―――――事務所への道―――――


朋（しっかし、だいぶ寒くなってきたわね……）ﾃｸﾃｸ

朋（そろそろ雪とかも降ってくるのかな）ﾃｸﾃｸ

朋（……植木鉢とかは降ってこないよね）

「朋さん！おはようございます」

朋「あ！智絵里ちゃん、おはよ！今日は寒いね～」

緒方智絵里「寒いですね……、四葉のクローバーを探すのも一苦労です……」

朋「基準はそこなんだ……」

朋「ち、ちなみに、昨日は見つけられたの？四葉のクローバー」

智絵里「はい！」

智絵里「昨日は7時間と46分03秒で見つけられました！」

朋「よかったね（思考停止）」

智絵里「そういえば、見ましたか？ほたるちゃんのCM」ﾄｺﾄｺ

朋「ああ、この前言ってた宝くじのやつでしょ？昨日見たんだけどさ……なんというか……ねぇ？」ﾃｸﾃｸ

智絵里「はい……」ﾄｺﾄｺ

智絵里「とっても面白かったですよねっ！」

朋「智絵里ちゃん！？あのCMのどこからその感想が！？」

智絵里「ほたるちゃんに後で言ってあげなきゃ」

朋「そういう感想は求めてないと思うけど……」


ﾋｭｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰ
ｶﾞｯｼｬｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰﾝ!!!!!!!!!!!!!!!!!!


朋「！？」

智絵里「あ！噂をすれば、ほたるちゃんかな？」

朋「植木鉢の落下音で判断するのやめよう！？」

白菊ほたる「あ、おはようございます、朋さん、智絵里さん、今日は一段と冷えますね……」ﾄｺﾄｺ

朋「マジ！？」

ほたる「？」

朋「いや、なんでもない……」

智絵里「ほたるちゃん！CM見たよ！面白かったよ～」

朋（言っちゃった！）

ほたる「ありがとうございます……！とっても楽しい撮影で、終始笑顔でいられました……」

朋（絶対ウソだよ……、宝くじ当ててる茄子さんを親の仇のように睨んでたもん……）

朋（もしくは相当な女優だよ……）

朋（ってかなんで誰も落ちてきた植木鉢に何も言わないのよ……！？）

智絵里「ああいうみすぼらしい恰好、よく似合うね！」

朋「智絵里ちゃん！！！」

ほたる「ありがとうございます。案外、智絵里さんも似合うかもしれませんよ？」

朋「ほたるちゃん！？」

智絵里「冗談だけどね」
ほたる「冗談ですけどね」

智絵里＆ほたる「ふふふ……」

朋「」

―――――事務所―――――


朋（よ、ようやく着いた……）

朋（いつもよりも遠く感じたわ……）

ほたる「あの……」

朋「ど、どうしたの？」

ほたる「実は、今日はバラエティの収録があるんですけど……」

智絵里「わぁ……ほたるちゃん、最近すごいね……」

朋「ホント！どんどん売れてっちゃって～」

ほたる「そ、そんなことないですよ。えへへ……」

朋＆智絵里（かわいい）

ほたる「それで、トークの練習をしたいな……って」

朋「なるほど、いいよいいよ！……でもほたるちゃん、結構しゃべるのうまいと思うんだけど」

智絵里「私もそう思うな……」

ほたる「いえ……話す内容が決まってないとあたふたしちゃうので……」

ほたる「どんな話をするかあらかじめ決めておきたいんです」

智絵里「私も、話を振られたら全部杏ちゃんにパスする癖、直さないとなぁ」

朋（杏ちゃん……）

ほたる「ちょっと紙に書き出してきたので、どれが面白そうか選んでもらっていいですか……？」ﾍﾟﾗ

朋「うん！どれどれ……」


・近づいただけで春菜さんのメガネが砕け散った話
・四葉のクローバーを手に取った瞬間に葉がすべて飛んで行った話
・不幸を口実に時子さんにコーヒーをかけ続けたら何回目で怒られるか試してみた話
・ヘレンさんの……
・私はこうして魔法石800個ゲットした
・茄子さんと手を繋ぎながらひいたおみくじの平均獲得運勢について


朋「全部めっちゃ気になる！！！！！！！」

朋「ってか詐欺っぽいの混ざってるよ！？」

智絵里「あれ……？この前話してた『歌鈴ちゃんとマジックショーのお手伝いをしたら……』は？」

ほたる「あ！忘れてました！」

朋「お願いだからこれ以上私の好奇心を刺激しないで！！！！！！」

朋「ど、どれを話しても面白いと思うから、好きなのを選ぶといいんじゃないかな……」

ほたる「そうですか……」

智絵里「うんうん」


ほたる「お仕事まで少しまだ時間がありますね……」

朋「じゃあちょっとテレビでも見よっか」ﾋﾟｯ


『緊急ニュースです』


朋「？」

『先ほど、○○区上空で飛行していた旅客機と、「HELEN」と書かれた飛行機が接触する事故が発生しました』

朋「え！？ここの区じゃない！！！？？？」

『両機とも飛行に際して影響はないとみられていますが、接触の衝撃で旅客機から植木鉢約150個が落下中の模様、周辺住民の方は注意してください』
『では次のニュースです………………』

朋「植木鉢150個！！！！？？？？」

朋「軽く言ってるけど大事件よ！？」

智絵里「わくわくしますね！」

朋「智絵里ちゃん！！！！！！」

ほたる「ちょっと外に散歩に行ってきますね」

朋「この状況でよく言えるね！？ダメに決まってるでしょ！？」

ほたる「でも私がここにいると事務所に当たって被害が出てしまいますし……」

ほたる「外で私が喰らってから戻ってきた方が……」

朋「発想が女子中学生と思えないくらい男らしい！！！」

ほたる「でも……」

朋「ダメよ！行かせない！」

智絵里「暴走したトロッコが線路上を走っており、このままでは5人の作業員を轢き殺してしまいます。彼らを助ける唯一の方法は、切り替えスイッチを押して、トロッコを別の線路に誘導することです。切り替え先の線路には1人の作業員がおり、この一人を犠牲にする代わりに5人の作業員は助かります。5人の命を救うために1人の命を犠牲にするこの行為はすべきでしょうか？」

朋「緒方ァ！！！！！！！」

ｶﾞﾁｬ
茄子「おはようございま～す」

茄子「あれ？なんだか騒がしいですね……？」

朋「あ！茄子さん！聞いて！ほたるちゃ『緊急ニュースです』
『先ほどお伝えした○○区上空から落下した植木鉢についてですが』
『たった今、上空で消滅したとの情報が入ってきました！』
『原因は不明』
『繰り返します。先ほど―――――――――――――――』

朋「」

茄子「？」

朋「か……」

朋「茄子さん～～～～！！！！」ｸﾞｽｯ

茄子「え？ええ？？？と、とりあえずよしよししてあげますね～」ﾅﾃﾞﾅﾃﾞ

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ほたる「では、そろそろお仕事にいってきますね」ｶﾞﾁｬ

朋「いってらっしゃい……」

朋（まあ、何事もなくてよかったかな……）


『緊急ニュースです』
『○○区にある動物園からライオン5頭が脱走しました』
『現在も逃走中です』
『外出は避け、くれぐれもお気をつけください』


朋「…………ほたるちゃん！！！！！！！！！！！！！！！！！」



おわり