北条加蓮「Pさん、私もうダメかも……」 (46)


モバP「…………え、なっ……ど、どうした、加蓮」

加蓮「……」

P「加蓮……?」

加蓮「ごめんね、Pさん」

P「……」

加蓮「私、また病気に、なっちゃったみたい」

P「……っ!」

加蓮「本当に、ごめんね」

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P「じょ、冗談はよしてくれ」

加蓮「……」

P「よしてくれよ、なぁ」

加蓮「冗談だったら良かったのにね」

P「……嘘だろ」

加蓮「……嘘だったら良かったのにね」

P「……」

加蓮「……」

P「どんな病気、なんだ……?」

加蓮「……分かんないんだ」

P「分からない……って。それは、そんな」

加蓮「……」

P「……何でだよ。何でだ」


加蓮「たぶん、心臓の病気」

P「心、臓……?」

加蓮「いつからかな。急に胸が痛むようになったんだ」

P「……」

加蓮「何だろう。変だな、おかしいなって。気付いた時にはもう手遅れでさ」

P「……」

加蓮「私、思わず笑っちゃったよ。お医者さんでも分からない病気って。宝くじでも買ったら当たるかな」

P「……やめろ」

加蓮「あーあ。これで私も、不治の病に冒された薄幸の美少女に逆戻りかぁ、なんて」

P「やめろ」

加蓮「……ごめん」

P「……すまん、言い過ぎた」

加蓮「……ううん。ごめんね」

P「すまない」


『――なるほど。詳しくお聞かせ願えますか?』

『……ふむ』

『個別の事例について、もう少し細かくお願いします』

『……なるほど。その時あなたの体調は――』


『――申し訳ありません。私の手には、負えません』

『おそらく名の知れた病院でも、海外の名医にも難しいでしょう』

『医学にも限界はあります。残念ながら、それはどうかご承知頂きたい』

『ですが、希望を捨てないでください』

『結局の所、貴女がどうなるのかは……』

『……これは、医学の徒として吐いてはいけない言葉なのは重々承知の上ですが……』


『最後まで、神のみぞ知る事なのです』


加蓮「私は……もう神様のくれた時間なんて……」

P「……」

加蓮「……とまぁ、こんな感じ。いわゆる匙を投げた、ってやつかな」

P「……加蓮」

加蓮「何? Pさん」

P「教えてくれ」

加蓮「……何を?」

P「どんな風に辛いんだ」

加蓮「……Pさんに話した所でどうにもならないよ」

P「そんなもん分からないだろう」

加蓮「楽しい話じゃないよ?」

P「それでも俺は知らなきゃならない」

加蓮「どうして」

P「俺は、加蓮のプロデューサーだからだ」


加蓮「……」

P「俺じゃなくたっていい。凛でも奈緒でもちひろさんでも」

加蓮「……」

P「肩を支えるぐらい出来なくて、何が仲間だ」

加蓮「……」

P「……」

加蓮「……ありがとう、Pさん」

P「ああ」

加蓮「ありがとう」

P「ああ」


加蓮「最初の最初は、たぶん去年のライブの後」

P「そんな前から、か」

加蓮「あの時に、ちゃんと言えてたら……」

P「……」

加蓮「……ごめん、話を戻すね」

P「……ああ」

加蓮「大成功で興奮したまま家に帰って、凛とかPさんとメールしたよね」

P「ああ。夜遅くまでやり取りしてたな」

加蓮「どうしてかね、ちょっと胸が痛んだの」

P「……」

加蓮「ライブでちょっとはしゃぎ過ぎたかなって。その時はそう思ってた」

P「……」

加蓮「きっと、その時がはじまりだったんだ」

察しの良い方が多過ぎるけど続けるよ


P「続けてくれ」

加蓮「それからは段々頻度が増えてきて。最近は、しょっちゅう」

P「……加蓮」

加蓮「…………今も、本当は少しだけ……ううん。けっこう、痛い」

P「……」

加蓮「……続けるよ」

P「ああ」


加蓮「運動が原因かなって思ったんだ」

P「なるほど」

加蓮「レッスンとかするし、やっぱり私も無理をしてるのかなって」

P「確かにそれなら説明は付くな」

加蓮「でも、違った」

P「……」

加蓮「こうやって奈緒やPさんと雑談してる時。メールの返信を考えてる時」

P「……」

加蓮「お仕事終わりに車で送ってもらう時。お風呂で一日の出来事を振り返ってる時」

P「……」

加蓮「痛むの。ここの、奥が」

P「……加蓮」

加蓮「息が詰まって、ドキドキして……きゅうっと、なってくるしく、てっ」

P「加蓮っ!」


加蓮「きゃっ……! Pさんっ!?」

P「……」

加蓮「は、離してってば……!」

P「イヤだ」

加蓮「……苦しいよ、Pさん」

P「そうか」

加蓮「……もっと、そっと抱き締めてよ」

P「すまん」

加蓮「……」

P「治るのか、治らないのかも俺には分からない」

加蓮「……うん」

P「でも、辛い事や苦しい事を一緒に悩む事なら出来る」

加蓮「……うん」


P「まだシンデレラにだってなれちゃいないんだ」

加蓮「……うん」

P「そんな、訳の分からない病気なんかに加蓮を渡して堪るか」

加蓮「うん」

P「加蓮。俺を、みんなを信じてくれ」

加蓮「うんっ」

P「加蓮。絶対お前を離したりしないからな」

加蓮「……うんっ!」


P「……っておい、加蓮」

加蓮「え?」

P「顔真っ赤じゃないか! まさか……!」

加蓮「……い、いやいやいや! 大丈夫だよっ!」

P「何が大丈夫なもんか! 待ってろすぐに……!」

加蓮「こっ、これは本当に違うからっ……!」

P「これはって何だ! 他にも病気を隠して――」

加蓮「……~~っ! もうっ!」



凛「プロデューサー。私も何だか胸が苦しいんだけど」

奈緒「ただの胸焼けだろアタシもだよコンチクショウ」

 ― = ― ≡ ― = ―

「綺麗……」

「今まで色んな夜景を見てきたが、ここは特別凄いな……」

「ね。宝石箱をひっくり返したみたい」

「気に入ってくれたか?」

「うん。ありがとうね、あなた」

「まぁ、五年目の記念日だしこれくらいはな」

「……くしゅんっ!」

「大丈夫か? 山の上にこの格好じゃ少し寒かったか」

「ううん、大丈夫」

「そうか?」

「あなたが居るでしょ? あっためてよ」

「…………ほら」

「……ふふっ。あったかーい♪」


「……最近は、どうだ?」

「ん?」

「いや、その、例の……病気の方は。辛くないか?」

「ううん、心配しないで。だいぶ良くなってきたよ」

「そうか、良かった……」

「でもまだ油断出来ないかな。完治はしてないみたいだから」

「そうなのか?」

「うん。今でも気を抜くと、すぐ胸がドキドキし始めちゃうの」

「なかなか治らないな……」

「ひょっとしたら、本当に不治の病かも」

「加蓮……」

「でも、大丈夫だよ」

「……そうか?」

「うん。だって――」

「お、おい、加蓮――」


「…………んっ」

「……っむ」




「――ずっと、あなたが隣に居てくれるから…………ね?」



「…………」

「Pさん?」

「…………お、おう」

「大丈夫?」

「大丈夫。心配無いさ」

「本当に?」



「ああ。少し…………ドキッとしただけだ」


おしまい。


http://i.imgur.com/fMCOLYP.jpg
http://i.imgur.com/ubPtf8P.jpg

特技が案の定ライフ回復だったのは笑ったよ
病弱という弱点を克服した加蓮ちゃんはひょっとして完璧美少女なのでは

過去作
高森藍子「もういいかい」 ( 高森藍子「もういいかい」 - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1446611135/) )
渋谷凛「プロデューサーは好きな人っているの?」 モバP「ああ」 ( 渋谷凛「プロデューサーは好きな人っているの?」 モバP「ああ」 - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1444899912/) )
モバP「凛って好きな人とかいるのか?」 渋谷凛「うん」 ( モバP「凛って好きな人とかいるのか?」 渋谷凛「うん」 - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1444728827/) )


予定通り予定が無いので今年のクリスマスも楓さんの話を書きに来るからよろしくな

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