サスケ「誰だ、うちの娘に変な言葉を教えたのはッ!」 (204)

土曜日の午後。

春野サクラはテーブルの上で組んだ手に顎を乗せ、ニヤニヤしながら旦那の顔を見つめていた。

見つめられている方はあまり気にしていないといった風で、ご飯に焼きたらこを乗っけてモリモリ食べている。

何気ない日常の風景のようだが、サクラにとってはこれが嬉しくて仕方ない。

何故なら彼女の旦那、うちはサスケは昨日やっと長期任務から戻って来たばかりなのだ。



サクラ「サ~スケくん///」

サスケ「……何だ?」

サクラ「んひひ……何でもない///」フヒッ フヒッ

サスケ「……ま、まさかイザナミか……?」

サクラ「え、何が?」

サスケ「いや、多分思い過ごしだ……」モリモリ



サスケはまた視線を薄ピンクの焼きたらこに落とした。

先ほどから何度も「サスケくん///」と声をかけられ、返事をすると妻がフヒフヒ言ってくる不思議な状況。

誰かに幻術をかけられているのではないかと疑ってしまいそうになるほどだった。

しかしまんざらでもない。

自分が愛されていると実感でき、何だか心の内が温かいもので満たされていくように感じるのだ……。





サスケ「サクラ、そう言えばまだ言ってなかったが……」

サクラ「ん?」

サスケ「ナルトの計らいで長期休暇が出た。一か月はいられると思う」

サクラ「」

サスケ「ど、どうした……?」

サクラ「」タラー

サスケ「は、鼻血出てるぞ! ティッシュ! ティッシュはどこだ!? くそ、家の勝手が全く分からん!」アセアセ




サスケは慌てて家のなかを探し回った。

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***


サラダ「パパ、格ゲーは得意?」

サスケ「この写輪眼で20連勝して、ナルトをガチ泣きさせたことがある」


サクラが枕に顔をうずめてジタバタするために寝室に籠ってしまったので、サスケは娘、サラダの相手をすることにした。

時折「ぬほおおおおお///」という奇声が響てくるが、今までまとまった休暇なんて無かったのだからそれだけ喜ぶのも分からなくはない。


サラダ「あたしもこの前ボルトをコテンパンにして泣かせちゃった」ヘヘッ

サスケ「ボルトとはよく遊ぶのか?」

サラダ「たまにね……。ほら、あたしとあいつは似たとこあるからさ。どっちもあまりパパに構って貰えないし」

サスケ「……すまん……」

サラダ「しゃーんなろーだよ、ホント」

サスケ「……」


サスケは何も言い返すことが出来ず、押し黙ってしまった。

寂しい思いをさせていることは事実であり、恨まれたって文句は言えなかった。



サラダ「ま、この一か月次第では帳消しにしてあげなくもないけどね……///」チョコン

サスケ「サラダ……」



そう言ってサラダは胡坐をかくサスケの足の上に座った。

見事な甘え上手にサスケは思わず顔がにやけてしまいそうになったが、自分が今まで築き上げてきたキャラクターを思い出して我慢した。


***


サラダ「ねえパパ、もしかしてわざと負けてくれてる……?」

サスケ「う、うっぐ……」ポロポロ

サラダ(あ、これガチ泣き寸前のやつだ……)


1時間後、そこにはサラダを抱えながら泣くのを必死でこらえているサスケの姿があった。

さっきから一勝も出来ず、ストレート負けし続けているのだ。


サスケ「あんまりだ……。俺、片腕なのに……」

サラダ「だってパパ、超強いみたいなこと言ってたから……」

サスケ「あの時はナルトも片腕だったからな……」


サスケがナルトをフルボッコにしたのはもう随分昔の話。

ナルトと最後の決闘を終えて、サスケは左腕、ナルトは右腕を失った。

その後、療養中に暇を潰そうと始めたのがゲームだった。

左腕しか使えないナルトは方向キーしか押すことが出来ず、辛うじて攻撃ボタンを押すことのできるサスケに負け続けたのだ。

つまり写輪眼がどうのという話はまるで関係がない。

因みにナルトは今でもそのことを根に持っている。

今回長期休暇を与えたのは、柱間細胞で作った義手でリベンジし、泣かせてやろうと言う腹積もりからであった。

サラダ「次はどのステージでやる?」

サスケ「サラダ、ゲームはもうやめにしよう……。あまり長時間ゲームをやり続けると写輪眼に良くない。写輪眼は一生物だから大切にしなくてはいけない……」プルプル

サラダ(かわいいな、パパ……)

サスケ「そうだ、普段サラダたちはゲーム以外に何をして遊んでいるんだ……? 手裏剣投げか? チャンバラか?」


せめて娘にいいところを見せようと、片手でできる自分の超得意分野を挙げてみる。

しかし今の忍の子ども達にとってはどれも昔の遊び、もしくは授業でやるものという認識なのだろう。

サラダにはいまいちピンと来ないようだ。


サスケ(ダメか……)


うなだれるサスケ。

もっとこんな父親の姿を見ていたい気もするが、サラダは助け舟を出すことにした。



サラダ「別に遊ばなくても、あたしはパパと何か話せるだけでもうれしいけど……」

サスケ「そ、そうだな。ではうちは一族がどんなに虐げられてきたかという歴史を……」

サラダ「それはママから何度も聞いた」

サスケ「ええ……? これは俺の口から伝えたかったのだが……」

サラダ「パパから聞いたら尾ひれをつけ過ぎて木の葉を憎むようになっちゃうからダメなんだって」

サスケ「……」



自分の主要な話のネタを禁止され、サスケは途方に暮れた。


サラダ「もう! そんなんでよく結婚できたね!?」

サスケ「い、いや……サクラとはちゃんと楽しく会話している。『憎しみはどこから生まれるか』とか……」

サラダ「うわッ……つまんなそッ……」


もちろんサクラの目にはサスケくんフィルターがかかっており、サスケと喋ればどんな内容でも幸せに感じられたりする。

そんなぬるま湯な環境に身を置きすぎたせいでサスケはすっかり話のつまらんただのイケメンに成り下がっていた。


サスケ(うー……何かサラダが興味持ちそうな話はないか……? ……いや、そもそも何に興味を持っているんだ?)


サスケは必死で考えた末、サラダのことを何も知らないということに気がついた。

サスケ「今、サラダが興味を持っていることを教えてくれないか?」


もうこれくらいしか訊けない。

何も知らないのだから仕方がなかった。


サラダ「興味? うーん……」

サスケ「ほら、今ハマってるものとか、アカデミーで流行ってることとか……。俺は長いこと木の葉を離れていたから流行語も知らないんだ」

サラダ「あ、そう言えば最近よくアカデミーで聞くようになった言葉なんだけど……」

サスケ「うんうん」












サラダ「パパ、オナニーってなに?」


サスケ「」



愛娘から最悪な質問が来てしまった。


「赤ちゃんってどうやって出来るの?」などと訊いてくれたなら、まだ「それは高等忍術だからお前にはまだ早い」などと言える。

しかしオナニーのように子供でもやる奴はやる行為の場合、安易に「高等忍術だ」などと答えようものなら「何であたしにはオナニー教えてくれないの!? あたしだってオナニーできるようになりたい! オナニー! オナニー!」となる。


そんなの絶対に駄目だ。

サスケはオナニーで人生を踏み誤った忍を知っている。

その道は破滅へと続く一本道なのだ……。



サスケ「すまない、俺にも分からない……」

サラダ「嘘! ママに訊いたら『パパに訊きなさい』って言ってたもん!」

サスケ(サクラめぇ……!)

サラダ「ねえ! 本当のことを教えてよパパ! 本当は知っているんでしょ!?」

サスケ「……」

サラダ「パパ!」



サスケは考えあぐねた挙句、一つの答えを提示した。



サスケ「無限月読のようなものだ……」

サラダ「え……」

サラダ「無限月読って確か第四次忍界大戦の時の……」

サスケ「そうだ。無限月読にかけられた人々は、楽しい夢を見る代わりに養分を吸われていたっていうのは知っているだろう……」

サラダ「うん」

サスケ「オナニーもそんなようなものだ。オナニーは現実から目を背け、妄想の中で快楽を追い求めさせるものだ。そんなものに一度はまってしまえば、若者の養分ともいえる青春時代を無駄にし、虚しさだけが残るようになるんだ……(即興にしては上手いこと言えたぞ俺!)」

サラダ「オナニーは無限月読……」

サスケ「そうだ……」

サラダ「無限月読は超高等忍術……」

サスケ「そうだ……ん? いや、そういう話じゃなくてだな……」

サラダ「オナニーは……超高等忍術!」

サスケ「違うッ! それは全然違うぞサラダ!」

サラダ「オナニーは凄いッ!!」

サスケ「だ、だから……」

サラダ「あたしもオナニー出来るようになりたい! オナニー! オナニー!」

サスケ「……」




下手に上手いこと言おうとした結果、サスケはサラダにあらぬ認識を植え付けてしまった。


***


サスケ「アカデミーに悪い虫がいる……」

サクラ「ぬほおおおお///」ジタバタ


その夜、布団に入ったサスケは渋い表情でそう言った。

サクラは未だに興奮が収まらないらしく、隣でバタバタやっている。


サスケ「……聞いてるか、サクラ? アカデミーに悪い虫がいる」

サクラ「悪い虫? シノのこと?」

サスケ「いや、物の例えだ。……サラダに変な言葉を教えた奴がいるという意味だ」

サクラ「ああ、オナニーの件ね」ハイハイ

サスケ「何でそんなに気楽に構えていられるんだ! サラダが……! オナニーなんて……!」シクシク

サクラ「サスケくん、キャラ壊れてるけどいいの?」

サスケ「……。サラダがあの言葉を知っているとはな……」クッ


ろくすっぽ家族に顔を見せない今の生活を選んだ自分には、娘にあれこれ意見する資格などないこともよく分かっている。

しかし知らなくていいことに興味を持ち始めたときは、親として止めなければならないだろう。

いずれ知ることになるにせよ、今はまだ早すぎる。

今はまだオナニーだけだが、今後はもっと過激なワードが娘の口から飛び出すかもしれない……。


サスケ「一体アカデミーという閉鎖空間の中で何が……?」ソワソワ

サクラ「あ、やっぱサラダのアカデミーでの様子、気になっちゃう?」ニヤニヤ


いつも家を空けている旦那が家族のことを気にかけているのを見るのは、何かこう萌えるものがある……とサクラは感じた。


サスケ「ああ。しかし部外者が立ち入ることなど……」

サクラ「今度、保護者参観あるけど」

サスケ「それだああああああああああああ!!!!!!!!」ガバッ

サクラ「サスケくん、キャラ」

サスケ「……その手があったか」フッ



サスケはクールにそう呟いたが、期待と緊張で眼がギンギンに冴えてその日は一睡も出来なかった。


***


シノ(な、なんだこの異様な空気は……)


一週間後、忍者アカデミーの保護者参観には錚々たるメンバーが集結していた。


仕事をほったらかして息子を観に来た火影。

火影がサボってんだから俺も、と相談役。

娘が大好きなデブ。

息子が大好きな眉毛。

嫁が風邪で倒れたから代わりに来た絵師。

仲間はずれが怖くて子供もいないのに何故か来た獣人。

甥が頑張る姿が気になっちゃった風影。


それらむさ苦しい父兄集団が教室後方の一番見やすいポジションを占拠している。

その後ろで背の低いお母さん方が見えにくそうに背伸びしているが、そんなことには毛ほどの関心も寄せない。

皆一様に腕を組んでシノを睨みつけ、自分の子(もしくは甥)を預けるに値するかを品定めしているようだった。


サラダ(あれ……パパもママもいない……)


サラダは後ろを振り向いて見渡してみたが、そこにはサクラの姿もサスケの姿もなかった。

もう授業が始まるというのに……。


サラダ「……」シュン


せめて母親だけでも来てほしかった。

火影すらいるのだ。

何でうちだけ……。


サラダは無性に悲しくなって俯いた。


キ―――――――――――――!!


サラダ「!」

シノ「!」


突如、巨大な鷹とその足に掴まる男が教室の窓に向かって突っ込んできた。

ガシャアアアアンと盛大な音を立てて窓をブチ割り、男は室内に飛び込む。


サラダ「パパ……!」

サスケ「間に合ったか……」


サスケは体に付いたガラスの破片をパラパラと叩き落としながら安堵する。


ナルト「よく来たってばよ、サスケ……」

リー「久しぶりですね、サスケくん!」


懐かしい顔を見て、父兄集団もニヤリと笑う。


シノ「……弁償しろ、サスケ」

シノは静かにそう呟いた。


***



キーンコーンカーンコーン……



シノ「今日は変化の術を学ぶ」

サラダ「わあ! ///」

ボルト「やったってばさ!」

シカダイ「一番楽しみにしてた術だからな」ヘヘヘ

シノ(やはり喜んでるな……)フフフ


チャイムが鳴って授業スタート。

最初は同期のメンバーが一堂に会した状況に気圧されたシノだが、徐々に自分のペースを取り戻し始めた。

授業テーマの発表だけでこの食いつきようだ。

今日は楽しくやれそうな気がする。

本当はこの日のために綿密に練った指導案があったのだが、せっかく忍術のプロフェッショナルが集まっているのだ。

頭のなかにあったプランを組み直して、導入をちょっと面白くしてやr……。





ネジ「八卦掌回天ッ!」ガッシャアアアアアアアアアアアン!!

シノ「」


シノが授業計画の修正をしていると、いきなり不審者がまだ割れていなかった方の窓を突き破って入ってきた。

それも何故か不必要な大技で。


ネジ「間に合ったか……」フウ


砕けたガラスの破片を踏みながらネジが乱入。

彼もまた、甥っこの活躍を観に来たのだった。

どうせ間に合っていないのだから、普通に扉から入ってくればいいものを……。


シノ「……とりあえず俺が手本を見せよう」


窓ガラス代は後でキッチリ請求することにして、シノは授業を進めることにした。

シノ「……」シュババババッ!! ボフンッ!!

ヒナタ(シノ)「……うずまきヒナタだ。結構似ているだろう……」モクモク


滑らかな動きで印を結んだかと思うと、そこには火影の妻が立っていた。

口調を似せる気は全くなさそうだが、声色なんかはまるでそっくりだ。


ボルト「すげッ! 母ちゃんだッ! 本物よりも若干若くて綺麗だけどッ!」

メタル「おおー!」

チョウチョウ「すっげー似てる!」


教室のあちこちから歓声が上がる。


シノ「この術はどれだけ対象をイメージできるかにかかってくる。それさえ出来れば、さほど難しい術ではない」

サラダ「それにしても上手いよね、油女先生」

シノ「当然だ。なぜなら俺は昔、ヒナタと同じ班だったからだ」ボフン


術を解き、またいつもの無表情な先生に戻るシノ。

だが子ども達がシノを見る目は、いつもの先生ではなく、あこがれの忍へと変わっていた。


シノ「どれだけイメージが重要なのかを比較してみよう。すまないがキバとサスケ、試しにヒナタに変化してみてくれ」

キバ「え、俺?」

サスケ「……いいだろう」


ここで保護者を巻き込んで授業を盛り上げる。

比べてみることで子ども達も微妙な違いを感じ取ることが出来るだろう。


イノジン「サラダのお父さんがやるんだ!」

サラダ「パパ頑張れ―!」

シカダイ「……あのキバって人、誰のお父さんだ?」ヒソヒソ

ボルト「知らないってばさ……」ヒソヒソ


子ども達の視線が二人に集まる。

サスケはほとんど見たこと無いが、有名だし、サラダのお父さんだから知っている。

だが、その隣のおっさんは誰なのだろう?

保護者でもないのに何故いるのだろう?

大体なんで教室に犬なんか連れ込んでいるのだろう?



キバ「よッ!」シュババババッ!! ボフンッ!!

サスケ「……」シュババババッ!! ボフンッ!!



ヒナタ(キバ)「どうよ?」モクモク

ヒナタ(サスケ)「こんなものか……」モクモク


煙が晴れるとそこには二人のヒナタがいた。

しかし比べて見ると、一方は顔立ちが微妙に違うような気がする。

ボルト「サラダの父ちゃんの方は似てるんだけど、目と目の間が少し離れすぎてる気がするってばさ」

シカダイ「言われないと気づかねえけど、確かにそうだな」


子ども達の中にはよく分からないという者もいたが、何となく違うということだけは感じ取ってもらえたようだ。


キバ「まぁ俺もヒナタと同じ班だったし、サスケは里を離れてることが多いからな……」

シノ「非情に微妙な差異だが、ボルトのようにヒナタに近い者には気づかれてしまう。つまりどれだけ対象を観察していたかが、変化の術を用いた潜入任務に於いてはネックになるのだ」

サラダ「なるほど……」

シノ「では今度はキバと火影様を比べてみよう。恐らく火影様はこの中で誰よりも似ているはずだ。なぜなら火影様はヒナタの夫だからだ。……ナルト、見せてやってくれ」

ナルト「よっしゃ、お前たちよーく見てるってばよ!」

ボルト「もし不細工になってたら母ちゃんに言うってばさ!」

ナルト「へ、変なプレッシャーかけんなよ……」


ドッと沸き起こる笑い声。

シノはいつになく盛り上がるクラスを見て、満足していた。

ナルト「変化の術ッ!」シュババババッ!! ボフンッ!!



ヒナタ(全裸)「どうだってばよ?」モクモク



ボルト「」

サラダ「」

シカダイ「」

イノジン「」

チョウチョウ「」

メタル「」

ヒナタ(キバ)「」

我愛羅「」

チョウジ「」

サイ「」

サスケ「」

リー「///」

シカマル「///」ポタポタ

ネジ「///」ハアハア 







シノ「」




ヒナタ(全裸)「ん? どうしたんだ皆?」



静まりかえる教室。

そこにただ、ネジの荒い息遣いだけが響いていた……。


***


ナルト「ほ、ホントに間違えただけなんだってばよ! 頼むから母ちゃんにだけは……!」アセアセ

ボルト「俺は火影なんて大嫌いだってばさ……」プイッ


シノ「印は今教えた通りだ。それでは3人か4人でグループを作り、一人は化ける係、一人は化けられる係、残りはどこが違うのかを指摘する係になって練習してみよう。5分でローテーションしてくれ。大切なのは何度も言うが観察とイメージだ」

サラダ「パパと組んでもいい?」

シノ「構わない。お母さん方も是非ご参加いただきたい」


実際に変化の術を出来るとあって、子ども達は大はしゃぎだ。

火影が晒した醜態はまだ頭に焼き付いて離れないが、今は新しい術の習得に躍起になっている。

イノジン(チョウチョウ)「こんな感じ?」デブーン

イノジン「そんな太ってないだろ、僕は!」

チョウジ「でも体型以外は結構いい線いってるよ」

サイ「もしかして今、チョウチョウにはチンコついてんですか?」

イノジン(チョウチョウ)「どうだろ? あ、ついてた」モミモミ

イノジン「揉むなッ! ///」



シカダイ「あ~めんどくせえ……。どうだ? 似てるだろ?」

シカマル「目と身長以外はそっくりだな」

我愛羅「いや、元々そっくりだろう……。変化の術を使え、変化の術を」



メタル「うあああああああああああああ!」ポロポロ

リー「大丈夫! 忍術が使えなくたって立派な忍者になれる!」

シノ「そうだ、気にすることはない……。忍者アカデミーは忍者以外への就職も応援している……」

リー「なんてこと言うんですか!」




ナルト「お、おーいボルト……? 父ちゃんと一緒に……」

ネジ「何なんだろうな、この従妹の裸を見ちゃった背徳感と興奮は……? ///」ハアハア




サラダ(ボルト)「しゃーんなろー!」ンガー!

サラダ「うわ、似てる! でも何だろ、すごい気持ち悪い!」

サスケ(サラダに変な言葉を教えたのはボルトだろうか……? さっき全裸になった男の息子だからな……)ソワソワ


***


授業も終わりに差し掛かる頃には、どのグループの子も上手く変化できるようになっていた。

中には物や動物にチャレンジしている子もいる。

元々器用なサラダとボルトは、大方考え付く限りの物への変化をこなしてしまった。


サスケ「上手いものだな、二人とも。これなら性質変化の術だって覚えてしまいそうだ」

サラダ「ホント? あたし達、上手いの?」

サスケ「ああ。才能がある」

サラダ「へへ……褒められちゃった……///」

ボルト「天才とか……持ち上げすぎだってばさ///」

サスケ「そこまでは言ってないが……」


だが実際、天賦の才を持っているのだろう。

まだまだ精神的には未熟だが、技術だけで言えば中忍試験でも通用しそうなものを感じさせる。


サラダ「じゃああの術、あたしとボルトに今ここで教えてくれない?」

サスケ「あの術……?」


サラダは褒められて向上心に火がついたのか、上級忍術習得に乗り出した。

サスケも忍である以上、強さを求めるあのワクワク感は今でも覚えている。

今は授業中だが、こっそり教えてあげるくらいならいいのではなかろうか?

何の術かは知らないが……。


ボルト「何の術だ?」

サラダ「オナニーの術」

サスケ「」

ボルト「」


彼女は何の迷いもなくそう言い放った。

サラダ「お願いパパ! あたしたちもっと強くなりたい! オナニー! オナニー!」

サスケ「だ、駄目だ! というかアレは術じゃない! はしたないからやめろ!」アワアワ

ボルト「と、突然何を言いだすんだってばさ! 馬鹿かお前! ///」アワアワ

サラダ「オナもがッ!」ジタバタ


サスケは顔から火が出そうになりながら娘の口を塞いだ。


サラダ「はあひへへ! ひへへふへふはへへいいはは! ははほほはひい!」

サスケ「何て言ったんだ?」パッ

サラダ「じゃあ見せて! 見せてくれるだけでいいから! パパのオナもぐッ!」ジタバタ

サスケ「///」カアアアアアアアア



キーンコーンカーンコーン



シノ「よし、今日はここまでだ。次の時間に俺に化けるテストを行うから各自練習しておくように」

生徒「はーい」


サスケ「……///」フウ……


終了のチャイムに救われてホッと一息。

これならまだ、正直に話した方が俺にとってもサラダにとっても良かったのではないのだろうか……?

知ってしまいさえすれば、こんなことにはならないのだから。

しかしボルトの前であんなことを言ってしまった以上、真相を知った時は三日くらい寝込みそうな勢いだが……。


目の前に広がる大きな壁に、サスケは片手で頭を抱えた。

すまん前スレあるみたいだから教えてくれ、めっちゃ気になる


***


サスケ「次が最後の授業か……」

ネジ「何でも美人教師の保健らしい……。本当に……来でよがっだ……」ポロポロ

サスケ「……」


まだハアハア言ってるだけなら「ああ、変態なんだな……」で済むが、感激のあまり涙まで流されてはもうキモすぎて何も言えなくなる。

こんなのが普通にいるから木の葉は嫌いなのだ。


チョウジ「今は忍者に関係ないことも教えるんだね」

キバ「さっきのみたらしアンコの体術の授業に比べたら断然いいぜ。せめて目潰しは禁止しろよ……危ねえだろ……」

リー「うちの子なんて普通に表蓮華やろうとしてたのに止めませんでしたね……」ガタガタ


つい先ほど見た授業を思い出して青くなる一同。

生きるか死ぬかの戦いを繰り返してきた彼らだが、自分の子ども達が血だらけで50分間ひたすら殴り合っているのを見ると流石にぞっとしてしまう。


サスケ(まぁ正しい性知識を身につけるのはいいことだ……)


サスケはチャイムが鳴る前から席について静かにしている愛娘をじっと見つめた。

>>50

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キーンコーンカーンコーン


白「やあやあ皆さん、今日も楽しく保健を勉強しますよ! 日直さん、号令お願いします」

サラダ「起立!」ガタッ

シカダイ「///」

ボルト「///」

イノジン「///」

メタル「///」


チャイムと同時に美人教師が教室に入ってきた。

男子生徒は皆立つ前に勃ってしまったらしく、前かがみになっている。


ネジ(いや、美人だけどさ……)シュン


白が男性であることを知るネジは寂しげな顔を見せた。

今までいきり立っていた彼の一尾はすっかり萎れて下を向いている。

柔よく剛を制すとはよく言ったものだ。



サスケ(白が保健の先生か……。まあ安心だな……)



子どもの頃に白と死闘を繰り広げたサスケには、この白という教師が頼もしく見えた。

自分をあそこまで追い詰めた男だからこそ、信頼に足るのだ。

サラダ「礼!」

一同「お願いしまーす!」

白「はい、お願いします。さて先生は最近、教室で気になる言葉を耳にするのですが……何だと思います?」


子ども達の日常の話から授業に入っていく白。

学びと日常をリンクさせるべく、日頃から子ども達をよく観察していることが覗える。


メタル「『青春』ですか?」

シカダイ「それ言ってんのお前だけだろーが」

チョウチョウ「先生、最近よくアチシにデブって言ってくる奴がいまーす」

イノジン「うるせーデブ!」

ボルト「『疲労骨折』とかか? 最近アンコ先生の授業でそうなった奴がいっぱいいるってばさ」

白「残念、違います。あれあれ、もう皆さんお手上げですか?」


上手く挑発して考えを引き出す。

他の生徒も一生懸命に教室でトレンドになっている言葉を羅列してみた。

が、なかなか正解は見つからない。



サラダ「先生!」シュビッ

白「はいサラダさん、お答えをどうぞ!」



サラダがピンとまっすぐに手を伸ばした。

自信にあふれた、いい挙手だ。



サスケ(頑張れ、サラダ……)


サスケは微笑みながら娘を見守る。



サラダ「もしかして、『オナニー』ですか!?」

ボルト「///」

シカダイ「///」

イノジン「///」

メタル「///」

チョウチョウ「?」

サスケ「」ドバドバドバドバ


滝のように滴り落ちる汗。

公衆の面前で、娘が言ってはならない言葉を口にした。

それも大声で。


サスケ(う、うわあああ! 俺が曖昧に誤魔化したばっかりに! ///)


恥ずかしくて死にそうなサスケ。

ナルトがニヤニヤしながら小声で「娘に何教えてるってばよ///」などと耳打ちしてきた。

ネジやリーは案の定興奮してしまったらしい。


白「サラダさん、大正解! そう、『オナニー』です」

サラダ「やった!」

サスケ「へ?」


まさかの正解に驚く。

今日の授業のテーマってもしかして……。



白「今日は『オナニー』について学びます」


オナニーだった。

今日のテーマはオナニーなのだ。

それ以上でもそれ以下でもなく、オナニーなのだ……。



白「皆さんは『オナニー』が何か知っていますか?」

ボルト「……///」

シカダイ「……///」

イノジン「……///」

メタル「……///」

チョウチョウ「知らなーい」

サラダ「すごいってことしか知りません」


白が皆に問いかける。

クラスの大半は耳にしたことはあるものの、それが何なのかは知らないらしい。

ただ一部の男子は知っているようで、顔を赤らめている。


白「見た感じ、中には知っている人もいるようですね。べつに『オナニー』自体は悪いことでもなんでもありません。でも偏った知識で間違ったオナニーをする、これがよくないのです」


サスケ(あ、そういうことか……)

我愛羅(こういう教育は大切だ……)


つまりは節度だとか、場をわきまえるとか、そういう話なのだろう。

どうせいつか皆知ることであり、それなら正しい知識を伝えてやることが一番なのだ。


白「とりあえず先生がよくないオナニーのお手本を見せますね」ズルッ


サスケ「」

サラダ「」


白が突然、自分の陰茎を晒した。

白い肌なのに、そこだけ浅黒い。



ボルト「」

シカダイ「」

イノジン「」

メタル「」



初めて先生のイチモツを目の当たりにした生徒も、衝撃を受けていた。

定番のおかずだった先生が、まさかの男。

貧乳ではなく胸板だったのだ……。



白「螺旋丸ッ!!!!」キイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイン!!!!!!!!!



呆気にとられているクラスには目もくれず、白は手にチャクラの形態変化をとことんまで極めた球体を作り出す。

圧縮されたチャクラ。

膨大なエネルギー。


白「じ、じつはコレ、まだあまり慣れてないんですけどね……///」ビクビク


サスケ(う、嘘だろう……!?)



白は迷うことなくその浅黒い陰茎を、螺旋眼に近づけた……。



サスケ「いい加減にしろッ!」バキャッ

白「ぬはッ!」ドシャッ




流石に黙って見ているわけにはいかなくなり、サスケはスサノオで白を殴り飛ばした。

昏倒する白。

螺旋丸が床にぶつかってガリガリと削っている。

サスケの活躍により、間一髪で変態教師が子ども達の前で精液をぶちまけると言う大参事は免れたのだ。



サスケ「な、何を考えているんだコイツは……」スッ


とりあえず下半身が丸出しなのは見苦しいので、パンツだけは上にあげてやる。

螺旋丸の恐ろしさを知っているサスケだからこそ、今の蛮行には肝を冷やした。


チョウチョウ「あの……」

サスケ「ん……?」


白を保健室に運ぼうとしているサスケに、チョウチョウが声をかけた。

見ればクラス中の視線が自分に向けられている。


チョウチョウ「結局オナニーって何なんですか?」

サスケ「……」


オナニーを知らない生徒たちも、一斉にうんうんと頷く。

よく分からない忍術で球体をつくり、下半身を近づけることがオナニーなのだろうか?

どうやったらあの、螺旋丸とかいう球は作れるのだろうか?

だいたい何でそんなことをする必要があるのかさえ全く分からない、子ども達の純粋な眼差しがサスケに注がれている。




サスケ「……。オナニーと言うのはだな……」

チョウチョウ「うん……」

サスケ「まぁその……自分の……」


この際正直に話してしまおうと考えたサスケ。

しかしそこで思いとどまる。



もしここでオナニーが何なのかを話してしまったら、先ほど大声でオナニーと喚いていたうちの娘はどうなる……?

クラス全員の前で恥をかかせる気か、俺は……!



サラダには家で教えてやればいい。

とりあえず今は適当に流してやることの方が大切ではないのか……?





サスケ「復讐心のようなものだ」

チョウチョウ「え……?」

サスケ「知っているかもしれないが、昔の俺は復讐心に支配されていた。うちは一族を皆殺しにした兄、イタチを殺すことだけを考えて生きていた……」

チョウチョウ「うん……確かそれで里を抜けたって……」

サスケ「そうだ。復讐心でいっぱいになり、そのために強さを求め、大切な友を傷つけ、つながりを断ち切ろうとしたんだ……。おかげで俺の子ども時代は台無しだった」

チョウチョウ「……」

サラダ「パパ……」

サスケ「オナニーも同じだ。一度覚えてしまえば頭のなかはオナニーばかり。友と遊ぶよりも部屋に籠ることを選択してしまう」

サスケ「オナニーは人生を台無しにする! どうかお前たちは手を出さないでくれ……。お前たちは……木の葉の未来なのだから……」


サスケは哀しい瞳でそう言った。

子ども達はシンと静まり返っている。


サスケ(どうだ……! ///)


ここまで来ると、もうオナニーを例えられないものなんかこの世界にないのではないかと言う気さえ湧いてきた。

キャラを崩すわけにはいかないので、心の中で盛大にドヤ顔。

自分の才能が恐ろしい……。



チョウチョウ「オナニーは……復讐心……」

サスケ「ああ……」

サラダ「復讐心が……パパを強くした……」

サスケ「そうだ……。いや、違う。そういう話じゃ……」

サラダ「オナニーは……人を強くするッ!」

サスケ「だから違う! なんでそうなるんだ!」

サラダ「やっぱりオナニーはすごい! オナニー! オナニー!」

サスケ「」



サラダに合わせて響き渡るオナニーの大合唱。

オナニーを知る者たちはポカンとした顔をしているが、そうでない子供らは純粋にオナニーと叫び続ける。


サスケさんのようにオナニーをして強くなりたい!

サスケさんのオナニーが見てみたい!

サスケさんの趣味はオナニー!

サスケさんは幼少期、オナニーのことばかり考えていた!


誤った情報に尾ひれがつき、次第にサスケがオナニーそのものみたいな声があがる。

どうしようもなくなったので、サスケは白を抱えて教室から逃げ出した……。


***


白「痛だだだだだだだだッ! ちょ! 痛いですってサスケくん! なんでわざわざ保健室に連れて来てくれたのに、ベッドで関節技なんですかッ!」

サスケ「黙れ……お前のせいで俺はオナニーの精みたいな扱いになってしまったんだぞ……」ギリギリ

白「あ、もしかして妖精の精と精子の精を掛けてます?」

サスケ「……」ギュウウウウウウ

白「痛あああ! 冗談ですって! ギブギブ! ていうか僕全然悪くないじゃないですか!」パンパン

シノ「……」


保健室に運び込んだサスケは、鬼の形相で白に腕ひしぎを決めていた。

オナニーの件を聞きつけ、シノも立ち会っている。


サスケ「授業で娘にオナニーを見せようとしただろうが……。どうせクラスでオナニーを流行らせたのもお前だろう……」ギリギリ

白「ち、違いますよ! 流行ってたから授業で扱っただけで! ホントはオナニーなんかしたくなかったんです!」

サスケ「本当か、シノ……?」ギリギリ

シノ「ああ……。確かにボルトの日記には『クロさん』という謎の人物からオナニーを教えてもらったと書いてあったことがある。クラスで流行りだしたのはそれからだ。……したくなかったというのは嘘だろうが……」

サスケ「クロさん……?」ギリギリ

白「さ、最近公園に住みつくようになったホームレスらしいですッ! 僕は聞いただけなんでよく知りませんが!」イタイイタイ ヤメテッ

サスケ「……」パッ



なんだか都市伝説みたいな話になってきた。

公園に住むホームレスが、男の子を捕まえてオナニーを教える。

……もしかしたらそういう性癖なのかもしれないが、一体何者なんだそいつは……。



サスケはそんなのを木の葉の里に住まわせるわけにはいかないと決意した……。


***


サスケ「この公園か……」


保護者参観が終わってから、サスケは例の「クロさん」とかいう謎の人物を突き止めるために白から訊き出した公園に来た。

全体が広く、遊具なんかも結構な数が揃っている。


サスケ「……意外とホームレスっているもんなんだな……」


サスケが公園に着いて初めて抱いた感想がこれだった。

ズラリと並ぶ段ボールハウス。

これは六代目火影がだらしない火影だったばっかりに、木の葉の里の経済が滅茶苦茶になったことが原因だ。

今の火影になってから少しは改善されつつあるものの、家を持たない人々は未だに多いらしい。


サスケ「適当に中を覗いてみるか……」



「クロさん」の手がかりはただオナニーが好きだってことだけだが、においで判別出来るのは助かる。

ブルーシートをめくってイカ臭いかどうかを確認するだけでいいのだ。

プライバシーの侵害かもしれないが、子ども達を護るためでもある……。


サスケ(ここか……?)ピラッ


サスケは手始めに滑り台の支柱を中心に作られたハウスのブルーシートをめくってみた。

こんなところに家を建てられては子ども達も遊べないだろう。

おそらくこういった非常識な人間が「クロさん」に違いない……。




シズネ「……」プスゥ…… スンスン

綱手「シズネ、お前自分の屁の臭いを体育座りで嗅ぐのはやめな……。みっともないから……」

シズネ「あひいッ!? み、見ないでくださいよッ! ///」

綱手「こんだけ近くにいたら嫌でも目に入るっつの……。ったく人前だってのにお前は……」

シズネ「わ、私だって普通の家に住んでたらこういうのはトイレでやりますよッ! 綱手さまが借金なんか抱えてくるからッ! ///」

綱手「いや、私は自分の屁の臭いを嗅ぐなって言ってんだが……」




サスケ「……」パサッ




どうやらここは違ったようだ。

住んでいたのはかわいそうなオバさんとお婆さんだけだった。


サスケは何も言わずに他の段ボールハウスへと向かった。


***


サスケ(男の家は大抵イカ臭いな……)


何枚ものブルーシートをめくってみたものの、自慰をするホームレスなんかいくらでもいるらしく、誰が「クロさん」なのか分からない。

どうしたものか……。



イノジン「は、白先生がやろうとしていたのって……」

ボルト「螺旋丸オナニーだろ……。クロさん以外でやってる人、初めて見たってばさ……」

メタル「床に穴開いてましたけど、あんなのにぶち込んで平気なんでしょうか……?」




サスケ(……ん? あれは……)



そう思っていた矢先にボルト、イノジン、メタル・リーの三人が公園にやって来た。

サスケは木の影に身を隠して様子を覗う。



ボルト「クロさーん、お金持ってきたぜ! 早くあたらしいの教えてくれよ!」


カンクロウ「おう、よく来たじゃん……」



黒子姿の男が、ブルーシートをめくって現れた。

尋常じゃない臭気が公園一帯に広がり、あまりの臭さに吐きそうになる。


サスケ(か、カンクロウ……!)


砂隠れの上忍なのに、何故か木の葉の公園に住みついているカンクロウ。

他のホームレスはまだ断然清潔なのだということが、黒い雲のようにハエがたかっている様子から分かる。

イノジン「クロさん、今日はどんなの教えてくれるの?」

メタル「火遁オナニーとかですか?」

カンクロウ「ああ、あれは流石に危険すぎてやらない方がいい。下手したら種が無くなる」

ボルト「だいたいこの前教えてもらった螺旋丸オナニー、あれだって俺たちには危険すぎてまだ無理だったってばさ!」

カンクロウ「やっぱまだ早かったか……。じゃあ今日はこれをやるじゃん」



そう言ってカンクロウは不気味な箱を三つ取り出した。

それぞれの面に口をあけた烏の顔が描いてあり、口が穴になっている。


イノジン「何この箱……?」

カンクロウ「カラクリホールだ」

メタル「か、カラクリホール……?」

カンクロウ「そうだ。これは6面のうち、どれかがハズレになっている。ハズレにツッコんだら神経毒を塗った毒針が飛んでくるって仕組みだ」

メタル「な、なんのために……」

カンクロウ「スリリングで楽しいじゃん?」


サスケ「」


ホームレスのおっさんが、子供に危険な遊びを教えている……。

遊びなのかどうかも疑わしいところだが、オナニー漬けにして子供から金を巻き上げるとは、ほとんど麻薬の密売と一緒ではないか……!



ボルト「そ、そんなのにツッコんで、ホントに大丈夫なのか……?」ビクビク

カンクロウ「大丈夫、慣れてきたら段々ハズレがアタリのように感じられるはずだ」


そんなわけない。

神経毒が陰茎に回るのだ。

大丈夫な筈が無い!

イノジン「ところでこれ……いくらなの?」

カンクロウ「700両だ」

メタル「な、700……!?」

カンクロウ「材料費、技術料込み込みでそれくらいするのは仕方ない。これは一度ツッコんだらハズレが切り替わるし、穴の方も俺なりに研究を重ねた形だ。正直言ってお買い得じゃん?」

ボルト「う……」


700両といえば新作ゲームソフトが買える値段。

子どもにとっては高すぎるが、ギリギリ払えないこともない微妙なライン。

そこをカンクロウは上手くついてくる。

子ども達はしぶしぶ、財布からお札を取り出した。



カンクロウ「毎度ありじゃ~ん。ところでお前らの友達でオナニーに興味持ってる奴はいねえのか? もしいたら連れて来い。連れてきたら今度からお前らには2割引きで教えてやるじゃん」ペラッペラッ

ボルト「う、うちはサラダって奴が……女の子だけどさ……」

カンクロウ「構わねえじゃん。ククク……」



グニャリと歪む、不気味な笑顔。

木の葉の未来を摘み取るガンのような存在。

もう手を下さないわけにはいかなかった……。








サスケ「天照ッ!」ギンッ!



カンクロウの家「」ゴオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ



カンクロウ「わあああああああああああああ!!!!! 俺の家があああああああああああああ!!!!! 貯めた金があああああああああああああ!!!!!!!」





カンクロウの家はキャンプファイヤーのごとく燃え盛った。


カンクロウ「消えろッ! 消えろおおおおおおおおッ!」バッサバッサ

サスケ「無駄だ。その火は消えない……」ザッザッ

カンクロウ「だ、誰じゃんッ!?」


涙と鼻水でぐしゃぐしゃになった顔で振り返ると、そこにはサスケが立っていた。

万華鏡写輪眼で黒子姿の変質者を睨みつけている。

今にも怒りのメーターが振り切れそうだ。


カンクロウ「サスケェ……! てめえか……!」ギリギリ


カンクロウもまた、充血してまるで写輪眼のようになった眼で睨み返した。

もう少しで段ボール生活からおさらばしても問題ないくらいまで貯まったのだ。

それが今、メラメラと音を立てて燃えている。


サスケ「木の葉から出ていけ。お前がいたら里が滅ぶ……」

カンクロウ「木の葉の嫌われ者のうちはがよく言えたもんじゃん……」

サスケ「……」ブチッ



世界の嫌われ者がよくも言えたものだが、今の一言が完全にサスケをキレさせた。

自分を侮辱しただけならまだ許せるが、うちはを一括りにして貶すことは許せなかった。




カンクロウ「お、キレたか? いいじゃん、かかってこい……」




――――――――――――
―――――――――
――――――




カンクロウ「先に言っとくが、今の俺はてめえなんかよりよっぽど強……」

カンクロウ「……」

カンクロウ「何で俺、磔にされてるじゃん……?」



サスケ「月読だ。今からお前は72時間、精神的な地獄を味わう」



カンクロウ「げ、幻術とか卑怯じゃんッ! 放せッ! ここから降ろせこらッ!」




我愛羅「……」

テマリ「……」

加琉羅「……」

羅砂「……」

夜叉丸「……」



カンクロウ「が、我愛羅……テマリ……お袋……親父……叔父さん……。何でここに……」




我愛羅「目障りだ……殺すぞ……」


カンクロウ「え……」ビクッ





テマリ「お前なんか最初から要らなかったのにな……」


カンクロウ「な、なんでそんなこと言うじゃん……?」オロオロ





加琉羅「避妊がうまくいかなかったばっかりに……」


カンクロウ「さ、最悪じゃんッ! 俺は間違って生まれてきたのかよッ!?」ガタガタ





羅砂「ゴムに対して、俺のが少し大きすぎたようだ……///」


カンクロウ「知らねえよッ!」





加琉羅「いえ、多分小さすぎて途中で外れたんだと思うけど」


羅砂「え……だって夜叉丸と一緒に銭湯行ったときに大きいって……」


夜叉丸「ははは、お世辞ですよ風影様! お世辞です!」カカカ


カンクロウ「もうその話やめろおおおおおおおおおおお!!!!!!!!!!!!」ウアアアアアアアアアアアアア












サスケ「あと……71時間……59分……59秒……」






――――――
―――――――――
――――――――――――



カンクロウ「」ドシャッ



「かかってこい」と言うか言わぬかのうちにカンクロウはその場に倒れ伏した。

白目を剥いて小便を漏らしているところを見ると、よほど精神に堪えたのだろう。



ボルト「な、何が起きたってばさ……?」

サスケ「奴に幻術をかけた。並の忍なら発狂するレベルのものをな……。ところでお前たち、ここで何をしている……」


ジロリと子ども達を睨みつけるサスケ。

彼らもまた被害者なのだろうが、自分の娘をこの道に引きずり込もうとしていたことだけは見逃すわけにはいかない。


イノジン「い、いやその……」

メタル「く、クロさんから忍術を教わろうと……」

サスケ「自慰には手を出すなと言ったはずだ……。親から貰った小遣いをこんなことに使うのは親への裏切りだ……」

ボルト「……」

イノジン「……」

メタル「……」

サスケ「ましてサラダまで巻き込もうとするとは……恥を知れ」

ボルト「……ごめんなさい」

イノジン「……ごめんなさい」

メタル「……ごめんなさい」



三人のアカデミー生は叱られてすっかりしょげかえってしまった。

それを見て、サスケは小さく溜息を吐く。



サスケ「……本当に反省しているなら許そう。……腹が減ったな」

ボルト「……」

サスケ「どうせ駄菓子を買う金も残っていないんだろう。ラーメンでも奢ってやるからついて来い……」

イノジン「おじさん……」

メタル「……」ポロポロ




サスケと子ども達は夕焼けに向かって歩き出した……。


***


カンクロウ「ううう……寒いじゃん……」ガチガチガチガチ



その夜、不幸な火事で一軒家を失ったカンクロウはあまりの寒さに震えていた。

なんとかかき集めた新聞紙に包まるものの、夜風に晒される顔なんかは強張って表情が変わらなくなってしまった。

おまけに小便を漏らしたせいで股間が痛いくらいに冷たい。



カンクロウ「ざずげェ……。がならず復讐じでやるじゃんんん……」ブルブルブルブル



先ほど自分から全てを奪い去り、おまけに最悪な幻術までかけてきたことへの憎しみ、怒りがカンクロウのなかでムクムクと膨れ上がる。

こっちもお前からすべてを奪い去って、地獄の苦しみを与えてやる……。

風影の手から逃げ出してようやく住む場所を見つけた矢先にこんな目に遭わせやがって……。




自来也「ん? そこでゴミのように転がっとるのはカンクロウか?」コスコスコスコス

カンクロウ「あ?」



そんなことを考えていると、暗がりの方から大柄な男が近づいてきた。

このクソ寒いのに陰茎を晒して右手で一生懸命擦っている。


自来也「オナニーもせんと何をやっとるんだお前は?」コスコスコスコス

カンクロウ「自来也じゃねえかッ!」バッ 



その男こそ、カンクロウにオナニーの新たな境地を見せてくれた伝説の三忍、自来也であった。


カンクロウ「今までどこ行ってたんだ! 捜したじゃん!」

自来也「ちょいと新しい小説の取材にのう。それよりここは冷えるから、わしの家に来い」クイッ


自来也は親指で「ついて来い」と示した。


***


シズネ「オラッ!」ブスゥッ! ブブッ! ブビイッ!

綱手「お、おい……流石にそれは恥ずかしいだろ…。一応女だぞお前……」

シズネ「ふんッ! もうこっちはおならの臭いをかぐ癖を知られてしまったから何も恥ずかしいことなんかありませんよッ! ほっといて下さい!」ブスゥ! プスッ!


例の滑り台を用いた段ボールハウスでは、すっかりやさぐれたシズネが膝を抱えて肛門を天に向け、連発放屁というマニアックな遊びに興じていた。

何もしなければ普通のおっちょこちょいな和服美人なのに、こんなことをするから誰も嫁として欲しがらないのだろう。



綱手「誰か訪ねてきたらどうすんだ……」

シズネ「こんな段ボールに誰が訪ねてくるって言うんですかッ!」バフッ!

自来也「ワハハ! シズネはいつになっても元気だのう!」ピラッ

カンクロウ「邪魔するじゃん」

シズネ「あひィッ!? ///」プスウウウウウウウウ……



デカいのをかますと同時に、自来也とカンクロウがブルーシートをめくって入ってきた。

二人で住んでるだけあって中は結構広く、捨てられていた布団や毛布なんかが敷いてある。



綱手「自来也ッ!」

自来也「久しぶりだのう、綱手。てっきり飢えと寒さで死んだかと思っとったが……」

綱手「新しい小説はどんな感じだ? 売れそうかッ!?」

自来也「取材してきただけだからまだ書いとらん。当分はこの住まいだのう」

綱手「そうか……。とりあえず早く書け」

自来也「お前はさっさとギャンブル依存を治せっての!」

カンクロウ「……」



笑えない話なのに、自来也はどこか楽しそうだった……。


***


自来也「なに……うちはサスケと闘う……?」

カンクロウ「ああ、特に精神面でズッタズタにしてやりたいじゃん……」


シズネ「ううッ……ぐぎい……ッ!」ポロポロ

綱手「いい歳して泣くな。まだ脱いでなかっただけマシだと思いな」ポンポン



すでに精神面でズッタズタになっているシズネと、それを慰める綱手。

その横でカンクロウと自来也はサスケとのリベンジマッチについて話し合っていた。


自来也「……十中八九お前が悪いんだろうが、何があったかは訊かん。それより相手が悪すぎる……。万華鏡写輪眼は見たら一発で終わりだぞ」

カンクロウ「でもナルトはサスケと闘って相打ちになってんだろ?」

自来也「ナルトはああ見えて賢いからのう……。目を見たらダメだって知ってりゃ目を見ない。しかしお前は必ず調子に乗って目を見る」

カンクロウ「相手が絶望したときの目が好きなんだから仕方ないじゃん……」

自来也「ならば万華鏡写輪眼を手に入れるしかないぞ? つってもそう簡単には見つからないだろーが……」



カンクロウの性格がねじ曲がってるばっかりにサスケ攻略はかなりの難易度。

目を見てはいけないと知っていても、相手を嘲笑しながら追い込んでいく戦闘スタイルではどうしても見てしまう。

うちは一族でないカンクロウは写輪眼を持っていないため、到底勝利の見込みがないのだ。

カンクロウ「写輪眼の移植か……」

自来也「当てがないならやめておけ。下手したら本当に死ぬことになる」

カンクロウ「……そう言えば一人知ってるじゃん」


そう言ってカンクロウは段ボールハウスを出た。


***


ダンゾウ「……テウチを……殺せ……」zzz



カンクロウ「ククク……よく眠ってるじゃん……」ニタア

自来也「ダンゾウもホームレスになっとったのか……」

シズネ「移植したらさっきのことは誰にも言わないって約束してくださいよ……? ///」

カンクロウ「分かってるって」



カンクロウの段ボールの燃えカスの右隣。

そこにはダンゾウの住まいがあった。

根のトップとして現役時代にやりたい放題やっていた彼は敵を多く作り過ぎた。

恨みを買いまくった結果いろんなところで騙され、今現在は借金まみれの段ボール生活に落ち着いている。



カンクロウ「とりあえず左眼を貰っとくじゃん」グリグリ

ダンゾウ「痛だだだだだだだ!」

自来也「まずい、起きてしまうぞ!」

シズネ「大丈夫、ちゃんと睡眠薬持ってきましたんで」ガバッ

ダンゾウ「ふが……」zzz

カンクロウ「取れたじゃん」ポコン


辺りには血だまりが出来ているのだが、誰もそんなことは気にしない。

ダンゾウは悪いことをいっぱいしたから何をされても文句は言えないだろう、という滅茶苦茶な論理が彼らの中にまかり通っていた。


シズネ「あ、これ写輪眼じゃないですよ」

カンクロウ「間違えた」ポイッ コロコロ

自来也「確か腕に沢山埋め込まれていると聞いたが……」


アバウトな情報だけで他人の眼球をクナイで抉り出す様はまさに猟奇的。

捨てられた目玉は光を失って虚空を見つめていた。


***


シズネ「もう包帯は取っていいはずです」シュルシュル

自来也「どうだ……見えるかカンクロウ?」

カンクロウ「ああ……よく見えるじゃん……」パサッ


三日後の夕刻、カンクロウは眼に巻いていた包帯を取った。

真っ赤な瞳に黒模様。

それらがギョロギョロと辺りを見渡す。




……万華鏡写輪眼が開眼していた。




カンクロウ「これでサスケの野郎を……ククク……」ニタア






カンクロウのいらなくなった両眼をついばむために集まっていたカラス達が、何か不穏なものを察知してギャアギャアと騒ぎ立てた……。


***


サクラ「サラダ、ご飯できたけど……」トントン

サラダ「……食べたくない……」シクシク

サクラ「……一応ここに置いとくから」コトッ


サスケ「どんな様子だ、サラダは……?」

サクラ「まだ泣いてる……」

サスケ「そうか……」



一方、サスケ宅では深刻な問題が発生していた。

参観から帰った後、サラダにオナニーを教えてくれとしつこくせがまれたサスケはオナニーとは何かを事細かく説明してあげた。

予想通りショックを受けたらしく、それ以来閉じこもってずっと泣いている。



サクラ「まぁ皆の前で連呼してたらそりゃね……」

サスケ「全員叫んでたから気にすることないんだが……」

サクラ「なんかせっかくの休暇中なのに疲れさせちゃってゴメン……」

サスケ「いや、俺が悪いんだ。俺がなんとかしよう……」




サスケは湯のみを置いて立ち上がった。



サスケ「サラダ……」

サラダ「……」シクシク


声をかけてみるが、返事はない。

とびら一枚を隔てて、自分と娘の距離があまりも長いのを感じる。



サスケ「……誰だって恥ずかしくて思い出したくもないような出来事の一つや二つはあるもんだ。そういうのは俺にもあるし、サクラにだってある……」

サラダ「……」グスッ

サスケ「だがそういった失敗は必ず次の成長につながる。苦い経験を通して人は強くなっていくんだ……」

サラダ「……パパがちゃんと教えてくれなかったからいけないんでしょ……」ヒッグ

サスケ「う……」

サクラ「ちょ、ちょっとサラダ……!」


サラダに言い返されてサスケは言葉を詰まらせる。

確かに自分が無限月読だの復讐心だのと訳の分からん例えを用いたのがまずかった。

何なんだ、オナニーは無限月読だって……。

そんなわけあるか!

オナニーはオナニーだ!



サラダ「……だいたいパパやママも皆の前でオナニーオナニーって叫んだことあるの!? 知った風に言わないでよ!」ポロポロ

サスケ「……確かにオナニーと叫んだことはない……。だが……皆にオナニーを見られたことならある……」

サラダ「え……」







サスケ「サクラがな……」


サクラ「は!? ///」

自分の恥ずかしい話でもするのかと思いきや、自分の妻を犠牲にするサスケ。

サクラは思わぬ裏切りにあって開いた口が塞がらない。



サラダ「嘘でしょ……?」

サスケ「本当だ。あれはカカシ班で親睦を深めるためにキャンプに行ったときのこと……」

サクラ「な、何言ってるか全ッ然分かんない! そんなこと無いから! あり得ないからッ! ///」

サスケ「俺とナルトとカカシはテントから少し離れた湖に釣りをしに行った。しかし途中で寒くなってきたために、30分ほどで切り上げて戻ったのだ……」

サクラ「サスケくん、いくらサラダを慰めるためだからって嘘は良くない! 嘘は絶対に良くないッ! ///」


淡々と過去を語るサスケと、パニックになっているサクラ。

その状況が扉越しでも見えているかのように分かる。


サラダ「……それで?」

サスケ「多分しばらくは帰って来ないと思ったんだろうな……。テントを開けると、カレーを作って待ってると言っていたサクラがにんじんd」

サクラ「あああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!!! ///」

サスケ「それで俺たちは何も見なかったことにして薪を集めに出かけた。二時間後に再び戻ったときにはカレーは出来上がっていて、皆で仲良く食べたという話だ……」

サラダ「うわあ……」

サクラ「サラダ! これフィクションだから! 全部サスケくんの妄想だからッ! ///」ワアアアアアアアアアアアアア!!!!!!!!



皆に見られていたということを今の今まで知らなかったサクラは発狂寸前だった。

サスケもこのことは墓場までもっていくつもりだったのだが、愛する娘のためなら仕方ないと思って暴露してしまったのだ。




サスケ「どうだ……。こっちの方がよっぽど大問題だろう……」

サラダ「う、うん……」

サクラ「だから違あああああう!! ///」





ちなみに黙々と薪を拾っている最中、カカシは「テントを二つにすべきだった。だらしない先生ですまない……」などと反省していた。

三人ともカレーに入っていたにんじんは流石に気持ち悪くてこっそり捨てた。

サクラ「そ、それならサスケくんの方が物凄いの抱えてるからね! ///」

サスケ「そんなものは無い」

サクラ「えーとあれは確かカカシ班で親睦を深めるために二泊三日の潮干狩りに行ったときのことよ! ///」

サラダ「に、二泊三日で潮干狩り……? 修業じゃん、それ……」

サクラ「お腹が冷えたサスケくん、三回もウンチ漏らしてナルトが前日に履いてたパンt」

サスケ「あああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!!! ///」

サラダ「な、何で漏らすまで我慢しちゃうの……?」



このときのカカシは海でお尻を洗っているサスケを見ながら、「腹巻か何かを用意すべきだった。だらしない先生ですまない……」と反省していた。



サスケ「な、波の国に行ったときにだな! サクラはt」

サクラ「ああああああああああああああああ!!! じゃ、じゃあカカシ班でキノコ狩りに行ったときのこと話すから! サスケくんこのときもウンt」

サスケ「ああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!! ///」






洒落にならないようなエピソードの応酬。

そしてその数も一個や二個ではない……。

サラダは何だか今まで自分が悩んでいたことが馬鹿らしくなってきた。






サクラ「そんでナルトもとうとうキレて、いい加減、紙パンツでも履いてr」

サスケ「ああああああああああああああああ!!! ///」

サラダ「……ふふっ!」

サクラ「……サラダ?」

サラダ「あはははは! おっかしい! ///」ゲラゲラ

サスケ「……」

サラダ「ひいひい! あー……。なんか自分の失敗なんかどうでもよくなってきちゃった///」

サクラ「サラダ……」

サラダ「今の話を聞いたら、あたしも強く生きてけそうな気がする。ありがとう、パパ、ママ///」




こうして夫婦間には禍根が残ってしまったが、何とか娘は立ち直った……。


***


サラダ「ママ、そう言えばさっき話してた親睦会の写真ってあるの?」

サクラ「あ、見る? パパが海でパンツ洗ってる写真もあるけど///」

サスケ「やめろ……もう蒸し返すな……」


三人で夕飯を食べ終えた後、サラダが皆でアルバムを見たいと言い出した。

サクラは喜んでクローゼットから分厚いアルバムを数冊引っ張り出す。

こうやっていつか家族で眺めるのを楽しみにしていたため、どんな写真でもしっかりと保存していたのだ。


サクラ「こっちの白い表紙の奴はサラダが生まれる前の写真、こっちの青いのは生まれたあとの写真を貼ってあるわ」

サラダ「先に白い方を見る!」


随分年季が入ってるらしく、台紙が所々黄ばんだりはしているものの、写真自体はかなり綺麗な状態で残っている。



サラダ「あ、コレ火影様? 若ッ!」

サクラ「これ確かカカシ先生の家に寝起きドッキリしにいった奴ね」

サスケ「カカシじゃなきゃ確実に死んでたな……」


サラダが指さした写真には、火爆札まみれの布団で寝ているカカシと、ピースをしているナルト、サスケ、サクラの三人が写り込んでいた。

火爆札の威力を正直なめきっており、この後4人とも窓の外へ吹き飛ばされたのだ。

特に全身火傷を負ったカカシは入院する羽目になったが、上忍なのに普通に寝こみを襲われたことが恥ずかしかったらしく、なんとか有耶無耶にしてくれた。

サラダ「これは?」

サクラ「それは三人でお寿司食べに行ったときだっけ?」

サスケ「ああ。値段が書いてなかったからタダなのかと思って皆でがむしゃらに食った」

サラダ「それ、お金足りたの……?」

サクラ「全然。いやーあの時は焦ったわ! 三人合わせて30両しかなかったし」アハハ

サスケ「ナルトとサクラは一両も持ってなかったがな……」ハハハ……

サラダ「……」ジトー


サラダはあえて追求こそしなかったものの、想像通りこの三人は食い逃げをしている。

忍術は本当に便利だ。


サクラ「あ、ほら、これが例の潮干狩り。カカシ先生が土遁で業者みたいにアサリ採ってるでしょ?」

サスケ「このときの土を掘る技術が、まさか中忍試験のネジ戦で活きるとはな……。ナルトが勝った時は思わず目頭が熱くなった」

サラダ「何その試合……」

サクラ「砂の球体に閉じこもった我愛羅に千鳥で突っ込んでった時もサスケくん、このときのこと思い出してたでしょ?」

サスケ「『千鳥!』って言いながら、心の中では『アサリ!』って叫んでいた」

サラダ「ださッ!」

サクラ「えーと、それでこれが……」



今見ても記憶が鮮明によみがえってくる。

当時のサスケにはこの頃がどれだけすばらしいひと時だったのかを知らなかった。

もし過去に戻れるのなら教えてあげたいくらいだ……。

サラダ「なんか中忍試験以降のパパの写真が少なくない?」

サクラ「あー……ほら、パパは妻である私を捨ててどっか行っちゃってたから……」

サスケ「語弊がある言い方はやめろ。この時はまだ結婚してないだろう」

サラダ「代わりにママのがいっぱいあるけどね。手術してるママ、かっこいい!」

サクラ「なんかシズネ先輩がカメラ買ったとかで撮ってくれてたの。先輩、綱手さまも激写してたな……」フフ



その後シズネが綱手の写真を手裏剣の的にしてることが発覚し、カメラは最強デコピンを食らって粉々になった。

彼女は砕け散った一眼レフの破片を拾いながらオイオイと泣きわめいたと言う。


サラダ「……あ、やっとパパが出てきた。病室で火影様とゲームしてる……」

サスケ「ほら、ナルトが泣いているだろう。……いい気分だ」

サラダ「あれ、これがあたしが生まれる前の最後の写真なの? ママとデートとかしなかったの?」

サスケ「う……」


白いアルバムはこの平和な感じの写真で終わっている。

てっきり二人の新婚の頃の写真が残ってるかと思ったのに、少し期待外れだ。


サクラ「そうなの! パパはやれ任務だ、やれ世界がどう見えるのか知りたいんだとか意味わかんないこと言って全っ然帰って来ないかr」

サスケ「よ、よし今度はサラダが生まれたあとの写真を見てみるか……!」ペラリ


ネチネチと嫌味を言われそうなのを感じて、サスケは青いアルバムをめくった。

サラダ「これあたしが生まれたときの? 思いっきり手ぶれしてるけど」


もう一冊のアルバムは新生児用のベッドで寝ているサラダと、その横で微笑むサクラの写真で始まっていた。

下手くそだが、温かみのある一枚だ。


サスケ「片手だから仕方ない」

サクラ「あーこのときパパが感動して泣いて震えてたからね。『ざぐら~ありがどお~! ざらだ~うまれでぐれでありがどお~!』って」クスクス

サスケ「片手だからだ! ///」

サクラ「しかもこのとき任務の真っ最中だったのに、サラダが生まれたって聞いて任務ほったらかして帰って来たんだから」フフフ

サラダ「パパ……///」

サスケ「……た、たいした任務じゃなかっただけだ///」フン



本当はたいした任務だった。

重要人物の護衛の途中で勝手に帰宅したサスケ。

そのせいで護衛対象は強盗に遭い、身ぐるみ剥がされている。

当時の火影だったカカシにはこっ酷く叱られたが、彼はそんなことを気にも留めていない。



サクラ「ま、写真撮ってくれたのってこのときだけだけどね。皆で旅行行くってときも帰って来ないし」

サスケ「……」

サラダ「え、もしかしてあたしとパパが写ってるのって一枚もないの?」

サスケ「いや一枚も無いってことはない……。おそらく写真屋で撮ってもらったのがあるはずだ」パラパラ


そう言って数ページめくる。

……あった。

まだ幼いサラダを抱いたサスケとサクラが穏やかな顔でレンズを見つめている。



サラダ「こんなのあったんだ……」

サクラ「うん。やっぱいいもんだよね、家族写真。見ててほっこりするっていうか……」

サスケ「……この写真だけは焼き増ししていつも持っている。どれだけ離れていても、お前たちと繋がっていられる気がするからな……」

サクラ「……なんか珍しいね、サスケくんがそんなこと言うの……///」

サスケ「そんなことはない……」



例え思っていても恥ずかしがって口に出さないサスケ。

本当にこんなこれは珍しいことだった。

もしかして雪でも降るんじゃなかろうかという位に……。



ビュルッ!


びちょん……。



サスケ「」

サクラ「」

サラダ「」



唐突に、写真の上に雪のように白く濁った液体が振りかかった。




???「命中じゃ~ん……」






真上から憎ったらしい声がする。

見上げれば天井に張り付いた黒子姿の男が、自分の陰茎を握りしめてこちらを見ていた。




サラダ「きゃあああああああああああああ!!!!!!!!!!」

サクラ「な、なんなのよアンタ!?」




サスケ「お、お前は……ッ!」








……誰だろうか?






カンクロウ「楽しい団らんはここまでだ……」ククク








そう、カンクロウである……。



サスケ「カンクロウ……お前……」ギリリ


カンクロウ「いいよなぁ……てめえは温かい食事も寝床も、家庭もあるもんなぁ……。全てを失った俺とは違うもんなぁ……」


手足に集中させていたチャクラを解き、くるくると回って着地。

むき出しになった下半身のイチモツがブルンブルンと振り回される。

少し尿道に残っていた精液が、遠心力で糸を引きながら飛んでいった。



カンクロウ「……マジでムカつくじゃん……」

サラダ「ひッ!」



変質者がたまに見せる、冷酷な表情。

その目は赤く輝いている。


サスケ「そ、その目は……!」

サクラ「何してくれんのよアンタ!」ダッ!!



状況は全く理解できないものの、とりあえずサクラが動いた。

チャクラを右の拳に一点集中。

綱手直伝の怪力パンチがカンクロウの顔面に襲い掛かる。



サスケ「ま、待てッ!」

カンクロウ「残念ながらテメエ如きじゃ俺の相手は務まんねえじゃん……」ギンッ

サクラ「!!?」


――――――――――――
―――――――――
――――――



サクラ「な、何これ!? 幻術!?」ジタバタ

カンクロウ「身のほどをわきまえないからこうなるんだ。テメエには今から72時間、たっぷりと屈辱を味わってもらうじゃん」

サクラ「なにする気よッ! 私の体に触ったら殺すわよッ!!」

カンクロウ「安心しろ。誰もテメエのまな板ボディーなんかに興味はねえ」

サクラ「何だとこのゴキブリ野郎!」シャーンナロー!!!




サスケ「……」

香燐「……」




サクラ「え、サスケくんに香燐……?」



香燐「噛む?」

サスケ「噛む」カプリ

香燐「はあん///」



サクラ「」



香燐「もっと噛む?」

サスケ「噛む」カプリ

香燐「はあん///」



サクラ「わああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!!!!!!!!!!!?」



サスケ「うまうま」カプカプ

香燐「ああん! そんなに慌てて噛むな///」

サスケ「うままま」カプカプ

香燐「ばかん///」



サクラ「何やってんのアンタら! ちょ、サスケくん!? 女房が見てんだけど!? 即刻やめなさいよそんなプレイ!! あああああああああああああああああああああ!!!!!!!!」ムキイイイイイイイイイイイイイイイイイイイ





――――――
―――――――――
――――――――――――



サクラ「」ドシャッ


サスケ「サクラ!」

サラダ「ママ!」



泡を吹いてぶっ倒れるサクラ。

この世の終わりを垣間見たような顔でピクピクと震えている。



カンクロウ「初めて使ったけどよ……。随分便利なんだな……写輪眼ってのは……」ニタア

サスケ「……何故お前が写輪眼を持っている……?」

サラダ「ママ! ママしっかりして!」ユサユサ

サクラ「浮気……ダメ……絶対……」ブクブク


グニャリと曲がる隈取。

サスケの神経を逆撫でするような声。

下半身丸出しの悪の化身は巧みに敵を挑発する。



サスケ「サラダ、奴の目を見るな……。サクラを連れて逃げろ」バチチチチチチチチチ

サラダ「う、うん!」



やかましく響くチャクラの音。

本気で殺るつもりで千鳥を貯める。

なんとかサクラは耐え抜いたが、サラダが月読を食らえばどうなるか分からない……。

なんとしても二人は俺が守る……。



カンクロウ「サラダ……そういやお前、最近オナニーに興味を持ち始めたらしいじゃん……」

サラダ「へ? ///」

サスケ「ば、馬鹿! 見るな!」

サラダ「!!?」


――――――――――――
―――――――――
――――――


サラダ「な、何が起こったの……? ここは……?」

カンクロウ「月読の世界だ。しばらくの間、お前はここから抜け出せない。実際は一瞬だがな」

サラダ「ひいッ!? パパ! 助けてパパ!」

カンクロウ「精神世界だから、パパは来れねーぜ」

サラダ「あ、あたしを殺すの……?」ビクビク

カンクロウ「んなわけないじゃん? 別にお前に恨みはねーんだ。オナニー好きの忍に会えて、俺は嬉しいじゃん……」ニタニタ

サラダ「好きじゃないッ! あんな現実から目を背ける行為のどこがいいのかあたしには全然わかんない!」

カンクロウ「まあ直に分かるようになる。……72時間後にはな……」



カンクロウ「……」ボフン

カンクロウ「……」ボフン

カンクロウ「……」ボフン

カンクロウ「……」ボフン

カンクロウ「……」ボフン

カンクロウ「……」ボフン

カンクロウ「……」ボフン

カンクロウ「……」ボフン

カンクロウ「……」ボフン

カンクロウ「……」ボフン

カンクロウ「……」ボフン

カンクロウ「……」ボフン



サラダ「」



カンクロウ「壮観だろ? 軽く千人は超えるじゃん……」ズルッ ポロン コスコスコスコス


カンクロウ「……」ポロン コスコスコスコス

カンクロウ「……」ポロン コスコスコスコス

カンクロウ「……」ポロン コスコスコスコス

カンクロウ「……」ポロン コスコスコスコス

カンクロウ「……」ポロン コスコスコスコス

カンクロウ「……」ポロン コスコスコスコス

カンクロウ「……」ポロン コスコスコスコス

カンクロウ「……」ポロン コスコスコスコス

カンクロウ「……」ポロン コスコスコスコス

カンクロウ「……」ポロン コスコスコスコス

カンクロウ「……」ポロン コスコスコスコス

カンクロウ「……」ポロン コスコスコスコス



サラダ「きゃあああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!!!!!!!?」


カンクロウ「ふい~……気持ちいいじゃん……」コスコスコスコス

カンクロウ「うっ!」ビュルッ カサカサ

カンクロウ「お前早すぎるじゃん」コスコスコスコス

カンクロウ「だいぶ溜ってたじゃん」コスコスコスコス

カンクロウ「俺も出るじゃん!」ビュッ

カンクロウ「てめえ何俺にかけてんじゃん!」コスコスコスコス

カンクロウ「狭いんだから仕方ないじゃん?」コスコスコスコス

カンクロウ「ティッシュを貸してほしいじゃん」ビュルルル



サラダ「あああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」




――――――
―――――――――
――――――――――――


サラダ「」ドシャッ


サスケ「サラダッ!」バチチチチチチチチチ

カンクロウ「カカカ! 今どんな気分じゃん、うちはサスケ……? 女房と娘は月読世界で何されたんだろうな……?」

サスケ「お前だけは絶対に許さんッ! 千鳥ッ!!」チチチチチチ


サスケ渾身の千鳥。

雷に姿を変えたチャクラが肉体を活性化し、文字通り目にも止まらぬスピードを実現。

カンクロウの腹を貫かんと手を突き出す。



カンクロウ「おおっと、今の俺には写輪眼があるじゃん? その程度の速さなら見切っちまうぜ」ヒュンッ


見事な体裁きで千鳥をかわす。

一切無駄のない動き。

ただカンクロウのちんぽこだけが、無駄にプルンとなびく。




カンクロウ「しかもその術、写輪眼でコピー出来ちまうもんなぁ」バチチチチチチチチチ

サスケ「フンッ!」シュキンッ

カンクロウ「烏ッ!」ガキャッ



間髪与えず、草薙の剣を抜いて斬りかかるサスケ。

しかしそれも傀儡を盾にして防いでしまう。

サスケの速度をもってしても、そのさらに先をカンクロウは行く。


サスケ「死ねッ!!!!!」ビュンビュンビュンビュンッ

カンクロウ「ふう、危ねえ! 晩飯ん時くらい刀を外したらどうじゃん?」ヒュヒュヒュヒュッ



切っ先をすんでのところで全て避け、クルリと後方に宙返りして距離をとる。


サスケ「天……」


攻撃を止めないサスケ。

視界を遮る傀儡をはねのけ、カンクロウを視野に入れる。

こうなれば黒炎で焼き尽くしてやる……!



カンクロウ「チドニー!」バチチチチチチチチチ ビュルッ!!!!!

サスケ「痛ゥッ!?」



眼球に突き刺さったどろどろの液体。

しかも電気を帯びているのか、眼球がしびれる。


サスケ「ぐあああああああ! 眼がッ!」

カンクロウ「千鳥で右手を活性化、おまけにち〇こも活性化。擦り始めてから一秒もかからずにイッたのはこれが初めてじゃん……」

サスケ「くそ……見えん……ッ!」ドタドタ

カンクロウ「思った通りいくら最強と歌われるテメエでも、眼が見えなきゃ何にもできねえようだな」カカカ



勝利を確信したカンクロウは、精液で塞がった眼球に絶望の色が無いかとのぞき込む。

チートな瞳術の使い手でも、眼を防げばなんとかなるかもしれないという自来也の提案だった。

もちろん陰茎も無事では済まない。

自来也が危惧していた通り、カンクロウのイチモツは熱で焼けただれている。



サスケ「見えなくても声で分かるッ! そこだッ!」ビュンッ

カンクロウ「残念、それは黒蟻じゃん」

黒蟻「」カパッ

サスケ「何ッ!?」

黒蟻「」ガシャガシャガシャガシャンッ


サスケとカンクロウの間で身体を開いて待ち構えていた黒蟻が、サスケを捕えた。



カンクロウ「傀儡師と闘うんなら、一番警戒しとかないとダメじゃ~ん……」

サスケ「出せッ! ここから出せッ! ……くっさああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!!!!!」ドンドンドンドンッ!




カンクロウの秘技、黒蟻オナティッシュ。

狭い空間でこれでもかというくらい濃厚な雄の臭いが充満する。



サスケ(ぐう……眼が開く前に意識が持っていかれる……)ガリガリ



狭すぎて刀を振り回すこともできない……。

クソ……瞳術に頼り切っていたツケが回ってきた……。

このまま俺が負ければ……あの変態にサクラやサラダが……!



意識を保とうと、懸命に黒蟻の内側を爪で引っ掻き続ける。

しかしサスケも限界に差し掛かっていた……。




カンクロウ「俺の勝ちだサスケええええええ!!!! テメエも全てを失う苦しみってのを味わう……」ガハハハハハハハハ



サラダ「しゃーんなろおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」バキャッ!!!!!!!!!



カンクロウ「じゃんッ!?」





横殴りにカンクロウの睾丸を殴りつける拳。

それも母親譲りの超怪力で。

ショッキングな精神世界に迷い込みながらもなんとか意識を保ったサラダは、さらけ出された弱点目がけてフルパワーの金的を放ったのだ。

普通の金的ならコキンとかカーンのような擬音がつくのだろうが、バキャッが相応しい、そんな金的だった。





カンクロウ「」ドチャッ






足が粉々になったように沈むカンクロウ。

眼が真っ白になり、まるで白眼のようであった。







サラダ「うわ……汚い……」フキフキ




サラダは嫌な感触の残る拳を、その辺のタオルで拭った……。



***


我愛羅「木の葉に来たのはシカダイの参観のためだったのだが、こうも都合よく脱走した男が見つかるとはな……」


翌日、ロープでグルグル巻きにされたカンクロウは五代目風影に引き渡された。

もちろん写輪眼はくり抜かれ、眼のところにはぽっかりと黒い穴が空いている。



サスケ「木の葉の公園に住みついていたようだ。しかしこの男が指名手配中だとは知らなかった」

我愛羅「ご協力感謝する……」

カンクロウ「おおお、俺は今からどこに連れてかれるじゃん……? 何も見えないじゃん……」ガタガタガタガタ

我愛羅「安心しろ、お前は俺が責任を持って砂隠れの地下に連れて帰ってやる……」ニタア

カンクロウ「嫌だああああああああああ!!!!!!!! あそこだけは嫌だああああああああああああ!!!!!!!!!」バタバタバタバタ




うちは一家は哀れな男が引きずられていく様子を、複雑な思いで見送った。





サラダ「オナニーがどれだけ悪いものなのか、よく分かった気がする……」

サスケ「それは良かった。……本当に良かった」

サクラ「それにしてもお手柄だったわ、サラダ。流石私の自慢の娘ね!」

サラダ「へへ……。それより家族写真が台無しになったから撮り直さないとね///」




サラダは照れくさそうに笑う。

自分が家族を守ったという自信が、彼女をまた一つ成長させた。



サクラ「じゃあ今日は映画行って、美味しいもの食べて、それから写真館に行くわよ!」

サラダ「わあ! いつになく奮発するねママ!」

サスケ「すまない、今日はナルトの家でゲームをする約束が……」

サクラ「ざぐら~ありがどお~!」オーイオイオイ

サラダ「ざらだ~うまれでぐれでありがどお~!」オーイオイオイ

サスケ「映画何見ようか!? ///」





温かな日差しを浴びながら、三人は仲よく手をつないで歩いた……。



※EDテーマ『そばにいるから』




♪ドゥルトゥトゥーントゥーン……(シャララララララララ……)

ドゥトゥトゥトゥーン……トゥーン……

ドゥルトゥトゥーントゥン……(Yeaaaaaaaaaaah……)

トゥルトゥトゥーン……


                  ,,..‐''′       ,..‐ 、              ゙、::::::::::::::::::::::::ヽ 丿  )ヽ
                _/    - 、    / /'ヽ、             ':::::::::::::::::::::::::::: ゙、′  |l丿
               l′   ノ ` 土 、 /ン ..-'' ニ!    、         '、:::::::::::::::::::::::: ヘ   | ´
               ′   /’/  ./'''ハ_ し-"´  !    1         1 ::::::::::::::::::::::::: ゝ  /r'-
  ヽ             |     ノ 、丨  ゛      !    1         ゝ、::::::::::::::::::::::: │,..' ..-
  l:ヘ            |    丿 │|         {   亅、         ! \:::::::::::::::::::::lワ'´ ,'ソ
   ハヽ           l !   │ | 卜        |    !| |、       │  \:::::::::::::::|'´ 丿′
   T゙..゙ 、         | l   ′ | │        |   ノ |」|         ! / ニゝ_::::::::│ /
   ¦ヘ ヽ         l1  、│  」 '、       │  l..1ト!        |..l’ く.._ィ 1:::::::::!┘
   ゝ ゙、 丶        〔 │ |  1 ヘ        |  ′ │      l  | ’f冖'' 、 l、::::::゙‐--
    '、 ゙ 、ヘ、       !  l !   、 \_'、   ,/〕  j冖oゝ|      丿 !  ` l ノ ,ィ ゙lゝ:::::::::::
    {  ヘ  ヘ       」 │ ′  '、  〕|' 、 '''´ │/ `'--│     イ  ′ ン'' / ∩/'、::::::::::::
    '、::::: '、 ゝ     │ ll    l   1 l     l/^゛^‐''"'|      ′ ′ ........r’ ../:::::: へ :::::::、
    ゝ::::::::ゝ、 ゙ 、    |  l l    !   ヘ′    ¦     」 ,'    ′ l  │ /:::::::::::::::::::::::::`ー
     l:::::: / ゙1゙'''くヽ    │丨1    1   ,'           | ′   ′ ,'  ' _r'′::::::::::::::::::::::::::::
     ヽ/′ 丶  │    '、| 1  、 '、 ヘ、  ....        | ,'   丿 ,'  /::::::::::::::::::::::::::::::::::::::
     ヽ、:  '、 |     ゝ1 1  |l '、    ̄ l___......   |ノ    /  ,',,/:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::
       丶_ ゙ 、 l     1'、 '、 || │    _│ ヽ..、    丿   /  丿:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::
        `t:|々コ     ゙卜 ヘ |│ 1    1│   ヽ、  |′  / /′:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::
、    丶  _ ヘ ゙‐  ̄゛゙^''''''‐'、  l ! |  1   {│    ^ー-/   / 丿 ..r;:―''''''ー 、:::::::::::::::::::::::::::::::::::
        リ つ‐--..、 _    l\ │|  ′  l|│    __,,..′  / / ..-'''´      '' 、::::::::::::::::::::::::::::
        ヽ  〈   '廴    ` `Tl1    、 |'iイ'''''' ̄"` /   /‐'´           ゙ 、::::::::::::::::::::::
      、  冖‐‐‐‐^i冖` 、_    ..!,' '、  ││!l      /   /              \:::::::::::::::::::
        │     レ..イ=¬、  l,' |   丿 ! !!     ,' ュ /                 ヽ、::::::::::::::
.        `''j'''''''''''´   ゙! ,..′ 冫 |、   ! !      ,' / ,'                   ゝ::::::::::::::
          丶_ _,,,,......-‐广''、 /__  !  l l │ 、    ..! 'l 」                    ゙ 、::::::::::


どこまでーも続ぅくぅ道にはー

いろーんなこーとー……あるんだぁねー


強がりーなきぃみが今日はー

受話器越しーにぃ 涙声ぇ


                                    l\ ヽ、   、
                                    |  \} \| \
                                  __j.        ヽ/{

                                  \            \
                                 -‐'´             ヽ

                              <_                   |
                                /                   |
                              /__/ /    /   /ヽー|:     │
                                    / /1   /!.∧ /l   |:     |
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:::::: \                            ∠ /∨   |屯≧、  __Ⅵ    |
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ヽ :::::::::::::::::::::: \                  /  |`ー‐ノ/ ! |  ─ -  /l /| ./リ
ヽ\ :::::::::::::::::::::: \           ,  -―‐′  l-― '  l | \ _  ,<  l/│/
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   \\::::::::::::::::::::::::\       l     \   \ `ヽ、__l    / ヘ  l|
.     \\ :::::::::::::::::::: \     |  \   ヘ    \   \   |    \|\
       \\::::::::::::::::::::: \    │   \   ヘ     \    -――--│ \
           \\:::::::::::::::::::: \   |     `ヽ、 }      \.         |   ∧
          \\:::::::::::::::::::::\ l.         \       ヽ }       │  l ∧
               \\ ::::::::::::::::: \         \.     ∨        l   l ハ
              \\ :::::::::::::::: \         \     `、      |     |  l
                  \\::::::::::::::::::\     ー    __\     ヽ     _|    │ │
                 \\:::::::::::::::::\          ̄\  │   │/'  │ │
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                      {::::::::::::::::::::::::::::ヘ    {\}}    }ー<{l_::::: /  |
                    /厂厂厂厂厂「仏   ∧ >―‐-'´ } L}=ト、   |

                    ゝ'ー┼┼┼┼少 厶   l ヽ  ___/ / 〉{ノ   |


どんなぁ ゆぅめぇー……(はァーう……)

追いかけてこーこーまでぇ 来たーんだーろぉう

分からぁなくぅなったり……するこぅおとぉは……

僕にだって あるぅからねぇへぇ……baby


                       ..:::::::::::::::::::..

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            \: :>'´ ̄ {: : : : : : ||.: : : : : : : : : : : : : : : : : : :}



君がなーみだの時にはー

僕がそーばにぃいるぅかーらー

離れ離れの夜だって ヘエエ 

僕はそぉうばにぃ いるーかぁらー



                   , 、
                _ Jし:::いノ∠ ,

               _>_`-Y  -'<
               >  ,、フ 个 ヽヾ::∠
               フノいr--ヘ}::::::と

                小___厄_」リ小^
             rイ⌒lリ t志x‐.f志テル

           / /   ハ7  _ {  「:ソハ、
           」  |    い、'ー::一 :/:::::::::::::>、
          / |  |__ lミぅ=イ :::::::/   l
        rイ  l   /  l  ∠_:::::/ /   }
       _{ l  k::∠_ _ V   {:::{V   八
      { {  ヽ ):::::: ̄/      Y:V  /  |
      入  \ Vn::::::∠―――――:::::::l /   l
     /  ⌒ヽゝJ |::::::中:::::::::::::::::::::::::::::::V/   )

     〈_     \l:::::中:::::::::::::::::::::::l!:::::}/   ノ::)
    厂   \    >、;中:::::::::::::::::::::::l!::::ノ_,、-'゛ノ:ハ
   /     L)  /  VJL::::::::::::::::::::i!∠_,、- '´  :::)

   /.::   〈::l:::::`Vハ   V `――― マ∠_ :: ::∠//
   {:::    ;; :::::::nnヘ   V- 、 ___∠二   r-'
   V    :::J::::ノ》》::::ノ } } l!::::::::::::/^^へ_>)ノ

   |   :::  V〃〃〈ノ / /::::/V:〈_/:/ // ) ⌒/
   |   ::::  ヒ/::::└'- '、_/   L(_/ノし'  ∠
   ├r――‐い:::::::::::::::::::て   〃     ノ  く
     l   | `丶、:::::::::::)           _ T: : !

     rL-―へ   `--/}         ヘ  {:::::::::Y : :l           }ノ
     }M!   |     /l  Y  r-    ヽ h::::::::::l: : j        /
     }X--  l    / | \  (ノ⌒   ヽ l::::::::::l: :j          /
    ノレへ :::::l   / /      ,-'   ̄  ヽヽ:;::::::V         /
   ,∠∠   :::::h  / (ノ_         _hヽ;::::::::)       /
 ∠フフぃ::)__) / ノ:::⊆:::⊇,、-'  ̄  ̄   ヽ `―' )     /
[二二二>レ二三) L∠r-^二     ,、-rへヘ  `ー



僕はそーばにぃ いるーかぁらー……



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  l:::::::::::::::::/l   `‐、     `!    ,>l ̄`、:|l:::::::::::::::::::l
.  l:::::::::::::::l 、,,ニニニミ'く    ー''',ナ‐=ニ,r`'l::::::::::::::::::l
  l:::::::::::::::i, ヽ (::::) `      ' (::::) /  |:::::::::::::::/
   l::::::::::::::i,  `ー‐         ‐‐‐    l::::::::::::::/
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       ノr' |         l/ ,/   ..::;/::::::::::::




***



ナルト「また落書きしやがって!」ゴチン!

ボルト「父ちゃんなんか大嫌いだってばさ!」ウアアアアアアアアアアアアアア

ナルト「ったく……」












ヒナタ「ナルトくん、前の保護者参観のことで話があります……」シュコオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ

ナルト「ちくりやがったなボルトォ!!!!!!」


終劇

このSSまとめへのコメント

1 :  SS好きの774さん   2016年02月15日 (月) 21:42:13   ID: A7iCdTXF

おもろい

2 :  SS好きの774さん   2016年07月25日 (月) 19:35:55   ID: Wo_YiX9V

内容は頭おかしいのに文章力が高すぎる

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