死神「これは“ですノート”だ」
男「なんだそりゃ?」
死神「とりあえず、持ってみるがいい」
男「どれどれ……」ヒョイッ
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男「別にどうってことない、普通のノートですね」
男「これに名前を書くと、その人が死んだりするんですか?」
死神「いや、そんな効果はない」
死神「このノートが効果を及ぼすのは“ノートを手に持っている者のみ”だ」
男「そうなんですか。いったいどんな効果なんですか?」
死神「試しに、一度ノートを置いてみるといい」
男「はいです」スッ
死神「よし、もう一度しゃべってみろ」
男「しゃべるって……なにを?」
死神「な? 分かっただろう?」
男「いや……全然分からないんだけど」
死神「……なんという鈍い奴だ。なら、もう一度持ってみろ」
男「めんどーくせーな……」ヒョイッ
男「こうですか? これでいいんですか?」
死神「もっと色々しゃべってみろ」
男「しゃべれといわれても、なかなか難しいです。話題も思いつかないです」
死神「な、自分の異変に気づいただろ?」
男「いや……さっぱり分からないです」
死神「ええっ……」
死神「だったら……お前の声を、このラジカセに録音して聞かせてやろう」ゴトッ
死神「そうすれば、お前もこのノートの秘密に気づくはずだ」
男「そこまでしなきゃならないんですか? まあいいです、付き合ってやるです」
死神「じゃあまず、ノートを置いて軽く自己紹介してみろ」
男「はいです」スッ
男「俺はなんの取り柄もない高校生だ」
男「彼女募集中!」
男「おかしな死神に目をつけられて、めんどくさいことになっちまった」
男「……これでいいか?」
死神「よし、次はノートを持って同じことをしゃべれ」
男「あいよ」ヒョイッ
男「俺はなんの取り柄もない高校生です」
男「彼女募集中です!」
男「おかしな死神に目をつけられて、めんどくさいことになっちまったです」
男「……これでいいんですか?」
死神「オーケーだ。じゃあ、再生するぞ」
死神「まず、これがノートを持っていない時のお前」
『俺はなんの取り柄もない高校生だ』
『彼女募集中!』
『おかしな死神に目をつけられて、めんどくさいことになっちまった』
『……これでいいか?』
死神「次に、これがノートを持っている時のお前の声だ」
『俺はなんの取り柄もない高校生です』
『彼女募集中です!』
『おかしな死神に目をつけられて、めんどくさいことになっちまったです』
『……これでいいんですか?』
死神「……な? 分かっただろう?」
男「ああ、分かった。自分の声を聞くのってなんだか照れ臭いな。へへっ」
死神「へへっ、じゃねえよ!」
死神「いくらなんでもバカすぎるだろ! ヒントは“語尾”だ!」
男「おいおい、ヒントが露骨すぎだろ。さすがの俺でももう分かったよ」
死神「おおっ、やっと分かってくれたか!」ウルッ
男「俺って結構イケメンボイスなんだな! 特に語尾が! 声優とか向いてるんじゃね?」
死神「……もういいです」
― おわり ―
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