朋「まゆちゃんと」まゆ「朋さんと」 (65)

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まゆ「朋さんとユニットを組みました」
まゆ「朋さんとユニットを組みました」 - SSまとめ速報
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朋「……」

朋「……はぁ」

朋「……」

まゆ「……」

まゆ「……あの、朋さん」

朋「ひゃっ!?」

朋「あ、まゆちゃん……何?」

まゆ「いえ、そろそろ収録ですよ」

朋「あ、そっか……ありがとね」

まゆ「いえいえ」

朋「……」

まゆ「……」

まゆ「……何か、考え事ですか?」

まゆ「すごい集中してたみたいですけど」

朋「……うん」

朋「ちょっと、考え事してた」

まゆ「そうですか……」

朋「……」

まゆ「……まゆでは、力になれませんか?」

朋「ん?」

まゆ「相談、のりますよ?」

朋「あー……」

朋「……ううん、大丈夫!」

まゆ「……」

朋「そろそろ収録なんだよね、じゃ行きましょっか!」

まゆ「……はい」

まゆ「……」

まゆ(……やっぱり)

まゆ(ちょっと様子がおかしい気がする)

まゆ(でも……)

朋「どしたの、まゆちゃん?」

まゆ「……いえ、なんでもありません」

まゆ(……)

まゆ(……)

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


朋「えーっと、どうも、藤居朋です!」

まゆ「佐久間まゆです」

朋「この番組は、あたしとまゆちゃんの二人が各地のパワースポットを巡って紹介する!……っていう番組です!」

まゆ「まゆはパワースポットについては知識が少ないので……朋さんに任せる形になりそうですけど……」

朋「ふふっ、任せて!」

朋「……それに、今回の場所はまゆちゃんもたぶん知ってると思うわよ?」

まゆ「そうなんですか?」

朋「えぇ……ほら、後ろを見て?」

まゆ「後ろ……あっ」

朋「清水寺よ」

朋「修学旅行で行ったこととかない?」

まゆ「……そうですね」

まゆ「中学生のとき……ここに来た覚えがあります」

朋「でしょ?」

まゆ「まあ……そのときは人がいっぱいいましたし……団体行動だったので」

まゆ「あまりじっくりとは見れなかったんですけど……」

朋「じゃ、ちょうどいい機会ね」

まゆ「そうですね」

まゆ「朋さんは来たことあるんですか?」

朋「ええ、何回か」

朋「あたしの住んでたところと京都って近いからね」

朋「よく遊びに行ってたわ」

朋「京都ってパワースポットも多いし」

まゆ「へぇ……」

まゆ「じゃあ、京都は庭みたいなものなんですね」

朋「いや、さすがにそこまでは言えないわよ」

まゆ「あら」

朋「……でも、まゆちゃんよりは知ってるだろうし」

朋「今日はあたしが案内してあげるわね」

まゆ「うふ、よろしくお願いしますねぇ」

朋「それじゃ、さっそく行きましょうか」

まゆ「はい」

朋「最初はここね」

まゆ「……お堂、ですか?」

朋「ううん、その隣」

朋「お地蔵様がいるでしょ?」

まゆ「はい」

朋「あれは首振り地蔵って言ってね」

朋「首が360度回るんだって」

まゆ「へぇ……」

朋「……で」

朋「好きな人がいる方向にお地蔵様の顔を向けて祈ると恋が叶うんだって」

まゆ「……」

朋「……」

朋「……せっかくだから、やろっか」

朋「回してみて?」

まゆ「わかりました……」

まゆ「えいっ……あ、本当に回る……!」

朋「いくら楽しいからって、あんまり回しすぎるとお地蔵様がどっち向いてるかわからなくなるからダメよ」

朋「ご利益がなくなっちゃうから」

まゆ「……そんなことしません」

まゆ「まゆだって子供じゃないんですから」

朋「ふふ」

まゆ「……」

朋「……」

まゆ「……この方向、ですね」

朋「そうね」

まゆ「……」

朋「……」

まゆ「……」

朋「……」

まゆ「……ふぅ」

朋「終わった?」

まゆ「はい」

まゆ「朋さんも祈りますか?」

朋「……あたしも一緒に祈ってたから大丈夫」

まゆ「そうですか……」

朋「……」

まゆ「……叶うでしょうか?」

朋「……さあね」

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


まゆ「わぁ……!」

まゆ「……やっぱり清水の舞台からの景色って綺麗ですね」

朋「そうね……」

まゆ「……それに、人も少ないので」

まゆ「落ち着いて見れますねぇ」

朋「あはは……いつもってもっと人多いしね」

まゆ「修学旅行の時なんて……」

朋「あー……すごそう」

まゆ「それはもう」

まゆ「どこを見ても同じ制服の人がいましたから」

まゆ「で、みんなあっちで景色を見ようとするので……」

まゆ「柵の近くによることも難しかったですし……」

朋「そうね……せっかくだからよってみよっか」

まゆ「はい……」

まゆ「……わっ」

まゆ「結構高いですねぇ……」

朋「……高いところ苦手?」

まゆ「いえ、大丈夫ですよ」

まゆ「この床がガラス張りだったら違ったかもしれませんが……」

朋「……もしそうだったらあたしもこんなとこよれないわ」

朋「あまり身を乗り出さないようにね」

朋「落ちちゃうわよ?」

まゆ「……もう、子供扱いしないでください」

朋「うふふ」

まゆ「……」

朋「……」

まゆ「……」

朋「ちなみに、まゆちゃん」

朋「この舞台にもちょっとしたおまじない……というか、言い伝えあるの知ってる?」

まゆ「そうなんですか?」

朋「ええ」

朋「昔、ここから飛び降りて生きて帰れたら願いが叶うって言われてたんだって」

まゆ「えぇ……」

朋「逆に、生きて帰れなかったら成仏できるんだってさ」

朋「昔の話だけどね」

まゆ「……昔の人ってすごいですねぇ」

まゆ「思い切りがすごいというか……」

朋「ねー」

朋「そりゃ、この舞台から飛び降りれる度胸があったらどんな願いもかなえられそうよね」

まゆ「そうですねぇ」

朋「ちなみに、そんなことがあったせいか、ここの下って心霊スポットになってるらしいわよ」

まゆ「ひっ……!」

朋「死んだとしても成仏できるはずなのにね……やっぱり未練があったのかしら」

朋「だからここで写真を撮ったら変な光の玉やらオーブやらが写って……」

まゆ「……うぅ」

朋「今も、ほら……まゆちゃんの足に……」

まゆ「きゃあっ!」ダキッ

朋「……なんちゃって」

まゆ「……」

まゆ「も……もうっ、朋さん!」

朋「ふふっ、相変わらず可愛いリアクションね」

まゆ「好きでしてるわけじゃありません……!」

まゆ「……朋さんが変なこと教えるからちょっと怖くなってきたんですけど」

朋「そうね……あたしの腕も放さないしね」

まゆ「……だって」

朋「……いや、別に迷惑じゃないからいいんだけどね」

朋「ふふ」

まゆ「……むぅ」

朋「さて……じゃ、次行きましょうか」

まゆ「はい」

朋「……」

まゆ「……」

朋「……ごめん、やっぱり歩きづらいわ」

まゆ「そうですよねぇ……」

まゆ「……じゃあ、手……手だけでも」

朋「わかったわ、繋ぎましょう?」

まゆ「はい……ありがとうございます」

朋「いえいえ」

朋「ふふ、お姉ちゃんに任せなさい」

まゆ「……」

まゆ「……元はと言えば、朋さんのせいなんですけどねぇ」

朋「あ、バレた?」

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


朋「次はここね」

まゆ「……神社ですかぁ?」

朋「えぇ、地主神社って言うんだけど……」

朋「でも、パワースポットになってるのは社じゃなくて、この石なの」

まゆ「この石……」

まゆ「向こうにも同じような石がありますね」

まゆ「……一見したら境内を歩くのにすごい邪魔なようにしか見えませんけど」

朋「まあそうよね……ど真ん中に置いてるし」

朋「でも、この一対の石にはすごいご利益があるの」

まゆ「へぇ……どんなのなんですか?」

朋「こっちの石からあっちの石までたどり着ければ恋が叶うって言うもの」

まゆ「……また、恋愛関連ですかぁ」

朋「この辺そういうのが多いみたい」

朋「でもこれは簡単じゃないわよ」

まゆ「聞くだけならすごい余裕そうですけど」

朋「そうよね……こっちからあっちに歩くだけだし」

朋「でも、ただ歩くんじゃなくて、目をつぶって歩かなきゃいけないの」

まゆ「目をつぶって……」

朋「そう目をつぶって、こっちからあっちまで歩けたら恋が叶うの」

朋「自力で歩けたら独力で……他人の助けを借りたら、他人のアドバイスをもらって叶うんだって」

まゆ「なるほど……」

まゆ「……たとえば、他人に手を引っ張ってもらったらとかはどうなんでしょ?」

朋「や、それはダメじゃないかしら」

朋「誰でも成功できちゃうだろうし」

まゆ「まあそうですよねぇ」

まゆ「……ということは、スイカ割りみたいな感じってことですね」

朋「そうね」

朋「……まゆちゃん、スイカ割りは得意?」

まゆ「いえ、したことないので……」

朋「あ、そうなんだ」

まゆ「海に行っても泳ぐか砂浜でボーッとするかですねぇ」

まゆ「朋さんはやったことあるんですか?」

朋「……あたしって、内陸県出身だから、そもそもあまり海行かないのよね」

まゆ「あぁ……そういえば、滋賀って海はありませんでしたね」

朋「湖ならあるけどね」

まゆ「……なら今度一緒に行きませんかぁ?」

朋「海?」

まゆ「はい」

朋「……そうね」

朋「楽しみにしてる」

まゆ「うふふ」

朋「さて……じゃあ、せっかくだし、これもやりましょうか」

まゆ「……どっちからやりましょうか?」

朋「別にどっちでもいいんだけど……じゃ、ジャンケンで決めよっか」

朋「勝った方が先ってことで!」

まゆ「わかりました」

朋「ジャーン」

まゆ「けーん」

朋「ポンッ!」

まゆ「ぽんっ!」

朋「……あたしの勝ちね」

まゆ「あら、負けちゃいました」

まゆ「じゃあ、朋さん、がんばってくださいね」

朋「ふふ、ありがと」

朋「じゃ……こっちの石に触って……目を瞑って」

まゆ「あ、助言はどうしますか?」

朋「んー……いいわ」

まゆ「わかりました」

朋(目を瞑って……)

朋(このまままっすぐ歩けばいいのよね)

朋(……まっすぐ)

朋(……)

朋(……)

朋(……)

朋(……この辺かしら?)

朋(いや……まだ、もう少し先ね)

朋(……)

朋(……)

朋(……)

朋(……もし)

朋(もし、これが成功したら)

朋(あたし――)

まゆ「――朋さん!」グイッ

朋「えっ……きゃっ!?」

朋「ど、どうしたの、まゆちゃん?」

まゆ「いえ……危なかったので」

朋「危ない……?」

まゆ「……下見てください」

朋「下……あ、石……」

まゆ「……朋さん、はじめからずっとまっすぐ進んでて、すごいなって思っていたんですけど」

まゆ「でも、この石に近づいても速度が落ちなくて……」

まゆ「……このままだと、石につまずくかもしれないし……そうじゃなくても、足を強くぶつけるかもしれないし……」

まゆ「……危ないと思ったので、止めちゃいました」

朋「そっか……」

まゆ「すいません……」

朋「ううん、謝ることないわよ……あたしを助けてくれたんだから」

朋「ありがとね、まゆちゃん」

まゆ「いえ……」

朋「……でも、この場合だと成否ってどうなのかしら?」

まゆ「どうなんでしょうか……」

まゆ「まゆが手を出さなければちゃんと石から石まで行けたと思いますけど……」

朋「でも止められちゃったし……」

まゆ「そもそも、たどり着く……っていうのはやっぱり触れないとダメなんでしょうか?」

朋「……そばに行くだけでよかったら、どのくらいの範囲が成功範囲かっていうのも変わってくるわよねぇ」

まゆ「……」

朋「……」

朋「……成功ってことでいい?」

まゆ「いいんじゃないですか……うふ」

まゆ「じゃ、次はまゆがやってみますねぇ」

朋「助言はどうする?」

まゆ「まゆも一人で……あ、でも危ないと思ったら助けてくださいねぇ」

朋「もちろん」

朋「それじゃ、がんばってね」

まゆ「はい……よし」

まゆ「……」

まゆ「……」

朋(……あたしも、まゆちゃんが石にぶつかる前に止められるよう、気をつけなきゃ)

まゆ「……」

まゆ「……」

まゆ「……」

朋(……?)

朋(まゆちゃんの動きが止まった……?)

まゆ「……」

朋(ゆっくり右足を上げて……)

まゆ「……えいっ」

朋(そのまま、ゆっくり右足を前に動かして)

まゆ「……ふぅ」

朋(足を下ろす……)

まゆ「……」

まゆ「……えいっ」

朋(……その後も一歩進むごとに同じことをやってる)

朋(たぶんあたしみたいにならないようにしてるんだろうけど)

まゆ「……」

まゆ「……」

朋(……石までまだわりと遠いのよね)

まゆ「……えいっ――あっ!」

まゆ「あたった……じゃあ」

まゆ「!」

まゆ「やった……!」

まゆ「つきました、朋さん……!」

朋「ふふ、おめでとう」

朋「だいぶ時間はかかったけどね」

まゆ「……まゆが足を振り出したのって、まだ遠かったんですねぇ」

まゆ「まゆの中ではもうちょっとって感じだったんですけど」

朋「いつ変な方向に行くかひやひやしてたわ」

朋「足振ってるから向きもずれそうだし」

まゆ「うふふ……レッスンやっててよかったかもしれません」

まゆ「足を上げたり、止まったり、下ろしたり、そういう動きだって何回かありましたから」

朋「ああ……」

朋「まさか、こんなところで役立つなんてね」

まゆ「本当です、うふ」

まゆ「でもこれで……」

まゆ「これで……」

朋「……」

まゆ「……」

朋「……ん?」

朋「……」

朋「まゆちゃん」

まゆ「はい?」

朋「テレビ的に栄えないかもしれないから、助言ありでもう一回やって、だってさ」

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


朋「じゃ、次はここね」

まゆ「……滝ですか?」

朋「うん……音羽の滝って言うの」

朋「あそこから3つ流れてるでしょ」

まゆ「はい」

朋「あれを飲むとご利益があるんだけどね」

朋「3つそれぞれで内容が違って左から『学問』『恋愛』『長寿』にご利益があるんだってさ」

まゆ「へぇ……」

朋「……でも、欲張って複数飲んだり、同じのを何度も飲んだりしたらご利益がなくなっちゃうんだって」

まゆ「……ひとつだけなんですね、選べるのは」

朋「うん」

朋「……どうする?」

まゆ「まゆは決まってます」

朋「……まあ、たぶん同じよね」

朋「それじゃ、飲んでみましょうか」

まゆ「はい」

まゆ「……!」

まゆ「この水、おいしい……!」

朋「うん……おいしい!」

朋「もっと飲みたいわね」

まゆ「でも、飲んだらご利益が薄れるんですよねぇ」

朋「えぇ」

朋「……でも、ここの水使ってお茶とか淹れたりしてるらしいわよ」

まゆ「……いいんでしょうか?」

朋「まあ、この水ご利益云々抜きにしても名水として有名みたいだから」

朋「いいんじゃない?」

まゆ「……」

朋「どうする、もう一杯飲んでみる?」

まゆ「……」

まゆ「……いえ」

まゆ「まゆは、このままご利益を体に留めておきます」

朋「……そっか」

まゆ「朋さんは?」

朋「あたしもよ」

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


朋「……と、これで一周ね」

朋「どうだった?」

まゆ「修学旅行で来たときより楽しかったです……うふ」

朋「そっか……ふふ、案内してた身として、あたしもうれしいわ」

まゆ「……でも、人がたくさんいても楽しくないってことじゃないですよ」

朋「人がたくさんいたらそれはそれで活気があって楽しいもんね」

まゆ「はい……まゆが少し静かな方が好きなだけですから」

まゆ「いつ来ても楽しいと思いますよ……うふ」

朋「そうね」

朋「けど、今日はたくさんパワースポット回れたわね」

朋「いつも一人でパワースポット巡ったりするけど、こんなに早くいろいろなところ回れることなんてほとんどないし」

まゆ「そうなんですか?」

朋「そうよ……まあ、清水寺って大局で見たら1つしか回ってないことになるのかもしれないけど」

朋「まあなんにせよ、今回のでいろいろなご利益もらえたから」

朋「今後のアイドル生活はもうバッチリね!」

まゆ「そうですね……今のまゆはまゆだけじゃなく、神様の力もついてますから」

まゆ「百人力ならぬ、百神力です……なんて、うふふ」

朋「うわ、すごそう……」

まゆ「今なら空も飛べるかもしれません」

朋「じゃあ、さっきの舞台から飛び降りてみる?」

まゆ「……」

朋「ふふっ、冗談よ」

まゆ「もう……」

朋「それじゃあ、また来週!」フリフリ

まゆ「また来週」フリフリ

朋「……」

まゆ「……」

朋「……」

まゆ「……」

『はい、オーケーです』

朋「ふぅ……」

朋「お疲れ様、まゆちゃん」

まゆ「朋さんも、お疲れ様です」

まゆ「……でも、結構素でしたから……あまり疲れませんでしたねぇ」

朋「あたしも……いいのかしら?」

朋「……いや、別にキャラ作ってるわけじゃないんだけどさ」

まゆ「……気持ちはわかりますよぉ」

まゆ「まるで、普通に遊びに来たみたいでしたからね」

朋「うんうん……特にあたしなんて、パワースポット巡りもよくするし」

朋「なんというか……テレビの撮影というより、密着取材みたいかも」

まゆ「あぁ、なるほど……確かに」

朋「それと……なんか、恋愛関係のパワースポット多かったわよね」

まゆ「そうですねぇ……」

朋「ちゃんとパワースポットを紹介するって言う仕事はやったけど……あたしたち自身が実践して」

まゆ「はい……お地蔵様はプロデューサーさんの方に向けて祈ったり……」

朋「滝の水を、二人で『恋愛』のやつ飲んだりね……」

まゆ「迷わずに行きましたよね」

朋「そうね」

朋「あの水美味しかったなぁ……」

まゆ「そうですね……また飲みたい……」

まゆ「……どのくらい時間たったらご利益が消えないまま2杯目を飲めるんでしょうか?」

朋「どのくらいかしら……もし永遠に消えないって言うならあたしもうアウトだけど……」

まゆ「まゆも……あまり記憶にはないですけど、たぶん飲んでると思いますし……」

朋「……もしかして、二人してご利益を消しちゃった?」

まゆ「あら……残念ですねぇ」

まゆ「……まあ、ご利益があっても……」

朋「……」

まゆ「……」

朋「いや……」

まゆ「?」

朋「……」

朋「……ううん」

朋「そうよね」

朋「いくら、恋愛成就のご利益をたくさんもらったって」

朋「あたしたちには、ね……」

まゆ「……朋さん?」

朋「ううん、なんでもない」

朋「なんでもないの」

まゆ「……」

まゆ「……あの」

まゆ「朋さ――」

モバP「――二人とも、お疲れ様」

まゆ「あ、プロデューサーさん……」

朋「ありがと」

朋「どうだった?」

モバP「ん……よかったよ」

モバP「朋もまゆも楽しめてたようだし」

朋「うん、楽しかったわ」

まゆ「まゆもです」

モバP「それは何よりだ」

モバP「お疲れ――」スッ

モバP「――っと、スキンシップはあまりしないほうがいいんだっけ」

朋「あ……」

朋「……うん、ほら……ね?」

モバP「すまんすまん」

まゆ「……」

モバP「ああ、そうそう」

モバP「二人の曲、ついに完成したのが来たぞ」

朋「本当!?」

モバP「ああ」

まゆ「……すぐ聞けるんですかぁ?」

モバP「ああ」

モバP「……と言いたいが、今はデータを持ってないんだ」

モバP「だから、事務所に帰るまではお預けだな」

朋「えー……」

モバP「いや、仕方ないだろ」

朋「まあそうなんだけどさ……」

まゆ「……じゃあ、早く帰りましょう?」

まゆ「もう撮影も終わったから大丈夫ですよね?」

モバP「そうだな……じゃあ、帰るか」

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


モバP「ほら、これが音源だ」

モバP「今、再生するぞ」

朋「んー」

まゆ「わかりました」

モバP「……」ポチ

『~♪』

朋「……」

まゆ「……」

『~♪』

朋「……」

まゆ「……」

『~♪』

朋「……」

まゆ「……」

『~♪……』

モバP「……これでおしまい」

モバP「どうだ?」

まゆ「……素敵な歌ですね」

モバP「ああ」

モバP「要望通り……いや、それ以上のものが帰ってきた、と俺は思ったな」

まゆ「……」

朋「……これをあたしたちが歌うのね」

モバP「ああ」

モバP「聞いてのとおり、この音源には仮歌も入ってる」

モバP「だけど、これ通りに歌おうとは考えなくていい」

モバP「二人らしく、歌って欲しい」

朋「あたしたちらしく……ねぇ……」

モバP「それから、その歌を初披露する場もすでに決めている」

朋「えっ……本当?」

モバP「本当だ」

まゆ「大丈夫でしょうか……?」

モバP「大丈夫だと、俺は信じてる」

モバP「それに、決めているとはいえ、今すぐってわけじゃないんだ」

モバP「少し時間を空ければ、二人なら完璧なものを仕上げてくれると信じてるよ」

まゆ「……」

朋「……」

モバP「じゃあ、続けるぞ」

モバP「その初披露する場は――」

………………

…………

……

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


朋「さ、まゆちゃん、入って?」

まゆ「うふふ……お邪魔します」

まゆ「……こうして部屋を行き来するのも当たり前になってきましたねぇ」

朋「そうね……ふふ」

朋「ちょっと前には考えられなかったのに、今じゃもう見慣れた光景ね」

まゆ「はい……あ」

まゆ「人形、飾ってくれてるんですね」

朋「二人で協力してがんばってとった人形だもん」

朋「それに、まゆちゃんのプレゼントでもあるからね」

朋「大切にしてるわよ……ふふっ」

まゆ「……ありがとうございます」

朋「いえいえ」

まゆ「まゆも大切にしてますよ……朋さんからもらったぬいぐるみ」

まゆ「いつもぎゅって……」

まゆ「……」

朋「……ぎゅって?」

まゆ「……」

まゆ「……だ、抱きしめてます」

朋「……ふふ」

まゆ「もう……笑わないでください……!」

朋「いえ、可愛いなって、ふふ」

まゆ「むぅ……」

朋「はい、お茶」

まゆ「ありがとうございます」

朋「今日はお菓子とかはないけど」

まゆ「大丈夫ですよ、うふ」

まゆ「突発的によっただけですし……そもそも、パーティするわけでもありませんから」

朋「そうね……でも、何か置いておけばよかったなぁ」

朋「お話しするのに何もないのはちょっと寂しくない?」

まゆ「まあそうですけど……」

まゆ「……あっ」

朋「どしたの?」

まゆ「まゆの部屋にチョコがありますけど……」

まゆ「とってきましょうか?」

朋「……いや、別にいいわよ」

まゆ「そうですか……」

朋「なんでちょっと残念そうなのよ」

まゆ「いえ……」

朋「……」

まゆ「……」

朋「……まゆちゃんが食べたいなら――」

朋「――いや、やっぱあたしも食べたいから、とってきてくれる?」

まゆ「!」

まゆ「わかりました、とってきますね」

朋「お願い」

朋「……」

朋「……ふふっ」

まゆ「戻りました」

朋「お帰り」

朋「……それが、そのチョコ?」

まゆ「はい」

まゆ「……別の仕事でちょっと遠出したとき、近くのお店で見つけたんです」

朋「へぇ……」

朋「じゃ、食べてみましょ?」

まゆ「はい」

まゆ「それじゃあ、いただきます」

朋「いただきます」

まゆ「あむっ」

朋「はむっ」

まゆ「……!」

朋「すごっ……これ、すごい美味しい……!」

まゆ「はい……とても甘くて……幸せ……って感じです……!」

朋「ね!」

朋「すごい、これどこで買ってきたの?」

まゆ「えっと、確か――」

朋「……ごちそうさま」

まゆ「ごちそうさまでした」

まゆ「……すぐ無くなっちゃいましたねぇ」

朋「話してる途中にでも食べるつもりだったのにね」

まゆ「はい……これが美味しすぎて」

朋「うん……」

朋「……今度あたしもそっちの方に行ってみたら買ってこよ」

朋「そしたらまた一緒に食べましょ?」

まゆ「……いいんですか?」

朋「もちろん」

朋「こんな美味しいの独り占めできないわよ」

まゆ「うふふ……ありがとうございます」

まゆ「……実は、まゆも一緒に食べたくてこれ買ってきたんです」

朋「そうなの?」

まゆ「はい」

まゆ「……一緒に食べれてよかったです、うふ」

朋「ふふ、ありがと」

朋「なおさら、独り占めできなくなっちゃった」

朋「……ねぇ、まゆちゃん」

まゆ「はい?」

朋「あたしたちの歌さ」

まゆ「はい」

朋「……素敵な歌だったわね」

まゆ「……そうですね」

まゆ「プロデューサーさんが言っていたように、切なさが前面に出てました」

朋「そうね」

朋「歌詞も……そんな感じだったわね」

まゆ「……そうですね」

まゆ「……」

朋「……あたし、上手く歌えるかしら」

まゆ「……大丈夫ですよ」

まゆ「朋さん、歌上手ですから」

朋「そうかもしれないけど……でも」

朋「あの歌詞に、合うように歌えるかしら」

朋「技術としての歌じゃなくて……」

まゆ「……」

まゆ「……それこそ大丈夫だと思います」

まゆ「だって、あの歌って……」

まゆ「……」

まゆ「……まるで、今のまゆたちを歌ったかのような歌ですから」

朋「……」

まゆ「まゆが自分で言うのもなんですけどね……」

朋「……」

朋「……ううん」

朋「あたしだって、そう思ってた」

朋「……」

まゆ「……」

朋「……はぁ」

朋「……すごいプロデューサーよね」

朋「こんなに、あたしたちにピッタリの歌をもってくるんだから」

まゆ「……そうですね」

朋「……」

まゆ「……」

まゆ「……きっと、思いを歌にこめれば」

まゆ「歌えると思います」

朋「……そっか」

まゆ「はい……まゆはそう思います」

朋「……」

まゆ「……」

まゆ「……あの、朋さん」

朋「ん?」

まゆ「……最近」

まゆ「朋さん……最近」

まゆ「……」

まゆ「……上手くいえないですけど」

まゆ「何か、考え事してますか?」

朋「……」

まゆ「この前の遊園地の時も……清水寺でも」

まゆ「たまに、深く考え込むようで」

朋「……」

まゆ「……前も聞きましたけど」

まゆ「まゆでは、力になれませんか?」

朋「……」

まゆ「……」

朋「……大丈夫よ」

朋「これはあたしの問題だから」

まゆ「でも相談くらい――」

朋「――本当に、大丈夫」

朋「あたしが、決着つけないといけないの、これは」

まゆ「……」

朋「……それより、ごめんね」

まゆ「……えっ?」

朋「あたし、まゆちゃんにいっぱい心配かけてるみたい」

朋「お姉ちゃんなのにね」

まゆ「いえ……」

朋「……大丈夫」

朋「なんとかするから」

まゆ「……」

まゆ「……まゆと、朋さんはユニットの仲間です」

朋「うん」

まゆ「だから……」

まゆ「いつだって、まゆを頼っていいんですからねぇ」

朋「……」

朋「……ありがとね、まゆちゃん」

まゆ「……」

朋「……」

まゆ「……」

朋「……あ、そういえばね」

朋「この前の話なんだけど――」

まゆ「……」

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


朋「……ついに来ちゃったわね」

朋「ライブ本番」

まゆ「はい……」

まゆ「なんていうか……あっという間でした」

朋「ね……」

朋「……でも、歌もダンスもちゃんと覚えてきたし」

朋「いけるわよね?」

まゆ「はい……きっと」

まゆ「……ううん、絶対」

朋「うん……!」

朋「今日の運勢もよかったし!」

まゆ「あ……そうなんですか?」

朋「うん、あたしのかに座も、まゆちゃんの乙女座も」

朋「星座占いの1位と2位だったわ!」

まゆ「へぇ……それはすごいですね」

朋「ねっ!」

朋「……そういやさ、この衣装」

朋「左手の薬指に赤いリボンついてるのね」

まゆ「そうですね」

朋「……ねぇ、ちょっと薬指出して?」

まゆ「?」

朋「よいしょ……ん、んぅ……?」

朋「……あぁ、もう……薬指って動かしづらいわね……」

まゆ「……何してるんですか?」

朋「えっと……指きりげんまんしようかと思って」

まゆ「指きりげんまん……?」

まゆ「それなら小指じゃないですか……?」

朋「そうなんだけどさ……できた!」

朋「ほら、こうして薬指と薬指の赤いリボン――赤い糸を結んで……なんだかおまじないみたいじゃない?」

まゆ「!」

朋「……って、それだけなんだけどね」

まゆ「……うふ」

まゆ「いいですね、これ……まゆたちの赤い糸が可視化してるみたいで」

まゆ「……ちょっと指は動かしづらいですけど」

朋「まあそこはご愛嬌ってことで……」

まゆ「ちなみに、これはどんなおまじないなんですか?」

朋「……どんなのだろ?」

まゆ「……」

朋「いや、だって、思いついて、やりたくなって……あ、でも」

朋「こんなのはどう?」

朋「『二人、ずっと一緒だよ』……みたいな」

まゆ「……」

朋「……ダメかしら?」

まゆ「いえ、素敵だと思います」

まゆ「運命でまゆと朋さんは結ばれてますから……うふ」

朋「……よかった」

朋「それじゃ、まゆちゃん」

朋「一緒にがんばろうねっ!」

まゆ「はいっ!」

まゆ「……いよいよですね」

朋「うん……」

朋「……毎回、このステージ袖に立つとすごい緊張するのよね」

まゆ「ここで緊張しない人なんているんでしょうか……?」

朋「いないと思うわ」

まゆ「……」

朋「……」

まゆ「……朋さん」

まゆ「出るまでの間だけ、手を繋いでもいいですか?」

朋「……もちろん」

朋「なんだったら、また指きりげんまんする?」

まゆ「いえ……それだとパッて離せなそうですから……」

朋「あはは、確かにそうね」

朋「それじゃ、手を」

まゆ「はい……」

まゆ「……」ギュッ

朋「……」ギュッ

まゆ「……」

朋「……」

まゆ「……」パッ

朋「……行きましょう」パッ

まゆ「はい……!」

朋「みんな、こんにちはっ!」

朋「藤居朋です!」

まゆ「佐久間まゆです!」

朋「あたしたち、ユニットを組んだの」

まゆ「レッドオブフェイトって言うんです」

朋「覚えて帰ってくれるとうれしいわ」

まゆ「そして、今日……まゆたちのユニットの曲を、ここで歌います」

朋「ふふっ、あたしたちの新曲を世界中の誰より先に聞けるなんてラッキーね!」

まゆ「……まゆたち、一生懸命歌いますから」

まゆ「しっかりと聞いてくださいねぇ」

朋「すぅ……」

まゆ「すぅ……」

朋「あいくるしい」

まゆ「あいくるしい」

まゆ「草かきわけ――♪」

朋「だけど、あの日――♪」

朋(……そう)

朋(あの日)

まゆ(プロデューサーさんと出会った日)

朋(神社で初めて会った日)

まゆ(撮影の帰りに初めて会った日)

朋(あの日から全部変わった)

まゆ(まゆの生活が、何もかも)

まゆ(読者モデルをやめて、アイドルになった)

朋(専門学校をやめて、アイドルになった)

朋(プロデューサーと一緒に、アイドルをがんばった)

まゆ(苦しいこともあったし、悲しいことだってあった)

朋(だけど、そのたび、プロデューサーと一緒に乗り越えてきた)

まゆ(……こんな幸せな日々がいつまでも続くんだって)

朋(そう思って、ずっと背中を見つめて来た)

朋(……思えば、あたしは、プロデューサーの隣に一回も立ててなかったんだと思う)

まゆ(ただ、後ろを見つめていたずっと……ずぅっと)

朋(その隣には……)

まゆ(ちひろさんがいたから……)

朋(……いろいろな夢を見た)

まゆ(あったかい夢を、眠りながら、何回も見た)

朋(プロデューサーと恋仲になる夢を)

まゆ(プロデューサーさんと恋仲になる夢を)

朋(……それを現実にしたかった)

まゆ(そのために、いろんなことをした)

朋(……でも、わかってた)

まゆ(わかってるつもりだった)

朋(プロデューサーさんは、あたしたちのことを見ていないって)

まゆ(そばにいたから……だからこそ、わかってた)

朋(……あたしたちのこの夢は特別な夢だったのかしら)

まゆ(ううん、そんなことはない……だって、女の子なら誰だって望む、当たり前の幸せ……)

まゆ(だけど、もう叶うことのない夢)

まゆ(だから……まゆは)

まゆ(まゆはただ、今までどおりに……いつもどおりに……)

まゆ(何も変わらない……いつもどおりの、幸せを――)

朋(……)

朋(……)

朋(……違う)

朋(叶うことないはずがない)

朋(だって、だってまだ!)

朋(まだ、あたしは――!)

まゆ「~♪……」

朋「~♪……」

まゆ「……」

朋「……」

『ワアアアアアアァァァァァァァッ!!!!!』

まゆ「わぁ……すごい歓声……」

朋「ふふ、みんな、ありがとねっ!」

まゆ「ありがとうございました……これからもよろしくお願いしますっ!」

朋「よろしくっ!」

朋「じゃーねーっ!」フリフリ

まゆ「うふふ」フリフリ

朋「……それじゃ、戻りましょ、まゆちゃん」ボソ

まゆ「はい」ボソ

モバP「お疲れ様、二人とも」

朋「あ、プロデューサー……」

まゆ「……どうでした?」

モバP「感動したよ」

朋「……もう、大げさよ」

モバP「大げさなんかじゃないさ」

モバP「本当にいいステージだった……二人の歌に魂がこもっていたんだ」

まゆ「……」

朋「……」

モバP「まゆの歌声は、切なく……儚く……」

モバP「朋の歌声は、切なく……だが、力強い……」

モバP「その二つの歌声が交じり合って……最高の歌が生まれた」

モバP「二人にこの歌を届けてよかった」

モバP「二人をユニットとして組ませてよかった」

モバP「二人を信じてよかった」

モバP「やっぱり、二人は最高のアイドルだ」

朋「――!」

モバP「そう思ったステージだったよ」

朋「そう……」

まゆ「……朋さん?」

朋「……そうね」

朋「あたし、本当に、思いをすべてこめて歌ってたの」

朋「あたしの中の思いを、あたしを見透かしてるような、この歌に全部、全部こめて、吐き出した」

朋「……でも」

朋「でも、ひとつだけ、心に残った思いがあるの、プロデューサー」

モバP「……?」

朋「プロデューサー」

朋「あたし、あんたが好き」

まゆ「!」

モバP「……ああ」

モバP「俺も――」

朋「――違うわ」

朋「あたしは、そんな言葉が欲しいんじゃない」

朋「あたしは、あんたを、恋愛的に好きなの」

モバP「!」

朋「ずっと、ずっと好きだった……」

朋「本当に……ずっと、ずっと……」

モバP「……」

朋「ねぇ……お願い」

朋「あたしと付き合って……!」

モバP「……いや」

モバP「朋も知ってる通り俺はちひろさんと――」

朋「――もちろん、知ってるわよ!」

朋「だから、ちひろさんと別れて……あたしと付き合って!」

モバP「!?」

朋「婚約してるのだって、知ってる……知ってるわよ、あたしが焚きつけたようなもんだもん」

朋「それでも、我慢できない……我慢できなかった……っ!」

朋「あたし、本当に、あんたが大好きなの……世界で、誰よりも愛してるつもり!」

朋「……誰かと付き合ってるとか、婚約してるとか、そういうのはいいから」

朋「あんた個人として、答えて」

朋「あたしと付き合えるか……あたしと、ちひろさんと、どっちが好きか……」

朋「……」

朋「お願い、あたしと付き合って」

モバP「……」

モバP「……」

モバP「それはできない」

朋「!」

モバP「俺は、ちひろさんが好き――いや、愛してるんだ」

モバP「だから、それ以外の誰かを好きになることなんてできない」

モバP「ごめん」

朋「……そっか」

朋「……ごめんっ……!」ダッ

まゆ「……っ」

まゆ「朋さんっ!」ダッ

朋「……!」

まゆ「朋さんっ、待って……!」

朋「……!」

まゆ「朋さんっ!」

朋「……!」

まゆ(どんどん人気のない方に走ってく……)

まゆ(朋さんは、いったいどこに行くつもりなんでしょう……?)

朋「……!」

まゆ「……っ!」

まゆ(……ううん)

まゆ(とにかく、今は追いかけなきゃ)

まゆ(このまま朋さんを一人になんてできない……!)



………………

…………

……

朋「……」ピタッ

まゆ「はぁ……はぁ……」

まゆ(……止まった)

まゆ(人一人いない……ここはどこでしょう)

まゆ(ううん、まずは――)

まゆ「――朋さん」

朋「……」

朋「あたし、ずっと」

朋「プロデューサーのこと好きだったの」

まゆ「……はい」

朋「好きで、大好きで、大好きで……」

朋「……その思いは、プロデューサーがちひろさんと結ばれたって知っても変わらなかった」

朋「ずっと、好きで、大好きだった」

まゆ「……」

朋「……だから、ちょっと思ったの」

朋「もし、あたしが告白したら」

朋「もし、あたしがプロポーズしたら」

朋「受けてくれるかもしれないって」

まゆ「……」

朋「もしかしたら、プロデューサーはあたしの好意に気づいていないかもしれない」

朋「気づいていないなら、まだあたしにも可能性はあるんじゃないかなって」

朋「……ちひろさんは、本当に素敵な人だけど……でも、あたしだって負けてるつもりはなかった」

朋「勝てるかもしれないって、ほんの少しだけ思った」

朋「思ってから、ずっと、その思いが胸を渦巻いてた」

朋「大きくなってった、制御できないほどに」

朋「幸せがすぐそばにあるのに、どうして言わないのかって、ずっとあたしに囁いてた」

朋「ずっと、ずっと……本当に、ずっと」

朋「……で、爆発しちゃった」

朋「……本当は今言うつもりじゃなかったの……でも、爆発しちゃった」

朋「……あたし、みっともないわよね」

朋「あんな告白……それに、婚約者だっていたのに」

朋「あたしのことだけを考えた、自分勝手で、惨めな告白……」

朋「……でもね」

朋「『最高の友達だと、貴方が笑うから笑う』……っていうけどさ」

朋「『最高のアイドルだ』……って笑ってくれたけどさ」

朋「あたしは笑えない……っ!」

朋「そんなこと言われて、我慢できなかった……!」

朋「我慢できなかったの……っ!」

朋「『最高のアイドル』じゃない、『最愛の人』になりたかった……っ!」

まゆ「……朋さん」

朋「今日、運勢もよかった」

朋「この前、恋愛のご利益だってたくさんもらった」

朋「だから、いけるかもしれないって、ちょっと思ってた……思っちゃってた……!」

朋「あたし……っ、あたし、こんな、こんな……っ!」

まゆ「朋さん!」

朋「あたしっ……もう……っく」

朋「ごめっ、ごめん……まゆちゃんっ……!」

朋「あたしこんな、こんなので……っ」

まゆ「朋さんっ!」ギュッ

朋「……っ!?」

朋(あたし……抱きしめられて……!?)

まゆ「……まゆの方が背が小さいですし」

まゆ「年齢だって下です」

まゆ「でも……そんなまゆだって受け止めることはできます」

まゆ「……だから」

まゆ「無理、しないでください」

朋「……っ」

朋「う……」

朋「ず……ずるいっ、そんな、そんなこと言われたら……あたし」

朋「あたし……っ!」

まゆ「……我慢しないでください」

まゆ「まゆが、受け止めてあげますから」

朋「――っ!」

朋「うわぁぁんっ!」

朋「あたし、好きだった……ひっく、本当に、ずずっ……本当に……っ!」

朋「ぐずっ……大好きだった、大好きだったの……っ!」

まゆ「うん……」

朋「結ばれたかった……っ、恋人になりたかった……ひっく」

まゆ「うん……」

朋「……あっ……ずずっ……まゆちゃん……衣装……」

朋「あたしっ、あたし、泣いて……ひっく……涙、ついちゃう……っ!」

まゆ「そのくらい大丈夫ですよ」

まゆ「いざとなったら衣装買い取っちゃいますし……だから」

まゆ「朋さんは、全部吐き出して……?」

朋「――っ!」

朋「うわぁんっ……!」

朋「うわあぁぁぁんっ……!」

まゆ「……よしよし」



………………

…………

……

朋「……ひっく」

朋「っく……も、もう落ち着いた……ひっく」

まゆ「まだ落ち着いてなさそうですねぇ」

朋「いやっ……ぐずっ、本当に、大丈夫だから……っ!」

まゆ「まゆからはそう見えませんねぇ」

まゆ「だからもう少しこのまま……よしよし」

朋「っく……どうして……?」

まゆ「ん?」

朋「どうして、そんなに……ひっく……やさしいの……?」

まゆ「……朋さんはユニットの仲間で……大切な友達で」

まゆ「まゆの運命の人です」

朋「……うん」

まゆ「だから、朋さんが困ってたり悲しんでたりしたらまゆが助けてあげるのは当たり前です」

まゆ「今まで、まゆが朋さんに助けられてきたように」

朋「……ひっく」

まゆ「むしろ……どうして相談して……頼ってくれなかったんですかぁ?」

まゆ「まゆ、あんなに言ったのに……」

朋「……っく」

朋「だって……だって、あたし……お姉ちゃんだもん」

まゆ「……」

朋「あたしのほうが……っく、まゆちゃんより年上で……」

朋「だから、あたしが……ずずっ……まゆちゃんをリード……ひっく、しなきゃって」

朋「……だからっ、あたし、まゆちゃんに……っく」

朋「相談とか……心配させたりとか……っ、そんな……!」

まゆ「……」

まゆ「……プリクラ撮ったの覚えてますか?」

朋「え……う、うん」

まゆ「あのプリクラ、まゆ大切にしてます……今でも何回か見返したりするんですけど」

まゆ「そのたびに思うんですよね」

まゆ「まゆがお姉ちゃんみたいだ……って」

朋「……っく」

まゆ「だから――」

まゆ「――お姉ちゃんに甘えて、朋ちゃん?」

朋「!」

まゆ「今まで、たくさんまゆをリードしてきてくれて、ありがとうございます」

まゆ「頑張ったね、朋ちゃん……」

朋「……」

まゆ「でも、だからって朋ちゃん自身のことを適当にしていいわけないです」

まゆ「……だから、朋ちゃん」

まゆ「今までまゆが朋ちゃんに甘えてたぶんだけ」

まゆ「……今は、朋ちゃんがまゆに甘えて?」

朋「う……うぅぅぅっ!」

朋「ずるい……まゆちゃん、ずるいぃっ!」

朋「そんなこと言われたらっ……また……ぐずっ……また、涙が……っ!」

まゆ「いいですよ」

まゆ「まゆの胸を貸してあげますから」

朋「――っ!」



………………

…………

……

朋「……」

朋「……今度こそ落ち着いたわ」

まゆ「……そうですかぁ?」

朋「本当よ……ほら、涙も出てないでしょ?」

まゆ「……そうですね」

まゆ「じゃあ、離れますね」パッ

朋「あっ……」

朋「……」

まゆ「……」

まゆ「……手、繋ぎましょうか?」

朋「……うん」

まゆ「うふふ」

まゆ「朋さんって、甘えん坊なんですね」

朋「あーっ!」

朋「恥ずかしいっ……忘れて!」

まゆ「無理です、今繋いでますし」

まゆ「うふふ……あんなに可愛らしい朋さん……初めて見たかも」

朋「……うー」

朋「あー、もうっ!」

まゆ「うふ、いつもの仕返しです」

まゆ「ほら、見て……ここのしみ、全部朋さんの――」

朋「――やーめーてーっ!」

朋「……でも、本当にありがとね」

朋「スッキリした……全部、吐き出せて……」

まゆ「……よかった」

まゆ「今度からはちゃんと相談してくださいねぇ」

朋「うん……」

朋「……あたし、独りよがりになっちゃってたのかも」

朋「まゆちゃんをリードしなきゃって……」

まゆ「……まあ、そのリードでまゆが助かったのも事実ですから何も言えませんけど」

まゆ「ゲームセンターでも、お化け屋敷でも、パワースポットでも……それ以外でも、朋さんがリードしてくれてました」

まゆ「最初の出会いのときから……」

朋「……だって、あたしのほうがお姉ちゃんだし」

朋「それに、まゆちゃんもあたしと同じか……きっとそれ以上に悲しがってたと思ったから」

朋「なんとかしてそれを拭わなきゃって思ったの」

まゆ「自分のことをおざなりに……ですね」

朋「う……」

まゆ「何度も言いますけど……どうして相談してくれなかったんですかぁ?」

まゆ「まゆ、ちょっと傷ついてます」

まゆ「まゆと朋さんは、相談しあえる仲でもなかったのか……って」

朋「……ごめん」

朋「ほら、あたしお姉ちゃんだし……まゆちゃんを心配させたくなかったし」

朋「……それに」

朋「……」

まゆ「……それに?」

朋「……年下に相談なんて、なんか恥ずかしかったし……」

まゆ「……うふふ」

まゆ「大丈夫ですよ朋さん――いえ、朋ちゃん」

朋「!」

まゆ「見た目はまゆの方がお姉ちゃんに見えるみたいですから……ふふ」

まゆ「年下じゃなくて、お姉ちゃんに甘えるなら大丈夫じゃないですかぁ?」

朋「も、もうっ、それ、だめ、それ禁止っ!」

まゆ「……でも、本当に」

まゆ「今度からはちゃんと相談してくださいねぇ」

朋「……うん」

まゆ「いつだってまゆはまゆお姉ちゃんになりますから」

朋「……」

まゆ「朋ちゃん?」

朋「……あたし、見せちゃいけない弱み見せた気がする」

まゆ「あら、弱みなんかじゃないですよ」

まゆ「可愛い一面です」

朋「それを弱みって言うの!」

朋「……でも、本当にごめんね……それと」

朋「ありがとね、まゆちゃん……!」

朋「あたし、まゆちゃん大好きっ!」

まゆ「……」

まゆ「まゆも……朋さんが大好きですよ」

朋「ふふっ」

まゆ「うふふ」

まゆ「……朋さんが運命の人でよかった」

朋「あたしも……まゆちゃんが運命の人でよかった」

朋「……でもさ」

朋「この、運命って結局なんなんだろうね?」

まゆ「さあ……?」

朋「……ま、いっか!」

朋「何にせよ、まゆちゃんと出会えたんだし!」

朋「運命には感謝ね!」

まゆ「うふふ、そうですね……!」

まゆ「……さて、そろそろ戻りましょうか」

まゆ「このあと出番がないとはいえ……プロデューサーさん、心配してると思います」

朋「あ、そうね……逃げちゃったし……」

朋「……どのくらい時間経ったのかしら?」

まゆ「さあ……ここ時計無いですし」

まゆ「……というか、ここどこですか?」

朋「……」

朋「どこだろう……?」

朋「無我夢中で人のいなそうなところに走ってたから……」

まゆ「……」

朋「……ごめん」

まゆ「いえ……」

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


朋「あっ、プロデューサー!」

モバP「ん……あ、朋、まゆ……」

まゆ「よ、よかったぁ……戻ってこれましたぁ……」

朋「まゆちゃんの記憶力のおかげね」

まゆ「まゆが忘れてたところは朋さんの勘のおかげで進めました」

朋「ふふっ、二人の力ね」

モバP「どこ行ってたんだ、二人とも……」

朋「いや、ちょっと無我夢中に人のいないところに走ってたら……あはは」

朋「……っと、そうだ、プロデューサー!」

朋「さっきはごめん!」

朋「急に逃げちゃって!」

モバP「……いや、大丈夫だ」

モバP「朋の気持ちもわかる……つもりだ」

モバP「こっちこそ……ごめ――」

朋「――ううん、謝らないで!」

朋「……あたしの告白に、真剣に答えてくれてうれしかった」

朋「真摯に答えてくれてありがとう」

朋「おかげで、あたし吹っ切れたわ」

モバP「……俺にそれを言うのか」

朋「あんたに言わないで誰に言うのよ」

朋「……ともかく、あたしもう吹っ切れたから!」

朋「だから、これからも、いつもどおりに、よろしくね!」

モバP「……」

モバP「……わかった」

朋「ん、ありがと!」

朋「じゃ、着替えに行きましょ、まゆちゃん!」

まゆ「はい……それでは、プロデューサーさん、また後で」

朋「また後で!」

モバP「ああ」

まゆ「……朋さん」

朋「……何よ」

まゆ「ちょっと繋いでる手が痛くなってきたんですけど」

朋「え……あ、ごめん」

まゆ「……」

まゆ「……また胸を貸しましょうか、朋ちゃん?」

朋「大丈夫よ!」

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


まゆ「ただいま」

朋「お邪魔します」

まゆ「……結局、まゆの部屋まで手を繋いでましたね」

朋「……いいじゃない」

まゆ「いいですけど」

まゆ「うふふ」

朋「……何よ」

まゆ「いいえ、何もないですよ」

まゆ「朋ちゃん」

朋「……っ!」

まゆ「うふふ……いじるのってこういう感覚なんですねぇ」

まゆ「癖になっちゃいそう……」

朋「……」

朋「あっ、後ろ!」

まゆ「……だまされませんよぉ?」

朋「いや、本当に、後ろ!」

まゆ「……」

まゆ「……」チラッ

朋「ばぁ!」

まゆ「ひゃあぁっ!?」

朋「あははっ!」

まゆ「もうっ……!」

朋「あたしもいつぞやの仕返しよ、仕返し!」

まゆ「どうぞ、紅茶です」

朋「ありがと」

まゆ「……手を繋いでなくても大丈夫ですかぁ?」

朋「……大丈夫」

まゆ「……じゃあ、寄り添ってたりとか」

朋「あたしだってそこまでじゃないわよ!」

朋「……それとも、まゆちゃんが寄りたいの?」

まゆ「……」

朋「……」

まゆ「……うふ、紅茶美味しいですねぇ」

朋(ごまかした……)

まゆ「あ……そうだ」

まゆ「今日のライブお疲れ様でした」

朋「あ、うん、お疲れ様」

まゆ「すごく楽しかったです」

朋「うん、あたしも……」

朋「……ちょっと、自分の世界に入りすぎちゃってたかな、とは思ったけど」

まゆ「……まゆもそんな感じでしたよ」

朋「そうなの?」

まゆ「はい……もう無我夢中でした」

まゆ「でも、楽しかったです」

朋「……うん」

朋「今、もう一回やったらまた変わるんだろうけど」

まゆ「朋さんはそうでしょうね」

まゆ「きっと……もっと楽しくなると思います」

朋「……うん、そうかも」

朋「ふふ……そう考えると次のお仕事が楽しみね」

まゆ「……あの、朋さん」

朋「ん?」

まゆ「……まゆも、もっと楽しくなりたいので」

まゆ「ちょっとだけ、付き合ってもらえますかぁ?」

朋「……?」

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


まゆ「プロデューサーさん……わざわざすいません、呼び出して」

モバP「いや、大丈夫だ……それで何のようだ?」

まゆ「はい……えっと……」

まゆ「……」

まゆ「すぅ……」

まゆ「……プロデューサーさん」

まゆ「まゆ、プロデューサーさんのことが好きです」

モバP「……」

モバP「それは……恋愛的な意味で……ってことか?」

まゆ「はい」

モバP「……」

まゆ「別に、朋さんにあてられたわけではありません」

まゆ「まゆも、昔から……プロデューサーさんに出会ったときから、好きでした」

まゆ「その思いを、今日まで溜めて、溜めて、溜め込んできました」

まゆ「誰よりも多く、深く……」

モバP「……」

まゆ「……プロデューサーさん」

まゆ「まゆのこのいっぱいの好きを、どうか受け止めてください、どうか抱きしめてください」

まゆ「……」

まゆ「……まゆと、付き合ってください」

モバP「……」

モバP「悪い……俺はちひろさん以外を愛することはできない」

モバP「すまん」

まゆ「……いえ」

まゆ「……」

まゆ「……」

まゆ「……ありがとうございました、プロデューサーさん」

まゆ「まゆの告白を聞いてくれて」

まゆ「……ちひろさんと末永くお幸せに」

まゆ「それと……今後とも、いつもどおりに、お願いしますね」

モバP「……ああ」

モバP「……」

モバP「悪い」

まゆ「いえ」

まゆ「まゆはもう少しここに残るので」

モバP「……わかった」

モバP「じゃあ、先行くな」

まゆ「はい」

まゆ「……」

まゆ「……」

まゆ「もう出てきても大丈夫ですよ、朋さん」

朋「……ねぇ」

朋「あたし、本当に聞いててよかったの?」

まゆ「もちろんです」

まゆ「まゆだって、朋さんの告白を聞いてしまいましたから」

朋「いや、あれはほとんど不可抗力じゃない?」

朋「別に無理して聞かせなくたって……いや、もう聞いちゃったんだけどさ」

まゆ「いえ、聞いて欲しかった――」

まゆ「――ううん、すぐそばにいて欲しかったんです」

まゆ「だって……」

朋「……あぁ」

朋「ごめん、まゆちゃん、気づくの遅くて」

朋「……あたしの胸を貸してあげるから」

朋「我慢しないで?」

まゆ「はい……っ!」

朋「ふふ……よしよし」ダキッ

まゆ「ぐすっ……!」

まゆ「まゆ……まゆ、ずっと……っ!」

まゆ「結ばれたかった……結ばれるって信じてたのに……っ!」

朋「うんうん……」

まゆ「うわぁぁん……っ!」



………………

…………

……

朋「……落ち着いた?」

まゆ「……はい」

朋「そっか……じゃ、離れる?」

まゆ「いえ……もう少し、このままで……」

朋「……ん」

まゆ「……」

朋「……ふふっ」

朋「昔は抱きしめられなかったのに、今はこんなに簡単に……」

まゆ「……簡単なんですかぁ?」

朋「簡単よ」

朋「目の前で泣いてるまゆちゃんにハンカチを渡すだけなんて、そっちの方が難しいわ」

まゆ「うふ……まゆもそうです」

朋「あたしたち、こんなに仲良くなれたのね」

まゆ「そうですね……」

まゆ「……」

朋「……」

まゆ「……これで」

朋「ん?」

まゆ「これで……まゆたちのしがらみは全部外れましたね」

朋「……まゆちゃんも吹っ切れた?」

まゆ「……朋さんと同じで、すぐに吹っ切れるってことはないと思います」

朋「なんでバレてんのよ……」

まゆ「うふふ……最近ずっと朋さんと一緒にいましたから」

朋「……」

まゆ「でも……もう、それに囚われるってことはないと思います」

朋「……そうね」

朋「きっといつか……ううん、近いうちに完全に吹っ切れるわ」

まゆ「まゆもです」

まゆ「……だって」

朋「まゆちゃんがいるから」

まゆ「朋さんがいるから」

朋「……ふふ」

まゆ「うふふ」

朋「これからもよろしくね、まゆちゃん」

まゆ「こちらこそ……運命の人として……末永く……うふふっ」

朋「そうね……ずっと一緒に頑張ろうね……ふふっ」







おしまい

とりあえず完結です
基本一気に書き上げてたので、いろいろと変な点などあるかもしれません、すいません

ままゆとふじともが相互に姉妹のような関係を築けていたらいいなという思いを詰め込みました

初めは一発ネタのつもりで書いたシリーズだったので、一番最初のと今のだとテイストが大きく異なってしまいました

今後も何かネタを思いついたらこの二人で何か書くつもりです。おそらく短編という形で


誤字脱字、コレジャナイ感などはすいません。読んでくださった方ありがとうございました

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