男「お前専用の執事?」幼「そう」(46)

男「確かに宿題手伝う代わりに何でもするといったが・・・・」

幼「じゃあいいでしょ」

男「でも俺が執事をやったところで、お前は嬉しいのか?」

幼「別にお手伝いさんが欲しかっただけだしっ」

あとは任せた!


男「なら最初から、執事じゃなくお手伝いさんって言えよ」

幼馴染「なんかお手伝いさんって言うと女の人っぽいじゃない?」

男「あー、まあ…そうかな?」

幼馴染「で、やってくれるの?」

男「…何でもって言っちゃったしな。ただ、どの位の期間だ?今日だけか?」

幼馴染「私が宿題を手伝う限り、ずっとに決まってるじゃない。嫌ならその日は自分だけで宿題やればいいのよ?」

男「なるほど、一日ずつのギブ&テイクか…妥当…なのかな?」

幼馴染「とりあえず今日はもう宿題手伝ったんだから、拒否権は無いよね。さあて…どうして貰おうかしら」

男「しゃーねえ、何なりと言えよ」


幼馴染「そうね…とりあえず暫く机に向かってたから、肩が凝ったなあ…?」

男「へいへい…揉みましょーとも」

幼馴染「ストップ!…そんな執事、いないでしょ?」

男「あん?」

幼馴染「執事って、どんな家庭でどんな人に従うイメージ?」

男「そりゃ…ハンパない金持ちの家で、お嬢様の世話をする感じだろ」

幼馴染「解ってるんじゃない。じゃあテイク2ね!」

男「やれやれ…」

幼馴染「あー、肩が凝ったなあ…?」

男「…よろしければマッサージをさせて頂きましょうか……お嬢様…」

幼馴染「あら、気が利くわね。じゃあ少しお願いできるかしら…」


男「…いかがでしょうか、お嬢様」モミモミ

幼馴染「いい感じね、でももう少し強くてもいいわ」

男「承知いたしました」グイグイ

幼馴染(…これは……いいわ…)

幼馴染(…男が私をお姫様扱いしてくれてる!…癖になりそう!)

男「痛ければお教え下さい…お嬢様」グイグイ

幼馴染(どこまで言う事をきいてくれるのかな……)

男「………」モミモミ

幼馴染「あ、あの…横になるから背中もお願いできるかしら…?」

男「…承知いたしました。何なりとお申し付け下さい、お嬢様」

幼馴染(やばいやばい!キュンキュンしちゃうっ!)



こうですかわかりません


男(えーと、背中をマッサージしてるだけなんだけど…)グッグッ

幼馴染「…んっ、…ぅ…」

男(…それなりに、エロい)グイグイ

幼馴染「…もう少し、下を」

男「承知いたしました」

男(ここ背中じゃない!ほぼ、尻だろ…!)

幼馴染「あっ…!ま、待って…!」ピクッ

男「…はい、お嬢様」

幼馴染(やばかった…少し感じた…)ドキドキ

幼馴染「マッサージはもういいわ。えーと…温かい飲み物を頂けるかしら?」

男「番茶でよろしいでしょうか」

幼馴染「…もうちょっとお嬢様っぽい飲み物、無いの?」

男「お嬢様っぽい飲み物って何だよ?ココアか紅茶くらいしか無いぞ。お前、コーヒー飲まねーもんな」

幼馴染「素に戻ってるわよ、執事さん?…ココアでいいわ」

男「…ちぇ、承知いたしました」


男「お待たせしました…どうぞ」カチャッ

幼馴染「ありがとう、執事さん」

男「…あのさ」

幼馴染「ん?」

男「これ、何か指示を出されてる時以外も執事らしくしてなきゃダメか?」

幼馴染「んー、まあ…その方が嬉しいかな?」

男「欲しかったのはお手伝いさんじゃねーのかよ」

幼馴染「でももう執事って事にしちゃったし、その方向でよろしくー」

男(面倒くせえ…)

幼馴染「それと『執事さん』って言い方も変だから、私は普通に『男』って呼ぶよ。私の事は『お嬢様』か『幼馴染お嬢様』ね?」

男「幼馴染お嬢様なんて長過ぎんだろ。…もう、お嬢様でいいや」

幼馴染「さあ…執事らしくして頂戴、男…?」

男「…かしこまりました、お嬢様」ハァ…


*****

(翌朝)

男(昨日は散々こき使われたなあ、今日は宿題、一人でやろ…)

幼馴染「おっはよーう」

男「おー、おはよ。行くかぁ…」

幼馴染「ノンノン」チッチッ

男「あ?」

幼馴染「執事でしょ?」

男「ざけんな、昨日やっただろ」

幼馴染「もう、今日の宿題を自分一人でやるまでは有効に決まってるじゃん」

男「まじかよ…学校でもか」

幼馴染「当然です」

幼馴染(学校で男に寄りつく悪い虫に、この関係を見せつけてやらなきゃ!)

幼馴染「さあ、行くわよ」

男「…はい、お嬢様…」


*****

(教室)

幼馴染「みんな、おはよー」

幼友「あ、おはよー幼馴染ちゃん…と男君」

男「おう、おはよ」

幼馴染「違います。自分の友達にはともかくとして、幼友ちゃんは私の友人よ?」

男「…オハヨウゴザイマス」

幼友「ど、どうしちゃったの?なんか幼馴染ちゃんのカバン持ってるし…」

幼馴染「男は望んで私の一日執事として仕える事になったの」

男「望んでねぇ…」ボソッ

幼馴染「何か言ったかしら?」

男「いいえ、お嬢様」

幼友「ほえぇ…いいなぁ」

幼馴染「えへへー」


男友「…聞いたぜ、一日執事だって?」

男「宿題手伝ってもらった引き換えなんだけどさ…昨夜だけだと思ってたんだけどなあ」

男友「いいじゃん、お遊びだろ?イメージプレイだと思って楽しんじゃえよ」

男「ばっかやろ、人の身だと思って」

男友「お?じゃあ俺が代わろうか?」

男「……断る」

男(腹立つけど、それは嫌だ)

男友「へっへーん、そーだろそーだろ」ニヤニヤ

幼馴染「男ー、ちょっと来なさーい」

男友「お嬢様がお呼びだぜ?早く行かないとエロいお仕置きされるぞ?」

男「からかうなよ…」

幼馴染「男ー?」

男「はいはい…ただいま参りますよー」


*****

(昼休み)

幼馴染「男、一緒にお昼食べるわよ」

男「え、おま…お嬢様はいつも通り学食で食べるのでは?」

幼馴染「そうよ?男も付き合いなさい」

男「…パン代くらいしか持ってない…」

幼馴染「情けないわねー。いいの、執事の食事は仕える家で出されるものでしょ。…今日は奢ったげる」

男「まじ…本当ですか、お嬢様!喜んでお供致しますっ!」キラーン

男友「あれ?パン買いに行かねーの?」

男「うるさい下賤の者め、私はお嬢様につき従うまでだ!」

男友「調子のいい奴だなー」ケラケラ

幼馴染「行くよー」

男「はい、お嬢様!」ヒャッホーイ


*****

(学食)

幼友「ね?本当に男君、執事さんになっちゃってるのよ」

モブ女A「すごい、羨ましい…憧れるわ…」

モブ女B「男君、今日の宿題は私がやるよ!ね、そうしよう!」

モブ女C「宿題を人にさせるのも、それを弱みに人につけこむのも褒められた事じゃないわ。…男君、必要なら教えてあげるのに」

幼馴染「おぉっと、引き抜きはご遠慮下さいねー」フフン

幼馴染(…そもそも貴女達に見せつけるのが目的なんだから)

男「私はカツ丼…じゃなかったお嬢様に雇われた身、主はただ一人でございます」モグモグ

幼馴染「解ってるじゃない、さすが私の執事ね!」

ABC「ぐぬぬ…」


*****

(放課後)

幼馴染「男、買い物に付き合って」

男「え、帰って宿題…」

幼馴染「私の命令、きけないのかしら…?」

男「はい、お嬢様…喜んで」

幼馴染「じゃあ最初は雑貨屋さん、次にレンタル屋と本屋さんね!」

男「お、お嬢様は本屋に入ったら長い…」

幼馴染「んー?」ニッコリ

男「…かしこまりました」ゲッソリ

男(ま、カツ丼食ったしな…)


*****

(自宅前)

男「もうこんな時間かよ…」

幼馴染「ちょっと立ち読みが過ぎたかな」

男「まあ、俺…私も雑誌を読んでたからいいです。でもこれから宿題か…」

幼馴染「…仕方がないなぁ」ニヤリ

男「へ?」

幼馴染「私が手伝ってあ・げ・る!」

男「ちょ…!?それじゃまた…!」

幼馴染「明日は唐揚げ定食とハンバーグカレーどっちがいいか考えといてね?」

男「…承知いたしました、お嬢様!」

幼馴染「ふふん」


*****

(金曜日、帰宅途中)

男(同じようなやりとりを繰り返し、執事を続けること五日目…)

男(でも明日は土曜日、学校は休みだ!)

幼馴染「また遅くなっちゃったねー。宿題、手伝ってあげなきゃねー」ニコニコ

男「…いいえ、お嬢様」

幼馴染「へ?」

男「明日は学校も休みですので、宿題をする間は充分にあります」ニヤリ

幼馴染「で、でも…今日の内にパパッとやっちゃった方が…!」オロオロ

男「真に残念でありますが……これにて契約終了だっ!世話んなったな、オジョーサマ!」

男(学食のメニューの内、値が張るものはだいたい食ったし!思い残す事は無いぜ!)


幼馴染「だ…だめだよ!せっかく楽しかったのに…!」

男「お前は楽しかっただろうがな、俺は…まあ俺も楽しんでたけど。でも、たまには解放されたいし」

幼馴染「じゃ、じゃあまた宿題手伝うから、執事やってくれる…?」

男「んー、考えとく」

幼馴染「やるって言ってよう…」グスン

男「しかし何でそんなに気に入ってんだよ、お嬢様になりたかったのか?」

幼馴染「ううん…どっちかというと、執事って存在に憧れてたの」

男「そりゃまたどうして」

幼馴染「…前に男の部屋で読んだ漫画で、格好良い執事キャラが出てきたから」

男「なんだ、そんな理由か。…まあ深い理由があっても困るけど」


幼馴染「月曜日は宿題、手伝うからね!絶対だよ!?」

男「なんかおかしくないかそれ。…さて、家に着いた。今日はこれで、バイバイだな」

幼馴染「うぅ…五日間の執事役、ご苦労さまでした…」ペコッ

男「お、おぅ…」

幼馴染「…ばいばい……」トボトボ

男(…あれ?)

男「……おーい、幼馴染」

幼馴染(…!!)

幼馴染「やっぱり宿題、手伝う…!?」クルッ

男「い、いや…あの…おやすみ」

幼馴染「あ…う、うん…おやすみ…」

男(…なんで俺、少し寂しいと思ったんだろ)


*****

(土曜日、午後、近所の川)

男(………)

男(…釣れねえな)

男(ずっとアイツにかかりきりだったから、気分転換に一人で釣りにきたけど)

男(アタリすらありゃしねえ)

男(…お嬢様は、どうしてんのかな)

…ピッ

《プルルルル……プルルルル……》

《プツッ…もしもし?》


男「よう、何してる?」

《…買い物してた、どうしたの?》

男「ん…いや、どうしてるかなと思っただけだ。買い物、どの辺でしてるんだよ」

《…えと、駅の西口…新しいお店できたって聞いたから》

男「西口?…その辺はガラの悪い高校があるから、あんまり一人で行くなよな…」

《うん…でも、もう来ちゃったから》

男「それこそ執事がついて行きゃいいようなもんだろが。…まあ、気をつけろよ?」

《…うん》


*****

(駅の西口)

幼馴染(…心配されちゃった)

幼馴染(ちょっと軽率だったかな)

幼馴染(でも、男…もう執事やってくれないかもしれないもの)

幼馴染(買い物なんか誘ったら、今はお前の執事じゃねえ!…って怒られそうだし)

幼馴染(たぶん昨日まですごく疲れさせちゃったから、今は解放してあげなきゃ)

幼馴染(面倒くさいなんて思われて、嫌われるのがいちばん怖いもんね…)

幼馴染(明日、謝ろう。独りでこんな所に来ちゃった事…それと、執事なんかさせちゃった事)

幼馴染(…あ、お店…あれかな)


*****

(二時間後)

幼馴染(けっこう見るのに時間かけちゃった)

幼馴染(もう外、暗くなってる…)

幼馴染(早く駅、行こう)

幼馴染(表通り、怖そうな人いたからなぁ…)

幼馴染(ここは最短ルートで、素早く駅を目指そう!たしかこの路地が近道のはず!)

幼馴染(…よかった、誰もいない。早足で抜けようっと)

幼馴染(この角を曲がれば、駅はもうすぐそこ…)

幼馴染(…!!)


金髪男「あれー?キミ、ここ通りたいのー?」ニヤニヤ

幼馴染(引き返そう…)クルッ

幼馴染(あ…)

茶髪男「だめだよー?こんな時間に女のコが独りで、人通りの無い道なんか歩いちゃ」ニヤニヤ

幼馴染「あの、通して…下さい」

金髪男「なんでだめなのか…」

茶髪男「教えてあげなきゃねー?」

幼馴染「…結構です」

幼馴染(こわい…よ、男…)


金髪男「いいねー、スレて無くて。教えてあげる甲斐がありそうだわー」ガシッ

幼馴染「…離してっ」

茶髪男「今、キミが曲がったところを反対に曲がった先、どうなってるか知ってる?」

幼馴染「知らないっ!離してよ!」

金髪男「廃ビルの裏の…」ニタァ

茶髪男「…行き止まりなんだわ」ニヤァ

幼馴染「やだ!引っ張らないで!大声出すよ…!?」

金髪男「んん…?茶髪、大声で人が来た事あったけー?」グイッ

幼馴染(…おと…こ…助けて…)

茶髪男「無いねえー、試してみる?…たーすけてぇー!ってさぁ」ケラケラ


幼馴染「…男……」

金髪男「あぁ?」

幼馴染「たす…け…て…」

茶髪男「はぁ?」

幼馴染「男…!!!助けてぇっ…!!!」







「かしこまりました…お嬢様」


.


キュルルルッ、フワッ…

金髪男「は?なんだ?おま…えはァッ!?」ビシィッ!ギュウウウッ!

茶髪男「痛てええっ!?てめえ…汚ねえぞ…後ろからっ!何仕掛けやがった…!」キリキリキリッ

男「不意打ち上等、逃げ足迅速…!」

幼馴染「なんで…ここに…」

男「腕力貧弱、度胸皆無っ!…でもお嬢様の味方!執事『男』見参っ!」

幼馴染「…男っ…!」

金髪男「痛ててて!なんだこれ…ワイヤーかよっ!」ギュウウウッ…

男「あまり抵抗するな…ウナギ用の6号ナイロンだ、切れるわけが無いぜ」フッ


茶髪男「く…そっ…首に食い込んで…!息…がっ!」

男「大袈裟な、気道塞ぐほど締めちゃねえよ。さあ、お嬢様…命令を」

幼馴染「え…」

男「漫画で読んだんだろ…?手を汚すのは私、だがこの者達を葬るのは貴女の意思だ…!」ニヤリ

幼馴染「……さ…」

幼馴染「サーチ・アンド・デストロイッ!!サーチ・アンド・デストロイだ…!私は命令したぞっ!」

男「…素晴らしい!やはり貴女は私が仕えるに相応しい御方だった!」ギュウウウッ!!

金髪&茶髪「ぐえええぇぇぇ!」

しまった…


男「…って、まあ殺しはしないけどな。電柱にユニノットで結んでおいた…引けば引くほど締まるぞ?」

金髪男「く…そ…!」

茶髪男「解け!…切れ…よっ!」

男「アホか、誰か来るまでそうしてろ。…お嬢様、どうぞ一発殴っておいては」

幼馴染「う、うん…!」キラーン

金髪男「ちょ…!?」

茶髪男「それ…投げ竿…!」

幼馴染「てーーーい!!!」ボカッ!ボカッ!

金髪&茶髪「………」キュー

……………
………


…地元、家の近く


幼馴染「…ありがとう、男」

男「いいよ、もう。何回も聞いた」

幼馴染「…格好良かったよ」

男「まともにやったら勝てないからな、姑息な手段だけど」

幼馴染「ううん…すごく格好良かった。…随分、探した?」

男「そりゃもう。幼友ちゃんに電話して、どこの店を教えたのか聞いてさ」

幼馴染「本当、ごめん…」

男「…いいってば。お嬢様をお護りするのが、執事の仕事だろ?」


幼馴染「あの、もう…執事やれなんて言わないから」

男「ん?」

幼馴染「…面倒くさいとか、嫌いとか…思わないで」ウルウル

男「思わねえよ、別に。…執事ごっこなら、また気が向いたら付き合ってやっから。…だから、俺以外には頼むなよ」

幼馴染「た、頼まないよっ!そんなの最初から…!」

男「おけー。それでいいよ、お嬢様」

幼馴染「あの…それと、今度は私が何でも言う事きくよ!」

男「あー、それも…いいか」

幼馴染「ど、どうすればいい…?また学食奢ろうか…?」ドキドキ

男「そうだな…じゃあ、俺のメイドになってもらおうか」

幼馴染「男専用のメイド?」

男「そう」


(おしまい)

ごめん、どうせ乗っ取りだと思って好き放題やった。深く反省してます。

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