桃華「桃から生まれた女の子、ですわ」 (17)
アイドルマスターシンデレラガールズのSSです。
短め、書き貯めあります。
↓過去作になります、話の繋がりはありませんので読んでいる必要はありません。
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追記:今回は地の文(ナレーション)あります。
昔々、あるウサミン星に安部菜々さんと佐藤心さんが住んでいました。
心「はぁとって呼べって言ってんだろ☆」
まいにち、菜々さんは川へ洗濯に、はぁとさんは山にしば刈りに行きました。
ある日、菜々さんが川のそばでせっせと洗濯していますと、川上から大きな桃が一つ
「どんぶらこっこ、どんぶらこっこ」と流れてきました。
菜々「あら~!これは見事な桃ですね~!心ちゃんへのお土産に持って帰ってあげましょう!」
菜々さんはそう言いながら、腰をかがめて桃を取ろうとしました。
菜々「よっこいしょっ…と!意外と重いですねぇ………あ”っ」ビキッ
あっ
…痛む腰を押さえながら、なんとか家路についた菜々さん、
道すがら合流したはぁとさんと一緒に、なんとか桃を持ち帰ることが出来ました。
はぁと「ナナ先輩無茶するんだから~☆いい加減年なんだから無理きかないですよ~?」
菜々「菜々はまだピチピチのJKです!…アイタタタ」
はぁと「とりあえずナナ先輩、今日はこの桃食って安静にしときましょ?」
菜々「そ…そうですね…心ちゃん、すみませんが切って貰えますか?」
はぁと「はぁとにお任せ~☆」
はぁとさんは大きな包丁を取り出しました。
はぁと「じゃぁ気合を入れて☆オルルルルルァッ!」
はぁとさんの勢いよく振り下ろした包丁が桃に触れる寸前、桃はぽんと中から二つに割れ、中から可愛らしい女の子が飛び出してきました。
はぁと「えっ、ちょっ!包丁止まんね!」
あわや鮮血の結末かと思われた所、女の子は間一髪!包丁を白刃取りして見せました。
???「こ、こ、こ、殺すおつもりですの…!?」ガクガク
すごく怖かったみたいですね。
菜々「あらまぁ!何て元気の良い子なんでしょう!」
はぁと「はぁと達の所に来たのも何かの縁だし、このままウチの子として育ててあげるわよ☆」
女の子は、桃の中から生まれた子だということで、「桃華」と名付けられました。
桃華ちゃんはすくすくと育ち、見た目では12歳くらいにまであっという間に成長しました。
…はい?こちらを…?はい…桃華ちゃんはあっという間に、具体的には数カ月で成長したそうです。
だから菜々さんは17歳JKのまま、なにも変わりありません…だそうです。
…こほん、成長した桃華ちゃんはウサミン星一番の美人さんで、その上気だてはやさしく、菜々さん達にもよく孝行をしました。
ある時、電車で1時間くらいの所にある都で、鬼が暴れているという噂がウサミン星に流れました。
なんでもアイドルの着替えを覗いたり、隙あらばコスプレをさせようとするらしいです。
桃華「それは国家権力が出ていらっしゃるべき案件では…?」
菜々「なんでも、買収やら何やらを駆使して法の網を巧みにかいくぐっているらしいですよ?」
桃華「まったく…官憲の腐敗は嘆かわしいですわね」
はぁと「その鬼が自分のアジトに大量のお宝を貯め込んでいるらしいって噂もあって、近々大規模な討伐隊が組織されるらしいわね」
桃華「そんな…!そんなことになったら、このあたりも…!」
菜々「戦場になってしまうかもしれませんねぇ…」
はぁと「いつでも逃げられるように、少し荷物をまとめておく?」
桃華「…それには及びませんわ!」
菜々「桃華ちゃん?」
桃華「この桃華!見事鬼を成敗して戦いを未然に防いでみせますわ!」
はぁと「よく言ったぁ!」
そういうとはぁとさんは押し入れから『スウィーティーな一張羅』を取りだし、桃華ちゃんに着せてあげました。
はぁと「こんなこともあろうかと作っておいたのよ!いや~、良い仕事したわ~☆」
菜々「まだ幼い桃華ちゃんに任せるのは気が引けますけど…これは餞別です、ウサミン団子~☆」
つまるところ、きびだんごです。
こうして桃華ちゃんは鬼を倒すために鬼のアジト、通称『課金城』へ向けて旅立ったのでした。
桃華ちゃんは課金城目指して快調に進んでいきます。
途中、草むらから犬・猿・雉が飛び出してきました。
犬(ありす)「こんにちは、お嬢さん、何やら良い匂いがしますが…お腰に何を付けていらっしゃるのですか?」
桃華「あら可愛らしいお客さんですわね、これはウサミン団子、わたくしの家族が持たせてくれたウサミン星一のお団子ですわ!」
猿(梨沙)「良かったら少し分けてくれない?ここしばらく何も食べていないのよ」
桃華「良いですわよ、お一つと言わず、お好きなだけ召し上がって下さいな」
雉(ぼのの)「地獄に仏とはこのことなんですけど…」
桃華ちゃんは動物達にウサミン団子を分け与え、自分が鬼退治のために課金城に向かっていることを伝えました。
ありす「奇遇ですね、私たちもそのつもりだったんです」
桃華「あなた方もそうなのでして?」
梨沙「乃々が秘蔵のポエムノートを取られちゃったらしいのよ、だからそれを取り返しに向かってるってわけ」
乃々「あのノートが衆目に晒されるだなんて耐えられないんですけど…そんなことになったら…鬼をころしてもりくぼもしにます…」
桃華「そうですの…では、よろしければご一緒しませんこと?戦力は多い方が良いですわ!」
ありす「構いませんよ、お団子も貰いましたし、桃華さんにお供します」
梨沙「旅は道連れってね♪さっさと鬼退治済ませちゃいましょ!」
乃々「はやくノートを取り返して帰りたいです…」
3匹のお供を引き連れた桃華ちゃんは、道中を楽しく進むことが出来ました。
しばらく進むと、いよいよ鬼の住処、課金城が見えてきました。
梨沙「…見えてきたわね」
桃華「あれが課金城…!」
ありす「意外と綺麗ですね」
乃々「もっと禍々しいものを想像していたんですけど…」
課金城から溢れ出る禍々しい空気と決戦の気配を感じて、桃華ちゃん達の表情も引き締まります。
課金城に入るとそこには異様な光景が広がっていました。
そこには様々なアイドルの写真を舐めるように見つめては怪しい笑みを浮かべる緑色の鬼の姿がありました。
緑鬼(ちひろ)「うへへ…可愛いアイドルのお宝写真がこんなに一杯…幸せです…」
桃華「なんですの…これ」
ちひろ「はっ?!あ、あなたはまさか桃華ちゃん!?私の討伐に向かっていると聞いていましたが、もう来るだなんて…!」
桃華「どうやらアナタが鬼で間違いは無いようですわね、さあ年貢の納め時ですわ!観念なさいまし!」
ちひろ「ふん!あいにくと人から取りたてるのは好きでも、納めるようなものは何一つ持ち合わせていません!」
互いに激しい火花を散らし、ここに戦いの火蓋が切って…
乃々「あの…盛りあがっている所すみません…」
ちひろ「なんでしょう?」
乃々「もりくぼのポエムノートを返して貰いに来たんですけど…」
ちひろ「ポエム…?私はアイドルの可愛らしい姿には興味ありますけど、ポエムなんか興味無いんですけど…?」
ありす「えっ?」
梨沙「どういうことよ乃々?」
乃々「も、もりくぼにもさっぱり…」
ちひろ「ん~…あっ、もしかしたら…ちょっと待っていて下さい」
そういうと鬼はゴソゴソと周囲を探し始めました。
ちひろ「…あった!ちょっと前に遊びに来ていた蒼鬼が持ってきてやけに絶賛していたものがあったと思いましたが…もしかしてこれですか?」
乃々「そ、そうです…!もりくぼのひみつダイヤリーです…あの、返して欲しいんですけど…」
ちひろ「構いませんよ、もともと私はこういったものにはあまり興味がありませんから」
乃々「あ…ありがとうございます…」
ちひろ「いえいえ♪」
桃華「…」
ありす「…」
梨沙「ちょっと!この空気どうすんのよ!」
乃々「もりくぼに言われましても…」
ありす「はぁ…文…ナレーションさん、一旦『戦いの火蓋が』の辺りから仕切り直しをお願いします」
はぁ…わかりました…
では…互いに激しい火花を散らし、ここに戦いの火蓋が切って落とされたのです。
ちひろ「さぁ!決戦ですよ!私の弱点はありすちゃんに噛まれて、梨沙ちゃんに引っかかれて、乃々ちゃんに突っつかれてから桃華ちゃんに抱きしめられることですよ!」ハァハァ
ありす「…」ピポパ
梨沙「もうやる気が全然出ないんだけど…」
桃華「まずあまり近寄りたくないですわね…」
乃々「あんなのを突っつくとか…むーりぃ…」
鬼の強大なオーラに気押されて、桃華ちゃん達は動くことが出来ません。
ちひろ「さあ!私は逃げも隠れもしませんよ!はやく襲いかかってきて下さい!」
逆に鬼は桃華ちゃん達にジリジリと近づいていきます。
(ポンポン)
ちひろ「…なんですか?今良い所なんですけど」(クルッ)
犬(28)「やっほ♪」
ちひろ「な…なんで警官がここに!?買収は完璧だったはずなのに…!」
犬(28)「いや~、善良な一市民の通報があって駆けつけてみたらたまたまアンタの所だったのよ、偶然って怖いわね~♪」
ちひろ「そ…そんな屁理屈…!」
犬(28)「アタシじゃ弱点付けないみたいだから全力でシメるしかないわね~♪いや~特攻持ってないって辛いわ~♪」
ちひろ「えっ、ちょ、ダメです!腕はそんな方向に曲がらな…ギャーーーー!!!!!」
桃華「なんですの…これは…」
ありす「変質者に絡まれた時は110番、基本です」フンス
梨沙「…ここにもう用は無いし、帰ろっか?」
乃々「ここから出られるならなんでも…」
こうして鬼の『お宝』は処分され、桃華ちゃんはウサミン星で菜々さんやはぁとさん、仲間達と一緒に末長く幸せに暮らしましたとさ。
おわりです、お目汚し失礼しました。
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