結衣「公安局刑事科1係に配属されました由比ヶ浜結衣です!」 (5)

俺ガイルとPSYCHO-PASSのクロスです

誰も彼らのことを理解出来ていなかった。
彼らはお互いのことを理解していた。
きっとそれは、彼らが真逆の所に居るからだろう。
太陽があるから、影があるように、影があるから太陽がある。
彼等は、それと同じだったのだろう。
もし彼等の事を、少しでも理解しようとしていたのなら、きっと私達はこんな結末にはならなかったんだろう。
そんな考えを、している私に彼はきっとこう言ってくるのだろう。

「IFの話なんてアテにならない。過去を振り返る暇があるなら未来の事を考える、その方が有意義だ」

だから、私も、こう語ろう。

彼等については、遅かれ早かれこうなってたのだろう。
故に、私達は理解しなければならない。
私達がこうして、日の下を歩けているのは、陰を生きている彼等のような者達がいるからなのだという事を。

公安局刑事課1係 監視官 由比ヶ浜結衣のレポート 一部抜粋

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日本が法治国家なんて、大層な名前で呼ばれ出したのはいつからだろうか。
『ソレ』は、突然、この狭い島国である日本に現れた。
『ソレ』は、この国に住む人類の深層にある感情の心理状態や性格の傾向を数値化する。
『ソレ』の名は『シビュラシステム』
シビュラシステムが出す数値を我々人類は、『PSYCHO-PATH』と呼ぶようになり、人類は『有害なストレス』から解放され『理想的な人生』を送るためにその数値を基標に生きるようになった。

「これでは、まるで機械に管理されてるみたいだな、かつては、人間が機械を管理していたのに今ではその逆だ……」

話を戻そう。
その中でも、犯罪に関しての数値は『犯罪係数』と呼ばれた。
『犯罪係数』として計測された数値は、例え犯罪者でなくとも『規定値』を超えれば、『潜在犯』とされ、今まで仲の良かった友人達は掌をし、自分を指さし嗤われ、恋人や伴侶を失い、生みの親や兄妹からは恥さらしと言われるようになる。
そして、『潜在犯』は裁かれる。
そのような、社会においても発生する犯罪を、抑圧するために、厚生省管轄の警察組織『公安局』刑事はシビュラシステムと有機的に繋がった法の体現、『特殊拳銃』である『ドミネーター』を使い治安維持に務めていた。

「ってところかい?」

そういい、つい先程まで戦闘をしていた目の腐った男を見やる。

「ついに、追い詰めたぞ……葉山隼人」

「追い詰めた……か。それは違うな、比企谷八幡、僕は自ら望んでここにいる」

「……くだらない話に付き合う気はない……公安局、執行官としてお前を殺す……」

そういい、彼、『比企谷八幡』はドミネーターを向けてくる。
それは、僕には効かないと彼が一番知ってるはずだろうに。

「ドミネーターか……だが無意味だ。この世の法で僕を裁くことは出来ない……この世の中は僕という存在を認識しないからな。」

生まれつきそうだった。
シビュラ判定ではいつも規定値を超えなかった。
幼い頃は、それに苦悩なんてしなかったし、親にも褒めてもらえて嬉しかった。
だが、中学のある日、僕は気づいてしまった。
僕は、どこか壊れてしまっていると。
中学のあるとき、僕のいたクラスは学校に迷い込んだ犬を保護し、世話をすることになった。
成犬となった犬ならこうならなかっただろう。
保護することになったのは、その犬が子犬だったからだ。
しかし、その二週間後、その子犬は死んでしまった。
人には感情がある。
当たり前のことだ。
2週間共に過ごしただけの子犬が死んだだけで、僕のいたクラスは涙に包まれた。
しかし、僕はその子犬の死んだ姿を見ても何も感じなかった。

それだけではない。
一度だけ、殺人現場に居合わせたこともあった。
原因は、潜在犯の暴走。
何十人と死んでいく中、僕は嗤ってその姿を見ていた。
それほどまでに、僕は歪んでいたというのにシビュラシステムの判定は規定値を超えるどころか、理想的な数値以上の数値をたたきだしていた。
そして、僕は気づいたのだ。
この世界は、僕という存在を認識していないのだと。
そして、ある時から僕は僕という存在を世間に認知させようと動き始めた。
まぁ、そんなのはどうでもいい。

「お前は、葉山隼人だ」

目の前の男がそういう。
だから、僕も返そう。

「お前は、比企谷八幡だ」

君は、僕とは真逆の存在だ。
比企谷八幡。

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このSSまとめへのコメント

1 :  SS好きの774さん   2016年09月01日 (木) 01:10:43   ID: H8Q-cSah

続き待ってます

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