モバP「とある歳末Pの1日」 (41)
P「うぅ…寒いなあ…どっかで一休みといきたいトコだけど」
営業もひと段落し、せっかくの外回りと言うこともあって少し休憩を挟む事にしよう、と。
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P「別にサボりってわけじゃないぞ? 次の予定まで時間が空いてるんだ。」
P「だから適当な店で時間を潰しても、サボりじゃないから経費で」
P「……落ちませんよね。ハイハイ、知ってますよ分かってますよ」
などと一人寂しく言ってる間も時間は過ぎる。仕方ないので適当に目に入った店に入ることにした。
「いらっしゃいませー♪ お客様何名様……あ」
P「志保? お前、何やってんだこんなトコで」
槙原志保「あ、あはは…ばれちゃいました」
P「や、まあ別に言いつけたりとかしないけどさ。びっくりしたよ」
志保「あ、本当ですか? やったぁ♪ あ、ここのお店のパフェ美味しいんですよ? お礼にご馳走しちゃいますね!」
P「あ、おい…行っちまった…」
P「や、志保がいる時点でパフェが美味いのはそうなんだろうけどさ…」
……軽くコーヒーだけでよかったんだよなぁ…
P「……つか、座ってていいんだよな、適当に」
色々あっけに取られたので座る席を選ぶのも忘れていた。ひとまず適当に確保。
しばらくすると、志保がパフェを持って現れた。
P「おぉ、こりゃまた彩りが豪勢だな…」
志保「はい。クリスマス仕様のパフェなんですよ♪ いつもより多めに乗せちゃいました!」
P「確かに多いな…てか、営業の合間なんであまり量あってもな…」
志保「大丈夫です!余ったら私食べますから!」
P「おいウェイトレス」
大丈夫かこの店。美味しいから大丈夫なのだろうか。
P「で…結局なんでバイトしてるんだ? ……ちゃんと給料出してるんだよな、ちひろさん」
志保「あ、ハイ…それはちゃんと頂いているんですけど…」
志保「この時期は忙しくって、手伝えないかな、って」
P「頼まれたのか?」
志保「いえ、自分から…その、ダメでしょうか?」
P「んー…ダメって事ないだろうけど…まあなあ、アイドルだし…」
P「つっても、凛も雫も家の商売手伝ってるしなあ…バイトだって、765の響ちゃんなんてずっとやってたみたいだし」
我那覇響は沖縄から上京したての頃、動物達のエサ代等を稼ぐため、ボーリング場でアルバイトをしていたらしい。
知り合いから聞いた話ではあるが、根が真面目な彼女のこと、ありそうな話だと思ったのを覚えている。
P「まあ、差し支えない範囲であれば構わないんじゃないかな。ちひろさんだって鬼じゃないんだし」
P「ちゃんと事情を話せば聞いてくれ……あれ」
志保「はい?」もぐもぐ…
P「……ひとつ質問いいかな。俺のパフェ、どこいった?」
志保「……勘のいいプロデューサーさんは……ごくん。 嫌いじゃないですけどね♪」
P「……お前、実は自分が食いたかっただけだろソレ」
志保「だって美味しそうだったんですよ~。作ってばっかりで食べる暇なかったんです」
P「いや、まあいいけどな。おかげで時間も潰せたしパフェも消化できたわけだし。さて…」
志保「あ、もう出られます?」
P「ああ。また寄らせてもらうよ。今度はきちんとお金払って食いにくる。」
P「だから、ほれ。」
志保「お金…お代は大丈夫ですよ、私のご馳走…と言うか、私が食べちゃいましたし」
P「じゃあそれはお駄賃ってことにしといてくれ、時間潰せたし、お礼。」
志保「なおさら受け取れませんよ、お仕事中です!」
P「…それもそうか。じゃあ…そうだな、次の機会に、休みとか…どっかで奢ってやるよ、スイーツ」
志保「本当ですかっ!?」ぐわっ
P「うお、近い、近いってば」
ーーーーーーー
「お気をつけて~♪」と上機嫌で手を振る志保を尻目に、店を後にして営業の続き。
一見地味な仕事ではあるが、下積みが大事なのはアイドルもプロデューサーも同じ。
輝く舞台への道は、暗く、その道筋も見えないほどだが…
だからこそ、俺達はそれを照らしだす案内役でないといけないのだ。
お姫様が転んで、ドレスを汚してしまわぬように。
P「……なんて、やってる事は結局お偉いさん方の挨拶回りのドサ回り、なんですがね…っと」
そして、夕方。事務所に書類等を置いて、再び外へ。
年末のライブへ向けて、会場周りの下見と諸々の打ち合わせだ。
P「詰め込みすぎ、とは思うけど…まあ、仕事ないよりはマシだよな」
着々と準備が進んでいるようで、特に懸念する様な事もなく、予定通りの時間に解散となった。
P「あとは…っと、予定が無いし直帰したいけど…流石にな」
重要な書類は基本的に社外秘で。つまるところ事務所に戻らなくてはいけなかった。
P「パパッと戻って、それから飯にするかな…何を食ったものか…」
最近はファストフードと牛丼とコンビニ弁当のローテだったので、我ながら不健康だなとは思っていたのだが。
響子「あ、プロデューサー! お帰りなさいっ。上着、預かりますね。」
P「響子? お前、こんな時間まで何を…?」
響子「えへへ…事務所のお掃除をしてまして、気がついたらこんな時間に…」
P「掃除…って、うぉ…なんだこのピカピカの床!」
響子「床だけじゃないですよ、デスクも窓もピカピカです!頑張りました!」
P「大したヤツだ……これだけの量の掃除、たった一人でこなしたってのか…」
響子「いえ、別にそんな褒められるようなこと…あ、プロデューサー、ご飯まだですよね。」
P「ん、ああ…確かにまだだけど…って、まさか」
響子「はい、お弁当作ってきちゃいました♪ 一緒に食べませんか?」
ーーーーーー
P「美味いけど、それにしたってかなりの量だなぁ」
響子「プロデューサー、最近はあまりちゃんとしたものを食べてないって聞いたので…」
響子「せっかくだから張り切っちゃいました♪」
P「聞いたので、って…誰情報だソレ、ちひろさんか…?」もぐもぐ
響子「いえ、まゆちゃんですよ?」
P「ごふっ!」
響子「ぷ、プロデューサー!?」
P「いや、大丈夫、ちょっとむせただけだ…そっか、まゆかー」
響子「はい。今度はまゆちゃんもお弁当作ってくるって、張り切ってました!」
P「気持ちは嬉しいんだけどな。まあ貰ったら食うし、ありがたいんだけど…」
響子「?」ニコニコ
P(なんていうか、忍びないんだよなあ…美味い分、余計に)
響子「あ…口元に…」
P「ん?」
響子「じっとしててくださいね。…よいしょっと」ずいっ
P「んん!?」
P(響子の顔が、近い、めっちゃ近い!)
響子「……はい、終わりました♪ ケチャップが付いてましたよ?」
P「お、おう…そっか」
響子「ふふ、美味しそうに食べてくれて、嬉しいです♪ まだまだありますからね。」
P「響子…お前、少しは自覚をだな…」
響子「はい? 自覚?」きょとん
P「…いや、いい。お前はそのままでいてくれ…」
P(流石に誰彼構わずやってるわけじゃないだろうし…な)
響子「あ、お茶、美味しいのがあるんですよ」
P「ん、そうなのか?」
響子「はい。この前、事務所のお茶っ葉が切れてたので買いに行ったんですけど、そこでなんと!」
響子「あの雪歩ちゃんにお会いしまして。お勧めを教えてもらっちゃいましたから♪」
P「へえ、雪歩ちゃんに…ってか、未だにお茶っ葉はあの子が買いに来てるんだな」
響子「かなりこだわりがあるみたいなので、自分で選びたいらしいですよ?」
響子「あ、でも最近は缶のお茶も普通に美味しいから、『ライバル登場です、これは負けていられません!』」
響子「って。ものすごく燃えてました!…あ、お湯、わきましたね…ちょっと行ってきます!」
P(そう言えば昔、缶のお茶のCMに出てたっけ、雪歩ちゃん…)
P(こういう、自分の趣味に全力全開なとこ、うちで言えばパッション属性なのかなぁ)
P(まあ、とはいえうちの属性システムもわりとあてになんないからなあ…)
P(藍子と夕美がパッションなのはまだわかるんだが…)
P「エンジンかかると止まらないからなあ…あの二人も」
美世「なになに、クルマの話?」にゅっ
P「……その理屈だとお前がキュートなのが謎なんだよなあ…つかどこから出てきた」
美世「いやあ、なんとなくドライブしてたら明かりが付いてたから。」
美世「差し入れに色々持ってきたの、ほらっ」
P「おお…こりゃまた色々…チキンにハンバーガー…ってオイ、ドライブスルーだろこれ」
美世「あ、ばれた? っていうか、それ美味しそうだね、何食べてるの?」
P「ああ、これは…」
響子「あ、美世さん!こんばんは♪」
美世「響子ちゃん? ………ああ、そういうこと!」ぽんっ
美世「プロデューサーも隅におけないね、このこの♪」
P「何勘違いしてんのか知らんが、違うからね、これは差し入れだから、お前のと同じだよ」
美世「えー、ウソだよ、こんなに美味しそうなのに。」
美世「あ、ねえ響子ちゃん、私もこれ、もらっちゃっていいかな?」
響子「いいですけど、まず手を洗ってからですよ?」
美世「やりぃっ♪ そうこなくっちゃねー♪」ぱちんっ
P「お、なんかソレ似てるな、真ちゃんに」
美世「ああ、この前ばったり会ってね。ほら、あの子のお父さん、レーサーだし」
P「ああ、そういやそうだっけか…確か、そのお父さんの影響であんな風になったんだっけか」
美世「本人はあまり納得してないみたいなんだけどね。かわいいと思うけどなー。」
美世「ちなみにさっきまでカーステレオで流れてた曲は」
P「迷走Mindだろ?」
美世「ぴんぽーん、正解です。 では正解したプロデューサーにはパジェロをプレゼント」
P「いや、それ微妙に間違えてるからな?クイズの景品じゃないからアレ」
美世「なーんて、残念ながらパジェロはないので、プロデューサーにはたわしを進呈するね」
P「…なんでたわしはあったんだよ…」
美世「ん、なんかスタンドで貰っちゃった♪…っていうか、事務所綺麗だよね、びっくり。」
P「ああ、それはな…」
響子「もう、いつまで話してるんですか、二人とも。」
響子「お弁当はともかく、せっかく買ってきたもの、冷めちゃいますよ?」
美世「あ、そう言えばそうだったっけ! じゃ、ぱぱっと手を洗ってくるね」
響子「はーい。お茶淹れて待ってますねー」
美世「ありがとー♪」
P「………ってか、思い出したんだが。マジで今何時だ?」
響子「へ…? あっ!」
ーーーーーーー
P「ちょうど美世が来てくれたから助かった…響子も無事に家に送ってもらえるだろう」
P「それはそれとして、俺はあいもかわらず事務仕事なわけだが」
P「いや、おかしいだろ。なんで帰るつもりだったのに働いてんだよ俺」
P「習慣って怖えなあ…気がついたらPCの電源入れて机に向かってたぞ…」
P「……つか、あれもこれもまだやりかけじゃないか…」
P「なんで気がつくかなぁ…帰れそうだったのに…はあ…」
P「…………でもま、それもこれもあいつらのため、なんだよな」
P「それに、曲がりなりにも業界人なんだしな…夜うち朝がけは当たり前、ってか」
P「スタドリでも飲んで…ん?」
書き置き「お身体、壊さないようにしてくださいね? よろしければどうぞ、特製ドリンクです。 栗原」
P「ネネか…いつの間に…あれ、こっちは…」
「なんかお仕事毎日お疲れっぽかったし、ここにビタミン剤置いとくんで飲んでちょー♪ リナ」
「疲れた時は甘いものだよ! ドーナツ置いとくから食べてねー♪ 法子」
P「…………お前ら…」
むぐっ、がつがつ、ごく、ごくん!
P「…………よし!」
P「そうだ、負けてられるか。俺はプロデューサーなんだ。あいつらに、魔法をかける魔法使いなんだ」
P「12時で帰るのはシンデレラだけでいい、ってな。お姫様が帰ったあとは…」
P「魔法使いが頑張らないと、だよな。ずっと解けない魔法を、かけ続ける為に、さ」
ーおしまい。
お付き合いいただきありがとうございます。
この時期はどこも忙しくて、本来Pは休んでる暇なんてないのかもしれませんが…
このSSだと、響子ちゃんに声がつきますね、とても楽しみです。
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ではでは、依頼出してきます。
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