シャルロット「人型ドラゴンとつがいの"D"の精神的変化」2 (90)

銃皇無尽のファフニールⅨのネタバレがあります

現在の話の戦いが終わった後を想定しています

前作からの続きですが、つながりは無いのでこのスレが初めてでも問題ないです

今回からはモチベの関係もあり一、二キャラほど書いたら次スレを建てることにします(詳しくは前回の最後参照)

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前スレ

【ファフニール】シャルロット「人型ドラゴンとつがいの"D"の精神的変化」
【ファフニール】シャルロット「人型ドラゴンとつがいの"D"の精神的変化」 - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1436547859/)

SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1438500131

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キャライメージ

・前スレメインヒロイン

物部深月
http://i.imgur.com/koHwfXL.jpg

レン・ミヤザワ
http://i.imgur.com/n4Xv0E5.jpg

キーリ・スルト・ムスペルヘイム
http://i.imgur.com/S5NATtQ.jpg

フィリル・クレスト
http://i.imgur.com/58u469g.jpg

・その他レギュラー

物部悠
http://imgur.com/2ueiimT.jpg

シャルロット・B・ロード(金髪)とマイカ・スチュアート(メイド)
http://imgur.com/t5bTvEk.png

今回は彼女がメインです
あと、オリジナルキャラが出てきますがチョイ役なので特にここでは紹介しません
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キャライメージ

リーザ・ハイウォーカー
http://i.imgur.com/bBicabd.jpg

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戦いが終わり数日経った夜

リーザ「――-はい、こんな夜更けになんでしょうか?」

リーザ「……不参加というのは――そう、ですか」

リーザ「――分かりました、ですが一つお願いがありますわ」

リーザ「――彼を連れて行きたいのですが、きっとボディーガードになってくださるかと」

リーザ「――ありがとうございます。ただ、彼が許可してくれなかったら一人で行きます」

リーザ「――はい、おやすみなさいですわ、父様」

プツッ

リーザ「……はぁ、困りましたわ」

――――――――――
翌日
放課後 ブリュンヒルデ教室

悠(授業終了のチャイムが鳴り、号令をかけて今日の授業が終わった)

悠「さて、帰って課題でもしないとな……」ガタッ

リーザ「モノノベ・ユウ、ちょっと待ってください」

悠「どうした、リーザ」

リーザ「あなたにお願いしたいことがありますわ」

リーザ「実は五日後、わたくしはハイウォーカー家主催のパーティーがありますの」

悠「パーティーか……という事は、一旦帰国しないといけないわけだな」

リーザ「ええ、もちろん学園長やアスガルの上層部などへの許可も父様が貰っていますから、行かない理由がありませんわね」

リーザ「で、モノノベ・ユウにはそのパーティーに同行して欲しいのですわ」

悠「お、俺が?」

リーザ「ええ、理由としてはわたくしを守る優秀なボディーガードとして、あなたが適任だと判断したからですわ」

リーザ「どうやら最近、ハイウォーカーグループで働いている人が各地で狙われる事件が多発しているらしく、主犯格はムスペルの子らと対立しているドラゴン排斥団体らしい、とのことです」

リーザ「ハイウォーカーグループはミッドガルへの出資を行っており、そのせいであると考えられますわね」

悠「なるほど、そうなるとパーティーに乱入してテロ行為を起こす可能性もある、と言うことか」

リーザ「ご名答、ですわ」

悠「さすがにパーティーの時期を遅らせる……ということを出来たらこんなお願いもしないだろうし、俺でよければリーザのボディーガードになる」

リーザ「感謝しますわ。早速連絡を入れておきますわ」

悠「ああ、よろしくな」

>>6 
× 悠「ああ、よろしくな」
○ 悠「ああ、分かった」

――――――――――
五日後

悠(あっという間に五日が経ち、俺とリーザは準備をしてハイウォーカーグループの専用機に乗り、ミッドガルを離れた)

リーザ「乗り心地はどうですか、モノノベ・ユウ」

悠「揺れを感じないし、座り心地も悪く無くて快適だな」

リーザ「それなら良かったですわ」

悠(リーザはここ数日、少し機嫌が良さそうに見えた)

悠(無事戦いが終わり、やっと日常に戻れたからだろうか? 俺にはよくは分からないが落ち込んでいるわけではないので理由は訊かずにいた)

悠(その様子を眺めながら、俺はシャルに言われた話を思い出した)

――――――――――
回想

悠「つがいとなった”D”の変化、ですか?」

シャルロット「うむ、そなたにはリーザ・ハイウォーカーと彼女の故郷に行くときに、色々と彼女の変化があったら記録して報告して欲しい」

シャルロット「まだまだ人型ドラゴンとも言えるそなたとそのつがいになった”D”の間にどのような変化があるかは分からん、故にデータを取る必要があるのだ」

悠「前例が無いですからね……そういったことは確かに大事ですね」

悠「でも、それなら他の皆にも伝えておいたほうがいいんじゃないですか?」

シャルロット「他の者に関してはそなたが帰国してからにする」

シャルロット「まだ戦いが終わって数日だ、あまり不安がらせても仕方が無い」

シャルロット「少し時間を空け、落ち着いてから話したほうがいいと判断した」

悠「そうですか……分かりました」

悠「ばれないように、何とか記録をとってきます」

シャルロット「うむ、よろしく頼むぞ」

――――――――――
現在

悠(と言う感じで、俺はシャルから別な任務を受け持っていた)

リーザ「モノノベ・ユウ?」

悠「ん、どうした? リーザ」

リーザ「いえ、何か考え事をしてるように見えたので……」

悠「あ、ああ……なんでもない」

リーザ「そうですか……ですが、両親の前ではしっかりしてください」

リーザ「そんな考え事をしていたら、困りますわよ」

悠「スマン、気をつける……」

悠(その後、数時間を専用機の中で過ごした)

――――――――――

ハイウォーカー家

悠(俺たちはリーザの住む屋敷に到着すると、屋敷で働いている召使いに案内されて応接室のような部屋に連れて来られた)

悠(部屋に入ると、先に二人が席に座って待っていた)

マーク「久しぶりだね、ミスター・ユウ」

悠「お久しぶりです」

悠(彼はマーク・ハイウォーカー、リーザの父親だ)

悠(彼から手を差し出されたので、俺も手を出して握手を交わした)

リンダ「あなたとまた会うことが出来て、嬉しいわ」

悠「こちらこそ」

悠(彼女はリンダ・ハイウォーカー、リーザの母親だ)

悠(彼女からも握手を求められ、俺は握手を交わす)

マーク「ところで、食事は済ませているかい?」

リーザ「いえ、まだですわ」

リンダ「それなら、お二人に夕食を用意しないといけませんね」

悠(リンダさんが召使いに指示を出すと、召使いが連絡を掛ける。きっと料理を作るように連絡しているのだろう)

マーク「では、私はパーティーの準備などで仕事があるから、これで失礼するよ」

リンダ「帰ってきたリーザといっぱいお話したいけれど、今回は無理そうね……」

リーザ「父様も母様も忙しいのですから、仕方がありませんわ」

マーク「今度また来る時があったら、その時に頼むとしよう」

マーク「ミスター・ユウの寝泊りする部屋は、召使いの彼に教えてもらいなさい。後はバスルームやトイレも、きっと広いから迷うかもしれないからね」

リンダ「では、また明日ね」

悠「はい」

リーザ「また明日、ですわ」

――――――――――

悠(二人が部屋を出た後、召使いの人に部屋を案内され、色々と説明を受けた)

悠(説明が終わると、夕食が出来たと言われて案内される)

悠(部屋着くと先にリーザが座っていて、リーザの前に食事が用意されていた)

悠(俺が席に座ると、食事が始まる)

リーザ「……」パクッ

悠「……」パクッ

悠(俺たちは学園の時と違い、無言でゆっくりと食べていた)

悠(召使いは部屋から出ていて、二人きりでいつもより広い空間で食べているせいだからだろうか)

悠(食べている途中でリーザが口を拭くと、沈黙を破ってきた)

リーザ「モノノベ・ユウ、美味しいですか?」

悠「ああ、こんな美味しい料理、俺が生きてる間には中々食えないかもしれないな」

リーザ「そんなことは無いと思いますわ。少なくともわたくしかフィリルさんの屋敷に招待されれば、こういう機会はたくさんあると思いますの」

悠「確かに、そうかもしれないな」

リーザ「……ところで、一応用意しておいた箸で食べても問題ありませんわよ?」

リーザ「ナイフやフォークの使い分けなどのテーブルマナーは、わたくし達の間でそこまで気にすることではありませんから」

悠「いや、あまり詳しくないからこそ、今のうちにこういったことを身につけられる機会だと思ったんだ」

悠「”郷に入っては郷に従え”って言う言葉もあるわけだし、見よう見まねで何とかすれば、出来なくは無いからな」

リーザ「見られているわたくしは、あまり落ち着かなくて困りますが……そういうことなら、仕方がありませんわね」

悠(雑談をはさみながら、俺たちはゆっくりと食事を平らげた)

――――――――――
悠の寝室

悠「屋敷の風呂……広かったな」

悠(俺は食事の後は風呂に入り、夜も遅いのですぐにベッドに入った)

悠(時差が違うのであまり眠気を感じないが、特にすることもないのでそのままぼうっとして眠気が来るのを待った)

悠「深月は、宿舎に一人で寂しがっていたりしないか気になるな……深月はしっかり者だし、それはないか」

悠(俺は幼い頃を思い出して、懐かしみながら眠りについた――)

――――――――――
翌日

悠(パーティーの始まる午後までは、俺とリーザは朝食を食べてから二人で雑談をしながら屋敷内を歩き回った)

悠(屋敷は広く、ミッドガルの校舎などちっぽけに思えるほどだ)

悠(のんびりと過ごしていると気づいたら昼食の時間になっていたり、とにかく規模の違いを痛感させられた)

悠(そして今、ついに初日のパーティーが開催される――)

――――――――――
午後
パーティー会場

悠(俺はパーティー用のスーツを借り、それを身に纏った)

悠(ボディーガード用の服ではなくパーティースーツなのは、俺がボディーガードなのを悟られないためだ)

悠(それと、リーザの恋人と両親は認識しているので、リーザと君には楽しんで欲しいという考えもあってのことだった)

悠「参加者の数が凄いな……エルリア公国の時以上かもしれない」

リーザ「エルリア公国と比べて容易にここまで来れますから、参加しやすいというのもあると思いますわ」

悠「確かに、そうかもしれないな」

リーザ「とりあえず、わたくし達も料理を取って、食べましょうか」

悠「ああ」

悠(並んでいた料理の中から、食べたいものを自分の皿へ盛り付けて、開いているテーブルに陣取って食べる)

悠(その途中、お客の一人がリーザに話しかける。俺たちとそこまで年の変わらない男性だった)

悠(彼はリーザに挨拶した後、少し世間話をしてから俺に話しかけてきた)

悠(どうやら男の”D”を知っている数少ない人物のようで、俺に小声でその事を事細かに訊いてきた)

悠(俺があらかた答えると、彼は満足したのかありがとうと言ってその場を立ち去った)

悠「やっぱり、ここにも俺のことを知っている人物がいるんだな」

リーザ「ええ、初日である今日はミッドガルの事情に詳しい方がどうやら多いみたいですわ」

リーザ「ほら、わたくしやモノノベ・ユウに興味心身といわんばかりに遠くから見ているお客さんが多いですわ」ボソボソ

悠「見られていると思ったら、そういうことか」ボソボソ

悠(俺とリーザが小声でやりとりをしていると、貴婦人や若いお嬢様、お坊ちゃまといわんばかりの男性など色々な人が俺たちに話しかけてきた)

悠(特に聞かれたのが俺とリーザの関係で、もしかしたらこの流れに紛れ込んでスクープされるかもしれないと思った俺たちはとりあえず適当なことを言ってごまかした)

悠(ある程度人の波が落ち着いたときに、リーザと俺は会場を出て外に出た)

――――――――――
庭園 テラス

悠(俺たちはテラスに着くと、席に座ってぐったりしていた)

悠「あんなに質問責めされるなんて思わなかったな」

リーザ「そうですわね……」

悠「ミッドガルに来る前は、どうしてたんだ?」

リーザ「とりあえず、話しかけられたら挨拶くらいはしていましたわね」

リーザ「ただ、わたくしにわざわざ挨拶してくる人はそう多く無かったですわ」

リーザ「いるとしても、ほとんどはわたくしの結婚候補の男性ばかりでしたわ」

悠「ああ、そう言う事か……」

悠(俺とリーザがリーザの両親の前では恋人ということになっているのは、そろそろ結婚相手を選んで欲しいが、リーザはまだその気ではないからという理由で考えた作戦だ)

悠(その時、ユグドラシルの襲撃からリーザの両親を救ったことで俺は結婚相手として認められているが、もしかしたらまだリーザのことを狙っている候補者がここに来ているかもしれないな)

悠(……今日はまだ何ごとも無かったけど、明日のパーティーは警戒しておかないとな)

リーザ「さて、もうそろそろ今日のパーティーはお開きですから、戻りますわよ」

悠「ああ、分かった」

――――――――――
パーティーが終わった後
悠の寝室のドアの前

リーザ「……」

リーザ(後二回しか、チャンスがありませんわ)

リーザ(だから、こうして彼の部屋まで来ましたのに……)

リーザ(ノックすることすら、今のわたくしには出来ません)

リーザ(……わたくしのこの気持ちを、モノノベ・ユウに伝えないと……いけませんのに)

リーザ「……はぁ」

リーザ(わたくしは結局、ドアをノックすることすら出来ず、苦い思いをしながら自室に戻ることにしました)

リーザ(後一日……その時には、絶対に……)

書き溜めは以上です
今から書いてきます

書き終えたので投下します

――――――――――
???

???「――私だ、手筈は整っているな?」

???「――決行は明日だ、しくじるなよ?」

???「――ああ、頼んだぞ」プツッ

???「あんな男に、私のリーザを譲るつもりは……ない」

――――――――――
翌日


悠(俺が起きて少しして、朝食を食べるため召使いに案内してもらうと、部屋の中が騒々しかった)

悠「何かあったのか、リーザ?」

リーザ「ええ、こんなものが届いておりまして……」

リーザ「『今夜のパーティーに乱入し、そこにいる”D”を始末する』と書いてありますわ」

悠「つまり狙いはリーザか、この内容だとドラゴン排斥団体の可能性が高いな」

リーザ「このままわたくしがパーティーに参加すれば、来場者への被害は免れませんわね」

マーク「ただのいたずらとは思えない、かといって遠くからここまで来ているお客人のことを考えるとパーティーを中止することも出来ない」

リンダ「困りましたわ……」

リーザ「それなら、わたくしはパーティーに参加しなければいいと思いますわ」

悠「いや、それでは多分解決しない」

リーザ「何故ですの?」

悠「あいつらの狙いは確かにリーザかもしれない、けれどもしそこにいなかったらパーティーの参加者を人質にしてリーザを出すように要求するかもしれない」

マーク「今までの彼らのやり方なら、ハイウォーカーグループに所属している社員を襲撃しているから、パーティーに招かれているお客人も無差別に襲撃されておかしくないといえるね」

リーザ「つまり、パーティーの中止が出来ない以上は会場を離れて待つのは得策ではないみたいですわね」

悠「ああ、だから欠席するわけにはいかない」

マーク「……とりあえず、警備を厳重にする必要がありそうだね、私は警察に要請してくるとしよう」

悠(彼が出て行くと、残されたリンダさんは俺のほうを見る)

リンダ「……あなたにお願いがあります」

リンダ「娘を、私たちを助けてくれたみたいに……守ってください」

悠「もちろんです、リーザだけでなく、パーティー会場の参加者も死なせずに守ります」

リンダ「ありがとうございます」

悠(俺の言葉を訊いて、少しだけ翳っていた表情が明るくなるのを見た)

――――――――――
昼 
テラス

悠「なあ、リーザに訊きたい事がある」

リーザ「訊きたい事?」

悠「ああ、今回のパーティーの参加者に、リーザの結婚候補者ってどれくらい参加しているんだ?」

リーザ「昨日だけですと……十五人ほどは見かけましたわね」

リーザ「それでも、まだまだ三分の一くらいですわ」

悠「……予想以上に多いんだな」

リーザ「仕方がありませんわ」

リーザ「ところで、わたくしの結婚候補者について訊いて何がしたいんですの?」

悠「もしかしたら、昨日の件で俺とリーザが一緒にいたことをきっかけに俺に恨みを持つ人物がいてもおかしくないんじゃないかと思って訊いてみたんだ」

悠「その私怨からドラゴン排斥団体を雇って、今回のパーティーの時に襲撃させるとか、そういったことをする人がいてもおかしくは無いと思ったんだ」

リーザ「そういうことですか……でも、わたくし達の関係についてわざわざ父様が結婚候補者達に伝えるとは思えませんが」

悠「とりあえず、確認をとってみたらどうだ?」

リーザ「……分かりましたわ」ピッピッ

prrrr

マーク『リーザか、何か私に用かな?』

リーザ「はい――と、言うことでわたくしが交際をしていると候補者の皆様に伝えたりしませんでしたか?」

マーク『そのことはかなり前にもう伝えてしまったよ』

リーザ「」

悠「」

マーク『ああ、ちなみにミスター・ユウの名前は教えていない。そこは安心してくれ』

リーザ「分かりましたわ。忙しいところ失礼しましたわ」

マーク『パーティーの時は十分警戒するんだぞ、リーザ』

リーザ「心得ていますわ、父様」

マーク『では、またパーティーの時に』プツッ

悠「……これで、今日の襲撃の理由が分かった気がする」

リーザ「ええ、わたくしも何となく分かりましたわ」

悠・リーザ「「今回の襲撃対象は」

悠「俺だな」

リーザ「モノノベ・ユウですわ」

悠「さて、分かったところで作戦を立てるか」

リーザ「はい、被害をゼロにする方法を早急に考えないと……」

――――――――――

パーティー会場

悠(夜まで考え抜いた結果、俺たちは会場の壇上側で迎え撃つことにした)

悠(なるべく被害を減らすため、お客人には壇上側に立たないようにしてもらい、俺達と距離をとるようにして戦闘の時に邪魔にならないようにしてもらっている)

悠「……何ごとも無いのが一番だが」

リーザ「そんなこと言ってますと、逆に悪い方に向かいますわよ」

悠「悪い……」

リーザ「でも、あなたとわたくしがいればきっと守れますわ」

リーザ「うまくいくかは不安ですが、やらなければなりません」ギュッ

悠(リーザは手に持っている架空武装を握り締め、決意を固める)

悠(リーザが架空武装を生成しているのは、不意な襲撃に対して即座に防壁を張るためだ)

悠(俺の反重力弾(アンチ・グラビティ)ではこの会場の広さでは守りきれない、だからリーザに防壁を張ってもらう必要がある)

悠(俺は、リーザが防壁を張ってから、俺もAT・ネルガルを生成して戦うつもりだ)

悠(その前に――俺は自分の意識の底にある”悪竜(ファフニール)”を呼び起こす)

悠(これで知覚を拡大し、俺は殺意を読み取り始める)

悠「……っ!?」

悠(四十を越える殺意が、すぐそこまで迫っているのが分かった)

悠「リーザ、防壁の準備を!」

リーザ「えっ?」

悠(その瞬間、会場の窓が一斉に割られ、何者かが侵入してくる)

リーザ「くっ……防壁展開!」

悠(防壁でガラスの破片から守る)

侵入者A「”D”に向かって怯まず撃て!」バンバンバン!

悠(侵入者は防壁を見ても気にせず会場の高台からリーザと俺の元へ銃弾を撃ち込んで来る)

悠(俺はすぐさま高台へ上る階段まで移動し、細心の注意を払いながら進む)

侵入者C「いたぞー!」

悠「遅い!」バン

侵入者C「ぐあああああ!」バタッ

悠(向かいざまに俺がすばやく撃つと、命中した侵入者は気を失った)

悠(ネルガルは非殺傷武器であるが、射出式のスタンガンで当たれば確実に相手の意識を奪うことが出来る)

悠(当たったらしばらくはまともに歩けないため、今命中した侵入者はもうしばらくは動けないだろう)

侵入者D「敵は一人だ、とにかく撃て!」バンバンバン

侵入者E「うおおおおお」バンバンバン

悠「ダマスカス09P!」カキンカキン

悠(俺は弾の軌道を読んですかさず対物装甲――ダマスカス09Pを複数展開する)

侵入者D「弾いただと!?」

悠「遅い!」バンバン

D・E「ぐああああああああ!」バタッ

悠「急がないとな……」

悠(俺は、迅速に動いて、敵を迎え撃った)

――――――――――

悠(俺は力の限り走り、片側の侵入者約二十人を排除した)

リーザ「モノノベ・ユウ! もうそろそろ防壁も限界ですわ!」

悠「分かった! もう少し持ちこたえてくれ!」

悠(俺は急いで階段を降り、反対側の高台まで向かう)

侵入者A「くそっ!この化け物がぁぁ」バンバンバン

悠「邪魔だ!」バン

侵入者A「ぎゃあっ!」ドサッ

侵入者B「仲間の仇ぃ!」バンバンバンバン

悠「ダマスカス09P!」カキンカキン

悠「無駄だ!」バン

侵入者B「ちくしょおおおおお!」ドサッ

悠「っ!」バンバンバンバンバン

E「ぐえっ!」

F「ぎゃふん!」

G「ぐはっ!」

H「ぐあっ!」

I「うおっ!」

悠(手当たり次第ネルガルで撃ち、片っ端から侵入者を気絶させる)

リーザ「これで全員ですか!?」

悠「ああ、”ここにいる殺意を持った奴は全員片付けた”」

悠「だが、まだ一人外にいる!」

リーザ「な、なんですって!?」

悠「今からそいつのところへ向かうぞ!」

リーザ「分かりましたわ! わたくしに捕まってください!」

悠(リーザが風を生成して飛び立ち、俺はネルガルを持ってない手でリーザの腕に捕まった)

――――――――――
庭園

???「くっ、やはり所詮はただの宗教団体の一員では力不足か」

???「やはりニブルから雇ったほうが可能性はあったか……」

???「と、とりあえず私はここをさっさと立ち去らねば」

悠「なるほど、あんたが今回の首謀者か」

リーザ「まさかあなたがこんなことをするとは思いませんでしたわ」

???「なっ!?リーザに男の”D”!? 何故ここが?」

悠「殺意を持っている人間の中でお前だけ会場から離れていた、それを頼りに探したんだ」

???「殺意を? 何を言っているんだ君は!」

リーザ「そんなことは今はどうでもいいですわ」

リーザ「それより、何故パーティーを滅茶苦茶にするようなことを企てたのですか? エイヴ・マグネスさん」

エイヴ「簡単なことだ、私のリーザがお前みたいな庶民を選んだことが気に喰わないからだ!」

悠「お、俺か?」

エイヴ「そうだ! マーク・ハイウォーカーからリーザに恋人が出来たと聞いて以来、私はその相手が誰なのかを必死に探していた」

エイヴ「そして、ミッドガルには実は男の”D”が一人いたという事実にたどり着いた」

エイヴ「つまり、ミッドガルにいるリーザが惚れこむとしたらその男しかいない! だから昨日あれだけ近くでべったりしていた貴様を殺すように仕組んだわけだ」

悠「……」

リーザ「……やれやれ、ですわ」ハァ

エイヴ「何故そんな見下したような目で見る! 私を馬鹿にしているのか!?」

リーザ「男としての器が小さすぎて、呆れているだけですわ」

エイヴ「馬鹿にしているではないか!」

リーザ「いちいち起こらないで欲しいですわ。頭が痛くなります」

エイヴ「……かくなるうえは、俺が直接貴様を殺す」サッ

悠(エイヴと呼ばれた彼は、ポケットからナイフを取り出して構える。しかし、構えがあまりにも素人過ぎて、脅威ではなかった)

悠「……俺を殺す気でいるなら、かかってこい」

悠(俺は”悪竜(ファフニール)”を意識の底に沈め、近接戦闘の構えを取る)

悠(それを見た彼は、足を震わせて動こうとしない)

悠「……どうした、殺すつもりじゃないのか?」

エイヴ「……う、うああああああっ!」ダッ

悠「そんなんじゃ、刺せないぞ」ボコッ

エイヴ「がはっ!」

悠(俺が隙だらけの腹に一撃を加えると、彼はその場に蹲る)

エイヴ「い、痛い……」

悠「おとなしくしてろ。リーザ、マークさんと警察に連絡を」

リーザ「ええ、分かりましたわ」ピッピッ

――――――――――

リーザ(その後、エイヴと彼に協力していたドラゴン排斥団体のメンバーは全員警察に連れて行かれましたわ)

リーザ(被害は割れたガラスとお客人が誤って落としたグラス、皿くらいでしたわ)

リーザ(一連の騒動が終わった後、残りの時間で父様がモノノベ・ユウを会場の皆様に紹介し、彼はヒーローだとお客人から称えられて大変そうでしたわ)

リーザ(この騒ぎに紛れて報道しにきたマスコミには、男の”D”であることは公表しないように父様が圧力を掛けているのが見えましたので、多分報道関係では問題ないと思いますわ)

リーザ(パーティーが終わった後は、召使いに会場の清掃を任せて、わたくしとモノノベ・ユウはお風呂に入り、彼の部屋の前まで向かいましたわ)

――――――――――

悠の部屋の前

悠「じゃあまたな、リーザ」

リーザ「……」

悠「リーザ?」

リーザ「も、モノノベ・ユウ!」

リーザ「きょ、今日は一緒に……寝てもいいですか?」

シャワー浴びてから残り投下します

続き投下します

――――――――――

悠「……」

リーザ「……」

悠(二つ返事で良いと言ってしまったが、とても寝れる気がしない)

リーザ(ど、どど、どうしましょう。恥ずかしくて喋れませんわ)

リーザ(い、いや。ここで止まってはいけませんわ!)

リーザ(二人きりになれる最後のチャンスでここまで来たのですわ! 一歩を踏みしめるのです!)

リーザ「あ、あの……モノノベ・ユウ」

悠「ど、どうした? リーザ」

リーザ「その……少しわたくしの頭を撫でてください」

リーザ「き、きっと少しは落ち着ける……はず、ですわ」

悠「わ、分かった……」ナデナデ

リーザ「んっ……」

リーザ(ああ、いつもティアさん達が良くしてもらっているなでなで……心地が良いですわ)

リーザ「……ありがとうございますわ」

悠「ああ、どういたしまして……」

リーザ「……わたくし、あなたに言いたいことがありますの」

悠「なんだ?」

リーザ「あの……学園祭の時に最後の練習と言ってキスをしようとしたときのことですわ」

悠「……そ、そういえばそんなこともあったな」

リーザ「……あなた、まさか忘れていましたわね?」

悠「……」

リーザ「仕方がありませんわね……」

悠「すまん……ところで、その時のことがどうしたんだ?」

リーザ「あの時わたくしは最後の練習と言ってましたが、あれがちゃんと出来ていたらどうしようという不安もありながら、出来なかった時は少し悔しいと思いましたわ」

悠「……」

リーザ「恋人の振りをするために行っていたことなのに、モノノベ・ユウといるうちに、わたくしはあなたにとても心が惹かれていましたの」

リーザ「でも、この前のつがいになった日ですら伝えようとしても出来ず、ここまで引っ張ってしまいましたわ」

リーザ「だから改めて言わせてください」

悠「……ああ」

リーザ「わたくし、リーザ・ハイウォーカーは――」

リーザ(わたくしは深呼吸をして、いいたい言葉を頭の中で反芻する)

リーザ「――モノノベ・ユウ、あなたのことを……」

リーザ「……愛して、います」

悠「……」

リーザ「返事に困っているんですわね?」

悠「……ああ」

リーザ「今すぐで無くてもいいですわ。イリスさんや深月さん、フィリルさんやティアさん、キーリさんとあなたに明確に好意を向けているのは知っていますわ」

リーザ「だから、誰を選ぶかは”ユウ”がしっかり悩んで、結論を出してください」

悠「ありがとう、リーザ」

リーザ「でも、最後にこれだけはわたくしにして欲しいことがあります」

悠「……なんだ?」

リーザ「……学園祭で出来なかった最後の練習を、しましょう?」

――――――――――
翌日

悠(身支度を済ませ、俺とリーザはミッドガルへ帰国した)

悠(昨日の夜は最後の練習をちゃんと果たすと、リーザは取り乱すことなく、自室へと帰った)

悠(理性を抑えるので必死だったので、結果として間違いを犯さずに済んだのが救いだ)

悠(ただ、次の日になると少し雰囲気が変わり、前のようにあまりツンツンしているように感じなくなった、そんな感じがした)

悠(帰国後、俺はシャルの元へと報告に行く)

――――――――――
学園長室

シャルロット「ふむ……さすがにこの短期間では対して変化はないか」

悠「そうですね」

シャルロット「何がともあれ、ご苦労だったな」

シャルロット「あちらでの活躍もテレビで紹介されているな、お手柄だった」

悠「ありがとうございます」

シャルロット「それで、リーザ・ハイウォーカーとは何か進展したのか?」

悠「え?」

シャルロット「だから、私はリーザ・ハイウォーカーとの関係に何か進展はあったのかと聞いておるのだ」

悠「べ、別に何も無いですよ」

シャルロット「……これは支配の力で聞き出すしかないようだな」

悠「……用事を思い出したので、失礼しますね」

シャルロット「こら、勝手に帰ろうとするでない!」

マイカ「シャルロット様、追いかけないで仕事をしてください」ガシッ

シャルロット「こら、離せマイカ! 私は友の恋路が気になるのだー!」

リーザ編 終わり

――――――――――

シャルロット「まったく、我が友は何故嘘をついた」

シャルロット「あの後リーザ・ハイウォーカーと友の交流を見たら明らかに前と別人の用ではないか!」

シャルロット「呼び方がフルネームだったのが名前だけになっておるし、二人きりの時はこっそりと甘えているのを私は見たぞ!」

シャルロット「後で強制的に格ゲーを夜通しプレイさせるしかないな、私の編み出した新しいコンボでぼこぼこにしてくれよう!」

シャルロット「……まあこれくらいにしておいて、後残り四人はどうなるだろうか」

シャルロット「もう少し期間をあけてからにすれば、きっともっと面白い変化が望めるだろう。ふふふ……」

リーザ編は以上です
オリキャラはGEのエリックくらいの扱いで考えていたのでこんなもので済ませました

次キャラもここに投下していく予定です。時間が掛かると思うので投下までお待ちください
ではおやすみなさい

お待たせしました
少しずつ投下していきます

今回のキャラはこちらです
――――――――――
キャライメージ

ティア・ライトニング
http://i.imgur.com/drDkh6O.jpg

――――――――――

ティアの部屋

ティア「……眠れないの」

ティア「……最近、ユウの事を考えていると落ち着かないの」

ティア「……」ギュッ

ティア(枕を強く抱きしめても、意味が無いって分かっているの)

ティア(でも、こうしてないと……なんだか切ないの)

ティア(ユウ……)

――――――――――
次の日の朝
ミッドガル学園 ブリュンヒルデ教室

ティア(結局、昨日はほとんど寝れなかったの……)

ティア(眠たいけど、今日も一日頑張らなきゃなの)

深月「おはようございます」

悠「おはよう」

ティア(眠たいのを我慢していると、ミツキとユウが教室に入ってきたの)

ティア「おはようなの! ユウ、ミツキ」

深月「おはようございます、ティアさん」

悠「おはよう、ティア」

ティア(今日もティアの旦那様はカッコイイの、いつもみたいにいっぱい甘えるの!)

ティア(そう思って、ユウに近づこうとしたけど……身体が動かないの)

ティア(な、なんで?)

悠「ん? どうした、ティア」

ティア「な、なんでもないのっ!」

ティア(ティアはユウにそう言って自分の席まで逃げ出しちゃったの……)

深月「……兄さん、ちょっとお話があるので、ついてきてください」ジトー

悠「わ、分かった……」

ティア(ユウとミツキは、突然教室を出て行ったの)

ティア(安心したような、そうでもないような……よく分からないの)

――――――――――
廊下

深月「……兄さん、ティアさんによからぬ事をしたことはないですか?」ジトー

悠「そんなことはしてないぞ? 俺も戸惑ってるくらいだ」

深月「…………兄さんがそういうなら、きっともう一つの理由が関係してそうですね」

悠「もう一つの理由?」

深月「ティアさんの年齢は、憶えてますよね?」

悠「11才だったと思うが」

深月「正解です。ところで、この年になると起こる変化といえばなんでしょうか?」

悠「……思春期か?」

深月「はい、その通りです」

深月「ティアさんがいつものようにしていた兄さんへのハグを突然行わなくなったのは、きっとこれが関係していると私は思います」

悠「なるほどな……ティアもだんだんと変わっていくわけか」

深月「そうですね、多分色々と戸惑うこともあると思うのでそこは私たちがサポートしますね」

悠「ああ、頼んだ」

――――――――――
放課後

ティア(何とか今日一日、授業中に寝ずに過ごせたの……)

ティア(でも、ちゃんと話を聞けてなかった……確かHRで学園長が大事なことを言ってた気がするけど、全然思い出せないの)

ティア(後でリーザに聞けばいいの、早く帰らないと……)

ティア「……」フラッ

ティア(ちゃんと眠れなかったから、身体がだるくてちゃんと歩けないの……)

リーザ「ティアさん、そんなにふらついて、いったい何かありましたの?」

ティア(そんなティアを心配してか、リーザが声をかけてくれたの)

ティア「リーザ……ティア、疲れた……の」フラッ

リーザ「ティアさん!」ガシッ

ティア(リーザがティアを抑えてくれたおかげで、倒れることは防げたの。でも、もう限界、なの)

ティア「ありがとな……の」スー

リーザ「……寝てますわね」

リーザ「何があったかは知りませんが、とりあえず寮に運んであげるしかないですわね」

――――――――――
女子寮
ティアの部屋

リーザ(わたくしはティアさんをおんぶしてここまで運び、カバンはフィリルさんにお願いして持ってもらいましたわ)

リーザ(制服のままでは寝にくいと思って、クローゼットの中を探してティアさんの寝間着を探して、着せてあげました)

ティア「んっ……ユウ……」スー

リーザ「……おやすみなさい、ティアさん」ボソッ

リーザ(小声でそう言って、わたくしは部屋を出ましたわ)

――――――――――
???

ティア(……もう最近、よく分からないの)

ティア(ユウにハグしたい、撫でられたいって思っても身体が動かないし)

ティア(寝るときもユウのことで頭がいっぱいで悶々として、眠れなくなってるの)

ティア(特に、ユウの記憶を取り戻すためにしたキスのことを思い出して……またしたいって、思うの)

ティア(ユウ……)

???(なら、今すぐすればいいと思うの!)

ティア(だ、誰なの!?)

ティア?(誰って、ティアはティアなの!)

ティア(確かにティアとそっくりだけど、ティアじゃないの!)

ティア?(別にそんなことはどうでもいいの!)

ティア?(それより、ティアはユウにいっぱい甘えたり、キスしたり……色々としたいって思ってるのは本当のことじゃないの?)

ティア(……そう思ったことは、確かにあるの)

ティア(でも、何故か急に恥ずかしくなって、そこから身体が動かなくなって、無理なの)

ティア?(何でそうなっているかは分からないけど、今さら恥ずかしがったところで自分が辛いだけなの!)

ティア?(そうやって自分のしたいことを我慢して、溜め込んだら辛いだけなの!)

ティア?(一度くらいなら、きっと許してくれるの!)

ティア?(だから、勇気を出して一歩進むの!)

ティア(……う、うん)

ティア(このときのティアは、ティアの偽者に反論することが出来なかったの。だってユウに甘えたいのは、本当のことだったから……)

――――――――――

ティア「……」ムクリ

ティア「ユウ……そっちに行くの」

ティア「――竜の紅翼(ティアマト)!」キィィィン

ティア「……待っててね」

――――――――――
悠の部屋の窓の前

ティア(部屋の中にある植物を操作して……何とか窓の鍵を開けられたの!)

ティア(宿舎のセンサーはハッキングして……多分これで大丈夫、なの)

ティア「……」ガララッ

ティア「……侵入成功なの」ゴニョゴニョ

ティア(ユウ……寝てるみたいなの)

ティア?(寝ているなら好都合、今がチャンスなの!)

ティア(わ、わわ、分かってるの)

ティア「……」ソーッ

ティア(徐々にユウの顔に自分の顔を近づけさせると、心臓がどくどくと高鳴るのを感じたの)

ティア(その分恥ずかしいけど……ここで止まってたらダメなの)

ティア(うう……あと少し、あと少し……)

悠「……ん?」

ティア「……え?」キョトン

悠「どうしてティアがここに?」

ティア「え……あ……」カァァ

悠「……ティア?」

ティア(どどどどうすればいいの!?)

ティア?(怖気づいてちゃだめなの! アタックなの!)

ティア(ででででも……)

ティア?(じれったいの! こうなったら任せて欲しいの!)

ティア(え、任せるってどういうこと……きゃっ!?)キィィン

ティア(突然、何かが抜けていく感覚がして、その感覚が途切れると同時にティアはユウと自分を眺めている、そんな状態になっていたの)

ティア?「……成功したの」ボソッ

ティア(えっ……これは、いったい何が起きたの?)

買い物出かけるので今はここまでで

続き書きます

ティア?(ティアが少しだけ身体の所有権を取ったの)

ティア(な、何でそんなことが出来たの!?)

ティア?(今はそんなこと気にしなくていいの、恥ずかしがり屋なティアの代わりにティアがなんとか目的を達成してみせるの!)

悠「ティア、今何か言ったか?」

ティア?「な、なんでもないの」

ティア?「それよりね……最近、怖い夢を見て眠れないの」

悠「怖い夢?」

ティア?「うん……だからユウと一緒に寝たら……悪夢も見ないかなって、思ったの」

悠「……なあ、ティア」

ティア?「?」

悠「確か、今日放課後に倒れたって聞いたんだが、それは本当か?」

ティア?「う、うん……本当なの」

悠「じゃあ、悪夢を見始めて困っていたのはいつからだ?」

ティア?「え、えーっと……」アタフタ

ティア?(こ、このままじゃ嘘だってばれちゃうの!! こうなったら……)

ティア(そこまでなの!)ガシッ

ティア?(え、ちょっと待ってなの!)

ティア(はやくティアに身体を返すの!)グイグイ

ティア?(く、苦しい……の)グワングワン

ティア?「うぐっ……あああああ!」

悠「ティア!?」

ティア?(や、やめ……)グワングワン

ティア(なら早く返して! これ以上迷惑をかけたくないの!)

ティア?(わ、分かったの!)キィィン

ティア(ティアの偽者が観念すると、さっきと違って繋ぎ合わさる、そんな感覚がティアを包み込んだの)

ティア(すると、ティアの目の前には心配していたユウの顔があったの)

ティア「よ、よかった……の」

悠「おい、ティア!?」

ティア(ユウは本気で心配してくれていたの。突然苦しみだしたんだから無理もないと思うの)

ティア「だ、大丈夫……悪いティアは……追い払えた……か、ら」パタン

悠「なっ……」

ティア「……すぅ……すぅ」

悠「……よ、良かった。生きてて……」

深月「どうしました!? 兄さん」

悠「深月……ティアの様子がおかしいんだ」

悠「早く医師に見せないと何かまずい気がする」

深月「……よく分かりませんが、とりあえず連絡を取ってみます」

悠(夜遅くだったが、急病ということで連絡を取ったらしく、すぐさま駆けつけてくれた)

――――――――――
次の日の夕方
ミッドガル学園 医務室

ティア「……ここは?」ムクリ

シャルロット「やっと起きたか」

ティア「が、学園長?」

シャルロット「そこまで驚くことでもなかろう」

シャルロット「それに、私だけではないぞ」

ティア「え?」

ヴリトラ「……」ジトー

ティア「ヴ、ヴリトラ?」

ヴリトラ「ティア・ライトニング・ユグドラシル」ギロッ

ティア「は、はい!」

ヴリトラ「まったく、最近の汝はおかしいと思ったら重要なことを隠していたとはな」

ヴリトラ「もし汝が侵食されていたら、色々と困っていたというのに」

ティア「侵食?」

シャルロット「ほうほう。ヴリトラよ、よければその話、聞かせてくれぬか?」

ヴリトラ「いいだろう」

ヴリトラ「ドラゴン化のシステムの中にあるつがいのシステムには”ドラゴンの本能”による侵食というものがある」

ヴリトラ「今まで戦ったドラゴン達のつがいになった場合、変質して少しの間は”D”だった時の意識は残っている」

ヴリトラ「しかし、それが残っていては後々邪魔になるから、その後時間経過と共に”ドラゴンの本能”が元々ある”D”の精神を侵食し、最終的には完全に塗り替えて完全なドラゴンとなる」

ヴリトラ「そうなったら、後はつがいにしたドラゴンにずっと添い遂げる、従順なドラゴンになる」

シャルロット「ほう、だからクラーケンの討伐の時に物部深月は……」

ヴリトラ「そうだな、あの時に関しては侵食される前に自らを殺す手段を託した……我も予想していなかったわけだが」

シャルロット「……」

ヴリトラ「あの男から話を聞いた限りだと、汝にもそれが起きたのだろう。ただ、今は結局こうして元に戻っている」

ヴリトラ「これはきっと、人型のドラゴンになったことでドラゴンの本能が侵食しにくくなっていたから、抗えたのだろう」

ティア「……でも、ティアはそのドラゴンの本能の話に乗って、いけないことをしそうになったの」

シャルロット「それが、昨日寮を脱走し、宿舎へ侵入したことか」

ティア「そうなの……」

ヴリトラ「まったく、情けないな」

ヴリトラ「次からは、何が何でもその本能に抗え」

ヴリトラ「侵食されてしまったら、今までの身体の持ち主である汝の意識は消失し、そなたは新たなユグドラシルとして討伐対象になってしまうのだからな」

ティア「……抗う方法は、何か無いの?」

ヴリトラ「そうだな……汝はドラゴンの本能と会話をしたのだよな?」

ティア「うん……」

ヴリトラ「なら、耳を貸すな」

ヴリトラ「うるさいししつこいと思うかもしれぬが、とにかく耳を貸すな」

ヴリトラ「介入する余地を極力無くすことで、侵食は高確率で防げる」

ティア「でも、ユウのことになると多分また侵食されるかもしれないの……」

シャルロット「ふむ、ティア・ライトニングに関しては丁度思春期の初期段階だから、色々と精神面が不安定になりがちだろう」

シャルロット「そうなると、確かに介入される可能性はあがると思うぞ」

ヴリトラ「……そうなったら、本能を拒むくらいしか抗う他無いな」

ヴリトラ「我は元々ドラゴンを二世代、三世代と作り上げていくのが目的だったから、本能による侵食から抗うなんてことは特に考える必要も無い」

ヴリトラ「そもそも、抗えるということ自体に驚いているのだから、これに関しては汝らで何とかしろとしか言えん」

シャルロット「随分と投げやりだな……」

ヴリトラ「そう思われても仕方が無い。だが、乗り越えてもらわねば困る」

ヴリトラ「ティア・ライトニング・ユグドラシル……出来るか?」

ティア「えっと……今度はティア一人じゃなくて、皆と一緒に乗り越えるの」

ティア「リーザやミツキ達も、ティアと同じように苦しむことになると思うから……ティアも皆を支えてあげたいの」

ティア「だから、絶対に乗り越えて見せるの!」

シャルロット「うむ、その意気だ!」

シャルロット「ああ、最後に私からも一つ伝えておきたいことがあった」

シャルロット「ティア・ライトニング、そなたには落ち着いた後今回の経緯を覚えている範囲で説明して欲しい」

ティア「どうして……なの?」

シャルロット「前に話したと思うが、こういった問題が起きた時になるべくデータを取っておいて、他の者にも問題が起きた時の資料にしたいからだ」

シャルロット「少しでも前例があれば、原因の解決はよりスムーズに行えるからな。よろしく頼むぞ」ガタッ

ヴリトラ「……」ガタッ

ティア「は、はい!」

シャルロット「私たちと入れ替えに、心配している者たちが来るだろうから元気な顔を見せるんだぞ」スタスタ

ヴリトラ「では、我も失礼する」スタスタ

ティア「……色々と聞かれて、疲れたの」ポスッ

――――――――――

ティア(この後ぼうっとしていたら、教室の皆が駆け込んできて、色々大変だったの)

ティア(皆、怒らずに心配してくれて……思わず泣いちゃったの)

ティア(その後は皆にありがとうって気持ちを伝えたの)

ティア(これからも問題は色々あるけど……ティア達が力を合わせればきっと乗り越えられるって信じてる)

ティア(たくさんの戦いも……この恋も……ティア、頑張るの!)

ティア編 終わり

ここで本編は終わりですが、本編に入れられなかったシーンがあるのでおまけとしてこの後投下します
こういう形になって申し訳ないです

ありがとうございます!
書けたので一気に投下します!

おまけ

――――――――――
その後
地下の温泉

ティア「温泉なのー!」キラキラ

悠「楽しそうだな、ティア」

ティア「ユウと温泉で二人きりは初めてだから、嬉しいの!」

悠「そういえば、そうだったな……」

悠(フィリルに嵌められて、隠れていたとはいえ皆と温泉に入っていたことを思い出した)

悠(あの時はフィリルとティアに見つかって、フィリルの……今思い出すのはやめておこう)

悠「とりあえず、浸かるか」

ティア「ティアも入るのー!」ザバーン

悠「ははは、ティアは元気だな」ザブン

悠(どうして、俺とティアがあの時の温泉に入ることになったのか。それは――)

――――――――――
回想
医務室

悠『元気そうで、良かったよ』

ティア『心配かけて……迷惑かけて、ごめんなさいなの』シュン

悠『確かに色々驚いたけど、あれはティアの意思ではなく、ドラゴンの本能のせいだったんだろう?』

ティア『う、うん……』

悠『なら、ティア自身は別に悪くない、気にするな』

ティア『あ、ありがとう……ユウ』ニコッ

悠『うん、ティアは笑っていたほうがやっぱりいいな』

ティア『ふぇ……嬉しいけど、す……少し恥ずかしいの』モジモジ

悠『……ところで、元気になったら何かしたいことはないか?』

ティア『したいこと?』

悠『ああ、退院祝い……のような感じで何かティアのしたいことを叶えてあげようかと考えていたんだ』

悠『何かあるか?』

ティア『突然言われても……うーん……あっ、ひらめいたの!』

悠『何だ?』

ティア『ティア……この前の温泉にユウと一緒に入りたいの!』

――――――――――

悠(とまあ、この通りだ)

悠(俺もティアも、ゆっくり浸かるとのんびりとしていた)

悠「いい湯だな……」

ティア「うん、いい湯なの……」

悠(ティアは少しまだ恥ずかしさがあるようで、いつものように抱きついたりはしてこない)

悠(まあ、なるべくならその方が助かるわけだが)

ティア(い、一緒に入るまでは勇気が出せたけど……この後はどうしよう)

ティア(こんなこと言って、ユウを困らせちゃったらどうしよう……それに、少し恥ずかしくて言い出しにくいの)

ティア(…………ううん、このまま言わないで辛い思いをしているくらいなら、ちゃんと言った方がいいの!)

ティア「ユウ……」ジャブン

悠「ん? どうしたティア」

悠(ティアはゆっくりと移動して、俺との距離を縮めてくる)

ティア「今回あったこと、多分……ティアのせいなの」

悠「どうしてそう思うんだ?」

ティア「それは……」モジモジ

ティア(うう……やっぱり凄い恥ずかしいの。でも、言わないと……)

ティア「実はね、ここ最近眠れなかったのは本当のことで……その理由は、ドラゴンの本能が言ってた嘘じゃなくて、ちゃんとした理由があるの」

悠「……」

ティア「それはね……ユウのことを考えてたら、変な気持ちになって……切なくなって……」

悠「ん、んんっ?」

ティア「何か変なの。身体が熱くて……枕を抱いていないと落ち着かなくて……それでも物足りないって思って……それで、ね」

悠(何だ……この聞いてはいけないと思う気持ちは……でも、ティアは真剣だ。ちゃんと聞かないと良くないだろう……けど)

ティア「ずっと……記憶を取り戻すためにした、キスを……もう一回……したいって……思ってたの」

悠「……」

ティア「……だめ?」ギュッ

悠(弱弱しい声でそう言って、上目遣いで見つめてくる。おまけに俺の腕を手で握ってきた)

悠(……本当なら、ちゃんと決めるまではしないほうがいいのかもしれない。だけど、ティアはきっと、俺がちゃんと決めることとは別に、どうしてもそうして欲しいのだと俺は思った)

悠「――そういうことだったのか」

悠「……俺は、それを叶えたところで必ずしもティアを選ぶとは限らない」

ティア「うん、それは分かってるの」

ティア「イリスやミツキ、リーザやフィリル、アリエラにレン、キーリも……皆、ユウのことが大好きだから、ユウは皆を大切にしようとしてるって」

ティア「だから、今だけはユウに我侭……なの」






悠「――ティア」









悠(俺は、ティアのその我侭に――)





おまけ 終わり

――――――――――

シャルロット「ふむ……フィリル・クレストでも確認されたアレは、ドラゴンの本能というのは予想していた通りだったな」

シャルロット「ただ、ドラゴン化のシステムで気を抜けば侵食して塗り替えていくのか……中々厄介なものを抱えてしまったようだな」

シャルロット「こればかりは私の支配でも誤魔化すくらいしか出来ないかもしれん」

シャルロット「乙女達が乗り越えて、うまく付き合っていってくれればよいな……」

シャルロット「残りは三人か、彼女達はドラゴンの本能と戦うことになるのか、あるいは別な変化をするのか……私にも分からんな」

シャルロット「ではまた、次の変化を期待して待つとしよう」



シャルロット「人型ドラゴンとつがいの"D"の精神的変化」2 終わり

これでティア編が終わり、ひとまず2も完結となります
これを書くまでに時間が掛かっていたのはネタが中々浮かばなかったことと、別なSSを思いついたのでそっちを書いていたからです
気づけばこれ書くまでに4個くらいはスレ立ててました

正直今思うとドラゴンの本能との葛藤のようなものをメインに書いていけばよかったと思っています
深月を書いていた辺りはここまで長く書く予定もなかったし、こんな話すら考えてなかったのですが、一ヶ月くらいになる今は勿体無いなと思っています

あと今さらですが、ドラゴンの本能設定とか含めてオリジナル要素多いのにオリジナル要素有りと1に書かないでいたのはすいません
次回はしっかり書いておきます

最後に今後ですが、残りはイリスと紫音とアリエラですが、アリエラはⅩが発売して読みきるまでは書けないのでご了承ください
残り二人は思いついたほうから書いていきます

長くなりましたが、また次スレもよろしくお願いします
読んでくださりありがとうございました

ファフニールの次スレです
これの続きではないです


深月「私が兄さんとキスできないのはおかしいです」フィリル「へえー」 - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1439908150/)

このシリーズの続きです

シャルロット「人型ドラゴンとつがいの"D"の精神的変化」3 - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1440851611/)

色々と悩みながらなのでのんびりお待ちください

こっそりテスト

http://i.imgur.com/xAZStGI.png

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