【艦これ】提督「ながむつ ≒ とねちく」 (33)
叢雲「………は?」
提督「ながむつ ほぼイコール とねちく、と言ったんだ」
叢雲「聞きとれないから聞き返したんじゃないわよ」
叢雲「あんたが理解できないことを言いだしたから聞き返したの」
提督「分からんか叢雲ぉ」
叢雲「言ったとおりよ」
提督「悲しいなぁ…初期艦として俺と同じ期間をこの鎮守府と、他の艦娘たちと過ごしてきたお前ならと…」
叢雲「悲しいわね。同じ期間を過ごしてきたけど、あんたとは視点が違ったみたいね」
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叢雲「それはそれとして。ながむつは長門と陸奥、とねちくは利根と筑摩のことかしら」
叢雲「陸奥と筑摩はどことなく雰囲気は似てるかもしれないけど…」
叢雲「長門と利根は…うーん、どうなんだろ。天然なところとか…?それ以外、あまり共通点がないような」ウーン
提督「個々の話ではない、二人そろってこの公式が成立する。そう、言うなれば『カップリング』の話なのだ」
叢雲「か、かぷ………?」
提督「分からないなら説明してやろう」
叢雲「別にいいわよ」
提督「あれは去年の秋のことだったな………」
~~(回想)~~
【鎮守府 食堂】
ガヤガヤ ワイワイ
クリゴハン ナノデス!
オイモサン ホクホクヤデー
コレガニホンノブンカ、 ギン・ナーン!…ッテ、クサァッ!
長門「今日はいつになく賑やかだな」
陸奥「ええ、そうね。季節は秋、食堂のメニューも豪華になってるからね」
長門「数量限定の松茸ごはんを逃してしまったのは悔やまれるが、他の品も美味しそうだ」
陸奥「天高く馬肥ゆる秋、とはよく言ったものね。本当に美味しそう」
長門「ちなみに陸奥よ、その故事には『馬が肥える秋には戦争が起こるから警戒せよ』という意味があるらしい」
長門「深海棲艦も、この秋に力を蓄えているかもしれんからな、より気を引き締めねばならない」
陸奥「もう、長門ったら相変わらず変なところまで真面目ね」
陸奥「相手が力を蓄えているなら、こちらも力を蓄えないといけないわ。だから早く食べましょ?」イタダキマス
長門「む、そのとおりだな。では食べるか」イタダキマス
陸奥「あら、ホントに美味しい!」
長門「そうだな」
陸奥「特にこのサンマ、脂がのってて絶品ね」モグモグ
長門「なんでも、今年は北方海域で獲ってきた特別なものらしい」モグモグ
陸奥「ああ、こないだ話にあがってた北方漁作戦ってやつね。もう釣果があったのね」モグモグ
長門「ところで陸奥よ」ピタッ
陸奥「なぁに?」モグモグ
長門「私は、サンマは全部食べるようにしているのだが」
陸奥「ええ、そうね」モグモグ
長門「こ、小骨がだな………」プルプル
陸奥「あらあら。御飯ももう食べちゃったのね、お水も空っぽ。待ってて、今御飯のおかわりとお水をもらってくるから」
長門「す、すまない…」プルプル
~~(回想 終了)~~
叢雲「…そういえば以前、利根も同じようなことになって筑摩に泣きついて大騒ぎしていたことがあったわね」
提督「そう。あれは利根がギャーギャー騒いでいたから多くの人が知っていると思うが、実は裏では長門と陸奥も似たようなことをしていたのだ」
叢雲「よく見てるわね」
提督「当然だ。提督として、常に艦娘の様子には気を配らなければならない」
叢雲「気を配るって、ちょっとニュアンスが違うような…」
提督「体調管理の一環だと捉えてくれ」
提督「さて、次だ。これは先ほどよりもう少し前、夏のことだ」
~~(回想)~~
【鎮守府近海 砂浜】
朧「第七駆逐隊、集まりました」バッ
朝潮「同じく第八駆逐隊、集まりました!」ビシッ
利根「うむ!皆のもの、よく集まってくれたな!」
朝潮「とりあえず、言われたとおり各自水着に着替えましたが…」
利根「うむ!突然の予定の変更にも関わらずよく準備してくれた。皆、よく似合うておるぞ!」
朧「ありがとうございます。お二人も水着なんですね」
大潮「筑摩さん、ナイスバデーです!!」
荒潮「ほんと、キレイよね~」
筑摩「ふふ、ありがとう」
利根「これこれ、吾輩にも何かないのか?ん?」
大潮「利根さんも、どっかんどっかんかわいいです!」
荒潮「うふふ、とってもかわいいわ~」
利根「わっはっは!そうじゃろそうじゃろ!何しろ、筑摩のやつより少しお姉さんだからな!」ドヤァ
満潮「(『かわいい』でもいいんだ…)」ヒソヒソ
曙「(気づいてないだけでしょ…)」ヒソヒソ
潮「それで、今日の演習は水着で何をやるんですか?」
利根「おっと、そうじゃったな。まだその話をしておらんかったの」
筑摩「そういえば、私もまだ聞いてませんでした」
利根「今日は、びぃちばれぇをやろうと思う!」
漣「ビーチバレーキタコレ!」
利根「他の部隊の者に聞いたんじゃが、瞬発力・俊敏性、そしてチームワーク・コンビネーションを養うのに最適らしい!」
朧「あれ、でも道具がどこにもないような…」キョロキョロ
利根「さて、筑摩よ」
筑摩「はい」
利根「びぃちばれぇ、とは一体なんなのじゃ?」
筑摩「それでは説明させていただきます」スッ
~~(回想 終了)~~
叢雲「なんていうか…利根も相変わらずね。それに即時対応する筑摩も流石というか」
提督「ビーチバレーがいいぞ、と長門あたりから聞いて、テンション上がってろくに調べもせずに企画したんだろ」
叢雲「ところで、あんたさっき『個々の話ではない、二人そろってこの公式が成立する』って言ったわよね」
提督「そうだな」
叢雲「話を聞くかぎりだと、『長門と利根は似ている』と言えるかもしれないけど、コンビで…」
提督「違う、コンビじゃない。『カップリング』だ」
叢雲「」イラッ
叢雲「カップリングで似ている、という話ではないような気がするわ」
提督「確かに、この話の表面だけでは、長門と利根にしか焦点を当ててないような気がしてしまうな」
提督「しかしこれを、姉妹艦という括りで見てほしいんだ」
叢雲「?」
提督「姉と妹。本来は、年上の姉が年下の妹の面倒を見るというのが、一般的な姉妹像だ」
提督「しかし、ながむつ・とねちくにおいてはそれが逆転している」
叢雲「そうね…実生活のことになると、妹が姉の面倒を見ているような印象を受けるわ」
提督「もっとも、ながむつととねちくで、お世話レベルに差はある。しかし方向性は同じだ」
叢雲「さすがに、長門姉妹は利根姉妹ほど妹に任せっぱなしじゃないものね。あれは早々いないレベルよ…」
提督「補足すると、とねちくは見た目的にも筑摩の方が年上、すなわち姉のように見える」
提督「これは、妹が姉の面倒を見るという、姉妹逆転現象をさらに強調している」
提督「ながむつに関しては判断が難しいところだが、陸奥の方がアダルティーな印象を受けると言えなくもない」
叢雲「うーん、まぁ確かに、そうとも言えるかしら?」
提督「しかし。しかしだ」
叢雲「他に何かあるの?」
提督「お、叢雲、いつの間にか興味が湧いてきたんじゃないか?」
叢雲「中途半端に聞かされたら、モヤモヤが残るからよ」
提督「モヤモヤしそう、ということは興味が湧いてきたってことだろう」
叢雲「うっさいわね。いいからとっとと話しなさいよ」ゲシゲシ
提督「いてっいてっ。分かったから、腿にヒザを当てるのはやめてくれ…。ふぅ、とんだ不良娘だ」
叢雲「で?」
提督「姉妹の逆転現象…これだけならともかく、ながむつ・とねちくには、他にも大きな共通点がある」
提督「それこそが、ながむつをながむつたらしめるもの、とねちくをとねちくとして完成させるものなのだ」
~~(回想)~~
【南西諸島海域 沖ノ島沖】
羽黒「そろそろ最深部、敵の本隊が出てくる頃でしょうか」
妙高「ええ。でも、この霧………」
北上「こんなところでも、こんなに濃い霧が発生するんだね~」
那智「これでは、敵がどこにいるか察知することができないな…」
筑摩「………」
筑摩「(今日の旗艦は私。冷静な判断をしなければ……でもどうしたら……)」
利根「筑摩よ」
筑摩「は、はいっ!」
利根「案ずるな、筑摩よ」
筑摩「!」
利根「この霧は、じきに晴れる」
利根「そして、その先に敵の本隊がいるはずじゃ」
羽黒「それはまた、どうして…」
利根「うーん、分からん!」
妙高「えっ」
利根「分からんが、吾輩の勘が、そう訴えかけるのじゃ!」
北上「勘て」
筑摩「分かりました。霧が晴れるまで、一時待機します!」
那智「索敵に強い2人がそう言うのなら…了解した」
筑摩「周囲に警戒しつつ、偵察機を霧の方向へ…」
利根「すまん筑摩、勝手じゃが既に吾輩の偵察機を向かわせておる」
筑摩「そ、そうでしたか」
利根「…っと、ちょうど帰ってきたな」ブーン
利根「…うむ。やはり吾輩の読みどおりじゃったか。霧はこのまま行けばすぐ抜けられる」
利根「そしてそのしばらく先に、敵の本隊がいるようじゃ」
筑摩「分かりました。では、このまま霧の方向へ進み、会敵したら単縦陣に変更、攻撃します!」
一同「了解!」
利根「筑摩」
筑摩「姉さん。ありがとうございました」
利根「この戦い、必ず勝利するぞ!」
筑摩「…はい!」
~~(回想 終了)~~
叢雲「そんなこともあったわね。作戦は大成功に終わり、筑摩は自分のことをさしおいて利根のことばかり嬉しそうに話してたわ」
提督「耳にタコができるレベルだったな、あれは」
提督「さて次はながむつのケースだ。1年前の大規模作戦のときのことだ」
~~(回想)~~
【鎮守府 艦娘寮(長門の部屋)】
コンコン
長門「構わん、入れ」
ガチャ
陸奥「お邪魔するわ」
長門「陸奥か。どうした、こんな時間に。明日は作戦の最終海域への出撃だが…」
陸奥「ちょっと眠れなくて。長門と少しお話しようかなって」
長門「そうか。まぁ座るといい」
陸奥「ありがと♪」スッ
長門「陸奥よ」
陸奥「なあに?」
長門「心配することはない」
陸奥「!」
陸奥「もう、やっぱりお見通しなのね」
長門「当たり前だ。私はお前の姉なのだぞ」
陸奥「…今回の最終海域の敵艦隊の情報を聞いたとき、ビックリしちゃって…」
陸奥「一緒に出撃する駆逐艦や巡洋艦の子たちの前では、弱気な姿を見せてはいけない、と冷静を保っていたけど」
陸奥「一人になると、どうしても不安になっちゃって………勝てるのかな、みんな無事に帰れるのかなって…」
長門「陸奥、大丈夫だ。この長門がついている」
陸奥「!」
長門「それに、ビッグセブンの2人がともに出撃するんだ。必ず勝利する」
陸奥「………ありがとう。私、長門のその言葉が聞きたかったの」
陸奥「貴女の、その根拠がないのに力強い言葉に何度励まされてきたか」
長門「根拠?根拠など、『ビッグセブン』という言葉だけで十分ではないか」
陸奥「はいはい、そういうことにしておきましょうか」クスッ
長門「そうだ。これを持っていくといい」スッ
陸奥「これは…」
長門「私の腕の防具を固定するバンドの予備だ」
長門「もし乱戦で離れ離れになっても、妹のお前なら、これがあればきっと私の背中を見て取れるはずだ」
長門「そうすれば、何も怖いものはないだろう?」
陸奥「ありがとう…!」ギュッ
陸奥「それにしても、お守りがわりにこういうのを渡すあたりが、貴女らしいわね」クスッ
長門「む、そうか?」
陸奥「でも、不安はなくなったわ。緊張もほぐれた。これで今日はゆっくり休めそう」
長門「そうか、それはよかったな」
陸奥「それじゃ、おやすみ。また明日、頑張りましょう」
長門「ああ」
~~(回想 終了)~~
叢雲「………まず秘書艦として、言っておかなければならないことがあるけど、それはいったん置いておくわ」
叢雲「長門の背中は、陸奥はもちろん、すべての艦娘にとっても頼もしいものよね」
提督「ああ、そうだな。さすがはビッグセブンだ」
提督「さて、さっきまでは『姉妹逆転現象』についての話をしてきたが、今回の話はどうだ?」
叢雲「妹が姉に頼っている、姉が妹を先導している、といったところかしら?」
提督「そのとおり。先ほどまでとはまるで逆だな」
提督「以上をまとめるならば、こうだ」
しっかり者で大人びている妹が姉の世話ばかりしていて、姉も妹に甘えている。
周りからは『姉妹関係逆なんじゃねぇの』とか思われてしまっている。
しかし、ここぞというときの姉は頼もしく、妹はそんな姉の姿に守られ、憧れている。
表面的な部分はともかく、本質的な部分ではしっかりと姉妹関係が保たれている。
提督「これが、『ながむつ』と『とねちく』に共通する関係性だ!」
叢雲「なるほどね…あんたの言わんとしていること、少し分かった気がするわ」
提督「そうかそうか!分かってくれるか叢雲!」
叢雲「ちょっとこじつけのような気がしなくもないけど。あと、結論が長い」
提督「分かってくれればそれでいい!」
叢雲「…そうね。案外、私たちもそれに近い関係かもしれないわね」
提督「へ?俺らが?なんで?」
叢雲「見た目が子どもな私が、いい歳こいたあんたの尻をひっぱたいてるあたりがよ」
提督「ぐっ」
叢雲「それに、私だってちゃんと、あんたのこと、信頼してるし…」ボソッ
提督「え?いまなんて?」
叢雲「ななななんでもないわよ!」///
叢雲「…それより。さっきはスルーしたけど、あんた何で長門と陸奥の部屋での会話のことを知ってんのよ」ズイッ
提督「うぅっ!?そ、それは、アオバガ…」
叢雲「なんでもかんでも青葉のせいにしない!」ガシッ
提督「ほんとなんだってば!」
叢雲「さぁ、お母さん(鳳翔)のところで話をしましょうか!」ズルズル
提督「た、たすけてくれぇ!むつー!!ちくむぁーーー!!!」
完
ほぅ、続けろ
短いですが以上です、読んでいただきありがとうございました
>>25
こ、ここから先は鎮守府の機密事項(=恥ずかしくて表に出せない事情)ゆえ…
皆さまおコメありがとうございます!
普段は艦これで別のシリーズを書いてます、もし御興味があれば…(ダイマ)
(更新が止まっててゴメンナサイ)
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