女「先輩、起きてくださいッス」 (144)

先輩「……ん」

女「おはようございます、先輩」

先輩「……今、何時頃?」

女「丁度夕方の5時回ったくらいッスかね」

先輩「そんな寝ちゃってたんだ」

女「寝ちゃってたみたいッスね」

先輩「起こしてくれてよかったのに」

女「いえいえ、そんな。勿体ない」

先輩「勿体ない?」

女「あ、いえ。何でもないッス」

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先輩「まだ大分寒いね」

女「そうッスねー、もう2月だってのにこの寒さは辛いッス」

先輩「寒いの、嫌い?」

女「まぁ、概ね」

先輩「私は結構好きだけどね」

女「……っ」

先輩「こういう事、自然と出来るしさ」

女「せ、先輩っ」

先輩「体温、高いんだねキミ」

女「それは、この状況のせいと言うかなんというか……」

先輩「しばらくこうしてよっか」

女「えっ!?そ、それは……えと、願ったりかなったりなわけですが……」

先輩「……ふふ、冗談だよ」

女「あっ」

先輩「さ、帰ろ」

女「……はい」

先輩「しかしあれだね」

女「どうしたんスか?」

先輩「私の寝顔なんて見てて、飽きなかった?」

女「飽きないッスね。ずっと見てられるッス」

先輩「……面と向かって言われると、なかなか照れるな」

女「さっきの仕返しッス」

先輩「意外と根に持つタイプ?」

女「いえ、そういうワケでは……」

先輩「それじゃ、私も」

女「え、あっ。ちょっと、先輩……」

先輩「何?」

女「ここだと人目が……!」

先輩「それじゃ、物陰にでも行こっか」

女「……分かりました。望むところッス」

女(どうせまたからかってるに決まって……)

女「……んむっ!?」

先輩「……ぷぁ」

女「……へん、ぱい?」

先輩「それじゃ、また明日ね」

女「……」

女(……柔らかかった)

ここまで来ておいて百合警報

女(先輩の唇、柔らかかったなぁ)

友「ねぇ……」

女(そう言えば、腕を組んできたときも柔らかい感触が……)

友「ねぇ、ちょっと!」

女「?」

友「人の話、聞いてた?」

女「え、えと……何の話ッスかね?」

友「……はぁ」

友「あんた、最近上の空な事が多いわよ」

女「そうッスか?」

友「……自覚、ないんだ」

女「自覚、ないッスねぇ」

友「……じー」

女「な、なんッスか?」

友「なんかあったら、絶対言いなさいよ」

女「なんかって……」

女(……)

友「何赤くなってんのよ」

女「え?あの、その……」

友「……変なの」

女「あはは……」

友「やっぱり何か……」

女「あ、授業始まるッス」

友「あぁもう、後でちゃんと話聞かせてもらうからね!」

女(申し訳ないけど、絶対に言えないッス……)

女「せんぱーい……って、あれ」

女(まだ来てないみたいッスね)

女「……」

女「昨日ここで先輩が、寝てたんスよね……」

女(こうやって、俯せに……)

女(んー……)

女(くん、くん)

先輩「あら、何やら楽しそうな事をしてるわね」

女「っ!」

先輩「たまには遅れてくるのもいいものね」

女「いや、あの。これは……その」

先輩「それじゃ私はあなたがいつも座ってる席に座らせてもらうわ」

女「……ど、どうぞ」

先輩「ふふ、ありがとう」


女「……」

先輩「……」

女(穴があったら入りたい……)

先輩「ねぇ」

女「ひゃ、ひゃいっ。な、なんッスか?」

先輩「そんなに緊張されると話辛いわ」

女「す、すいません」

先輩「硬くならないで、ね?」

女「せ、先輩……」

先輩「ん?」

女(ち、近いッス……)

先輩「なぁに?聞こえないわ」

女「……うぅ」

先輩「ふふ」

先輩「それで、感想は?」

女「へ?」

先輩「本物はどう?」

女「どうって、言われましても……」

先輩「思ってたよりガッカリ?」

女「それはないッス!」

先輩「あら、ありがとう」

女(あぁ、頭がクラクラするッス……)

先輩「あら、もうこんな時間ね」

女「え、もうッスか?」

女(う、咄嗟に声が出ちまったッス)

先輩「ふふ、物足りなかったかしら」

女「あはは……」

先輩「今日は手を、繋いで帰りましょうか」

女「……」

先輩「もしかして、物足りない?」

女「いえ、それくらいでちょうどいいッス……」

先輩「あらら、残念」

先輩「キミの手、温かい」

女「そ、そうッスかね?」

先輩「私が冷たいのかな」

先輩「……えい」

女「ひゃわっ!?」

先輩「やっぱり冷たいよね」

女「い、いきなり首筋触られたら冷たくなくてもビックリするッス!」

先輩「ふふふ、ごめんなさい」

先輩「お詫びに、あなたも同じことしていいわよ」

女「同じことって……」

女(同じことって……!)

先輩「もちろん強要はしないけれど」

女「……ぜひ、お願いします」

先輩「ふふ、了解」

女「では、失礼して……」

女(あ、ひんやりして気持ちいい)

先輩「ひゃあんっ」

女「っ!?」

先輩「もう、変な声が出ちゃったじゃない」

女「も、申し訳ないッス!」

先輩「……ふふっ」

女「たはは……」

先輩「それじゃ、また明日」

女「は、はい。また明日」


女「……」

女(不意打ちは卑怯ッスよ、先輩……)

続きますよ

女「……ぽけー」

「おい」

女「……ほげー」

「おい!」

女「は、はいっ!?」

「私の授業、そんなにつまらないか?」

女「え、えと……」

「顔、洗ってこい。なんつー顔してんだ」

女「はい……」

友「……」

友「ねぇ、アンタ」

女「なんスか?」

友「やっぱり、何かったでしょ?」

女「だから何かってなんなんスか……」

友「それは……その」

女「……じー」

友「と、とにかく!」

友「あんたがそんな調子だと」

女「調子だと?」

友「その、つ、つまらない……というか」

女「??」

友「……もういい、帰る!」

女(な、なんなんッスかね?)

女「せんぱーい」

先輩「はい、いらっしゃい」

女「今日は先輩の方が先ッスか」

先輩「残念?」

女「い、いえ。そんな事は!」

先輩「……じー」

女「な、なくも……ないッス、けど」

先輩「素直でよろしい」

先輩「あなたの髪」

女「髪、がどうかしましたか?」

先輩「可愛いわよね、くるくるしてて」

女「そ、そうですか?」

先輩「触ってみてもいい?」

女「こんなものでよければ、いくらでも……」

先輩「ふふ、それじゃ失礼するわ」

女「……」

先輩「ふわふわしてて、気持ちいいわ」

女「な、なんだか照れます」

先輩「ふふ、耳まで真っ赤」

女「うぅ……」


先輩「ふぅ、満足満足」

女(……こっちも満足ッス)

先輩「私も同じように巻いてみましょうかしら」

女「同じようにって……」

先輩「こう、くるくるっと」

女「……いまいち想像が出来ないッスね」

先輩「似合わないと思うなら、隠さず言っていいのよ?」

女「そ、そんな事はないッス!」

女「ないッス、けど……」

先輩「けど?」

女「私は、先輩の真っ直ぐな黒髪……好きなので」

先輩「そっかぁ」

女「……」

先輩「キミが好きって言うなら、やめておこうかな」

女「その方がいいと、私も思うッスよ」


先輩「……触ってみる?」

女「え……え?」

先輩「キミのも触ったし、お返ししなきゃと思って」

女「別に見返り求めた行動だったわけでは……」

先輩「嫌なら無理強いはしないけどさ」

女「嫌だなんてそんな事あるわけ……ごにょごにょ」

先輩「はい、どうぞ?」

女「……で、では失礼して」

先輩「……」

女「……凄く、サラサラです」

先輩「なるほど。確かにこれは少し照れるわね」

女「やっぱりやめましょうか?」

先輩「いいのよ、続けて」

女「やっぱり、何か特別な事してるッスか?」

先輩「特に何もしてないけれど」

女「そうなんスねぇ。羨ましいッス」

先輩「キミは何かしているの?」

女「わっ、ちょ……っと」

先輩「ん?」

女(先輩の顔が、目の前に……っ)

先輩「……うりうり」

女「ひんっ……」

女「耳はダメです、先輩……」

先輩「キミ、今すっごくいい顔してる」

女「いい顔って何ッスか……んっ」

女(先輩の瞳……吸い込まれそうな色)

先輩「……」

女「……」


キーンコーンカーンコーン


先輩「……あら、残念」

女(た、助かった……でも、ちょっと残念ッス)

ちょっと更新空きました
そんな長くはならないと思います

女「……先輩、歩きにくいッス」

先輩「奇遇ね、私もよ」

女「それなら……」

先輩「……?」

女(その表情はズルいッスよ、先輩)

先輩「ほら、早く帰りましょう?」

女「あ、待ってくださいッス」


「でさー……って、どうしたの?」

友「……別に」

女「先輩の家って、こっちなんスか?」

先輩「いいえ、逆方向よ」

女「……あれ?」

先輩「どうかしたの?」

女「どうかしたのって……」

先輩「そんな事より、あなたの家はまだ先なの?」

女「えっと、もう少し先です」

先輩「そう、よかった。もう少しこうしていられるわけね」

女「たはは……」

女「先輩、起きてくださいッス」

↑若しかして

吹き仏フレンド

救世主姫大淀様の嘘999レベル声優事件

宇宙の月見過多瞑想し過ぎジャネ

女「先輩、起きてくださいッス」

↑若しかして

泥団子の惑星のネタ

女「あ、ここッス。私の家」

先輩「一人暮らし?」

女「このアパートだとやっぱそう見えるッスよね……」

先輩「ごめんなさい、失礼だったかしら」

女「い、いえっ!私もそんなつもりで言ったわけではなくって!」

先輩「……残念」

女「??」

先輩「それじゃ、ここでお別れね」

女「あ、あのっ」

先輩「んー?」

女「……また明日ッス、先輩」

先輩「……えぇ、また明日」

女「ただいまッスー」

「おかえりなさーい」

女「あれ?お父さんはまだッスか」

「ざんぎょーだって。さっき電話があったよ」

女「もう、残業の時は私の携帯に連絡してって言ったのに……」

「お腹空いたー」

女「仕方ないッスね。姉ちゃんが特製カップラーメンを……」


先輩「……ただいま」

先輩「……なんて、ね」

先輩「お腹空いたなー……」

先輩「……めんどくさ」

先輩「……ぐぅ」

女(少しは料理の勉強、したほうがいいッスかね)

女(カップラーメンばかりじゃ栄養が偏っちゃう気がするッス)

女(しかし、私にも出来る料理って何が……)

友「……おはよ」

女「おはようッス」

友「……じー」

女「?」

友「ぷいっ」

女(な、なんだかご機嫌ななめッスね)

女「な、何かあったッスか……?」

友「何かあったか、ですってぇ?」

女「……う」

友「……じとー」

女「……うぅ」


友(こんな事がしたいわけじゃないのに)

友(なんでだろ、うまく言葉が出てこない……)


友「……じろり」

女「……うぅぅ」

続く

友「あんたさ」

女「は、はい……」

友「部活、始めたの?」

女「……あ」

女(そういえば、伝えるの忘れてたッス)

友「……むー」

女(もしかして、その事で怒ってたんスかね)

女「別に、黙ってたつもりはなかったんスよ」

友「……ふぅん」

女「ただ、なんとなく言い出す機会がなかったと言うか、なんと言うか」

友「ほんとに、それだけ?」

女「他に何があるんスか?」

友「それは……その」

女「じぃー」

友「あ、あによその目は」

女「ふふん、お返しッス」

友「……そこまで酷い顔はしてなかったでしょうが」

女「してたッスよ。こーんな」

友「……誰のせいだと」

女「?」

キーンコーン カーンコーン

友「……あ、授業始まっちゃう」

女「わわっ、次数学ッスよね」

友「何をそんなに慌ててるのよ」

女「数学の予習忘れてて……見せて欲しいッス」

友「何で早く言わないのよ!」

女「話に夢中で……」

友「……もう、バカなんだから」

友「え?急に休みって……何でまた」

「インフルエンザだってさ。うつされてないといいけど」

友「あんたの場合、うつされた方が嬉しいんじゃないの?」

「まっさかー。本当に病気なって嬉しいわけないじゃない」

友「……あんたねぇ」

「んじゃ、ちゃんと伝えたからね。後輩達にはあんたがよろしく」

友「へ?ちょっ……」

友「まったく、もう……」

友(しかし、突然ヒマになると困っちゃうわね)

友(こんな時間に家へ帰っても結局ヒマなだけだろうし……)

友「……ん」

先輩「~♪」

友(あの人、確かあいつと一緒にいた……)

友「……」


友「……あ、あの」

先輩「……?」

友「あ、え、えと……その」

友(つ、つい話しかけてしまった……)

先輩「……何か、ご用?」

友「わ、私は一年A組の……女の友達、です」

先輩「あぁ、あの子の……」

先輩「……もしかして、あの子に何かが?」

友「い、いえ。そういう訳ではないんです」

先輩「そう、よかった」

友(……キレーな人)

先輩「それじゃ、改めまして」

先輩「私に何かご用かしら?」

友「……あー、っと」

友「部活の先輩、でしたよね」

先輩「えぇ、そうよ」

友「……それだけ、ですか?」

先輩「……」

先輩「他に何があるのかしら?」

友「……」

先輩「……」

先輩「それじゃ、私はあの子を待たせているから」

友「あ……はい」

先輩「また今度、機会があったらゆっくりお話ししましょう」

友「そう、ですね。また今度」

先輩「では御機嫌よう」


友「……ふぅー」

友(会話してると変に緊張する人だなぁ)

友「……帰ろ」

続く

先輩「ごめんなさいね、また少し遅れて……」

先輩「……あら?」

女「くー……」

先輩「……」

先輩「つん、つん」

女「……すぅー」

先輩「……にやり」


女「……」

先輩「ぷにぷにねぇ」

先輩(ずっと触ってても飽きないかも……)

先輩「ぷーにぷーに」

女「……すやぁ」

先輩「……くすくす」

女「……んっう」

先輩「前から気になっていたのだけれど」

女「―――っ」

先輩「眠っている今がチャンスよね」

女「~~っ」

先輩「んー、やっぱり私よりも……」

女「せ、せんぱいっ!」

先輩「あら、残念。もう少し寝ていてもよかったのに」

女「こ、ここまでされて起きない奴は珍しいッスよ」

先輩「なるほど、このぐらいは大丈夫なのね」

女「せ、せんぱい?」

先輩「そういえば、ここへ来る前にあなたのお友達に会ったわ」

女「友達……その子もしかして、ツインテールだったスか?」

先輩「そうそう、ツインテールが可愛らしい子」

女「……なんで、また?」

先輩「んー……」

女「……」

先輩「なんででしょうね?」

女「??」

先輩「……ふふ」

先輩「……あら、もうこんな時間」

女「あ、ほんとッスね」

先輩「ほんと、楽しい時間は過ぎるのが早いわ」

女「その本、そんなに面白いんスか?」

先輩「……うふふ」

先輩「そんなに気になるなら、呼んでみる?」

女「へ?あー……っと」

先輩「じぃー」

女「で、では……少しだけ」

先輩「返すのはいつでもいいから」

女「お、おす」

先輩「よかったら感想、聞かせて頂戴ね」

女「……善処するッス」

女「……む」

友「……」

女「……むむ」

友「おーい?」

女「……むむむ」

友(聞こえてない、のかしら)

女「……むむむむ」

友(よーし……)

友「うりゃっ!」

女「……っ!?」

友「んー……?」

友「あんた、また大きくなった?」

女「な、なにするんスか!」

友「私を無視した罰よ」

女「無視した覚えはないッスけど……」

友「……うりうり」

女「ひゃわっ!?」

友「こんな事されるまで気付かなかったじゃない」

女「と、とりあえず揉むのを止めて欲しいッスよ……」

友「……確かに、これ以上大きくなっても癪ね」

女「そ、そういう問題じゃないッスよぉ」

友「それにしても、あんた」

女「なんスか?」

友「頭でも打った?」

女「??」

友「それとも、変な物でも食べたとか……」

女「なんなんスか、藪から棒に」

友「らしくない読書なんて、してるから」

女「失礼な。私も読書ぐらいするッスよ」

友「ふーん……」

女「これでも読書部所属なんスから」

友「ふーん……」


友「えっ」

女「ひゃんっ」

友「あんたの入ってる部活って、読書部だったの?」

女「い、言ってなかったッスかね」

友「初耳よ……」

女「まぁ、自分でも似合ってない自覚はあるッスけど……」

友「ならなんで読書部なのよ」

女「それは……その」

友「……じろり」

女「な、なにとなく……」

友「なにとなく、ねぇ」

女「そそ、なにとなくッス」

友(ほんと、嘘付くのが下手よね)

友(ま、そんなところも可愛いというかなんというか?)

女「もう質問は終わりッスかね」

友「だったら何よ」

女「読書に戻らせてもらうッス」

友(……なんかムカツク)


友「というか、次移動教室じゃん!」

女「わ、忘れてたッス!」

友「ほら早く準備準備っ」

女「ちょ、ちょっと待って欲しいッスよぉ」

友「チャイムは待ってくれないっての!」

友「……ふぅ」

女「な、なんとか……ま、間に合ったッスね……」

友「……あんた、結構いい走りしてるじゃん」

女「そう……ッス、かね」

友「陸上部、入ってみたら?」

女「陸上部……」

友「走るだけでも、意外と気持ちいいもんよ」

女「……考えとくッス」


「こらー、そこー。私語は慎めー」

つづく

毎度読んでくださってる方々ありがとうございます
励みになります、頑張ります

女「あ、先輩」

先輩「今日はお互い時間通りだったみたいね」

女「そうッスね」

先輩「……遅れてきた方がよかったかしら?」

女「へ?」

先輩「その方が色々出来るでしょう?お互い」

女「い、いえ……そんな、事は」

先輩「……ふふ」

先輩「早速読んでくれてるのね」

女「あ、はいッス」

先輩「どう、面白い?」

女「まだなんとも……ッスかね」

先輩「……そうよね、まだ序盤みたいだし」

女「面目ないッス」

先輩「うぅん、そんな顔をさせたかったわけじゃないの」

女「ひゃっ……」

先輩「集中してると周りが見えなくなるタイプなのね」

女「く、くひゅぐったひでしゅ、ひぇんひゃい」

先輩「んー、相変わらずもちもちだわ」

女(先輩は相変わらずひんやりしてるッス)

女「あ、そういえば先輩」

先輩「はい、なんでしょう?」

女「うちの部って兼部OKなんスか?」

先輩「……なぜそんな事を聞くのかしら」

女「友達から陸上部へのお誘いがありまして」

先輩「友達……」

女「でも、自分的にはこっちの部も続けたいと言うか……」

先輩「……」

女「この部が嫌になったとかそう言う話では無くて……」

先輩「……ふふ」

女「……?」

先輩「この部室で私以外の誰かを見たことがある?」

女「ない……ッスね、そう言えば」

先輩「それが答えよ」

女「??」

先輩「部活は最低五人はいないと認められないの」

先輩「要は、私達の他に三人お化けがいるって事」

女「あぁ、なるほど」

先輩「深刻な顔してるから、一体何を切りだされるかと思った」

女「そんな深刻な顔してたッスか?」

先輩「えぇ、とっても」

女(そんなに顔に出やすいんスかね……?)

女「……むに、むに」

先輩「また難しい顔、してる」

女「はっ」

先輩「悪いって言いたかったわけじゃないの。ごめんなさいね」

女「いえ、先輩が謝る事では……」

先輩「あなたがやりたいように、して大丈夫」

女「せ、先輩……」

先輩「ん?」

女(この距離感は無意識なのかも……)

先輩「……」

女「……」


キーンコーン カーンコーン


先輩「……時間、みたいね」

女「そ、そうみたいッスね」

長く空きました

またちょいちょい更新していきます

先輩「……」

女(あれから先輩、何も言ってこないッス)

先輩「……」

女(この前のあれといい……先輩の考えは全く読めないッスね)

先輩「あら」

女「あっ」

友「……あ」

女「今帰りッスか?お疲れ様ッス」

友「あんたも今帰り?」

女「そうッスよ」

友「読書部の活動って大変なのね」

女「ま、まぁぼちぼちッスかね」

友「……」

先輩「……」

友「そんじゃ、ごゆっくり」

女(なんか、またご機嫌ナナメなような……)

先輩「ねぇ、あなた」

友「……なんでしょうか」

先輩「帰る方向はどっち?」

友「何でそんな事聞くんですか」

先輩「どっち?」

友「駅の方、ですけど」

先輩「あら、同じ方向ね」

友「……は?」

先輩「キミも同じ方向よね?確か」

女「そうッスけど……」

先輩「なら、決まりね」

友「……」

女(こ、こっち見られても困るッスよ!)

女「……」

先輩「……」

友「……」

女(……空気が重いッス)

女「……ちら」

先輩「……」

女(先輩は相変わらず何も言ってくれないし……)

女「……ちら」

友「……むすー」

女(こっちはこっちで相変わらず怒ってるし……)

友「ちょっと」

女「ん?」

友「いや、あんたの家あっちでしょ」

女「ハッ……」

女(気付かない間にもうこんなとこまで来てたんスね)

友「何ボーッとしてんの、大丈夫?」

女「大丈夫ッスよ。ちょっと考え事してただけッスから」

友「そう?」

女「それじゃ、また明日ッス」

先輩「えぇ、また明日」

友「ん、また明日ね」

友「……」

先輩「……」

友「……あの、先輩」

先輩「はい、なんでしょう?」

友「私を誘ったのは、どういう意図からですか」

先輩「んー……」

友「……じろ」

先輩「なにとなく、とか?」

友「何ですか、それ」

先輩「もしかして私、嫌われてるのかしら」

友「……それはこっちの台詞な気がしますけど」

先輩「別に私はあなたの事嫌いじゃないけれど」

友「……」

先輩「だって、同じ人を好きな者同士でしょう?」

友「なっ!?」

先輩「あら、違った?」

友「そ、そうやってからかうのはやめてください!」

先輩「からかってなんか、いないわ」

友「……ぅ」

先輩「じぃー」

友「……ぷい」

友(じっと見つめられると、吸いこまれそう……)

友(あいつもこの瞳が……)

友「……じろり」

先輩「まぁ、怖い」

続く


あまり慣れてない展開書いてるので面白く無かったらゴメンネ

先輩「でも、からかってなんかいないのは本当」

先輩「あなたの事は嫌いじゃないし、あの子の事も大好きだもの」

友「……女の子同士、ですよ」

先輩「そうね」

友「……」

先輩「……」


先輩「あぁ、もっと話していたいのに。あなたの家はそっちなのね」

友「……私はもう少し話をしてもいいですが」

先輩「嬉しい提案ですけれども……今日はご遠慮しておくわね」

先輩「それじゃ、また明日」

友「……なんなんだよ、もう」

友「……っぷ、はぁ」

友(やっぱりあの人、苦手だわ……)

友「……大好き、か」

友「そりゃ、私だって……って、違う違う」

友(……帰ろ)

友(……全然眠れなかった)

友(変な話聞いたからだ、あぁ眠い……)

女「おはよッス」

友「……」

女「……あのー?」

友「……ぼーっ」

女「……とりゃっ」

友「んっ……」

女「……」

友「……」

友「何してんのよ」

女「少し大きくなったッスか?」

友「嫌味か、オイ」

女「いや、そんなつもりは……」

友「いつまで触ってんだ……よっっと」

女「いちっ」

友「全く……」

女「自分だって、同じことしたじゃないッスか……」

友「あぁん?」

女「ぶーぶー」

友(人の気も知らんで……)

友(心臓の音、聞こえてないよな……?)

女「……?」

女「あ、そうだ」

友「ん?」

女「とりあえず、体験入部とか出来ないもんッスかね?」

友「うちの部活?」

女「そ、陸上部ッス」

友「そっちの部活はいいわけ?」

女「別に辞めるわけじゃないッスよ」

友「……あっそ」

女(よかった、少し機嫌直ったみたいッス)

友「今日から来る?」

女「あー……そうッスね」

女「先輩に伝えてから行くッス」

友「休み時間のうちに伝えておけばいいんじゃないの?」

女「あー……」

友「そうすれば、部室に行く手間省けるでしょ」

女「んーっと……先輩のクラス、知らないんス」

友「そうなんだ」

女「申し訳ないッス」

友「別に謝ることじゃないでしょ……私が待ってればいいだけだし」

友「そんじゃ、また放課後」

女「出来るだけ急いで戻ってくるッスー」

続く

先輩「……」

女「あ、先輩」

先輩「あら、どうしたの?そんなに汗かいて」

女「その、今日は陸上部の方に顔を出すので……」

先輩「……その報告を、わざわざ?」

女「……こく」

先輩「そんな事、気にする必要なかったのに。律儀なのね」

女「わわっ!?」

先輩「ほら、動かないの」

女「で、でも。ハンカチが汚れちゃうッス」

先輩「汚れちゃダメなものは持ってこないわ」

女「あうぅ」

先輩「ほら、これでよし」

女「ありがとうございます、先輩」

先輩「はい、どうぞ」

女「……?」

先輩「汗が拭けないと不便でしょう?」

女「それはそう、ですが……」

先輩「ほら、早く行ってあげて」

女「えと……行ってきます、先輩」

先輩「……あ、ちょっと待って」

女「はい?」

先輩「……ぎゅうー」

女「……せん、ぱい?」

先輩(……これ以上待たせると、あの子に悪いわね)

先輩「はい、もう大丈夫」

女「あの、先輩……」

先輩「それじゃ、また明日」

女「……はい、また明日……ッス」


先輩「……ほんと、バカ正直なんだから」

友「ん、やっと来たわね」

女「お待たせッス」

友「そんじゃ、行きましょうか」


友「連れてきたわよ」

女「宜しくお願いします」

「こちらこそよろしく。私がこの部の部長だ」

友「なんでちょっと偉そうなのよあんた」

「……ふむ、キミがいつも話しに上がる例の」

女「??」

友「おい、余計な事を言うな」

「おぉ、怖い怖い」

女「いつもどんな話してるッスか?」

「あぁ、それは……」

友「ほら、くだらない話してないでさっさと着替えるわよ」

女「えー、気になるッスよ」

友「シャラップ!」

「まぁこの話はのちほどゆっくりと」

友「せんでいい!」

またちょっとずつ更新していきます

友(全く、油断も隙もあったもんじゃない……)

女(普段どんな話してるのか、凄く気になるッスけど……)

友「ぶつぶつ……」

女(火に油を注ぐようなもんッスね)

女「……んしょ、っと」

友「……じろ」

女「どうかしたッスか?」

友「な、なんでもないわよ」

女「……?」

友「ほら、準備できたならさっさと行くわよ」

女「あ、はいッス」

「おぉー、これはこれは……」

友「……ぎろり」

女「?」

「あー……うん。そいじゃ、とりあえず準備運動しよっか」

女「了解ッス」


女「い、いででで……」

友「まだ全然力入れてないわよ」

女「い、痛いもんは痛いッスよ」

友「……うりうり」

女「ひーんっ」

「そろそろいいかな?」

友「へ?あ、うん」

女「いちち……」

『人を放っておいていちゃつくなんて、いい御身分だね』

『は、はぁ!?』

女「あぎゃっ!?」

女「……すー……はー」

友「何をガチガチになってんのよ」

女「授業を思い出して、つい緊張してしまうッスね」

友「そんなもんかしら?」

女「そんなもんッス」

「それじゃ、準備はOK?」

女「はーい、準備OKッスー」

友「そんじゃ、位置について……よーいっ」

友「どう?なかなかのもんじゃない?」

「そうね……私が男だったら鼻血ものだわ」

友「……は?」


女「ハッ……ハッ……」


友「何の話してんのよ」

「胸」

友「走りを見なさい、走りを!」

「あんたもそう言う理由で勧誘したんでしょ?」

友「なっ!?」

「……」

友「ちっ、違うわよ!そんな事……ある、わけ……」

「はい、ゴール」

友「びくっ」

女「はひー……はひ……」

「次は長距離を見てみたいんだけど、平気?」

女「ちょ、ちょっと休んだら……いけると思うッス」

友「……どきどき」

女「ふー……ふー」

友「無理はしなくていいのよ」

女「ん、無理なんてしてないから大丈夫ッスよ」

友「……そう?」

女「言われた通り、気持ちいいッス。走るの」

友それなら、いいんだけど」

「そろそろいいかな」

女「すぅー……はぁー……」

女「よし、いつでもOKッス」

「それじゃ、よーい……」

「まぁ、実際の所さ」

友「ん」

「あんだけたわわに育ってると、走るの大変そうよね」

友「そうかもね」

「……」

友「……」

「少し分けてもらえば?」

友「……あんただって人の事言えないでしょ」

「……?」

友「あによ、その顔」

「いや、流石に同じにされるのは困るかなと」

友「……言ったな?」

「言いましたけど」

友「……わきわき」

「なんだ、やるかぁ?」

友「あ」

「あ?」

女「ふー……はー……」

友「お疲れ様。早かったじゃない」

女「そう……ッスかね?」

「初めてにしてはなかなかだと思うよ」

女「へへ、なんだか嬉しいッス」

友「んで、両方走ってみて感想は?」

女「んー……胸が」

「胸?」

女「胸がヒリヒリしてるッス」

友「……」

「……」

女「ど、どうしたッスか?二人とも」

友「……わきわき」

「……わきわき」

女「な、なんスかその手は……?」

友「自慢か、このやろー!」

「かくごーっ!」

女「ギャーッス!?」

つづく

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