芽衣子「犬と笑顔とダンシング!」 (149)


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アイドルマスターシンデレラガールズのSSです。

アイドルのプロダクション加入時期はモバマスに忠実ではないです(先輩、後輩関係)

書き溜めてありますのでガンガン投下していきます。

ちなみに前作はこちら(めっちゃ長い)
モバP「花と旅行とそばかすと」 - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1413296228/)


一応続きものなので、前作読んでないと意味不明かもしれませんが、

・主人公はCGプロ所属、新人アイドルの並木芽衣子。誰が何と言おうと芽衣子。
・芽衣子のプロデューサーはモバP。
・他にCu、Cu、Paの各Pがいる。
・アニメとは別の世界線

くらいを押さえておいてもらえれば問題なく読んでいただける……といいなぁ

では、しばしの間、お付き合いいただければ幸いです。

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SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1429438165




芽衣子『ね、プロデューサー』

芽衣子『これからも、アイドルとして……私を、どんどん新しい世界に連れていってね♪』




芽衣子「ワンツーワンツー、いちにっさんし!」

芽衣子(なんやかんやあったけど、CGプロのアイドルとして活動を始めて一月半)



芽衣子(……未だに、レッスン漬けの日々が続いてます)


CGプロ トレーニングルーム


『ワン、ツー、ワン、ツー!』


ベテトレラントレーナー(以下ベテトレ)「よし、いいぞ、そこまでだ」

芽衣子「よっとと……はーい!」ニコー

ベテトレ「? どうした、芽衣子。そんな顔して」

芽衣子「あ、えへへ、ようやくベテトレさんのレッスンクリアできるようになったなって♪」

ベテトレ「まあ、トレもみっちり仕込んできたみたいだしな」

ベテトレ「とはいえ、まだ基礎の部分だけだ。まだまだ覚えることはあるからな」

芽衣子「はいっ!」



卯月「芽衣子さん、凄く上達してますよね!」

芽衣子「卯月ちゃん、ありがと! 卯月ちゃんに褒められると、自信出ちゃうな~」エヘヘ



芽衣子(この娘はCGプロの顔、島村卯月ちゃん!)

芽衣子(凛ちゃんと、それから本田未央ちゃんとで、大人気ユニット、ニュージェネレーションを結成している大人気アイドル!)

芽衣子(最近、ちょくちょくレッスンで一緒になるんだ♪)



ベテトレ「卯月には悪いが、いい教師役になってくれているな」

卯月「そ、そんなことないですよ、私なんてまだまだ頑張らないと!」

芽衣子「卯月ちゃんのそういうところ、ほんとに凄いよね。私も見習わなきゃ!」

卯月「もう……でも、ほんと芽衣子さんて元気ですね。凛ちゃんに聞いてた通り」

芽衣子「ん? 凛ちゃん、私の事なにか言ってたの?」





卯月「はい! ハナコみたいに懐いてきて、凄くかわいいって褒めてました!」



ベテトレ「ブフォッ!」

芽衣子「ハナコ? ……ってそれ……凛ちゃんの飼い犬だよね!?」

卯月「あっ……で、でも、私もそう思います! って、犬みたいって言うんじゃなくて、ほんとに可愛いってとこで……!」アセアセ

ベテトレ「クックックッ……」

芽衣子「二人してひどーい! あとベテトレさんも笑いすぎです!」




芽衣子「もーっ、今度凛ちゃんにあったらひどいんだから!」

ベテトレ(15歳と張り合う22歳……)クスクス

卯月「あはは……ほんと、芽衣子さんと凛ちゃん、仲いいですね」

芽衣子「そりゃもちろん、同じ旅した仲間だしね!」エヘン!

ベテトレ「それを言うなら同じ釜の飯を……いや、まあいい……」



ベテトレ「そういえば……卯月、ちょっといいか?」

卯月「はい、なんでしょうか?」

ベテトレ「いや、最近やたらレッスンが熱心だなと思ってな。それもあって、芽衣子と会う事が多いんだが」

ベテトレ「仕事が無いわけじゃあなし、学業もあるだろう。それでも休みを減らしてまで、レッスンをするのは、何か理由でもあるのかと思ってな」

卯月「あ、いえ、それは……」



卯月「……あの、ほんとに何でもないんです。しいて言えば、凛ちゃんと未央ちゃんにおいてかれたくないなってだけで」

ベテトレ「……」フーム


芽衣子「卯月ちゃんて、凄く頑張るよね。トップアイドルなのに、まだまだ上を目指してるんだもん」

卯月「そんな、私はまだまだですから。だから、一杯頑張らないと!」



卯月「それに、最近凛ちゃんだけじゃなくて、未央ちゃんも凄く張り切ってるから。新しい隊員が来たから鍛えがいがあるって言って……」



ベテトレ「……ん?」

卯月「……あ」

芽衣子「え、ほんと?」



卯月「あ、あはは、じゃあ、お疲れ様でした! またよろしくお願いします!」

バタン!

ベテトレ(逃げたな)

芽衣子「えへへー、未央隊長にも気をかけられてたかー、そっかー、えへへっ♪」

ベテトレ「隊員扱いはいいのか!?」

芽衣子「えっ、何が?」

ベテトレ「……いや、まあいい……」ハァ



ガチャ

CuP「お疲れさまー……あれ、卯月ちゃんは?」

ベテトレ「ああ、さっき出ていったよ。予定のレッスンも済んだし、帰ったんじゃないか?」

CuP「んー、そうなの……」

芽衣子「あ、CuPさん、お疲れ様です!」

CuP「ああ、芽衣子ちゃん、お疲れ様。どう、調子は?」

芽衣子「えへへ、絶好調です!」

CuP「ふふ、頑張ってるわね」

ベテトレ「ま、まだまだ鍛えるところはあるがな」


CuP「あ、それで、あの件なんだけど」

芽衣子「あ、何かお話ですか? じゃ、ちょっと休憩してますね! スポドリどこだっけ……あ、あったあった」ゴクゴク


ベテトレ「……なあ、その前に、少しいいか? CuPも」

芽衣子「はい?」

CuP「私はいいわよ」

ベテトレ「すまんな。で、芽衣子。このところ、ずっとレッスンばっかりだが、君自身はどう思ってる?」



芽衣子「どう……って言われても……楽しいですよ?」

ベテトレ「ふむ……だが、基礎固めの時期とはいえ、ここ一ヶ月、なんの仕事も入らずだろう」

芽衣子「んー……それはそうですけど」

ベテトレ「彼を悪くいうつもりはないが、モバP君もまだ新任だ。それも、チーフプロデューサーという職種もある」

ベテトレ「少々、君の事がおざなりになってるのではないかと思ってな」



芽衣子「あ、ちょっとベテトレさん! それはプロデューサーに対して失礼です!」プンプン

ベテトレ「ああいや、気に障ったのならすまん」

芽衣子「確かに、このところレッスン見に来る時間は減っちゃいましたけど、きちんとトレさんたちからの報告も目を通してるし、私ともちゃんと話して意思疎通してますから!」

ベテトレ「ふむ……仕事の事は、何か言ってたのか?」

芽衣子「あう……いやー、その、それは……」メソラシ

ベテトレ「なんだ、やっぱり不満があるんじゃないか」

芽衣子「ち、違うんです! そうじゃなくて、そのー……」



CGプロ 事務所


カタカタ カタカタ……

モバP「ふぅ……」ピタ

モバP(チーフプロデューサーという立場になって一ヶ月がたった)

モバP(とりあえず、仕事としては今までの延長上だから、そこまで戸惑ったわけじゃない)

モバP(キュート、クール、パッションと、三つすべてのグループを統括する事になるわけだけど、基本はCuPさん、CuPさん、PaPさんが見てくれているから、全てを見なきゃいけないわけじゃないし)



モバP(というわけで、なんとかチーフとしての役割は回っている)

モバP「それはいいんだけどなぁ……」

ちひろ「何がいいんですか?」ヒョイ

モバP「どわぁっ!?」ガタン!

ちひろ「もう、そんなに驚かないで下さいよ」クスクス

モバP「ちひろさん……気配を消して戻ってくるの止めてもらえませんか」ハァ



ちひろ「黙って戻ってくれば、Pさんたち、ぽろぽろ弱みを零しますからねグヘヘヘヘ」
   (まあまあ、いいじゃないですか、ちょっとしたサプライズはお仕事上の息抜きですよ♪)

モバP「本音と建前が逆になってますよー……」





モバP(ちひろさんと仕事をするようになってからも一ヶ月)

モバP(……先輩たちが、この人を恐れている理由がわかった気がする)

ちひろ(あら、それは初耳ですね?)

モバP(天使! 女神! ちひろ!)





ちひろ「まあ、それはそれとして、何を困ってるんです?」

モバP「いえまあ、芽衣子の事ですよ」

ちひろ「ああ、芽衣子ちゃんの。最近、モバPさんが直接レッスン見に行ったりも出来てないですものね」

モバP「まあ、それもありますけど。そこは、トレーナーさんたちから、きちんと報告もらってますし、芽衣子とも話をしてますから。そのへんの心配はしてないです」

ちひろ「あらあら、すっかり信頼してますね」クスクス



ちひろ「しかし、それだったら何が心配なんです?」

モバP「心配というか……芽衣子のプロデュースの方向性で迷ってるんですよ」

ちひろ「方向性……ですか」

モバP「ええ。芽衣子は間違いなく、アイドルとしての才能があると思うんです。ただ、それをうまく発揮するには、どういう方向で売りこんでいくのか……そこを決めかねていまして」

ちひろ「たしか、芽衣子ちゃん、モバPさんの直属ですけど、形式的にはパッショングループに所属することになったんですよね?」

モバP「ええ。PaPさんもよく面倒見てくれてますし。元気で快活なタイプの娘が多いグループっていうこともあってか、水もあうみたいで。すっかり溶け込んでますよ」



ちひろ「水があう、ですか。まあそれだけじゃなくて、芽衣子ちゃんの、人の輪の中に溶け込む能力というか、才能のせいでもあるんでしょうけど。あれは凄いものがありますよ」

モバP「物おじしませんからねー、芽衣子は。あいつ曰く、」



芽衣子『旅先でいろんな人と仲良くなれば、それだけでも楽しいし、今まで知らなかった観光地も紹介してもらえるし、一石二鳥だよね♪』



モバP「っつう理由で、初見の人達の間に溶け込んでいくのは得意なんだとか」

ちひろ「……まあ、らしいと言えばらしいですけど」


ちひろ(それで納得していいのかしら……)



ちひろ「ちなみに、PaPさんとしては、芽衣子ちゃんの売り出し方は、どういう方向でって考えているんです?」

モバP「PaPさんなら、ダンスを生かす方向で考えるそうです。私もそれはいいと思ってるんですが……」

ちひろ「何か引っかかるんですね?」

モバP「引っかかるというより……私の個人的な願望なんですが」





モバP「芽衣子には、ユニットを組ませてやれないかなと」






ちひろ「ユニットデビュー、ですか。シングルで売りだしてから、グループを組むという手もありますよ?」

モバP「芽衣子の魅力は、自分だけじゃなくて相手も輝かせるところにある気がしまして」

ちひろ「ふむ……? というと?」

モバP「この間の、凛ちゃんとの仕事で司会をやらせたんですが、あの様子、ちひろさんも見ましたよね」

ちひろ「映像で、ですけど。ふむ、確かに、司会とはいえ、上手く凛ちゃんを引きたててましたね」

モバP「芽衣子自身は主役じゃありませんでしたが、あれはあれで、芽衣子自身も上手く魅力を出せてたと思うんです。一人で主役にして、その点を消してしまうのがもったいなくて」

ちひろ「だったらそれこそ、凛ちゃんとユニットなんてどうです? 凛ちゃんは人気者で忙しいですから、軸足をそこに置くことはできないでしょうけど、ネームバリューは絶大ですよ」

モバP「それは考えました。この間の一件以来、なんだかんだで仲良くなってますし。ただ……」







モバP「その場合、芽衣子の歌があんまり……」


ちひろ「…………」メソラシ




トレーニングルーム



ベテトレ「ワッハッハッハッハ! ああそういう!」

CuP「なるほどねぇ、ふふっ」

芽衣子「も、もーっ! 笑うのは無し!」ダカライイタクナカッタ……

ベテトレ「すまんすまん、しかしなるほど、凛と組むとなると、そこの差が激しいと、ユニットとしてバランスがあまりにも悪くなるな」

芽衣子「うん……」ショボン

ベテトレ「悪かった悪かった。そう落ち込むな。何もお前の歌も、悪いわけじゃない」

芽衣子「あ、うん、それはプロデューサーにも言われたよ」




事務室


モバP「芽衣子の歌は、良いんです。私がスカウトしたのも、街で芽衣子が凛ちゃんのNever Say Neverを口ずさんでいたのを聞きとめたのが始まりでしたし」

ちひろ「ん? でも、さっき、あんまりって……」

モバP「うーん……それこそ、凛ちゃんと比べるとわかりやすいかな」



モバP「凛ちゃんの場合、歌を歌うときの情熱を、冷静に処理して、技術力で仕上げている、って言って伝わります?」

ちひろ「ああ、なんとなくわかります。クールに情熱を秘めた歌声、なんて紹介されたりしますよね」

モバP「芽衣子の場合、歌に込める情熱や想いっていうのは、凛ちゃんにも引けをとらないです。むしろ、それを表に出すのは、もしかすると凛ちゃんよりも上手いかもしれません」

ちひろ「ほう……それはまた、やたらと買ってますね。三代目シンデレラガール相手に」

モバP「ま、まあ、慾目かもしれませんが……」ゴホン




モバP「ただ、その表現が直接的すぎるんですよね……感情が曲の中に直接でるんですよ。感情が高まると、勢いのままに音程を外したり……」

ちひろ「ああ……」

モバP「それも芽衣子の味ですから、無理に矯正しようとは思いません。まあ、最低限抑えるのが前提ですけど」

モバP「ただそうすると、歌のスタイルが対照的な凛ちゃんとのユニットは、上手くないんですよねぇ……」



ちひろ「とすると、誰か上手く組む相手が見つからないと」

モバP「ええ。芽衣子の歌い方というか、表現の仕方というか、その点でダンスを押していくのは、芽衣子やPaPさんとも意見は一致してるんです」

モバP「とはいえ、芽衣子と組んで上手い事その方向性を打ち消さずに行けて、なおかつ芽衣子の相手をひきたてつつ自分もという魅力を出せる相手と言うと……」

ちひろ「なるほど。まあ、それは欲張り過ぎじゃないかとも思いますけどね……」



ちひろ「それこそパッションの子なら、その条件に合う子は結構いそうな気もしますけど?」

モバP「うーん……まあ、また考えすぎているのかもしれませんね、私も」

ちひろ「まあ、焦って決める必要もないんじゃないですか。ダンスを押していくという方向性が決まっていれば、仕事はとってこれるでしょうし」

ちひろ「それこそ社長じゃないですが、ティンと来るのを待ってみては? 当面はソロでいくことにして」

モバP「はい、ゆっくり考える事にします。ことによっては、これから長く一緒にやっていってもらう相手ですし、芽衣子の意見も大事にしたいですから」




トレーニングルーム


ベテトレ「なるほどな……きちんと方針も説明されていたか」

芽衣子「うん。私もせっかく仲良くなれたんだし、凛ちゃんとのユニットとか組めれば嬉しかったけど……」

ベテトレ「どうせ、凛に『仕事に私情を持ちこむようじゃ、プロじゃないよ』とでも言われたんだろう。『ま、芽衣子とユニット組めるなら、それも悪くないけどね』とかフォロー付きで」

芽衣子「い、一言一句そのとおりです……ベテトレさん、超能力でも使えるの?」





裕子「サイキック読心術と聞いて!」ドアバーン!

ベテトレ「呼んでない、帰れ!」

裕子「あ、あれ、サイキック空耳……? 失礼しましたー!」バタン!




芽衣子「……? あれ、今のって確か、PHYプロのユッコちゃん……?」キョトン

ベテトレ「あれは気にしなくていい……まあ凛も、あれで結構わかりやすいからな」

芽衣子「そ、そうかな……? 私からかわれてばっかりなんだけど……」

ベテトレ(それは芽衣子が子供っぽ過ぎるから……いや、止めておこう)




ベテトレ「とにかく、そういうことなら私の杞憂だな」

芽衣子「うん? なにがですか?」

ベテトレ「なに、長い間仕事もなく、レッスンばかりしているとな。アイドルではなく、レッスンする事が目的になってしまう奴もいるんだ」

芽衣子「そうなんですか?」

CuP「まあ、時々ね」



ベテトレ「レッスンを積み重ねて、昨日できなかった事が今日できるようになる。それは楽しいだろう。私達も、そのために頑張っている」

芽衣子「あ、それは何となくわかります! ガイドさんに通訳してもらっていく海外旅行もいいけど、自分で覚えた英語で行く海外旅行は一味違いますよね!」

ベテトレ「……いや、まあ……そうかもしれんが……芽衣子の話で例えるなら、どこへ旅行に行くか決めずに英語だけならい、それがいつの間にか目的になっている、みたいなものか」

芽衣子「なるほど!」

CuP「……ねえ、その旅行で全てを納得するのはどうなの?」



ベテトレ「まあ、実を言うと、卯月にさっきの話を聞いたのもそんな話でな」ハァ


芽衣子「え? 卯月ちゃんが?」

ベテトレ「っと……あー、いや……口が滑ったな……」

CuP「いいわよ、芽衣子ちゃんならその辺わきまえてるでしょ。あんまり話を広められると困るんだけどね」



CuP「卯月ちゃんの場合、この前の総選挙で第4位と大躍進を果たしたじゃない? もちろん、まだ上には上がいるけど。とはいえ、やれることはこれまでも全てやってきたのよね」

ベテトレ「それでも届かなかったわけだ、シンデレラガールの座には」

CuP「卯月ちゃんは芯が強いのよ。アイドルへの憧れ、それにファンへの想いという点ではうちの事務所でも随一だと思ってるわ……といっても、だからといって、卯月ちゃんの心が折れていないとは限らないのよね」



芽衣子「心が折れる?」

ベテトレ「あいつは常々、アイドルとして輝いて、ファンの笑顔の為に頑張る、と言っていたんだが、それを最近聞いていなくてな……」

芽衣子「でも、それってたまたまなんじゃないですか? CuPさんの前なら……」

CuP「私も聞いてないから、心配になってベテトレさんに相談してたのよ」

芽衣子「あー、なるほど……」




ベテトレ「そういう状況下でひたすらレッスンに打ち込む……それが、順位という分かりやすい目安に捕らわれて、ただレベルアップして上のステージへ進むことを目的にしてしまっているということだとしたら……」

CuP「卯月ちゃんの一番の魅力である、アイドルとしての憧れ、ファンへの思いというのを、忘れてたらまずいわねってこと」

芽衣子「そっかー……でも、卯月ちゃんなら、そこを取り違えそうにはないけど……」

CuP「まあ、私も信頼はしてるけどね。もしかしたら……ってレベルの話よ。あの子、芯が強いからこそ、表向き大丈夫そうでも、色々溜めこんじゃう癖があるしね」




芽衣子「じゃ、私も卯月ちゃんに変な様子が無いか良く見ておくね!」

ベテトレ「ん? 何でまた芽衣子が」

芽衣子「そういうのは統括のモバPさんも気にしてるだろうし、そういう心のケアするなら、大人のお姉さんである私の出番かなって!」エヘン!



ベテトレ「……凛の時みたいに、旅行に行って解決とはならないからな?」



芽衣子「えっ、な、何の話かナー」クチブエー



ベテトレ(図星か)

CuP(図星ね)




ベテトレ「全く。まあ、こんな話をしている時点で、私もお前に何か期待しているのかもしれないが」

CuP「前回、CoPと凛ちゃんの間を上手くとり持ってくれたのは事実だしね」

芽衣子「うん、めーこにおまかせ! どんな問題でも、ばばーんと解決しちゃうよっ!」

CuP「ふふ、よろしくね」




ベテトレ「調子に乗るんじゃない。まだまだお前はアイドルとして半人前、自分のレッスンが第一だからな」

芽衣子「えへへ、わかってます! 今はちゃんと、腐らずにレッスンするよ♪」

ベテトレ「良い心がけだ。だがまあ、まずはボーカルをもう少しレベルアップだ」

ベテトレ「ダンスを売りにするにしても、ボーカルは外せないからな」

芽衣子「う、が、頑張る!」



数日後 都内、海沿いの公園


チュンチュン、チュンチュン


芽衣子「ふっ、ふっ、ふっ、ふっ……」タッタッタッ……

芽衣子「ふーっ……」



芽衣子「はーっ、きもちいーっ!」ノビー


芽衣子「ベテトレさんに、歌にもダンスにも肺活量が重要って言われて早朝ランニングを勧められたけど、空気はおいしいし鳥のさえずりは綺麗だし! 良い事づくめだね!」



芽衣子「さてと、それじゃあそろそろ事務所に向かおうかな……ん?」


ズンチャ、ズンチャ


芽衣子「なんだろ……誰か音楽流してる?」




ダンス、ダンス、ダンス!



海浜公園の噴水の前で、ショートカットの女性が踊り、踊る。

激しく、リズミカルに、それでいてしなやかに、優雅にも見える。

ひときわ高く噴水の水滴が跳び――



「year!!」



太陽の陽の下、跳ねあがるその姿はまるで――

踊るための足を得た、マリンブルーの人魚姫






早朝に近所の海浜公園で、携帯ミュージックプレイヤーをランダム再生

その日その日の、気まぐれなミュージックをバックにダンス

軽快なリズムで、しっとりとしたバラードで、その日その日の音楽を

わんこの散歩の途中で、必ず一曲。それが日課

だから、もうすっかり生活の一部なんだけれど



「わぁぁぁぁぁぁぁ! すごーい!」



曲が途切れた途端、拍手喝さいされたのは初めてだったよ




女「え? えっと……」キョトン

芽衣子「すごい、すごい、すごーい! 今のダンス、もしかして即興?」

女「えっと……うん、まあ」

芽衣子「わぁ……ねえねえ、もう一曲!」キラキラ

女「えっ?」

芽衣子「アンコール! アンコール!」

女「……」

女(そりゃ、踊れなくはないけど……)

女「な、なんかむず痒いな……じゃ、一曲だけだよ?」

芽衣子「やたー!」バンザーイ!



女(通りすがりにアンコールなんて求められて踊る方も踊る方だけど)

女(あんなに目をキラキラされちゃあ、仕方ないよね!)ニコッ




女「じゃあ、次はなにかな……ああ、Never Say Neverか。じゃあ……」

芽衣子「あっ! ねえねえ、それでやろう!」

女「ん? いや、そのつもりだけど……て、あれ?」



芽衣子「1、2、3、ターン、1、2、3、ターン!」




女「えーと、なにしてるの?」

芽衣子「準備運動!」

女「……貴女も踊るの?」

芽衣子「あ、いいよね、私も踊りたくなっちゃって!」

女「いいけど……ほんと、変なの」クス

芽衣子「わーい! 旅は道連れ、世は情けってね! っと、あれ?」

女「でも、ついてこれるかなー?」



ミュージック、スタート!



芽衣子「えっ、わっ、わっ!」




芽衣子(凄い、凄い、凄い!)

芽衣子(ターンに、ステップ、切り返してジャンプ!)

芽衣子(Never Say Neverはそういう曲じゃないのに、まるでダンスナンバーみたい!)

芽衣子(それなのに、まるで最初からそうだったみたいにぴったり……!)




“振り返らず前を向いて~♪”


女「ここは、こうでしょっ!」スピン!


“どこまでも走っていこう~♪”


芽衣子「わぁっ! じゃあ、ここは、前にステップして、こうっ!?」ジャンプ!

女「いいね! じゃ、こっちは……」スッ


“そうつーよく♪”


芽衣子(わたしならっ)


“そうつーよく♪”


芽衣子(一度止まって……)ターン!




芽衣子「っ! だよねっ!」

芽衣子(手を差し出して、こっちを見てる!)

女「ナイス!」

女(あとは、たがいに向かって!)


“はしりだそうー♪”


女「イェイ!」

芽衣子「ヤッホー!」


女・芽衣子(すれ違いざまに!)


パァン!


女・芽衣子(ハイタッチ!)




ミュージックプレイヤー『~♪』ピッ!



芽衣子「あー、つかれたー! でも、たっのしー♪」ペタン

女「いいね! 久々に楽しかったよ」

芽衣子「えへへ、私もこんなに楽しかったの初めて♪ それにしても、ほんと凄いね! 動きのキレも、動き方も、惚れ惚れしちゃった♪」

女「ありがと。貴方もけっこうやるじゃない」

芽衣子「いやいやいや、私はまだあそこまで動けないよー」

女「ふふ、ダンスで一番大事なのは何だと思う?」

芽衣子「色々あるけど、一番は情熱!」

女「ほら、そういうとこ。あんなに楽しそうに踊られたら、こっちも乗せられちゃうよ」

芽衣子「えへへ、そんなに褒められるとてれちゃうなぁ」テレテレ

女「ふふふ」




芽衣子「ね、もう一曲行こうよ!」

女「いいね、んーと、じゃ、次はどこの曲でやろうか……」リモコンピッピッ

芽衣子「あ、どんな曲入れてるの?」ヒョイ

女「ちょっと、近い近い……あ」



ディスプレイ『S(mile)ING!』



芽衣子「あ、卯月ちゃんの曲だ!」

女「……あー……」

芽衣子「? どしたの?」

女「……ごめん、やっぱ今日はここまで」ブツッ

芽衣子「え?」




女「ごめんね、散歩の途中だから」

芽衣子「えー! うーん……そっか、仕方ないね! そうだ、名前教えてよ、踊り見に行くから!」

女「アタシの?」

芽衣子「うん、どこかでダンサーとかやってるんでしょ?」

女「うーん……そういう訳じゃないんだけど」ニガワライ

芽衣子「え、そうなの?」

女「まあね……ああ、そうじゃなくて、アタシの名前ね」






「水木聖來。セイラでいいよ」



芽衣子「えへへ、よろしく、聖來! 私は並木芽衣子、芽衣子でもめーちゃんでも気軽に呼んでね♪」アクシュ

聖來「うん、よろしく、芽衣子。ふふ、変なの」アクシュ





ワン!


聖來「ああ、ごめんわんこ、もう行くから」

芽衣子「散歩って、その子の?」

聖來「うん、わんこ」

芽衣子「わんこ?」

聖來「きちんと名前つけないうちに、こんなに大きくなっちゃってね。そう呼んでたら定着しちゃったんだ」

芽衣子「へー、ゴールデンレトリバー? さわってもいい?」

聖來「どうぞ」

芽衣子「じゃ、失礼して……わんこちゃん、おはよう!」


ワン!


芽衣子「えへへ、かわいいー。じゃ、お手!」

聖來「あ、お手は……!」


ワン!








ぷにっ







芽衣子「……えっ?」

聖來「こらっ、わんこ!」


ワンッ!


芽衣子「あっ、ちょっと! そのまま体重掛けられる、とぉっ!?」

聖來「ああっ!」




バッシャーン!






というわけで聖來さん登場です。

ていうか聖來さんもメインのSSです。

キリがいいのでちょっと休憩ー

あれの続き書かれると思ってなかったわ

>>60
支援ありがとうございます! 筆が遅いので忘れ去られてるものと覚悟してました……
では、再開します。


公園近く アパートの一室



聖來「ごめんね、芽衣子。わんこ、お手をされると飛びつく癖がついちゃってて……」

芽衣子「あ、ううん、大丈夫! ちょっとびっくりしたけど……それより、お風呂貸してくれてありがとね」

聖來「そりゃ、わんこが跳びついたせいで噴水に落としちゃったんだもん、これくらいはするよ」


ワン!


聖來「こーら、わんこ! 反省してるの? セクハラだぞ?」

芽衣子「あはは……だ、大丈夫、たぶん、「ちょうどいいところに足をかける場所があった」くらいにしか思ってないよ!」

聖來「それはそれで失礼な様な……ていうか、わんこ、女の人にお手をされると、必ず胸に前足を置くんだよね……わざとやってる?」


クゥーン?


芽衣子(誤魔化してる?)




芽衣子「聖來はさ、普段何やってるの?」

聖來「仕事? んっと……まあ、定職にはついてないんだけどね」

聖來「アイドルのライブとか、ミュージックビデオのバックダンサーだね。そういうのに応募して食いつないでる感じかな」

芽衣子「えっ、それって凄くない? どっかの事務所に所属してるとかじゃないんでしょ? 毎回オーディションで勝ち取ってるの?」

聖來「ま、もともとダンスには自信あったしね。最近アイドルのPVとか多いし。なんとか食いっぱぐれないくらいにはなってるよ」

芽衣子「へええ、ほんとに凄いんだ……」

聖來「おだてられても困るなー、結構生活ぎりぎりだしね」




芽衣子「公園でやってたのは、その練習?」

聖來「まあ、それもあるかな。体動かしてないと、錆ついちゃいそうだし」

聖來「でもまあ、一番は、単純にダンスが好きってだけなんだけど」

芽衣子「ほんとに、ダンスが好きなんだね」

聖來「まあね。どうしてとか言われると困るけど、体動かすの好きだしね」

芽衣子「そうなんだ。いいねー、好きな事を生活の糧に出来るって」




聖來「まーでも、それもそろそろ潮時かなーって思ってるんだ」

芽衣子「えっ、なんで?」

聖來「生活がぎりぎりってのもあるんだけどさ、それだけじゃなくて」



聖來「自分の好きなダンスが出来ないのが、ちょっとね」





芽衣子「好きなダンスできないって、ええと……?」

聖來「なんていうかさ、アタシとしてはこの音ならこうだよねって感じで体を跳ねさせたいんだ」

芽衣子「あっ、さっき一緒に踊った感じだよね! 歌も同じで、気持ちよく歌ってると、音程なんか気にならないし!」

聖來「あー、そうそう、そんな感じ! ノリに乗って楽しんでこそダンスだよね!」

芽衣子「わかるわかるー! アクティブにたのしまないとっ! ってね!」




聖來「なのに逐一周りとあわせろとか足並み乱すなとか……」

聖來「仕事だとわかってはいるけどね。縛られてダンスするのってアタシがやりたい事じゃないなーって」

芽衣子「そうなの? もったいないなー」

聖來「ありがと。たまーに好きにやらせてくれる監督もいるんだけどさ。それならそれで、公開されたビデオにそのアイドルなり歌手なりのファンが噛みついきたりとかさ」ハァー

芽衣子「え、なにそれ」

聖來「あの子のダンスはそうじゃないだの、足を引っ張るなだの。ま、ネットの評判くらいだから気にするほどの物ではないんだけど」



芽衣子「気にするべきだよ! せっかくあんな素敵なダンスなのに!」ムッカー!

聖來「えっ? いや、別にそこまで怒らなくてもいいよ?」

芽衣子「いいわけないじゃん! なにさそれー!」

聖來「ま、まあまあ、自分の好きなアイドルの曲で、好き勝手に踊られたら腹が立つ気も分からないではないし……」



芽衣子「……」







芽衣子「それ、もしかしてさ、さっきの卯月ちゃんの曲?」



聖來「あ、やっぱりわかる? ま、その通りでさ」

聖來「仕事とは違うんだけど、自撮りで動画サイトにダンスの画像あげたことあったんだ」

芽衣子「あ、踊ってみた……ってやつ?」

聖來「うん。前から好きだったからさ、卯月ちゃんの曲。アタシなりにアレンジしてやってみたんだ」

聖來「もー、そしたら大炎上。それで、嫌になっちゃってね。その動画ももう消しちゃった」




芽衣子「なんて言われたの?」

聖來「褒めてくれるコメントもあったはあったんだけど……卯月ちゃんの振り付けはそうじゃない、お前みたいなブスがS(mil)ING!を踊るな、ファンの聖地を汚すな……とかだったかな。そんな罵詈雑言が雨あられ」

芽衣子「」ブチッ

聖來「ん? 芽衣子? 窓を開けてどう」





芽衣子「そんなこと書いた奴は今すぐ出てこーい! ふざけるなーっ!」





聖來「!?」






聖來「ちょ、ちょっと待って! 近所迷惑だからストップ!」

芽衣子「あっ、ごっ、ごめん……」


聖來「……」

芽衣子「……」


聖來「ぷっ、」クックック

芽衣子「え、えーと、あのね? 私普段はそんなに……」カオマッカ

聖來「いやいやいや、芽衣子はいつもそんな感じでしょ? 容易に想像できるよ」クックック

芽衣子「ううー、それは、そのー……」ユビサキツンツン

聖來(可愛い)



聖來「でもさ、もしかしたら、ほんとにアタシが変なダンスを踊ったから、そう言われるのも当然だったのかも、とか、疑わないの?」

芽衣子「えー、それはないよ! だって、聖來、S(mile)ING!が好きで踊ったんでしょ?」

聖來「まあね」

芽衣子「聖來が好きで踊って、そんな酷いのになるわけないもの!」

聖來「なんでそこまで言い切れるかな……」






芽衣子「一緒に一曲踊った仲じゃない! わかるったらわかるの!」エヘン!



聖來「……」

芽衣子「聖來?」

聖來「あ、ごめん、なんでもない。……ふふ、ほんと、変な感じ」

芽衣子「……?」






ブーッ、ブーッ!


聖來「あれ? 芽衣子、携帯鳴ってない?」

芽衣子「ほんとだ、だれだろ」


ピッ!




『芽衣子! いったいどこほっつき歩いてるんだ!』







芽衣子「わわっ、プロデューサー!? どうしたの?」

モバP『どうしたのじゃないだろ! とっくにレッスンの時間は過ぎてるってのに、いまどこにいるんだ!』

芽衣子「えっ!?」

聖來「時間なら、ほら……」

芽衣子「ええっ、もうこんな時間!? ご、ごめんなさい! その、噴水に落ちちゃって……」

モバP『……は? 噴水?』

芽衣子「え、えーと、とにかく今から行くね! トレさんにもごめんなさいって伝えておいて! じゃ!」

モバP『あ、おい! ちょっと詳しく話を……』



ブツッ、ツー、ツー、ツー





聖來「大丈夫?」

芽衣子「と、とりあえずもう行くね! うー、すっかり忘れちゃってたよ……」

聖來「あ、アタシも行くよ。会社の人でしょ? わんこが迷惑かけちゃったし、説明するからさ」

芽衣子「聖來、ありがと!」ギューッ!

聖來「ちょ、ちょっともー。いちいち抱きつかないの、まったく……」ヨシヨシ




CGプロ 事務所


モバP「で、そのわんちゃんが跳びついて、公園の噴水に落ちた、と」

芽衣子「う、うん……」


ワン!


聖來「あの、ほんとなんです。うちのわんこが御迷惑をおかけして……」

モバP「ああ、いや、別に疑っているわけじゃないですよ。芽衣子だったら、遅刻したら遅刻したで正直に言うタイプですし」

芽衣子「ほっ」

モバP「とはいえそれならそれで連絡の一つも入れろ。こっちは事故にでもあったのかと心配したんだからな」

芽衣子「うん、ごめんなさい」ペコリ

聖來「ていうか、噴水に落ちたんだから十分事故だけどね……」




聖來「それにしても……」キョロキョロ

芽衣子「どうかした?」

聖來「いや、芽衣子、アイドルやってたんだね……」

芽衣子「あれ? そういえば……いってなかったっけ?」

聖來「ま、アタシも聞かなかったんだけどさ」

芽衣子「あはは、まあアイドルって言っても、まだまだ駆け出しなんだけどね」





ちひろ「みなさん、お茶が入りましたよー。モバPさんも、休憩にしたらどうです?」

モバP「ああ、ありがとうございます、ちひろさん。芽衣子も今日は休みで良いから、ゆっくりしていけ。水木さんもどうぞ、せっかくですし」

聖來「ええと……」

芽衣子「時間あるなら、ゆっくりしていきなよ!」

聖來「それじゃあ、すこしお邪魔していこうかな」





数十分後



アハハハハ



聖來「へえ、それでスカウトされたんだ」

芽衣子「そうそう、びっくりしちゃった。街中で凛ちゃんに出会って、その場でだもん。旅も人生も、一体何があるかほんと分からないよね!」

モバP「そのあとも色々あったしなぁ……ああ、そうだ。芽衣子、ちょっといいか?」

芽衣子「ん? 何、プロデューサー」

モバP「仕事の事なんだけどな、まだユニットの相手が思いつかなくてな……待たせたままですまない」

芽衣子「あ、ううん、大丈夫だよ!」



聖來(……ユニット……)






モバP「とはいえ、いつまでもレッスンだけって訳にも行かないだろ? で、初仕事……になるかは芽衣子次第なんだけど、今度イベントのオーディションがあるんだ。受けてみないか? っていうのも……」

芽衣子「えっ、ほんと!? やるやる! 参加する!」

モバP「……いい返事なのは嬉しいけど、何のオーディションかくらいは、確認してからにしてほしいなぁ……」

芽衣子「え? あ。えーっと、うん、次から気をつけるねっ!」

ちひろ「モバPさんがずーっと仕事とって来なかったから、待ちわびてたんですよねー♪ 飛びつくのも仕方ないと思いますよー?」

モバP「ひどい」





芽衣子「それで、どんな内容なの!?」

モバP「ああ、石川県で開催される……」

芽衣子「石川県!? ってことは、泊まり込みで旅行! 行く!」ガッ!

モバP「確かに! 泊りになるけど! 旅行を基準に仕事を判断するなっていうのに!」

芽衣子「あ……えへへ、ごめんなさい」テヘペロ




聖來「……えーと」

ちひろ「あー、気にしないで下さい、芽衣子ちゃんはいつもああですから」

聖來「あはは、でも、楽しそうですね」クスクス





モバP「全く……で、内容は、そこで開催されるサーキットレースのイベントガールだ。レースクイーンみたいな感じだな」

モバP「メインはもう決まってるんだが、別に端役ってわけでもない。ダンスの披露もあるし、そこそこ美味しい役どころだぞ」

芽衣子「へええ……! 楽しそう……!」キラキラ

聖來「ふふ、頑張ってね、芽衣子」

芽衣子「うん! ……あ! そうだ、ねえプロデューサー!」

モバP「うん?」







芽衣子「そのオーディション、聖來と一緒に受けてもいい!?」




モバP「ファッ!?」

聖來「へっ?」




芽衣子「ていうか、もういっそのこと聖來もアイドルやろうよ!」




モバP「はい!?!?」

聖來「……えっ!?!?」





聖來「え、その、いきなりなんで!?」

芽衣子「だって、さっき一緒に踊って楽しかったじゃない! 聖來と一緒なら、アイドルやるのもきっと楽しいと思うんだ!」



モバP「……旅は道連れ、世は情け……?」

ちひろ「ちょっと違う気がしますけど……」



芽衣子「ねえ、プロデューサー、いいでしょ!? ユニット組む仲間もほしかったじゃない!」フンスフンス

モバP「いやいや、ちょっと待て、一旦落ち付け!」ドウドウ

聖來「」ポカーン





モバP「……とりあえず、どうしてまたその、水木さんと?」

芽衣子「どうしてって……聖來とだったら、絶対楽しいって思えるからだよ?」

モバP「……え、それだけ?」

芽衣子「うん!」

ちひろ「……えーと、つまり……ティンときた! ってことでいいんですかね……?」

芽衣子「そうそれ!」ビシッ!

モバP「いいのかそれで……」





モバP「はぁ……まあ、理由はそれとして。とりあえず、水木さんの意向を聞いてからでないとどうしようもないだろ」

芽衣子「じゃ、聖來さえオッケーならいいんだね!?」

モバP「え? いやそうは言って……」

芽衣子「じゃ、聖來、一緒に来て! 皆に紹介するついでに、事務所を案内するよ!」ガシッ!

聖來「……えっ!? いやその、」

芽衣子「大丈夫、みんないい子だから絶対この事務所も気にいるって! さ、ゴーゴー!」

聖來「ちょ、ちょっとー!」ズルズル



バタン!





モバP「……」

ちひろ「……」



モバP「ちひろさん……私達も、ティンと来たときってあんなんでしたか……?」

ちひろ「…………」メソラシ




CGプロ 社屋内


芽衣子「ここがサウナで、あっちにはエステルームもあるんだよ。あと、専用のカフェもあって、」スタスタ

聖來「ちょっと、芽衣子!」

芽衣子「え?」

聖來「もう……案内もいいけどさ、アタシの意向は無視なの?」

芽衣子「あ、どこか見たいところある? それとも、誰か会いたい子がいるとか?」

聖來「そうじゃなくて……」ハァ



聖來「何でアタシをアイドルにしようなんて思ったの?」

芽衣子「え? いや、うーん……」



芽衣子「私が楽しいからかな!」エヘン!



聖來「……もう」


聖來(普通、怒っていいのか、呆れていいのか……ってとこなんだけど)



聖來(そう言われて嬉しい自分がいてどうにも)ニガワライ





聖來「……ま、楽しいのは確かだろうね、アタシにとっても。芽衣子とユニットなんて、考えたらさ」

芽衣子「でしょ! だったら決まりだよ!」

聖來「そうおいそれと決められるもんじゃないでしょー?」

芽衣子「だってうってつけじゃない! 渡りに船、飛び込みの旅館がちょうど一部屋空いてたようなものだよ!」

聖來「……気になってたんだけど、そのなんでも旅行で例えるのは芽衣子の趣味?」





芽衣子「聖來、可愛いし綺麗だし、スタイルもいいじゃない」

聖來「まあ、卑下するつもりはないし、そこそこだとは思うけどさ」

芽衣子「なによりあのダンスだよ! 私、一目で見惚れちゃったんだから!」

芽衣子「聖來がアイドルになれば、聖來が好きなように、思うままのダンス踊れるんだよ。そんなの絶対に最高にかっこいいに決まってるじゃない!」





芽衣子「聖來なら、絶対みんなを魅了するアイドルになれるって!」





聖來「……」









聖來(芽衣子の言葉……どうして、こんなに嬉しいのかな)

聖來(理由は、わからないけど)




聖來「……うん、ありがと」ニコッ





芽衣子「え? えへへ、どういたしまして!」




芽衣子「じゃ、もう決まりだよね!」

聖來「そう簡単にはいかないよ。やっぱり、思うところもあるし」


聖來(あと、アタシの場合、弱点もあるしね……)


芽衣子「えー……」




「おはようございます!」





聖來「!」

芽衣子「あ。おはよう、卯月ちゃん!」



卯月「芽衣子さん! はいっ、島村卯月、今日も元気に頑張ります!」




卯月「……? あの、芽衣子さん、そちらの人は……?」

芽衣子「あ、聖來だよ、私がティンと来て連れてきたの! 一緒にアイドルをやるんだ!」

聖來「だ、だから決めつけないでってば!」アセアセ

卯月「……」




卯月「あの、もし違ったらごめんなさいなんですけど……」

芽衣子「うん?」



卯月「もしかして、『セイラ』さんですか? あの、ダンスの動画を投稿してた」



芽衣子「?」

聖來「!!」ビクッ!





聖來「え、えっと……多分人違……」

芽衣子「あーっ! それってもしかして、さっき言ってたS(mile)ING!の動画の事じゃない!?」

卯月「や、やっぱり!」

聖來「芽衣子ー!!」




芽衣子「え? なにかまずかった?」

聖來「まずかったって……もう! あんなに評判悪かったのをよりによって本人に知られたくないでしょ!」




卯月「えっ!? あれ、評判悪かったんですか!?」




芽衣子「えっ?」

聖來「えっ?」

卯月「……えっ?」




芽衣子「えっと……卯月ちゃん、聖來がネットにあげた動画を見たんだよね?」

卯月「はい! 凄くかっこよかったです! それで私、」




卯月「聖來さんにあってお礼が言いたかったんです!」






聖來「え? お、御礼?」



卯月「あの時は、どこのだれかもわからない人でしたけど、あの動画を見て、私、初心を思い出せたんです!」



聖來「え? えと……え? どういうこと?」




卯月「私、アイドルとして一番大事なのって、ファンのみんなを笑顔にする事だと思うんです。そのために、歌も、ダンスも練習して、キラキラのアイドルを魅せるんだって。そのために頑張るのがアイドルだって。それが、私の憧れですし」

聖來「……」

芽衣子「卯月ちゃん、やっぱりそこは忘れてなかったんだ!」ニコー

卯月「え? 忘れて……?」

芽衣子「あ、ごめんごめん、何でもないから気にしないで! そうやって、自分の憧れや人の笑顔のために頑張れるのって素敵だなって話!」

卯月「えへへ……でも、ずーっとそうだったわけじゃないんですよ?」





芽衣子「そうだったの? もしかして、最近の事?」

卯月「あ……そういわれると、少しはそうだったかも。凛ちゃんがシンデレラガールになったのは自分の事みたいに嬉しかったけど、悔しくないって言ったら嘘になっちゃいますし」

卯月「でも、私がさっき言ったのは、シングルデビューしてしばらくの頃で……」

芽衣子「あー、えっと……もしかして、第2回の総選挙の事?」

卯月「あはは、はい。今思うと恥ずかしいですけど……」

卯月「CDデビューまでしたのに、前と同じ結果で……正直、へこんでたんです」





時はさかのぼり、第2回総選挙のしばらく後――

島村家 卯月の自室



卯月「……」



CuP『大丈夫よ、卯月ちゃんの魅力はファンのみんなに届いてるわ』

CuP『今回は表に出てないかもしれないけど……でも、大丈夫、私が保証してあげる』

CuP『だから、これからも腐らずに頑張っていきましょ、ね?』



卯月「……本当に、そうなのかな……」





卯月(選挙の順位が全てじゃないっていうけど……でも、私のファン、全然増えてないってことじゃないのかな……)

卯月(凛ちゃんは、あんなに上に行ったのに……)

卯月「……私には、なにか足りないのかなぁ……」



卯月「……」ハァ



卯月「……何か、飲み物持ってこよう」





島村家 リビング


卯月「母さんも父さんも出かけてたっけ……ホットミルクでも飲もうかな」

卯月「あー、お父さん、またパソコン出しっぱなしで……部屋で見ればいいのに、もう……あ」



卯月「お父さんのパソコン、点けっぱなし……」



卯月(……インターネット……)

卯月(酷い事を書く人もいるから、見ちゃ駄目って言われているけど……)

卯月(でも、だったら尚の事、私の足りない事が解るかも……)




卯月「あまり見たことない検索エンジンだけど……ここに入力して、検索かければいいんだよね……」

カチャカチャ……



検索ワード『島村卯月』



CuP『卯月ちゃんが思ってる以上に、酷い事を書く人もいるから……』

卯月「……」ゴクリ



『Enter』



タンッ!





卯月「……あまり、ヒットしないなぁ……あれ? これ、なんだろう……『踊ってみた』……?」

卯月「S(mile)ING!の動画? ここをクリックすれば、再生できるのかな……」

卯月「……みて、みようか……」






そして、パソコンの画面に現れたのは――






現在、CGプロ社内



聖來「それが、アタシの動画だったの?」

卯月「はい! その時は、ほんとに時間を忘れて、何度も繰り返して見入ってました。私の曲なのに、まるで違う曲みたいで、それでそれがすっごく素敵で!」

卯月「そのうちに、あっ、ってなって気がついたんです」

芽衣子「気がついたって……何に?」

卯月「私がアイドルをやりたいのは、トップアイドルになりたいからだけじゃないって」



卯月「笑顔でアイドルをやっている私を見て、ファンのみんなが、笑顔になってくれるのが嬉しいからだって!」





卯月「聖來さんのダンスを見ていただけなのに、私、笑顔になってたんです」

卯月「元気づけられて、ステップを踏んで、悩み事も忘れてただただ凄いって!」

卯月「それが、すっごくすっごく幸せで!」

卯月「みんなにもこの気持ちを分けてあげたいって、そう思って――」



卯月「それが、私がアイドルに憧れた理由だったんだって、気がついて、思い出せたんです」



卯月「私が小さいころから憧れていた、キラキラ輝くアイドルは、皆に笑顔を分けるアイドルだって」

卯月「それこそ、動画の中の聖來さんみたいに!」




聖來「……」


聖來(そっか。だからアタシは――)


卯月「あのとき、聖來さんに思い出させてもらったから、今もこうしてアイドルとして頑張れているんです。だから本当に、ありがとうございます!」

聖來「……ええと……」

芽衣子「ほらほら、聖來!」ニコニコ

聖來「……うん、アタシこそ、ありがと。喜んでもらえて、嬉しいよ」

卯月「はい!」





芽衣子「そっかー、じゃあ、卯月ちゃんが聖來のファン1号だね! 私が1番だと思ったのになー」

卯月「あっ、そうか! 私、会員証ナンバー1番もらえるんでしょうか!? ファンクラブの会員番号1番なんて初めてです!」キャイキャイ

芽衣子「じゃ、私は2番! これは譲れないよっ!」キャイキャイ



聖來「……ええとね、二人とも、盛り上がっているところ悪いんだけど……」

聖來「アタシがアイドルになれるって決まったわけでもないからね?」





芽衣子「ええー!」

卯月「そんなのもったいないですよ!」

芽衣子「そうだよ! 今の話を聞いて、アイドルやらないなんて、旅先で厚意で泊めてくれた老夫婦にお礼も言わず立ち去る様なものだよ!」

聖來「だからその例えは……いや、そうじゃなくて、アタシがやるつもりが無いとは言ってないでしょ?」

芽衣子「うん?」

卯月「え?」





聖來「芽衣子には、さっき言ったけどさ。アタシ、ダンスが好きな理由、自分でも何となくしかわかってなかったんだよね。ただ好きってだけで、それで充分だったから」


聖來「でも、卯月ちゃんの話を聞いて私も気がついた」


聖來「私のダンスを見て、目を輝かせて喜んでくれる人がいるから、ダンスが好きなんだって」


聖來「だから、あの動画をぼろくそに言われて傷ついたし、もういいかって思ったけど」


聖來「でもさ。なんていうか……私のダンスで、笑顔になってくれる人がいるなら、止める理由なんてないよね」



卯月「じゃあ……!」



聖來「アタシのファンになってくれた卯月ちゃんと芽衣子が目の前にいて、前に進まないなんて女が廃るでしょ?」






芽衣子「やったー! じゃあ問題ないじゃない!」

卯月「はい! 私もまた聖來さんの踊り見られるの嬉しいです! 動画が消えちゃったの、本当に残念だったから……」

聖來「だーかーらー、二人とも話を急かしすぎなんだってば……」ハァ

芽衣子・卯月「……?」キョトン

聖來「アタシがアイドルやりたいって言ってもね、それを決めるのは……」






モバP「俺たちの仕事の範疇だろ」ハァ


芽衣子「あ、モバPさん! CuPさんに、CoPさんも!」

卯月「CuPさん、あの……!」

CoP「あー、大体話は聞こえてたから。状況は理解している」

CuP「卯月ちゃんも、そんなことがあったのなら一声かけてよ……あの頃どれだけ心配したか」

卯月「あっ、ごめんなさい。聖來さんの動画を見てから、もう次の事しか考えてなかったから……」

CuP「まったく……まあ、それが卯月のいいとこよね。変わってなくて安心したわ」クス

卯月「安心……?」キョトン

CuP「こっちの話」






モバP「で、だ。水木さん、本当に、アイドルになりたいと?」

聖來「……はい」



聖來「芽衣子からじゃなくて、改めてアタシからお願いします」

聖來「ここで、アイドルとして活動させてもらえませんか?」





モバP「……」フーム

芽衣子「モバPさん、そこは即決しちゃっていいところだよ!」

モバP「すまないけど、芽衣子は少し黙っててくれ」

芽衣子「ぷー」

CoP「ぐっ……ぷー……」クックック

CuP「……ねえ、モバP、漫才はやめてよ、真面目な話なんだから……」クスクス

モバP「俺悪くないですよね!?」






モバP「とにかく! 芽衣子や卯月ちゃんは知ってるみたいだからいいけど、私たちからしたらまだ未知数ですから。そうですね……何か、自己アピールとか、ありますか?」


聖來「自己アピール……」

芽衣子「っていったら!」グイッ!

卯月「あれしかないですよね! 私も見たいです!」グイッ!

聖來「ふふ、了解」




聖來「それじゃあ、少しの時間でいいので、トレーニングルームとラジカセを一台、貸してもらえませんか?」





トレーニングルーム



モバP「それで、ここってことは、ダンスですか?」

聖來「はい」

卯月「聖來さん、CDの準備、オッケーです!」

芽衣子「いつでも大丈夫だよ!」



CoP「あいつら、すっかり肩入れしてるな……」

CuP「ま、それはそれでいいんじゃない? 水木さんが現役アイドルを魅せるだけの何かを持ってるってことでしょ?」





モバP「では、どうぞ、始めてください」




聖來「……」フー




芽衣子・卯月「……」ドキドキ ドキドキ




聖來(ふふ、芽衣子と卯月ちゃんの心音が聞こえてくるみたい)

聖來(こんなに緊張するの、久しぶりだけど……)



スッ



芽衣子「!」スイッチオン!







聖來が挙げた手に、芽衣子はラジカセの再生ボタンを力強く押し込む。

流れてきたのは、もちろん――



聖來(S(mile)ING!――笑顔で!)


ステップ!



♪ ~憧れてた場所を ただ遠くから見ていた


ステップ ステップ ターン!

聖來(否定されて、踏み出さずに。アタシもそうだったんだよね。でも)


♪ ~となりに並ぶみんなは


ライト レフト シェイク!

聖來(芽衣子も、卯月ちゃんもいてくれる)


♪ ~まぶしく輝くダイヤモンド

ライトターン ステップ ステップ!
レフトターン ステップ ステップ!


聖來(アタシのダンスで、笑顔になってくれる人がいる。だから、アタシも!)


♪ ~さあ


聖來(くよくよに、今)


ステップ アンド ジャンプ!



聖來(サヨナラ!)





~♪


クルッ、ピタ



聖來「……ふー……」



モバP・CoP・CuP「…………」ポカーン

聖來「……へへ、どうだった? 芽衣子、卯月ちゃん」

芽衣子「……もーっ、」ダッシュ!

聖來「えっ!?」

卯月「最高です!」ダキッ!

聖來「きゃっ!」ドテッ!





芽衣子「もー、最高だよ! 可愛いしかっこいいしもー! もー! もー!!」バシバシ

聖來「芽衣子、痛い、痛い!」

卯月「前に見たときと全然違って! 直接見たらこんなに感動するんだなって!」ギューーーッ

聖來「いやまあ今回は気持ちの入れようも違ったし、うん、卯月ちゃんもちょっと落ち着いて、ね?」



モバP「……いやー、まあ、何というか」

聖來「!」





CoP「……参ったね……まさかここまでとは思ってなかった」

CuP「うん、正直二人が過大評価してると思ってたわ。まさかS(mil)ING!でこんなダンスを見せてくれるなんてね」

モバP「芽衣子のティンときた! が、大当たりだった訳かぁ」




芽衣子「じゃあ!」

卯月「やっぱり!」

モバP「ええ、水木聖來さん、こちらこそお願いします。ぜひ、私達とこのシンデレラガールズプロダクショでアイドルになってください!」


芽衣子・卯月「やったー!」




聖來「……えーっと……」ニガワライ




全員「……?」


聖來「その、そのお言葉は凄く嬉しいんですけど、一応……その、歌を聴いてもらってから判断してもらってもいいですか?」


CoP「お、何だ、歌も自信があるのか?」

芽衣子「すごーい!」

聖來「あ、いえ、そうじゃなくて、その……」メソラシ

モバP「……? ええと、じゃあ、また、S(mil)ING!でいいですか?」

聖來「あ、はい……その」

全員「?」

聖來「引かないで下さいね……?」








カチッ

~♪










\\\\ぼえ~!!!////










聖來「……ごほん」



全員「……」ポカーン



聖來「な、何か言ってよ!」

芽衣子「いや、うん……」

卯月「ええっと……」

聖來「うー、やっぱり駄目かー」ガックリ





モバP「いや、うん、なんていうか」

CoP「ぼえ~、ってのは、流石に行きすぎた表現だけど」

CuP「ダンスがあんまりにも完ぺきだったから、その、ギャップが凄くてね……?」

聖來「……どうせアタシは音痴だもん……」イジイジ



芽衣子「……」クス

芽衣子「もーっ! 聖來可愛い!」ダキッ!

聖來「きゃあっ!」





芽衣子「大丈夫だよ! 歌もアイドルも、これから一緒に頑張っていけばいいじゃない!」

卯月「そうですよ! 頑張って、一緒にみんなを笑顔にしましょう!」




芽衣子「だからさ、一緒にやろうよ、アイドル!」



聖來「……うん、ありがと」





CoP「まあ、卯月と芽衣子の言うとおりだな」

モバP「頑張る事が簡単な事だなんて言わないけど、水木さんは、頑張るつもりなんですよね?」



聖來「……」チラリ


芽衣子「うん!」ニコッ!

卯月「ね!」エヘッ!






聖來(……一人じゃ、くじけちゃうかもしれないけど)

聖來(でも!)




聖來「はい!」




聖來(私を見て、笑ってくれる人がいるなら、頑張れる!)





CuP「なら、決まりね」

モバP「ええ。CGプロへようこそ、水木聖來さん!」



聖來「はいっ! よろしくお願いします!」




芽衣子「やったー! じゃ、さっそく二人でユニットの事決めようよ!」

聖來「あ、それは確定事項でいいの?」

芽衣子「もっちろん!」

モバP「だからそれは俺たちの管轄だっつうに!」

CoP「確かにな……だがまあ、いいんじゃないか? 芽衣子がティンと来てスカウトして来たようなもんだし」

CuP「ええ、私も賛成。芽衣子ちゃんと同じで、モバPのとこに配属でいいと思うわよ。ユニットもね」

モバP「……まあ、私もそうしたいと思ってましたけど」






芽衣子「やったー! よろしく、聖來!」

聖來「ふふ、こちらこそよろしくね、芽衣子」

卯月「芽衣子さんと聖來さんのユニット、楽しみにしてます!」




モバP「やれやれ……結局、芽衣子が自分でパートナー見つけちゃったなぁ」

ちひろ「プロデューサーとしては、忸怩たる思いがありますか?」

モバP「どわっ! ……だからちひろさん、いきなり現れるの止めてくださいって……」




モバP「ま、そうだとしても、私には私で、あいつらを輝かせるっていう仕事がありますから」

CoP「だな。何故かうちはプロデューサーがスカウトも兼ねてるからなぁ」

CuP「本来本業はそっちよね。ま、何にしろ上手く転がって行きそうじゃない? あの二人」

モバP「ええ。私も全力であいつらを支えますよ」

ちひろ「いい心構えだと思いますよ。頑張ってくださいね♪ そのためにも、今ならお得なドリンクセットが……」

モバP「あ、あはは……」



モバP(鬼! 悪魔! ち……)

ちひろ(ち?)

モバP(天使! 女神! ちひろ! 1ダース買います!)

ちひろ(まいどあり♪)




モバP「ごほん。さて、芽衣子、それに、水木さん」

聖來「あ、アタシはセイラって呼んでいいから」

モバP「じゃ、お言葉に甘えて。芽衣子も聖來も、オーディションは近いからな。現状、ダンスでアピールしていくしかない。時間はあまりないけど……合わせられるか?」



芽衣子・聖來「「もちろん!」」





芽衣子「ふふっ、聖來!」

聖來「なに?」

芽衣子「あらためて、よろしくね! 一緒に新しい世界へ旅立とう! おーっ!」

聖來「うん!」




おわり


半年ぶりの続編です。また長い話ですいません。そのくせオチもヤマもないという……
聖來と芽衣子との組み合わせは完全に私の趣味です。バニー復刻で二人並んだときは狂喜乱舞してました。絡みあまりなかったけど……みんな、芽衣子と聖來の魅力にもっと気付くべき!

後は「石川県」の「レーシングサーキット」で「彼女」をスカウトすればユニット完成なんだ……へへ……(さりげなくステマ)(でも次の投稿まで、あと何ヶ月かかるのか)



聖來が卯月ちゃんとの絡みになったのは、なんとなくですが、自分の中で卯月のキャラクターが掴めてなくて大変でした……
卯月も聖來も芽衣子も結構オリジナルに改変かかってるかも知れません。


さて、SSは投稿した。あとはトークバトルをただひたすら走るだけだというのに……副業orz

ぶっちゃけ上位報酬の絵柄見て芽衣子と聖來の出会いのシーン修正してます。
(ラジオから携帯ミュージックプレイヤーにってだけだけど)

聖來、ほんとにほんとに、上位報酬おめでとう!!



それから。
筆が遅いせいで、ずっっっっと言いそびれていたんだけれど。

芽衣子!
昨年11月のロワ上位報酬、本当におめでとぉォォォォ!!
(直後のイベントの上位報酬とか特訓前のシチュエーションとか前作とちょっと被ってて凄く嬉しかった)


しばらくしたらHTML化依頼出してきますー


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