雨降るなか開く店 (27)

僕、男と言います。
今好きな子をストーカー...ゲフン、尾行しています。
今日こそ告白するのです。と、心に決めて尾行すること一ヶ月。
未だに告白することができません。
だって、彼女は僕なんかと違って可憐で、勉強ができて、運動はちょっと苦手らしいけど、それでも僕よりできて...
こんな僕なんかでは彼女に告白なんてできません...
ストーk...尾行するなかで彼女のこともたくさん知れました。
身長165cm、体重50kg、血液型はAB型、なんとスリーサイズまで知れました。
ここまで彼女のことを知ってれば告白受けてくれますよね、えへへ。

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あ、雨が降ってきました。彼女、傘を持ってないみたいです。あぁ、走っていってしまいました...
追い付けません、でも、彼女の制服の襟の裏に発信器をつけておいたので安心です。
えっと、彼女は今...喫茶店に居るみたいですね。
偶然を装いつつ僕も行ってみます。
告白できるといいな...

私、OLと言います。
29歳、独身、29年間彼氏なし。趣味ですか?アニメ鑑賞です。
今日は仕事がちょっと早く終わって、定時であがることができました。
久々のアフターファイブ、いい男の人に出会えるかもしれません。

会社のエレベーターを降りて外に出るとなにやら雲行きが怪しく...
せっかくのアフターファイブなのに雨ですか、神様は非情です。
このまま外に居ると風邪を引いてしまいますが、かといって会社に戻っても嫌いな上司にお茶を出すぐらいしか仕事がありません...
あ、喫茶店がありますね、お邪魔しましょう。

自分はエリートと言います。
高学歴、高身長、高収入。ここまでくるのに随分頑張りました。
そのせいか、女性とあまり関わりがなくて...女性を前にするとうまく話せないのです。
部下の女性に指示をしたいのですが、それすらもうまくいかず、仕事が捗りません。
会社に入ってから告白も何度か受けましたが、うまく話せないこともあって皆振ってしまいました...
実家の親からはそろそろ孫がみたいと催促がくる始末、35ともなればそうですよね...

今日は商談が一件だけ。大きな仕事ということもあって、これが終わったら帰ってもいいとのこと。
帰ったらアニメを見て会話の練習をするのです。おはようと言われたらおはようと返せるように。 べ、別にオタクではないですから!

......商談はすぐに決まりました、といっても一般的な「定時」という時間に終わったんですが。
向こうの上司さんにお茶を出していたあの子、すっごく不機嫌そうでした。
と、商談を思い返しながらエレベーターを降りると書類が一枚足りないことに気付きました...
もう一度上がって、書類をとって、もう一度降りて...
さらについてません、外は雨でした。
傘は...部下に昨日貸したんでした。
さて、どうしましょうか、あ、喫茶店にさっきの子が入っていくのが見えました、せっかくですし自分もお邪魔させてもらいましょう。

私、女と言います。
今日は顧問の先生がお休みで部活がありません。
ちなみに部活は、運動が苦手なので茶道をやっています。お茶が好きなんです。
成績は良い方だと思います、皆がそう言ってくれます。...たまーにスタイルも良いと言われます。ごくたまにです。

で、私今好きな人が居るんです。たくさんの人に言い寄られてきましたけど、その人のことが好きすぎて他の男の子はみんな痩せたゴボウにしか見えません。
そんな私ですけど、最近ストーカーが居るみたいで...好きな人しか眼中にないのでやめてほしいんですけどねぇ。

どうやら、今日も居るみたい...
バレバレの尾行お疲れさまです。
ここ一ヶ月毎日です、嫌になっちゃう。

と、雨が降ってきました...んー、傘を出すよりそこの角の喫茶店に走った方が早いかもしれません。
喫茶店に入ればストーカーも追ってこないでしょうし。
では、お邪魔します

再び僕です、男です。
店の前まで来ました、ドッキドキです。
店のなかを覗いてみます、女さん、すごく綺麗です。

...あ、見とれている場合ではないですね。
僕も入って、今日こそ女さんに告白を...告白を...

気のせいでしょうか、店内の女さんと目があった気がします。
女さんに見てもらえた、えへへ、幸せです。
...じゃない、大変です!尾行ばれたんでしょうかっ!
み、見つかってしまいました。どうしましょう、どうしましょう...

OLです。
喫茶店に入ったら、後を追うようにイケメンが入ってきました。
あ、このイケメンさんさっき商談にきた人です。
確か、エリートさん、でしたっけ。
イケメンだなぁって思ってたんです、まさかこんな近くで見れ...近くで?

聞いてください、イケメンが私に笑顔を投げかけてます。自惚れんな?そうですよね、ごめんなさい、私なんかにイケメンが笑顔を投げかけてくれるわけないですよね...

どうも、エリートです。
あ、ただの挨拶ですからね?自慢じゃないです、どこぞの王子ではないです。
喫茶店に入ってみたら、丁度目の前にさっきの子が居ました。
挨拶はハードルが高いので...取り敢えず笑顔で手を振ってみます。

...顔を伏せられました。
さすがにさっき出会ったばっかりの人に笑顔で手を振られたら引きますよね、あはは...
声をかけたかったんですが、どうしましょうか。
顔を伏せられてしまったら声をかけるのもなかなか難しいですし...

先程ぶり、女です。
喫茶店に入ったらイケメンな店主さんがタオルを貸してくれました。
ごめんなさい、それでも私には痩せたゴボウにしか見えません。
貸していただいたタオルで髪を拭いていると、外に人影が...ストーカーさんでしょうか。

男君...?ど、どどどどうして男君が、いや、男様がこんなところに!
あぁ、男様、大好きですはぁはぁ...あっ、いけません、こんなことでは男様に嫌われてしまいます。大和撫子でなければ。

そ、それにしても男様、なぜこんなところに。
まさか神様が私にお恵みを与えてくださったのでしょうか。あぁ、ありがたい、ありがたい。
しかし、男様なぜか慌てておられますね、どうしたんでしょうか。
...声でもかけてみましょうか、いや、私なんかが声をかけれるような相手ではありませんよね。すみません、調子に乗りました...

ここから書き方を変えます。

男(どうしよう、女さんに見られてしまった)

男(こここ、こうなったら仕方ないっ!店入ろう、覚悟決めろ俺っ)

ドア「空きますよ」ガランガラン

店主「いらっしゃいませー、あの、すみません、今ちょっと満席で。少々お待ちください。」

店主「あの、すみません、相席よろしいですか?」

女「えっ!?あっ、はいっ!」

店主「ありがとうございます。」

店主「あの、相席でよろしいですか?」

男「あっ、はい!」

店主「すみません、では、こちらになります。」





男女((えー...どうすんこれぇ...))

男(なんで、なんで女さんの席なの、他ないのなんでなの)

女(なんで男様がこの席にっ、そんな、同じ高さの席に座るなどそんな...)

男(ストーカーばれてないの?ばれてるの?なんなの?あ、ストーカーじゃねぇ!尾行だ尾行!)

女(心の中、顔に出てないかな、大好きなのばれてないかな...あっ、前にパンツ盗んだのばれてないかな)

男女((大丈夫かな...))

エリート(女の人に声をかけるために見たアニメの数、実に500話...今頑張らなくていつ頑張るのかっ、いこう!)

OL(イケメンがまだこっち見てる、なんで、なんで見てるの!?お茶が不味かったかな!?ごめんなさい下手で!)

エリート「あのー。」

OL「ひゃい!?」

エリート「」ビクッ

OL(あ、あー、やらかしたー、びくってしたじゃん、今絶対びくってしたじゃん、もうだめだー)

エリート「あ、あの、さっき、お茶淹れてくれてた人ですよね?」

OL「は、はい...」

エリート「あ、お茶、あの、美味しかったです。」

OL「えっ!?」

エリート「」ビクッ

OL「す、すみません急に大声出しちゃって...」

エリート「い、いえ、大丈夫でひゅ。」

エリートOL((あ、噛んだ))

再開します

男「あの、こ、こんにちは...」

女「は、はい!?」

男「えっ、あ、ごめんなさい...!」

女「い、今こんにちはって...?」

男「は、はいぃ...」

男(なんだよー...挨拶すらさせてもらえないのかよぉ...)

女「こ、こちらこそこんにちは!?」

男(なんで疑問!?)

女「あの、同じ学校なんですね!」

男「え?あ、そ、そうですねっ」

男(うわぁ、知ってもらえてないよぉ...会話してないしそりゃそうだけどさぁ...)

女「お、お名前は!?」

男「あの、男と言います...」

女「知ってます。」

男「え?」

女「え?」

男「いや、知って...?」

女「はじめましてですね!」

男「え、えぇー...」

女「今日はどうしてこちらに!?」

男「あの、さっきから声が大きい...といいますか...」

女(声大きいって言われたもうだめだ、女の子なのに声大きいって...)

男(あなたをストーカーし...尾行してきましたなんて言えない...)

女「あ、えと、雨宿り、ですか?」

男「あ、そうそうそうそう、そうなんですよ!雨宿りですはい!」

女「あ、あー、雨宿り、雨宿りですよね、あはは、そうですよねー。私と一緒ですね。」

女(私を追いかけてきたなんてないですよね、知ってました。)

男(私と一緒ですね、だって!やべぇ!テンションあがる!)




男女「「あのっ!」」

男女((被ったー...))

エリート(噛んでしまった...今のはかっこよく決めたかった...)

OL(イケメンって噛んでもイケメンなんですね、はじめて知りました。)

エリート「あの、突然で申し訳ないんですが、少しお話しませんか?」

OL「...ぇ?」

エリート「えと、少しお話がしたいなぁと...」

OL「あ、は、はい!喜んで!」

エリート(よしっ!よーし!お話に誘えたっ!次だ、次に進まないと!)

OL(イケメンが私にお話しよって...そんな、夢みたいな...)

エリート「じゃ、じゃあ、お茶のうまいいりぇ方...」

エリートOL((噛んだーー...)

男「あ、先に、どうぞ...」

女「いえ、そちらこそ先にどうぞ...」

男女((気まずっ...))

女「あの、じゃあ先にいいですか?」

男「は、はい、どうぞ!」

女「この辺、よく来るんですか?」

男「あ、いえ、ほとんど来ませんね。」

女「な、なら、今日はどうしてこちらに...?」

男(やべぇ、何て言おう...尾行してきました!なんて言えないしな...)

女「あ、あの...?」

男「は、はい!?」

女「何か込み入った事情でも...?」

男「え、えっと、あ!散歩してたんです!」

女「散歩...」

男「散歩してたら雨が降ってきまして」

女「ふふ、そうですか。」

男(笑ってくれた!笑ってくれた!かわいい!)

男「な、なにか面白いこと言いました...?」

女「いえ、散歩で出会えたってちょっと運命を感じるなーって思って。」

女(運命って行っておけば意識してくれるかな...)

男(うううう、運命っ!?育んじゃう?愛はぐくんじゃう!?いやっ、焦りは禁物だ、落ち着けー落ち着けー...)

男「いやー、運命っていいですよね。未来を感じますよね!」

女「ふふ、なんだか元気になりましたね。」

男「そりゃ、あなたみたいな綺麗な人と話できたら元気にもなりますよ!」

女(ふぇっ!?綺麗っ!?今綺麗って言った!?)

女「あ、ありがとうございます...」

男(えっ、やばい、引かれたか...?)

女「嬉しいですね、綺麗って言われると。」

男(キタアアアアアアアア・)

OL「お茶のうまいいれ方、ですか...」

エリート「あ、はい!」

エリート(噛んだのはスルーなんだ...)

OL「私、語ると長いですよ...?」

エリート「へ?」

OL「昔から話にのめり込む性格でして...」

エリート「は、はぁ。」

OL「いつも、気付いたら引かれるぐらい話し込んじゃってて...」

エリート「な、なるほど。」

OL「アニメの話してるときなんてもう...」

エリート「アニメ、ですか?」

OL(あっ、やばい、アニメ趣味なのばれちゃった...軽蔑されたかな...)

エリート「あの、どんなアニメを...?」

OL「え?」

エリート「い、いやぁ、自分もアニメはよく見る方でして。」

OL「そ、そうなんですか!?」

エリート「日曜日は毎日...」

OL「わ、私もです!」

エリート「ほんとですか!いやぁ、趣味が合いますね!」

OL「この間のプリ◯ュア見ました!?」

エリート「見ました見ました!あそこで覚醒するとはって感じでしたね!」

エリート(やった、話せてる!アニメ見ててよかった!)

OL(イケメンでアニメヲタとか!キタアアアアアアアア)

男「ぼ、僕!あなたほど綺麗な人み見たことないです!」

女「えぇっ!?い、いやー、そんなそんな...」

男「ほんとです!すごく綺麗ですよ!茶道やってるときなんて...」

女「え?なんで私が茶道やってること知って...?」

男「あっ...」

女「え?」

OL「やっぱりこの間のプリ◯ュアの見所と言えば、敵が合体して云々...」

エリート「いや、やっぱり敵が巨大化して云々」

エリートOL((楽しい!))

エリート「こんなに話合う人初めてです!」

OL「私もです!あの、よかったら連絡先とか...」

エリート「れ、連絡先!?」

OL「ご、ごめんなさい!ダメでしたか...?」

エリート「いえいえ!そんなことは!」

OL「じゃ、じゃあ...」

携帯「連絡先交換されるやで」

... ...
数時間後

エリート「あ、あの、突然なんですけど実は自分夢がありまして。」

OL「は、はい?」

エリート「実は...」

女「あの...?」

男(まずいまずいまずいまずい...!ばれた、完全にばれた!どうする、どうすればいい!?)

女(どうしてだろう、なんで知ってたんだろう...)

男「あの...」

女「はい」

男「実は...」

女「はい」

男(こええぇ...怒ってる?これ怒ってる?)

女(どうしよう、混乱してはいしか言えない...)

男「あのっ!1ヶ月ほど前からずっと!」

女「あー、あのストーカーさん男さん立ったんですね!!」

男「へっ?」

女「いやー、よかった!知らない人だったらどうしようかと。」

男「知らない人だったら...?」

女「あっ」

男「えっ」

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