藤居朋「3周年の陰で」 (31)
ガチャッ
笑美「うーさぶさぶ」
朋「おつかれー。あ、コートそこらへんにかけといていいよ。適当にさ」
笑美「おつかれーやあれへんわ。年下パシりおってからに」
朋「まあまあそう言わず。ほら、座って座って」
笑美「ったく…んで、ホレ。出来合いのもん適当に買ってきたけど、こんなもんでええやろ?」
朋「どれどれ~…おっ、からあげ棒とかわかってるじゃん」
笑美「それウチのや」
朋「あたしのぶんは?」
笑美「ない」
朋「人でなし」
笑美「自分で買え」
SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1417772144
朋「それはいいや、外寒いし。それより、さ」
笑美「ん、まあせやな」
朋「せやせや。ほら、グラスもって」
朋「3周年」
笑美「おめでとうございます」
朋「おめでとうございます」
朋「かんぱーい」
笑美「カンパーイ」
グイッ
朋「3周年…3年かぁ。3年って」
笑美「ほんまになー。なんや3年て。どないやねん」
朋「……」モグモグ
笑美「……」グイッ
朋「きっと今頃は、みんな船の上でパーリーだろうね。おいしいもの食べてビンゴやってさ」
笑美「なんでビンゴやねん」
朋「え?みんなで集まったらビンゴやるでしょ。やらない?」
笑美「いや知らんけども。けどふじともは行くか思っとったわ」
朋「えーなんで?」
笑美「食い意地はっとるし」
朋「そこまでじゃないから!」
朋「ていうか、それ言ったら笑美だってそうじゃん。なんで行かなかったの?」
笑美「んーまあなー。なんちゅーか…こう、わかるやろ?ウチかてそーいうのビミョーなトシゴロなんや」
朋「なにそれ。まぁなんとなくわかるけどさ」
笑美「せやろ?なんか…なあ?」
朋「なんか、ね。なんていうか3周年とか言ってもさ、売れてる人とそうでない人との間で認識の差っていうか…なんかそういうのあるよね。こう…なんていうの?」
笑美「罪悪感?」
朋「ちがう!」
笑美「うしろめたさ?」
朋「そうそれ!同じ感覚で喜べないっていうかさ。あ、そっちのキンピラとって」
笑美「ほい」
朋「サンキュ」モグモグ
笑美「んーまあ、それはあるわな。3周年やったー言うたところで、おまえはそれに貢献したんかいう話やし」
笑美「こっちが勝手に思ってるだけなんやけどな。なんちゅーかこう、せやなぁうしろめたさみたいなもんあるか」
朋「そそ。まあこっちが…」モグモグ
ゴックン
朋「…まあ、こっちが売れればいいだけの話なんだけどさ」
笑美「えらい簡単に言うやないか」
朋「いやあたしもわかんないけどさ、売れるって。どうしたらいいと思う?」
笑美「そんなんウチかて知らんわ。まあでも、ふじともは胸からやろな。そこなんとかせな」
朋「それだとあたしもう伸びしろないんだけど」
笑美「いやないことないやろ」
朋「ないことないったって、いろいろ試したし…それで無理だったし…」
笑美「ホンマか?ほんならウチのとっておき教えたるわ。まず胸の前で手を合わせるやろ?」
朋「うん」グッ
笑美「んで、次に力を入れる。合わせた手の間にスポンジがあって、それを潰すイメージや。これだけで…」
朋「…いや大胸筋鍛えるやつじゃんこれ」
笑美「バストアップにはなるやん」
朋「おういうあれじゃなくて!」
笑美「ええやん鳩胸系アイドル。需要独り占めやで?」ケラケラ
朋「ものすごく狭い需要じゃんそれ!」
朋「もっとこうなんかないの?」
笑美「胸…」
朋「胸以外で!てかそのくだりもういいじゃん!」
笑美「それ以外かぁ。えぇー…」
朋「…そんなに悩むこと?」
笑美「だって実際何があんねん。努力が足りない!とか言われてもちゃうわボケってなるやろ」
朋「それはまあ、そうだけど」
笑美「運とか、それこそウチらじゃなんともしようがないしな。なんやろなぁ」
朋「…オーラ、とか?」
笑美「オーラ?」
朋「そう、オーラ。なんかこの前事務所で美嘉ちゃんとすれ違ったんだけどさ、やっぱ違うもん。オーラみたいのがグワーッて」
笑美「ほーん。んで、オーラを出すにはどうすんねん」
朋「わかんない」モグモグ
笑美「あっコラ!なに人様のからあげ棒食っとんねん!」
朋「食べないんだと思って。めんごめんご」モグモグ
笑美「ちゃんと謝れや!」
朋「いやだ!」
笑美「しばくぞ!」
朋「ごめん!」
‐
‐‐
‐‐‐
朋「……」モグモグ
笑美「……」モグモグ
ゴックン
朋「…まあでも、このままアイドルだらだら続けてていいのかみたいな、ブワッとした不安はあるんだよねー」
笑美「ブワッと」
朋「そうブワッと。笑美はそういうのないの?」
笑美「んー、ウチは不安とかそーいうんはないなぁ。べつに楽しけりゃええし、今楽しいしな」
笑美「ただ、売れれば今よりもっと楽しくなるんやろか、みたいなこと考えるときはあるなぁ」
朋「ねー。むずかしいったら」
笑美「…ふじともは、つまらん思いながらアイドルやっとるんか?」
朋「ん?いやいやそんなことないけど」
笑美「そうか?あんま思いつめるのもアカンで。べつにアイドルで食ってるわけとちゃうし、悩むのは命かけてからでええわ」
朋「まぁわかってはいるんだけどさ。たまーに考えちゃうんだよね。こう、ブワッと」
笑美「ブワッと」
朋「そうそう、ブワッと」
笑美「なに気に入っとんねん」
朋「笑美だって」
笑美「……」グイッ
朋「……」モグモグ
笑美「ブワッと」ボソッ
朋「…!」
笑美「ブワッと」
朋「フフッ」
笑美「ブワッと」
朋「フフッ…やめて…ンフッ」
‐
‐‐
‐‐‐
朋「っと、え!?もうこんな時間!?」
笑美「あ、ほんま…ウチらブワッとにどんだけ時間つことんねん。アホちゃう」
朋「時間だいじょうぶ?笑美たしか寮だったよね?」
笑美「あー…帰るのめんどいし泊まるわ。外寒いし、船の上で騒いでた言えばごまかせるやろ」
朋「宿泊料金のほう、6000円になります」
笑美「からあげ棒で払った」
朋「まいど♪あ、あと片づけ手伝ってね?」
笑美「おう」
おわり
ありがとうございました。この2人はダラダラ喋るとすごくおさまりがいい気がする。蘭子ちゃんCoにあげるので2人ともCuにください。
このSSまとめへのコメント
このSSまとめにはまだコメントがありません