【艦これ】提督「鎮守府として色々不味いことになった」 (1000)
・前スレに引き続き後日談を書いていきます
・リクエストを受け付けて、消化したらまた募集していきます
・設定から逸脱するようなものは、パラレル扱いにします
・エロも一応ありです
前スレは以下の二つです
【艦これ】大鳳「一度入ったら抜け出せない鎮守府?」 - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1399761014/-20)
【艦これ】大鳳「出入り自由な鎮守府」 - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1401844632/l20)
SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1406746107
・提督『起きたら幼女が居た』
・舞風『ねぇ、踊らない?』
・朧『蟹捕ってたら変なもの見付けた』
・提督『何で俺が裁判されにゃならんのだ』
・伊8『本とお菓子と提督と』
以上五本でお送りします
――――提督私室。
「ん……朝か……」
まだ薄ぼんやりとしている意識をはっきりさせようと、提督はとりあえずベッドの上で起きようとした。
そして、自分の手を掴んでいる相手が居ることに気付く。
(そういえば昨晩は大鳳と寝たんだっけか……まずは何か着て――ん?)
微かな違和感が、提督の行動を停止させる。
確かに大鳳は小柄と言っていい体格である。しかし、今彼を掴んでいる手と、布団から出ている彼女の頭は、余りにも小さいのだ。
「――大鳳、起きろ」
「ん、んぅ……? なんですか、提督……もう少し寝かせて下さい……」
昨晩の夜戦の疲れがかなり残っており、大鳳はベッドから起き上がるのを拒み、寝返りを打って提督の声に応じる。
「いいから起きろ。起きて、自分の身体をよく見てみろ」
「からだ……?」
真剣な口調で起きろともう一度促され、彼女はようやく身体を起こす。
それと同時に、提督の顔はみるみる青ざめていき、顔を手で覆って項垂れた。
――そして、静寂を切り裂く悲鳴が朝の鎮守府に響き渡る。
“私、小さくなってる!?”
――――鎮守府、集会場。
「あー……集まってもらったのは他でもない、大鳳についてだ」
鎮守府を一時封鎖し、全員を提督はこの場に召集していた。色々と確認することがあったからだ。
「提督、彼女は本当に大鳳なの……?」
「あぁ、お前の知ってる大鳳に間違いない」
「そう、ですか……」
普段は沈着冷静な加賀ですら、今回の一件には困惑した表情を浮かべていた。
それもそのはず、提督の後ろに隠れるように立っている少女――大鳳の身体が明らかに昨日までより縮んでいる、というより、幼児化しているのだ。
「提督、どうしてもこの姿で皆の前に出なければいけないの?」
「出ないと説明出来んだろ」
「隠れてちゃ、ダメ?」
「……ダメだ。――皆、このちっこいのがお前等も良く知ってる大鳳だ」
不安そうに見上げる幼女大鳳の言葉に一瞬心を揺らがせながらも、提督は大鳳を全員に見えるように抱き上げた。
驚き、疑問、黄色い声、様々な声が飛び交い、会場はどよめく。
「誰か大鳳がこんなチビになった理由を知らないか?」
「チビっていわないでください!」
ジタバタと暴れる大鳳で遊びながら、提督は全員の反応を待つ。
しかし、皆一様に顔を見合わせたり首を傾げるだけで、明確な答えが返ってくることは無かった。
(やっぱり誰も理由は分からんか……)
「あの、いい加減下ろしてくれませんか?」
「抱き心地良いし、このまま抱っこしてちゃダメか?」
「後ろで拳を握ってる加賀が許可したら、いいですよ?」
「了解、直ちに下ろす」
大鳳を下ろした後、提督は再びマイクへと向かう。もう一つ言っておかなければならないことがあるからだ。
「まぁ何だ、大鳳はチビになったが中身は一緒だから今まで通り接してやってくれ。それと、誰かコイツを連れて子供服買いに行ってくれないか? 着てるのが加賀のシャツ一枚だけってのは、流石に不味いしな」
「あら、私の出番かしらー?」
「ちっこい姉さん可愛いんじゃ」
「着ぐるみ、着せる」
「えっ、あの、自分で歩け――浦風に抱っこされるって新鮮でいいわね……」
荒潮、浦風、霰の三名が大鳳を確保し、早速買い物へと向かう。他にも青葉などが後を追っているのが視界に入ったものの、特に問題はないと提督は見送った。
――1週間後。
「提督! 元に戻ったわ!」
「おぉ、良かっ――服、着替えてから来いよ」
「あっ……」
――――夜戦をするとチビになる。そんな確証の無い噂が鎮守府に流れ始めました。
チビ状態→基本的に変化は見た目だけで、中身は変わらない(一部例外あり)
夜戦がトリガーなので、駆逐艦は対象外(成長してからチビになるパターンはあり)
期限は一週間、それを過ぎると自動的に元の姿に戻ります
理由や原理についてはとあるゲームの設定を元に考えましたが、基本的に触れないのでご想像にお任せします
チビ化に関しては、リクエストの時に書かかれていない時はしません
大体説明は以上です、それではまた夜にでも
・舞風『ねぇ、踊らない?』投下します
――――提督執務室。
「提督、舞風と踊らなーい?」
「俺に何を踊らせる気だよ、社交ダンスなんかしたら足踏むぞ」
「阿波踊りとか?」
「二人で阿波踊りってシュール過ぎるだろ」
「じゃあモンキーダンスにする?」
「古いわ!」
「もう、提督はノリが悪いなぁー」
「ノリの問題じゃない。第一、執務室で踊れんだろ」
「気合いで何とかなるっしょ」
「なるわけないだろ」
「そんなこと言わずに踊ろうよー」
「……今は仕事しろ」
「ちぇっ、提督の意地悪」
「後で少しぐらいなら付き合ってやろうかと思ったが、無しだな」
「嘘、ウソウソ、今の無し!」
「はぁ……分かったから仕事してくれ」
「了解しましたー!」
「――そういえば、お前踊りなら何でも踊れるのか?」
「何でもは言い過ぎだけど、大抵メジャーなのなら踊れるかなー?」
「ファイヤーダンスとリンボーダンス」
「ファイヤーは無理だけど、リンボーなら出来るよ」
「じゃあシットロト踊り」
「提督、何でそれ踊れるかあたしに聞いたの? 踊れってこと?」
「いや、聞いてみただけだ。クックロビン音頭はどうだ?」
「アレは簡単じゃん。――っていうか、チョイスが謎過ぎない?」
「一部の間では有名だろうが」
「そうなのかもしれないけどさぁー」
「――どうだ、ちょっとは気分が紛れたか?」
「っ……あたし、そんなに分かりやすい?」
「テンション無理矢理上げてるの丸分かりだ。台風が原因ってのも知ってる」
「提督ってば舞風のこと好き過ぎー普通分かるわけないって」
「全員気付かないフリしてくれてるだけだろ」
「――だって、しょうがないじゃんか。あの時のこと思い出しちゃうし……」
「別に悪いとは言ってない。ただ、無理して明るく振る舞うのはやめろ」
「……大鯨みたいに、いつか来ると思う?」
「ずっと全員が揃うのを願ってる幸運艦が居るんだ、必ずどこかで艦娘として生を受けるさ」
「……うん、そうだよね」
――――来たら一緒に踊りまくるぞぉ!
――――踊れるの前提で考えるのはやめてやれ……。
・朧『蟹捕ってたら変なもの見付けた』、投下します
――――海上。
(今日も大漁。喜んでくれるよね、きっと)
「――あれ? コレ、何だろ?」
蟹に混じって網の中から光を放つ何かを見付け、朧は取り出して眺める。
砕けた欠片のようなそれはキラキラと輝いていて、とても綺麗に見えた。
「潮にあげたら、喜ぶかも」
妹への手土産として持ち帰ることを決めてポケットに入れ、朧は帰りを急ぐ。
彼女の頭の中は、拾った欠片から昼御飯に作る予定の蟹チャーハンへとすぐに切り替わるのだった。
――――提督執務室。
「今日は蟹チャーハンにしてみた、自信作」
「毎度すまんな、わざわざ捕りに行くの大変だろ」
「大丈夫、もう慣れた。味はどうかな?」
「シンプルに蟹と玉子だけであっさりしてるが、味はちゃんとしっかりしてて美味いぞ」
「そう、良かった」
蟹チャーハンを頬張る提督を、幸せそうに朧は見つめる。
前日から準備して、軽く睡眠不足になりながらも捕りに行った疲れや苦労も、彼の美味しいの一言で吹き飛んでいた。
「――あっ、そういえば、変わったモノ拾ったよ」
「変わったモノ?」
「うん、コレ。後で潮にあげるつもり」
「見た感じ水晶の欠片みたいだな、どこで拾ったんだ?」
「網に入ってた」
「そうか、潮が喜ぶといいな」
「うん」
「――じゃあ、朧にもプレゼントだ」
唐突に取り出された、小さめの箱。包装はしっかりとされており、中身は分からない。
「開けて、いい?」
「いいぞ、開けて中見てみろ」
「――髪留め?」
「そういうの、あんまりつけてるのを見たことがなかったんでな。いらなかったら誰かにやってくれ」
「そんなことしない、するわけない……ありがとう提督、大事にする」
「喜んでもらえたなら何よりだ。仕事も後一時間あれば片付くし、出掛けるか?」
「いいの?」
「ついでだから服も買ってやる。たまには可愛い系も着てみたら印象変わるぞ」
普段着はTシャツにデニムの朧。秘書艦日以外ではスカートも履かず、漣から飾りっ気の欠片も無いと言われていたりする。
「可愛い系……似合うかな?」
「大丈夫だ、俺が保証してやる」
「そう……なら、選んで欲しい」
「よし、蟹チャーハンでやる気も出たし、さっさと終わらせて行くとするか」
「朧も手伝う、何でも言って」
――――コレ、可愛い。
――――(ブランドは――“sea breeze”?……帰ったら荒潮に特注品で一着頼んでみるか)
――――朧・曙・漣・潮、私室。
「朧ちゃんがくれたコレ、綺麗だな……ちゃんとしまっとこ」
――――ヲ?
最後のが何かは置いといて、安価下1~3で裁判官・検事・弁護士を決めます
どの安価がどれになるかはお楽しみということで
ご協力ありがとうございました
楽しい法廷になりそうです
書いてます…ガラケーに書き溜めてます…来週辺りには少し投下できるかと…
書いていたのをボツにしたので書き直し中、今日中には書き上げれるよう頑張ります
・提督『何で俺が裁判されにゃならんのだ』、投下します
逆転裁判風にはちょっと程遠いかも…
――――鎮守府内某所。
「――何だ、こりゃ」
「即席法廷デース」
「何で作った」
「必要だからっぽい?」
「何の為にだよ」
「貴様を裁くそうだ」
「……はぁ?」
「テートクの罪を暴くのは私ネー」
「判決言い渡すっぽい!」
「弁護する」
「待て、俺が何をしたってんだよ」
――――とうとう駆逐艦に手を出したネー?
――――提督さん、夕立はダメっぽい?
――――弁護はしよう。……が、黒なら私も問い詰める。
――――鎮守府法廷。
「えー何々? この場において嘘を吐いたら針千本飲むことを誓います? 嘘吐いたら死ぬってどんな法廷だよ……」
「夕立が裁判官だから、このホーテイでは夕立がルールっぽい?」
「おい誰か夕立と代われ、どう考えてもダメだろ」
「公正にくじ引きで決めたのだ、変更は認められない」
「くじ引きのどこが公正だ!」
「lieを吐かなきゃいいだけの話ネー」
「うっかり間違えても嘘に入るなら危なすぎるわ!」
「始めるっぽいー」
「始めるなー!」
――裁判、開始。
「提督さん、提督さんはまだ手を出さないって言ってた駆逐艦、夕雲に手を出したっぽい?」
「夕雲……? 身に覚えが無い。まだ最後の一線を越えたことはないぞ」
「提督さんは容疑を否認するっぽい。那智さん、弁護お願いします」
「了解だ。――司令官、貴様は節度を持った付き合いが出来る男だな?」
「当然だ」
「いくら迫られたとしても、まだ外見的には中学生程度の夕雲には手を出さない。誓って言えるな?」
「あぁ、言える」
「あの駆逐艦にしては立派な胸部装甲にも目が眩まない、そうだな?」
「足派だからな」
「この様に、司令官が夕雲に手を出す理由は無い。以上だ」
「那智さん、お疲れ様っぽい。じゃあ次は金剛さんね」
「ではお聞きしマース。テートクは既に夕雲とDeep kissは済ませたネー?」
「うぐっ……イエス」
「ズルいっぽい! まだ夕立は提督さんとデープキスとかいうのはしてないっぽい!」
「裁判官が法廷を乱してどうする。夕立、大人しく座っていろ」
「うぅ……いいもん! さっさと裁判終わらせてデープキスしてもらうもん!」
「は、話を続けるヨー? テートクは既に夕雲をladyとして扱っていマース。それなら一線だって超えてもおかしくないはずデース」
――レディーなら暁だって!
――暁、裁判中は黙っておかなきゃいけないのです。
「アレはディープキスしたんじゃなくてされたんだよ。不意打ちでな」
「But、テートクはそれを受け入れたネー?」
「……されちまったんなら、足掻いても仕方無いだろ」
「だったら夕雲に押し切られて夜戦した可能性もあるはずデース」
「そんなに俺を疑うなら夕雲に聞け、それではっきりするだろ」
「――夕雲をお呼びですか?」
――夕雲、入廷。
「では夕雲、幾つか質問させてもらうぞ」
「はい、何なりと」
「司令官と関係を持ったというのは本当か?」
「えぇ、本当ですよ」
「嘘吐くな夕雲!」
「被告人は発言を控えて欲しいっぽい」
「まだ手を出される成長度合いではないと思うが?」
「あら、胸なら那智さんと変わらないぐらい大きいですよ?」
「……司令官は胸派ではない。だから問題ない」
「うふふ」
「質問を続ける! 夕雲、司令官とは何回したのだ?」
「三回です」
「三回か……数としては妥当だな」
「異議あり! 異議ありデース!」
「金剛さん、何かおかしいっぽい?」
「私は大抵二回しかしてもらってないデース!」
「お前等アホかぁぁぁぁぁ!」
「被告人は静かにして欲しいっぽい! 金剛さん、意味の無い異議は認めないよ?」
「納得してませんが仕方無いデース……」
「では最後の質問をさせてもらおう」
――――小さくなっていないのは何故だ?
「ちょっと待つネー。その事に関してはまだ推測の域を出てないはずデース」
「異議を認めるっぽい」
「ではこう言い替えよう。何故夕雲だけが小さくならなかったのだ?」
「提督が避妊具を付けて下さったからかもしれません」
「Oh……夕雲、それは信憑性低いネー……」
「ど、どうしてかしら?」
「司令官は一度もそういった物を購入していないし、私達も買った事がないからだ」
(事実だが、何故そんなことまで把握されてるんだ……?)
「じ、実は恥ずかしかったから言い出せなかっただけで、夕雲が自分で買ったんです。それなら――」
「ならば何処で買ったか調べよう。鎮守府からの外出は全て記録に残っているし、それと照らし合わせれば確認は容易だ。夕雲が実物をこの場に持参出来れば、一番話は早いがな」
「……」
「質問は以上だ。金剛、まだ続けるのか?」
「夕雲には私からの質問はもう無いデース。But、もう一人証人が残ってマース」
「もう一人の証人……?」
「Come-on、巻雲!」
――巻雲、入廷。
「巻雲、Youは朝にテートクの部屋で全裸の夕雲を目撃したネー?」
「はい、夕雲姉さんに用があって部屋に行ったんです。そしたら中から全裸の夕雲姉さんが出てきてビックリしちゃいました」
「その時の彼女の様子はどんなだったデース?」
「はっきりとは覚えてないですけど、足下が少し覚束無い感じだったような……」
「皆聞いたネー? 全裸で足下が覚束無い、事後以外にそんな状況あり得ないデース」
「異議あり、寝起きなら足下が覚束無い事もあるだろう。全裸だったのも、誘惑に失敗してそのまま着なかっただけという考え方も出来るはずだ」
「異議を認めるっぽい。夕立も寝起きに村雨のお腹を踏んでスッゴク怒られたことがあるっぽい」
――アレ、痛かったわよー!
「では断定は避けておきマース。じゃあ次の質問デース。テートクが服を着てたかは見た?」
「少なくとも上は着てなかったのが見えました」
「暖房はついてた?」
「ついてました」
「今は冬、暖房つけて服を着てないっておかしいデース」
「そこについては異論はない。続けてくれ」
「コレが私からの最後の質問デース。巻雲は夕雲がテートクと夜戦したと思う?」
「夕雲姉さんはそう望んでたから、そうだったら巻雲は素直に嬉しいです」
「私からの質問は以上デース」
「那智さん、巻雲に質問はあるっぽい?」
「いや、金剛の聞いた範囲で情報は十分だ。それよりも、もう一度司令官に問いたいのだが、構わないか?」
「じゃあ提督さん、またそこへ立って欲しいっぽい」
「そ、そろそろ終わりにしないか? 俺も仕事が――」
――問題ないわ。
――司令官の代わりに済ませておきました。
「ちくしょう……優秀なのが今だけは恨めしいぞ……」
「さて、貴様に問いたいのだが……何故、夕雲は全裸だったのだ?」
「自分で脱いだからだ」
「そうか、では貴様が裸だったのは何故だ?」
「下はちゃんと履いてたぞ」
「――履いていたのではなく、履いたの間違いだろう」
「っ……何の事だ?」
「貴様が夕雲と最後の一線を越えていないことは確かだと、私は確信している。しかし、越える手前まではいっていたのではないか?」
「那智、お前弁護してくれる側のはずだよな……?」
「あぁ、だから一線を越えていないことについては弁護をしてやろう。だが、それ以外について弁護するつもりはない」
「……裸で抱き合って寝ていたのは事実だ、それは認める。だが、それだけだぞ?」
「――夕雲の足は太かったか?」
「いや、ほっそりとしてて触り心地も――あっ……」
「金剛、後は検事役のお前に任せる」
「了解デース」
「夕立も詳しく聞きたいっぽい」
「待て、話せば分かる。夕雲! お前からも何か言え!」
「提督はとても優しかったわ」
「夕雲ぉぉぉぉぉっ!?」
――判決、有罪。
「――最初から仕組んでたのか?」
「艦娘には年齢なんて概念適応されませんし、提督が私達を何歳と判断するかで愛してもらう時間が減ってしまうのは酷い話だわ」
「だからといって、“この鎮守府の艦娘に求められたら、それが誰であれ断ってはいけない”なんて罰は無しだろ……」
「ふふ、ちゃんと皆自分で判断出来るから大丈夫ですよ」
「はぁ……前より朝が辛くなる日が増えそうだ」
「頑張って下さいね、提督」
――――駆逐艦の一部が夜戦対象になりました。
タイトル少し変更
・伊8『本と眼鏡と提督と』、投下します
――――鎮守府近海、海上。
「本、楽しいか?」
「うん、楽しいよ」
「何読んでんだ?」
「『ツァラトゥストラはかく語りき』」
「また変わったモノを……」
「提督は読書、好き?」
「好きだぞ。最近は時間が無くてあまり読んでなかったがな」
「そうなんだ」
「今度最近のオススメ教えてくれ、一冊ぐらいは読む余裕が出来そうだ」
「うん、いいよ」
会話しながらも、ハチの視線は本に注がれている。
彼女にとっての至福の時間は、こうして提督とゆったり過ごしながら、本を読んでいる時だ。
それを彼も分かっており、遊びに行こうと誘ったり、ちょっかいをかけることもない。
「――そういえば、それ原文か?」
「そう、ドイツ語だよ」
「よく辞書も無しに読めるな」
「いっぱい勉強したから、レーベにも教えてもらったし」
「そうか、頑張ってたもんな」
「うん、いつかレーベ達とドイツ、行ってみたいなぁ……」
「――そのうち連れていってやるさ」
「……Danke」
ずっと落としていた視線を上に向け、自分を抱いている提督へとハチは笑顔を見せる。
彼は優しく頭を撫でて、それに返した。
「――コンタクトにはしないのか?」
ふと湧いた疑問を、提督は投げ掛ける。
その問いに数秒考える素振りを見せた後、ハチは眼鏡を外しながら口を開く。
「眼鏡の方が、何かしっくりくるんだよね」
「コンタクトだと落ち着かないって事か」
「提督は眼鏡、好き?」
「まぁ、好きだな」
「外した私は嫌い?」
「ハチはハチだろ、好きに決まってる」
「なら、一粒で二度美味しいと思ってくれたら嬉しいな」
裸眼で少しボヤけたピントを、ハチは大切な人の顔にしっかりと合わせた。
そして、少しずつ身体を起こし、標的目掛けて顔を近付ける。
「――ん……次は眼鏡をかけて、する?」
ついばむようなキスをして直ぐに離れたハチは、眼鏡をかけ直して目を瞑るのだった。
――――はい、オススメの本持ってきたわ。
――――(『今日から貴方も眼鏡男子』……?)
それでは4つまでリクエスト受け付けます
・提督『変わった妖精』(パラレル扱い)
・幼女那智『羽黒の目が輝いている気がする』
・大和『手を繋いで寄り添って』
・??『(小さくなりすぎです)』
以上四本でお送りします
イベントで新艦取れたら何か書きます
・提督『変わった妖精』、投下します
妖精さんと会話出来るのは提督のみで、艦娘にはジェスチャーしてる設定
――――工厰。
「夕張、そろそろ廃棄――っと、入る度に飛び付くのはいい加減止めたらどうだ?」
――いらっしゃいまし、今日は何か作るです?
「いや、廃棄だけだ。今のところ足りてるからな」
――ではでは改造して艤装にトースターなんてどうです?
「流石に勘弁してくれ、砲弾の代わりにパンが跳んだら洒落にならん」
――腹が減っては戦が出来ぬですよ。
「腹を満たす為に戦が出来なきゃ本末転倒だろ、気持ちだけ受け取っとくよ」
――じゃあ今ここで全自動和洋中フルコース製造機で昼食を振る舞うです。
「昼飯か……じゃあ、和食で頼む」
――お任せあれです。
(前は洋だけだったのに、和食と中華が追加されたのか。そのうち全国の料理が出来そうだな)
「あっ提督、何か御用ですか?」
「ちょっと装備の廃棄ついでに昼飯を食べに来た」
「あー、またあの妖精さんですね」
「良く働いてくれるよな、あの妖精」
「提督に夢中ですし、張り切ってるんですよ」
「……いくらなんでも小さすぎるんだよな」
「? 何か言いましたか?」
「いや、何でもない」
――出来たです。夕張さんも一緒にどうです?
「一緒にどうだって言ってるぞ」
「私は……遠慮しときます。邪魔しちゃ悪いわ」
「? じゃあ俺はあっちで飯食ってるから、それとそれとそれ、廃棄しといてくれ」
「了解です、どうぞごゆっくりー妖精さんファイト!」
――頑張るです。
「――煮魚まで全自動で尚且つ短時間とは、毎度のことながら恐れ入るな」
――どぞ、召し上がれです
「いただきます。――うん、しっかりと味付けも出来てて美味いな」
――リクエストがあれば、次の時までに用意しとくですよ?
「じゃあドイツ料理頼む、ビスマルク達に祖国の料理を食わせてやりたいしな」
――かしこまり。次までには用意しとくです。
「あぁ、頼む。ほら、お前も食え」
――あーんしてくれるです? 感謝感激雨霰。
「大袈裟だな。いつも助かってるし、これぐらいならいつでもしてやるぞ」
――是非是非、毎日でも希望です。
「妖精じゃなくて艦娘だったら秘書艦にするんだがな、残念だ」
――かしこまり。
「……何?」
「大きくなりましたです」
「……大きくなれたのか、お前」
「禁則事項故、詳しいことは秘密です。妖精用兵装でお役に立ちますです」
――――……ケッコンカッコカリは、出来るのか?
――――猫吊るし様が妖精用の指輪と書類販売してるです。
――――街。
「あっ、ちょうちょです」
「綾波、そっちじゃなくてこっちです」
「うわっ!? 三隈、また今ぶつかりそうだったよ」
「あらやだ、ごめんねもがみん」
「ふふ、珍しい組み合わせになったわね」
「くじ引きが多いのって、そういうのを狙ってるのかな?」
「あたしは酒がありゃ良かったんだけどねぇ」
「隼鷹もたまには酒以外飲んだら?」
街を歩く艦娘一行。組み合わせは、綾波、三隈、最上、翔鶴、時雨、隼鷹、伊勢の七名。
鎮守府で軽い夏祭りを開催する為、彼女達はその買い出しへと向かっている途中だ。
――……けて。
「? 今、何か声がしませんでしたー?」
「声? もがみんは聞こえた?」
「ううん、ぼくには聞こえなかったけど……」
「こっちの方からでしたねー」
「あっ、だから勝手に行っちゃダメだってば!」
フラフラと路地裏へと入っていく綾波。最上と三隈も、その後を追う。
「どうしたんだろう、何かあったのかな?」
「とりあえず、放っておくわけにはいかないわ」
「全く、手間のかかる子達だねぇ」
「ほら、ぼさっとしてないで私達も後を追うわよ」
「へいへい」
少し後ろを歩いていた四人も、三人が消えていった路地へと入っていく。
何か危険があっても、この面子ならば特に問題はない。
「――あっ、誰か倒れてますよ」
「行き倒れ? こんな街中で?」
「とにかく助けましょう」
先行していた三人の前に現れたのは、地面に倒れている少女だった。
そして、助け起こそうと近づいた三人は、即座に気付く。
――――この子は、艦娘だ。
――――提督執務室。
「――で、買い出しに行ったら艦娘を拾ったってのか?」
「うん、大鯨みたいに気付いたら海に居たらしいよ。それで陸に上がってさ迷ってて、町までたどり着いたところで力尽きたみたい」
「時雨が報告に来たってことは、お前の姉妹艦か」
「そうだよ。――ほら、挨拶して」
「は、初めまして、春雨です」
「あぁ、よろしくな。まぁ一人や二人増えてもうちは問題ないし、気兼ねなくゆっくりしてくれ」
「はい、あの、よろしくお願いします」
「……一つだけ聞いていいか?」
「何でしょうか?」
「うまいか、それ」
「はい、とっても美味しいです」
「そうか、食堂に行けばもっと食べられるから時雨に案内してもらうといい」
「ホントに?」
「うん、基本的に凄い量を備蓄してるからそれもいっぱいあるはずだよ」
「じゃあ行きたい」
「いいよ、こっちだからついてきて。じゃあ提督、またね」
「失礼します」
「あぁ、またな」
――――春雨大好き春雨が着任しました。
申し訳ありません、E2クリアするまで更新休みます
――――提督執務室。
「提督、今日からこちらでお世話になります」
「……は?」
執務室に入るや否やそう言い放った、眼鏡をかけた黒髪長髪の艦娘。
その顔に見覚えがあるだけに、余計に提督の反応は間抜けなものとなっていた。
「ですから、今日からこちらでお世話になります」
「大淀って軍司令部所属じゃなかったか? 何でうちに来るんだよ」
「お前が居ると仕事が早すぎて他の者が暇になるから、忙しそうにしている鎮守府へでも行って来いと言われました」
「何て理由だよ……」
事実、深海棲艦も姿を消した今となっては、軍司令部の仕事は格段に減っている。
もしもに備えての準備を欠かすことは出来ないにしても、出来ることは限られているのだ。
「早速仕事に取り掛かりたいのですが、何をすればよろしいでしょうか?」
「今は俺の方は手が足りてるし、加賀と吹雪を手伝ってくれ。あの二人に大抵の事は任せてるからな」
「了解しました。ではお二人の補佐ということで」
「あぁ、よろしく頼む」
「――あの、仕事に取り掛かる前に一つよろしいでしょうか?」
「何だ?」
踵を返そうとした大淀は、執務机の下から一瞬姿を現したモノを見て動きを止めた。
そして、そちらをジッと見つめながら提督へと質問を投げかける。
「そこに誰か隠れていますね?」
「隠れてるぞ」
「っ!?」
ガタッと音を立てて執務机が揺れる。そして、下から一人の艦娘が姿を現した。
「ひどいであります! そこはいないと嘘を吐くべきところであります!」
「何で隠れる必要があるんだよ」
「あきつ丸、お久しぶりですね」
「ひ、ひひ久しぶりでありますな!」
「素敵な報告書、いつも拝見しています。――ちょっとこちらでお話をしましょう」
「ひ、引っ張らないで欲しいであります! 自分には秘書艦の仕事が……」
「ついでだから手伝ってこい」
「提督殿の薄情者ー!」
「――あいつの報告書、いつも大淀が修正してたのか……」
――――書類仕事のスペシャリスト、大淀が着任しました。
・幼女那智『羽黒の目が輝いている気がする』 、投下します
――――廊下。
(そういった行為に及んだというのが周知の事実になるのは、どうにかならないものだろうか……)
身体が縮んだことで床につきそうな髪を揺らしながら、那智は自室へと戻る為に廊下を歩いていた。
その途中、誰かとすれ違う度に冷やかされたり、頭を撫でられ、まだ朝だというのに彼女の顔には疲れが浮かび始めている。
(一週間は外出も控えるとしよう……)
自室の扉を開け、那智は中へと入る。
(やはり自分の部屋というのは落ち着くな)
「あっ、那智姉さんお帰りなさい」
妙高は朝から出掛けており居らず、足柄はまだ夢の中、起きて洗濯物を畳んでいた羽黒だけが彼女に気付き出迎えた。
「足柄はまだ寝ているのか」
「昨日夜遅くまで鳳翔さんのところで飲んでたみたいです」
「酒か……この姿でも飲んで差し支えは無いのか、一度確認しなければ――」
「ダメですよ、那智姉さん」
一杯だけ飲もうと一升瓶に伸ばした那智の手は、洗濯物を畳み終えた羽黒によって阻まれる。
元より力は妹の方が強いため、掴まれてしまっては振りほどきようがない。
「羽黒、一杯だけだ。何も一日飲もうというわけではない」
「身体が小さい間は、お酒じゃなくてこっちにして下さい」
「――オレンジジュース?」
一升瓶の代わりにと手渡されたのは、紙パックに入ったオレンジジュース。
那智は羽黒とそれを交互に見ながら、何故これなんだと抗議を示す。
「その、せっかく小さくなったんですから、子供気分を味わってみませんか?」
「私は別に……」
「じゃあせめて今日の間だけでも!」
珍しく強気な羽黒に、那智も少したじろぐ。
そして、気付けば彼女は縦に首を振っていたのだった。
――五分後。
「那智姉さん、座り心地はどうですか?」
「こういうのは今までされたことが無かったが、案外落ち着くものなのだな」
那智を膝に乗せ、羽黒はそれを後ろから抱き締めていた。
何だかんだ末妹を可愛がっている那智からすれば、嬉しそうな彼女と過ごすことに不満などあるはずもない。
「いつも妙高姉さんが初風ちゃんを膝に乗せてるの、少し羨ましかったんです。私は末っ娘で妹が居ませんでしたから」
「……そうか」
初めて聞いた妹の思いに、那智は小さくなるのも悪くはないものだと感じていた。
恐る恐る頭に置かれた手も心地好く、背中の暖かい温もりに身体を預けて彼女は目を閉じる。
「――姉さん?……寝ちゃったんですね……」
「……すぅ……すぅ」
いつもは凛とした姿勢と態度を崩さない姉の無防備な寝顔を眺めながら、羽黒は幸せな時間を過ごすのだった。
――――寝顔、待ち受けにしちゃいました。
――――っ!? 羽黒、私は許可していないぞ。
――――……ダメ、ですか?
――――……人には見せないように頼む。
・大和『手を繋いで寄り添って』、投下します
――――鎮守府、告白の防波堤。
「風が気持ちいいですね」
「少し肌寒いがな」
季節は秋。上着を着てこなかったことを、提督は後悔する。
一方、大和はこの程度の寒さならばどうということはなく、平然としていた。
「お風邪を召されては大変ですし、大和の近くに来てください」
誘われるがまま、彼女の方に提督は歩み寄る。そして、差し出された手を握った。
「――こうしていれば、直に温かくなります」
「……あぁ、そうだな」
手を握ったまま腕に抱き着き、大和は自分の身体の温もりを提督に分け与える。
鉄と油で生まれた命とは思えないほど、その身体は優しい暖かさを持っていた。
「静か、ですね」
「ここは鎮守府の中でもかなり奥まった場所だ。好き好んで来る奴はあまり居ないさ」
「でも、この鎮守府の艦娘にとっては特別で、大切な場所ですよ?」
「……特別、か」
百数十人にここで書類と指輪を渡した時の事が脳裏を過り、提督は気恥ずかしくなって大和から視線を逸らす。
「もうっ、二人で居る時は大和から目を離さないで下さい」
「頬を膨らませて子供かお前は」
子供らしからぬ身体を押し付けながら抗議してくる彼女に向き直し、自由な方の手で頬をつつく。
予想以上にそれは柔らかく、提督は二度三度とつつき続けた。
「――提督、大和の頬は玩具じゃありません」
「すまん、つい」
「お返しです、えいっ」
「おほほのほほをひっはっへはほひいは?」
「意外に伸びますね」
「ほれひひょうはのひなひほ」
提督の頬は大和の手により縦や横に引っ張られ、その都度情けなく顔は変化する。
それから一分程して、大和はようやく飽きたのか頬から手を離した。
「満足か?」
「えぇ、面白かったです」
「お前なぁ……」
「――こんな風に下らない事が出来るのって、いいものですね」
「下らない事ばっかりな気がするがな、最近は」
「平穏な日常を生きているという気がしますから、下らない事ばかりの方が、大和は幸せです」
「……そうか」
そこで会話は一度途切れ、再び大和は提督へと寄り添い、手を握る。
そのまま日が暮れるまで、二人は穏やかな海を眺めるのだった。
――――提督、今日は一緒にお風呂に入りませんか?
――――入りませんかって風呂の方向に引っ張りながら言うなよ。
――――提督執務室。
「……どうなってんだ、こりゃ」
目の前で起きている事態が上手く呑み込めず、提督は暫しその様子を眺めていた。
現在この執務室には、艦娘が七人居る。しかも、その内の三人は彼の知らない艦娘だ。
「二人とも、強くなりたいのなら精進あるのみだ」
「あぁ、分かっている。この長月、何れは駆逐艦を超越してみせよう」
「武蔵さんみたいな立派な戦艦になれるように、清霜頑張ります!」
武蔵に教えを請うている長月と、武蔵が居る気配がしたからと突然鎮守府に入ってきた清霜。
「早霜、私は今は水偵を装備していないぞ?」
「なら、早霜に下さらない?」
「そもそもお前には積めないと思うのだが……」
一週間ほど前から那智を物陰に隠れて眺めていた早霜。
「時津風、ようやく会えました!」
「雪風、元気そうだね、うんうん」
ずっと海に向かって毎日願掛けをしていた雪風の前に現れた時津風。
(どこから話を聞けばいいんだよ、これ……)
とりあえず、新規着任の書類を三枚作成するところから始めようと、提督は目の前のやり取りには無視を決め込むのだった。
――――清霜、早霜、時津風が着任しました。
・??『(小さくなりすぎです)』 、投下します
――――陽炎型、私室。
「俺だ、入ってもいいか?」
「司令はん? えぇでー」
「何勝手に入れようとしてんの黒潮! 私まだ着替えてるって!」
「んにゅ……しれぇ……?」
「雪風、早く起きないとパンツ見られちゃうよ?」
「こんな時間に何の用があるってんだい?」
「提督が来るなんて珍しいね、舞風と踊りたくなったとか?」
「それは無いと思います」
まだ時間が早いということもあり、大半の陽炎型が部屋には残っていた。
入って問題がありそうなのは陽炎だけのようなので、提督は中へと入る。
「邪魔するぞ」
「ちょっと司令! まだ着替えてるって言って――そのちっちゃい子、まさか不知火……?」
「ちらぬいです」
「見ての通りだ、すまんが頼む――黒潮?」
「司令はん、ちょっとこっちで話聞かせてぇな」
「コラ待て引っ張るな、断じて俺が誘った訳じゃないし俺は止めたんだぞって何だその鉄製のハリセ――」
鈍い音が部屋から出ていった二人の方から聞こえ、すぐに黒潮だけは部屋へと戻ってくる。
その事には誰も触れず、小さくなった不知火をつついたり持ち上げたりすることに全員が夢中になっていた。
「可愛くなっちゃってまぁ……」
「雪風よりちっちゃいです」
「おーすっごい軽いね」
「目付きだけはちっこくなってもまんまだねぇ」
「こどもあつかいちないでください」
「私は朝御飯作ろっかな」
「手伝います。食べやすい物にした方が良さそうですね」
「あの、ちらぬいはひとりでもだいじょうぶ……」
本人が不服そうにしているのは無視され、完全に幼児として不知火は扱われる。
黒潮にはペロペロキャンディーを貰い、雪風や時津風には頬擦りをされ、陽炎や谷風には写真を撮られ、されるがままだ。
「お子様ランチ作ってきたよー」
「食べさせた方がよいのでしょうか?」
「……ひとりでたべられます」
目の前に置かれたお子様ランチを暫し見つめてから、不知火はハンバーグを口に運ぶ。
美味しかっただけでなく、自分の為にわざわざ朝から手の込んだものを作ってくれたのが嬉しかったこともあり、彼女は微かに微笑んだ後、黙々と食べ始めるのだった。
――――その時の写真がこれや。
――――言い値で買おう。
それでは再び四つまでリクエスト受け付けます
E2とE4で苦労して更新がだいぶ遅れてましたが、E6はゆっくりやるつもりなので少しずつ速度は回復すると思います
結晶破壊作戦も遅れに遅れてますが、必ず投下するのでご容赦ください…
・衣笠『記事書くの手伝って』
・夕立『風邪引いたっぽい……?』
・足柄『ダラダラする』
・睦月『長女っぽく』
以上四本でお送りします
・衣笠『記事書くの手伝って』、投下します
――――提督執務室。
「提督、記事書くの手伝って!」
「自分で書け」
「明日までに書けって青葉に言われたんだけど、全然書けてないの……」
「はぁ……何の記事だよ」
「納涼怪奇特集」
「ネタは?」
「夜な夜な裏山の木々を飛び回る妖怪」
「川内だな」
「夜な夜な鎮守府の廊下に現れる長い髪の少女」
「夜中に目が覚めたら早霜が目の前に居たって那智が言ってたから、多分移動中の早霜だ」
「夜な夜なカタカタと音を立てる伊勢さんの刀」
「アレは無視しろ、完全に謎だ」
「ねぇ、どうやって書いたらいいと思う?」
「ネタからしてイマイチだ、コレ使え」
「写真?」
「青葉が撮ってお蔵入りさせたお前の写真だ」
「私の?――ひっ!?」
「良かったな、良いネタだぞ」
「この肩の手何なの!? この時は私の後ろ、誰も居なかったはずだよ!?」
「さぁな、俺もこういうのは詳しくないからよく分からん」
「て、ててて提督、今日は絶対に一緒に寝てよね」
「記事書くなら部屋戻った方がいいんじゃないか?」
「青葉は今日用事あるとかで部屋に居ないの!」
「それとこれとは関係無いだろ」
「こんなの見せられたら一人で寝るの怖いに決まってるじゃない!」
「ガキじゃあるまいし、この程度の写真でビビり過ぎだ」
「そんなこと言わずに、ね? 提督の食べたいもの何でも作ってあげるよ?」
「鯛飯と松茸の土瓶蒸しと神戸牛のサーロインステーキ」
「……そんなに私と寝たくない?」
「冗談だ。しかし、幽霊が怖いとは意外だな」
「青葉に付き合わされて廃墟に行ったり、心霊スポットに行ったりしてるうちに、段々嫌いになってきちゃったの」
「アイツは平気そうだからなぁ……」
「私が嫌いなの分かってて怪奇特集書けとか酷くない?」
「嫌いだからこそじゃないか? 書いてる人間が怖がってたら、文章にも怖さがしっかり表れると思ったんだろ」
「それはそうかもしれないけど……」
「とにかく手伝ってやるから、さっさと終わらせるぞ」
「うん、ありがとね」
「夕飯はチキンカレーな」
「了解!」
――――(絞まる……首が……死ぬ……)
――――(提督に抱き着いてると安心安心)
――――後日。
「アレ、合成だろ」
「あらら、バレちゃってました?」
「捏造は程々にしろよ」
「いやー本当に写ってるのはマズイかなと思いまして」
「……衣笠にコレ見せたら、卒倒するんじゃないか?」
写真はお祓いしておきました。
――――鎮守府、廊下。
「加賀、ちょっと話があるんだけどいいか?」
「構いませんが、何でしょう」
「赤城が今朝帰ってきたんだが、土産にとんでもないものを持って帰ってきてな……」
「とんでもないもの、ですか?」
「あぁ――艦娘だ」
――――食堂。
「まずは食事でもしながら、ゆっくり話でもしましょう」
「……」
「ここの食事は美味しいですよ、貴女も好きなものを食べてください」
「……また私は、空母として戦いに参加出来なかったのね」
「戦いたかったですか?」
「その為に生まれたのよ。二度も生を受けて、二度とも戦闘に参加出来なかった私に、一体何の価値があるというの?」
「――無価値であることに、価値があるということもあるんです」
「無価値が、価値……?」
「確かに私達は今、空母としての役目を偵察程度にしか求められていません。ですが、艦娘として出来ることはいくらでもあります。兵器としては無価値であったとしても、です」
「“兵器”ではなく、“艦娘”として……」
「おまちどおさまあ」
「ありがとうございます、大鯨。やはり帰ってきたら間宮さんの和食を食べなくては」
「お代わりはまた言って下さいね」
「貴女も考え込むのは、食べた後にしてはどうですか?」
「……いただきます」
「大鯨、お代わりをお願いします」
「はい、今行きまあす」
(――親子丼、美味しい)
――――雲龍が保護されました。
・夕立『風邪引いたっぽい……?』、投下します
――――提督執務室。
「提督さん、今日は夕立がお世話するっぽい」
「……夕立、ちょっとこっち来い」
執務室に入ってきた夕立を見るなり、提督は近くへ来るように促した。
それに素直に従い、彼女は小走りで歩み寄る。
「夕立、何かしちゃったっぽい?」
「いいからもっと近くに寄れ」
「て、提督さん? 顔ちょっと怖い……」
「――お前、熱あるだろ」
「っ……ね、熱なんて無いっぽい」
露骨に目線を逸らし後退りしようとする夕立の手を掴み、提督は強引に引き寄せる。
額と額を合わせると、かなりの高熱であることが容易に分かるほどの熱が彼へと伝わった。
「時雨達は気付かなかったのか?」
「バレる前に逃げてきちゃった」
「後でしっかり怒られろ。とりあえず、明石に薬持ってきて貰う」
「苦いのと注射は嫌っぽい」
「注射はしないが薬は飲め、苦くないやつにしてやるから」
「うー……これじゃ提督さんと遊べないっぽい……」
提督にもたれかかり頭をぐりぐりと押し付けながら、夕立は残念そうな声を出す。
その頭に手を置き、彼は優しく撫でる。
「今日は俺がずっと傍に居て看病してやるから、大人しく寝ろ」
「提督さん、お仕事は……?」
「事情を説明して加賀と吹雪に代行してもらうさ。大淀も今は居るから、一日程度なら問題ない」
「今度お礼言いに行かなきゃいけないっぽい」
「その為にも、しっかり寝て早く治せ」
「うん、じゃあベッドまで抱っこして欲しいっぽい」
実際のところ、立って歩くのも辛かったこともあり、夕立は完全に提督に身体を預けて脱力する。
少し汗ばんでいる彼女を抱き抱え、彼は自室へと移動を開始した。
「夕立、一度部屋に戻って着替えた方がいいんじゃないか?」
「今はベッドに早く寝たいっぽい……」
「そうか。なら後で誰かに寝間着出してもらうことにする」
「そうして欲しいっぽい」
――――夕立の寝間着と下着出してくれ。
――――……そういう趣味があったとは知らなかったよ。
――――違う、断じて違う!
――――後日。
「提督さん、夕立の服と下着欲しいっぽい?」
「欲しいなんて一言も言ってないぞ、俺は」
「着れなくなった小さいのならいいよ?」
「頼む、貰ったら本当に誤解を生みかねんからやめてくれ……」
何となくMIで索敵担当で頑張ってくれたので龍驤で一本
普通なら大問題ですが大丈夫ということで
――――提督執務室。
「どないしたんよ、急に呼び出したりなんかして」
「自分が一番良く分かってるんじゃないのか?」
「な、何の事かさっぱり分からんで?」
「無断で彩雲、持ち出しただろ」
「あちゃー……やっぱバレてたんか」
「夕張からしっかり報告があったよ、艦載機が足りないってな」
「バレてたらしゃーないなぁ。で、うちはどんな罰受けたらえぇの?」
「そうだな……無断で持ち出した理由を青葉に記事にしてもらうってのはどうだ?」
「っ!? ちょ、ちょっと待ってぇな! キミ、理由知ってんの!?」
「加賀も知ってるぞ。良かったな、理由が理由だから今回はお咎め無しだそうだ」
「あかん、あかんって! そんなん記事にされたら恥ずかしくて鎮守府の中歩かれへんやんか!」
「無断で鎮守府外に持ち出したのをその程度で許してやろうってんだ、有り難く聞き入れたらどうだ?」
「……キミは怒ってへんの?」
「怒ってるぞ、何でその時にちゃんと言わなかった。わざわざこそこそ持ち出さなくても協力してやるに決まってんだろ」
「……次からはそうするわ」
「じゃあ話は以上だ。明日の記事楽しみにしとけ」
「明日から暫く部屋から出んようにするわ」
「――明日、秘書艦日だぞ?」
「あっ……あぁぁぁぁぁぁっ!?」
――“龍驤、母親の形見を無くしたと泣く子供の為に無断で艦載機を持ち出し捜索!”
――“少年からは感謝の手紙が鎮守府に寄せられ、司令官と加賀さんもこの一件による彼女への処分は見送った模様”
――――何で今日に限って鎮守府の見回りなんかするんよ!
――――会う奴全員から優しくされて嬉しくないのか?
――――恥ずかしくって死にそうやっちゅうねん!
・足柄『ダラダラする』、投下します
――――休憩スペース。
「――足柄、何してるの?」
「昼寝してたら、最近ちょっとだらけ過ぎだって妙高姉さんに部屋を追い出されちゃった」
「それでここでトランプして遊んでるのね……」
戦時中とは雰囲気がガラリと変わった足柄。
牙の抜け落ちた獣のように、日がな一日ダラダラと過ごすことがほとんどだ。
「大鳳さんもやる?」
「いいの?」
「あの、お忙しくなければ一緒にしたいです」
「そう、じゃあ私も混ぜて貰うわね」
深雪と磯波に誘われ、大鳳も腰を下ろして参加する。
それに合わせて、カードをシャッフルしていた足柄が口を開いた。
「四人になったし、次はどうしましょうか?」
「ポーカー、とか?」
「深雪はルール知ってるからそれでいいぜ」
「私も大丈夫よ」
「じゃあポーカーね。賭ける物もないし、チェンジは一回までで勝負しましょ」
ルールも決まり、足柄はカードを五枚ずつ配っていく。
以前ならばここで絶対に揃わなかったであろう艦娘が居るが、その心配は既に無い。
――――勝負!
――三十分後。
「フルハウス、また私の勝ちね」
「ちくしょー! また負けた!」
「足柄さん、カードゲーム強いんですね」
「勝負ならやっぱり勝ちたいじゃない?」
「……」
十戦やって、足柄が七勝、磯波が二勝、深雪が一勝、大鳳は全敗という結果だ。
エースのワンペアを彼女が揃えられただけで大きな進歩だが、勝つにはまだまだ運が足りなかった
「さて、もう一戦――」
「足柄さん、雪風もやりたいです!」
「僕も混ざろうかな」
「楽しそうですね、榛名もご一緒させて頂いてもいいでしょうか?」
「えっ」
「足柄、頑張ってね。私はそろそろ部屋に戻るわ」
「深雪もそろそろ白雪と町内清掃に行ってくるよ」
「ハーブの様子見に戻らないと……」
「いいわ、やってやるわよ。三人ともかかって来なさい!」
――――フォーカードだよ。
――――榛名もフォーカードです。
――――雪風も同じ数字が四つです!
――――に゛ゃー! また負けたー!
・睦月『長女っぽく』、投下します
――――提督執務室。
「――睦月、ここ字が間違ってるぞ」
「おりょ? あっ、ホントだ」
「侍機って、侍のロボットでも夕張に作ってもらうつもりか?……アイツなら嬉々として作り始めそうだな」
「他は間違ってないかにゃ?」
「あぁ、他は大丈夫だ。それじゃあキリもいいし、ちょっと休憩にするか」
「了解でーす」
椅子から立ち上がって敬礼し、お茶を淹れに行く睦月。
口調は相変わらずだが、執務を積極的に手伝い、秘書艦としてしっかりと務めを果たしていた。
「はい、どうぞなのね」
「茶淹れるのも上手くなったもんだ。最初の茶葉だらけの茶が懐かしいな」
「アレはちょっと手が滑っちゃったの!」
「そういうことにしといてやるよ」
隣に座って片手で叩いて抗議してくる睦月の頭を撫でながら、提督は茶に口を付ける。
暫く撫でている間に抗議も止み、代わりに彼女の頭が彼の肩へと預けられた。
「――なぁ睦月、無理して執務手伝わなくていいんだぞ?」
「どういうことかにゃ?」
「如月や三日月、菊月だって毎回執務を手伝ってる訳じゃない。他の睦月型に関して言えば、基本的に昼寝か遊びに付き合わされるのがほとんどだ。お前も別にしたいことややりたいことを、言っていいんだぞ?」
どちらかと言えば、睦月は遊ぼうと誘うことの多かった艦娘だ。
それが終戦して以降、秘書艦日には必ず真面目に執務を手伝っているのが、提督には少し気がかりとなっていた。
「睦月はやりたいことやってるよ? 提督のお手伝いは大事なことだし、何てったって睦月は長女なのね!」
「……無理はしてない、そう思ってていいのか?」
「お手伝いの合間に頭撫でてくれたり、ギュッてしてくれたら、睦月はそれだけで頑張れちゃうよ」
「偉いな、睦月は」
「もっと誉めても良いのだぞー?」
「調子に乗るのは誤字脱字を無くしてからにしろ」
「わわわっ! 睦月の髪グシャグシャにしちゃダーメー!」
――――(疲れて寝る姿は、まだまだ子供なんだがな)
――――「ふみゅ……睦月をもっともっと誉めてー……」
次のリクエストは明日21日0時、3時、6時、9時、12時に一番早く書き込まれたものを受け付けます
フライングは今回は無効にします
イベント+ガラケーで入力してスマホに転送して更新してる+リアルちょっと忙しめという感じで遅くなってます…
腕三本と顔二つあれば更新楽なんですが…
出す準備はしたので、一応深海悽艦も出せます
ちょっと特殊な形になりますが…
・第六駆逐隊『司令官とキャンプ』
・名取『夏は大変……』
・雲龍『私も艦載機が欲しい』
・武蔵『暑い』
・瑞鶴『不貞腐れるぞー』
以上五本でお送りします
・第六駆逐隊『司令官とキャンプ』、投下します
――――キャンプ場。
「司令官、ここにテントを張ればいいですか?」
「そうだな、いいんじゃないか?」
「暁がしっかり指示を出すからちゃんと動くのよ?」
「暁、そこに居られるとテントを張れないんだが」
「あっごめん……」
「司令官、ここはこんな感じでいいの?」
「あぁ、それで合ってる」
「暁、ちょっとこっち手伝って欲しいのです」
「分かったわ、そこを支えればいいのね」
「指切らないように気を付け――」
「司令官! 暁が指を切ったのです!」
「はぁ……ヴェールヌイ、消毒して絆創膏貼ってやれ」
「了解」
――二十分後。
「完成したのです!」
「雷様の手にかかればこんなの簡単よ」
「きょ、今日は妹達にやらせてあげただけなんだから!」
「絆創膏を徳用箱で持ってきて正解だったよ」
「夕飯はどうするつもりなんだ?」
「カレーにしようと思ってるわ」
「カレーで大丈夫なのか?」
「暁も食べられる様に工夫して作るのです」
「牛乳も明石さん特製保冷ボックスに入れてきたから、多少辛くても問題ないはずだよ」
「辛いのはもう克服したから、そんなに心配しなくても大丈夫だし」
――――カレー、調理中。
「具はシンプルが一番なのです」
「野菜は大きめに切るわね」
「司令官、らっきょうか福神漬け、どっちがいい?」
「福神漬けで頼む」
「ご飯はちゃんと暁が見張ってるから大丈夫よ」
「ルーだけで食う様な事態は勘弁だぞ」
――1時間後。
「美味しく出来たのです」
「雷が作ったんだから当然よ、司令官に不味いカレー作るわけないじゃない」
「良い香りだ、食欲を掻き立てられる」
「ご飯もしっかり炊けたわ」
「じゃあ早速食うか」
「「「「「いただきます」」」」」
「――うん、こういう場所で食うカレーはまた格別に美味いな」
「じゃがいも美味しいのです」
「司令官、お代わりが欲しくなったら私に言ってね?」
「ハラショー、コレなら何杯でも食べられそうだ」
「ひびき、ぎゅーにゅーどこ?」
――――就寝。
「……コレは無理が無いか?」
「司令官、為せばなるなのです」
「もーっと私にくっついてもいいのよ?」
「諦めが肝心だよ、司令官」
「むにゃ……暁は一人前……なんだから……」
「俺の腕枕で全員寝るって、絶対暑いだろ」
「ちょっと暑いですけど、一番寝心地が良いのです」
「司令官も私達と一緒だと寝やすいわよね?」
「司令官の腕枕は、とてもいいものだ」
「お姉ちゃんを……もっと、頼り……すぅ……」
「俺が寝返り打って頭打っても知らんからな……お休み」
「お休みなさいなのです」
「お休みなさい、司令官」
「お休み」
「カレー……辛いよぉ……」
――――はわわっ!? 電は桃じゃないのです!
――――司令官、食べたいなら雷も食べていいのよ?
――――雷、流石にそれはどうかと思う……。
――――んぅ……もも……? あかつきもたべる……。
――――暁まで電をかじっちゃダメなのですー!?
MVPで雷様と言っているので、自分を強調する時に一人称を“雷”にしています
一部一人称が公式セリフに無い艦娘も居ますし、余程おかしくなければスルーして下さい
提督の呼び方も間違えていたのは直しています(青葉、長波とか)
――――提督執務室。
「――工廠へ来い? 何かあったのか?」
『あの、実は建造担当の妖精さんが仕事があまりに無さ過ぎて、半ば自棄で残ってた資材を相当使って建造しちゃったみたいなの……』
「また艦娘が増えたってことか……まぁいい、とりあえず行くから待ってろ」
『なるべく早くお願いしますね』
――――工廠。
「それで、その艦娘はどこだ?」
「あそこの人だかりの中」
「……何か中から手が助けを求めてるぞ」
「あの面子から救出はちょっと私には荷が重いです」
「はぁ……止めてくる。――おいお前等、ちょっと離れろ」
「む? 提督か、建造妖精も良い仕事をしてくれたものだな」
「テートクゥ、感動の再会に水を差すのはnonsenseネー」
「雪風、嬉しそうね」
「再会を心待ちにしていましたから」
「感動の再会はいいんだが、そろそろ解放してやらんと泡吹くんじゃないか?」
「ゆき、かぜ……くるし……」
「いぞがぜぇ、あいだがっだでずぅ……」
「私は、大丈夫だ……だから……離せ……」
(こりゃ話を聞くどころじゃなさそうだな……)
「いぞがぜぇ……」
「いい加減に、しろ! 私をもう一度処分するつもりか!……ここにちゃんと私は居るぞ、だから泣き止め」
「……はい!」
――――磯風が着任しました。
「1スレ目から出ているのにまだ自分が着任していないであります」
・名取『夏は大変……』、投下します
――――長良型、私室。
「五十鈴姉さん、ベビーパウダーある?」
「あるわよ、はい」
「ありがと姉さん」
「夏は嫌になるわね、蒸れて仕方がないわ」
「去年は汗疹になっちゃった……」
「しっかり対策しておかないとダメよ、明日秘書艦日でしょ?」
「ふぇっ!? そ、それとコレとは関係無いよ?」
「あら、私に隠し事出来ると思ってるの?」
「うぅ……恥ずかしいからそういうのやめてよぉ……」
「提督と良い関係を築けてるならいいじゃない。何も恥ずかしがる必要は無いわ」
「い、五十鈴姉さんみたいに堂々とするのは私には無理だもん」
「よくそれで夜戦に自分から誘えたものね」
「そ、それは、その……提督さんなら優しくしてくれると思ったから……」
「あら、本当に名取から誘ってたの?」
「あっ――五十鈴姉さんの意地悪!」
「ごめんなさい、少しからかい過ぎたわね。ほら、ベビーパウダー塗ってあげるからこっち向きなさい」
「……うん」
「明日は他の事は気にせず、しっかり甘えてくるといいわ」
「うん、ありがとう、五十鈴姉さん」
――――翌日、提督執務室。
「て、提督さん」
「何だ?」
「クーラーの温度、下げてもいいですか……?」
「悪い、冷えないようにと思ってたんだが上げすぎてたか。好きに下げていいぞ」
「じゃあ、下げますね」
(――かなり下げたな、冷えすぎないといいんだが……)
「あ、あの……」
「今度はどうした?」
「少しだけ休憩、しませんか?」
「そうだな……この調子なら多少休んでも夕方までには終わるし、そうするか」
「あっ、あの!」
「何だ?」
「……隣座っても、いいですか?」
(なるほど、それで下げたかった訳か……)
「別に許可取らなくてもいいから、好きにしろ」
「じゃ、じゃあ座ります」
「――かなり遠慮はしなくなったな」
「やっぱり、迷惑ですか……?」
「いや、前にも言ったが俺としては嬉しいぞ」
「……だったら、もう少しお願いしても、いいですか?」
――――名取が帰って来てから凄く幸せそうだったけど、何かあったの?
――――俺に一日抱き着いてた。
――――長良型、私室。
「長良姉さん、洗濯物コレで全部?」
「うん、それだけだよ」
「五十鈴姉さんは?」
「じゃあ一緒にコレとコレもお願いするわ」
「うん、分かった」
「名取、私のブラ、どこ?」
「由良のならそこの引き出しに入ってるよ」
「名取姉さん私のジャージはー?」
「脱ぎっぱなしだったから洗って外に干してる」
「阿武隈の名入りTシャツ知らない?」
「そこの三段目」
(夏は洗濯物多くなるから大変だなぁ……)
オマケの没ネタです
・雲龍『私も艦載機が欲しい』、投下します
――――工廠。
「雲龍、何してるんだ?」
「艦載機を見ているの」
「演習用の奴なら許可出してやるから、演習場で飛ばしていいぞ」
「……他の空母達は、自分の艦載機を持っているのね」
「お前も欲しいのか?」
「くれるというの?」
「一機や二機程度開発するなら問題ない、文句を言われることもないだろうからな」
「そう、ではお願いするわ」
「何か希望はあ――」
「九九艦爆が可愛いからオススメよ」
「烈風と流星なんてどうかしら?」
「天山も良いと思うんです」
「お前等、どっから湧いた……」
「瑞鳳、九九艦爆はどこがいいの?」
「何より脚が可愛いのよ!」
「大鳳、烈風と流星は?」
「とても優秀な子達ね」
「龍鳳……ではないわね。大鯨、天山はどこがいいの?」
「天山も可愛いですよ」
「そう……提督、烈風と流星をお願いするわ」
「分かった、一緒についてこい。夕張が仲介やってるから、まずはアイツに話しに行くぞ」
「九九艦爆の脚、可愛いのに……」
「天山も可愛いんです……」
(烈風と流星はカッコいいって言わなくて良かったわ……)
――――二時間後。
「コレが烈風と、流星?」
「片方は間違いなく烈風は烈風だけど、ちょっと妖精さんが特殊かも。こっちは流星じゃなくて天山で、同じく妖精さんが少し特殊ね」
「失敗……って訳でも無さそうだな」
「むしろ大成功なんじゃないかしら。妖精さんが親指立てて良い仕事したーって感じだったし」
「私の、私だけの艦載機……」
「良かったな、雲龍」
「演習場、使わせてもらっていい?」
「大鳳辺り捕まえて一緒に使え、良い演習になるだろ」
「そうするわ」
――――翌日。
「今日も演習場を使いたいのだけど」
「昨日大鳳がクタクタになるまで付き合わせたんだろ? 今日は休め」
「使いたいのだけど」
「いや、だから休めと――」
「使いたいのだけど」
「人の話を――」
「使いたいのだけど」
「お前は壊れたテープレコーダーか何かか? あぁもう分かった分かった、瑞鳳か瑞鶴辺りに頼んでやるから」
「そう、お願いするわ」
「まぁ気持ちは分からんでもないが、程々にな」
「大丈夫、明日からは違うこともしてみようと思うから」
「そうか、何かしたいことがあれば遠慮なく言え。出来る範囲で協力する」
「……なら、今度少し話をしましょう。色々と聞きたいこともあるの」
「あぁ、いいぞ」
――――ケッコンカッコカリって、何?
――――書類と指輪で提督と艦娘の絆を強める儀式、らしい。
――――ふーん……。
・武蔵『暑い』、投下します
――――提督執務室。
「提督よ、クーラーをもう少し強くしてくれ」
「上サラシ一枚で何言ってやがる、風邪引くぞ」
「大和型二番艦を舐めてもらっては困るな、この程度で風邪を引くような軟弱な鍛え方はしていない」
「鍛えてんなら暑さも我慢しろ」
「暑いものは暑い、我慢は身体に毒だぞ」
「お前なぁ……」
「ふむ、下げないというなら仕方無い」
「おい、何下まで脱いでんだ」
「暑いと言っているだろう。それに、下は水着だ」
「そういう問題じゃねぇよ」
「潜水艦達は水着が制服だ、私が水着でどこに問題がある」
「武蔵、お前終戦してから性格変わってないか?」
「元々私はこういう性格だ、単に提督が見抜けていなかっただけに過ぎん」
「……よくよく考えたら、大和と二人で前から色々暇潰しと称してやらかしてくれたし、今更だったな」
「提督よ、今私の事を馬鹿にしなかったか?」
「下水着、上サラシで凄まれてもなぁ……」
「ほぅ、良い度胸だな。少し大和型の凄さというものを改めてその身に刻んでやる」
「――この間宮特製のカステラは、いらないってことだな?」
「物でこの武蔵が釣れると思うと思うなよ」
「そうか、なら一人で食――っ!?」
「どうだ? 凄いだろう?」
(息が……息が出来ん……)
「趣味趣向は人それぞれだが、コレが嫌いというわけでもあるまい?」
(嫌いじゃない。嫌いじゃないが、死ぬ!)
「人を馬鹿にした報いだ、限界まで埋もれていろ」
(離れろコラ! 暑いんじゃなかったのかよ!?)
「――そろそろ限界か」
「ぶはっ!? 殺す気かお前は!」
「安心しろ、これでも提督のことは慕っている」
「お前の愛情表現はイチイチ心臓に悪いんだよ」
「慕う女の気持ちぐらい、ドンと構えて受け止めんか」
「お前にドンと来られたら吹き飛ばされる」
「――コレなら、文句はないな?」
「……身長差が恨めしくなるな、本当に」
「その台詞は私が言いたいさ」
――――……提督よ。
――――何だ?
――――抱き合っていると、暑いな。
――――氷でも抱いてろ!
・瑞鶴『不貞腐れるぞー』、投下します
――――提督執務室。
「――提督さん」
「何だ?」
「もう夕方なんだけど」
「そうだな」
「まだ書類終わらない?」
「ちょっと今日は俺が処理しないといけないのが多いんだ」
「そっか……」
「すまん。退屈なら少し暇を潰してきてもいいぞ?」
「嫌、ここに居る」
「そうか、だったら熱い茶くれないか?」
「むぅ……今は淹れてあげない」
(かなりご機嫌斜めだな、後で埋め合わせしないといかんか……)
「じゃあ終わったら頼む」
「早く終わらせないと淹れたげなーい」
「分かった、なるべく早く終わらせる」
――三十分後。
「まだー?」
「――よし、終了だ」
「うん、じゃあお茶淹れたげるね」
「あぁ、頼む」
(久しぶりに書類と丸半日付き合ってたのか、流石に疲れたな……いかん、少し眠気が……)
「提督さん。はい、お茶――提督さん?」
「……」
「おーい、提督さーん」
「――ん?」
「寝てた?」
「いや……すまん、寝かけてた」
「へー、眠いの?」
「少しな」
「そっか、じゃあ私がスッキリさせたげるね」
「おい、何を――あっつぅぅぅぅっ!?」
「どう? 目、覚めた?」
「しっかり目は覚めたぞ、着替えなきゃいけなくなったがな……」
「早く着替えて構ってね?」
「瑞鶴、もう少しやり方無かったのか?」
「何、文句あるの? 提督さんが悪いんじゃん」
「はぁ……着替えたら何でも聞いてやるから、ちょっとあっち向いて待ってろ」
「言ったね? ちゃんと約束守ってよ?」
「いいからあっち向け!」
「はーい」
――――お前は俺がどうなってもいいんだな?
――――大袈裟だって、これぐらいちょっとした罰ゲームじゃない。
――――加賀に“五航戦の方が優秀”って言うのが罰ゲームって、どんだけ重い罰ゲームだよ……。
次のリクエストは先着で4つ受け付けます
・時津風『叩くよ!』
・赤城『クラゲ料理というものがあるそうですね』
・春雨『ボケかツッコミか?』
・摩耶『粗暴な言葉を禁止された』
以上四本でお送りします
・時津風『叩くよ!』、投下します
――――提督執務室。
「すまん、この書類を――」
「待って、それ以上近付いたら叩くよ!」
「……俺、お前に何かしたか?」
「黒潮が司令に近付いたら食べられるって言ってたから」
(犯人は黒潮か……)
「安心しろ、何もしない」
「でも、電が二回司令にかじられたって言ってたよ?」
「あー……いや、アレは寝ぼけてただけでだな」
「ほら、やっぱり食べようとしたんでしょ! これからは雪風にも近付いちゃダメだかんね!」
「無茶言うな。どうしてもってんなら雪風に話聞いてみろ、すぐに誤解だって分かるはずだ」
「むむむ、じゃあ聞いてくる」
――三十分後。
「しれぇは優しい良い人だってものすっごく笑顔で言われた」
「誤解は解けたようだな」
「うん、じゃあさじゃあさ、お昼御飯作って」
「どうしてそうなる」
「作れるって聞いたし」
「間宮のところに一緒に行けばいいだろ」
「えー作ってよーしれー」
「コラ、腕を叩くな、書類が書けん。叩くなら肩にしろ」
「肩叩きしたら作ってくれんの?」
「……和食限定な」
「カレー!」
「和食……? まぁ、カレーなら作れるからいいぞ」
「玉葱いっぱい入れてね、辛さはちょっと控え目がいいかなー」
「了解、じゃあキリも良いし今から作る」
「はーい」
「――雪風、最近いつも嬉しそうだな」
「そだね、磯風も来たし」
「寝る時、部屋狭いだろ」
「んーでも皆一緒だと雪風が喜ぶから、たまに天津風と浦風も部屋に来てすっごいギュウギュウ詰めになっちゃうけど……」
「全員揃ったら誰かの上に誰かが乗らんと寝れんな」
「それはやだ」
――――ごちそうさまー!
――――口の周りに付いてんぞ。
――――ん? どこどこ?
――――コラ、袖が汚れる。拭いてやるから待て。
予定より全然書けてませんが結晶破壊作戦の続きを少し投下します
このスレ中には書ききりたい…
――PUKAPUKA丸。
「五十鈴、初霜、お前達も前線に出て良かったんだぞ?」
「バカね、貴方は私達の指揮官なのよ? 誰かが護衛しなきゃいけないに決まってるじゃない」
「砲撃からは私が守ります」
「潜水艦と艦載機は任せなさい。提督を指揮だけに専念させてあげるわ」
PUKAPUKA丸の護衛として、五十鈴と初霜の二人は提督と話をしつつ、周囲を常に警戒しながら待機する。
初霜だけでなく五十鈴も、潜水艦と艦載機に対する対処の素早さと的確さという点において、実に頼もしい。
『なぁ大将、護衛は二隻だけで大丈夫なのかい?』
「俺は大佐だって言ってるだろ。それと、二隻だけじゃない、二隻もだ」
『ははは、冗談だって大将。その子達の強さは、俺もうちのも重々承知してるって』
とても気軽な口調での通信。以前から交流があり、資源や装備の援助を行った事もある後輩提督からのものだ。
彼が提督を“大将”と呼んでいるのは、先輩への敬意を表しているのであって、階級についてではない。
「それで、そっちはどうなんだ?」
『主力しか連れてきてないし、全員何かあったら即離脱しろって命令してある。ついでに、なるべく大将の艦隊にくっついてろってね』
「……流石に今回はこっちも助ける余裕があるか分からんぞ?」
『迷惑をかけるつもりは無いさ。うちの奴等も今じゃ一人前だし、足手まといには絶対にならない』
後輩提督の主力は潜水艦娘であり、今この場にいる五十鈴がよく演習の相手をして鍛えていた者達だ。
提督も念の為に確認しただけで、その実力を疑っていた訳ではない。
「無理だけは、させるな」
『沈めたら腹かっ捌いて自害する覚悟でいつも居ますから、大丈夫です』
「それだけはやめろ、残った奴等が泣くぞ」
『嫌なら生きて帰って来ますって』
「はぁ……お前のところの艦娘は苦労させられてそうだな」
「提督にだけは言って欲しくないわ」
「同感です」
横からの突っ込みを咳払いで誤魔化し、提督は通信を強制的に切る。
話を無理矢理終わらせる為、そして、開戦が近い事を察知したからだ。
――“作戦行動、開始せよ!”
――第一艦隊。
「長門さんが前方で盾になってくれてます! 重巡と航巡の皆さんは長門さんの護衛をお願いします!」
『了解!』
「軽空母の皆さんとあきつ丸さんは砲火が薄くなったところを援護して下さい!」
『任せといて!』
「天龍さん達と名取さん達は右を、球磨さん達と阿賀野さん達は左をお願いします!」
『俺様に任せときな!』
『狩りの時間だクマ!』
「私達は弾幕張って敵を近付けさせないようにするよ、撤退とか補給は合図出したらすぐにお願い! 雷撃のタイミングと後方にも注意して!」
『弾幕なら任せておいて』
『司令官の為、全力を尽くします』
『ここは通行止めですよー』
『妾の力、とくと見るがよい』
『秋雲、深海棲艦の絵は帰ってから描いてくれないかしら?』
第一艦隊旗艦、吹雪。
全員への指示を終え、彼女もまた眼前の敵へと砲撃を開始する。
その指揮は、ずっと彼女が見てきた想い人そのものだった。
(司令官が任せてくれたこの大仕事、必ずやり遂げてみせます!)
――第二艦隊。
「あの調子だと当たりそうも無いね」
「油断は禁物よ瑞鶴、あの子達もそれは分かってるはずだわ」
「大丈夫だよ翔鶴姉ぇ、ヘマなんてしたら後で加賀さんにまた馬鹿にされちゃうもん」
「――釣れたぞ」
「じゃあ、行きましょうか」
「伊勢さんと日向さんは戦艦よろしくです。私と翔鶴姉ぇは重巡沈めるよ」
「了解、行くよ日向」
「艦載機と主砲の同時攻撃、披露する時が来たか」
「姉妹の連携なら二航戦や一航戦のお二人にも負けはしません!」
「運だけじゃないってところ、加賀さんに証明して見せるんだから!」
第二艦隊旗艦、瑞鶴。
加賀へ毎日の様に挑戦し、日々練度を上げ続けた彼女の実力を疑う者などいない。
敵陣を駆け巡る味方には一発も当てずに、四人は次々と隊列を離れた艦を沈めていくのだった。
(提督さんだけじゃない、加賀さんにも任せるって言われたんだ……絶対にやってやる!)
――第三艦隊。
「大井さん、北上さん、先制雷撃はお願いしますね」
『魚雷を撃って撃って撃ちまくるわ』
『はいはーい』
「駆逐艦の子達は戦艦の護衛頼むでー」
『陸奥さんは暁達が守るわ』
『ビスマルクはボク達に任せてよ』
『扶桑と山城は白露達に任せぶふっ!?』
『きゃー!? ごめんなさーい!』
『金剛達は私達がきっちり守るわ』
「何やちょっち心配もあるけど、しっかりやりや!」
「重巡と戦艦の皆さんは真っ直ぐ敵陣中央を突破して下さい」
『一歩たりとも退きはしません』
『この高雄が道を切り開きます!』
『前進あるのみデース』
『第三砲塔が爆発しないよう祈りながら進むわね』
『ドイツ艦の力、見せてあげるわ!』
「蒼龍と飛龍、千歳と千代田は空の掃除頼むで」
『二航戦、全力で行きます!』
『空母としての私達もやれるってところ、見せましょうか』
「川内型の三人は私達とバックアップをお願いします」
『夜戦じゃないのは残念だけど、やっちゃうよ!』
「――では、行きます」
「とっとと道開けや、ボサっと突っ立とったら全員ぶちのめすで!」
第三艦隊旗艦、鳳翔。補佐艦、龍驤。
この二人が第三艦隊を任されたのは、その安定感にある。
二人には爆発的な火力があるわけでもなければ、特殊な能力があるわけでもない。
しかし、その場で取れる最善の選択を見付け出す術には長けていた。
敵の反撃を許す暇を与えず、立ち塞がるもの全てを薙ぎ払いながら、第三艦隊は後ろの第四艦隊の通る道を切り開くのだった。
(帰ったら糠床をかき混ぜないと……)
(勝って全部終いにするんや!)
――第四艦隊。
「猫」
「金剛」
「う……卯月じゃな」
「俺」
「蒼龍さん」
「浦風」
「零戦52型」
「大鳳」
「さっきからうが多いですね……雲龍」
「そういう加賀もじゃないですか、潮」
第三艦隊の後ろを進む八人。
最奥まで力を温存する為に戦闘を回避していることもあり、手持ちぶさたになった彼女達の取った行動は、しりとりだった。
旗艦の加賀も参加しており、ある種異様な光景だ。
しかし、意外にもリラックスには効果があるのか、八人は無駄に神経を尖らせることもなく、ひたすら前へと進み続ける。
(早く帰って提督に会いたいわね……)
最強の第四艦隊。その出番は、もう少し先となる。
今回はここまでです
終わったらまとめて再投下も考えてます
・赤城『クラゲ料理というものがあるそうですね』、投下します
――――食堂、勝手口。
「間宮さん、一航戦赤城、ただいま戻りました」
「あら赤城さん、また何か持って帰って来られたんですか?」
「食べられると聞いたので、今日はコレを」
「コレは――クラゲ?」
「早速調理をお願いしてもいいでしょうか」
「えっと、本当に申し訳無いんですけど……コレ、食べれないクラゲです」
「……え?」
――翌日。
「赤城さん、元気出して下さい」
「皆で食べようと思ったんです……こんなことなら素直に鮪にしておくべきでした……」
(無断外出を咎めたいのだけど、これ程落ち込まれると何も言えないわね)
「赤城さーん、どこですかあ?」
「大鯨? 私に何か用でしょうか?」
「あっ、こちらでしたか。間宮さんが呼んでますよ」
「間宮さんが? 何かしら……」
「とにかく行ってみましょう」
――食堂。
「あっ、赤城さん。ちょうど今出来たところですよ」
「? ひょっとしてコレは……」
「クラゲ料理です、ちょっと仕入れて作ってみました。皆も呼んでますから」
「間宮さん……」
「コリコリ、してる」
「ふーん、クラゲもなかなか美味しいじゃない」
「結構いけるクマ」
「弾力あるにゃ」
「さぁ、赤城さんと加賀さんも召し上がって下さい」
「では、いただきます」
「クラゲ料理は初めてね」
「――食感が面白いですね、イカなどとも少し違います」
「コレはコレでいいものだわ」
「うふふ、喜んで食べてもらえると作った甲斐があります」
「次は食べられるクラゲを持って帰って来ますね」
「赤城、いい加減貴女も少し鎮守府で大人しくしたらどうなの?」
「霞、赤城と買い物行きたいらしいよ?」
「ちょっと霰! 余計な事は言わなくていいってば!」
「球磨も一緒に行くクマ」
「冬服買いたいにゃ」
「……えぇ、皆で行きましょうか」
(赤城さんもコレで少しは“休んで”くれるといいのだけど……)
――――赤城さんはどこですか?
――――霞と一緒に出てった。
――――(無断外出者がまた一人……事態が悪化するのは想定外ね……)
・春雨『ボケかツッコミか?』、投下します
――――白露型、私室。
「大事なことだから、しっかり答えてよ」
「えっと、何で……?」
「あたいの精神衛生上の問題」
「うーん、自分からボケようとはしない、かな」
「天然って言われたことは?」
「無い、と思う」
「よっしゃ、じゃあ春雨はあたいと一緒にツッコミ側でよろしく!」
「え? ツッコミ側って、何……?」
――翌日。
「おはよう、今日も良い天気だね」
「おはようございま――す?」
(鼻メガネ? えっ? 時雨姉さん気付いてないの……?)
「春雨、どうかした?」
「えっと、あの、それ……」
「?」
(ストレートに言っていいんでしょうか……)
「グッモーニーン!」
「あっ村雨姉さっ!?」
(村雨姉さんも鼻メガネ!?)
「あらー? お姉さんの顔をジッと見て、どうかした?」
「いえ、あの、えっと……」
「さっきから変だよ春雨、身体の調子でも悪いの? 明石さんのところに一緒に行ってあげようか?」
「だ、大丈夫です」
「無理しちゃダメよ、何かあったらちゃーんとお姉さんに相談しなさいね」
「は、はい……」
「おっはよー!」
「おはよー、って朝っぱらから何やってんのさ……」
「おはようございます、夕立姉さん、涼風」
「あははははは! 何それ、私もしたいっぽい!」
「いいよ、はいコレ」
「――どう? 夕立、似合うっぽい?」
「春雨、初ツッコミよろしく」
「ひゃいっ!?」
「ねぇ春雨、どう? どう?」
「……ヒゲが、足りない?」
――――春雨も天然だったのかよ……。
――――な、何か違った……?
・摩耶『粗暴な言葉を禁止された』 、投下します
――――提督執務室。
「し、失礼します」
「……摩耶、か?」
「アタシに決まってんだ……決まってます」
「頭でも打ったのか?」
「うるせぇ、でございます」
「無理するな、普段通りにしろ」
「高雄姉ぇ達に今日は粗暴な言葉禁止って言われたんだ、です」
「ですます付けりゃ敬語って訳でもないぞ」
「じゃあどうしろってんだよ」
「そうだな……姉妹艦三人の真似すればいいんじゃないか?」
「高雄姉ぇ達の?――バカめ!」
「何でよりによってその一部分だけをチョイスしたんだよ」
「仕方ねぇだろ! コレが一番真似しやすかったんだ!」
「次、愛宕」
「愛宕姉ぇ? 愛宕姉ぇ……ぱ、ぱんぱかぱーん……」
「だから何でそういう方向に行く」
「愛宕姉ぇって聞くと真っ先に思い浮かぶんだよ」
「……それは否定できん」
「最後は鳥海だよな。し、司令官さん、す、す――言えるかクソが!」
「うおっ!? いきなり殴ろうとするな、危ないだろ」
「チッ、やっぱりアタシにはこういうの無理だぜ……」
「まぁ無理しなくていいんじゃないか? 前みたいにガッチガチなのも困るしな」
「――あの時は、マジで悪かったよ」
「来た時の話はもう忘れろって言っただろ、俺は気にしてない」
「アタシに半殺しにされかけたんだぞ、ちょっとは気にしろってんだ」
「散々高雄達から摩耶は口は悪いが優しい子だって聞いてたからな、姉妹を思っての行動を咎める気は俺には無い」
「……やっぱりお前、ウザい」
「今の流れで何でそうなる」
「ウザいったらウザいんだよ! コレでも食って少し黙ってな!」
「コレは――弁当?」
「まずかったら、捨てていいかんな」
「分かった、一品一品感想を言えばいいんだな」
「いいから黙って食え!」
――――おい、野菜はどうした。
――――男なら肉だろ肉。
――――(鳥海、止めなかったのかよ……)
次のリクエストは23時から5つまで受け付けます
・谷風『こいつは粋な計らいだね!』
・隼鷹『提督、改二になれた祝い酒付き合ってよ』
・浦風&大鳳『尾行がバレた』
・ちびあきつ丸『大手を振ってサボれ――』
・加賀『夜戦ですか?』
以上五本でお送りします
・谷風『こいつは粋な計らいだね!』 、投下します
谷風さんを小一時間つつき回しても明確な谷風さん像を作れなかった…谷風さんっぽく無かったらごめんなさい
――――温泉。
「かーっ! 生き返るー!」
「オッサンかお前は」
「オッサンは酷くないかい? コレでも谷風さんは花も恥じらう乙女だよ?」
「花も恥じらう乙女が両手を広げて頭にタオル乗せて風呂に入るわけ無いだろ」
「コイツは一本取られたね、いやー参った参った」
「あのなぁ……」
「――提督、もう少しそっち行っていい?」
「もう少しって、隣に座ってんのにこれ以上どうやって近付くんだよ」
「こう、後ろからガバッとさ」
「言い方を考えろ、犯罪者か俺は」
「いいじゃんいいじゃん、ほいっと」
「……頭に顎を乗せたくなるな」
「そんなことしたら頭突きすんよ?」
「構えるな、冗談だ」
「冗談言ってないで早くガバッと来なよ」
「花も恥じらうはどこに消えたんだよ」
「この谷風さんのスベスベ柔肌を堪能させてあげるんだから、細かい事は気にすんなって!」
「ほー、そうか。なら遠慮なく」
「ひゃうっ!? ちょ、ちょい待った! こそばすの無し!」
「言われた通りにガバッとしてやってるぞ、文句言うな」
「た、谷風さんに、こんなことしてタダで済むと、おも、おもっ……あははははっ!」
(確かにまぁ、スベスベはスベスベだな……)
「いい、加減に――しろいっ!」
「ぐおっ!?」
「あー笑い死ぬかと思ったよ、いくら提督でも悪ふざけが過ぎっとこういう事に――提督? 提督ー!?」
――――いくらなんでもこそばしたぐらいで頭突きで沈めることはないだろ……。
――――だからちゃんとこうして膝枕してあげてんだから許しなって、な? ついでによしよしもすりゃー満足するかい?
――――俺は子供か!
・隼鷹『提督、改二になれた祝い酒付き合ってよ』、投下します
――――居酒屋鳳翔。
「まずは生でいっかな」
「ウーロン茶」
「はい、ちょっと待ってて下さい」
「ちょっと提督、祝い酒って言ったじゃんかさー」
「お前のペースに付き合わされたら一時間で潰れる。それに、この前みたいに記憶無くなるのはまずい」
「あー……うん、アレはアタシも色々と困るね……」
「なら、俺に酒の強要はしないことだ」
「でも、後で一杯ぐらいは飲んでよ?」
「そのつもりだ。ただし、絶対に一杯だけだからな」
「そんなに念を押さなくても分かってるって」
「――はい、生とウーロン茶です。ツマミはどうされますか?」
「お任せでパーッと持ってきてよ」
「焼き鳥頼む」
「分かりました、じゃあ焼き鳥以外は適当に作ってきますね」
「よろしくー。そんじゃ提督、アタシの改二を祝ってカンパーイ!」
「あぁ、乾杯」
「――ぷはぁー!」
「イッキ飲みとかよく出来るな」
「このぐらいじゃ水と変わんないからね、じゃんじゃん飲めるよ」
「こっちは見てるだけで酔いそうだ」
「何? アタシの魅力に酔っちゃいそうだって?」
「……」
「じょ、冗談だってば提督。あんましジッと見ないでよ……」
「――前、閉まらなくなったのか?」
「へ? あぁ、コレの事? 改二になってから閉めるとキツくってさー」
「改二になると身体的な変化が起こる奴もいるが、お前の場合はそこだったって訳か……」
「前に飛鷹が服が入らなくなったって騒いでたことあったけど、アタシも同じ目に遇うとは思わなかったよ」
「――服、買ってやろうか?」
「変な服買って着せようってんじゃあないだろうねぇ?」
「アホ、買うのやめるぞ」
「もー冗談だってば、提督がアタシの為に買ってくれるんならどんなのでも嬉しいから着たげるよ」
「……そうか」
――――提督はこういう服がお好きなのですか?
――――服に合わせて口調変えなくていいぞ。
――――あら? お気に召しませんでしたか?
――――片手に酒瓶持ってなきゃ、それも良かったかもな。
読んで思い描いた服が正解です
個人的にはシンプルにお嬢様系着てほしい
今ざっと数えたら書いた話の数が300越えてた
因みに電を含むリクエストの回数が22回でぶっちぎりトップでした
1のネタが尽きるか飽きられるまでは書き続けるので、更新は遅くなってますがこれからも優秀な潜水艦の皆様方にお付き合い頂けると幸いです
・浦風&大鳳『尾行がバレた』、投下します
――――街。
「こんなところで会うなんて、ぐ、偶然ね」
(鎮守府からずっと尾行してきてて、偶然も何も無いだろ……)
「姉さんも一緒に行こ」
「でも、デートなんでしょ? 私が居ると邪魔じゃないかしら……」
「うちと一緒に行くの……嫌?」
「行くわ」
(張り合う気は無いが、浦風と俺なら迷わず浦風選ぶんじゃないかコイツ)
「提督、次はどこに行く予定なの?」
「適当にブラブラしようかと思ってたからな、特に決めてない」
「浦風はどこか行きたいところある?」
「そうじゃねぇ……三人でプリクラっちゅうの撮ってみたい」
「アレか……」
「提督、まさか嫌とか言わないわよね?」
「言わんから笑顔で威圧すんのやめろ」
「この辺に撮れるところがあるって、鈴谷さんに聞いたんじゃ」
「多分、あそこのゲーセンだろうな」
「前を通ったことはあるけど、入るのは初めてだわ」
「撮るついでに、少し遊んで行くとするか」
――――ゲーセン。
「へー、結構色々あるのね」
「浦風、何かやりたいのあるか?」
「うーん……あっ、アレやってみたい」
(UFOキャッチャーか、まぁ無難――ってプライズ“艦娘シリーズ”かよ……)
「姉さん人形可愛いのぉ」
「浦風のは? 浦風のはどこ?」
「底に埋もれてるな」
「提督、一回百円と書いてあるけど、一万円あれば浦風のは取れるかしら?」
「お前は一人でゲーセンには絶対に来ないようにしろ」
――十分後。
(来てくれた店員が艦娘のファンで助かった、かなり良い場所に移動してくれなかったら樋口辺りまでは吹き飛んでたな……)
「ふふ、やっぱり浦風は人形でも可愛いわね」
「二つとも取れてえかったんじゃ」
「次はどうする?」
「そうね……あら、あの人だかりは何かしら?」
「行ってみれば分かるんじゃ」
(アレは……ガンシュー系か? ってことはまさか――)
――アレ“WKB”だよな、絶対。
――間違いないだろ、あの正確な射撃は。
――ここまでノーミスとかマジかよ……。
「提督、あそこに居るのって、若葉よね?」
「どう見ても若葉じゃねぇ」
「やっぱりか」
「何でこんなに周りに人が集まっているの?」
「凄く上手いんだよアイツ、結構ゲーセンでは有名人らしい」
「集中しとるみたいやし、邪魔せん方がえぇよね」
「そうだな、俺達はそろそろ当初の目的を果たしに行くとするか」
――――提督さん、もうちっと引っ付かんとちゃんと写らんよ?
――――コラ、左右から引っ張るな。
――――じゃあ、こうしましょうか。
――――ちょっと待てお前等、コレ写真に残る――。
――――若葉だ。
――――後日。
「テートクゥ! 一緒にゲーセン行くネー!」
「榛名もお供します」
「提督さん、私も私も」
「ここは譲れません」
「吾輩も行くぞ」
「電も行きたいのです」
(こうなる予感はしてたんだよなぁ……)
大鳳と浦風の部屋には、提督の頬に左右からキスをしているプリクラが大事に保管されるようになりました。
・ちびあきつ丸『大手を振ってサボれ――』、投下します
――――廊下。
(提督殿に愛して頂けて、一週間は仕事をしなくていい。正に一石二鳥であります)
ずり落ちて片目が隠れそうになっているいつもの帽子と、膝までを覆うようになったブカブカの服を着て、あきつ丸は自室へと歩いていた。
この姿では憲兵としての仕事が出来ないという大義名分が出来たので、一週間サボれると考えている辺り、やはり昔の真面目さは欠片程も感じられない。
「映画もこの姿なら子供料金で見られるでありますな、存分に子供姿を満喫させてもらうでありま――」
「あっあきつ丸さん! ちょうどいいところに居てくれて助かりました!」
「何でありますか漣。自分は今から部屋で借りているDVDを見るという大事な使命が――」
「ビスマルクさんのパン屋が人足りなくて、てんてこ舞いなんですよ。ちょっとそのまま外で待ってるお客様方にお茶配って下さい」
「こ、この恰好ででありますか!?」
「破壊力抜群だと思いますよ、それ。さぁさぁ行っちゃいましょうやっちゃいましょう」
「待つであります、いくらなんでもこの恰好は恥ずかしいでありますー!」
――二時間後。
(ひ、酷い目に遇ったであります……)
しっかりこき使われた後、ようやく解放されたあきつ丸は今度こそ自室を目指す。
片手には焼きたてのパンが握られているが、食べる気力などあるはずも無い。
(今日はもう部屋に籠るであります、絶対に出ないであります)
そう強く決意したあきつ丸。
――しかし、現実はそんなに甘くはなかった。
「あきつ丸」
「っ!? な、何でありますか大淀、書類の件ならもう散々謝ったであります」
「いえ、今日は別の件で来ました」
「まだ何かあるでありますか?」
「えぇ、提督から自主的に貴女が鎮守府内の店舗運営などに関する監査を行っていると聞きました。今回はそれをより明確なデータとして形にする為に、チェックシートを作ろうと思っています」
「ま、まさかそれを今から作るのを手伝えというつもりでありますか……?」
「当然です。コレは貴女の仕事なんですから」
「そうでありますか……絶対に嫌であります!」
(ここは逃げるが勝ちでありま――)
「身体が縮んでること、忘れてませんか?」
「はーなーすーでーあーりーまーすー!」
「さぁ、行きますよ」
「何で、何で小さくなったのに仕事ばっかなのでありますかー!」
――――パン屋チェックシート作成鬼ごっこ大会清掃その他諸々……もう働きたくないであります……。
――――あきつ丸さん、ちょっと服のモデルしてもらえないかしらー?
――――荒潮、他を当たって欲しいでありま――っていつの間に着替えさせたでありますか!?
――――うふふ、さぁ行きましょうか。
――――もう勘弁して欲しいでありますー!
・加賀『夜戦ですか?』、投下します
――――提督私室。
「お断りします」
「……分かった」
たまには自分から誘ってみようと、勇気を出した提督。
結果は拒否。加賀から断られるなどとは思っていなかっただけに、一気に彼の気分は深く沈む。
(何か怒らせるような事、したか……?)
原因を考えるものの、この日も二人は普段通りに仲睦まじく過ごしていたので、全く提督には心当たりが無い。
「提督」
「何だ? 部屋に戻りたいのなら戻っても構わないぞ?」
「? 何故戻らなければいけないの? そうではなくて、その……ごめんなさいね」
「待て、何で加賀が謝る」
「明後日、地域の方と今度開催する催し物の打ち合わせがあって、小さくなる訳にはいかないの。だから……」
「嫌だから断ったんじゃ、ないのか?」
「それはあり得ません」
「そ、そうか……はぁ」
「次の秘書艦日は必ず大丈夫にしておきます。ですから、その時に……」
「あぁ、分かった」
「では、そろそろベッドに」
「そうだな、寝るか」
「――提督」
「ん? どうした?」
「ど、どうしてもというのなら代役を立てて……」
「いや、大丈夫だ。次の秘書艦日まで待つさ」
「……そう」
「――加賀、顔が近い」
「近いわね」
「膝が当たってるんだが」
「そうね」
「コレで寝ろと?」
「えぇ、寝て下さい」
「寝れるか!」
「そうですか。では、仕方ありません」
「おい待て、どうする気だ」
「提督が安眠出来るよう、全力を尽くします」
(……抵抗するだけ無駄だな、もうなるようになれ)
――――結ばれなければ、小さくはならないようですね。
――――みたいだな……。
――――では、失礼します。
――――(……暫く夜戦、断らせてくれねぇかな……)
オリョクル(リクエスト)を五隻(五つ)まで受け付けるでち
・鳳翔『私の一日』
・ゴーヤ『改良品がまた出来たでち』
・叢雲『私の魅力』
・ちび龍驤『駆逐艦ちゃうわ!』
・由良『あっ……』
以上五本でち
・鳳翔『私の一日』、投下します
――――早朝。
――コーケコッコー!
「今日も美味しい卵をありがとうございます」
鶏の鳴き声と共に起床し、身支度を整え、卵を回収するところから鳳翔の一日は始まる。
(豆腐のお味噌汁と沢庵、鯖の塩焼き、後は玉子焼きとほうれん草のお浸しにしましょう)
朝食を作り、鎮守府の中心部からは離れたこの家で一人で――。
「おはようございまあす」
「大鯨、おはようございます」
「今日もご一緒させてもらってもいいんですか?」
「一人分も二人分も変わりませんから」
「ありがとうございます、鳳翔さん」
「うふふ、たくさん召し上がって下さいね」
今は、二人で食べている。
「それでは大鯨、コレとコレとコレを間宮さんのところまでお願いします」
「分かりました。またお昼ぐらいに来ますね」
「えぇ、お茶を用意して待ってますね」
朝食後、収穫した野菜等を大鯨に運んでもらい、それから畑の手入れを開始。
一通り手入れを終えた後は、昼食を作る傍ら、居酒屋用の仕込みも始める。
(今日は誰が来るかしら)
毎日必ず誰かしらが来るのは、料理の腕前は勿論のこと、鳳翔の人柄によるところが大きい。
――――昼過ぎ。
「鳳翔さん、来ましたよー」
「いらっしゃい。今お茶淹れますから」
「一緒に食べようと思って、間宮さんから羊羮貰ってきちゃいました」
「あら嬉しい。じゃあ切り分けますね」
今は大鯨がほぼ毎日、空母組も時折ちらほらと訪れ、午後の静かな一時を彼女と過ごす。
――――夕方。
(今日は何を作ろうかしら)
居酒屋開店の為の粗方の仕込みや準備を終えると、鳳翔は編み物や裁縫を始める。
頼まれて作ることもあるが、基本的には自由気ままに作って店に飾ったり、訪れた者に配ったりしていた。
(――うん、今日は加賀の縫いぐるみにしましょう)
――――開店時間。
「いらっしゃい、千歳、千代田」
「鳳翔さん、芋焼酎頂けますか?」
「私は今日は梅酒にしよっかな」
「何か作りましょうか?」
「じゃあ、タコわさを」
「えーっと……軟骨の唐揚げで」
「はい、すぐに作りますね」
「鳳翔さん聞いてよ、千歳お姉ぇったら私に黙って提督と温泉行ってたんだよ、酷いと思わない?」
「あら、そうなの?」
「千代田も比叡と山城と旅行に行ってたんです。それなのにこの子ってば……」
「ふふ、千代田も提督と千歳と温泉に行きたかったのよね」
「……うん」
「なら、次は三人で行きたいって提督にお願いしてみたらどう?」
「……うん、そうする」
「ようやく姉離れしてくれたと思ったのに、まだまだ手がかかるんだから……」
「あら、千代田が旅行に行ってる間、眠りが浅いって言ってた気が――」
「ちょっと鳳翔さん! それは千代田には内緒って言ったじゃないですか!」
「そうだったかしら?」
「千歳お姉ぇも私の事言えないじゃん」
「仕方無いじゃない、何だか落ち着かないんだもの」
(うちの姉妹艦達は本当に仲が良くていいわね、見てて微笑ましいわ)
店に来る艦娘達と色々な話をするのが、鳳翔の一番の楽しみだ。
時には愚痴を、時には悩みを聞きながら、彼女はこれからも居酒屋鳳翔を憩いの場として営業し続ける。
――――こんな感じでいいでしょうか。
――――えぇ、これなら問題ありません。
――――じゃあ“鳳翔さんの一日”、早速記事にしちゃいますね。
――――写真はなるべく綺麗に写ってるのでお願いしますね。
・ゴーヤ『改良品がまた出来たでち』 、投下します
――――???
「出来たでち、コレでまたてーとくが褒めてくれるでち」
鎮守府の一角にあるゴーヤ栽培施設。
日々品種改良が繰り返されており、これまでに“でちゴーヤ”、“なのねゴーヤ”等が市場へと卸されていた。
「イムヤ、はっちゃん、協力感謝でち」
ゴーヤの声に、二人は机に突っ伏したまま手をヒラヒラと振り応える。
その机の上には、所狭しとゴーヤ料理が並べられていた。
(でもやっぱり、試食はもっといっぱいしてもらいたいでち。鎮守府の皆にも配ってみよっと)
――第一次鎮守府内語尾崩壊事件、始まります。
――――食堂。
「どうでちか?」
「美味しいですよっぽい」
「以前卸してもらってたのとはまた少し味が違いますにゃ」
「こ、このゴーヤ大丈夫なんですかあクマ?……クマッ!?」
「身体には一切問題ないよ? ゴーヤのゴーヤは安心安全がモットーでち」
「お代わりお願いしますっぽい」
「全部食べちゃダメでち!」
――――金剛型私室。
「比叡さんのカレーに入れてみたでち」
「good tasteネーであります」
「私のカレーに凄く合いますぴょん」
「は、榛名は大丈夫です……」
「榛名、鎮守府の仲間の為に協力してあげるべきかと思いますのじゃ」
「榛名さん、美味しいから騙されたと思って食べてみて欲しいでち」
「榛名は大丈夫ですー!」
――――提督執務室。
「何か鎮守府のそこかしこから色々聞こえてきたんだが、お前の仕業か?」
「その言い方は酷いでち、ゴーヤはただ美味しいゴーヤを配って歩いてるだけだよぉ……」
(まぁ、確かに味は良いんだよな……)
「悪かった、俺も食べるからくれ」
「召し上がれでち」
「――うん、前より口当たりが良くなったな……ん?」
「どうしたでちか?」
「いや、コレが普通なんだが、語尾は変わらないのか?」
「コレは普通に美味しく作ったゴーヤだよ? 全部が全部あんな風に作ってる訳じゃないでち」
「正直、お前が作ると全部語尾が変わると思ってた」
「てーとくはゴーヤの事を何だと思ってるでちか」
(普通は絶対に出来ないと思うんだがなぁ……)
「お代わり、いる?」
「あぁ、食べる」
――――次は見た目にインパクトのあるゴーヤを作るでち。
――――具体的にはどんなのを作るんだ?
――――紫と黄色の斑模様にしてみるでち。
――――やめろ、食欲を無くす。
・叢雲『私の魅力』、投下します
あっちで酉つけ忘れた…
――――提督執務室。
「ほら、昼食作ってあげたわよ、食べなさい」
「ん、コレが終わったら――ってコラ叢雲! 書類返せ!」
「さっさと食べて、片付けられないから」
「書類一枚終わらせる程度は待ってくれてもいいだろ」
「……冷めないうちに食べて欲しいだけよ、悪い?」
「――すまん、すぐに食べる」
「ふん、最初からそうしなさい」
「うん、熱々で美味いぞ、このドリア」
「私が作ったんだから当然でしょ。足りなければお代わりも用意してあるわ」
「あぁ、頼む」
「……司令官」
「ん? 何だ?」
「コレ、どう?」
「ポニーテールは引っ張りた――待て、盆の角は地味に痛いからやめろ」
「私は真面目に聞いているの」
「そうだな……普段のストレートも好きだが、ポニーテールも可愛いと思うぞ」
「……そ、じゃあ今日はこのままにしておくから有り難く拝みなさい」
「なぁ叢雲、少し引っ張って――」
「ドリアを顔面に投げ付けるわよ?」
「食べ物を粗末にするのはいかんからやめとく」
「全く、アンタみたいなのが司令官だと苦労させられっぱなしだわ」
「今更何言ってんだ、起きてるだけ今はマシだろ」
「そうね、起きてるだけマシね。結局は吹雪と加賀さんと大淀さんが大半の雑務はこなしているようだけど」
「おい、俺が全く働いてないみたいな言い方はやめろ」
「まっ、精々頑張りなさい」
「言われなくてもコレ食ったら頑張るさ」
(……この話題は失敗だったかもしれないわね)
――翌日。
「で、どうだった?」
「仕事を張り切ってて、少しなら髪を触っていいとか言うタイミングを逃したわ」
「叢雲、髪綺麗なのに今までは頑なに触らせようとしなかったもんね」
「髪だけが私の魅力だと言われているみたいで癪だったのよ」
「司令官はちゃんと一人一人を見てくれてるよ?」
「さぁ、どうかしら……」
――――アンタ、私の魅力的なところを十個言ってみなさい。
――――十個でいいのか?
――――え?
――――容姿と性格は分けて十個ずつってことなのか?
――――そ、そんなにいっぱい言わなくていいわよ!
・ちび龍驤『駆逐艦ちゃうわ!』、投下します
――――鎮守府。
(何や変な気分やなぁ、ちっちゃいっちゅうんは)
フラフラと鎮守府内を散歩する龍驤。
その姿は縮んでおり、今はデニムのサロペットにシャツという恰好だ。
(コレで似合ってるとか言われても嬉し無いわ)
確かに今の恰好は、龍驤にとても似合っている。しかし、それは子供らしいとか、可愛らしいといった意味でである。
綺麗と言われたい彼女からすれば、素直に喜べるものではない。
「――あっ、くちくかんのお姉ちゃんだ」
「駆逐艦ちゃうわ!」
「ひっ!?」
「あっ、ご、ごめんな急に怒鳴ってもうて、お詫びにコレあげるわ」
「コレ、なぁに?」
「クッキーや、間宮さんのやから美味しいで」
幼い少女に怒鳴ってしまったお詫びに、龍驤はポケットにたまたま入れていた袋入りの間宮特製クッキーを手渡す。
それを一口二口と食べていくうちに、涙目になっていた少女の顔はみるみる明るくなり、クッキーを食べ終わる頃にはニコニコとしていた。
「どうや? 美味しかったやろ?」
「うん!」
「それで、キミは何でここに居んの? どっから来たん?」
「んとね、たいほーってくちくかんのお姉ちゃん探してるの。いつものベンチに居なかったから」
「く、駆逐艦……ま、まぁそれは今は置いといて、大鳳探してんの?」
「うん、色んなかんむすのお姉ちゃん達のお話をいっつも聞かせてくれるから」
(参ったねこりゃ、大鳳は今日秘書艦日で提督と出掛ける言うてたし……)
「たいほーお姉ちゃん、居ないの……?」
「ごめんな、大鳳は今日はちょっと忙しくてお話出来ひんのよ。――その代わり、うちが今日はキミに面白い話いっぱいしたげるわ」
「ホント!?」
「ホントホント、だから一緒にあっち行こうな。こっちは危ないで、おっかなーい加賀ってお姉ちゃんがおるからな」
「聞いたことある! 怒るとツノが生えるお姉ちゃんでしょ?」
(大鳳、普段何話してんねん……)
――――遊技場。
「いつもここでお話してくれるんだよ」
「うん、知っとるよ。お姉ちゃんも大鳳とは仲良しやからね」
「――アレ、今日は大鳳お姉ちゃんじゃないの?」
「お姉ちゃん、誰?」
「うちはなぁ、龍驤っていうんよ。コレでもちゃんとした空母なんやで?」
「うっそだー絶対くちくかんでしょ」
「駆逐艦じゃなくて空母やって」
「嘘つきはドロボーの始まりなんだよー?」
「嘘やないってば」
「じゃあ証拠見せてよー」
「うぐっ……い、今はちょーっと都合が悪くてな?」
「やっぱりお姉ちゃん、くちくかんなんでしょ」
「――分かった。ちょっと待っときや、すぐに証拠見せたるから」
――――止めんなや夕張! うちにもプライドっちゅうもんがあるんや!
――――龍驤今は小さくなってるんだから、艤装なんて装備したら何起こるか分からないから絶対にダメ!
――――うちは空母やー! 駆逐艦とちゃうんやー!
――――誰かこの駄々っ子止めるの手伝ってー!
・由良『あっ……』、投下します
――――長良型私室。
(どうしよう……名取のマグカップ割っちゃった……)
洗い物の最中、手から滑り落ちたマグカップ。
とっさに掴んだまでは良かったのだが、力加減を間違えて砕いてしまう。
(コレ、名取が提督にプレゼントしてもらったって言って大事にしてたやつだよね……本当にどうしよう……)
蛇口から流れる水の音と、後ろから聞こえる五人の笑い声を聞きながら、由良は暫しそのまま硬直する。
そして、十数秒経ってからようやく彼女は再び動き出した。
(とりあえず、提督さんに相談して同じの探そう。うん、そうしよう)
怒られるのが怖いとか嫌なのではなく、悲しむ名取の顔を見たくないと言うのが由良の正直な気持ちだ。
それは所詮先伸ばしでしか無く、新しく買ってきて済む話では無いにしても、そうしなければ大好きな姉に申し訳無さすぎて彼女自身が辛いのだった。
――――提督執務室。
「――だから、今から買ったお店に連れてって」
「待て、仕事はどうすんだよ」
「後で頑張る」
「書類、かなりあるんだが」
「いっぱい頑張るよ? 提督さんのお願いも何でも聞いてあげるから、ね? ね?」
「……俺じゃなくて、名取のお願い聞いてやれ」
「うん、分かった」
――――同日、夜。
「――名取」
「由良? どうかしたの? 今日秘書艦日でしょ?」
「あの、ね……ごめん、コレ……」
「あっ、私のマグカップ……そっか、割れちゃったんだ……」
「朝、割っちゃって、それで――」
「怪我は? 欠片で指切ったりしてない?」
「えっ? あっ、うん、大丈夫、だよ?」
「そう、良かった」
「……怒ら、ないの?」
「ちょっと悲しいけど、割れちゃった物は仕方無いよ」
「ごめんね、本当に、ごめん……」
「ほら、泣かないで由良。私は怒ってないから」
「うん……あの、コレ」
「――同じマグカップ? 由良が買ってきてくれたの?」
「提督さんに教えてもらって、同じの探したの。代わりにならないのは分かってるけど……」
「ううん、ありがとう由良。大事に使うね」
「……うん」
――――それで? この書類の山は何?
――――カッコつけた結果だよ!
――――はぁ……妹の為だから今回だけは大目に見てあげるわ。さっさと片付けるわよ。
――――すまん、助かる……。
明日の朝八時から5つまでリクエスト受け付けます
最近夜ばかりだったのでたまには朝で
全部書けるだけのキャパシティが1に無くて申し訳無いのです…
そんな訳で気紛れ更新
――――提督執務室。
「提督、紅茶を淹れたわ。お茶にしましょうよ」
「あぁ、わか・・・・・・んっ!?」
「どうかしたの? 私の顔に何かついてる?」
「金剛、お前、英語……」
「試しに日本語だけにしてみたの、変かしら?」
「いや、おかしくはないんだが、どうしたんだよ急に」
「ふふ、提督を驚かせたかったのが一番ね。凄く間抜けな顔しちゃってたわよ?」
「完全にやられたよ、練習したのか?」
「ううん、もうだいぶ前からこういう風に話せたけど、そうしなかっただけ」
「比叡達は知ってるのか?」
「いいえ、提督以外まだ誰も知らないわ」
「そうか、これからはその話し方を続けるのか?」
「特別な時以外は、これからも前の話し方でいくつもりよ」
「特別な時?」
「それは――」
――――テートクゥ、早く来るネー!
――――コラ引っ張るな、旅館は逃げん。
――――……二人っきりじゃないと、二人の秘密を楽しめないじゃないの。
――――(二人だけの秘密が欲しい、ね……まぁ付き合ってやるか)
――――Hurry Hurry Hurryデース!
――――ちょっとペース落とせ! 千切れる! 腕が千切れるから!
――――提督執務室。
「どうする? 何する?」
「仕事」
「えー? 鈴谷カラオケの気分なんですけどー」
「歌いながら仕事しろ」
「何その罰ゲーム、めっちゃ恥ずかしいじゃん」
「ほら、思う存分歌え。霧島が置いてったマイクあるぞ」
「分かった、分かったってばー仕事するからそのマイク仕舞ってくんない?」
「よし――まぁ、終わって時間があったら連れて行ってやる」
「マジ? 絶対だかんね?」
「あぁ、だから早く終わらせろ」
「熊野も連れてっていい?」
「別に構わんぞ、俺はどうせ歌わないからな」
「カラオケ行って歌わないって意味無いじゃん。提督、ひょっとして音痴?」
「音痴じゃない」
「じゃあ歌ってよ、提督の歌聞きたいし」
「断る」
「えーいいじゃん。一曲だけでいいからさー」
「仕事に集中しろ」
「うわっ、露骨に話逸らした。絶対音痴なんでしょー」
「……分かった、一曲だけだからな」
――――(……え、マジ? めっちゃ上手いじゃん)
――――歌、お上手ですのね。
――――古い曲しか知らんからあまり歌いたくないんだがな……。
――――提督、鈴谷の好きな曲覚えて! そんで次カラオケ来たら歌って!
――――気が向いたらな。
・清霜『戦艦になりたい』
・川内『ファンクラブ?』
・瑞鳳『触りすぎ』
・明石『提督、新しい艦娘が増えてきましたね』
・龍田『お触りは』
以上五本でお送りします
結晶破壊作戦は来週投下予定、遅れる場合ありとだけ…
・清霜『戦艦になりたい』、投下します
――――提督執務室。
「ねぇ司令官、清霜はいつ戦艦に改造してもらえるの?」
「駆逐艦から戦艦に改造は無理だと何度説明したら分かってくれるんだお前は……」
「だって初霜ちゃんは戦艦の砲撃受けてもビクともしないぐらい頑丈って聞いたし、由良さんは軽巡だけど戦艦並の火力があるって聞いたよ? それなら清霜だって戦艦になれるはずじゃない」
「待て待て、初霜のは護衛用の技術と装甲盾で戦艦の砲撃を防いでただけだ。由良のにしてもトンデモ兵装とそれを扱う為に鍛えまくった結果で、一応は軽巡の枠内に収まってる」
「じゃあ初霜ちゃんの技術と装甲盾と、由良さんの単装砲を扱う力があれば、清霜も武蔵さんみたいになれるってこと?」
(何か嫌な予感が……)
「司令官、清霜に装甲盾と由良さんのと同じ単装砲ちょうだい」
「ダメだ、あんな危なくて扱いにくいモノを何個も開発されてたまるか」
「えー、司令官のケチ。いいもん、初霜ちゃんと由良さんに貸して貰えるように頼むから」
「あっコラ清霜! そもそも兵装は俺の許可無く――ってもう居ねぇし」
(あー……どうすりゃ納得するかなぁ……)
――――工廠。
「初霜、由良、二人ともどうしたの?」
「清霜に呼び出されたんです」
「私も」
(何かまた面倒事っぽいなー……)
「メカ夕張、私は奥で作業するから話聞いといて。艤装関連なら提督に何も聞いてないし全部却下ね」
「了解しました、マスター」
――五分後。
「ごめんなさい、待たせちゃった?」
「いいえ、それほど待ってないわ」
「それより、私達に用事って、何?」
「えっとね、二人の兵装、ちょっとだけ貸してもらえないかな」
「貸すって、あの盾を? アレを使いたいなら、暫く専用の訓練をしないといけないわ」
「私の単装砲、今の清霜が撃ったら骨折れるかも」
「それ以前に、マスターが許可なく艤装及び兵装を持ち出すことを禁止しています」
「うーん、やっぱりそう簡単には戦艦になれないか……」
「どうして清霜はそんなに戦艦になりたいの?」
「だって、強くてカッコいいじゃない」
「――アレ、見ても言える?」
「アレ? アレって……武蔵さん?」
――――明石、二日酔いの薬を頼めるか……?。
――――また飲み過ぎたんですか武蔵さん。程ほどにしないとダメですよ?
――――善処する……。
――――(今の武蔵さんはカッコ悪いかも……)
・川内『ファンクラブ?』、投下します
――――提督執務室。
「そう、ファンクラブだ。那珂だけじゃなくて、お前と神通のも作った」
「何でそんなの作ったの?」
「勝手に出来そうな程の人気だからな、先にこっちで管理する為に作ったんだよ」
「そっか。何か恥ずかしいね、自分にファンが居るのって」
「それだけお前達が凄いってことだ」
「……提督も、ファンだったりするの?」
「……ん」
(――ファンクラブ会員ナンバー、1番?)
「提督が1番じゃないのはおかしいって、那珂に押し切られた」
「あはは、那珂らしいや」
「まぁ、他の誰かになられて良い気はしないのも事実だからな」
「――提督ってさ、結構独占欲強いよね」
「そうか?」
「何だかんだ言って、全員とケッコンカッコカリしちゃったじゃん」
「今は艦娘も増えてるし、全員じゃないけどな」
「私より先に那珂と神通だけケッコンカッコカリしちゃった時、結構ショックだったなぁ……」
「仕方無かったんだよ、練度がお前だけ足りなかったんだから」
「うん、私が悪かったのは分かってるよ。――でも、提督の事を三人の中で一番最初に好きになったの私だったからさ」
「……初耳だぞ、それ」
「うん、誰にも言ってないし」
「俺、お前に何かしたか? 好かれるような行動を取った覚えが無いんだが……」
「“那珂ちゃんはアイドルになりたいの!”って言われて、“じゃあ艦隊のアイドルにしてやるよ”って即答する様な面白い提督、他に居ないって思ったから」
「面白いって、それが理由か?」
「最初はそうだったよ。でも、冗談じゃなくて真剣に那珂と向き合ってる提督見てたらさ、何だかカッコ良く見えたんだよね」
「端から見たら間抜けにしか見えなかった様な気もするがな」
「そうかな? 私は提督カッコいいと思うよ」
「今まで言われた事が一度も無い言葉だぞ、それ」
「ふーん……じゃあ、これからは私が言ってあげるね」
「やめろ」
「あっ、ひょっとして照れてる?」
「照れてない」
「ふふっ、そういうところも好きだよ、提督」
――――ねぇ提督、新しいマフラー欲しいから買ってくれないかな。
――――別に構わんが、何でだ?
――――この長さだと引き摺っちゃうから。
――――……了解。
・瑞鳳『触りすぎ』、投下します
全部温泉と浴衣が悪い
――――温泉。
「ちょっとさっきから触りすぎ、ってか邪魔、ゆっくり温泉楽しみたいんだけど」
「気にするな」
「ずっと触られてるとむずむずして落ち着かないの!」
「分かったよ。だからそう睨むな」
「提督のスケベ」
「俺は格納庫は一度もまさぐってないぞ」
「それとこれとは話が別」
「……今日は一切触れない様にする。それでいいか?」
「そういうことでもないの!」
「じゃあ何なんだ」
「私は温泉にゆっくり入りたいだけ、提督もゆっくり入りなよ。最近忙しかったんでしょ?」
「まぁ、な……」
「足触りたいなら、その……今でなくてもいいじゃない」
「いつ触るの?」
「今で――ってだから今じゃないから!」
「――温泉、気持ちいいな」
「うん、温泉最高ー」
「全員で慰安旅行でも出来りゃいいんだが……」
「ちょっとそれは無理かな、何人かに分けたら何とかなるかもだけど」
「帰ったら加賀達に相談してみる、俺だけで決められることじゃないしな」
「うん、それがいいかもね」
「――よし、そろそろ上がるか」
「提督は先に上がってて、私はもう少し入ってくから」
「分かった、逆上せないようにな」
――――客室。
「提督、上がったよ」
「あぁ――浴衣、似合ってるぞ」
「そ、そう?……うん、ありがと」
「で、どうする? 寝るには結構早い時間だが」
「提督はどうしたいの?」
「九九艦爆の脚の話以外なら何でも良い」
「最近はしないようにしてるでしょ」
「なら――瑞鳳の足を愛でる」
「変態」
「後でなら触っていいって言ったのお前だろうが」
「話の流れとか雰囲気とかもうちょっと考えてよ!」
「じゃあいつならいいんだ」
「……今でいいよ、もう」
――――温泉でスベスベになってて、触り心地がいつもより良いな。
――――ねぇ、足だけ触るのやめてくれない?
――――変態らしいから諦めろ。
・明石『提督、新しい艦娘が増えてきましたね』 、投下します
――――提督執務室。
「――明石、一応聞いておく。それ、何だ?」
「提督は見飽きるぐらい見たと思いますけど?」
「……十セット程あるように見えるが、新しい艦娘はそんなに増えてないぞ」
「予備です、多分また増えますから」
「絶対に必要になるとは限らんだろ、第一練度が――」
「大鯨さんと雲龍さんと大淀さんと清霜ちゃんと磯風ちゃんは既に条件を満たしてますよ?」
「……は?」
「雲龍さんは大鳳さんや瑞鶴さんと頻繁に演習してましたし、大淀さんは元々練度が相当高かったんです」
「確かにその二人は分かる。だが、後の三人は何でだよ」
「清霜ちゃんは戦艦級駆逐艦目指すんだって長月ちゃんと毎日特訓、磯風ちゃんはすることが無くて暇だから武蔵さんと大和さんと稽古ばっかりしてたそうです。大鯨さんは……謎です」
(大半が陸で練度最高まで上がるってどういうことだよ……)
「という訳で提督、お買い上げありがとうございます」
「誰も買うとは言ってないし、アイツ等が受けるかどうかも分からんだろ」
「大鯨さんは居場所を与えてくれた恩人なので、提督とならしたいと仰ってました。雲龍さんも艦載機くれたからオッケーだそうです」
「大鯨もまずは直接話してからだが、雲龍に関しては考え直す様に言っとく。そんな理由でオッケーされてたまるか」
「大淀さんは司令部に戻りたくないから、清霜ちゃんはもっと強くなりたいから、磯風ちゃんは答えてくれませんでした」
「もう理由として明らかにおかしいだろ……」
「少なくとも嫌ってはいないからオッケーしたんだと思いますよ?」
「艦娘にとっては一生に関わる問題だ。そんな簡単に決めていいもんじゃない」
「提督となら衣食住も完全に保証されてて、優良物件だと思いますけど」
「そういう制度じゃないからな、コレ」
「――でも、私は提督とケッコンカッコカリして、今とても幸せです」
「衣食住完備でか?」
「そういうこと言うとクレーンぶつけちゃいますよ?」
「普通に死ぬからやめろ」
「安心して下さい、多分今の技術ならちょっと死ぬぐらいだったら蘇生出来ます」
「安心出来るか!」
――――それで、次は誰とケッコンカッコカリされますか?
――――だからするとは言ってない!
・龍田『お触りは』、投下します
――――提督執務室。
「提督の手って温かいんだね~」
「龍田が冷たすぎるんだよ、艦娘にも冷え性とかあるんだな」
「んー、前はそうでもなかったんだけど、終戦しちゃってから体質変わったみたいなの」
(冷え性か……縮んだ件といい、全員に一度検査を受けさせるべきか?)
「――えいっ」
「冷たっ!?」
「眉間に皺寄せてたら老けちゃうよ?」
「首はやめろ、首は」
「難しいこと考えてる暇があるなら、手を温めてくれないかな~」
「カイロとかは持って無いのか?」
「部屋にはあるけどー今日は必要無いかなって」
「何でだよ」
「だって、提督が温めてくれるでしょ?」
「散々お前には触るなって言われた気がするんだがな……」
「そんなこと言ったかな~?」
「最初に軍から支給された服をお前に切られて袖を縫うハメになったから、よく覚えてる」
「アレは急に背後に立つからいけないんだよ~」
「糸屑取ろうとして腕が飛ばされかけると誰が思うんだよ……」
「だって、これっぽっちも信用してなかったもの~」
「今背後に立ったら?」
「どうもしないけど~? でも、流石に廊下で抱き着かれたりしたら怒るかな~」
「それはないから大丈夫だ」
「――あんなに避けてたのに、提督はどうして私にケッコンカッコカリ申し込んだの~?」
「……天龍以外の拠り所になってやりたかった」
「どういう意味~?」
「お前、あの頃は天龍以外を一切信じてなかったし、アイツに何かあったら尋常じゃないぐらい取り乱してただろ」
「だって、天龍ちゃんは私にとって、とってもと~っても大事だもの」
「全く、天龍が居るからって三回も断られて、流石に心が折れかけたぞ」
「諦めちゃえば良かったのに~」
「天龍の為なら轟沈しても構わないなんて奴、ほっとけるかよ」
「私だけじゃなくてー皆ほっとけないんでしょ~?」
「あー……否定は出来んな」
「――あの時、提督が天龍ちゃんを見捨てようとしなかったから、私も信じようかな~って思ったの」
「簡単に見捨てられるなら、俺は提督やってない」
「欲張り過ぎるのは良くないんじゃないかな~?」
「なら、今すぐこの手を振り払ってみるか」
「……え?」
(――アレ? 龍田、泣いて、え?)
――――頼む、して欲しい事あれば何でもしてやるから泣くな、な?
――――……ホントに~?
――――(あっ、ヤバ……)
――――天龍ちゃんと私と提督の三人で旅行とか行きたいな~。
――――……分かったよ、天龍には龍田から伝えといてくれ。
――――はーい、うふふ、楽しみだな~。
龍田だと思えば龍田に見える!!
次のリクエストは昼の12時から5本まで受け付けつけます
文字化け誰ですか…?
大鳳さんでしょ
>>463
ありがとうございます
・雷電『気付くかな?』
・千代田『千歳お姉ぇ……じゃない!?』
・蒼龍『二人で気ままに』
・元帥鎮守府の卯月『黙秘するぴょん』
・大鳳『……妖精?』
以上五本でお送りします
・雷電『気付くかな?』、投下します
――――鎮守府内、某所。
「いいじゃない、ちょっとした実験よ」
「でも、司令官に迷惑かけちゃうかもしれないのです」
「司令官ならすぐに見抜いてくれるはずだから、問題ないわ」
「……分かったのです」
――――提督執務室。
「失礼します」
「失礼しま……しまーす」
「ん? 今日は雷の秘書艦日のはずだが、電も来たのか?」
「そう、なのです」
「た、たまには二人秘書艦が居てもいいでしょ?」
「――そうだな、俺は構わんぞ」
「じゃあ早速お手伝いするのです。どんどん頼って欲しいのです」
「私にも頼っていいので――いいのよ?」
「……じゃあ雷は書類の整理、電はコレを加賀のところに持って行ってくれ」
「了解なの、よ」
「はーい、なのです」
――十分後。
「戻った、のです」
「あぁ、ご苦労さん。後は雷と一緒に書類整理しててくれ」
「分かった、のです」
「……気付かないのです」
「おかしいわねぇ……」
「ちょっと切ないのです……」
「こんなに司令官が鈍感だとは思わなかったわ」
「――二人とも、そろそろ休憩にしないか?」
「じゃあお茶を淹れる、のです」
「司令官、お茶菓子は煎餅でいいの、かしら?」
「あぁ、いいぞ。確か電は塩煎餅が好きだったよな?」
「はいなの――あっ……」
「詰めが甘いな、やるなら徹底しないと俺は二人を間違えたりしないぞ」
「司令官ってばひょっとして最初から分かってたの? 分かってて黙ってるとかひどーい」
「先に仕掛けてきたのはそっちだろ、それに付き合っただけだ」
「でも、気付いてもらえて嬉しいのです」
「またやりたくなったら何時でもやれ、絶対に見抜いてやるから」
「じゃあ間違えたら私と電を一時間抱っこしてね?」
「……同時は勘弁してくれないか?」
「司令官、ファイトなのです」
(絶対に間違えられんな、コレは……)
――――私は歩き方ですが、提督はどこで気付いたのですか?
――――足と髪の感じ。
――――……足だけで全員誰か分かるの?
――――さぁな、試してみないと分からん。
今気付いた、見間違えてた…
先に蒼龍投下します、千代田もなるべく早めに投下しますので平にご容赦を…
――――街。
「提督、今日はどこへ行く予定なんですか?」
「特に考えてない」
「前々から出掛けるって決めてたのに?」
「……昨日思い出した」
「へー、私と出掛けるのは忘れちゃうような事なんですねー」
「い、行きたいところとか無いか?」
「じゃあ、高級中華料理食べたいかなー」
(財布に三万、クレカ使うとして合計八万が限度、ギリギリか? いや、後の事考えたら使いきるのはマズイか……)
「ふふ、冗談です。適当にブラブラしましょうよ」
「……すまん。次は考えとく」
「はい、期待しときますね」
「さて、ブラブラするのはいいとして、どうする? 蒼龍は何か買いたい物とか無いのか?」
「うーん、私は特に――あっ」
「あるようだな、まずはそこに行くか」
「はい。後、さっきから言おうと思ってたんですけど……手、繋いでくれないんですか?」
「……いつの間にか繋いでる奴が多かったから忘れてた」
「もうっ、自分から言い出せない子とかもいるんですから、女の子に対する気遣いをもうちょっとしっかりして下さいね?」
「以後気を付ける」
(――ここで恋人握り選択しちゃう辺りがズルいなぁ……)
――――???
(……ここ、か)
「提督、ケーキとコレ頼みますね」
「まぁ、ここ来たならそれ頼むことになるよな……」
「前に来たことあるんですか?」
「暁型全員、一度ずつ連れてきてる」
「……提督、よく捕まりませんでしたね」
「電と来た時に通報されかけた。アレは本気で焦ったぞ……」
「じゃあとりあえず、注文しちゃいましょうか」
「あぁ、そうだな」
(――ん? サービス期間……?)
――ご注文をお伺い致します。
「このカップル限定トロピカルジュースと、日替わりケーキ二つお願いします」
――本日、キスをして下さったお客様にはトロピカルジュース分の代金をサービスさせて頂いております。どうされますか?
「あの、提督……」
(観念、するしかないか……)
――チュッ。
「――コレで、いいんですか?」
――あっ、大変申し訳ございません……。頬では無く、唇にお願いします。
「おい、先にそういうことは――」
――チュッ。
「――はい、コレでいいんですね?」
――はい、ありがとうございます。それでは少々お待ちください。
「……お前、さては知ってたな?」
「な、何の事ですか?」
「何で頬を向けてたんだよ、人前では俺も結構勇気いるんだぞ」
「二回、したいなーって思って……」
「……次からは鎮守府に居る時にしてくれ」
――――そういえば、写真が貼られるみたいですね。
――――っ!? 店員に外すように頼んでくる。
――――ダ・メ・で・す! コレも記念になるんですから。
――――(……この店、他の奴等も知ってたりしないよな……?)
・千代田『千歳お姉ぇ……じゃない!?』、投下します
没ネタもついでにドン
――――千歳&千代田私室。
「起きろ」
「んぅ……千歳お姉ぇ、後五分……」
「いいから起きろ、襲うぞアホ」
「そういう趣味は私には無いよ、千歳お姉ぇ――じゃない!?」
「はぁ……やっと起きたか」
「ちょっ、えっ、何で提督が私のベッドに居るの!?」
「来るのが遅いから起こしに来たら、お前に引きずり込まれたんだよ」
「……寝てる間に私に何かした?」
「ついでだから寝顔を一分眺めてたぐらいで、後は何もしてない」
「じゃあ何で私、下着姿なの?」
「俺が知るか、最初から着てなかったぞ」
「――って」
「ん?」
「服着るから出てってー!」
――――提督執務室。
「――で、昨日は千歳の晩酌に付き合ってて、途中から記憶が無い訳か」
「うん……普段はちゃんと服着て寝てるんだからねっ!?」
「分かった分かった。それにしても千歳の奴、妹を酔い潰れさせてどうすんだよ……」
(あっ、千歳お姉ぇからメールだ)
「――っ!?」
「ん? どうかしたか?」
「……千歳お姉ぇの仕業だった」
「どういう意味だ?」
「“提督はちゃんと優しくしてくれた?”、だって」
「アイツは何考えてんだよ……」
「私にもそんなのさっぱり分から――あっ」
(酔ってる時に千歳お姉ぇばっかり贔屓されててズルいとか言ったかも……)
「千代田、心当たりがあるって顔してるぞ」
「……提督が悪い」
「何で俺のせいになるんだ、何もしてないぞ俺は」
「だって、姉妹平等に扱うとか言っときながら、一緒に居たら千歳お姉ぇのことばっかり見てるじゃない」
「――お前等、やっぱり姉妹だな」
「どういうこと?」
「それ、千歳にも言われた」
「千歳お姉ぇに?」
「“千代田ばっかり構わず、私のことも構ってくれないと拗ねますよ”、ってな」
「千歳お姉ぇの方が構ってもらってる気がするけどなぁ……」
「アイツも千代田が自分と同じ様に考えてること知って、姉として気を利かせた結果がアレだったってことだ」
「極端すぎるよ、もう……」
「まぁそれは置いといて、何かして欲しいことがあるなら言っていいぞ」
「何でもいいの?」
「出来る範囲で頼む」
「うーん……じゃあ――」
――――うちの鎮守府の艦娘達は、膝枕に何か特別な思い入れがあるのか?
――――多分、加賀さんがずっとしてるの見てたからだと思う。
――――俺はされてる側だったんだが……。
――――して欲しいなら後で交代ね。
――――千歳&千代田私室。
「起きろ」
「んぅ……千歳お姉ぇ、後五分……」
「いいから起きろ、今何時だと思ってる」
「時間……?――あっ!? 今日秘書艦日ぃっ!?」
「っ……こんのアホォ! 寝坊した挙げ句に頭突きかますか普通!?」
「そんなところに提督が居るのが悪――何で提督が部屋に居るの!?」
「今頃気付いたのか……もう昼も近いってのにお前が来ないから呼びに来たんだよ」
(昼!? ヤバ、昨日千歳お姉ぇの晩酌に付き合って飲みすぎちゃったんだ……)
「と、とりあえず、すぐに準備するから出てって」
「あぁ、五分で準備しろ」
「ちょっ、五分とか無理だってば!?」
(ど、どうしよどうしよ!? 化粧は無理だから服だけ着替え――)
「……私、下着姿で寝てたんだ」
――――提督執務室。
「朝昼兼用で何か一緒に食べるか?」
「いい……」
「二日酔いか? なら軽く雑炊とかどうだ?」
「いらない……」
(参ったな、どうしたもんか……)
(あんなだらしない姿、千歳お姉以外に見せたくなかったのに……しかもよりによって提督に見られるなんて……)
「「はぁ……」」
・元帥鎮守府の卯月『黙秘するぴょん』 、投下します
ネタバレに触れそうだったので一部無理矢理文章を省いてます
そのうちそこについては触れます
――――鎮守府、中庭。
「うーちゃんだぴょん」
「うーちゃんだぴょん」
「「さぁ、どっちがどっちか当ててみるぴょん」」
「右」
「左が儂の可愛い卯月だ」
「何で見分け付くんだぴょん?」
「あんな風にお前は睨まないだろ」
「儂のとかやめて下さい」
「執務以外で敬語は使用禁止と言ったではないかうーちゃん」
「次にうーちゃんって呼んだら晩御飯作らないぴょん」
「くっ……兵糧攻めとは卑怯な……」
「アレ、仲良しなんだぴょん?」
「仲良しだぞ。あのジジイが艦娘を率いるようになってから、ずっと傍に居る艦娘の筆頭だからな」
「へー、とてもそうは見えないぴょん」
「何じゃ、儂と卯月の馴れ初めが気になるのか?」
「嫌がるうーちゃんに無理矢理指輪ハメて自分のモノにしたんだぴょん」
「コラ卯月、嘘はやめなさい」
「本当はどういう風に仲良しになったんだぴょん?」
「黙秘するぴょん」
「懐かしいのぅ、アレは今から――」
「勝手に話し始めるんじゃないぴょん!」
「まぁまぁ良いではないか卯月。元より“馴れ初め”なんぞ、儂とお前にはありはせんのだから」
「……好きにすればいいぴょん」
「――結論から言うとな、儂と卯月は恋仲では無い。既に死別はしとるが、生涯愛すと誓った嫁もおった身だ」
「じゃあ何でケッコンカッコカリしたんだぴょん?」
「ケッコンカッコカリとはな、そもそも二つの意味を込めて付けられた名称なのだ。一つは結婚に準ずる制度として、そしてもう一つは――」
「――といった訳でな、儂と卯月はケッコンカッコカリしとる」
「大事な部分が抜けてるぴょん、何でそこの“卯月”を選んだんだぴょん?」
「死んだ嫁に似ていた、こんな娘が欲しかった、明るさに救われた、まぁそんなところだ」
「傍迷惑な話だぴょん、お陰で毎日元帥の面倒を見なきゃいけなくなったぴょん」
「素直じゃないのぅ、指輪を渡した時は泣いて喜んどったじゃないか」
「アレはこんな爺と深い絆で結ばれるのかっていう悲しみの涙です。勘違いしないで下さい」
「敬うならちゃんとお爺様と呼ばんか、何ならパパでも良いぞ」
「寝言は寝て言えぴょん」
「……やっぱり仲良く見えないぴょん」
「二人ともひねくれてるから、あぁいうコミュニケーションの取り方しか出来ないんだよ。仮にも元帥が頻繁にフラフラ出歩けるのは、あの子が常に目を光らせてるからだ。そうでなきゃ、とっくにくたばってるぞあの爺さん」
「うーちゃんには全然理解出来ないぴょん」
「それでいいんじゃないか? 同じ“卯月”だからって、性格まで一緒である必要もない」
「良く分かんないけど、分かったぴょん」
――――とっととくたばるぴょん。
――――心配せんでも百まで長生きしてやるわい。
――――百とか冗談じゃないぴょん!
――――わっはっは! 百でダメなら百二十までだって生きてやるぞ!
――――……言ったからには、守って下さい。
――――うむ、任せておけ。
・大鳳『……妖精?』、投下します
(復旧前に結晶破壊作戦書ききりたかった…)
――――鎮守府、廊下。
現在時刻は午前二時、一部夜更かしな者を除き、大抵の艦娘は眠りに就いている時間だ。
(静かね……まるで誰も居ないみたいだわ)
そんな時間に廊下を歩く、一人の艦娘が居た。
お手洗いに目が覚めた大鳳である。
(夕張とか秋雲はこの時間でも起きてるって聞いたけど、朝ちゃんと起きられてるのかしら?)
基本的に健康な生活スタイルを保っている大鳳からすれば、三時間睡眠や徹夜が当たり前な二人の日常は、想像も付かない。
(さて、早く部屋に戻って浦風の寝顔見てから寝直しましょうか)
廊下を小走りに進み、大鳳は角を曲がる。
――そして、彼女は“それ”を目撃するのだった。
――――ヲッ?
――――提督執務室。
「夜な夜な現れる妖精?」
「そう、私だけじゃなくて他に何人も見ているの」
「見間違いではない、か……メカ妖精って線は無いのか?」
「夕張に聞いてみたけど、夜中は充電してるから動かないそうよ」
(普通の妖精は早寝早起きだからそんな時間に起きてるわけ無いし、メカでも無い……また何か変な現象が起きてるのかもしれんな)
「とりあえず、見付けたら捕獲するように艦娘全員に通達しておく。大鳳もまた遭遇したら頼むぞ」
「了解です」
――あ、あの、入ってもよろしいでしょうか。
「あぁ、入っていいぞ」
「はい、失礼します」
「あら、今日の秘書艦は潮だったのね。ごめんなさい、すぐに出ていくから」
「えと、少しの間居て頂けると助かります……」
「?」
「お二人とも、今から見せるモノを見て、出来れば大きな声は出さない様にしてもらえますか?」
「何だか良く分からんが、努力はしよう」
「えぇ、分かったわ」
「じゃあ、見せますね」
――ヲ? ウシオ、ゴ飯?
「……大鳳、俺には今とてつもなく非現実的な光景が見えてるんだが、お前にも見えてるのか?」
「えぇ、考えられないことだわ。――胸に生き物を潜ませるなんて」
「そこじゃないだろ!」
――ヲッ!?
「大丈夫だよ、提督も大鳳さんもイジメたりしないから」
「……やっぱりその小さいの、空母ヲ級よね?」
「潮、危険は無いのか?」
「お腹が空くとちっちゃい艦載機を飛ばして家具に傷を付けちゃうかも、です」
「大きくなったりは?」
「ヲーちゃん、大きくなれる?」
――ヲ? 大キク、無理。コレ、限界。
「らしい、です」
(簡単に信用する訳にはいかないが、敵意らしきモノがまるで感じられんな……この生き物は本当にヲ級なのか?)
「潮、貴女は平気なの? 大きさが変わって可愛らしくなっていても、深海棲艦なのよ?」
「……この子を見付けた時、昔の私みたいに怯えて震えてたんです。どうしても、放っておけなくて……」
――ヲッ! ウシオ優シイ、ゴ飯クレタ!
「――分かった、暫くは様子を見る。判断はそれからだ」
「っ……提督、ありがとう、ございます」
「提督、いいんですか? 何時また前の様に襲ってくるか分からないわよ?」
「無論、警戒は最大限にする。加賀や待機組の監視下に置いてな」
「あの、何かに閉じ込めるんですか……?」
「いや、交代で見張らせるって意味だ。建物から出さなければ自由に連れ歩いて構わん」
「深海棲艦に恨みがある艦娘も多いわ。それで本当に大丈夫なのかしら……」
「大丈夫だ、もう戦いは“終わった”んだからな」
「加賀達に相談せずに決めて良かったの?」
「どうせ俺に判断を委ねるって返すよ、アイツ等は。先に決めて伝えた方が効率がいい」
「それはそうかもしれないけど……」
「それに、この鎮守府の基本方針を忘れたのか?」
「――“やりたいことをやれ”、だったかしら?」
「あぁ、潮がそうしたいってんなら、出来る限りサポートしてやるのが俺の仕事だ。――それに、アレを見てどうこうなんて、俺には到底出来んよ」
「……えぇ、そうね」
――――ウシオ、オ腹空イタ。
――――ちょっと待ってね。はい、ビスケット。
――――アリガト、ウシオ!
――――(……皆、ヲーちゃんと仲良くしてくれるでしょうか……)
――――翌日、休憩所。
「ヲーちゃん、チョコ食べる?」
――ヲッ! 食ベル!
「大鳳、甘いものばかり食べさせないで」
「いいじゃない、喜んでいるもの」
「はぁ……手乗りサイズとはいえ、深海棲艦を匿うことになるとは夢にも思いませんでした」
「提督が決めたことよ。それに、加賀も気付いているんじゃない?」
「――この子がもう“深海棲艦”という存在ではない、ということ?」
「えぇ、上手く言葉に言い表せないけど、私達と“同じ”感じがするの」
「何にせよ、二度と戦わずに済むなら、それに越したことは無いわ」
「……そうね。それに――」
――ヲッ?
「こんなに小さくて可愛いと、憎みたくても憎めないわ」
「……否定はしません」
鎮守府の非公式隠れマスコット、ヲーちゃんが追加されました。
忘れてた、次のリクエストは11時から五つまで受け付けます
ヲーちゃんもありです
・睦月『もっと抱きしめてくれてもよいのだぞー?』
・比叡『出来ま――ヒエェー!?』
・ヲーちゃん『アノ子、怖イ』
・第七駆逐隊『第七駆逐メイド隊』
・加賀『赤城さんを追って』
以上五本でお送りします
結晶破壊作戦ちょっとだけまた投下、多分次スレ行きそう…
――PUKAPUKA丸。
「今のところは問題無さそうだな」
「そろそろ何か仕掛けては来るでしょうけどね、明らかに知能を持って動いている個体が居るもの」
「きっと大丈夫です、皆さん凄い方達ばかりですから」
「正確には癖が凄い、だけどな」
「あら、それは私も含まれてるのかしら?」
「おい、笑顔で主砲をこっちに向けんな、危ないだろ」
「大丈夫よ、癖の強い初霜が守ってくれるわ」
「私は至って普通です」
「初霜も十分癖が――」
相変わらずの緩い雰囲気で、三人は会話を続けていた。
唐突にそれが途切れたのは、五十鈴が何かを警戒する素振りを見せた為だ。
「五十鈴、敵か?」
「そのようね」
「どこからだ?」
「真後ろ、数は少なく見積もっても百は越えてるんじゃないかしら」
「百……こっちに向かって来てるのか?」
「いいえ、段々遠ざかってるようよ」
(遠ざかる? ってことは……)
「――五十鈴、頼めるか?」
「貴方ねぇ……」
呆れた様な声を出す五十鈴。
いくら護衛として初霜が優秀でも、この先の読めない状況で提督をたった一隻で護衛するのは、至難の業だ。
「大丈夫だ、危なくなったらちゃんと逃げる」
(第四艦隊が撤退してくるまで逃げる気なんか無い癖に、本当に困った提督だこと……)
「――初霜、そこのバカ提督お願いするわね」
「了解です」
「おいバカって何だバカって。……頼んどいて言うのも何だが、無理はするな」
「あら、誰に向かって言ってるの?――心配しないで、ちゃんと帰るから」
「……あぁ」
五十鈴、護衛より離脱。
各鎮守府方面へと移動する深海棲艦の掃討任務を開始。
――鎮守府。
「お留守番だからのんびり、な訳ないわよねー」
「あまり戦闘は得意じゃないんですが……」
鎮守府で待機中の夕張と明石。彼女達は今、艤装を装備して海を眺めていた。
「色々試せるのは嬉しいけど、あの数はちょっとしんどいかなぁ……」
「私が修理しますから被弾した時はお任せ下さい」
「修理してる暇、あると思う?」
「無いですね」
「――さて、愚痴はこのぐらいにしておきましょうか」
「はい、やりましょう」
「じゃあまずは大きいの一発、いくわよ!」
「発射、いつでもオッケーです!」
「妖精さんと私の最高傑作のデータ収集に付き合いなさい! いっけぇぇぇぇぇっ!」
その日、鎮守府に津波が押し寄せたのは深海棲艦のせいとされているが、原因はこの二人である。
だが、断続的に襲撃を繰り返す深海棲艦を食い止められたのも、彼女達の働きあってのことだ。
――――あいたたた……ちょっとやり過ぎちゃったかも……。
――――まずは自分の修理をしないといけないみたいです……。
――第一艦隊。
「白雪、磯波、一度下がって! 初春と若葉お願い!」
「弾薬を補給したらすぐに戻ります」
「お願いしますね」
「任せるのじゃ」
「了解」
『エリル級二隻が接近中だクマ!』
「朝潮型を援護に向かわせます! 被弾した方は無理せず下がって下さい!」
『こちら長門、一隻は私が沈めた。今はまだ余裕がある。戦艦級は任せてくれて構わない』
「長門さんは私達の要です。くれぐれも無理はしないで下さい」
『了解だ』
「吹雪! こっち弾切れ近いぜ!」
「私も、弾、切れそう」
「分かった! 深雪と初雪後退、漣と潮行って!」
「キタコレ!」
「行きます!」
『ごめん! 六機逃がした! 対空砲火準備して!』
「了解です! 巻雲、秋雲、艦載機をお願い!」
「任せて下さーい!」
「スケッチする暇が欲しいー!」
(思ってた以上に攻撃が激しい……でも、防げない程じゃない!)
吹雪の澱み無い采配により目立った被害や混乱もなく、今のところ大きな問題は起きていなかった。
だが、際どいラインで綱渡りをしていることに変わりは無く、いつ何がきっかけで戦線が崩れるか分からない。
例えばそれは――。
『こちらH地点防衛艦隊! 敵後方に鬼級六隻を確認! 警戒されたし!』
――第二艦隊。
「イムヤ! ハチ! 一度下がって!」
「了解!」
「Ja.」
(島風はまだまだ余裕あるかな、シオイと雪風も問題なし、問題は――)
「これだけ多いと面倒だな」
「日向、いける?」
「無論だ、航空戦艦の力を示すには絶好の相手じゃないか」
「伊勢さん、日向さん、援護します」
「そっちは任せるね、私はこの子達を守らないといけないから」
「えぇ、任せて瑞鶴」
「うーちゃん達もお手伝いするぴょん」
「ふふ、私の髪を焦がした報い、しっかり受けてもらわないといけないわね」
「如月姉ぇ、ちょっと落ち着きなって」
(如月が小破、他の子は無事。――うん、まだまだいける!)
「空母姫達は伊勢さん、日向さん、翔鶴姉ぇに任せて、私達はあっちのフラグシップリ級の団体さんの相手よ!」
『了解!』
(さっき吹雪から前線に鬼級が出たって通信来てたし、私達がここで踏ん張らないと!)
派手に暴れる彼女達を迎撃しようと空母姫とフラリ級の群れが出現し、一度は劣勢に陥りかけた第二艦隊。
しかし、冷静に対処さえ出来れば苦戦する様な相手ではなく、即座に立て直す。
それよりも問題なのは、大型の相手をすることで弾薬と燃料の消費が増えることだ。
かといって、ここで通してしまえば防衛ラインにかかる負担が相当大きくなってしまう。
どのタイミングで撤退するかを常に念頭に置きながら、瑞鶴は更に神経を研ぎ澄ませるのだった。
――第三艦隊。
「沈みなさい!」
「ほいっ、後よろしくー」
「道を開けるネー!」
「お姉さんが相手してあげるわ」
「Feuer!」
「貴女達に私達の不幸を分けてあげる」
「百三十八、百三十九、百四十! 飛龍、負けた方が一ヶ月買い物係だからね!」
「百四十三っと――ん? 何か言った?」
「……何でもない!」
大井と北上の雷撃で敵の隊列に穴を開け、戦艦組と二航戦がその穴を無理矢理広げながら、第三艦隊は最奥を目指す。
それぞれを護衛する艦も周囲のヘ級やカ級を迅速に落としており、ごり押しも甚だしい戦法であるにも関わらず、被害は最小限に抑えられていた。
「このまますんなりと行かせてくれると有りがたいんですけど――そうもいかないみたいですね」
「皆気ぃ付けや! 前方にレ級と戦艦棲姫のお目見えや!」
『何か潜水艦もいっぱい来てるわよ!?』
『一番先に、敵艦載機発見! 左から何か見たこと無いのが来てるよ!』
『右からもリ級の上位型みたいな艦が多数接近中! 何か雰囲気がヤバいわ!』
「戦艦の皆さんは継続して前方の敵を排除して下さい。雷巡のお二人は潜水艦の相手をお願いします」
「駆逐艦と軽巡の子等は潜水艦と小型の敵頼むで、重巡連中は右から来るっちゅうのを叩いてや」
「蒼龍と飛龍は左から来る敵空母をお願いしますね。千代田と千歳は私達とレ級の艦載機を落としましょう」
「手厚い歓迎やけど長居は無用や、一気に行くで!」
『了解!』
前方からエリレ級と戦艦棲姫が三隻ずつ、左からはフラヲ級改、右からはフラリ級改と、第三艦隊は手厚い歓迎を受ける。
それぞれが個として出てくればそこまでの驚異では無いが、まとめて来られれば苦戦は免れない相手ばかりだ。
しかし、これだけの戦力を深海棲艦達が投入してきたのは、彼女達が結晶に近付いている証拠でもある。
後ろに控える第四艦隊に全てを託す為にも、一歩も退かぬ覚悟で全員がそれぞれの目標へと攻撃を開始するのだった。
今回はここまで、次から他鎮守府との連携と各姉妹艦とかに焦点当てます
・睦月『もっと抱きしめてくれてもよいのだぞー?』 、投下します
――――提督執務室。
「――よし、今日のところはコレで終わりだ」
「お疲れ様なのですよー」
「どうする? あまり遠くは無理だが、少し出掛けるか?」
「およ? 何で?」
「よくよく考えたら睦月と最近出掛けて無いと思ってな」
「んー、睦月的にはこのまま提督とここで二人っきりで過ごしたいかにゃ?」
「お前がそれでいいなら俺は構わんが……」
「そ・れ・よ・りー……えいっ!」
「うおっと! コラ、飛び付くのはやめろ。受け止められなかったらどうする」
「睦月は受け止められない程重くないのです」
「俺の運動神経を舐めるな、そのまま倒れるかもしれんぞ」
「あはは、それはちょっとカッコ悪いかにゃ?」
「――お前も、かなり背が伸びたな」
「去年より十センチ伸びたのね。だから――」
――チュッ。
「届くようになったのですよ」
「……狙ってたのか?」
「睦月型の長女として、妹達に遅れをとる訳にはいかないかにゃーって」
「そんなところで競うなよ……」
「――提督からは、してくれないの?」
(子供扱いは、そろそろ卒業か……ん?)
「――体、プルプル震えてるぞ」
「つ、つま先立ちそろそろ限界……」
「ほら、頑張れ頑張れ」
「イジワルはやめて欲しいのです!」
「そんなに焦らなくてもいいぞ、睦月」
――チュッ。
「――まだ暫くは俺から合わせてやるから、な?」
「……ギュッて、して欲しいのね」
「ん、分かった」
「――抱き締めてもらうなら、今の身長が一番落ち着くかにゃ?」
「何でだ?」
「提督の胸の音が聞こえるからなのですよ」
「じゃあ、それ以上伸びない方がいいのか?」
「それはダメなのね。――だから、もっと今のうちに睦月をギュッてして欲しいのです」
(――子供と大人の間ってところか)
「提督ー?」
「はいはい、分かったよ。満足するまでこうしててやるさ」
――――……もういいか?
――――もうちょっと!
――――(……晩飯、いつになるかな……)
――――(睦月、幸せー)
・比叡『出来ま――ヒエェー!?』、投下します
ケミ○ルXのせいであって比叡は悪くない…はず?
――――提督執務室。
「提督、非常事態です」
「どうした加賀、何かあったのか?」
「比叡の作った料理が暴れています」
「……すまん、聞き間違いかもしれんからもう一度言ってくれ」
「比叡の作った玉子焼きが、暴れています」
「そうか、玉子焼きが暴れてるのか……お前に任せる。深海棲艦と戦う作戦は立てられても、玉子焼きと戦う作戦は俺には立てられそうにない」
「分かりました。鎮守府の内部に居ますので、軽く壁などに被害が出るかもしれませんが、構いませんか?」
「好きにしろ、とりあえずお前達に被害が無ければ後は何とでもなる」
「はい、では行ってきます」
「……今日は、良い天気だな」
――――金剛型私室前、廊下。
「一体何を混ぜたらあんな風になるデース!?」
「塩と砂糖と何だか良く分からない粉しか入れてませんってばー!」
「原因を分析する必要は無さそうね……」
「何かグチョグチョしててとっても気持ち悪いです……ひっ!? こっちに来ます!」
――タ、ベテ、ワタシヲ、タベテ。
「No thank youネー!」
「どうして玉子焼きが人語を……?」
「霧島、考えるのは後にしましょう!」
「ヒェー! 一時撤退ー!」
――タァァァァァベェェェェェェテェェェェ!
――――工廠。
「夕張、私達の艤装をお願いします」
「一応提督から連絡は受けてますけど、何があったんですか?」
「何だか良く分からんが、玉子焼きが暴れているそうだ」
「玉子焼き……?」
「大和達にも何が何やら……」
「とりあえず、俺達の艤装を早いとこ頼むぜ」
「準備おっそーい!」
「ちょっと待ってってば、久しぶりなんだからちゃんとチェックしないと……よし、オッケーです!」
「うむ、カタパルトも問題なさそうじゃ」
「今、金剛達がこちらへ向かって誘導しているそうよ」
「深海棲艦だろうと玉子焼きだろうと、この武蔵の敵ではないぜ!」
「その二つは並べてよいものなのでしょうか……」
――――鎮守府内、廊下。
――うっわキッモ! マジこっち来ないでって!
――さ、流石にアレには近づきたくないっぽいー!
――まー何て言うの、ここって何でもありだよねー。
――北上さん! とにかく先に逃げて!
「比叡、こうなったら責任取って食べてあげるネー!」
「気合い! 入れて! 遠慮します!」
「味見は大事だと何度も教えたはずですが?」
「あんなの味見したら絶対に死んじゃうってばー!」
――タベテタベテタベテタベテ。
――オイシイヨタベテヨオイシイヨタベテヨ。
「――分裂、してませんか……?」
「ノーーーーーー!?」
「ヒェー! こんなはずじゃなかったのにー!」
「分裂するような謎の物質、解析すれば有効活用出来るかもしれないわね……」
「だからそういうのは後で!」
――タァァァァァベェェェェェテェェェェェ!
「お、追い付かれそうですよー!?」
「――全機発艦、目標を殲滅します」
――――提督執務室。
「被害は?」
「鈴谷が軽く玉子焼きにトラウマを抱えてしまったことと、私達の艤装が数日は整備しないと使えなくなりました。後は壁が二十七箇所、床が三十八箇所補修が必要です。汚れた廊下の掃除も、一日はかかるかと」
「比叡の料理がそうなった原因は?」
「明石さんが取り寄せた研究用の薬品と、榛名が頼んでいた調味料を間違えて渡したそうです。ですが、薬品そのものは人体に無害な物で、あのような事になった原因は不明だと言っていました」
「焼く一工程でどうやったら未知の現象を生み出せるんだか……まぁいい、鈴谷のフォローだけはしとく。後は任せた」
「分かりました。では、失礼します」
(――さて、後は今日の“秘書艦”とじっくり話すとするか)
――玉子焼き事件終結から一時間後。
「あの、司令……」
「比叡、とりあえずこっち来い」
「は、はい……」
「――次、頑張れ」
「……へ? あ、あの、また私が料理作っても、いいんですか……?」
「榛名と霧島、後出来れば大和か武蔵を横に付けてなら許可する」
「司令……はい! 気合い! 入れて! 作ります!」
「気合い以外に変な物は入れるなよ?」
「大丈夫です。次はしゃべらない玉子焼きを作ってみせます!」
(そもそもしゃべる玉子焼きを作れる方が凄いんだがな……)
「じゃあ早速夕飯の仕込みをしてきます!」
「待て比叡、カレーだよな?」
「カレーですよ?」
「そうか、なら安心だな。楽しみにしてる」
「はい!」
「で、今日は何カレーにする予定なんだ?」
「今日はエッグカレーです!」
「そうか――ん? 玉子……?」
――――(……普通、だよな?)
――――司令? どうかしたんですか?
――――いや、何でもない。いただきます。
――――はい、どうぞ!
――――……うん、美味い。
――――司令のお口に合って良かったです。お代わりもたくさんありますからどんどん食べて下さいね。
――――(……比叡にはやっぱりカレーだけ作らせるのがいいのかもしれん)
・ヲーちゃん『アノ子、怖イ』、投下します
深海棲艦の飼い方その1、イ級は水がないとビチビチ跳ねてそのうちグッタリしてしまいます、ちゃんと海水を入れた水槽に入れてあげましょう
――――休憩所。
「ウシオ、オハヨ」
「おはよう、ヲーちゃん」
「潮、おはよー」
「島風ちゃん、おはよう。ヲーちゃん見ててくれたの?」
「うん、さっき武蔵と交代したんだー」
「シマカゼ、イッパイオ話シテクレル。良イ人」
「ふふーん、そうでしょ? だって私速いもん!」
「速いのは関係無いんじゃないかな……」
「――ねぇ潮、この子一人ぼっちなのかな?」
「……多分、そうだと思うよ」
「ふーん、そっか。じゃあ仲間を探してあげないとね」
「え?」
「だって、一人ぼっちは寂しいもん」
「島風ちゃん……」
「ヲッ? 私、一人違ウ。ウシオモ、シマカゼモ居ル。ダカラ、一人違ウ」
「じゃあヲーちゃんと私達は友達だね」
「ヲッ!」
(良かった、これなら大丈夫そう……)
「――ヲッ!?」
「どうしたの?」
「アノ子、怖イ……」
「あの子って?――ひぅっ!?」
「早霜、そこで何してるの? かくれんぼ?」
「観察しているの。その子、深海棲艦なのよね?」
「う、うん。でも、今は安全だよ?」
「敵として戦った相手を、すぐに信用してしまうのはどうなのかしら」
「ヲ……嫌ワレル、仕方無イ。声、逆ラエナカッタ。私達、イッパイ、酷イコトシタ」
「いいんだよヲーちゃん。もう全部終わった事だから」
「……ごめんなさい、そんなつもりは無かったの。でも、彼女以外にも深海棲艦が生き残っていたとして、全員が安全とは限らないでしょう?」
「心配、してくれてるの?」
「ただ当たり前のことを私は――」
「どうした早霜、まだキャラメルは渡していないのか?」
「っ!? 那智さん、どうしてここに……?」
「たまたま通りかかっただけだ」
「キャラメル?」
「そこのヲーちゃんだったか? に、あげると言って昨日キャラメルを早霜が買っていてな」
「ヲーちゃんにあげる為にわざわざ買ったんだ、へぇー?」
「キャラメル? 甘イノ欲シイ! 食ベタイ!」
「……欲しがってるし、あげてくれる?」
「……えぇ」
――――ハヤシモ、良イ人!
――――(部屋に持ち帰ってはダメなのかしら)
――――早霜も結局ヲーちゃんの事好きみたいだね。
――――甘いものあげたら誰にでも付いてっちゃいそうで、ちょっと心配かも……。
・第七駆逐隊『第七駆逐メイド隊』 、投下します
――――第七駆逐隊私室。
「皆、準備は出来ましたか?」
「出来てる、多分」
「全く、何で私まで……」
「着替えたいよぉ……」
「じゃあ行きますよ。第七駆逐メイド隊、出撃!」
――パン屋。
「朧、五番テーブルにコレお願いします!」
「うん、了解」
「写真撮影は禁止って言ってんでしょ、このクソ野郎共!」
「曙ちゃん、お客様だから乱暴な言葉遣いは……」
――ありがとうございます!
「ひっ!?」
(な、何なのよコイツ等……)
――間宮食堂。
「三番と八番A定食ご飯大、十番C定食です」
「はーい」
「今なら蟹チャーハンも出来る、多分」
――じゃあそれで。
「ちょっと朧! 何勝手にメニュー増やしてんのよ!」
「大鯨さん、盛り付けってこんな感じでいいんですか?」
「はあい、そんな感じです」
――イクのマッサージ屋。
「二名様ご案内でーす!」
「イク、シーツの準備出来たよ」
「ありがとなのね」
「私は絶対にやらないわよ! 男に触れるのなんかクソ提督だけで十分!」
「曙ちゃん、今日は女性限定の日らしいよ?」
「そ、それならまぁ、やってもいいかも……」
「ご主人様ご案内でーす!」
「っ!? 私がやるわ!」
「っていうのは冗談です。ご主人様は今頃綾波とお仕事――待って曙、まだ焦るような時間じゃない。落ち着いて素数を数えよ?」
「さぁぁぁざぁぁぁなぁぁぁみぃぃぃ!」
「あー満月だから交渉無理ですねー、ってふざけてる場合じゃなかった!」
「二人とも落ち着くのね! 邪魔するなら出ていくの!」
「すいませんすいません、すぐにご案内しますので……」
「今なら蟹の甲羅でツボ刺激コースもある」
――廊下。
「ねぇ漣ちゃん、何でメイド服着なくちゃいけないの……?」
「三人に着なれて貰わないとメイド喫茶が開けないじゃないですか」
「今日はどうしてもって言うから着てあげたけど、二度と手伝わないしメイド喫茶もやらないわよ?」
「この服可愛いし、私はやってもいいかも」
(朧ちゃん、気に入っちゃったんだ……)
「――ご主人様はメイド服、そこそこ好きみたいですよ?」
「そ、それがどうしたっていうのよ」
「秘書艦日はお店で二人だけにしてあげます」
「ク、ククククソ提督とこの服で二人っきりとか冗談じゃないわ!」
「可愛いって言ってくれるよ、きっと」
「何種類か用意してますから飽きられる心配もありません。今なら何とこの猫耳と犬耳もお付けしますよ」
「漣ちゃん、通販みたいになってるよ?」
(クソ提督が喜ぶかもしれない……でも、似合わないとか言われたらどうしよう……)
「漣、私もそれ貰えるの?」
「朧も欲しいんですか?」
「うん、欲しい」
「わ、私は――」
「潮にはこの垂れ耳で」
「いらないって言おうとしたのにぃ……」
「ほら、後は曙だけですよ」
「私は何にも言ってないよぉ……」
「し、仕方無いわね、そこまで言うなら一緒にやってあげてもいいわよ」
「メニューには蟹チャーハン入れたい、絶対」
「キタコレ! そうと決まれば加賀さん達にお店の営業許可申請して来ます!」
「あっ……行っちゃった……」
(……ヲーちゃんと一緒に洗濯機眺めよう)
――――開店、半年後には可能だそうです。
――――蟹料理なら誰にも負けない、多分。
――――そもそも、メイド喫茶って何すればいいのよ。
――――(コインランドリー喫茶なら良かったのになぁ……)
・加賀『赤城さんを追って』、投下します
――――鎮守府、入口。
「――では、後の事はよろしくお願いします」
「はい、任せて下さい!」
「領収書が五枚以上になる前にお願いしますね」
「善処はしてみます」
(今回は東北方面に向かったと報告がありましたし、まずはそちらへと向かいましょうか)
――宮城。
「すいません、この女性を見掛けませんでしたか?」
――その方なら昨日店に来て、三キロ程お肉を食べていかれましたよ。
「その後、どこへ行くかなどは話していませんでしたか?」
――次の仕事を終えたらキリタンポを食べるとか言ってましたし、秋田に行ったんじゃないでしょうか。
「そうですか、ありがとうございます」
(仕事……急がないといけないわね)
――――秋田、某所。
(アレは……)
「――赤城さん、ようやく見付けました」
「来ちゃったんですね」
「あそこ、ですか?」
「えぇ、いい加減諦めてくれると私もゆっくり食べ歩きを楽しめるんですけど……」
「食べ歩かないで下さい、月の半分も外出されては困ります」
「加賀も今度一緒に行きませんか?」
「……一食一万円に抑えると約束してもらえるなら、考えておきます」
「ふふ、楽しみにしてますね」
「――では、五分で終わらせてすぐに帰りましょう」
「キリタンポは譲れません」
「真似しないで下さい。それに、私はそこまで食べ物に執着していません」
「私だって食べる事より優先するものはいっぱいありますよ?」
「……えぇ、良く知っています――全機発艦、援護します」
「全機発艦、目標の保護、及び無力化を開始します」
――――翌日、提督執務室。
――提督、失礼します。
「加賀か、どうした?」
「お土産を渡しに来ました」
「おぉ、宮城に行ってきたのか。ゆっくり息抜きは出来たか?」
「はい、後こちらもお土産というわけでは無いですが、どうぞ」
「……なぁ加賀、コレ、“新艦娘着任許可申請書”って書いてあるんだが?」
「赤城さんを探していたら偶然保護することになりました。では、よろしくお願いします」
「偶然ねぇ……俺に隠れて何やってんだよ、お前等」
「……ただの、ボランティア活動です」
「……そうか、危ない事だけはするなよ?」
「それはこちらのセリフです。この前の様にまた一人で外出しようとしたら、執務椅子に縛り付けますよ?」
「近くに買い物へ行くぐらいなら一人で問題ない、少し心配し過ぎだ」
「……頭に来ました。暫くは全員に通達して“常勝不敗提督”と呼ばせることにします」
「おい待てやめろバカ、そんなふざけて付けられた二つ名でずっと呼ばれるとか、絶対に俺は嫌だぞ」
「でしたら、出掛ける際は必ず護衛を付けてください」
「あぁはいはい、分かったよ。全く、心配性だなお前も」
「提督の警戒心が足りなさ過ぎるだけです。初霜に足を撃ち抜かれて安全な場所まで引きずられても文句は言えないわ」
「いくら初霜でもそこまでは……するかもしれんな」
「それが嫌なら、以後気を付けて下さい」
「まぁ今後一人では出歩かないようにするさ」
(……貴方が死んだら私も、などと言ったら怒るのでしょうね)
「ん? どうした?」
「いえ、それでは失礼します」
「あぁ、またな」
――――加賀、讃岐うどんを食べに行きませんか?
――――今は信州蕎麦の気分です。
――――私は讃岐うどんの気分です。
――――信州蕎麦です、これは譲れません。
伊良湖ちゃっかり着任、次から登場します
リクエストは23時より5本まで受け付けます
1が分かる範囲のネタなら題だけでもokです
・磯波『あの、お弁当作ってみたんです』
・鎮守府七不思議その三
・飛鷹『月見酒』
・大鳳『審査員?そもそもお嬢って何を基準にすれば…』
・青葉『取材を忘れてカメラを片手に』
以上五本でお送りします
潜水艦の皆さん6-1が待ってますよ一緒に行きましょうか
七不思議が来てビックリ
・磯波『あの、お弁当作ってみたんです』 、投下します
素朴って何だろう…
――――提督執務室。
「磯波」
「はい、何でしょうか?」
「ちょっと出掛けないか?」
「あの、そこの書類は……?」
「読んでみろ、目を通すだけで疲れる」
(――“エステが鎮守府に無いのは不便ですわ、作って下さいませんこと?”、“駆逐艦が部屋に入り浸っててウザイ、何とかして”、“私の創作料理を間宮さんが認めてくれません、試食して下さい”……)
「後それが五十枚ぐらいある。少し休憩させてくれ……」
「た、大変なんですね……」
「とりあえず着替えてこい、俺も準備したら入口で待ってる」
「あの、三十分程お時間頂いても構いませんか……?」
「別に構わんぞ、俺の気晴らしに付き合って貰うんだしな」
「はい、じゃあ三十分後に入口で」
――四十分後。
「あ、あの、遅れてごめんなさい……」
「――似合ってるぞ、その服」
「えっ? あの、その……ありがとうございます」
「よし、行くか。何処かリクエストはあるか?」
「えっと、落ち着いて座れる場所が……」
(あまり遠出は出来んしな……いつもの公園にするか)
――公園。
「ここはいつ来ても静かですね」
「俺も不思議に思ってる。まぁ理由はどうあれ、ゆっくり息抜きするには最高だから有難い」
「はい、あまり騒がしいのは得意じゃないので、私も嬉しいです」
「――それで、時間が必要だったのはその中に入ってる物を作ってたからか?」
「っ!? えと、あの、ごめんなさい!」
「怒ってないから謝るな。昼も食べずに連れ出そうとしたのは俺だ、作ってくれたのなら文句を言う筋合いはないさ」
「はい……食べて、頂けますか?」
「あぁ、正直かなり空腹だ」
「ど、どうぞ」
「――サンドイッチか、いただきます」
「あの、どうでしょうか……?」
「……うん、美味い。具もシンプルであっさりしてて食べやすい」
「そ、そうですか。頑張ってみて良かった……」
「ほら、磯波も食べろ。お前も食べてないだろ」
「ひゃい!?」
「ん? どうした?」
「あ、あの、えと、い、いただきます」
(あーんしてもらえるなんて思ってませんでした……)
「――あっ、喉は乾いておられませんか?」
「飲み物も用意してきたのか?」
「はい、ハーブティーです」
「磯波が育ててるやつか、コレは何のハーブティーなんだ?」
「今日はカモミールにしてみました」
「――香りも良いし、落ち着くな」
「カモミールにはリラックス効果があるそうなんです」
「すまん、何から何まで気を遣わせたな」
「い、いえ、私はしたいことをしただけですので……」
「――ふぅ、ご馳走さん。じゃあもう少しゆっくりしたら、戻って仕事の続きをするとしよう」
「はい、私も頑張りますね」
――――すぅ……すぅ……。
――――あ、あの、提督……?
――――すぅ……すぅ……。
――――(起こした方が良いんでしょうか……それとも、このまま休んで頂いた方が……)
・『鎮守府七不思議、その三』、投下します
見てます
――――提督執務室。
「――七不思議?」
「えぇ、提督は知ってる?」
「散々苦労させられたのが一つあるから、それについてはよく知ってるぞ」
「それはどういうものだったの?」
「“提督を寄せ付けない艦娘”ってやつだ」
「提督を寄せ付けない……それって誰の話なの?」
「飛龍だよ、ここにアイツが来た頃は近付くだけで物が飛んできて大変だったんだ」
「ポ、ポルターガイスト……?」
「まぁそれに近いかもな、認めてもらえるまで苦労したよ」
「認めてもらうって、誰に?」
「よく飛龍が口にするから、大鳳も知ってるはずだ」
「――“多聞丸”?」
「あぁ、実際のところは俺もあまり良く分かってないんだがな、飛龍が無意識に拒絶してたのか、本当に守護的な存在が居るのか」
「今の彼女を見てると、想像も付かないわね……」
「今でもたまにアイツに悪意とかを持って近付く相手はろくな目に合わんみたいだぞ、どうも対象が提督限定じゃなくなったらしい」
(今日買い物に出掛けるって聞いたけど、彼女が出歩いて大丈夫なのかしら……)
――――街。
(ちょっと準備に手間取っちゃったな……急がないと)
――ねぇ、君一人? ちょっと今から一緒に遊ばない?
「ごめんなさい、友達を待たせてるから」
――じゃあその子も一緒にってことで、どう?
「――私、急いでるの」
――っ!? 何で急にベルトが……。
(今日は蒼龍に何試着させてみよう、胸元強調する服とかにしよっかな)
――待ち合わせ場所。
「ごめん、お待たせ」
「遅いよ飛龍、罰としてランチは奢ってもらうからね」
「超激辛カレーでいい?」
「良い訳無いでしょ!」
「とりあえず、見て回りましょうよ」
「あっ、遅れてきて先々行かないでよ、もうっ!」
・飛鷹『月見酒』、投下します
――――屋上。
「……ちと寒いな」
「提督がたまには屋上でって言ったんじゃない、それぐらい我慢しなさいよ」
「お前は寒くないのか?」
「下に着込んできたからご心配なく」
「そうか、なら俺も上着取ってくるからちょっと待ってろ」
「必要ないからさっさとお月見始めちゃいましょ」
「お前は俺に風邪引けってのか?」
「そんな訳無いじゃない。ほら、こっち座って」
「酒で暖まるとか言うなよ?」
「違うわよ――はい、コレでどう?」
「……月じゃなくてお前の頭がよく見えるようになった」
「見上げれば済む話じゃない」
「まぁ確かに暖かいし、コレでいいか」
「――今、お腹摘ままなかった?」
「飛鷹、お前少し太っ!?」
「あら、ごめん遊ばせ」
「鳩尾に肘は、マジでやめろ……」
「デリカシーの無い事言うからそういう目に遇うのよ」
「また春に服が入らなくなっても知らんぞ」
「大丈夫よ、愛宕達のダイエットに混ぜてもらうから」
「最初から太らない努力はしないんだな……とりあえず、団子食うか」
「今年は卯月と弥生が作ったんだっけ?」
「あぁ、二人でウサギの着ぐるみ着て配ってた」
「そういえば、愛宕がバニーガールの格好で姉妹とラインダンスするって聞いたんだけど」
「摩耶と鳥海が嫌がってたが、最後は根負けしてたな。多分、どっかで今頃やってる」
「四人のバニー姿、見たい?」
「――十二単着たかぐや姫なら、見たいかもな」
「それだと月に帰っちゃうんじゃない?」
「お前なら使者張り倒して逃げるだろ」
「ちょっと、それどういう意味? っていうか私が着るの?」
「似合うと思うんだがな、俺は」
「……酔ってる?」
「流石に一杯じゃ酔わなくなった」
「ふーん……考えとく」
「――月、綺麗だな」
「私より?」
「甲乙付け難い」
「ほら、やっぱり酔ってるんじゃない」
「さて、どうだろうな」
――――ど、どう?
――――……本当に着たのか?
――――っ……重いし今すぐ着替える!
――――(全く……似合ってるからイメージするだろうが)
すいません、今日中には書けそうにないので明日になりそうです
現状エントリー予定お嬢(?)艦娘、熊野、三隈、暁、綾波、初春、飛鷹
お嬢ならこの子が足りないとかあればどうぞ、出せそうなら出します
・大鳳『審査員?そもそもお嬢って何を基準にすれば…』、投下します
ちょっと無理矢理だったかな…
どっかのブリリアント先輩がパッと思い付いた
――――鎮守府、多目的ホール。
「――それでは、これより“真・鎮守府お嬢決定戦”を始めたいと思います。司会は私、三日月と」
「望月でーす。よし、あたしの仕事終わり」
「そんな訳無いでしょ、最後まで真面目に司会やって」
「だっるー……」
「始めに、自薦もしくは他薦によりエントリーされた皆さんに入場してもらいます」
「じゃあ入ってー」
「まずはエントリーNo.1、熊野嬢。神戸生まれのお洒落な重巡と言いつつ、ドラム缶をこよなく愛するお茶目さがポイントです」
「ちょっと、紹介が酷くありませんこと?」
――それ、鈴谷が考えたんだよー。
「続きまして、エントリーNo.2、三隈嬢。正統派系のお嬢様な雰囲気からは考えられない衝突癖がポイントです」
「わざとじゃありませんのよ?」
――嘘だっ!
「続いてエントリーNo.3、暁嬢。背伸びをしてレディーだと言い張り、周囲から微笑ましい目で見られている様は、ある意味世間知らずなお嬢と言えなくもない?」
「ちょっと、何で暁だけ疑問系なのよ!」
――まぁ、そうなるな。
「続いてエントリーNo.4、綾波嬢。そのぷにぷにほっぺに癒されたい男性は数知れず、天性の方向音痴もチャームポイントの一つです。――あれ、綾波さんは?」
「保護者が捜索中だってさ」
――間に合った! ほら、早く行って!
「遅れちゃいましたー」
「き、気を取り直しまして、エントリーNo.5、初春嬢。気品漂うその立ち居振舞いは、平安時代の姫を連想させます」
「妾だけ普通な紹介でつまらぬのぅ」
――寝起きはそんなに良くなっ!?
「すまぬな子日、手が滑ってしもうたわ」
「望月、はい」
「めんどくさ……あーっと、エントリーNo.6、飛鷹嬢。先日の十二単が印象的な、酒瓶を持たなきゃお嬢系」
「何を飲もうが私の勝手でしょ」
――そうだそうだー。
「次、エントリーNo.7、ビスマルク嬢。ドイツが誇る超ド級構ってちゃん、別名“大きな暁”」
「コレを書いたのは誰! 名乗り出なさい!」
――何? どこか違った?
「ほっといて次、エントリーNo.8、金剛嬢。ティータイムをこよなく愛し、お茶を飲む以外何もしないぐうたら系お嬢」
「ぐうたらなんてしてないヨ!?」
――金剛姉様も比叡姉様の面倒をちゃんと見てください。
「次ー、エントリーNo.9、榛名嬢。騙しやすそう騙されやすそう、どんなことにでも大丈夫と笑顔で答える素直さがポイント」
「榛名も断る時は断ります」
――私のデータによると、大丈夫ですが口癖なだけね。
「次、エントリーNo.10、比叡嬢。世間知らずとかそんな次元を超越した料理の数々。その中から産まれた絶品カレーは、奇跡の産物なのかもしれない。気合いの入った暴走元気系お嬢」
「気合い! 入れて! 行きます!」
――比叡さん、頑張きゃあっ!
――白露ー!?
「誰か白露にバケツ、ラストー、エントリーNo.11、大鯨嬢。間宮食堂で働くほんわか系な彼女。しかし、瑞鳳とは九九艦爆と天山の可愛さについて熱い議論を交わしたこともある艦載機ラブ勢だ」
「天山が一番可愛いです」
――九九艦爆の脚!
「あーい、コレで全員だよ」
「続いて審査員の三人をご紹介します。まずは当然この方、司令官です」
「仕事に早く戻らせろ」
「続いてはくじ引きで決定したこの方です」
「お嬢の意味を考えさせられる面々ね……」
「最後はこの方、お艦ofお艦、鳳翔さんです」
「ふふ、よろしくお願いします」
「それでは司令官が早く戻りたいと仰っているので、早速審査の方に移りたいと思います」
「あーい、三人とも紙に番号書いたらこっち渡してー」
「――はい、それでは発表致します。見事に全票を獲得し、鎮守府お嬢決定戦を制したのは――熊野さんです!」
「まぁ、当然の結果ですわね」
「お三方、理由をお聞かせ頂けますでしょうか?」
「レストランのドリンクバーで厨房までもらいに行くのは熊野ぐらいだ」
「ハンバーガーを食べに行って、席に座って店員が来るのを待ってたって聞いたわ」
「たこ焼きにフォークが付いてないって言ったそうね」
「なっ!? ど、どういうことですの!?」
「親しみやすいってことだ」
「鈴谷に騙され過ぎね」
「おめでとうございます、熊野」
「す、素直に喜べませんわ……」
「それではこれにて“真・鎮守府お嬢決定戦”を終わりたいと思います」
「撤収ー」
――――良かったじゃん熊野、満場一致だったよ。
――――世間知らずナンバーワンと言われて嬉しい訳ありませんわ!
――――ほら、トッポでも食べて機嫌直しなって。
――――……イチゴ味はありますの?
乙です
え?白露に一体何が襲いかかったんですか?ww
・青葉『取材を忘れてカメラを片手に』、投下します
――――鎮守府近くの山。
「司令官司令官、ほら見てください! あそこに珍しい花が咲いてますよ!」
「あぁ……花、花な……ふぅ……」
「何かあっちに変わった形のキノコも――って聞いてますか司令官」
「青葉、頼む、ペースを、落とせ……」
「コレでも青葉的にはスローペースです」
「ベリースローで頼む……」
「スゥロォオォペェエェス?」
「すまん、突っ込む気力が無い」
「――もしかして、ご迷惑でしたか?」
「何回も言わせんな、嫌なら来ない」
「なら安心ですね、さぁどんどん行きましょう」
「いや、迷惑じゃないが体力的にキツいのは――」
――早く来ないと置いてっちゃいますよー?
(……帰りに湿布と栄養ドリンク買って帰るか)
――――山頂付近。
「も、もう動けん……」
「たまにはちゃんと運動しないとブクブク太っちゃいますよ?」
「残念ながら太りにくい体質でな」
「今、一部の重巡を司令官が敵に回しちゃった気がします」
「言わなきゃいいだけの話だ」
「青葉、LINEに書いちゃいました」
「何で山頂に電波来てんだよ!? ってかそんなもん書くな!」
「冗談ですよ、青葉も太らない体質ですし」
「そりゃあんだけ動けば太らんだろ」
「――司令官」
「何だ?」
「はい、チーズ」
「っ!? コラ青葉、撮るならちゃんと先に言え」
「司令官の慌てた顔、頂いちゃいました」
「お前なぁ……」
「写真って良いですよね。見れば思い出がパッと蘇っちゃいます」
「死ぬほど疲れた記憶が鮮明に思い出される訳か」
「そこは青葉と一緒で楽しかったって書き換えといて下さい」
「分かった、カメラ構えて子供みたいにはしゃぐ青葉が可愛かったって書き換えといてやるよ」
「っ……不意打ちは卑怯ですよ、もう」
――――青葉も撮ってやる、カメラ貸せ。
――――遠慮します。
――――逃げるな、おとなしく撮られろ!
――――青葉は撮るのは好きでも、撮られるのは苦手って前にも言ったじゃないですかー!
次のリクエストは朝の八時から五本まで受け付けます
>>620
五月雨が腕を振り上げて応援しようとする、白露の顎を打ち抜く、白露崩れ落ちるという流れでした
・卯月『ウサギ美味しいぴょん』
・加賀『頭脳、ですか?』
・電響『拾った』
・ヲーちゃんとながもん『深海悽艦等に私が心奪われるはずがーー』
・時津風『しれぇー!』
以上五本でお送りします
・卯月『ウサギ美味しいぴょん』、投下します
――――提督執務室。
「だからうーちゃんを食べるぴょん」
「意味も分からず言ってるだろお前。それと正しい歌詞は、“兎美味しい”じゃなくて“兎追いし”だ」
「細かいこと気にしてたらハゲるぴょん」
「卯月、カチカチ山って知ってるか?」
「うーちゃん浮くから大丈夫でぇーす」
「待ってろ、唐辛子を磨り潰して背中に塗ってやる」
「全国うーちゃん愛護法に引っかかるぴょん」
「誰がそんなもん作るかよ」
「元帥ぴょん」
「……納得出来ちまうのが恐ろしいな」
「それより早くうーちゃんと遊ぶぴょん」
「コレ書き終わったら、この前みたいなの以外なら遊んでやる」
「“睦月型パンツ当てクイズ”は面白くなかったぴょん?」
「面白いわけあるか! 加賀にあんな冷たい目向けられたの初めてだったんだからな……」
「じゃあ今日はにらめっこでいいでぇーっす」
「普通のか?」
「にらめっこに普通以外ってあるぴょん?」
「多分無いな――よし、終わった」
「じゃあ早速やるぴょん」
(この歳でにらめっこってのもかなり恥ずかしいが、変な遊びに付き合わされるよりはマシか……)
「にらめっこしましょーあっぷっ――」
――ちゅっ。
「っ!? お前何やってんだ!」
「うーちゃんが美味しいかどうか味見させてあげたんだぴょん」
「あのなぁ……ん? どうした卯月、顔赤いぞ?」
「な、何でもないぴょんぷっぷくぷー!」
「コラ逃げるな、熱あるか確認するから」
「ボーマンカン! うーちゃんゲッコーチョー!」
「訳が分からん、いいから大人しくしろ」
「あぅー……」
「熱は――無いな。しんどかったりダルかったりするか?」
「……司令官」
「何だ?」
「卯月とずっと、ずーっと遊んでくれる?」
「普通の遊びなら、何時でも付き合ってやるさ」
「――司令官、大好きぴょん!」
(何だか良く分からんが、元気の様だし、まぁいいか)
「じゃあ次はお医者さんごっこするぴょん」
「それのどこが普通だー!」
――――提督、兎の丸焼きはお好きですか?
――――捕まったぴょん……。
――――今度は何したんだよ。
――――パンツがダメなら空母の人達のブラにしてみようと思ったぴょん。
――――お前も大概チャレンジャーだな……。
前回同様少しご協力をお願いします
頭の良さそうな艦娘、霧島、鳥海、大淀、夕張、明石以外で加えて欲しい艦娘がいれば書いて下さい
追加出来そうなら追加してみようと思います
ご協力感謝します
今日中には投下予定
・加賀『頭脳、ですか?』、投下します
司会の人選を間違えた
――――鎮守府、多目的ホール。
「みんなー“艦隊の頭脳決定戦”、始めるよー。司会は文月とー」
「長月だ」
「じゃあ早速頭が良いって人達に入ってもらうねー」
「エントリーNo.1、霧島。艦隊の頭脳といえば自分だと自負する頭脳派。但し機械は叩いて直す」
「アレは叩くのが一番効率的です」
――敵を直接殴る作戦はノーなんだからネ!
「次だ。エントリーNo.2、鳥海。眼鏡を外すと歩けないド近眼系眼鏡女子。最近は市販の眼鏡でも大丈夫になり、眼鏡を衝動買いしている模様。その支出は計算の内なのか?」
「大丈夫です。その分は姉二人のスイーツ代から捻出していますから」
――マカロンからポッキーに格下げは酷いんじゃないかしらー?
「次、エントリーNo.3、大淀。着任早々仕事をテキパキと処理する書類のスペシャリスト。最近軍指令部から帰って来いとラブコールを受けているが拒否し続けているようだ」
「ここの方が待遇も良いですし、仕事もやりがいがあります」
――いいから古巣に戻るであります!
「あきつ丸、来月はバイト増やしますから頑張って下さいね?」
――鬼! 悪魔! 大淀!
「文月、交代だ」
「はーい、えっとねーエントリーNo.4、メロンさん。工廠でずーっと機械弄りとかしてる引きこもりさん! 今度またアニメ見せてねー」
「あはは……来てもいいけど、部品で遊ばないでね?」
――マスターは引きこもりではありません、出不精なだけです。
「どんどん行くよーエントリーNo.5、たこ焼きさん。文月達の体を治してくれるお医者さん。あたし、次はコーヒーカップに乗りたいなー」
「明石焼きとたこ焼きは違うのよ文月ちゃん? コーヒーカップ、考えときますね」
――怠惰スーツ、作って欲しい。
「コーヒーカップ楽しみー。次いっくよー、エントリーNo.6、ビッキー。ロシア語って難しそうだし何か頭良さそー」
「その理屈だと、ドイツ艦娘達も含まれそうだね」
――響は雑学に詳しいのです。猫の飼い方は響に教えて貰ったのです。
「猫可愛いよねー。えっとー……長月、次何番だっけ?」
「自分の名前と同じだ」
「あっそっかーありがとー。エントリーNo.7、はっちゃん。難しくてあたしには読めない本いーっぱい読んでるよー」
「最近は古文がマイブームです」
――あんなの呪文なのね。
「子分って本なの? 次ーエントリーNo.8、マックス。マックスも何か難しそうな本読んでたよねー?」
「アレは色々な国のズッペのレシピよ」
――お店の為に、マックスは色々勉強してるんだよ。
「一度ストップだ文月」
「なになにー?」
「さっきから文月の印象で紹介しているが、ちゃんとカンペは読んでいるのか?」
「ほぇ? カンペってなーに?」
「……交代だ、私がやろう」
「はーい」
「エントリーNo.9、神通。常識的な彼女らしく一般教養もしっかり把握。最近は照明や色彩の勉強の傍ら、足を綺麗に見せ――」
「長月? 武蔵さんばかりとではなく、私とも特訓してみませんか?」
「え、遠慮させてもらおう……次でラストだ、エントリーNo.10、木曾。巷では厨二と騒がれているものの、個性的な姉達の戦術スキルを全て身に付けた彼女は本物だ。努力の天才、木曾だキソー」
「最後考えたの誰だ! 大井姉ぇか!?」
――球磨じゃないクマー。
「続いて審査員のみんなを紹介するよー。最初はみんな大好き司令官!」
「だから仕事させろよ」
「二人目は艦隊の頭(かしら)、加賀さんだ」
「提督の仕事なら今頃吹雪がやっています」
「三人目は通りすがりの謎のおじいさんだよー」
「どうも、通りすがりのお爺さんじゃ」
「今すぐ誰か元帥のところの卯月に連絡しろ! 徘徊老人が居るぞ!」
「では早速審査に移ろう、手元の紙に番号を書いて文月に渡して欲しい」
「回収するよー」
「――それでは結果を発表する。栄えある第一回艦隊の頭脳決定戦に勝利したのは……霧島さんだ」
「“艦隊の頭脳”ということであれば、当然の結果ね。――でも、平和になった今は私より相応しい人が居るんじゃないかしら?」
「ほぅ……そりゃ誰だ?」
「私の使っている鎮守府管理プログラムを作ったのは明石さん。それを機能させられる設備を整えたのは夕張。“鎮守府の頭脳”ということなら、二人の方が相応しいわ」
「霧島、貴女はそれでいいの?」
「データは正しいからこそ意味があるんです。“艦隊の頭脳”としては当然の選択ね」
「前々から儂のところにあの二人は引き抜きたかったんじゃ、卯月も喜びそうだしな」
「さっさとその卯月に連れて帰ってもらえ徘徊老人」
「えっと、私と明石さんが選ばれたってことでいいのかしら……?」
「色々好きにやってるだけなんですけど……」
「“艦隊の頭脳”様からの有り難い推薦だ、遠慮なく喜んどけ」
「それじゃあ“艦隊の頭脳”は霧島さん、“鎮守府の頭脳”はメロンさんとたこ焼きさんに決定ー! みんなまたねー」
「また会おう、諸君」
――――この前お願いしたマイク、出来ましたか?
――――出来てますよ。はい、どうぞ。
――――流石夕張と明石さんね、想像以上の出来だわ。
――――また何かあればいつでもお気軽に仰って下さいね。
・電響『拾った』、投下します
海岸か路地裏か悩んだけどこっちで
――――路地裏。
「響、本当にこっちが近道なのですか?」
「そのはずだよ」
「物凄く狭いのです……」
「聞いたのが多摩だから、もしかしたら猫が使っている道なのかもしれない」
「いくら電達が小柄でも、猫さんの道は厳しいのです……」
「暁なら余裕で通れそうだ」
「それ、暁に言ったら拗ねるから絶対に言っちゃダメなのです」
「最近、暁は“小さい”という単語に敏感になりすぎている気がする」
「この間は牛乳飲み過ぎてお腹壊してたのです」
「全く、困った長女だ」
「でも、みんな暁のこと大好きなのです」
「愛されキャラということさ」
「――響、ちょっとストップなのです」
「何だい? 体がつっかえたのなら自力でどうにかしてくれ、この狭さだと方向転換は難しい」
「そうじゃないのです。何か聞こえませんか?」
「――鳴き声?」
――――暁型私室。
「ただいまなのです」
「戻ったよ」
「二人ともお帰りー、ってその段ボールどうしたの?」
「拾った」
「何でわざわざ段ボールなんか――」
――みゃー。
「……子猫?」
「電がどうしても連れて帰ると言って聞かなかったんだ」
「捨てられてて、可哀想だったのです……」
「もう電には“ていとく”がいるじゃない」
「て、ていとくの世話もちゃんとするのです!」
「ていとくと喧嘩するかもしれないわ」
「とりあえず飼うかどうかは後で決めるとして、まずはその子に餌をあげた方がいいと思うよ。お腹を空かせているみたいだ」
――みぃー……。
「はわわ、そうだったのです。雷、ていとくにもあげるので餌のお皿を出して欲しいのです」
「もう、しょうがないわねーちゃんと後で加賀さんに相談するのよ?」
「はいなのです」
「そういえば、暁はどこかに出掛けているのか?」
「ビスマルクさんとお茶を飲みに行くって出てったわ」
(最近仲が良いな、あの二人。やっぱり似た者同士、通じ合う何かがあるのかもしれないな)
――にゃー。
――ふみゃっ!?
――うにゃーお。
――……みゃー?
――にゃ。
――みゃーん。
「――雷、さっきの心配は杞憂だったみたいだよ」
「どういうこと?」
「“ていとく”の名前は伊達じゃない、ってことさ」
「もう仲良しさんになってるのです」
「しきりに頭擦り付けてるわね……」
「これを引き離すのは少し骨が折れそうだ」
「――電、もう名前は考えたの?」
「まだなのです」
「じゃあ、こういうのはどう?」
――――ちゃんと責任を持って飼うなら許可します。それで、名前は決めたのかしら?
――――“なの”なのです。
――――……ごめんなさい、もう一度言ってちょうだい。
――――だから、“なの”だよ。
――――電と会話したら混乱しそうな名前ね……。
・ヲーちゃんとながもん『深海悽艦等に私が心奪われるはずがーー』 、投下します
ながもん は ながもん改 に 進化した!
――――提督執務室。
「長門」
「何だ?」
「お前の最優先保護対象は駆逐艦娘だったよな?」
「あぁ、そうだ」
「この間、“姿形がどれ程変わっても深海棲艦は深海棲艦。保護するなど反対だ”と言いに来たよな?」
「む? そうだったか?」
「とぼけんなこの節操無し! その頭に乗ってるのは何だ!」
「提督こそボケたのか? ヲーちゃんだ」
「ヲ!」
「三日前のあの発言はどこに消えた可愛いなら何でもいいのかヲ級は空母だいいからさっさと部屋に戻してこい!」
「そう怒鳴るな、ヲーちゃんもびっくりしてしまう」
「提督、声オッキイ」
「はぁ……今日は島風が監視をしている日のはずだが?」
「私が代わった。何だ、この長門では力不足と言いたいのか?」
「俺が聞きたいのは、何でここにわざわざ連れてきたのかってことだ」
「そんなことは見れば分かるだろう。可愛いからだ!」
「それは強く拳を握り締めて言わなきゃならんことか?」
「ヲー……長門モ、声オッキイ」
「すまないヲーちゃん。お詫びにこのペロペロキャンディーをあげよう。何味がいい?」
「ヲッ! グレープ味!」
「よし、分かった。提督も食べるか?」
「苺。その菓子が大量に入ったバッグはまた鳳翔に頼んだのか」
「あぁ、ヲーちゃんバッグだ。流石は鳳翔さん、仕事が早かった」
「ヲッ! 私ニソックリナ人形モ作ッテクレタ!」
「そうか、良かったな」
「オ菓子モイッパイクレタ。鳳翔モ凄ク良イ人」
(潮が言った通りか、お菓子くれるイコール良い人認定は確かに少し危ないな……まぁ、ここには悪い奴なんざそもそも居ないが)
「――提督、暫くヲーちゃんの監視には細心の注意を払ってくれ」
「……何かあったのか?」
「どうも最近、一般人らしからぬ者が度々客として訪れている。この子に気付いての事ではないだろうが、気を引き締めておくに越したことは無い」
「分かった。全員に伝えておく」
――――長門、監視を交代します。
――――……もう一日監視を――。
――――却下します。警備の仕事に戻って下さい。
――――くっ、せめて仕事が鎮守府内の警備で無ければ……。
――――長門、頑張レ!
・時津風『しれぇー!』、投下します
雪風と時津風には頬袋が備わっているような気がする
――――早朝、提督私室。
「しーれーえー!」
「ぐおっ!?」
「朝だよしれー、起きて起きて」
「っ……」
「アレ? どしたのしれー、しれぇー、しれぇーってばー」
「起きた、起きたから上で動くな……危うく永眠しそうになったぞ……」
「寝ちゃダメだよしれー、朝御飯作って」
「お前なぁ……」
「ほらほら、早く起きないと叩くよー」
「起きるから降りろ、朝飯作らんぞ」
「はーい」
(餌付けに成功して警戒解いてくれたのは有り難いが、コレはコレで大変だな……)
「しれー、早く早くー」
「分かったからちょっと待て、服ぐらい着替えさせろ」
――三十分後。
「味はどうだ?」
「おいひーよー」
「焦らずゆっくり食え、別に口に詰め込まなくても誰も取らん」
「むぐ?」
(ハムスターが一匹増えたか……)
「しれー、食べたらどっか連れてって」
「執務室」
「叩くよ?」
「叩くな、どこか行きたいところでもあるのか?」
「動物園とか行ってみたいかなー」
「わざわざ行かなくても熊と猫と兎ならすぐに見れるんだがな」
「何その微妙なラインナップ……」
「動物園ってことは、見たい動物がいるのか?」
「うん、前から見に行きたかったんだー」
「分かった、じゃあその動物が居る動物園に行くとするか」
「その前にしれー、お代わり」
「朝から良く食うなお前……」
――――しれー! こっちこっちー!
――――コラ、先々行くな時津風。
――――カピバラ可愛いよねー、ねぇしれー。
――――(齧歯類、か……)
今から五本までリクエスト受け付けます
若干スランプ気味なのでちょっと書くのに時間かかるかもしれません
・鈴谷『褒められる機会が無くなった』
・大和&武蔵『姉妹喧嘩』
・ヲーちゃん『赤城、怖イ……』
・雷&夕雲『甘えるならどっち!?』
・暁『暁に相応しいアイスを見付けたわ!』
以上五本でお送りします
――――提督執務室。
「――あっ、脱字あんじゃん。うわーテンション下がるわー……」
「頑張って書き直せ、それ終わるまで昼はお預けだ」
「鈴谷ちょーお腹空いてるんですけどー」
「だったら口を動かさず、手を動かすんだな」
「ケチ、先にご飯ぐらい食べさせてくれたっていいじゃん。マジこういうのパワハラだと思うんですけどー」
「そうか。昔から続いてる有名なカツカレーの店に連れていってやろうかと思ってたんだが、お前は行きたくないのか。実に残念だ」
「五分あればこんなの余裕っしょ! 提督、今のうちにアタシの上着取ってきて!」
(カレーの力は偉大だな、本当に……)
――――カレー屋。
「ほっほぉー、こんなお店知ってるなんて、提督もやるね~」
「うちの鎮守府には歩く食べログが居るからな、俺が見つけた訳じゃない」
「今度アタシも聞こっかなー全国の美味しいカレー屋」
「お前まで勝手にフラフラ出ていくなよ?」
「大丈夫だって、加賀さんのアイアンクローで頭潰されるのはマジ勘弁だし」
「霞ですら泣きながら謝ってたからな、アレ……」
「――あのさ提督、実は鎮守府の見回り手伝おっかなーって思ってるんだけど、鈴谷じゃ務まんない?」
「……本気か?」
「うん、本気、マジで」
「急にどうしたんだよ、何かあったのか?」
「ほら、遊んでばっかだとそのうち飽きるじゃん? そういうのもやってみよっかなーなんて……思ったん、だけどー……ダメ?」
「――話はしとくから、後は長門と陸奥に聞け。基本的にはアイツ等に任せてる」
「え? マジ?」
「言い出したのはお前だろうが、何で驚く」
「だって、鈴谷には無理とか言われると普通思うじゃん?」
「鈴谷はやるって言ったことはやるだろ、違うか?」
「そう言われちゃうとサボったり手抜きは出来ないよねー……」
「するつもりだったのか?」
「――しないよ、やる時はやる鈴谷ですから」
「まぁ、やるからには頑張れ」
「りょーかいしましたー」
(明日辺りには熊野も言い出しそうだし、それも二人に伝えとくとするか)
――――鈴谷、頭でも打ちましたの?
――――ほら、鈴谷も鎮守府の一員だし、仕事するのは当然じゃん?
――――私に嘘を吐いてもバレバレでしてよ?
――――……が、頑張ったら提督が褒めてくれるかもしれないかなーって。
――――呆れてモノも言えませんわ……。
ちょっと頭痛するんで小ネタ投下で今日はご容赦を…
――――提督執務室。
「はい、北上さん」
「大井っち、ありがとねー」
「いえ、お礼なんてそんな……」
「出前扱いされて嬉々としてカレー作ってくるって、お前それでいいのか?」
「いいんです、北上さんですから」
「提督ー早く食べよー」
「あぁ、そうだな。大井も一緒に食べていくか?」
「いえ、私は部屋に戻って食べますから。お二人でどうぞごゆっくり」
「大井っち、私は気にしないよ?」
「(北上さん、私が居たら思う存分甘えられないんじゃないですか?)」
「(あー……うん、まぁそうかもねー)」
「やっぱり遠慮しときます。じゃあ北上さん、また何かあったらすぐに呼んで下さいね」
「うん、本当にありがとね大井っちー」
「さて、食べるか」
「いただきまーす」
「――今日のは少し辛めだな」
「うん、結構ピリピリくるねー」
「だが、癖になる味だ」
「スパイスの配合からしてるって言ってたよ?」
「うちの連中はカレーに凝る奴が多いな本当に……」
――十五分後。
「――ねぇ、提督。私もう我慢出来ない……」
「……俺もだ、北上」
「じゃあ、いいよね?」
「あぁ、いいぞ」
「あー涼しー」
「ようやく汗がひいてきたな……」
「提督、汗で気持ち悪いし下着も替えたいからちょっと部屋に戻るねー」
「俺もその間に着替えとく。それにしてもあのカレーどんなスパイス入れたんだ? 身体中から汗が噴き出したぞ」
「ついでに大井っちが居たら聞いてみる」
「あぁ、頼んだ」
――――大井っち、あのカレー何か特別なもの入れた?
――――新陳代謝を高めるスパイスです。ひょっとして美味しくなかったですか……?
――――味は美味しかったよ。でも、汗が止まんなくなっちゃってさー。
――――ごめんなさい北上さん、次からは分量控え目にしてみますね。
・大和&武蔵『姉妹喧嘩』、投下します
大淀が働きたくないあきつ丸を無理矢理引きずってきたのであきつ丸ようやく着任
――――提督執務室。
「――戦艦寮、随分風通しが良くなったそうだな」
「そ、そうみたいですね」
「まさかとは思うが、取っ組み合いの喧嘩して端から端まで壁をぶち抜く大和型なんて、うちの鎮守府には居ないよな?」
「壁だけで済んで良かったじゃないか。流石は明石、良い仕事をしている」
「そうだな、全壊もあり得たから被害としては軽微と言えなくもない――訳あるかっ! 喧嘩するならせめて外でやれ! 大体何で喧嘩なんかした。お前達仲が良いだろ」
「武蔵にプレゼントを渡そうとしたんです」
「それで、喧嘩になった」
「間をすっ飛ばすな、ちゃんと説明しろ」
「その……を……」
「?」
「ブラを、買って贈ったんです」
「ひょっとして、それを着けたくないって武蔵が受け取らなかったから喧嘩になったのか……?」
「流石は相棒、察しが良いな。正にその通りだ」
「たまに街を一緒に歩くと周囲の視線が気になってしまって、上着を着せるにはまずブラからだと思ったのですが……」
「“何を気にすることがある、サラシは必ず巻いているぞ”、と返したら喧嘩になってしまったという訳さ」
「……武蔵」
「何だ、提督よ」
「お前、服着ろ。提督命令だ、拒否は許さん」
「断る」
「大人しく着ない場合は、着ぐるみで一日遊技場で子供の相手をさせる」
「拷問とは見損なったぞ提督よ!」
「長門は寧ろ喜びそうな拷問ですね」
「お前に憧れてる清霜の為にも、暑がりで猫舌なんていうのは隠したくは無いか?」
「くっ、つくづく卑劣な真似を……」
「いい加減諦めたらどうですか、武蔵」
「……提督が選んだ服なら、一度ぐらいは袖を通してやる」
「大和の買ったブラも忘れないで下さいね」
「それは断固拒否させてもらおう」
「お前の基準はどうなってんだよ」
――――提督、また大和と武蔵が喧嘩をしたようです。
――――今度は何だ?
――――武蔵が大和のセーブデータに上書きしてしまったそうです。
――――理由が更に馬鹿馬鹿しくなってんじゃねえか……。
・ヲーちゃん『赤城、怖イ……』、投下します
赤城=お菓子の人
――――ヲーちゃんの部屋。
「……」
「ヲ?」
「……」
「赤城、何?」
「――深海棲艦って、少し魚っぽいですよね」
「ヲッ!?」
(イ級に足が生えたりしてましたし、魚類から両生類、最終的には完全に人型のイ級等も、あのまま戦いが続いていれば生まれていたのでしょうか?)
(ヲ……赤城、私ヲ食ベヨウトシテル……?)
「そういえば、この間北海道に行ってきたんです。レーズンバターサンド食べますか?」
「ソレ、安全?」
「安全ですよ。ほら、私も食べますから」
「ヲ……ナラ、食ベル」
「はい、どうぞ」
「イタダキマス」
「いただきます」
「――コレ、凄ク美味シイ!」
「気に入ってもらえたみたいですね。定番ですし、私も気に入ってます」
(赤城、良イ人。私、食ベナイ)
「いっぱい食べたら、貴女もそのうち大きくなるんでしょうか?」
(ヲッ!? 私、大キクナッタラ食ベラレル……?)
「お菓子以外で何か食べたいものはありますか?」
「ダ、大丈夫。オ菓子デ、満足」
「そうですか。なら、今度またご当地のお菓子を買って来ますね」
「ヲ……」
(私、ヲーちゃんに嫌われてるんでしょうか……)
――翌日、ヲーちゃんの部屋。
「――赤城さんが怖い?」
「ヲ……私、食ベラレナイカ不安」
「確かに赤城さんは食べる事が大好きだけど、貴女を食べたりは絶対にしないわ」
「デモ、私ノコト魚ト似テルト言ッタ。イッパイ食ベサセテ大キクナッタラ食ベル気カモシレナイ……」
(一体彼女にどんな話をしたんですか赤城さん)
「――ヲーちゃんを、食べる?」
「っ!? 潮、話を聞いて。それは誤解――」
「ヲーちゃんは大事な友達なのに……食べるなんて、酷いです……」
(コレは少し事態の収拾に時間がかかりそうね……)
――――ヲッ! コレモ美味シイ!
――――各地のご当地お菓子です。どれがいいか分かりませんから、全種類買って来ました。
――――ヤッパリ、赤城モ良イ人。
――――赤城さん、ヲーちゃん食べたりしない、ですよね……?
――――? 食べる?
――――い、いえ、あの、何でもない、です……。
――――鎮守府入口。
「吹雪さん、残りの書類お願いしますね」
「はい、任せて下さい」
「じゃあちょっと行ってきます」
「行ってらっしゃい、大淀さん」
――某温泉宿。
「何で自分の行き先が分かるんでありますかー!」
「勘です」
「だがしかし、そう簡単には捕まらないであります!」
(逃げちゃいましたか……)
「――あの、今チェックアウトした人の部屋って泊まれますか?」
――翌日、某キャンプ場。
「げぇっ!? 大淀!?」
「そんな化け物を見たみたいに驚かないで下さい」
「もう諦めて帰るであります! ちゃんとそのうち帰るであります!」
「コレも仕事ですから」
「絶対に“仕事”じゃなくて“私事”であります……」
――翌日、某カプセルホテル。
「……ん? 何かが入り口に――」
――あーきーつーまーるー。
「お、お化けでありますぅぅぅぅっ!?」
「失礼な事を言わないで下さい、私です」
「何だ、大淀で……大淀!?」
「さぁ、帰りま――」
「まだだ、まだ終わらんでありますよ!」
(逃げ方に磨きがかかってきてるような……)
――某ネカフェ。
「見付けました」
「逃走経路はバッチリであります!」
――某橋の下。
「そろそろ諦めて帰りませんか?」
「意地でも逃げ切ってやるであります!」
「ただいま戻りました」
「お帰りなさい。あきつ丸さん見付かりましたか?」
「えぇ、お金が無くなったら最後に駆け込む先は分かってましたから」
「? それならわざわざずっと追わなくても良かったんじゃ……」
「――だって、この方が楽しいですから」
――――あきつ丸、少し鳳翔さんのところへ飲みに行きませんか?
――――……何を企んでいるでありますか?
――――別に何も。ただ、提督とケッコンカッコカリした経緯を詳しく聞きたいだけです。
――――そういうことなら付き合ってもいいであります。
――――細工をしてケッコンカッコカリの書類にサインをしてもらおうと何度か試みたのですが、全て見破られてしまって。
――――何してるでありますか書類のスペシャリスト。
スランプに陥った時、助けてくれたのは一匹の兎だった
次々と試練を二人に叩きつける卯月
その先に待っているのは栄光か、絶望か
二人の熱い思いは、提督へと届くのか
――君は、“甘える”という言葉の本当の意味を知る
次回、『合意とみてよろしいぴょんね?』
カンムスファイト、レディーゴー!
※没ネタが3つ出来るぐらい難航してたので、もう少し投下までお待ちください
・雷&夕雲『甘えるならどっち!?』 、投下します
タイトル詐欺っぽくなった、甘えるって何だっけ…
――――休憩スペース。
「雷よ!」
「夕雲です!」
「何を騒いでるんだお前等。初雪から五月蝿いって苦情が来たぞ」
「ねぇ司令官、甘えたくなるなら私よね!?」
「夕雲に決まってます!」
(あっ、コレめんどくさくなるな……)
「すまん、用事を――」
「合意とみてよろしいぴょんね? これより雷バーサス夕雲の甘えさせ上手勝負を執り行うぴょん!」
「……お前、今バケツの中から出てこなかったか?」
「細かいことは気にしちゃダメぴょん。とにかくやるぴょん」
「望むところよ!」
「夕雲型一番艦の実力、見せてあげます」
(しまった、逃げるタイミング逃した……)
・三番勝負、二本先取で勝利
・審査は当然提督が行う
・勝負内容は“卯月が決める”
――――第一ラウンド。
「まずは小手調べぴょん。司令官をよりリラックスさせた方が勝ちぴょん」
「先攻雷、行っきまーす。司令官、肩を揉んであげるわね」
「ん……練習したのか? 前より上手いな」
「ふふーん、いつまでも以前の私だと思ったら大間違いなんだから」
「次、行くぴょん」
「夕雲の番ね。提督、こっちへ来て座って下さる?」
「? 何をする気だ?」
「こうするんですよ――提督、いつも夕雲達の為に頑張ってくれてありがとう」
「……撫でられる側に回ったのは、いつ以来だろうな」
「おーっと抱擁からの頭撫で撫でコンボが決まったぴょん! 一ラウンド目から早くも夕雲の高等テクニックが炸裂でぇーっす!」
「何よ、雷だってあれぐらい出来るわよ!」
「雷には再現できない部分があるから無理ぴょん。夕雲のはマシュマロみたいぴょん」
「マシュマロ? マシュマロなら私も作れるわ」
「簡単にアレが作れたら苦労しないし……」
――――第一ラウンド、夕雲の勝利。
――――第二ラウンド。
「次は司令官の趣味趣向当て早押しクイズでぇーっす。先に三問正解した方の勝ちだぴょん」
「この雷様に司令官に関することで分からない問題なんて無いわ!」
「知っていて当然ね」
(何故だろう、不安しか無い……)
「第一問。司令官は何フェチ?」
「はい!」
「雷、解答するぴょん」
「足、特に太股と髪!」
「正解ぴょん」
「なぁ、コレは俺の公開処刑か何かか?」
「提督、夕雲は何時でも髪を触ってもらって構わないんですよ?」
「ちょっと夕雲、然り気無く司令官にアピールするなんてずるーい!」
「次、早く次いけ卯月」
「了解でぇーっす。第二問、司令官の好きなした――」
「はい!」
「夕雲、答えてぴょん」
「黒」
「正解ぴょん。どんどんいくぴょん第三問、司令官の持ってる漫画に出てくる女の子の髪型で一番――」
「はい!」
「雷、どうぞだぴょん」
「ストレートのロングとツインテールが同率一位!」
「正解ぴょん」
「ストップ! もうこれ以上は色々ヤバそうだから雷の勝ち!」
「納得はいきませんけど、提督がそう言うなら従うわ」
――――第二ラウンド、雷の勝ち。
――――最終ラウンド。
「最後は純粋に司令官に甘える様な行為をさせた方の勝ちだぴょん」
「最初からコレやれば良かったんじゃないか?」
「さ、さぁ持てる力の全てを使って甘えさせるぴょん!」
(強引に流しやがった……)
「司令官、私に何でも言っていいのよ?」
「何でも、と言われてもなぁ……」
「提督、お疲れでしょう? 膝枕をしてあげるわ」
「まだ書類があるから遠慮しとく」
「じゃあ司令官、私の髪を触ってもいいわ。髪触るの好きでしょ?」
「夕雲の髪の方が、長くて触りがいがあると思わない?」
(髪触るのって、甘えることになるのか……? まぁ、いいか)
「ん……撫でるだけでいいの?」
「少しぐらいなら引っ張ったりしてもいいのよ?」
「それやって死ぬほど怒られたから二度とやらん」
「ずるいぴょん! うーちゃんも撫でるぴょん!」
「手は二本だ、諦めろ」
「司令官、いつでも撫でたくなったら私を呼んでね」
「夕雲もお待ちしています」
(――甘えてるっていえば、完全に俺は甘えてるかもな……)
――――司令官、そんなもの食べちゃダメじゃない!
――――いや、小腹が空いてな?
――――カップラーメンは没収よ。加賀さん達にも提督が買わないように見張る様伝えておくわ。
――――(夜食で重宝してたんだがなぁ、カップラーメン……)
・暁『暁に相応しいアイスを見付けたわ!』、投下します
暁に相応しいお菓子募集中
――――提督執務室。
「司令官、ごきげんよう、なのです」
「おはよう暁。――ん? その持ってる袋は何だ?」
「今はまだ内緒よ、後で司令官にも教えてあげるから冷蔵庫に入れさせてもらうね」
「あぁ、溶けるような物なら急いで入れとけ」
「これで良し、と……ふぅ」
「じゃあこの書類とこれとこれ頼む」
「暁に任せて、全部カンペキに仕上げて見せるわ」
(この前、“完璧”を“完壁”って書いてくれてたけどな……)
「……ねぇ司令官、コレ何て読むの? 前は読めたんだけど、わ、忘れちゃったわ」
「どれだ? えーっと、これは“びぜんおさふね”って読むんだ。って何だコレ、伊勢の外出理由報告書か?」
「びぜんおさかな?」
「まぁあそこは一応魚獲れる場所だが、お魚じゃなくて長船だ。とりあえずそれは俺がやるから、他のをやっといてくれ」
「分かったわ」
――午後三時。
「さぁ司令官、ヒトゴマルマルになったわよ」
「ヒトゴマルマルに何かあるのか?」
「そんなのティータイムに決まってるじゃない」
(おやつの時間って言ったら怒るだろうからやめとくか……)
「今日は暁に相応しいアイスを買って来たの、司令官も一緒に食べましょ」
「暁に相応しい?」
「ちょっと待っててね、今出すから――ほら、コレよ司令官。暁に相応しいでしょ?」
「なるほど……“レディー”ボーデンか」
「司令官、どのぐらい食べる?」
「適当でいいぞ、そんなに山盛りにされても食えんが」
「じゃあスプーンでお皿に移すからストップって言ってね。――アレ? ふーんっ! えいっ! やぁっ!」
「……」
「このっ! ていっ!」
「……暁、少し柔らかくなるまで待とうな」
「……うん」
――――残りは部屋に持って帰って四人で食べるのか?
――――響と雷と電はしばらくコレ食べたくないんだって、まだまだ三人とも子供ってことよね。
――――(三人とも飽きるほどこればっかり食わされたのか……まぁ美味しいものでもずっとはキツイよな……)
――――司令官もレディーに相応しいお菓子とか見つけたら暁に教えてね?
――――ん? あぁ、うん、まぁ、探しとく。ローテーション出来て飽きないやつ、そんなのあるか……?
こんな時間に見てる人居ないでしょうが、今から五本までリクエスト受け付けます
後、砂浜に黒いふわふわしたモノが落ちてるのでそろそろ拾います
・木曾『俺の姉貴達がこんなに変わり者のはずがない』
・『夜徘徊する謎の女』
・金剛型四姉妹『ティータイムネー』
・提督『夕雲から妹を抱き締めてあげてと頼まれた』
・メカ夕張『提督、充電して下さい』
以上五本でお送りします
リトちゃんかリトーちゃんか、それが問題だ
・木曾『俺の姉貴達がこんなに変わり者のはずがない』、投下します
次のリクエストは真逆のお昼予定
木曾は姉相手だと弱い
――――球磨型私室。
「木曾、球磨とジャンケンするクマ。負けたら語尾に“クマ”付けるクマ」
「そういうのは俺じゃなくて多摩姉ぇとやってくれよ」
「多摩なら木曾のマントで寝てるクマ」
「また勝手に……コラ多摩姉ぇ、俺のマントで寝るな」
「にゃー……? 木曾、お姉ちゃんは眠いのにゃ。用がないなら起こすんじゃないにゃ」
「球磨姉ぇが暇だから遊びたいんだとさ、多摩姉ぇ付き合ってやりなよ」
「しょうがないにゃあ……木曾の可愛いところを言い合うゲームとかどうにゃ?」
「それ面白そうだクマ、やるクマ」
(変に止めようとすると余計にからかわれるってことは学習済みだぜ姉貴達。ちょっと散歩でも――)
「後で提督にリストにしてあげるクマ」
「それ良い考えだにゃ」
「ちょっと待てそこのアニマルズ」
「何だクマ? お姉ちゃんは妹の可愛さを提督に伝えようとしてるだけだクマー」
「何も問題にゃい」
「大有りだ!」
「何々ー? 面白い事やるなら私も混ぜてよー」
「北上さんがやるなら私もやりたいです」
(北上姉ぇと大井姉ぇまで来やがった……)
「じゃあ球磨からいくクマー、水上機いらないって言ってるけど“弾着観測射撃もありだな”って呟いてるの聞いたクマ」
「もっと強くなりたいって考えちゃいけないってのかよ。まぁゴチャゴチャしたのより、真正面からやり合う方が好きなのは変わらないけどな」
「多摩は電の飼ってる猫に餌をあげながら優しく笑ってるの見たにゃ」
「俺が笑っちゃいけないってのか?」
「むしろもっと木曾は笑った方がいいと思うにゃ」
「私はまるゆが重いもの持って歩いてるのを、後ろから心配そうにずっとついて行くの見たよ」
「一人で出来るって言ってるのに、手を貸す訳にもいかないだろ」
「私があげた服着て“あり……なのか?”って真剣に悩んでる姿とか可愛いわ」
「……姉貴達、久し振りに姉妹喧嘩ってのをしてみたくなったから付き合ってくれよ」
「おっ、やるクマか?」
「望むところにゃ」
「まーたまにはいいかもねー」
「木曾が負けたらまた写真撮らせてね?」
「上等だ! 昔の俺と思うなよ!」
――――で? 負けたのか?
――――今度こそ勝てると思ったんだ……。
――――癖から動きから作戦までバレてる相手に四対一挑むなよ……。
今更ですがちょっと確認を
・ガチでオカルト解決
・なんちゃってで笑い話オチ
どっちがいいんでしょう?
ではガチオカルト系で書いてきます
タイトル変更
・『逆恨み』、投下します
返品されたら書き直すので、リクエストした方は遠慮なく言ってください
陰陽師っぽくしようとしたら色々おかしくなった……
――――鎮守府内、某所。
「――アカン、ほんまに封印壊れとる」
「アタシが来た時にはもう気配は消えちまってたぜ」
「すっかり油断しちゃってたわ……」
「はよ見つけて、また封印せんと」
「三人とも、何の話をしているの?」
「そっか、雲龍は来たばかりだからまだこの事については知らなかったんだっけ。ほら、私達って艦載機の飛ばし方がちょっと特殊じゃない? そのせいかは分からないんだけど、霊的なモノに敏感なの」
「……飛鷹って、真顔で冗談を言う人だったのね」
「あら、冗談じゃないわよ?」
「そもそもうちら自体幽霊みたいなもんやし、幽霊は居らんっちゅう方が悪い冗談ってもんや」
「……本当、なの?」
「マジもマジ、大マジだって」
「とりあえず、悪さされると困るから今夜すぐにでも探さないとね」
「今日は晩酌お預け、か。かぁー良い酒手に入ったんだけどなぁ……」
「雲龍も夜になったらここに集合や。分からんことも色々あるやろうけど、その時にまた説明するわ」
「分かったわ」
――――同日、深夜。
「それで、具体的に何をするの?」
「見つけて、捕まえて、封印。こんだけや」
「色々手順はあるけど、基本的には龍驤の言った通りよ」
「ふーん……そういえば、その封印されてたっていうモノは何なの?」
「あー……知らない方が幸せってこと、あるじゃん?」
「そう言われると気になってしまうわ」
「そんなに気になんねんやったら、終わってから教えたるわ」
「それじゃ、まずは見つけに行きましょうか」
――駆逐艦寮前。
「どうや隼鷹」
「外れ、ここにゃ居ないよ」
「何を調べているの?」
「俗に言う嫌な気配ってやつよ」
――戦艦寮前。
「――居やがった、ここに居るぜ」
「よっしゃ、ほな行くで」
「雲龍、私達から離れないようにして」
「えぇ」
――戦艦寮内、一階廊下。
「気配はどっからするんや?」
「二階の奥の方からいやーな気配が伝わってきてるね」
「二階の奥って確か、ビスマルク達の部屋じゃなかった?」
「同室に居るの、レーベとマックスやったな……ちょっと急ぐで」
「雲龍、はいコレ。とりあえず持っといて」
(コレ……お札?)
――二階廊下。
「二人とも、いつも通りしっかり頼むで」
「任せときな!」
「さっき渡したお札、合図出したら貼ってちょうだい」
「私もやるの?」
「当然や、何の為に連れてきたと思ってるんよ。――ほら、来るで」
「憎い……ニクい……艦娘が……ニクイ」
(アレは……ビスマルク?)
「逆恨みもえぇ加減にせぇや! 紙は矢、射抜きて祓えや異なる者!」
「ぐぅっ……マタ私の邪魔をするノカ!」
「アタシの晩酌一日分の恨み! 酒は手、露を払いて路を掃う!」
「お前達ノ、お前達のセイで私ハァッ!」
「だから恨むんなら私達じゃなくて、艦娘に気移りして貴女を振った彼氏を恨みなさいって! 言の葉は言の刃、この葉は魔を絶つ刃なり!」
「グアァァァァァッ!?」
「雲龍今よ! ビスマルクから出てきた黒いのにそれ貼って!」
「え? こ、これで、いいの?」
「アァァァァ……」
「……消えた?」
「一時的にお札に封印したんよ。後は適当な石にでもそれ貼って、きちんと元の場所に封印して放り込んだらお仕事終了や」
「ビスマルクーおーい、こんなところで寝てたら風邪引くぜ?」
「んぅ……アレ、私、何でこんなところで寝てたの……?」
「寝る前にお酒でも飲んでたんじゃない?」
「(ビスマルクはさっきのこと、覚えていないの?)」
「(覚えとらへんで。余計な事言って不安がらせる事もないやろ)」
「……龍驤」
「何や?」
「貴女、実は結構凄かったのね」
「今までうちをどういう目で見とったんや……」
――――はぁ? そんな話俺は知らんぞ?
――――でも、龍驤達が……。
――――夢でも見てたんじゃないのか? 雲龍、今日はもう部屋に戻って休め。
――――(……提督の背中に皆の生霊みたいなのがしがみついているように見えるのも、気のせい?)
・金剛型四姉妹『ティータイムネー』、投下します
――――金剛型私室。
「スコーンが焼けたヨー」
「お姉様、私は蜂蜜がいいです」
「榛名は今日はジャムにします」
「クロテッドクリーム残ってたかしら?」
「紅茶は何にするネー?」
「私はお姉様と一緒がいいです!」
「榛名はダージリンを」
「私はアールグレイをお願いします」
「了解デース」
「ふと思ったんですけど、お姉様もビスマルクさんみたいにカフェでもしてみたらいいんじゃないでしょうか」
「それはいい考えですね、榛名もお手伝いします」
「経理はこの私が居れば完璧ね」
「ちょ、ちょっと待つネー。勝手に話を進めないで欲しいデース」
「――扶桑さんと山城は、よく駆逐艦を連れて出掛けてるのをお見かけしますよ」
「長門さんと陸奥さんは警備の仕事に励んでおられますね」
「大和さんと武蔵さんは道場。伊勢さんは最近明石さんと包丁作りを始めたと聞きましたし、日向さんは訪れた子供にラジコンを教えています」
「わ、私だって鎮守府の為に貢献してマース!」
「例えば、何です?」
「ティ、ティータイムの大事さを皆に教えてマース……」
「お姉様、私はそんなお姉様でも大好きです!」
「微妙なフォローはやめるネ比叡、姉としての威厳がbreakするヨ……」
「はい、ダージリンの味は大丈夫です」
「私のHeartがPinchデース!」
「私の収集したデータによると、あきつ丸の次に働きたがらないイメージがお姉様には定着しているかと」
「ビ、ビスマルクのCafeと漣が準備中のCafe、三軒もいらないと思いマース」
「スコーンは他のお店では扱いませんし、いいと思うんだけどなぁ……」
「榛名はこのジャムも売り物に出来ると思います」
「それぞれ需要が違うし、各店舗の集客に影響は無いわね」
(Shit! 退路を完全にShutoutされたネ……)
「どうしてもお嫌なら、榛名達と比叡姉様の料理を――」
「テートクゥ! 加賀ー! Cafeの営業許可をお願いしマース!」
「やっとお姉様がやる気を出してくれました! やっぱり金剛お姉様はあぁでないといけませんね!」
「(喜んでいいのでしょうか……)」
「(アレで比叡姉様は幸せなんでしょう)」
――――金剛、貴女には戦艦寮の寮監を任せていたはずですが?
――――妹達にあれだけ言われたら、やらない訳にはいかないデース。
――――ティータイム、減るわよ?
――――ティータイムには私もお店でティータイムしマース。
――――(そんな時間、出来るかしらね……)
・提督『夕雲から妹を抱き締めてあげてと頼まれた』、投下します
基本無表情が二人
――――鎮守府、廊下。
「……本当にやらないとダメか?」
「早霜も提督の事は少なからず思っているはずよ。後はきっかけさえあれば、あの子もきっと打ち解けてくれるわ」
(そんな雰囲気微塵も感じてないんだが……)
「――来た」
「何かあったらフォローしっかり頼むぞ、憲兵に突き出されるのは勘弁だからな」
「はぁい、じゃあ頑張ってください」
「司令官? 私に、何か?」
(どうか泣かれませんように!)
「……何を、しているの?」
(――髪、さらさらだな)
「こういうことをするのなら、他に適した子達が居るのではないかしら」
(髪質は長波と似た感じか)
「ん……そろそろ、離していただけますか?」
(……はっ!?)
「す、すまん! 抵抗されなかったんでつい……」
「理由は、聞かせていただけるの?」
「あー……その、な……早霜、俺の事避けてないか?」
「そんなことは無いけれど、不快な思いを司令官にさせていたのでしたら、謝らせていただきます。ごめんなさい」
「いや、不快とか思ってた訳じゃない。ただ、俺だけじゃなく他の奴とも距離を置いてる様に見えたのが気になってな」
「少し、ここの人達にまだ馴染めていないだけです」
「ヲーちゃんにキャラメルあげたって話を聞いたが?」
「アレは、買い物のついでにたまたま買ってきた物をあげただけ」
「那智にはなついてるよな?」
「那智さんは……特別な、人だもの」
「――なら、不知火はどうなんだ?」
「っ……不知火さんは、私とは話したくないようだから……」
(落ち度と言うのは今回ばかりは可哀想だが、変に誤解を生んでるようだな……)
「ここは変わり者が多いが、全員良い奴だ。姉妹艦とはうまくやれているようだし、少しずつ慣れていけばいいさ。まぁ、俺にもついででいいから慣れてくれると助かる」
「……努力、いたします」
「そうか、さっきは急に抱き締めたりして本当に悪かった。今度お詫びにキャラメルアイスの美味い店に連れていくから許してくれ、じゃあまたな」
「えぇ、楽しみに、しています」
――――不知火さん、頬にアイスが付いているわ。
――――不知火としたことが、不覚……。
――――(この組み合わせ、意外に見てて面白いな)
――――海辺。
「カステラにミルク饅頭、気に入ってくれるといいんですけど――あら?」
――砂、熱イ……陽射シ、暑イ……モウ、ダメ……。
「……ワカメじゃ、ありませんよね?」
――――熱中症一歩手前の深海棲艦が保護されました。
・メカ夕張『提督、充電して下さい』、投下します
今回も乙女回路の実験に提督は付き合わされたようです
――――提督執務室。
「何でまたメカ夕張の方が来てるんだよ……」
「マスターは今いいところだからパス、だそうです」
「俺がお前のマスターと最後に顔合わしたの、いつか覚えてるか?」
「百八十五日前です」
(あの引きこもりめ、そろそろ一度外に連れ出さんといかんな)
「――提督、申し訳ないのですが、一つお願いを聞いていただけますでしょうか?」
「何だ?」
「マスターが充電を失敗したらしく、後一時間で機能が停止します。充電させてください」
「アイツそんな状態でここに寄越したのか……分かった。それで、どうすればいいんだ?」
「はい、背中にUSBの差し込み口があるので、コレを差してそこに繋いで下さい」
「そうか、じゃあ背中には自分で――」
「いえ、手が届かないのでお願いします」
「……は?」
「ですから、関節の可動域的に絶対に差せない場所にあるのです」
「何でそんなめんどくさい場所につけたんだあのバカは!」
「他の場所だと見栄えが悪いと仰っていました」
「実用性を考えろよ……」
「提督、後五十八分です」
「あぁもう分かった、服を少し捲るが構わないな?」
「あの、出来れば捲らずにしていただけないでしょうか……?」
(顔は夕張だからメカと分かっていてもそこで恥らうような素振りされるとやりにくいな……っていうかどういう機能を組み込んでんだアイツ)
「後、五十七分です」
「とりあえず、どの辺にあるか先に教えてくれ」
「ちょうどブラのホックを止める辺りです」
「どうしてそこでその説明の仕方をチョイスした」
「そうプログラムされていますので」
「まぁいい、じゃあ差し込むぞ」
「もう少し左です」
「この辺か?」
「もう少し下です」
「――あった、ここか」
「んっ……」
「後はコレを繋いで、と。どうだ? 充電出来てるか?」
「はい、問題ありません。ご迷惑をおかけしました」
「じゃあ仕事に戻るとしよう」
「スリープモードに移行します。充電完了まで、後、四時間五十九分」
「夕張ぃぃぃぃっ!」
次のリクエストは13時から五本まで受け付けます
・緊急任務『逃げ回る深海棲艦を捕まえろ』
保護した深海棲艦が逃げ出した。これを速やかに保護、及び拘束せよ。
この任務の旗艦には浦風の寝顔写真を眺めてにやけている装甲空母を運用されたし。
指定可能箇所は鎮守府全区域。今までに話の中で触れた範囲と、これはあってもおかしくないという場所を指定されたし。
※ちょっとしたお遊びです、あまりこのスレで出番のない子も出るかも?
タイムリミットは今日一日、見つければ終了、途中中断挟みます
安価下1で場所を指定してください
――――入渠ドック。
「誰か居る?」
「大鳳さん、どうかしたの?」
「深雪こそどうしたの? 入渠するほどのダメージを負うなんて」
「いやーこの深雪様としたことが後ろから近付いてた電に気付けなくってさー飛びつかれて柱に頭ぶつけちゃって」
「あの子、深雪に何故か極端になついてるわよね」
「最近は察知してキャッチ出来てたんだけどね」
「あぁそうだ、全身黒いふわふわの服で覆ったヲーちゃんサイズの女の子来なかった?」
「ここには来てないなー」
「そう、ありがとう。ゆっくり休むのよ?」
「はーい」
安価下1で次の場所を指定してください
――――工廠。
「夕張、いる?」
「はいはーい、何ですか?」
「こっちにゴスロリっぽい服来たヲーちゃんサイズの女の子来なかった?」
「私は見てませんね……メカ夕張、見た?」
「いえ、ここに接近したのは今日は大鳳さんだけです」
「そう、分かったわ。あっそうだ、たまには貴女も工廠から出てきて駆逐艦の子達と遊んでみない?」
「あー……か、考えときますね」
「マスター、カップそばが出来ました」
(文月と五月雨を工廠に遊びに行来させたら流石に出てくるかしら)
安価下1で次の場所を指定してください
――――食堂。
「間宮さん、大鯨、黒い服の手のひらサイズの女の子が来なかったかしら」
「いえ、こちらにはそんな子来てませんね」
「私もちょっと分からないです、ごめんなさい……」
「その子なら、さっき裏で試作品をあげた途端に泣き出して逃げていっちゃいましたよ?」
「伊良湖、貴女何を食べさせたの……?」
「わさび饅頭です、大鳳さんもお一つどうですか?」
「え、遠慮させてもらうわ」
「伊良湖、独創性のある甘味を作るのはいいんですけど、もう少し甘味っぽくした方が……」
「私もそう思います……」
「分かりました、クリームを入れてみます」
(((そういう問題じゃない)))
伊良湖はまともに作る傍ら創作甘味を次々と考え出す研究熱心な人です
次の場所を安価↓1で指定してください
――――提督執務室。
「提督、こっちには来てませんか?」
「来てたら当然連絡してる。下手に大事にするわけにもいかんし、引き続き地道に探してみてくれ」
「分かりました。そういえば、何で逃げ出したんですか?」
「意識を取り戻した瞬間、なのが口を開いて目の前に居たらしい」
「驚いて逃げ出してしまったのね……」
「まぁ幸いな事に砲や艦載機は一切身に着けてないから、攻撃される心配は無い」
「でも、一般人に見られるのは流石にまずいわ」
「あぁ、だからなるべく早く頼む。加賀や龍驤にも捜索させてるから、二人にも話を聞いてみるといい」
「了解です」
場所指定or加賀か龍驤に連絡、安価↓1でお願いします
――――駆逐艦寮。
「何堂々と入ってきてんのよ! アンタは出禁って言ったでしょ!」
「私は文月に会いに来ただけだ、何を怒っている」
「人の話聞いてた? 出禁よで・き・ん!」
「そうか、では今日は陽炎と過ごすとしよう」
「どうしてそういう発想に行き着くのよアンタは……ってコラ、離しなさいよ!」
「パンケーキは好きか?」
「まぁ、嫌いじゃないわね」
「よし、では行こう」
「……奢りなさいよ?」
「当然だ、このビックセブンの財布には諭吉が七枚、準備は万端だ!」
(ここには間違っても居ないでしょうね……)
次の場所を指定or加賀か龍驤に連絡、安価↓1で指定お願いします
「加賀、そっちはどう? こっちは食堂に立ち寄ったというところまでは分かったのだけど、それ以降の足取りがさっぱりで……」
『さっきまで金剛のところで紅茶を飲んでいたようね。霧島が捕獲しようとしたみたいだけど、逃がしてしまったそうよ』
「ということは、戦艦寮にはもう戻ってこないでしょうね。加賀は今どこに向かっているの?」
『念のために私は一般開放スペースに逃げられないよう、完全に封鎖してきます。貴女は他の寮や施設を引き続き見て回ってちょうだい』
「えぇ、分かったわ」
『ヲーちゃんと一緒で甘いお菓子や匂いに釣られやすいようだから、どこかでお菓子を調達するのも手かもしれないわ』
「そうね、試してみる価値はあるかもしれない」
次の場所を安価↓1でお願いします
――――トイレ。
「ごめんなさい、誰が入っているのか確かめたいから返事してもらえないかしら?」
「……」
「恥ずかしいのは分かるけど、協力して」
「……」
(怪しいわね……ここに隠れているかも)
「……たかぁ……」
「?」
「ふるたかぁ、もう芋けんぴは飽きたってばぁ……むにゃ……」
「……次の場所に行きましょうか」
次の場所を安価↓1で指定して下さい
次で一度休憩を挟みます、再開はリクエストをチェックして題を発表した後を予定しています
――――畑。
(こんなところまで逃げてきたとは思えないけど、念の為に調べておきましょうか……あら?)
「――味はどうですか?」
「コレハイイモノネ、モウ一ツ下サルカシラ?」
「はい、たくさんありますからいくつでもいいですよ」
「目ヲ覚マシタラ猫ニ食ベラレカケテイタシ、和菓子ヲモラエバ罠、紅茶ヲ御馳走シテモラッタラ虫取リ網ヲ持ッタ眼鏡ノ大女に追ワレ、散々ダッタワ……」
「大変だったんですね。ここはあまり人も来ませんから、ゆっくりしていってもらって構いませんよ」
「アリガトウ、助カルワ」
(鳳翔さんのところなら安心ね、提督と加賀達に連絡しておかないと)
離島棲鬼を無事発見しました、休憩挟まずこれにて終了です
最初から鳳翔さんのところに行った時点で発見の予定でしたし、キリもいいのでここまでにしたいと思います
参加して下さった皆様、お付き合いいただきありがとうございました
昼のリクエストも時間が合って気が向けば書き込んでいってくださいませ
リトちゃんかリトーちゃんで呼び方を悩み中
雪霜…?
・雪風&初霜『当たらない艦娘と絶対防御の艦娘』
・第十六駆逐隊『首と煙突とげっ歯類』
・雷『え?』
・秋雲『ヤバイ眠い死ぬ』
・榛名『はい、榛名はだいじょばないです』
以上5本でお送りします
・雪風&初霜『当たらない艦娘と絶対防御の艦娘』、投下します
初霜の弱点はジェットコースター
――――演習場。
「撃ちます!」
「そんな攻撃、痛くも痒くも無いわ。撃てー!」
「雪風には当たりません!」
「以前の様に一切被弾しないという事はなくなったって聞いたわよ!」
「まだ、まだ大丈夫です!」
「前々から貴女の戦い方は危なくてハラハラさせられていたの。良い機会だから直してあげる!」
「初霜は被弾し過ぎです! 護衛される側が心配になっちゃいます!」
「全て防ぐから大丈夫よ!」
「なら、雪風も全部避けます!」
「もういい加減昔の事を引き摺るのはやめなさい!」
「初霜は自分が傷付いたら皆が悲しむのに気付いてませんっ!」
「守る為には多少の怪我はやむを得ないわ!」
「初霜は分からず屋です!」
「雪風だってそうじゃない!」
「意地っ張り!」
「怖がり!」
「頑固!」
「そっちこそ!」
「鈍感!」
「ハムスター!」
「ハムスターは可愛いです!」
「知ってるわ!」
――――三十分後、駆逐艦寮前。
「全く、喧嘩して疲れ果てて寝ちゃうとか勘弁して欲しいわ」
「お互い手のかかる妹を持つと大変じゃな」
「理由がお互いを心配してとか、ホントにもう……」
「平和になった今だからこそ、全力でぶつけられる思いもあるというものよ」
「程度ってもんがあるでしょ、程度ってもんが」
「この可愛らしい寝顔に免じて、許してやれ」
「はぁ……ホント、幸せそうな寝顔ね」
「そういう陽炎は優しい姉の顔じゃな」
「うっさい!」
――――初霜、一緒にジェットコースターに乗りたいです!
――――私はジェットコースターはちょっと……。
――――明石さん、二人です!
――――雪風、話を聞いてちょうだい。私は本当にこのジェットコースターだけは――。
――――出発です!
――――き……きゃあぁぁぁぁっ!? 止めてぇぇぇぇっ! 下ろしてぇぇぇっ!
・第十六駆逐隊『首と煙突とげっ歯類』、投下します
――――鎮守府、某所。
「時津風、この本面白いです」
「そうだねーいいかもいいかも」
「そうね、面白いわね、特にこの“首が取れる艦娘”とか、ね」
「“顔が煙突の艦娘”も中々いいんじゃない?」
(まだだ、まだ慌てるような時間じゃ――)
「秋雲、この鎮守府の壁をかじってるのは誰でしょうか?」
「まさか時津風と雪風、なんてことは無いよねー?」
(詰んだー!?)
「別に描くなとは言わないわ。でもね、描くならもう少し正確に描くべきだと思わない?」
「秋雲の首、取れる?」
「取れない、かなー?」
「煙突が顔の艦娘、見たことある?」
「無い、かな……?」
「毛むくじゃらで鎮守府をかじる艦娘、居る?」
「居ない、です……」
「描き直して」
「はーい……」
――――数日後。
「で、出来た……三徹とかマジ無理、爆睡しよ……」
「時津風、雪風達が漫画になってます!」
「うん、嬉しい嬉しい」
(『妙〇姉さんが見てる』、リクエスト通りね)
(『姉妹艦は居ないけど天〇風さえ居れば関係無いよね』、注文通りだわ)
「……? 時津風、雪風が時津風とチューしてます」
「ありゃホントだ。何で――」
「ストップ! 二人とも読むのやめなさい!」
「あーきーぐーもー?」
「じ、ジャンル指定は無かったじゃん!?」
「よりにもよって一番ダメな組み合わせでそういうの描いてどうするのよ!」
「私と初風のみたいな仲良しほのぼの系に何でしなかったの!」
「描きたいと思った時、既に手は描き始めているもんなのさ!」
「「描き直し!」」
「うえぇ……もう寝かせてぇ……」
――――最初からあの子もコレ描いてるって言えば良かったのに……。
――――良い出来ね、今度は島風と連装砲ちゃんと連装砲くんと描いてもらおうかしら。
――――時津風、部屋に貼りましょう!
――――うんうん、しれーにも見せようよ。
雪風を囲んで立つ四人のイラストが部屋に飾られるようになりました。
・雷『え?』、投下します
――――提督執務室。
「司令官、今、何て言ったの……?」
「だから、今日は俺の身の回りのことはしなくていいって言ったんだ」
「あの、私、何かしちゃった……?」
「雷、何か勘違いしてないか? って俺の言い方も悪かったな。たまには世話される側とする側を逆にしようってことだ」
「今日は司令官が私の為に色々してくれる、ってこと?」
「あぁ、だからして欲しいことがあ――」
「間宮さんのアイスが食べたい!」
「おわっ!? わ、分かった、後で頼んどく」
「後、ビスマルクさんのパンと金剛さんの紅茶と鳳翔さんの――」
「待て、そんなに一遍に言われても無理だ」
「えー? 司令官が何でもしてくれるって言ったんじゃない」
「何でもとは言っとらん!」
「……じゃあ、頭、撫でて欲しい」
「……あぁ」
「後、ギュッてしてくれる?」
「ん、分かった」
「……司令官」
「んー?」
「呼んでみただけ」
「そうか」
「……ねぇ、司令官」
「何だ?」
「これからも、頼ってくれる?」
「お前達に頼らないと明日の飯すら危ういぞ、俺は」
「雷を、必要としてくれる?」
「居なくなったら草の根分けても探し出すぐらいに必要だ」
「私が居なくなったら、加賀さんが居なくなった時みたいに落ち込んでくれる?」
「お、落ち込んでなんか無かったぞ?……まぁ、誰かが居ないってのは二度と御免ではあるがな」
「……えへへ、やっぱり司令官は私が居ないとダメね」
「そう思うなら、もう少し俺に日頃から身の回りのことやらせてくれないか?」
「そんなのダメよ、私が居るからには不自由なんてさせないわ」
「いや、着替えから歯磨きまでやろうとするのはいくらなんでもだな……」
「私が秘書艦の日は、司令官にはずっとずーっともーっと頼ってもらうからね?」
(……まぁ、雷が幸せならいいか)
――――ダメ人間、ヒモ、ハリボ提督、どれがいいですか?
――――突き刺さるからやめろ、仕事はちゃんとしてるだろ。
――――いっそ私が全部……。
――――だから仕事を奪おうとするな!
――――深夜、金剛型私室。
「金剛、紅茶ガ飲ミタイワ」
「リト、飲みに来るのはいいけどさー、時間を考えなヨ……」
「ブレックファストダッタカシラ、アレニシテチョウダイ」
「話を聞いて欲しいネー……」
「スコーンモ、オ願イネ」
「Oh……比叡! 榛名! 霧島! wake-up!」
「ね、寝てませんよっ!?……アレ、まだ三時……?」
「はるなは……がんもどきでだいじょーぶで……すぅ……」
「んぅ……眼鏡……」
「紅茶、早クシテチョウダイナ」
「こうなったら皆で真夜中のTea timeデース。早く起きるネー」
「ブリオッシュトカイウノモ、食ベテミタイワ」
金剛の紅茶が気に入った様です。
・秋雲『ヤバイ眠い死ぬ』、投下します
コミケに詳しく(行った事)ないから当日の中の様子とかあまり書けないということに気付いた
リクエストにしっかり応えられなくて申し訳ないです……
――――夕雲型私室。
「栄養ドリンク貰って来たよー」
「サンキュー清霜、そこ置いといて」
「夕雲姉さん、コレは一体……」
「早霜、まずはベタから覚えましょうか」
「ふぇーん、眠いよぉ……」
「寝たら額に肉って書くかんね」
「せっかく手伝ってあげてるのに何よ、秋雲のバカー!」
「じゃれてる暇があったら手を動かせ、やらんなら私は寝るぞ」
「やる! やるから長波様お願いします! 背景後八ページだから!」
「八ページ!? 何でさっきより三ページも増えてるんだよ!」
「か、数え間違い?」
「……この借りは絶対に返してもらうぜ?」
「あ、あはははは……はい」
――早朝。
「お――終わったー!」
「も、もうダメー……」
「あら、机に寝たらインクが顔に付いちゃうわ。ベッドに行きましょうね」
「……すぅ」
「……くぅ」
「やれやれ、早霜と清霜をベッドに運んだら私も寝る。秋雲、次からは計画ってやつを立てておけよ?」
「りょーかーい。――あっ、当日の売り子とファンネルもよろしくー」
「そっちは他を当たれ、私は行かないからな」
「えー? そんなこと言わずに付き合ってよ長波ー」
「い・や・だ!」
――――ってわけで提督、手伝ってくんない?
――――今回のタイトルは?
――――『俺の駆逐艦がこんなに可愛いわけがない!』
――――断るに決まってるだろうがアホ!
――――工廠。
「新たな力に目覚めました!」
「ニュー明石さんは何が出来るの?」
「はい、色々な兵装を強化出来ます!」
「……戦い終わってるし、ここにあるの強化したら危ないんじゃない?」
「……そんな気はしてます」
「ほ、ほら、清霜ちゃんとか喜んでくれると思うわよ?」
「そうですね、多分今頃皆さんのところに提督から通達が――」
「ねぇ明石さん、私の単装砲もっと強化してくれるの?」
「艦載機は強化出来るのかしら」
「電ももっと強くなりたいのです」
(アカンこれ……)
(妖精さんの作ったオーパーツをどうしろと……)
ニュー明石は包丁を万能包丁に改修するようになりました。
・榛名『はい、榛名はだいじょばないです』、投下します
榛名はリトの犠牲となったのだ
――――提督執務室。
――いたっ……。
「ん?」
――提督、榛名です。失礼します。
「おはよう榛名。今ドアに頭ぶつけなかったか?」
「あの、恥ずかしいので聞かなかった事にして下さい……」
「そうしてやりたいところだが……目の下の隈、一目で分かるほど酷いぞ」
「それが……最近毎晩の様にリトちゃんが紅茶を真夜中に飲みに来るので、寝る時間が……」
「そういえば、ヲーちゃんと違って夜行性らしいな。ちょっとこっちで話をしておいてやる。それじゃ身が持たんだろ」
「お心遣い、ありがとうございます」
「――しかしまぁ、その状態じゃ仕事はキツそうだな。部屋で休むか?」
「いえ、榛名は大丈夫です。お気になさらず何なりと仰って下さい」
(左右に頭が絶えず揺れてる時点で、絶対に大丈夫じゃないと思うんだが……)
「だったらホットココアを二人分頼む」
「はい、すぐにお作りしまっ!?」
(足の小指打ったか……早々に何とか休ませんといかんな)
(提督の前だから我慢……我慢……でも、やっぱり痛いです……)
――十分後。
「……」
(榛名が船漕いでる姿なんか見るの初めてだな)
「――はっ!? 榛名は、まだ大丈夫……」
「いや、明らかに大丈夫じゃないだろ。仮眠してていいぞ、後で起こしてやるから」
「そんな、大事な秘書艦を務めているのに、仮眠する訳には……」
「来て早々に一緒に昼寝しようと言い出すのも居るぐらいだ。ちょっと仮眠するぐらい気にしなくていい」
「……では、お言葉に甘えさせて頂くことにしますね」
「――別にいいんだが、どうして俺の膝を枕にしてるんだ?」
「枕が無かったものですから」
「クッションがそこにある」
「榛名には見えません」
「裸の王様的な何かなのかアレは」
「……ここが、いいんです」
「……さっさと寝ろ」
「はい、お休みなさい、提督」
「あぁ、お休み」
――――(――ダメだ、気になって集中出来ん)
――――榛名は……亀が良いと思います……。
――――(何の夢見てるんだ……?)
――――はい……キリンより良いです……。
――――(キリンより亀? 訳が分からん……)
次のリクエストは22時から五つまで受け付けます
きっとこのままアレは忘却の彼方へ消えてくれるはず(勲章放置のツケとかその他諸々で遅れてます書いてますごめんなさい)
・鳥海『食べ過ぎに注意食べ過ぎに注意……』
・駆逐艦一番艦s『一番長女らしいのは誰か』
・扶桑改二『山城、はしゃぎ過ぎよ?』
・熊野『エステはまだ出来ませんの?』
・浦風&金剛『昔話してたら物陰から視線が』
以上五本でお送りしますが抜けた、無いと落ち着かない
・鳥海『食べ過ぎに注意食べ過ぎに注意……』、投下します
ヘ屋って日本昔話にあったのを思い出した
――――鎮守府中庭。
「出来たぞー」
「欲しい人はこっちに来て下さいね」
――ガスには注意しないと……。
――ふーん……ヤキイモってあぁやって作るのね。
――やっぱ秋はコレだよねーねぇ大井っち。
――はい、北上さん。
「ワラワラと来たな……」
「司令官さん、私が渡していきますから中から出していってくれますか?」
「了解」
――焼キ芋ッテ何ナノ?
――読んで字の如くデース。
――焼キ芋味ノオ菓子、コノ前食ベタ。
――お菓子とは全然違うから楽しみにしててね、ヲーちゃん。
「火傷には気を付けろよー」
「軍手もいっぱいあります」
――配・布・完・了。
「ふぅ……ようやく配り終わった」
「司令官さん、どうぞ」
「ん、鳥海も早く食え、冷めるぞ」
「はい、いただきます」
「それにしても急に焼き芋がしたいって言い出すなんて、そんなに食べたかったのか?」
「……焼き芋屋さんから買ってきた焼き芋、姉さん達が私の分残すの忘れて全部食べちゃったんです」
(あぁ、道理で高雄達が来ない訳だ……)
「司令官さんは焼き芋、お好きですか?」
「まぁそこそこには、な」
「甘くてホクホクしてて美味しいですよね」
「――鳥海、口の横」
「?……っ!?」
「それだけ美味しそうに食べてくれるなら、今度また焼いてみるか。貴重なモノも見れたしな」
「恥ずかしいので、あまりからかわないで下さい……」
「ほら、もう一個残ってるから食べていいぞ」
「……いただきます」
(――さて、鳥海が食べ終わったら仕事に戻るか)
――――司令官さん、ちょっと用事があるので失礼しますね。
――――あぁ、分かった。
――――じゃあ行ってきます、すぐに戻りますから。
――――(……俺も今のうちにスッキリしてくるか)
・駆逐艦一番艦s『一番長女らしいのは誰か』、投下します
“一番艦”だから
――――鎮守府、会議室。
「今日集まってもらった理由は皆分かってる?」
「はいはーい! 白露が駆逐艦の中で一番お姉さんっぽいってことだよね?」
「一人前のレディーであるこの暁が、一番お姉さんだってことを再認識してもらうために決まってるじゃない」
「おりょ? 一番は睦月だよ?」
「お茶が入りましたー」
「うむ、綾波の茶は美味しいのぅ」
「姉らしいとは、具体的にどういうことを指すのでしょうか?」
「頼りがいがあるとかじゃないのー?」
「包容力も大事だと思うわ」
「妹達に頼られるってことなら私だよね」
「吹雪、議長が冗談言っちゃダメだよー?」
「じょ、冗談じゃないもん!」
「頼りがいがあって面倒見がいい、やっぱり暁ね」
「睦月的には暁ちゃんは一番無いと思うのね」
「初春ちゃん、お代わりいりますかー?」
「有り難く頂戴させてもらうとするかのぅ」
「陽炎は今回の話題に興味無いの?」
「私が一番妹多いし、苦労してる姉ってことなら迷わず手を挙げるわよ?」
「あ、あはは……僕はマックスだけだしビスマルクも居るから苦労は全然してないかな」
「私も少しずつ妹達がこの鎮守府に集まってきて大変だわ」
「秋雲そっちに入り浸ってるけど元気してる?」
「えぇ、毎日漫画とイラスト描きながら巻雲と仲良くしてるわよ」
「睦月なの!」
「暁よ!」
「白露いっちばーん!」
「皆話聞いてよー……」
「吹雪ちゃんもお茶飲むー?」
「うん、ありがとう綾波」
「妹の考えている事が分からない私は相応しくないですね……」
「霰のことか? あやつの思考は提督も分からぬと言っておったし、仕方無かろうて」
「……」
――――会議室で正座? 何でそうなったんだ?
――――島風が扉の外でうずくまっていて、天津風が鬼のような形相で入っていったそうです。
――――(保護者ナンバーワンなら天津風だな……)
――――今頃はかけっこナンバーワンを決めている頃かと。
――――やる前から勝負決まってるだろ、それ。
・『駆逐艦一番艦会議・改』、投下します
あまりに救いが無いオチにし過ぎたので
――――会議室。
「えーっと、駆逐艦一番艦会議・改を始めたいと思います。今回は自分と違う型の駆逐艦を妹にするなら誰がいいかを聞かせてね」
「やっぱり島風は天津風なの? あの子、ほとんど貴女にベッタリだし」
「うーん、天津風は妹って感じじゃないし、私は妹にするなら卯月がいい。だって楽しそうだもん!」
「睦月、妹ご指名されてるわよー?」
「一緒にイタズラして弥生にパンチされるのがオチかにゃ?」
「妾は磯波や潮が良い。茶を飲みながら二人でゆったり出来そうじゃからのぅ」
「僕は時雨か皐月かな、親近感があるし」
「暁はねー……」
「暁にはしっかりした妹が適任だと思います。うちの霞とかはどうでしょうか?」
「い、妹にするなら望月がいいわ!」
(手はかからないし、勝手に自分で何でもするタイプ選んだんだろうなぁ……)
「私は初霜がいいな、五月雨のドジから守ってくれそうだし……」
「切実だね、白露のは……」
「吹雪はどうなのー?」
「春雨ちゃんとかかな、私をいじらないでいてくれそうだし」
「吹雪のも、何か切実……」
「私は叢雲がいいですねー直ぐに敷波と探しに探しに来てくれそうです」
「私は曙でしょうか、霞や満潮の様な妹が居ると、どうしても放って置けない気持ちになります」
「睦月は電ちゃんがいいかにゃ? 妹達も喜ぶと思うのね」
「陽炎と夕雲はどう?」
「私? 私は長波ね、アイツ面倒見良いし」
「夕雲は霰がいいわ、あの子もダルダルの長袖似合いそうだもの」
「――試しに、皆一日妹交換してみる?」
――――島風と卯月が天津風と弥生から説教、叢雲と敷波が綾波の捜索中、初霜が五月雨の後頭部への一撃で大破、以上です。
――――初霜ですら防げなかったのか。
――――殺気や予備動作などが無いので動きが読めないそうです。
――――第六感レベルでないと無理なんだな……。
・扶桑改二『山城、はしゃぎ過ぎよ?』、投下します
――――提督執務室。
「姉さまが改二よ改二! ちょっと提督聞いてるの!?」
「おち……おちつ……やま……」
「山城、落ち着いて。そんなに揺さぶったら提督が死んじゃうわ」
「あら、ごめんなさい」
「んがっ!?」
「どうせなら私は山城と一緒が良かったのだけれど……」
「いいんです、姉さまがなれただけで私は満足です」
「いててて……まぁ何にせよ、これでまたうちの戦力が強化された訳だ。深海棲艦とは違う別の脅威がまた突然現れないとも言い切れん。その時はよろしく頼む」
「えぇ、任せて。伊勢や日向にもこれで絶対に遅れは取らないわ」
(対抗意識、未だに持ってたのか……)
「あっ、今夜は姉さまの改二記念をするから提督も強制参加です」
「山城、無理強いはダメよ?……でも、提督が祝ってくれないなんて不幸かもしれないわ」
「言われなくても行くから、不幸言うのやめろ」
「ふふ、久しぶりに使ったわね」
「あー姉さまだけ改二にして妹は放置する提督が居て不幸だわー」
「さっきと言ってることが違うし言いたかっただけだろお前……」
「でも、少しだけ本当に不幸なこともあるのよ?」
「何かあったのか?」
「羽黒も言っていたのだけれど、少し馴染むまで力の制御が難しくて……部屋のドア、取れてしまったの」
「うちの鎮守府は毎日どこか壊れてるから気にするな、明石には少し悪い気もするが……」
「後、壁に手をついたらヒビが入ってしまったし、転がってきたボールを投げたら時雨達が吹き飛んでしまったの……」
「すまん、馴染むまではなるべく部屋に居てもらえると有り難い」
「大丈夫よ、ここの皆は頑丈だもの」
「いや、俺と壁とかはそこまで頑丈じゃないからな?」
「陸奥の爆発に巻き込まれて無事だった提督なら大丈夫だと、私は信じています」
「自分でも何で生きてたのか謎だから勘弁してくれ……」
「それでは提督、夜は食堂の方に来てくださいね」
「来ないと主砲を執務室に撃つわよ?」
「ちゃんと行くから安心しろ」
「――提督」
「何だ?」
「今日も、とても空が青いですよ」
「……そうか」
――――提督が私の注いだお酒を飲んでくれない……やっぱりまだ不幸なのね。
――――扶桑、それは椅子だ。
――――ねぇ山城、そう思わない?
――――姉さま、それは陸奥です。
体調不良により誠に申し訳ありませんがくまもんは明日になります
・熊野『エステはまだ出来ませんの?』、投下します
神戸生まれの庶民な重巡
――――提督執務室。
「エステに行きたきゃ街に行け」
「そんなお金ありませんわ。鈴谷との共有お菓子に入浴剤、シャンプー、トリートメント、石鹸、化粧水に乳液、その他諸々に遊興費、月々結構バカになりませんのよ?」
「鈴谷と二人で警備してる分で、少し多めに渡してあるはずだが?」
「いざというときの為に、警備で増えた額分は鈴谷と貯金してますの」
(ちょっと前まで世間知らずなお嬢様だったのに、いつの間にやらしっかりしたもんだな……)
「――提督は、美容に気を付けない女性の方が好みですの?」
「ナチュラルメイクや基礎化粧品を使う程度なら女性として普通だが、顔面工事な厚化粧や必要以上のケアは正直あまり好かん」
「エステぐらいでしたら、普通の範疇ではなくって?」
「うちの鎮守府に、わざわざエステに通う必要のある奴が居るとは思えんがな」
「より美しく、綺麗になりたいと思うのは女性として当然のことですわ」
「熊野は今のままで十分綺麗だろ」
「そのようなことを仰っても、私は諦めませんわよ?」
「どんだけエステ作りたいんだよお前は……」
「……せんの」
「?」
「大してケアもしてないのに、鈴谷の方が肌が綺麗だなんて許せませんの!」
「仲良い癖に、たまに変なとこで張り合うよなお前等」
「たまにメイク落とさずに寝たりしますのよ!? それなのにあんな綺麗な肌だなんて……って何してますの?」
「ふむ……見ても触っても俺には違いが分からんな」
「気軽に触ると、高くつきますわよ」
「トッ〇でいいか?」
「ちょっと安すぎませんこと?」
「じゃあフ〇ンもつけてやる」
「何でお菓子で済まそうとしてますの……」
「いや、鈴谷からチマチマ食べてる姿が可愛いって聞いたもんでな」
「私は普通に食べているだけですわ」
「――そこにあるけど、食べるか?」
――――(両手で持って食べるんだな……)
――――やっぱりイチゴ味が一番ですわね。
――――バン〇ーテンのミルクココアもあるけど、飲むか?
――――あら、気が利いてますのね。
――――(完全に庶民だな)
ちょっとタイトル変更
・浦風&金剛『姉が三人』、投下します
どうせ
みんな
シスコン
――――金剛型私室。
「浦風、ドーナツがあるから食べていいヨー」
「金剛姉さん、何で膝にうちを乗せるんじゃ?」
「私の妹達は流石に膝に乗せられないデース……」
「あそこで比叡さんが挙手しとるよ?」
「見なかったことにしマース」
――金剛姉様を浦風に取られました……。
――膝に乗るのは駆逐艦の子達じゃないとちょっと厳しいと思います……。
「最近はどうデス?」
「大鳳姉さんと料理作ったり、水族館行ったり、毎日楽しくやっとるよ」
「ちょっと大鳳が羨ましいネー……」
「今度は金剛姉さんともお出かけしてみたいんじゃ」
「ンー、やっぱり浦風は良い子デース」
「それにしてもこのドーナツ、美味しいねぇ」
「実はそれ、私の手作りネー」
「金剛姉さんが作ったんか? 凄いんじゃ!」
「お菓子作りは得意な方デース。他にも食べたいのがあれば作ってあげるヨー?」
「じゃあ次はうちも一緒に作れるもんがえぇなぁ」
「だったらアップルパイとかどうデス?」
「えぇねぇ、次来るのが楽しみじゃ」
「私はいつでもwelcomeネー」
「あんまりこっちに来すぎると大鳳姉さんが拗ねてしまうけぇ……」
「気にすること無いデース。大鳳はちょっと浦風にベッタリし過ぎネ」
「金剛姉さんだって、人のこと言えんと思うよ?」
「何の話デス?」
「比叡さん達の好きなお菓子や紅茶を毎日用意しとるし、三人を見る目が凄く優しいんじゃ」
「ワタシ、ニホンゴムツカシクテワカリマセーン」
「誤魔化し方が雑過ぎじゃ金剛姉さん」
「……当然よ、大切な私の妹達なんだから」
「やっぱり、二人ともそっくりじゃ」
「――そういえば、浦風の本当のSisterは何て言ってるネ?」
「陽炎姉さんなら、手間がかからないから勝手にしてくれた方が楽でいいって言っとるよ?」
「Oh……」
「でも、部屋に行ったらちゃんとうちの場所も用意されとるし、相談にも乗ってくれるんじゃ」
「……ここの鎮守府は基本皆シスコンってことだと思いマース」
「――アレ? 窓の外に今大鳳姉さんが居た気がしたんじゃが……」
(……ここ、二階よね?)
――――間宮さん! ドーナツの作り方を教えて下さい!
――――あらまぁ急にどうしたの大鳳さん。
――――このままじゃ……このままじゃ金剛に負けてしまうんです!
――――何だか良く分かりませんけど、いいですよ。
――――(絶対に、絶対に浦風は渡さないわ!)
次のリクエストは23時より五つまで受け付けます
ハロウィン書き忘れたことにさっき気付いた
・飛鷹『何で持ってるの?』
・明石&榛名『クレーンがどうかしましたか?』
・ヲーちゃん&リト『天敵』
・鳳翔『お店、どうしようかしら』
・伊良湖『ハロウィン用のお菓子を作らないと』
以上五本でお送りします
・飛鷹『何で持ってるの?』、投下します
レコードはあるけど聞く為のものがない
そして電の人ならぬ飛鷹の人も居るっぽい?
――――提督私室。
「レコード聞くのなんて久々だな」
「そもそも何でレコード聞ける機材持ってるのよ」
「親父が昔聞いてたんだよ。それで、ここに来るとき何枚かもらうついでにコレも買ったって訳だ」
「へぇー……老けた趣味」
「聞きたいって言い出したのお前だろ」
「私はたまたまレコードが聞ける喫茶店で興味を持っただけよ、提督と一緒にしないでくれる?」
「興味持つ時点で変わらんと思うがな……」
「何か言った?」
「いや、何も。それで、どういうのが聞きたいんだ?」
「クラシックなら何でもいいわよ」
「『猫踏んじゃった』とかか?」
「皆に提督のお気に入りは『猫踏んじゃった』だって言い触らされたいの?」
「やめろ、駆逐艦が押し寄せて来て演奏する未来しか見えん」
「それで、オススメは?」
「ここにはそんなに数が無いからな……『新世界より』か『ツァラトゥストラはかく語りき』ぐらいだ」
「何だかハチが好きそうな題名ね……『新世界より』にして」
「ん、分かった」
「提督はこの曲好きなの?」
「いや、特に深い思い入れは無い。聞いた回数が多かったから持ってきた」
「ふーん……ねぇ、隣座っていい?」
「生憎とこのソファーは一人用……って人の話聞けよ」
「素敵な音楽を聞きながら、隣には素敵な女、何か不満でもあるわけ?」
「普通そういうこと自分で言うか?」
「十二単の恨み、忘れたとは言わせないわよ」
「最終的に月に帰るような奴のマネするのが悪い」
「アレ、先に言い出したの提督の方だっ――?」
「……音、盛大に変だったな」
「レコードだとこういうことって珍しくないの?」
「いや、保存状態が良ければここまで酷くはならん。ずっとほったらかしだったからな……」
「物を大事に出来ないとか最低ね」
「優先順位がレコードより高いものが圧倒的に多かったんだから仕方無いだろ」
「レコードの妖精に何時か襲われるんじゃない?」
「安眠妨害されそうな妖精だな」
「それは迷惑ね、私も寝られないし」
――――で、何で急に演歌に変えたんだ?
――――日本酒持ってきたの。
――――それならワイン持ってこいよ……。
――――しょうがないじゃない、無かったんだから。
・明石&榛名『クレーンがどうかしましたか?』
逆に考えるんだ、自分がクレーンを操縦しちゃえばいいやって
――――鎮守府危険区域(通称明石ゾーン)。
「こんにちは、明石さん」
「榛名さん? どうしたんですか、また何か壊れちゃいましたか?」
「今日はそういった用ではなくて、明石さんのお仕事の見学に来たんです」
「け、見学……?」
「はい。……もしかして、榛名が居るとご迷惑でしょうか?」
「そういう訳じゃないんですけど……見てても、特に面白いことはありませんよ?」
「そんなことはありませんっ!」
「ひゃわっ!? うわっ、とっ、とっ、と……ふぅ」
「ご、ごめんなさい、急に大声を出してしまって……」
「いえ、ちょっと驚いただけですから」
(危うく工廠の屋根が吹き飛ぶところでしたけど……)
「榛名、昼夜を問わず動いているクレーンにロマンを感じるんです。あんな風になりたいなって」
(クレーンに……なりたい?)
「――明石さんの艤装、榛名にも扱えたりするのでしょうか?」
「それはちょっと難しいかと……」
「そうですか……残念です」
「は、榛名さんはもう十分頑張っていると思いますよ?」
「そんな、榛名なんてまだまだです」
「今は裏方だった私が目立ってますけど、いざ戦うとなったらこの艤装じゃお役に立てないですし……」
「逆に言えば、今の榛名がお役に立てることは限られてしまっています」
「こ、金剛さんとカフェやるって聞きましたけど?」
「はい、榛名のシフトは月・水・金です」
(シフト制なんだ……)
「でも、曜日祝日台風を問わず、三百六十五日二十四時間榛名は頑張りたいんです!」
「私もこのクレーンもそんなには頑張ってないんですけど」
「明石さん、何かお手伝い出来ることはありませんか? 主にクレーンに関することで」
「えーっとぉー……そこまで仰るんでしたら、重機の操縦覚えてみます?」
「良いのですか!? 榛名、感激です!」
(――私の負担も減るし、コレで良かった……のかな?)
――――提督! 榛名、クレーンが操作出来るようになりました!
――――そうか、凄い――ん? クレーン……?
――――はい、これからは鎮守府の修理や工事を明石さんと榛名で頑張りますね!
――――あ、あぁ、頑張ってくれ。
・ヲーちゃん&リト『天敵』、投下します
子猫を運ぶ要領
――――ヲーちゃんの部屋。
「久シブリネ」
「……?」
「ドウシテ、首ヲ傾ゲテイルノカシラ?」
「貴女、誰ダッケ」
「離島棲鬼ヨ! リ・ト・ウ・セ・イ・キ!」
「ヲ、知ッテル。深海棲艦ジョーク」
「……ココニ馴染ンデルワネ、ヲ級」
「オ菓子イッパイ食ベラレテ、優シイ人達イッパイ。不満ガ無イ」
「ソウ、私ハココニ居ルト生キタ心地ガシナイワ」
「リト、ヒトツ気ニナッテル事、聞イテイイ?」
「エェ、ドウゾ」
「――何デ、ていとくニクワエラレテイルノ?」
「スコーンヲアゲタラ懐イタノヨ。移動ハ楽ニナッタノダケド、涎デ汚レルノガ問題ダワ……」
――にゃー。
「アッ」
「チョット急ニ離シタラァァァァァッ!?」
――にゃ?
(イ……痛イ……)
「リト、大丈夫?」
「コ、コノグライ何テコトハナイワ」
「ヲ、流石鬼級」
「……痛イモノハ痛イニ決マッテルジャナイ」
――にゃー。
「チョットていとく! 私ヲ落トスナンテドウイウツモリ!」
――にゃ……。
「ていとく、運ンデクレタダケ、怒ッタラ可哀想」
「貴女モ同ジ様ニ運バレタラ分カルワ。ソンナ事言ッテラレナイワヨ」
「私ハ潮カ長門カ赤城ガ大体運ンデクレルカラ、問題ナイ」
「……何デ! 私ハ! 猫ナノヨ!」
――にゃーお。
「背中、乗セテモラエバイイノニ」
「コノ子、何故カクワエタガルノ」
「非常食トミナサレテル?」
「冗談デモヤメテ、今ノ大キサダト本当ニソウナリカネナイワ。タダデサエなのノ方ハ甘噛ミトハイエ噛ンデキテ生キタ心地ガシナイノニ……」
「――なの、来タヨ?」
「ッ!?」
――みゃー。
「ア、アッチ行キナサイ! シッ! シッ!」
――みゃーん。
「コラ、舐メルノヲヤメナサイ、ザラザラシテテ痛イノヨ!」
「リト、懐カレテル、良カッタネ」
「良イ訳無イデショ!」
――みゃーおぅ。
「頭、擦リ付ケテル」
「……モウ、好キニシテ」
――――(……あの二人、ねんどろいど化出来ないかしら?)
――――あっ加賀さん、なのとてーとく見なかったですか?
――――二匹なら中でリトと戯れているわ。
――――ありがとなのです。
・鳳翔『お店、どうしようかしら』、投下します
――――居酒屋鳳翔。
「いやー外冷え込んできて寒いのなんのって、鳳翔、熱燗!」
――はーい。
(アレ? なんや今声が……)
「よい、しょっと――いらっしゃい、龍驤」
「……は?」
「どうしたの? そんな珍しいモノでも見た様な顔して」
「ちょい待ってな、原因も理由も分かってんねやけど、いざ直面するとやっぱあかんわ」
「?」
「――鳳翔ちっちゃ!」
「そうなの。台がないと色々届かなくて大変だわ」
「ほっほぉー、昨日はお楽しみやったっちゅう訳やな? そこんところ詳しく――」
「龍驤、私の飲んだ分も伝票につけておくわね。一番高いのどれだったかしら……」
「待ちぃやそこのウワバミ、待ち、待って、ホンマにアカンで!?」
「ふふ、冗談よ。でも、そういう話は好きじゃないからやめてちょうだい」
「うちもそんな好きやないし、さっきのは社交辞令みたいなもんやんか。――にしても、アンタがちっちゃいと何や調子狂うわ」
「私も調子が狂って大変よ。お野菜を抜くのに苦労したし、お鍋を運ぼうとしたら意外に重くって……」
「店休むなり手伝ってもらうなりしたら良かったんちゃうの?」
「お店を開けてないと落ち着かないし、私の趣味でやってるここを手伝ってもらう訳にもいかないわ」
「鳳翔がそれでいいならうちは別にえぇけど、怪我でもしたら皆心配するで?」
「あら、皆が来てくれるなら怪我するのも良いかもしれないわね」
「アホ、怪我なんかせんでも呼んだら大抵の奴が来るわ。まぁわざわざ呼ばんでも鳳翔がちっちゃなったって聞いたらわんさか来るやろうけどな」
「ふふ、そんなにお客さんが来たらこの姿だと大変で困っちゃうわ」
「嬉しそうな顔して何言うてんねん。……店、もう少し近くに建て替えてもらったらえぇやんか」
「それじゃ来た子達がゆっくり出来ないでしょ? ここは離れてるからいいのよ」
「――客来んと寂しいって愚痴こぼしたん、うちは忘れてへんで?」
「でも、そういう時は龍驤が来てくれるって言ってなかったかしら?」
「……熱燗、もう一本」
「ふふ、はーい」
――――うん、しょっと。
――――鳳翔さん、私がやります。
――――いいのよ加賀、座ってて。
――――いえ、私が。
――――(加賀が子供に気遣ってるみたいで新鮮やな)
・伊良湖『ハロウィン用のお菓子を作らないと』、投下します
クオリティにこだわる職人気質
――――ハロウィン前日、食堂裏手。
「うん、良い出来です」
「(ねぇ大鯨、ハロウィンって何だったかしら……)」
「(……何でしょう)」
「臓物チョコに頭蓋骨キャンディー、手の形の苺ジャム入りマシュマロ、腸の形のチューペット。皆喜んでくれるといいんですけど」
「(リアルね)」
「(アレは、心臓でしょうか……)」
「間宮さん、大鯨、試食してみて下さい」
「「え」」
「遠慮しないでどうぞ、たくさんありますから」
「あ、ありがとう、頂くわね」
「い、いただきマス」
(押すと断面からジャムが……)
(美味しいのが逆に恐いです……)
「あっちにジャックランタンやシンプルなゴーストの形のキャンディーとかも作ってあるんですけど、何故かしっくりこなくって」
「ねぇ伊良湖、貴女的にはあっちとこっち、どっちをプレゼントとして貰ったら嬉しいかしら?」
「そうですね……この頭蓋骨キャンディーなんかは力作で完成度も高いですし、これを誰かからのプレゼントとして貰えたら私は嬉しいです」
「そ、そうなの、そう……」
「(間宮さん、どうしたらいいですかあ!?)」
「(駆逐艦の子達にトラウマを植え付けるのだけは何とか避けないといけないわ!)」
「伊良湖、これだけ作って疲れたわよね。後の袋詰めは私達でやるから少し休んでちょうだい」
「そうですね……朝も早かったですし、お言葉に甘えさせて頂きます」
「じゃあゆっくり休んで下さいね。お疲れ様でしたあ」
「――大鯨、あっちのを先に駆逐艦の子達用に袋詰めしましょう。心苦しいけど、軽巡洋艦以上の子達には犠牲になってもらうしかないわ」
「あ、味は美味しいから喜んで……もらえるといいなあ」
――――ハロウィン当日。
「伊良湖さん、トリックオアトリートです」
「不知火ちゃんはバンパイアなのね。はい、お菓子どうぞ」
「ありがとうございます」
「伊良湖さん、トリックオアトリートです!」
「巻雲ちゃんはミイラか、良く出来てるわよ。はい、お菓子どうぞ」
「伊良湖、トリックオアトリートだ」
「菊月ちゃんは……フランケンシュタイン? はい、お菓子どうぞ」
「――あら? 袋があまり減ってないけど、皆まだ来てないのかしら」
「足りなくなってはいけないですし、追加で朝から作りました」
「……え?」
――――きゃー!? 不知火ちゃんと巻雲ちゃんと菊月ちゃんが倒れちゃいましたあ!
――――手が……血が……。
――――目が、骨に目が……。
――――ひぐっ……うぅ……。
次のリクエストは明日マルキュウマルマルより五つまで受け付けます
・鳥海『艦娘、空を飛ぶ』
・鳳翔&雷『大人の余裕?』
・大淀『眼鏡がずれる』
・坊ノ岬組『遠足』
・リト&ヲーちゃん『外ニ出タイ』
以上五本でお送りします
――――バルーンフェスタ会場。
「色んな気球が飛んでるな」
「アレは……ヲ級の帽子みたいなのがモデルでしょうか」
「何てもん飛ばしてんだよ……」
「あっちは普通の気球です」
「そうだな、思いっきり那珂のデフォルメキャラが描いてあるのを除けばな」
「広報、手広いですね」
「手広すぎて笑えてくる」
「――司令官さんは気球は好きですか?」
「気球を好きかどうか判断できるほど馴染みがない」
「では、今日は司令官さんと初めての体験が出来るんですね」
「初めて? 今日は気球のレースを見に来たんじゃないのか?」
「いいえ、乗るんです」
「誰が?」
「私と司令官さんが」
「なぁ鳥海、俺その話今聞いたんだが……」
「はい、今言いました」
「そうか、俺は地上から見守らせてもらう」
「体験会場の場所は……あっちですね」
「パス」
「観覧車は大丈夫だったって曙から聞きました」
「無理」
「支払った料金が無駄になってしまいます」
「帰ったら焼き芋焼いてやる」
「それは嬉しいですね、帰ったらお願いします。じゃあ行きましょう」
(くっ……腕が完全にロックされてて逃げられん……)
――――気球。
「司令官さん、見て下さい。私達空を飛んでいます」
「そうだな、バーナーの火が良く見える」
「勿体無いですよ、外を見ないと」
「中を見るのも貴重な体験だ」
「鳥は、こんなに素敵な景色をいつも見ているんですね」
「鳥には見慣れた何てこと無い景色だろうがな」
「――いつか、空から海を眺めてみたいと思っていたんです」
「……名前か?」
「はい、“鳥海”という素敵な名前を頂きましたから」
「別に気球じゃなくても、ハンググライダーとかで良かっただろ」
「それだと、司令官さんと一緒は無理そうでしたし」
「……そうか。――海、綺麗だな」
「……はい、とっても」
――――次は山行くか。
――――スカイダイビングに興味が湧きました。
――――……山な、山。
――――パラグライダーもやりたいです。
――――由来を大事にしよう、な?
――――もう前に姉さん達と行きました。
・鳳翔&雷『大人の余裕?』、投下します
雷には向かないようです
――――鳳翔宅。
「鳳翔さん、お願いがあるの」
「あら、何かしら」
「私、もーっと司令官に頼られたいの。どうすればいいか教えて」
「そうねぇ……まず、雷ちゃんはどうしてその質問を私に?」
「鳳翔さんが皆の愚痴を聞いて相談に乗ってるって聞いたわ。それに、何でも一人で出来て凄いから」
「呑兵衛の相手をしてたら、自然とそうなっちゃうものなのよ。後、何でもはちょっと言い過ぎかしらね」
「でも、皆からすっごく頼りにされてるのは事実でしょ?」
「――雷ちゃんが誰かに頼りたくなる時って、どういう時?」
「しんどい時とか、辛い時、自分じゃどうにも出来ないことがある時、かしら」
「元気で辛くもなくて、自分でどうにか出来る時は、どう?」
「頼ろうとは思わないわ」
「つまり、そういうこと」
「……んー?」
(ふふ、雷ちゃんは提督のことが本当に大好きなのね)
「ねぇ鳳翔さん、さっきのどういう意味?」
「――お茶、美味しい?」
「へ? あっ、うん」
「そのお茶、何時出したか覚えてる?」
「えーっと……アレ? 何時だっけ……」
「頼りたいことがある時は、ちゃんと提督は雷ちゃんを頼ると思うわ。それを待つ間は、こうやって自然に支えてあげたらどうかしら」
「自然に……分かったわ、やってみる。鳳翔さん、ありがと!」
「はい、頑張ってね」
(――隙の作り方がまだまだ甘いみたいですよ、提督)
――――(今日はやけに雷が静かだな、その分視線をコレでもかというぐらいに感じるが……)
――――(自然に……自然に……)
――――(遊びたい、って訳でも無さそうだな)
――――(司令官、何か悩んでる? 何だろ、私に頼っていいのに)
・大淀『眼鏡がずれる』、投下します
ケッコンカッコカリ艦が増えるよ、やったね提督
――――大淀私室。
(困ったわ……服はあるけど眼鏡がここまでネックになるなんて……)
「――ふっふっふ、お困りみたいですね?」
「誰!?」
「いつも皆にお役立ち、巻雲参上!……アレ? 望月とはっちゃんは!?」
「今なら駆逐艦のあたし達とサイズ一緒でしょ」
「幾つか持ってきたから、身体が元に戻るまでお貸ししますね」
「ありがとう、望月、伊8」
「巻雲をほっといて勝手に話進めないでよー! もうっ!」
「さっさとアンタも出しなって、貸すって言い出したの巻雲だろ」
「分かってるってば……はい、大淀さん」
(鳥海さんもたくさん持っていたけど、この子達も結構持ってるのね)
「――コレ、貸してもらっていいですか?」
「それは巻雲のお気に入りです。大事に使って下さいね?」
「えぇ、大事に使うわ。ありがとう、巻雲」
「じゃあアタシはこれで、昼寝の途中で叩き起こされたから寝直してくる……」
「はっちゃんは書庫に戻ります」
「巻雲はどーしてもって秋雲がうるさいから絵のモデルになってきます」
「お礼に今度お茶を飲みに連れていってあげますね。期待してて下さい」
「「「はーい」」」
「――それで、何しに来たんですかあきつ丸」
「提督殿をハメた女狐のしょうたいぃっ!?」
「ごめんなさい、手が滑りました」
「思いっきり手首のスナップを利かせておいて何を世迷い言を……」
「子供相手に睨むなんて、心が狭い証拠ですよ?」
「中身はお局でありましょうが」
「私は小言を言ったり、威張ったりしていません」
「――本音、ようやく言えたのでありますね」
「……えぇ」
「大淀も興味無さそうな振りして、ちゃっかりしてるであります」
「えーっと、あきつ丸への来月からの上乗せ分は、私の取り分として計算しておきますね」
「堂々と不正行為しようとするんじゃないであります!」
「冗談です」
「全く、油断も隙も無いであります……」
「――あきつ丸、金剛さんのカフェで紅茶でも飲みながら少し話しませんか?」
「大淀の奢りなら付き合うであります」
「こどもにはらわせるなんて、あきつまるさんひどーい」
「やめるであります……背筋がゾクッとしたであります……」
「……私もちょっと後悔してます」
――――Hey榛名ー、あきつ丸と大淀にコレ持っていってあげるネー。
――――大淀さんって、あんな風に笑う方だったのですね。
――――……きっと、良いことがあったんだと思いマース。
――――榛名も今日のお客様がゼロではなくて、嬉しいです!
――――開店してまだ一週間じゃ仕方無いデース。
紅茶一杯800円
スコーンorケーキ800円
霧島と腕相撲500円
比叡カレー800円
榛名の大丈夫です1000円
霧島のマイクチェック750円
※霧島と腕相撲のみでのご来店はご遠慮下さい
霧島に勝てればお支払が半額になります
下二つはマ○クのスマイル的なものです
全員巫女服です
無線飲食と盗撮とおさわりは遺書を持参の上でお願い致します
申し訳ありませんが坊ノ岬組は最悪明後日になるかもしれません
なるべく史実を調べながら書きたいのですが、タイミング悪く今日明日と連続で落ち着いて調べながら書けないので…
あちらを更新優先して放置している訳では無いのでご了承下さい
~お詫び紛いの何か~
――――提督執務室。
「愛宕、デカかったな」
「片手に収まらない大きさでした」
「柔らかいと思うか?」
「あれだけの大きさになると微妙だと思います」
「大きくなり過ぎると質は落ちるイメージがあるよな……」
「やはり手頃な大きさが一番かと」
「そうだな」
「提督と加賀は一体何の話をしているの?」
「「梨」」
食感などについては勝手なイメージです。実際ニュース見たらデカかった。
・坊ノ岬組『旅行』、投下します
遠足レベルじゃないので変更、遅くなってすいませんでした
――――川内川。
「夜戦川です!」
「浜風、雪風は何を言っているのだ?」
「そういえば、磯風は以前の川内さんを知らなかったんですね。昔は“夜戦バカ”と呼ばれていたんです」
「夜戦バカ……いまいち想像出来ないな。多少行動は奇抜な時もあるが、優しき良き姉という印象しかない」
「かなり騒がしかったわよ、だから那珂の練習部屋と川内型の部屋だけ防音にされていたの」
「神通がどんな環境でも寝れると言っていたのは、そういうことだったのね……」
――初霜、あの立て札は何でしょう?
――“夜戦忍者参上!”、って読めるわ。
――川内さんの字に似ているような……。
――あのバカ、自分の名前の由来の川で何してんのよ。
「……アレは放置しておいて大丈夫なのか?」
「うちの川内とは限らないし、邪魔になる場所でも無いからいいんじゃない」
「大和も同意見です」
――――霧島温泉。
「頭が良くなるこーのーがあるんでしょうか?」
「喉の調子が良くなる効能という可能性もあります」
「火力増強の効能というのが個人的には望ましいな」
「比較的まともなアンタ達までボケに回らないでよね、私が大変じゃない」
「「?」」
「霞、この二人は地味に天然よ」
「それは有り難い情報をどうも……」
「今度は阿賀野達も連れて来たいわね」
「武蔵は熱いお風呂苦手だから、温泉は無理かもしれません……」
「そもそもサラシでここまで来るのが問題じゃないかしら」
――初霜、反対まで競争です!
――ちょっと雪風、泳いじゃダメよ!?
――あぁもうゆっくり温泉ぐらい入りなさいってば!
――浜風、それは浮くモノなのか?
――……聞かないで下さい。
――――灯台。
「――雪風、祈ってくれる?」
「勿論です!」
「初霜、顔が怖くなってるわよ」
「やはひはん、ほほほひっはらはいへふははい」
「浜風、私はどうすればいいのだ?」
「雪風と一緒に祈る、でいいと思います」
「別に祈らなくたって、来たけりゃそのうち勝手に来るわ」
「こういう時でも素直じゃありませんね、霞は」
「絶対に来るって信じているから、じゃないかしら?」
「そこっ! 勝手なこと言わないっ!」
「霞も雪風と一緒にお祈りしませんか?」
「……しょうがないわね、付き合ってあげるわ」
「再会出来たなら、この磯風が手料理を振る舞おう」
「そ、それはどうかと……」
「大和、汗」
「矢矧も顔がひきつってるわ」
「む……あれから鍛練に鍛練を重ねて形状を保てるようにはなったぞ」
(皆、笑ってます。冬月達も来たらきっと楽しいと思います。雪風、ずっと待ってますね!)
・リト&ヲーちゃん『外ニ出タイ』 、投下します
ハムの人ならぬおやつの人
――――提督執務室。
「で?」
「ダカラ、外ニ出タイッテ言ッテルノ、日本語分カルカシラ?」
「ヲーちゃんもか?」
「潮トデート、シテミタイ」
「へっ!? 違うよ、デートじゃないよヲーちゃん」
「ヲ?」
「人形ノ真似デモシテレバ、ドウセバレナイワ」
「――分かった、許可する」
「い、いいんですか……?」
「最悪メカ妖精って言い張ればなんとかなるだろ。但し、遠出はするな」
「ソレグライノ制約ナラ甘ンジテ受ケ入レテアゲル。ダカラ――」
「その手はなんだ?」
「物ヲ買ウニハ金ガイルノデショウ? 出シナサイ」
「あ、あの、私に支給される分でなんとか」
「いや、いい。二万やるから潮も一緒に好きに遊んで食べて来い」
「コレガ紙幣トイウヤツネ」
「ヲ、人ノ顔」
「後、保護者として赤城も同行させる。いいな?」
「問題ナイワ」
「大丈夫」
「提督、赤城さんが一緒で大丈夫でしょうか……?」
「赤城だと何か問題があるのか?」
「私も今一万ぐらいしか財布に無くて……」
「自分で払わせるから心配するな」
――――街。
「(ヘェ……外ハコンナ風ニナッテイルノネ)」
「(ヲッ、潮、アイス、クレープ、ドーナツ!)」
「ヲーちゃん、動いちゃダメだよ?」
「流石に街中で食べるところを見られるのはまずいですし、欲しいものを買って移動しましょうか」
「(私ハソウネ……ワッフルヲ三種類程オ願イ)」
「(ポンデリングトフレンチクルーラートオールドファッション!)」
「ストロベリーバナナカスタードとチョコバナナを八本お願いします」
「あんまり食べたら太っちゃうかな……チーズケーキ&ストロベリーとバナナ&ストロベリーをワッフルコーンでお願いします」
――――路地裏。
「シットリトシテイナガラサクットシタ食感……ナカナカネ」
「モチモチ、シットリ、ホイップクリーム美味シイ」
「良かった、二人とも気に入ってくれて」
「チョコバナナもありますよ?」
「あの……一本貰っても、いいですか?」
「遠慮なんかしないで、その為に買ったんですから」
「私モ頂クワ」
「ヲ、頂キマス」
(口の周りがベタベタだ、後で拭いてあげなきゃ)
「――ヒット」
「? 赤城さん、どうかしました?」
「いえ、何でも。美味しいですね、このチョコバナナ」
「はい、とっても美味しいです」
――――鎮守府。
「どうだった、外は」
「スコーンモ美味シイケド、ワッフルモナカナカダッタワ。デモ、紅茶ハ金剛ノ淹レタモノノ方ガ香リモ味モ良カッタカシラ」
「ドーナツ二クレープ、大満足。チョコバナナモ美味シカッタ」
「食った感想だけなんだな……」
「二人の目につくのが食べ物ばっかりだったので……」
「ちゃんと美味しいお店を選んで案内しましたから大丈夫です」
「お前は今度グルメマップ書け」
「提督、マタ定期的ニ外出サセテモラエルカシラ」
「私モマタ行キタイ」
「流石に頻繁には無理だが、考えておく」
「良かったね、リトちゃん。ヲーちゃん」
「チャンハヤメテ……」
「ヲ!」
――――次ハ何処ニ行キマショウカ。
――――今、メルティキッスノ高級品ガアルラシイ。
――――ソレハ赤城ニ頼メバイイワ。
――――(リクエストまでするようになっちゃったんだ……)
このスレでの最後のリクエスト五つまで受け付けます
次スレ目標、アレを書ききる
まだ付き合うよって気の長い方はお付き合いください
・時津風『天津風のアレが気になる』
・第十七駆逐隊『料理は愛情』
・野分『台風』
・天龍『貰った』
・飛鷹『回らない方じゃ無いんだ』
以上五本でお送りします
まだEー1クリアで止まってたり
――――街。
「翔鶴姉、今日は何買うの?」
「そうねぇ……秋刀魚と栗でも買いましょうか」
「じゃあ焼き秋刀魚と栗ご飯だね。松茸の土瓶蒸しとかも食べたいなー」
「間宮さんが仕入れてるだろうから、帰ったら少し分けてもらえないかお願いしてみるわね」
「ホント!? やったー!」
「ふふ、瑞鶴は完全に食欲の秋ね」
「そういう翔鶴姉だってこの前甘栗いっぱい食べてたじゃん」
「だって美味しいんだもの」
「山菜の天ぷらも今度――翔鶴姉危ない!」
「えっ?」
「――長十センチ砲ちゃん、お願い!」
――――提督執務室。
「今度はお前達か……」
「提督、その……」
「あぁ、心配しなくてもうちで受け入れる」
「有難うございます、提督」
「惹き合ってるのか、偶然か、何にせよまた書類を色々準備しなきゃならんな……」
「秋月のそれ、島風と天津風のに似てるね」
「そうなんですか? って長十センチ砲ちゃんどこ行くの!?」
「たまに逃げるところもそっくり……」
「長十センチ砲ちゃん、秋月まだここ詳しくないから勝手に行かないでー!」
秋月が着任しました。
・時津風『天津風のアレが気になる』 、投下します
教訓、オシャレを貶してはならない
――――鎮守府中庭。
「島風ーおやつよー」
「はーい」
(天津風の頭のアレ、何なのかな?)
「どう、美味しい?」
「美味しい!」
「あっ、あたしも食べたーい!」
「いいわよ、はい」
「ありがと。あのさあのさ天津風、一つ聞いていい?」
「何?」
「頭のそれ、何?」
「コレは吹き流しよ」
「何で着けてるの?」
「綺麗でしょ?」
「うーん……変」
「――変?」
「お゛ぅっ!?」
「変だよ、変変。鯉のぼりみたい」
「ふーん、そう……」
「(ねぇ時津風、早く謝った方がいいよ?)」
「(何で? 変なものは変じゃん)」
「(あっ、もう遅いかも……)」
「時津風、今から鬼ごっこをしない?」
「鬼ごっこ? やるやる!」
「じゃあ十数えたら追いかけるわね」
「ふふーん、いくら天津風でもあたしはそんな簡単には捕まんないよー」
「――良い風、吹いてきたわ」
(時津風、大丈夫かなぁ……)
「反則だよ反則! コレ鬼ごっこじゃないじゃん!」
「連装砲くん、じゃんじゃん撃っちゃって!」
「えっとえっとー……雪風見っけ! 助けて雪風!」
「時津風、そんなに慌ててどうし――」
「逃げても無駄よ!」
「雪風用事を思い出しました!」
「雪風!? 待って、待ってってばー!」
「観念しなさい、今日から鯉のぼりの中で寝かせてあげるわ」
「そんなのやだやだー! しれー! 助けてー!」
「――二人とも、そこまでだ」
「あなた、どうしてここに?」
「島風が執務室に来てな、話を聞いて様子を見に来た」
「じれ゛ぇ、天津風がいじめるよぉ……」
「コラ、鼻水付けるな。天津風ももう許してやれ、時津風にも悪気はない」
「……そうね、少しやり過ぎたわ。ごめんなさい、時津風」
「あたしも、変って言ってごめんなさい……」
「仲直りしたなら島風が待ってるから中庭に戻ってやれ、じゃあ――ん?」
「しれー、遊ぼ?」
――――それで、私のことほったらかして妹達と遊んでたの?
――――すまん、離してもらえなくてな……。
――――あーいいのいいの。別にちっっっとも気にしてないから。
――――(後で時津風達に陽炎の今欲しがってるもの聞いて来るか……)
――――鎮守府内某所。
「ここに姉さまが……よし!」
「レーベ、次が焼けたわ」
「うん、分かったよ」
「――二人とも、少し来て」
「どうしたのマックス、また隠し撮りしてる人でも見つけたの?」
「違うわ、見たことのある顔が居るから二人にも確認して欲しいの」
「知り合いということ? 変ね、祖国からそんな連絡は受けていないのだけど……」
「ビスマルク、貴女には心当たりがあるはずよ」
「……まさか、あの子?」
(さっきマックスがチラッと見えたし、やっぱりここにビスマルク姉さまが居るんだ)
「――お客様、ご注文は好物のポトフでいい?」
「はい、お願いしま……あ」
「プリンツ・オイゲン、貴女がどうしてここに居るのか詳しく説明してもらいましょうか」
――――提督執務室。
「――本国からの連絡だ。“勝手に抜け出して軍規を乱すような艦娘は我が国には居ない。もしもそのような艦娘が居れば、そちらで好きにしてくれ”、以上。つまり、頭冷やして反省するまで帰ってくるな、ってことだな」
「ビスマルク姉さまと一緒に居られるなら私ずっと帰れなくてもいいし、ここに住みます!」
「全く貴女は……提督、ごめんなさい、少し時間を置いたら説得してドイツへ送り返すわ」
「帰りません! 帰るならビスマルク姉さまも一緒です!」
「そりゃ無理だ。俺が死にでもしない限り、ビスマルクはここから帰れ――」
「Feuer!」
「うおっ!?」
「提督!? プリンツ! ちょっとこっちへ来なさい!」
「ビスマルク姉さまを返せー!」
(こりゃ厄介なのがまた増えたな……はぁ)
――重巡洋艦プリンツ・オイゲンが居候になりました。
・第十七駆逐隊『料理は愛情』、投下します
慣れればそのうちまともに作れるように
――――キッチン。
「料理するのはえぇけど、何を作るんじゃ?」
「和食にしましょう」
「陽炎型十二番艦磯風、参る!」
「おー鉢巻きまでして気合い入ってんねー」
「初霜、楽しみですね!」
(どうしよう、胃袋までは守れないわ……)
「うちは天麩羅にするけぇね」
「では、私は鰈の煮付けを」
「おにぎりはこの磯風に任せてもらおう」
「そんだけ気合い入れておにぎり!? じゃあ谷風さんはあっさりとお浸しにお吸い物でも作るとしますか」
「レンジでチンとインスタントはいけんよ?」
「そんなこと考えて無いってー……やっぱダメか」
「磯風、そのピンクの容器に入っているのは砂糖です。塩はこっちの青」
「こ、この程度で動じたりはしない……!」
「初霜、おにぎりは砂糖でも握れるんでしょうか?」
「握るだけなら出来るわ。美味しくはないだろうけど……」
「獅子唐、舞茸、大葉、サツマイモ、椎茸、カボチャ、かき揚げ、こんなもんじゃね」
「味付けはこのぐらいで――磯風、ゴルフボール大に圧縮させたおにぎりは常人には食べれません」
「以前浜風が作ってくれたお弁当では、このぐらいの大きさだったと記憶している」
「アレはお弁当箱に入るように小さくしていただけです……」
「初霜、おにぎりがカンカンいってます」
「胃に到達する以前の問題みたい」
「濃口醤油どれだい?」
「さっき谷風が持っとったよ?」
「え゛っ……道理でお吸い物の味がいつもと違っちまってる訳だ、かぁー参ったねこりゃ……」
「ある程度誤魔化せます。勿体無いのでそのまま作って下さい」
「天麩羅出来たんじゃ」
「私も完成だ」
「私も後はこのまま待つだけです」
「よっしゃあ! 谷風も完成だよ!」
「早く食べたいです」
(良かった、ちゃんと食べれそう)
――――磯風、具は何か入れたんですか?
――――あぁ、チョコレートだ。握り飯にあのようなものを入れるのが今の主流とは、変わっているな。
――――……アレは、昆布です。
――――おぅ初霜、すまし汁イッキ飲みとは粋だねぇ!
野分は長めの着任ネタで書くので取れるまでお待ちください
朝雲…書けば出るかなぁ…
明日更新します
着任艦娘が1人足りないので駆逐棲姫か戦艦棲姫と戯れてきます
次スレもそろそろ立てないといけませんね
・野分『台風』 、投下します
提督、空から女の子が!
――――提督執務室。
「――舞風、一つ聞いていいか?」
「何?」
「何でお前の秘書艦日って台風多いんだ?」
「知らなーい」
「……とりあえず、中の見回りをしてくる。お前はここに居ろ」
「秘書艦娘を置いて出ていくのは感心しないよー提督ぅ」
「本音は?」
「この状況で一人は無理!」
「……廊下で踊るなよ?」
「うーん、その時の気分次第?」
「はぁ……ついてこい」
「はーい」
――廊下。
「特に窓ガラスが割れてるとかの被害は無いみたいだな」
「全部防弾とかにしないの?」
「防弾は高い。そして、お前達が壊す時に防弾かそうじゃないかは木綿豆腐か絹ごし豆腐程度の差しかない。どうせ壊れるなら普通のでいいだろ」
「な、ナイス判断、提督ぅ……」
「一月に一度は壁も窓もどこかしら一帯が吹き飛ぶからな……修繕費もバカに――」
「っ!? 提督、左に九十度ターンからのバックステップ!」
「いきなり何をっ!?」
「頭撃ったらごめんね!」
「うぐっ!……ってぇ……舞風、無事か?」
「あたしは平気、それより――」
「んぅ……舞風……」
(……窓から着任とは、斬新だな)
――――提督執務室。
「ホットココアだ、温まるぞ」
「ありがとうございます、頂きます」
「野分、ホントに野分?」
「そうよ、舞風」
「良かった……また会えた……」
「それはこっちの台詞。それにしても、舞風にこうして迎えられるなんて、変な感じね」
「野分が来るのが遅すぎたんだって」
「他の皆は?……赤城さんは、居るの?」
「今は、居ない」
「それって、ひょっとして、また……?」
「多分、今頃は紅葉饅頭食べてるかなー」
「――え?」
「うちの赤城は全国津々浦々の美味しいものを求めて出かけまくってて、ほとんど鎮守府に居ないんだよ。本人は至って元気だから安心していいぞ」
「えっと、赤城さん、ですよね……?」
「そうだ」
「野分も赤城さんが帰ってきたらいっぱいお菓子もらいなよ」
(今、赤城さんのイメージが私の中で崩れていった気がする……)
「にしても、台風の日に窓ぶち破って現れるとは、名前通りだな」
「意識がはっきりした時には、既に体が宙を舞っていました。新たな生を受けて早々、レーダー射撃を受けた時のことが脳裏を過るとは思いませんでした……」
「ねぇねぇ野分、とりあえず他の姉妹艦にも顔見せに行かない? 雪風とかすっごい喜ぶと思うよ」
「そうね、行きましょうか」
「あーちょっと待った」
「何でしょうか、司令」
「この終身雇用契約書にサインしていけ」
「……ここは、鎮守府では?」
「形式上はな。一応書類も海軍の正式な物だから安心しろ」
「そうですか。では――」
「台風が過ぎたら野分も一緒に明石さんのジェットコースター乗ろうよ、たっのしいよー?」
「……ここは鎮守府、なんですか?」
「鎮守府だ。少々変わってはいるが、な」
(……これにサインして、本当に大丈夫なのかしら)
――――野分、どうだった?
――――台風の中に居た時を思い出したわ。
――――あ、あはは……次、行ってみよー!
――――(まだ慣れるには少し時間がかかりそうだけど、舞風とこうして一緒に居られるなら……いいかな)
イベント期間中に朝雲の着任ネタが投下されなかったら、朝雲はこのスレでは暫く居ないものとして考えてください
夕方に次スレ立てます
【艦これ】大鳳「浦風が可愛い鎮守府」提督「多分一応は鎮守府」 - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1416478239/l20)
一応立てときました
残り2つを書いたら移行します
ーーーー野分が鎮守府に就職しました。
・天龍『貰った』、投下します
天ちゃん怖い
――――提督執務室。
「おい天龍、執務室に物騒な物持ち込むな」
「いいじゃねぇか、別に振り回したりしねぇからよ」
「刀の手入れなら自室でやれ」
「伊勢の姉御からさっき貰ったんだから仕方無いだろ。それに、秘書艦の仕事はちゃんとしてるぜ」
「どこがだよ、書類手伝え」
「護衛に決まってんじゃねぇか。書類はパス」
「龍田、呼び出していいか?」
「べ、べべ別に龍田なんか怖くねぇぞ!?」
(パワーバランスは相変わらずのようだな……)
「じゃあ茶をくれ、熱いやつ」
「仕方ねぇなぁ、ちょっと待ってろよ」
「――ところで天龍、その刀に名前はあるのか?」
「何か有名な刀のレプリカって聞いたんだが忘れちまった。髭がどうとか言ってたな……」
「髭……? 髭切!?」
「龍田とたまにガチでやり合う時に使ってた刀が折れちまったからよぉ、ホント助かったぜ」
「……ひょっとして、龍田も作ってもらってたりするのか?」
「さっき一緒に貰ったぜ、トンボ切なんてカッコ悪い名前だけどな」
(包丁から国宝まで造れんのか、相変わらず恐ろしい技術だな……)
「ほらよ、ちゃっちゃと飲め」
「熱い茶を急いで飲める訳無いだろ。……にしても、お前に茶を淹れてもらうってのは未だに変な感じだな」
「文句があんなら飲むなっての」
「――うん、最初に淹れられた茶葉茶とは比べ物にならんぐらい美味い」
「茶の淹れ方なんて、あの時は知らなかったんだよ……」
「直接茶葉を湯飲みに入れて湯を注ぐ。実に斬新な淹れ方だったな」
「――試し斬り、してもいいんだぜ?」
「俺を斬ったら駆逐艦に嫌われるからやめとけ天ちゃん」
「天ちゃんって次言いやがったら、今度は茶葉を口に入れて直接湯注いでやるからな」
「分かった分かった、じゃあ昼飯頼む」
「ったく……何がいいんだよ、お任せは無しだぜ?」
「オムライス、漣風」
「……ぶっ殺す」
(今度は刃が向いてるな、流石にやり過ぎたか……)
「最近練習してるパスタ料理で頼む。龍田から結構上達したって聞いたしな」
「チッ、仕方ねぇなぁ、この天龍様のパスタ食って吠え面かくなよな」
――――おぉ、ボロネーゼだな。……ん? オムライスも作ったのか?
――――その、何だ、ケチャップあるけどよ、どうする?
――――“フフ、怖いか”で頼む。
――――俺様の黒歴史を掘り起こすんじゃねぇ!
ちょっと微妙なんで飛鷹は次スレに持ち越します
こっちは埋めちゃいますね
3スレ目もお付き合いくださりありがとうございました
次スレでもよろしくお願いいたします
朝雲下さい戦艦棲姫
このSSまとめへのコメント
雲竜を出してください。
響をもっと出してくれると嬉しいです
霧島さん、おねがいします。
まとめに要望出すとか何考えてんのこの人たち