許嫁「これは罰ゲームです」(76)
許嫁「なんで兄さんなんかと」
男「え?罰ゲーム?」
許嫁「ただの例えです。馬鹿な兄さんには難しかったですか?」
男「な、何の例えさ」
許嫁「はあ」
許嫁「1から10まで説明しないといけませんか、本当世話が焼けますね」
許嫁「はあ」
男「……」
許嫁「まず、罰ゲームとは何か分かりますか」
男「ええと」
男「誰もやりたがらないことをさせるんだろ」
許嫁「この婚約の事ですね」
男「え?」
許嫁「え?私がこの話を喜んで受けたとでも?」
男「……」
許嫁「そもそも、従妹との結婚なんて法律で禁止されればいいのに」
許嫁「ああもう最悪です。こんな汚い部屋、とっとと失礼しますね」
ガチャン
男「………」
許嫁「ただいま」
シ-ン
許嫁「……」ボフッ
許嫁「お義母さん…どうしてこんな事」
………………
男「はあぁ…」
男「死にたい」
男「……」
男「飯作るかな……」
許嫁「(私と兄さんは独り暮らし)」
許嫁「(お母さんとお父さんが死んで、私はお義母さんの配慮で兄さんの隣の部屋に越して今に至る)」
許嫁「(兄さんとは昔からよく顔を合わせてたけれど……)」
許嫁「……」グウゥ
許嫁「…面倒くさい…スーパーのお惣菜と冷凍してあるご飯にしますか…」
男「…えーと、ルーはこのくらいか……」
男「あれ?……やべ、多過ぎたかな…」ヘヘ
男「まあ良いか、カレーは残り物として優秀だし」
~~数時間後
許嫁「うう…だるい……」
許嫁「もうご飯抜いて良いかなぁ…」
ピンポ-ン
許嫁「………はい」
男「ああ、従妹」
許嫁「なんだ、兄さんですか…」
男「はー…誰だったら良かったんだ?」
許嫁「イケメン先輩とか」
男「……」
許嫁「で」
許嫁「そのお鍋はなんですか?」クンクン
男「ああ、カレー作り過ぎちゃって」
男「良かったらどう?」
許嫁「どう、とは?」
男「ええと……そ、そうだ、一緒に食べない?」
許嫁「うーん……まあ、選り好みできませんし」
許嫁「仕方ないので兄さんと食べます」
男「……分かった」
男「あっ、俺カツ買ってくる」
許嫁「え?」
男「ほ、ほら…どうせならなるべくおいしく食べて欲しいし」
許嫁「別にそんな事しなくても…」
男「じゃ、鍋は頼んだ」
許嫁「んっ…」ズシッ
タタタッ
許嫁「……」
許嫁「…冷めないうちに帰らなかったら許しませんから…」
許嫁「……」
許嫁「……」
許嫁「……」
許嫁「……」
ピンポ-ン
許嫁「!」バッ
許嫁「」トテテッ
ガチャッ
許嫁「遅いです」ムスッ
男「あはは…ごめんごめん」
男「お邪魔します」
男「頂きます」
許嫁「いただきます」
サクッ
許嫁「このカツはおいしいですね」
男「」ガツガツ
許嫁「……」
許嫁「みっともない食べ方はやめて下さい。仮にも私の夫になるんですから……ああ、なんでこんなのと」
男「え?あ…ご、ごめん…ところで、カレーはどう?」
許嫁「具材の大きさがかなりばらついてます。それに味も薄いです、ちゃんとレシピを見ましたか?」
男「うっ…」
許嫁「まあ兄さんだから仕方ないです、昔から不器用でしたし」
男「分かった、ちゃんと練習するよ」
許嫁「期待はしませんけどね、…おかわり」
男「はいはい」
男「」ケプッ
許嫁「では、食べ終わったのならダラダラせず早く出て行ってください」
男「そ、そんなに急かさなくて」
許嫁「部屋が汚れてしまいます、さっさと出てって」
男「っ……ごめん」ガチャ
パタン
男「……」
男「…寝るか…」
今日はここまでや
男「ふああ…ううん…今日は早いな…」
男「」ムクッ
男「(さて、飯食って学校行くか)」
男「…あれ」
男「従妹の自転車がまだある」
男「おかしいな…普段はもう出てる筈なのに」
男「…って、従妹はあんまりチャリ使ってないんだった」
男「勿体ないよなあ…せっかく買ったってのに使わないなんて」
男「一緒にチャリ登したかったけど…」
男「俺の愛機は最近ぶっ壊れて修理nowだし」
男「って、一緒に行ってくれる訳ないか」ハハ…
男「……」ガラッ
知人「……」
男「……よう」
知人「よう」
男「……」
知人「……」
男「この前貸した500円返せ」
知人「また今度な」
ガラッ
女「男君、おはよっ!」
男「あ、女さん、おはよう」
知人「あ、お、おはよ…」
女「男君、今日の宿題やってきた?」
男「まあ」
知人「(……総スルーかよ)」
女「ほんと!?ごっめーん、ちょっと見せてくれない?」
男「…あ、やばっ…ノート忘れちゃったよ…」
女「ええっ!そんなあっ」
知人「あ、なんなら俺が」
女「仕方ないし、他の子に見せてもらわないとぉ」ギロッ
知人「っ」ビクッ
女「じゃあまたあとでね!」フリフリ
男「じゃあなー」
知人「……とんだ奴だ」
男「……」
許嫁「」トテトテ
許嫁「……」チラッ
「男君、おはよっ!」
「あ、女さん、おはよう」
許嫁「えっ……」
許嫁「……」
許嫁「……っ」
放課後
男「ふーっ…」
女「男君ー、一緒に帰ろー!」
男「ああ、うん…」
許嫁「ちょっと待ってください」ガラッ
男「なっ」
女「……誰?あなた」
許嫁「にi……男さん」
男「なに」
パシンッ
男「っ!?」
許嫁「何故ぶたれたか、分かりますか?」
男「え………」
女「お、男君!?大丈夫?」サッ
許嫁「っ……男さんに近づかないでください!!」
女「何よ、あんたこそいきなり人を叩いて何様のつもりよ!」
許嫁「っ…それは」
女「男君、私が途中まで送ってあげるから」
男「な…ま、待っ」
女「ほら、あんなのほっといて」グイグイ
許嫁「あ………」
許嫁「……」ヒリヒリ
許嫁「っ……う、うぅっ…」ジワ
……………
「女ってさ、媚び媚びでうざいよねー」
「あー分かるー」
「お、おい!女さんの悪口はやめなよ!」
「ぷぷっ…何こいつ」
「あーもー目が腐るー、帰ろ」
「うん、そーしよー」
「……」
ピンポ-ン
男「……はい」
パシンッ!
男「っう!」
許嫁「何で!兄さんはっ」
パシンッ
許嫁「そうやってっ!」
パシンッ
男「ッ」
許嫁「他の女と……うぅ…ヒック…」ペシッ
男「…あ……」ヒリヒリ
許嫁「わたし……ずっと……」
許嫁「兄さんだけに……っ」ポロポロ
男「!そうか……ご、ごめんっ」
許嫁「兄さんなんか……兄さんなんか…っ!」ギュッ
男「!…」サラサラ
許嫁「うっ……うえぇ…ヒクッ…うええぇんっ!」
許嫁「兄さんなんかだいっきらいっ…」グズグズ
男「……」
許嫁「自転車も買ったのに…おべんとうも作ったのにいっ……!」
男「!!」
許嫁「何でぇぇ……」
男「……ごめん、婚約解消なら俺が手伝うから」
許嫁「えっ……」
許嫁「あ……嫌…!いやああぁぁ!」
男「だ、大丈夫だって!親に縛られる必要はなi」
許嫁「やめてえっ!!お願いだからあぁあ!!」
男「っ、落ち着い」
許嫁「せっかく兄さんと一緒になれるのにぃっ!!」
男「なっ」
男「ど、どういう」
許嫁「兄さん!好き!好き!!」ギュウゥ
男「!!…」
男「ほ、本当に…」
許嫁「好きだからっ…もう…離れたくなよぉ……ヒック」
男「……」
許嫁「お願いだから……あの人の所に行かな…グスッ…」
男「……っ」
男「従妹!ずっと昔から好きだった!」ギュッ
許嫁「あふうっ……え…嘘…?」
男「本当だよっ!」
許嫁「ほん、とうに…?」
男「…んむっ!ーーれろっーー」
許嫁「あむっ!?ーーんーーんちゅーーんむぅぅっ…ーー」トロン
男「ほ、本当に……」
許嫁「好きだから……もう…ヒック…離れたくないよぉ…」
男「……」
許嫁「お願いだから……あの人の所には……ぐすっ…」
男「……っ」
男「従妹!ずっと昔から好きだった!」ギュ-
許嫁「あふっ……う、嘘……?」
男「本当だよっ!」
許嫁「ほん、とうに…」
男「っーーーんむーーれろっーー」
許嫁「あむっ!?ーーんちゅっーーむーーんむうぅーー」トロン
男「ぷはっ…」
許嫁「あぅ……」カアア
男「……」カァ
許嫁「………兄さん」
男「……何…?」
許嫁「私の唇を奪った罰ゲームです」
許嫁「私と一生を添い遂げてください」
男「ーー……」
男「喜んで」
男「……キスは子供の時に何回か既に」
許嫁「わ、わあぁっ!馬鹿!兄さんのばかあっ!」ボフッ
男「…何回も頭を撫でてたような」ナデナデ
許嫁「やぁっ……ん……落ち着き、ます…」
男「(…よく分からないけど、)」
男「(……これで良かったんだよな…)」
今日はここまでやで
翌朝……
男「…んーっ」
男「昨日は幸せだったなぁ…キスまでしちゃったし…」
ヌクヌク
男「(…………ふ、布団が気持ち膨らんでいる…)」
男「ま、まさかな」
男「……」オソルオソル
「ねぇ、アイツの持ち物隠しちゃわなーい?」
「あ、それ良いじゃん!面白そー!」
ワイワイ
「……ッ」
「うわ、またアイツだよきんもーっ」
「まーいーじゃん、あんなのほっといてさっさとやりましょ」
「………」チッ
男「っ、従妹ぉ!?」
許嫁「んにゅ…おはよ…兄さん」
男「ち、ちょっと何でここに」
許嫁「まだねむいよぉ…」ギュ-ッ
男「ぐっ…俺は抱き枕じゃ」
許嫁「ス-…ス-……」
男「……」
男「はあ」
男「ま、たまには遅刻も良いか」
今日はここまでンゴ
トラックで轢き逃げニキを呼ぶンゴ
女「おはよーっ」ガラッ
「あ、女ちゃん……おはよっ」クス
「…」クスクス
女「?………あれ?椅子…どこ…?」
女「ね、ねえ。誰か知らない?」
女「………」
女「誰がやったのよ!?」
知人「……」
知人「俺だよ」
女「………は……」
女「ふざけてんの!?」バンッ!
知人「……」
「まーたかっこつけてるよ…」ヒソヒソ
「でも、ちょうどいいしアイツ狙わない?」ヒソ
「あはは、それうけるー」
知人「(……さすがチンパンジー、思った通りに動いてくれる)」
女「いつも邪魔して、その上にこんな事!?」
知人「っ……」
「女ちゃん、大丈夫ー?」
「アイツ、構って欲しいからってキモいよねー」
女「みんな…」
「あ、ここに椅子あったよ!」スッ
「…でさー、この前のあれ」
「へー…なら…」
知人「(案の定男子は総スルー…)」
「ほら、知人君謝りなさいよ!」
「そーよそーよ!」
知人「っ……すみません、でし…た…」
男「な、なあ……手を離してくれよ…」
許嫁「駄目ですっ」
ガララッ
女「!!?」
知人「!!」
女「お…男、君……?その子は…」
男「いや、その…」テレテレ
許嫁「彼女です」ギュ-ッ
女「あ……」クラッ
女「そ、そんな…」
「女ちゃん、しっかり(ざまーみろ!)」
「もっと良い人がいるって…ぷぷっ」
女「うう…」
知人「お、女さん…」
女「っ、死ね」ギロッ
知人「っく……」
「……なあ、そろそろいい加減にしないか?」
「!」
「イ、イケメン君!」
イケメン「女さん、その人達に騙されちゃいけない」
女「えっ…?」
イケメン「椅子を隠したのは知人じゃない。彼女たちだよ」
女「そ、そんな」
知人「っ…余計な真似を」
「お、俺も見た!」
「そうだそうだ!」
知人「(トリガーが引かれた途端に動き出すのか。麗しい仲間意識な事で)」
「っ……」
「こ、この…」
女「ほ、本当…なの?」
「っ、そうよ!あんたの媚びた態度がうざいのよ!」
女「そんなっ…」
知人「ふざけんなよ!!」
女「え…」
「…」
知人「女さんは必死にアプローチしてたってのにそんな言い方っ!!ねーだろ!!」
女「!」
イケメン「ち、知人…落ち着いて」
知人「っ……」ハアハア
女「じ、じゃあ何でコイツは嘘を…」
知人「……」
イケメン「…多分、自分が的になることで場を収めようとしたんだろうね」
知人「っ……ふん、何を言って」
イケメン「でも、それは応急処置にもならない」
知人「……」
イケメン「偽善だよ」
女「………」
知人「ふん…」
知人「でも、アンタのした事は?」
知人「女さんのグループを引き裂いて、これがベストでしたってか」
イケメン「君にとってはベストだろう」
知人「……」
イケメン「自己犠牲で格好つけたつもりか」
知人「っ」
イケメン「君こそ正々堂々アプローチすべきだよ」
知人「……」
女「イ、イケメン君……私、どうしたら」
イケメン「君の事を考えてくれる人なら、見つかっただろう?」キラッ
女「!!」
女「…」
女「……」
女「…あ…あのっ!」
女「つ、付き合ってくださいっ」
知人「!?」
知人「……」
女「ーーーっ」
イケメン「ぼ、……僕?」
女「はいっ」カァ
知人「(……まあそうなるワナー)」
「あの二人ってお似合いじゃね?」
「美男美女ってか…」
女「」チラ
イケメン「ああ、そういう事か」
イケメン「僕をダシに使うなんてな」ハハ
女「え、あ、いや…」
イケメン「まあ頑張れ」クルッ
女「」
知人「……は?」
男「……なんぞこれ」
許嫁「出来の悪いドラマを見た気分です」
男「と、とにかく!教室に急ぎなよ、従妹」
許嫁「はい」
男「いや、手ぇ離せよ…」
許嫁「私たちは頭痛がひどいので保健室に行かなければ」グイグイ
男「サボり癖か、兄さん悲しいよ…まぁいっか…」
許嫁「♪」
今日はここまでやで~
………ーー
知人「(…あれから)」
知人「(女さんをいじめていた連中はクラスから排斥され、女さんには新しい友人が出来た)」
知人「(めでたしめでたしってか)」ガツガツ
男「いいから500円返せ」
知人「また今度な」
知人「俺は今飯食うのに忙しい」ガツガツ
男「ったく…」
ガラッ
許嫁「に…男さん、一緒にお弁当食べましょう」
男「ん、分かった」
知人「ちっ…羨ましい奴」
男「はは、悪いな」
ガラッ
女「……」
知人「」ガツガツ
女「ね、ねえ」
知人「……何ですか」
女「こ、この前の事だけど」
知人「……」
女「責めて悪かったとは思うわ、でも、分からないわよ…あれじゃ」
知人「…」
女「だから、その……」
知人「……」
女「ええと……えーと…」
知人「…何だよ…」
女「ああもう!ほらこれ!」ポイッ
知人「……弁当、箱?」
女「ば、罰ゲームよ!私が負けたからあんたに作ったの!」
知人「……俺って罰ゲームの標的だったのか…」ガ-ン
女「あ、ち、違っ!いいから食べなさい!」
知人「は、はい…」
……………
帰路
男「」テクテク
許嫁「」テクテク
男「…最近くっつきすぎじゃね?」
許嫁「私はこの位が良いです」ギュ
男「…」ペチンッ
許嫁「あぅっ!何するんですか、痛いです!」
男「いや、特には何も」
許嫁「訴えてやりましょうか」
男「すいませんでした」
許嫁「そうです、兄さんは私がいないと駄目ですから」フン
男「そうだな」
許嫁「…改めて言われると恥ずかしいです…」
男「ああもう可愛いな畜生」
許嫁「もうっ!置いてっちゃいますよ!」タタッ
男「はは……あ」
ブロロロ
男「従妹!!トラック!危なーーー」
許嫁「ーーーえ」
ドサッ
男「……大丈夫か…」
許嫁「う……」
男「……!?」
男「(……思いっきり引っ張った反動で押し倒された状態に…)」
許嫁「……あ」
許嫁「ば、馬鹿ぁっ!」バッ
男「ごめんなさいっ!」
許嫁「うぅ……」
許嫁「花も恥じらう乙女になんて仕打ちを…」
男「こ、これは!不可抗力というかなんというか…」
許嫁「……でも」
許嫁「た、助けてくれて、その…」カァァ
男「…真っ赤だけど大丈夫?」
許嫁「うう、うるさいです」プイッ
許嫁「とにかく早く帰りましょう」
男「うん」
許嫁「……兄さんから、手を繋いで欲しいです…」
男「!」
男「じ、じゃあ…」ドキドキ
ギュッ
許嫁「えへへっ……兄さんの手、あったかいです…♪」
男「そうか」
許嫁「私は死んでも離しませんよ?」
男「そうか……ありがとうな」
許嫁「どういたしまして」
[二]
_/ /ヽ_
/|お| |/
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
[二]
/ /ヽ
|お| |_
/|し| |/
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
[二]
/ /ヽ
|お| |
|し| |_
/|ま| |/
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
[二]
/ /ヽ
|お| |_
/|し| |/
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
[二]
_/ /ヽ_
/|農| |/
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
おしまい
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