さて、話を戻そうか」チラ

アキ・ミッコ「!」ビクッ

まほ「私がさっきキミたちに言った言葉……『彼女の体を好きにできる』というその意味を教えよう」

アキ「…………!」

まほ「私のくすぐり問答を受けた彼女は……」コチョ

ミカ「ぁんっ!」ビクン!

まほ「くすぐりにとてつもなく弱くなる。誰の手によるものであっても」

アキ「そ、それじゃ……」

まほ「キミが彼女をくすぐれば、私がくすぐったのと同様の効果をもたらす。特殊な技術などいらない」

アキ「あ……」ゴクリ

まほ「マイペースで気高い彼女を、キミがくすぐることであっさりと快楽に溺れさせることができるんだ」

アキ「!!!」

アキ(ミカを……)

ミカ「ぁ……ぁぁ……///」グッタリ

ミッコ(私の手であんな風に……///)

まほ「私たちに協力するか?その場合、彼女とは敵チームになるが」

アキ「………………」

まほ「……ちなみにキミが断った場合、彼女の体は元に戻す」

アキ「え?」

まほ「くすぐりにはプラスとマイナスがある。今のはマイナスだ。プラスのくすぐりを行えば元に戻る」

ミッコ「!!」

まほ「そうなればキミたちの関係は今までと変わらない。さあ、どうする?」

アキ・ミッコ「………………」

ミカ「アキ…………ミッコ……」

アキ「き、協力します///」

ミッコ「私も……///」


ミカ「なっ!!」

アキ「……ごめんミカ。ミカの言いたいことはわかってる」

ミカ「アキ………」

アキ「でも安心して。私たち以外にミカをくすぐらせたりしないから!」

ミカ「ち、違う。私は元の体に戻してほしい。それと二人にもくすぐられたくな…」

ミッコ「私たちはアブノーマルじゃない。だから度を越したことはしないよ」

アキ「うんうん。信頼してくれていい」

ミカ「……………西住さん。元の体に戻るにはどうすれば…」

まほ「さて。行こうか」

ダージリン「ええ」

ミカ「ま、待ってくれないかい!?というかそろそろ羽交い絞めを解いてほしい」

ダージリン「そうね。英国流に解くわ」サッ

ミカ「……ありがとう。いや、ずっと押さえられていたわけだからお礼は言いたくないけれどね」ハァ..

ダージリン「……………………」

ダージリン「………………」コチョコチョコチョ

ミカ「ぁん……っ……///」ブルブルッ..

ダージリン「………………」コチョコチョコチョ

ミカ「ご、ごめん…なさい……!生意気……言いましたっ……離してくれて……ありがとう……ございましたぁぁ……///」ビクビクン!

ダージリン「いえいえそんな。お礼を言うことではありませんわ」オホホ

ミカ「はぁぁ………」グッタリ

まほ「では行こう。ダージリン」

ダージリン「ええ」



ミカ「………………アキ、ミッコ。さっきはありがとう」

アキ「え?何が?」

ミカ「あの二人から私を解放するためにあえて本心を偽り、要求を呑んでくれたんだろう?そしてこのあとで私を元の体に戻すために奔走するつもりで……」

アキ「ううん。エッチな顔してるミカを見たら、私もくすぐりたくなっただけだよ?」

ミカ「………………ミッコ」

ミッコ「私さー、前からミカの体に興味あって。だから触れるのがすげー嬉しいよ」

ミカ「……………………」

ミカ「人って…………悲しい生き物だね」ポロロン...




ダージリン「……まほさん」

まほ「なんだ?」

ダージリン「気になったのだけど、あの状況まで追い詰めたのなら、ミカさんも仲間できたのではなくて?」

まほ「確かにそうだ。だが先約を反故にさせたのでは彼女の隊長としての面目が経たないだろう。だから一応顔を立てたんだ」

ダージリン「なるほど」

まほ「貴重な戦力を逃すリスクはあるが、最悪くすぐりに弱くしておけばなんとでもなる」

ダージリン「そこまで考えていたのね。私なんて、ほぼ紅茶のことしか考えてなかったわ」

まほ「仕方あるまい。紅茶は美味しいからな」

ダージリン「そうね」ウフフ

まほ「次は何処に行く?」

ダージリン「学園艦の位置から考えると……――――」


【アンツィオ高校】


ダージリン「んー、いい香り。紅茶が飲みたくなるわね」

まほ「ふむ……パスタにも紅茶は合うのか。勉強になる」

ダージリン「アンチョビさんはどこにいるのかしら?」

まほ「基本的に一番偉い人間は高い建物の最上階にいるのが相場だが……」

ダージリン「あるいは地下最深部ね」

まほ「む?ダージリン、耳を澄ましてみろ。何か聞こえるぞ」

ダージリン「んー……どうしようかしら?」

まほ「そこをなんとか。澄ましてくれないと話ができない」

ダージリン「わかったわ」

ダージリン「………………」

まほ「……………………」

ドゥーチェ!ドゥーチェ!

まほ「……聞こえたか?」

ダージリン「ええ。パスタ300円、と」

まほ「惜しい。それはそこの屋台の売り子の声だ。耳を澄ましたからには遠くに意識をやるんだ」

ダージリン「一理あるわね」

まほ「今、ドゥーチェと連呼する声がした。それはつまり隊長がそこにいるということ」

ダージリン「では行きましょう」




アンチョビ「黒森峰と聖グロリアーナの両隊長のコンビとは!珍しい組み合わせだな!」

ペパロニ「やべーっすね!なんか…………とにかくやべーっす!!やべーってことしかわからないのがマジでやべーっす!」

カルパッチョ「どんな御用で来られたのですか?」

ペパロニ「そりゃパスタを食いに来たんすよ!」

アンチョビ「いやいやいや……そんなわけないだろう。パスタのためにわざわざ来るはず…」

ダージリン「うふふふ……あったとしたら?」

アンチョビ「な、なにっ!!だとしたら嬉しいなぁ!うちのパスタがそこまで評判になってるなんて!」

まほ「……ということで、本題に入らせてもらおう」

アンチョビ「あ、ああ!パスタのことならなんでも聞いてくれ!」

まほ「2ヶ月後に行われる聖グロリアーナの文化祭で行われる聖戦に、ダージリンの味方として力を貸してほしい」

アンチョビ「……………………え?」

アンチョビ「それは……パスタが関係してくるのか?」

ダージリン「全くしてこないわ」

アンチョビ「え?だって、パスタ……」

ダージリン「パスタの話は一度もしていないわ」

アンチョビ「してただろ!食べに来たみたいな思わせぶりな態度で!」

ダージリン「うふふふ」

アンチョビ「うふふふじゃなーい!」

ペパロニ「姐さん!」

アンチョビ「なんだ!」

ペパロニ「これからパスタの話が始まるんすよね?だったらパスタ持ってきた方がよくないっすか?」

アンチョビ「たった今理不尽に否定されただろ!聞いてなかったのか!?」

ペパロニ「はい!!」

アンチョビ「返事が元気!誇るところじゃないぞ!?」

カルパッチョ「ドゥーチェ。お客さんが来て嬉しいのはわかりますけど、はしゃぎすぎです」

アンチョビ「はしゃいでるんじゃない!この二人が色々おかしいから……!」

まほ「あっ!ダージリン!あれを見ろ!」ビシッ!

ダージリン「あれ、ではわからないわ。はっきりと言葉にしていただかないと。そもそも、伝わるからといってなんでもかんでもあれですませていると、脳が衰えてしまうわ」

まほ「確かに納得だ。しかし私の指さす方向を見てもらえばわかる」

ダージリン「?あなたの指は地面を指しているけれど」

まほ「む、すまない。どっちの指かを指定してなかった。いや、両手で指せば手っ取り早いか」Wビシッ!

ダージリン「だいぶわかりやすいわ。ありがとう」

まほ「気にするな」フッ


ダージリン「………………あっ!?」

まほ「な?」

ダージリン「……あそこにある旗……紅茶をバックに『ペ』の文字が書かれている………つまり、ペコの旗ね」

まほ「ああ。先手を打たれていたようだ」

ダージリン「……でも一応確認しておきましょう。アンチョビさん」

アンチョビ「なんだ?」

ダージリン「さきほどお聞きした聖グロリアーナの文化祭の件ですけれど……あなたがたはペコの味方になるのですか?」

アンチョビ「ああ、頼まれたからには力を貸すのがアンツィオの流儀だ!」

ペパロニ「我々はその場のノリで行動するっすよ!」

ダージリン「……提案なのだけど…」

アンチョビ「?なんだ」

ダージリン「この場のノリでペコを裏切ってみない?」

アンチョビ「はあ!?」

ペパロニ「んー……でもなんか裏切るノリじゃないんすよねー」

ダージリン「どういう時に裏切るノリになるのかしら?」

ペパロニ「わかんねーっす」

ダージリン「……ではこんな条件ならどうかしら?私に協力してくれるのなら、大量のパスタを差し上げます。今日から文化祭までの間、一日のおやつの回数をもう一回増やせるほどの量を」

アンチョビ「いや、すまない。先に約束してるから無理だ」

ダージリン「…………そう」

ペパロニ「そりゃそうっすよ!ダージリンさんが提案してきたこと以上に色んなものくれるってアッサムさんが言うんすから、ペコさんの味方をした方が絶対いいっすよねー!」

アンチョビ「お、おい!わざわざ言うな!」

ダージリン「……つまり私があなたがたを懐柔しようとした場合はそれ以上のものを渡すから味方はするな……アッサムにそう言われているのね」

ペパロニ「怪獣なんかいないっすよー、今の時代」

カルパッチョ「その怪獣ではありません。ちょっと静かにしましょう?」

アンチョビ「…………その通りだ。それに向こうが先約だから、協力はできない」

ダージリン「…………そう、残念ね」

ダージリン(私の先手を打つとは、さすがアッサム。聖グロリアーナの智将と呼ばれるだけはあるわね。今度おでこに『智』って書いちゃおうかしら)


アンチョビ「すまない」

ダージリン「いえ、気になさらなくて結構よ」ウフフ

ダージリン「………………」

ダージリン(でもそれはそれとして…………)フム

まほ「どうした?ダージリン」

ダージリン「ちょっと気になることがあってね」

まほ「気になること?」

ダージリン「……ええ。ペコは継続高校のミカさんとすでに接触していた。それならば私たちより早くアンツィオに来れるはずがないわ」

まほ「?そんなことないだろう。かなり前に約束を取り付けていただけの話じゃないか?」

ダージリン「聖戦の場合、それは無理よ。聖戦で戦うことが決まった日から交渉が許されるの。つまり、聖戦が行われると決まった日以前の交渉は反則になるわ」

まほ「なるほど……」

ダージリン「だからこそ不思議なのよ。どうして私たちより先に継続とアンツィオに接触できたのか。学園艦に乗っている以上、好きに動けないはずなのに……」

まほ「電話で交渉したんじゃないか?」

ダージリン「いえ、聖戦の絶対的ルールとして、チームメイトを勧誘する際には直接会う決まりがあるの。電話などの通信手段は禁じられているわ」

まほ「手紙もダメなのか?」

ダージリン「ええ。デジタルアナログ関係なくダメね。だから伝書鳩も禁止」

まほ「伝書カニならどうだ?」

ダージリン「きっと相手に届かないわ。あの子たち足遅いもの」

まほ「うむ……美味しいんだがな……」

ダージリン「……しかしそうなると、一体どうやってアンツィオに…」

アンチョビ「?なぁ、二人して何をコソコソ喋ってるんだ?」

ダージリン「ごめんなさい。今大事なところなの。少しそっとしておいてくださる?」

まほ「しーっ」

アンチョビ「急に人んち来ておいて何言ってるんだ!?」

ペパロニ「ドゥーチェ~。ここは家じゃないっすよ?広場っす」

アンチョビ「知ってる!でもなんかわかるだろニュアンスで!」

まほ「……もしかして二人別々に行動したのではないか?オレンジペコさんとアッサムさんがそれぞれアンツィオと継続に行った」

ダージリン「いえ、交渉の際は総大将が直接出向かなくてはならないからそれはありえないわ」

まほ「だとすると……単純に我々より動きが早いと考える他ないな」

ダージリン「ええ。でも学園艦という縛りの中、先回りすることなんて…………あ」ハッ

まほ「どうした?」

ダージリン「……もしかしたら…………」


【???】


オレンジペコ「順調ですね」

アッサム「ええ。現時点ではダージリン陣営に比べ、遥かにリードしているはず」

オレンジペコ「さすがアッサムさんです。聖グロリアーナが誇る智将と呼ばれるだけはありますね」

アッサム「ほめ過ぎよ」ウフフ

オレンジペコ「いえ、そんなことはありません。最初に寄港した時、同じく寄港していた黒森峰とサンダースの学園艦のうち、遠いサンダースから回ると聞いた時は、大丈夫かと心配でしたけど……」

アッサム「サンダースはすぐに出港するという情報が入っていたのよ。それに……――――」


~~~~~~~~~~~~~~~~

【サンダース大学付属高校】


ケイ「ふむん……なるほどね。あなたたちの言いたいことはわかったわ」

アッサム「では協力していただけますか?」

ケイ「……ソーリー。今すぐには決められないわ。私はダージリンと親交がある。だから彼女に黙ってこの場で決めるのはちょっとねー」

オレンジペコ「では……」

ケイ「ダージリンからお誘いがあったら、話を聞いた上であなたたちとダージリンのどちらに協力するか決めるわ」

アッサム「わかりました。良い返事を期待しておりますわ」

ケイ「せっかく来てくれたのにごめんねー?」

アッサム「いえ、失礼します」

オレンジペコ「失礼します」



オレンジペコ「……断られちゃいましたね」

アッサム「ええ」

オレンジペコ「こうして会いに行くことは無駄ではないでしょうけど、ダージリン様はおそらく黒森峰に向かうでしょうから、ちょっと出遅れてしまいましたね」

アッサム「いいえ。そんなことはないわ」

オレンジペコ「え?」

アッサム「実は私、アリサさんと親交を深めていたの。これは聖戦関係なくだからルール違反ではないわ」

オレンジペコ「アリサさんとですか?」

アッサム「ええ。だから私が先ほど『アリサさんの恋愛成就に必要なデータ戦略をアドバイスしますよ』とエサをチラつかせたところ、私たちに協力していただけることになったの」

オレンジペコ「それはありがたいですね」

アッサム「彼女を味方にしたことで、戦力以外にも大きな恩恵を受けられる」

オレンジペコ「恩恵、ですか?」

アッサム「そう。それは…………ヘリコプターよ」

オレンジペコ「あ……」

アッサム「彼女の協力を得たことで、ヘリ一台とパイロットを手配してもらえたわけですわ」

オレンジペコ「ヘリがあれば学園艦の動きに縛られず、ダージリン様よりも早く移動できる……」

アッサム「その通り。交友関係的にダージリンの方が顔は広く有利だけれど、先手を打つことができれば味方に引き入れることも可能」

オレンジペコ「さすがアッサムさん……頼りにしています」

アッサム「任せてちょうだい」ニコリ


~~~~~~~~~~~~~~~~



オレンジペコ「これでダージリン様を先回りして仲間を増やせますね」

アッサム「黒森峰や継続、アンツィオはまだ学園艦が近くにあったけれど、他の高校の学園艦はかなり遠い。ヘリが無ければ交渉どころか接触も不可能」クス

オレンジペコ「ダージリン様には悪いですけど、手を抜かず全力でいきましょう」

アッサム「ええ」


【黒森峰女学園】


ダージリン「……私が思うに、ペコたちはおそらくサンダースのヘリを借りたはずよ」

まほ「ふむ……どういう手を使ったのかわからないが、ヘリをゲームソフトのようにポンと貸すとはサンダースは太っ腹だな」

ダージリン「しかし……困ったわね。私たちは学園艦ごと動くしかないけれど、ペコたちは自由に動ける……」

まほ「安心しろダージリン」

ダージリン「え?」

まほ「黒森峰にもヘリはある」

ダージリン「あ……」

まほ「サンダースと違って他校に貸すのは無理だが、私が同行するならば借りることができる」

ダージリン「素晴らしいわ。なんて頼りになるのかしら。ありがとう」

まほ「ただ……問題があるんだ」

ダージリン「問題?」

まほ「ヘリの操縦だ」

ダージリン「あなたは操縦できませんの?」

まほ「いや、一応できることはできるんだが……操縦中に眠くなるんだ」

ダージリン「それはちょっと危険ですわね」

まほ「だろう?落語を聴いてるとどうもな……」

ダージリン「では他の方にお願いするのはどうでしょうか?」

まほ「そうなるとエリカが一番適任なんだが……」

ダージリン「エリカさんというと……変顔の?」

まほ「ああ。だがこの前、結構な罵声を浴びせてしまったからな……今さら頼み事はしづらい」

ダージリン「うふふふ……心配はいらなくてよ」

まほ「なに?」

ダージリン「三国志などを読むと、捕らえた相手を前にして『首をはねよ!』と命じておきながら、部下に諌められたらあっさり味方にしようとしたりするわ。だから平気よ」

まほ「……確かにそうだな。国も時代背景も状況も全く違うが、一理ある」

ダージリン「では戻りましょう」




ダージリン「……私が思うに、ペコたちはおそらくサンダースのヘリを借りたはずよ」

まほ「ふむ……どういう手を使ったのかわからないが、ヘリをゲームソフトのようにポンと貸すとはサンダースは太っ腹だな」

ダージリン「しかし……困ったわね。私たちは学園艦ごと動くしかないけれど、ペコたちは自由に動ける……」

まほ「安心しろダージリン」

ダージリン「え?」

まほ「黒森峰にもヘリはある」

ダージリン「あ……」

まほ「サンダースと違って他校に貸すのは無理だが、私が同行するならば借りることができる」

ダージリン「素晴らしいわ。なんて頼りになるのかしら。ありがとう」

まほ「ただ……問題があるんだ」

ダージリン「問題?」

まほ「ヘリの操縦だ」

ダージリン「あなたは操縦できませんの?」

まほ「いや、一応できることはできるんだが……操縦中に眠くなるんだ」

ダージリン「それはちょっと危険ですわね」

まほ「だろう?落語を聴いてるとどうもな……」

ダージリン「では他の方にお願いするのはどうでしょうか?」

まほ「そうなるとエリカが一番適任なんだが……」

ダージリン「エリカさんというと……変顔の?」

まほ「ああ。だがこの前、結構な罵声を浴びせてしまったからな……今さら頼み事はしづらい」

ダージリン「うふふふ……心配はいらなくてよ」

まほ「なに?」

ダージリン「三国志などを読むと、捕らえた相手を前にして『首をはねよ!』と命じておきながら、部下に諌められたらあっさり味方にしようとしたりするわ。だから平気よ」

まほ「……確かにそうだな。国も時代背景も状況も全く違うが、一理ある」

ダージリン「では戻りましょう」

ローズヒップで猛スピードで移動したんじゃなかったのか


【聖グロリアーナ女学院】


ダージリン「黒森峰に行かなくてはならないのに寄り道してごめんなさい」

まほ「気にするな」

ダージリン「お気に入りの紅茶が切れて…」

ローズヒップ「ダージリン様ーーー!!!」ダダダダダダ!

ダージリン「ローズヒップ?」

ローズヒップ「ダージリン様いけずですわー!ダージリン様いけずですわー!」

ダージリン「あら?いけずと二回も言われたわ」クスッ

ローズヒップ「だっていけずですわー!」

まほ「……一体何事だ?」

ダージリン「さあ?」クス

ローズヒップ「どうしてわたくしにお声をかけてくれませんのー!?ずっと待ってましたわー!」

ダージリン「そういえばそうね……」

ローズヒップ「わたくしとダージリン様は一蓮托生ですわー!」

ダージリン「そんなことないと思うけれど」


ローズヒップ「じゃあ今日から一蓮托生ですわー!」

ダージリン「もし断ったら?」

ローズヒップ「いけずですわー!」

ダージリン「あらあら。うふふふ」

まほ「話が進まないな。いや、待てよ……話が進まないことが本当に悪いのだろうか?ずっと同じ話をしてはいけない法律もない……」ウーム

ダージリン「まほさん。考え過ぎなくてもよくってよ。ただのおふざけだもの」

まほ「そうか……納得した」

ローズヒップ「ダージリン様ぁー!」

ダージリン「声をかけ忘れてごめんなさいね。私に協力してくれる?」

ローズヒップ「もっちのろん!たりめーですわー!!」オホホホ

まほ「私もダージリンに協力している。よろしく」

ローズヒップ「わたくしもダージリン様に協力していきますわー!よろしくお願いしますわー!」

ダージリン「いい流れになってきたかもしれないわね」ウフフ

ローズヒップ「いい流れになってきたかもしれねーですわー!」

ダージリン「このままの勢いでいきたいですわね」

ローズヒップ「このままの勢いでいきてーですわー!」

ダージリン「繰り返さなくてもいいのよ?ローズヒップ」

ローズヒップ「わっかりましたでございますわー!」オホホホ

まほ「……元気だな。黒森峰にはいないタイプだ」

ローズヒップ「わたくしは聖グロリアーナにしかいないですものー!」オホホ

ダージリン「さて、それでは黒森峰へ向かいましょうか」

まほ「ああ」

ローズヒップ「ですわー!」


【黒森峰女学園】


エリカ「はぁぁ……隊長……私が何をしたというのですか……」ハァ..

まほ「エリカ」

エリカ「!?た、隊長!!」

ダージリン「こんにちは」ニコリ

エリカ「…………こんにちは」

まほ「この間はすまなかった」ペコリ

エリカ「えっ!?そ、そんな……頭を上げてください隊長!!隊長が頭を下げる必要なんてありません!」

ローズヒップ「わたくしもそう思いますわー!気が合いますわねー!でもわたくしはダージリン様が好きなのであなたとは付き合えませんわー!ごめんなさいですわー!」

エリカ「なんなのよあんた!大声でうるさい上に勝手に人をフるんじゃないわよ!」

ローズヒップ「あなたも大声でうるさいですわー!」オホホホ

エリカ「なんですって!」

まほ「エリカ。やめろ」

エリカ「……はい」

まほ「フラれたからといって八つ当たりはよくない」

エリカ「ちっ、違います!」

ダージリン「照れなくてもいいのよ?ローズヒップは可愛いもの。好きになるのも仕方ないわ」

エリカ「だから本当に違う!」

ローズヒップ「おほほほほ!ダージリン様に可愛いって言われましたわー!今日は記念日ですわー!あとでケーキを買いますわー!」ニコニコニコ

エリカ「なんなのよ本当にもう……」ムググ

まほ「……エリカ。大事な話があるんだ。フッたとかフラれたとかは後にしてくれないか?」

エリカ「は、はい……すみませんでした」

まほ「実は……エリカに頼みがある」

エリカ「頼み……?」

ローズヒップ「初耳ですわー!説明求むですわー!」

ダージリン「ローズヒップ。静かに」

ローズヒップ「ダージリン様のご命令なら静かにしますわー!カウントダウン開始ですわー!ゼロで黙りますわー!せーのっ!じゅーですわー!きゅーですわー!はちですわー!」

エリカ「うるさい!!今まで出会った人間の中で一番うるさいのよあんたァ!!」

まほ「ローズヒップさん。すまないが10は長い。カウントをおまけしてくれないだろうか」

ローズヒップ「しっかたないですわー!さんですわー!にーですわー!いちですわー!ぜろですわー!」

ローズヒップ「……………………」シーン....

まほ「……カウントが終わったところで……話を続けよう」

エリカ「はい」


まほ「私はこれから学校でヘリを借りてくるつもりなんだが……エリカにヘリの操縦を頼みたいんだ」

エリカ「それは……もちろんです!」

まほ「そうか……ありがとう」

ローズヒップ「!!」パチパチパチパチパチ!!!!!!

エリカ「お任せください!隊長のためならどんな労も厭いません!」

ローズヒップ「!!!」パチパチパチパチパチ!!!!!!

まほ「エリカ……」

ローズヒップ「!!!」パチパチパチパチパチ!!!!!!

エリカ「ああっ!黙ったと思ったら拍手がうるさい!どうやったらそんな音量出るのよ!もはや特技じゃないの!!」

まほ「……本当に助かるよ、エリカ」フッ

エリカ「い、いえ……隊長の頼みであれば私はどんなことでも……///」

まほ「そうか。なぁダージリン。エリカも仲間に加わってもらうのはどうだろうか?」

エリカ「え?」

ダージリン「あら。それはいい考えね。歓迎するわ」クス

ローズヒップ「!!」パチパチパチパチパチ!!!!!!

エリカ「あ、あの……仲間とは一体……」

まほ「聖グロリアーナで行われる聖戦に参加する仲間という意味だ。私はダージリンのチームメイトとして参加する」

ローズヒップ「わたくしも参加しますわー!」

エリカ「……どうして隊長が参加するんですか?」

まほ「ん?」

エリカ「グロリアーナの聖戦って、文化祭のイベントですよね?」

まほ「そうだな」

エリカ「確かに他校の生徒も参加できるらしいですが、隊長は去年も一昨年も参加するどころか、興味すら持ってなかったのでは……」

まほ「……あぁ、確かにその通りだ」

エリカ「では何故今年は参加を?ヘリもきっとそのために借りるんですよね?そんな手間をどうして隊長が……」

まほ「………………」

ダージリン「それは私も気になりますわ。よかったら教えていただけない?」

ローズヒップ「ダージリン様が気になるならわたくしも気になりますわー!」

まほ「…………私は」

まほ「戦車道をしている他校の者たちと仲良くしているキミたちが羨ましかった」

ダージリン「あら」

エリカ「!」


まほ「ダージリンとカチューシャは紅茶友達。そしてみほともそれなりに仲が良いだろう?」

ダージリン「そうね」

まほ「私たちは他校との交流が少なく、仲の良い者はほとんどいない」

エリカ「隊長……」

まほ「それに引き換え、大洗は今年から戦車道が復活したというのに、プラウダやサンダース、アンツィオ、聖グロリアーナ、知波単など、様々な人間と交流を持っている……」

まほ「私はそれが羨ましかった。だから結構な数の『ちくしょう』を言った」

ダージリン「一体何回言ったのかしら?」

まほ「そうだな……20は下らないな」

ローズヒップ「じゃあわたくしは21ですわー!」

エリカ「は?あんたなにを…」

ダージリン「私は22よ」

まほ「そうくるか。では、私は25だ」

ローズヒップ「一気に3つはズルですわー!」

ダージリン「そんなペースで最後までもつかしら?」クス

エリカ「ちょっと!なにわけのわからないこと言ってるのよ!」

ダージリン「途中で止めるなんて野暮ね」

ローズヒップ「きっとモテませんわー!だからわたくしにフラれるのですわー!」

エリカ「フラれてないわよ!って、そんなことより、変なことに隊長を付き合わせないでよ」

ダージリン「あなた、わかっていないのね」

エリカ「は?」

ダージリン「あなたは西住まほの何を知っているの?」

エリカ「そんなの……隊長のことならなんでも…!」

まほ「…………」

ダージリン「違うわね」

エリカ「!?」

ダージリン「あなたが知っているのはまほさんの一部だけ。それも戦車道に関わることのみよ」

エリカ「そんな……ことは……」

ダージリン「では、まほさんが他校の生徒と仲良くできないことに対して、20回くらい『ちくしょう』と思ってたことを知っていて?」

エリカ「う……!」

ダージリン「今のように、楽しく会話しているまほさんを見たことがあるかしら?」

エリカ「……それは………ない……」

ダージリン「……あなたは確かにまほさんを尊敬しているのでしょう。それは見ていてわかる。けれど妄信してはいけないわ。まほさんはあなたと一つしか違わない女の子よ?」

エリカ「!!」

ダージリン「黒森峰の隊長としての側面ばかり見ないで、ありのままの西住まほさんを見てあげることが、一番大事なのではないかしら?」

エリカ「……………………」

ローズヒップ「ダージリン様ー!!ちょーーーーいいこと言ってますわー!ね!?」

まほ「ああ、実にいい。聞いてるか?エリカ」フフッ

エリカ「は、はい……」


ダージリン「どう?エリカさん」

エリカ「…………そう、ですね。あなたと一緒にいる隊長は黒森峰にいる時より生き生きとしてるわ」

ダージリン「でしょう?」

エリカ「……私は……今までの私は間違っていた…………じゃあ、これから私はどうすれば……」

ダージリン「ふふっ……大丈夫よ」

エリカ「えっ?」

ダージリン「あなたは間違っていたわけではないわ。ただまほさんの違う一面に気付けなかっただけ。気付いた今なら、まほさんを支えてあげられるはずよ。今までまほさんの一番近くにいた……あなてゃにゃらね」

エリカ「…………え?」

ダージリン「………………」

エリカ「……あなてゃにゃら?」

ダージリン「………………」

ローズヒップ「ダージリン様!大丈夫ですわー!全然噛んでませんわー!『あなたなら』って聞こえましたわー!!」

ダージリン「そうよね?よかったわ」

エリカ「いや、今あなてゃにゃらって………いや、別にいいけど」

まほ「………………」

エリカ「はっ!?隊長、すみません!お話の途中で…!」

まほ「いや、かまわない。そしてダージリンは噛んでない」

ダージリン「ええ」ウフフ

エリカ「何故かばうの……?」

まほ「話を戻そう。とにかく私は聖戦への参加を依頼されて嬉しかった。だから力を貸すことにしたんだ」

エリカ「……すみませんでした隊長。私が隊長の寂しさをくみ取っていれば……」

まほ「いや、謝ることはない。私の責任なのだから。私がもっとフレンドリーに接すればよかっただけだ」

ローズヒップ「それは耳寄り情報!わたくしがフレンドリーに接しますわー!ハイタッチしますわよー!」ヘーイ

まほ「え?」

ローズヒップ「ハイターッチ!ですわー!さあさあどうぞ!」

まほ「……は、は……はいたーっち…………」ソローッ..

パチン

ローズヒップ「フレンドリ~~~!!」オホホホ

まほ「…………っ///」

エリカ(あぁ!!隊長が赤面してる!あそこまでのノリをいきなりは無理なのよ!)


ダージリン「あ、いいことを思い付いたわ」

ローズヒップ「教えてくださいダージリン様ぁー!!」

ダージリン「まほさんとエリカさんに聖グロリアーナ流の名前をプレゼントしたらどうかしら?」

まほ「ん?」

エリカ「は?」

ダージリン「だって、エリカさんはまほさんを『隊長』と呼ぶけれど、私も隊長。紛らわしいわ」

エリカ「いや、あなたのことはダージリンさんと呼びますから別に……」

ダージリン「いえ。私の仲間として聖戦を戦う以上、団結力を高めなくてはならないわ!」

エリカ「私はまだ参加するとは言ってないのに……………まぁ……隊長がやるなら私も参加するけど……」

まほ「新しい名前……それはいい」

エリカ(あ……隊長嬉しそう)

まほ「思えば、今まで結構生きてきたがニックネームで呼ばれたことはほとんど無かったからな……今日は記念日だ。ケーキを食べよう」

ローズヒップ「おほほほ!わたくしも今日は『ダージリン様に可愛いと言ってもらえた記念日』なので一緒にケーキを食べますわー!」

まほ「それで、どんな名前をくれるんだ?聖グロリアーナ流と言うことは、紅茶にまつわる名前なのだろう?」

ダージリン「もちろん」

まほ「それで私の名前は?」

ダージリン「ふふふ。そう慌てないで。そうね…………」フム

ダージリン「『午後ティー』はどうかしら?」

エリカ「うわ……」

エリカ(茶葉じゃないし……隊長なら『リゼ』とかの方が似合ってるわ)

まほ「午後ティー…………」

エリカ(隊長もきっと気に入らないはず…)

まほ「うってつけだ!」オォ..

エリカ「え!?うってつけってどういうことですか!?」

ダージリン「気に入ってもらえて嬉しいわ。午後ティー」

まほ「ありがとう。ダージリン」

ダージリン「そして逸見さんは『リプトン』ね」

エリカ「り、リプトンですか?」

ダージリン「リプトンですわね」

エリカ「それって商品名ですよね?商標権とかそういうのに抵触したりしないんですか?」

ダージリン「…………大丈夫じゃないかしら?よく知らないわ」

ローズヒップ「ダージリン様はそうゆーのよく知らねーんですわー!」オホホ


エリカ「……リプトンよりミルクティーとかの方がよかったな」ボソ

ダージリン「それはいけないわ」

エリカ「え?」

ダージリン「確かにあなたの髪色からしてミルクティーは結構合っていると思うわ」

エリカ「だったら…」

ダージリン「でもダメよ。もし午後ティーがミルクティーだったらどうするの?」

エリカ「……いや、別にいいんじゃないですか?」

まほ「ダメだ」

エリカ「え?」

まほ「私もミルクティーでエリカもミルクティーだとどうなる?ミル森峰になってしまうぞ?」

エリカ「…………はい?」

ダージリン「とにかく、あなたはリプトンよ」

エリカ「はぁ……わかりました」

ダージリン「ではよろしく。リプトン」

エリカ「は、はい」

まほ「頑張ろう、リプトン」

エリカ「………………はい」

ダージリン「さて……時間も時間だし、出発の準備をしましょう。リプトン、操縦をお願いしますわね」

エリカ「わ、わかりました」

まほ「では午後ティーがヘリを借りてくる」タタタッ

ダージリン「ありがとう午後ティー。よろしくお願いしますわ」

まほ「ああ」フフッ

エリカ「………………」

エリカ(隊長が楽しそうだから口をはさめないけど……)

エリカ(……隊長が午後ティー……あの凛々しく美しい隊長が……)ウゥ..

小ネタがやたら多いのはあえてなのかな?


【プラウダ高校】


ダージリン「着きましたわね。運転ありがとうリプトン」

エリカ「はい」

ローズヒップ「でもモタモタしてらんねーですわー!」

まほ「ああ。サンダースのヘリが止まっている。オレンジペコさんたちもここに来ているんだ」

エリカ「すでに接触ずみかもしれませんね」

ダージリン「どうしたものかしら………………あら?」


オレンジペコ「」タタタ
アッサム「」タタタ


ダージリン「ペコとアッサムがヘリに戻ろうと走っているわ」

まほ「プラウダとの話が済んだということか」

エリカ「成功したかはともかく、このままだとまた先手を打たれますね」

まほ「そうはさせない」ガチャッ..

ダージリン「どうするの?午後ティー」

まほ「今から仕掛けてあの二人を足止めする。西住流には足止めの技があるからな。すぐに後を追うから先に行っててくれ」

ダージリン「……午後ティーを信頼しないわけではないけれど、念のため見張りとして一人残した方がいいかもしれないわね」

まほ「確かにそうだな。全員この場を離れるのはリスクが高い」

ダージリン「……では、ペコとアッサムの見張り役としてローズヒップを残します」

ローズヒップ「ダージリン様に見捨てられましたわー!飢えて死んじゃいますわー!」

ダージリン「平気よローズヒップ。ほら、カロリーメイトをあげる」

ローズヒップ「やったー!これで一週間は持ちますわー!」

エリカ「いや、ほんの一時間ちょっと待つだけだから」

まほ「よし。そうと決まれば早速あの二人に仕掛けよう。西住流の神髄を見せてやる」タタッ!




オレンジペコ「はぁ、はぁ……はぁ……ダージリン様たち、もう来てます!」

アッサム「あの黒森峰がこういったことにヘリを使わせるとは想定外………でも急いで乗ればまだ間に合います」

まほ「…………」スッ

オレンジペコ「誰か降りてきました!」

アッサム「あれは黒森峰の西住まほ……!」

まほ「悪いが、キミたちはずっとここにいてもらう」

アッサム「……脅しのつもりですか?そのような言葉には屈しませんわ」

まほ「わかっている。だから……力づくで相手をする」

オレンジペコ「!!」ビクッ

アッサム「……落ち着きなさい。彼女の性格上、暴力を振るうことはないわ」

まほ「西住流・足止め術」コォォオォオ..

まほ「はあっ!」タタッ!

オレンジペコ「えっ!?」

アッサム「私たちのヘリコプターに向かった……!?」

まほ「…………」タタタ

まほ(……黒森峰のヘリに常備してある、この西住流御用達の超強力接着剤を……)キュポン

まほ(彼女たちのヘリの……ドアの隙間にたっぷりと塗り込む!)ヌリリリリ...

まほ(そして息で乾かす!)フーッ!フーッ!フーッ!

まほ「……………………」

まほ(よし、そろそろいいか?)グイ...ガッ!ガッ!

まほ「うむ。まったく開かない。完成だ」

オレンジペコ「………………」

アッサム「………………」

まほ「……どうだ?これでヘリには乗れまい」フフフ

まほ「これが西住流・足止め術。常勝不敗の技だ」ビシッ!


ダージリン「あら、さすが午後ティー。そしてさすが西住流ね。王道といったところ」

ローズヒップ「しびれますわー!ちょーークールですわー!」

エリカ「………………王道かしら?」

エリカ(なんかキン肉マンの悪魔超人がやりそうな姑息な手段っぽい気が…………)ハッ!

エリカ(って違う!隊長のやることだもの!どんなことでも素敵!)

ダージリン「さて。アッサムたちが立ち往生している今のうちにカチューシャと交渉しなければ。ローズヒップ、アッサムたちの見張りを任せたわよ」

ローズヒップ「おっまかせくださいですわー!二人の邪魔をしまくって嫌われ者になりますわー!」

エリカ「いや、嫌われない程度にしときなさいよ」




ダージリン「――――……というわけなの。あら面白い」ウフフ

カチューシャ「…………それで?」

ダージリン「今言った通りのことよ。カチューシャに仲間になって欲しいの」

カチューシャ「どうしてカチューシャがそんなことしなきゃいけないのよ」

ダージリン「理由なんてどうでもいいじゃない。さぁ、一緒に行きましょう」

カチューシャ「どうでもよくないわ!大体、ついさっき誘いを断ったばかりだってのにダージリンまで同じこと言って……」ハァ

ダージリン「ペコの誘いを断ってくれたのね?ありがとう、同志カチューシャ」

カチューシャ「誰が同志よ!別にダージリンの味方をするつもりもないんだからね!」

まほ「……それは何故だ?」

カチューシャ「ひぅっ!?」ビクッ!

まほ「ん?」

カチューシャ「の、ノンナぁ……」

ノンナ「はい。私の後ろに」

カチューシャ「う、うん」ササッ

まほ「……どうして脅える?」

カチューシャ「お、脅えてなんかないわ!ただノンナの背中に隠れたくなっただけよ!」

ダージリン「そんなカチューシャは私の仲間にふさわしいわ」

カチューシャ「意味わかんないわ!強引すぎるのよ!」

エリカ「…………隊長」

まほ「………………」ツーン

エリカ「隊長?」

まほ「………………」ツーーン

エリカ「………………午後ティー?」

まほ「どうしたリプトン」

エリカ「……私が思うに、プラウダの隊長は午後ティーのことを怖がっているのではないでしょうか?だから仲間になるのを尻込みしているんじゃ」

まほ「……カチューシャは午後ティーが嫌いなのか?あんなに美味しいのに」

エリカ「あ、違います。今の午後ティーは隊長のことです」

まほ「………………つまり、私はカチューシャに嫌われているのか?」

エリカ「っ!?そ、そういうわけでは!」

ダージリン「嫌われてはいないだろうけれど、怖がっているのは間違いないわね」

まほ「そうか……私は怖がらせるつもりなどなかったが」

ダージリン「午後ティーは威圧感があるのよ。それは強みでもあるけれど、今回は裏目に出ている」

まほ「午後ティーに威圧感?あんなに美味しいのに」

エリカ「……いえ、今のも隊長のことです。というか、会話で名詞としての午後ティーはほぼ出ませんから今後そのつもりで」

まほ「わかった」


ダージリン「笑顔で接したらどうかしら?」

まほ「笑顔か……わかった」

ダージリン「カチューシャがこっちを見た瞬間を見逃さないように」

まほ「ああ」

カチューシャ「………………」

カチューシャ(さっきはつい怖がっちゃったけど、別に脅える必要ないわよね)

カチューシャ(いくら西住流でも、試合以外は普通にしてるだろうし)

カチューシャ(……うん、そうよ!堂々としてればいいのよ!同じ学年なんだし!)

カチューシャ(今度はこっちから睨んであげるくらいの気持ちで……)チラッ

まほ「ククク」ニヤリ

カチューシャ「ひぃいっ!?」ビクーン!

カチューシャ「ノンナァァー!」ギュゥゥ!

ノンナ「あらあら。カチューシャ。そんなに強く掴んだら服が伸びてしまいますよ?困りましたね」

エリカ「その割に嬉しそう……」

まほ「……おかしいな。私が描いた未来と違う」

ダージリン「残念だけれど、今の笑顔はいけないわ。完全に悪の親玉だったもの。善の笑顔でなければ女子供は怖がってしまうわ」

まほ「そうか……難しいな」

ダージリン「あ、そうだわ。午後ティーはみほさんの前では割と素直で優しい雰囲気になると聞いたことがあるわ。カチューシャをみほさんだと思ってみたらどうかしら?」

まほ「……そう言われてもみほとカチューシャは似ていないからな……DNAからして違う」

ダージリン「それは百も承知よ。でもカチューシャがみほさんの真似をすればその問題は解決するわね」

カチューシャ「はああ!?」

まほ「なるほど」

カチューシャ「な、なんで私がそんなことしなきゃなんないのよ!」

まほ「ではみほになりきってくれ。私はまほになりきる」

エリカ「いや、本人ですから」

カチューシャ「勝手に進めないでよ!」

ダージリン「ではシーン1。午後ティーに甘えるみほさんでいきましょう。午後ティーは背中を向けて。みほさんの声きっかけで振り向く感じね」

まほ「わかった」クルッ

ダージリン「さあ、カチューシャ。みほさんでどうぞ」

カチューシャ「うぅ……そんなの私できない……」

ダージリン「そう言わずに。さあ」

カチューシャ「ううぅ…………」

ノンナ「みなさん、待ってください」ザッ!

カチューシャ「!そっ、そうよ!ノンナも言ってやって!私はこんなお芝居に付き合うつもりは…」

ノンナ「まだ撮影準備ができていません。もう少し時間をください」カチャカチャ

カチューシャ「ノンナ!?」

ノンナ「…………」カチャカチャカチャ

ノンナ「準備完了。どうぞ」


カチューシャ「ノンナ……」

ノンナ「モノマネをするカチューシャを撮り逃すわけにはいきません」

カチューシャ「うぅ……だ、だから……私はミホーシャの真似なんかしないってば!」

ダージリン「……カチューシャ」

カチューシャ「な、なによ」

ダージリン「みほさんの真似をするのは、英雄」

カチューシャ「え?」

ダージリン「みほさんの真似をしないのは、まずいピロシキ屋の店主」

カチューシャ「…………」

ダージリン「あなたはどちらを選ぶの?」

カチューシャ「それは…………」

ダージリン「……………………」

カチューシャ「………………英雄」

ダージリン「そう。ではやるべきことはわかるわね?」

カチューシャ「………………うん。わかったわ。ミホーシャの真似をするわ」

ダージリン「さすがカチューシャ。英雄ね」

カチューシャ「ふ、ふん!当たり前じゃない!私がまずいピロシキ屋の店主なわけないもの!」

エリカ「……チョロすぎる……っていうかピロシキ屋ってなんなのよ……ピロシキだけで経営が成り立つの?」

ダージリン「ではいくわよ?アクション!」パチィィン!

まほ「……うーん。今日はいい天気。でも降水確率20%なんだよなぁ。昨日は何%だったっけ?忘れてしまった」

ダージリン「いきなりあんまり意味のないアドリブとは、やるわね午後ティー。しかもその演技……うまい棒というやつね。さすがだわ。そう思わない?リプトン」

エリカ「…………思います……」ハァ..

カチューシャ「うー……ミホーシャの真似ってどうすればいいの……?何を言えばいいのかわからないわよ……」

ノンナ「……私が書いたこのメモの通りにやれば大丈夫です」サッ

カチューシャ「!さすがノンナ、頼りになるわね」

ノンナ「カチューシャのためですから」

カチューシャ「…………ええと…………」フムフム

まほ「今週は曇りが多いようだ。晴れてほしいが、こればかりは仕方がない…………そういえば去年の今日の天気はなんだったんだろうか?」フーム

ダージリン「カチューシャ。午後ティーが天気の話題で引っ張っている間に早く覚えて」

カチューシャ「…………うん、覚えたわ」

カチューシャ「よぉし、いくわよ」


カチューシャ「………………」コホン

カチューシャ「……………ふ」

カチューシャ「ふみゅぅ~♪おねえたまぁぁん♪」クネクネ

まほ「………………ぬ?」

ノンナ「っ!」グッ!(ガッツポーズ)

カチューシャ「はにゃぁぁぁん♪カチューシャお腹ちゅいたのぉおぉ~♪ぽんぽんぺこぺこぉ~」キャピキャピ

ダージリン「…………………」

カチューシャ「カチューシャはぁ~、肩車されりゅとぉ~、とってもエッチな気分になっちゃうにゃん♪」

エリカ「………………」

カチューシャ「カチューシャにゃんにゃん、きゃぴきゅぴにょろろん、ノンナ大好き、ちゅっちゅっちゅーっ♪」フリフリ

カチューシャ「…………ふぅー、やりきったわ」

カチューシャ「それにしても、ミホーシャって普段はこうなのね。意外だわ」

まほ「ええと………………」

カチューシャ「?」

まほ「…………ノンナさん。これは一体……」

ノンナ「…………」オー..イエー..

ダージリン「神に感謝しているところを悪いけれど、説明してくれるかしら?」

カチューシャ「何よこそこそと。カチューシャに内緒のお話は禁止よ。そんなことしたらしゅくせーするわ」

エリカ「……そのメモ、ちょっといいかしら?」

カチューシャ「え?いいけど」

ノンナ「あっ」

エリカ「ええと……『西住みほは戦車道以外では次のような性格なので、書いてあるセリフをそのまま喋ってください。なお、自分の中にある可愛さを目いっぱい表現し、恥ずかしがらずノリノリでポージングすること。もし従わない場合は愚者。従う場合は世界で一番偉い人』……何よこれ」

ノンナ「みほさんになりきるコツです」

エリカ「……真顔でしれっと嘘を……あんたがあのセリフを言わせたいだけのくせに……大体『カチューシャ』って言っちゃってるじゃない」

カチューシャ「え?嘘って何よ」

エリカ「いや、どう考えてもおかしいじゃない。あの子がこんなこと言うわけないわ」

カチューシャ「…………ちょっとノンナ。どういうこと?」

ノンナ「……逸見さんは精神を病んでいるのです。今の言葉は気にせずに」

エリカ「だからしれっと嘘つかないでよ!」

まほ「病んでいてこそのリプトンだ」

エリカ「午後ティーは少し黙っててもらえますか!」


カチューシャ「なんなのよもう……何がなんだかわかんないー」ムゥゥ..

ダージリン「そんなカチューシャは私の仲間にふさわしいわ」

カチューシャ「だから強引なのよ!」

ダージリン「……でも今となっては仲間になる以外の選択肢はないわ」

カチューシャ「は?どうしてよ」

ダージリン「今のカチューシャの恥ずかしい姿は撮影済み。つまり……」

カチューシャ「あ……」ハッ

ダージリン「この映像をプラウダ・ザムービーとして上映したとしたら……?」

カチューシャ「あ、ああ……」ガタガタガタ..

ノンナ「……大丈夫です。落ち着いてくださいカチューシャ」

カチューシャ「ノンナ……」

ノンナ「この映像は私だけ観ます。他の誰にも渡さない」

カチューシャ「ノンナぁ……」ウルウル..

エリカ「いや、全然いい話じゃないから。そもそも撮影やらメモやら全部あんたが…」

ノンナ「…………」シュッ

エリカ「うごぅふっ!?」ドムッ!

まほ「どうしたリプトン。変わった相づちだな」

エリカ「ちがっ、います……今、みぞおちを肘で…」ケホケホ

ダージリン「……それで?結局私の味方になってくれるのかしら?」

カチューシャ「…………そうね。協力したげるわ」

まほ「?さっきは協力するつもりがないと言っていたが……」

カチューシャ「それは……その…………いくら紅茶友達だからって、私がダージリンの言うことをホイホイ聞くようなチョロい女だと思われたくなかったっていうか……//」ゴニョゴニョ

カチューシャ「と、とにかく!三年生のダージリンを差し置いて一年生の子がトップに立とうなんて考えは許せないもの。うちで言うなら、ニーナが私にケンカを売るようなものよ」

カチューシャ「…………想像したらだんだん腹が立ってきたわ!」プンプン

ノンナ「ではあとでニーナにかき氷25ルーブルを言い渡しておきます」

エリカ「かき氷25ルーブル?」

ノンナ「はい。25杯食べさせるのです」

まほ「お得だな」

エリカ「いえ、かなりしんどいと思います」

ダージリン「……さて、話はまとまったわね。カチューシャとノンナさんの協力を得られたわ」

まほ「思ったより長い話し合いになったな」

エリカ「……笑顔がどうとか言い出すから話がややこしくなったんじゃ……」

ダージリン「とにかく、アッサムたちがモタモタしている間に大洗に急ぎましょう」

まほ「ああ」

ダージリン「ローズヒップは上手くやってくれているかしら?」




アッサム「ローズヒップ。そこをどきなさい」

ローズヒップ「やーですわー!ドアの前に立ちはだかりますわー!」

オレンジペコ「お願いですから。ね?」

ローズヒップ「も一度やーですわー!どきませんでしてよー!」オホホホ

アッサム「……………………」

オレンジペコ「………………」

アッサム「……………計画通りならこうして追いつかれることも無く、今頃大洗に到着していたはずなのに……」ハァ

オレンジペコ「……やっぱりアンツィオで時間を使いすぎたせいでしょうね……」

アッサム「そうね。しかしあのまま引き下がるわけにはいかないでしょう?」

オレンジペコ「はい……絶対に引き下がれませんでした……」


~~~~~~~~~~~~~~~~

【アンツィオ高校】


アッサム「では、我々の味方をしていただけるということでよろしいですね?」

アンチョビ「ああ!なんかよくわからないが、せっかくの誘いを断るなんてことはしない!」

アッサム「ダージリンがこれ以上の好条件を付き出しても、決して受け入れないでくださいね?それ以上のものを提供しますから」

アンチョビ「当然だ!なぁ!?」

カルパッチョ「はい。おやつを差し入れてくださるだけでなく、紅茶までいただけるとのことですから」ニコニコ

ペパロニ「んー……」

アンチョビ「どうしたペパロニ?何か不満でもあるのか?」

ペパロニ「いやー、おやつは嬉しいんすけどー、紅茶はいらなくないっすか?」

アッサム・オレンジペコ「!!!」ピクッ!

アンチョビ「なんで?」

ペパロニ「だってそうじゃないっすかー。紅茶より水の方が美味いっすよ?」

アッサム・オレンジペコ「!?」ビキッ..

アンチョビ「お、おいおい!何言ってるんだペパロニ!そんなわけないだろ!」

ペパロニ「えー?」

アンチョビ「水に……その……なんか入れて美味しくしたのが紅茶なんだから」

アッサム・オレンジペコ「!!?」ビキキッ..!

カルパッチョ「あ、あのー、それは全然フォローになってないと思いますけど…」

ペパロニ「紅茶は水になんか入れたやつっすか?だったら水の方が偉いじゃないっすか。ご先祖さまっす」

アンチョビ「!た、確かに……水が無ければ紅茶は作れない。しかし……」

ペパロニ「まぁまぁ、紅茶より水が美味いって結論でいいじゃないっすか」

オレンジペコ「よくないです!!」
アッサム「よくありません!!!」

アンチョビ「ぅわあ!?」

カルパッチョ「ひぃっ!」

ペパロニ「へ?」


アッサム「はぁ……はぁ……はぁ……」
オレンジペコ「はぁ、はぁ、はぁ……」

ペパロニ「どうしたんすか急に。忘れもんでも思い出したんすか?」

アッサム「……ええ。ある意味そうかもしれないわね」

ペパロニ「?」

オレンジペコ「ペパロニさん。あなたは本当の紅茶を知りません」

ペパロニ「いや、知ってるっすよ」

アッサム「……そんなあなたに、本当の紅茶というものを教えましょう」

ペパロニ「だーかーらー、知ってるって言ってるじゃないっすか。なんで聞いてないのかなー?ねぇ、ドゥーチェ?」

アンチョビ「さ、さあな」

ペパロニ「……ちょっと、なんでそんなに離れてるんすか?カルパッチョも」

アンチョビ「触らぬ神に」

カルパッチョ「祟りなしだから」

ペパロニ「あははは!神様に触れるわけないじゃないっすかもー!」

アッサム「ペパロニさん」ガシッ

ペパロニ「お?」

オレンジペコ「一緒に行きましょう」ガシッ

ペパロニ「お、おお?」

アッサム「……オレンジペコは紅茶を。私は腕によりをかけ、お菓子を作ります」

オレンジペコ「わかりました。お菓子が紅茶を。紅茶がお菓子を。互いが互いを最高に引き立てるものを作りましょう」

ペパロニ「えー?紅茶より水が…」

アッサム「いきますわよ?」グイ

オレンジペコ「二度とそのようなことを言えないようにしてあげますね?」ニッコリ

ペパロニ「??」ズルズルズル...

~~~~~~~~~~~~~~~~


アッサム「あの時、少しでも冷静になっていれば……今の状況も変わったでしょうね」

オレンジペコ「かもしれません。ですが過ぎたことを悔やむのはやめましょう」

アッサム「…………そうね。大事なのはこれから」

オレンジペコ「はい!」

アッサム「………………少し離れましょう。作戦会議です」

オレンジペコ「わかりました」

ローズヒップ「………………?」



アッサム「……という風に……」ヒソヒソ

オレンジペコ「でしたらその前に……」コソコソ



ローズヒップ「………………」

ローズヒップ「二人が遠くに行っちゃって暇ですわー」

ローズヒップ「………………」

ローズヒップ「そんな時は歌を歌って暇つぶしが吉ですわー!」

ローズヒップ「♪ローズヒップのロはダージリン様のロ~ ローズヒップのズはダージリン様のズ~」

ローズヒップ「♪ローズヒップのヒはダージリン様のヒ~ ローズヒップのプはラララララ~」

ローズヒップ「歌ってすごいですわー!全然暇じゃありませんわー!」

アッサム「………………」ザッ

オレンジペコ「…………」

ローズヒップ「あら?戻って来てくれましたわー!嬉しいですわー!でもドアには触らせませんわー!」

アッサム「ローズヒップ」

ローズヒップ「なんですの?」

アッサム「あそこの、ずーっと向こうにある門まで走ってきてくれないかしら?」

ローズヒップ「やーですわー!ドアを守るのがわたくしの役目ですわー!」

オレンジペコ「門まで走るよう伝えてほしいと、ダージリン様が言ってましたよ?」

ローズヒップ「なんですって!?ダージリン様が言うならもちろん走りますわー!おほほほ!」ダダダダダ!!

アッサム「………………」

オレンジペコ「…………策は成りましたけど……」

アッサム「拍子抜けするわね」

オレンジペコ「ではドアを開ける作業に取り掛かりましょう」

アッサム「そうね。中にいるパイロットと力を合わせて三人でならきっとなんとか……」




ローズヒップ「はぁ、はぁ、はぁ、はぁ…………ですわ-!」ダダダダ!

ダージリン「あら?ローズヒップ?」

ローズヒップ「あ!ダージリン様ぁ~!!」ダダダダ

ダージリン「何故ここにいるの?アッサムたちを見張るよう言っておいたはずよ?」

ローズヒップ「はい!ですのでずっとドアの前にいましたわ!ダージリン様の歌を歌ったりもしましたわー!」

ダージリン「どんな歌なのかしら?」

ローズヒップ「♪ローズヒップのロはダージリン様の…」

エリカ「ああっ!?」

まほ「どうしたリプトン」

エリカ「相手のヘリが離陸しました!」

ダージリン「あら。本当」

ローズヒップ「ほへー……ばばばばばばってすごい音ですわー」

まほ「西住流の接着剤を突破したのか……」

ダージリン「やりますわね」

エリカ「いや、ボーっとしてる場合じゃないと思います!私たちも早く追わないと先を越されますよ?」

ダージリン「その通りね。急いでヘリへ戻りましょう。ローズヒップ」

ローズヒップ「はい!」

ダージリン「歌はヘリで聴かせてもらうわね」

ローズヒップ「了解ですわー!」

まほ「私もこっそり聴かせてもらう」

エリカ「……普通に聴けばいいのでは……」


【大洗女子学園】


ダージリン「着いたわ」

まほ「着いたな」

ローズヒップ「着きましたわー!」

エリカ「………………」

まほ「……リプトンは着いていないのか?」

エリカ「あ、いえ!私も着きました!」

まほ「だったら何故黙っていたんだ?」

エリカ「……ほんの少しとはいえ、向こうに先を越されたのがちょっと悔しくて」

まほ「そうか……だが交渉次第ではその差を埋められるだろう」

ダージリン「私たちはどこへ向かうべきかしら?」

まほ「……大洗の生徒会はお祭り騒ぎが好きそうだ」

ローズヒップ「じゃあ生徒会のところへ行きますわー!」ダダダダ!

ダージリン「しかし……ペコたちも同じ様に考えるでしょうから、まず最初に生徒会と交渉すると思われるわ。そして……」

まほ「ノリのいい生徒会は即オーケーする可能性がある」

ダージリン「……それならば、午後ティーのパイプを利用し、みほさんたちあんこうチームに狙いを定めた方がいいわね」

まほ「それでいこう」

ダージリン「では行きましょう。あら?ローズヒップは?」

エリカ「……すごい勢いで向こうに行っちゃいました」

まほ「早いな」

ダージリン「生徒会のところへ行ったのかしら?」

エリカ「生徒会室の場所、知ってるんですかね……」

ダージリン「……なんとかなるでしょう」

まほ「そうだな」

エリカ「ですね。追いかけるのもしんどいですし」




みほ「あれ?」

まほ「みほ」

みほ「お姉ちゃん?」

まほ「久しぶりだな」

みほ「うん。それに……ダージリンさんとエ…逸見さんまで」

ダージリン「こんにちは」ニコリ

エリカ「…………久しぶりね」

優花里「おおっ!ダージリン殿とまほ殿のツーショット……決まってますぅ!」

華「本当ですね。凛々凛々しいという感じです」

沙織「二人ともモテるんだろうなぁー、羨ましい」

麻子「年下女子に特化してそうだな」

みほ「でも連絡も無しにいきなりどうしたの?」

まほ「ああ、実は聖グロリアーナの文化祭に参加することになったんだが、あんこうチームの面々も我々の仲間に加わってもらいたくてな」

みほ「え?」

優花里「グロリアーナの文化祭といえば有名です。優雅に競う聖戦……2チームにわかれて戦い、勝者はグロリアーナでの栄誉を手にするという……」

みほ「……どうしてお姉ちゃんが参加するの?」

まほ「ダージリンに頼られて仲良くなった気がして嬉しかったからだ」

みほ「そ、そうなんだ」

ダージリン「で、みほさんたちはどうかしら?協力していただけます?」

みほ「ええと……ダージリンさんの相手は誰なんですか?」

ダージリン「ペコよ。そして参謀にアッサムが付いているわ」

みほ「え?オレンジペコさんは味方じゃないんですか?」

ダージリン「ええ。ペコは私に戦いを挑んできたわ。ペ剋上よ」

みほ「ぺこくじょう……ですか。あはは……」

まほ「どうだ?協力してくれるか?」

みほ「うーん……ちょっと待って」サッ

みほ「…………どう思う?」ヒソヒソ

優花里「私は大変興味深いので、是非参加してみたいです」

華「わたくしも同意見です。他校の文化祭なんて楽しそうです」

沙織「うーん……麻子は?」

麻子「……私は参加しない」

沙織「眠いから?」

麻子「それもあるが、勝者は栄誉を手にするということは敗者と明暗くっきりだろう。どこか権力争いの匂いもする。関わるとややこしいことになりそうな気がする」

沙織「あー……確かに。ダージリンさんに協力して勝ったとしたら、オレンジペコさんと会った時色々複雑な感じになっちゃいそうかも」

優花里「う……そう言われると……今後の付き合いに影響がありそうですね」

華「ええ………参加はやめましょうか?」

沙織「うんうん、それがいいと思う」


みほ「……わかった。あの……お姉ちゃん」

まほ「なんだ」

みほ「ええと……すごく魅力的なお誘いなんだけど、私たちは不参加ってことで……ごめんなさい」

まほ「………………」

ダージリン「……午後ティー。何か策は無いの?みほさんを味方に引き入れる策は」

まほ「………………試してみよう」

まほ「みほ」

みほ「な、なあに?」

まほ「みほはしばらく実家に帰ってなかったな」

みほ「う、うん」

まほ「私が帰省中、誰がポチの世話をしたと思う?」 ※西住家で飼っている犬。名前が不明なのでポチ(仮名)ということにします

みほ「それは……」

まほ「散歩は誰がしていたと思う?」

みほ「う……」

まほ「私だ。わかるな?」

みほ「う、うん……」

まほ「みほがいない分だけ、私がポチを散歩に連れて行った。それはつまり、みほの分までポチのう○ちを片付けたということ」

みほ「……そ、そうだよね」

まほ「みほが帰省せずコンビニで商品棚を前に目移りしていた頃、私はポチのう○ちを片手に街中をテクテクと歩いていた」

みほ「いや、ポチのはビニール袋に入れてるでしょ?その表現はちょっと……」

まほ「みほが店員に『ありがとうございました』と言われてる時、私はポチのう○ちを処理していた。逆で言ってもいい。私がポチのう○ちを処理した時、みほは店員に『ありがとうございました』と言われていた」

みほ「それについてはその……ありがとう」

まほ「……それなのに、だ」

みほ「っ……」

まほ「みほは今回、我々に協力してくれないという。では私は一体なんのためにポチのう○ちを集めたんだ」

みほ「なんのためにって言うか……散歩中にそういうのを処理するのは飼い主の責任だし……あと、集めたっていう言い方も変な気が…」

まほ「リプトン。なんとか言ってやれ」

エリカ「え、ええと……」

みほ「リプトン?」

まほ「ああ。聖グロリアーナ流の名前をもらったんだ」

みほ「逸見さんがリプトン……」

エリカ「う……//」

みほ「…………ぷっ」

エリカ「ちょ、ちょっと!あんた今笑ったわね!!」

みほ「い、いえっ、そんな!り、リプトンさんを笑うつもりは……ぷっ」

エリカ「笑ってる場合じゃないわよ!隊長なんて午後ティーなんだから!」

みほ「え……ご、午後ティー?」

エリカ「そうよ!」

まほ「ふふふ」


みほ「うわぁ………………」

ダージリン「私に協力していただけるなら、みほさんにも素敵な名前を差し上げますわ。そうね……『ジャンピング』なんてどう?」

みほ「茶葉でも商品名でもなくて、現象を名前にされちゃった」

まほ「いいじゃないか。ジャンピング」

みほ「う、うん。でも私にはもったいないくらいいい名前だから……」

まほ「そうか。では武部さんにあげよう」

沙織「ええっ!?」

華「いいじゃありませんか。武部ジャンピング沙織……プロレスラーのようです」

沙織「い、嫌だよぉ!」

アッサム「それならば……」ザッ!

みほ「え?」

ダージリン「?」

アッサム「私たちに協力してくれませんか?」

オレンジペコ「歓迎します」

ダージリン「ペコ、アッサム……」

まほ「いつの間に……!」

みほ「え、ええと……」

オレンジペコ「私たちの味方になっていただけるなら、名前も今まで通りです」

みほ「で、でも……ダージリンさんたちとの仲を邪魔するようなことは……」

オレンジペコ「その点はご安心を。ダージリン様はとても心の広いお方です」

ダージリン「あら?」

オレンジペコ「もし私たちに味方しても、聖戦が終われば今まで通りのお付き合いが続きます。遺恨なんて残りません。ですよね?ダージリン様」

ダージリン「……当たり前でしょう?ねちねちと嫌味を言ったりするようなことはありませんわ。もちろん、嫌味を書いたり読み上げたり、芸術で表現することもね」

アッサム「さすがダージリン」

ダージリン「ええ」ニコリ

エリカ「え……そこ認めちゃっていいの?こっちに不利になる気が……」


みほ「うーん…………」

オレンジペコ「あ、もし協力していただけるなら、限定50個だった『ボコぬいぐるみ 粉砕骨折モデル』を差し上げます」

みほ「ええっ!?あっという間に完売したあれを!?」

オレンジペコ「はい」

アッサム「さらに、モテ女子になるためのサプリメント」

沙織「モテ女子!?」

アッサム「天丼、かつ丼、天津飯。ラーメン、つけ麺、担々麺。チンジャオロースー、餃子に酢豚。肉じゃが、ステーキ、エビフライ…………こららをご馳走します」

華「あらあらあらあら」

オレンジペコ「砲台の飛び出す絵本や…」

優花里「ほ、欲しいですぅ!」ハワァ!

アッサム「高齢者用のタップシューズを差し上げます」

麻子「お、おおお……おばあがタップを踊る時に役立つ……」

まほ「…………ダージリン」

ダージリン「……ええ。まずいわね。すっかりペコたちのペース……いわゆるペコペースよ」

まほ「こちらには何かないのか?」

ダージリン「あると言えばあるけれど、無いと言えば無いわね」

まほ「早くしないと、みほたちが……」

みほ「わかりました。私たちあんこうチームはオレンジペコさんとアッサムさんに協力します」

まほ「!!」

ダージリン「あらあら」

オレンジペコ「ありがとうございます。よろしくお願いします」

みほ「いえ、こちらこそ。ボコをよろしくお願いします」

まほ「みほ!!」

みほ「っ……」ビク

まほ「う○ちの恩を忘れたのか!」

みほ「お、お姉ちゃん!恥ずかしいからそういうこと大声で言わないで……//」

まほ「くっ……」

エリカ「午後ティー。落ち着いてください」

ダージリン「そうよ。慌てても何もいいことはないわ」

エリカ「……あなたは落ち着きすぎです」

ダージリン「それが私だもの」ウフフ

まほ「……仕方ない。他を当たろう」

みほ「ご、ごめんねお姉ちゃん」

まほ「問題ない。裏切られるのには慣れている。リプトンが隠れて変顔してたりな」

エリカ「私はしてませんから!!」

みほ「??」


典子「すみません。その日は特訓をすることになってるので……」

忍「聖戦、ですか?それには参加できないんです」

妙子「参加する理由も特に無いといいますか……」

あけび「ちょ、ちょっと!あの……そういうわけですので…………え?いえ、根性はあるのですが、それと参加は別でして……はい」



ねこにゃー「ぶ、文化祭……日の当たる場所…………うぅ……」

ももがー「その日はイベントがあるナリ」

ぴよたん「決して負けられない戦いがあるっちゃ」



ダージリン「――――カバさん、レオポン、カモさん、ウサギさんもダメだったわね」

まほ「大洗は全滅だな」

ダージリン「ええ。生徒会もペコたちの味方をするみたいだわ」

まほ「………………」

ダージリン「………………」

エリカ(空気が重い……)

ローズヒップ「ダージリン様ぁー!!」ダダダダ!

ダージリン「ローズヒップ……」

ローズヒップ「珍しい虫を見つけましたわー!見てほしいですわー!」

エリカ「このタイミングでどうでもいいこと言ってんじゃないわよ!!」

ローズヒップ「ほへ?」

エリカ「大体あんたどこをほっつき歩いてたのよ!」

ローズヒップ「生徒会を目指して走ってましたわ!でも場所がわからなかったのですわー!そしたら珍しい虫がいたので追いかけましたわー!」

エリカ「……本当に高校生なの……?」

ローズヒップ「あったりめーですわー!小・中・高の順番で入学してやりましたわー!」

ダージリン「…………ふふっ」

まほ「?どうした」

ダージリン「ローズヒップを見ていたら、落ち込むのが馬鹿らしく思えたの」

まほ「…………そうだな」

ダージリン「ええ。まだサンダースが残っているし、プラウダや継続の二人の協力は得ている。それに……午後ティーとリプトン、ローズヒップもいるわ」

まほ「ああ!」

エリカ「……ここまで来たら最後まで付き合いますよ」

ローズヒップ「リプトン、意外といいやつですわー!」

エリカ「う、うるさいわね……//」


【サンダース大学付属高校】


ケイ「オーケー!私でよければ協力するよー!」

ダージリン「ありがとう」ウフフ

ケイ「私を最後の頼みにしてたってのが気持ちいいわよねー!」

ナオミ「キープされていた、という見方もできるがね」フフッ

ケイ「えー!?ちょっとちょっとダージリン、そうなの?」

ダージリン「そんなわけないわ。私は美味しい物は最後にとっておき、そのまま忘れてしまって賞味期限が切れる寸前で気付くタイプよ」

ケイ「あっははは!それいいわね!」

エリカ「イメージ悪い……はずなのにウケてる」

ケイ「というわけで、私とナオミが仲間に加わるわ!」

ダージリン「よかった」ウフフ

ケイ「マホとチームメイトなんて大学選抜戦以来だし、楽しくなりそう!」

まほ「私はまほじゃない。午後ティーだ」

ケイ「オー!ソーリー!よろしくね午後ティー!」



こうしてダージリンとオレンジペコは仲間を集めた。

そして本番までの間に、聖戦に向けた訓練を行った――――


聖戦当日

【聖グロリアーナ女学院】


まほ「……ついにこの時が来たな」

ダージリン「来てしまったわね」

ローズヒップ「来やがりましたわー!」

エリカ「意外に厳しい訓練だったわ……」ハァ

ダージリン「でもみんなが頑張ってくれたおかげで、今日の日を自信もって迎えることができたわ。ありがとう」

まほ「気にするな。好きでやったことだ」フッ

アナウンス『お待たせしました。これより、聖グロリアーナ女学院につたわる聖戦……『戦闘グロリアーナ』を開催いたします』

ワァァァァ...

エリカ「……相変わらずこの駄洒落(だじゃれ)で力抜けるわね」

ダージリン「駄洒落ではないわ」

エリカ「え?」

ダージリン「これは優雅な洒落……つまり雅洒落(がじゃれ)よ」フフッ

まほ「これはめでたいな」

エリカ「どこがですか」

ローズヒップ「おめでとーごぜーますわー!!」

ケイ「あっはははは!ハッピー!さいっこーね!」

エリカ「はぁ……」


〔ダージリンチーム〕

ダージリン、ローズヒップ、西住まほ、逸見エリカ、

カチューシャ、ノンナ、ケイ、ナオミ、アキ、ミッコ



〔オレンジペコチーム〕

オレンジペコ、アッサム、ミカ、アンチョビ、ペパロニ、カルパッチョ、アリサ、

西住みほ、武部沙織、五十鈴華、秋山優花里、冷泉麻子、

角谷杏、河嶋桃、小山柚子、西絹代、福田、玉田、細見


カチューシャ「人数はこっちが10人で、向こうが19人……」

ノンア「ほぼ倍とは厳しいですね」

まほ「仕方がない。知波単のことを忘れていたボーンヘッドはともかく、我々は精一杯やった」

ナオミ「大洗が丸ごと全部あっちに行ったのは痛いな」

カチューシャ「本当よ!ミホーシャはどうしてこっちに来なかったのよ!」

ケイ「まぁまぁ。なんとかなるわよきっと」

アキ「うわ……タイプは違うけど、ちょっとミカっぽい楽観主義」

まほ「その隊長だが……あれからどうだ?」

アキ「あ、はい。ミッコと二人で色々と……///」

まほ「そうか」

ミッコ「ミカって責められると弱いっていうか、許してほしがる媚びた感じがエロいよねー」

ノンナ「同志午後ティー」

まほ「なんだ?」

ノンナ「人数差を埋めるための策はあるのですか?私は同志カチューシャに敗北を味わわせるつもりはありません」

まほ「……問題ない。策は用意してある」




オレンジペコ「………………」

アッサム「ついに始まるわね」

オレンジペコ「はい」

アンチョビ「はっはっは!アンツィオ魂を見せてやろうじゃないか!なぁ!?」

ペパロニ「その通りっす!姐さん!」バシャッ!

アンチョビ「ああっ!?こら!もう紅茶こぼしてるじゃないか!」

ペパロニ「えー!?こぼしてないっすよー!」

カチューシャ「こぼしてます。カップが空です」

ペパロニ「へぇー」

アンチョビ「へぇー、じゃないだろ……本番前でよかった。ほら、もっかい注いでやる」

ペパロニ「マジっすか!ドゥーチェ!」

アリサ「……こんなんで大丈夫かしら」ハァ

杏「だいじょぶだいじょぶ。なんとかなるってー」ハムハム

柚子「そ、そうでしょうか?ちょっと不安……」

ミカ「気負わない、というのは身軽なものさ。時には知識や覚悟が重荷になり、動きを鈍らせるからね」ポロロン..

桃「うむ。会長を見ているとその理屈も頷けるな」

柚子「言われてみれば…………うん、楽しむことの方が重要かもしれないね」

絹代「なるほど……確かに楽しむことは大事ですね」

玉田「我々が楽しみにしていることと言えば…………戦車道!」

福田「三度のご飯!」

細見「突撃!」

絹代・玉田・福田・細見「それだー!」

柚子「あ、あの……それカバさんチームの……」

杏「パクられちったね」イヒヒ


沙織「……みぽりん、さっきアッサムさんのところに行ってたけど、何かあったの?」

みほ「あ、うん。作戦会議してたんだ」

優花里「ほう……敵は少数とはいえ、手を抜かないとはさすがですねぇ」

華「どういう作戦を立てたのですか?」

みほ「あ、えっとね…」

麻子「待て、西住さん」

みほ「え?」

沙織「どしたの麻子?」

麻子「……後ろ」

みほ・沙織「?」クルッ

ローズヒップ「………………」フフーン(仁王立ち)

みほ「えっ!?」

沙織「…………ローズヒップさんってダージリンさんチームじゃなかったっけ?」

ローズヒップ「その通りですわー!ダージリン様チームですわー!」

優花里「……ということは?」

ローズヒップ「スパイですわー!作戦をこっそり聞いてダージリン様にご報告しますわー!褒められますわー!うっれしーですわー!!」オホホホホ!

みほ「両チーム合わせて一番うるさい人を密偵にする度胸はすごい……」

華「でもペパロニさんもすごくうるさいですよ?ペパロニさんが一番では?」

優花里「おお、確かに……」

麻子「……その首位争いに意味はあるのか?」

ローズヒップ「それで、どんな作戦ですのー!?」

みほ「ええと……ローズヒップさんの前では言えないかな?」

ローズヒップ「えー!じゃあ横で言ってくださいですわー!」

みほ「それもダメ」

ローズヒップ「じゃあじゃあ後ろ…」

みほ「も下も上も斜めもダメ」

ローズヒップ「いけずですわー!あなたがいけずだってダージリン様にご報告しますわー!褒められますわー!うっれしーですわー!!」オホホホホ!

沙織「そ、それは褒められないと思うけど……」

ローズヒップ「ではごめんあそばせ!ダージリン様ぁーー!!」ダダダダダダ!

優花里「……なんと賑やかな人でしょうか」

華「うふふ。とても可愛らしいです」


【観客席】


しほ「………………」

亜美「お久しぶりです。意外なところでお会いしましたね」

しほ「そうね」

亜美「娘さんたちの応援ですか?」

しほ「……あの二人が文化祭に参加すると聞いたから来ただけ。別に応援するつもりはないわ」

亜美「そうですか」

しほ「あなたは?」

亜美「私は純粋にこれを目当てに来ました。聖グロリアーナの伝統ですから」

しほ「そう…………それで」

亜美「はい?」

しほ「ルールはどういうものなの?」

亜美「そうですね……まず、それぞれが紅茶の入ったカップを持ちます。そしてそのカップから紅茶がこぼれたら失格です」

亜美「戦闘エリアは聖グロリアーナ女学院の敷地内で、そのエリアから出ても失格ですね」

亜美「決着は戦車道でいう殲滅戦。最後まで残った選手のいるチームが勝利です」

しほ「…………何故あの子たちは参加しようと思ったのかしら」

亜美「それはわかりませんが……戦車道を通して得た友情というやつではないでしょうか?」

しほ「友情……」

亜美「とにかく楽しみましょう。あ、このジュース二本あるんですけど飲まれますか?美味しいですよ」

しほ「ありがとう。いただくわ」

亜美「ごくごく…………ぷはあぁ!うまいっ!ビックルベリーナイスね!」



アナウンス『まもなく試合開始です。両チームの選手は位置についてください』



【戦闘エリア】


ダージリン「そろそろ時間ですわね」

まほ「ああ」

ダージリン「……勝ちますわよ、午後ティー」

まほ「もちろんだ」

ダージリン「リプトンも」

エリカ「はい」

ローズヒップ「わたくしも!はーい!」

カチューシャ「当然よ!私がいるチームが負けるはずないわ!ね、ノンナ!」

ノンナ「はい。地球に生命は数あれど、カチューシャ以外は負け組です」

ナオミ「すごい言い草だな……」

ケイ「やるわねカチューシャ。すっごく尊敬されてて羨ましい!」

アキ「ミカと今みたいな関係になれたのも西住さんのおかげだし…」

ミッコ「恩返ししないとな!」


10分後


アナウンス『それでは、我が聖グロリアーナ女学院の花形、戦闘グロリアーナを開催いたします。カウントダウン…』

アナウンス『おい……しい……こう……………………ちゃ!』

ビィーーーッ!

アナウンス『試合開始ーーーーーーーーっ!!!!』



ダージリン「ついに……」ウフフ



オレンジペコ「始まりましたね……」キリッ


ローズヒップ「おほほほほほ!!わたくしが先陣をきっちゃってようござんすねー!!?」ダダダダ!

絹代「なんの!我々も負けていられない!福田!玉田!細見!私に続け!突撃ーーーーーっ!!」

福田・玉田・細見「了解であります!」ダダダダ!

ローズヒップ「おほほほほ!あなたたちくそおっせーですわ!わたくしの方がはえーのですわー!」ダダダダ!バシャバシャ!

絹代「なんの!負けるものか!!」ダダダダ!バシャバシャ!

福田・玉田・細見「はい!」ダダダダ!バシャバシャ!


審判「!!」ピピーッ!


アナウンス『ダージリンチーム、ローズヒップ選手!オレンジペコチーム、西選手、福田選手、玉田選手、細見選手の五人がいきなり紅茶をこぼしました!失格です!』

ローズヒップ「ヴェエエエ!?失格ですのー!?」

絹代「何故だ!」

福田「た、隊長!カップの中が空であります!こぼれております!」

絹代「なにっ!?いつの間に!さっきまでちゃんとあったのに!」

玉田「時の流れは残酷であります!」

細見「だからこそ人間は必死に生きるのであります!」

絹代「おお!細見、いいことを言う!」

細見「ありがたきお言葉!」



オレンジペコ「……予想通りでしたね、知波単の人たち」

アッサム「そうね。はるばる聖グロリアーナまで来たのにいきなり失格なんて、SASUKEの第一ステージ敗退のよう。切ないわね」

オレンジペコ「はい。でも勢い余って味方にぶつかったりするより、ここで負けた方がよかったかもしれません」

アッサム「それもそうね。ここからは作戦通り、戦力差におごらず確実に仕留めましょう」クスッ



ダージリン「あらあら。ローズヒップらしいわね」クス

まほ「さすが聖グロリアーナのスピードスター。最速で敗北とは」

エリカ「練習の時からこぼしまくってましたから、予想できましたけどね」

ダージリン「ともかく、大事なのはこれから。午後ティーは本当の先鋒として活躍を期待しているわ」

まほ「任せてくれ」

ダージリン「動き方はある程度午後ティーに任せるわ。細かい指示がある時にこちらから携帯へ連絡を入れます」

まほ「ああ、では行ってくる」タタッ..

ダージリン「リプトンにはユニオンジャック作戦の指揮を任せます。タイミングを逃さぬようお願いね」

エリカ「了解」

ダージリン(さあペコ。真剣勝負はここからよ)クスッ




沙織「…………この辺に敵はいないみたい」

みほ「わかった。別方向に偵察に行った優花里さんがそろそろ戻ってくるだろうから、あっちに問題がなければもう少し前進しておこう」

沙織「ねぇ。私たちこんなに固まって動いて大丈夫なの?華以外、あんこうチーム全員いるけど……斥侯にしては大所帯じゃない?」

みほ「確かにそうだね。でも見つかった時は散開すれば大丈夫。紅茶をこぼさないように追いかける必要があるから、運動能力の差も出にくいし。あと、携帯で連絡を取り合うのもいいけど、直接話しながらの方が意思疎通がしっかりできるから」

麻子「だな。私たちには口で指示を出しつつ、他のチームへは携帯を使う。そうすれば多くの人間に指示できるからな」

みほ「でも私……戦車道はともかく、こういう戦いのノウハウはもってないんだけどね」

麻子「ある程度は似通ってるんじゃないか?白兵戦と戦車戦の違いくらいで」

みほ「それはそうなんだけど……」

優花里「ただいま戻りました!」

みほ「優花里さんおかえり。どうだった?」

優花里「あちらの方には誰もいませんでした。物陰に隠れている様子もなかったです」

みほ「そっか……じゃあ側面を大回りするつもりなのかな?殲滅戦だからオレンジペコさんを倒せばいいわけじゃないし、こっちの陣地深くから反転して挟み撃ち?あるいは……」

沙織「み、みぽりん!前から…」

みほ「えっ?」

まほ「」ズンズン..

麻子「あれは……西住さんの姉だ」

みほ「お姉ちゃん……?」

沙織「気が付いたらあんな近くにいたの!どうしてさっきは気付かなかったんだろう……」

みほ「……西住流・隠密術『えっ?あんた昨日いたっけ?』だ……」

沙織「え?」

みほ「存在感を消して誰の思い出にも残らなくする技術……」

麻子「それは……悲しい技術だな」

みほ「でも連帯責任を逃れるには最適なんだ。一人だけおとがめなしのハッピーエンドだよ」

優花里「その後の人間関係が気になるところですが……」

まほ「」ズンズンズン

沙織「ど、どうしようみぽりん!?どんどん近付いてくるよ!」

みほ「……少しずつ下がろう。お姉ちゃんがどう仕掛けてくるかを見極めたい」サッ..

沙織「ね、ねえ。この戦いって、叩いたり蹴ったりとか暴力は禁止なんだよね?」

みほ「うん。ルールブックにはそう書いてあったね」

麻子「ただ、その下に気になる一文があったぞ」

優花里「どんなのですか?」

麻子「『上記のような暴力行為は禁止とするが、所作に優雅さが付随しているのであれば、例外的に許可する』とあった」

優花里「……優雅なら叩いてもいいと?」

みほ「アバウトすぎるよ……」


沙織「で、でもさ!みぽりんのお姉さんって、凛々しくてカッコいい系だから、優雅って感じじゃないよね?だったら大丈夫じゃない?」

みほ「……ううん、多分お姉ちゃんは手刀を使うつもりだと思う」

沙織「手刀?」

みほ「うん。首に手刀を当てて気絶させて、紅茶をこぼす」

麻子「それは暴力だろう?」

みほ「普通ならそうだけど…………きっとお姉ちゃんは首筋に手刀を当てて気絶させて、知り合い同士の辛い戦いという現実から逃がしてあげようとした博愛精神、っていう判定を狙ってる。優雅な聖母による手刀、ってイメージで」

沙織「絶対博愛じゃないし!」

麻子「物は言いようにも程があるだろう」

みほ「でも気絶させたあとに介抱すれば理屈は通るかも。この戦いのルール自体、結構おかしいから……」

優花里「ですが、気絶させなければただの暴力になりますよね?だったら大丈夫です。手刀で気絶させるなんて映画や漫画での話。実際に行うのはほぼ不可能ですから!」

みほ「………うん、確かに一般的にはそう考えるのが正しいと思う。でもお姉ちゃんは別格」

優花里「え?」

みほ「お姉ちゃんの才能は本当にすごいんだ。戦車道以外の才能も。だからお姉ちゃんなら絶対成功させると思う。お姉ちゃん、昔から漫画みたいなこといっぱいできたから」

沙織「漫画みたいなことってどんなの?」

みほ「寝てる時に鼻ちょうちん膨らますとか」

麻子「師匠……!」

沙織「ちょっと麻子!憧れないの!」

まほ「」ズズンズンズズン..

優花里「わあ!?差を詰められてますぅ!まほ殿早いですぅ!」

みほ「お姉ちゃんの大股歩きは牛よりよっぽど早いから…」

みほ「……でも」

沙織「?」

みほ「あそこの角にカルパッチョさんを潜ませてる。そこまで逃げれば逆にお姉ちゃんを倒すチャンス……」ヒソヒソ

麻子「なるほど」

優花里「ではこのままなんとか逃げ切りましょう」



まほ「………………」

まほ(なかなか追いつけないな。かといってこれ以上速度を上げると紅茶がこぼれる)

みほ・沙織・優花里・麻子「」サッ

まほ(!曲がったか。まずいな……姿を見失うかもしれない。早く追いつかなければ……)

まほ「………………」テクテクテク..

まほ(よし。角を曲がっ…)スッ

カルパッチョ「…………」

まほ「っ!?」

まほ(目の前に誰かが立っている!このままではぶつかってしまう!)


カルパッチョ「………………」

カルパッチョ(私はここで優雅にタカちゃんとデートの待ち合わせをしている……ように演じている。そんな私にぶつかって紅茶をこぼせばあなたの負けです)ウフフ

まほ「っ!」ススッ!

カルパッチョ「!?」

カルパッチョ(なるほど。勢いがついているから止まることはできない。だから勢いそのまま私の横をすり抜けるつもりですね。しかしそうはさせません。あなたの進行方向にさりげなく体を割り込みます)スッ

カルパッチョ(これで詰みです。私は衝撃に備えて紅茶をこぼさぬように……)

まほ「……!」グリュン!

カルパッチョ「な……!?」

カルパッチョ(私の右横を抜けると見せかけ、私が邪魔をした瞬間、勢いを活かすように体を回転させた…!?そのまま私の左を……)

まほ「…………」サッ

カルパッチョ(通り抜けた……!?そんな……あのタイミングでかわすなんて……!)

まほ「…………」スッ

カルパッチョ「え?」

カルパッチョ(手に何かを持ってる?それを私のカップに入れた…………あっ!?西住まほさんが持っているのはティースプーン!?)

まほ「………………」グルグルグルグルー!

カルパッチョ「あ、あ、あ……っ、そんな勢いで紅茶をかき混ぜたら……!」

パシャ..ピチャ..

カルパッチョ「!!」

アナウンス『オレンジペコチーム、カルパッチョ選手失格です!』

カルパッチョ「そんな……」

カルパッチョ(西住みほさん考案の『ばったり作戦』が敗れるなんて……)

カルパッチョ(……でもあんこうチームの子たちは逃げ切れたから、少しは私も役に立てたかな?)




ミカ「………………」ポロロン..

桃「……おい。いくらこの場が安全だとはいえ、カップを置いたまま演奏している場合か?」

柚子「桃ちゃん。まだ始まったばかりで敵がここまで来ることはないんだし……それにカップを隠したりしなければルール上は問題ないよ?」

桃「しかしだな……もしぶつかってこぼしたりしたら自滅なんてことに……」

ミカ「ふふっ」

桃「な、なんだ。何がおかしい」

ミカ「……キミたちは紅茶をこぼさないようにすることにとらわれ過ぎている」

桃「当たり前だ。こぼしたら負けなんだからな」

ミカ「………それはつまり、固定観念に縛られてるってことさ」ポロロン

桃「何が言いたいんだ」

ミカ「世界の枠からはみ出ること。それは宇宙へ旅立つのと同義さ。果てしない銀河へ魂を飛ばす……それが人の可能性だよ」

桃「……わけがわからんぞ」

柚子「会長……わかります?」

杏「んー。わかるわかるー。干し芋すっげー美味しいってことが」モグモグ

柚子「もう……全然聞いてないじゃないですかー」

ミカ「ふふふ」

桃「……それでつまりどういうことだ。はっきり言え」

ミカ「つまり……こういうことさ」スッ(カップを手に取る)

ミカ「ん……」ゴク..ゴク..ゴク..

桃・柚子「!!!!」

杏「もぐもぐ」

ミカ「…………ふぅ」

桃「な、な、なにをしている!」

柚子「紅茶をこぼしたら失格なんだよ!?」

ミカ「それだ」

柚子「え?」

ミカ「紅茶をこぼすと失格。だから注意して持ち運んだり、バランスに気を付けている。だが……一番シンプルなことに気付いていない」

桃「一番シンプルなこと……?」

ミカ「そうさ。『紅茶を飲み干してしまえばこぼすことはない』」

桃・柚子「!!!」

ミカ「簡単だろう?物事は得てして、難しく考えない方がいいのさ」ポロローン

桃「……その通りかもしれないな」

柚子「うん。こうすればいいって気付いてたから、ミカさんは余裕たっぷりだったんだね。目からウロコだよ」

桃「怒鳴ってすまなかったな。私の早合点だった」

ミカ「気にすることはないさ。全ては風に流れて…」

ピピーッ!

ミカ「おや?」

アナウンス『オレンジペコチーム、ミカ選手失格です!』

ミカ「………………」


アナウンス『紅茶を飲んではいけないというルールは記載されてませんでしたが、もし全員が同じことをしたら永遠に決着はつきません。ですので、反則行為とし、失格です!』

ミカ「………………まぁ……仕方ないね」フフッ

桃「私は最初からわかっていたぞ」

ミカ「え?」

桃「それをごちゃごちゃと言葉を並べたてて……まったく度し難い!!」

ミカ「いや、キミはさっきすまなったと謝ったはず…」

柚子「桃ちゃん!ミカさんは失格した時点で敗者なんだから、敗者に鞭打つようなこと言ったらダメだよ」

ミカ「……キミ、さっき目からウロコが落ちたと……」

柚子「あれ?言いましたっけ?」

桃「言ってないぞ!」

ミカ「……………………人生って悲しいね」ポロロン..

杏「そだねー。でも干し芋うめー」ムシャムシャ




ペパロニ「んーー……なんかさっきからうちのチームばっか失格になってないっすか?」

アンチョビ「そうだなぁ」

ペパロニ「カルパッチョも失格になったっす」

アンチョビ「うーむ……」

ペパロニ「っていうか、ここに待機して指示を待つとかすっげー暇じゃないっすか?」

アンチョビ「そう言うな。待つことも作戦のうちだ」

ペパロニ「むぅ………………ん?」


アキ「」


ペパロニ「あれは…………ジャージ高校の子っす!」

アンチョビ「なんだジャージ高校って。継続だろう?」

ペパロニ「どっちも同じ意味っすよ!あんなとこでこっちをチラチラ見てるっす!エロいっす!」

アンチョビ「いや、エロくないだろ」

ペパロニ「とにかく!追いかけてくるっす!」タタタタ!

アンチョビ「おい!?待機命令だぞ!勝手に動くな!あぁ!そんなに走るとこぼすぞぉ!」ワァ!?

ペパロニ「こぼさないように気を付けるっすー!」タタタタ!

アンチョビ「うぅ……勝手な動きばかり……とりあえず連絡だけは入れておかないと……」ハァ




まほ「………………」ササッ

まほ(気配を消しつつ移動しているが……みほたちやカルパッチョさん以外、敵の姿が見えんな)

ヴヴヴヴ..

まほ(!電話か……)

まほ「もしもし」

ケイ『もしもし午後ティー?今どこ?』

まほ「0840地点……おはよう地点だ」

ケイ『グッド!やっぱりその辺だったわね』

まほ「敵が近くにいるのか?」

ケイ『ええ。ミッコからアリサを発見したと報告があったわ。0839地点、倉庫と倉庫の間に潜んでいるみたい』

まほ「お野菜食う地点だな。わかった。早速向かう」ピッ

まほ「…………よし」タタタ



まほ「………………」

まほ(ケイが言っていたのはこの辺りだが…………ん?)


アリサ「…………」コソコソ


まほ(いた……よし。気付かれないよう、『えっ?あんた昨日いたっけ?』を使って近付こう……)コソコソ

まほ「………………」

アリサ「…………」

まほ(あと5メートル……)コソコソ

アリサ「…………ん?あっ、あんたは!!」

まほ(しまった!思ったより警戒心が強かったか!)

アリサ「くそっ!前がかりになったところを後ろから狙おうと思ったのに!」サッ

まほ「くっ……待て!逃げるな!」タタタ

アリサ「誰が待つもんですか!それに逃げてもいないわ!逃げているように見えるだけでどこかにいる敵を追っているのよ!私は常に追う立場!タカシに対してもね!!」

まほ「じゃあ私がタカシになる!だから私を追いかけろ!」

アリサ「訳わかんないこと言ってるんじゃないわよ!」タタタ!

まほ「くそっ……なんでタカシだと思ってくれないんだ!」タタタ

まほ(このままだと逃げられる!)


まほ「…………あ」ハッ

まほ(ホウキが立てかけてある…………これだ!)

まほ(このホウキを倒し、そして………………蹴る!!)バシィッ!

シャーーーッ..

まほ(よし!真っ直ぐ向かっていった!)

アリサ「はぁっ、はぁっ、はぁっ、追いつけるものなら……」

ゲシッ

アリサ「えっ?ちょ、何かが足に引っかかっ……わ、わわっ!?」

アリサ「がふっ!」ドテッ!バシャァ!

アリサ「……あっ!紅茶が……」

アナウンス『オレンジペコチーム、アリサ選手、失格です!』

まほ「ふぅ……今日も平和だ」ウム

アリサ「ち、ちょっと待ちなさいよ!あんなのアリなわけ!?あの人、ホウキを蹴ったのよ!?反則じゃないの!?」

審判「ホウキはくるくると円を描きながら滑っていきました。それは綺麗な軌道でしたので……特に反則ではありません」

アリサ「なんでよ!?ホウキを蹴るのは野蛮でしょうが!」

審判「……西住まほ選手を見てください」

アリサ「え?」チラ

まほ「………………」シャラーン

審判「ピシッとした立ち姿で、目を閉じながら紅茶の香りを楽しんでいます。これは優雅としか言えません」

アリサ「そ、そんなのって……」

審判「少しお茶目な行為をしたとしても、その後に優雅なら問題ないのです。フォロースルーのようなもの」

アリサ「……走ってる人にホウキを蹴り込むのが少しお茶目なの……?どうなってるのよグロリアーナは……」

審判「とにかく、アリサ選手は失格です」

アリサ「はいはい……わかりましたよ」ハァ..

まほ「………………」

まほ(なんとかなったか。ダージリンの言う通り、『終わり優雅で全て良し』を実行に移したおかげか)フゥ

まほ(……さて。落ち着いてはいられない。まだ敵は多いからな)テクテク...

ヴヴヴヴ..

まほ(ん。また電話か)ピッ

ダージリン『もしもし。午後ティー、今動けるかしら?』

まほ「ああ。元気だからたくさん動ける」

ダージリン『頼もしいわね。では引き続きお願いしたいことがあるわ』

まほ「任せてくれ」




ペパロニ「待てーーっす!!」タタタ!

アキ「」サササ

ペパロニ「待てーーーーっす!!!」

アキ「」サササ

ペパロニ「だーかーらー!待てーーーーーーっす!って言ってるじゃないっすかーーーーーっす!!」

アキ「」ササッ!

ペパロニ「もー!無視するとかひどいっすよー!せめて『待たないっすー!』とか言ってほしいっすよー!」タタタ

アキ「」サササ

ペパロニ「あーもー!聞こえてないんすかぁ!?うーん……耳クソ溜まってるのかなーあの人」

アキ「た、溜まってない!綺麗にしてるよ!」

ペパロニ「あ、返事した。なんだぁー、聞こえてるじゃないっすかー」タタタ

アキ「って、相手してる場合じゃなかった」ササッ

ペパロニ「また逃げた……どんだけ逃げるんすかー……私がそんなに怖いんすかぁ?」

アキ「」サササ

ペパロニ「はぁ…………叫びながら追いかけてたら疲れた……めっちゃノド乾いたっす」

ペパロニ「!そうだ。紅茶持ってたんだった。ちょうどよかったっす」ゴクゴクゴク..

ペパロニ「……ぷはぁ!美味いっすねぇー!水ほどじゃないっすけど」

ピピーッ!

アナウンス『オレンジペコチーム、ペパロニ選手失格です!』

ペパロニ「!?」

アキ「へ?」ピタッ

ペパロニ「な、なんで私が失格なんすか!まだこんなに元気なのに!」

審判「いえ、紅茶を飲んでしまったので……」

ペパロニ「初耳っす……紅茶って飲み物じゃなかったんすね……草とか花に撒いたりするもんなのかなー」

審判「そういうわけでは…………とにかく、待機エリアへ移動お願いします。失格した後に戦闘に関与することは禁止されてますので」

ペパロニ「わかったっす」テクテク



アキ「………………」

アキ(引き付けてから攻撃する予定だったけど、なんか自滅してくれたみたい。ラッキー)




オレンジペコ「…………私たちのチームの脱落者が目立ってますね」

アッサム「そうね。人数差が縮まってきているわ。こっちは11人、向こうは9人」

オレンジペコ「何か手を打つ必要がありますね」

アッサム「心配は無用。今から指示を出すわ…………もしもし、秋山さん?アッサムですわ」

アッサム「例の作戦を行ってください。位置的に絶妙のタイミングですから。はい……ではお願いします」ピッ

オレンジペコ「……上手くいきそうですか?」

アッサム「ええ、必ず」ニコリ




優花里「…………よし!早速作戦行動に移るであります!」

優花里「………………」ソローリ

優花里(対象は………………)


カチューシャ「」


優花里(いました!ここから15メートルほど離れてますね)

優花里(あとは目的の地点まで連れ出す必要があります。そのためには心を鬼にしなくては……全ては西住殿のために!)キリッ

優花里「………………」スゥー..ハァァー..

優花里「…………よしっ!」

優花里「………………カチューシャさん!」バッ

カチューシャ「あっ!あんたはイヌーシャ!」

優花里「い、犬?どうしてでしょうか……って、今は作戦が優先!」

カチューシャ「このカチューシャの前に姿を現すとはね!それは勇気じゃなくて、ばんゆーってやつよ!」フフン

優花里「…………お、お子様!」

カチューシャ「…………は?」

優花里「カチューシャさんはお子様!」

カチューシャ「な、な、な、なんですって!?」ムキィー!

優花里「カチューシャさんはお子様ランチが大好物~!」

カチューシャ「あ、あんた!お子様ランチを馬鹿にしないで!旗が刺さってるのよ!?」

優花里「お子様だからカチューシャさんはすぐ逃げる~!絶対追いかけてこない~!」ヤーイヤーイ

カチューシャ「追いかけるに決まってるでしょ!私はお子様じゃないんだから!!」

優花里(かかった!挑発成功です!あとは逃げながら誘い込むのみ!)タタッ

カチューシャ「あっ、こら!逃げるな!待ちなさーい!」タタタタ!



優花里「はっ、はっ、はっ……」タタタ

カチューシャ「待てって言ってるでしょ!イヌーシャ!天然パマーシャ!実家が理髪店ーシャ!」タタタ

優花里「なんなんですかその呼び名はぁ!ユカーシャでいいじゃないですかぁ!」タタタ

カチューシャ「うるさいっ!カチューシャが呼びたいように呼ぶの!」

優花里「わがままな方ですねぇ」

優花里「………………」サッ(角を曲がる)

カチューシャ「逃がさないって言ってるでしょ!」

カチューシャ「………………あれ?」キョロキョロ

カチューシャ「…………いない。そんなはずないわ」

カチューシャ「…………あ」

カチューシャ(建物の陰に小さなテントが張ってある……)

カチューシャ「ふふっ、ここに逃げ込んだのね。でも甘いわ。このカチューシャが見落とすはずないでしょ!」

カチューシャ(私が通り過ぎるのを待ってから仕掛ける作戦だったんでしょうけど……ふふん!私をナメないことね)

カチューシャ「さあ………狩りの時間よ!」バッ!

カチューシャ「………………えっ」

カチューシャ「誰もいない……?あっ、寝袋が不自然に積み上げられてる……あそこにいるのね……」スッ..

カチューシャ「ふふふ……こんな狭いテントの中で気付かれないわけないでしょ?おバカね」クスッ

カチューシャ「さあ……出てきなさい!えいっ!」バサッ!

カチューシャ「……………………いない!?」

カチューシャ「そんな……」

バサッ

カチューシャ「!?入口が閉められた!」

カチューシャ「ち、ちょっと!開けなさいよ!くっ……片手じゃ開けずらい……カップが邪魔すぎる……」グイグイ..

??「あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛……」

カチューシャ「ひぃっ!?」

??「あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛……」

カチューシャ「な、な、なに……今の声……だ、誰っ!?」

??「私はゾンビだぁ……」

カチューシャ「ゾンビ!?聖グロリアーナにはゾンビがいるの!?」

??「いる……あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛……」ユサユサユサ!

カチューシャ「ひ……揺れてる……テントが……」

??「あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛……」ユサユサユサユサ!

カチューシャ「あ……あ……テントが崩れたら……ゾンビに襲われる……カチューシャはゾビーシャになっちゃう……」グス..

??「あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛……」ユサユサユサ!!

カチューシャ「う、う、う…………」

カチューシャ「の、ノンナ!助けてー!ノンナー!」


??「………………」

カチューシャ「………………?収まった……」

ジジジジジ..

カチューシャ「ひっ!?ファスナーが開い…」

優花里「………………」

カチューシャ「………………イヌーシャ?」

優花里「審判殿。確認を」

カチューシャ「…………え?」

審判「失礼します………………はい、確かに。紅茶のこぼれを確認しました」

カチューシャ「ジャッジーシャ…………あっ!カップ………………いつの間にか落としてた……」

アナウンス『ダージリンチーム、カチューシャ選手失格です!』

カチューシャ「っ……」

優花里「驚かしてすみませんでした」ペコリ

カチューシャ「……ゾンビのフリしたのもイヌーシャ?」

優花里「はい。こんな風に…………あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛……」

カチューシャ「ひっ!?やめなさい!もうゾンビの真似は禁止よ!」

優花里「も゛う゛し゛わ゛け゛あ゛り゛ま゛せ゛ん゛で゛し゛た゛ぁ゛ぁ゛あ゛……」

カチューシャ「ゾンビで謝罪しないで!怖…くはないけれど、ふきんしんよ!」

優花里「………………」ピタッ

カチューシャ「ふぅ……そうそう、大人しくしてればいいのよ」

優花里「………………」

カチューシャ「?」

優花里「あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!」ガバッ!

カチューシャ「きゃあああああ!」

優花里「なんちゃって」エヘヘ

カチューシャ「っ……ひぐっ…………もぉ……やめてよぉ……」グス..

優花里「………………う」

優花里(なんでしょうこの気持ちは……意地悪したくてたまらなくなる感じ……)ムラムラ

カチューシャ「ぐすっ……」

優花里(小柄で可愛らしいカチューシャさんが、地べたに女の子座り……涙を拭いながら肩を震わせて……時折こちらに許しを請うような上目遣い……)ゴクリ

優花里「か、カチューシャさん……///」ジリ..

カチューシャ「ひっ……!」ビクン

優花里「そ、その……ちょっとだけ……///」


ノンナ「собака(サバーカ)!!」

優花里「へ?あ……」

ノンナ「ハアッ!!」ブン!

優花里「ごはぁっ!?」ドムン!

優花里「」グルン!

優花里「げふ!」ドズン!

優花里(今のは…………ラリアット……!?体が一回転して…………う……)ガクリ

ノンナ「カチューシャ、大丈夫ですか?」

カチューシャ「う、うん……」

ノンナ「遅くなってすみません。もっと早く来ていれば怖い思いをさせずにすんだものを……」

カチューシャ「……べ、別に怖かったなんてことはないけど!」

ノンナ「そうですか。さすがカチューシャです」ニコリ

カチューシャ「…………うん。その…………ありがと」

ノンナ「いえ。当然のことをしたまでです」

アナウンス『オレンジペコチーム、秋山選手失格!ダージリンチーム、ノンナ選手失格です!』

カチューシャ「えっ!?」

ノンナ「………………」

カチューシャ「どうしてノンナが……紅茶をこぼしてないのに……」

ノンナ「いえ、仕方ありません。私は怒りのあまり秋山さんにラリアットをかまし、一回転させてしまった。その結果、秋山さんは泡を吹いて白目で倒れています。例え紅茶をこぼさずとも、相手に泡を吹かせたのでは優雅とは言えません。暴力行為ととられても仕方ないです」

カチューシャ「でも……」

ノンナ「私はカチューシャを守れればそれでいいんです」

カチューシャ「ありがとうノンナ………………でも」

ノンナ「はい?」

カチューシャ「カメラを回しながら言われても複雑な気分なんだけど」ムスー

ノンナ「そうでしょうか?あ、今のいい表情です」

カチューシャ「……もしかして、イヌーシャに意地悪されてる時もずっと撮影してたんじゃ……」

ノンナ「カチューシャ。あとのことはダージリンさんたちに任せましょう。仲間を信じて」

カチューシャ「………………うん。釈然としないけど……わかった」




エリカ「…………二人撃破された。これで10対7……ちっ」

エリカ「こっちは作戦準備できてるのに……なかなか実行に移せない。やきもきするわね」

ヴヴヴヴ..

エリカ「!はい」

ダージリン『アキさんから連絡があったわ。冷泉さんがそちらに向かっているとのことよ』

エリカ「わかりました。では確実に仕留めます」

ダージリン『お願いね』ピッ

エリカ「…………よし」

エリカ(隊長が活躍されているんだ。私だって……)グッ


麻子「………………」キョロキョロ

麻子(今のところ異常なし)

ゴソゴソ..

麻子「ん?」

麻子(音がしたぞ……敵か?)

ゴソゴソ..

麻子「………………このデカい箱の中から音がするな」

麻子(中に敵が入っているのか?だとしたら……蹴って脅かしてから開けるか。そうすれば少なくとも驚いて紅茶をこぼすはずだ)ゲシッ!ゲシッ!

麻子「………………」

シーーーン

麻子(反応が無いな……音がしたと思ったが気のせいだったか?いや、一応確認だけしてみよう。カップは地面に置いて、と)コトッ

麻子「よいしょ……このフタ結構重いな……」

ガパッ

麻子「……よし。外れた。一体、中に何が……」

肴屋本店店主「………………」

麻子「え?」

肴屋本店店主「シェハハハハ!ヒャハハハァ!!」ゲラゲラゲラゲラ!

麻子「ぅわああああああ!!!?」ドシーン!

パシャァ..!

麻子「し、しまった!床のカップを倒してしまった!」

アナウンス『オレンジペコチーム、冷泉選手失格です!』

麻子「くっ……」

麻子(この人は確か……戦車道の試合で戦車が突っ込んで店が壊れたことで国から補助金をもらった人だったか?)

肴屋本店店主「シェハハハハ!!ヒェーハハハァ!!」ゲラゲラゲラゲラ!

麻子「くっ……おい審判!登録されている選手以外の人間を使うのは反則じゃないのか!?」

審判「うーん…………この箱には食料と水が入っていることから、おそらくこの方は今日より前からこちらの箱に入っていたと思われます。当日に関係者以外を戦闘エリアに立ち入れるのは禁止ですが、それより前に戦闘エリアにいる人間は備品のような扱いになりますので……」

麻子「なんだそれは……というか、自分と全然関わり合いのないおっさんを箱の中に入れておくその神経はある意味尊敬するぞ。聖グロリアーナ……」

肴屋本店店主「シェハハハハ!!ヒェーハハハァ!!」ゲラゲラゲラゲラ!

麻子(……頼まれたんだろうが、それを素直に実行に移すこのおっさんもな)


エリカ「…………よし!成功よ!」

エリカ(おっさんの入った箱に敵が近付いた時、タイミングを見計らっておっさんに電話をかける。その着信バイブを合図におっさんは大笑いする)

エリカ(敵は急に聞こえる甲高い笑いに驚き、紅茶をこぼす……見事な作戦だわ)

エリカ(ただ……今のであの場所は警戒されるだろうから、キャリーで箱ごと移動させないといけないのよね……)ハァ..

エリカ(おっさん入りの箱を移動させる時が来るとは夢にも思わなかったわ。数年前の私なら考えられなかったでしょうね…………って、そんなこと誰も考えないか)テクテクテク..

エリカ「………………」

肴屋本店店主「シェハ?」

エリカ「今から移動します。悪いですが、フタを閉めさせてもらいますね」

肴屋本店店主「ヒィハー……」

ヴヴヴヴ..

エリカ「!電話……」

肴屋本店店主「シェハハハハ!!ヒェーハハハァ!!」ゲラゲラゲラゲラ!

エリカ「ぅわぁっ!?」ビクッ!

エリカ「ち、ちょっと!今のは私の電話よ!合図じゃないわ!もう……ビックリしてこぼすところだったじゃない」ハァ..

エリカ「……もしもし」

ダージリン『そちらの方に武部さんとみほさんが向かったわ』

エリカ「!わかりました。箱の移動は後回しにして二人に仕掛けます」

ダージリン『お願いね』

エリカ「はい」ピッ

エリカ「…………よし。セッティングして………」ゴトゴト

エリカ「私は隠れて様子を窺う……」ササッ!

エリカ「………………」

沙織「」

エリカ「!来たっ……!」

沙織「?」テクテク

エリカ(よし!箱に気付いたわね……)ククク

沙織「」テクテク

エリカ(いいわ……近付いてきてる…………あともう少ししたらおっさんに電話よ)

??「エリカさん!」

エリカ「え?」クルッ

みほ「………………」

エリカ「!あ、あんたっ……いつの間に背後に…」

みほ「作戦行動お疲れ様です!異常ありませんか!?」ビシッ!(敬礼する)

エリカ「はっ!異常ありません!」ビシッ!(敬礼する)

バシャ...

エリカ「へ……?」

アナウンス『ダージリンチーム、逸見選手失格!』

エリカ「ああああーーーっ!し、しまった!!」

エリカ(カップを持ってる手で敬礼したから、紅茶が全部こぼれた……!)


エリカ(でもそれはこの子も同じはず…………はっ!?)

みほ「…………」

エリカ(カップを左手に持ち替えてる!?)

みほ「ごめんなさい」

エリカ(その上で、黒森峰にいた時の口調と敬礼を仕掛け、私がつられて自滅するのを狙ったのね……!)ギリッ..

エリカ「………………」

エリカ(してやられたけど、まだおっさんが残ってる。負けて脱落した以上、電話をかけることはできないけど、おっさんを見て驚いて紅茶をこぼす可能性がある……)

沙織「よいしょ……」

エリカ(フタを開けたわ!さあ、驚きなさい!)

沙織「……あ、やっぱり。肴屋本店のおじさんじゃん」

エリカ(え!?やっぱりってどういうことよ!)

肴屋本店店主「お、沙織ちゃん」

沙織「おじさんっぽい声がするなーって思ったけど、当たりだったよぉ。こんなところで何してるの?」

肴屋本店店主「3日前に頼まれたんだよ。この箱の中に入って、電話が鳴ったら本気で笑ってくれって」

沙織「そ、そうなんだ……」

肴屋本店店主「最初は断ろうと思ってたんだけどよー、グロリアーナの子の戦車が突っ込んでくれたおかげで店を建て替えられたわけだから、引き受けたんだよ」

沙織「んー、でも女の子をビックリさせるのって良くないと思うよ?サプライズプレゼントとかの驚きは別だけど」

肴屋本店店主「うーん……確かに沙織ちゃんの言う通りだな」

沙織「でしょ?だからもう終わりにしようよ。一応協力はしたんだから、ダージリンさんたちも文句言わないだろうし」

肴屋本店店主「……ああ、わかったよ。少し休んだら帰る」

エリカ「!!」

エリカ(そんな……ユニオンジャック作戦が……たった一人倒しただけで終わるなんて……)

エリカ(すみません午後ティー……リプトンはここまでです……)




ナオミ「………………」

ナオミ(逸見エリカが脱落。これでうちは6人、敵は9人か)

ナオミ(一体いつまでここに潜んでいればいいんだ……そろそろ指示を……)

ヴヴヴヴ

ナオミ「!もしもし」

ダージリン『お待たせしました。0828地点にアンチョビさんがいます。彼女を狙ってください』

ナオミ「わかった」

ダージリン『ミッコさんがアンチョビさんの注意を引き付けています。その背後を突くように』

ナオミ「イエス・マム!」ピッ

ナオミ「よし……」スッ



ミッコ「やーい!チョビ子~!チョコビ~!オラちょびのすけだゾ~」

アンチョビ「ぐぬぬぬ……挑発には乗らないぞ……」

ナオミ(いた……隙だらけだ)ソーッ

ミッコ「チッチョビーナ!フゥ!セクシー!」

アンチョビ「ぐぬぬぬぬ……」

ナオミ(いい挑発だ……)ソーッ..

アンチョビ「好き放題いいやがってぇえ……」ワナワナ

ナオミ(……よし、もうちょっとでカップに手が届…)

アンチョビ「甘いッ!」ヒュッ!

ナオミ「なっ!?」サッ!

ナオミ(この距離で反応した!?いや、最初から私に気付いていたのか……!)

アンチョビ「……ちっ、避けたか」キラッ

ナオミ(ん?何か光って………………あ!周りに鏡を置いていたのか……しかもこっちには気付きにくいところに配置している……思ったよりもやるようだな)

ナオミ(だが、今の不意打ちをしのいだ私の勝ちだ。体格差、腕のリーチ、運動能力……一対一では負けないからな)フフッ

アンチョビ「余裕だな……しかし!私は多分負けない…じゃなかった絶対勝つ!」ヒュバッ!

ナオミ「おっと!そう簡単にカップに触れさせないよ」

アンチョビ「ふん!なら……突撃だ!」ダダッ

ナオミ「知波単の専売特許だな。しかし猪武者は狩りやすい」サッ

アンチョビ「…………あっ」

ナオミ「こうして避けてしまえば……」

アンチョビ「ハッ!」ブンッ!

ナオミ「な……っ……」バサッ

ナオミ(すれ違い様に頭を振って髪の毛で私の顔を覆っただと!?ちっ……やるな!そしていい匂いだ)クンカ

アンチョビ「これで私の動きは見えない!もらったーっ!」

ナオミ(させん!)グイッ!


アンチョビ「お、お、お!?な、なんだ!?髪の毛が引っ張られる!掴まれてもいないのに何故だ!」

ナオミ「フッ」

アンチョビ「ま、まさか……私の髪を噛んで引っ張ったのか!?」

ナオミ「惜しい。それに近いところだな」

アンチョビ「?」

ナオミ「髪の毛で顔を覆われたことに驚いた私は反応が遅れた。だから髪を噛もうとしても間に合わなかった。だがその瞬間、私は噛んでいたガムを膨らませた。そしてそのガムで髪を絡めることに成功し、そのあとに髪を噛んで引っ張ったのさ」

アンチョビ「ああああ!髪にガムがついてる!ひどいぞぉ!」

ナオミ「安心しな。ガムを溶かす方法がある」

アンチョビ「な、なに!?本当か!?」

ナオミ「ああ。だが、それを教える前に……」スッ

ポチャン!ポチャン!

アンチョビ「…………え?今、カップに何を入れた……?」

ナオミ「オレオさ。そして、オレオが入ったことにより……」

ピチャ...

アンチョビ「あっ……」

ナオミ「紅茶は溢れ、地に還る……」フッ

審判『オレンジペコチーム、アンチョビ選手失格!!』

アンチョビ「あ、あ……しまったぁ……」ヘナヘナ..

ナオミ「ふぅー……危ないところだった」ホッ

アンチョビ「うぅ……ガム……べたべたするー……」

ナオミ「ああ、ごめんな。綺麗な髪にひどいことして」

アンチョビ「えっ……///」ドキッ

ナオミ「もちろんガムはすぐに剥がすが、とりあえず先に………………」スッ(アンチョビの手をとる)

ナオミ「…………ちゅっ」(手の甲にキス)

アンチョビ「~~~~~っ///」

ナオミ「……これで許してくれるかな?お姫様」キリッ

アンチョビ「……ま、まぁ………ゆ、許すが……///」

ナオミ「ありがとう」ニコッ

アンチョビ「…………た、ただし!」

ナオミ「うん?」

アンチョビ「こ、ここ、今度……どこかご飯に連れてけ…じゃなかった!連れてってくれるなら……っていうのが条件///」

ナオミ「…………」

アンチョビ「あっ!?い、いや!別に奢らせようとかじゃない!ただお前との繋がりを無くしたくないから…じゃなかった!あくまで許すための条件であって……その……///」アワワワ

ナオミ「ふふっ、わかった。今度連絡するよ。電話番号を教えてくれ」

アンチョビ「う、うん!絶対連絡してくれよ?番号聞くだけでおしまいとか無しだからな!」


ミッコ「………………」

ミッコ(ナオミさんにはこのあとの動きを伝えたいんだけど……あの空気の中に行くのはやだなぁ……)

ミッコ(でもそろそろ行かないと……)

パリン!ビチャビチャ..

ミッコ「えっ」

ミッコ「な、な、なんで!?」

ミッコ(いきなりカップが割れた!?)

審判『ダージリンチーム、ミッコ選手失格!』

ミッコ(わけわかんないよ!!)



ナオミ「…………何故だ」

ナオミ(ミッコさんは敵に襲われたわけではない。それに不注意でこぼしたのでもない)

ナオミ(なのに、急にカップが割れた…………どういうことなんだ?)

ヴヴヴヴ..

ナオミ「……もしもし」

まほ『午後ティーだ。無事アンチョビを撃破したようだな』

ナオミ「ああ」

まほ『今度は生徒会の三人だ。私とケイも向かう。同数での戦いだ』

ナオミ「了解」




アキ「………………あっ」

まほ「待たせたな」

ナオミ「敵の動きはどうだ?」

ケイ「偵察サンクス!調子はどお?」

アキ「あ、えと……生徒会の三人はあそこで固まってます」


杏「」

桃「」

柚子「」


まほ「ふむ……今までの情報をまとめると、生徒会はずっと三人で行動しているようだな」

アキ「はい。会長さんは干し芋を食べ続けていて、河嶋さんと小山さんは近くを警戒したりするものの、それほど離れずといった感じです」

まほ「そうか……それならば一気に三人で攻めるぞ」

ケイ「オーケー♪」

ナオミ「わかった」

アキ「あの、私は……」

まほ「ここで待機してくれ。もし何か異変があったら連絡を頼む」

アキ「わかりました」

まほ「では私から行く。後に続いてくれ」ザッ..


まほ「………………」テクテク..

桃「ん?あ……会長!敵です!」

杏「あー、ほんとだねぃ」

柚子「西住まほさんが一人で…………あっ!?」

ナオミ「」タタタ

ケイ「」タタタ

柚子「サンダースの二人も来ました!」

杏「ふーん……じゃあ攻撃開始といこっか!」

桃・柚子「はい!!」

ナオミ「なに?」

桃「くらえっ!」ポイッ!

ナオミ「……なんだ?何を投げてきたんだ?」

ケイ「ンー……どうやら小さくちぎった干し芋みたいな…………って、これ干し芋じゃないわ。粘土ね」

ナオミ「粘土?」

ケイ「うん。干し芋っぽい形にした粘土」

柚子「えいっ!」ポイッ!

ナオミ「っと!あぶない……カップに当たるところだった」

ケイ「なるほど……アンジーがずっと干し芋を食べてたのは、予備の干し芋と見せかけた投擲用の粘土を持っているってバレないためのカムフラージュだったってわけね!さっすがアンジー!」ワオ!

ナオミ「くっ……干し芋粘土がどんどん飛んでくるな……」

ケイ「どうする午後ティー。一旦退いちゃう?」

まほ「……いや、私が活路を開く」スッ


杏「もぐもぐ……はい、かぁしま」

桃「ありがとうございます。それっ!」ポイッ!

まほ「………………いくぞ」

まほ「西住流・童心術。『悪戯童(いたずらわらべ)の奮闘記』……」

まほ「」シュバババ!

杏「ん?何やってんだろ」

まほ「くらえっ!」ヒュン!

桃「何か投げてきた!」

柚子「避けて桃ちゃん!」

桃「問題ない。こんなもの当たらん」サッ

柚子「よかった」ホッ

桃「ふん!当然だ。あのような見え見えのモーションでは私を……」

パアン!!!!!!

桃「ひぃっ!?」ビクン!

バシャァ..

桃「しまった!!驚いた拍子にこぼしてしまった!」

杏「ふぅーん……なるほど」

まほ「………………」

杏「爆竹かぁー、懐かしいねー」

桃「ば、爆竹を投げたのか!?おいっ!審判!爆竹を投げるのは反則じゃないのか!」

柚子「粘土投げてた私たちが言うのもなんだけどね」

審判「いえ、西住まほ選手は爆竹を投げただけではありません」

桃「どういうことだ!」

審判「爆竹が破裂する瞬間、笑顔でウインクをしたのです」

桃「な、なんだと?」

柚子「あの仏頂面の西住まほさんが笑顔……?」

審判「はい。あなたのおっしゃる通り、仏頂面で表情が固く、笑顔としては100点満点中10点あるかないかですが、とりあえずウインクをしたことと、そのタイミングは完璧でした」

まほ「………………」

審判「さらに、カップを持ったまま片手で爆竹に火を点けて投げるというチャレンジは英国精神あふれるものですので、合わせ技で優雅とみなし、反則ではないと判断しました」

桃「くそっ……」

まほ「………………」シュババ..

まほ「」ポイッ

審判「ん?」

パアン!!!!

審判「わあああ!?ち、ちょっと西住さん!どうして私に爆竹を投げるんですか!」

まほ「笑顔の採点に物申す午後ティーの反乱だ」

審判「う……あれは口がすべったと言いますか……」


まほ「………………」

ケイ「まあまあ午後ティー落ち着いて。私は午後ティーの笑顔は100点だと思うわよ?」

まほ「そ、そうか?私はそこまで高得点をゲットしたとは思わないんだが……ケイが言うならそうかもな!!」

ナオミ「声大きい……」

審判「ほっ……」

ケイ「ってことで、あと二人をやっつけちゃおう!」

まほ「ああ」

ナオミ「イエス・マム!」

ヴヴヴヴ

まほ「!もしもし……」

アキ『アキです!あの……横からみほさんと武部さんが来てます!』

まほ「!ケイ、ナオミ。横からみほたちが来ている。警戒しろ!」

ケイ「オッケー!どうする?このままアンジーたちを攻めるか、ミホたちに向かう?」

まほ「…………ケイはみほたちに当たってくれ。無理はせず、足止めを頼む。私とナオミで生徒会を倒す」

ケイ「わかったわ!じゃあアンジーをよろしく!」タタタ

まほ「任せろ」



柚子「会長……」

杏「敵は二人、こっちも二人……絶対勝つよっ!」

柚子「は、はい!桃ちゃんの弔い合戦ですね!」

桃「私は死んではいないぞ!」

柚子「あ、うん。桃ちゃん的にはそうかもね」

桃「どういう意味だ!」

杏「柚子は西住ちゃんのお姉ちゃんを狙って。私はナオミを狙う」

柚子「わかりました!」


まほ「はっ!」ヒュバッ!

杏「………………」

パアン!!!

杏「うおー、こえー」ニヒヒ

まほ「……その割には余裕そうだな」

杏「まぁねぃ。だって驚かすのが目的っしょ?当てるつもりなさそうだし」

まほ「!」

柚子「あ、なるほど。当てるつもりで投げて、下手に顔の辺りで破裂したりしたら大変ですもんね」

杏「そ。あくまで威嚇目的。あとは音に慣れればいいだけだよぅ。それに、数に限りがあるだろうしねー」

まほ「……ちっ……角谷杏の『ず』は図星の『ず』か……」クッ

ナオミ「どうする?オレオがあと8枚あるが使うか?」

まほ「いや、16枚だ」

ナオミ「なに……?あ、そうか。クリームを挟んでるビスケットを分離させるのか」

まほ「そうだ」

ナオミ「重量=威力という考えに囚われ、無駄遣いしていたよ。さすがだな」

まほ「西住流はそういうとこあるから」

ナオミ「それっ!」ヒュン!

柚子「っ……!」サッ

ナオミ「それそれそれっ!」ヒュヒュヒュヒュ!

柚子「わあ、あああ、ああ」

杏「小山、退くよっ!」

柚子「はい!」スッ..

ナオミ「逃げる気か!そうはさせない!」

杏「逃げろ~!」

まほ「………………」

まほ(妙だな……退却が下手すぎる。遮蔽物で姿を隠したりせず、堂々と背中を見せている)

まほ(これは………………あ)ハッ!

ナオミ「逃がさん!」

まほ「止まれ!」

ナオミ「え?」ピタ

まほ「ちょっと待ってくれ」


まほ「…………」シュバ

桃「お、おい……私はもう失格になったんだぞ?どうしてこっちに……」

パアン!!!

桃「ひいい!?」

まほ「」

桃「や、やめ」パアン!!

桃「わああ!」パアン!!

ナオミ「……一体何をしたいんだ?このままだとあの二人が逃げてしまう」

まほ「いいから」シュバ

パアン!!

桃「やめてくれーっ!!」タタッ!

ズボッ

桃「あ、しまっ……!」

ズボボボボーーッ!!

桃「うわぁああーーーーーー」

ナオミ「落とし穴……!!?」

まほ「やはりそうか……逃げ方が怪しいと思った。私たちをここへ誘い込もうとしていたんだな」

ナオミ「生徒会がここからほとんど動いてなかったのも、そういう理由だったのか」

まほ「よし。これで安心して追える。行こう」タタタ

ナオミ「ああ!」タタタ



杏「あちゃー……かーしまが落とし穴に落ちちったよー」

柚子「あー……掘ってた時からそんな予感がしてましたけど……はぁぁ……相変わらず、期待に応える桃ちゃんだなぁ」

杏「失格のアナウンスが無いってことは、道連れにもできてないかぁー」

柚子「どうしましょう?」

杏「んー……西住ちゃんたちと合流しよう。すぐそばだしね」

柚子「わかりました!」

杏「敵はおケイ一人だろうから、私らが追いつけば人数差で圧倒できるよ」

柚子「はい!」


ケイ「………………」

沙織「………………」

ケイ「………………」ザッ

沙織「!」ジリッ

ケイ「……もー!私が一歩進んだら一歩下がる!じれったいよー!」

沙織「ご、ごめんなさい。でも作戦だから……」

ケイ「わかってるけどー……ンー……」

タタタタ

ケイ「ん?」

沙織「あっ」

杏「おケイ覚悟ぉ~」ニヒヒ

柚子「武部さん、助けに来たよ~」

ケイ「!」

ケイ(あの二人が来るってことは、午後ティーとナオミは…………ううん、アナウンスが無いから失格にはなってないわよね)

沙織「会長……小山先輩……」ホッ

ケイ「!」

ケイ(援軍が来たことで気が緩んだわね!チャンス!)タタッ

柚子「!武部さん!危ない!」

沙織「え?」

ケイ「もらったー!!」ヒュッ

沙織「わわっ……!?」サッ

ケイ(む!とっさに右手を引いて体でカップを守った!?だったら手前にある左手を掴むよっ!)ガシッ

沙織「あっ……」

ケイ「むふふ……これで逃げられないわよー?」

沙織「くっ……」

ケイ(このまま引っ張ったり緩めたりしてバランスを崩すのもいいけど、時間かけるとアンジーたちが来ちゃうから……一番手っ取り早い方法は…………あ、よーし!)

ケイ「………………」

沙織「ぜ、絶対カップは守るんだから……!」

ケイ「サオリ」

沙織「?」

ケイ「…………」スッ

沙織「え」

ケイ(掴んだ手を軽く引いて、その反動を利用し体を寄せる。そしてサオリの唇を…………)

ケイ「んっ……」チュ

沙織「!?!?!?!?」


ケイ(次は舌で……)レロレロレロ...

沙織「!?!★△◆※□……」

ケイ(口内が緩んだら……舌を吸う)チュゥゥウゥ...

沙織「~~~~~~~~っ/////」

ケイ(どう?いきなりこんなことされたらビックリしちゃうでしょう?)

沙織「ぁ――――」スルッ..

ガチャーーン..

アナウンス『オレンジペコチーム、武部選手失格です!』

ケイ「イエス!大成功!」

杏「おケイ……やりすぎだよー」

ケイ「あははは!これしか方法がなかったんだからしょうがないじゃない!」

みほ「さ、沙織さん!?」

ケイ「あらミホ。どこ行ってたの?ミホがいない隙に、私がサオリを倒したよー!」エッヘヘ

みほ「……ごめんね、沙織さん……」

沙織「ぁ……ぁ……///」ポーッ..

柚子「ああっ!?会長、後ろから二人来ました!」


まほ「」

ナオミ「」


杏「ふーむ。どうしよっかなー」

ケイ「アンジー!この勝負、私たちがもらっ…」

パリーン!

ケイ「えっ……?」

ビシャァァ..

ケイ「……う、嘘……!?」

アナウンス『ダージリンチーム、ケイ選手失格です!』

ケイ「ホワーイ!?なんで急にカップが割れちゃうわけ!?」

杏「残念だったねー、おケイ」

ケイ「うぅうぅ……悔しい……!」

審判「ケイ選手と武部選手は待機エリアに移動してください。それと、穴から脱出次第、河嶋桃選手も」

桃「ぬぐぐぐ……わかっている!しかし…………誰も手を貸してくれないのな!!」




まほ「………………」

ナオミ「……………」

まほ「……今の見たか?」

ナオミ「隊長のカップが割れた瞬間、か?」

まほ「そうだ」

ナオミ「見た。隊長はひとりでに割れたように思っているようだが、違う」

まほ「その通り。もし勝手に割れたとしたら、それは妖精かお化けの仕業。あとは宇宙人とか、すごい進んだ文明を持つ未来から来た人とか、人間を超えた知能をもつ機械生命体、他には……」

ナオミ「た、例えはその辺でいい。あまり多いと……その……大変だ」

まほ「わかる」

ナオミ「……で、今隊長のカップを割ったのは間違いなく……五十鈴華だ」

まほ「ああ。どこからかはわからんが、ケイのカップを捉えられる場所から狙撃したのだろう」

ナオミ「おそらく高所から狙ったんだと思う。割れる瞬間、ほんの少しだがカップが斜め下に傾いていた」

まほ「ほう……そんな細かいところまでよく見えたな」

ナオミ「目には自信があるんでね」

まほ「これは表彰ものかもしれない。あとで賞状を渡そう」

ナオミ「い、いや、大丈夫だ。とにかく隊長が失格になった以上、狙撃は反則ではなくルールの範疇なんだろう。警戒して当たらなければ」

まほ「ああ」


【観客席】


しほ「狙撃……しかも狙撃手の位置がわからない。さらに戦力はオレンジペコチームが勝っている。ダージリンチームはかなり絶体絶命ね」

亜美「……確かに」

しほ「……ただ」

亜美「?」

しほ「付け入る隙はあるわね」

亜美「え?それは一体……」

しほ「……まず、武部さんとケイさんが戦っていた時、みほはどうして参加しなかったのか」

亜美「あ……それはその通りですね」

しほ「理由は簡単。みほは狙撃手……五十鈴華さんでしょうね。彼女に電話をし、位置や状況を伝えていたからよ」

亜美「!」

しほ「つまり五十鈴さんがいる場所は、それほど狙撃に適したポイントではないということ。もちろん、素人だからプロのような位置取りができないというのもあるけれど、それを抜きにしても、難しい場所にいるのでしょう」

亜美「……どうしてもっと適した場所から狙わないんですか?」

しほ「……五十鈴さんが秘密兵器だからよ」

亜美「!なるほど……」

しほ「敵に姿を見られたら警戒される。ただでさえ離れた位置からカップを狙うのは至難の業だというのに、警戒されて動き回られたら難易度はさらに上がる」

亜美「ふむ……紅茶をこぼしちゃいけないから早く走れないというのは狙撃にはプラスですが……それでもウルトラスーパーディフィカルトですものね……カップ以外を撃った場合、優雅では無いとされるでしょうから」

しほ「……この戦いを見てから、優雅とは何かがわからなくなってきたわ」ハァ..

亜美「でも、師範のお話を聞いて、この先の展開が楽しみになってきました!今日はワンダフルホリデーです!」

しほ「そう……それはよかったわ」

しほ(まほ、みほ……この勝負、どう戦うのか……最後まで見せてもらうわよ)


【戦闘エリア】


華「………………」

華(まほさんとナオミさんの動きが少し変わった……?)

華(視線が若干上向きになっています)

華(どうやら気付かれたみたいですね……私がどこにいるかはわからないまでも、弾道から予測を立てているようです……さすがですわ)ウフフ

華(……となると……カップに当てるのは難しくなってきますわね)

華「……………………ふふっ」

華(ですが……難しいからこそ、燃えるというものです)

華(必ずや、ダージリンさんたちのドタマを獲ってみせます!)メラメラメラ

華「…………おや?」


アキ「」


華(……難しくなると思った矢先ですが……彼女は隙だらけですわね。ケイさんがやられたことに動揺していたのでしょうか?理由はわかりませんが、獲物を逃す手はありません)

華「……………………」チャッ...

華「…………………っ」バシュッ!


アキ「!?」カチャーン!



アナウンス『ダージリンチーム、アキ選手失格です!』



華「……成功です」



まほ・ナオミ「!」キッ!



華「!」

華(さすが……今のでわたくしの居場所を突き止めましたか……)

華(しかし、だからと言って真っ直ぐ来るのは不可能ですわよ?みほさんや会長、小山先輩がいますから)フフフ

ヴヴヴヴ..

華「!もしもし」

みほ『あ、華さん。今ので華さんの居場所がバレちゃったかも』

華「ええ。わかっています。これから移動するつもりです」

みほ『そっか。じゃあ対お姉ちゃん用の作戦通りお願い。私が誘い込むから』

華「わかりました」




まほ「…………」

ナオミ「アキさんがやられた。これでうちは三人、向こうは六人……きついな」

まほ「そうじゃない」

ナオミ「え?」

まほ「この場にいるのは、こっちが二人、向こうが三人。そして少し離れたところに五十鈴華。こう考えるべき」

ナオミ「!そうか……」

まほ「五十鈴華は脅威ではあるが、その存在に気付いた今、警戒を怠らなければある程度の時間は無視していい。大事なのは目の前にいる三人。こっちは二人いるから十分戦える」

ナオミ「ああ……その通りだ!」

まほ「……まず狙うべきは……」チラ

ナオミ「当然……」チラ


柚子「…………へ?」


まほ「小山柚子!!」
ナオミ「小山柚子!」


柚子「えええっ!?」



ナオミ「はあっ!」シュ!

柚子「ひゃああ!なんか飛んできましたぁ!」

ナオミ「オレオさ!紅茶に漬けて食べるといい!」シュ!

柚子「わあああ!」サッ!

ナオミ「……ちっ、意外と俊敏だな」

まほ「次は私だ。西住流・童心術。『悪戯童(いたずらわらべ)の奮闘記』……」シュッ

柚子「!爆竹……」

パアン!!!

柚子「………………」

まほ「……動揺しないか」

柚子「音にだけ気を付ければいいって会長が言ってましたからね。避ける必要もないと」フフン

まほ「そうか……ならばこれをくらえ!」シュッ!

柚子「ふふふ。だから爆竹は効かないと言ってるじゃないですか」

ポヨン...

柚子「……あれ?胸に当たった?でも破裂しない……」??

まほ「…………よく見るといい」

柚子「?これは…………」

『トカゲのゴムのおもちゃ』

柚子「ひ……!!!!」

柚子「ひゃあああああああ!!!!!」パリーン!

ナオミ「やった!カップを落としたぞ!」

まほ「ありがとう爬虫類…………っと、喜んでいる場合じゃない。優雅にしなければ」サッ(耳にかかる髪をかき上げる)

アナウンス『優雅確認!オレンジペコチーム、小山選手失格です!!』


柚子「はわわわわ……」ペターン..

ナオミ「よし!これで残るは……」

杏「ダージリンと西住ちゃんのお姉ちゃんだけだねー」スッ

ナオミ「なっ……後ろだとっ!?」

杏「それ」ポチャン!(ナオミのカップに干し芋を入れる)

ナオミ「ああっ!?」

ピチャッ..

アナウンス『ダージリンチーム、ナオミ選手失格!』

ナオミ「くっ……いつの間に背後に……」

杏「会長ってゆーのはさぁ、存在感消すことも必要なんだよ」ニヒヒ

まほ「…………」スッ

杏「そうそう。そんな感じでね」

まほ(!気付かれた)

杏「それーいっ」ヒュン(干し芋を振る)

まほ「っ!目に紅茶の水分のやつが入った……!」

杏「もらった!」

杏(このまま干し芋でカップを弾き落とす……!)

まほ「くっ……」

まほ(視界が奪われた……下がれば避けられるだろうが、ここは…………)


まほ「………………」

杏(いっくよーっ!)ヒュ..

まほ「コラーーーーッ!!!」

杏「っ!?」ビクン!!

まほ「お前はまた悪戯しよってからに!!!!」

杏「ご、ごめんなさ…………はっ!しまっ…」

杏(つい反射的に手を引っ込めちゃった!)

まほ(西住流・好奇心旺盛な子供叱る術『雷起こし』。幼少期の恐怖心を蘇らせる技!効果あったぞ!)

まほ「もらった!はああああ……」ヒュッ!

杏「ああっ!?」

まほ「ああああ!!」ズプッ!(左手の甲まで全部紅茶に入れる)

杏「わああ!」ビシャシャァァ!!

まほ(よし、こぼれた!だがこのままでは優雅ではない……しかし!この濡れた手を勢いよく上に振り上げれば……!)ヒュッ!

まほ「ふぅぅう……」キラキラキラキラ..

まほ(舞った水滴が光となり、一息ついた私を輝かせてくれる。それすなわち優雅!)

アナウンス『オレンジペコチーム、角谷選手失格です!』

杏「………………はぁ」

まほ「やーっーたーぞー」

杏「ふふっ、そだね。やーらーれーたーって感じだよ。さすが西住ちゃんのお姉ちゃんだね」

まほ「あーりーがーとーうー」

杏「あっはは。全部伸ばさなくてもいんだよ?」

まほ「そーうーなーのーかー?」

杏「そーうーなーのーだー!あははは」

まほ「こーめーじーるーしー」

杏「なんで急にこめじるし?」

まほ「すまない。はしゃいだ」

杏「そっか」

まほ「では私は行く」

杏「ん。ま、頑張ってねぃ」

まほ「ああ。ありがとう」テクテク


まほ「…………………」

みほ「…………………」

まほ「…………………」

みほ「…………………」

まほ「……………みほ」

みほ「お姉ちゃん……」

まほ「勝負だ」

みほ「うん」

まほ「………………」ジリ..

みほ「………………」ジリ..

まほ「………………」

みほ「………………」


【観客席】


しほ「……………………」

亜美「娘さん同士の対決になりましたね」

しほ「ええ」

亜美「……どちらが有利だと思いますか?」

しほ「まほは西住流を深く理解しているわ。それも、戦車道にあまり関係ないものまで。そしてそれを生かすことのできる身体能力……みほもトレーニングはしているけれど、まほに比べればまだまだね」

亜美「なるほど」

しほ「……それにしても」

亜美「え?」

しほ「娘同士の戦いを見るのは辛いわね。胸が痛むわ……しかもそれがよくわからないイベントなんだもの。頭も痛いわ」

亜美「テンプルベリーバッドですか……その気持ち、なんとなくわかります」

しほ(まほ……みほ……)


【戦闘エリア】


まほ「………………」

みほ「………………」

まほ(距離が縮まらない。私が一歩進めばみほも一歩下がる)

まほ(オレンジペコさんとアッサムさんの援軍を待っているのか?)

まほ(…………いや、違うか)

まほ(真正面から私に向かって来れば返り討ちに遭うとわかっているんだ)

まほ(ならば私のとる策は……みほと同様、待ちの態勢で我慢比べ…………ではなく!)ダッ!

みほ「!」

まほ(あえて真正面から攻めかかる!!)ダッ!

みほ「っ……!」タタッ!

まほ(カップを体で隠すよう半身になりながら後退……それならカップを守れると思っているのだろう。だが甘い!)ヒュッ

まほ「っ!」スポーン!(右足の靴を飛ばす)

みほ「な……!?」

まほ(みんな大好き飛び道具!安全地帯にいるとでも思っていたか?みほ!)

みほ「っ…!」サッ!

まほ「ごめんあそばせ!」

まほ(靴を飛ばす野蛮さを言葉でフォロー。そして飛ばした靴が…………よし、表向きだ。ということは天気占いで晴れ。さらに優雅を獲得した。この勢いでもう片方も……)スポーン!

みほ「うわっ!?」サッ..

まほ「…………ちっ」

まほ(これも避けたか……だがその体勢……そして下がったところは……)

みほ「……っ!地面が……?」カクン!

まほ(よし!バランスを崩した!)タタタッ

みほ「お姉ちゃん……!地面のくぼみに私を誘い込んだ……!?」

まほ「その通りだ」

まほ(紅茶をこぼさないようバランスを保つのに精一杯で動けまい。私の手から逃れる術は無い)

みほ「っ……」

まほ「もらっ……」

みほ「……………」

まほ「……………」シュッ

まほ(……待て。いくら逆転が絶望的とはいえ諦めが早すぎる……これは……)

みほ「………………」

ドヒュッ!

まほ「ぁ……!!」

パリーン!!

まほ「…………っ…!」


【観客席】


亜美「ああっ!?まほさんのカップが割れた!」

しほ「………………」

亜美「今のは五十鈴華さんの狙撃ですね……あ、ということは、みほさんがバランスを崩したのはわざと?地面のくぼみに足を引っかけてバランスを崩したのを合図に撃つよう指示した……」

しほ「でしょうね」

亜美「さすがみほさん……やりますね。まほさんは惜しいところまで言ったんですが……残念ですね」

しほ「それは違うわ」

亜美「え?」

しほ「よく見てごらんなさい」

亜美「何をですか?」

しほ「いえ……聞きなさい、と言った方がいいかしらね」

亜美「?」

アナウンス『ダージリンチーム、西住まほ選手!オレンジペコチーム、西住みほ選手、失格です!』

亜美「な……っ!?」

しほ「ふふ……」クスッ

亜美「ホワーイジャパニーズピーポー!!」


【戦闘エリア】


みほ「そ……んな……」

まほ「…………………」

みほ「華さんの狙撃は完璧だった……それにお姉ちゃんは私の誘導に気付いてなかったはず……」

まほ「そうだな。まんまと騙されたよ」

みほ「それなのに……」



~~~~~~~~~~~~~~~

ドヒュッ

まほ「ぁ……!!」

みほ(このタイミングなら絶対当たる!)

まほ「っ……!」グ

みほ(え?)

まほ「……!」バッ..!

みほ(!カップを投げる気!?でももう遅い!)

パリーン!

まほ「…………っ…!」

みほ(やった!やっぱり間に合わなかった!)ホッ

まほ「………………」

ヒュッ..

みほ「!!」

みほ(割れたカップの破片と紅茶が飛んできた!?よ、避けないと…)ググ..

みほ(!ダメだ……っ……お姉ちゃんを誘うためにバランスを崩したせいで、動けな……!)

チャポチャポン..ピチャ..ピチャッ...

みほ「………………っ」

まほ「…………………」



アナウンス『ダージリンチーム、西住まほ選手!オレンジペコチーム、西住みほ選手、失格です!』


~~~~~~~~~~~~~~~



みほ「あの土壇場でお姉ちゃんは私の狙いに気付いた。そしてカップを私の方に投げて相打ちを狙った」

まほ「ああ。投げたとは言うより、少し指で弾いただけと言う方が正解だろうがな」

みほ「………………」

まほ「しかしイチかバチかだったよ。ルール上、失格になったあとの攻撃は無効だが、バスケットボールの時間切れ寸前のシュートと同じで、失格の前に私の手から離れたカップがみほのカップに当たった場合は有効だと思ってはいたが……それでもどうなるかはわからないからな」

みほ「……よく言うよ」クスッ

まほ「ん?」

みほ「カップを弾く直前、お姉ちゃんは爪先をピンと伸ばしてた。それは少しでも優雅を稼ごうという気持ちの表れ。きっと大丈夫だって思ってたはずだよ」

まほ「…………無意識だったが、そうかもしれないな」


みほ「……はぁ……負けちゃった。勝てると思ったのになぁ」

まほ「ふふっ……そう落ち込むな。今のところは私の1勝0敗だが、次に何かで戦う時に私に勝てば引き分けじゃないか」

みほ「ちょっと待って。戦車道で私勝ってるよね?なんでそれ入れないの?どうして今日から戦績数えるの?」

まほ「人は毎日を必死で生きているからだ。過去のことなど知ーらない」

みほ「知ーらない。じゃないよ!その毎日を積み重ねてきた延長線上に今があるよね?だったら戦車道の…」

まほ「戦車道の話は今日はしないデーだから無し」

みほ「どうして!?」

まほ「急に違う話をされたらやんなっちゃうだろう?みほも経験ないか?」

みほ「それはあるけど……」

まほ「だろう?今いきなり私がノストラダムスの話をしたらやんなっちゃうはずだ」

みほ「……確かに今さらノストラダムスはやんなっちゃうけど……でも……」

審判「両選手、待機エリアに移動してください」

みほ「あ、はい……」

まほ「な?姉妹でノストラダムスの話をしてるのに待機エリアの話を放り込んでくる審判はやんなっちゃうだろう?」

みほ「いや、私は別に……」




華「………………」

華「狙撃は成功……したはずですが……まさかこんな結果になるとは……」

華(……………いえ、確かに予想外でしたが、まほさんを撃破することには成功しました。前向きに考えましょう)

華「残るはダージリンさん一人。こちらはオレンジペコさんとアッサムさん、そして私の三人……圧倒的有利です」

華(私はこのあとダージリンさんを狙えるポイントに移動し、隙をついて狙撃するまでです)

華「さて、移動しますか」

華「………………あら?置いてあったカップがありませんわ」

ダージリン「それは大変」

華「え?」

ダージリン「気を付けた方がよろしくてよ…………ん、冷めてしまっているわね」ゴクゴク..

華「ダージリンさん!?いつの間に…………って、それは私の……!」

ダージリン「ごちそうさま」コトッ..

華「な……………」

アナウンス『オレンジペコチーム、五十鈴選手失格です!』

華「……ダージリンさん」

ダージリン「あら?何かしら」

華「……どうやってここまで誰にも見つからずに来られたのですか?」

ダージリン「………………」

華「これまで、ダージリンさんを見たという報告は一度もありませんでした。それはずっと遠くに潜んでいる非アクティブ状態だからと思っていましたが、今こうしてここに現れた」

ダージリン「ええ。現れちゃったわね」

華「パツキンでボンキュッボンで目立つダージリンさんが見つからないなんて……何かイカサマをしているのかと勘ぐってしまいます」

ダージリン「イカサマなどしていないわ。ただ私は匂いを頼りにしていただけ」

華「え?」

ダージリン「紅茶の香りがするのなら、それは誰かがいるということ。つまり紅茶の香りを手掛かりに敵を避けて来たのよ」

華「そんな……わたくしも鼻はいい方ですが、全然……」

ダージリン「それは紅茶にかける情熱の違い……というよりことかしらね」クス

華「………………ふふっ、確かにそうかもしれませんね」



オレンジペコ「……五十鈴さんがやられちゃいました」

アッサム「これだけの人数差でありながら、ここまで追い詰められるとはね……」

オレンジペコ「さすがダージリン様、ということですね」

アッサム「ええ。でも快進撃もここで終わりよ」

オレンジペコ「はい」

アッサム「行きましょう」

オレンジペコ「はい。ダージリン様を倒しに」キリッ


【待機エリア】

ワイワイガヤガヤ

アンチョビ「うーむ。なんだかんだで2対1になっちゃったぞ」

ペパロニ「ほんとっすねー!見てるとお腹減ってくるっす」

アンチョビ「それはただ時間が経ってお腹空いただけだろ!あの戦いにお腹減る要素あったか!?」

ペパロニ「うーん……でも紅茶とかオレオとか干し芋とかあったっすよ?」

アンチョビ「む。言われてみれば確かに……」

パツン

アンチョビ「あっ!」

ペパロニ「どうしたんすか?」

アンチョビ「髪を留めていたリボンが切れたみたいだ」

ペパロニ「ほんとっす!ワンテールになってるっす!その場合、何ーチェになるんすか?」

アンチョビ「ドゥーチェのままだ!髪型で変わらん!」

カルパッチョ「しかし……最終決戦を前に切れるなんて、不吉ですね。リボンなんてそうそう切れるものではありませんし」

アンチョビ「うっ……それは……確かに不吉かもしれない」

カルパッチョ「死亡フラグ、というやつですかね」

ローズヒップ「ごあーんしーんくださいませー!」オホホホ

アンチョビ「わ、ビックリした」

ローズヒップ「わたくしなんてホラ!靴ひもが…」

カルパッチョ「切れたんですか?」

ローズヒップ「どっかいっちゃいましたわー!」

アンチョビ・カルパッチョ「ええーーっ!?」

ローズヒップ「それでも全然楽しいですわー!」

ペパロニ「ひもが消えるとかすっげー!手品っすか!?」

ローズヒップ「わっかんねーですわー!手品だとしても、わたくしにもタネがわっかんねーのですわー!」

アンチョビ「はぁ……元気で幸せそうな子だな。しかし……うーん、困ったな。リボンが無いと髪が……」

まほ「どうした?」

アンチョビ「ん?おお、もう来ていたのか。早いな」

まほ「戻る早さは私の長所だ。それで何が困ったんだ?」

アンチョビ「いや、リボンが切れてなくなってな」

まほ「む。それは困るだろう。誰か食パンの袋を留めるアレ持ってるやついないか?」

アンチョビ「待て待て!あんなプラスチックので留めたくない!」

まほ「そうか……」

アンチョビ「当たり前だ。片っぽリボンで片っぽアレって……どんなドゥーチェだ」


ミカ「こんなドゥーチェは嫌だ、かい?」ポロロン

アンチョビ「え?いや……」

ノンナ「こんなドゥーチェは嫌だ、というのはありますか?」

まほ「速達をソックタッツって言う」

アンチョビ「なんだそれ!」

ケイ「あははは!それいいわね!」

ペパロニ「そんなドゥーチェかっけーっす!」

アンチョビ「ええっ!?」



アリサ「……ずいぶん賑やかねぇ」ハァ..

エリカ「校風の違いだろうか。黒森峰とは全然違うな」

アキ「校風って言うか、こうやってみんなで集まるのが楽しいからじゃないかなー?」

ミッコ「そうだな。なんかすっげー新鮮」

アリサ「ふーん…………まぁ、わからないでもないけどね。ほんの少しだけは」

エリカ「……確かに、ちょっとだけね」

ナオミ「素直じゃないな」クス

カチューシャ「ふん!カチューシャは楽しくないわ!負けちゃったもの!」

杏「まぁまぁ。活躍してたからいいじゃないか」

カチューシャ「ホント!?どのあたりがすごかった!?」

杏「え?あー、えー…………」

アリサ(見てなかったのに適当言ったのね……)

杏「あー……あそこ。あの神がかってたとこ」

カチューシャ「神!?ふ、ふふん!やっぱりカドーシャはわかってるわ!」

杏「カドーシャ……」


カチューシャ「な、なによ!私が決めた呼び名が不満なわけ!?」

桃「当然だ!」

カチューシャ「な……!ガネーシャ!」

桃「なんだガネーシャって!」

カチューシャ「メガネのガネよ」

桃「そうか……って、ガネーシャはやめろ!すでにその枠は埋まっている!ゾウみたいなやつがいるんだ!」

カチューシャ「あっそ。じゃあカワーシャでいいわ。それより、カドーシャのどこが不満なのよ!」

桃「不満に決まっているだろう!会長は会長だ!角谷という名字ではあるが、それを超越した会長という存在!つまり……カィチョーシャだ!!」

カチューシャ「!!!」

桃「ですよね!?会長!」

杏「……いや、それはどうかなー」

カチューシャ「キィチョ、キャチョ……カィキョ…………もう!呼びづらいじゃない!」

まほ「ならばヨビーシャだな」

カチューシャ「それなら大丈夫だわ!ね?ヨビーシャ!」

杏「私の名前がなくなったねー」アハハ

柚子「呼びづらい人全員に当てはまりますしね……あ、それと桃ちゃん、なんか汚れてるよ?」

桃「穴に落ちたからな!メガネもどっかいってしまった!くっ!」

福田「河嶋殿!それなら福田のメガネをお使いください!」

絹代「福田!それでは福田が見えなくなるではないか!」

細見「なるほど……視界を塞ぐことで背水の陣を敷き、突撃をするつもりなんだな」

玉田「さすがだ!それこそが知波単魂ーっ!!」

麻子「……などと騒いでいるうちに動きがあったぞ」

沙織「えっ?どんな?」

みほ「オレンジペコさんとアッサムさんがダージリンさんのところに着いたみたい」

華「あらあら」ウフフ

優花里「ヒヤッホォォォウ!クライマックスだぜぇぇぇぇ!!」


【戦闘エリア】


ダージリン「やっと会えたわね。ずいぶん待ったわ」クス

オレンジペコ「そうですね」

アッサム「さすがダージリン。ここまで持ちこたえるとは」

ダージリン「私の力ではないわ。みんなが頑張ってくれただけ」

オレンジペコ「それもダージリン様の力ですよ」

アッサム「ただ……最後には私たちが勝ちますけれど」シュルッ(リボンをほどく)

ダージリン「………………」

アッサム「そして私たちが聖グロリアーナの」シュルッ(リボンをほどく)

ダージリン「?」

アッサム「頂点に」シュルッ(リボンをほどく)

アッサム「立つの」シュルッ(リボンをほどく)

アッサム「です」シュルッ(リボンをほどく)

アッサム「わ」シュルッ(リボンをほどく)

ダージリン「アッサム……あなた、リボンを何枚重ねてましたの?」

アッサム「8…」シュルッ(リボンをほどく)

アッサム「枚です」シュルッ(リボンをほどく)

ダージリン「8枚?すごいわ。でもどうせならあと2枚で10ですのに」

アッサム「確かにそうですが、8枚もあれば足ります。そしてそれ以上増やすと頭が重いですから。オレンジペコ、リボンをお願い」サッ

オレンジペコ「はい」

オレンジペコ「よいしょ……」トポポポ..(落ちていたペットボトルの水でリボンを濡らす)

ダージリン「……なるほど。五十鈴さんがペットボトルを置いていったのはあなたたちが使うからだったのね」

アッサム「ええ。私のデータによると、五十鈴さんが作戦通りペットボトルを置いてくれる確率は90パーセント。データ通りです」ニコリ

オレンジペコ「濡れリボン完成しました」

アッサム「ありがとう」クス

ダージリン「………………」

アッサム「ダージリン。準備が終わるまで待っていてくれてありがとう」

ダージリン「いいえ。礼儀というものですわ」

アッサム「そう……でもその礼儀に、攻撃という返礼しかできないのが…………申し訳ない確率100パーセント!」タタッ!

ダージリン「!」

アッサム「はっ!」ヒュン!!

ダージリン「っ……!」

ダージリン(4枚まとめて握り、振り回されるリボンから飛んでくる水しぶき……厄介ね)

ダージリン「……でも!」タッ!

ダージリン(ここで下がればアッサムの狙い通りのはず!となれば攻めるのみよ!)

アッサム「逃げずに向かってきた!?ふっ……好都合ですわ!リボンを顔にビターンとできる確率80パーセント!」シュッ!

ダージリン「くっ……!」グゥン!(頭を低く沈ませ、回避)

アッサム「早い!?20パーセントの方を引くとは!」


ダージリン「もらいましたわ!」ヒュッ!

アッサム「させませんわ!避けられる確率100パーセント!」サッ!(カップを上げてダージリンの手を避ける)

ダージリン(!あのスピードで動かして紅茶をこぼさないとは……さすがアッサムね)クス

オレンジペコ「はぁっ!」ヒュッ!

ピタァァン!

ダージリン「あっ……!」

ダージリン(ペコのリボンが足に絡みついた!?そんな……ペコは離れた位置に移動したはず………)ハッ!

ダージリン(リボン同士が結ばれている……4枚全て繋げて長いリボンを作ったというわけね……その作業のために少し距離を置いていた……)

オレンジペコ「えいっ!」グイッ!

ダージリン「!!」

ダージリン(リボンを引っ張られていますわ!このままでは足を払われ、カップが落ちる……そうはさせません!)ググググ..

オレンジペコ「うっ!?ぐぬぬぬ……」ググググ

ダージリン(今はなんとか持ちこたえたけれど、装填手であるペコの力は侮れないわ……このまま力比べは悪手ね。カップを置いてリボンをほどくか、それとも……)グググ..

アッサム「隙だらけの確率80パーセント」タタッ!

ダージリン(!アッサム…………あ)ハッ

ダージリン(この手がありましたわ!)スッ(ペコの方へ動く)

オレンジペコ「わああっ!?」ドシン!

ダージリン(あえてペコの方へ向かい、リボンを緩ませて引っ張るペコのバランスを崩し……)スッ

アッサム「え?」

ダージリン(その隙にアッサムの周りをぐるりと回る)

アッサム「え、あ、ああっ!?足にリボンが巻きついて……!こんなのパーセンテージじゃないわ!」

ダージリン(そして……ここで私が足を持ち上げれば!)

アッサム「わっ、わっ、わああっ!」フラフラッ...

アッサム「ゎぷっ!」ドテーン!

パリィン..

アッサム「あ…………」

アナウンス『オレンジペコチーム、アッサム選手失格です!!』


アッサム「くっ……自分で用意したリボンが仇になるなんて」

アッサム「……確かに、仇になる確率60パーセントだったけれども……」

ダージリン「半分を上回っていたのね。素敵」ウフフ

オレンジペコ「アッサムさん……」

アッサム「……私が負ける確率は50パーセントだったわ。けれど、私たち2人とも負ける確率は5パーセントよ。確率を信じて」

オレンジペコ「はい。確率を、と言いますかアッサムさんを信じます」

アッサム「オレンジペコ………………ふふっ、嬉しい確率100パーセントね」

ダージリン「データでは私が勝つ確率は5パーセントしかないのね」

アッサム「ええ。ただ、5パーセントしかない確率は70パーセントですが」

ダージリン「???」

アッサム「そしてその70パーセントという計算が合っている可能性は50パーセントですね」

ダージリン「……勉強はおしまいにしましょう。最後の戦いに集中したいわ」

アッサム「それは何パーセ…」

ダージリン「100パーセントよ」シュルル..(足に絡みついたリボンをほどく)

オレンジペコ「……………………」

ダージリン「ペコ。勝負よ」

オレンジペコ「はい」ヒュンヒュン!

ダージリン「……長いリボンはリーチがあっていいけれど、懐に入られたらおしまいよ?」

オレンジペコ「かもしれませんね」ヒュンヒュンヒュン..

ダージリン「………………」

オレンジペコ「……………」

ダージリン(リボンを振り回して威嚇しているのだろうけど、これだけ長いとその分だけ入り込む隙はあるわ。タイミングを見計らって……)

オレンジペコ「」ヒュ

オレンジペコ「」ヒュンッ..

ダージリン(ここ!)タタッ!

オレンジペコ「!」

ダージリン(懐に入り込むことに成功したわ!もうリボンは怖くない。あとはペコのカップに触れれば……)

オレンジペコ「…………」クンッ!(体を捻る)

ヒュッ!

ダージリン「え……」

ダージリン(これは……ペコの髪!?いつもみたいにお団子にせず、普通の三つ編みにした髪を振り回して……)

ダージリン「あ……っ」パシッ!

ダージリン(カップが弾かれた………!)


【待機エリア】


沙織「あ!カップがダージリンさんの手から離れた!」

エリカ「……あれではすぐに握り直したとしても……」

ケイ「こぼさないってのは無理ね……」

ローズヒップ「ダージリン様ぁーーーー!」

カチューシャ「ダージリン……」

まほ「くっ…………」

ノンナ「!皆さん、見てください」

エリカ「?」

ノンナ「勝負はまだ終わっていません」

まほ「なに……!」

沙織「ど、どうして?地面に落ちる前に握り直したみたいだけど、カップが手から離れたのに紅茶をこぼさないなんて絶対無理だよー!」

麻子「一体どんなカラクリがあるんだ……」


【戦闘エリア】


オレンジペコ「ああっ!?」

ダージリン「ふふふ……」

オレンジペコ「カップが…………いえ、紅茶も…………凍ってる!!」

ダージリン「その通り。あらかじめカップと紅茶を凍らせておいたの。こうすれば少々の衝撃でもこぼれはしない」

オレンジペコ「そんな……」

ダージリン「…………」シュッ

オレンジペコ「ぇ?」

ダージリン「驚くのは仕方なくても、動揺を長引かせるのは拙いことですわよ!」

オレンジペコ「あっ、しまった!」

ダージリン「もらいましたわ!」

ダージリン(ペコのカップを……弾く!)ペンッ!

オレンジペコ「ああっ!?」スルッ(カップが手から落ちる)

ダージリン「ふふふ……やりましたわ」

オレンジペコ「っ!」パシッ!

ダージリン「落下は免れたみたいね。けれど、受け止めたところで紅茶は……」

オレンジペコ「…………うふふ」

ダージリン「……こぼれて……ない!?何故………………あ」ハッ

オレンジペコ「………………」ゴゴゴゴゴゴ...

ダージリン「か、カップに…………ラップが!しかも上から被せたラップを、さらに下から包んでいる……」

オレンジペコ「こうすればこぼれません」

ダージリン「くっ……!」


【待機エリア】


麻子「……あれはありなのか?」

まほ「ルールブックには載っていないがありだろう。凍らせることで液体を固体にする行為は、思い出をいつまでも大事にする素敵な気持ちが見え隠れして優雅だ。そしてラップの場合、ラップにつく水滴は不規則かつ自然的で、まさにアート。アートは優雅だ」

麻子「イマイチ納得できん……」

ミカ「同感さ。これがありなら、紅茶を飲むことで人間が何かを為すエネルギーに変わるというのも優雅ではないのかな?つまり私の反則は取り消しに……」ポロロン

アキ「もー、ミカったらムラムラするようなこと言わないでよー」コチョコチョ

ミカ「はぁん!や、やめて…………そんなこと……ゆ、ゆってないからぁ……///」ビクビクン!

麻子「………………これはありなのか?」

沙織「な、無しだよ!人前であんなこと……///」バッ(両手で目を覆う)

華「そんなこと言いながら、指の隙間から見ていますよね。デバガメです」

優花里「ヒヤッホォォウ!アキミカだぜぇぇぇぇ!!」

アンチョビ「……私たちは戦いに集中しような」

カルパッチョ「はい」


【戦闘エリア】


ダージリン「………………」

オレンジペコ「……………」

ダージリン(再度距離をとったけれど…………どう攻めるべきかしらね)

オレンジペコ「いきます…………はっ!」ヒュン!パシッ!

ダージリン「!」

ダージリン(リボンの軌道が変わった。カップを叩き落とす方向に狙いを定めたようね)

オレンジペコ「」パシッ!ヒュン!

ダージリン(もう一度突っ込むのもありだけれど……ここは一旦……)クルッ

オレンジペコ「!逃げる気ですか」

ダージリン「逃げはしないわ。後方に前進よ」タタタ

オレンジペコ「知波単の人たちのようなことを言って……」ハァ

オレンジペコ(こっちの長いリーチを嫌がっていますね。狭い場所に誘い込むつもりでしょうか)

オレンジペコ(……その誘いには乗りませんよ。私はここを動きません。長丁場になればダージリン様の凍ったカップも溶けるでしょうしね)



ダージリン「………………」ソローリ

ダージリン(ペコは動かず……ならばこうして身を潜めていても仕方ないわね)

ダージリン(…………勝負をかけましょう。今度こそ、最後の勝負……)

ダージリン(そのためには……)


オレンジペコ「………………」

オレンジペコ(ダージリン様に動きは無し。策を練っているのでしょうか?)

ダージリン「」スッ

オレンジペコ「!」

オレンジペコ(やっと姿を見せてくれましたね)

ダージリン「行きますわよ、ペコ」タタッ!

オレンジペコ「はい……」ヒュン!

ダージリン「」タタタ

オレンジペコ「はあっ!」ヒュゥン!!

ダージリン「くっ!」バシィッ!

オレンジペコ(!体で受け止めた!?)

ダージリン「っ……」タタタタ

オレンジペコ(でもまだ距離があります!)ヒュン!

ダージリン「……ぐ!」バシィッ!

オレンジペコ(これも体で……!)

ダージリン「…………」キリッ

オレンジペコ「うっ……」

オレンジペコ(なんて迫力……いつものダージリン様と違う……鬼気迫る表情……)タジッ

ダージリン「!」

ダージリン(気迫負けしたわね!その瞬間を待っていたわ)ピッ(携帯を操作する)

オレンジペコ「くっ……一体何を……」

肴屋本店店主「シェハハハハ!ヒャハハハァ!!」ゲラゲラゲラゲラ!

オレンジペコ「!?」ビクッ!

オレンジペコ(い、今の声は!?どこから聞こえて……!)キョロキョロ

ダージリン(いい声よ、肴屋本店の店主さん。あなたが戦闘エリアに残ってくれていたおかげでペコの注意を惹けたわ)

オレンジペコ「はっ!?しまった!」

ダージリン「遅いわよ」シュッ

プス..

オレンジペコ「!?ティースプーンでラップを破った……!?」

ダージリン「そして……」クンッ..(手首を捻り、スプーンでラップに引っかけ、カップを裏返す)

オレンジペコ「あっ!?」

ビシャアァァ...

ダージリン「……………………」

オレンジペコ「あ、あぁ…………」

アナウンス『オレンジペコチーム、オレンジペコ選手失格です!!』

ダージリン「ふふっ」

オレンジペコ「………………」ガクッ

アナウンス『そして………決着!戦闘グロリアーナの勝者は………………ダージリンチームです!!!』

ワアアァァァ!!!


【待機エリア】


エリカ「か、勝った……」

ローズヒップ「さすがダージリン様ですわー!尊敬を大量生産しますわー!」

ケイ「ヴィクトリー!最高だわ!」

ナオミ「ええ」ニカッ

カチューシャ「ふふっ、カチューシャがいるんだから勝って当然だけどね!」

ノンナ「その通りです」

アキ「あの人数差で勝つなんてすごいね!」

ミッコ「ホントホント。っていうか私らがミカに勝てたってのも嬉しいな!」

まほ「………………」

まほ(さすがダージリン。できれば勝利の瞬間をもっと近くで見届けたかったが……)

まほ(……いや、言うまい。とにかく今は勝利を噛みしめよう)フフッ



その後、戦闘グロリアーナに参加した面々は、美味しい紅茶とお菓子のパーティーを楽しみ、帰路についた――――


翌日

【聖グロリアーナ女学院】


ダージリン「私たちは戦闘グロリアーナで激戦を繰り広げたわけだけれど……」

ダージリン「結局、元の鞘に収まったといったところね」クスッ

アッサム「そうですね。役職をはじめ、何一つ変わってませんから」

オレンジペコ「……でもよろしいんですか?」

ダージリン「何がかしら?」

オレンジペコ「私はダージリン様に敵対したのに今まで通りと言うのは……」

ダージリン「うふふ。問題ないわ。後輩の面倒を見るのは先輩の役目ですもの。たとえ歯向かわれようと、それを含めて私がなんとかすればいいだけの話よ」

オレンジペコ「ダージリン様……」

アッサム「……ところでダージリン」

ダージリン「何かしら?」

アッサム「何故今回このような経緯になったのかわかりますか?」

ダージリン「ペ剋上のこと?」

アッサム「ええ。下剋上のことです」

ダージリン「そうね……ペコも人間。上に立ちたいという欲が出たからではなくて?それ自体は別に何もおかしなことではないわ」

オレンジペコ「………………」

ダージリン「?違ったかしら?」

アッサム「ええ。違います」

ダージリン「?ペコではなく、アッサムが下剋上?その場合はム剋上…」

アッサム「違います」

オレンジペコ「………………」

ダージリン「では一体……」

オレンジペコ「…………だ、ダージリン様!」

ダージリン「なにかしら」

オレンジペコ「わ、私は……ダージリン様のことが大好きです!」

ダージリン「あら」

オレンジペコ「いつも一番近くにいましたし、これからもそのつもりでした。でも……」

ダージリン「?」


オレンジペコ「……最近のダージリン様は、私がそばにいて当たり前のようで……新鮮味が無いと感じているのがありありとわかりました」

ダージリン「それは……」

オレンジペコ「格言も、前はちゃんとしていたのに、うろ覚えだったり間違えていたりというのが増えて……デマに引っかかったりもしてました」

ダージリン「………………」

オレンジペコ「もし間違えても私が訂正するだろうと信頼してくださっている面もあるのでしょうが……以前のピシッとしていたダージリン様を見ているだけに……悲かったです」

ダージリン「………………」

オレンジペコ「……それに……西住みほさんにご執心で……私が大洗女子全体を応援しているのと違い、ダージリン様は西住さんのことばかり見て……」

ダージリン「そんなことは……」

オレンジペコ「挙句の果てに、五十鈴さんと名前で呼び合うようになって……私のことはどうでもいいみたい……」

ダージリン「!」

オレンジペコ「私が格言のフォローを適当に流した時は叱ってほしかったです……なのにダージリン様はいつも『ウフフ』か『あらあら』で誤魔化して……私に真剣になるつもりがないということでしょうか……」グス

ダージリン「そんなことはないわ。私がペコを大事に思っていないわけがないでしょう?」

オレンジペコ「はい。わかっています。でも……」

ダージリン「だったら……」

オレンジペコ「………………」

アッサム「……ダージリン。オレンジペコは今までダージリンに献身的に尽くしてきました。見返りを求めようともせず」

ダージリン「…………」

アッサム「でも……ダージリンに何も求めないように努めた…いえ、努めすぎたせいで、ダージリンに心配事や悩みを相談することもせず、いつも自分の中に溜め込んでいました」

ダージリン「………………」

ダージリン(ペコがそんな想いを抱えていたなんて……気付かなかったわ。先輩失格ね)ハァ

アッサム「ダージリンが格言のいいところで噛んだ時も、ドヤ顔で紅茶の銘柄を当てにいったのに間違ってた時も、後ろで束ねた髪の上に虫がいた時も……オレンジペコは常にダージリンのためだけに、ダージリンを傷付かせないよう動いていたわ」

ダージリン「初耳だらけだわ……ちなみにペコ。その虫はどうなったのかしら?私が気付かないうちに取ってくれたのかしら?」

オレンジペコ「いえ、私も虫は苦手ですので……そのまま……」

ダージリン「……………………」

アッサム「大丈夫ですよダージリン。きっと飛んでいきました」

ダージリン「……飛ぶタイプならそうでしょうけど……最悪、部屋の中に……」

アッサム「……ま、とにかく」

ダージリン「とにかからないでほしいけれど……」

アッサム「オレンジペコは悩んでいたんです。ダージリンのことばかり考えて」

ダージリン「ペコ…………」

オレンジペコ「ぅ……///」

アッサム「もっとダージリンに自分のことを見てほしい。ダージリンの目を自分へ向けたい、と」

ダージリン「……なるほど。そんなペコの気持ちに気付いたアッサムが、戦闘グロリアーナで私と戦うことを提案したのね」


アッサム「そうです。ペコのこと以外にも、聖グロリアーナで揺らぐことのない盤石の地位にいるダージリンに喝を入れる狙いもありました。安泰だからと気を抜いてのほほんとしていてはいけないですから」

ダージリン「そんな目的もあったのね……」

アッサム「はい。そのため、まず生徒たちにオレンジペコ派とダージリン派というものがあるという噂を流し、ダージリンの耳に入るよう画策しました」

ダージリン「あれもアッサムの仕業だったのね」

アッサム「ええ。そして最後まで躊躇していたペコを説得し、本当に下剋上をするかのように振る舞ってもらいました」

オレンジペコ「本当にすみませんでした。生意気な態度をとってしまって……」

ダージリン「いいえ、かまわないわ。でもやっと納得できたわ。ペコにしては過激な行動すぎると思っていたのよ」

アッサム「それはそれで引っかかる言葉ですね。私ならおかしくないと?引っかかっている確率30パーセントです」

ダージリン「……ペコ」

オレンジペコ「は、はい」

ダージリン「私は今アッサムに言われるまでペコの気持ちに気付けなかったダメな先輩よ。でも今日からは少しでもペコの気持ちを理解したいと思うわ」

オレンジペコ「ダージリン様……///」

ダージリン「………………と言った矢先に、思考を放棄するようで申し訳ないのだけれど」

オレンジペコ「え?」

ダージリン「私にしてほしいことはあるかしら?もちろん、私が考えて動くのがよいのはわかっているけれど……まずはペコの望みに応えたいわ」

オレンジペコ「い、いいんですか?」

ダージリン「ええ。遠慮はいらないわ。ただ、望みに応える回数を100回に増やしてとか100億万円ほしいとかは無理よ?」

オレンジペコ「は、はい!では……その……」

ダージリン「なにかしら」

オレンジペコ「う……///」モジモジ

ダージリン「言ってごらんなさい?」

オレンジペコ「だ……抱きしめて……ほしい、です……///」

ダージリン「あら」

オレンジペコ「……頭を撫でながら……抱きしめられたい……です。その…………だめ、ですか?」

ダージリン「ダメなわけないわ。ほら、こっちへ来なさい?」

オレンジペコ「は、はい……」

ダージリン「……ペコ」キュッ

オレンジペコ「ぁ……だ、ダージリン様……///」

ダージリン「いつも私を支えてくれてありがとう。ペコは頑張ってくれているわ」ナデナデ

オレンジペコ「ふぁ……///」

ダージリン「本当に助かっているのよ?言葉で伝えるのを怠ってごめんなさいね」ナデナデ

オレンジペコ「い、いえ……こうして抱きしめていただければ……もう、何も……///」トローン..

ダージリン「そう……」クスッ

オレンジペコ「ダージリン様ぁ……///」

アッサム「………………」ウンウン


アー..

アッサム「?何か聞こえたような……」

マァ..

ァアァァァ..

アッサム「???」

バァン!!

ローズヒップ「ダージリン様ぁあああああああああああああああ!!!!」

オレンジペコ「ひぅっ!?」ドキーン!

アッサム「きゃあ!」ビクッ

ダージリン「あら、ローズヒップ。ドアはもっと静かに開けなさい。ドアの前にアッサムがいたらどうなると思う?」

ローズヒップ「ドアの前にアッサム様がいたという歴史が紡がれるだけですわー!」

アッサム「違います!私にドアがぶつかるということを言っているのです!」

ローズヒップ「もー!アッサム様ぁ、気を付けてほしいですわー!」

アッサム「あなたがノックをして静かに開ければいいだけですわ!」

ローズヒップ「そんなことより!ダージリン様ぁぁぁぁ!」

ダージリン「聞こえているから声のボリュームを抑えなさい。それで何か用かしら?」

ローズヒップ「おっ客さんが来てらっしゃいますですことよー!」

ダージリン「お客さん?」

まほ「失礼する」

ダージリン「あ、午後ティー」

まほ「連絡なしに急に来てすまない」

ダージリン「気にしなくていいわ。私たちは戦友でしょう?」クス

まほ「違いない」フフッ

ダージリン「でもどうして急に?」

まほ「ああ……昨日の今日だがダージリンに会いたくなってな」

ダージリン「あらあら」

まほ「ダージリンほど仲良くなれた友人は初めてなんだ。話していても楽しくて……そんなことを考えてたら無性に会いたくなった。だからリプトンに頼んでヘリを飛ばしてきたよ」

ダージリン「ふふっ……そのように言ってもらえると照れてしまうけれど……嬉しいわ」ウフフ




オレンジペコ「………………」

アッサム「………………」

オレンジペコ「な、なんかあの二人、怪しくないですか?」

アッサム「……チームメイトとして団結した結果でしょうけど……」

オレンジペコ「聖戦の話が出る前はほとんど会話らしい会話してなかったのに……」

アッサム「聖戦によってダージリンがオレンジペコと戦い、その結果雨降って地固まるを狙ったのだけど……思わぬ副産物が生まれてしまったみたいね」

オレンジペコ「うぅ~……ダージリン様……」

エリカ「まったく、余計なことしてくれたわね」

アッサム「あなたは……」

エリカ「リプトンよ」

オレンジペコ「リプトン…………あ、あはは……センスありますねぇ……」

エリカ「愛想笑いしないでよ!もう……あなたたちが午後ティーを巻き込むから……余計な伏兵が現れちゃったじゃないの」

アッサム「……となるとあなたは西住まほさんのことを……?」

エリカ「……ええ、そうよ」

オレンジペコ「でしたら、私と協力しませんか?」

エリカ「え?」

オレンジペコ「私はダージリン様と……その……いい関係になりたいです」

エリカ「わ、私は午後ティ…………いえ、隊長に…………あ、あ、あ……愛して……ほしい……///」カァァァ..

オレンジペコ「目的は一致しています」

エリカ「……そのようね」

オレンジペコ「では……」

エリカ「ええ」

オレンジペコ「愛しい人と結ばれるため…」

エリカ「手を組みましょう」

オレンジペコ・エリカ「」ガシッ!(握手)

ローズヒップ「んんんー?」

オレンジペコ「?」

ローズヒップ「なんか変なこと企んでるっぽいですわー!」

エリカ「へ?」

ローズヒップ「ダージリン様に報告して褒められるチャンスですわー!一等賞ですわー!」オホホホホー!

オレンジペコ「ま、待ってー!!」タタタタ!
エリカ「ま、待てええええ!!!」タタタタ!


デスワー!? ダメデス! ヤメナサイ!

イヤデスワー! ソレデモデス! クウキ ヨミナサイヨ!


アッサム「………………やれやれ」クスッ

アッサム「……これから一体、どうなることやら」クスッ



彼女たちの聖戦は続く?




【おわり】

以上で終わりです
めちゃめちゃ長くなってしまった……そしてキャラ崩し過ぎた
全部読んでくれた人、本当にありがとう


毎回楽しく読んでるぜー

最高だった。キャラ崩壊しているようでも違和感は無いんだよ。

なかなか面白かった
スレタイだけで判断は出来ないもんだな


とても面白かった
ミカがエロ可愛い

乙!


午後ティー色んな意味で反則過ぎ

この程度か、長さしかいい所なかったな

>>40
パルナスに喧嘩を売ったな?関西に来たら覚悟しとけ

>>1の書くやつはどれも面白い


面白かった

毎回楽しみにしてる

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