男「高校生の息子1人置いて行くことないのにな」
幼馴染「ついて行けばいいじゃん?」
男「親父とおふくろは放任主義なんだよなぁ。あー、これから大変だぜ。洗濯も掃除も自分でやらなきゃいけないしな」
幼馴染「ご飯はどうするの?」
男「それも自分でやらなきゃいけないに決まってるだろ」
幼馴染「そっかぁ。色々とやること増えるね」
男「あぁ。困ったもんだよ」
幼馴染「ついて行けばいいのに」
男「どうすっかなぁ」
幼馴染「ねえ、なんでついていかないの? 大変になるのわかってるんでしょ? 一緒に行きなよ」
男「……」
幼馴染「無理して1人残ることないよ。ついて行くべきだって」
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男「炊事に洗濯に掃除か。俺にできるかなぁ」
幼馴染「質問に答えて」
男「あぁん?」
幼馴染「大変なのはわかるから言ってあげてるんだよ」
男「だから親父もおふくろも放任主義なんだよ」
幼馴染「ついて行きたいって言えばいいじゃない。それで突っぱねるような人じゃないでしょ」
男「いや、無理だな」
幼馴染「どうして?」
男「仕事で行くんだぜ? 子どもがいたら邪魔になるからな」
幼馴染「邪魔になるって、仕事場に住むわけじゃないでしょ」
男「そうだけど」
幼馴染「だったら、言ってみなよ。きっと一緒に来いって言ってくれるよ。よかったね」
男「……」
幼馴染「漫画でもよもーっと」
男「なぁ」
幼馴染「なに?」
男「お前は、俺がいなくなっても寂しくないのか。幼稚園からずっと一緒だった奴がある日突然引っ越すんだぜ?」
幼馴染「そりゃ寂しいよ」
男「だよな。そうだよなぁ。あー、これから大変だぜぇ。マジヤベぇよなぁ。毎日メシの用意しなきゃいけないなんてさぁ」
幼馴染「いや、アンタが苦労するんなら一緒に行くべきだって言ってるんだけど」
男「いいのかよ。俺がいなくなったら、その漫画もタダで読めなくなるんだぜ?」
幼馴染「おぉ……そっか……」
男「よくないだろ?」
幼馴染「うーん……この漫画まだまだ続きそうだしなぁ……」
男「……」
幼馴染「漫画が読めなくなるのは困る……うーん……引き止めたほうがいいのかなぁ……」
男「……そんなに真剣に悩むなよ。悲しくなるだろ」
幼馴染「いや!! やっぱりついて行くべきだって!! これから漫画は自分で買って読むよ!!」
男「え……」
幼馴染「今までありがとう。思えば色んな漫画を読ませてもらったよね。泊まって100巻以上を1日で読みきったときの達成感といったら……うんうん……」
男「な、なぁ」
幼馴染「なに?」
男「お前、中学ぐらいから料理に凝ってたよな?」
幼馴染「うんっ。そんなのアンタが一番よく知ってるじゃん」
男「ああ、何の味もしないパスタを大量に食わされて腹を壊したこともあるからなぁ」
幼馴染「やめてよ。もうあんな失敗はしないもん」
男「料理の腕、上がってるのか?」
幼馴染「勿論! なんなら今度作ってあげてもいいけど?」
男「マジで!? ああ、いや、お前の言葉を信じていいものか迷うなぁ」
幼馴染「ひどいなぁ。お別れする前に一回ぐらいは作ってあげるから、食べてみてよ。絶対に美味しいから」
男「お別れ前? なにいってんだ?」
幼馴染「え? あれ、両親について行かないの?」
男「話が脱線してるな。今、言ってるのは俺が1人になったあとについてだぞ?」
幼馴染「1人になったあと、私がアンタに料理を作るってこと?」
男「そ、そうそう!! それだよ!!」
幼馴染「なんでアンタは残る前提になってるのよ? おかしくない?」
男「お、おかしくねえよ。俺は最初からそういうつもりで話してるんだぜ?」
幼馴染「えー? やめなよ。さっきから言ってるけど、1人で全部しなきゃいけなくなって、辛いでしょ。朝だって起きれるの?」
男「そこまでガキじゃねえよ。1人で起きれるっつーの」
幼馴染「私がアンタの所為で遅刻しそうになったのって1回や2回じゃないんだけど」
男「小学生のときの話だろうが。最近のお前は俺のこと待ってねえじゃん」
幼馴染「アンタのお母さんに起きるまで待つことないよって言われたらからね」
男「そうだったのか……」
幼馴染「待ってて欲しかったの?」
男「別に」
幼馴染「なら、いいじゃん」
男「まぁ……そうなるけどさぁ……」
幼馴染「とりあえずさ、ちゃんと話したほうがいいって。高校生で1人暮らしなんて無理してやるもんじゃないと思うし」
男「おし。だったら、もし断られた場合の話しようぜ」
幼馴染「万に一つもないよ。アンタのお母さんもお父さんもめちゃくちゃ優しいもん」
男「だから、もしもだって。もしも俺が1人残されることになったら、どうする?」
幼馴染「どうするって……そうだなぁ……」
男「洗濯や掃除ぐらいは俺でもできるけど、料理はできねえからなぁ。カップラーメンとかコンビニ弁当が中心になるんだろうな」
幼馴染「体に悪いよ」
男「仕方ないだろ。お前みたいに料理が得意なら毎日朝昼晩作るけどさ」
幼馴染「そうだねぇ」
男「あぁー、マジやべーよ。やべー。1人残されたらコンビニ弁当ばっかりになるな。最初は面白がって料理も作るだろうけど、俺、面倒くさがりだしなぁ」
幼馴染「それは可哀相だね。私で良ければ作ってあげてもいいけど?」
男「っしゃぁ!!! あ、いや、お前に任せるのもかっこわるいからなぁ」
幼馴染「そう? 偉いね。なら、1人でがんばってっ。困ったら言ってね。教えてあげるっ」
男「……そういうことじゃないだろ?」
幼馴染「なにが?」
男「いや、教えてくれるのはありがたいけどさ。もっとこう、なにかあるだろ?」
幼馴染「何があるの?」
男「週に一度は料理ができないダメな奴に手料理を振舞うとか、普通はあるだろ?」
幼馴染「なに? 作って欲しいの?」
男「そうじゃねえよ。そうは言ってないだろ。でも、そういうのもあるんじゃないかなって俺は思うわけだ」
幼馴染「そうなんだ。でも、週に1回手料理作ってくる相手とか結構ウザくない?」
男「……」
幼馴染「なんか恩着せがましいっていうかさ」
男「ほら、ちょっと作りすぎたからおすそ分け的なこともあるだろ?」
幼馴染「ないよ」
男「なんで?」
幼馴染「ちゃんと分量考えてるもん。おすそ分けしなきゃいけないほど多く作ることはまずないよ。料理始めたばかりのときはあったけどね。大量のパスタがそうだし」
男「お、おう……そうだな……」
幼馴染「スープ系でもよく分量間違えてたっけ。あの頃が懐かしいね」
男「一つ、聞かせてくれないか?」
幼馴染「ん?」
男「俺が1人残されて、コンビニ弁当とかに飽きたとするだろ?」
幼馴染「うん」
男「で、お前に料理作ってくれって頼んだら、お前はどうする?」
幼馴染「作ってあげるよ」
男「そうか。よかった」
幼馴染「それがどうしたの?」
男「じゃ、本当に困ったときは頼むこともあるかもしれないけど、そのときはよろしくな」
幼馴染「オッケー。私にまかせてっ」
男「これで1人残されてもメシの心配はなくなったな。よかったよかった」
幼馴染「でも、一緒についていくんでしょ? ご飯で困るとかありえないって」
男「残されたらの話だって言ってんだろ」
幼馴染「それはないって言ってるのっ」
男「じゃあ、もしあったらお前はあれか? 通い妻的な存在なってくれんのか? ええ?」
幼馴染「どうしてそうなるの?」
男「俺は残されてしまうほうに賭けるね」
幼馴染「もしかして……」
男「な、なんだよ?」
幼馴染「喧嘩とかして、そういう話できないの?」
男「……」
幼馴染「どうなの?」
男「お、おう!! そうだ!! ちょっとこの件で揉めててさぁ!! いやぁー、もう話し合いとかできる状況じゃねえんだよなぁー!! これはもう俺が残るの確定みたいなもんだろうなー!!」
幼馴染「そうなんだ……」
男「だから、その……まぁ、色々と世話になることも……」
幼馴染「分かった。そういうことだったんだ」
男「そうそう」
幼馴染「よし。私も一緒に話してあげる。私が隣にいれば安心でしょ? 今日、お母さんとお父さんは何時に帰ってくるの?」
男「いやいや、話し合いぐらい俺1人でもできっから。お前がいたら余計にややこしいことになるだろ。やめてくれよ」
幼馴染「今、できないっていったじゃん」
男「やろうと思えばできるんだよ。でも、お前が隣にいるとできないってことだよ」
幼馴染「じゃあ、ちゃんと話せるんだね?」
男「話せるね」
幼馴染「もう。今日にでも話しておいたほうがいいよ。喧嘩したまま離れることになったら最悪だし」
男「分かってるって」
幼馴染「だったら、もう取り残される心配はないね。私も安心だ」
男「なぁ、万が一さ、俺がここを離れたらどうするんだ?」
幼馴染「万が一なのは取り残されるほうじゃん?」
男「いいから」
幼馴染「約束通り、最後に料理作ってあげるって。お別れパーティーもしようよ。みんな呼んで」
男「みんなって……?」
幼馴染「同じクラスの人とかも誘ったほうがいいでしょ。ああ、でもそうなると私が料理を作るよりはどこかのお店に行って食べたほうがいいか」
男「……」
幼馴染「焼肉好きだったよね? 焼肉屋でどう? 私、がんばって盛り上げちゃう!」
男「なるほどな……」
幼馴染「よーし!! 美味しい焼肉屋を探すぞぉ!!」
男「……」
幼馴染「今は漫画読むけど」
男「実は俺、一人暮らしに興味あるんだよな」
幼馴染「そうなの?」
男「1人残るのもありかもしれないな」
幼馴染「わざわざ辛いほうを選ぶの?」
男「将来のためにも経験しておいていいだろ」
幼馴染「まぁ、そうかもね」
男「やっぱり、のころっかなぁ」
幼馴染「残ることを自分で決めた場合、家事全部を1人でやる覚悟もしないとダメ。私にも頼らないで1人でやること。それ、わかってる?」
男「……わかってる」
幼馴染「ならいいの。1人暮らしでは戸惑うこともあるだろうけど、がんばってね」
男「ま、任せろ!! 余裕だ!! 余裕!!」
幼馴染「あははは。この漫画チョーうけるー」
男「なぁ、残ることを今決めたわけだけどさ」
幼馴染「うん?」
男「やっぱりさ、最初は不安だ。それは分かるよな?」
幼馴染「うんうん。1人だもんね。不安になると思うよ」
男「特に朝とか起きれなかったりするかもしれない」
幼馴染「絶対にあるね」
男「……」
幼馴染「……なに? 見つめられても困る」
男「ええと、だな……あの……そのときは……ほら……えー……」
幼馴染「思い出したら言ってね」
男「おい」
幼馴染「あははは。サイコー、この漫画っ」
男「お、起こして欲しいって俺が頼んだら、お前は……おこして……くれるわけ……か?」
幼馴染「え? なに、もう一回いって。よく聞こえなかった」
男「だ、だから、起こしてくれって……頼んだら……起こしてくれるのか……?」
幼馴染「起こして欲しいの?」
男「いや。基本的には起きるけど、運悪く寝坊したときは取り返しがつかないだろ?」
幼馴染「早寝早起きでも心がけたら?」
男「それでも寝坊することはあるかもしれないだろ」
幼馴染「そうだねぇ」
男「だから、そのときは」
幼馴染「わかったよ。朝、時間になっても家から出てこないときは……」
男「お、おう!!」
幼馴染「インターフォン連打してあげる。それで起きなきゃ、先に行くからね」
男「おぉぉ……」
幼馴染「1秒間に16連打ぐらいするから、心配しなくても起きれるって」
男「それだけじゃあ起きれない可能性もある」
幼馴染「えー? 直接起こしに行ったほうがいいのー?」
男「お、おう。そういう方法もアリじゃねえかなぁ」
幼馴染「めんどくさいよ。そこまでしなきゃいけないなら、やっぱりついて行くべきだって」
男「ぐっ……」
幼馴染「違う?」
男「そ、そうだな。悪かった。絶対に1人で起きる」
幼馴染「よしよし。いい子だねぇ」
男「くそぉ……」
幼馴染「まぁ、どうしてもって言うなら直接起こしてあげるけど?」
男「できる。バカにすんなよ。目覚まし時計も増やすっつーの」
幼馴染「そう。じゃ、この話はおしまい」
男「……」
幼馴染「ふぅー。さてと、次は78巻だー」
男「せ、洗濯とかは簡単だよな。洗濯機の中に放り込んで洗剤いれて、あとは外に干しとけば終わりだからよぉ」
幼馴染「一緒に洗ったらまずいのとかあるし、干すときだってちゃんとしないと皺になるよ」
男「そうなの?」
幼馴染「当たり前でしょっ」
男「そうかぁ。俺、本当に何も知らないなぁー。あははは。まいった、まいった」
幼馴染「もう一緒に行けば?」
男「だからこそ、1人暮らしするんだろ!! 知らないことを知っていくために!!」
幼馴染「別に1人暮らししなくてもちょっと教えてもらえばいいだけだと思うけど」
男「試行錯誤の中で得たものが一番いいんだって」
幼馴染「掃除も1人でできそうにないよね」
男「はぁん? できるに決まってるだろ」
幼馴染「アンタ、雑じゃん。この部屋だって月に一回は私が掃除してるぐらいなのに、感謝してよね」
男「それはお前が快適に漫画を読むためにやってるだけだろ」
幼馴染「そうよ? 文句ある?」
男「そうはっきり言うなよ……」
幼馴染「汚い部屋で漫画読みたくないもーん」ゴロゴロ
男「……」
幼馴染「78巻ゲット」
男「転がって移動するんなよ……」
幼馴染「やっぱりやめたほうがいいと思うなぁー。1人暮らしなんてアンタには絶対にできないよ」
男「やる。俺はここに残るって決めたんだ」
幼馴染「無理することないって。一緒に行きなさいよ」
男「……」
幼馴染「今のままじゃ苦労するのは確実だし1人暮らしはやめたほうがいい」
男「別にいいだろ。お前には関係ない」
幼馴染「私に起こしてくれーとか料理つくれーとか散々言ったのに?」
男「それは1人でどうにかするって言っただろ」
幼馴染「今までの話を聞く限り、誰の助けもなしじゃ無理だと思うけどなぁ」
男「どうしてそんな言い方されなきゃいけないんだ」
幼馴染「なんでそこまでして1人暮らししたいの?」
男「それは……お、男は早く自立したほうがいいだろ……」
幼馴染「あー。もしかして、女の子でも連れ込んでいやらしいことでもしようとか思っちゃってるの?」
男「お、思ってない!!」
幼馴染「きゃー、このベッドでエッチなことするんだー。やだー」ギシギシ
男「降りろよ!」
幼馴染「1人暮らしだとやりたい放題だもんね」
男「そんなこと考えてないっていってるだろ」
幼馴染「えー? うそだぁ。ほかに1人暮らしに拘る理由が見当たらないんですけどー?」
男「だから、自立のためにだなぁ」
幼馴染「自立を考えてるなら料理はともかく洗濯と掃除ぐらいは既に慣れてないといけないんじゃない?」
男「ぐぐっ……」
幼馴染「あ、その前にアンタは彼女作らないとね。で、その彼女に家事全部させちゃえばいいんだよ。半同棲とかしちゃって」
男「同棲だと……」
幼馴染「朝も起こしてもらえるし、これで解決だね。アンタに彼女ができればの話だけど」
男「俺だって……やろうと思えば……彼女ぐらいすぐに……」
幼馴染「今まで誰かと付き合ったことあるの? ないじゃん」
男「それは……あれだ……俺はある程度親密になってから発展させるつもりだからよ……」
幼馴染「私以外に仲良しの女子がいるの? いがーい」
男「ま、まぁ、俺も高校生だし、それなりにいるね。とりあえず10人はいるかなぁ」
幼馴染「10人……。そんなに? 学校だと同じ男子とばっかり喋ってる印象しかないけど……」
男「何言ってんだよぉ。お前の見てないところで色々話してんだよ」
幼馴染「ふぅーん。そうなんだぁ」
男「今、告白したら7割の確率で交際をスタートさせることができるだろうなぁ」
幼馴染「知らなかった。そんな相手がいたなんて」
男「健全な高校生なんだから、いて当然だろ。男としか話さない奴が高校生にいるかよ。今時、男子校のやつらだって彼女もちが多いのに」
幼馴染「それはどうでもいいや。だったらさっさと告白でもなんでもして、彼女つくって、朝起こしてもらったり料理つくってもらったりするといいよ。1人暮らしも楽しいじゃん」
男「そ、そうだな……そうすれば……楽だもんな……」
幼馴染「よかったね」
男「……」
幼馴染「ほら、今ここで告白してみぃ」
男「なんでお前の目の前でしなきゃいけないんだよ。ふざけんなよ」
幼馴染「……ホントはいないんでしょ?」
男「いるって!!」
幼馴染「じゃあ、告白してよー。はやくぅ」
男「まだ時期じゃないんだよ」
幼馴染「あっそ。時期を逃さなきゃいいね」
男「いつでもできるからこそ、今はしない。そういうこともあるだろ」
幼馴染「言い訳はいいよ。それよりアンタ1人じゃ1人暮らしはできないんだし、家事のできる彼女を作れないならお母さんとお父さんについて行ったほうがいいよ。ホント、マジで」
男「べ、別に急がなくても問題ない。親父がここを離れるのは半年先だからな。もっと親密になってからでも間に合う」
幼馴染「意中の女の子がアンタの好意に気づいてたらどうするの?」
男「ど、どうするって?」
幼馴染「早く告白してこいって待ってるのに何もないなら「私の勘違いか」で自己完結させちゃうこともあるのに、そんなウジウジしててどうするのってこと」
男「それは相手に付き合う気がないんだろ」
幼馴染「あるから待ってると思うんだけども」
男「待ってるかどうかなんてお前に分かるかよ」
幼馴染「……」
男「なんだよ」
幼馴染「それもそっか。漫画読もっ」
男「俺の気もしらないで勝手なことばっかり言いやがって……くそぉ……」
幼馴染「あはははは。サイコー。ここ、マジ笑えるー」
男「お前は親父たちについて行けっていうけど、俺にここから離れたくない理由があるんだろうなぁとか考えないのか?」
幼馴染「なに? あるの?」
男「そりゃ……ある……かもしれないだろ……」
幼馴染「女の子とエッチなことしたいだけでしょー? キモーい」
男「……」
幼馴染「このベッドでどんないやらしいことが繰り広げられるのか。考えただけで身の毛がよだつよね」ギシギシ
男「……」
幼馴染「まぁ、そんな勇気がないからウジウジウネウネしてるんだろうけども」
男「……分かったよ。正直に言ってやるよ」
幼馴染「え、ホントに?」
男「俺が1人暮らしに拘る理由……」
幼馴染「うんうん」
男「女の子に朝優しく起こしてほしい、手料理を振舞ってほしい、してくれるなら俺の下着を洗ってほしい。そんなこと1人暮らしじゃないと味わえないだろ」
幼馴染「し、下着はちょっとやりすぎじゃない? 洗ってくれる子もいるだろうけど」
男「親父から話を聞かされたときに俺はそれが高校生できると思った。だから俺は是が非でもここに残りたかったんだ」
幼馴染「んー……。別にいやらしいことをしたいわけじゃないんだ?」
男「お前が考えてるようなことはしたいと思ってないと言えば嘘になるけどな。そんなことよりもまずは朝、優しく起こし欲しい」
幼馴染「下らないことで妄想してるんだね。可哀相だから私がしてあげてもいいよ」
男「うるさい!! 同情でしてほしくないし、別にお前にしてくれなんて頼まねえよ!!」
幼馴染「はいはい。だったら仲良しの10人の女子に頼んで日替わりでやってもらえばいいじゃん」
男「うぐっ……」
幼馴染「まだ半年先とは言え、今から準備しとかなきゃ相手も戸惑うと思うけど。両親がいない家にいきなり呼ばれたら警戒もしちゃうしね」
男「そうなのか?」
幼馴染「そりゃ、普通は色々考えちゃうって。男が1人暮らししてるところに行くんだから。私みたいに勝手を知ってるなら別ね」
男「ふぅん……だったら、いいか……」
幼馴染「まぁ、私はアンタにそんな甲斐性も度胸もないことは知ってるんだけどさ」
男「いい加減にしろよ。さっきから俺のことを小馬鹿にしやがって」
幼馴染「じゃあ聞くけど、好きな女の子に向かってはっきりとしてほしいこといいました? なんだか遠まわしに言ってみたり、相手を誘導しようとして失敗ばっかりしてません?」
男「し、してねえよ!! 勝手なこというな!!」
幼馴染「失敗してないんだ」
男「あ、当たり前だろ……」
幼馴染「それなら私に手料理を作っては欲しいだの朝に起こしてほしいだの言ってたのは、何だったの? 結局、自分でやらぁとか言ってたけども」
男「そ、それは……お前とは長い付き合いだし……利用できるものは……利用しようと……」
幼馴染「……」
男「……」
幼馴染「もういいや。マジで引っ越しちゃえ」
男「なんだと!?」
幼馴染「そのほうがアンタのためだもん。苦労しなくていいし、つまんない見得もはらなくて済むし、いいことばっかりでしょ」
男「お前……」
幼馴染「それとも私の勘違いだったの? ……それなら謝る」
男「お、お前は、あれか、どうしてもっていうなら直接部屋まできて起こしてくれるって言ったよな」
幼馴染「起こしてほしいの?」
男「……ほしい」
幼馴染「え? なに? よく聞こえない。もう1回言って」
男「俺はお前に毎朝起こして欲しい!!」
幼馴染「ま、毎朝? そ、それは欲張りすぎじゃない?」
男「あ、いや。毎朝は言い過ぎた。たださ、最近よく昔のことを思い出してたんだ。俺が寝坊したとき、お前が何も言わずに待っててくれたときのこととか」
幼馴染「まぁ、一緒に行くのが当たり前だっただし」
男「今はもう寝坊したらお前はいないだろ。なんかそれが寂しくなったというか……」
幼馴染「待ってて欲しかったの?」
男「そりゃそうだろ。ある朝、待ってなくて結構ショックだったんぞ」
幼馴染「言ってくれれば待ったのに」
男「言えるかよ!! そんな恥ずかしいことを小学生のときに!!」
幼馴染「で、それが重症化して毎朝起こしてくれたらなぁとか妄想するようになったんだ」
男「ああ、そうだ。お前の所為だから、責任取れ」
幼馴染「はい? アンタが私に起こしてほしいんでしょ?」
男「そうです!! 毎朝、起こしにきてください!! お願いします!!」
幼馴染「んー……そこまで言われたら、断れないし……。いいよ。これからは起こしてあげる」
男「っしゃぁぁ!!」
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