男「呪いのナイフ」(9)

亀進行で。よろです。

~某都内・某所~

男「はぁ…疲れた……最近残業が多い……」ドサッ

「おい。寝るな。起きろ。」

男「はい?どちら様?」

「ここだ。」

男「ここ、ってどこだよ。」キョロキョロ

「ここだ。こっちだ。」

男「うお、なんだこのナイフ。刃、長っ。」

「それが私だ。拾い上げろ。」

男「は?意味わかんね、」ヒョイ

グググググググググググググゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ


男(?)「ふう、やっと体を手に入れたぞ。」

「おい!どういう事だ。何で俺が勝手に喋って、ん?俺が俺?俺?」

男(?)「私の魂がこのナイフに宿っているのだ。お前がそれを拾ったために私の魂が
    お前のこの体に宿ったのだ。と言うか、私が乗り移ったのだがな。」

「おいふざけんなクソ野郎!意味わかんねえし誰だお前!?ナイフの精霊?アラジン?」

ジュディ「野郎ではない、女だ。私の名はジュディ。殺し屋だ。」

「はいはい。中2っぽい話はあとで聞くからとりあえず体を返せ!!」ボフッ

ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴグググググググググググググ


男「ふぅ……」

ジュディ(魂)「おい!体を返せ。」

男「ふざけんな俺の体だろうが。」ポイッ

ジュディ「あ!おい!テメエふざけんなよ!」

男「地が出たな。」ゲシッ

ジュディ「あ!痛い痛い!割りと痛い!ナイフにも痛覚あるよ!痛い!痛いんだけど!?」

男「とりあえず話だけでも聞こうかな。リビング行くか。これなら大丈夫か。」ガシッ

ジュディ「あ、バカ!袖で掴むな!取り憑けないだろ!」

男「はいはい。」スタスタ


男「それで?まず、お前は何?正直全く意味が分からないんだけど。」

ジュディ「私はジュディ。殺し屋をやっていた。」

男「あー…おう。それで?」

ジュディ「だが、私はある日急病で死んだ。非常に残念な事にな。」

男「で?なんでその殺し屋がナイフになってんの?」

ジュディ「ナイフになっているんじゃない。ナイフに取り憑いているんだ。」

男「ほう……ナイフに取り憑いている、ねえ……オカルト好きとしては興味深い。」

ジュディ「元々このナイフは私が仕事の時に使ってたもんだ。急病で死んだ後、
     何故か魂だけが現世に残って、様々な人間に取り憑こうと試みたが……」

男「ナイフにしか取り憑けず、人間には取り憑けなかった。」

ジュディ「そうだ。」

支援


男「でもさっき俺には取り憑けたよな?それはなんでだ?」

ジュディ「それはお前が私と何らかの関係があるからだ。」

男「俺が?お前と?」

ジュディ「ああ。」

男「冗談は止してくれ。俺が殺し屋(笑)と関係なんてあるわけ無いだろ。」

ジュディ「私が生きてたのはもう何十年も前の話だ。お前と直接はあるはずがない。」

男「そうか。じゃあ何なんだ。」

ジュディ「恐らく、お前の家系だ。」

男「家系?」


ジュディ「恐らくお前の先祖……と言うか、お前の家系の人間が、私と関係を持ったとか。」

男「え、マジ?」

ジュディ「ああ。そんなとこだろ。後は、今時の言葉ではDNA?と言うのか。」

男「ああ。遺伝子とか血とか自体があまりにも似ていると。そう言いたいのか?」

ジュディ「そうだ。」

男「ふーん。それで、なんで俺の部屋にナイフがあったの?」

ジュディ「それは、他の人間に持って来させた。」

男「は?でも遺伝子とかが似てないとダメなんだろ?」

ジュディ「それは体を本格的に乗っ取る場合だ。所謂、依り代にする場合は
     ナイフやお前でなきゃならない。だが一時的に乗っ取るだけなら
     少し体の構造が似てれば問題は無い。」

男「体の構造?」

ジュディ「性別と、ある程度の体型だ。」

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