ここは、俺の時代からどのくらい経った世界だろうか
そもそも、俺の世界の未来だろうか
……そんなのは信じたくない
ただ、一つわかることがある
───この世界から、俺の時代を見ると「古い」ということだ
………………
…………
……
「おめでとうございます!ついにやりましたね!」
「おそらく今世紀最大の功績でしょう!」
「研究室発足以来、最高の研究です!」
…………
記者A「青年さん、改めて今回の論文について発表をお願いします」
青年「(もう何度目の説明だろうか……さすがに面倒だ)えー、今回私が研究、及び完成、発表致しましたものは……」
青年「時間移動装置……いわゆるタイムマシン、です」
青年「……ですが、この研究にもはや意味はありません」
青年「────なぜなら、時代はアナログに向かうのですから」
記者B「そ、それは一体どういうことでしょうか……?」
青年「簡単なことです。私が世界をアナログに『進めます』」
記者B「進める?戻すのではなくてですか……?」
青年「ええ」
記者C「すみません。お言葉ですが……今の時代、なぜアナログなのですか?この『デジタル社会』において、アナログがどういった意味を持つのですか?」
青年「さあ、おそらく意味などないのでしょう。ただ、私は今のデジタル社会では得られないものを得ました」
青年「未来の、『アナログ社会』で」
よし、準備は整った
物体で実験は成功
モルモットも成功
幾百、幾千もの成功事例がある
自分が天才だと思ったことはないが、周りが自分を天才だと評価することに、少しだけ理解が出来た
誰も成し得なかった、タイムマシンをついに完成させた
…………99%
1%は何かって?
答えは簡単
───まだ、人間での実験をしていない
さすがに、天才の名を欲しいままにした(本人は欲しがっていないが)彼の実験でも、被験者を名乗りあげる者はいなかった
誰も、時間の狭間で迷うのは御免だ
だからか、いや恐らく彼自身の強い好奇心だろう……青年は言った
「俺が被験者になります」
この時代、基本的にアナログなんてものは歴史の教科書か曾祖父母の家にあるようなものだ
デジタル。
……かつて技術はそう呼ばれ、今では当たり前すぎて敢えて強調する時くらいしか使わない言葉だ
社会も変わり、教育現場も……例えば飛び級なんかは当たり前だ
青年は例に漏れず、飛び級で大学の研究室に入り、時間移動装置の研究をした
青年の世代では、幼いころから『デジタル』はごく当たり前であり、不自由などなかった
自分も世界を作る一員……例の研究が完成したとき、純粋にそんな思いが湧いてきた
彼は、アナログを知らないに等しかった
───この便利なデジタル技術以外を、理解しようとはしなかった
………………
…………
……
タイムマシンに乗り込む
楽な説明をするなら、病院のMRI室のような部屋に、コックピットを切り取ったような機械がポツンと置かれている
かつて歴史の教科書で見た、未来ロボットが出てくるアニメのそれとは違うが、確かにこれはタイムマシンだ
研究員「……では、これより実験を開始します」
「設定は、現在から …年前、座標は…… …」
説明を聞き終えた彼は、起動スイッチを押す
機械が作動し、時間移動を始める
……そのとき、
「……!?出力異常!…計測できないエネルギー発生!」
「……ダメです!制御出来ません!」
「なぜ人間の時だけ!?」
……………… ………… ……
「……時間移動は、成功したのか?」
「待て!そもそも彼は帰ってこれるのかね!?」
「……?!みんな、このデータを見てくれ!」
ある研究員の呼び掛けで一同がモニターのデータを見る
そこには、
《移動先時間:220X/7/29》
研究員「……今日の、日付は?」
「215X年、7月の、29日、です……」
タイムマシンは、過去に行くことが出来た
逆に、未来には行けなかった
なぜなら、現在から先の未来は、まだ出来上がっていないからだ
──彼、青年はそう言っていた
だが、モニターは映し出している
……彼が、未来へ行ったことを
今日はここまで
今度また書き溜めてから来ます
おもしろいかはわからないけど読む人がいたら嬉しいなって
次回からは青年が飛んでいった世界を書きます
いろんなところから話繋げるやつ書いてた人?
>>11
ここで書くの初めてなんで人違いかと
深夜に投下しまー
青年「いてて……参ったなぁ。ここはいつの時代だ?」
移動が終わった時、機械が大きく揺れて頭を強かにぶつけてしまった
……確か、時間移動の直前に正体不明のエネルギーが発生したはずだ
それは、おそらく時間軸の歪みだろう
……時間軸で無限に起こっている『小さな小さな』歪み
運悪く、ぶつかって、移動先の時間がズレたのだろう……そう彼は結論付けた
なぜならば、
青年「向こうに見える街は見たところ、日本の明治に近い見た目だな……」
そう、彼の目には見慣れない『原始的』な世界が広がっていたからだ
しかし、
┏━━━━━━━━━━┓
┃ ________ ┃
┃《Today 220X/7/29》┃
┃  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ┃
┗━━━━━━━━━━┛
彼は、日付を見ていなかった
青年「……とりあえず、街に出てみないとな」
青年「見たところ、街から1kmもないような雑木林のようだし ……はぁ、歩くの面倒だな」
青年「……タイムマシンどーしよ」
青年「……どこか隠す場所探さないと何されるか……!」アセアセ
女「……」ジッ…
青年「」
まずい
確実に怪しまれている
なんとか言い訳を考えなければ……!
……そう青年が焦っていると、
女「……あなた、ここで何をしていたの?」
思いとは裏腹に、女性は優しい口調で問い掛けてきた
それに拍子抜けて青年は
「あー……、えーとそれゎですね…」
などと間抜けな対応をしてしまった
女「見たところ、とても珍しいものに乗っていたみたいだけど……何?ソレ」チラッ
青年(……過去の人間に、これをどう説明すれば)
青年「あー、これはね…」
女「……あ!思い出したよ ソレ、タイムマシンっていうやつでしょ?」
青年「」
青年(なぜだ……なぜタイムマシンだとバレている!?)
女「歴史の教科書にそんな感じの絵があったなーってさ」
青年「……歴史?」
女「うん、歴史」
青年「……今日は、何年の、何月何日、だ?」
女「んー?220X年の7月29日だよ?」
青年「……なんだと?!」
彼はタイムマシンに駆け戻り、モニター表示されている日付を見た
青年「なぜだ……俺の研究では、未来なんて存在しないはずなのに!」
女「……もしかしなくてもさ、このタイムマシンに乗ってきましたーなんていうんじゃないよね?」
青年「……ああ、その通りだ」
女「ほえー……私、ホントにタイムマシンなんてあったのかいまいち信用できなかったからビックリだよ!」
青年「……なぜ、信用できなかったんだ?」
女「えー、だってさ」
女「今の時代、『デジタル社会』があっただなんて言われても実感できないよ」
青年「……『デジタル社会』があった?じゃあ、今はどんな社会だっていうのさ」
女「んー、簡単に言うと…
『アナログ社会』、かな」
街に向かう途中で聞いた話によると、女の家はこの雑木林を管理していて、家もすぐ近くにあった
とりあえずタイムマシンは彼女の家に置かせてもらい、街に行くことにした
このタイムマシンはまだ試作品のため、移動先で10日経つと自動的に元の時間に戻るようになっている
そして、事故防止のために手動で時間移動は出来ないようにしている
ぶっちゃけ、暇である
彼女は街で仕事をしているらしく、向かう途中で林から大きな音が聞こえたため様子を見たら俺がいた。とのこと
青年が街に行く旨を伝えると、
女「私も街に行くところだったの!よかったら案内もするよ?」
というなんともありがたいお言葉をいただいた
青年「ところでさ、」テクテク
女「んー?」テクテク
青年「驚かないんだな」
女「なにが?」
青年「俺にだよ」
女「?……どうして?」
青年「どうしてって……俺、タイムスリップしてきたんだよ?」
女「でも、私たちと変わらない見た目だし、変な言葉でもないし、たぶん悪い人じゃなさそうだし!」グッ!
青年(だめだこの人)
~街~
女「着いたぁ~!」ノビ
青年「」
街に着いてみたが、青年はここが未来だと認めたくなくなった
先ほど女が言った通り、そこにデジタル社会があった欠片は見受けられない
これではまるで───
青年(技術だけ、逆戻りしたみたいだ)
街並みから電光掲示板は消え、木の看板や客引きなどがたくさん溢れている
高層ビルは見当たらず、レンガや木造の建物がある
……その割に、人々の服装は変わり無い
女「ね?デジタルって感じがしないでしょ?」
青年「……いや、きっと中身を見てみたらPCやらネットワークサービスやらがきっと!」
………………
…………
……
青年「無かった…だと」
女の職場は、書店のようだったが、そこに電子機器はほとんど置かれていなかった
唯一、パソコン(オフライン)とレジスターがあったが女曰く、
女「あーこれはね、おじいちゃんの家にあった『古ーいガラクタ』が使えそうだったし、おもしろそうだったから!」
とのこと
青年(パソコンがガラクタってじゃあこの世界で普通は何を使うんだって聞いたら……)
女「そろばんだよ~」
青年「」
青年「……とりあえず、街をいろいろ見て回ろう」
女「いってらっしゃーい」ノシノシ
青年「移動手段は……」キョロキョロ
青年(徒歩と馬車と人力車……か)
青年「歩くか……(´・ω・`)」
青年「とりあえず>>30をしよう」
1.道行く人に社会について聞く
2.腹ごしらえ
3.デジタル社会の欠片を探す
あまり面白いものが書ける気がしない…
おやすみなさい
1
安価来てた
書き溜めて明日投げます
青年「……腹が減ったな」
食事処なんかには人も集まっているだろう
青年「情報集めがてら、腹ごしらえだな」
────立ち食いそば屋────
青年(立ち食い店なら人もいるだろうと思ったけど、案の定だ)
そこは老若男女問わず賑わう人気の店だった
……相変わらず、デジタルの欠片も見当たらないが
青年「さて、食べるか」
青年(……そういえば味付けなんかはどうなっているんだ?)
青年「普通でした」
青年「っと、そろそろ情報集めだなー……すいません、ちょっとよろしいですか?」
通りがかりの男性「ん?どうした、俺に何か用か?」
青年「今、歴史について調べものをしていて、いろいろな人に話を聞いて回っているんですけど……」
男性「へえ、そうかい。俺が答えられるか知らんが、何についてだい?」
青年「……昔、この社会はデジタル社会だったこと、ご存知ですか?」
男性「……あー、なんかそんなん昔授業で習った気がするなぁ!実家なんかに何か昔の道具があるかもねえ」
青年(……やはり、この世界でデジタルというのは骨董品レベルらしいな)
青年「そうですか、お話ありがとうございました」
その後も街を見回り、人に話を聞いたりもしたが、デジタルなんてものは歴史で出てくる文化、程度だった
青年(どうしても気になることがある)
青年(なぜ、あんなにも便利なデジタルを捨て、不便なアナログに社会は変わったのか)
青年(…とりあえず、女さんの店に戻るか)
────数時間後────
青年「暇だ…」
女「暇だねぇ」
青年「…毎日こんななのか?」
女「まぁ、多少はね?」
青年(……本、読むか)
青年(今の時代、本なんて一部の研究者が使うものなのにな)
青年(アナログなんてこうやって媒体が重なって、不便なだけだ)
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