シャルロット「人型ドラゴンとつがいの”D”の精神的変化」Final (43)


このSSは[銃皇無尽のファフニールⅩ]直後の話となってます

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過去作

【ファフニール】シャルロット「人型ドラゴンとつがいの"D"の精神的変化」
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ニブルによるミッドガルへの襲撃から数週間が経ち、やっとボク達の日常が戻ってきた

皆と授業を受け、休み時間にはお話をし、下校後は課題をしたり遊んだりする

休みになると皆で集まって遊ぶ……ありきたりだけど、とても楽しい日々を送っているよ

でも、以前とは少し違うこともあって――

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朝になりここ、ブリュンヒルデ教室はクラスメイトがほとんど揃い、賑わっていた

「皆さん、おはようございます」

「おはよう」

「ミツキちゃん、モノノベ、おはよう!」

「おはようなの!」

皆が先に来て、深月と物部クンが最後に挨拶をしながら教室に入る

何人かは席に座ったまま挨拶を返し、残りは席を立って出迎える――朝の見慣れた光景

でも最近は、一つだけ違うところがある


「おはよう、アリエラ」

「お、おはよう。物部クン」

物部クンは、わざわざボクの席まで歩いて挨拶をするようになった。どうしてこうなったかと言うと、ボクが原因だと思う

「今日もいい天気だな」

「そ、そうだね……」

「……アリエラ、どこか具合が悪いのか?」

ボクが歯切れの悪い返事をすると、物部クンは心配そうにそう訊いてくる


「え、えっと……ちょっとお腹が痛い……気がするかな」

「それは良くないな。保健室まで俺が連れて行こうか?」

「だ、大丈夫。一人で行けるから! ちょっと行ってくるね!」

ボクは席を立ってそそくさとその場を後にする。その様子を物部クンとレンがずっと目で追いかけているのが何となく分かった

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ボクは保健室には行かずトイレの個室に籠り、心を落ち着かせる

ボクは物部クンとつがいになってから、彼のことを異性として強く意識するようになった

それがつがいとなった影響なのか、ボクの本心がそうなのか分からない。でも、彼を前にすると……彼の表情を見ていると胸が高鳴り、頬は紅潮して言葉もまともに交わせなくなってしまう


今まで恋というものをしたことが無かったから、こんな感情とどう向き合えばいいか分からない。考えた結果、自分から物部クンと距離を置いて未然に防ぐ事を選んだ

物部クンからすれば自分は嫌われたんじゃないか、自分がボクに対して自覚のないうちに酷いことをしたのではないかと思わせてしまっているかもしれない

彼はそれでも、ボクの元へ近づいて、話しかけてくれる。その優しさが今のボクには辛かった

ボクはいったい、どうしたらいいんだろうって誰かに相談できればいいけど、クラスメイトは全員、物部クンに好意を持っているから相談がしにくいし、ボクが相談しても、ちゃんとした回答をしてくれるのか分からない

時間を確認すると、もう少しでHRが始まる事が分かった。ボクは個室から出て急いで教室に向かった

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今日も授業が全て終わり、帰宅時間になった。クラスメイトはほとんどすぐ帰宅し、深月は生徒会の仕事で居残りが確定している

俺、物部悠は帰宅準備を済ませ、時計塔内の学園長室に向かっていた。何故かと言うと、放課後になってすぐ端末に連絡が入り、そう言われたからだ

学園長室のドアを三回ノックすると、中から入るよう言われる。俺はドアを開けて失礼しますと言い中へ入った


「放課後だと言うのに呼び出して悪かったな。それくらい重要な話でな」

「それは一体、何でしょうか?」

今はマイカさんが部屋にいるため、敬語で会話をする

「そなたには、つがいになった"D"の変化について調査をして欲しい」

「調査……ですか?」


「うむ。調査と言っても、別に本人たちにあれこれ詳しく聞く必要はない。普段通り過ごして、何か今までと違う点があったらそれを記録して、私に報告するだけだ」

「それに何の意味があるのでしょうか?」

「今まで、"D"が人型ではないドラゴンとつがいになり、ドラゴン化した事はある程度解明が進んでおるが、そなたとつがいになりドラゴン化した彼女たちは現在、今までとほとんど変わらないまま今も生活しておる」

「しかし、今後もしかしたら何かしらの変化が起こるかもしれん。それがどのようなものかは予測が全く付かない現状、何か小さな変化でも見逃さず、記録して置く必要があると判断した」


「なるほど、確かに似たようなケースがあった時に、データがあれば対処が出来るかもしれませんからね」

「そういう事だ。そなた達を実験に使うようで悪いのだが、誰かがやらねばいつまでたっても情報が無いままでよくない。そういうことで協力してもらえぬだろうか?」

「はい。俺で良ければ協力します」

「協力、感謝するぞ」


「それで、具体的には何をすれば?」

「先程も言ったが、これといって特別な事をする必要はない。普段通り過ごして、いつもと少し違うなと思った人物から色々と聞いてみるといい。それが身体的な変化であれ、精神的な変化であれ、見つけたらとりあえず私に報告してくれ」

俺がすべき事は何となく分かった。しかし、一つだけわからないことがあったので、俺はシャルに質問する

「身体的変化と言うのは、この前のイリスがバジリスク化しそうになる現象だと思っていますが、精神的変化とは具体的に何でしょうか?」


「精神的変化というのは……性格が極端に変わったりと言ったところだ。例えるなら、温厚だった者が急に怒りっぽくなった……と言ったところか」

その話を聞いて、ある一人の人物が頭をよぎる

アリエラはあの日以降、俺に対しての態度が以前と違っている。もしかしたらシャルの言う精神的変化に該当しているかもしれない

「……何となく心当たりがありますね」

「ふむ、ならまずその者から調査を行うように」

「分かりました」


「最後になるが、この事はそなたのつがいである乙女達にバレないように行うのだぞ?」

「何故ですか?」

「あの戦いが終わってそこまで時間が経ってないうちにこの様な話を持ちかけたら、乙女達が不安になってしまうかもしれない。この事を話すなら、もう少し時間を空けるべきだと私は思うのだ」

「分かりました。気づかれないよう、気をつけます」

「うむ、話はこれで以上だ。今日はもう帰ってよいぞ」

「はい、失礼しました」

俺は席を立ち、扉の前まで歩いてからまたシャルの方を向き、礼をして退出した

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今回はここまで

完結まで一気に投下


放課後、ボクは女子寮の自室で着替えを済ませ、ベッドにうつ伏せで寝転がる

今日も一日、物部クン絡みで挙動不審になっていた事を思い出してしまう

意識を他に向けようとして足をバタつかせるが、それでもやっぱり頭の中をチラついて無視できない

ボクがバタつかせ続けていると、扉が開いてレンが部屋に入ってくる。レンはベッドの直ぐ側まで近づき、座る


「お姉ちゃん」

「どうしたの?」

「最近、お兄ちゃんの前でだけ……ヘン。お兄ちゃんと何か、あったの?」

遂にレンから聞かれる日が来てしまった。いつかは来ると分かっていても、ボクはそれに対してどう答えるべきかまだ考えてない


「えっと……物部クンと喧嘩したわけではないんだけど」

「喧嘩じゃない事は分かる。喧嘩してたらお兄ちゃんがお姉ちゃんに近づく事は無いから。だからお姉ちゃん自身に何か問題があったと、思ってる」

熱く語るレンだけど、冷静な分析だとボクは思った。きっと言い逃れをしようとしても、逃れることは出来ないかもしれない

レンはボクと物部クンの事になると、熱くなり強引になる。この前のお風呂の時もレンが強引にセッティングして行われたことだし、今回も関係が悪くなってることについて解決するまで強引に手を尽くしてくるだろう

でも、今のボクにはそれが頼みの綱とも言える。このままズルズルと引きずる事はボクだってゴメンだからね


「……実はね――」

ボクはレンに包み隠さず話す。物部クンに恋したこと、物部クンの前ではちゃんと話せなくて避けてしまうようになった事……等々

ボクが話し終えると、少し考え、口を開く

「話を聞く限り、お姉ちゃんがすべき事は……一つだけ」

「それは一体、何なのかな?」

「それは……お姉ちゃんが、覚悟を決めないと出来ないこと。だから、言ってから取り消さないと誓うなら……教える」

「……ちょっと考えさせてくれてもいいかな?」

「んっ」


ボクが覚悟を決めないと出来ない事か……軽い気持ちでやると言ってはいけないみたいだね

でも、きっとそれをしないと、ボクはずっと物部クンを避けたままでいるかもしれない。それだけは絶対に嫌だ

「……ボクは、現状を変えるためならどんな事だってする。だって、ボクも物部クンもこんな状況を望んでいる訳じゃない。今まで通りに戻りたい。だから、ボクに教えて」

「……分かった。それじゃあ、お姉ちゃんに方法を教えるね」

レンは一度言葉を切り、一呼吸置いてからまた口を開く


「お姉ちゃんがすべき事、それは……お兄ちゃんに、好きだという気持ちを伝える、こと」

「……えっ……えええええっ!?」

レンの衝撃発言に、ボクは思わず声を上げて驚いてしまった

「お兄ちゃんに恋してるなら、それを伝える事が一番……手っ取り早い」

「で、でも、物部クンはイリスや深月にもう……それに、もしフラれちゃったら――」

「その時はその時。隠していた気持ちを伝えることで、恥ずかしくなったり避けたりすることはなくなる……多分」

「た、多分って……」

なんて無責任なとボクは思った。本当にフラれたとしたら、多分ボクは立ち直れる気がしない


「……お兄ちゃんは、大切なモノを何もかも背負おうとしちゃう人。だから、きっと悪い結果にはならないと、思う」

その言葉を聞いて、ボクは妙に納得してしまった

今までの物部クンの行動を思い返すと、どんな状況でも全員が助かるよう動いていた。ボクが一度離れた時も、取り戻すために死ぬ気で戦っていた事もあった

「……確かに、レンの言う通りかもしれないね。だから、物部クンに……告白してみるよ」

「んっ……なら、早速明日の放課後に――」

「ま、待って。明日じゃ早いからせめて明後日に、ね?」

「……」

ボクが提案すると、無言で首を縦に振ったけど、レンは少しがっかりしているようだ

何故そこですぐ実行しないのだと目で訴えているように感じたボクは、目を逸らしあははと笑って誤魔化した

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次の日、また俺はアリエラに話しかけるが予想通り避けられてしまう。アリエラから訊くことは不可能だと判断した俺は、レンに訊いてみようとも考えた

しかし、アリエラが頑なに話したくない話をレンから聞き出すのはあまり良くないと思った。それにレンが話してくれるとも限らない。八方塞がりだ

相談しようにも、この件に関してはまだ深月達には言えないから助けを得ることも出来ない。リーザや深月なら詳しいことを話さなくても気づかれてしまう可能性が高いから

俺は正直、これは今は諦めて時間を置いたほうがいいんじゃないかと考えた。しばらく放置し、時間が経ってからまた聞けばもしかしたら答えてくれるかもしれない。俺はそんな事を考えながら今日を過ごした

―――
――



その日の放課後、突然レンに呼ばれて一緒に残ることになった。クラスの皆が帰ったことを確認して、レンは話し始める

「突然呼び止めてごめんね、お兄ちゃん」

「気にしてないから平気だ。それに、聞きたいこともあるし」

「お兄ちゃんの聞きたいことって、きっとお姉ちゃんの事だよね?」

「ああ、アリエラのことだ」

「やっぱり……わたしもお姉ちゃんの事について、お兄ちゃんに話したいことが、ある」

レンもアリエラのことについてか、ここは先に話を聞いた方がいいかもしれないな


「なら、レンが先に話してくれ」

「んっ……わたしは、昨日の夜にお姉ちゃんがお兄ちゃんを避ける理由を聞いてみた」

「レンもか……アリエラから教えてもらえたのか?」

俺は少し期待を込めてレンに質問する

「うん。でも今ここで教えてはいけない理由だって、わたしは思った」

「……そうか」

俺はため息をつく。どうやらレンも俺に教えてくれる気はないらしい。一番期待していた相手から聞き出せないことに絶望を感じた


「……でも、お兄ちゃんは明日には聞けると思う。お姉ちゃんが逃げなければ」

「ん? それはどういうことだ」

「明日、お姉ちゃんはお兄ちゃんに色々なことを伝えるって言ってた……放課後に教室でって。だから、お兄ちゃんはお姉ちゃんが話してくれるまで待ってあげてね」

「明日か……避ける理由以外にも、何かあるのか?」

「わたしからは言えないけど、お姉ちゃんにとって、大事なこと」

「そうか……なら、俺はアリエラを信じて待っていればいいんだな」

「んっ」


「ありがとう、レン。おかげで俺からレンに聞く必要も無さそうだ」

俺はレンの頭に手を置いて、優しく撫でる

「んぅ……」

レンは目を細めて、心地よさそうにしている。もう少し撫でたくなったが、下校時間が押しているので俺は手を離した

「そろそろ帰るぞ。俺が途中まで送っていくよ」

「んっ……」

レンは名残惜しそうにしていたが、渋々帰り支度を始めた

終わったことを確認した俺は、また少しだけ頭を撫で、レンを女子寮まで送り届けた

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レンと約束をして二日が経ち、遂にこの日がやって来てしまった

昨日は告白のセリフを色々と考えて過ごしたけどあれも駄目これも駄目と切り捨て続けて、結局何も思い浮かばなかった

それに、昨日レンからボクが今日の放課後に教室で待ってると伝えたと言われ完全に逃げられなくなった。そのせいで朝から心が不安で一杯だ

逃げたい、休みたいと思ったけど、そんな事をすれば物部クンを裏切る形になり、今よりもっと酷いことになりかねない。だから重い腰を上げて何とか登校することは出来た

授業が一つ一つ終わるごとに放課後の時間が近づき、どんどん焦りが大きくなっていく。けれど決心したことを思い出して逃げようとする気持ちを抑えつける

授業がほとんど身に入らないまま、放課後を迎えようとしていた――

―――
――



放課後、レンがボクと物部クン以外の人に教室から出るよう説得し、皆は先に帰宅した。レンはその後、ボクと物部クンを残して教室の外に出ていってしまう

二人きりになると、物部クンはボクの席まで歩いてきて、声をかけてきた

「アリエラ、昨日レンから大事な話があるって聞いたんだが」

「う、うん。え、えっとね……」

ボクも慌てて席を立って物部クンと向き合う。駄目だ、頭が真っ白になって何も言葉を発せない


どうしよう、どうしようどうしようどうしよう……

物部クンは静かにボクを見つめ、答えを待っている。でもそんなに見つめられていると緊張して言葉が逆に出てこないんだ

……見つめられていると無理なら、いっそ物部クンの顔が見えないようにすればいいんじゃないかな?

逃げ出したいと思い始めた最中、ボクはそんな考えにたどり着いた。混乱しているボクはその条件に会う行動を考え出し、すぐ行動に移した

「……ご、ごめん!」

ボクは無我夢中で物部クンを抱きしめる。これで顔を見ることがないし、抱きしめていれば逃げ出そうともしないはずだよね


「あ、アリエラ?」

当然、物部クンはこの現状に困りだして声を上ずらせながらボクを呼ぶ

「こ、こうでもしないと逃げ出したくなりそうで……だから我慢して」

「わ、分かった」

物部クンは声を上ずらせたまま許可してくれた。ボクはそのままの体勢で深呼吸し、話し始める


「ボ、ボクが物部クンを避けてた理由だけど――」

ボクはここまで言ってまた深呼吸し、心を落ち着かせる。そして頭の中で考え、またゆっくりと話す

「ボクが君のことを……物部クンの事を……」

ここで一旦止める。ここから先を言うには勇気……いや、思い切りが必要だ

もうどうなったっていい、もし断られても……こんな辛い思いを抱え続けるなら玉砕して諦められた方がいい――そんな変な思い切り


そんな事を考えて、いざ言おうとした時にレンからの言葉を思い出した

――お兄ちゃんは、大切なモノを何もかも背負おうとしちゃう人。だから、きっと悪い結果にはならないと、思う

思い返せば、ドラゴン化しようとしたイリスどころかクラスメイトのボク達、果てには敵として立ちはだかっていた紫音やキーリまで見初め、そしてつがいにした。そんな彼が無茶をしてまで見初めたボクをここで好きではないと断れるとは思えなかった

……ボクは、玉砕覚悟で話すと言う考え方を改めることにした。きっと、レンの言うとおり断る事はしないだろう。でも、きっとボクが思いを告げたら、今まで以上に彼は悩んでしまうかもしれない

だから、ボクが言うべき事は――


「ボクは、君のつがいになってから……君の事が大好きになってしまったんだ。一人の男性として」

「アリエラ……」

ボクは自然と、思いを言葉にすることが出来た。けどこれだけではいけない

「だから、君が眩しすぎて……直視すると胸が高鳴り始めて……まともに話すことすらできなくなっていたんだ。恋するってこういうことなんだね」

恋に関して思った事を彼に告げる。何故か今のボクは、落ち着いて話せるようになっていた

「でも、物部クンはイリスや深月、フィリルやキーリ……他の皆からも同じように言われて、きっと困っているよね? だから、ちゃんと考えて……決めてくれればいいよ」

物部クンは沢山の人から愛されてるから、今すぐボクを選んでなんて言えない。だからその選択肢の中にボクが入ることを教えるだけでいい。そう思ってこんな事を付け加えてみる

「……ありがとう、アリエラ」

物部クンがボクの背中に腕を回して抱きしめ返してくれた

そこからしばらく、ボク達は無言で抱き合い、時間を過ごした

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教室の外で聞いていたわたしは、お姉ちゃんの告白を聞いて、ほっとした

お姉ちゃん……緊張が解けてちゃんと伝えられて、よかった

これから、お兄ちゃんはもっと大変なことになっちゃうかもしれないけど、お兄ちゃんはきっとちゃんと考えて、選んでくれるって、信じてる

わたしはお姉ちゃんが幸せなら……それでいいけど

わたしはこれ以上盗み聞きするのは良くないと思って、こっそりと女子寮まで帰宅した

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その日の夜、俺は早速シャルに連絡を取る

『おお、そなたか。何か情報は見つかったか?』

「前に言ってた人の変化の可能性についてだが、どうやら見当違いだったみたいだ」

『そうだったか。簡単に見つかるものでもなかろう……また何かあったら連絡を寄越すように』

「分かった。じゃあこれから夕飯を食べるから切るぞ」

『うむ、ではまたな』

端末を切り、俺は食堂に向かった

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次の日、俺はいつも通り深月と登校し、教室に入り挨拶する。するといつも通り教室の皆が出迎えてくれた

そして俺は鞄を机に置いて授業の支度をしていると、アリエラが俺の席までやって来た

「おはよう、悠クン」

「ああ、おは……」

俺は挨拶を返そうとしたが、違和感がしてそこで止まってしまった

辺りを見回すと、皆呆気に取られて言葉が出ないようだった


「どうしたの? そんな驚いた顔をして」

「……アリエラ、もう一度俺の事を呼んでみてくれ」

聞き間違いだったかもしれないと思った俺は、アリエラに頼んでみることにした

「いいよ。悠クン」

ニッコリと微笑みながらアリエラは俺の事を名前で呼んだ。どうやら聞き間違いではなく、本人の意思で言ってることが分かった


「……き、昨日の今日でいきなりどうしたんだ」

「別に、ただ名前で呼んでみたかっただけだよ」

動揺している俺に、アリエラは淡々と答える。あれだけ恥ずかしがっていたのに、一日でこんなに変化していることが俺には不思議でならなかった

「そ、そうか……」

「うん。あっ、そろそろHRが始まりそうだから席戻らないと」

アリエラはそそくさと席に戻る。アリエラ以外もそれを見てから席に座った

これはシャルの言っていた精神的変化に入るのだろうか。いや、多分入らないだろうな

この日を堺に、アリエラの大攻勢が始まる事は今の俺が知る由もなかった


アリエラ編 終わり

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シャルロット「これで全員の結果が出揃ったわけだな」

シャルロット「最後は私が危惧していたような変化は起こらなかったな。まあその方が良いとは思うが……」

シャルロット「しかし、あくまでここで出たのは可能性の一つでしかない。もしかしたら他の変化もあったかもしれないだろうな」

シャルロット「まあ、これについての研究は直近の問題を片付けられた後にでもしようか」

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シャルロット「これから、第九の災厄との戦いが起こるだろう」

シャルロット「そこで我が友……物部悠と乙女達が彼奴に勝つ可能性、または負ける可能性……両方が存在するだろう」

シャルロット「この世界を見ているそなたに、私達の結末を見守っていて欲しい……頼むぞ?」

シャルロット「……私もそろそろ退場するとしよう」

シャルロット「では、またどこかで会おう」

シャルロット「人型ドラゴンとつがいの”D”の精神的変化」Final 終わり

書き始めて200日くらいしてやっと完結
今読み返すと書き直したいキャラ多いけど
ここまで読んでくれた人がいたら嬉しいですね

では依頼してきます

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