工藤忍「上京物語 そのに」 (50)
アイドルマスターシンデレラガールズ工藤忍のSSです。
以前投稿した
工藤忍「上京物語」
工藤忍「上京物語」 - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1428411771/)
の続きになります。
よろしければ前作もご覧ください。
SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1429354949
忍「いただきまーす」
焼鮭、卵焼き、納豆、ひじきの煮つけ、味付けのりに漬物。
東京に出てきた初めての夜を穂乃香ちゃんの部屋に
泊めてもらったアタシは寮で朝ご飯をご馳走になっていた。
油揚げを噛みしめると染み込んだ出汁が中からじわっと溢れ出てくる。
穂乃香「ご飯食べ終わったら一緒に事務所へ行きましょうね」
忍「うん、ありがとう。穂乃香ちゃんは今日はどうするの?」
穂乃香「私は、レッスンに行ってその後新幹線で家に帰ります」
忍「あれ?寮には戻ってこないんだ?」
穂乃香「はい、今は週末だけ東京に来てレッスンを受けていますので」
うーん、そうか。穂乃香ちゃんとは会えなくなってしまうのか…
穂乃香「あ、でも次の週末にはまたこちらへ来ますから」
来週かあ、明日の事さえ分からないアタシには一週間は長すぎるよ。
湯気の立っているお椀に箸をつける。
実家よりも淡くまろやかな味噌の風味がワカメと一緒に喉を通り過ぎる。
穂乃香「ご馳走様です」
忍「あれ、穂乃香ちゃん。もう終りなの?」
穂乃香「ええ、あんまり食べないんですよ」
そう言えばご飯も少なめによそっていたっけ。
穂乃香ちゃんの皿に鮭が半分と卵焼きが手つかずで残っている。
穂乃香「あの、よろしかったらどうぞ」
忍「え、いいの?」
穂乃香「ええ、どうせいつも残してしまいますし。ご飯もお代わりしましょうか」
穂乃香ちゃんはアタシが差し出したお茶碗を受け取ると電子ジャーからご飯をよそってきてくれる。
ふと彼女の方を見ると服の上から分かるくらいにウエストが細い。
むむ、彼女のスタイルの秘訣はこんなところにもあったのか。
穂乃香「はい、どうぞ」
穂乃香ちゃんからお代わりを受け取る。
少しだけ躊躇ったが次の瞬間アタシの橋は穂乃香ちゃんの皿から鮭を摘まみあげていた。
まあ残したらもったいないしね。
忍「おはようございまーす」
穂乃香「おはようございます」
穂乃香ちゃんに案内されてアタシたちは事務所へと向かう。
中に入ったアタシたちを長い三つ編みの女性が出迎える。
??「おはようございます、そちらが工藤忍さんですね」
穂乃香「ええ、プロデューサーさんは?」
??「いま打ち合わせ中ですの、ソファーでお待ちいただけますか。あら…」
プルルルル…
事務所の電話が鳴り響く。
女性がアタシたちから離れ受話器を取り上げる。
??「はい、シンデレラプロダクションです」
穂乃香「忍さん、こちらへ」
奥の方へ歩き出した穂乃香ちゃんの袖をつかんで顔を引き寄せる。
忍「ねえねえ穂乃香ちゃん、あの人ってもしかして相原雪乃さんじゃないの?」
穂乃香「ええそうですよ、忍さんご存じなんですか?」
ご存じも何も普通にテレビ見ている人ならだいたいは知ってると思うよ、穂乃香ちゃん。
相原雪乃さんと言えば映画の主演も務めた事のある清純派で
CMやドラマでもちょくちょく顔を見かける人なんだけどなあ。
少なくともアタシの印象では朝から事務所の電話番をするようなランクではない、と思う。
雪乃「どうぞ、召し上がれ」
忍「ハイ、いただきます」
東京に出てきて初めて知っている有名人に出会い、その人にお茶を淹れてもらうアタシ。
緊張しながらカップに手を伸ばし口をつける。
忍「わあ、美味しい」
雪乃「朝ですからすっきりとレモングラスにしてみましたの、お味はどうですか?」
ハーブティーの爽やかな香りが口の中に拡がる。
お茶の事なんか全然分からないアタシでもこれは素晴らしいと思う。
P「お待たせしました」
雪乃「あらプロデューサーさん、ごきげんよう」
忍「おはようございます」
雪乃「それでは私は穂乃香ちゃんと一緒にレッスンに向かいますわね」
P「ああ、よろしくお願いします」
P「それでは昨日の話の続きですが」
資料を取り出して説明を始めようとするプロデューサーさん。
忍「あのすいません、その前に…」
P「はい、何でしょうか?」
忍「昨日はその…アタシの話をほとんどしてなくて…聞いてもらえますか?」
アタシは改めてプロデューサーさんに自分の身の上を打ち明けた。
小さい頃からずっとアイドルに憧れていたこと
その為に努力を重ねてきたこと
親にも賛成してもらえず家を飛び出してきてしまったこと。
忍「アタシね、実はアイドルになるために上京して来たんだ」
忍「だけどさ、実際に東京に来てみたらアタシが思っていたのとはずいぶん違っててね」
忍「プロデューサーさんが声をかけてくれた時はちょっとだけ自信を無くしていたんだ、ごめんね」
アタシの話をプロデューサーさんは一つ一つ肯きながら聞いてくれた。
そして…
P「お話は分かりました。それで改めて伺いますが…」
背筋を伸ばしてまっすぐにアタシの方を見つめて口を開く。
P「工藤忍さん。我がプロダクションでアイドルを目指してみませんか」
忍「はい!プロデューサーさん。アタシ絶対頑張るから…夢を叶えるために協力してください!!」
今度はためらいなく答えることが出来た。
P「それでは事務的な話になりますが…印鑑は持ってますか」
プロデューサーさんはアタシに見せようとしていた
説明用の資料を片づけて分厚いクリアファイルを持ってきた。
アタシはそこから次々と出される契約書だとか、
同意書だとかに必要事項を書き込んでいく。
P「ありがとうございます、それで一つ問題なのですが…」
P「工藤さんは未成年のため親権者の同意書が必要になります。」
P「この書類はこちらからご実家に郵送しておいてよろしいですか」
アタシがアイドルを目指すための大きな課題。
親の承諾を取り付けること。
そもそもそれが出来ないから東京に出てきたのだが
ここにきて再びその問題に直面してしまう。
忍「はい…それでお願いします」
アタシとしてもこう答える他に手はない。
まあ…なるようになるだろう。
P「あとは…宿泊場所なのですがしばらくの間ウイークリーマンションに泊ってもらおうと思います」
まあ穂乃香ちゃんも今夜から居ないし、そう何泊もお邪魔するわけにはいかないからね。
アタシは黙って頷く。
P「それから…これは事務所としてではなく、あくまで提案なのですが…」
プロデューサーさんはそこまで口にすると言い淀んでしまう。
??「プロデューサーさん、それは私から」
髪を三つ編みにした女性が書類を持って現れる。
??「忍ちゃん、アルバイトを始めませんか?」
忍「アルバイト、ですか?」
??「ええ、アイドルになっても最初はそんなにお仕事もありませんしレッスンも毎日あるわけじゃありません」
まあ、それはそうだよね。
??「時間を持て余すくらいならその間アルバイトをしていた方が有意義だと思いませんか」
うーん言っていることは分かる、けど。
??「何事もいい経験になると思いますよ、それに…」
そう言って目の前の女性は両手を胸の前で合わせると首を可愛らしく傾ける。
ちひろ「お金、大事ですよね♪」
そう言って笑う彼女にアタシは何も反論出来なかった。
忍「ねえねえプロデューサーさん、ここってもしかしてゆうべ来たお店?」
P「なんだ忍は今頃気づいたのか」
忍「だってこの店昨日と全然雰囲気が違うんだもん」
事務所を出るとプロデューサーさんは口調や態度が柔らかくなった。
どうやら事務所には鬼よりも怖い人が居るので気が抜けないらしい。
社長さんのことかな?会った時は失礼が無いようにしなきゃ。
事務所を出たアタシたちは不動産屋に行って鍵をもらい
ウイークリーマンションへと向かい荷物を置いて来た。
その後でバイト先を案内するからと言われ着いて来たのが
昨夜プロデューサーさんに連れて来られたレストランだった。
昨日はここでプロデューサーさんと夕食を食べてから寮に行って穂乃香ちゃんと出会い、
今日は寮から事務所に行って雪乃さんに会い、マンションに寄ってまたこのお店に来た。
あれから24時間経っていないのにずいぶんいろんなことがあったな。
パスタにサラダ、スープとパン、ドリンクバーを付けたセット。
忍「あ、辛い…」
P「大丈夫か?辛いの苦手だったか?」
忍「ううん美味しいよ、ちょっとびっくりしただけ」
パスタが赤いのはトマトだけじゃなかったのか。
昼過ぎとはいえ店内はまだ混み合っていたが
アタシたちがランチを食べ終わる頃には新たに店に入る人も少なくなってきた。
P「ああこっちこっち」
プロデューサーさんが手を挙げるとウエイトレスのお姉さんがアタシたちのテーブルにやってくる。
P「彼女がさっき話をした工藤忍さん、よろしく頼むよ」
長い髪をポニーテールにした彼女がアタシを見てにっこりと微笑む。
P「こちらは槙原志保さん、彼女もうちでアイドルをしている」
志保「初めまして槙原です、よろしくね忍ちゃん♪」
え、この人もアイドルなんだ。
そう思って改めて見ると志保さんもかなり魅力的な体型をしている。
雪乃さんも穂乃香ちゃんもスタイルよかったしなあ…
やっぱりこういうのがプロデューサーさんの好みなのかな?
P「それで制服なんだけどもう用意できているかな?」
志保「はいMサイズで大丈夫だと思いますけど、一度合わせてみましょうか」
え、もうアタシここで働くの決定なの?
面接とか履歴書は?
P「ちゃんと店長に話はしてあるから大丈夫」
ちょっとプロデューサーさん、アタシそこまで聞いてないよ!
志保「それじゃあ忍ちゃん、こっちに来てもらえる?」
流されるままアタシは志保さんに更衣室に連れていかれる羽目になってしまった。
P「おお似合ってるじゃないか」
グリーンのブラウスとストレートスカート。
それに合わせたグリーンのギンガムチェックのエプロンには赤いラインが入っている。
胸元には可愛らしく赤いリボンを結んでいる。
こっちの方が似合うから、と黒のハイソックスまで貸してもらった。
ご丁寧に名札まで用意されていて「工藤」の上に研修中のシールが貼ってある。
P「志保、すまないけどいろいろ面倒を見てやってくれ」
志保「はい、忍ちゃんアルバイトの経験はある?」
忍「えーと、ハンバーガーショップとコンビニなら」
志保「それならレジも大丈夫ね♪」
P「おう頑張れよ」
そう言うとアタシを残してプロデューサーさんは会計を済ませ店を出て行ってしまった。
志保「こんな感じなんだけど大体分かったかしら」
お客さんが少ない午後の時間帯、
アタシは志保さんから一通りの説明を受けた。
一応店長さんにも挨拶はして簡単に書類を
書いたりしたけど特に質問はされなかった。
志保「もうすぐ忙しくなるから準備しておいてね♪」
忍「はい。あの…ちょっと電話をしてきたいんですけどいいですか?」
志保「うん、それなら裏口を出たところでするといいわよ」
ビルとビルの隙間でアタシは携帯電話を握りしめる。
アタシがどうしても今日やっておかなくちゃならないこと…
忍『あ、お母さん?アタシ。あのね今東京にいるの』
忍『本当だよ、あのねアタシアイドルになるために東京にいるんだ』
忍『スカウトされてね、芸能事務所とちゃんと契約したから』
忍『親の承諾書、必要だから。そっちに書類が行くからサインしてね』
忍『それじゃあアタシこれからバイトあるから!』
親の返事をほとんど聞かず一方的に言いたいことだけ伝えて電話を切る。
携帯の電源を切ると鞄にしまって急いでホールへと戻る。
忍「すいません志保さん、今戻りました!」
店長「お疲れ様、今日は働いてみてどうだった?」
忍「あ、お疲れ様です」
時計の針が九時を過ぎるころ、
ようやく空席が目立ち始めたホールから引き揚げて
アタシは賄いのピザを食べていた。
慣れない仕事でくたくたに疲れていたアタシは
店長が来ても立ち上がる気力がなかった。
店長「まあ最初のうちはそんなものだよ」
アタシの表情で察してくれたのか座ってなさいと手で合図してくれる。
店長「はい今日の分」
店長が白い封筒を差し出す。
忍「これ…アタシにですか?」
怪訝な顔をして受け取った封筒の中には千円札が数枚入っていた。
店長「うちは本当は月末締めの翌10日支給なんだけどね」
店長「アンタ東京に出てきたばかりで困ってんだろ」
店長「まあ特別にバイト代の一部を現金で渡すことにしたんだよ」
忍「良いんですか?」
いきなり押しかけてバイトさせてもらった上に
こんな特別待遇してもらえるなんて申し訳ないよね…
店長「まあいいさ、頑張っている若い子は応援したくなるし…」
彼はそう言いながらアタシの向かい側に
腰掛けポケットから出したタバコに火を着ける。
店長「アンタのところの事務員?アシスタントだっけ?あの人に頼まれたら断るわけにはいかないからねぇ」
志保っち出してくれるとは思わなんだ
前作に引き続き期待させてもらおう
>>14
ありがとうございます。
槙原さん出てくるSS少なくて自分で書いてしまいました。
志保「忍ちゃん帰るんでしょ、送っていくわよ♪」
店長にお礼を言っていると制服から着替えた志保さんが現れる。
店長「それじゃあ明日は10時から来てもらえるかい」
忍「ハイ、今日はありがとうございました!」
荷物を持って志保さんと店を出て街を歩く。
志保「どう?大変だった?」
忍「はい…いきなりだったんで、いろいろ分からないことだらけです」
志保「フフ頑張ってね、忍ちゃんが来てくれると私も助かるな♪」
なんでも志保さんはレストランと別に喫茶店でもバイトをしているらしい。
というか元々はそちらが本業だったようだ。
志保「うちのお店は学生の子が多いからね、ランチタイム入れるバイトは少ないの」
志保「忍ちゃんがシフトに入ってくれれば私も向こうの喫茶店がメインにできるしね♪」
えーと…アイドルとしての活動はしなくていいんですか?
志保「こっちの角を曲がったところね」
一度通ったはずのアタシがさっぱり分からない道を
志保さんは地図を見ただけで案内してくれる。
志保「この辺は私の庭みたいなものだからね♪」
忍「ありがとうございました。お休みなさい」
志保さんに送ってもらいアタシは会社が用意してくれた
ウイークリーマンションの中へ入る。
忍「今日もいろいろあったなあ…」
いろいろと渡された書類を整理しようと鞄の中に手を入れる。
忍「あ…」
バイトが始まる前に放り込んだ携帯がそこにはあった。
電源をONにしてみると着信が十数件。
アタシが実家に電話した直後から立て続けに着信が入っている。
実家の電話だけでなくお母さんやお父さんの携帯電話からも次々と…
一時間ほど着信履歴が続いた後一通のメールが入っていた。
アタシが事情を打ち明けていた従姉妹のお姉さんから…
『おばさんたちには私から説明しておきました。事務所と契約できたんだって?すごいじゃない、頑張ってね』
そのメールを最後に電話は一本もかかってきていない。
何やってるんだろうなあアタシ…
ワガママしてみんなに迷惑かけて心配させて…
ふと窓を見ると隣のビルの薄汚れた壁が目に入る。
遠くから街の喧騒がかすかに聞こえてくる。
一人でいるの、イヤだな…
今から走れば志保さんに追いつけるかな?
でもまた道に迷っちゃうかも…
ベッドに腰を掛けながら所在無く携帯をいじっている。
そのうちアドレス帳に一人の名前を見つける。
しばらくためらった後通話のボタンを押す。
トゥルルル…
静かな部屋でコール音だけが鳴り響く。
穂乃香『はい綾瀬です』
忍『あ、穂乃香ちゃん?ごめんね、今電話いいかな』
受話器の向こうで穂乃香ちゃんがちょっと驚いたような声を出す。
忍『あのね、その…今日いろいろバタバタして…ちゃんと昨夜のお礼言えてなかったから…その…』
ダメだな…アタシ…寂しいからってまた人に迷惑かけてる…
アタシにはとっても長く感じた数秒の沈黙
息を吸う音が聞こえてからの穂乃香ちゃんの声
穂乃香『忍さん…今、私は駅で家族に迎えに来てもらうところなんですが…』
穂乃香『どうやら車が遅れているみたいで時間が出来てしまったんです』
穂乃香『よろしければ…少しお話していただけませんか?』
本日投下ここまでにします。
また来週続き投下します。
それでは続き投下します
忍「はぁ…もう一週間かぁ…」
コトッ
アタシの目の前にカフェオレのカップが置かれる。
志保「どうしたの忍ちゃん?元気なさそうだけど」
忍「いえ…平気です」
東京に出てきてからのアタシの生活はまずまず順調と言えた。
朝起きてから近所の公園まで行ってランニング。
シャワーを浴びてからバイトに行きそのまま夜まで仕事。
帰る途中のコンビニや家のテレビで芸能情報の収集。
そんな毎日の繰り返しで気がつくと一週間が過ぎていた。
店長の計らいでバイト代の一部は現金でもらえたし
何より賄いの食事が出るのがありがたい。
おかげで上京するために貯めたお金はまで手を付けずにいる。
しかし肝心のアイドルになる、という点では何も進展していない。
結局のところ未成年であるアタシがどんなに頑張ってみても
社会的には親の許可が出ないと何もできないわけで…
最初に一方的な電話をしてから両親とは連絡を取ってない。
従姉妹のお姉さんとは定期的にメールをしているが、安否確認以上のことはない。
志保「はいお待たせ」
アタシの目の前にキツネ色に焼き上がったフレンチトーストが置かれる。
フレンチトーストかぁ…
フレンチ…フランス…
イギリスじゃあないんだね。
フォークでつまみながら下らないことをぼんやり考える。
やっぱり一度青森に戻らないとダメなのかな…
そんな事を考えているアタシの脳裏には過去に行われた数十回の親との話し合いが甦る。
まあ、今では実際にプロダクションと契約結べたわけだし…
今までみたいに頭ごなしに反対はされない…
と考えるのは甘すぎるかな?
カラン、喫茶店の扉が開いた。
P「おお、忍もいたのかちょうど良い」
志保「プロデューサーさん目が真っ赤ですよ、また徹夜したんですか?」
P「ちょっと最近出張が多くてな、2時間は寝たから大丈夫。いつものやつを」
志保「寝たってどうせまた事務所で仮眠でしょ、無理しないでくださいねっ!」
ちょっと荒い口調になった志保さんは厨房に戻る。
プロデューサーさんはコートを脱ぐとアタシの隣の席に腰掛ける。
P「どうだ忍、東京の生活は?」
忍「うん、まだ慣れないこともあるけど志保さんが親切にしてくれるしね」
P「そうかそうか、それは安心した」
プロデューサーさんはアタシを志保さんに預けた日から顔を見せていない。
一週間ぶりに見る彼は顔をしかめてエスプレッソのカップに口を付けている。
P「それでな忍、住まいなんだが…アパートを見つけてきた」
プロデューサーさんはカバンから一枚の紙を取り出す。
不動産屋から送られてきたらしいFAXには間取りなどが書かれている。
忍「え、家賃安すぎない?」
アタシだって東京の住宅事情はだいたい分かっているつもりだ。
この紙に書かれている家賃ならばアタシが知っている相場の半分くらいだ。
志保「ちょっとプロデューサーさん、怪しい物件じゃないでしょうね!」
志保「忍ちゃんを危険な目に合わせたら許しませんよ!」
トーストを焼いていた志保さんがテーブル越しに覗きこむ。
P「大丈夫だって、ちょっと古いけど安全は俺が保証するよ」
P「まあ少し遠いけどな、ここから電車で30分くらいだ」
P「忍もいつまでもウイークリーマンション暮らしさせるわけにはいかないだろう」
志保「それなら寮に入れてあげればいいじゃないですか」
ああ志保さん、気持ちは嬉しいんだけど…
事務所と正式な契約をしていないアタシは女子寮に入れないんだよ。
P「それなんだけどな。寮は食事が込みになっているからこの値段だろ」
アタシの契約問題には触れずにプロデューサーさんが紙にひと月の寮費を書き込む。
この値段でアパート探そうとしてもなかなか無いだろう。
プロデューサーさんが持ってきた案件は寮費よりもさらに安かった。
P「忍は今のバイト先でメシが出るからな、実質的にはこっちの方が安上がりだ
P「それに忍のバイト先は住宅費は補助出ないけど交通費は全額支給だろ」
ちょっとプロデューサーさん、
アタシがバイトする前提で話を組み立てないでよぉ…
志保「うーん、そう言われればだけど…忍ちゃんどう思う?」
心配そうな表情で志保さんが訊いてくる。
忍「どうするって言われても…」
アタシはプロデューサーさんと志保さんの顔を交互に見比べていた。
P「蟹チャーハン二つ」
忍「アタシ大盛りで!」
P「おいおい、この店けっこう量が多いぞ」
忍「えー、だって【学生は大盛り無料】って書いてあるよ」
忍「同じ値段なら大盛りの方がオトクじゃない?」
結局アタシはプロデューサーさんの紹介してくれたアパートに引っ越すことにした。
引っ越しと言ってもそんなに荷物は多くない。
東京に出てくる時に持ってきたトランクと鞄、
それに女子寮で余っていた予備の布団を一組
プロデューサーさんの車に積んでこの町までやってきた。
P「まずは腹ごしらえしないとな」
プロデューサーさんが連れられて入った定食屋は小さいけどいい香りが充満していた。
店主「はいよ、蟹チャーハンお待ち!!」
忍「いただきまーす!」
スプーンで米をすくい上げ口に運ぶ。
油の染み込んだパラパラのお米が口の中でホワッとほぐれ
米の間から蟹の風味が体中に拡がっていく。
香ばしいネギとシャキシャキのレタスがときどき現れて
濃厚な味わいにアクセントをくわえる。
忍「んー、美味しい!!」
パンパンパン…
P「こら俺の腕を叩くな」
忍「だって美味しいんだもん♪」
プロデューサーさんになんと言われようと気にならず口いっぱいにチャーハンを詰め込んでいく。
P「本当に忍はよく食べるな」
忍「あ…」
あることに思い至りアタシはスプーンを止める。
忍「ねぇプロデューサーさん、アイドルになるにはやっぱりダイエットとかした方が良いのかな?」
P「ん?忍は十分痩せているぞ」
忍「もう、そういうのはいいから。ね、どうなのかな」
P「んー、まあ衣装が入らなかったりすると困るからある程度コントロール出来た方が好ましいな」
P「とはいえ育ち盛りの女の子なんだし無理して節食する必要はないぞ」
忍「そっかあ、ちょっと安心した」
忍「そう言えば…穂乃香ちゃんってさ、スタイル良いよね」
P「あーあいつは長くバレエやっているからな、自然と体重を落とす癖が付いているみたいだ」
やっぱり穂乃香ちゃんは普段から小食なのか。
P「心配なんだよな穂乃香のこと」
ん、どうして?
アタシはスプーンをくわえたままプロデューサーさんの方を見上げる。
P「芸能界だと良くあるんだよ、ストレスで過食症や拒食症になっちゃう例が」
忍「穂乃香ちゃんもそうなるんじゃないかってこと?」
P「あいつは真面目だからな、頑張りすぎるんじゃないかと思って」
ふーん、よく見てるんだねプロデューサーさん。
P「なあ忍…出来るだけ穂乃香を誘うようにしてやってくれないか」
P「甘いもの食べに行ったりとかさ、どこかに遊びに出かけたりとか」
忍「わあ凄いよプロデューサーさん、洗濯機が八千円だって!」
P「ああそれは二層式だからな、せめて全自動にしておこう」
ご飯を食べたアタシたちはリサイクルショップに来ていた。
冷蔵庫と洗濯機だけは買っておけ、というプロデューサーさんが
予算の限られているアタシをここに連れてきてくれた。
P「この時期は出ていく学生が多いから割合品揃えがいいんだよ」
プロデューサーさんはそんな事を言っていた。
プロデューサーさんに手伝ってもらい出来るだけ
品質がよさそうで値段の安いものを購入した。
P「後はこれを運べば引っ越しは完了だな」
配送用の軽トラはもう少しで戻ってくるらしい
忍「ねえプロデューサーさん、もう少し店内見ていてもいいかな?」
P「ああ他にも欲しいものあったら買っとくといい」
そうは言ってもアタシの財布の中はほとんど空になってしまった。
まあ貯金は銀行にあるし明日バイトに行けば現金も手に入る。
いつか家具なんか買い揃えにまた来るかもしれない、
今のうちにどんなものがあるか下見しておこう。
♪使いふるーしたー、ちょっと寂しいファニチャー
♪でもよく見てごーらん、ちゃんとまだまだ活ーきてるー
明るい音楽が店内に流れている。
お店のテーマ曲かな?
家電や家具だけじゃなくて雑貨や小物もあるんだね。
目ざまし時計や花瓶なんかも置いてある。
忍「あ…」
花瓶に映ったアタシの顔、
ちょっと前髪乱れてる。
周りを見回すと姿見の鏡が置いてある。
アタシはちょっと覗きこんで前髪を整える。
うーん、上手くまとまらない。
ポーチの中に櫛は入っているけど取り出そうかな。
P「おーい忍、そろそろ準備が出来たみたいだぞ」
アタシが前髪に苦戦しているとプロデューサーさんがやってきた。
P「どうした鏡を真剣な表情で睨んだりして…あー」
プロデューサーさんはどうやら勘違いをしたみたいだ。
P「その鏡が気に入ったんなら俺がプレゼントしてやろうか」
忍「え?あ、いやこれはそうじゃなくってね」
P「余計な遠慮はするな、まあ引っ越し祝いだと思って受け取っておけ」
忍「いいよ、手鏡なら持ってるし。そんなに気を使ってもらったら悪いよ」
P「アイドルになるんだ、自分で全身のファッションを見るのも必要だろう」
そう言ってプロデューサーさんはレジの方へ向かってしまった。
忍「もう…」
冷蔵庫と洗濯機、そして緑色の枠が付いた鏡。
軽トラに積み込んだ時にプロデューサーさんの電話が鳴った。
P「はいPです、はい。はい…本当ですか!?、それじゃあすぐに…」
電話に出ながらアタシの方をチラチラ見ている。
一度店の中へ消えたプロデューサーさんがアタシの方へやって来た。
P「悪い、急に仕事が入っちまった」
P「荷物は店の人に運んでくれるようにお願いしておいたから」
忍「うん、分かったよプロデューサーさん。アタシなら大丈夫だから」
車に積んでいた荷物も軽トラに乗せ換えるとプロデューサーさんは急いで走り去ってしまう。
まあ、忙しいし…仕方ないよね。
忍「ふぅ…」
リサイクルショップの人に手伝ってもらい荷物を部屋に運び込む。
塵一つ落ちていない床にゴロンと寝そべる。
東京に出てきて初めて手に入れたアタシだけの空間。
窓の外は青空が広がり
学校帰りの子供らしいはずんだ声が聞こえてくる。
忍「まずはここから…かな」
住むところも決まって仕事もして…
東京で生活してくことはなんとか出来そうだ。
ただ…
もし、アイドルになれなかったら
もし、アイドルになれずに5年も10年もここで過ぎて
それでもアイドルになりたい気持ちが忘れられなかったら…
忍「なーんて。そんなの今から考えてもしょうがないよね」
体を起して大きく伸びをする。
明日からのことは明日考えよう。
鏡を覗きこんで身だしなみを直したアタシは
財布をつかんで表に出る。
まずはコンビニ、いやスーパーを探して今夜のご飯を探そう。
この町のこともいろいろ知らなきゃいけないしね。
カラン
志保「あ、忍ちゃんいらっしゃい。プロデューサーさんならまだよ」
引っ越しをしてから数日後、アタシはバイトを昼過ぎで切り上げて志保さんの喫茶店に入った。
忍「それじゃあ…チョコケーキセットでください」
ふんわりムースが口の中で柔らかく溶けて甘みがいっぱいに広がっていく。
うーん、やっぱり仕事をした後のスイーツは最高だね♪
志保「忍ちゃん引っ越ししたんでしょう?一人暮らしはどう?」
忍「アー…まだいろいろと揃ってなくて大変です」
志保「ねえ忍ちゃん、よければこれ持ってく?」
持ち手の付いた白いホーロー鍋を志保さんが取り出す。
志保「前までここで使っていたんだけどお店だと小さくてね」
志保「大きいのを買ったからもう使わないんだ」
忍「いいんですか?ありがとうございます!」
カラン♪
P「お、もう来ていたのか忍」
忍「プロデューサーさん、こんにちは♪」
雪乃「忍さん、志保さんごきげんよう」
志保「あ、雪乃さんも一緒なんですね。アッサムでいいですか?」
雪乃「はい、お願いしますわ」
P「待たせたかな?」
忍「ううん、ケーキ食べてたから大丈夫だよ」
雪乃「忍さん、一人暮らしを始められたんですって?」
雪乃「つまらないものですけど、お祝いに差し上げますわ」
雪乃さんはそう言うと白い箱をテーブルの上に置く。
忍「これなんですか?」
雪乃「ティーカップのセットですの、私のお気に入りのお店なんですよ」
忍「もらっちゃっていいんですか?」
雪乃「ええ、是非。忍さんにも美味しい紅茶を飲んでいただきたいんですの」
忍「ありがとうございます♪」
忍「えへへ…志保さんにも雪乃さんにもプレゼントもらっちゃって悪いかな?」
P「みんな後輩の忍が可愛いんだよ」
P「荷物は心配するな、忍の家まで車で送って行ってやるから」
忍「え、いいの?」
P「まあ雪乃を仕事場へ送り届けるついでだけどな」
忍「ありがとう、プロデューサーさん!」
P「あと、これは俺からの引っ越し祝い」
忍「えーいいよ。プロデューサーさんには鏡もらったし」
P「まあそう言うな、開けてみろって」
プロデューサーさんが差し出した白い封筒
その中には…
【労働契約通知書】と書かれた一枚の紙
そこにはプロダクションの社長と…
アタシのお父さんの名前と印が押してある。
忍「プロデューサーさん…これ…」
P「ご両親から届いたんだよ、これで忍も正式にウチのアイドルだな」
雪乃「良かったですわね、忍さん」
紙を見つめたまま言葉にならないアタシの肩を雪乃さんがそっと支えてくれた。
ブロロロロ…
アタシたちを乗せてプロデューサーさんの車が走り出す。
忍「ねえプロデューサーさん、アタシも雪乃さんの現場に付いていってもいい?」
P「いいけど帰りが遅くなるぞ」
忍「大丈夫だよ、だってプロデューサーさんが送っていってくれるんでしょ」
雪乃「ふふ、忍さんが居てくださると私も嬉しいですわ」
車が雪乃さんがレギュラー番組を持っているラジオ局へと向かう。
雪乃「それでは私は打ち合わせをしてきますので」
そう言って雪乃さんは一人会議室へ入っていく。
P「忍はラジオ局初めてだったな、一通り見せてやるよ」
プロデューサーさんはアタシを連れて局内を案内してくれる。
放送局の中って複雑な造りになっているんだね。
「よおPさんじゃない?お久しぶりー」
とあるフロアの角を曲がったところで
ピンクのセーターを肩に巻いたおじさんが声をかけてくる。
ラジオ局ディレクター「どう?最近こっちの方は?調子いい?」
ディレクターらしい人が両手で拳を作って腰の前で軽く振る。
ゴルフの事かな?
P「近頃は忙しくて全然ですよ、それより今日は…」
P「ぜひ紹介したい有望な新人がいましてね」
プロデューサーさんがアタシの肩をポンと叩く
うん、分かったよ!
アタシはディレクターさんの方を見上げながら大きな声で自己紹介する。
忍「こんにちは工藤忍です! 今日からアイドルはじめました!!」
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本編以上になります。
蘭子ちゃんや飛鳥くんが封じておきたい
記憶の扉を開けてしまう系のキャラなら
忍ちゃんは先が見えなくてもひたすら頑張っていた心を
眠りから呼び覚ますキャラだと思うのです。
以下、おまけコーナーになります。
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忍「第2回~」
あずき「フリルドスクエア」
穂乃香「大富豪たいかーい」
柚「結果ハッピョー」
パチパチパチパチ…
穂乃香「今回も全10ラウンドの白熱した戦いが繰り広げられ」
あずき「各ラウンドのポイント合計による順位が決まりましたー」
志保「えーと、みんな何をしているのかな…?」
柚「今回は槙原志保サンの喫茶店【plage】からお送りしまーす」
志保「私が店のオーナーじゃないけどね」
あずき「今回の最下位はー」
穂乃香「工藤忍ちゃんでーす」
忍「うう…あそこで革命さえ起らなければ…」ウウ…
柚「ボークンは民衆にダトウされる運命にあるんだよ♪」ヨクワカンナイケド
あずき「忍ちゃんには罰ゲームとして…」
穂乃香「アイドルになりたての頃の体験談をしゃべってもらいまーす」
忍「こ、今回はそんなに恥ずかしいことはないよ」タブンネ
あずき(3位)「どんなお話になるのかな」ワクワク
穂乃香(2位)「楽しみですね」ドキドキ
柚「そして、見事トップになったアタシには」
穂乃香「私たちがスイーツをご馳走しちゃいます♪」オゴリデスヨ
パチパチパチパチ…
志保「と言うわけで柚ちゃん、御注文は何にしますか?」
あずき「なんでも好きなもの頼んでいいからね♪」
柚「どれにしよー、迷っちゃうね」キョロキョロ
穂乃香「私はチーズケーキを」
忍「アタシはバナナクレープ♪」
あずき「それじゃああずきは抹茶ミルクケーキで♪」
柚「うーん、ねえ志保サン。あそこに書いてある『SHIHOスペシャル』ってなに?」
志保「よくぞ訊いてくれました!!!」サスガユズチャン
志保「これこそは私が作り上げた究極のパフェ!!」
志保「チョコレート、ジェラート、生クリームに季節のフルーツを満載にトッピング」
志保「女の子の夢がいっぱい詰まった魂の一品になっております♪」
柚「ナンカすごそうだね、じゃあそれにしようかな」
志保「お待たせしました、SHIHOスペシャルです♪」
忍「おおー山盛りになってるね」コレハスゴイ
穂乃香「器から溢れて、というか飛び出している量の方が多いですね」
あずき「メロン、オレンジ、キウイ、イチゴにバナナ…」
柚「すごいねー、それじゃいただきまーす」
忍「アタシたちのスイーツも来たしみんなで食べようか」
イタダキマース
ソレデシノブチャンノアパートハ…
ソレナンダケドネ…
柚「どれどれ、まずは一口。ぺろっ、んっ、んまー♪」
柚「アイスで冷やされたチョコがパリパリっとしてー」
柚「イチゴの酸味と生クリームの濃厚な甘みがお互いに引き立てあってー」
柚「チョコスティックのサクサクした食感も楽しめてー」
柚「ミントのジェラートが口の中をサッパリさせるっ♪」
柚「食べる場所によって味が変わるから飽きがこないよっ」
柚(ふう、そろそろオナカ膨れて来たけどまだ半分以上残ってるね)
柚(あれ?ひょっとしてコレ、ものすごいカロリーじゃないカナ?)
柚(エーと、これを全部食べたとすると…)
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トレーナー「こら!喜多見!また体重が増えているぞ!」
トレーナー「自己管理できないってことはスペシャルトレーニングが必要みたいだな」
トレーナー「体型が戻るまで地獄の特訓だ!!」
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柚(とか言われて延々土手を走らされるハメに?)
柚(そ、それはまずいカモ)
柚(と思いながら手が勝手に口の中へパフェを運んでいる!?)
柚(身体が、カラダが操られるようにクリームを受け入れている!?)
柚(と、止められナイ!)
柚(この甘い誘惑、まさに小悪魔メイドっ!)
柚(カワイイ顔して油断すると、コッチの心を虜にして…)
柚(し、静まれ…アタシの腕…これ以上禁断の果実を近づけては…)
柚(やっぱり食べちゃうー、美味しいー)
柚(志保サン、やっぱり志保サンはパフェの天才だよ…)
柚(こうなったらもう7時間走る覚悟で完食を…)
パクッ
柚「えっ!?あずきチャン!?アタシのスプーン!?」
あずき「へへ♪横取り大作戦だよ♪」オイシー
忍「柚ちゃんがあんまり美味しそうに食べるから我慢できなくなっちゃった」ヒョイパク
穂乃香「私も横から失礼しますね」サクッ
柚(た、助かったのカナ?)
穂乃香「美味しかったですね」
志保「みんなに喜んでもらえてよかったわ♪」
忍「でも食べすぎちゃったね?」
穂乃香「それじゃあ明日はたくさんレッスンしましょうね」ニコッ
ソウダネー、アシタハダンスレッスンヲイッパイシヨウカー
柚「あ、ありがとうあずきチャン。おかげで救われたよ」
あずき「?よく分からないけど…どういたしまして♪」
あずき「ねえねえ柚ちゃん」
柚「ん?なあに?」
あずき「あずきね、さっきの忍ちゃんの話で気になっていることがあるんだけど」
柚「気になること?」
あずき「忍ちゃん、雪乃さんからティーセットをもらったって言ってたでしょ」
柚「ウン?」
あずき「前にね、雪乃さんがテレビに出た時に自宅で使ってるティーセットを紹介してたんだけど…」ゴニョゴニョ
柚「え!?そのお値段は…」
あずき「それで『以前もっと高価なのがあったんですけど人にお譲りしましたの』って」
オチャノオカワリハイカガ?
アリガトウゴザイマス
アタシミルクティーデ
柚「えーと、それは…ひょっとすると…」
あずき「ねえ柚ちゃん、忍ちゃんにこの事教えた方がいいかな?」
柚「うーん…」
柚「知らない方が忍チャンは幸せだと思うよ…」
以上で終りです。
読んで下さった方ありがとうございました。
連休中に続きかければいいなと思っています。
それではHTML化依頼出してきます。
乙、フリスク以外の面々にもきちんと役割持たせて描いてるのが嬉しい
>>49
感想ありがとうございます。
本編でのフリスク全員集合はまだ先になりそうです。
槙原さんのSR二枚目が欲しい…
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