ジン「何をしている?」ウォッカ「魚料理のレシピを調べてやして」カタカタ (47)

ジン「魚料理だと?」

ウォッカ「へい。北海道から帰ったら、バーボンのヤケ酒につきあってやろうって言ってたじゃないですか」

ジン「あぁ……そうだったな」

ジン「だが奴は、店の方が随分と忙しいようだったぞ」

ウォッカ「へい。兄貴が教えたオレンジのケーキがすげぇ好評で」

ウォッカ「自分も他のスタッフも、ゴールデンウィークまで休みが取れないって言ってやしたぜ」

ジン「……フン」

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ウォッカ「まぁ、一晩中飲み明かすのは無理でも」

ウォッカ「一緒に晩飯を食うぐらいなら、何とかなるんじゃねーかと思いやしてね」

ジン「なるほどな。バーボンは肉より魚が好きだから、魚料理を調べてたのか」

ウォッカ「へい。でも……」フゥ…

ジン「ん? 何か問題でもあるのか?」

ウォッカ「美味そうなメニューを見つけては、こうやってレシピを調べてるんですけどね」カタカタ

ウォッカ「俺の料理の腕じゃ、作れる自信が無いやつばっかりで……」

ジン「そうか? 見た目は豪華だが、作り方は簡単な魚料理も多いぞ」

ウォッカ「え、本当ですかい!?」

ジン「あぁ。アクアパッツァなんて、その代表だ」

ウォッカ「アクアパッツァ……?」

ジン「魚介類をトマトやオリーブオイルなんかと一緒に煮込んだ、カンパニア州の料理だ」

ウォッカ「カンパニア州……って、どこでしたっけ?」

ジン「イタリアのナポリがある州と言えば分かるか?」

ウォッカ「あぁ、あの辺ですかい」

ジン「元々は漁師が船上で調理していた、南イタリアの漁師メシみてーなもんだからな」

ジン「作り方はとても単純だぞ」

ウォッカ「はぁ……」

ジン「と言っても、メイン一品だけじゃあ寂しい食卓になっちまうな」

ジン「ウォッカ。何か他に食いたいものはあるか?」

ウォッカ「そうですねぇ……」

ウォッカ「イタ飯なら、やっぱりパスタがあると良いんじゃねぇかと思いやすけど」

ジン「フン……後はサラダとデザートでもあれば完璧だな」

ジン「せっかくだし、コルンも呼ぶか。四人分の方が作りやすい」

ウォッカ「お。それって女子会ならぬ、男子会ってやつですね!」

ジン「今夜七時にダイニングに来いと、あいつらにメールしとけ」

ウォッカ「へい!」ポチポチポチ

ピッ

ウォッカ「送信しやしたぜ、兄貴!」

ジン「よし。材料を買いに行くぞ。付いてこい」

ウォッカ「了解です!」

――某イオン――

ウォッカ「今日も混んでますねぇ」

ジン「ここはシネコンも併設されてるからな」

ジン「ちなみに4月18日からは『名探偵コナン 業火の向日葵』も公開される予定だ」

ウォッカ「SSでもしっかり映画のPRなんて、さすがですぜ! 兄貴!」

ジン「来年の映画は俺やバーボンも出るんだ。宣伝しといて損はないだろ」

ウォッカ「……俺も出番ありますかね?」

ジン「さぁな。それより買い物だ。カゴを持て」

ウォッカ「へい!」

―― 野菜・果物コーナー ――

ジン「サラダはシンプルに、レタス、キュウリ、玉ネギだけで作るやつにするか」

ウォッカ「レタスは中玉でしたね、兄貴!」

ジン「あぁ。キュウリは色が濃く、張りがあってヘタの切り口が新鮮なものを選べ」

ウォッカ「へい」ヒョイ

ジン「玉ネギは皮の色が濃くてツヤがあり、重みのあるやつが良い」

ウォッカ「じゃあ、こいつですね!」ポイ

ジン「ついでにアクアパッツァ用のプチトマトも追加だ」

ウォッカ「この小さめのパックで良いですかい?」

ジン「あぁ、十分だ」

ジン「それと、今回のメニューで必需品なのはニンニクだな」

ジン「こいつみたいに、外側の皮がしっかりと重なっていて、白くふっくらしたものが良い」スッ

ウォッカ「兄貴、パスタ用の野菜は良いんですかい?」

ジン「シメジとエノキを1パックずつ取ってくれ。それと、しそも1束追加だ」

ウォッカ「へい」

ジン「後はデザート用に何か……そうだな、そこのイチゴを使うか」

ジン「ムースにでもすりゃあ、口直しにちょうど良いだろ」

ウォッカ「野菜はこれでOKですかい?」

ジン「おう。次に行くぞ」

―― 鮮魚コーナー ――

ウォッカ「お、桜鯛のセールをやってるみてぇですね」

ジン「まぁ旬の時期だしな。こいつをメインに使うか」

ウォッカ「この一匹丸々のにするんですかい?」

ジン「いや、今回は捌いてる時間が無ぇからな。切り身を使う」

ウォッカ「へい。どれにしやすか?」

ジン「鯛の切り身は、透明感があるのが良い」

ジン「パックの中に血や水が溜まってるのは、時間が経ってる証拠だからNGだ」

ウォッカ「じゃあ、こいつなんてどうです?」ヒョイ

ジン「あぁ、それにするか。お前もだいぶ良いのを見分けられるようになってきたじゃねーか」

ウォッカ「いやぁ……俺なんて兄貴に比べたらまだまだですぜ」テヘヘ

ウォッカ「後はどんなものを?」

ジン「アクアパッツァの具として定番なのは、エビやアサリ、イカだな」

ジン「しかし、ここのイカは今一つ良いものが無ぇ。エビとアサリだけにするか」ポイポイ

ジン「今回は手間を省くために、アサリは砂抜き済みのやつをチョイスだ」

ジン「次は細々としたもんを揃えにいくか」

ウォッカ「へい!」



青子「かーいと、見て見て! この桜鯛の活け作り、特別価格で1パック1498円だって。美味しそうだよ~♪」

快斗「やめろ、アホ子! こっちに持って来んな――――っ!!」ヒィィィ

―― 酒コーナー ――

ウォッカ「兄貴、ここでは何を……?」

ジン「ワインだ。アクアパッツァには、白ワインを使うからな」

ウォッカ「日本酒みてぇに、ワインにも料理用のやつがあるんですかい?」

ジン「あるにはあるが、俺は好きじゃねぇ。普通に飲むワインを使った方が美味い」

ジン「ワインは料理に使うだけで飲まねーって場合は、180~300mlの小さめの瓶を買うと良いぞ」

ジン「蓋もコルクじゃなく、ペットボトルのようなスクリューキャップのも結構出回ってるからな」

ジン「保存に困ることはまず無いはずだ」

ウォッカ「へぇ~……こんな小さなサイズのワイン、初めて見やしたぜ」シゲシゲ

ジン「ワインを選ぶ時、一つ注意することがある。ラベルの部分を見てみろ」

ウォッカ「ラベルですかい?」

ジン「甘口か辛口かって、区分を書いてあるだろ」

ウォッカ「えーと……あ、コレですね」

ジン「料理に使う白ワインは、辛口の方が良い。その方がスッキリした味わいになるんだ」

ウォッカ「そうなんですかい。初めて知りやしたぜ!」フムフム

ジン「……フン。チリ産で中々良いのが入ってるな。こいつにするか」

ジン「ウォッカ。乳製品のコーナーに行って、牛乳と生クリームを取ってきてくれ」

ジン「俺はあちこち回って、他に必要なものを仕入れておく」

ウォッカ「へい!」

タタタ…

ジン(さて……オリーブオイルやラム酒は前のが残っていたはずだが)

ジン(ムース用のゼラチンは仕入れておかねぇとな)ポイ

ジン(パスタは1.6mmのスパゲッティを使うか)ガサ

ジン(ローリエとタイムも、この少量パックで十分だ)ヒョイ

ジン(後は……そうだな、バゲットでも買っていってやるか)

ジン(残ったスープに浸して食うのも美味いからな)イソイソ

…タタタ

ウォッカ「兄貴、ありやしたぜ!」

ジン「フン。会計に行くぞ」



歩美「ねぇ、お母さん。あのおじさん達、また来てる……」

歩美母「シッ、見ちゃダメって言ってるでしょ!」

――レジ――

店員「エコバッグはお持ちですか?」

ジン「あぁ。頼む」スッ

店員「はーい♪」

ピッピッピッピッ…ピピッ

店員「5613円でーす♪」

ジン「支払いはこいつだ」

店員「はい♪」

ワオンッ!

店員「ありがとうございましたー♪」



ジン「帰ったら、また手伝えよ」

ウォッカ「へい!」

ガコ…ウィィィィン

――組織のアジト・キッチン――

ウォッカ「兄貴。手も洗いやしたし、準備万端ですぜ!」

ジン「あぁ」

ウォッカ「まずはメインのアクアパッツァからですね!」

ウォッカ「えーっと、鯛はこっちの袋に……」ガサガサ

ジン「待て、ウォッカ」

ウォッカ「へい、何ですかい?」

ジン「料理を作るには段取りってもんがあるんだ。そいつを無視するんじゃねぇ」

ウォッカ「え? ……普通、メインディッシュから作り始めるんじゃないんですかい?」

ジン「違うから言ってんだろうが」ハァ…

ジン「料理ってのはな、冷たいものは冷たく、温かいものは温かく食べられるように提供するのが基本だ」

ジン「つまり、冷たくした方が美味いものや、冷めても問題ないやつから作り始めるんだ」

ウォッカ「は、はぁ……」

ジン「ウォッカ。今回のメニューで冷たい方が美味いのは何だ?」

ウォッカ「グリーンサラダと、デザートのムース……ですかい?」

ジン「そうだ。特にムースは、冷蔵庫に入れて冷やす時間が必要だからな」

ジン「一番初めに、ムースを作るのが正解ってわけだ」

ジン「その次にサラダを作って、それからメインの二品を作る」

ジン「こうすれば、出来たて熱々のアクアパッツァとパスタに」

ジン「しっかり固まった、冷たいムースを堪能できるのさ」

ウォッカ「な……なるほど!」

ジン「初心者向けの料理の指南書じゃあ、よく『献立を決めてから作れ』と書かれてるが」

ジン「それは作る順番を決め、効率よく調理を進めるためだ」

ジン「さっきので、その意味が分かっただろう?」

ウォッカ「へい! 勉強になりやす!」

ジン「よし、まずはムースから取りかかるぞ。イチゴを出せ」

ウォッカ「分かりやした!」ガサ

【イチゴのムース(4個分)】
イチゴ:1パック
牛乳:100ml
生クリーム:100ml
粉ゼラチン:5g
水:大さじ2杯
グラニュー糖:30g
レモン汁:小さじ1杯
ラム酒:小さじ1杯
カステラ:適量
ミントの葉:適量


ジン「イチゴは飾り用に4つ取り、残りはボウルに入れてフォークで潰せ」

ウォッカ「了解です!」グニグニグニグニ

ジン「良い具合に潰せたら、そこへ牛乳を加えて、よーく混ぜろ」

ウォッカ「へい、兄貴!」グニグニ…ジャー…カシャカシャ

ジン「さて……その間に、粉ゼラチンと水を合わせておく」サラサラ

ジン「カステラは7~8mmの厚さに切っておき、生クリームは6~7分立てにする」スッスッ…カシャカシャカシャ

ウォッカ「兄貴。6~7分立てって、どんな状態のことなんですかい?」

ジン「こうやって泡立て器を持ち上げた時、クリームがリボン状になるぐらいだ」トローリ

ジン「潰したイチゴの1/3の量を小鍋に入れて、グラニュー糖を加えて煮溶かす」コトコトコト

ジン「火を止めて、水と合わせておいたゼラチンを加えて溶かし」サッ…カシャカシャ

ジン「残りのイチゴが入ったボウルに入れる」ザー…カシャカシャカシャ

ジン「レモン汁とラム酒を加え、氷水にあてて、時々混ぜながらとろみがつくまで冷やす」

ジン「次に生クリームを入れるが、一気に入れるのはダメだ。最初に少しだけ混ぜろ」

ウォッカ「こ、こうですかい?」トローリ…カシャカシャ

ジン「そうだ。馴染んできたら、残りの生クリームも加えて混ぜ合わせるんだ」

ウォッカ「へい!」カシャカシャカシャ

ジン「後は人数分の器の底に、カステラを敷き詰めて」ポンポン

ジン「生地を均等に流し入れ、冷蔵庫で冷やして固めれば良い」トローリ…ガチャ、パタン

ジン「次は、グリーンサラダだ」


【グリーンサラダ(4人分)】
レタス:1玉
キュウリ:1本
玉ネギ:1/2個


ジン「ウォッカ。レタスを一口大にちぎれ」

ウォッカ「へい!」バリバリ

ジン「キュウリと玉ネギはできるだけ薄切りにする」トントントントン

ジン「包丁が面倒なら、スライサーを使っても構わねーぞ」

ジン「切り終わったら、ちぎったレタスと一緒に10分ほど冷水に浸ける」

ウォッカ「キッチンタイマー、スタートしやす!」ピコ♪

ジン「さて。それを待つ間に、魚介類の下ごしらえだ」

ジン「ウォッカ、お前はパスタに使うニンニクをみじん切りにしておけ」

ジン「それとキノコの石突きを取って、しそを刻むんだ」

ウォッカ「へい!」トトトトト

【鯛のアクアパッツァ(4人分)】
鯛の切り身:4切れ
塩:小さじ0.3杯
コショウ:少々
アサリ:300g
エビ:4尾
ニンニク:1片
プチトマト:8個
オリーブオイル:大さじ2杯
白ワイン:50ml
合わせ調味料:水…200ml、塩…小さじ0.5杯、ローリエ1枚、
        タイム1枝、コショウ…少々


ジン「鯛に塩とコショウをまぶし、アサリは貝殻同士を擦り合わせてよく洗う」シャカシャカ

ジン「エビは殻をむき、あらかじめ背わたを取っておく」スッスッ

ジン「こうすると、ジャリッとした嫌な感触が無くなるんだ」

ジン「ニンニクは半分に切って、プチトマトはへたを取り除く」

ピピピピッピピピピッ…

ウォッカ「お、10分経った!」

ジン「ウォッカ。野菜をざるにあけて、水気を完全に切るんだ」

ウォッカ「へい!」ザバー

ジン「フライパンにオリーブオイルを大さじ1杯とニンニクを入れて、中火に掛ける」

カチ、チチチ…ボッ

ジン「香りが出てきたら、鯛を入れて両面をこんがりと焼く」ジュー

ジン「焼き色が付いたら、アサリ、エビ、プチトマト、白ワインを入れて……」ザラザラ

ジン「煮立ったら、合わせ調味料を加えて蓋をする」ジャー…カポ

ジン「このまま中火で10分だ」コトコト

ウォッカ「そ、それだけで良いんですかい?」

ジン「あぁ、後は仕上げにオリーブオイルを掛けるだけだ。簡単だろ?」

ウォッカ「へい。マジでそんなシンプルな作り方だったなんて……」

ジン「フッ……まぁそう落ち込むな。まだパスタが残ってるぞ」

【キノコの和風スパゲッティ(2人分)】
スパゲッティ(1.6mm):160g
ニンニク:1/2片
シメジ、エノキ:各1パック
オリーブオイル:大さじ1杯
ちりめんじゃこ:大さじ3杯
塩、コショウ:各少々
しょう油:小さじ2杯
しそ:6枚分
七味唐辛子:適量
 ☆麺を茹でる用
  水:400ml
  オリーブオイル:小さじ2杯
  塩:小さじ0.3杯


ウォッカ「パスタは2人分で良いんですかい?」

ジン「あぁ。バゲットもあるからな」

ジン「さっきとは別のフライパンで、オリーブオイルを熱し」サッ

ジン「ニンニク、ちりめんじゃこを入れて、カリカリになるまで中火で炒める」ジュー

ジン「ウォッカ。キノコを入れて、塩とコショウを振れ」

ウォッカ「へい!」ザラザラ…サッサッ

ジン「キノコに火が通ったら、一旦皿に取り出しておく」ヒョイ

ジン「次にフライパンに水とオリーブオイル、塩を入れて煮立たせる」ジャー…

ジン「水と一緒にオリーブオイルを入れるのは、麺がくっつくのを防ぐためだ」

ウォッカ「おぉ~。フライパンだと温まるのが早いですね」グツグツグツ

ジン「沸騰したら、半分に折ったスパゲッティを入れて蓋をする」ザラザラ…カポ

ジン「もう一度煮立ったら弱火にして、時々混ぜながら5分ほど茹でる」

ウォッカ「よし、キッチンタイマーをセット……と」ピコ♪

~5分経過~

ピピピピッピピピピッ…

ジン「よし、良い具合だ。蓋を取ったら強火にして、混ぜながら水気を飛ばす」ザッザッ

ジン「香り付けにしょう油を加えたら……」ジャー

ジン「ウォッカ。さっき皿に移した具材を、ここに戻せ」

ウォッカ「へい!」ザラザラ

ジン「麺全体に具が絡むように、手際よくサッと混ぜる」

ジン「皿に盛りつけて、しそを散らし、七味唐辛子を振ってやれば……完成だ」パッパッ

ウォッカ「おぉぉ~! 早く食いてぇ!」

ジン「まぁ焦るな、ウォッカ。アクアパッツァの火を止めろ」

ウォッカ「へい! ……うわぁ、こっちも良い匂いですぜ!」カチ

ジン「盛りつけは俺がやる。お前はグラスと食器を出してくれ」

ウォッカ「へい!」カチャカチャ

ジン「よし。サラダもきれいに水気が切れてるな」

ジン「器に盛って、余った分は密封できるポリ袋に入れておけば3日は保つ」

ジン「おい、ウォッカ。あいつらが来る直前になったら、冷蔵庫のムースを出せ」

ジン「上にイチゴとミントの葉を飾るのを忘れるなよ」

ウォッカ「へい!」

――午後七時・組織のアジト・ダイニング――

安室「こんばんは。呼ばれたので来ましたよ」

コルン「……よう」

ウォッカ「ちょうど準備できたところだ」

ジン「まぁ、座れ」

安室「では失礼して……」カタ

コルン「俺も」カタン

ウォッカ「今夜のメニューは……こいつだ!」ジャジャーン

安室・コルン「「おぉ~!」」

ウォッカ「お前らのために、兄貴が腕を振るってくれたんだぜ」ヘヘッ

ジン「ウォッカ、余計なことは言わなくて良い」

ウォッカ「へ、へい……」

コルン「……美味そう」パァッ

安室「鯛のアクアパッツァにキノコのパスタ、サラダ、イチゴのムースですか」

安室「栄養バランスも取れてるし、イチゴが春らしくて良いですねぇ」フフッ

ウォッカ(……良かった。バーボンも喜んでくれて)ホッ

ジン「フン……せっかくの料理が冷めねぇうちに、食っちまうぞ」

ウォッカ「料理で余ったやつで悪いが、ワインもあるからな。まぁ楽しんでけよ」

安室「ええ」

コルン「……いただきます」

~二時間後~

ウォッカ「あ~、腹一杯だ~」ゲフ

安室「本当に美味しかったですよ。ねぇ、コルン?」

コルン「……おぅ」

ジン「そいつぁ何よりだ」

コンコン

ウォッカ「ん?」

ベルモット「はぁい♪」ガチャ

安室「ベルモット?」

ベルモット「あら、お食事中?」

ジン「何しに来やがった」ジロッ

ベルモット「そんなに睨まないでよ。お土産を渡しに来ただけなんだから」ムゥ…

ウォッカ「お土産ですかい?」

ベルモット「そーなの! 昨日まで任務で北欧に行っててね」

ベルモット「帰りに立ち寄ったストックホルムの免税店で、珍しい缶詰を売ってたから買ってきたのよ」

ベルモット「向こうの名物で、お酒のアテにもするんですって。お店のお兄さんも一押しだったわ」

ベルモット「貴方達、ちょうど飲んでるみたいだし。おつまみにでもしてちょうだい♪」ウフ

ウォッカ「へ……へい。ありがとうごぜぇやす」

ベルモット「じゃあ私はこれで~♪」

ガチャ…バタン!

コルン「……北欧」

安室「ストックホルム……つまり、スウェーデン名物の」

ジン「缶詰……」

ジン・安室・コルン「「「!」」」ハッ!!

ウォッカ「こいつ、魚の缶詰みてぇですね。とりあえず、開けてみますぜ」

安室「あっ……ウォッカ、ちょっと待って!」

ジン「そいつを開けるんじゃねぇ!!」

ウォッカ「へ?」プシュ

ブシュウゥ――――ッ!!

ウォッカ「うわあぁぁぁぁ!? くっせ――――――っ!!」

ジン「だから開けるなって言っただろうが!」

安室「それはシュールストレミング! 世界一臭いと言われる食べ物ですよ!!」

ウォッカ「ええぇっ!?」

ジン「とにかく窓を開けろ! バーボン、そっちを頼む!」ガラッ!

安室「はい!」ガラッ!!

コルン「……俺、扇いで空気を入れ換える」パタパタパタパタ

ウォッカ「そんなことしたって焼け石に水だ!」

ジン「誰のせいだと思ってやがる!」

ウォッカ「す……すいやせんっ!!」

――組織のアジト・通路――

ウワァァァァ!! クセー!! ギャー!

ベルモット「あら? ……何をドタバタやってるのよ」

ベルモット「本当、男って落ち着きがないわねぇ」フゥ

ベルモット「お店のお兄さんが言った通り、美味しすぎて暴れてるのかしら?」



【おわり】

花見、オレンジデーの続編です
少しでも楽しんで下されば幸いです
ここまでお読み頂きありがとうございました

あ、ちなみに来年のコナン映画(20作目)に
ジンと安室と赤井が出るのはマジですよ

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