男「死にたい」 (26)
駄文失礼します
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男「死にたい」
女「えっ!?」
男「死にたい」
女「えっ!?」
男「死にたい」
女「えっ!?」
男「・・・なんか言ってよ」
女「にわかには信じがたくて、なにを言えばいいのかわからないわ」
男「でも死にたくなる気持ちは共感してくれるでしょ?」
女「共感できない」
男「でもたまに死にたくならない?」
女「ならないかな」
男「女さんって幸せな人だね」
女「なんで死にたいんだろう」
男「理由なんて数えきれないくらいあるよ」
女「男くんってかわいそうだね・・・」
男「でも死にたくなる一番の理由は気分だな・・・死にたい気分だから死にたくなる」
女「ちょっとなに言ってるかわからないや」
男「ややこしいこと言ってごめん・・・」
女「死ぬの?」
男「どうしようかな。でも、安易に死ぬのは良くないよね」
女「迷ってるのね。いっそ死んでみるのもアリだと思うよ?」
男「女さんから勧めるんだね」
女「うん。じゃあ今から死のう!」
男「死ぬなら楽な、苦痛のない死に方がいい」
女「わかる」
男「感覚は死ぬまで残ってるんだもん。わがままでもしかたないよ」
女「薬を大量に飲む」
男「最近の薬は安易にそれができなくなってるからダメ」
女「男くんってかしこいんだね」
男「ネット情報だけどね」
女「ソース薄そう」
男「睡眠薬を飲んで練炭自殺、これが一番かも」
女「あ~、アリだね。寝てるうちに死ねるもん」
男「ふぅ、方法が決まって気持ちが楽になった。これで安心だね」
女「買い出しにいかないと」
男「女さんは手伝わなくてもいいよ」
女「当たり前よ。そんなことしたら私自殺幇助で法の裁きを受けちゃうわよ。私は男くんと違って、これからも生きていくんだからね」
男「これだけ自殺を薦めといてもう遅い気がするけどね」
女「死人に口なしよ」
男「正しい」
女「あ! 問題発生!」
男「なに?」
女「男くんが死んじゃうと家族が悲しむ!」
男「そんなに問題? 人数がひとり減るだけだよ。うち兄弟多いし」
女「ご両親は絶対悲しむ」
男「そうか、僕のせいで悲しまれると寝覚めが悪いな・・・」
ことり「あははっ! 死ぬんだから寝覚めなんてしないでしょ? 男くんって面白い!」
ことりって誰・・・
ミスです
男「とにかく家族には女さんが説明して」
女「はぁい」
男「不安になる返事だね」
女「返事に気が抜けてたでしょ? 得意なの」
男「わけわからないよ」
女「とにかく、今から死ぬのよね? 善は急げって言うし」
男「ずっと思ってたけど、女さんってめっちゃグイグイくるよね」
女「だって死にたいんでしょ、男くん?」
男「それはそうなんだけど」
女「私が背中を押してあげるよ~?」
男「生き死にの問題だからもうちょっと慎重に考えたいんだ・・・」
女「びびってんの?」
男「女さんって元ヤンかなにかなの?」
女「え? 違うけど? 私はただ、男くんに正直に生きてほしいだけ」
男「その結果もう生きるのをやめちゃうんだけどね」
女「若者の自殺者数がかなり少ないこのご時世にもの好きね」
男「いいでしょ。数なんて関係ないよ」
女「短い間だったけどありがとう。感謝してる。一生忘れない、男くんのこと・・・」
男「待って。まだ死ぬとは決めてないから・・・っ」
女「意気地なしなのね」
男「女さんの態度にだんだんイライラしてきた」
女「死にたいんでしょ? その気持ちをずっと抱えて生きていくのはつらいと思う」
男「でも・・・」
女「それに死にたくなるくらい人生が嫌なことだらけなら、どうせまたすぐ死にたくなる。ならいっそ今死んだほうが楽かもね」
男「僕・・・」
女「ねえ? 素直になってみよう?」ギュッ
女「私の手暖かいでしょ? 男くんの冷えた手を包んであげるわ・・・」
男「・・・」
女「私には正直に答えてほしいな」
男「・・・女さん」
女「世界中の人が男くんを嫌いになって、攻めたりしても、私だけは男くゆの味方よ・・・」
男「・・・僕・・・」
女「これだけはどんなときも忘れないで」
男「・・・」
女「だから私には素直になっていいのよ?」
男「すなお・・・に」
女「本当は生きたいのよね?」
男「え・・・?」
女「生きたいって言って」
男「死にたいって言ってるでしょ・・・」
女「私は男くんの素直な声を聞きたい」
男「だから僕は──」
女「次死にたいなんて言ったら許さないから!」
男「・・・」
女「男くんはどういう気持ちで私に死にたいなんて言ったの? 私が男くんに死んでほしいなんて思ってると思う?」
男「それは・・・」
女「そろそろ時間だから、また死にたくなったら私に相談して? 男くんはひとりじゃないんだからね。とりあえず生きてみようよ」
男「なんかごめんなさい」
女「いいえ、また来てね」
女「はぁ~、今日の生徒はしんどかったなぁ。まさか死にたいなんて言われるとは思わなかったわ」
友達「スクールカウンセラーも大変ね」
女「中学生だし、頭ごなしに言うともう来てもらえないもんね」
友達「でもあんたみたいな女がスクールカウンセラーになるなんてね。『死にたい』なんて言われれば『じゃあ死ね』って言いそうな感じじゃない」
女「あ、あはは・・・」
友達「まさか言っちゃったの!? ・・・呆れた。本当に死んじゃったらどうするつもりだったのよ」
女「私だって必死に頭回転させてたんだからね。最後にはギュッと手を握ってフォローもしたし」
友達「そんな安易なこと・・・スクールカウンセラー失格ね」
女「でもほんとにあの子には死んでほしくなかったもん・・・」
友達「まあ、あんたの熱い気持ちだけは認めるわ」
女「でしょ? 熱いから、私!」フンスッ
友達「でもスクールカウンセラーの皆さんに謝るべきね」
女「え~、なんでぇ」
友達「そもそもあんた相談者にはプライバシーってもんがあんだから安易に人に話しちゃダメ」
女「でも友達ちゃん男くんの担任だし・・・」
友達「とにかく謝りなさい」
女「スクールカウンセラーの皆さんすみませんでした・・・」
おしまいです
お読みいただきありがとうございました
スクールカウンセラーにあるまじき言動、駄文お許しください
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