幼女「ご飯作ったよ!」男「おう食わせろ」 (485)

幼女「ど、どうかな?にいにい…」ドッキンコドッキンコ

男「ふむ…エビフライか…ムシャコラムシャコラ」

幼女「お、おいしい?」

男「ぶぅうううう!マッズゥゥゥゥゥゥゥウウウウウウッ!」

幼女「きゃ、きゃあああああああッ!?」

男「おうお前ふざけてんのか?お?幼女だったら何してもいいって思ってんだろ?おん?」

幼女「ひ、ひどいよぉ…」エグエグ

男「その未発達で危うい色気を放つロリロリボディで愛想振り撒けばどうにかなると思ったのか!?え!?」

男「お前がしっかり料理できるようにならんと定食屋を継いだ俺がニートできねえだろうがッ!おん!?」

幼女「だ、だってぇ…キッチン高いし…宿題もしないといけないから練習できなかったし…」

男「言い訳はいいんだよッ!!さっさと一人で店を切り盛りしろやッ!」

幼女「う、うぅ…」


幼女「にいにい、朝ごはん作ったよ!」

男「ふむ、味噌汁にアジの干物か…マルマルモリモリ!」

幼女「ど、どうかな」

男「…簡単なのは出来るな」

幼女「!」

幼女「えっへへー」ニパッ

幼女「じゃ、じゃあさ…にいにい…ごほうび、欲しいなって」

男「御褒美だとッ!」

幼女「うん…あたち、にいにいと一緒にね…」

男「ふざけんなッ!」ガッシャーン!

幼女「きゃあああ!?」

男「客!今日も0ッ!金ッ!ないッ!」

幼女「……だから、公園でピクニ…」

男「ごちゃごちゃうるせえッ!競馬行くしかないなこれはッ!」

幼女「…にいにいぃ……」エグエグ

ドドドドドドドドドド…!!!

幼女「よいしょ、んしょっ」

親方「幼女ちゃ~ん。そこのセメントもってきてー」

幼女「はーい!」

幼女「うっ、重いなぁ…でもにいにいとお義父さんが残したお店の為だもん…頑張らなきゃ」ニパッ

幼女「ただいまー!にいにい、帰ってきたよ」

男「……」

幼女「にいにい?どうしたの?…あ、ご飯まだなんだ。すぐ作るね。でもあたち、たまにはにいにいの作ったご飯も食べたいな…えへへ」

男「……どこいってた」

幼女「え?工事現場の仕事だよ?」

男「どこいってたッ!」

幼女「ひぃっ!」ビクゥ

男「この野郎お前この野郎ッ!誰とどこに行ってた!?同じクラスの子か!?放課後実験クラブか!?え!?」

幼女「い、いたい、にいにい…仕事だよぅ」

男「仕事!?コミックエルオーとかメガストアみたいな目にあったのか!?」

幼女「違うもん…みんないい人たちだよ…」

男「黙れッ!幼女のくせに!禁じられた遊びしてやろうか!?おん!?」

幼女「にいにい…痛いって…!」

男「黙れッ!脱げッ!四つん這いッ!」

幼女「いやぁー!!」

男「クンクンスンスン…お前汗くさいぞッ!」

幼女「いやぁ…嗅がないでぇ」

男「な、なんて乳首だッ!見てみろッ!桜色じゃないか!」

幼女「にいにい…ダメだよぉ」

男「私立さくらんぼ小学校!私立さくらんぼ小学校!」

幼女「いやぁ…」

男「さくらちゃんの真似しろ!」

幼女「さ、さくらちゃん?」

男「さくらちゃんだよ!ぱうーって言えオイッ!」

幼女「ぱ、ぱうぅ///」

男「おっほ!興奮のあまりコナンのパラパラ踊っちゃうー!」パラパラ

幼女「にいにい今日変だよぉ」

男「次はそうだな、股をピッタリ閉じろ」

幼女「え?」

男「そこにジンの兄貴を注ぐ」

幼女「ひやぁっ」

男「ごく…ごくっ!素晴らしい!海原先生も認めるぞこれはッ!」

幼女「に、にいにい…本当に怖いからやめて…」

男「ええい!うるさいわッ!!ほう、怖いとか言ってるわりに何やら湿ってやんぜ!おん!?」

幼女「い、いやぁ……」

男「よく見えるぜ幼女のナムコ…オラッ!もっとナムコしてやる!」ナメナメナメナメ

幼女「…っ!」ピクン

男「次はカプコンだッ!」カプカプカプカプ

幼女「……」ピクン!

男「お次はにいにいのバトルエンピツをだな…へへっ」

幼女「いやぁー!!!」ゲシッ!!!

男「救命阿ッッ!」

幼女「あっ!にいにい!」

男「……」グテーン

幼女「にいにい…気失ったみたい…」


翌日――

幼女「じゃあにいにい、お仕事いってくるねっ」

男「……あ、あぁ…なんか頭いてぇなぁ…」

幼女「いってきまーす!」

キャバクラ――

幼女「えーそんなことないですよー」

おっさん「またまたぁー」

幼女「あ、お酒あいてますよっ」トクトク

おっさん「幼女ちゃんに注がれたんだからもっと飲まないとなぁ」

サワサワ…

幼女「……っ」ピクン

幼女「…我慢…我慢だもん…っ!」

ガソリンスタンド――

幼女「ありがとうございましたぁ!」

店長「幼女ちゃん、だいぶ板についてきたねぇ」

幼女「へへ、そうですかー」

スーパー――

幼女「お買い上げありがとうございます!」

工事現場――

幼女「もう一踏ん張り…っ!」

定食屋――

幼女「よし、全部のメニュー出来るようになったよ!」

「きゃーちっちゃい女の子が作ってるー」

「かわいー」

幼女「ちょっとずつお客さんも来るようになったし」ムフー

男「俺もそろそろ頑張らないとな」

幼女「にいにい!」パァ

男「パチンコいってくる」

幼女「いってらっしゃい!!」

幼女「うん…今月もなんとか黒字…」カタカタ

幼女「お店も軌道に乗り始めたし…よかったぁ」

幼女「これからもっと頑張らないとね」

ガンガン…ガチャ

幼女「あ、お客さんかな?はーい」

チンピラ「邪魔するぜぇ」

チンピラB「邪魔するけんのうっ!」

幼女「え、っと…どちら様でしょうか」

チンピラ「いやね、私たちは怪しいものじゃないんですよ…」

チンピラB「こういうものでして…」

幼女「むつかしい漢字よめないよう…」

チンピラ「まぁ、早い話がね…ここの土地を売っていただきたいんですわ」

幼女「え!?」

チンピラB「ここら寂れた商店街でしょ?更地にしてイ○ンでも建てたほうが嬢ちゃん嬉しいでしょ?」

幼女「だ、ダメですっ!」

チンピラB「……ははは、そんなん言わんと飴もぎょうさんあげるさかいにな!」

チンピラ「長靴いっぱいな!」

幼女「い、いらない」

チンピラ「……嬢ちゃん、ならほらプレステもあげるから」

チンピラB「パネキットとポケットステーションもついてくるけんのうッッ」

幼女「いらないです…お義父さんの大事なお店なんです!」

チンピラ「……」

チンピラB「……はぁー…」

幼女「大切な人のお父さんの…大事なお店なんです。分かってください」

チンピラ「……だってよ」

チンピラB「うちも女じゃけん。気持ちは分かるわ」

幼女「チンピラさん……」

チンピラ「……はぁー」

チンピラB「しゃあないわな」

チンピラ「……力づくは嫌なんだがなッ!」

チンピラB「しゃあないわなッ!!」

幼女「ひ、ひぃ!」ビクゥ!

チンピラ「おら!!」

チンピラB「兄者怒らしたな嬢ちゃん…」

幼女「!…け、警察呼びますよ!」

チンピラB「黙れッ!」

チンピラ「脱げッ!」

チンピラB「四つん這いッ!」

幼女「いやぁー!!」

チンピラ「へっへへ…!脱げよおう!両手をあげて、バンダーイ!」

幼女「やめてぇ!」スルンッ

チンピラB「神聖な右乳首じゃけんのうッ!ナムコしなくてはッ!」ペロペロ

幼女「!」

チンピラ「こっちは左をカプコンだッ!!カプカプ」

幼女「…んっ…!」

チンピラ「おっ!体が跳ねたぞ」

チンピラB「気持ちいい?気持ちイーアルカンフー?」

幼女「き、気持ちよくなんか…」

幼女「んっ」ピクンピクン!

チンピラB「おッッ兄者ッこの幼女振動パック搭載ですよッ!」

チンピラ「ガハハッ!感じてしかたないようだな!」

幼女「ちが、うから…(にいにい…助けて…)」

チンピラ「次は首筋を攻めるぜッ!」

チンピラB「私は内腿を撫でちゃうけんのうッ!おほぉー!興奮してきた!ゾナハ病の発作出ちゃうッ!」ゼヒッゼヒッ!



チンピラB「」

幼女「んっ」ピクンピクン!

チンピラB「おッッ兄者ッこの幼女振動パック搭載ですよッ!」

チンピラ「ガハハッ!感じてしかたないようだな!」

幼女「ちが、うから…(にいにい…助けて…)」

チンピラ「次は首筋を攻めるぜッ!」

チンピラB「私は内腿を撫でちゃうけんのうッ!おほぉー!興奮してきた!ゾナハ病の発作出ちゃうッ!」ゼヒッゼヒッ!

チンピラ「さて、そろそろおいちゃんのモノをせがれいじりしてもらおうかな…」ボロン!

幼女「ひ、ひぃ!」

チンピラB「兄者スゲェッッ!ためらいねぇッ!」

チンピラ「愛ってのはためらわないことだ。覚えとけッ!」

チンピラB「よッし!嬢ちゃん、私の局部も舐めろィ!」

幼女「いやぁ…いやぁ」

チンピラB「何故だオイッ!理由を述べろッ!」

幼女「や、やめてぇー!」

チンピラB「えぇい!黙れッ!舐めロックマンエグゼッ!!」

幼女「んむぐぅ!?」

チンピラ「俺のも舐めローグギャラクシーッッ!」

幼女「んんむむぐ!?」

チンピラB「ふわぁ!!最高にゾクゾクしちゃウイニングイレヴン!いきソニック!いきソニック!」

チンピラ「幼女のちっちゃなお口気持ちイース!こんな快感がアルトネリコッ!?」

チンピラ「同時にイクぞッ!!」

チンピラB「ふぁい!」

プシャァアアア!!ドピュゥウウウ!!

幼女「いやぁあああー!!にいにい助けてぇー!!」


チンピラ「いやぁッ!サッパリしたぜッ!」

チンピラB「スッキリしたけんのうッ!」

幼女「」クテーン

チンピラ「おッ気失ってるぜッ!!」

チンピラB「面白ッッ!」

チンピラ「今のうちに契約書にサイン書かせるかッッ」

チンピラB「うぬぅ!いいのか兄者ッ」

チンピラ「かまわんかまわん!拇印いただきストリート!はい、契約書にぐりぐりGREE!」

チンピラB「!」

チンピラ「どうした?」

チンピラB「アプリゲーは嫌いじゃッ!」バキッ

チンピラ「ひん!ごめん!」

ええな
過去作も教えてくれや

酒屋「チワァース!三河屋です!」

幼女「」

酒屋「!?……ムムッ!幼女さん!こんなところで寝て…風邪引いてしまいますよ!」

幼女「う、うぅ……」

酒屋「ムムッ!クンクンスンスン…ペロッ…こ、これはッ!」

酒屋「いけませんねぇ…!これはいけませんねぇ!!」

幼女「ん…?あ、あれあたち…あ、酒屋さん!?」

酒屋「幼女さん……体液をおかぶりになられて…これはなんなんですかねぇぇぇ」

幼女「ち、ちがうの!チンピラさん達が土地を売り渡せって…」

酒屋「あー、彼らね、ハイハイうちにも来ましたよ。うん。うちはとっとと店長さんに黙ってサインしましたよ。
幼女さんは断ったらこんな目にあったんですね」

幼女「うん…」

酒屋「男さんというものがありながら…」

幼女「うぅ…彼には言わないでぇ」

酒屋「へぇ…言ってほしくないんだ?なら…」

ボロン!

幼女「ひぃっ!」

酒屋「分かってますよね…へへ」

酒屋「んほぉぉぉッ!いい!馴染む!実に馴染むぞッ!」

幼女「う、うぅ…」シュッシュッ

酒屋「まだ〇学生なのに素晴らしいハンドテクニックだッ!仙道もビックリですよ!」

幼女「ほ、ほんとうににいにいに言わない…?」

酒屋「ハハハ!当たり前だのクラッシュバンディクーですよ~!酒屋嘘つかない!ほら、もっとシゴいてシゴいて!」

幼女「く…」シュッシュッ

酒屋「気持ちいい…腰を突き抜けるこの快感ッ!僕はねぇ、前々から大人の階段昇るシンデレラな貴方のことをずっといやらし視線で愛でてきたんですよぉ!」

幼女「やだぁ…酒屋さんがこんな人だったなんてぇ…」シュッシュッ

酒屋「ハッハッハ!まさに貴方は究極の少女ッ!巻きますッ!螺旋力を込めて!貴方はアリスだッ!」

幼女「いやぁ…こんなのいやぁ優しい人だと思ってたのに…」シュッシュッ…

酒屋「ハッハッハ!分かってませんねぇ…分かってない。先人も言ってるでしょ?男は狼なのよ、気を付けなさいってね!!」

幼女「にいにいは…にいにいはちがうもんっ」シュッシュッ

酒屋「まぁた、これだ。にいにいにいにいってセミかお前はッ!!」

幼女「ひぃっ!」

酒屋「あんなクソを煮詰めて上澄みを取り除いたようなクソオブクソニートのどこがいいんですかねぇぇ。
幼女さん…あんなウンコとウンコを悪魔合体させた男なんて捨てて僕の女になりませんかッ!」

幼女「にいにいを悪く言わないでっ!」シュッシュッ!!

酒屋「なんだとッ!強情な幼女だ!舐めろッ!」ズイズイ

幼女「!…顔にそんなもの押し付けないでぇ…!」

酒屋「そんなものだとッ!!…まぁ、いいさ!すぐに俺のボトルを大好きにさせてやるからな…そりゃ会いたくて会いたくて震えるほどになッ!」

幼女「にいにい…」

酒屋「黙れッ!しゃぶりねィ!!」

幼女「うっ…うう…」チロチロ

酒屋「ハッハッハ!酒粕も舐めろよ!」

幼女「うっ…ううっ…」シュッシュッチロチロ…

酒屋「おほぉぉぉおおおッ!な、なんて淫乱な幼女だッ!年相応な見た目や格好にエプロン、そして定食屋の若女将という矛盾ッ!体は子供なのに清楚な大人の色気まで備えるとはッ!」

幼女「や、やだぁ…酒屋さんのおちんぽ…酒粕だらけだよぉ…ウッ…」

酒屋「えずくなッ!それはな、酵母菌なのだッ!!貴様を発酵させて男なんかじゃなく俺にメロメロにさせてやるぞ!」

幼女「やだぁ…あたち、糖分ないもん…っ。発酵なんかしないもんっ…」

酒屋「ハッハッハ!知らんのかッ!女の子はァ!お砂糖とスパイスと素敵なものでできてんだよッ!」

幼女「いやぁ…マザーグースいやぁ…!」チロチロ

酒屋「うっ!ヤバイヤバイ出るぞ!俺の30年モノのビンテージ童貞チンポからドブロク出るぞ!3日間熟成させた一番搾り出るぞッ!!」

幼女「(はやく…っ…終わってぇ…!)」シュッシュッシュッシュッチロチロチロチロ

酒屋「ふわぁ!!急にがっついてきやがった!俺のスクリュードライバーが効いてきたみたいだな!」

幼女「ペロッ…はむっ…!」

酒屋「ふあああ!もう我慢できない!貴様のちっちゃなお口を俺のでステアーしてやるッ!」

ズイッ!

幼女「んんっ!?」

酒屋「やべぇ!出る!出りゅ!」

幼女「ひやぁ…ひゃめへぇ…!」

ドクンドクンドクン!!

酒屋「カルアミルク一丁」


幼女「ひぐっ…ぐすっ…にいにい…にいにいぃ…」グスグス

酒屋「ふぅ…え?何すか幼女さん。泣いてんスか?」

幼女「にいにい…助けてよぉ…」

酒屋「やだなぁ…幼女さんからその色気で誘ってきて、がっついてきて…今さら被害者ぶるんスか?はぁー…しかもまたニイニイニイニイって…セミかお前はッ!」

幼女「うっ…うぅ…」

酒屋「これから毎日可愛がってあげますよ。にいにいのじゃ満足できなくなるくらいにね!ハッハッハ!」

シャワアアアアア!

幼女「……クンクンスンスン…匂い、とれたよね?」

幼女「にいにい…」

――あんなクソを煮詰めて上澄みを取り除いたようなクソオブクソニートのどこがいいんですかねぇぇ。

――幼女さん…あんなウンコとウンコを悪魔合体させた男なんて捨てて僕の女になりませんかッ!

幼女「ちがうもん…にいにいは今ちょっと休んでるだけだもん…留学中にちょっと自信なくして…お父さんが病に伏して…」

――幼女…ははは、料理コンクール予選敗退だったよ。親父は伝説の料理人だの言われてるのに…ダメだな、俺は

――店をいっぱい繁盛させてカッコいいとこ見せてやるって約束したのに…ごめん、カッコ悪い俺でごめんなぁ…

幼女「にいにい…にいにいとお義父さんにひろってもらった恩…今返すときだよね…?
辛くても辛くても…頑張んなくちゃだよね…?」

幼女「でも…でもね…」ポロポロ

幼女「辛いの…っ!あたち弱い子だから…あたちにいにいと違って弱くてダメな子だから…っ!」

幼女「だから…少しだけでいいから…!また昔みたいに…優しく撫でて…優しく話し掛けて…!」ポロポロ

幼女「……あたしをみて……っ!」グスグス

夜――

ガチャ…!

幼女「あ、にいにい。おかえりなさいー」

男「おうただいま」

幼女「え、へへ…今日は早かったんだね。一緒にご飯食べられるね」

男「おうサ○ゼリアで食ってきたわッ!」

幼女「え…えっと…次からは連絡…その…」

男「おん?」

幼女「なんでも、ない…」

男「あーはいはい連絡な。すまんすまん次からするわ」ナデナデ

幼女「!」

男「おん?なんだお前ニヤニヤして気持ち悪いぞッ!!」

幼女「てへへ…にいにいに久しぶりに撫でられたから…」

男「ふん…」

幼女「(にいにい、今日は機嫌いいな…)」ニパッ

男「お!今日は友達連れてきたわッ!酒のつまみ頼むなッ!」

幼女「えぇ…ゆ、ゆっくりあたちとお話……」

男「おん?早くしろ!」

幼女「はい…(あたちとが早く大人になってお酒付き合えるようになれば…またにいにいとたくさんお喋りできるかな)」

男「おう入れよッ!」

ガチャ

??「「「お邪魔しまーす」」」

幼女「!」

酒屋「いやぁーすみませんね男さん」

男「いいからいいから。飲み直そうぜ。あいつになんか作らせるからよ」

酒屋「幼女さんの手料理かぁ…楽しみだなぁ」ニヤァ

幼女「……」ビクビク

八百屋「男君の家久しぶりだなぁ。幼女ちゃんもおひさ」

肉屋「あはは、確かに。幼女ちゃんオッスオッス!」

幼女「八百屋のお兄ちゃんに肉屋のお姉ちゃん……(この二人がいるなら安心、だよね……?)」

肉屋「んじゃ!勝負を仕切り直すかー!!」

八百屋「やれやれ」

男「3色コード繋いで、と……」

酒屋「……」

幼女「にいにい、肴は何がいいかな……?」

男「おん?適当でいいよ!早くしろッ!」

八百屋「出来れば野菜がいいな」

肉屋「いいやッ肉だねッ!!」

男「はい俺ディディー!」

八百屋「タイニー使おっかな」

肉屋「八百屋、オメェは本当軟弱だな。キャラセレクトからして」

八百屋「何がだい?僕は彼女の羽を飛ばす銃が好きなんだ」ピシュ!ピシュ!ピシュシュシュ!

肉屋「ふん、私はチャンキーだ!」

酒屋「ふふふ、自分はフランキー一択ですかねー」

幼女「(ん、と…野菜とお肉…アスパラガスのベーコン巻きでも作ろっかな)」

男「俺さぁ、思うんだよ」

八百屋「何がだい?男君」

男「マリパ3はマリパを完成させちまったんだよ…!ってな」

肉屋「そんなわけないだろ!一番新しいのが一番面白いの!マリパは10だッ!3と10じゃまるで竹槍対核兵器だぜ」

八百屋「……僕は初代が好きだな」

肉屋「ぷふー!初代!軟弱な上に古臭いなぁ。1億9000万年前の岩塩層から復活したのか?」

男「なんだ、八百屋はピクルだったのか。…初代はコントローラスティックいかれるからなぁ」

酒屋「というかN64のコントローラ脆すぎですよ」

ワイワイガヤゲヤ…

幼女「にいにい、楽しそう…あたちなんかより、お友達とお喋りする方がいいよね…」

テレビ『ビリビリイヤッチビリモイヤ!』

肉屋「そろそろロクヨンのたまごっちやめてリトルビッグプラネットの続きやらない?」

八百屋「君ムダに命散らすじゃん。僕のがまめっちになったからってそういうのやめよう」

酒屋「ゴールデンアイしましょうよ」

男「エアライドやろうぜエアライド」


幼女「にいにい……あたちもにいにいと仲良く遊びたいよぉ」グスン

男「!」チョウッエキサイティン!

八百屋「!」チョウッエキサイティン!

酒屋「!!」チョウッエキサイティン!

肉屋「ッ!」チョウッエキサイティン!


幼女「あたちもにいにいと3Dアクションゲームしたいよぉ……」グスン


肉屋「次ドンジャラやろうぜ!」

八百屋「そこは普通の麻雀がいいな」

男「同感だな」

肉屋「なんだよー…ややこしいのいやなんだよー」ウガー

八百屋「ほら、汗かいてる。女の子なんだからハンカチくらい持ち歩こうね」フキフキ

肉屋「うげっやめろー!男のくせにハンカチ持ち歩くなー!」

男「ハンケチwwハンケチーフww」

男「アリアリな」

八百屋「ピンヅモもね」

ジャラジャララー

男「アリアリな」

八百屋「ピンヅモもね」

ジャラジャララー

男「チッ!幼女の奴おっせーな!何してやがんだアイツ」

八百屋「そう言うなよ。前はあんなに可愛がってたじゃないか。最近、幼女ちゃんに辛く当たりすぎじゃないか?それに、まともに働いてないって聞いたけど……」

肉屋「そ、そうだぞ。幼女ちゃんに優しくしろ」

男「だーうるせいうるせい。チッ!いらねえいらねえ」

八百屋「君の背中、煤けてるよ……」

男「おん?」

八百屋「ロンってことさ」

男「ひぎぃ!」

八百屋「裏も乗ってるね。跳満だ」

男「ああー!幼女がお酒とおつまみ持ってこないからだー!」

酒屋「……」

酒屋「何なら自分が手伝いに行きましょっか」

男「おっ、いいのか?すまねぇな」

酒屋「いえいえ……」ニヤァ

男「三人なったし仕切り直すか!」ニパッ

八百屋「君って奴は……」

台所――

幼女「にいにい達見てたから遅くなっちゃった」トントントン

酒屋「幼女さぁぁーん」ニコォー!

幼女「!」

酒屋「何か僕に手伝えることはありませんかー?」

幼女「な、ないです!酒屋さんはお客様ですから……ど、どうぞ居間でおくつろぎくだ……」

モミュッ

幼女「ひぅっ!や、やだお尻さわらないでっ」

酒屋「ああん?何言ってんですかねぇ……言ったでしょ。毎日可愛がるって……俺の女にしてやるよ」

モミュッモミュモミュッサワサワ…

幼女「ひっ……ん!」

酒屋「ははは、大声上げてみろ。にいにいが来ますからねー。羞恥に上気した貴方の顔といやらしく尻を撫で回す俺を見てにいにいはどう思いますかねぇ」

幼女「や、やだぁ…」

幼女「んぁ…んっ…!」トントントン

酒屋「ははは、夢のようですよ!台所にうら若い男女が二人!一人は俺でもう一人は……幼女さんだなんて!料理をする幼女さんの尻を揉みしだく妄想でねぇ!俺はもう686回以上は抜いてるんですよぉ!」

幼女「…うぅ…いやぁ、そんなキルミーベイベーの一巻売り上げより抜いちゃいやぁ…」

酒屋「はははは、柔らかいお尻だ!これを男は毎日揉みしだいでいるのか…!」ワナワナ

幼女「にいにいは…そんなこと、しないもん…っ」

酒屋「嘘をつけぃッ!こんな桃尻を前に理性保てるわけないだろ!」

酒屋「あー分かったぞ。にいにいはね、貴方のことが嫌いもしくは興味ないんですよ。うん。合点がいく」

幼女「ち、違うっ……にいにいはいつも優しいもん」

酒屋「ハッ、あの男がねぇ……俺ならもっと貴方を大事に優しくしますよ……ねぇ?どうです?」

サワサワ…モミュンッ

幼女「ああっ……もう、やめてぇー…!」

酒屋「ハハハ!最高ッ!エプロンをして台所に立つ幼女さん!!隣で愛を囁く俺ッ!!」

幼女「うぅぅ…!」トントントン

酒屋「おいいま何してんだ幼女」

幼女「ひぐっ…うっ…ぐすっ」トントントン

酒屋「旦那様にしゃんと答えろぃッ!」

クニクニ…

幼女「…っ!そこは、ダメ…!……いっ……いたいよ……爪、いたいったら…」

酒屋「あん?気持ちいいの間違いだろ?何してるか言え」

幼女「柚子を……微塵切りにして、ます……」

酒屋「ほぉぉぉぉー…!!」

酒屋「なんで柚子を刻んでんだ?ん?」

幼女「湯がいた大根に……!味噌をかけて……その上に、トッピングします……っ」

酒屋「ハハハ!いいね、いいねオイ!うんそうだな!子供の名前はユズヒコにしよう!女の子ならみかんだ!」

幼女「いやぁ…あたしンちいやぁ…」




酒屋「隠し包丁はせんでいいのか?んー?」

幼女「しま、す…っ…面取りも…しま、す…っ」

モミュッモミュックニクニ

酒屋「ハッハッハ!とっとと料理を作らないとにいにいにもっと嫌われちゃいますよー!」

幼女「鍋に…少量の米と昆布…出汁昆布から…出汁…とり、ます…っ…ひぅ!…えぐみが出ないように…お湯が沸騰しないうちに取りだし、ます…っ」

酒屋「家庭的な幼女さんいいですねぇ…!」ヘコヘコ

幼女「(お、お尻に変なもの当てられてる…助けてにいにいぃ)」

幼女「鍋に味噌、味醂、料理酒をいれて火にかけます…うっ…ぐすん」

幼女「出汁で湯がいた大根に先ほど火にかけた味噌をかけます…っ」

幼女「仕上げに柚子の皮を刻んで振りかければ完成、です…うっ…うぅ」ポロポロ

モミュッモミュッ

酒屋「な、なんで泣いてるんですか幼女さん!?あ、嬉しいんですね!ヘヘヘッ!」

幼女「いやぁ…にいにい…!」

肉屋「おーい、二人ともー」

幼女「!」フキフキ

酒屋「チッ……」

肉屋「遅いから見に来たぞー」

肉屋「ん?目が赤いぞ幼女ちゃん!泣いてたのか?どっか怪我した?」オロオロ

幼女「んーん…柚子と大根切ったから…」

肉屋「なんだそっかぁ」ホッ

酒屋「ちょうど完成しましたよ。持っていきましょうか」ニコ

肉屋「あ、私これ好き!やったー」

八百屋「幼女ちゃん本当に腕上げたね」マルマルモリモリ

肉屋「だなー」ムシャコラムシャコラ

男「酒うめー酒うめー」

八百屋「……そうそう、今日集まったのは、まぁ遊びも兼ねてなんだけどさ」

八百屋「皆にも来たよね。柄の悪い人達」

酒屋「あー来ましたね」

肉屋「……きたぞ」

男「知らねーなー。来たんじゃねーかなー」グビグビ

八百屋「やっぱりね。魚屋さんのとこにも来たそうだよ」

酒屋「見境ないスねー」

八百屋「電器店君の情報筋によると、奴らは…奴らの雇い主はここに巨大アミューズメント施設を作るつもりらしい」

肉屋「!…な、なんだそりゃ!聞いてないぞー!」

八百屋「それで、その建設予定地にはどうやら僕達の店はおろか、エキサイティン通り全体がすっぽりおさまってしまうらしい」

酒屋「え!?そんなっスか!」

肉屋「しょ、商店街なくなっちゃうのか!?」ガタッ

八百屋「……皆、どうする?」

八百屋「ひだまり会とかいう地上げ屋が早くも商店街のあちこちに手を出している」

八百屋「裏で動いてるのは巨大資本だ。チンピラ連中との揉め事は避けられない」

酒屋「どうするというよりもう売っちまいましたね、自分は」

肉屋「!…お前…」

八百屋「そうか…それも選択だ。肉屋はどうする?ハッキリ言って要求を呑まないと危険…」

肉屋「絶対に売り渡さないね!じいちゃんの代から続いてきた店なんだ!」

八百屋「……はぁ、言うと思った。……当然、僕も言いなりになるつもりはない」ギリ…!

肉屋「お前たまにカッコイイゾー!」バシバシ

八百屋「痛いよ」

八百屋「それで、男君…君も当然…」

男「え?なに?」グビグビ

肉屋「お前男…!ちゃんと聞いてたのか?」

男「あーハイハイなんかよく分かんないけどさ、土地買ってくれる人がいるんだろ?売りゃいいじゃん。高値で売れるならさ」

酒屋「同意見っス!」

男「ははは、だよなだよなー!」

肉屋「え…?お、男?」

八百屋「……」

肉屋「男?嘘だろ…?男ー!!見損なったぞー!!」

八百屋「親父さんが大切にしてきて、幼女ちゃんと二人で守ってきた店だろ?いいのかい」

男「いいのいいの!」

男「俺みたいな凡人がさ『鉄人』だとか持て囃された親父の店継いで…上手くいくわけないわな。客あっという間に減ったもん!ハハハ!マジで笑えたよ。プレステの俺の料理してるのが俺にはお似合いさ」ハハハハハ!

酒屋「男さんマジはんぱねぇー!」ハハハハハ!

肉屋「お、男……」

八百屋「……」

男「だいたいさ、昔っから嫌だったんだよね。なんで実家が飯屋だからって料理人やらなきゃいかんのよって。しかも、俺、てんでヘッポコ料理人だぜ?
お前らもそうじゃないの?家が肉屋だとか家が八百屋だとかさぁ……良い機会だよ。うん。今時、商店街もないわな!」ハハハハハ!

男「よーし!店と土地高値で売って新天地でしばらく遊んで暮らすぞー!あ、みなみけのBDボックス欲しいな!ウォー経験値上昇してきたーッ!」ハハハハハ!

酒屋「男さんマジテンション上昇パネェー!」ハハハハハ!

男「幸せをかかーげーてー!ドキドキたーのしんじゃーおー!経験値!上昇!見てーてねー!」ハハハハハ!

酒屋「はいっ!」ハハハハハ!

肉屋「うぅ……どうしちゃったんだ男ぉ」

八百屋「……」

男「M・I・N・A・M・I・K・Eッ!」

酒屋「Let's go!」

男「M・I・N・A・M・I・K・Eッ!」

酒屋「Let's go!」

男・酒屋「ハイ!ハイ!ハイ!ハイ!Fuーーー!!」


幼女「(え…?ウソだよね、にいにい…大事なお義父さんのお店売るなんてウソだよね…?)」


八百屋「男君」

男「ん?なんだよ何か文句救命阿ッッ!」ガラガラガッシャーン

八百屋「君は自分が何を言ってるのか分かってるのか!」

肉屋「や、八百屋!?」

酒屋「どうしたんスか八百屋さん落ち着いてくださいよマジで!」

男「ってー……なんだよ、いきなり……」

男「あーそうかよそうかよ…お前みたいなモヤシ野郎と殴り合いなんて今までしたことなかったが…」

肉屋「や、やめろお前ら!私たち、仲の良い幼馴染みだろ!?」

男「退いてろ肉屋!」ドンッ

肉屋「きゃん!」

八百屋「肉屋!」

男「さぁ第2ラウンドといこあべし!ひでぶ!」ガラガラガッシャーン

八百屋「…!…!」

男「ちょっやめ!あがっ…」

男「バタンキュー」

ありがとう

幼女「やめてぇー!」

男「」

八百屋「幼女ちゃん…」ハッ

幼女「にいにいに…にいにいに乱暴しないで」

八百屋「ごめん、幼女ちゃん」

肉屋「お前…やりすぎだぞ!謝れ!」

八百屋「幼女ちゃん、本当にごめんなさい」

肉屋「男にもー!」ウガー

八百屋「……」

男「……ケッ、店を売る理由が増えたぜ……!こんな糞みたいなとこ出てってやる…」

肉屋「お、男…?ほらそんなこと言わないで仲良くして、さ」オロオロ




男「だったら条件があるッ!仲良しごっこする代わり、その着痩せするワガママボディ揉みしだくぞオイッ!」

肉屋「な、なに言ってんのお前!」

酒屋「そうですよ男さん」

男「だからさ、お前の肩バラとサーロインとイチボを俺のホーデンでだな…」

肉屋「え、えっちなのはいけないんだぞ!」

幼女「にいにい…」

男「黙りねィ!!まずは俺のをタンで…」

肉屋「ひぃっ…!」ササッ

八百屋「……」

男「ハハハ!八百屋の背後に隠れるとはッ!こうなれば肉屋も草食動物よ」

男「おん?なんだ八百屋?その呆れたような顔は」

八百屋「……君は変わってしまったんだね」

男「変わらないもんなんてないさ!」

八百屋「……」

男「というかお前も変わったよな。泣き虫でひ弱でいつも肉屋の影に隠れてた癖によ…いっちょ前になんだオイッ!」

男「今じゃ逆だな!いやぁアスパラベーコンがロールキャベツになった過程を垣間見たぜッ!!ムカつくねッ!」

男「ウザかったよなぁ。弱虫八百屋にまとわりつかれてさ。ホント。今の優男でもいっちょ前な感じは更にムカつくけどなッ!」

肉屋「お、お前ホントに男か…」

八百屋「……そうか、そうか。君はそんな奴だったんだな」

男「あぁッ!そんな奴だよバッキャロイ!すっとこどっこいのこんちきしょうめ!」

幼女「ち、ちがうにいにいは…」

肉屋「どうしたんだよ二人ともぉ…」

男「あーあー!あーあー!飼い犬に噛まれた気分だぜ!最悪だよ、もう!…どっかで飲み直すかなッ!!」

ガチャ!バタン!

幼女「にいにい…」エグエグ

男「あームカつくムカつく…」

男「…っても金がないんだよなぁ」

男「幼女から小遣いもらうの忘れてたし…」

男「どうすっかなぁ…」

男「ん…?あれは…魚屋さん。魚屋さん!」

魚屋「おう、男じゃねえか」

散髪屋「ゲッ」

男「これはこれは散髪屋さんも。お二人共どちらへ」

魚屋「地域振興会の集まりだよ。お前んとこにも回覧板回ってきたろ」

男「そうだっけ?いやぁ、幼女に任せてるからなぁ」

散髪屋「マジ最悪…」ボソッ

男「ん…?あれは…魚屋さん。魚屋さん!」

魚屋「おう、男じゃねえか」

散髪屋「ゲッ」

男「これはこれは散髪屋さんも。お二人共どちらへ」

魚屋「地域振興会の集まりあってな。その帰りだよ。お前んとこにも回覧板回ってきたろ」

男「そうだっけ?いやぁ、幼女に任せてるからなぁ」

散髪屋「マジ最悪…」ボソッ

魚屋「お前な…」

男「そんなことより今から打ち上げでしょ?御供しやすよ…へっへ」

魚屋「いや打ち上げってな…まぁいい機会だ、お前にちょっと話があったしな。行くか」

散髪屋「!?」

男「きゃっほーい!魚屋さんの奢りだぁー!」

散髪屋「……チッ」

魚屋「じゃあ居酒屋でいいな?」

男「ハイハイ行くよ!」

散髪屋「…マジありえんし」イライラ

居酒屋――

男「あああああ!お酒美味しいよおおおおおお!」

魚屋「そりゃ良かった」

散髪屋「…チッ」

男「おっ、散髪屋ちゃん舌打ちなんかしてどうした?ん?」

散髪屋「…マジ話し掛けないでくんない?キモいから」

男「なんだとッ!しばらく見ないうちに生意気になったもんだぜ!生おかわり!」

ガヤガヤ…

男「おっ、俄に賑わってきたぞ。ハハ、場末の小汚え居酒屋なのによ」

居酒屋「小汚なくて悪かったな」

男「しっかし、今日はほんと妙に人が多いな」

魚屋「集まりがあったからその流れでだろ?…相談事や話すことも多いだろうな」

男「ふーん」

魚屋「ふーんってお前なぁ、他人事みてぇに…」

散髪屋「ムダだよ魚屋さん。こいつマジ最近いい噂聞かないから」

男「アレだろ、アレ。なんか土地売ってくれって皆言われてんだろ?」

魚屋「あぁ」

散髪屋「……一応知ってんだ」

魚屋「その事でお前に話があった。男、お前…まさか店ェ手放すつもりじゃないよな?」

男「……だとしたら?」

魚屋「うお言いやがったよ」

散髪屋「サイッテー…!」

魚屋「はぁー…今のところ、お前と酒屋くらいだぞ。店を売るのに戸惑いないの」

男「ハハハ、そっかそっか。今のところ、というとこれから増える予定でもあんの?」

散髪屋「……」

魚屋「……酒屋が賛成派の筆頭でな。町内会でも閥の悪そうな顔した奴らを率いて商店街の売り渡しを推し進めてんだ」

散髪屋「あいつ絶対金もらってるよ。商店街の裏切り者とかマジありえない…!」

魚屋「そう言うな」

散髪屋「だって…」

魚屋「…あいつも商店街の仲間だろ。他の連中だって、何も好きで賛成してるわけじゃない」

散髪屋「ふん、脅されてビビってるだけじゃん。プライドないのって感じだし」

魚屋「だからそう言うなって」

男「生おかわり!」

男「んで、なんで俺にそんな話を?」

魚屋「…出来れば店を続けてほしいと思ってな。お前の店は…」

男「名店として知名度がある。集客効果も大きい」

魚屋「……」

男「はぁー…俺じゃなく、親父なんだけどな。凄いのは」

男「だいたいさ、俺の腕で続けても仕方ないって。いっきに評判も落ちて一時期客来なったし」

散髪屋「…それでも。アンタはへっぽこでも店自体に集客力がまだあるんだっつの」

男「ワガママだな、あんたら」イライラ

男「たくっ、なんだよ揃いも揃って。生おかわり!」

魚屋「…ただそれだけじゃねぇんだよ。お前の親父さんは俺たちの拠り所だ。精神的な主柱なんだよ。…店、守っちゃもらえねぇか」

男「ケッ……おーおー人の事情も考えないで好き勝手言いなさる」

散髪屋「この…!!アンタのお父さんだけじゃないよ、魚屋さんはバカなアンタまで心配してる」

男「おん?」

散髪屋「お父さんの店を簡単に捨てられるはずがないって。あいつはそんな奴じゃないって。…あとで後悔するだろうって」

男「…お前らに何が分かるってんだよ…生おかわり!」

散髪屋「アンタも魚屋さんの財布事情考えなよ!」イライラ

男「ハハハ、あんま金ないの?そうだよな、通り自体に買い物客減ったしなぁ…だったら昔みたいに船に戻れば?凄い船乗りだったんだろ」

魚屋「…昔の話だ」

男「へぇー、散髪屋はなんで古臭い店継いでんだ?」

散髪屋「はぁ?お父さんがやってたからに決まってんじゃん」

男「ハイハイそうかお前もか。その道じゃ有名な理髪師の父ちゃんに師事したお前なら都会でもやっていけると思うがね」

散髪屋「……まだお父さん越えてないし。あたしはアンタと違うから」

男「おん?どういう意味だコラ」

散髪屋「偉大な父親を持つってのは確かにキツいときもあるよ。でもさ、アンタと違ってあたしは逃げたくないから」

男「……なんだとッ!」

散髪屋「事実じゃん」

魚屋「おいお前ら喧嘩はよせ」

男「とか言って魚屋が近くにいるから継いだだけじゃねーのッ!!」

散髪屋「は、はぁ!?マジきもい!ありえないからこんなオッサン!」

魚屋「……」

散髪屋「だいたい歳が一回り離れてるし!」

男「愛に歳の差なんて関係ないだろッ!」

散髪屋「だよね! ってきもい!ロリコン〇ね!」

男「なんだとクソビッチがコラァッ!テーブルひっくり返してや――」

ググ!

男「固定されてたァ!」ググググ…!

散髪屋「だっさ」

男「ああああああああああああああああああああクソビッチが!!もう帰るッ!ごちそうさまッ!」

魚屋「お、おう……」


男「いてて…腰痛めたぜ…!」

男「…整骨院まだやってっかなぁ」

整骨院――

男「おうやってるかい?」

鍼師「…」コクン

男「…ってうわ、なんだこの有り様…!?ひっちゃかめっちゃかだ。肉屋の部屋よりひでぇな。なんかあちこちに針が刺さってるし」

鍼師「……男の人…きたから」

男「あーお前んとこもな。んで、どうしてこんなことに?」

鍼師「ムリヤリ判子押されそうになったから……これで」ピッ

男「(鍼でどうしたんだよ…さいとうたかをの漫画かよ…鍼師こえぇ)」

男「じゃ、じゃあ頼むぜ」

鍼師「……」ツンツン

男「おっ、そうだよ流石。腰。良く分かったな」

鍼師「……」

男「おん?横になれって?」

鍼師「……」コクン

男「へーへー」

男「しっかしよぉ、意外でもなんでもないが…やっぱりお前もそっち側かよ」

鍼師「……」ピッピッ

男「待て待て。俺はハリ治療はいいからな?レーザーとか指圧とかあんだろ?」

鍼師「……」

男「いや、ほんといいから」

鍼師「……レーザーから」ムスッ

男「あ、あぁ…」

薬屋「鍼師ちゃーん、湿布届けに……」

サクッ!サクッサクッサクッ!

薬屋「ひぃっ!な、なんで私に鍼投げるのぉ!?」ジョワァ~

鍼師「……人違い」

男「あだだ…電圧落とせ!痛いわッ!」

薬屋「あ、ニートの男くん」

男「おう薬局のちんちくりん」

薬屋「働いたほうがいいと思うな…」

男「お前は漏らしたの気にしたほうがいいと思うな」

男「なぁ、薬屋。お前も売り渡し反対なん?」

薬屋「まぁね。鍼師ちゃんもそうみたいだし…代々受け継いできたお店だからね」

男「ケッ、どいつもこいつも…」

鍼師「……」ヴヴヴヴヴ

男「バイターしゅごい゙い゙い゙ぃ゙ぃ゙ぃ゙ぃ゙…!」

薬屋「腰痛なの?お薬あげよっか?」

男「おうなんだ気前いいな」

薬屋「いや、お金はとるよぉ」

男「おん?今手持ちが一銭もねぇんだよコラ」

鍼師「……」ピクッ

男「あっやべ」

鍼師「……手持ちがない?」

男「……いやぁ、財布忘れちゃった」

鍼師「……」ギロリッ

男「お、俺とお前の仲だろ?なぁ!あ、そうだ薬屋…」

薬屋「あ、はは…わ、私帰るね!」

鍼師「治療費払わないで逃げるつもりだった……?」

男「ち、ちがう!頼むよ…許してくれ!なっ?」

鍼師「……」ウーン

男「(隙あり!)」タッ!

鍼師「!」

男「じゃあな!金はいつか払うわ!」

鍼師「……!」ピシュ―

トスッ!

男「(あれ……?背中に何か刺さっ……身体が動かな……!?)」バタリ

鍼師「……身体、痺れて動かないでしょ」クスクス

男「ば、化け物め…」ガクガク


男「俺をどうするつもりだよ…?」

鍼師「……」

男「な、なんだよ」

鍼師「……バイト」

男「は?」

鍼師「タダ働き…してもらう」

男「(命は助かったな…とりあえず)」

男「わ、分かった。ならさ、早く痺れ治してくれ。ツボ一突きすれば治せるんだろ?」

鍼師「……うん」

鍼師「やっぱりやめた」

男「!?」

鍼師「男くん逃げそうだし…」クスクス

男「くそう…」

鍼師「朝には治る…」

幼女「ふわぁ…朝の仕込み、しなきゃ…」

幼女「にいにい…結局帰ってこなかったな…」

幼女「仲良しの八百屋さんと喧嘩したみたいだし…心配だなぁ」グスン

幼女「……どこの家にお世話になったんだろう?それともネカフェかな?……女の人の家はやだなぁ…」グスン

整骨院――

鍼師「……」クスクス

男「おい…治してくれれば自分で食えるぞ」

鍼師「だめ…逃げるから…あーん」

男「(屈辱…!屈辱だ…ッ!)」プルプル

鍼師「……昔もした」

男「おん?昔だ?」

鍼師「あなたが小さいとき…」

男「……覚えてねぇなッ!」

鍼師「私も子供だったけど……」

男「おうご存知だよッ!」

鍼師「おおきくなった…」ナデナデ

男「……も、もうちょい身を乗り出して上体を前傾させろ!」ハァハァ

男「うぬぅ…痺れがとれたぜ!快調快調!」

鍼師「……」ジー

男「逃げねぇよ!」

鍼師「じゃあ、施術は私がやるから…受付」

男「へーへー」

鍼師「の前に片付け」

男「へーへー…」

ガヤガヤ…

男「朝一から結構ジジババがくるな…さすが腕に評判がある鍼師だ。こいつもわざわざこんな場所に拘らんでも…」

男「しかし派手にやったなぁ。鍼師一人でチンピラ全員追っ払えるんじゃねえかなぁ…」

ババア「おにいさん、ちょっと、ちょっと」

男「おん?なんだババアッ!」

ババア「電圧足りないから上げてほしいのだけれどねぇ」

男「お前も腰か」

ババア「そうねぇ。フルスクワットしてたら腰を痛めてねぇ」

男「心得たッ!」

ジジイ「おにいさん、こっちはレーザーの位置がずれたんだけど」

男「ジジイッ!肩か!?」

ジジイ「ベンチプレスしてたら痛めてねぇ…」

男「心得たッ!」

男「あああああー…疲れたぜ」

鍼師「男くん……本日の営業。終わり」

男「おっ、そっかそっか。本当は夕方までなんだよな。…昨日は時間外に治療してくれて…すまなかったな」

鍼師「……」フルフル

男「おん?気にしなくていいって?でもまぁ…ありがとな」

鍼師「……」ニコニコ

男「はぁー、あれだな、こんなに働いたのは久しぶりだぜ」

鍼師「……いいこと」ナデナデ

男「だぁ!一々子供扱いはやめろ!…たくっ、だけどこれでもういいだろ!お釣りが出てもいいくらいだぜ」

鍼師「……」

男「おん?」

鍼師「……時間外治療は…五万から」クスクス

男「!?」

男「じゃあな!八百屋にツケで!」タッ―

――トスッ

男「……く…そがぁ…」ピクピク

鍼師「男くんはすぐ逃げる……」

男「逃げるに決まってんだろ!お前怖すぎるんだよ!なんのつもりなんだよ…!」

鍼師「……男くんが心配」

男「心配な相手に鍼投げるんじゃねえよ!」

鍼師「……私から逃げるのはいい。イヤだけど」

男「……」

鍼師「でも、男くんは男くんから逃げちゃダメ」

男「はぁ…今日はよく喋るな。いいからマヒ状態治してくれ」

鍼師「……」

男「なんだッ!まだ何か小言を言うつもりか!?」

鍼師「……」コクン

男「分かったッ!お前の腹は読めたぞ針女ッ!お前も俺に『店を守れ』だの『身体を張って商店街を守れ』だの言うつもりだなッ!」

鍼師「……」フルフル

男「嘘つけゴラ!」

鍼師「…私は男くんが店を売っても、商店街を見捨てても構わない……」

男「え?そうなの」

鍼師「よく自分と向き合って、男くんがそうしたいと本気で思うなら。…自分からは逃げちゃダメ」

男「……」

鍼師「他からは逃げてもいい。お父さんからも…商店街の皆からも…料理やお店からも…幼女ちゃんからだって……」

男「バカか、そんな簡単に…」

男「……」

鍼師「男くんが許せなくても、私が男くんを許すから…」

男「は?」

鍼師「だから…私が男くんを守る」

男「(なんだ…?こいつ何考えてやがる…?昔からたまに妙に優しくしてくれたり得たいの知れないところはあったが…)」

鍼師「……」モジモジ

男「(今のコイツは謎過ぎる…!)」

鍼師「……男は才能がある。これからも私の整骨院で働けばいい」

男「ならオッパイを見せろッ!」

鍼師「!」

鍼師「……ん」ヌギッ

男「ッ!?」

男「本当に脱ぐやつがあるか!」

鍼師「……下着はつけてる」

男「おうご存知だよッ!」

鍼師「シャワー……」

男「お、おん?」

鍼師「……すぐ上がるから」

ガチャ

男「な、なんだ!なんだってんだあいつは…!」

男「オッパイ見せてくれるのか…!?」

男「否ッ!これは罠だッ!」

男「きっと一生涯整骨院で働かせられるに違いない!」ガタガタ

男「ふっ、オッパイなんぞに釣られる俺じゃないぜ!」

男「……ちょっと惜しいが……」

男「逃げるが勝ちだ!俺は人生勝ちっぱなしだな!」ハハハッ

男「痺れるが問題ない!」シャカシャカシャカシャカシャカシャカ

ガチャ

鍼師「男くん…上がった」

鍼師「?」キョロキョロ

鍼師「……男くんはすぐ逃げる……」


エキサイティン通り・路地裏――

男「動け!…動けよ!」

男「くそ…痺れが増して身動きできねぇ…」

男「ヤバイよ…ヤバイよ…」

男「鍼師に見付かった生涯労働だ。八百屋とか魚屋に見付かっても更生施設代わりだといわんばかりに整骨院にぶちこまれそうだ…!」

男「肉屋とか薬屋に見付かったら…幼女んとこに帰れるが『幼女に心配かけて!』だとか説教と同時に働くことを約束させられるだろう」

男「俺のニートライフに陰りが生じてきたぜッ!!」

男「くそう!くそう!」

男「お節介で世話焼きで差し出がましくて……」

男「商店街なんて……」


男「商店街なんて大っ嫌いだァッ!!!」ガクッ

??「なんだコイツ!兄者、こいつ商店街嫌いとか言ってますよ」

??「ほう、おもしれぇ…事務所まで運べ」

おうご存知だよ!

>>118
ごめんIDワロタwwww

男「ん……?」

チンピラB「兄者ー!こいつ起きたー!」

男「なんだ嬢ちゃん…ここはどこだ?」

チンピラ「おう、気付いたか?」

男「……誰だ、あんたら」

ごめん!ウンコします!

チンピラ「誰だとはご挨拶だな。俺らがせっかく助けてやったのによぉ」

チンピラB「じゃけんのう!じゃけんのう!」

男「助けてやった…?」

チンピラ「そうだぞ」

チンピラB「兄者嘘つかない!」

男「(見たところこいつらは怖そうなお兄さん…と女の子。俺はヒップホップ育ちじゃないし悪そうな奴は大体友達じゃないはずだが…)」

チンピラ「お前な、もう少しで商店街の連中に連れ去られるところだったんだぞ」

男「…なに!」

チンピラB「ホントホント。そこを兄者がぱぱーっと助けたんじゃ」

男「…!!」


男「そ、それはホントか…ッ!」ワナワナワナ

チンピラB「ホントホント」

男「どんなやつらがこの俺を働かそうとしたんだ!?」

チンピラB「え、えーと…確かでかくて色黒の奴とか痩せて白い男とか…」

男「魚屋と電器屋かッ!あんの野郎ッ!店のトイレで外しウンコしてやる!」フーッフーッ

チンピラ「フフン…商店街を妨害する気か?」

男「あぁ!無論だぜッ!」

チンピラ「なら…手を組まねぇか。兄ちゃん」ニヤァ

男「…おん?」

チンピラ「もう分かってると思うが俺らはいま一番ホットな話題のひだまり会のモンだ…妨害するんなら手を貸すぜ」

男「…俺はチンピラなんかにならないぜッ!」

チンピラB「チンピラだと!」

チンピラ「よせ…いいじゃねえか」

男「……」

チンピラ「あんたに俺達の仲間になれってんじゃない。あくまで対等な協力関係だ」

チンピラ「工作活動に使う資金や人員はこちらで貸す。その代わり、奴等の内部事情もこちらへ寄越せ…あんた、商店街の者なんだろ」

男「フフン…なるほどなぁ」

男「乗ったッ!」

男「――なんて言うと思ったか!俗物めッ!」

チンピラB「!?」

チンピラ「……」

男「まずだなぁ、俺を!俺を誰だと思ってやがる!商店街に名を轟かすニートだぞッ!」

男「奴等に酷い悪戯はするつもりだ!お前らと利害は一致してるな!けどなッ!」

男「あんたらの都合で動く!それ即ち、働くと同義ッ!しかもボランティア!」

男「俺はな、ニートなんだよ!そしてな、ニート嘗めるなッ!!」

チンピラ「……金は払うといったら?」

男「くどい!金の問題ではない!」

男「俺の精神の在り方の問題だッ!お前らは閉店まで追い込むレベルで妨害工作するつもりなんだろう!?
俺はそこまでするつもりはない!めんどくさいし!つまり利害は一致しても目的地が違うのだ!
自ずとそのズレは表面化し、俺はそれを『労働』という形で補わなくてはならないッ!」

男「とどのつまり、それは働くということだッ!」ダン!

チンピラB「!」ビクゥ

男「働きたくない…!働きたくない…!俺は働かねぇぞッ!」

チンピラB「兄者、兄者…こいつの言ってることよく分からないぞ…」ヒソヒソ

チンピラ「俺もあんま分からん…」ヒソヒソ

男「(えぇい、何をヒソヒソと…胡散臭い奴らだ…!)」

チンピラ「…あんたの言いたいことは分からんが分かった。まぁ考えちゃくれねえか?厚待遇で迎えるつもりだ」

男「むぅ…まぁ考えてはおくぞ…恩人には変わらないしなッ!」ニカッ

チンピラ「それと、今晩はもう遅い…うちの事務所の空き部屋で休むといい」

男「マジで!?」

チンピラB「ええ?兄者、いいのか?」

チンピラ「まぁ、見てな…」ヒソヒソ

男「へっへ…あんたら見掛けによらずいい奴だな!ありがとうッ!」

ガチャバタン!

チンピラB「兄者ァ…恩に着せてもアイツは動かないタイプだと思うぞ」

チンピラ「確かにな。むしろ仇で返すタイプだ。高利子で」

チンピラB「じゃあなんで…」

チンピラ「ふん、お前もまだまだ未熟だな。まぁ、あの手のクズにも上手い転がし方はあるんだよ…!」ククク

チンピラB「ふーん…くぁー…ねむい…」ボフッ

チンピラ「おい、ソファーで寝るな娘っ子が腹出すな風邪引くぞ」


男「ふんふふ~ん。いとーしーさとーせつーなーさとーこころづよーさとー」

男「しっかし、あれだな!怖いお兄さん達の事務所とか初めてきたぜ!…ちょっとあちこち調べてみるか!」

男「やっぱ裏ビデオとかあるんかな…!!」ガサゴソ

男「ムムッ!なんだこれは!?」


ありがとうッ!

男「しょ、書類…」

男「商店街の連中のだッ!」

男「ヘッ…なんでぃなんでぃ…売り渡しに合意する奴もそこそこいるじゃねえかッ!何が商店街の結束だよ、所詮は金だっての」

男「(これはクリーニング屋…?営業写真館もある!ウッソだろおい…あいつら、絶対に反対派かと…ん?なんだこれ、水滴の跡だらけだな)」

男「(まさか…涙の跡…?)」

男「ハハハ…あいつら、営業不振に頭抱えてたからな…」

男「会うたんびにやつれてよ…」

男「ハハハ…あいつら、営業不振に頭抱えてたからな…いまにも死にそうな顔で『男さん、うちはもうだめだ』って」

男「会うたんびにやつれてよ…」

――他の連中だって、何も好きで賛成してるわけじゃない

男「……いいじゃねえか、肩の荷も下りるだろ。この不景気のご時世、あいつらが背負おうとしてるのは重すぎるぜ…」

男「…そうだ、これでいいんだよ。潮時なんだ、俺達は…」

男「商店街なんて続けたってどうせイ〇ンに潰されんのがオチだしな…例えるなら帝国に少数の反乱軍が挑むような、ゲームでしか勝てないような展開だ…」

男「バハムートラグーンみたいに精神的にキツい戦いを続けて、待ってるのはドラッグオンドラグーンの新宿endだ」

男「……他の店のもよく見りゃ字が震えてたり、涙の跡があったり…けっ…どいつもこいつも…本当に…」

男「本当に……」

男「けっ…あーやだやだ!お人好し共のせいで妙に感傷的になっちまった!とっとと寝るか!」

ペラッ

男「あ、1枚落ちた――ッ!?」

男「な、なんだこりゃあ……ッ!?」


男「う、うちの店の契約書…!?」

男「バカな…!そんなはず…!ま、まさか…幼女の奴…ッ!」

――ドクン!

男「ハ、ハハハ…そうかよ…やっぱ俺に味方なんていないよな」

男「幼女ォォォオオ!絶対許さねぇ!!!裸にしてドローンに縛り付けて飛ばしてやるッ!!」


チンピラ「(ククク…堕ちた…!)」

翌朝――

肉屋「はぁー眠い…さて、今日も仕事…って!」

肉屋「わ、私の店をストーブが囲んでる!?肉は鮮度が命なのに!?」

肉屋「こんな事できるのは…電器屋ァ!あいつなんてことを…!」ワナワナワナ

肉屋「あち、あちち!ただでさえ暑いのにストーブで囲みやがって!殴り込みに――」

ピキピキ…!

肉屋「あ、あれー?足下が固まって動かない…?」

氷屋「やっぱり貴女ね…!」

肉屋「氷屋!なんの真似だよ!」

氷屋「とぼけないで!私の店から氷盗んだの貴女でしょう!」

肉屋「は、はぁ?なんで私がそんなこと…」

氷屋「この状況を見れば一目瞭然よ!道に並べられたストーブから肉を守るために氷を盗んだのね!」

肉屋「ち、ちがうったらー!」

氷屋「問答無用!れいとうビー――」

肉屋「クソ…!靴を脱げば…!」スポッスポッ

肉屋「とにかく違うからな!」タタタッ

氷屋「あ、コラ!待ちなさい!」

花屋「おう氷屋ァ!!」

氷屋「なに!?いま立て込んで……」

花屋「うるせぇ!!俺んちの花ぜんぶ氷づけにしたのテメェだろ!」

氷屋「え、ええ?私ちが…」

花屋「すっ惚けるな!花氷の依頼はしたが店の花ぜんぶ氷づけなんて頼んでねぇよ!フラワーアレンジが過ぎるぜ!」

ガシッ

花屋「んだコラ!いま取り込み中…」

魚屋「おう花屋ァ…うちの刺し身のタンポポ…薔薇にしたのお前だろ!!」

花屋「し、してねぇよ!!」

魚屋「しかもスズランやキョウチクトウやエンゼルトランペットまで混ぜやがって!」

花屋「おっさん詳しいな!?」

魚屋「毒性あるのシャレにならねぇだろうがァ!!」

ガシッ

花屋「あ、あんだやんのかゴラァ…」

肉屋「ちょ、ちょっと魚屋さん…」

氷屋「ふ、ふたり共…頭冷やして、ね?クールに、クールに!ね?」

魚屋「しかもスズランやキョウチクトウやエンゼルトランペットまで混ぜやがって!」

花屋「おっさん詳しいな!?」

魚屋「毒性あるのはシャレにならねぇだろうがァ!!」

花屋「あ、あんだやんのかゴラァ…」ビクビク

肉屋「ちょ、ちょっと魚屋さん…」

氷屋「ふ、ふたり共…頭冷やして、ね?クールに、クールに!ね?」

トントン…

魚屋「あん?なんだいま急がし……」

散髪屋「魚屋さん……魚屋さんがそんな人だと思わなかった!」ポロポロ

魚屋「うお!?なんだお前泣いてんのか…!」

散髪屋「とぼけないで!あたしの店の洗髪料の中身…全部イカスミになってたんだから!」

肉屋「うわ…」

氷屋「酷すぎるゲソ」

花屋「魚屋さん…」

魚屋「違う!やってない!」

散髪屋「今まで…子供の頃から親身になってくれたのに…!」グスン

魚屋「いやだからやってないって…」

氷屋「100年の恋も冷めるわね…キンキンに…」

花屋「赤い薔薇がイカスミに黒く染められて黒薔薇になった瞬間だな…」フッ

肉屋「?」

花屋「『愛情』が『憎悪』に裏返ったのさ…」

氷屋「ロマンチストうざ…」

花屋「心の冷たい女だな」

氷屋「まぁね」

散髪屋「もういい!アンタとの縁なんてカットしてやるー!」

魚屋「いや、だから…」

電器屋「あー、ちょっとよろしいですか?」

散髪屋「なに!?」

電器屋「私の店の製品のコードが全て切られていたんですけど…!断面からよほど鋭利なモノと予想してましてね…!」ワナワナワナ

散髪屋「!?」

散髪屋「ち、違うし!!きっと魚屋さんがカニとか放ったんだよ!」

魚屋「なに言ってんのお前!」

散髪屋「あ、あたしやってないから!」

電器屋「問答無用です!」

肉屋「電器屋ァ!!お前ノコノコと…!」

電器屋「はて?なんです肉屋さん」メガネクイッ

肉屋「なんです、じゃない!」ウガー

肉屋「私の店を囲む何十台ものストーブを見てみろ!肉が腐るだろ!」

電器屋「こ、これは確かに私の店の…!貴方が盗んだんですね肉屋さん!」

肉屋「ちっがーう!!」


電器屋「」

散髪屋「あ、あたしやってないから!」

電器屋「問答無用です!」

肉屋「電器屋ァ!!お前ノコノコと…!」

電器屋「はて?なんです肉屋さん」メガネクイッ

肉屋「なんです、じゃない!」ウガー

肉屋「私の店を囲む何十台ものストーブを見てみろ!肉が腐るだろ!」

電器屋「こ、これは確かに私の店の…!貴方が盗んだんですね肉屋さん!」

肉屋「ちっがーう!!」

ギャーギャー!

通行客「やだ、商店街の人達よ」

通行客「いい歳して言い争ってるぜ」

通行客「ダメな大人たちだなー」

通行客「商店街特有の暖かみとか好きなのに、ここもダメになるのかしらね」


??「ククク…見たか!」

子分1「へい!」

子分2「内部崩壊待ったなし!」

子分3「ああも的確に奴等の結束を崩すとは…さすが――」

子分s「――男さん!」

男「ククク…まだまだこれからよ」ニヤァ

男「次は居酒屋にシロアリを放つぞッ!!」

男「あそこはあれで重要拠点だ…!奴等の話し合いや情報交換の場…!あそこを攻め落とせば士気の低下や連絡系統を壊せる…!」

子分1「お、男さんパネェ…」

子分2「容赦ないっす!」

男「ククク…決まった顔しかこない寂れた居酒屋に引導を渡してやれ!!」

ありがとうッ!

男「ほかにも中華料理屋やレストラン、キャバクラがある。全部に工作してやれ!奴等の補給線を断つのだ!」

子分s「はい!」

男「ふぅー…さて、俺は帰ってネプテューヌの続きやるか!」


カチカチ…

チンピラB「あ、アンちゃん帰ったのか」

男「おん?プレスリーとテレビ空けろオイ!」

チンピラB「いまウイイレやってるから無理じゃのぉ」

男「なら俺にもヤらせろ!」

チンピラB「いいぞ」

男「ほかにも中華料理屋やレストラン、キャバクラがある。全部に工作してやれ!奴等の補給線を断つのだ!」

子分s「はい!」

男「ふぅー…さて、俺は帰ってネプテューヌの続きやるか!」


チンピラB「あ、アンちゃん帰ったのか」

男「おん?プレスリーとテレビ空けろオイ!」

チンピラB「いまウイイレやってるから無理じゃのぉ」 カチカチ

男「なら俺にもヤらせろ!」

チンピラB「いいぞ」

チンピラ「なんだお前ら帰ってたのか…」

チンピラB「あ、兄者!おかえりー」

男「試合間際だからってスライディングばっか止めろ!」

チンピラ「いまから中古で買ったドラゴンズドグマってやつやるからどいてくれ」

チンピラB「いまウイイレやってる」

男「見てわかるよなッ!」

チンピラ「なら俺にもヤらせろ!」

チンピラB「負けた方交代ね」

男「あと五分で15点か…おもしれぇ…!」

チンピラ「中々強くなったなぁ…チンピラB」カチカチ

チンピラB「兄者は相変わらず強いな」カチカチ

男「……世界樹の続きやるか…」

チンピラ「あ、そうそう。男、お前今朝は大活躍だったらしいな。早くも戦果を挙げるとは…」

チンピラB「兄者の目に狂いはなかったのぅッ!」

男「おん?まぁあのくらいわけないさ」

チンピラ「このまま頼むぞ。他の場所でも俺達は活動してるんだが、この地域…というか商店街の連中にはかなり手こずっててな。前任者なんて酷い状態で見つかった」

チンピラB「ウニと鍼まみれで氷漬けにされて、おまけにケツに花が生けてあったんじゃ」

男「酷いな…なんて野蛮な奴等だッ!」

チンピラ「ちなみに生けてあった花はオダマキだ…花言葉は『愚か』『勝利への決意』…奴等め、舐めた真似をッ!」

男「そんなナリで詳しいなッ!」

チンピラ「男、お前も無理はするなよ。今は奴等の戦意を削いだり圧力をかけたりといった地味な活動でいい」

男「しかしそれでは時間がかかりすぎるぞ!徹底的に悪をぶっ潰さねばッ!…まずは弱っちい薬屋を人質にとってだな…」

チンピラ「まぁ逸るな、男」

男「だけどなぁ…」

チンピラB「男!兄者に任せておけ!兄者はこう見えてインテリじゃけえのう!それに今の戦力じゃ厳しすぎるぞ」

男「……くっ、確かにな」

チンピラ「……もうじきだ。他の仲間も仕事を終えて、この商店街へ全戦力を集中させられる」

男「!」

チンピラ「いくら屈強で多彩な職人技をもつ奴等でも…数の暴力には勝てねぇよ…!」

男「ククク…なるほどなぁ…!」

チンピラ「そういうことだ」

チンピラB「二人とも、くれぐれも無茶はだめだぞ。弱っちなんだから」

チンピラ「ぐぬぬ…」

男「言ってくれるぜ…!」

チンピラB「二人は頭を動かしゃいいんじゃ。全面戦争まで水面下で妨害工作を続けないと…それも大事な仕事じゃけえのう」

男「分かってるっての!」

チンピラB「分かってればいいんじゃ。ただ二人は無茶しそうでわたし心配でな…」

チンピラ「くぅ…可愛い舎弟だぜ!今晩カレーな!」

チンピラB「ハンバーグがいい!」

チンピラ「似たようなもんだろ!」エプロンキュッ



チンピラB「夕飯まで時間あるな」

男「カスタムロボやろうぜ。V2な」

チンピラB「いや、来たるべき戦いに備えてトレーニングしないと。今日は胸と背中か…」

男「ちっ、なんだよ付き合い悪いな…ちっと散歩でもするか」

男「ふんふふーん…明日は何をしてやろっかな?」テクテク

男「薬屋の悪評広めたり豆腐屋のパンダトレノに悪戯すっかな。でも豆腐屋キレると怖いしなぁ…」

子分1「あ、いた!男さん!」ゼェゼェ

男「おうどした」

子分1「大変です!大変です!」

男「だからどうした?」

子分1「子分2と子分3がヘマしたみたいで…子分2は逃げられたみたいですけど子分3は…くっ!」

男「な、なんだとッ!」

男「子分3は…」

子分1「恐らく…生きてはいます。ただ、このままじゃ無事ではすまないでしょう…!」

男「…場所は」

子分1「キャバクラです」

男「くっ!あれほど気を付けろと…!」

子分1「この地域には戦える戦闘タイプのチンピラはいません!チンピラBさんくらいしか…!
は、はやく別地域に応援を要請するかチンピラBさんを…」

男「それでは間に合わねぇ」

子分1「な!じゃあ子分3は…!」

男「――俺が出る」

子分1「!?」

子分1「しょ、正気ですか!」

男「あぁ…!お前らとは会ったばかりだけどよ…同じ食卓囲んで同じ目標の為に動いて…なんというかその…悪くなかったぜ」

子分1「男さん…」

男「お前はこのことを本部に報せろ。さ、行きな」

子分1「け、けど…」

男「早くしろ。俺の気が変わらねぇうちにな」

男「!…おっと」ササッ

花屋「たくっ…今朝のは何だったんだ?あれからまだみんなギクシャクしたまんまだし…」

ゲーム屋「まぁまぁ花屋殿。明日になればぜんぶ元通りにござるよ」

男「(花屋か。見付かると厄介だな。軽い見た目の通り口も軽い。小さな商店街だ。俺の目撃情報なんてあっという間に広まっちまう)」

花屋「でも氷屋のやつ、ウシノシタクサって感じじゃなかったな…そりゃあいつとは普段から口喧嘩するけど本気でオトギリソウってわけじゃないし…」

男「(なに言ってんだあいつ)」

ゲーム屋「花言葉混ぜて会話されると意味わからんでござるよ…」


男「チッ…俺も焼きが回ったぜ」ポリポリ

男「!…おっと」ササッ

花屋「たくっ…今朝のは何だったんだ?あれからまだみんなギクシャクしたまんまだし…」

ゲーム屋「まぁまぁ花屋殿。明日になればぜんぶ元通りにござるよ」

男「(花屋か。見付かると厄介だな。軽い見た目の通り口も軽い。小さな商店街だ。俺の目撃情報なんてあっという間に広まっちまう)」

花屋「でも氷屋のやつ、ウシノシタクサって感じじゃなかったな…そりゃあいつとは普段から口喧嘩するけど本気でオトギリソウってわけじゃないし…」

男「(なに言ってんだあいつ)」

ゲーム屋「花言葉混ぜて会話されると意味わからんでござるよ…」

ゲーム屋「まぁ確かに、氷屋殿が商品にブリザラなんてたちの悪い悪戯はしないでござるな」

花屋「だよなぁ」

ゲーム屋「これは陰謀…何者かが我々の戦場の絆を引き裂こうと…!」

花屋「考えすぎだろ」ハハハ


男「行ったか…」

男「キャバクラはこっちの方だな」

キャバクラ――

男「……」コソッ

男「チッ…まったく俺も焼きが回ったぜ…!」

男「……おっ、ロッカールームか。……クンクンスンスン、この下着はいただいとくか」

??「それでさー」

??「マジありえなくない?」キャハハ

男「い、いかん!」カサカサ

ガチャ…!

キャバ嬢A「まだ誰もきてないじゃん」

キャバ嬢B「マジありえなくない?」

ドンドン…

キャバ嬢A「なんか天井から音聞こえない?」

キャバ嬢B「でかいネズミじゃないの?」

キャバ嬢A「そっかぁ…って下着がない!」

キャバ嬢B「あたしのも…マジありえなくない?」

ドンドンドンドン…

カサカサカサカサ…!

男「クソッ…なんで俺がこんな埃っぽい場所を這いずり回ってんだ…」

男「子分1のやつ…!どこにいやがる…!」

カサカサ…シュタッ

男「ふむ…だいたいはまわったがいないな…もうすぐ開店時間だぞ…!時間がねえな…!」

ガタンゴトン

男「ムムッ…何やら物音がこの部屋から…!」ガチャ

子分3「ん゙ー!ん゙ー!」

男「こ、子分3!?」

男「待ってろ!いま解いてやるからな」

子分差

男「待ってろ!いま解いてやるからな」

子分3「…ぷはぁ!お、男さん助けにきてくれたんですか!?」

男「あぁ、当たり前だろ…弟分を見捨てられるかよ」

子分3「男さん…!」ジーン

男「さ、帰ろうぜ。とっととこんな場所からエスケープだ」

子分3「はいっ」

男「おい、早くしろ!」

子分3「ま、待ってくださいよ!長いことロッカーの中で簀巻きにされてたんだからあちこち痺れてて…」

男「早くしろゲバル!…ん?」

男「なんだこの部屋…VIPルーム…?誰かいるな、こんな早い時間から…」

??「――」

??「――」

男「話し声…?」

VIPルーム――

キャバクラオーナー「こちら、ドンペリでございます」

??「おお、しかもエノテーク!いい酒置いてるなぁ」

カサカサ…

キャバクラオーナー「(不気味な客ね。帽子を目深にかぶって…一人は明らかに堅気のものじゃないし。こんな時間から何を…)」

男「(トンベリ?エスターク?ゲームの話か?)」

キャバクラオーナー「(まぁいいわ。拘わらんとこ)」

キャバクラオーナー「では、ごゆるりと…!」

男「(一人は派手なスーツ着た怖そうなオジサン。いかにもチンピラたちの仲間だな…もう一人は物陰に隠れて見えないな…!なんか知ってるような声なんだよな)」

??「で、計画の方はどうなってる?商店街の連中は懐柔出来そうか?」

??「まぁ任せろよ…チンピラ幹部」グビグビ

チンピラ幹部「……」

男「(ちょっと聞こえづらいな…)」カサカサ

??「半数はすでにこちら側だ。納得してるかどうかは知らんがね」

チンピラ幹部「…すると、もう半数は…」

??「あぁ。魚屋をはじめとする武闘派集団はまだ折れてない。だが、次のステップで必要だろ?」

男「(やっぱりチンピラのお偉いさんか…もう一人は商店街の奴か。それにしても内通者がいたなんて、俺は聞かされてないぞ。もしかしてチンピラも知らないのか?というか反対派が必要ってどういうことだ?)」

チンピラ幹部「…そっちの方の手筈は」

??「完璧だ。男がチンピラ達の仲間になっているとリークした。事務所の場所もな…!まぁチンピラ共は俺じゃなく男が流したと考えるだろうが」ククク

男「!?」

男「(ど、どういうことだ…!)」

??「フヒヒ…今ごろ商店街の精鋭が…これでお前の目の上のタンコブが消えるぞ」ニヤリ

チンピラ幹部「……」ニヤリ…!



チンピラ幹部「――あぁ!会長から気に入られているあの若造…チンピラを消せる!自分の手を汚さずになァ!」

男「(ヤバいぞ…!聞いちまった!権力抗争に巻き込まれちゃってる…!おとなしくニートしとけばよかった…!)」

チンピラ幹部「そして、チンピラ一派が全滅したら…当然、担当は俺になる…!」

??「ふむ…」

チンピラ幹部「チンピラのやり方はぬるいが、今の会長はあまり荒事を好まんタチだからな…!
しかし、さすがに仲間をやられたらこちらにもメンツがある。そこで、武闘派集団である俺らの出番よ…!」

チンピラ幹部「仲間の仇討ちという美味しい口実で暴れられ、おまけに賞賛が手に入る…!!
チンピラもだが、ここの連中にはいい加減嫌気が差してたんだよな…俺が指揮を執れば追い出すどころか商店街まるごと更地にしてやるのによ」

??「仲良しこよしの商店街が荒れに荒れ……血みどろの戦場と化す…楽しみだなぁオイ」

男「(ウソだろ…さすがにやりすぎだろ…八百屋、肉屋、魚屋さん…幼女…)」

男「(い、いや!あいつらなんか知るかッ!)」ブンブン

チンピラ幹部「お前も欲しいものが手に入るぞ…金、地位…!」

??「あぁ…」ニヤ

男「(誰だか知らんが、この俺を出汁にしやがって…!確かに事務所の場所が漏れてたら真っ先に疑われるの俺じゃねえかッ!チンピラ界隈でも商店街でも居場所がなくなるだろうが…!あ、やべ、泣きそう)」

男「(にしても一体誰だ?俺に恨みを持つ奴か…?)」

男「(心当たりありすぎて分からん…)」

男「(まぁとにかく!今ここで奴等を亡き者に…!)」

??「戦力は大丈夫なんだろうな?」

チンピラ幹部「問題ない。全戦力をかけて叩き潰す。そして、念には念を入れてな……ボブ」

ボブ「ボブ!」ゴゴゴゴゴゴゴゴゴ…!!

??「なんです、彼」

チンピラ幹部「裏世界最強のボディーガードだ」

男「(やっぱやめよ)」

ありがとう!

男「(しかしエラいことになってるな…!俺のやることはとりあえず…俺にやれることあんのかコレ)」カサカサ

男「!(チンピラに警告…それだけだ。けど、それだけで解決じゃねえか!
そうと決まればさっさとスタコラサッサだぜ!)」カサカサカサカサ

カチャ…

チンピラ幹部「ムムッ!弱冠ドアが開いている…風か?」

??「…………」

子分3「あ、男さん!どこ行ってたんですかもう!」

男「いやぁ、すまんすまん…」

子分3「とにかく、早くズラかりましょうよ!」

男「だな!」

キャバ嬢「!…な、なにあんたら!」

子分3「あ、やべ!」

男「(顔がバレるとまずいな…!!そうだ!)」

男「(さっきくすねたブラとパンティが大量にあるッ!!)」カブリカブリ

キャバ嬢「いやぁー!!」

男「おらおらどけどけェ!!」

ザッ…

No.1キャバ嬢「うぬが侵入者か…!」

子分3「うげっ!ここのキャバ嬢で一番強い子だ…どうするんですか!?」

男「!……ほう、文房具屋の娘ちゃんじゃん」

No.1キャバ嬢「!?……な、なぜそれを…!」プルプル

男「いいのかこんなとこで黙って働いて!バラしてもいいのか!」

キャバ嬢「う、うぅ…!」

男「おら!どけェ!!」

子分3「さすが男さん!」

タッタッタ…

キャバクラオーナー「あの下着泥棒…背格好、声、ゲスな戦法……もしかして……」

男「キャバクラの外に出たぞッ!シャバの空気は美味いぜ!」

子分3「男さん!追っ手が来るかもしれないしまだまだ気は抜けません!裏路地走るんで着いてきてください!」

男「よし任せたッ!」

タッタッタ…!

男「お、おい…いくらなんでも遠回りじゃね?」

子分3「……いいんですよ、こっちで」

男「この辺は昔探検ごっこしたきりで俺もよく知らな…って行き止まったぞ!どうしてくれるッ!」

男「廃ビルに囲まれた小さな空き地か…こんなとこあったんだな。…しょうがない、引き返すのもあれだし柵をよじ登るか…」

子分3「その必要はないです」

男「おん?なに言ってんだ?今はふざけてる場合じゃ……!」

子分3「ふざけてはないですよ」

男「子分3……?」

男「!」ハッ

ゾロゾロゾロ…

DQN1~10「へへへ…」

男「な…!援軍てわけじゃなさそう…だな」

子分3「えぇ」

男「……何のつもりだ」

子分3「何のつもり、ですか。お気付きの通りだと思いますよ」ニヤリ…!

男「くっ…!!裏切ったのか…!」

子分3「いえ、裏切ってませんよ?」

子分3「最初からあなたの味方になった覚えはありませんからね!」

DQNs「ヒャハハハハハ」

子分3「いやぁ、あのお方の言う通りでしたよ」

子分3「捕まったフリをしたら…まさか本当にあの場に現れるなんてね!やはりあなたは…甘い部分もあるようだ」

男「……まんまと誘き寄せられたってわけだ」ジリ…!

子分3「こんなに上手くいくとは思いませんでしたがね」

男「(口振りから察するに、俺を知ってる奴…十中八九、あの場にいた例の内通者だな…)」

子分3「あ、そうそう…コソコソ嗅ぎ回ってたみたいですけど…余計な話は聞いてないですよね」

男「!…あぁ、女子会トークを肴に1杯引っかけたはしたな」

子分3「ふーん、まぁいいですけど…どうせ、ここであんたは終わりなんですから!!」

DQNs「ヒャッハー!!」

男「(俺を襲うのはあくまで個人的なことか…逃げてチンピラに知らせられりゃ万事解決だよな…!)」ジリ…!

男「実戦自宅警備術奥義――」

DQN1「LOVEどっきゅんッ!」

男「――ニート拳ッ!」

DQN1「ぐああ!」ガラガラガッシャーン

DQN2「おっと」

DQN3「逃がさねえぜ」

男「くっ…!」

DQN4「にく にく にく憎らしい」ヴォン!

男「あっぶね…!」

DQN5「すき すき すき 隙だらけ」ヴォン!

男「がっ…!!(棒切れで容赦なしかよ…!最近のガキは…!)」

DQNs「LOVE LOVE LOVEどっきゅんッ!LOVE LOVE LOVEどっきゅんだねッ!!」

バキィ!ドガッ!メコッ!

男「加減も…知らねぇのか…よ…」

子分3「すみませんねぇ、私個人としては別にあなたに恨みはないんですが…これであの方もお喜びですよ」

男「……」ボロ…

男「(急いで、チンピラに…俺が…俺が止めねぇと…)」ズリズリ…

DQN2「お、まだ動けるのか」

DQN3「案外タフだな」

子分3「アハハ、男さん。どこに行こうというんですか?貴方はどこにも行く宛がない。
知ってますか?商店街には貴方がチンピラになったという情報が野火のように広がっているんですよ」

男「……おうご存知だよ」ズリズリ…

子分3「おまけに教えてあげましょう!チンピラさんのところにも貴方の居場所はありません!
いやー、実はね、チンピラさんの拠点が漏れちゃったらしいんですよー。当然、疑われるのは入ったばかりの貴方ですよね」

男「……おうご存知だよ」

子分3「貴方はそれでも……見苦しく藻掻くんですか?才能のない俺達はいくら足掻いたって仕方ないってのに。こんなカッコ悪い生き方しか出来ないのに。あ、もしかして……バカなんですね」

男「おうご存知だよッ!」

男「(そうだよ…こいつの言う通りなのに…なんで俺こんなキツい思いしてんだ…)」

男「(いいじゃねえか…幼女達もチンピラ達も放っときゃ…もうこいつの言う通りもう見捨てられてんだろうし…)」

――おう男ォ、醤油とってくれ

――兄者!塩分摂りすぎだぞ!

――にいにいの作るご飯美味しいね!

男「(あー…腹へったな…幼女の飯食いたいな)」

男「(あいつらと囲む飯は美味かったなぁ)」

男「(昔は八百屋とか肉屋にもよく振る舞ったっけ?)」

男「(今朝は久々に他人に…チンピラ達に料理を振る舞ったが…やっぱ食ってのはいいよな)」

男「(あぁ、殴られ過ぎたな。こんなときにこんなことばっかり考えちまう。最近は包丁もまともに握らなかったってのに…あー、この期に及んで…俺は…)」

男「また誰かに…料理食ってもらいてぇな…」ボソッ

子分3「?…おや、男さん、なにを言ってるんですか?」

DQN1「パンチドランカーじゃね?」

男「……」ズリズリ…

子分3「遂におかしくなったんですかねこの屑人…そろそろ終いにしてあげますよ。
まぁいいじゃん?ニートだしさ。みんな喜びますよ。この世から消えるのは貴方が最初にして最後にできる社会貢献ですよ」

男「ニート…じゃねえ…!」ズリズリ

子分3「あん?」

男「俺は……料理人だッ!」

子分3「?…クッキングアイドルのまいんちゃんでハァハァしてそうな貴方が?」

男「料理…みんなに作って…」

子分3「あー朦朧としてますね。これはどうせ長くもたないな…介錯してあげますよ!!」

ヴォン――

男「(あぁ、終わりか。呆気ねえな。幼女、親父…ごめんな。…最後に1発抜きたかったな…ズリズリしてちょっと気持ちよくなってたのに…)」

――ガチィ!!

男「…?」

子分3「な…!受け止めた…!?」

八百屋「間に合ったか…!」

子分3「ゴボウで!?」

八百屋「第二次世界大戦まで日本軍で広く使われていた銃剣を知っているか?」

子分3「!?」

八百屋「三十年式銃剣だ。通称はゴボウ剣という…つまり、そういうことさ」

男「や、八百屋…」

八百屋「やぁ男君…っと、今は挨拶してる場合じゃないか」

子分3「くっ!その野菜の扱い…A級注意人物の八百屋か…だが、10人もいるんだ!怯むな、かかれ!!」

DQN1~10「イー!!」

男「八百屋…逃げろ…お前みたいなヤサイしか脳のないヤサ男が勝てるわけないだろ」

八百屋「大丈夫さ」

男「や、八百屋…」

八百屋「やぁ男君…っと、今は挨拶してる場合じゃないか」

子分3「くっ!その野菜の扱い…A級注意人物の八百屋か…だが、10人もいるんだ!怯むな、かかれ!!」

DQN1~10「イー!!」

男「八百屋…逃げろ…お前みたいなヤサイしか能のないヤサ男が勝てるわけないだろ」

八百屋「大丈夫さ」

DQN1「おわっ!?」ツルッ

DQN2「おぶっ!」ステンッ

DQN3「な、なんで地面がヌルヌルするんだ…!?こ、これは――山芋ッ!!」

八百屋「気付いたときにはもう遅いッ!豆鉄砲ッ!」パララララララ!!

DQNs「ぐあぁぁああ!!」バタリバタリバタリ

DQN5「くっ…!囲め、囲め!!」

DQN6「相手はモヤシ野郎一人だ」

八百屋「なんだって…!?」ビキビキ

八百屋「モヤシの栄養価を嘗めるなッ!独活の大木共めッ!」ダッ

バシィ!バシィ!バシィバシィ!!

八百屋「穴だらけの陣形だ…まるでレンコンのよう」

DQNs「……」バタンキュー

男「か、勝っちまった」

子分3「ひっ…ひぃ」

ダッ!

男「あ、待て!子分3!…いたた…!」

八百屋「大丈夫かい?無理するなよ」

男「…なんで助けた」

八百屋「え?何が」

男「噂は聞いてんだろ…」

八百屋「あぁ、君がチンピラになってるとかキャバクラから下着泥棒して逃走中だとか…まぁその足取りを追ってきたわけだけど」

男「じゃあ…なんで…」

八百屋「ん?だから何がさ」

男「すっとぼけるな!大根役者めッ!俺はな、もうお前らの敵なんだよ!!それにお前と肉屋にも酷いこと言ったんだぞ!それだってのにお前なんで…」

八百屋「友達だろ?」

男「……」

八百屋「それに、嬉しい言葉も聞こえたしね」

男「おん?」

八百屋「俺は料理人だってさ」

男「……」

八百屋「またさ、何か作ってよ。僕の野菜や」

八百屋「それに、嬉しい言葉も聞こえたしね」

男「おん?」

八百屋「俺は料理人だってさ」

男「……」

八百屋「またさ、何か作ってよ。野菜はいくらでもあるから。肉や魚だってね」

男「くっ…!」

八百屋「男…?」

男「タマネギ臭くて目に染みるぜ…お前」

八百屋「それは光栄だね」

八百屋「さて、と。かなり酷い怪我だ。いますぐ病院に…」

男「おい…八百屋!頼む…何も言わずにチンピラの事務所まで運んでくれ」

八百屋「……」

男「

八百屋「さて、と。かなり酷い怪我だ。いますぐ病院に行かないとまずい…」

男「おい…八百屋!頼む…何も言わずにチンピラの事務所まで運んでくれ」

八百屋「事務所?」

男「頼む…!今更信用しろだなんて虫のいい話だと思ってる…説明してる時間はないが――おわっ!?」

八百屋「場所は?」

男「あ、あぁ…意外に力持ちなんだな…草食系と思いきやとんだロールキャベツだぜ」

事務所――

男「クソ…」

八百屋「ここかい?なんかボロボロだけど…」

男「遅かったか…!チンピラは…みんなは…!」ヨロヨロ

八百屋「中も荒れてるな…」

男「さ、最悪だ……あちこちにハリが刺さってやがる」ゾクッ

八百屋「……彼女か」

『や、やめろぉー!!』

八百屋「!」

男「チッ!その部屋か!」

ガチャ

チンピラB「兄…者…逃げろ…こいつ化け物だ…」ピクピク

チンピラ「お前一人放っとけるか…!」

鍼師「……」ゴゴゴゴゴ…!!


チンピラ「」

『や、やめろぉー!!』

八百屋「!」

男「チッ!その部屋か!」


チンピラB「兄…者…逃げろ…こいつ化け物だ…」ピクピク

チンピラ「お前一人放っとけるか…!」

鍼師「……」ゴゴゴゴゴ…!!

ガチャ

男「鍼師ッ!」

鍼師「男…くん?」

チンピラ「男!!」

鍼師「男くん…無事でよかった……」

男「お前一人で壊滅させたのかよ」

鍼師「男くんが誑かさられてここで働いてるって聞いたから…助けようって…」

男「絶対それお前の独自解釈だろ?違うって……進んで仲間になったんだ」

鍼師「そうなの?」

チンピラ「ヤバい、あながち間違ってない」ヒソヒソ

チンピラB「あの女……マジでヤバいぞ兄者」ヒソヒソ

男「…それにしたってなんでこんな真似したんだ?仮に誑かさられててもそんなバカ放っときゃいいのに…」

鍼師「昔馴染みでしょ?」

男「……」

チンピラ「なんだお前…男は襲うつもりはないのか」

鍼師「?……あるわけない」

チンピラ「てっきり裏切り者への制裁にきたのかと…」

鍼師「男は商店街の一員」

チンピラ「あん?俺達の仲間に決まってんだろ」

チンピラB「じゃけえのうじゃけえのう」

男「……なぁ、チンピラ、疑ってねぇのか…?入ったばかり俺が一番怪しいだろ?情報漏洩の原因」

チンピラB「男はそんなことしないぞ」

男「いや、なんで…」

チンピラ「仲間だろ?」

男「……!」

男「(俺の周りってこんな奴等ばっかりなのかよ…)」プイッ

八百屋「男、どうした?」

男「寄るなタマネギ臭い」

八百屋「ひどいな」



男「(てっきりどっち側に)」

ありがとうッ!

男「(どっち側にも帰れないどころか…こいつら、見てて不安になるほどお人好しのバカばかりだぜ)」

鍼師「みんな心配してる…肉屋も花屋も幼女ちゃんも…魚屋さんや電器屋さんだって…」

男「ハハハ、そっか。正直…お前には手酷い制裁を受けるかもって心配したけどな…」

鍼師「そんなことしない…」

男「冗談だよ…いてて」

鍼師「…その酷い怪我は?」

チンピラ「!…男!大丈夫か!」

男「あ、あぁ…それより、聞いてくれ」

ありがとう!

男「(放っぽり出して逃げたいけど…今までの俺だったら間違いなくそうしたんだろうけど…)」

男「(知らなかったぜ…俺もどうもこいつらに負けず劣らずのバカらしい)」

男「信じられない話だが…みんな、よく聞いてくれ…」

――――――――――――――――

――――――――――――

―――――――

チンピラB「あの野郎ッチンピラ幹部!」

八百屋「そんな奴に商店街は屈しない…!」

チンピラ「二人共、落ち着け。こういうに頭に血を上らせたら思うツボだぞ」

鍼師「……男くんを襲わせたのは……そのチンピラ幹部と繋がってる内通者?」

男「あぁ、多分な。最初は万が一のための口封じかと思ったけど、奴等は俺の言うことを誰も信用しないと言い切ってたし。どうも私怨が感じられるんだよなぁ」

鍼師「許せない…」ギリギリ

チンピラB「あの野郎ッチンピラ幹部!」

八百屋「そんな奴に商店街は屈しない…!」

チンピラ「二人共、落ち着け。こういうときに頭に血を上らせたら思うツボだぞ」

鍼師「……男くんを襲わせたのは……そのチンピラ幹部と繋がってる内通者?」

男「あぁ、多分な。最初は万が一のための口封じかと思ったけど、奴等は俺の言うことを誰も信用しないと言い切ってたし。どうも私怨が感じられるんだよなぁ」

鍼師「許せない…」ギリギリ

チンピラB「兄者ー、私達どうなるんじゃ?」

チンピラ「さぁな…あのチンピラ幹部を討たない限り身の安全は…安心しろ、子分とお前は俺が守る」キリッ

チンピラB「私より弱いのに?」

チンピラ「…」

八百屋「ここが落城しちゃったし全面戦争は避けられないか…」

鍼師「申し訳ない……」

男「鍼師は悪くねぇよ。元はといえば俺が……」

チンピラB「そうそう、兄者が弱いのが悪い」

チンピラ「…」

男「俺が…みんなに心配かけたのが悪いんだ」

鍼師「男、くん…?変わった?」

八百屋「男……」

ドタドタ…!

?「男ー!目覚まさせにきたぞー!」
?「男くんいるんでしょ!」
?「うわ、なんだこの有り様…ボロボロじゃん」

男「みんなにも謝らないとな」ハハハ

ガチャ

肉屋「男!幼女ちゃんに心配ばかりかけやがって!」

ゲーム屋「男殿!商店街を裏切るだなんてそんなカインな!」

花屋「……お前にはこの花をやる。花蘇芳…花言葉は『裏切り』そして『目覚め』!歯ァ食い縛りな!」

男「みんな…」

男「今まですまなかった!!」

花屋「!?」

肉屋「えっ…う、うん」

幼女「にいにい…?」

男「幼女……」

幼女「あ、頭打ったの…?……あぁ!すごい怪我!血でてる!」オロオロ

男「幼女、聞いてくれ。にいにいな、もう一度…料理の道を志そうかと思う」

幼女「え、えぇー!?」

肉屋「ど、どうしたんだよ男ぉ」オロオロ

男「なに、どうもしてねぇよ。いつもの気まぐれだ…どうせ命張るなら、なんとなく最後は料理人姿でいたくてな。今まですまなかったな…お前に辛くあたって…」

幼女「にいにいぃ…?」

男「もうじき、ここは大規模な戦場になる」

花屋「!?」

肉屋「えっ!そうなのか!」

八百屋「あとで説明するから」

男「俺はこれから親父に会って…稽古をつけてもらおうと思う。今までのブランクがそれで取り戻せるわけないが…
幼女、危険だからお前は街を離れろ。親戚に話をつけるから」

幼女「……」

男「もし、もしもだ…にいにいが店を守り通せたならさ。次会ったとき料理人でいられたらさ」

男「また、食べてもらえねぇか?」

幼女「いや」

男「!……そっか。だよな…今更そんな…」

幼女「お店を離れるなんて、絶対いや!あたしもにいにいと一緒に残る!」

男「幼女…」

幼女「あたしも…あたしもお店の一員だもん!にいにい一人じゃ不安だし…お店がぐちゃぐちゃなったらにいにいの作るご飯食べられないし」

チンピラ「取り込み中いいか?」

幼女「え?……ひっ、ひいいぃい!」

チンピラ「ん?お!あの時の幼女!」

男「なんだ知り合いか?」

チンピラ「前に契約書にムリヤリ拇印押させてもらった」

男「ム、ムリヤリ…!」

チンピラ「……すまんかった」

男「くっ…俺は幼女を信じないで…幼女、本当にごめん…ごめんなぁ」

幼女「……いいよ、にいにいがまたあたしと向き合ってくれて…すごい嬉しいから」

チンピラB「いい子じゃのうッ!男、これからは泣かすなよ」

男「んで、なんだよ」

チンピラ「おう、男。決戦の日までは恐らく一月もない。人員や準備が整い次第、チンピラ幹部達は攻めてくるぞ」

八百屋「うん、チンピラさんの言う通りだ。多分、その怪我を治すのがやっとだよ。焦る気持ちは分かるけど、そんなボロボロでお父さんの修行を受けるのは…」

肉屋「た、確かに…あの親父さんだもんな…」ゾクッ

男「大丈夫だ。……なんとか1日で治すッ!」

幼女「に、にいにいムチャだよぅ」

チンピラ「取り込み中いいか?」

幼女「え?……ひっ、ひいいぃい!」

チンピラ「ん?お!あの時の幼女!」

男「なんだ知り合いか?」

チンピラB「前に契約書にムリヤリ拇印押させてもらった」

男「ム、ムリヤリ…!」

チンピラ「……すまんかった」

男「くっ…俺は幼女を信じないで…幼女、本当にごめん…ごめんなぁ」

幼女「……いいよ、にいにいがまたあたしと向き合ってくれて…すごい嬉しいから」

チンピラB「いい子じゃのうッ!男、これからは泣かすなよ」

男「んで、なんだよ」

チンピラ「おう、男。決戦の日までは恐らく一月もない。人員や準備が整い次第、チンピラ幹部達は攻めてくるぞ」

八百屋「うん、チンピラさんの言う通りだ。多分、その怪我を治すのがやっとだよ。焦る気持ちは分かるけど、そんなボロボロでお父さんの修行を受けるのは…」

肉屋「た、確かに…あの親父さんだもんな…」ゾクッ

男「大丈夫だ。……なんとか1日で治すッ!」

幼女「に、にいにいムチャだよぅ」

ザッ…!

鍼師「……そういうことなら任せて」

薬屋「私も手伝いますよ」

花屋「世話のかかる奴だぜ」

男「みんな…すまん、力を貸してくれ」

鍼師「ただし…荒療治になる…」

男「…腹は括ってる!」

薬屋「うちの秘伝のお薬の出番だねー。巻物ぺらーっと…レシピは…うん、よく分からない希少な草花ばかり…花屋くん!」

花屋「はいよ。どれ…なるほどな、これなら家にもあるぜ」

チンピラ「俺達はどうにかチンピラ幹部一派を撹乱させて時間稼ぎをしてみる。…お前の身内に酷いことした罪滅ぼしだ」

チンピラB「やられっぱなしもムカつくけえのう!今回は商店街に協力するぞ!」

幼女「あたしはにいにいの為に美味しい晩御飯つくるね!」

八百屋「僕のとこの野菜使ってよ。栄養満点だしね」

肉屋「あ!肉もたくさんあるぞ!」

ゲーム屋「暇にならないようにDの食卓貸してあげるでござる」

男「みんな……!」

男「ありがとう…!本当にありがとう…ッ!」ポロポロ

ゆうくん。。。

トントントン…ジュージュー…

幼女「はいっ、にいにい!新鮮なお野菜とお肉とお魚を使ったからね!」

男「……」パクパク

幼女「ど、どうかな」

男「美味い…美味いよ…最高だ。今まで食ったモンの中で一番美味い」

幼女「大げさだよぉ」エヘ

男「ちっとも大げさじゃねえよ。肉も野菜も魚も…料理の腕も…俺はこんなスゲェもん放ったらかしにして蔑ろにしてきたんだな…」

幼女「にいにい…」

男「今の今までこんな近くにある大事なものに気が付かなかった。お前の料理のおかげでようやく気付けたよ…ははは」

幼女「はい、あーんして」

男「いいって自分で食えるから」

イチャコラ

鍼師「……」ムスッ

肉屋「なんか居辛いぞ!」

八百屋「まぁ二人の間の溝が埋まったんだ。いいじゃないか」


鍼師「男…デザートがある」

男「ムムッ、デザート…だと?」

鍼師「…はい」

ドンッ

男「バ、バケツ…?中身はなんだこれ…」

鍼師「水」

男「……」

鍼師「10キロある」

鍼師「それに、これを混ぜる」サーッ

男「な、なんだそれは」

鍼師「果糖。4キロある」サーッ

男「……」

鍼師「本来はタンパク質やデンプンが望ましいけど…時間がない…」サーッ

鍼師「男くんの身体は今とても弱っている。ボロボロ。手っ取り早い栄養を入れる……」

男「せめて炭酸抜いたコーラとかにしてくれよ…!」

鍼師「男くんのボロボロの細胞は次なる酷使に復讐を誓っている…神の創造(つく)りたもうた肉体の、神の誓いし復讐に、誤りなどはあり得ない……そこへ、栄養を投入…奇跡が起きる……」

肉屋「何言ってるかサッパリだぞ…」

八百屋「男。とにかく飲むんだ」

男「うぷっ…うう…」ゴクゴク

チンピラB「いっき!いっき!」

男「クソゲー連呼しないでくれ…」

男「お、おお…!」グググ

鍼師「凄い…空前の超回復が起きた…単なる嫌がらせのつもりだったのに……」

男「力が漲ってくるぜ…!」

鍼師「死の淵から甦って、以前より強い…!!スーパーサイヤ人のよう……その以前が大したことないからあんまり意味ないけど…!!」

薬屋「鍼師ちゃん!秘薬できたよ!」

鍼師「すぐに飲まして。秘孔を突きながら、鍼治療も行う…これで男くんが完全復活するはず…」

男「お手柔らかにな」

鍼師「約束は出来ない」プスップスップスップスップスップスップスップスップスップスップスップスップスップスップスップスッ

男「」

幼女「に、にいにいがピンクッションみたいに…」

花屋「花生けてぇ」ウズウズ

鍼師「次はレーザー治療…特別に改造したこれを使う…」

男「あ、あつ!!熱い!熱いって!!」

肉屋「クンクンスンスン…肉の焼ける匂いだ」ジュルリ

八百屋「女の子がヨダレ垂らさない」フキフキ

鍼師「次は電気マッサージ……特別に改造したこれを使う」

男「あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙!!!」

ゲーム屋「インファマス悪名高き男やりたくなってきたでござる」ウズウズ

チンピラ「(もう拷問じゃねえかな)」

ガチャ!

散髪屋「ここにあの馬鹿がいるって――!?」

男「あ…あ…」

散髪屋「み、みんな!?気持ちは分かるけどやりすぎじゃない!!」

薬屋「ちがうよ、散髪屋ちゃん。このクズ治療してるんだよ?」

鍼師「次はウォーターベッド……無論、改造済みだから安心して」

男「あがががががが!!!」

鍼師「酸素カプセル。改造して柳龍光の手の中ばりの酸素濃度に出来る」

男「ヒィ…ヒィ…」

鍼師「最後は整体……男くんにはもちろん特別な整体。何故なら男くんもまた特別な存在だからです」テレッ

―――――――――――

―――――――

――――

幼女「にいにい!おはよー」

男「おうおはようさん」

チンピラ「!…ほう、凄いな…本当にたった一晩で完治するとは…」

男「おう、身体が軽いぜ。寧ろ前より健康体だ」

鍼師「骨の微妙な位置のずれを修正…男くんのポテンシャルを限界まで引き出した」

男「途中全部の関節が外されたぜ」

ゲーム屋「ヤンジャンの真紅みたいでしたな」

鍼師「今の男くんの限界が大したことないからあんまり意味ないけど…」

男「言うなよ。さて、世話になったな…みんな…」

八百屋「行くのかい?」

男「あぁ…自分を見直しにな」

花屋「男ォ、持ってきな」

男「これは…」

花屋「サザンカ…困難に打ち勝つ強さ。そして、ひたむきさ」

男「花屋…ありがとよ!」

幼女「にいにい、気を付けてね?」

男「おう!誰にも負けない強さを手に入れて、店をでかくして従業員増やして…」

男「堂々とニートしてやるぜッ!」

肉屋「男…!」

ゲーム屋「それでこそ男殿…!!」

病院――

男「確かこの階だよな?えーと、部屋は…」

ゴゴゴゴゴ…!

男「こ、ここか」ゴクリ

??「……男か。入れ」

男「!」

父「……」

男「親父…久しぶりだな…少し痩せたか」

父「……」

男「その、見舞いにも来ないで悪かったな」

父「……クス」

男「!」

父「さっさと用件を言え…ただ、見舞いに来たという訳じゃあるまい…ッ!」

男「ハハ…ただの見舞いだったら? 」

父「小僧っ子がいっちょ前に何かを背負いおって…」

男「!」

父「そのまま帰るのもよかろう。ただ、その目はそう言っていない。…さぁ、用を言え」

男「お、親父…?」

父「もっとも、期待はずれなことを言ったら張り飛ばし、勘当するがな」

男「親父…!病床の身の父親にこんなこと言うなんてバカ息子もいいとこだけどさ…」

父「……」

男「――頼む!また俺を一から鍛え直してくれ!店を守って、また料理を作って、あわよくば料理本書いて不労所得で暮らしてぇんだッ!」

父「…合格」

男「い、いいのかよ」

父「確かにお前は不出来で糞でバカ息子だが…」

男「……」

父「父親に遠慮するのはバカ息子以下だッ!!」

男「親父……」

父「さ、支度をしろ…」

男「あぁ…支度ってどこ行くんだ?病院の厨房でも借りるのか」

父「厨房だと…?何を寝惚けているッ!」

男「じゃ、じゃあどこに行く気だよ!」

父「山だ」ニィィイ

男「!?」

ザクッ…ザクッ…

男「ひぃ…ひぃ…まだ歩くのかよ…!」ゼェゼェ

父「ぬるい!ぬるすぎる!お前は今まで俺から何を学んだ…!!」

男「料理だよ!」

父「フン…!減らず口を叩ける余裕があるなら…ペースを上げるぞ!」

ダッ――

男「ちょ…!親父…!」

父「走れッ!駆けろッ!大地を捩じ伏せろッ!貴様の柔な足腰では戦場(キッチン)に立つ資格さえないわッ!」

男「だぁー!クソッ!」ダダダダダ!

男「」グテーン

父「フン…これしきで…我が息子ながら情けない」

男「……ここは……畑?近くに山小屋みたいなのもあるが…」

父「最低限のものは用意してある」

男「へっ、へへ…じゃあさっそく……」

父「あぁ…基礎中の基礎、ジャガイモの皮剥きだッ!」

ズオオオォォォオオオ……!!!

男「でかくね?岩みたいなんだけど何これ」

父「この土地の特殊な土壌で育ったものだからな」ニィィイ

男「チキショウッ!俺の背丈の2倍はあるじゃねえか!親父、包丁!」

父「そんなものない」

男「はぁ!?」

父「貴様ここに何しにきたッ!」

男「料理の修行ッ!」

父「ぬるいッ!今の貴様が包丁を持ったとしても児戯にしかならぬわ!」

男「……じゃあこのばくだんいわどうしろってんだよ」

父「かつて、皿洗いとジャガイモの皮剥きが最初の修行と言ったな」

父「あれは嘘だ」

父「あまり知られていないが、真の鉄人への修行はこの巨大なジャガイモ――」

ズガガガガガ…!

父「素手で表面を削り飛ばす」

男「……」

父「やってみろ」

男「う、ぎゃ…拳が…」

父「岩と同じ硬度だからな。巻藁を打って拳を硬くするのと同じで少しずつ強くなる」


父「次は玉葱を剥いてみろ」

男「むぎぎ…!なんだこの玉葱…!剥けねぇぞ!」

父「腕力がなさすぎる…!そんなものでは皿も満足に洗えぬぞッ!男ォ!」


父「特製の物凄く柔らかい豆腐だ…崩さずに切ってみろ」

男「…とかいってバカ硬い豆腐か?あれ?」パシャッ

男「……持った瞬間シャボン玉みたいに弾けて消えたんだけど」

父「何をしているッ!」


父「次は皿洗いだ……!!」

ザザザァアアアアアア!!!

男「滝で?」

父「早くしろ」


男「じ、じぬ…」ゼェゼェ

父「情けない…酷いとは覚悟していたがこれほどとは…」

男「……」

父「まず抜本的な問題として体力がない。まずは身体作りだ」

男「あ、あぁ…」


男「なにこれ……石製のバーベル…?」

父「手製のバーベルだ。取り合えずベンチからいくぞ。100は上がるだろう?」

男「上がらねぇよ!」

父「今まで何をしてきたッ!」

男「」

父「明日は下半身だ。スクワット、ランジ、レッグカール、レッグエクステンション、カーフレイズだ。走り込みもするからな」

男「」

父「さて、飯とするか」

男「!」ガバァ!

男「おれ、ご飯、好き!」グゥー

父「そうか」ニィィイ…!

父「俺はさっきお前が筋トレしている間に獲った猪を食う…」

ズズズン…ッ!

男「おお!肉だ、肉だ!早く焼いてくれよ!」

父「貴様 男…まさか自分も食えると思っていないだろうな」

男「へ?」

父「ぬるいッ!自分で勝ち獲ったモノを自分で喰らうッ!それが大自然!それが根源的な〝食〟だッ!」

男「…ふざけんな!さっきから料理と関係ないだろうが!!」

父「食の道を行くなら避けては通れぬ修行だ。…俺のやり方が気に入らんならさっさと帰るがいい…!」

男「ああ、やりゃあいいんだろ!クソ親父め!」ダダダダダ



男「…ひぃん」

父「俺はさっきお前が筋トレしている間に獲った猪を食う…」

ズズズン…ッ!

男「おお!肉だ、肉だ!早く焼いてくれよ!」

父「貴様 男…まさか自分も食えると思っていないだろうな」

男「へ?」

父「ぬるいッ!自分で勝ち獲ったモノを自分で喰らうッ!それが大自然!それが根源的な〝食〟だッ!」

男「…ふざけんな!さっきから料理と関係ないだろうが!!」

父「食の道を行くなら避けては通れぬ修行だ。…俺のやり方が気に入らんならさっさと帰るがいい…!」

男「ああ、やりゃあいいんだろ!クソ親父め!」ダダダダダ

男「ひぃん…俺生きて帰れるのかな…」

男「腹へったな…おっ、ドングリ発見!」

男「く、食える…よな?中身は炭水化物だし……」

男「お、確かこの野草も食えるやつだな。花屋とキャンプしたときに食ったやつだ。こんなんじゃ身体もたねぇし魚くらいは捕れる手段欲しいな…」


男「親父ぃ…調理器具は?あと釣竿とかないの?」

父「アホウが…どちらもないわッ!」

男「……ひぃん……」


男「とにかく全部現地調達しろってか。クソ…なんでこんな原人みたいな真似を…」

ジュージュー

男「平たい石使ったけど火の通り悪いな…石にも種類があるんだろうな…石材屋じゃないから分からん。
……ポリッ……渋い…こりゃアク抜きしないとダメだな。次からは気を付けよう」

男「明日は罠とか釣竿とかも作ってみるか……」

ザザザァアアアアアア!!!

父「1枚も割るなよ!!」

男「皿がクソ重てぇ…!」

父「劣化ウラン製の特注だ」


男「ぐうううう…!!」

父「そんな細腕ではフライパンも持てないぞッ!次はダンベルカールだ!!」


男「だらっしゃァ!!」

父「踏み込みが浅いッ!もっと打ち込んでこい!貴様の手刀はそんなものかッ!」

ズババババ!!

男「いてぇ!!」

父「これぐらい、躱せ!今のを避けられんようでは魚の焼き加減も見極められぬわッ!」

男「やってやらァァァ!!!」

ザザザァアアアアアア!!!

父「1枚も割るなよ!!」

男「皿がクソ重てぇ…!」

父「劣化ウラン製の特注だ」


男「ぐうううう…!!」

父「そんな細腕ではフライパンも持てないぞッ!次はダンベルカールだ!!」


男「だらっしゃァ!!」

父「踏み込みが浅いッ!もっと打ち込んでこい!貴様の手刀はナマクラかッ!」

ズババババ!!

男「いてぇ!!」

父「これぐらい、躱せ!今のを避けられんようでは魚の焼き加減も見極められぬわッ!」

男「やってやらァァァ!!!」

男「出来たぞ!手製のコンパス!」
男「」

男「出来たぞ!手製のコンパス!これで遠くまで…!」

男「海に出たな…塩を調達するか」


男「草花の朝露は飲めるんだよな。布で吸い取ってから絞って…抵抗ないといえば嘘になるがそうも言ってられん。
健康な樹の枝に被せておいた袋にもちゃんと水が貯まってるな。花屋の言ってた通りだ。……植物も生きてんだな」


男「うし!獲れた!粗末なモリだが、頑張ればいける。いざとなったらでかい石を石に叩き付ければ衝撃でそこに隠れた魚が気絶して簡単に捕れるしな。
魚屋さんからの知識がまさかこんな形で生きてくるとは…!」

パキッパキッ

男「いい音だ。この乾燥具合なら火を起こせる」

男「ムムッ!広葉樹っぽいな。…そうだ、さっきの魚、塩漬けにして薫製にかければ…!たしか、薫製は1度肉屋の家でやったな。
肉屋との知識もまさかこんなところで役に立つとは…一匹は今日の飯だな」

ジュージュー…

男「……いただきます」

男「出来たぞ!手製のコンパス!これで遠くまで…!」

男「海に出たな…塩を調達するか」


男「草花の朝露は飲めるんだよな。布で吸い取ってから絞って…抵抗ないといえば嘘になるがそうも言ってられん。
健康な樹の枝に被せておいた袋にもちゃんと水が貯まってるな。花屋の言ってた通りだ。……植物もちゃんと生きてんだな」

男「お、このキノコは知ってる。八百屋とキノコ狩りでとったやつだ」


男「うし!獲れた!粗末なモリだが、頑張ればいける。いざとなったらでかい石を石に叩き付ければ衝撃でそこに隠れた魚が気絶して簡単に捕れるしな。
魚屋さんからの知識がまさかこんな形で生きてくるとは…!」

パキッパキッ

男「いい音だ。この乾燥具合なら火を起こせる」

男「ムムッ!広葉樹っぽいな。…そうだ、さっきの魚、塩漬けにして薫製にかければ…!たしか、薫製は1度肉屋の家でやったな。
肉屋との知識もまさかこんなところで役に立つとは…一匹は今日の飯だな」

ジュージュー…

男「……いただきます」

ザザザァアアアアアア…!!!

父「滝の上から様々な品種のジャガイモを落とす。滝に打たれながらメークインだけを見極め、一瞬の内に素手で剥いてみせろ」

男「押忍ッ!」

父「挙がる!挙げろ!!補助ありラストォ!!」

男「ウオォォォォオオオオオッ!!!」ガシャーン!!!

父「ナイススクワットッ!」

キィー!キィー!

男「獲れたか。ちっちぇウサギだな…」

キィー!キィー!

男「ごめん…ごめんなぁ…くっ」

男「お前の命…もらうけど…絶対無駄にしないからな」

キ…

男「(いつも店で扱ってた精肉と全然違う、生きてたんだ…こんな身近なモノなのに…今まで少しも息遣いを感じてこれなかった…!)」

男「……いただきます!」


父「ゲホッ…ゲホッ…ちっ」

男「親父…なんかやつれてないか?」

父「目が曇ったか!男よ」

男「いま飯食ってるんだけど…親父も食う?」

父「……バカ息子がッ!最初に言ったはずだ。自分の命を繋ぐモノは自分で獲れとッ!」

男「…あぁ、だから俺の為に、親父に元気でいてもらわなくちゃ困るんだよ」

父「……フン」ムシャコラムシャコラ

父「スパイスも調達していたのか……ふむ、桑の実だ。そうだろう」

男「あぁ。こんな生活でも人に分け与えたい、せっかく食べてもらうんだから食べてもらう人と命に感謝して…美味いモノを作りたい…」

男「料理って、そんな感じで始まったんじゃねえかな」

父「……フン、まだまだ未熟だがな(だが…いい顔をするようになった)」

>>276
うりゅ…ゆうくんじゃないなの

そして――

ザザザァアアアアアア……!!

男「……」

父「……」

男「フッ!!!!」

父「!」

バキッ! ガッ! ズガガガガ!

男「!…とったッ!」

父「甘いッ!」

男「~~~~ッッッ!」ズザザー!

男「な、投げられた……!」

父「これが合気だ。その極意は自然との調和…!あまり知られてはいないが、食材同士の調和を目的とする我々コックの手によって発展してきた武道よ」

ズダンッ!

男「山での合気道はマジヤバイ」ピクピク

父「フン、ここまでか…」

男「ま、まだだ…!」ガクガク

父「2回も投げられて景色はドロドロだろうに…」

男「まだ!俺はやれるッ!決着を決めていいのは勝者だけだぜ!」

父「…小僧っ子が跳ねっ返りおって!!」



男「…………」

父「これまでだな」

男「ま、まだまだ……」

父「タフさはだけは大したものだ。…何がお前を支える?意地か?料理人としての矜持か?」

男「……無様に寝てられないんだよ」

男「やっと分かったんだ…!俺は、無数の命に支えられて今ここにいる…!
食してきたモノは紛れもなく明日を生きたかった奴らなんだ!」

父「…そうだ。生きるということには何かの死が影のように付きまとう。それでも、お前は奪い続ける覚悟があるのか?」

男「…あぁ。あるよ」

男「俺を支えているのはそれだけじゃない!ここにきてから仲間みんなの知識に何度も助けられた。
その知識も、進歩を止めなかった先人達の結晶なんだッ!今この瞬間も、たくさんの命と顔も知らないたくさんの人の息吹きを背中に感じているッ!
こんなもん背負ってるんだ!俺がここで止まるわけには…いかないだろッ!!」

父「!」

バキィ――

男「ハッ…親父!?」

父「見事…!ようやく一撃入れられたな…」ゴフッ

男「……」

父「もう教えることはあんまりない…これで安心していける」

男「!」

男「な、何言ってんだよ…!」

父「もう、残された時間がない…最後に息子と佳き時間を過ごせた…それも、俺を越えて先へ進まんとする覚悟と力を見せた…何も思い残すことはない…お前はお前の食の道を行け。俺の…」

父「俺の屍を越えてゆけ」

男「お、親父…」

父「お前にも分かるはずだ…ここで、別れだ」

男「…嫌だ。別れじゃねえよ。…親父の命も俺が背負っていくからさ」

父「小僧っ子がいっちょ前に…」

男「…!」

父「たくっ…最後の最後に…なんてェ顔してやがる…」

男「だって…だってよぉ…」

父「ハンッ…まったくお前は…最高のバカ息子だ…」ニコッ

男「親父…?」

男「親父ィィィィィィイイイッッ!!!!!」

ドクン…!

男「(親父…あんたの熱い血潮と魂を感じる…)」

男「(あんたと仲間が愛した場所…守ってみせるぜ)」

ザッ…

男「…また戦う理由が出来たな」


エキサイティン通り――

電器屋「ムムッ!商店街付近の監視カメラに不審な人影ときた!もう店じまいだってのにこいつは怪しいぜ」

鍼師「――!」ピクッ

魚屋「…きたか」

チンピラB「兄者ー大変だぞ!チンピラ幹部の連中が本気で動き出したぞ!」

チンピラ「あぁ……すぐさま商店街の連中に知らせろ。目敏い連中はすでに気づいてるだろうがな」

氷屋「!……花屋」

花屋「あぁ、やっぱお前も残るのね」

氷屋「明日もお店出来るかしらね……」

花屋「安心しな。昔馴染みのよしみで守ってやるからよ」

氷屋「うわぁ…そんなキザなこと誰にでも言うから童貞なんじゃない?」

花屋「……こんなときでも冷たいなお前は」

ゲーム屋「氷屋殿、リアルには負け確定イベントなんてございませんぞ」

薬屋「怪我したら任せて!」

鍼師「一子相伝の鍼灸術を使うときがきた…!」

服屋「防弾チョッキあるからみんな持ってけ」

肉屋「男……遅いな」

八百屋「きっと帰ってくるさ」

シュタッ

寿司屋「奴等の最新情報『握』ったぜ……!」

八百屋「…戦力差は10倍じゃきかないね」

氷屋「…たかがただの商店街に…」

肉屋「えーと、待って…つまり…一人あたり…えっとー……」

肉屋「……」

肉屋「あたしが全部やっつければいいわけだな!!」

氷屋「八百屋、この子ちゃんと見ときなさいよ」

八百屋「うん」

チンピラ「……問題はむしろ、舎弟達だ」

薬屋「しゃてい?」

ゲーム屋「若頭、若頭補佐と続いて舎弟頭の下に舎弟がくるんでござるよ。名前のわりには上の立場ですな」

チンピラ「まぁだいたいはそんな感じだ…あんた詳しいな」

ゲーム屋「龍が如くやってたでござる」





チンピラ「うちの舎弟達はかなりの武闘派だ。そして、舎弟頭のチンピラ幹部の息が掛かってる」

鍼師「……どこからくる」

チンピラ「舎弟は四人。恐らく、通りの入口東西南北に一人ずつ来るだろうな」

鍼師「西口は私の店が近い。…迎撃する」

魚屋「北は俺だな」

八百屋「二人なら文句なしだけど…あとはどうする?」

ゲーム屋「ハハハ、南口は自分と花屋殿、氷屋殿で何とかするでござる」

肉屋「なら最後は私が!」

八百屋「よし、あと一人は僕だ」

居酒屋「ここでそんな物騒な町内会の集まりはやめてくれよ…」

八百屋「ところでチンピラさんはどうするんだい?」

チンピラ「俺は……どうにか若頭さんに会って話してみる。これほど大規模な作戦だ。陣頭指揮に来るはずだからな」

チンピラB「兄者、危険だぞ!!チンピラ幹部の手下に見付かったら……」

チンピラ「…やるしかないだろ。大丈夫だ。男も帰って来るだろうしな」

八百屋「こんなこと言うのも変だけどさ、気を付けてね」

チンピラ「ハッ…確かに変だな…でも、悪くねぇ」

魚屋「……よし、位置に着く前に……みんな、覚悟は本気か?今ここで抜けても、誰も咎めないぞ。
俺たちは昔からの顔馴染み……ここに育てられた家族みたいなもんなんだからな」

八百屋「だから残るんじゃないか」

散髪屋「商店街との縁だけは切れないっての」

寝具屋「ここで逃げちまうと寝覚めが悪いしな」

氷屋「今更抜けるわけないでしょ。ホントにバカね…薬屋、魚屋さんにつけるいい薬ないの」

薬屋「ないです」

花屋「ここで芽吹いたんだ。やはり野に置け蓮華草、商店街と一蓮托生、ってな」

ゲーム屋「いやぁ、今の自分に『にげる』コマンドはないんでござるよ」

魚屋「お前達…」

電器屋「!……敵の無線傍受したぜ!もうじき来るな!」


西通り――

鍼師「……」

薬屋「あわわわわ……」

散髪屋「……きたよ!」

北通り――

電器屋「HAHAHA!サイコーにタフな展開だぜッ!」

魚屋「ここは本当にいい場所だよな」

電器屋「兄弟!急にどうした?ハーハン?」

魚屋「魚の目に水見えず、人の目に空見えず……まさしくだな」

電器屋「……確かにな」

南通り――

花屋「なぁなぁ、氷屋、お前んちが隣のせいでよ、いっつも一緒だよな。こんなときまでさ」

氷屋「そうね。不服だけど」

花屋「あのさぁ!さっき俺さ、やはり野に置け蓮華草って言ったじゃん?」

氷屋「ことわざ?」

花屋「うん、まぁ!でよぉ、蓮華草の花言葉って知ってる?蓮華草の言葉はな…」

氷屋「…きたわよ」

花屋「だぁークソー!!」

東通り――

肉屋「なー、八百屋」

八百屋「なんだい?」

肉屋「これ終わったらさ、またバトルドームしよう」

八百屋「そうだね」

ワアアアァァァアアア…!

??「……始まった……商店街も終わりだ」ククク

幼女「にいにい…!あたしが店は守るから!」

チンピラB「ダメだぞ幼女ちゃん。ちゃんと隠れとけ。なんかあったらお姉ちゃんがなんとかするけえのう!」

幼女「人の騒がしい声が聞こえる…いつもの商店街じゃないみたい…」


リサイクルショップ「社会のゴミ共め!再利用すら生ぬるいわ!」

バキッ ドゴッ

下っ端「ぐえ!」

下っ端「ちっ!囲め、囲め!あんなオッサン一人……」

ザッ…!

電器屋「一人ときた、サイコーに間抜けだぜ、あんた…!」

ルンバ「ウィーン」

ルンバ「ウィーン」

ルンバ「ウィーン」

ルンバ「ウィーン」

ルンバs《侵入者、ハイジョ》

下っ端s「!?」

電器屋「うちのカワイコちゃんたちさ…!」ニヤァ

散髪屋「…!」シャキシャキシャキ!

下っ端s「」

散髪屋「……ふぅ」

薬屋「……」ガタガタガタガタ…


下っ端「な、なんだこの化け物…!?」

花屋「化け物とは失礼だな…俺が手塩にかけて育てたハエトリソウだぜ!」

ハエトリソウ「ギシャアアアアアアア!!」

ゲーム屋「ひぃ!こっち来ないで!」

氷屋「ちょっとゲーム屋!服掴むな!」


八百屋「大根どきの医者いらずって言葉しってるかい?」

下っ端「い、いきなり何を……」

八百屋「大根は昔から身体に良いとされている。お腹の調子を整える素晴らしい野菜だからね。だから、医者がいらなくなる…と、世間一般ではいわれている。
しかし、真の意味は違う…大根が旬の時期は医者がいらない、の本当の意味は…」

ヴォン!!!バキッ!ドゴッ!

下っ端s「」

八百屋「大根が一撃必殺の武器として優れているという意味なんだ」

チンピラ「すげぇな、商店街の奴等…メチャメチャだけど…」

チンピラ「(だが、いくらあいつら強くても…その道を極めていてもだ…舎弟が相手じゃ分が悪い。あいつらと同じように舎弟は暴力を極めているんだからな…!)」

チンピラ「早く来てくれ、男…!」


ザッ…!

リサイクルショップ「ガハハハ!やっはちまえルンバ共!」

ルンバs《ハイジョ、ハイジョ》

下っ端「いやぁあー!!」

??「……情けないな、この程度のガラクタに!」

ルンバ《?》ウィーン

リサイクルショップ「で、電器屋の超合金製ルンバが軽々と持ち上げられて…!?」

??「ふんっ」ブォン!

リサイクルショップ「ぐあああ!?」

電器屋「ルンバ!!」

ルンバ《マスター、大丈夫…投げられただけ…》

電器屋「くぅ!そこのお前!」

筋肉舎弟「なんか用かい、兄ちゃん…」ゴゴゴゴゴ…!

電器屋「ハッ、よくもうちの可愛い商品を傷物にしてくれたな。高くつくぜ…!」

電器屋「吸い込め!ダイ○ン!」スゥゥウウウ!

筋肉舎弟「お…?」

ズズズ…

電器屋「掃除機で引き寄せて――」

電器屋「懐中電灯でぶん殴るッ!!」

バキッ!!!

筋肉舎弟「終わりかい、兄ちゃん」

電器屋「……あれ?」

筋肉舎弟「そりゃっ」

ドゴッ!

電器屋「……うげええ…」ビチャビチャ

電器屋「(あ、あれ…なんてこった…ウソだろ、たった一撃だぞ?立てねぇ……ああ、クソ……ここで終わりかよ)」

筋肉舎弟「脆いなぁ、あんた。ほんの軽く小突いただけなのによぉ…もうちっとだけ楽しめると思ってたんだがなぁ…」ズンズンズン…

電器屋「(いや、違う…ハハハ…お笑い草だ)」

電器屋「(俺は立つことを怖がってる…!この格上を相手に、前に立つこと自体心底怖がってるんだ!
このまま放っといてくれればいい、痛い思いしたくないと……負け犬だ…!とんでもない惨めな…!)」

ルンバ《…触れさせない》

ルンバs《……》ウィーン

電器屋「ルンバ…?」

筋肉舎弟「あ?」

ルンバs《マスターには指一本、触れさせない……!》

ルンバs《!》ウィーン!

筋肉舎弟「!?」

電器屋「ルンバ!?まさか…」

ルンバs《電さん…どうか死なないで…》

電器屋「や、やめろォー!!!!」

ルンバ《さよなら…電器屋さん…》

ボガァアアアアアン!!!

電器屋「あ、ああ…ルンバ…クソッ……親父や兄貴に顔向け出来ねぇ…!」


モクモクモク…

筋肉舎弟「はぁー…ビックリした」

電器屋「なッ!?」

筋肉舎弟「あんなもん効くわけねぇだろ」

電器屋「そんな……ウソだろ……」

筋肉舎弟「ちょっとはビックリしたけどな。そろそろ遊びは終わりにさせてもらうぜ」

ガシッ

筋肉舎弟「あん?」

魚屋「よう。こっから俺が相手だ!」

バキッ!

筋肉舎弟「!」グラッ

筋肉舎弟「ハハハ…おもしれぇ!!」


ゲーム屋「ひっ!ひぃいいいい!」ダダッ

氷屋「あっ!あいつ、ついに逃げた!」

下っ端「追うか!?」

下っ端「いいだろ、あんなキモオタ…ほっとけ」



ゲーム屋「……ここなら邪魔が入らないでござる」

??「……やはり気付いていたか」

シュタッ

ナイフ舎弟「貴様が一番あの中で…一番ヤり甲斐がありそうだった」

ゲーム屋「……」カチッ…シュボッ

ゲーム屋「……御託はいい。来な」プカー

ナイフ舎弟「言われずとも!」



ナイフ舎弟「フッ!」ピシュッ!ピシュッ!

ゲーム屋「!」サッ!

ナイフ舎弟「……よく躱せたな」ピシュッ!ピシュッピシュッ!

ゲーム屋「このくらい出来なきゃR-TYPEはクリア出来ぬでござる」サッ

ピシュッピシュッピシュッ!

ゲーム屋「!」

ゲーム屋「(一本目……回避、可!二本目……回避、可!三本目……回避、間に合わな――)」

サクッ

ナイフ舎弟「……終わりか」

ゲーム屋「ふぅー…さすがは任天堂…」

ゲーム屋「頑丈な作りでござるな」

ナイフ舎弟「ゲームボーイ…!?」

ゲーム屋「いまメダロット再プレイしてまして」

ナイフ舎弟「…ほう、私に拳の間合いまで近付けたのは貴様が初めてだ…」

ゲーム屋「光栄でござる」

ゲーム屋「――シッ!」

ナイフ舎弟「ッ!」

シュバババババ!



ナイフ舎弟「貴様……何をやっていた。もしくはどこに所属していた…!」

ゲーム屋「産まれも育ちもゲーム屋でござるよ!ゲームしかしないでござる!」

ナイフ舎弟「嘘をつけ」

ゲーム屋「強いて言うならばプレスリーの肉弾ですかな!」

ゲーム屋「それからパンチアウト!」

スカッ

ゲーム屋「ボクサーズロードッ!」

スカッ

ナイフ舎弟「…なるほどな」

ナイフ舎弟「お前の強さの質は見えた」

ゲーム屋「……」

ナイフ舎弟「確かに、その技術…既知の格闘技、武術にもない独自のモノだ。ゲームで磨き、体系化されたというのは嘘ではないらしい」

ナイフ舎弟「故に、当たらない。いや、当てられない。実戦を経ていない拳など、児戯同然ッ!
実に惜しい…その技量自体は本物…!お前ほどの才覚があれば、1度でも血を覚えていれば私にあるいは…」

ゲーム屋「…ないですな。ゲームは楽しむモノ。人を生き生きさせるモノ。人を活かす為のモノでござる。
ゲームがくれたこの技は、人を手にかける為に身につけたモノではないッ!」




ナイフ舎弟「当てることが出来ない、虚仮威しの拳でも誇れるか…」

ゲーム屋「ござる。キモオタ狩りには虚仮威しで十分でござるし……だが、友を守るため……」

ゲーム屋「当てる……今まで一度だってしたことないでござるが、次は深く踏み込む…!!」

ナイフ舎弟「(目が変わったか…)」

ゲーム屋「(→+↓+↓→+Pッ!!)」

ダンッ!!




ナイフ舎弟「青いな…」

ポグッ

ゲーム屋「う…ッ!?」プラーン

ナイフ舎弟「当てる気になれたのはいいが…今度は『逆』当てる気になりすぎた。こんな殺気まみれで愚直なモノ……だから言ったろう?実戦を経ていない者が実戦を経験している者に勝てるわけがない」

ナイフ舎弟「!」

ズババ!!

ナイフ舎弟「なんだ…?氷柱?」

ゲーム屋「しまった…来てしまったでこざる」

氷屋「…なにカッコつけてんのよ」

花屋「ゲーム屋!お前一人で何やってんだよ!」

ゲーム屋「二人共…なんで来たでござるか」

花屋「は?いやそりゃ…」

ゲーム屋「格が違う……例えるなら、こっちが9999でカンストするゲームやってるところに向こうはディスガイアばりのバカみたいな桁の攻撃してくるような違い……!」

花屋「言ってる意味は分からないが……見捨てられるわけないだろ。ハエトリソウ!」

ハエトリソウ「ギシャアアアアアアア!」


肉屋「モモ!」ローキック

肉屋「ハラミ!」

肉屋「レバーブロー!」

ドスッ

下っ端s「バタンキュー」

エリート下っ端「こ、このアマ…!」

ガシッ

エリート下っ端「え?」

寿司屋「右腕…握ったぜ」

ギチギチギチ…パァンッ!

エリート下っ端「ぎゃああああぁあああああああああああああああ!?」

下っ端「エリート下っ端さんの右腕が弾けた!?」

下っ端「なんて握力だ……!」

寿司屋「まだやるかい」

下っ端s「ひぃぃい…」スタコラサッサー

肉屋「さすが寿司屋さん…!」

ザッ…

格闘舎弟「……」

寿司屋「!……新手か」

クリーニング屋「寿司屋さん!俺もお手伝いします!」

寿司屋「いい!目の前に集中しろ!」

肉屋「大丈夫さ…チンピラはなんかヤバいのがいるって言ってたけど…寿司屋さんが負けるはずないしな!」

クリーニング屋「…そっすね!」

八百屋「……肉屋!無事だったか」

肉屋「なんだよ、心配しなくてもいいのに。ここには私と寿司屋さんがいるんだぞ!」フンスッ

八百屋「寿司屋さんが?どこに……」

肉屋「ほら、あそこで敵と向かい合ってる。馬鹿だよなー、寿司屋さん相手に一人で……」


寿司屋「」

格闘舎弟「……」

寿司屋「」グラッ…バターン

肉屋「え…」

八百屋「!」

格闘舎弟「……」スタスタスタ

八百屋「くる…!肉屋!」

肉屋「そ、そんな……嘘だろ」

八百屋「肉屋!」

肉屋「な、なに」

八百屋「僕が止める…男の家に行って幼女ちゃんと逃げてくれ!」

肉屋「何いってんだよ!」

八百屋「頼む…たまには言うこと聞いてくれ。どのみち幼女ちゃんを避難させないと…」

肉屋「だったら私が」

八百屋「僕がやる。……カッコつけさせてよ」

八百屋「――男なんだからさ」ナガネキシャキンッ

鍼師「はぁ……はぁ……!」

タッタッタッタッ…

鍼師「無様に逃げて……男くん、と皆に顔向けできない……」

??「おっ!見ィ付けた!」

ゴォォオオオ!!

鍼師「くっ…!」

鍼師「白衣があちこち焦げ落ちた……」

放火魔舎弟「暑いなら脱いじゃえば?お姉さん」

鍼師「私はそんなすぐ肌を見せるような女じゃない」

鍼師「(火炎放射器さえ使えなくすれば……!)」

鍼師「!」ピシュッピシュッピシュッ

放火魔舎弟「おっと」

パシッ

鍼師「!?」

放火魔舎弟「君はこう思ってる……武器さえ封じれば勝てると」

放火魔舎弟「甘いんだよなぁ。僕がこれ使ってるのはさ、別に弱いからじゃないんだよ。むしろ、逆」

放火魔舎弟「試してみる?君はハリを使っても構わない」

鍼師「……後悔する!」ダッ!

鍼師「シッ!」

放火魔舎弟「よっと…」

鍼師「(スウェーで避けた…!ジャブは囮…本命は左の関節蹴り…!膝を蹴り抜く…あれ?な、ない)」

鍼師「…あぐっ!」ズシャァア

鍼師「(避けた勢いのまま宙返りして蹴られた!?)」

放火魔舎弟「ふわぁ……」

鍼師「くっ……あああ!!」

放火魔舎弟「アハハ、冷静にならないと。勝てないよ」

鍼師「(とても…勝てそうにない…)」

放火魔舎弟「分かったでしょ?素手だといよいよ君に勝ち目はない。ホントはこういう手段の方が手っ取り早いんだよね。でもね、この火炎放射器ってのが堪らなく好きなんだ」

放火魔舎弟「だってそうだろ?モノが燃える瞬間、それが一番美しいんだから」

鍼師「え…?」

放火魔舎弟「物だって、人だってそうさ。燃焼して、火の中で壊れていく短いあの時間……あれが一番綺麗なんだよ」

鍼師「ただの貴方のおかしな趣味……その破壊衝動はいつか貴方自身を塵にする」

放火魔舎弟「アハハ、本望だよ。いつかそうなるかも……でも、今はまだ、そのいつかじゃない!」

放火魔舎弟「だってそうだろ?今晩は君みたいに素敵な女性に会えたんだから!
さぁ!鍼師さん……君はどんなに美しく変わるんだい?」

鍼師「男くんより変態……」

放火魔舎弟「なんだっていいさ。さぁて、やっぱこれだよね」

ゴォォオオオ!

鍼師「くぅ…!」

放火魔舎弟「熱そうだ。苦しそうだ。いい顔になってきたね、お姉さん」

鍼師「はぁ…はぁ…」

鍼師「……うっ…熱い…痛っ…」

放火魔舎弟「そろそろ限界なんじゃない」

鍼師「……たくない」

放火魔舎弟「ん?」

鍼師「し、しにたくない!…た、助けて…!お願いだから!」

放火魔舎弟「……」

鍼師「いやぁ……グスッ……ひっ…ひんっ…」ガクガク

放火魔舎弟「……泣かないでよ」

鍼師「はぁ…はぁ…な、なんでもするから!お願い……なんでもしますから…っ」

放火魔舎弟「……お姉さんにそんなあちこち破れた格好で、足に縋りつかれて、そんなこと言われて……心が動かない男はいないだろうね。……僕でさえ、少しきた」

放火魔舎弟「どっこい、でもッ!ダメぇー!もっと泣いて顔を歪めて、苦痛の中で燃えるんだッ!!」

鍼師「い、いやぁ!……ひ、ひぃぃ……っ!」タッタッタッタッ

放火魔舎弟「ハハハ、もっと速く走らないと火炎瓶ぶつけるよッ!」

鍼師「男くん…助けてよぉ…男くん…っ!」

放火魔舎弟「今は僕だけを見てッ!」

鍼師「ひぃ…ひぃ…いやぁ……!」タッタッタッタッ

放火魔舎弟「ムムッ!整骨院に逃げ込んだか…なるほど、ホームグラウンドなら隠れるのに都合がいい……」

放火魔舎弟「ハハハ、あの冷たい目があんな恐怖に揺れて、プライド捨てて命乞いまでしちゃって……そろそろ頃合いかな」

放火魔舎弟「焼かなきゃ」

放火魔舎弟「ふんふんふん…」

ジュッ…!

放火魔舎弟「あっづぅう!何これ?治療用のレーザー……?改造してあるのか、なんて出力だよ」

ヒュー…ペトッ…バチチチチチチ!!!!!!!!

放火魔舎弟「あ゙あ゙あ゙ああ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙!!!……で、で、電気マッサージ……!?」

バシュウン!!!!

放火魔舎弟「うわっ!!ウォーターベッド……というかウォーターカッター…!属性攻撃しすぎだろ…
なるほどね、ここは隠れるのに都合がいいだけじゃなく、彼女の武器庫でもあるわけだ」

放火魔舎弟「……」ニヤァ

放火魔舎弟「あそこまで心を折られて……まだ、生きるためにどうにか必死で抵抗してるわけだ」

放火魔舎弟「最高だよ!今まで一番の上玉だ!見た目もさることながら、内面まで美しく燃えそうな……!」ゾクゾク



ササッ

放火魔舎弟「そこだ!!」ゴォォオオオ!

放火魔舎弟「お、お姉さんのカーテン燃えてる……はぁんっ」ビクン

バシュウン!!

放火魔舎弟「おっと、2度同じ手はくわないよ。もちろん――」

バチチチチチチ!!

放火魔舎弟「――この水攻撃は布石で、床に落ちてる電気マッサージの電圧攻撃が本命だってこともお見通し」ピョンッ

??「くっ」

ササッ

ガチャ…!

放火魔舎弟「ハハハ、奥は行き止まりだろ?万策尽きたかな~」スタスタスタ

放火魔舎弟「へぇ、奥も結構広いや。若いのにこんなおっきなお店持ってんだね。酸素カプセルが並んでるや。ハハハ、一個ほしいな」

放火魔舎弟「んーと、どこかなぁ…っても隠れるとこ殆どないけど。奥のカーテンかな」ハハハ

ガタガタガタガタ…

放火魔舎弟「……」ニヤァ

放火魔舎弟「(死ぬ数秒前だ……無理もない。いかに彼女が身体も心も強くても……命乞いはするし、身体の震えは止められない。いかに強い人間でも、死の恐怖には抗えない)」

放火魔舎弟「カーテン越しに人影が見えるなぁ……」スタスタスタ…

ガタガタガタガタ…!

山道――

ダダダダダダ!

男「やっべぇ!山奥から出んのにスゲェ時間かかった……!バカみたいな修行してたから走りっぱなしでも疲れねぇけど、まだまだ街に降りるまでは長いな」

男「親父の奴なんだって電気も通ってない山奥で……」

男「とにかく急がねぇと!」

ヴゥウン…キキー!

男「ムムッ!あのAE86トレノはまさかッ!」

豆腐屋「男!お前何やってんだ!早く乗れ」

男「すまん、助かる…ってボロボロじゃねえか!?どうした?」

豆腐屋「…攻め入ってきた」

男「…クソ!」

豆腐屋「俺は鍼師さんに頼まれてな。お前のことだから道に迷ってるかも…ってお迎えだ。……あいつは残って一人でヤバイ奴と戦ってる」

男「……」

豆腐屋「飛ばすぜ。シートベルトしな」

男「あぁ、でも、間に合うか…!」

豆腐屋「任せろ……ダウンヒルは得意なんだよ」

ヴゥウン――


豆腐屋「他の戦況は分からねぇ。最初はどうにかなってたんだ……ただ、その火炎放射器野郎が来てから一変してな。散髪屋がやられたみたいで、鍼師さんが一騎討ちを挑んでたが……あの人でも多分、勝てない」

男「……今は鍼師だけなんだな、その手強い奴といるのは」

豆腐屋「あぁ……でも、急がないと鍼師が……」

男「安心したぜ」

豆腐屋「……なに」

男「に、睨むなよ。ただ、鍼師が負けるはずないって思うだけだ」

豆腐屋「いや…見てないから言えるんだろ」

男「いくら相手が強くても勝つよ、あいつは」

豆腐屋「……自分より強い相手にか?」

男「あぁ。あんな恐ろしい奴は他にいないぜ、何考えてるか分からないけど、狡猾で強かで…どんな状況でも冷静に頭が働かせられる。……一番敵にまわしたくない存在だ――」


放火魔舎弟「(前兆なしにいきなり燃やすか!苦痛に驚きが混じる!)」

カタカタカタ…

放火魔舎弟「鍼師のお姉さん、楽しかったよッ!」

カチッ――――


男「――あいつほど強い人間はいねぇよ」


鍼師「……」ニヤッ!

――ドカァァァアアアアアアン!!!!!!

放火魔舎弟「あ、ああ、があ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙!?!?」メラメラメラ

放火魔舎弟「燃える!僕が!なんで!?」

放火魔舎弟「鍼師!……こ、これは……白衣と……」

酸素カプセル「ふぅ…バイターマシン……振動を与えて血行をよくするマッサージ器具……」

パカッ

鍼師「ただし改造して遠隔操作ができる」

放火魔舎弟「鍼師ッ!」

鍼師「その中に発泡水素発生材で作った高濃度の水素を詰めた袋を入れた」

放火魔舎弟「!?す、水素……?」

鍼師「そう……当院では水素療法も行っている」クスクス

鍼師「おまけに酸素カプセルをいくつか起動し、部屋には酸素が充満……爆発は威力を増す。……インディ・ジョーンズを観て考案した核爆発にも耐える特注の酸素カプセルに私は避難した……ご覧の通り、ピンピンしてる」

鍼師「逃げながら酸素が溜まるのと水素玉が出来るまでの時間稼ぎは苦労した」クスクス

放火魔舎弟「さ、最初から計算ずくで……!?」

鍼師「その中に発泡水素発生材で作った高濃度の水素を詰めた袋を入れた」

放火魔舎弟「!?す、水素……?」

鍼師「そう……当院では水素療法も行っている」クスクス

鍼師「おまけに酸素カプセルをいくつか起動し、部屋には酸素が充満……爆発は威力を増す。……インディ・ジョーンズを観て考案した核爆発にも耐える特注の酸素カプセルに私は避難した……まさか役に立つ日が来るとは思わなかったけど。ご覧の通り、ピンピンしてる」

鍼師「逃げながら酸素が溜まるのと水素玉が出来るまでの時間稼ぎは苦労した」クスクス

放火魔舎弟「さ、最初から計算ずくで……!?」

鍼師「……貴方が少しでも注意すれば簡単に見破れたお粗末な作戦。最悪、刺し違える覚悟はあったけど…必要なかった」

鍼師「言ったはず。貴方のその思想は自分をも燃やすと」

放火魔舎弟「ひぅ……はぁっ……」メラメラメラ

鍼師「自分の欲に目が眩み、目先のモノしか考えられなくなった……いくらでもつけ入る隙はある」

鍼師「(本当に怖くて泣いたけど)」

鍼師「貴方を殺したのは……貴方自身の狂気の焔」ドヤァ

放火魔舎弟「ひっ!ひぃ!ひいいいいいい!!」メラメラ

放火魔舎弟「くやしい…っ…でも…燃えちゃうぅううううううッ!……燃焼確実ぅううううううううううううッ!!」ビクンビクンシコシコピュッ

鍼師「……気持ち悪い」

放火魔舎弟「んはあああああ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙!!幸せお裾分けぇぇぇぇぇぇッ!!」

鍼師「こないで」ピシュッ

――トスッ

放火魔舎弟「シュゴイ……」

鍼師「穢らわしい」ジト

放火魔舎弟「アラタナカイカン……アッ」

――バタリ

バキィ!!

魚屋「ぐぅ…!そらっ!」

筋肉舎弟「っ!…ハハハ…もっとだ!もっと打ち込んでこい!」

魚屋「大したタフネスだな…」

筋肉舎弟「久しぶりだぞ……ここまで俺を楽しませてくれる相手はッ!それどころか、ここ数年は拳を構えた俺と向き合える相手さえいなかった!」

魚屋「へっ…お可哀想に」ペッ

魚屋「俺もここまで派手に喧嘩したのは久しぶりだ。船を降りてからは初めてだな。もう荒事は御免なんだかなぁ」ヌギヌギ…バサッ

筋肉舎弟「……素直になれよ。あんた、さっきからいーい顔で」

筋肉舎弟「笑ってるぜ?」

魚屋「商店街の仲間には悪いが……」

魚屋「楽しいか!兄ちゃんッ!」

筋肉舎弟「あぁ、最高の日だ!」

ありがとうッ!

筋肉舎弟「ふん!」

魚屋「ッ!」

筋肉舎弟「がふっ!……なぁ、あんたなんで他の商店街の連中みたいに得物使わないんだ」

魚屋「ハッ……あんたこそなんでだい」

筋肉舎弟「ハハハ、そりゃ、あんたも素手だしな。やっぱこれだよな。武器なんかよりもさ……男はこれだ」グッ

魚屋「本当楽しいそうだな。水を得た魚って感じだ!」


電器屋「あわわ…割り込めねぇ…足引っ張るだけだし」

電器屋「俺はなんの為に……くそ」

魚屋「(ダメージは五分……か?)」

魚屋「(いや、俺もバカだよな。確かにこいつの言う通り、素手に拘らなければ勝てるな)」

魚屋「(シミュレーションしよ)」

魚屋『左順突き!と見せかけてクサヤの干物!』プーン

筋肉舎弟『ぐあ…っ!?』

魚屋『判断力を奪ってから、イカスミ!』ブゥー

筋肉舎弟『目がァ!』

魚屋『ヒトデ手裏剣で手足を潰す!』シュピッ

魚屋『ゴンズイとガンガゼとアンボイナガイでとどめだ!』

筋肉舎弟『バタンキュー』

魚屋「(うわ余裕。でもなんかなぁ……)」

筋肉舎弟「ハハハ!おら、ボーッとするな!」ギラギラ

魚屋「(俺もたまたまこの商店街の人達に会えたから今は全うに生きてるが……会ってなけりゃ未だにこいつみたいな荒れくれ者だったんだろうな)」

魚屋「っづ…!」

筋肉舎弟「余所見すんな!」

バキィ!ガラガラガッシャーン!

魚屋「いちち……お、しまった。ここ俺の店じゃねえか」

電器屋「う、魚屋!」

魚屋「安心しな……大丈夫だ」

筋肉舎弟「はぁ…はぁ…ハハハ、あちこち痛てぇ…」

魚屋「なぁ、表でやらないか?ここ俺の店でさ…外で続きだ」

筋肉舎弟「そろそろ本気でいかせてもらうぜ!!」

魚屋「聞けって!頼むよ、本当。水槽とかあるし危ないだろ」

筋肉舎弟「名残惜しいが、これで終わりだ!」ダダダッ

魚屋「だから暴れんじゃねぇよッ!」

バキィ!!!

筋肉舎弟「っ!」

魚屋「俺の!店で!暴れるなって!」

筋肉舎弟「ぐっ!あがっ!」グラッ…

魚屋「耳にタコができるほど言ったろ!!」

ガシッ

魚屋「魚屋流柔術――鯖折り!」

ギチギチギチ…!

電器屋「き、決まった……あのサブミッションは脱出不可能だ…!」

筋肉舎弟「ぐ、ぐああああああああああああ……!!!」

魚屋「ここまでだな」

筋肉舎弟「ギ……ギブアップだ」バタリ


魚屋「ふぅ、俺の勝ちだな」

電器屋「す…すっげぇぜ!兄弟!!サイコーにイカしてる!」

魚屋「タイしたもんだろ?」

電器屋「あぁ!かっコイい!」

筋肉舎弟「く、ハハハハ……俺の負けだ。何回やっても勝てる気はしねぇ。あんた、本当に強いな。…認めるぜ、男としては完全敗北だが…すまん。すまねぇな」スチャッ

魚屋「…!」

電器屋「じゅ、銃!?」

筋肉舎弟「こっからは汚い大人の勝負だ。こんなもんであんたとの勝負を汚したくねぇが…だが、くっ…」

魚屋「…なら、下ろしな」

筋肉舎弟「無理な相談だ。俺はこの界隈でしか生きれねぇんだ…あんたと違ってな」

魚屋「それは違うぜ。俺だって…昔はお前と似たり寄ったりの人間だった。誰だって変われる。お前もその網から抜け出せるぜ」

筋肉舎弟「…俺は『これ』があんま好きじゃねえが、頼もしさは嫌というほど知ってる。手放せねぇよ」

電器屋「あわわわわ…」ガクガク

魚屋「そうか。なら教えてやるよ…俺が今からお前にまた勝ってな」

筋肉舎弟「ハ、ハハハ…本気かよ。本当に尊敬するぜ」

筋肉舎弟「でも、ムリだ――」スッ

魚屋「電器屋ァ!奴をそのライトで照らせェ!」

電器屋「!」

ピカッ――

――ドスッ!!!

筋肉舎弟「あ……?」

電器屋「!?……細長い魚ぎ奴の肩口に刺さって……!?」

筋肉舎弟「いってえええ!!」

ダツ「ピチピチ」

魚屋「ダツだ。光に向かう習性があってな。実際、人に刺さる事故も発生している危険な魚だ。
電器屋の角度からだと電器屋は安全だからな。電器屋のやたら強力なライトに照らされれば、当然そこに俺が仕入れたやたら生きのいいダツが飛び出す」

筋肉舎弟「そんな……この俺が……」

魚屋「これがお前にはない力だ」

スタスタスタ

筋肉舎弟「くっ…やれ!」

魚屋「……何勘違いしてんだ?」

筋肉舎弟「……?」

魚屋「俺はロクデナシだった若いときから、言ったことに責任だけはもって生きてきた。もちろん、今もな。
お前に言ったじゃねえか。新しい生き方を教えてやるよ」

筋肉舎弟「…!」

電器屋「兄貴過ぎる」

魚屋「(いつか、商店街のみんなが俺にそうしてくれたように、な……)」

筋肉舎弟「……いいのかよ、俺なんか」

魚屋「あぁ、じゃないと鮟鱇武者で磯のカサゴは口ばかりだぜ。俺をウソつきにさせないでくれよ」

筋肉舎弟「!……ま……」

筋肉舎弟「参りましたァ!!!」

筋肉舎弟「あんたらの勝ちだ……!」

電器屋「お、俺も……」

魚屋「ははは、明日からバイトな。ほら立てるか」

スッ

筋肉舎弟「!?」

筋肉舎弟「(よく見りゃ小指の先が欠け……)」

魚屋「ん?どうした?あ、これは違うぞ」

筋肉舎弟「やっぱりその道の喧嘩師の方だったのか…!兄貴と呼ばせてください!」

魚屋「い、いや……普通でいい」

電器屋「……いかついからまさかと思ってたが」

魚屋「(ホオジロザメと格闘してかじられただけなんだがなぁ)」

花屋「……う……」バタリ

ナイフ舎弟「血を流しすぎだな…」

氷屋「はぁっ…はぁっ…は、花屋……」

ゲーム屋「くっ……3人がかりでも手も足も出ないでござるか……!!」

ナイフ舎弟「中々楽しめたが……私には遠く及ばん」

氷屋「はぁ…っ!花屋…!いやぁ!花屋!」

花屋「……初めて見たかも……お前が泣いてんの」

氷屋「な、なにバカなこと言ってんのよ…!」

ポタポタ…

花屋「熱いな…氷の女だとか冷たい女とか言ってわりぃな…」

氷屋「ホントよ…!まだ詫びが足りないわよ…ほら、起きて…目開けて…!花屋?花屋ぁー!」

ゲーム屋「花屋殿…!ナイフ舎弟ッ!!」

ナイフ舎弟「まだヤル気か……ただのゲーム屋が」

ゲーム屋「あぁ……!」

→たたかう

ゲーム屋「誰かが英雄になれるなら…誰もが英雄になれるはず!!」

ナイフ舎弟「ふっ!」

スパッ!

ゲーム屋「っ!……効かない、効かないでござる!」

→たたかう

スパッ!!

ゲーム屋「ぐあ……!」

→たたかう

→たたかう

チッ…

ナイフ舎弟「掠った…?なぜ、なぜ勝ち目がないと分かっててそこまで…!」

ゲーム屋「ハァ…ハァ…!」ガクガク

ゲーム屋「絶対に負けられな維新の風!仲間をやられて黙ってはゲーム屋の名折レーシングラグーンッ!
立ち向かわないと!サモンナイト!立ち向かわないと…!アルカナハート…!商店街の平和をいただきストリート!!
お前を…お前を倒スペランカアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアッ!!!!」

→たたかう!

→たたかうッ!

→たたかうッ!!

花屋「」

――氷屋の奴……泣いてたな

花屋「 」

――最悪だな…あいつ泣かせるだなんて…弱いばっかりに親友まで敵に一人で向かわしちまった。そんな男にゃ…

花屋「  っ!……は…あ…!」ハッ

花屋「……キツい一喝が必要……だよな……!」

花屋「なぁ、俺…ッ!」

プスッ――――

ナイフ舎弟「ふっ!」

スパッ!

ゲーム屋「っ!……効かない、効かないでござる!」

→たたかう

スパッ!!

ゲーム屋「ぐあ……!」

→たたかう

→たたかう

チッ…

ナイフ舎弟「掠った…?なぜ、なぜ勝ち目がないと分かっててそこまで…!」

ゲーム屋「ハァ…ハァ…!」ガクガク

ゲーム屋「絶対に負けられな維新の風!仲間をやられて黙ってはゲーム屋の名折レーシングラグーンッ!
立ち向かわないと!サモンナイト!戦わないと!ファイナルファイト!ハートを強くもたないと…!アルカナハート…!商店街の平和をいただきストリート!!
お前を…お前を倒スペランカアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアッ!!!!」

→たたかう!

→たたかうッ!

→たたかうッ!!

花屋「」

――氷屋の奴……泣いてたな

花屋「 」

――最悪だな…あいつ泣かせるだなんて…弱いばっかりに親友まで敵に一人で向かわしちまった。そんな男にゃ…

花屋「  っ!……は…あ…!」ハッ

花屋「……キツい一喝が必要……だよな……!」

花屋「なぁ、俺…ッ!」

プスッ――――

ゲーム屋「ぐ……」

氷屋「……」

ナイフ舎弟「終わりか……惜しいな、ゲーム屋。お前が情け容赦ない武の世界で生きていたら私は倒されていたろうに」

ゲーム屋「自分には……仲間がいる。殺意の波動に目覚めるわけにいかないでござる……」

ナイフ舎弟「……そうか。それもいいだろう。では、とどめだ」

??「待て!」

ザッ…!

ゲーム屋「!?」

氷屋「は、花屋……?」

ナイフ舎弟「バ、バカな……!!その傷で!その出血で!」

花屋「ふーっ……」

ナイフ舎弟「何故、立っていられるッ!」

花屋「さぁ?なんでだろうなー」

ナイフ舎弟「貴様は死にかけのはずだ!とうに立てる状態ではないッ!」

花屋「いやまぁそうなんだけどね」ハハハ

花屋「言わぬが花だぜ?」

ゲーム屋「は、花屋殿……その身体でまさか…」

氷屋「花屋ぁ!も、もういいから!」

花屋「柳は緑花は紅。カッコがつかなくても諦めないってのが俺でな」

ゲーム屋「花屋殿!やめるでござ……やめろ!花屋!!マジでやめろバカ!」

花屋「花は桜木、男は花屋。行き着く先は柳暗花明…最後に一花咲かせてやるよ。さぁいくぜ、花の命は短いんだ!」

ナイフ舎弟「おかしい……あんな身体で動ける人間がいるはずないッ!」

花屋「試してみな!!」

バキィ!!

ナイフ舎弟「なっ!?」



花屋「」

花屋「」

花屋「柳は緑花は紅。カッコがつかなくても諦めないってのが俺でな」

ゲーム屋「花屋殿!やめるでござ……やめろ!花屋!!マジでやめろバカ!」

花屋「花は桜木、男は花屋。行き着く先は柳暗花明…最後に一花咲かせてやるよ。さぁいくぜ、花の命は短いんだ!」

ナイフ舎弟「おかしい……あんな身体で動ける人間がいるはずないッ!」

花屋「試してみな!!」

バキィ!!

ナイフ舎弟「なっ!?」

花屋「まだまだァ!!」

ナイフ舎弟「くっ…!(ふざけている……何故、最初より速く……力も増している!?)」

氷屋「う…うそ…」

ゲーム屋「花屋が押してる…!」

花屋「お前の見立ては間違ってねえよ。半分お花畑が見えら!」

ナイフ舎弟「命を削ってまで……何故、戦える!」

花屋「……ハハハ……種明かしだ。これだよ」

ナイフ舎弟「!」

ゲーム屋「あ、あれは…!?」

氷屋「な、なに…あの花?」

ナイフ舎弟「職業柄、よく知っている……」

花屋「――トリカブトだ。一番有名な毒花かもな」

ナイフ舎弟「貴様……狂ってるのか?」

ゲーム屋「あんのバカ……!?まさか……!」

氷屋「な、なに!なんなの!?あれ、猛毒なんでしょ!」

花屋「足りなくなってきたな……」ガブッ!!

氷屋「!?」

ゲーム屋「やっぱりかよ…!」

氷屋「え…うそ…!な、なにやってるのよ花屋…」

ゲーム屋「氷屋……毒ってのは大抵、薬にもなるんだ」ギリ…!

花屋「シッ!漲ってきたッ!」

ナイフ舎弟「……生薬としても使われている。効能は鎮痛、昂揚……強心作用。通常は弱毒処理された千分の一ほどの薬を少しだが……!」

花屋「心臓がドクドク鳴ってるぜ!お前を倒せってなァ!」

ダッ――

ナイフ舎弟「こいつ、猛毒でムリヤリ身体を動かしているというのかッ!!」

ナイフ舎弟「命を捨てているのかッ!何故、どうして、そこまでッ!狂ってる…狂ってるぞ貴様ッ!」ゾクッ

花屋「弱っちい、泥中の蓮なりのやり方だッ!ダチと……高嶺の花を守りたくてな……」ニコッ

ゲーム屋「花屋…!!大馬鹿野郎が…!」

氷屋「くぅ…!!」ポロポロ

花屋「毒の知識だけのあんたにいいこと教えてやるッ!トリカブトの花言葉は……」

ザッ…!

花屋「『騎士道』さぁ、かかってきな」

ナイフ舎弟「!……ウオオオォォォオオオオオオオオッ!!!!」

花屋「時間がねぇッ!!朝顔の花一時ってヤツだな!」

バキィ!

ナイフ舎弟「ぐっ…!」

花屋「ガーデニング神拳奥義!百花繚乱ッ!」

ズガガガ!

花屋「散る前に……」

ナイフ舎弟「ぐ…あぁ…!!」

花屋「一瞬、でも大輪の桜のように……咲き誇って生きてやる!――それが花屋の生き方だッッッッ!!!!!!!」

ガクン――

花屋「(あ、れ……)」

花屋「(あぁ、そうかよ……ゲーム屋風に言えば……スーパースター状態終了ってわけか……)」

ブスッ

ゲーム屋「花屋ぁああ!!」

氷屋「あ、あああ…いやぁぁあああ!!」

ナイフ舎弟「ハ、ハハ…惜しかったなぁ…結局、勝つのは私だ」

花屋「ぐぁ……!」

ナイフ舎弟「終わりだ」

ブシャァァァアアア!!!

花屋「お前も……な」ニカッ

ナイフ舎弟「……!」ゾクッ

花屋「……」バタリ

ゲーム屋「ぐぅ…!ふぅ…ふぅ…ッ!」ヨロヨロ

氷屋「う…うぅう!よ、よくも…!」

ナイフ舎弟「ハハハ…死に損ないが…すぐに一緒のとこに送――」

――ドクンッ

ナイフ「!?」

ガクン――

花屋「(あ、れ……)」

花屋「(あぁ、そうかよ……ゲーム屋風に言えば……スーパースター状態終了ってわけか……)」

ブスッ

ゲーム屋「花屋ぁああ!!」

氷屋「あ、あああ…いやぁぁあああ!!」

ナイフ舎弟「ハ、ハハ…惜しかったなぁ…結局、勝つのは私だ」

花屋「ぐぁ……!」

ナイフ舎弟「終わりだ」

ブシャァァァアアア!!!

花屋「お前も……な」ニカッ

ナイフ舎弟「……!」ゾクッ

花屋「……」バタリ

ゲーム屋「ぐぅ…!ふぅ…ふぅ…ッ!」ヨロヨロ

氷屋「う…うぅう!よ、よくも…!」

ナイフ舎弟「ハハハ…死に損ないが…すぐに一緒のとこに送――」

――ドクンッ

ナイフ舎弟「!?」

ナイフ舎弟「…なっ………おぶっ……!」ガクガク

ナイフ舎弟「(これは、毒……ま、まさか……)」

ナイフ舎弟「先ほどの返り血で……!?本当に命を捨て、刺し違えるつもりであいつは最初から……!」

ゲーム屋「はぁ…っ!はぁ…っ!」ガクガク

氷屋「く…っ!」ヨロヨロ

ナイフ舎弟「(苦しい…こんな地獄の中で奴は戦っていたのか!?)」

氷屋「花屋の……勝ちね」

ナイフ舎弟「ぐぅ…なんだと…?」

ゲーム屋「まだ分からんのか!花屋の覚悟がッ!今ッ!お前に刃を向けているッ!」

氷屋「花屋に代わって教えてあげる……トリカブトの花言葉の一つにこんなのがあるわ」

ゲーム屋・氷屋「『復讐』」

ナイフ舎弟「…戯けが…貴様等とは積み上げてきた経験が違う……!見くびるな!」

氷屋「ゲーム屋!合わせてッ!」

ゲーム屋「応ッ!!」

ナイフ舎弟「死に損ない共が!」

ゲーム屋「(→+↓+↓→+PPッ!)」

ナイフ舎弟「避けて……!?」

――トスッ!トスッ!

ナイフ舎弟「足に、氷柱が…!?」

ゲーム屋「――昇龍拳ッッッ!!!」

バキィ!!!!!!!!!!!!

ナイフ舎弟「~~~~~~~~~~~~~ッッッッッッ!?」

ナイフ舎弟「ぐおお……」ズザザー…バタリ

ゲーム屋「10年積み重ねたとして…失うのは一瞬だ」

チンピラ「ちっきしょう…!」

下っ端s「へへへ……悪いがチンピラ幹部さんの命令なんでね」

チンピラ「囲まれたか……!」

??「ハイパーヨーヨー!!」

バキッ ゴッ ドガッ

下っ端「ぐああああああああああああああああああ!!」

チンピラ「あ、あんたは……!?」

ザッ…!

駄菓子屋「通りすがりの駄菓子屋さ」

駄菓子屋「ムムッ!あんたがチンピラか。八百屋から話は聞いてるぜ」

チンピラ「あいつが……」

駄菓子屋「あぁ。っと悪い。通信だ」

電気屋《ガガッ…駄菓子屋、聞こえますか?》

駄菓子屋「ん、電気屋の兄貴の方か。どうした?」

電気屋《鍼師さん、魚屋さん、ゲーム屋さんが敵幹部を撃破しました》

駄菓子屋「!…そうか。やったか!」

チンピラ「ほ、本当か!?たいした奴らだぜ…!」

電気屋《えぇ、しかしそう喜んでばかりはいられません……魚屋さん以外はかなり酷い怪我らしく、戦況も思わしくないそうです。
さらに……八百屋さんのところの敵幹部が手をつけられず、東側はほぼ壊滅状態だとか……!!寿司屋さんや八百屋さんとは通信が途絶えています……!》

チンピラ「!」

駄菓子屋「チッ…」

駄菓子屋「ムムッ!あんたがチンピラか。八百屋から話は聞いてるぜ」

チンピラ「あいつが……」

駄菓子屋「あぁ。っと悪い。通信だ」

電気屋《ガガッ…駄菓子屋、聞こえますか?》

駄菓子屋「ん、電気屋の兄貴の方か。どうした?」

電気屋《鍼師さん、魚屋さん、ゲーム屋さんが敵幹部を撃破しました》

駄菓子屋「!…そうか。やったか!」

チンピラ「ほ、本当か!?たいした奴らだぜ…!」

電気屋《えぇ、しかしそう喜んでばかりはいられません……魚屋さん以外はかなり酷い怪我らしく、戦況も思わしくないそうです。
さらに……肉屋さんからの情報によると、東側の敵幹部が手をつけられず、東側はほぼ壊滅状態だとか……!!寿司屋さんや八百屋さんとは通信が途絶えています……!》

チンピラ「!」

駄菓子屋「チッ…」

チンピラ「おい、まさか倒した奴は火炎放射器使いと脳筋とナイフ使いじゃないよな!?」

電気屋《……報告による特徴と一致していますが…》

チンピラ「マジかよ……最悪だ……!東組は……」フリフリ

駄菓子屋「おい、なんなんだ」

チンピラ「あいつが…格闘舎弟だ…!」

駄菓子屋「…寿司屋がやられたんだ。ただ者じゃないってのは分かるさ」

チンピラ「ただ者どころじゃねぇ…!化けモンの中の化けモンだぜ。他の奴等からは頭一つ抜けてる…!」

駄菓子屋「!…そいつは参るな」

駄菓子屋「すまん、ヤボ用が出来たぜ。俺はこれで」

チンピラ「……いく気かよ」

駄菓子屋「あぁ…アンちゃんも気を付けてな」

チンピラ「……いっちゃ悪いが死ににいくようなもんだぜ」

駄菓子屋「死なないさ……帰りを待ってる人がいるもんでな」

ありがとうッ!

格闘舎弟「……」

八百屋「くっ…」ズタボロ

八百屋「ゴボウ抜きッ!」

ズバァッ!!

格闘舎弟「しぶといな」

ガシッ

八百屋「(あれ…?浮い……ぐるって……あぁ、景色がゆっくり見えるや。……地面が迫ってきた……ごめん、男、幼女ちゃん。ごめん、肉屋――)」

ボフンッ

八百屋「あれ?」

寝具屋「間に合ったか…!」

格闘舎弟「なんだと…!?」

写真家「一人でムチャしすぎですよ!」

寝具屋「あぁ、危なかったな。寝心地はどうだい?」

八百屋「写真家君、寝具屋さん……!ありがとうございます。最高ですよ」

寝具屋「礼はあとでいいぜ。ピンチには変わらんしな」

格闘舎弟「ふざけた連中よ……」ゴゴゴゴゴ…!

寝具屋「お前が勝てないなら俺達も勝てんしな」

八百屋「えぇ…格上ですよ。まるで歯が立たない…!」ギリ…!

八百屋「それでも……逃げるのは御免だ」ヨロヨロ

格闘舎弟「愚かな。勝てぬと分かってながら俺に挑むとは……度しがたいな」

八百屋「ありきたりな理由だよ……どうかしてるのかな。あいつを守るため……その為に生まれてきたんだ」

??「草食系が聞いて呆れる。最高にライオンハートだよお前は」

八百屋「!?」

写真家「あ、あなたは…!」

寝具屋「おせぇぞ!」

格闘舎弟「……ほぅ、今まで見てきた中で一番出来るな」

ザッ…!

駄菓子屋「待たせたな」

駄菓子屋「あんたが格闘舎弟か。好き勝手暴れやがって」

格闘舎

駄菓子屋「あんたが格闘舎弟か。好き勝手暴れやがって」

八百屋「駄菓子屋……」

駄菓子屋「怪我人は引っ込んでな。おはようからおやすみまで」

寝具屋「お前商店街放っとく派じゃなかったか…?」

駄菓子屋「あいつが山籠りしたと聞いてな。気が変わったんだよ」

駄菓子屋「来な。少しの間相手してやる」

格闘舎弟「……」

ダッ!!

格闘舎弟「ふんッ!」

駄菓子屋「ジュエルリングを装備ッ!いくぜッ!」

http://i.imgur.com/aEWs2Fv.jpg

シュババババッ!

写真家「す、すごい…!飴を武器にして互角にやりあってる」

八百屋「いや…!僅かに押されてきてる…!」

駄菓子屋「ぐおッ…やはり徒手だととんでもないな…!100点満点中、120点だってつけられる…しかし…」

駄菓子屋「たかが120点だ」

格闘舎弟「……」

駄菓子屋「スナック菓子…チョコレート…珍味…飴…ミニ四駆…全て合わせりゃ俺は300点を越える…」

格闘舎弟「……使って見るがいい……!全てな。計算違いを思い知らせてやる!」

駄菓子屋「言われずとも使ってるさ」

格闘舎弟「ふん、何を…!」ベトォ

格闘舎弟「!?……靴に……いつの間に!」

格闘舎弟「これは…マルカワのコーラガム…!!」

http://i.imgur.com/BZRzJ4c.jpg

駄菓子屋「お前の注意力…よっちゃん以下だぜ」

http://i.imgur.com/Ucn3Mks.png


駄菓子屋「動けないだろう…いくぜッ!爆竹!癇癪玉!ネズミ花火!」

バンバンバンバンバンバン!!

格闘舎弟「……!」

駄菓子屋「とどめだッ!けん玉ッ!」

http://i.imgur.com/8SxEyV4.jpg

格闘舎弟「ずああッ!」

ベキベキ…!

八百屋「なッ!?コンクリートの一部分ごと足を上げた!?」

寝具屋「化け物だぜ…!」

格闘舎弟「惜しかったな!」

ゲシィ!!!!

駄菓子屋「ぐふッ!?」ズザザサー

八百屋「まともに入った…!」

写真家「駄菓子屋さん!?」

格闘舎弟「よく技術体系化された戦闘術だ……恐らく俺以外の幹部なら倒せただろうな……だが、俺は倒せん。
コーラガムが仇となったな。コンクリートの塊で俺の蹴りを受けたのだ。……生きてはいまい」

八百屋「そんな……」

ムクリ

駄菓子屋「たくっ……人を勝手にころすなよ……」ゼェゼェ

格闘舎弟「なに!?」

駄菓子屋「服の裏側にこいつを仕込んどいたのさ……じゃなかったらマジで危なかったぜ」

http://i.imgur.com/ns4YDZZ.jpg

駄菓子屋「(いてて…おにぎり煎餅ごとアバラやっちまった…!なんて蹴りだよ…!)」

駄菓子屋「さ…さぁ、続きといこうか」ゼェゼェ

格闘舎弟「…………ッ!」ピクッ

駄菓子屋「と、言いたいとこだが…時間切れか」

――ヴヴゥン!!!!キキー!!

八百屋「パ、バンダトレノ!」

写真家「この車は…!」

寝具屋「おせぇんだよ…いつまで待たせやがる…!」

駄菓子屋「まったくだ…タラタラしてんじゃねぇよ……」ハハハ
http://i.imgur.com/KX9c98X.jpg


 

 
ザッ!

男「――みんな…待たせてすまない。もう大丈夫だ」


八百屋「男……!」

男「八百屋…ボロボロだな」

八百屋「不甲斐ないよ」ハハハ

駄菓子屋「おう、男。あいつ半端じゃないぞ…」

男「大丈夫だ。親父よりかは弱いさ。それより駄菓子屋…お前残ったのか」

駄菓子屋「はんッ…お前にいつか借りを返すって言ったろ」

男「義理堅いことで……さて」

格闘舎弟「!」

ブン!

男「不意を突いても無駄だぜ」ガシッ

ガラガラガッシャーン!!

格闘舎弟「……かっ…は」

寝具屋「お、親父さんと同じ技……!!」

写真家「す、すごい」パシャパシャッ

格闘舎弟「……はぁッ…目が覚めたぞ…ぬぅッ!」

男「ふん!」

八百屋「全部捌いてる…!極めたのか…男…ついに伝承したのか…!!」

八百屋「――セガール拳を」

男「そい!」

ガラガラガッシャーン!!!!

駄菓子屋「いける!」

豆腐屋「対向車なし!!ハデに行け!!」


ガラガラガッシャーン!!!!

男「……俺の勝ちだな」

格闘舎弟「」ピクピク

下っ端「か、格闘舎弟さんがやられた…!?」

下っ端「どうする…!?」

エリート下っ端「……こっちはこの人数がいるんだ!!たたんじまえ!!」

ウオオオォォォオオオオオオォォォオオオオオオォォォオオオ!!!!!!

駄菓子屋「くっ……確かにまずいな……ここには残った戦力が集中してやがる」

写真家「あわわわわ……」パシャパシャッ

寝具屋「永眠はイヤだぞ……」

男「……」

八百屋「……行けよ」

男「八百屋……」

八百屋「まだ何かするんだろ?ここは僕たちに任せて…さぁ」ニコリ

男「…ありがとよ、親友!」

寝具屋「あーもう!あとでなんか買えよな!」

写真家「営業写真館も御贔屓に!」

駄菓子屋「行きな……そして帰ってこい。またカレー作ってもらうぜ」ココアシガレット プカー

男「!…ありがとよ、みんな!」

下っ端「か、格闘舎弟さんがやられた…!?」

下っ端「どうする…!?」

エリート下っ端「……こっちはこの人数がいるんだ!!たたんじまえ!!」

ウオオオォォォオオオオオオォォォオオオオオオォォォオオオ!!!!!!

駄菓子屋「くっ……確かにまずいな……ここには残った戦力が集中してやがる」

写真家「あわわわわ……」パシャパシャッ

寝具屋「永眠はイヤだぞ……」

男「……」

八百屋「……行けよ」

男「八百屋……」

八百屋「まだ何かするんだろ?ここは僕たちに任せて…さぁ」ニコリ

男「…ありがとよ、親友!」

寝具屋「あーもう!あとでなんか買えよな!夏用ひんやりシーツとか!」

写真家「営業写真館も御贔屓に!」

駄菓子屋「行きな……そして帰ってこい。またカレー作ってもらうぜ」ココアシガレット プカー
http://i.imgur.com/xZaGw2x.jpg

男「みんな……!本当にありがとうな!俺、俺さ――」


男「ここで生まれ育って、本当に良かったぜッ!」

駄菓子屋「行ったか……しかし、どうする」

八百屋「やるっきゃないさ」

寝具屋「え!大丈夫なのかお前ら」

写真家「お、お二人共その傷で戦うんですか!?無理ですよ!!」

豆腐屋「いろは坂のサルじゃねえんだから、ちったぁ頭使えよ…」

八百屋「だってさ、駄菓子屋君…」

駄菓子屋「困った奴らだ…そうだな、八百屋風に言えば『芋の煮えたもご存じない』か?」

八百屋「駄菓子屋風に言えば『頭がハッピーターンな奴らだぜ』かな?……いや、違うな。戦うのか?と聞かれたら……」

ウオオオォォォオオオオオオォォォオオオオオオォォォオオオオオオォォォオオオッッッッ!!!!

駄菓子屋&八百屋「あたり前田のクラッカー(さ)(だぜ)ッ!」
http://i.imgur.com/pLo9SLy.jpg

寝具屋「陣形はインペリアルクロスだ!防御の高い俺が前に着く!左右を豆腐屋、写真家が固める!真ん中は駄菓子屋!一番酷い怪我の八百屋は後ろだ!二人はムチャすんなよ!」

駄菓子屋「大丈夫だって…ゴフッ…あ、この赤いのはニッキ水な」

八百屋「心配性だなぁ…ゲフッ…グフッ!」

寝具屋「大根役者め」

下っ端s「イー!!!!」

豆腐屋「きたぞ!」

寝具屋「マットレスシールドッ!!」

下っ端「と、突破出来ない…!?」

写真家「写真家フラッシュッ!」パシャ!!

下っ端s「目がぁ!!目がぁあ!!」

豆腐屋「ミゾ落とし!」

ズボッ

下っ端「がっはぁ…!」

駄菓子屋「休んでばかりいられねぇな。ロケット花火!」

八百屋「豆鉄砲!」

下っ端s「!……囲め!囲め!敵は弱ってるぞ!!」

八百屋「まずいな…!」

寝具屋「陣形はインペリアルクロスだ!防御の高い俺が前に着く!左右を豆腐屋、写真家が固める!真ん中は駄菓子屋!一番酷い怪我の八百屋は後ろだ!二人はムチャすんなよ!」

駄菓子屋「大丈夫だって…ゴフッ…あ、この赤いのはニッキ水な」

八百屋「心配性だなぁ…ゲフッ…グフッ!あ、これトマトね」

寝具屋「大根役者め」

下っ端s「イー!!!!」

豆腐屋「きたぞ!」

寝具屋「マットレスシールドッ!!」

ボフンッ!

下っ端「と、突破出来ない…!?」

写真家「写真家フラッシュッ!」パシャ!!

下っ端s「目がぁ!!目がぁあ!!」

豆腐屋「ミゾ落とし!」

ズボッ

下っ端「がっはぁ…!」

駄菓子屋「休んでばかりいられねぇな。ロケット花火!」

八百屋「豆鉄砲!」

下っ端s「!……囲め!囲め!敵は弱ってるぞ!!」

ズラララーッ!!!

八百屋「まずいな…!」

男「はっ…はっ…!!」

??「うわー!やめろー!離すんじゃー!」

??「にいにいー!」

男「こ、この声は…!――幼女ッ!幼女ォー!!」

チンピラ幹部「ハッハッハッハ…チンピラB…ボブに勝てるわけないだろ?」

ボブ「ボブボブ」ウンウン

チンピラB「うぅー…!なんでこんなことを…」

チンピラ幹部「そっちの嬢ちゃんは商売仲間が用があるらしくてな…チンピラB、お前も俺の女になんねぇか?チンピラなんざやめろよ…」

チンピラB「兄者をバカにするな!」

幼女「やだぁ…にいにい!にいにいー!」

 

男「――幼女を離せエエェェェェェェェエエッ!」

バキィ!!!!!!

チンピラ幹部「ぐはぁぁあああああああ!?」ガラガラガッシャーン

幼女「に……」ポロポロ


幼女「にいにいー!!」ダキッ

チンピラB「男…!」パァ

男「もう大丈夫だ…幼女」ナデナデ

チンピラ幹部「ギギギ…お、お前は…」

男「ニートにして、チンピラ一派のエースにして、商店街の料理人にして――」

ザッ…!

男「大事な奴のピンチに駆け付けた、ただの男だぜ!」

チンピラ幹部「ニート…チンピラ…料理人…なるほど、君が例の男か」

男「おうご存知かよッ!」

チンピラ幹部「あぁ、カスみたいな腐った男がいるとね!」

男「粕漬けは日本が誇る和の味だし、発酵食品も嘗めるなよ」

チンピラ幹部「意味が分からん!行け、ボブ!」

ボブ「ボブ、コワス、好キ!」

ズガァアアアン!!

男「おお…やるな」

幼女「にいにい!」

チンピラB「男ー!勝てるわけない!逃げろ!」

ボブ「ボブボブ!」

男「フッ!」

クルッ!ガラガラガッシャーン!

ボブ「!?」

男「キッチンじゃ負けたことがないんだ」

幼女「キッチンじゃないけどにいにい凄い!」

チンピラB「お、お、男が強い…!?」

男「そいッ」

ガラガラガッシャーン!!

ボブ「ボブボブ…!」

男「どうした?強いんだろう…?」

ボブ「ボブッ!」

男「ふっ!」

シュババババ!

チンピラ幹部「バ、バカな…!ボブと打ち合ってる…!?超人揃いの商店街の中でこいつは取るに足らない常人のはず…!」

男「俺が強くて何が悪いッ」

ガラガラガッシャーン!!

男「日に三十時間の鍛練という矛盾が今の俺を作ったんだよッ!」

ボブ「……!」ピクッ

ボブ「……ボブボブ!」

チンピラB「うええ!?なんで私の方に!?」

男「チンピラB!」

ダッ!!

男「せい!」

ガラガラガッシャーン!

男「大丈夫か?」

チンピラB「お、おお…ありがとう!」

ボブ「…………」ニヤリ

男「ん?なんだ?」

幼女「に、にいにい……!」

男「よ、幼女……しまった……注意が逸れた隙に……!」

??「へっへっへ…驚かねぇのか」

男「いや……お前だろうと思ってたぜ。いつか出てくるだろうとは思ってたが…油断してた」

チンピラB「ごめんよ男…」

男「……幼女を離せ」

 
 
 
 
男「――酒屋ッ!」
 
酒屋「へっへっへ…離すわけないでしょう?」ジュルリ…

 

男「俺をよく知る奴で悪知恵が回り…商店街で売る派、さらにそれを押し進めてる奴とくれば選択肢は絞られてくる……」

酒屋「ふむ」

幼女「うう……」

男「そして、キャバクラからリンチ現場まで誘き寄せられる際、ずいぶんとルートが巧みというか実に自然だった。
付近の路地裏や細道に詳しい奴が絡んでると見た。例えば…配達なんかする奴…」

酒屋「ほう……」

男「極めつけはキャバクラでの会話だ」

酒屋「……」

男「ここの商店街の連中の酒の趣味は単純明快。居酒屋で飲んで騒いでビールに焼酎だ。だが、キャバクラでの会話……明らかに酒に詳しかった。パッと一目見ただけでどういうものか見抜いていたからな」

キャバクラオーナー『こちら、ドンペリでございます』

??『おお、しかもエノテーク!いい酒置いてるなぁ』

男「以上の情報を下敷きに……酒に関して専門的な知識があるときたら……」


男「酒屋、お前しかいない」

男「一連の騒動、お前が裏で糸を引いてたんだな」


ごめん寝てた…
レスありがとうッ!

酒屋「ハハハ…よく分かりましたねぇ…しかし、口を動かしてる暇あるんですか?」

ボブ「ボブ!」

バキィ!!!

男「ぐっ…!」

チンピラB「お、男ー!」

幼女「にいにいー!」

男「クソ…!」

ボブ「ボブ、本気、出ス!」

ボブ「ボブ!ボブ!ボブ!ボブ!ボブ!ボブ!ボブ!ボブ!ボブ!ボブ!ボブ!ボブ!ボブ!ボブ!ボブ!ボブ!」

男「……!!この程度、俺には効かな……」

ボブ「ボブ!」

バキィ!

男「ぐはぁ!?」ズザザザー

男「(敵意、殺気を持つ技ならいかに速かろうがものの数ではないが……こうも見事なまでに意を消すとは……!こいつ、ただの馬鹿力じゃない……!!凄い闘士だ……!)」ガクガク

ボブ「!」

男「ふんッ!だが、親父直伝の手刀もあるぜ!」

ズバッ…ガラガラガッシャーン!

ボブ「ボブ……ボブ……」ボブボブ…

男「はぁ……はぁ……」ゼェゼェ…

酒屋「うわぁ男さん、ちょっと引くぐらいの戦闘力ですね。でも、足ががたついてきてますよ」ハハハ

チンピラ幹部「くっ…ボブと互角だと…!人外め…!」スチャッ

ボブ「……やめろ」ギロリ

チンピラ幹部「ヒィ!?」

ボブ「手出しは無用だ。……さぁオトコ、戦えッ!」

男「あぁ……お互い、次が最後だッ!」

ダッ!!――

ボブ「ぶっボブッ!」

バキィ!!!!!!

チンピラB「男!」

幼女「にいにい……!」

男「(――――)」

幼女「にいにい!負けないでー!!」

男「(――もうあいつの泣き顔は……ごめんだッ!)」

グイッ!

ズダァアアアアン!!!!!!

ボブ「~~~~~~ッッッッ!?」

ボブ「……見事」ガクリ

チンピラ幹部「ボブが……負けた……!?」

男「はぁ……!はぁ……!」

酒屋「ハハハ、でもほとんど相討ちですねぇ。もう立てないでしょ……おらっ幼女暴れるな!」

幼女「……むぐむぐ!」

男「やめろ……」

酒屋「男さぁん、ラスボス倒して、さぁハーピーエンド!といきたいところですが……」

酒屋「どっこい!これが現実ッ!最後に笑うのは結局、この俺なんですねぇ!!」

チンピラB「ゲスめ…!」

酒屋「黙りねィ!!」ゲシッ

チンピラB「う……」

男「酒屋……!!」

酒屋「おっ、ちょうどいいところに丸太が落ちてますね」

男「や、やめろ……」

酒屋「誰がやめるかッ!歯ァ食いしばれッ!」

バキィ!ドゴッ!ズガッ!

男「ぐあ……!……ッ!!」

幼女「や、やめてよ!」

男「お前……なんでこんなことを……」

酒屋「なんでだとッ!前々からねぇ、気に入らなかったんですよ!」

バキィ!

酒屋「俺と同じクズのクセにッ!

俺と同じで店を売るのに賛成だったクセにッ!

俺と同じで何の才能もない落ちこぼれのクセにッ!」

バキィ!

幼女「酒屋さんっ、やめて!」

酒屋「何故、あんたにだけ気にかけてくれる人がいるんスか?

何故、あんたにだけ幼女さんみたいな可愛い子が慕っているんスか?」

男「お、お前……」

酒屋「……取引でねぇ、将来ここに建設される巨大レジャー施設で上の方のポストが約束されてるんスよ。
しがない酒屋の小間使いから、いっきに人の上に立てる……金も地位も手に入る」

酒屋「そしてそこのお城で幼女さんと暮らしますんで」

男「……お前にだって……気にかけてくれる人は……」

酒屋「黙りねィ!!信じられるかってんでィ!」

バキィ!ズガッ!

酒屋「全て計算通りに運べた……1つ以外は!」

酒屋「お前はリンチを受けたあの日、本当はどちらの側からも見捨てられるはずだったッ!!絶望を味わってもらうはずだった!!
なのに!なのに何故、商店街からもチンピラからも信頼されているんだよッ!それどころか、両者を結びつけた!全くの想定外だ!」

酒屋「おかげで、この手こずりようだ!チンピラの奴が仲間にくわわり、情報や対策を練ったみたいだからな!あの糞チンピラめ!」

チンピラB「……」ギリ…!

酒屋「俺と同じクズのクセに、なんでお前の周りには人が集まるんだよッ!!」

バキィ!ガラガラガッシャーン!

男「ぐあ……っ」

酒屋「はぁ……はぁ……ハハハ、でもまぁ、数の暴力には敵いませんがね。いくら超人揃いの商店街でも、もう終わりでしょ。
あ、そうそう……あんたの店がある東区ね、今頃もうヤバいと思いますよ?」

幼女「そんな……」

男「……店の心配ならしてないぜ」

酒屋「は?」

男「ふぅ……確かに、俺とお前は何ら変わらねぇよ……卑屈で卑劣で卑猥で……人を疑ってばかりの弱い人間だ……」

酒屋「……ああん?」

 
男「だけどな、1つだけお前にはないものがある――」


ワラワラワラワラワラワラワラ……!!

寝具屋「クソッ!」

写真家「キリがない……」

豆腐屋「いってぇー……板金七万円コースだなこりゃ……」

駄菓子屋「……青リンゴ餅食いてぇなぁ」

八百屋「まだ……まだだ……!!まだ戦える……!」

ウオオオォォォォオオオオ……!!!!!!

八百屋「絶対に……守るんだ……僕の……僕たちの商店街を!」

下っ端s「虫の息だッ!やっちまえええ!!!」

八百屋「くっ……!」

――バキィ!

下っ端「救命阿ッッ」

肉屋「八百屋に手を出すな!!」

八百屋「肉……屋?」

少女「ハイパーヨーヨー!」バキィ

駄菓子屋「少女…!」

少女「店番飽きちゃったからきちゃった」ケラケラ

駄菓子屋「バカ野郎…!」

ザッ…!

鍼師「私の地区は全て殲滅した……」

散髪屋「休んでばかりいられないし」

パン屋「さぁ、ヤりますか!」

八百屋「は、鍼師さんたち…!」

キャバクラオーナー「おらッ!気合い入れてくわよ!」

キャバ嬢「押忍ッ!」

No.1キャバ嬢「幼女…かつてこの私の地位を脅かした好敵手よ…貴様の店、義によって守らせてもらう!」

親方「おい、先を越されるな!俺達も続け!」

大工見習s「幼女ちゃんの店があるんだ!助太刀するぜ!!」

コンビニ店員s「俺もいるぜ!」

スーパー店員s「俺達もな!」

ガソリンスタンド店員「お前らだけにいいかっこさせるかよ!」

八百屋「み、みなさん…!」

肉屋「幼女ちゃん働きすぎ…!」

男「だけどな、1つだけお前にはないものがある――」


ワラワラワラワラワラワラワラ……!!

寝具屋「クソッ!」

写真家「キリがない……」

豆腐屋「いってぇー……板金七万円コースだなこりゃ……」

駄菓子屋「……青リンゴ餅食いてぇなぁ」

八百屋「まだ……まだだ……!!まだ戦える……!」

ウオオオォォォォオオオオ……!!!!!!

八百屋「絶対に……守るんだ……僕の……僕たちの商店街を!」

下っ端s「虫の息だッ!やっちまえええ!!!」

八百屋「くっ……!」

――バキィ!

下っ端「救命阿ッッ」

肉屋「八百屋に手を出すな!!」

八百屋「肉……屋?」

少女「ハイパーヨーヨー!」バキィ

駄菓子屋「少女…!」

少女「店番飽きちゃったからきちゃった」ケラケラ

駄菓子屋「バカ野郎…!」

エリート下っ端「新手か!?構わん、押し潰せ!」

ドドドドドドドドドドドドドド…!!!!

下っ端s「!?…なんだこの音!?」

キャバクラオーナー「――おらッ!気合い入れてくわよ!」

キャバ嬢s「押忍ッ!」

No.1キャバ嬢「幼女…かつてこの私の地位を脅かした好敵手よ…貴様の店、義によって守らせてもらう!」

親方「おい、先を越されるな!俺達も続け!」

大工見習s「幼女ちゃんの店があるんだ!助太刀するぜ!!」

コンビニ店員s「俺もいるぜ!」

スーパー店員s「俺達もな!」

ガソリンスタンド店員s「お前らだけにいいかっこさせるかよ!」

子分s「男さんの為だ、手助けするぜ!」

八百屋「み、みなさん…!」

肉屋「幼女ちゃん働きすぎ…!」

??「……指圧」

下っ端s「あべし!ひでぶ!」ボンッボンッボンッ

鍼師「私の地区は全て殲滅した……」

散髪屋「休んでばかりいられないし」

パン屋「さぁ、ヤりますか!」

??「魚を食べるとな…頭だけじゃなく腕っぷしも強くなる!」

下っ端s「うわああああああああ!!」

魚屋「ゴカイだ…!咬まれると痛いぞ…!」

服屋「魚屋が本気か。こりゃ礼服が売れるぜ…ありがてえ」

リサイクルショップ「ハハハ!電気屋!ルンバ修理したぞ!」

電気屋「ありがとうよ…!」

ルンバ《反逆児は、最後まで反逆児らしくしないとねー》

ルンバ《終わったらご褒美に天然オイルもらおうよ。あと攻殻機動隊の新劇場版見に行きたい》

??「おお、暴れたいでござるか……いけ」

下っ端s「な、なんだこの植物!?ぎゃあああ!!」

ゲーム屋「こちらも殲滅完了、応援にきたでござるよ」

居酒屋「おう、無事か」

氷屋「だらしないわね」

古本屋「同じ商店街の仲間です…助けにきましたよ!」

八百屋「みんな…!みんなも大変だったろうに…!」

肉屋「へ、へへ…!みんな来てくれたんだ…」グスン


男「――人を……絆を信じる心だ」

酒屋「……」

男「疑っても、人をどこか信じられなくても、最後の最後に人と繋いできた絆まで疑ったら終わりだ。
俺達の周りは……どんなに堕ちても手を伸ばしてくれる、想像を絶するお人好しのバカばっかりなんだからよ」

酒屋「戯言を!」

ガシッ――

チンピラ「ふぅー…好き勝手やってくれたな」

酒屋「な…!?」

チンピラB「兄者」

チンピラ「よう、大丈夫か」

男「お前もそれに気づけば……俺も、気付けなかったらもしかするとお前の立場にいたかもな…」

酒屋「戯言を!」

ガシッ――

チンピラ「ふぅー…好き勝手やってくれたな」

酒屋「な…!?」

チンピラB「兄者……!」

チンピラ「よう、大丈夫か」

バキィ!!

酒屋「ひぃん!!」

パッ

幼女「!…にいにい!大丈夫!?」

男「あぁ…チンピラ」

チンピラ「真のヒーローは遅れてやってくるってな」

チンピラ「チンピラ幹部、証拠や証言は上がってる。上にも報告済みだ。……落とし前はつけさせてもらう」

チンピラ幹部「な…クソ!」

チンピラ「よし……このバカげた商店街のお祭りも終わらしてもらうぜ。……俺達の敗けだ」

男「……助かった」

チンピラ「礼はいいぜ、相棒」

男「……なぁ、チンピラ」

チンピラ「あん?」

男「俺達の勝ちだ!」ハイターッチ スッ

チンピラ「ハンッ…!」

パンッ――――――――

―――――――

――――


スポーツ用品展とか栽培氏、鍛冶屋とか
出てたらスマン

>>450
いやどれも出てないよ
しまったな 霊媒師とかペット屋はかなり強そうだww

花屋「いてぇ!いてぇってバカッ!!もうちょい優しく拭いて……」

氷屋「ご、ごめん」

ガララ…!

ゲーム屋「おっ、お邪魔でしたかな」

魚屋「……」

薬屋「……何やってるの」

氷屋「違うっての!誰がこんな……」

花屋「死の淵さ迷ったのに冷てえな…」メソメソ

氷屋「あ、あぁ!違うの!」

薬屋「……でも、本当奇跡だよ。致死量遥かに越えちゃった毒が出血で流れて……おまけに男くんを治した時に作った秘伝薬がまだ一人分残ってたんだからね。それでも助かるかは怪しかったけど」

花屋「耳元で叫ばれたらオチオチ寝られ……いてっ」

氷屋「…!」 カァー

花屋「いてぇ…いてぇよ…また彼岸花がいっぱい見えたなぁ…ゲーム屋…」

ゲーム屋「おーよしよし、氷屋殿にフラれたからって自分にくるなでござる」

氷屋「……」

魚屋「ま、元気そうで安心したぜ」

薬屋「本当にね。あ、まだまだ退院は先みたいだから出歩かないでね。また来るねー」

ガララ…

花屋「……へーへー」

ゲーム屋「んじゃ、仕事あるから自分もこれで帰るでござる」

花屋「えぇ?お前もかよ。もうちょい話そうぜ、なぁ」

ゲーム屋「空気読んでるでござるよ。さようなラングリッサー」

ガララ…!

花屋「みんな冷たいぜ……あ、お前はいいの?」

氷屋「……」コクン

花屋「そっかそっか!なんだかんだやっぱお前って優しいよなー」

氷屋「……そうかしら」

花屋「そうだぜ。人は見掛けによらないもんさ」

氷屋「冷たそうって?」クスッ

花屋「ち、違ぇよ。俺だってさ、チャラいとか言われるけどこれでもスゴい一途なんだぜ!昔っからだな……」

氷屋「知ってる」

花屋「へ?」

氷屋「普段は照れくさくていわないけど、あなたのことは誰よりも知ってる」

花屋「おお…そうか」ドキッ

氷屋「そうよ。……本当に、生きて……帰ってくれてありがとう」

ポスンッ

花屋「!……なぁ、彼岸花の花言葉って知ってるか」

氷屋「なに?」

花屋「『再会』だ。お前を残してこっちに来るなってじいちゃんに蹴っ飛ばされて追い返されてな。ありゃ参った」

氷屋「へぇ」クスッ

氷屋「……そうそう、いつか、調べたわ。蓮華草の花言葉」

花屋「あぁ」

氷屋「……私も貴方と同じ気持ち」

花屋「!…あ、あぁ」

『あなたと一緒にいると苦痛がやわらぐ』

散髪屋「魚屋さ……」

電気屋「HEY!兄弟ッ!おニューの冷蔵庫ここでいいかい?」

寿司屋「魚屋、これ仕入れてくれ」ピラッ

魚屋「おうすまねぇな、そこでいいぜ。あ、はいはい…いつものだな」

散髪屋「あの、魚屋さ」

ゲーム屋「魚屋殿、釣りいかないでござるか?」

リサイクルショップ「おい!電気屋じゃなくて俺んとこで買えよ!」

筋肉バイト「兄貴、雑用は自分がやるんで!」

魚屋「頼むぜ」

散髪屋「えーっと!魚屋さん!」

子供s「魚屋さーん!悪者と戦った話またしてー!」

魚屋「はっはっはっは!いいぞー!」

散髪屋「……」グスン

魚屋「うお!?なにお前また泣いてんの!?」ギョギョッ

散髪屋「な、泣いてないし」

魚屋「なんだ、どうした?」

散髪屋「私が…右手怪我しちゃったから?だから無視すんの?」

魚屋「え?なにが?」

散髪屋「火傷痕…残っちゃったし…」グスン

魚屋「……いや、薬屋に任せとけば綺麗に治るぜ。それにお前が勇敢にみんなを守ろうとした証だろ?カイゾk…じゃなくて船乗りの間じゃな、傷は勲章なんだぜ」

散髪屋「魚屋さん……」テレッ

散髪屋「……あーでもなぁ、お嫁いけないかもなぁ」

魚屋「だったら俺がもらってやるよ」ガハハ

散髪屋「マジ!?言ったから!!ねぇみんな聞いた!?」

魚屋「えっ!?」ギョギョッ

子供「あたちも魚屋さんのお嫁さんなるー!!」

子供「やだ!あたちが嫁ぐのっ!」

子供「ぼくもぼくもー!」

ゲーム屋「イサキは!?イサキはとれたの!?」

魚屋「ハハハ、いいぜ。みんな来な」

子供s「わぁーい!!」

散髪屋「チッ……また来るから!」

鍼師「――はぁ」

寝具屋「おーい、注文した壊れた寝台分、運んだぜ」

鍼師「……ありがとう」

寝具屋「なんだオイ、浮かない顔して」

鍼師「……複雑。男くんがまた働きだした。必然的に幼女ちゃんとの時間が増える」

寝具屋「……お前あんな小さい子をライバル視して」

鍼師「油断ならない。今日は駄菓子屋でニッキ水を自棄飲みする……」

駄菓子屋「……いい大人が昼間っからこんなとこで何してる」

古本屋「別にいいじゃないですか」

パン屋「こんな可愛い子二人が来てるってのに、あーやだやだロリコンって」

駄菓子屋「ロリコンじゃねぇよ。つうかお前らもなんだ」

服屋「ニッキ水飲んでる」ゴクゴク

写真家「暇なんで」

豆腐屋「配達のついでに寄っただけだ」

駄菓子屋「暇なの?ここは大人の溜まり場じゃないの」

少女「もう、素直じゃないなぁ。本当はここに来てから毎日楽しいってよく言ってるくせに」

駄菓子屋「黙れッ!少女のくせに!」

服屋「とはいえ、これからまだまだ、うんと忙しくなるがな。お前も聞いてんだろ?」ハハハ

駄菓子屋「あぁ……ありそうでなかった発想だがな」

駄菓子屋「――商店街ウェディング……振興会で色々な案が出たが、まさかバカウケするとはな」
http://i.imgur.com/qG04WGe.jpg
写真家「予約でいっぱいですもんねぇ。僕や服屋さん花屋さん…商店街がバックアップする結婚式。
当初は商店街の活性化というか話題作りがメインでしたが……まさかこれほど町興しに繋がるとは……ニュースにもなって遠方からも来られるし」

少女「でも、こんないいことってないよね。みんなの力の結集が…今度は戦いじゃなくて、人を幸せにする為にできるんだから」

服屋「ドレスや礼服が売れてウハウハだ」

写真家「僕も引っ張りだこでして。腕が認められて営業写真館も最近は人がきますね」

古本屋「波及効果で色んなお店に客足増えましたしね」

パン屋「ほんとほんと。このビジネス様々だわ」

駄菓子屋「腕が認められたといやぁ、氷屋の趣味の彫刻がえらい評判なってるよな。
ありゃ確かに上手いし、花氷になってて中の花選びもセンスいいしな」

パン屋「ケーキ屋さんやウェディングケーキや、寿司屋さんや男んとこの料理も評判いいもんねー」


×パン屋「ケーキ屋さんやウェディングケーキや、寿司屋さんや男んとこの料理も評判いいもんねー」

○パン屋「ケーキ屋さんのウェディングケーキや、寿司屋さんや男んとこの料理も評判いいもんねー」

駄菓子屋「んで、うちらからは誰か式挙げねぇの?」

パン屋「ないって。あ、ガムちょうだい」

服屋「豆腐屋、お前は?彼女とかいねーの?けっこう男前だろ」

豆腐屋「…いつか会う約束してる奴は」

ガララ

ゲーム屋「一組は挙げるかもでござるな。あ、すっぱいブドウにご用心くれでござる」

駄菓子屋「はいよ。一組ってあいつら?」

ゲーム屋「左様。感慨深いものがあるでござるよ」

鍼師「……1個ちょうだい」

ゲーム屋「いたんでござるか!?はい」

駄菓子屋「寂しいんじゃねえの?」

ゲーム屋「ハハハ…全く。あの二人とは変わらず幼馴染みにござるよ。これからは魚屋殿のとこをからかうでござる…あれ?鍼師殿?」

鍼師「~~~~~~~~ッッッッ!?」バンッバンッ!

駄菓子屋「んで、うちらからは誰か式挙げねぇの?」

パン屋「ないって。あ、ガムちょうだい」

服屋「豆腐屋、お前は?彼女とかいねーの?けっこう男前だろ」

豆腐屋「…いつか会う約束してる奴は」

ガララ

ゲーム屋「一組は挙げるかもでござるな。あ、すっぱいブドウにご用心くれでござる」

http://i.imgur.com/KvTbWsR.jpg

駄菓子屋「はいよ。一組ってあいつら?」

ゲーム屋「左様。感慨深いものがあるでござるよ」

鍼師「……1個ちょうだい」

ゲーム屋「いたんでござるか!?はい」

駄菓子屋「寂しいんじゃねえの?」

ゲーム屋「ハハハ…全く。あの二人とは変わらず幼馴染みにござるよ。これからは魚屋殿のとこをからかうでござる…あれ?鍼師殿?」

鍼師「~~~~~~~~ッッッッ!?(涙目」バンッバンッ!

男「あいた!?親父、何しやがる!」

父「貴様がへっぴり腰だからだ!いいか、手刀はこう……」

男「んな病み上がりで血圧上げてるとまた盲腸再発するぜ……」

父「減らず口を!お前にはこの『テツジン軒』を継いでもらうのだッ!今のままでは困る!」

幼女「にいにい、頑張ってね」クスッ

男「幼女…!あぁ、料理本で印税生活する日まで頑張るぜ!」

父「何時になるや知れんがな。ほら、修行のやり直しだ!」

チンピラB「男ー、お腹すいたぞ」

チンピラ「あくしろよ」

幼女「もうしょうしょうお待ちください」

男「うるさい奴等だ……出来たぞ。召し上がれッ!」

ゴトッ

チンピラB「うん…美味いぞ!」

チンピラ「あぁ、さすがだ」

男「おお。なぁ、幼女……どうだ?」

幼女「……にいにい、美味しいよ」ニコッ

男「あぁ…よかった」

父「ふん…とりあえずは合格だ」ニヤァ

男「いてぇ……今日も叩かれた。あのクソ親父、味噌汁にしょっぱいってダメ出ししたらキレやがって」

ガチャッ

肉屋「男ー、明日の分の仕入れにきてやったぞー!」

八百屋「ちょっと肉屋、裏口から入ろうよ…ごめんね男」

男「おう今閉店したばっかだし気にすんな。ん?なんでわざわざ肉と野菜同時に?」

肉屋「べ、別にいいだろ!」

八百屋「そうだね。たいしたことじゃないよ。あ、そうだ男…ついでに一緒に行こうよ」

肉屋「そうだなっ」

男「おん?」

八百屋「忘れたのかい?……花屋君も退院したし、今日は商店街みんなで祝勝会だよ。居酒屋さんのところで」

男「おん!?聞いてねえぞ!」

八百屋「相変わらず回覧板見ないんだね……ちゃんと男のお父さんに渡したのに」

肉屋「あの人、幼女ちゃん連れて先に行ってたな。だいぶ飲んでた」

男「あんのクソ親父!!俺一人に押し付けて……!!行こうぜ!」

「「「カンパーイッ!!!」」」

豆腐屋「花屋、お前病み上がりだろ。大丈夫かよ」

花屋「へいきへいき」

氷屋「平気じゃないでしょバカ」

ゲーム屋「そういえば肉屋殿と八百屋殿はどうでござるか?」

男「あん?普通だよ。なんか前よりか仲いい気はするが」

氷屋「やった、また氷の彫刻する機会が出来そうね」

花屋「落花流水の情……だな」

魚屋「肉屋が鈍いがな、魚心あれば水心だ」

男「……なんで最近その話題すんの流行ってんの」

古本屋「ウェディングビジネスが上手くいってますし」

パン屋「そうそう、はきゅう効果ってやつだよ」

駄菓子屋「そんでだな、その若かりし頃の俺は…結局、通報されて駄菓子屋で少女と一緒に警官に囲まれてだな…」グビグビ

肉屋「それで、それで!」ワクワク

八百屋「飲みすぎだよ」

駄菓子屋「そっから、今だけは悲しい歌聞きたくなくてな。逃れ逃れ辿り着いたこの商店街…何もかも許された恋じゃないからな…二人はまるで捨て猫みたいで…」グテーン

豆腐屋「潰れたか」

寝具屋「酔っぱらいのよた話だな」ハハハ

幼女「ホントなのあの話?」

少女「ないない、あの人酔っぱらうとああだから…」アハハ


鍼師「……そこで私が言った。ふっ…『貴方自身の狂気の焔』」ドヤッ

散髪屋「何度目よ…」

電器屋「気に入ったのか?そのフレーズ…」

男「貴方自身の狂気の焔(キリッ」

鍼師「男くんも気に入った?嬉しい……」

父「貴方自身の狂気の焔(キリッ」

居酒屋「ブフッ!!」

写真家「はい、はーい!皆さん、潰れないうちに集合写真撮りますよー!!」

写真家「笑って、笑ってー!笑ってください!!1+1はー……いや違うな……」

男「なぁ…幼女、これから忙しくなるだろうけど…よろしくな」

幼女「…うんっ」ニコッ

男「商店街のみんなも、な」ボソッ

写真家「――笑って!笑ってください!商店街はー…超ッエキサイティンッ!」

パシャッ!

 
―FIN―

長くなったごめんッ!お疲れさまッ!そしてッ見てくれてありがとうございますッ!
したらな! またどこかでッッ!!!

>>39
すまん!最後に書こうと思ってたんだ
予想よりだいぶ長くなったからホントに亀レスもいいとこだけど一応

少々待っててくれッ!!!

ホントに亀ですまんッ!

近所の幼女「かけっこ早くなりたい!」男「オーケー!トレーニングといこうぜ!」近所の幼女「かけっこ早くなりたい!」男「オーケー!トレーニングといこうぜ!」 - SSまとめ速報
(http://open2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1432407281/)

姉「や、やめてよぅ!」男「うるさい!しゃぶりねィ!」姉「や、やめてよぅ!」男「うるさい!しゃぶりねィ!」 - SSまとめ速報
(http://hayabusa.open2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1432923933/)

幼女「ここがお化け屋敷かぁ」男「入場無料だよぉー」幼女「ここがお化け屋敷かぁ」男「入場無料だよぉー」 - SSまとめ速報
(http://hayabusa.open2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1435862622/)




男「実は俺……肘に爆弾抱えてるんだ」女「え……?」男「実は俺……肘に爆弾抱えてるんだ」女「え……?」 - SSまとめ速報
(http://hayabusa.open2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1438100949/)

おーぷんじゃないけど以前の これ以前はさすがに失念

おれ(スマートアシスト搭載)「ほらほらどいたどいた!俺が通るよ!」http://blog.livedoor.jp/nemusoku/archives/35300620.html

金子「こてっちゃん…こてっちゃん…」http://kumikatsu.blog.jp/archives/16863073.html

まゆしぃ(86)「とゅっとゅるー」http://blog.livedoor.jp/ikaros73-sss/archives/54672867.html

どこかで会えてたらステキだなッ!

このSSまとめへのコメント

1 :  SS好きの774さん   2016年08月26日 (金) 19:59:08   ID: JILUHhBs

ホントこういうノリのSS好きだわ。

名前:
コメント:


未完結のSSにコメントをする時は、まだSSの更新がある可能性を考慮してコメントしてください

ScrollBottom