モバP「凛って好きな人とかいるのか?」 渋谷凛「うん」 (48)


本格サスペンスだよ

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P「…………」

凛「…………」

P「……え、あ。いる……のか」

凛「うん」

P「…………」

凛「…………」

P「あー……」

凛「…………」

P「……まぁ、凛はアイドルだけど」

凛「うん」

P「そりゃ……好きな奴の一人や二人、いるよ、な」

凛「一人だけだよ」

P「そうか」

凛「うん」


P「あー……」

凛「…………」

P「その、付き合ってたりは……するのか?」

凛「えっと……」

P「…………」

凛「付き合ってはないよ、まだ」

P「そ、そうか」

凛「うん」

P「まぁ、その、あれだ」

凛「…………」

P「人の心なんて完全には縛れないからな。こっそり頼むぞ」

凛「こっそりがいいの?」

P「まぁ、そうだな」

凛「分かった」


凛「あ、それと一つ訂正しなきゃいけないんだけど」

P「ああ」

凛「好きな人、じゃなくて。大好きな人、だね」

P「…………」

凛「…………」

P「そう……か」

凛「うん」

P「……凛ってさ」

凛「うん」

P「結構、乙女だよな」

凛「そうかな」


P「でもやっぱり、凛はアイドルだからさ」

凛「うん」

P「その……心苦しいが…………抑えて、くれると……助かる」

凛「…………」

P「…………」

凛「……ちょっと、難しいかも」

P「……そうか」

凛「自分の気持ちに、嘘はつきたくないから」

P「そう、だよな」

凛「……でも」

P「ん」

凛「プロデューサーに迷惑掛けたくないって気持ちも本当だから」

P「…………」

凛「頑張ってみるよ」

P「……ありがとうな、凛」

凛「お礼を言う場面なんかじゃないよ」


P「その、凛」

凛「なに?」

P「…………誰、なんだ?」

凛「……誰、って」

P「あ、いや、すまない。余りに失礼だよな……忘れてくれ。すまない」

凛「…………」

P「…………」

凛「…………プロデューサー」

P「…………え?」

凛「…………」

P「…………」

凛「……知りたいの?」

P「…………あ、ああ……そういう事か」

凛「何が?」

P「いや、何でも無い。忘れてくれ」


凛「それで、どうして?」

P「…………」

凛「…………」

P「……凛は、その…………すごく大切なパートナー、だから、さ」

凛「…………」

P「パートナーの事は、その、知っておきたいと、そう思ったんだ」

凛「…………」

P「…………」

凛「…………そっか」

P「ああ」

凛「じゃあ、教えてあげようかな」

P「凛」

凛「なに?」

P「何で嬉しそうなんだ?」

凛「別に」


凛「それで」

P「ああ」

凛「知りたいの?」

P「…………まぁ、な」

凛「どうして?」

P「どうして、って」

凛「…………」

P「…………そりゃ、事務所側としては把握しとい」

凛「プロデューサー」

P「ん」

凛「私、そういう嘘は大嫌い」

P「…………」

凛「…………」

P「…………ごめん、凛」

凛「うん」


P「あー、無理しなくていいからな」

凛「うん。名前はちょっと出したくない、かな」

P「分かった。……芸能関係の人、か?」

凛「芸能関係……うん、そうなるのかな」

P「そうか。同い年ぐらいの子か?」

凛「ううん、年上だよ」

P「年上か……どれくらいなんだ?」

凛「一回りも離れてないくらいだったと思う」

P「そうか」

凛「ところでプロデューサー」

P「ん?」

凛「プロデューサーって何年生まれだっけ」

P「その話、いま関係あるのか?」

凛「うん」

P「まぁいいけど……ほら、免許証」

凛「へぇ……うん、ありがとう」

P「もういいのか?」

凛「うん」

P「そうか」


P「その人、格好良いのか?」

凛「うん、すごく」

P「俳優とかか……?」

凛「ううん、どっちかっていうと目立たない方、かな」

P「……?」

凛「プロデューサー」

P「ああ」

凛「プロデューサー、学生時代って結構モテてた?」

P「その話、いま関係あるのか?」

凛「うん」

P「そうか……俺はそういう話とは縁遠かったよ、残念ながら」

凛「ふーん」

P「凛」

凛「なに?」

P「機嫌良さそうにしないでくれよ。流石にヘコむよ」

凛「ごめん」


P「ちなみに、どんな風に格好良いのか訊いてもいいか?」

凛「うーん、そうだね……」

P「…………」

凛「仲間とか、周りの人の為にすごく一生懸命になれて」

P「…………」

凛「お仕事の合間に視線をくれて、笑い掛けてくれたり」

P「…………」

凛「背筋がぴんと伸びてて、話し方もぴしっとしてて」

P「…………」

凛「評価されると、ちょっと照れたみたいに謙遜して」

P「凛」

凛「なに?」

P「何か、やけに具体的じゃないか」

凛「いつも目で追ってるからかな」

P「……そうか」

凛「うん」


凛「悩みを相談すると、子供だからって態度じゃなくて、真っ直ぐに向き合ってくれて」

P「…………」

凛「息抜きも大切だって、ちょっと良いお店に連れて行ってくれたり」

P「…………」

凛「私のミスはちゃんと叱ってくれて、でも周りからも庇ってくれて」

P「…………」

凛「お仕事が成功したら、何も言わずに拳を突き合わせてくれたり」

P「凛」

凛「なに?」

P「格好良さはよく分かったよ」

凛「そっか」

P「俺もそんな格好良い男になってみたいもんだよ」

凛「全然分かってないじゃん」

P「え?」

凛「ううん、何でも無い」

P「そうか」


P「そんなに凄いと何だか悔しくなってくるな」

凛「そうかな」

P「他にはどんな感じなんだ?」

凛「うーん…………あ」

P「何かあったか」

凛「けっこう好き嫌いがあるかな」

P「ははは、意外な弱点があったんだな」

凛「うん。あ、そうだプロデューサー」

P「ん?」

凛「今日のお弁当、ササミの紫蘇チーズ揚げ入れといたから」

P「え、俺シソ苦手なのに……」

凛「何でも食べなきゃダメだよ」

P「そうは言われてもなぁ」

凛「私のプロデューサーなんだから、格好悪いとこは直してよね」

P「頑張るよ」


凛「あ、後はお仕事に一生懸命過ぎるのも困りものかな」

P「そうなのか?」

凛「うん。ちゃんと休んだ方がいいよって言っても聞かないし」

P「意外に頑固なんだな」

凛「うん。プロデューサー、肩揉んであげる」

P「どうした急に」

凛「別に」

P「……じゃあ、お願いしてもいいか」

凛「うん……うわ、随分凝ってるね」

P「……そうか?」

凛「ちゃんと休んでよね、プロデューサー」

P「あー、おう」

凛「身体壊したら元も子も無いんだから。長めの有給でも取ったら?」

P「いや、でも今は凛も良い感じに伸びて来てる時期だしな……」

凛「…………はぁ」


P「……ちなみにさ」

凛「なに?」

P「いつ頃出会ったんだ、その人とは」

凛「二年くらい前かな」

P「俺が凛をスカウトした時ぐらいか」

凛「うん」

P「二年前からにしては随分、その……慕ってるんだな」

凛「けっこう一緒に居たからね」

P「そうなのか」

凛「うん」

P「全く気付かなかったぞ俺」

凛「そう」

P「凛は秘密を隠すのが上手いなぁ」

凛「プロデューサー」

P「ん?」

凛「そろそろ怒っていいかな」

P「どうした急に」


P「きっかけは何だったんだ?」

凛「きっかけ?」

P「ほら、仕事で一緒になったとかさ」

凛「ああ、学校帰りに声掛けられたんだ」

P「…………」

凛「……?」

P「……ナ、ナンパか……?」

凛「…………はっ?」

P「ナンパで、だったのか……?」

凛「え、ナンパだったの……?」

P「はっ?」

凛「ううん、何でも無い」


P「……ええと、具体的にはどんな感じだったんだ?」

凛「うーん……」

P「…………」

凛「……気障、だったね。すっっごく」

P「キ、キザ……?」

凛「綺麗ですね、ってお世辞から始まって」

P「…………」

凛「長い髪が素敵だとか、瞳に意志が篭もっていて良いとか」

P「…………」

凛「自分を持て余してるんなら、一緒に何かしてみないか、って」

P「……凛」

凛「なに?」

P「ごめん。何か腹立ってきた」

凛「うん。私もだよ」


P「それで、だな」

凛「ん?」

P「……その人とは、どうなりたいんだ?」

凛「…………」

P「…………」

凛「……真剣にお付き合いしたい、かな」

P「…………そうか」

凛「うん」

P「…………俺は」

凛「うん」

P「凛の気持ちを、最大限尊重したい」

凛「……うん」

P「凛」

凛「なに?」

P「アイドル、楽しいか?」

凛「うん、すっごく」

P「そうか」


P「アイドルに恋愛は御法度、って事になってる」

凛「……うん」

P「だから、その……凛」

凛「…………」

P「まずは、トップアイドルに。シンデレラに、なってほしい」

凛「……!」

P「それで、恋愛とか……交際とかさ」

凛「…………」

P「十二時の鐘の後なら、それこそ思いっ切りしてくれよ」

凛「…………分かった」

P「そうか」

凛「約束するよ」

P「ありがとう、凛」

凛「約束だからね」

P「ああ」

凛「約束だよ」

P「……? ああ、約束だ」

凛「うん」


凛「プロデューサー」

P「どうした?」

凛「…………」

P「……?」

凛「……ふふっ。やっぱり言わないでおくよ」

P「何だよ、気になるな」

凛「きっと……ううん。後で、必ず言うよ」

P「そうか」

凛「トップアイドルになったら、きっと言うから」

P「……え、そんな重要な話なのか」

凛「うん」

P「一体どんな話なんだろうな」

凛「…………」

P「凛?」

凛「……ううん。後で怒るよ」

P「えっ」

凛「トップアイドルになったら、きっと怒るから」

P「えっ?」

 ― = ― ≡ ― = ―

「…………ところでさ」

「どうした?」

「プロデューサーって好きな人とかいるの?」

「ああ」

「…………」

「…………」

「……え、あ。いる……んだ」

「ああ」

「…………」

「…………」

「……まぁ、プロデューサーだって大人だし」

「…………」

「そりゃ……好きな人の一人や二人、いるよ、ね」

「一人だけだよ」



「そっか」

「ああ」


おしまい。


http://i.imgur.com/Hq7CNgb.jpg
http://i.imgur.com/gVZ83Jt.jpg

過去作
岡崎泰葉「いえ、ダメです」 モバP「えっ」 ( 岡崎泰葉「いえ、ダメです」 モバP「えっ」 - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1442742630/) )
水木聖來「わんこのきもち」 ( 水木聖來「わんこのきもち」 - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1442025969/) )

面倒くさいあなたが好き。
デレアニが終わったら一体何を希望の光に生きてゆけばよいのだろうか


ジュエルを砕かずともMV解放出来るぐらいの腕前が欲しかったです

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