櫻子「七森魔法中学校物語 ~文化祭~」 (41)
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櫻子「七森魔法中学校物語!」
櫻子「七森魔法中学校物語!」 - SSまとめ速報
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櫻子「七森魔法中学校物語 ~続編~」
櫻子「七森魔法中学校物語 ~続編~」 - SSまとめ速報
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の続きの話となっております。長いですが是非前作を先にお楽しみください。
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「ねー、これどこ持ってけばいいー?」
「あっ、そこ置いといてー」
「どうこの衣装、よくできてるでしょ?」
「あははっ、ケッサクだよ!」
千鶴(文化祭、か……)じっ
「「池田さ~ん!」」
千鶴「?」くるっ
遥「わあ、結構準備できてきたねぇ」
貴音「どこのクラスもすごい頑張ってたよー。本番が楽しみだねっ」
千鶴「うん」
遥「池田さん、今年はグランドフィナーレの担当委員なんだっけ?」
貴音「さすがっ、かっこいい~!」
千鶴「いや私は……姉さんの手伝いだけだから」
遥「それでも、池田さんじゃないとできないお仕事があるんでしょ?」
貴音「やっぱりそれってすごいことだよ。私と遥はクラス屋台の店番だもん……」
千鶴「私の出番は最後だけだから、最初のうちは私も二人と一緒にいるよ」
遥「本当? じゃあお昼は三人でいろいろ回ろうよ~」
貴音「わぁ、決まりー!///」きゃっきゃっ
~
櫻子「おおっ、やってるやってる準備ー!」
あかり「すっごく豪華だねぇ」
ちなつ「中学校の文化祭にしては、かなり力入れてるよねー」
向日葵「ご近所からも毎年たくさんの人が来るそうですわ」
あかり「あかりのお姉ちゃんも来てくれるって言ってたよぉ~」
「あっ、あかりだ。お~い!」
あかり「ああっ、京子ちゃんだ」
京子「どうみんな、準備進んでる?」
ちなつ「私たちのクラスもそこそこって感じです。言っても喫茶店ですけどね」
あかり「向日葵ちゃんのクッキーとか食べられるんだよぉ」
向日葵「マナシュガーを使ってますから、魔力回復効果もありますわ」
京子「おおーう絶対行かなきゃ♪」
ちなつ「京子先輩のクラスは何をやるんですか?」
京子「うちは演劇。めちゃめちゃ豪華だよ~、あれが舞台のセット」
あかり「え……!? あの氷のお城、グランドフィナーレに使うやつじゃないの?」
京子「うちのクラスで使う舞台をグランドフィナーレでも応用するって感じなんだよね」
櫻子「ほぇ~……確か水属性クラスと氷属性クラスの合作なんですよね。綺麗だなぁ」
向日葵「演劇の題目はなんですか?」
京子「“アヤと雪の女王”」
あかり「……あ、アナじゃなくて?」
京子「主人公綾乃だからさ」
向日葵「杉浦先輩が……ぜひ見てみたいですわね」
ちなつ「あれっ……ちょっと待ってください!? じゃあひょっとして氷の女王の役は……」
京子「もち、結衣だよ」
ちなつ「きゃ~~~見ます見ます! 絶対見ます~~!///」
あかり「たのしみだよぉ~」
京子「そういや綾乃で思い出した。さくっちゃんとひまっちゃん、後で生徒会室に来てだって」
櫻子「生徒会室? 杉浦先輩に言われたんですか?」
京子「綾乃もそうだけど、会長と西垣ちゃんが呼んでるの」
向日葵「私たちに何の用が……?」
京子「まあまあすぐにわかるって。ちなみに私も呼ばれてるから、後で会おうね~」
~
<生徒会室>
櫻子「失礼しまーす」がらっ
西垣「おっ、来たな」
向日葵「生徒会のお仕事……じゃないみたいですわね」
結衣「そっか、古谷さんたちは初めての文化祭だから、まだ知らないんだね」
櫻子「??」
綾乃「歳納京子に船見さん、会長に、大室さんと古谷さん……よし、これで残りのメインメンバーは集まったわね。それじゃ始めましょうか」
りせ「…………」こくこく
櫻子「始めるって何を?」
西垣「まあまずは……大室、校庭に見えるあれが何かわかるか?」
櫻子「あっ……」
向日葵「あれは……!」
西垣「そう、バトルトーナメントと同じスタジアムだ。今回は一か所だけだがな」
綾乃「七森魔法中学校文化祭は、毎年各クラスの出し物や部活動ごとの出し物もあるんだけど……一番のメインを張るステージイベントは、あそこで行われるエキシビションマッチなのよ」
櫻子「へー知らなかった!」
向日葵(も、もしかして……)
西垣「で、今日ここに集まったメンバーが、文化祭当日に試合を行うってわけだ」
櫻子「なるほどなー……って、えええええ!? 私も試合やるの!?///」
京子「なーに言ってんのさくっちゃん、さくっちゃんとひまっちゃんはこの学校で一番強いコンビなんだから出場するのは当然だよ?」
向日葵「そ、そんな……あの大会のときは撫子さんがいたから勝てたってだけで、私たちは先輩たちの足元にも及びませんわ!」
結衣「でも優勝しちゃったんだから仕方ないさ。大室さんと古谷さんはもう七森中の顔だよ」
櫻子「ひぇぇ……」
西垣「参加メンバーは前回のトーナメントで活躍した者、主にベスト8以上に残ったやつらだ。お客さんを楽しませる派手な試合を頼むぞ?」
櫻子「聞いてないっすよ~! 私色んなクラスで出し物楽しんだり屋台の食べ物食べるって決めてたのに~……」
綾乃「合間の休憩はそうしててもいいけど……もしかしたら、そんな暇もないかもね」
向日葵「に、にしても、また先輩たちと試合することになるなんて……私今回はもう自信ありませんわ……」はぁ
京子「あっははは、ひまっちゃん勘違いしてるねー」
向日葵「え?」
結衣「古谷さん、試合するのは私たち同士ってわけじゃないよ。私たちはこの学校代表ってだけ。対戦相手になるのは……」
西垣「そう、対戦相手は文化祭に来る客ってわけだ」
櫻子「……えっ、ええっ!? じゃあ他の学校の生徒ってこと!?」
京子「そーゆーこと。お客さん側が生徒に見事勝ったら豪華商品ゲットなんだ。だから向こうは結構本気で来ると思うよ~」
結衣「しかも同年代の生徒ってだけじゃない。年齢は問わないから、大人の人だって参戦してくるかもしれない」
向日葵「そ、そんな一大イベントがあったなんて知りませんでしたわ……!」
りせ「…………」
西垣「気負わなくていい、お客さんを楽しませるのが一番の目的だから……と松本は言っている」
綾乃「とりあえず準備をしておいてね。久しぶりの実戦だと思うし」
京子「そういやさくっちゃん、古代魔法の件はどうなったの?」
向日葵「あの魔法はまた魔法庁の人に預けることになりまして。今度は厳重な設備で保管してるから、脱走する心配もないそうです」
櫻子「だから一応私は戦えるっちゃ戦えるけど……あーあ、屋台巡りしたかったなぁ……」
西垣「ちなみにお客さんが買ったら豪華賞品だが、生徒が勝ったら学校側から屋台で使える無料サービス券をプレゼントしてやることになってるぞ。総額何千円分かな……」
櫻子「うっしゃー燃えてきたぁー! 絶対勝つぞ向日葵!///」
向日葵「現金な子ですわね……」はぁ
~
<大室家>
撫子「櫻子、あんたんとこの文化祭今週末だっけ?」
櫻子「そーそー。ねーちゃん来るの?」
撫子「友達が行きたいって言ってるから、その子たちと一緒にね」
花子「花子も未来たちと一緒に行くし」
櫻子「みんな来るのかぁ……なんか恥ずかしいなー」
撫子「櫻子、エキシビションマッチの対戦相手やらされるんでしょ?」
櫻子「うん……って、もしかしてねーちゃん参加するの!?」
撫子「いや、私は恥ずかしいしそんなつもりないんだけど……その、私の友だちが参加するかもしれなくてさ」
櫻子「えっ……?」
撫子「たぶんあの子たち、櫻子を名指しで対戦相手に選ぶかもしれない……」
櫻子「そ、そうなの!?」
撫子「こんなこと言いたくないんだけどさ……」はぁ
撫子「櫻子……あんたじゃ勝てないよ」
櫻子「っ!?///」どきっ
――――――
――――
――
―
<文化祭・当日>
京子「あっ、千鶴だー」
千鶴「ちっ……」
京子「いきなり舌打ち!?」
貴音「あのっ、マジカルロリポップです。おひとついかがですか?」
京子「わーおいしそう! いいの?」
遥「一個200円ですっ」
京子「千鶴、払っといて」ぽん
千鶴「ふざけんな! 金払え!///」
京子「冗談だよぅ~」
遥「どう……かな? おいしくできてると思ったんだけど」
京子「んーめちゃめちゃおいしい!」
貴音「北宮先生がレシピを教えてくれたの。これもマナシュガーを使ってるんだよ~」
「ま、そういうわけだから……これを食べたからには頑張って試合してこい」
京子「わっ、北宮先生」
北宮「お前、確か前回大会のベスト2だったな。素人相手に負けたら魔法演習の成績落とすからな?」
京子「冗談きついよ!! ってか、千鶴は試合出ないの?」
千鶴「私は……今回は姉さんがグランドフィナーレのメインメンバーになってるから、一緒にそっちの手伝いをするんだ」
京子「なーんだ、千鶴と組んで試合したかったのにな」
千鶴「お断りだ」ぷいっ
~
ちなつ「ふぃー、やっと暇な時間だね」
あかり「喫茶店のウェイトレスも結構忙しかったねぇ。はいちなつちゃん、ジュース」
ちなつ「わーありがとー。どうせなら屋台で色々買って、試合会場の席で結衣先輩たち応援しながら食べない?」
あかり「いいかも~♪」
ちなつ「今頃も誰か試合してるよね……櫻子ちゃんたちはもうやったかなぁ?」
あかり「久しぶりに櫻子ちゃんの試合も見たいねぇ」
ちなつ「あっ! そういえば今日うちのお姉ちゃん来るって言ってたっけ……まだ見かけないなー」
あかり「あかりのお姉ちゃんも来るって言ってたよ。もしかして一緒に待ち合わせてくるのかな?」
ちなつ「なるほどね。よーし、おねえちゃん来るまでにおいしい屋台探しと……」
『さあさあ盛り上がっております七森魔法中学校文化祭、スペシャルエキシビションマッチ! 続いての挑戦者は大学生コンビのようです! 赤座あかね選手&吉川ともこ選手、両者ステージへどうぞ~!』
ちなつ「っでぇぇえええええええ!? 今何か変なの聞こえたんだけど!?///」がーん
あかり「ちょっ、急いでスタジアム行こうよちなつちゃん!!」
~
『さてこの大学生コンビに対する挑戦者ですが、なんと今回は候補者の中から指名されたようですねぇ……歳納京子、船見結衣ペア、前へ!』
京子「マジかぁ~……まさか最初の対戦相手があかりのねーちゃんとは……」
あかね「うふふ、よろしくね♪」
ともこ「いつもちなつが話してくれる結衣先輩の名前があったから思わず選んじゃったっ。ごめんなさいね?」
結衣「いえまあ、いいんですけど……」
あかり「うわぁ、ほんとにお姉ちゃんだよぉ!!///」がーん
ちなつ「しかも結衣先輩と京子先輩が対戦相手!?」
櫻子「あっ、あかりちゃんちなつちゃん! こっちこっち、一緒に見ようよ」
向日葵「まさかお姉さんたちが参加してるなんて……驚きでしたわね」
あかね「ああっ、いたいた。あかり~! おねえちゃん頑張るわよ~!」ぶんぶん
ともこ「ちなつ~、見ててね~」きゃっきゃっ
あかり「お姉ちゃんが試合するところ、初めて見るかも……」
ちなつ「おねーーちゃーーん! 結衣先輩には魔法使わないでねーー!」
京子「全部私にぶつけろと!?///」
結衣「京子、いくらあかりとちなつちゃんのお姉さんとはいえ……相手は大学生だ。手加減してくれるかもしれないけど、それでもきっと強いぞ」
京子「大丈夫だって……私だって自分の実力がどこまで通用するか見たいもん。お姉さんたち、本気で来ていいですよ!」
あかり「あら、最初からそのつもりよ? 中学時代にお世話になった先生も見てることだし……」
ともこ「それに、豪華賞品欲しいものねっ♪」
『実況はわたくし七魔中放送部と、今回は解説ゲストに東先生にお越しいただいております~!』
東『よろしくお願いします』
『それでは、両者前へ!』
あかね「ともこ、いくわよ」
ともこ「ええ」
京子「久しぶりの試合……楽しまなきゃね」
結衣「ああっ」
『赤座あかね・吉川ともこペア 対 歳納京子・船見結衣ペア……試合っ、開始~~~!!』どじゃーん
『さあ始まりました、大学生vs中学生の特別試合! いったいどんな試合になるか想像も付きませーん!』
櫻子「想像つかない、っていうか……」
向日葵「赤座さん吉川さん、お姉さん方の得意魔法っていったい何なんですの?」
あかり「お姉ちゃんはね、あかりと同じ補助強化と……」
ちなつ「うちのお姉ちゃんは、補助防御と……」
あかり・ちなつ「「あと、炎魔法!!」」
櫻子「えっ」
あかね「いくわよ結衣ちゃん、京子ちゃん!」ごごご
ともこ「お姉さんの本気ってやつを見せてあげる……」ごごご
京子(ね、熱気が……!)びくっ
結衣(これっ……やばい! 私の苦手な雰囲気……!///)ぞくっ
あかね「はぁぁああああっ!!」ぎゅおん
京子「っ!! 結衣、上だ! 逃げろー!」
結衣「うわあああああ!!」だっ
『うわぁーー! 上空からいくつもの火球が降ってきます~~!』
東『と、とんでもないわね……まさか二人とも炎魔法の使い手なんて』
『これは面白い展開になってきました! 燃え盛る火の手が歳納選手と船見選手を包みます! フィールドがこうなってしまっては、特に船見選手は氷魔法をうまく使えないのではないでしょうか!?』
東「魔法障壁で守られてる私たちでも熱を感じるほどだもの、きっとあの中の温度はもっと凄まじいわ!」
結衣(最っ悪だぁぁ……!!)だだだっ
ちなつ「きゃーー結衣先輩がこんなにピンチになるなんて!!」
向日葵「これが大人の力というものなのでしょうか……」
櫻子「つ、強すぎじゃない……!?」
あかね「まだまだこんなものじゃないのよ?」ふぉん
京子「!」
『おおっと? 赤座選手が魔法陣を展開しました!』
東『強化式……リィンフォース・シール! それにしても早い……!』
あかり「京子ちゃ~ん! おねえちゃんは時間が経つほど強くなっていっちゃうから、勝つには短期決戦じゃないとダメだよぉ!」
京子「それを早く言ってくれよ! ああもうっ!」だっ
京子「うらぁっ!」ばちばちっ
『おおっ! 歳納選手の雷撃が命中~! 雷光が二人の間に走ります!』
あかね「これほどの迅雷、避けるのは難しい……でもっ」
ともこ「うふふ……私の張った守護壁はそう簡単には破れないのよ?」
京子「ちぃっ!///」
『赤座・吉川ペアのコンビネーション! 両者とも攻撃と補助を同時にこなし、攻防に渡って隙無し! さらに時間が経てば経つほど強力になってしまいます~!』
東『歳納さんと船見さんは決して実力不足というわけじゃない……むしろこの学校でもトップクラスの二人よ! その二人が手も足も出ないなんて……』
櫻子「め、めっちゃくちゃ強いよ……お姉さんたち……」
京子「結衣! へばってないで攻勢に転じなきゃ!」
結衣「無茶言うな! 私なんかこのフィールドにいるだけで魔力が蒸発してくみたいなんだよ……!///」
あかり「もう遅いわ。ふたりまとめて私の炎に閉じ込めてあげる!」ぴっ
ゴォォオオオッッ!!
京子「うわ!?」
結衣「っ!」はっ
しゅぅぅ!
あかね「あら……」
『か、間一髪~! 赤座選手の巨大な火炎が歳納選手へ届く前に消滅しましたー!』
東『熱した空気の流れ全体に船見さんが急激な冷凍を施したようね。あれだけの火柱を全て消してしまうなんて……船見さんはかなりタフね』
結衣(で、でも……)はぁはぁ
ともこ「……今のだけでほとんど残存魔力を使ってしまったようね。この環境の中で、強化陣まで加わったあかねちゃんの魔法を止めるなんて……並みの中学生には無理だわ」
京子(結衣はそんな不器用な真似しない……自分の魔力を使い切ったらもう後はない! 本当にすごいのはあかりのねーちゃんなんだ……!)
結衣(あ、あそこまでやる気はなかった……でも私の魔法とお姉さんの魔法がぶつかったとき、確かに力の駆け引きに強制的に引き出された気がした! まるで自分の魔力が吸い取られるかのように、勝手に魔法が身体を離れていった……!)
あかね「ふふっ……」にこにこ
向日葵「うろたえている時間はありませんわ! 赤座さんのお姉さんはどんどん力を増している……!」
櫻子「あとはもう歳納先輩がやるしか……!」
結衣「京子!」だっ
京子「結衣……!」
結衣「…………」ぼそっ
京子「…………」こくり
『歳納選手たちが何やら作戦を示し合せました! ここから勝機が望めるのでしょうか!?』
ともこ「もう無駄よ。誰にも私たちは破れないわ!」すっ
あかね「ええ、そろそろ決めさせてもらうわね……っ!」
『おおっと、吉川選手が赤座選手の手を取ったぁ!!』
東『二人の手の間を物凄い魔力が行きわたってるわ……!』
結衣「くそぉっ!」だだだっ
櫻子「船見先輩が行ったぁ!」
ちなつ「結衣先輩……!」
あかり「ああっ、危ない!」
あかね「捨て身の攻撃ならなんとかなると思ったら大間違いよ!」
結衣「っ!」
きゅぃぃいいいん!!
結衣(やば……!)さーっ
どっかぁぁぁあーーーーん!!
櫻子「うっわぁああああ……!」
向日葵「ま、魔法エネルギーの大爆発ですわ……!」
あかり「結衣ちゃぁあああん!!」
結衣(負け……た……)ぴかぴか
『船見選手の守護石が光っております! さすがにあの爆発は耐え切れませんでしたぁー!』
あかね「ちょ、ちょっと本気出しすぎちゃったかしら……///」てれっ
向日葵「そんな……船見先輩が負けるなんて……」
櫻子「初めて見たよ……!」
ともこ「気を付けてあかねちゃん! まだ終わってないわ!」きょろきょろ
あかね「えっ?」
京子(位置は……あそこだ!!)きっ
京子「召・雷ッッッッ!!!」ぴっ
ガォォォオオオンッ!!
京子「っ!?」きぃん
ぱぁん!
『ええっ!?』
東「歳納さんが……!」
櫻子「吹っ飛ばされたぁ!?」
京子「な……なんで……??」ぴかぴか
ともこ「……反射障壁の魔法にはいろいろ種類があるの。壁を切り裂く鋭い雷の魔法を捉えるのは本来難しいんだけど、その特性上……ある一点に落ちることがわかってるから、そこに集中すれば弾き返せるってわけ」
ちなつ「お姉ちゃんの反射障壁は……破れない……!」
京子「ふふふ……あーあ、負けちゃったぃ」がくっ
結衣(つ、強い……)ばたっ
『勝負あり!! 船見・歳納戦闘不能! 赤座・吉川ペアの勝ち!!』
ともこ「やったわあかねちゃん、完全勝利よ!」
あかね「ちょ、ちょっと大人げなかったかもね……///」
『なんということでしょう……船見選手の捨て身の時間稼ぎで力を溜めていた歳納選手の雷撃ですが、完全にポイントを読まれて反射されてしまいました……!』
東『歳納さんと船見さんは七魔中が自信をもって送り出すほどの生徒ですが……その二人を名指しで指定、そして見事勝利を収めました赤座・吉川ペアのお二人には、約束通り豪華賞品をお渡ししますっ!』
櫻子「うぇぇ、船見先輩たちが負けちゃったよ……!」
向日葵「世の中には……こんなに強い方がいらっしゃるんですのねぇ……」
あかり「おねえちゃん、中学生の時からすごい成績よかったって聞いたことあるもん……」
櫻子「あれっ? そういえばちなつちゃんどこ行っちゃったの?」きょろきょろ
向日葵「ほら、あそこにいますわ」
ちなつ「結衣先輩~~! 大丈夫ですかぁ!?」たたたっ
結衣「あ、あぁ……まだちょっと頭がくらくらするけどね」
ちなつ「あぁーんお姉ちゃんたち本気出さないでって言ったのに~~!」ゆさゆさ
結衣「ち、ちなつちゃん! 余計揺れる!///」がくがく
あかり「大丈夫かなぁ結衣ちゃん、この後クラス演劇もあるのに……」
向日葵「わ、私手当てに行ってきますわ!」
「待って、ひま子」ぱしっ
向日葵「あっ……な、撫子さん!?」
撫子「おはよ。やってるみたいだね」
櫻子「ねーちゃん! ……と」
藍「お久しぶりね、櫻子ちゃん」
櫻子「藍ねーちゃん! 来てたんだ」
藍「すごい盛り上がってるのねぇ文化祭。今の試合もびっくりしちゃったわ」
あかり「い、今のは特別凄すぎたような気もするけど……」
撫子「ひま子、櫻子……準備しておいて。そろそろ来ると思うから」
向日葵「え? 何がですか?」
櫻子「あのね、ねーちゃんのお友達がこの試合に参戦するらしいんだけど……」
藍「向日葵ちゃんも何度か会ってるわよね。美穂とめぐみ……二人がタッグを組んで、あなたたちに挑むわ」
向日葵「え、えええええっ!?///」
撫子「気を付けてねひま子。あの子たち、かなり本気で臨むらしいから」
向日葵「さ、櫻子知ってたんですの!?」
櫻子「いや、なんか昨日ねーちゃんにそう言われて……」
向日葵「なんで早く教えとかないんですのよ!///」
櫻子「ごめん、忘れてた」
「櫻子ちゃんたち、まだ記録上は試合で負けたことがないらしいわね?」
櫻子「あっ! 美穂ねーちゃん、めぐみねーちゃん!」
めぐみ「さっきエントリー済ませてきたよ~。櫻子ちゃんと向日葵ちゃんを名指しでねっ」
向日葵「う……」
美穂「そんなに身構えないで楽しみましょ? と言いたいところだけど……まだ負けたことがないっていうなら、こんなところで無駄な一敗を記録したくないわよねぇ?」くすっ
櫻子「そ、そりゃそうだけど……っていうかめぐみねーちゃんの格好なにそれ!」
めぐみ「これは試合用の魔装備だよ。私の得意分野はローブを着た魔法戦じゃないの……ま、すぐにわかることだけどね」
向日葵(い、一体何が……?)
美穂「それじゃあ私たちは準備運動してくるわね。また試合のときに会いましょう?」
めぐみ「じゃあね~」すたすた
櫻子「くぅ、なんか凄そう……///」
向日葵「私たちの実力が、高校生相手にどこまで通じるか……」
藍「櫻子ちゃんよく聞いて。あの二人の実力は本物よ。勝ちたいなら……ただがむしゃらにやっても勝てない」
櫻子「そ、そんなに強いの?」
藍「ええとても。どれくらい強いか教えてほしい?」
向日葵「どれくらいって……?」
藍「……撫子は、あの二人に何度か負けてるわ」
櫻子「ええっ!!?///」がーん
向日葵「うそ……撫子さんが!?」
撫子「……まあ、私の時は二対一だったけどさ」
藍「でも撫子はうちの高校のナンバーワンよ。あの二人のチームワークは侮れないわ」
あかり「そ、そんな人を相手に……櫻子ちゃんはどうすればいいの!?」
櫻子「…………」くっ
~
櫻子(ねーちゃんが負けるなんて……信じらんないよ……)
櫻子(そんな人たちに私はどうすればいいの?)
櫻子(勝てる気は全然しないけど……でもっ、ただ無様に負けるなんて……そんなのやだよ……!)
「あ、いたし!」
「何してるの? こんなとこで」
櫻子「あっ、花子たち……!」
未来「櫻子おねえちゃん、来たよー♪」
こころ「きたよー」
ちび「ワンワン!」
櫻子「うわ、ちびまで来たんだ……! 久しぶりだね、ちび」なでなで
花子「もうすぐ試合なんでしょ? みんなで一緒に応援するし」
櫻子「うん……」
みさき「……な、なんか元気なさそうなんだけど」
櫻子「いや、さっき対戦相手のことを、ねーちゃんたちに色々聞かされてさ……」
~
花子「撫子おねえちゃんでも勝てない相手……!?」
櫻子「そんなのに、私なんかが敵うわけないよ……! みんなの前で恥ずかしいけど、今回は何もできないかも……」
みさき「櫻子おねえちゃん……」
未来「……櫻子おねえちゃんは、撫子おねえちゃんに勝ってるとこってないの?」
櫻子「へ?」ぽかん
未来「魔法のキレとか、魔力とか、戦い方とか、ひらめきとか、ガッツとか! ……どれをとっても撫子おねえちゃんに勝ててるものって、無いの?」
櫻子「そんなことは……ないと思うけど」
未来「じゃあ、それを全面に押し出して戦えばいいだけじゃない?」
櫻子「!」はっ
花子「未来の言う通りだし。撫子おねえちゃんは撫子おねえちゃんの強さがある……それと同じように、櫻子には櫻子にしか出せない強さがあるはずだし」
こころ「そうだよー」
櫻子「みんな……!」
みさき「あの時ちびを……みさきたちを助けてくれた櫻子おねえちゃんは、撫子おねえちゃんよりも大きく見えた。少なくともみさきには!」
こころ「花子様に聞いたけど、櫻子おねえちゃん毎日魔法の特訓欠かさないんでしょ?」
未来「ひょっとしたらもう、とっくに撫子おねえちゃんを超えてるかもしれないじゃん!」
花子「まあ、一生懸命やればそれだけでいいと思うし」
櫻子「そっか……そうだよね……!///」
向日葵「ああっ櫻子、こんなとこにいたんですのね? 早く準備始めないと間に合いませんわ」たたた
櫻子「うん! ……待っててねみんな、もしも勝ったらみんなに屋台のおいしいやついっぱい奢るからね!」
未来「わーい!楽しみ!」きゃほー
花子「ひま姉も頑張って」
向日葵「ありがとうございます、花子ちゃん」
ちび「ワン!」わふわふ
~
『さあさあお次の対戦カードは……おおっと、ついに来ました!……七魔中前期マジカルバトルトーナメントの優勝コンビの登場です! 大室・古谷ペアーっ!』
あかり「櫻子ちゃーん、がんばってぇー!///」ぶんぶん
ちなつ「あれ京子先輩、結衣先輩はどうしたんですか?」
京子「すぐ来るよ。今劇の片付けしてるとこだと思う」
千歳「この試合だけは見逃せんなぁ……」
綾乃「そうね……」
未来「わぁ、出てきた出てきた!」ぱちぱち
こころ「すごいお客さんの数だねー」
みさき「それだけみんなが注目してるのよっ」
あかね「ともこ、せっかくだから私たちも見ていきましょっ♪」
ともこ「面白そうな試合ねぇ~」
撫子(櫻子……)
花子「な、撫子おねえちゃん?」
撫子「ん……なに?」
藍「撫子ったら真剣な顔しちゃって……べつに命をかけて戦うわけじゃないんだし、いい試合をしてくれればそれでいいじゃない?」
撫子「わかってるけど……」
撫子(櫻子にとってこの試合はただの練習試合じゃない……前回の大会から違うことがいくつかある。それは櫻子があの古代魔法を一回でも使いこなすほどの力を身に付けたこと……!)
撫子(その力は間違いなく通常の魔法にも影響があるはず。ひょっとしたらもう櫻子は……)
撫子(私なんかとっくに、超えてるのかもしれない……!)
『実況解説には南野先生が来てくれましたー! よろしくお願いします!』
南野『よろしく。それじゃあ対戦相手の解説といこうか』
ざっ
めぐみ「ふふん……♪」
美穂「うふふ……」
櫻子(来た……!)じりっ
南野『八重野美穂、園川めぐみペア、現在高校三年生。夏の大会の決勝でも出てきた大室さんのお姉さんのご友人だって。もちろん大室さん・古谷さんの二人とも面識があるらしい』
『なんと……あの大室撫子さんのご友人でしたか!』
南野『そしてこれは二人のエントリーコメントだが……八重野・園川ペアはその大室撫子さんを相手に何度か勝利を収めている、とある』
『えええっ!?』
ざわ……
撫子「くっ……///」
藍「調子乗っちゃってるわねぇ、あの二人……」
花子「でも……嘘じゃないなら、仕方ないし」
南野『大室さんも大室のお姉さんも特殊プリマチュアだから、戦い方は非常に似ている……それに対応した戦法を取るんだろう。かなり面白い試合になることは間違いないね』
『期待が高まりますこの試合っ! それではさっそく参りましょーう!!』
『両者、位置に!』
美穂「よろしくね、櫻子ちゃん」
櫻子「うん……よろしく!」
めぐみ「私たちも久しぶりの試合なの。今日は楽しませてね!」
向日葵「こ、こちらこそ……」
『八重野美穂・園川めぐみペア 対 大室櫻子・古谷向日葵ペア! 試合っ……開始ぃ~~~~!!』どじゃーん
櫻子「向日葵、下がって!」
向日葵「っ!」だっ
『さあまずは様子見でしょうか、大室古谷ペアが後退しました!』
美穂「いいわ。二人は私たちのスタイルを知らないんだもの……情報をあげなきゃフェアじゃないものね?」ひょいっ
めぐみ「いっちょデモンストレーションと行きますか?」ぱしっ
櫻子「!」
向日葵「……!?」
『八重野選手がなにやら武器を取り出し、園川選手に渡しました! あれは……!』
南野『あれは……バトンロッドだ!』
美穂「持ち込みアイテムは装備含めてひとりひとつなのよね。めぐみは魔法アーマーで枠を使っちゃってるから、私がこのバトンを持つ扱いとして出るわ。試合中に渡すなら文句ないでしょう?」
めぐみ「もしかしてまだ見たことないかな? こういうのは」くるくる
櫻子「バトン型の武器……?」
向日葵「来ますわ! 守りを固めて!」
美穂「めぐみ、好きに暴れていいわよ!」
めぐみ「いくよっ!!」ひゅるる
藍「めぐみの得意属性は水……めぐみ自身はそこまで魔法が得意じゃない……でも!」
めぐみ「おっりゃぁああああ!!」ぶんっ
櫻子「!!?」ばきん
撫子「身体能力の高いめぐみにしか使いこなせない武器がある……めぐみの得意分野は、魔法スポーツ!!」
花子「魔法スポーツ……!?」
『めぐみ選手、ダッシュとともに水魔法を打ち出しましたが……なんとバトンを振ると、射出された水が全て一瞬にして凍ってしまいました!!』
南野「大室さんは辛うじて氷の刃が届く前に守りを張ったようだ……でもあの速さは避けきれまい」
向日葵(あのバトンは……氷をあやつる武器なんですの!?)
櫻子「水と氷か……ならこっちは!」ふぉんっ
向日葵「待って櫻子!!」
櫻子「えっ!?」
めぐみ「下手に飛ぶと痛い目見るよ! そらっ!!」ごおうっ
櫻子「うわ! きゃぁああーーーーっ!!」びたん
あかり「ええっ!?」がーん
千歳「落とされた……!」
『なんということでしょう! 風魔法に乗って飛びかかろうとした大室選手ですが、めぐみ選手のバトンの一振りで見えない力に流されるように叩きつけられてしまいました!』
南野『風だ……! あのバトンが暴風を起こして大室の風向きを変えたんだ!』
めぐみ「このバトンはね、二つのロッドを組み合わせたものなの。片方は氷、片方は風! そして魔力を込めて回せば……!」くるくる
美穂「ブリザード!!」
ヒュゴォォオ!!
櫻子「ひ、向日葵逃げて! 止まってたら足元が凍る!」ぼっ
向日葵「くぅぅ……近づけない!」
『不思議な武器を扱いますめぐみ選手! 自身は水、そして武器により氷と風をも操ります! 三属性の巧みな攻撃です!』
めぐみ「うかうかしてたら全部凍らせちゃうよ! ほらほら!」しゅきききん
南野『空気中にミストの嵐を作ってそれをどんどん凍らせていく……! 足場は凍り、空中も逃げられない!』
撫子「こうなるとまずい……この二人の前では絶対に動きを止めちゃダメなんだ……!」
花子「えっ……!?」
「ちょっと、私のこと忘れてない?」しゅっ
櫻子「うっ!?///」ぴきん
櫻子(しまった!!)がーん
向日葵「さ、櫻子!!」
美穂「はーい捕まえた……櫻子ちゃん、もう動けないわよ♪」くすくす
『ああっと! 大室選手の身体が完全に硬直しました!』
南野『妨害魔法だ……! 八重野選手は妨害なのか!』
撫子「美穂の妨害は一級品だよ……捕まったら最後、逃げられない……!」
藍「大ピンチね……」
櫻子(動けない! 喋れない! 何もできない!!///)むむむ
美穂「そう、撫子はそうやって負けたのよ? 一切の動きを封じられれば、それはもう敗北と同義……」つかつか
向日葵「櫻子!!」
綾乃「見えるわ……大室さんを取り巻く数々の呪縛式! 全てが代わる代わる大室さんを縛り続けて、どれだけ魔力を込めても解除させてくれない……! 逃げられない!」
美穂「七森中のナンバーワンも、こうなっちゃ可愛いものねぇ」なでなで
櫻子(くぅ……!!///)ぷるぷる
美穂「ねぇ知ってる? 守護石ってね、ただ身体にダメージを与えるだけでもいいんだけど……本当に壊したいなら、守護石そのものに魔力を注ぎ込むのが一番なのよ」じゃらっ
櫻子「っ!!」びくっ
美穂「こんなに早く終わっちゃうとは思わなかったけど……ま、これがお姉さんたちの実力ってことよ♪」ぎゅっ
櫻子(まずい!)
あかり「ああっ、ペンダントを握られちゃったよぉ!」
京子「攻撃魔法を持たなくても守護石の耐久力を奪えるの……!?」
ちなつ「櫻子ちゃんが……負けちゃう……」
ずががっ!!
美穂「なっ!?」どっ
『あっ!』
南野『ん……!』ぴくっ
向日葵「はぁ……はぁ……///」
櫻子(氷刃が……!)はっ
美穂「いった~い! ちょっとめぐみ、何すんのよ!///」
めぐみ「わ、私じゃないよ!!」
あかり「じゃあ……今の氷撃は……」
「古谷さんだよ」つかつか
京子「結衣!」
ちなつ「結衣先輩!!」
結衣「古谷さんの専門は回復だけど……それだけで大室さんを支えてあげられないと思った彼女は、今は氷魔法を習ってるんだ」
あかり「それは聴いたことあったけど……でも、もう使えるようになっちゃったの!?」
綾乃「古谷さんの……第二魔法……!」
ちなつ「特殊プリマチュアの櫻子ちゃんともまた違う、本物の努力! とても13歳の女の子の魔法の幅とは思えない……!」
南野『まあ、恐らくこの環境が古谷の魔法を成功させたんだろう。今フィールド内は園川選手の張り巡らせた冷気で溢れてる……その手助けさえあれば、ひよっこの古谷でも氷魔法を扱うことができるんだ』
めぐみ「そ、そんなの知らなかったんですけど!///」
美穂「一杯食わされたわねぇ……櫻子ちゃんさえ仕留めれば終わると思ってたけど、向日葵ちゃんを舐めすぎたわ」
向日葵(言ってもこれが成功したことは、何回かしかないんですけど……)ふぅ
結衣「このタイミングで覚醒するなんて、さすがだよ古谷さん……」
櫻子「うっらぁぁあ!!」だんっ
美穂「あっ!」
『おおっと! 美穂選手の注意が逸れている間に大室選手が妨害を解きました!』
南野『形勢が戻った。この勝負……まだまだわからない!』
藍「やるじゃない二人とも! 美穂とめぐみが少し動揺してるわ」
撫子「でも……だからって戦力差は変わらない」
櫻子(同じ間違いを踏まないようにしないと……次また美穂ねーちゃんに捉えられたら終わりだ……!)
向日葵「櫻子、焦らなくても練習通りにやればいいんですわ。皆さんとの特訓の成果……それを見せつけてあげましょう」ほわわん
櫻子「うん……!」
めぐみ「向日葵ちゃんを放っておくと櫻子ちゃんに与えたダメージも意味がなくなっちゃうよ……やっぱり先に向日葵ちゃんを狙わないとダメなんだね」
美穂「めぐみ、こっちの手のうちは結構相手に知られちゃったわ。ここからは試合経験の差を出して行くしかないわよ」
めぐみ「よしっ!」だっ
みさき「これが魔法の試合……みさき、本物は初めて見るわ!」
未来「何がなんだかわかんないけど……とにかくすごいよ~!」
こころ「でも、櫻子おねえちゃんたちがやっぱり不利みたい……」
花子(いや、そんなことはない……櫻子はまだ何もしてない! 勝負はまだまだこれからなんだし……!)
櫻子(きっと得意の風魔法での移動を封じられたからねーちゃんは苦戦したんだ! だったら他の魔法で動けばいい!)ばちちっ
めぐみ「なっ!?」
櫻子「歳納先輩に教えてもらった魔法……やっと使いこなせるようになったんだよね!!」どきゅん
『あれは!』
京子「電磁移動……!」
めぐみ「速い……くそっ!!」ぶんっ
櫻子「おりゃあっ!」ばりばりっ
綾乃「あの動き……本当に歳納京子と同じよ! 大室さんってもうこんなことまでできるようになってたの?」
京子「さくっちゃんはああ見えて努力家なんだよ。その才能を驕らずに古谷さんに負けないくらい努力してる……私もたくさん特訓の相手させられたよ」
千歳「意外、っちゃ意外やなぁ……」
撫子(だろうね……でも、ちゃんと理由がある)
撫子「櫻子はね、魔法に対する価値観が普通の子と違うんだ……」
藍「えっ?」
撫子「あの子は生まれてから大きくなるまで、なぜか魔法というものを知らなかった……そして古代魔法の一件で、自分の魔法さえ奪われかけた。あの子にとって魔法は、手が届きそうで届かないところにあるファンタジーの夢みたいなものだったんだ」
撫子「世界レベルの危険な魔法を持ち、そしてその魔法で救ってきた命もあった。あの子は魔法の危険さも大切さも、全部知ってる……」
撫子「だからこそ、誰よりも魔法が上手くなりたいと思ってるんだよ……!」
花子(櫻子……!)
櫻子(ねーちゃんはいつも風を操って遠くからの完璧な試合を作りたがるのが特徴だけど……でもそれがこの二人には通じない!)
櫻子「ということはつまり……近接戦に持ち込むしかないんだ!!」どかっ
めぐみ「きゃっ!!」ずざっ
『めぐみ選手、大室選手の高速移動に翻弄されております! 体当たりをまともに喰らったぁ!』
めぐみ(逃げないといけない……のに!)
向日葵「はぁっ!!」しゅきん
めぐみ(向日葵ちゃんの氷の礫が逃走ルートを先読みしてくる……っ!)
櫻子「このまま決める……せめてめぐみねーちゃんだけでも!」ばちばちっ
美穂「めぐみっ! 走って!」ふぉんっ
櫻子「逃がさない!」
ごーん
櫻子「痛ったぁ!?///」べちん
向日葵「なっ、魔法障壁!?」
『これは八重野選手の魔法でしょうか、フィールドを大きく分断する薄紫色の魔法障壁が出現しました! 八重野選手と大室選手側、そして園川選手と古谷選手側にフィールドが分けられてしまったようです!』
美穂「今よめぐみ、先に向日葵ちゃんを何とかして! それまで私が障壁を持ちこたえさせるわ!」
めぐみ「よっしゃ!」くるくる
向日葵(まずい……!)
櫻子(障壁に阻まれて魔法が届かない……これじゃめぐみねーちゃんを牽制できないし、向日葵も助けられない……!)
美穂「さぁ……一対一よ!」
撫子「ひま子がやられたら美穂は障壁を解く……そしたら実質二対一だ……!」
あかね「しかもあの狭くなった半月型のフィールドじゃ、逃げ場があまりないわね」
ともこ「どっちが先に頭数を減らせるか……スピード勝負ね」
櫻子「うう、このっ!」ばちっ
美穂「ふっ!」ばきんっ
綾乃「あの人、これだけのステージを形成しながらも大室さんの攻撃に対して完璧なタイミングで小さな魔法障壁を張ってダメージを防いでるわ……!」
結衣「アイテム枠を捨ててるだけあるね……一対一の勝負なら自信があるんだ!」
あかり「あれじゃ向日葵ちゃんが先にやられちゃうよぉ!」
向日葵(身体能力の高い人相手にいつまでも逃げられませんわよ私!///)はぁはぁ
めぐみ「そらそらぁっ!」ばしゅっ
向日葵「きゃあああっ!」
『八重野選手の作戦が功を奏しています~! 戦力を分けられた大室古谷ペア、それぞれの相手に大苦戦です!』
南野『このままでは時間の問題だろう……!』
撫子「敗色濃厚……ここまでかな……」
花子(……いや、まだ……!)きっ
櫻子(バカ私! ねーちゃんが勝てなかった相手に、ねーちゃんと同じようにやったって勝てないんだってば!///)はぁはぁ
美穂(持久戦なら……こっちが負ける要素はないわ!)ふっ
櫻子(ねーちゃんがしないことって何!? ねーちゃんが取らない戦法って何……!?)
櫻子「!」はっ
美穂「さあ、魔力使い切るまでお相手するわよ!」
櫻子「うおぉーーー!」だだっ
美穂「えっ!?」
ぎゅっ
『な、なんと!? 大室選手が八重野選手に抱きつきました!』
南野『肉弾戦か!?』
美穂「きゃっ、ちょっ! 卑怯よ!///」ぶんぶん
櫻子(胸の奥に隠してる……守護石のペンダント……!)
櫻子「ゼロ距離なら避けられないでしょっっっ!!!」かっ
どっかぁーーーーん!!!
美穂「きゃあああああああああっっ!!///」
めぐみ「美穂っ!?」びくっ
しゅううぅぅ……
美穂「そ、そんなぁ……///」ぴかぴか
櫻子(よ、よし……!)
京子「おおおっ! さくっちゃんがやったぁー!///」
綾乃「守護石の耐久力を奪ったわ!」
『八重野選手、戦闘不能!!』
藍「まさか……美穂にとびついて直接魔法を打ち込むなんて!」
あかね「今の爆発……さっきの私の魔法と同じ魔力の流れを感じるわ。こんな一瞬でトレースされるほど簡単じゃないはずなんだけど」
ともこ「それに、中学生そこそこの魔力であそこまでの大爆発が起こせるなんて……」
撫子「これが……古代魔法の産物」
みさき「えっ?」
撫子「櫻子の保持魔力は並みの中学生のレベルをはるかに超えてる……ちびを助けようとしてクロノシアを発動させたときに覚醒したんだ。封印古代魔法を扱えるほどの魔力がもうあの子にはしっかりと身についてる……!」
未来「櫻子おねえちゃん……!」ぱあっ
美穂「なるほどぉ……確かに撫子はいつも綺麗な戦い方しかしないものね。いくら試合中だからって、人前じゃ好きな子も抱きしめられない恥ずかしがり屋の撫子には、絶対とれない戦法だわ……」はぁ
撫子「は、はぁ……?///」
向日葵「櫻子っ!」たたたっ
櫻子「向日葵!」ばっ
めぐみ「ああっ、障壁が消えてる!」がーん
『八重野選手の魔法が途切れたことにより、フィールドを分断していた魔法障壁も消えました!』
南野『ふう……二対一は二対一でも、まさか大室さんたち二人が残るなんてね。これは予想してなかったよ』
向日葵「大丈夫ですの? まだ魔力残ってるんでしょうね」ほわん
櫻子「ばかにすんな! 私の売りは回復力だっつーの!」
めぐみ「くぅ……私ピンチじゃん……!」
櫻子「あとは一人にだけ集中すればいいんだ……向日葵! 挟み撃ちでめぐみねーちゃんの動きを止めよう!」
向日葵「ええ!」だっ
めぐみ(向日葵ちゃんを先になんとかしないとダメなのに、櫻子ちゃんから目を離すわけにはいかない! でも櫻子ちゃんに集中したら、後ろから氷の刃で突き刺されちゃう!)
櫻子「ちょこまかと逃げるのももう終わり! いくら魔法アーマーだからって私より早く動けないでしょ!」ぱしっ
めぐみ「ああっ!?///」
『わー大室選手、なんとめぐみ選手の回すバトンを奪ってしまいました!』
南野「き、決めにかかるぞ!」
櫻子「これでっっ……終わりだぁぁーーーーー!!」どきゅん
めぐみ「きゃあああああああああっ!!」ずががっ
結衣「いった……!」
あかり「やったぁ!!」
めぐみ「ひ、ひどいよぉ~……」ぴかぴか
『そ、園川選手戦闘不能!! よって勝者、大室・古谷ペア!!』
わぁぁっ!
向日葵「か、勝てた……///」はぁ
櫻子「あ、危ねー……」がくっ
ちなつ「す、すごい試合だったぁ!///」きゃっきゃっ
未来「やっぱり櫻子おねえちゃんはさいきょーだよ~~!!」
こころ「さいきょー」ぱちぱち
みさき「や、やるじゃない……!」
花子「櫻子……///」ぱちぱち
撫子「…………」
藍「うふふ、どう? 妹ちゃんに抜かれちゃった感覚は」
撫子「ぬ、抜かれたって……まだまだだよ。私は一人でもめぐみと美穂に何回か勝ってきたんだから」
藍「でも、まさか櫻子ちゃんたちが勝つとは思わなかったんでしょ?」
撫子「う……///」
あかね「すごい中学生もいたものねぇ……基本的にこのエキシビションマッチ、年上が来た時に中学生側が勝つなんて滅多にないのよ?」
あかり「そうなの!?」
ともこ「いわば学生側はお客さんを楽しませる引き立て役だもの。でもここまでやれば最高の試合と言えるわ」
綾乃「大室さんの無敗記録が、また守られたわね」
千歳「ほんますごいなぁ~」ぱちぱち
南野『見事勝利した大室さん・古谷さんにはそれぞれ、屋台のサービス券がプレゼントされるぞ』
『おめでとうございますっ!!』
櫻子「いぇーいやったーーー!!///」ぐっ
向日葵「わ、私走りすぎてグロッキーですわよ……何も食べられる気が……うぅ」
櫻子「大丈夫任せて。私が向日葵の分も全部食べてあげるから」ぽん
向日葵「許しませんわよそんなの……」ぺしっ
『さぁーあ、お次の試合と参りたいところですが……今の試合にみんな魅入ってしまったのでしょうか、参加者のエントリーがありませんね』
南野『誰かいないのか? 別に生徒同士でもいいぞー』
結衣「こ、こんな試合見た後に手あげられる人なんていないよ……」
綾乃「もうだいぶ時間も経ったし……そろそろフィナーレの準備もしないとだし……」
『全然立候補者が現れませんが、終わってしまうのでしょうか』
南野『……仕方ない、私が出ようか』ばっ
『えっ?』
南野「ええと……あーいたいた、北宮先生っ」
北宮「な、なに……?」びくっ
南野「私と組んで試合しましょう? 先生最近身体動かしてないって言ってましたよね」
北宮「はぁ!? するわけないでしょそんなの、だるすぎよ……」
南野「せっかくのエキシビションですよ。来てくれたお客さんを楽しませなきゃ」
北宮「わ、私に体育会系のノリを押し付けないでってば……あっ、東先生いいところに!」ぱしっ
東「ひぇっ!?///」
北宮「私の代わりに東先生が出るって~」
南野「うん、いいね」
東「え、ちょ、えええ!?」
『ほう、南野・東ペアか……なら生徒側にも教師がつかないと不公平だよな』
『ああっ、西垣先生!』
西垣『どうだ松本、いけるか? さっきの試合見てウズウズしてただろ』
りせ「…………」ふるふる
西垣『はっはっは、そんな遠慮するな。私がサポートしてやるから』
りせ「…………///」
京子「なになに、何が始まるの?」
あかり「先生たちと、会長も含めた試合……?」
結衣「むちゃくちゃだな……でも面白そうだね。先生たちの試合なんて見たことないや」
綾乃「大室さんの試合に触発されたのね」
『とんでもないカードが切られました~! 今度の対決は教師戦です! 南野・東ペア 対 松本・西垣ペア~!』
南野「これは試合というより授業みたいなものですね先生。生徒のお手本となるようなのをお願いしますよ」
東「私、サポートしかできないけど……?」
西垣「よーし松本、好きに暴れていいぞ。南野先生に溜まった日頃のうっぷんを晴らそうじゃないか」
りせ「…………!?」ぶんぶんっ
南野「西垣先生、会長を焚き付けないでくださいよ……私ごときじゃ一対一でも怪しいんだから」
『異例のスペシャルマッチです! 実況には北宮先生にお越しいただきました~!』
北宮『……ちなみに先生が勝っても、何も報酬は出ませんからね』
南野・西垣「「ええっ!?」」
東(二人とも……)はぁ
『それでは時間も惜しいので始めましょう! 両者位置に!』
『南野・東ペア 対 松本・西垣ペア……試合っ、開始~~~!!』どじゃーん
櫻子「やばい向日葵、面白そうな試合始まった! とりあえず私見てるから焼きそば買ってきて!」
向日葵「自分で行きなさいよ!」
千鶴「姉さん」ちょんちょん
千歳「ああ千歳、来てたん?」
綾乃「千歳、そろそろ私たちはフィナーレの準備に行かないとよ」
あかり「あのっ、グランドフィナーレってどんなことやるんですか?」
綾乃「まあ、花火大会とパレードを合わせたようなものね。もう少し暗くなったら、千歳の光魔法でイルミネーションを作るのよ」
千歳「千鶴と一緒に空から降りかけるで~」
ちなつ「きゃー素敵ですぅ!///」
『おおっと東先生、何やら杖で地面にガリガリと紋章を描きはじめました! しかも早い早い!』
京子「すげーーー!! 手製の魔法陣だ!」
めぐみ「何あれ、あんなことできるの!?」
櫻子「東先生は美術の先生なんですよ!」
美穂「なっ、しかもリフレクトシールの式じゃない! もうあの陣内に魔法は効かないわよ!」
西垣「それなら……魔法じゃないものを使えばいいだけさ!」ばひゅん
どっこぉおおおん!!
京子「なんだあれ、ロケットランチャー!?」
櫻子「あんなことしていいの!?///」
結衣「先生のオリジナル魔法火器みたい……」
向日葵「校庭がえぐられてますわ……」
南野「こらーーー!! グラウンド整備だれがやると思ってんだ!!///」ぶんっ
西垣「安心しろ、一発で校庭を更地にできる魔法火薬も調合してあるさ」
南野「それ学校ごと壊しかねないでしょうが!!」ばきっ
西垣「おいこら! 私の魔砲ランチャーくんを壊すな!」
りせ「…………」
東「あの二人が熱くなってるだけね……」
北宮『これのどこが生徒に見せられる試合なんだか……』はぁ
花子「文化祭って……面白いし」
こころ「うん、そうだねー」
未来「私たちも中学生になったら、これよりもっと盛り上がる文化祭にしたいよね!」
みさき「まあそのころにはみさきもきっとすごい魔法使いになってるわねっ」ふふん
あかね「来年・再来年になるにつれてどんどんあかりたちが上級生になって主役になっていくし……まだまだ先が楽しみね」
ともこ「来年もあかねちゃんと一緒にちなつたちを見に来るわね」
撫子(先が楽しみ……か……)ふっ
藍「撫子、どうしたの?」
撫子「ううん、なんでもない」
撫子(櫻子は間違いなく……私を超えて大きくなる……)
撫子(あの子の大好きな魔法を守るためにも……私は、私のできることをやらなきゃね)ぽんっ
櫻子「ん? なにねーちゃん?」
撫子「ううん、なんでも」
美穂「そうだ櫻子ちゃん、私たちの高校の文化祭も今度あるのよ。ぜひ来てくれない?」
めぐみ「うんうん大歓迎! この学校に負けないくらい盛り上がるんだから!」
櫻子「わー行きたい行きたい!!///」
~fin~
【七森魔法中学校物語 ~文化祭~・設定資料】
『遥と貴音』
デコ出しヘアーが特徴の二人組。魔法の成績はそこそこだが、体育が苦手なので演習戦もちょっと苦手。
千鶴と同じクラスで、ひょんなことをきっかけに仲良くなったらしい。今は二人で千鶴のあとを追いかける日々。千鶴も二人の新しい友達と一緒に学校生活を楽しんでいる。
『マナシュガー』
魔力回復効果のある甘味料。自生する多年生植物から精製した天然甘味料であり、魔力のこもった湧水ポイントの周辺などでよく取れる。加工が容易でポピュラーなお砂糖。
『あかねとともこ』
あかりの姉、あかねとちなつの姉、ともこ。二人とも19歳の大学一年生。同じ魔法大学に通っており、専門分野も似ているためいつも一緒のなかよし二人組。
あかねの専門は炎と補助強化、ともこの専門は炎と補助防御。最初は補助魔法の適性を見せ、後から二人で炎魔法を同時に勉強し始めたのだが、もともと才能があったのかすぐに周りを追い越す成長ぶりをみせた。内に秘めた情熱を魔法に変えて、戦場を火炎に包む。
『めぐみと美穂』
撫子・藍の友達でクラスメイト。いつものよにん。いつもは遊びたい盛りだが、本当は陰での努力を怠らない。打倒撫子を目標に二人で力を合わせ、見事に何度か勝利を収めている。
美穂は妨害を適性に、回復を第二魔法に持つ。回復はまだまだだが、妨害に関しては学校でもトップを争う優秀ぶり。捉えた獲物は逃さない。
めぐみは水魔法に適性を持つが、まだ実用レベルの第二魔法習得には至っていない。中学の頃からバトントワリングを嗜んでおり、バイトで貯めたお金をはたいてマジカルバトンロッドを買った。魔法アーマーはパッド程度の軽装だが、身につけることで魔法防御力と身体能力を上昇させる。これは術者の能力に依存するので、めぐみは魔法の幅は狭いものの魔力に関してはタフということが伺える。
『先生ズ』
西垣先生、東先生、南野先生、北宮先生。それぞれ得意分野が別方向に分かれており一緒に授業をすることはあまりないが、仲のいい七魔中教職員。
西垣先生は魔法基礎、東先生は魔法表現、南野先生は実戦魔法、北宮先生は実用魔法を担当する。
西垣先生は授業のかたわら、オリジナルの魔法グッズ製作に目が無い。校長を含め色んな人に注意されている。
東先生は学生時代から表現魔法の道を志しており、グランドフィナーレのイルミネーションレイアウトも毎年手がけている。あかりには魔法陣の授業などで注目している。
南野先生は魔法スポーツを中心としたアクティブマジックが専門。前回のマジカルバトルトーナメントで結衣に魔法剣技を教えてほしいと頼まれたりしている。結衣を魔法スポーツの世界に誘いたく、興味を持ってもらおうとあれこれ考えている。
北宮先生は日常生活に活きる実用的な魔法や、魔法以外の調理実習など大人になるにあたり必要な科目を担当する。手先は器用だが、面倒なことは避けたい主義。前回のバトルトーナメントでは、向日葵と櫻子の優勝者ローブを作ったりしている。
ありがとうございました。
まだ続くかもしれません。
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