安室「……クシュン!」ウォッカ「風邪か? バーボン」 (60)

――組織のアジト・コンピュータールーム――

安室「……みたいですね」ズズッ

ウォッカ「やっぱりな……」

ウォッカ「組織の仕事だけじゃなく、喫茶店のバイトや毛利小五郎の助手までやってんだ」

ウォッカ「休みらしい休みなんざ、ほとんど取れてないんじゃねーのか?」

安室「実はそうなんです」ハハ…

安室「調べたいことが色々あって、休みの日はその調査に充ててるもので……」

安室(赤井のこと、江戸川コナンのこと、彼らと工藤家との繋がり……)

安室(謎だらけで、いくら時間があっても足りないぐらいですよ)フッ…

ウォッカ「でも、それで体を壊したら本末転倒だろ」

ウォッカ「何の仕事も無い時ぐらい、しっかり休まねーとダメじゃねーか」

安室「分かってますよ。明日のオフは、さすがに休むつもりです」

安室「今日は昼からのバイトが終わったら、何か温かいものでも食べて、すぐに寝ますから」

ウォッカ「温かいもの?」

安室「最近、急に冷えてきましたからね。スープ系のものでも適当に作るつもりです」

ウォッカ「スープ、か…………」フム

ウォッカ「バーボン。お前、スープはどんなのが好きなんだ?」

安室「そうですねぇ……冬場はやはりクリームシチューが定番ですけど」

安室「僕はクラムチャウダーの方が好きですね」

安室「野菜もたくさん入れれば、ビタミンも摂れますし」

ウォッカ「なるほど……」

安室「おっと、もうこんな時間か。すみませんが、僕はこれで」

ウォッカ「おう。仕事熱心なのも良いが、ちゃんと身体も労れよ」

安室「はい。では、失礼します」

パタン…


~10分経過~

ウォッカ(クラムチャウダーか……俺もわりと好きなんだよなぁ)

ウォッカ(……本当なら、ジンの兄貴に頼みてーけど)

ウォッカ(ハロウィンの一件以降、あんまりメシ作ってくれなくなっちまったし)ウーム…

テコリンッ☆

ウォッカ「…………そうだ! 俺一人で作れそうなレシピを探せば良いんだ!」

ウォッカ(バーボンが戻ってくる気配は無ぇな…………よし!)

ウォッカ「じゃあ早速、クラムチャウダーのレシピを検索……と」カタカタ

ウォッカ「へぇ~。結構色んなバリエーションがありやがる」

ウォッカ「『簡単』はともかく、『濃厚』ってタグが付いてるレシピが多いな……」

ウォッカ「風邪気味の奴には、もう少しあっさり目の方が…………」カチ、カチ

ウォッカ「お! これ、良いじゃねーか」カチ

ウォッカ「あっさり目で、野菜たっぷり……条件ピッタリだぜ!」

ウォッカ「よーし。材料と作り方をプリントアウトして……」カチカチ

ガーッ…ピラッ

ウォッカ「そんじゃ、兄貴に報告書を渡して、買い物に行くか!」ガタン

スタスタ…バタン!!

――組織のアジト・廊下――

ウォッカ「あ、兄貴!」

ジン「おう。仕事は終わったのか?」

ウォッカ「へい。今回の報告書ですぜ」スッ

ジン「ご苦労だったな」

ウォッカ「じゃあ俺、ちょっと野暮用がありやすんで」

ジン「あぁ?」

ウォッカ「急いでるんで、失礼しやす!」

タタタタ…

ジン「………………」

ジン(何だ? ウォッカの奴……)

――コンピュータールーム――

ガチャ

ジン「ん? ……チッ。ウォッカめ、パソコンの電源ぐらい切ってから行きやがれ」

ジン(しかも画面を開いたままじゃねーか……あいつ、一体何を見てたんだ?)カチ

ジン(クラムチャウダーのレシピ…………?)

ジン(――――そういや最近、バーボンが調子悪そうだったな……)

ジン「フン……それならそうと言えば良いだろうに」カチ

ジン(とりあえずパソコンをシャットダウンして、と……)カチ、カチ

ウィィィン…プツッ

ジン「さて……行くか」

スタスタ…バタン!!

ちょいと切ります
続きは後ほど…

――某イオン――

ウォッカ(一人でここへ買い物に来るのも、久々だな)

ウォッカ(とりあえず、こいつをチャージして……)ワオンッ!

ウォッカ「買い物カゴは一つで良いか……」ヒョイ

ジン「おい」

ウォッカ「えっ……あ、兄貴!? どうしてここに?」

ジン「何を言ってる。パソコンをそのままにして出て行ったのはお前だろうが」

ウォッカ「あ…………すいやせん。電源切るの、すっかり忘れてやしたぜ」

ジン「それはそうと、ウォッカ」

ジン「クラムチャウダーの他に何を作るか、ちゃんと決めてあるんだろうな?」

ウォッカ「へ? い、いえ……あれをメインにしようと思ってたんですけど」

ウォッカ「ダメなんですかい?」

ジン「……あれはメインにすることもできるメニューだが、あくまでスープだ」

ジン「特に男には、おかずがあれだけだと物足りねぇって奴も多い」

ウォッカ「……確かに」

ウォッカ「俺も晩飯のおかずがクラムチャウダーだけだと、足りないですね」

ジン「だろ?」

ジン「魚介や野菜はスープに入ってるから、肉系のをメインに持ってくると良いぞ」

ジン「あとは副菜で彩りを添えるようなもんをチョイスすりゃあ、完璧だ」

ウォッカ「メインに肉、ですかい……」

ウォッカ「バーボンの体調を考えると、あまり重いメニューにはしたくねぇんですが……」

ジン「心配するな。風邪気味の奴でも問題無く食える肉料理を、俺が教えてやる」

ウォッカ「本当ですかい!? やった!!」ワーイ♪

ジン「とにかく買い物だ。行くぞ」

ウォッカ「へ、へい!」

ジン「……と、その前に俺もチャージだ」ワオンッ!

ウォッカ(さすが兄貴、抜け目ねぇ……)

ジン「よし。いつものように、野菜コーナーからだ。付いてこい」

ウォッカ「へい、兄貴!」

―― 野菜・果物コーナー ――

ジン「まずはクラムチャウダー用の玉ネギ、ニンジン、ジャガイモだな」ポイポイ

ジン「ウォッカ。向こうの棚からトマトを2個選んでこい。ついでにレモンも1個だ」

ウォッカ「へい!」タタッ

ジン「それと長ネギにショウガ、セロリ、バジル……」ヒョイ

ジン「あとは……そうだな。キャベツをスープに入れてみるか」

ジン「キャベツは大きさに対して重く、形の良いものを選ぶと良い」

ジン「今の時期に出回ってるのは冬キャベツだから、葉が固く、煮崩れしにくい」

ジン「煮込み料理には最適なタイプだ」

ジン「……フン。こいつが良いな」ポン

…タタタ

ウォッカ「兄貴~! トマトとレモン、持ってきやしたぜ」

ジン「おう、カゴに入れとけ。次に行くぞ」

ウォッカ「了解です!」

―― 鮮魚コーナー ――

ウォッカ「兄貴。俺、アサリを選んできやすんで」イソイソ

ジン「……待て、ウォッカ」

ウォッカ「はい?」ピタ

ジン「さっきお前が調べていたレシピは、アサリの水煮缶を使うやつだったはずだ」

ウォッカ「そうですけど……せっかくですし、こっちのアサリを使った方が良いんじゃ」

ジン「いや。殻付きのアサリを使うと、身をむく作業をしなきゃならねー」

ジン「もちろん殻付きのままのアサリを入れるレシピもあるが……」

ジン「それだと、食う時に殻を外す手間がかかるだろう?」

ジン「それに貝類ってのは、殻の大きさは揃ってても」

ジン「身の大きさはまちまちなことも多いからな」

ジン「必要な分量の身が確保できるとは限らねぇ」

ジン「ましてお前は初めて作るんだ。レシピ通りのものを揃えた方が無難だぞ」

ウォッカ「へ、へい……」

ジン「そう落ち込むな」

ジン「万が一失敗しちまったら、せっかくの料理をバーボンに食わせられなくなっちまうだろ?」

ジン「ある程度作り慣れてから、殻付きのアサリを入れるレシピに切り替えれば良いさ」

ウォッカ「……そうっすね。俺、頑張りますぜ!」ムン!

ジン「よし。今度は、肉を選びに行くぞ」スタスタ


―― 乾物コーナー ――

…タタタタ

青子「ちょっと、快斗~!」

青子「自分から買い物に付いてくるって言ったくせに、何で青子を置いてくのよ!?」

快斗「今日が海産物の特売日だったなんて、知らなかったんだよっ!!」ゼェハァ

―― 精肉コーナー ――

ジン「今回のメインには、鶏もも肉を使う」

ウォッカ「わりと脂肪分も多い部位ですけど、本当に大丈夫なんですかい?」

ジン「あぁ」

ウォッカ「じゃあ…………こいつにしやすか。キレイな色合いですし」ヒョイ

ジン「ほう。名古屋コーチンじゃねぇか」

ジン「他のより割高だが、たまにはプチ贅沢も良いだろ」フッ

ジン「あとは細々したもんを揃えるだけだな」

ジン「ウォッカ、牛乳を取ってきてくれ」

ジン「俺はあちこち見て回った後、缶詰めコーナーに行く」

ウォッカ「分かりやした!」

タタタ…

ジン(大体の調味料はまだストックがあるが……ごま油が無くなってたな)ヒョイ

ジン(塩麹と白いりごまも追加しとけば、大丈夫だ)ポイポイ

ジン(パンはバゲットと、柔らかめのやつも用意しとくか)

―― 缶詰めコーナー ――

ジン(最近は、本当に色んな種類の缶詰めが出てやがる……)

ジン(ほう。『缶つま』シリーズの新商品か……今度試しに使ってみるとしよう)

ジン(アサリの水煮缶は……こいつだな)スッ

ウォッカ「兄貴、牛乳持ってきやした」

ジン「よし。レジに行くぞ」

――レジ――

店員(女)「お次のお客様、どうぞー♪」

店員(女)「エコバッグはお持ちですか?」

ウォッカ「あ……いけね」

ジン「こいつに入れてくれ」スッ

店員(女)「はーい♪」

ウォッカ(さ、さすが兄貴……!)

ピッピッピッ…ピピッ

店員(女)「5042円のお買い上げでーす♪」

ウォッカ「あ、支払いは……」

ジン「こいつで頼む」スッ

店員(女)「はい♪」

ワオンッ!!

店員(女)「ありがとうございましたー♪」

ウォッカ(……今回は俺が払おうと思ったのに。財布すら出させてもらえなかった……)


ガコ…ウィィィン

ジン「バーボンのバイトは何時に終わるんだ?」

ウォッカ「今日は確か、6時前には終わるって言ってやしたぜ」

ジン「そうか……なら、キッチンに午後5時集合だ。遅れるなよ」

ウォッカ「へい、兄貴!」

――午後5時・組織のアジト・キッチン――

ウォッカ「手も洗ったし、エプロンも着けたし、準備万端ですぜ!」

ジン「……よし。まずは下ごしらえだ。耐熱性の広めの皿に、鶏肉を広げろ」

ウォッカ「へい!」

ジン「肉全体に塩をふって、室温で30分ほど置いておくんだ」

ジン「埃が付かないようにラップをかけとけよ」

ウォッカ「了解です!」ピッ

ジン「……そんじゃ、ここからが本番だ」

ジン「いつものように、冷たい方が美味い物から作っていくぞ」

【トマトとバジルの塩麹マリネ】
トマト:2個
セロリ:1/4本
バジル:5~6枚
レモン汁:1/2個分
塩麹:大さじ1~2杯


ジン「ウォッカ。トマトはヘタを取って8等分にしろ」

ウォッカ「へい!」ストンストン

ジン「セロリはみじん切り、バジルはざく切りだ」トトトトトト

ジン「レモン汁を絞ったら……」ギュウギュウ

ジン「全ての材料をタッパーに入れて、混ぜ合わせ」

ジン「冷蔵庫で20分ほど置けば完成だ」

ガチャ…バタン!!

ウォッカ「え……それだけですかい?」

ジン「あぁ。パッと作れる一品だ。酒のつまみとしても重宝するぞ」

ジン「次に作るのは、クラムチャウダーだ」

【クラムチャウダー(4人分)】
玉ネギ:1個
ニンジン:1/2本
ジャガイモ:3~4個
キャベツ:3~4枚
アサリの水煮缶:150g
小麦粉:大さじ3杯
牛乳:250ml
水:500ml
塩・コショウ:各小さじ1杯
バター:10g


ジン「まず、全ての野菜を1cm角に切る」

ジン「最初に切るのは玉ネギだ」トントントントン

ウォッカ「切ったやつを、レンジでチンするんですね?」

ジン「あぁ。その間に他の野菜を切ってしまえば、時間を無駄にしなくて済む」

ジン「ウォッカ、耐熱皿とラップを寄越せ」

ウォッカ「へい!」

ジン「よし……500Wのレンジで4~5分温める」ピッ…

ピッピッ…ウィィィン

ウォッカ「兄貴、俺はニンジンとキャベツを切っておきやす!」トントントントン

ジン「あぁ。……あと残ってるのは、ジャガイモだな」トントントン


~5分経過~

ピロリロリロリーン♪

ウォッカ「お。……こっちも丁度、切り終わりやしたね」

ジン「グッドタイミングだな」

ジン「深めの鍋でバターを熱し」ジュー…

ジン「玉ネギを入れて、1~2分ほど炒める。焦がさないように注意するんだ」ザラザラ…ザッザッ


~1分経過~

ウォッカ「玉ネギが透き通って、良い具合になってきやしたね」

ジン「ウォッカ。小麦粉を2~3回に分けて、玉ネギに振りかけろ」

ジン「その方がダマになりにくい」

ウォッカ「了解です!」サッサッ

マゼマゼ…サッサッ

ジン「よし……お前はアサリの水煮缶を、汁と身に分けておけ」

ウォッカ「分かりやした!」

ジン「その間に他の野菜を入れて、混ぜながら炒める」ザラザラ…ザッザッ

ウォッカ「兄貴、アサリの身を入れても良いですかい?」

ジン「いや。先に、汁の方を寄越せ」

ウォッカ「へい!」サッ

ジン「鍋にアサリの汁と水を加えて、15~20分ほど煮込む」ジャー…

ジン「材料にかぶるぐらいまでに水が足りない場合は、足してやると良い」コトコトコト

ウォッカ「ニンジンやジャガイモが入ってるから、結構アクが出てきやすね」

ジン「あぁ。こまめにアクを取り除きながら、じっくり煮込むのがコツだ」


~20分後~

ウォッカ「おぉ~。良い感じですぜ」コトコト

ジン「ここに牛乳とアサリの身を加えて」ジャー…ザラザラ

ジン「塩・コショウで味を調え」サッサッ

ジン「一煮立ちさせれば……完成だ」コトコト

ウォッカ「……これ、もう見ただけで美味いって分かりやすぜ」ゴクリ

ジン「まぁ待て。まだメインが残ってるだろうが」

ウォッカ(うぅ~……腹減った)グゥゥ…

【蒸し鶏(4人分)】
鶏もも肉:2枚
長ネギ・ショウガ:各適量
塩:大さじ1/2杯
酒:大さじ2杯
合わせ調味料:長ネギ…1/2本、ごま油…大さじ2杯、塩…小さじ1.5杯
       コショウ・白いりごま…各適量


ジン「こいつは電子レンジを使うと、簡単に作ることができる」

ジン「ちと冷ます時間が要るが、スープは温め直せるから問題無い」

ジン「ウォッカ。タレに使う長ネギをみじん切りにしろ」

ウォッカ「へい!」トントントントントン

ジン「その間に、先程のラップを一旦外して……」ピッ

ジン「まずは肉の形を平たく整え、大さじ1杯の酒を回しかける」ササッ

ジン「長ネギの残りとショウガを、適当な大きさに切り」ストンストン

ジン「肉の上に乗せてから……」チョイチョイ

ジン「大さじ1杯の酒をかけて、フンワリとラップを掛ける」ササッ…ピッ

ジン「このまま電子レンジで3分加熱だ」

ピッピッ…ウィィィン

ウォッカ「兄貴、ネギのみじん切りはできてやすぜ」

ジン「あぁ、助かる。そっちの小さめのボウルに入れといてくれ」

ウォッカ「分かりやした!」ザラザラ


~3分経過~

ピロリロリロリーン♪

ジン「取り出した肉を裏返して」ヒョイ

ジン「更に電子レンジで3~4分加熱する。時間は火の通り具合を見ながら調整しろ」ピッピッ

ウィィィン…

~3分経過~

ピロリロリロリーン♪

ジン「加熱が終わったら、皿を取り出し、しばらく置いておく」カタン

ジン「粗熱を取る間に、タレ作りだ」

ジン「タレは、ボウルに入れた合わせ調味料の材料と」

ジン「耐熱皿の蒸し鶏の煮汁を混ぜ合わせるだけで良い」ジャー…カシャカシャカシャ

ウォッカ「はぁ~……これも簡単にできるんですね」

ジン「触れるぐらいに肉が冷めたら、皿から出して1.5cmほどの幅に切り」スッスッ

ジン「盛りつける」チョイチョイ

ジン「あとはタレを鶏の上にかけてやれば……出来上がりだ」

ウォッカ「おぉ~、これも美味そう!」

ジン「……そろそろバーボンが帰ってくるな。ウォッカ、食器を出せ」

ジン「俺は他のメニューを盛りつける」

ウォッカ「へい!」

――午後6時過ぎ・組織のアジト・廊下――

安室(うぅ~……今夜も冷えるな)ブル…

安室(帰って料理をするのが、億劫になりそうだ……)

安室(ん? この匂いは……?)クンクン

――組織のアジト・ダイニング――

ガチャ

安室「……ウォッカ!? それにジンも……」

ジン「よぉ、バーボン」

ウォッカ「バイト、お疲れさん」

安室「あの……この料理は、一体……」

ウォッカ「あぁ……蒸し鶏にトマトとバジルの塩麹マリネ、それにクラムチャウダーだ」

ウォッカ「これ、お前も好きだって言ってたし、一緒に食おうかと思ってよ」

安室「え…………」パチクリ

ジン「さっさと座れ。冷める前に食っちまうぞ」

安室「は、はい……」カタン

安室(僕の体調を考えて、胃腸への負担が少ない献立にしてくれたのか……)

安室(どうやら二人には、気を遣わせてしまったようですね)

安室(……でも、素直にありがたいと思える。本当に、不思議な組織だ……)フッ

安室「……頂きます」

パク…モグモグモグ

ウォッカ「どうだ?」

安室「美味しいですよ。野菜の旨みがスープに溶け出していて……身体が温まります」

安室「濃厚すぎないスープが、丁度良いですね」


パク

安室「うん……鶏も柔らかいし、ネギソースでサッパリ食べられますよ」モグモグ

ウォッカ「そっか、良かった」ホッ

ジン「そんじゃ、俺達も食うとするか」

ウォッカ「頂きまーす!」


~1時間後~

安室「ごちそうさまでした。二人とも、ありがとうございます」

ウォッカ「良いってことよ」

ジン「礼を言うより先に、とっとと風邪を治すんだな」フン

ウォッカ(兄貴、相変わらず素直じゃねぇなぁ……)クス

ジン「……何を笑ってやがる」ジロッ

ウォッカ「いえ、別に」

ジン「バーボン。残りのチャウダーは、ここの冷蔵庫に入れてあるからな」

ジン「明日の昼飯にでも食っとけよ」

安室「何から何まで……本当に感謝します」

ウォッカ「片付けはやっとくから。今夜はゆっくり寝て、体力回復に努めろよ」

安室「……はい。ではお言葉に甘えて、お先に失礼します。おやすみなさい」

ウォッカ「おぅ」

パタン…

ジン「……さて。片付けたら、俺達も帰るか」

ウォッカ「そうっすね」

ジャー…ゴシゴシ、キュッキュッ

――翌日・組織のアジト・廊下――

ウォッカ「ふあぁぁ……眠ぃ~」

ウォッカ(昨夜はゲームをやりこんでたら、うっかり午前2時を過ぎちまってたぜ)

ウォッカ(仕事の前に、濃いめのコーヒーでも飲んで目を覚ますか……)

シラナイワヨ!! ウソツクンジャネェ!

ウォッカ「ん? ……何だ?」

――組織のアジト・ダイニング――

ベルモット「私は一昨日の夕方から、警視庁へ潜入に行ってて」

ベルモット「さっき戻ってきたばっかりなのよ!?」

ベルモット「なのに、どうやってクラムチャウダーを盗み食いできるって言うのよ!!」

ジン「うるせぇ、お前ぐらいしかやりそうな奴はいねーだろうが!」

ベルモット「だーかーらー! 貴方が昨夜そんなもの作ってたなんて」

ベルモット「今さっき聞いたばかりだって、何度言わせるつもり!?」



ウォッカ「兄貴と、ベルモットの姐御……?」

キャンティ「おや、ウォッカ」

コルン「……よぉ」

安室「おはようございます。昨日はどうも」

ウォッカ「あ、あぁ…………何なんだ、あれ?」

キャンティ「見ての通りさ」ケッ

安室「実は……今朝、僕が冷蔵庫のクラムチャウダーを取りに来たら」

安室「全部食べられて、空の容器だけが残されてまして……」シュン…

ウォッカ「えぇっ!?」ギョッ

ウォッカ「……なるほど。ジンの兄貴は、姐御が食ったんじゃないかって思って……」

キャンティ「そーゆーこと」

ジン「いい加減、素直に吐いたらどうだ!?」

ベルモット「やってもいないことを何で認めなきゃいけないのよ!」

ギャアギャア



安室「やれやれ……こういう時って、日頃の行いが物を言うんですよね」ハァ…

ウォッカ「ま、姐御は前科あるからな……」

キャンティ「最近の任務も鼻につく行動が多かったしねぇ。いい気味だよ」フン

コルン「………………」

キャンティ「ん? どうしたんだい、コルン」

コルン「……何でもない」

コルン(あれを食っちまったの、実は俺なんだけど…………黙っとこう)



ベルモット「本当に私じゃないったら! 信じてよ――――――っ!!」



【おわり】

以上で完結です
ここまでお付き合い頂きましてありがとうございました
お料理ネタは唐突に降ってくるので、そのうちまた出没すると思います…

クラムチャウダーの味付けですが
お好みでコンソメを入れて頂いても良いかと
その他、具材を変えてみるなど、皆さんそれぞれにアレンジしてみて下さい

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