男「これが例の機械娘!」 (29)

オリジナルです。
更新頻度は長めです、よろしくお願いします。

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男「…」

父「おい、さっさと掃除してくれ」

男「親父、これって」

父「ん?」

男「爺ちゃんが作ってた…」

父「あー…なんだっけ」

男「えっと…あれだよ、機械…機械…」

父「機械娘だ!」

男「ああ、それだ!」

父「懐かしいな、男が子供の頃だったか?」

男「爺ちゃんが逝く2、3年前だし…中学生の頃かな」

父「そういやこんなの作ってたな」

男「確か何種類かあったはず」

父「おい、掃除してるのに散らかすなよ」

男「えっと…あ、あったあった」

父「今度のは子供っぽい機械娘だな」

男「確か『タイプB』だったかな」

父「そんな型式付いてたか?」

男「親父、あんまり使ってなかったんだっけ?」

父「男が中学生の頃って言えば、出世して仕事が忙しくなった時期だったからな…」

男「そうだっけ」

父「だから、ほとんどその機械娘のことは知らん」

男「そういや俺だけ実験台にされてたな」

父「根暗なお前の為に作られた物だしな」

男「そんな理由だったっけ」

父「俺はそう聞いてる」

男「確か…初めて見たのが…中学2年かな」

父「ちょっと思い出してろ、コーヒー淹れてくる」

男「あ、ありがとう」

男「えっと…爺ちゃんがまだ元気な時で…中学2年で…親父が仕事で忙しい時期…」

ーー男が中学2年の頃ーー

男「ただいまー…」

男「…」

爺「おお、おお、男か」

男「あ、爺ちゃん」

爺「ちょっとこい」

男「え…やだ」

爺「なんだ、冷たいな」

男「どうせまた変な話でしょ。ゲームしたい」

爺「ゲームなんかより面白い物があるぞ」

男「どんな物?」

爺「うひひひひひ…」

男(なんか下衆な笑いが…)

爺「まあ、まあ、こっちこい」

男「うぇー…つまんなかったら部屋行くからね」

爺「うひひひひひ…」

男(なんか怖い)

爺「これじゃ!」テテーン

?「テテーン!」

男「…なにこれ…」

爺「うひひひひひ…」

?「初めまして。タイププロトです!」

男「プロト?」

爺「まあ、試作機じゃな」

男「試作機…えっ、機械?」

爺「うひひひひひ…そう。これは『機械娘』じゃ!」

?「いぇー!」

男「…ごめん、ちょっと頭痛が」

爺「…プロトちゃん。キャッチ」

?「はーい」ガシッ

男「えっちょ、動くの?」

爺「当たり前だろうが。さっき喋ったじゃろ」

男「いやまあ喋ったけど…なんでこんな精巧な物が」

爺「うひひひひひ…」

男「いや教えてよ」

爺「それはプロトちゃんから聞くのじゃ」

男「えっ」

プロト「よろしくお願いします!」

男「え…うん」

爺「こら」

男「ん?」

爺「よろしくと言われたら、よろしくと言い返すのが礼儀じゃろが」

男「あ…えっと、よろしく。プロト…ちゃん」

プロト「はい!よろしくお願いします!」

男(これはまあなかなか…媚びるなあ…)

爺「じゃあわし見たい番組あるから、その間に仲良くなっとくんじゃぞ」

男「え、いきなり?」

プロト「大丈夫ですよ、変なことしませんし」

男「いやしないしされてもなあ…」

プロト「何か聞きたいことあるんじゃないですか?」

男「あ、うん」

プロト「答えれる範囲なら答えますよ!」

男「えー…じゃあ、名前は?」

プロト「タイププロトです!」

男「…」

プロト「反応薄いとちょっとショックですね」

男「いや、そういうの苦手で」

プロト「そうなんですか?じゃあ、その辺考慮しますね!」

男(考慮て)

男「えっと、出身は?」

プロト「ここです!」

男「ここって…じゃあ、君の生みの親は…」

プロト「男さんの、お爺さんですね」

男「うぇええ!」

プロト「おっ、いいですねー。オーバーリアクション好きなんです」

男「え、爺ちゃんが?君を?」

プロト「はい」

男「ここで?」

プロト「ここですね」

男「イチから?」

プロト「その辺はちょっと…」

男「うぇええええ!」

プロト「…男さん、変な人ですね」

男「えっと、試作機ってことは、今は君だけなんだよね?」

プロト「多分…そうだと思いますけど」

男「…君の原動力は?」

プロト「なんか急に質問変わりましたね」

男「いや、ふと気になって」

プロト「水らしいですよ」

男「水!?」

プロト「細かいことは分かんないですけど…」

男「えっと…身体能力は、一般人と比べてどれくらいなのかな?」

プロト「確か、一般的な20代女性と変わらなかったと思います」

男「あ、そこは普通なんだ」

プロト「本物に近づけたい、とかで」

男「…髪の毛とか、本物なの?」

プロト「…どうなんでしょう、データにないので」サラ

男「記憶とかはやっぱりデータなんだ」

プロト「脳だけは無理って、ぼやいてましたもん。…あ、触ってみます?髪」

男「あ、いいの?」

プロト「はい」

男「じゃあ、ちょっと失礼して…」

プロト「んっ…」

男「うわっ」サッ

プロト「あ、すいません。他人に触られると、変な感じするんですよね」

男「なんか、ほんとの人間みたいだ…」

プロト「どうでした?髪」

男「…人間の物と遜色ないよ」

ーーお掃除中の部屋ーー

男「ていう感じだったかな」

父「へー…」

男「あれは衝撃的だったよ」

父「の割には冷めた反応多かったな」

男「なんでだろ、子供のくせにね」

父「自分で分からんのかい!」

男「まあ一番驚愕だったのは、爺ちゃんが機械娘を作ったってことだよ」

父「そこなんだよな…そんな技術持ってたのか」

男「頭が良かったことは知ってたけどね」

父「こんな某有名漫画みたいなの作れるのは別次元だけどな」

男「ていうか、あれだけひっぺがえして出てきたの2体だけ?」

父「タイプAとBしかなかったぞ」

男「プロト、どこ行ったのかな」

父「ていうか、タイプAはプロトと何が違うんだ?」

男「ああ、それはね…」

ーープロトと会った2週間後ーー

男「ただいま」

爺「おお、おお」

男「ただいま爺ちゃん」

プロト「おかえりなさい!」

男「ただいま、プロトちゃん」

プロト「遂に2号機ができたんですよ!」

男「2号機って…2人目?」

爺「そう。タイプAじゃ!」

男「もう少しネーミングセンスどうにかならないの…ていうか、プロトちゃんすっかり家族みたいだね」

プロト「えへ」

爺「こっちじゃ、こっち」

男「今度はどんなの?」

爺「うひひひひひ…」

男(下衆いなあ…)

プロト「とってもキュートですよ!」

爺「これじゃ!」

タイプA「…」

男「…」

爺「型式はタイプA。名前は…」

プロト「たぺ、って名前だよ」

男「た…たぺ、ちゃん」

たぺ「…よろしく」

爺「うんうん。仲良くしろよ」

男「え」

プロト「もうご飯食うんですか?」

爺「たぺの仕上げで疲れたんじゃ」

プロト「しょうがないですね…私が作りますよ」

爺「そういうわけじゃ」

男「そういうわけって…」

たぺ「ねえ」

男「あ、はい!」

たぺ「別に、私と話したくないなら話さなくてもいい」

男「え」

たぺ「初対面だもん。話しにくそうだし」

男「いや、そんなことないよ!」

たぺ「そうなの?」

男「うん、そうそう」

たぺ「ふーん…」

男「…」

たぺ「…」

男(あ、この子、こういう感じのタイプなんだ)

たぺ「…」

男「ねえ」

たぺ「なに?」

男「たぺちゃんって、なんでそんな名前なの?」

たぺ「…ダメなの?」

男「え、いや、悪く言ってる訳じゃないけど…」

たぺ「タイプA、タープA、たぺ…」

男「ああ、訛ってるんだ」

たぺ「うん。安直」

男「でも、可愛い名前だよ」

たぺ「そう?」

男「うん。なんか、ほわってしてる」

たぺ「ほわ…」

男「ほわほわってね」

たぺ「…よくわからない」

男「んー…綿みたいな感じかな」

たぺ「…ほわほわ」

男「うん。ほわほわ」

たぺ「ほわほわ…可愛い?」

男「うん、可愛い」

たぺ「…ちょっと嬉しい、かな」

男「…たぺちゃんは、人と話すの好き?」

たぺ「好き。でも、話すのは苦手」

男「?」

たぺ「受け答えはできる。話すのは…話題を振るのは、苦手」

男「ああ、俺もだよ」

たぺ「でも、今お話できてるよ」

男「えっとね…俺、学校では凄く無口なんだよ」

たぺ「嘘、よくないよ」

男「ほんとだよ。家だと、何か話しやすいんだよね」

たぺ「そうなんだ…変だね」

男「たぺちゃんもね」

たぺ「私、変なの?」

男「俺と同じで、変わってるかな」

たぺ「…ちょっと、ショックかも」

男「でも、俺も変わってる」

たぺ「…」

男「俺たち、似た者同士だね」

たぺ「私達が、似てる…」

男「うん。嫌かな」

たぺ「ううん。嬉しい」

男「じゃあ良かった。俺も嬉しいよ」

たぺ「…男」

男「ん?」

たぺ「私達、友達なの?」

男「友達だよ」

たぺ「でも、私は機械で…」

男「俺は人間。けど、たぺちゃんは限りなく人間じゃないか」

たぺ「そうなの?」

男「こんな機械、世界中探してもここだけだよ」

たぺ「じゃあ、特別なんだ」

男「うん。特別な、機械人間」

たぺ「…男」

男「うん?」

たぺ「これから、もっと話そ」

男「…うん。いいよ」

たぺ「私、いつもここにいるから」

男「俺も、いつも家にいるよ」

たぺ「じゃあ、いつでも話せるの?」

男「うーん…学校とか、寝る時間もあるから…」

たぺ「うん」

男「けど、今日みたいに学校から帰ってきて、寝るまでは話せるよ」

たぺ「ほんとに?」

男「うん」

たぺ「じゃあ、夜、男の部屋で寝た方がいい?」

男「え」

たぺ「そうしたら、話す時間も増える」

男「まあ確かにそうだけど…そんなに俺と話したいの?」

たぺ「うん」

男「まあ、俺も話せるのは嬉しいけど」

たぺ「…私ね」

男「?」

たぺ「男のこと、好きだよ」

男「えっ」

たぺ「だめ?」

男「え、いや、その、ダメとかはないかな」

たぺ「じゃあ、好き」

男「あ、うん…あ、ありがとう」

たぺ「…男は、私のこと好きかな」

男「…えっと」

たぺ「…やっぱり、機械相手だとためらっちゃう?」

男「…いや、言いにくいんだけどね。俺、こういう経験なくて」

たぺ「…プロトも、告白したって言ってた」

男「え?」

たぺ「博士が、そういう風にプログラムしたって」

男(ハーレムでも作ろうとしてるのか?)

たぺ「…男は、プロトのほうが好み?」

男「いや、そもそもプロトに告白されてたとか知らなかった」

たぺ「じゃあ、私と付き合える」

男「…ごめん、明日まで、待ってもらっていいかな」

たぺ「…うん」

男「ごめん。せっかく、言ってくれたのに」

たぺ「大丈夫だよ」

男「…爺ちゃん!」

爺「おん?」

男「そこにいたのかよ」

爺「今戻ってきたとこじゃ」

男「ちょっと来て」グイッ

爺「なんじゃなんじゃ、引っ張るな」

男「あれ、どういうこと?」

爺「ああ、告白でもされたか」

男「されたよ」

爺「で、返事は?」

男「まだしてないよ!」

爺「なんじゃ、ヘタレめ」

男「いやヘタレとかじゃなくてさ、心の準備ってものが」

爺「ふむ、まあそうじゃな。相手が機械ってこともあるからのう」

男「なに、ハーレムでも作る気?」

爺「いや、お前には彼女ができた時の練習をさせとこうと思ってな」

男「え」

爺「実際に街でデートしてみればええんじゃ」

男「いやいやいやいや」

爺「恥ずかしいのか?」

男「いや恥ずかしいとかじゃなくて、なんていうか」

爺「大丈夫じゃ。知らん人からすれば人間にしか見えん」

男「…」チラッ

たぺ「?」

男「まあ確かにそうだけどさ」

爺「じゃろ?元々そういう意図で作ったんじゃからな。有効活用してくれんと」

男「…別に、そんなの求めてないんだけど…」

爺「でも、告白されてドキッとしたじゃろ?」

男「…」

爺「…じゃろ?」

男「あーもう!」

爺「ほっほっほ。思春期思春期」

ーーお掃除中の部屋ーー

男「っていう」

父「…続きは?」

男「…話すの?」

父「そこで止めたら生殺し過ぎるだろう」

男「ここまで話しただけでも恥ずかしいんだけどね…」

父「まあでも、確かに人間にしか見えんなこれ」

男「だよね」

父「機械とは思えん出来だな…こんなのに告白されたら、そりゃ焦るわな」

男「当時の俺の気持ちが伺えるでしょ」

父「心中お察しします」

男「初めての告白だったから、心臓バックバクだよ」

父「で、続きは?続きは?」

男「えー…やっぱ話すの…。どこからだっけ」

父「告白されたあたりから」

男「えーっと…そうそう。あのあとね」

この辺で一旦切ります。
次の更新日時は不明です。1~3週間後を目処にしています。

今週中を予定しています

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